JP2006024013A - フィルム情報コード解読方法及びこの方法を実施するシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】バーコードなどの情報コードを形成したコードシートに傷、埃、汚れ等の欠陥が存在しても、安定的にかつ高い信頼度でそのコードを解読できる技術、特には写真フィルムのフィルム情報コードエリアからフィルム情報コードを解読できる技術を提供するを提供する。
【解決手段】コードシートから可視光に基づいて取得された可視光画像データと赤外光に基づいて取得された赤外光画像データが展開されるメモリ50と、画素値に関する判定条件に基づいて前記赤外光画像データから欠陥画素を検出して可視光画像データにおける欠陥画素位置の画素値を修復する欠陥画素修復手段60と、修復された可視光画像データから情報コードパターンを認識して該当情報コードを解読する情報コード解読部54とが備えられている。
【選択図】 図6
【解決手段】コードシートから可視光に基づいて取得された可視光画像データと赤外光に基づいて取得された赤外光画像データが展開されるメモリ50と、画素値に関する判定条件に基づいて前記赤外光画像データから欠陥画素を検出して可視光画像データにおける欠陥画素位置の画素値を修復する欠陥画素修復手段60と、修復された可視光画像データから情報コードパターンを認識して該当情報コードを解読する情報コード解読部54とが備えられている。
【選択図】 図6
Description
本発明は、コードシートに形成されたバーコードなどの情報コードを、特には写真フィルムのフィルム情報コードエリアをフィルムスキャナを用いて読み取ることによって得られた画像データからそのフィルム情報コードを解読するコード解読方法及びこの方法を実施するシステムに関する。
現像された写真フィルムには、その幅方向の中央部に配置された撮影画像エリアに撮影画像が形成されているとともにその撮影画像エリアの外側にフィルム情報コードとしてバーコード化されたDXコードやコマ番号が形成されている。このようなフィルム情報コードは、写真フィルムから写真プリントを作製するいわゆる写真プリント処理においては重要な役割を果たすため、写真プリント処理にあたって予め読み取って認識しておく必要がある。
最近の写真プリント装置では、写真フィルムから写真プリントを作製する際、フィルムスキャナを用いて写真フィルムの撮影画像エリアから撮影画像を読み取って、デジタル画像データ化して、デジタル露光ユニットを用いて印画紙に撮影画像を露光する、デジタル露光方式が採用されている。その際、撮影画像を読み取る同時にバーコードも読み取ることも試みられている。
そのようなフィルムスキャナとして、1本の棒状光源によって写真フィルムの全幅にわたって照明し、この棒状光源によって照明された写真フィルムの全幅における透過光を、撮影レンズを介して1本のラインセンサに結像させ、前記フィルムを給送してフィルム画像等を前記ラインセンサでスキャンする場合に、フィルム画像が写し込まれる画像記録領域以外の領域に設けられた光学情報も同時に読み取るようにすることで、パーフォレーション、バーコード等の光学情報を読み取るための手段を別途設けることなく、フィルム画像の読取り精度と同精度で読み取ることができるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。このフィルムスキャナでは、パーフォレーションの検出をトリガとしてフィルム画像(撮影画像)の取り込みを開始するとともに、バーコード(フィルム情報コード)の読み込みを開始し、これらの読込みは、画像後端部のパーフォレーション検出により終了するように構成されており、撮影画像とバーコードが同時に読み取られ、その読取信号はマルチプレクサで分離させ、フィルム情報コードエリアの信号は直接バーコード用マイコンに送り込まれ、解読される。しかしながら、フィルム情報コードエリアは写真フィルムのエッジ近くでパーフォレーションに近接して位置している上、写真フィルムの中央に位置する撮影画像エリアに較べて手荒に扱われることが多いので、埃が固着していたりや傷が付けられていたりし、そのようなフィルム欠陥に起因して読み取られた画像データにも欠陥が生じることになり、そのような画像データからのバーコードなどの検出は不安定でその信頼性が低くいものである。
なお、写真フィルムの撮影画像エリアに存在する傷、埃、汚れ等の欠陥を、その撮影画像エリアから取得された画像データから見つけ出し、その欠陥画素を修復する技術は知られている。例えば、赤外光は、可視光と異なり、写真フィルムを透過した場合にそこに写っている画像の影響をほとんど受けず、傷や埃等による影響のみを受けるという特性を利用して、輝度調整処理により修復を行う技術が知られている。これは、具体的には、写真フィルムに赤外光及び可視光を透過させ、赤外光による画像データの画素値が一定の閾値以下である部分を欠陥部と認識し、当該欠陥部の各色成分(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))の画素値に対して、正常部に対する欠陥部の赤外光の減衰量分を上乗せして輝度を高めることにより、欠陥部の各色成分の画素値を正常部に合せて輝度調整する技術である(例えば、特許文献2参照)。
特開平07−212535号公報(段落番号0008、0014、図1)
特開平11−98370号公報(第15−16頁、図4)
上記実状に鑑み、本発明の課題は、情報コード、例えばバーコードを形成したコードシートに傷、埃、汚れ等の欠陥が存在しても、安定的にかつ高い信頼度でそのコードを解読できる技術、特には写真フィルムのフィルム情報コードエリアからフィルム情報コードを解読できる技術を提供することである。
情報コードを形成したコードシートをスキャナを用いて読み取ることによって得られた画像データからその情報コードを解読する情報コード解読方法において、上記課題を達成するためには、本発明により、前記コードシートから可視光に基づいて取得された可視光画像データと赤外光に基づいて取得された赤外光画像データをメモリに展開するステップと、画素値に関する判定条件に基づいて前記赤外光画像データから欠陥画素を検出して欠陥画素マップを作成するステップと、前記欠陥画素マップを用いて前記可視光画像データにおける前記欠陥画素位置の画素を修復するステップと、前記修復された可視光画像データから情報コードパターンを認識するステップと、前記認識された情報コードパターンから該当情報コードを解読するステップとからなることが提案される。
また、写真フィルムのフィルム情報コードエリアをフィルムスキャナを用いて読み取ることによって得られた画像データからそのフィルム情報コードを解読する情報コード解読方法において、上記課題を達成するためには、本発明により、前記写真フィルムから可視光に基づいて取得された可視光画像データと赤外光に基づいて取得された赤外光画像データをメモリに展開するステップと、画素値に関する判定条件に基づいて前記赤外光画像データから欠陥画素を検出して欠陥画素マップを作成するステップと、前記欠陥画素マップに用いて前記可視光画像データにおける前記欠陥画素位置の画素値を修復するステップと、前記修復された可視光画像データからフィルム情報コードパターンを認識するステップと、前記認識されたフィルム情報コードパターンから該当フィルム情報コードを解読するステップとからなることが提案される。
これらの方法は、いずれにしても、コードシートや写真フィルムのフィルム情報コードエリアに赤外光を照射してこの赤外光に基づいて取得された赤外光画像データを用いてコードシートや写真フィルムの表面に存在する傷、埃、汚れ等の欠陥位置を検出し、同時に取得した可視光に基づいた取得可視光画像データにおける先に検出された欠陥位置に対応する画素を修復することで、傷、埃、汚れ等の欠陥による悪影響が抑制された可視光画像データが得られる。この修復済みの可視光画像データを用いて情報コードを解読することにより、コードシートや写真フィルムのエッジ領域に位置するフィルム情報コードエリアに傷、埃、汚れ等の欠陥が存在しても、安定的にかつ高い信頼度でその情報コードを解読することが可能となる。
解読すべき情報コードが写真フィルムに形成されているフィルム情報コードである場合、その撮影画像エリアに存在する傷、埃、汚れ等の欠陥も同時に検出することは重要となるので、本発明の好適な実施形態では、前記フィルムスキャナは写真フィルムの撮影画像エリアとフィルム情報コードエリアを同時に読み取ってその画像データを前記メモリに送り込み、前記赤外光画像データからの欠陥画素の検出と前記可視光画像データにおける前記欠陥画素位置の画素値の修復が撮影画像エリアに対応する画像データ部分とフィルム情報コードエリアに対応する画像データ部分の両方に対して同時に行われるようにすると好都合である。
可視光画像データにおける前記欠陥画素位置の画素値の修復方法として、まず輝度調整処理が挙げられる。これは、赤外光画像データにおいて平均的な画素値(輝度値)より低下した画素値をもつ画素は表面の傷、埃、汚れ等の欠陥の影響であると考えられ、そのような欠陥は可視光画像データでの画素にも同様な影響を及ぼしているとし、その低下分を欠陥に対応する画素の画素値に対して補償することで欠陥の影響を抑制するのである。これは、表面の埃や汚れなどの欠陥に対して効果的である。
可視光画像データにおける前記欠陥画素位置の画素値の別な修復方法として、補間処理が挙げられる。これは、欠陥とみなされる画素の画素値を隣接する正常と見なされる画素の画素値で置き換える処理で、一般にはピクセルコピーと呼ばれる画素修復方法に類似するが、隣接する正常と見なされる1つの画素で置き換えるのではなく、欠陥とみなされる画素の全周囲の隣接する正常画素の画素値を考慮することで、極端な修復画素値になることを回避している。
さらに、解読しようとする情報コードがバーコードのような所定の縦方向と横方向にのみ輪郭をもつような画像であるとするならば、上述した補間処理において、そのような縦方向と横方向の2方向において隣接する正常画素のみの画素を補間に利用することが非常に効果的であり、また補間処理時間の短縮にも寄与する。
このような補間処理の一例として、前記欠陥画素を中心として所定の縦方向と横方向に延びる2つの方向線を設定するステップと、前記各方向線に沿って前記欠陥画素を挟んで両側に位置する前記正常画素を探索するステップと、前記探索された正常画素の画素値を用いて前記欠陥画素のための仮修復値を演算するステップと、前記方向線毎に沿って設定された正常画素の画素値を用いて各方向線のための重み係数を演算するステップと、前記探索ライン毎に求められた前記仮修復値と前記重み係数とを用いて前記欠陥画素の仮修復値の重み付き平均値を前記注目画素の最終修復値として演算するステップと、前記最終修復値を用いて前記欠陥領域を修復するステップとからなる方法が提案される。この方法では、可視光画像データ中での欠陥画素さえ検出できていると、その欠陥画素について縦方向と横方向の2つの方向の方向線に沿って存在する正常画素の画素値に基づく修復値としての仮修復値が求められ、更には、それぞれの方向線に沿って存在する正常画素の画素値に基づいて各方向線の重み係数を求め、それを用いた重み付き平均値を演算して不要画素を修復するので、欠陥画素の周囲の前記2方向に存在するコード画像の輪郭に応じた最終修復値を求めることが可能となり、コード画像の輪郭を正確に反映した適切な修復処理を行うことが可能となる。従って、修復処理によりかえってコード画像の輪郭の連続性が失ってしまうといったことが抑制される。
ここで、バーコードを構成する各バーが縦方向に長く横方向に短い扁平な矩形で構成されているとともに、写真フィルムなどではそのバーコードがフィルム幅に直交するフィルム長手方向に並んでいることを考慮すると、各バーの最も重要な縦方向のエッジをできるだけ再現できるように補間するためには、この補間処理においてフィルムの幅方向である情報コードの縦方向に対応する1方向からの正常画素により欠陥画素が補間されるとよいことになる。このように補間処理を1方向に限定することにより補正処理速度もさらに速くなる。
このような補間処理の一例では、前記欠陥画素を中心として前記縦方向に延びる1つの方向線を設定するステップと、前記方向線に沿って前記欠陥画素を挟んで両側に位置する前記正常画素を探索するステップと、前記探索された正常画素の画素値を用いて前記欠陥画素のための仮修復値を演算するステップと、前記仮修復値を前記注目画素の修復値とするステップと、前記修復値を用いて前記欠陥領域を修復するステップだけを備えることになり、先の補間処理に較べ、このようなステップの減少は、明らかにプログラム及び処理時間の短縮に貢献することになる。
本発明では、さらに、上述した情報コード解読方法を実施するシステムも対象としており、コードシート又は写真フィルムから可視光に基づいて取得された可視光画像データと赤外光に基づいて取得された赤外光画像データが展開されるメモリと、画素値に関する判定条件に基づいて前記赤外光画像データから欠陥画素を検出して欠陥画素マップを作成する欠陥画素マップ作成部と、前記欠陥画素マップに用いて前記可視光画像データにおける前記欠陥画素位置の画素値を修復する画素修復処理部と、前記修復された可視光画像データから情報コードパターンを認識する情報コード認識部と、前記認識された情報コードパターンからその情報コードを解読する情報コード解読部とを備えている。当然ながら、このような情報コード解読システムも上述した情報コード解読方法における作用効果を得ること及び付随する種々の好適な実施形態を採用することができる。
本発明によるその他の特徴及び利点は、以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるだろう。
本発明によるその他の特徴及び利点は、以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるだろう。
本発明による情報コード解読システムの一例としての写真フィルムのフィルム情報コード(バーコード:DXコード)を解読する情報コード解読システムを採用した画像処理ユニットを搭載した写真プリント装置を説明する。図1はその写真プリント装置を示す外観図であり、この写真プリントシステムは、ここでは図示されていないフィルム現像機によって現像処理された写真フィルム(以下、単にフィルムと称する)1の撮影画像コマをデジタル画像データとして読み取る画像読取装置3や取得された画像データに画像処理を施してプリント情報を作成するコントローラ5などを備えた操作ステーションOSと、操作ステーションOSからのプリント情報に基づいて印画紙2に対して露光処理と現像処理とを行って写真プリント2aを作成するプリントステーションPSとから構成されている。コントローラ5は、基本的には汎用パソコンから構成されており、本発明による欠陥画素修復システムを実装している。このパソコンには、この写真プリントシステムの操作画面を表示するモニタ4a、デジタルカメラ等のメモリカード等から画像を読み込むメディアリーダ4b、オペレータによる操作入力に用いられるキーボード4c等が組み込まれている。
プリントステーションPSは、図2に示されているように、2つの印画紙マガジン11に納めたロール状の印画紙2を引き出してシートカッター12でプリントサイズに切断すると共に、このように切断された印画紙2に対し、バックプリント部13で色補正情報やコマ番号などのプリント処理情報を印画紙2の裏面に印字するとともに、露光プリント部14で印画紙2の表面に撮影画像の露光を行い、この露光後の印画紙2を複数の現像処理槽を有した処理槽ユニット15に送り込んで現像処理する。乾燥の後に装置上部の横送りコンベア16からソータ17に送られた印画紙2、つまり写真プリント2aは、このソータ17の複数のトレイ17aにオーダ単位で仕分けられた状態で集積される(図1参照)。
上述した印画紙2に対する各種処理に合わせた搬送速度で印画紙2を搬送するために印画紙搬送機構18が敷設されている。印画紙搬送機構18は、印画紙搬送方向に関して露光部14の前後に配置されたチャッカー式印画紙搬送ユニット18aを含む複数の挟持搬送ローラ対から構成されている。
露光プリント部14には、副走査方向に搬送される印画紙2に対して、主走査方向に沿って操作ステーションOSからのプリントデータなどのプリント情報に基づいてR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色のレーザ光線の照射を行うライン露光ヘッドが設けられている。処理槽ユニット15は、発色現像処理液を貯留する発色現像槽15aと、漂白定着処理液を貯留する漂白定着槽15bと、安定処理液を貯留する安定槽15cを備えている。
このフィルムスキャナ3は可視光に基づく可視光画像データのみならず赤外光に基づく赤外光画像データを出力することができるものであり、主な構成要素として、照明光学系31、撮像光学系としてのズームレンズ32、入射してきた光を可視光と赤外光に分けるダイクロイックミラー33、可視光用センサユニット34、赤外光用センサユニット35を備えている。照明光学系31は、光源としてのハロゲンランプ又は発光ダイオードと、その光源からの光を調光するミラートンネルや拡散板などから構成されている。可視光用センサユニット34は、フィルム1の3つの基本色成分(例えばR、G、B)からなる可視光画像を検出するためにそれぞれ適合するカラーフィルタを装着した3つのCCDアレイ34aと、これらのCCDアレイ34aによって検出された可視光信号を処理して基本色成分で構成されたR・G・B画像データを生成してコントローラ5へ転送する可視光用信号処理回路34bを備えている。これに対して、赤外光用センサユニット35は、フィルム1に付いている傷の状態を赤外光画像として検出するためにダイクロイックミラー33から分岐された赤外光のみを受けるように配置されたCCDアレイ35aと、このCCDアレイ35aによって検出された赤外光信号を処理して赤外光画像データを生成してコントローラ4へ転送する赤外光用信号処理回路35bを備えている。なお、可視光用センサユニット34と赤外光用センサユニット35は、フィルム1の全幅を読み取ることができるように構成されている。
図3に示すように、フィルムキャリヤユニット80は、搬送されるフィルム1の下側に位置するベース部材80aと搬送される写真フィルム1の上側に位置するカバー部材80b、及びフィルム搬送機構8を構成するためにベース部材80aとカバー部材80bとに分かれて配置されている複数の駆動ローラユニットを備えている。さらに、ベース部材80aには光源80から発せられフィルム1を透過した光をスリット光としてズームレンズ32に導く通過孔形成ブロック81が設けられている。
余計な光が光可視光用センサユニット34と赤外光用センサユニット35に入射しないように光を遮蔽する遮蔽部材として機能する通過孔形成ブロック81には、図3と図4と図5から明らかなように、フィルム搬送方向に直角な横方向に沿って、かつライン状の光源31からの照明光の光軸に一致するようにスリット状の通過孔81aが形成されている。この通過孔81aの幅は1mm程度で、その長さは搬送中のフィルム1の蛇行を考慮してフィルム1の幅より長く設定されており、フィルム1の全幅を構成する、撮影画像エリア1a及びフィルム1のエッジ領域に位置しているフィルムメーカ名やコマ番号等を示すバーコードが形成されているフィルム情報コードエリア1b及び撮影画像エリア1aとフィルム情報コードエリア1bの間に位置するパーフォレーションエリア1cを透過してきた光がズームレンズ32とダイクロイックミラー33を経て可視光用センサユニット34と赤外光用センサユニット35に到達することができる。これにより、可視光用センサユニット34と赤外光用センサユニット35は、フィルム1の撮影画像エリア1aだけではなくこれより外側に位置しているパーフォレーションエリア1cとフィルム情報コードエリア1bからの透過光も同時に検出することができる。
図5から明らかなように、カールぐせを持っているフィルム1の先端がスキャニング搬送時にフィルム1の幅より長い通過孔81aに入り込まないように、通過孔81aの両端領域、特にフィルム1のパーフォレーションエリア1cとフィルム情報コードエリア1bに対応する箇所にこの実施形態ではガラス製の光透過性部材82が埋め込まれている。この光透過性部材82は円板状に加工されており、フィルム搬送面に円形端面を露出するように、通過孔形成ブロック81に設けられた円柱凹部にはめ込まれている。光透過性部材82の角部は面取りされており、その円形端面の一方側はフィルム搬送面のレベルに一致させられている。光透過性部材82の円形端面の他方側、つまりフィルム1と接しない方の面には銀又はアルミ蒸着によって減光層82aが形成されている(図3参照)。
この光透過性部材82はフィルム1のパーフォレーションエリア1cとフィルム情報コードエリア1bに光軸方向で重なり合うように位置決めされているので、光透過性部材82の減光層82aはフィルム1のパーフォレーションPを通過した強い光量をもった光を減光し、過剰な光量の光が可視光用センサユニット34と赤外光用センサユニット35に達することを防止している。
透過光形成ブロック81に形成された通過孔81a中心線によって定義されるスキャニングラインSLのフィルム搬送方向上流側と下流側にフィルム1の下面を支持するガイドローラ8bが配置されている。このガイドローラ8bは通過孔形成ブロック81に設けられた溝に埋め込まれるような形でベース部材80に対して回転可能に支持されている。
フィルム1が所定のスキャン位置に位置決めされた後のフィルム搬送機構8によるフィルム1の送りによりフィルム情報の読取処理が開始されると、撮影画像エリア1aとフィルム情報コードエリア1bとパーフォレーションエリア1cを透過してきた光がズームレンズ32を経て可視光用センサユニット34と赤外光用センサユニット35に到達し、光電変換されるとともにAD変換されることで生成された読取データはコントローラ5に送り込まれる。送り込まれた読取データ、つまり赤色成分画像データと緑色成分画像データと青色成分画像データとから構成されている可視光画像データと赤外光画像データには、撮影画像エリア1aに対応する撮影画像データとパーフォレーションエリア1cに対応するパーフォレーション画像データ、フィルム情報コードエリア1bに対応するコード画像データが含まれることになる。
コントローラ5は、CPUを中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア或いはその両方で実装されているが、本発明に特に関係する機能部として、図6に示されているように、可視光用センサユニット34から送られてくる可視光画像データ及び赤外光用センサユニット35から送られてくる赤外光画像データを展開するメモリ50と、メモリ50に展開されている可視光画像データ及び赤外光画像データに対してシェーディング補正などの前処理を行う画像前処理部51と、メモリ40に展開された可視光画像データ及び赤外光画像データ画像データをフィルム1の撮影画像エリア1aに対応する撮影画像データ部分とフィルム情報コードエリア1bに対応する情報コード画像データ部分とに区分けする画像データ区分け部52と、可視光画像データ及び赤外光画像データを用いて後で詳しく説明するフィルム1の傷やほこりに起因する欠陥画素の修復を行う欠陥画素修復手段60と、修復された可視光画像データの情報コード画像データ部分からフィルム情報コードパターンを認識する情報コード認識部53と、認識されたフィルム情報コードパターンからそのフィルム情報コードを解読する情報コード解読部54と、各種ウインドウや各種操作ボタンなどを含むグラフィック操作画面の作成やそのようなグラフィック操作画面を通じてのユーザ操作入力(キーボード/マウス4cなどによる)から制御コマンドを生成するグラフィックユーザインターフェース(以下GUIと略称する)を構築するGUI部55aを組み込んでいるともに予め設定されたシーケンスやGUI部55aから送られてきた制御コマンドに基づいてプリント出力のための画像データ処理を管理するプリント管理部55と、前記プリント管理部55からの画像処理コマンドに基づいて各コマ単位の撮影画像を表す撮影画像データに画像処理を行う画像処理部56と、撮影画像や予想仕上がりプリント画像としてのシミュレート画像及びGUI部55aで生成されたグラフィックデータをモニタ2に表示させるためのビデオ信号を生成するビデオ制御部57と、画像処理が完了した処理済み撮影画像のための画像データに基づいてプリントステーションPSに装備されている露光プリント部14のライン露光ヘッドに適したプリントデータを生成するプリントデータ生成部58などが挙げられる。
欠陥画素修復手段60は、輝度調整処理に基づいて欠陥画素を修復する機能と補間処理に基づいて欠陥画素を修復する機能との2つの欠陥修復機能を有する。輝度調整処理とは、赤外光画像データに含まれる全ての正常画素の画素値の平均値と各欠陥画素の画素値との差分を各欠陥画素の傷による画素値の減衰量とし、可視光画像データに含まれる各欠陥画素の色成分(RGB)毎の画素値にそれぞれ加算することにより、可視光画像データに含まれる全ての欠陥画素の輝度を調整する処理であり、そのアルゴリズムは種々のものが知られているが(例えば特開2000−115464号、第5頁、図3や、特開2001−078038号公報、第16−17頁、図10を参照のこと)、ここでは、図7で模式的に示されているように、赤外データにおける欠陥部とみなされた画素の画素値と周囲の正常画素の画素値との差に基づいて赤外欠陥深度Dfm,nを演算するとともに、R光、G光、及びB光のそれぞれの可視光データにおける対応する画素の画素値と周囲の正常画素の画素値との差に基づいて可視光欠陥深度Rfm,n、Gfm,n、Bfm,nを演算し、これらに基づいて可視光と赤外光との波長或いは屈折率の相違に起因する、可視光データが欠陥により受ける影響と非可視データが欠陥により受ける影響とのずれを補正する補正係数を演算し、この補正係数と各欠陥画素の赤外欠陥深度Dfm,nとに基づいて各欠陥画素の輝度調整による修復を行うアルゴリズムが採用されている。
補間処理とは、基本的には、予め赤外光画像データに含まれる全画素の画素値の平均値に基づいて設定された閾値を超える画素値を有する赤外光画像データの画素に対応する可視光画像データの画素を欠陥画素と判定して、この欠陥画素の周囲の複数の正常画素との距離を求めてその距離に応じて正常画素の画素値の重み平均を演算して欠陥画素の修復値を求めることで欠陥画素を修復する処理であり、ここでは後で詳しく説明されるが、ここでは、画像の境界をできるだけ正確に反映した適切な補間処理を行うために、各欠陥画素について複数方向の方向線に沿って存在する正常画素の画素値に基づく補間値を求めるとともに各方向線に沿って存在する正常画素の画素値に基づいて各方向の重み係数を求め、それを用いた重み付き平均値を演算して欠陥画素を修復するアルゴリズムが採用されている。
上述したことから、欠陥画素修復手段60は、図8に示すように、欠陥画素マップ部60Aと画素修復処理部60Bを、より詳しくは、第1判定基準に基づいて欠陥画素の判定を行って第1欠陥画素マップを作成する第1欠陥画素マップ作成部61と、第1欠陥画素マップを用いて輝度調整処理による欠陥画素の修復を行う輝度調整処理部63と、第2判定基準に基づいて欠陥画素の判定を行って第2欠陥画素マップを作成する第2欠陥画素マップ作成部62と、第2欠陥画素マップを用いて補間処理による欠陥画素の修復を行う補間処理部64とを備えている。
前述した第1判定基準は、ごく概略的には、図9で示されるように、赤外光画像データに含まれる全画素の画素値の平均値に基づいて設定された第1閾値TH1を超える画素値を有する画素を輝度調整処理される欠陥画素とする欠陥判定基準であり、第2判定基準は第1閾値TH1より厳しい第2閾値TH2を超える画素値を有する画素を補間処理される欠陥画素とする欠陥判定基準であると考えることができる。つまり第2判定基準が第1判定基準に従属しているので、第2判定基準に基づいて判定された欠陥画素は、必ず、第1判定基準に基づいて判定された欠陥画素ということになるが、第1欠陥画素マップを用いて輝度調整処理で修復された画素のうち第2欠陥画素マップに属する欠陥画素はその画素値がさらに補間処理による修復画素値で書き換えられることになる。また、読み取り対象が情報コードのような単純な形状と色合いからなるものの場合、第1判定基準と第2判定基準を同一とし、結果的に第1欠陥画素マップと第2欠陥画素マップが同一となるような方法を採用することができる。
このように構成された欠陥画素修復手段60による、フィルム1から可視光に基づいて読み取られた可視光画像データと赤外光に基づいて読み取られた赤外光画像データとを用いて判定される可視光画像データ中の欠陥画素(フィルム1の傷やほこりに起因する欠陥に対応する画素)の修復を行う処理手順は、基本的に図10に示すようになる。
まず、フィルムスキャナ3の可視光用センサユニット34及び赤外光用センサユニット35によって取得された可視光画像データ及び赤外光画像データをメモリ50に展開するとともに画像データ区分け部52により撮影画像データ部分と情報コード画像データ部分に区分けしておく(#101)。そして、第1欠陥画素マップ作成部61が第1判定基準に基づいて欠陥画素の判定を行って正常画素及び欠陥画素の各座標を登録した第1欠陥画素マップを作成する(#102)。次に、輝度調整処理部63が、第1欠陥画素マップを用いて欠陥画素を設定しながらその欠陥画素の各色成分(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))の画素値に対して、正常画素に対する欠陥画素の赤外光の減衰量分を上乗せして輝度を高めていく上述した輝度調整処理で欠陥画素の修正を行う(#103)。同様に、第2欠陥画素マップ作成部62が第2判定基準に基づいて欠陥画素の判定を行って正常画素及び欠陥画素の各座標を登録した第2欠陥画素マップを作成し(#104)、この第2欠陥画素マップから順次処理対象となる欠陥画素を設定しながら補間処理部64が後で詳しく説明する補間アルゴリズムを用いてその欠陥画素を修正する(#105)。
輝度調整処理と補間処理によってフィルム1の傷やほこりに起因する欠陥画素の自動修復が完了した可視光画像データのうちの情報コード画像データ部分は、さらに公知のコード検出アルゴリズムによる情報コードパターンの認識のために情報コード認識部53に利用される(#106)。認識された情報コードパターンは情報コード解読部54によって情報コードに、例えば情報コードパターンがDXコードならフィルム種別やコマ番号に変換される。(#107)
輝度調整処理部63のアルゴリズムは上述したように比較的単純な処理であるが、補間処理部64のアルゴリズムは複雑である。また、フィルム1の撮影画像エリア1aに対応する撮影画像データ部分とフィルム情報コードエリア1bに対応する処理で異ならせることが可能である。もちろん、情報コード画像データ部分に対する補間処理アルゴリズムと撮影画像データ部分対する補間処理アルゴリズムとを共通化することも可能であるので、ここではそのような共通した補間処理アルゴリズムを図11〜図13を用いて説明する。
補間処理がスタートすると、この補間処理の対象となる可視光画像データが撮影画像データであるか又は情報コード画像データであるかをチェックし(#01)、情報コード画像データであれば初期設定の1つとして正常画素を探索する方向を示す方向線を縦方向(写真フィルムの場合フィルム長手方向)と横方向(写真フィルムの場合フィルム幅方向)に2方向のみに設定し(#02)、撮影画像データであれば初期設定の1つとしてその画像データに含まれる画素数や画像解像度に応じて正常画素を探索する際の隣接する方向線L間の角度間隔を決定する(#03)。さらに、画像データに含まれる画素数や画像解像度に応じて、正常画素Pを検出する際の方向線Lに沿った探索間隔が決定される(#03)。
次に、読み込まれた欠陥画素マップを用いて欠陥画素(以後追加修正画素も欠陥画素として扱う)と判定された画素の中から順次注目画素Oを選択する(#05)。決定された方向線L間の角度間隔に従って、注目画素Oを通る複数方向の方向線Lを設定し、その中の1つの方向の方向線Lに沿って注目画素Oを挟んだ両側にそれぞれ正常画素Pを検出する(#06)。この正常画素Pを検出する際の方向線Lに沿った探索間隔は、#03の処理において決定された探索間隔である。図12に、注目画素Oを通る複数方向の方向線Lに沿って正常画素Pを検出する際の一例を示す。この図では、#04の処理において決定された探索間隔は「2」であり、#04の処理において決定された方向線L間の角度間隔は「15°」である場合を示している。ここで、方向線Lは、注目画素を中心とする放射状の複数方向のうち、注目画素Oを挟んで直線上に存在する反対向きの2方向が1つの方向線である。
方向線Lに沿って正常画素Pを検出する際において、隣接する方向線L間の角度間隔が90°又は45°以外の場合には、方向線Lがすべての画素の中央を通るとは限らないことから、その場合には、方向線Lが通過する位置に対して中心位置が最も近い画素を方向線L上の画素とみなす。そして、正常画素Pの探索に際しては、そのようにみなされた画素を含む方向線L上の画素を対象として上記所定の探索間隔で探索を行う。図12においては、探索間隔は「2」であるので、注目画素Oから方向線Lに沿って外側に向かってそれぞれ1画素置きに欠陥画素か正常画素かを判断し、その中で注目画素Oから最も近い位置にある正常画素が、その方向線Lに沿って注目画素Oを挟んだ両側にそれぞれ位置する正常画素Pとして検出される。ここでは、方向線Lに沿って注目画素Oを挟んだ両側にそれぞれ1個ずつの正常画素Pを検出し、それらの正常画素Pの値を用いて後の注目画素Oの補間値Hや重み係数Wの演算を行う構成としているが、注目画素Oを挟んだ両側にそれぞれ2個以上ずつの正常画素Pを検出し、これら2個以上の正常画素Pの平均値等を用いて後の注目画素Oの補間値Hや重み係数Wの演算を行う構成とすることも可能である。また、正常画素Pの探索は上記のような方向線L上に限定されるものではなく、方向線Lの近傍に位置する正常画素Pをも含めて探索することも可能である。
そして、上記1つの方向線Lに沿って正常画素Pを探索した結果、注目画素Oを挟んだ両側共に所定距離内に正常画素Pが検出されたか否かについて判断する(#07)。これは、注目画素Oから遠く離れた位置にある正常画素Pの値は、注目画素Oの修正に用いるのに適しないことから、予め設定された所定距離内に正常画素が存在しない場合には、その方向の方向線Lについての正常画素Pの値を注目画素Oの補間値Hや重み係数Wの演算に用いないようにするためである。したがって、注目画素Oを挟んだ両側のうちのいずれか一方でも所定距離内に正常画素が存在しなかった場合には(#07:NO)、処理は#06へ戻り、次の1つの方向線Lに沿って正常画素Pを検出する処理が行われる。ここで、前記所定距離としては、例えば、「25」画素等のように単純に距離(画素数)により表される一定値としてもよいし、「25×(探索間隔)」画素のように処理対象の画像データに含まれる画素数に応じて変化する値としてもよい。
一方、注目画素Oを挟んだ両側共に所定距離内に正常画素Pが検出された場合には(#07:YES)、次に、補間値演算部において、#06で検出された正常画素Pの画素値を用いて、当該正常画素Pを検出した方向線Lについての注目画素Oの補間値Hを演算する(#08)。この注目画素Oの補間値Hの演算方法としては、注目画素Oに欠陥がない場合にその値であったと予想される画素値を推定的に求める方法が用いられ、例えば、線形補間を適用することができる。具体的には、図12に示す1つの方向線L1に沿って注目画素Oを挟んだ両側に位置する正常画素をそれぞれP1、P2とし、これらの正常画素P1、P2の画素値を用いて注目画素Oの補間値H1を演算する際には、R、G、Bの各成分のそれぞれについて、図13に示すように、正常画素P1の画素値と正常画素P2の画素値とを直線で結び、注目画素Oから正常画素P1又はP2までの距離の比に応じた前記直線上の値を線形補間により演算し、注目画素Oの補間値H1r、H1g、H1bとする。ここで、図13のグラフの縦軸は各画素の画素値であり、横軸は方向線L1に沿って位置する各画素の位置関係を表す。本実施形態に係る注目画素Oの補間値Hの演算式を、R、G、Bの各成分のうちのRを例として具体的に示すと、以下の式(1)のようになる。
ここで、Rdat1は注目画素Oを挟んで位置する一方の正常画素P1のR成分の画素値を対数変換した値、Rdat2は他方の正常画素P2のR成分の画素値を対数変換した値、rad1は注目画素Oから正常画素P1までの距離の絶対値、rad2は注目画素Oから正常画素P2までの距離の絶対値、(m,n)は注目画素Oの座標、aglは注目画素Oを通る複数の方向線Lの角度であって#04の処理において決定された方向線L間の角度間隔毎の値をとる。そして、Hragl,m,nは方向線Lについての注目画素OのR成分の補間値である。正常画素P1及びP2のR成分の画素値を対数変換する際の対数の底は、ここでは「e」として自然対数をとするが、常用対数を用いてもよい。なお、ここでは正常画素P1及びP2の画素値を対数変換した値を用いているが、これらの画素値をそのまま用いて以降の演算を行うことも可能である。
G成分及びB成分についても、同様の方法により、補間値H1g及びH1bをそれぞれ演算することができる。なお、注目画素Oの補間値Hの演算方法は、線形補間に限定されるものではなく、注目画素Oに欠陥がない場合にその値であったと予想される画素値を推定して求めることができる補間方法であれば用いることが可能である。
次に、#06で検出された正常画素Pの画素値を用いて、当該正常画素Pを検出した方向線Lについての重み係数Wを演算する(#09)。1つの方向線L1についての重み係数W1は、#08の処理において1つの方向線L1について演算された注目画素Oの補間値H1を、後述するように他の方向の方向線Lについて演算された注目画素Oの補間値Hとの関係で、どの程度の割合(重み)で最終修正値(重み付き平均値A)に対して用いるか、すなわち各方向線Lについての注目画素Oの補間値Hがどの程度適正な値であるかという信頼性を定める係数である。
一般的に、ある1つの方向線Lに沿って注目画素Oを挟んだ両側に位置する正常画素P1の画素値と正常画素P2の画素値との値が離れている場合には、正常画素P1と正常画素P2との間に画像の境界、すなわち画像中の色彩の変わり目が存在する可能性が高く、逆に、正常画素P1の画素値と正常画素P2の画素値との値が近い場合には正常画素P1と正常画素P2との間に画像の境界が存在しない可能性が高い。このような場合において、画像の境界を跨ぐ方向に補間した欠陥画素の補間値Hよりも、画像の境界に沿う方向に補間した欠陥画素の補間値Hの方が適正な値である可能性が高いと考えられる。これは、画素値の変化が大きい方向に沿って正常画素の間に存在する注目画素O(欠陥画素)の画素値を線形補間等によって適正に推定することが困難であるのに対して、画素値の変化が少ない方向に沿った補間では注目画素Oの適正な補間値を容易に推定することが可能であることによる。
そこで、ここでは、正常画素P1の画素値と正常画素P2の画素値のいずれか大きい方の値を分母とし、小さい方の値を分子とする比をR、G、Bの各成分のそれぞれについて演算し、重み係数Wr、Wg、Wbとする。これにより、重み係数Wは、正常画素P1の画素値と正常画素P2の画素値とが近いほど重みが重くなるような係数としてそれぞれ演算される。本実施形態に係る重み係数Wの演算式を、R、G、Bの各成分のうちのRを例として具体的に示すと、以下の式(2)のようになる。
ここで、max(Rdat1,Rdat2)は上記Rdat1又はRdat2のいずれか大きい方の値、min(Rdat1,Rdat2)は上記Rdat1又はRdat2のいずれか小さい方の値、Wragl,m,nは方向線Lについての重み係数である。なお、Rdat1及びRdat2の両方の値が「0」である場合には、計算が不可能になることを避けるため、Wragl,m,nは「1」とする処理を行う。G成分及びB成分についても、同様の方法により、補間値Wg及びWbをそれぞれ演算することができる。
また、方向線Lについての重み係数Wの演算方法は、上記の方法に限定されるものではなく、正常画素P1の画素値と正常画素P2の画素値との差分の絶対値の所定値αに対する補数を所定値αで除した値をR、G、Bの各成分のそれぞれについて演算し、重み係数Wr、Wg、Wbとすることも可能である。このような重み係数Wの演算式を、R、G、Bの各成分のうちのRを例として具体的に示すと、以下の式(3)のようになる。
ここで、所定値αは、正常画素P1の画素値と正常画素P2の画素値との差分の絶対値がとり得る最大値に設定すると好適である。これにより、正常画素P1の画素値と正常画素P2の画素値が近いほど重み係数Wが重くなるようにできる。なお、所定値αの値はこれに限定されるものではなく、正常画素P1の画素値と正常画素P2の画素値との差分の絶対値がとり得る最大値以下の値に設定することも可能である。ただし、その場合には、前記補数が負の値になる場合が生じ得るので、前記補数が「0」以下となる場合には、重み係数Wを「0」とする等の条件が必要となる。また、ここでは、重み係数Wが「0」以上「1」以下の値となるようにするため、前記補数を所定値αにより除算することとしているが、前記補数を所定値αにより除算することなく、重み係数Wとすることも可能である。
次に、#04の処理において決定された方向線L間の角度間隔に従って設定された、注目画素Oを通る複数方向の方向線Lの全てについて、#06〜#09の処理を終了したか否かについて判断する(#10)。そして、上記複数方向の方向線Lの全てについての#06〜#09の処理が終了していない場合(#10:NO)には、処理は#06へ戻り、既に処理が終了している方向線L以外の方向線Lを選択し、#06〜#09の処理を繰り返し行う。
一方、上記複数方向の方向線Lの全てについての#06〜#09の処理が終了した場合(#10:YES)には、#05の処理において選択した1つの注目画素Oについての重み付き平均値Aを演算する(#11)。すなわち#03〜#09の処理において演算された各方向線Lについての注目画素Oの補間値Hと重み係数Wとを用いて、選択した1つの注目画素Oの補間値Hの重み付き平均値Aを演算する。具体的には、R、G、Bの各成分のそれぞれについて、各方向線Lについての補間値Hに当該方向線Lについての重み係数Wのn乗を乗算した乗算値を、当該注目画素Oを通る複数の方向線Lの全てについて総和し、この総和を前記乗算値の演算に用いた全ての重み係数Wのn乗の総和で除算することにより行う。この重み付き平均値Aの演算式を、R、G、Bの各成分のうちのRを例として具体的に示すと、以下の式(4)のようになる。
ここでは、注目画素Oを通る方向線Lは、15°間隔で12本設定されており、そのそれぞれについてR、G、Bの各成分毎に、補間値Hr、Hg、Hbと重み係数Wr、Wg、Wbが演算されているので、重み付き平均値Aは、これら12個の補間値Hと重み係数Wのn乗の乗算値の和を、12個の重み係数Wのn乗の和で除算することにより演算される。
ここで、重み係数Wは「0」以上「1」以下の値となるので、重み係数Wをn乗することにより、重み係数Wの値を強調することができる。これにより、注目画素Oの周囲の画像の境界の存在する方向に沿って演算された注目画素Oの補間値Hが上記重み付き平均値Aに与える影響を大きくすることができ、画像の境界の方向を反映した適切な欠陥画素の修正を行うことが可能となる。ここで、nの値は、修正すべき画像の状態によって適切な値が異なることから、各種の画像データの統計等から実験的に求めた値とするのが好適であるが、一般的には、このnの値が小さすぎれば、修正後の画像は、像の境界がぼやけた状態となり、このnの値が大きすぎれば、修正後の画像は、像の境界がはっきりしすぎた状態となる。具体的には、通常の写真であれば、nの値は10〜30程度が適している場合が多く、更には、肌色と黒色との境界が適切に修正されるようなnの値としては20程度が適している場合が多い。
次に、#11の処理により演算された注目画素Oの重み付き平均値Aを用いて注目画素Oの修正を行う(#12)。具体的には、R、G、Bの各成分のそれぞれについて演算された注目画素Oの重み付き平均値Ar、Ag、Abを、逆対数変換し、その値を当該注目画素Oの最終修正値Fr、Fg、Fbとし、これらを注目画素OのR、G、Bの各成分の画素値に置き換えることにより行う。この最終修正値Fの演算式を、R、G、Bの各成分のうちのRを例として具体的に示すと、以下の式(5)のようになる。
このように最終修正値Fの演算に際して、注目画素Oの重み付き平均値Aを逆対数変換するのは、上記#08の処理において、注目画素Oの補間値Hを演算する際に、正常画素P1及びP2のR成分の画素値を対数変換していることによるものである。したがって、ここでは自然対数の底「e」により逆対数変換を行う。なお、上記の式(1)において、正常画素P1及びP2の画素値を対数変換せずにそのまま用いた場合には、この逆対数変換の処理は行わないので、注目画素Oの重み付き平均値Ar、Ag、Abがそのまま最終修正値となる。
次に、該当する欠陥画素マップに欠陥画素として登録された全ての欠陥画素について、注目画素Oとして選択して#05〜#12の処理を既に終了したか否かについて判断する(#13)。ここで、全ての欠陥画素を注目画素Oとして選択済みでない場合には(#13:NO)、処理は#05へ戻り、既に処理が終了している注目画素O以外の注目画素Oを選択し、#05〜#12の処理を繰り返し行う。そして、全ての欠陥画素を注目画素Oとして選択し、#05〜#12の処理を既に終了した場合には(#13:YES)、この補間処理を終了する。
情報コードがバーコードのような形態で表されている情報コード画像データに対する補間処理アルゴリズムで重要なことは、そのコードパターンの輪郭が例えば縦方向とそれに直角な横方向といったように限定した方向のみに延びていることを考慮して、前述した補間処理アルゴリズムにおける方向線Lを、縦方向に沿った方向線と横方向に沿った方向線といったように限定する(先の説明では2本に限定している)ことである。さらに、バーコードを構成する各バーが縦方向に長く横方向に短い扁平な矩形で構成されていることを考慮すると、より処理速度を向上させるために、各バーの最も重要な縦方向のエッジをできるだけ再現できるように情報コードの縦方向に対応する1方向からだけで正常画素による欠陥画素の補間を行うことも可能である。この場合、各方向線毎に求められた欠陥画素のための仮修復値を、方向線毎に演算された重み係数を用いて重み付き平均演算して最終修復値を求めるというステップが省略されるため、その補間処理ルーチンが非常にコンパクトとなる。
上述した実施形態では、情報コード解読システムとして、フィルム1に形成されているDXコードなどのフィルム情報コードを解読するシステムを取りあげたが、本発明は写真フィルムの処理に限定されるわけではなく、写真フィルム以外のコードシートなどの読み取りシステムにも適用できるものである。
上述した実施形態では、情報コードを読み取るスキャナはライン走査型として説明したが、もちろんエリア走査型を採用してもよい。
上述した実施形態では、情報コードを読み取るスキャナはライン走査型として説明したが、もちろんエリア走査型を採用してもよい。
3:フィルムスキャナ
34:可視光用センサユニット
35:赤外光用センサユニット
50:メモリ
53:情報コード認識部
54:情報コード解読部
60:欠陥画素修復手段
60A:欠陥画素マップ作成部
60B:画素修復処理部
61:第1欠陥画素マップ作成部
63:輝度調整処理部
62:第2欠陥画素マップ作成部
64:補間処理部
34:可視光用センサユニット
35:赤外光用センサユニット
50:メモリ
53:情報コード認識部
54:情報コード解読部
60:欠陥画素修復手段
60A:欠陥画素マップ作成部
60B:画素修復処理部
61:第1欠陥画素マップ作成部
63:輝度調整処理部
62:第2欠陥画素マップ作成部
64:補間処理部
Claims (12)
- 情報コードを形成したコードシートをスキャナを用いて読み取ることによって得られた画像データからその情報コードを解読する情報コード解読方法において、
前記コードシートから可視光に基づいて取得された可視光画像データと赤外光に基づいて取得された赤外光画像データをメモリに展開するステップと、
画素値に関する判定条件に基づいて前記赤外光画像データから欠陥画素を検出して欠陥画素マップを作成するステップと、
前記欠陥画素マップを用いて前記可視光画像データにおける前記欠陥画素位置の画素を修復するステップと、
前記修復された可視光画像データから情報コードパターンを認識するステップと、
前記認識された情報コードパターンから該当情報コードを解読するステップと、
からなることを特徴とする情報コード解読方法。 - 写真フィルムのフィルム情報コードエリアをフィルムスキャナを用いて読み取ることによって得られた画像データからそのフィルム情報コードを解読する情報コード解読方法において、
前記写真フィルムから可視光に基づいて取得された可視光画像データと赤外光に基づいて取得された赤外光画像データをメモリに展開するステップと、
画素値に関する判定条件に基づいて前記赤外光画像データから欠陥画素を検出して欠陥画素マップを作成するステップと、
前記欠陥画素マップに用いて前記可視光画像データにおける前記欠陥画素位置の画素値を修復するステップと、
前記修復された可視光画像データからフィルム情報コードパターンを認識するステップと、
前記認識されたフィルム情報コードパターンから該当フィルム情報コードを解読するステップと、
からなることを特徴とする情報コード解読方法。 - 前記フィルムスキャナは写真フィルムの撮影画像エリアとフィルム情報コードエリアを同時に読み取ってその画像データを前記メモリに送り込み、前記赤外光画像データからの欠陥画素の検出と前記可視光画像データにおける前記欠陥画素位置の画素値の修復が撮影画像エリアに対応する画像データ部分とフィルム情報コードエリアに対応する画像データ部分の両方に対して同時に行われることを特徴とする請求項2に記載の情報コード解読方法。
- 前記可視光画像データにおける前記欠陥画素位置の画素値を輝度調整処理によって修復することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報コード解読方法。
- 前記可視光画像データにおける前記欠陥画素位置の画素値を補間処理によって修復することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報コード解読方法。
- 前記情報コードがバーコードであり、前記補間処理において前記情報コードの縦方向と横方向に対応する2方向からの正常画素により欠陥画素が補間されることを特徴とする請求項5に記載の情報コード解読方法。
- 前記補間処理が、前記欠陥画素を中心として所定の縦方向と横方向に延びる2つの方向線を設定するステップと、前記各方向線に沿って前記欠陥画素を挟んで両側に位置する前記正常画素を探索するステップと、前記探索された正常画素の画素値を用いて前記欠陥画素のための仮修復値を演算するステップと、前記方向線毎に沿って設定された正常画素の画素値を用いて各方向線のための重み係数を演算するステップと、前記探索ライン毎に求められた前記仮修復値と前記重み係数とを用いて前記欠陥画素の仮修復値の重み付き平均値を前記注目画素の最終修復値として演算するステップと、前記最終修復値を用いて前記欠陥領域を修復するステップとからなることを特徴とする請求項6に記載の情報コード解読方法。
- 前記情報コードがバーコードであり、前記補間処理において前記フィルムの幅方向である前記情報コードの縦方向に対応する1方向からの正常画素により欠陥画素が補間されることを特徴とする請求項5に記載の情報コード解読方法。
- 前記補間処理が、前記欠陥画素を中心として前記縦方向に延びる1つの方向線を設定するステップと、前記方向線に沿って前記欠陥画素を挟んで両側に位置する前記正常画素を探索するステップと、前記探索された正常画素の画素値を用いて前記欠陥画素のための仮修復値を演算するステップと、前記仮修復値を前記注目画素の修復値とするステップと、前記修復値を用いて前記欠陥領域を修復するステップとからなることを特徴とする請求項8に記載の情報コード解読方法。
- 情報コードを形成したコードシートをスキャナを用いて読み取ることによって得られた画像データからその情報コードを解読する情報コード解読システムにおいて、
前記コードシートから可視光に基づいて取得された可視光画像データと赤外光に基づいて取得された赤外光画像データが展開されるメモリと、
画素値に関する判定条件に基づいて前記赤外光画像データから欠陥画素を検出して欠陥画素マップを作成する欠陥画素マップ作成部と、
前記欠陥画素マップに用いて前記可視光画像データにおける前記欠陥画素位置の画素値を修復する画素修復処理部と、
前記修復された可視光画像データから情報コードパターンを認識する情報コード認識部と、
前記認識された情報コードパターンから該当情報コードを解読する情報コード解読部と、
を備えていることを特徴とする情報コード解読システム。 - 写真フィルムのフィルム情報コードエリアをフィルムスキャナを用いて読み取ることによって得られた画像データからそのフィルム情報コードを解読する情報コード解読システムにおいて、
前記写真フィルムから可視光に基づいて取得された可視光画像データと赤外光に基づいて取得された赤外光画像データが展開されるメモリと、
画素値に関する判定条件に基づいて前記赤外光画像データから欠陥画素を検出して欠陥画素マップを作成する欠陥画素マップ作成部と、
前記欠陥画素マップに用いて前記可視光画像データにおける前記欠陥画素位置の画素値を修復する画素修復処理部と、
前記修復された可視光画像データからフィルム情報コードパターンを認識する情報コード認識部と、
前記認識されたフィルム情報コードパターンから該当フィルム情報コードを解読する情報コード解読部と、
を備えていることを特徴とする情報コード解読システム。 - 前記画素修復処理部には、前記欠陥画素マップに用いて前記可視光画像データにおける前記欠陥画素位置の画素を輝度調整処理によって修復する輝度調整処理部又は補間処理によって修復する補間処理部或いはその両方の処理部が備えられていることを特徴とする請求項10又は11に記載の情報コード解読システム。
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JP2004201953A JP2006024013A (ja) | 2004-07-08 | 2004-07-08 | フィルム情報コード解読方法及びこの方法を実施するシステム |
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JPH07212535A (ja) * | 1994-01-20 | 1995-08-11 | Fuji Photo Film Co Ltd | フイルムスキャナ |
JP2001078038A (ja) * | 1999-09-06 | 2001-03-23 | Fuji Photo Film Co Ltd | 画像処理装置、方法及び記録媒体 |
-
2004
- 2004-07-08 JP JP2004201953A patent/JP2006024013A/ja active Pending
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