JP2006023546A - ハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物及びハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法 - Google Patents

ハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物及びハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、発色現像液の酸化防止能に優れ、処理液中での析出物の発生及び汚れ付着が低減され、かつ安定した画像特性が得られるハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物及びハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式〔A〕で表される化合物の少なくとも1種を含有し、かつ表面張力が30mN/m以上であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物。
【化1】
Figure 2006023546

〔式中、R1及びR2は各々水素原子または置換基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子またはNH4基を表す。kは1〜5の整数を表す。mは1〜6の整数を表す。nは自然数を表す。〕
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物及びハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法に関するものである。
発色現像組成物は、目的の画像を提供するハロゲン化銀カラー写真感光材料、例えば、カラーフィルム、カラーペーパー等を処理するのに用いられる。そのような組成物は、一般的には、還元剤として発色現像主薬、例えば、4−アミノ−3−メチル−N−(2−メタンスルホンアミドエチル)アニリン等を含有する。米国特許第4,892,804号、同4,876,174号、同5,354,646号及び同5,660,974号明細書には、各種の発色現像組成物が記載されている。
現在、上記処理方法においては、処理過程で現像反応により消費するか、もしくは処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料によって持ち出される処理液成分を補充するために、処理槽の発色現像液には、「発色現像補充液」を添加する補充方式により処理されているのが一般的である。この様な補充方式をとることにより、連続処理を行っても、常に現像レベルと発色現像主薬の安定性が維持できるように設計されている。
近年、環境問題への関心の高まりから、写真処理廃液の低減が強く求められている。写真処理廃液を低減するため、上記連続処理を行う際の処理液補充量の低減が進められており、更には安定化工程あるいは水洗工程を2段以上の多段向流式で行う方法が採用されている。しかしながら、処理液の低補充量化に伴い、処理槽中の処理液の更新率が低下し、空気等による酸化をより受けやすくなってきており、その中でも特に、発色現像液中に含まれている発色現像主薬の酸化に対する影響が顕在化してきている。
また、一方では、効率化、コスト低減等の目的より現像処理時間の短縮化が要求されてきている。例えば、カラーペーパーの現像処理においては、発色現像時間として従来は45秒程度であったものが、30秒以下の処理時間が広く採用され始めてきており、発色現像処理時間の短縮化を達成するため、発色現像液中の発色現像主薬をより高濃度で添加させる方法がとられている。しかしながら、処理時間の短縮化に伴い、発色現像液中で発色現像主薬が高濃度で存在することにより、空気等による酸化をより受けやすくなってきている。
上述の様に、処理液の低補充化や処理の迅速化に伴い、特に発色現像液中に含有している発色現像主薬の空気酸化がより受けやすい環境になっており、発色現像主薬の空気酸化が進行することにより、処理液が着色したり濁りを生じたりし、更に酸化が進行するとタール状の析出物となり、循環フィルターの目詰まり、処理槽壁面への付着、あるいは処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料表面に付着して、処理故障の発生や白地特性の低下を招く結果となる。また、発色現像主薬の空気酸化がより発色現像液の現像能の低下により、最大発色濃度の低下や、最小濃度(カブリ濃度)の増加を引き起こすという課題を抱えている。
上記の様な発色現像液中に含有している発色現像主薬の空気酸化防止としては、通常、発色現像液の保恒性を増すために、保恒剤として空気酸化剤を用いる方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、保恒剤の他には、例えば、特開平6−110168号、同6−111805号、同6−118580号、同6−148843号、同6−161054号、同6−175299号、同6−214352号の各公報に記載のキレート剤を用いる方法、金属イオン化合物を用いる方法(例えば、特許文献2参照。)、含フッ素界面活性剤を添加する方法(例えば、特許文献3参照。)等が提案されている。また、自動現像機の構造面からも、例えば、発色現像処理槽の開口率を小さくし、発色現像液と空気との接触面積を低減する方法もとられているが、上述したいずれの方法も、近年盛んに行われている処理液の低補充化条件や迅速処理条件においては、発色現像主薬等の酸化物により析出や、タール等の汚れ付着の発生を防止するには至っていないのが現状である。
特開平6−110168号公報 特開平5−224375号公報 特開平5−88326号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、発色現像液の酸化防止能に優れ、処理液中での析出物の発生及び汚れ付着が低減され、かつ安定した画像特性が得られるハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物及びハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供する。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
下記一般式〔A〕で表される化合物の少なくとも1種を含有し、かつ表面張力が30mN/m以上であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物。
Figure 2006023546
〔式中、R1及びR2は各々水素原子または置換基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子またはNH4基を表す。kは1〜5の整数を表す。mは1〜6の整数を表す。nは自然数を表す。〕
(請求項2)
下記一般式〔I〕、〔II〕及び〔III〕で表されるパラフェニレンジアミン発色現像主薬から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物。
Figure 2006023546
〔式中、R1、R3は各々メチル基、エチル基、プロピル基またはヒドロキシエチル基を表す。R2はヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、スルホアルキル基またはβ−メタンスルホンアミドエチル基を表す。〕
Figure 2006023546
〔式中、R4、R5は各々炭素数1〜4のアルキル基を表し、R6は炭素数3〜4の直鎖または分岐のアルキレン基を表す。〕
Figure 2006023546
〔式中、R7はアルキル基を表し、R8は主鎖の炭素数が2以上のアルキレン基を表す。R9及びR10は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子または炭素数4以下のアルキル基を表す。R11は置換基を表す。nは0〜4の整数を表し、nが2以上のとき各R11は同一でも異なっていてもよい。〕
(請求項3)
前記一般式〔I〕、〔II〕及び〔III〕で表されるパラフェニレンジアミン発色現像主薬のうち、構造中にヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、またはスルホン酸基を含まない発色現像主薬が、全パラフェニレン発色現像主薬の80モル%以上を占めることを特徴とする請求項2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物。
(請求項4)
前記ヒドロキシメチル基、カルボキシル基、スルホン酸基を含まない発色現像主薬が、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−[β−(メタンスルホンアミド)エチル]アニリンであることを特徴とする請求項3に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物。
(請求項5)
平均分子量が2,000以上、20,000以下のポリエチレングリコール類、平均分子量が10,000以上、360,000以下のポリビニルピロリドン類、トリアルカノールアミン類及びε−カプロラクタムから選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物。
(請求項6)
前記表面張力が40mN/m以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物。
(請求項7)
請求項1〜6のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物を用いて処理することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
(請求項8)
発色現像工程の処理時間が10秒以上、40秒以下であって、かつ発色現像補充液量が80ml/m2以下であることを特徴とする請求項7に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
(請求項9)
発色現像工程の処理時間が10秒以上、40秒以下であって、かつ発色現像補充液量が55ml/m2以下であることを特徴とする請求項8に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
本発明によれば、発色現像液の酸化防止能に優れ、処理液中での析出物の発生及び汚れ付着が低減され、かつ安定した画像特性が得られるハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物及びハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、前記一般式〔A〕で表される化合物の少なくとも1種を含有し、かつ表面張力が30mN/m以上であるハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物を用いることにより、発色現像液の酸化防止能に優れ、処理液中での析出物の発生及び汚れ付着が低減され、かつ安定した画像特性が得られるハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物(以下、単に発色現像組成物ともいう)を実現できることを見出したものである。
本発明に係る前記一般式〔A〕で表される化合物は、公知の化合物であり、現像処理剤への適用例としては、例えば、特開平7−306502号公報には、前記一般式〔A〕で表される化合物を漂白固体処理剤、現像固体処理剤あるいは漂白組成物に用いた方法が開示されているが、該開示されている方法は、固体処理剤の溶解性を促進することを目的としており、液状の発色現像組成物に適用し、発色現像液の酸化による析出やタール等の発生を防止する効果に関しては、一切の言及や示唆はなされていない。
すなわち、本発明に係る前記一般式〔A〕で表される化合物を液状の発色現像組成物に適用し、発色現像液として高い表面張力を実現することにより、酸化物による液濁りを低減し、かつ処理槽壁面での毛管現象による液の上昇を抑制することにより、低補充量、迅速処理条件下でも、タール等の発生が抑制され、高い最高濃度とステインの発生が低減された安定性の高い処理を実現することができた。
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、本発明に係る前記一般式〔A〕で表される化合物について説明する。
前記一般式〔A〕において、R1及びR2は各々、水素原子、または置換基を表す。
1,R2で表される置換基は、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ウレイド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ホスホン酸残基、スルホン酸残基などが挙げられ、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。R1,R2で表される好ましい置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基など)、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ホスホン酸残基、スルホン酸残基(これらは塩であってもよい)が挙げられる。
Mは水素原子、アルカリ金属原子またはNH4基を表す。好ましくは、アルカリ金属原子であり、具体的には、ナトリウム、カリウムが挙げられる。kは1〜5の整数を表す。mは1〜6の整数を表す。k、mは好ましくは1〜3の整数である。nは自然数を表す。
一般式〔A〕で表される化合物で好ましいものとしては、芳香族スルホン酸ホルマリン系縮合物が挙げられ、好ましくはβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物である。自然数nの好ましい範囲は3〜12であり、より好ましくは6〜10である。上記化合物の合成方法としては、ナフタレンと硫酸を用いてスルホン化したあとホルマリンを添加して縮合させ、中和して製造する方法が挙げられる。
以下、一般式〔A〕で表される化合物の具体例を挙げるが、これらの化合物によって本発明が限定されるわけではない。
Figure 2006023546
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Figure 2006023546
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これらは単独で用いてもよいし、一般式〔A〕の自然数nの異なるものや、置換基の異なるものを二種以上併用してもよい。
一般式〔A〕で表される化合物の発色現像組成物1リットルあたりの添加量は、本発明の効果及び写真性能における最高濃度の低下や感度低下を防止する観点で、0.01〜5gであることが好ましく、より好ましくは0.01〜3g、さらに好ましくは、0.01〜1gの範囲である。
一般式〔A〕で表される化合物は、市販品として入手することもでき、例えば、(株)花王よりデモールN、デモールRN、デモールMS、デモールEP、デモールT等の商品名で市販されている。
本発明の発色現像組成物においては、発色現像組成物の表面張力が30mN/m以上であることが特徴の1つであり、好ましくは40mN/m以上である。表面表力の上限は特に制限はなく、発色現像組成物の構成物により自ずと決定されるが、概ね70mN/m以下である。
本発明でいう表面張力とは、静的表面張力を意味し、例えば、化学大辞典(化学大事典編集委員会編 共立出版社)第7巻の543〜544ページに記載されている通りのものであり、本発明においては、発色現像液表面と大気間との表面張力をいう。
一般に、表面張力は溶液中の溶質の種類、溶質の濃度に関係し、普通、ハロゲン化銀カラー写真感光材料用の処理液用に用いる有機化合物等を溶解すると表面張力が低下し、特に分子が親水性基と親油性基を併せ持つような化合物等である界面活性剤は、特に、少量添加で表面張力を低下させる作用を持つ。
本発明の発色現像組成物においては、発色現像組成物の表面張力を30mN/m以上とすることで本発明の目的効果を発揮させることができる。発色現像組成物の表面張力が30mN/m未満になると、処理槽を構成する部材など対する発色現像組成物の親和性が強くなる(濡れやすくなる)と推定している。この結果、発色現像液が処理槽を構成する壁面に付着しやすくなり、低表面張力のため、毛管現象により発色現像液面よりも上部に位置する領域までも発色現像液が伝わり、特に、迅速処理条件として、より高温で保温されているため、液面より上部にせり上がった発色現像液が固着などが起きやすくなる。
液の表面張力を本発明で規定する表面張力範囲に保つには、例えば、界面活性剤を適宜選択し、その添加量を調整する。界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、両イオン系いずれの界面活性剤でも良い。
本発明において、発色現像組成物の表面張力測定は、市販の装置を用いて簡単に計測できる。例えば、協和界面化学株式会社製自動表面張力計CBVP−Z型などがある。
本発明の発色現像組成物においては、発色現像主薬として前記一般式〔I〕、〔II〕及び〔III〕で表されるパラフェニレンジアミン発色現像主薬から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
前記一般式〔I〕において、R1、R3は各々メチル基、エチル基、プロピル基またはヒドロキシエチル基を表す。R2はヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、スルホアルキル基またはβ−メタンスルホンアミドエチル基を表す。スルホアルキル基のアルキルとしては炭素数1〜4が好ましい。
また、前記一般式〔II〕において、R4、R5は各々炭素数1〜4のアルキル基を表し、R6は炭素数3〜4の直鎖または分岐のアルキレン基を表す。
また、前記一般式〔III〕において、R7はアルキル基を表し、R8は主鎖の炭素数が2以上のアルキレン基を表す。R9及びR10は各々水素原子または炭素数4以下のアルキル基を表す。R11は置換基を表す。nは0〜4の整数を表し、nが2以上のときR11は同一でも異なっていてもよい。
本発明においては、前記一般式〔I〕、〔II〕及び〔III〕で表されるパラフェニレンジアミン発色現像主薬のうち、構造中にヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、またはスルホン酸基を含まない化合物が、全パラフェニレン発色現像主薬の80モル%以上を占めることが好ましく、上記の条件とすることにより、本発明の目的効果をより良好に奏することができる。すなわち、上記のような置換基を有する発色現像主薬は、発色現像液中での分散性、安定性に乏しく、分子同士が凝集しやすく、酸化劣化を受けやすくなるが、本発明で規定する上記構成範囲においては、著しく改良される。
一方、本発明に係るパラフェニレンジアミン系発色現像主薬においては、アミノ基またはベンゼン環上に親水性基を少なくとも1つ有するものが、ハロゲン化銀カラー写真感光材料への汚染がなく、かつ皮膚に対する刺激が少ない長所を有し、好ましく用いられる。
具体的な親水性基としては、
−(CH2n−CH2OH
−(CH2)−NHSO2−(CH2n−CH3
−(CH2m−O−(CH2n−CH3
−(CH2CH2O)nm2m+1
−(CH2m−CON(Cm2m+12
(m及びnは各々0以上の整数を表す。)
−COOH
−SO3
等が好ましいものとして挙げられる。
本発明に好ましく用いられるパラフェニレンジアミン系発色現像主薬の具体的例示化合物として、以下のものが挙げられる。
Figure 2006023546
Figure 2006023546
Figure 2006023546
Figure 2006023546
このうち好ましいものは(D−1)、(D−3)、(D−17)、(D−18)であり、より好ましくは(D−1)、(D−3)であり、更に好ましくは(D−1:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−[β−(メタンスルホンアミド)エチル]アニリン・3/2硫酸塩)である。尚、これらの化合物は含水塩であっても無水塩であってもよい。
本発明に係るパラフェニレンジアミン現像主薬は、発色現像液中に0.004〜0.05mol/L程度含有して用いられる。迅速処理の観点から、昨今は、高濃度化して用いられることが多く、発色現像液中に0.012〜0.05mol/L、より好ましくは0.014mol〜0.05mol/L、さらに好ましくは0.016mol〜0.05mol/Lの範囲で含有する場合に、特に本発明効果を良好に奏する。
本発明の発色現像組成物においては、上記発色現像主薬の空気酸化等で生成したタール状固着物の成長を抑制する目的で、平均分子量が2,000以上、20,000以下のポリエチレングリコール類、平均分子量が10,000以上、360,000以下のポリビニルピロリドン類、トリアルカノールアミン類及びε−カプロラクタムから選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。
ポリエチレングリコール類としては、平均分子量が2,000を超え、20,000以下であることが好ましく、より好ましくは4,000以上、20,000以下である。ポリエチレングリコール類は、分子量の異なる様々な化合物が市販品として入手可能である。また、ポリビニルピロリドン類としては、平均分子量が10,000以上、360,000以下であることが好ましく、より好ましくは40,000以上、360,000以下である。ポリビニルピロリドン類としては、ポリ−N−ビニル−2−ピロリドンであることが好ましく、これらの化合物は、例えば、ゼネラル・アニリン・アンド・フィルム・コーポレーション(General Aniline and Film Corporation)からPVP Kシリーズの商品名又は、ビーエーエスエフジャパン(株)(BASF Aktiengesellschaft)から、コリドンあるいはルビスコールの商品名で市販されている。
また、トリアルカノールアミン類としては、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等を挙げることができる。
本発明の発色現像組成物において、上記説明した各化合物の添加量として、特に制限はないが、概ね発色現像組成物1Lあたり、ポリエチレングリコール類、トリアルカノールアミン類、ε−カプロラクタムとしては、各々0.5〜30gが好ましく、より好ましくは5.0〜30gである。また、ポリビニルピロリドン類としては、0.1〜20gが好ましく、より好ましくは1.0〜10gである。
次いで、本発明の発色現像組成物、他の処理組成物及び処理方法について説明する。
本発明の発色現像組成物は、カラーネガフィルム、カラーネガティブペーパー、カラーリバーサルフィルム等のハロゲン化銀カラー写真感光材料全般の処理に適用することができるが、好ましくはカラーペーパーの現像処理に用いる。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法(以下、単に処理方法ともいう)は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を、像様露光した後、現像処理を施して画像を形成する。
公知の方法に従って像様露光が施されたハロゲン化銀カラー写真感光材料は、現像処理を施される。現像処理には、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を、本発明の発色現像液を用いる発色現像工程、漂白定着液を用いる漂白定着工程、及びリンス液(主に、水洗水)あるいは安定化液を用いるリンス工程または安定化工程が含まれ、ハロゲン化銀カラー写真感光材料は、各処理工程において各処理液に順次浸すことにより現像処理が施される。これら現像処理は、これらに限定されず、各工程間に中間水洗工程、中和工程などの補助的な工程を適宜挿入することもできる。
また、多段向流方式におけるリンス工程又は安定化工程のタンク数と水量の関係は、ジャーナル・オブ・ザ・ソサエティ・オブ・モーション・ピクチャー・アンド・テレヴィジョン・エンジエアズ(Journal of the Society of Motion Picture and Television Engineers)第64巻、p.248〜253(1955年5月号)に記載の方法で求めることができる。また、多段向流方式によれば、リンス又は安定化の液量を大幅に減少できる。
また、本発明の処理方法は、以下の公知資料に記載の露光、現像システムと組み合わせることで好ましく用いることができる。現像システムとしては、特開平10−333253号公報に記載の自動プリント並びに現像システム、特開2000−10206号公報に記載の感光材料搬送装置、特開平11−215312号公報に記載の画像読取装置を含む記録システム、特開平11−88619号公報並びに特開平10−202950号公報に記載のカラー画像記録方式からなる露光システム、特開平10−210206号公報に記載の遠隔診断方式を含むデジタルフォトプリントシステム、及び米国特許第6,297,873B1号明細書に記載の画像記録装置を含むフォトプリントシステムが挙げられる。
また、現像処理には、特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び特開平4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。
更に、本発明の処理方法に適用される発色現像液、漂白定着液、リンス液及び安定化液について、詳細に説明する。
本発明の発色現像組成物(以下、発色現像液ともいう)においては、前述した本発明で規定する構成に加えて、現像処理を行った感光材料の長期保存時の白地劣化(イエローステイン)を抑制する観点から、下記一般式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。
一般式(1)
X−R−SO3
上記一般式(1)において、Xはヒドロキシル基、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルコキシ基、スルホ基もしくはスルホン酸塩、硫酸エステルもしくは硫酸エステル塩、またはスルホニルハライドを表す。Rは炭素数1〜5の直鎖または分岐の置換されてもよいアルキレン基を表し、Mは水素原子、Li、Na、KまたはNH4を表す。
上記一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
1−1:HO−CH2CH2−SO3
1−2:HO−CH2CH2−SO3Na
1−3:HO−CH2CH2−SO3
1−4:HO−CH(CH3)CH2−SO3Na
1−5:HO−CH2CH(CH3)−SO3Na
1−6:HO−CH2CH2CH2−SO3Na
1−7:HO−CH2CH(C25)−SO3Na
1−8:HO3SO−CH2CH2−SO3
1−9:NaO3SO−CH2CH2−SO3Na
1−10:KO3SO−CH2CH2−SO3
1−11:HO3S−CH2CH2−SO3
1−12:NaO3S−CH2CH2−SO3Na
1−13:Cl−CH2−SO3
1−14:Br−CH2CH2−SO3Na
1−15:Br−CH(CH3)CH2SO3Na
1−16:ClO2S−CH2CH2SO3
1−17:NaO3S−CH2CH2−O−CH2CH2SO3Na
Figure 2006023546
本発明の発色現像液では、上記一般式(1)で表される化合物を添加することにより、本発明の効果をより顕著に発現させ、また画像保存による白地劣化が改良される点で好ましい。その添加量としては2×10-5mol/L以上、2×10-2mol/L以下が好ましい。
本発明の発色現像液においては、空気酸化を防止する目的で公知の酸化防止技術を用いることができる。
本発明においては、酸化防止技術の1つとして保恒剤を用いることが好ましい。
保恒剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩や、カルボニル亜硫酸付加物を必要に応じて添加することができるが、本発明においては亜硫酸化合物の濃度は少ない方が好ましく、これらの好ましい添加量は、発色現像液1リットル当り0.005モル以下、さらに好ましくは0.001モル以下であり、全く含まなくても良い。カルボニル重亜硫酸付加物は実質的に亜硫酸あるいは重亜硫酸化合物の濃度を減少させることができるので好ましい。この場合も遊離の亜硫酸或いは重亜硫酸濃度を上記の範囲に制御することが好ましい。
本発明において、保恒剤としてヒドロキシルアミン及び有機保恒剤を必要に応じて添加することができる。ここで有機保恒剤とは、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理液へ添加することで、芳香族第一級アミンカラー現像主薬の劣化速度を減じる有機化合物全般を指す。即ち、発色現像主薬の空気などによる酸化を防止する機能を有する有機化合物類であるが、中でもヒドロキシルアミン誘導体、ヒドロキサム酸類、ヒドラジン類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが特に有効な有機保恒類である。これらは、特公昭48−30496号、特開昭52−143020号、同63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503号、同2,494,903号、特開平1−97953号、同1−186939号、同1−186940号、同1−187557号、同2−306244号などに開示されている。その他保恒剤として、特開昭57−44148号及び同57−53749号に記載の各種金属類、特開昭59−180588号記載のサリチル酸類、特開昭63−239447号、特開昭63−128340号、特開平1−186939号や同1−187557号に記載されたようなアミン類、特開昭54−3532号記載のアルカノールアミン類、特開昭56−94349号記載のポリエチレンイミン類、米国特許第3,746,544号等記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて用いても良い。特にトリエタノールアミンのようなアルカノールアミン類、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンやN,N−ジ(スルホエチル)ヒドロキシルアミンのようのジアルキルヒドロキシルアミン、N,N−ビス(カルボキシメチル)ヒドラジンのようなヒドラジン誘導体(ヒドラジンを除く。)の添加が好ましい。
本発明において、芳香族ポリヒドロキシ化合物を添加することが、現像液の安定性向上という点で特に好ましい。一般に、芳香族ポリヒドロキシ化合物は、お互いにオルト位に位置する少なくとも2個のヒドロキシ基を芳香族環上に有している化合物である。また好ましくは、これらのポリヒドロキシ化合物は、お互いにオルト位に位置する少なくとも2個のヒドロキシ基を芳香族環上に有しており、かつ環外不飽和を保有していない化合物であり、好ましく4,5−ジヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸塩である。これら有機保恒剤の発色現像液への添加量としては、0.01〜1.5g/Lの範囲で用いる。
更に、本発明の発色現像液においては、その他の保恒剤として、下記一般式(IV)または(V)で表される化合物を含有させることもできる。
Figure 2006023546
上記一般式(IV)において、Lはアルキレン基を表し、このアルキレン基は置換基を有するものを含む。Aはカルボキシル基、スルホ基、スルホン基、ホスホノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、水素原子、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′を表し、R、R′は各々水素原子、アルキル基を表す。Bはアルキレン基を表し、nは1〜4の整数を表す。L、R、R′、Bで表される各基は、置換基を有するものを含む。
上記一般式(IV)において、Lは炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5が更に好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン等の基が好ましい例として挙げられる。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアンモニオ基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基が好ましい例として挙げられる。Aの例としては、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基が好ましい例として挙げられる。−L−Aの例として、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基を好ましい例として挙げることができ、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。Rは水素原子、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換してもよいアルキル基が好ましく、特に炭素数1〜5が好ましい。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、又は、各々アルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′等が挙げられる。置換基は二つ以上あってもよい。Rとして水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基が好ましい例として挙げることができ、水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。LとRが連結して環を形成してもよい。
以下に、一般式(IV)で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2006023546
Figure 2006023546
Figure 2006023546
次いで、一般式(V)で表される化合物について説明する。
Figure 2006023546
上記一般式(V)において、R、R′は各々炭素原子数1〜6の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素を表す。この場合、これらの炭化水素は、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホ基などで置換されていてもよい。また、カルボニル基等の2価の連結基を含んでもよい。nは4〜50,000の整数を表す。sは0または1を表す。
sが1をとる場合、Aは
Figure 2006023546
を表す。R″はヒドロキシル基で置換されてもよい炭素数2〜8のアルキレン基またはアルカントリイル基を示し、アルキレン基の場合、qは0となり、アルカントリイル基の場合は1となる。qが1の場合、Bは一般式(V)で表されるポリマーを示し、一般式(V)は3次元構造となる。mは0〜30の整数を示す。
sが0をとる一般式(V)で表される化合物、例えば、ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は既知の方法により容易に合成することができる。代表的な例としては、「ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ(J.Chem.Soc.,),75,1009(1899),J.Chem.Soc.,1963,3144」等に記載の過酸化水素水を用いた2級アミンの酸化方法により、ポリ(アルキレンイミン)を酸化して合成する方法が挙げられる。この方法により合成された粗ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は写真特性に影響を与える成分を含まないため、精製することなく、そのまま発色現像液の組成物として使用することができる。また、「マクロモレキュルズ」(Macromolecules),21,1995(1988)等に記載の反応と組み合わせて、ポリ(アルキレンイミン)の末端基である1級アミンを2級アミンとすることにより、更に性能の優れたポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)を合成する方法も挙げられる。その他の方法としては、特開平3−259145号公報等に記載の方法を応用した、ヒドロキシルアミンとジハロゲン化アルキレンとの反応による合成方法等が挙げられる。
以下、一般式(V)で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2006023546
Figure 2006023546
本発明に係る前記一般式(IV)または(V)で表される化合物は、発色現像液1L当たり1×10-3モル以上、1×10-1モル以下で含有することが好ましい。
また、その他の有機保恒剤に、特開昭57−44148号及び同57−53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、トリエタノールアミンやトリイソパノールアミンのような特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、特開昭56−94349号公報に記載のポリエチレンイミン類、米国特許第3,746,544号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて含有しても良い。
本発明の発色現像液に適用できるその他の酸化防止技術としては、例えば、特開平6−110168号、同6−111805号、同6−118580号、同6−148843号、同6−161054号、同6−175299号、同6−214352号の各公報に記載のキレート剤を用いる方法、特開平5−224375号公報に記載の金属イオン化合物を用いる方法、特開平11−174643号公報に記載の尿素類あるいはエチレン尿素類を用いる方法、あるいは特開2001−166440号公報に記載のアルキルスルホン酸塩類を用いる方法等を挙げることができる。
また、本発明の発色現像液には、p−トルエンスルフィン酸酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸等のアリールスルフィン酸を含有することが好ましい。
本発明の発色現像液のpHは9.0〜13.5が好ましく、その補充液のpHは9.0〜13.5が好ましい。このため、本発明の発色現像液及びその補充液には、そのpH値を維持できるようにアルカリ剤、緩衝剤及び必要によっては酸を含有させることもできる。
上記pHを保持するための緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1、3−プロバンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキンアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、pH9.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、本発明の発色現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カブリなど)がなく、安価であるといった点から、特に好ましい緩衝剤である。
上記緩衝剤の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキン安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)などを挙げることができる。しかしながら本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
上記緩衝剤の添加量は、発色現像液及びその補充液ともに1リットルあたり0.01〜2モル、好ましくは0.1〜0.5モルである。
本発明の発色現像液には、その他の発色現像液成分として、例えばカルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤を添加することもできる。
本発明の発色現像液には、必要により任意の現像促進剤を添加することもできる。現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247号等の各公報又は明細書に表されるネオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号公報に表されるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号公報等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許第2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許第2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等の各公報又は明細書に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許第3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許第3,532,501号等の各公報又は明細書に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ビラゾリトン類又はイミダゾール類を必要に応じて添加することができる。それらの濃度は、発色現像液及びその補充液ともに1Lあたり0.001〜0.2mol、好ましくは0.01〜0.05molになるように組成物中の添加量が決められる。
本発明の発色現像液には、必要に応じて、前記ハロゲンイオンのほかに、任意のカブリ防止剤を添加できる。有機カブリ防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例として挙げられる。
本発明の発色現像液には、必要に応じてアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を添加しても良い。それらの濃度は、発色現像液及びその補充液ともに1Lあたり0.0001〜0.2mol、好ましくは0.001〜0.05molになるように
添加量が決められる。
本発明の発色現像液には、必要に応じて、蛍光増白剤を使用することができる。蛍光増白剤としては、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が好ましい。ビス(トリアジニルアミノ)ステルベンスルホン酸化合物としては、公知もしくは市販の物を用いることができる。公知のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、例えば、特開平6−329936号、同7−140625号、同10−140849号などの公報に記載の化合物が好ましい。市販の化合物としては、例えば、「染色ノート」第9版(色染社),165〜168頁に記載されており、その中に記載されている化合物の中でも、Blankophor BSU liq.及びHakkolBRKが好ましい。
また、その他のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては下記一般式〔B〕又は〔C〕で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2006023546
上記一般式〔B〕において、R11、R12は各々独立に水素原子またはアルキル基を表し、R13、R14は各々独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、R15は少なくとも1つの不斉炭素を有するアルキル基または−CH2O(CH2CH2O)n11Hで表される基を表す。n11は1〜3の整数を表す。R16は少なくとも1つの不斉炭素を有するアルキル基または−(CH2CH2O)n12Hで表される基を表す。n12は2〜4の整数を表す。M1は水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基またはピリジニウム基を表す。R13とR15、R14とR16は互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2006023546
上記一般式〔C〕において、R21、R22、R23、R24は各々独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、R25、R26は各々独立に少なくとも1つの不斉炭素を有するアルキル基または−(CH2CH2O)n21Hで表される基を表す。n21は2〜4の整数を表す。R27、R28は各々独立に少なくとも1つの不斉炭素を有するアルキル基を表し、M2は水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基またはピリジニウム基を表す。R21とR25、R22とR26、R23とR27、R24とR28は互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式〔B〕及び一般式〔C〕において、R11、R12で表されるアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4の、置換もしくは無置換のアルキル基である。置換基としては水酸基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基など)、スルホン酸基、エチレンオキシ基などが挙げられ、これらは上記の置換基でさらに置換されていてもよい。R11、R12で表されるアルキル基として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−(2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ)エチル基が挙げられる。R11、R12として好ましいのは、水素原子及びメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、2−スルホエチル基であり、更に好ましいのは水素原子及びメチル基、エチル基、2−スルホエチル基であり、特に好ましいのは水素原子及びメチル基である。
13、R14、R21、R22、R23、R24で表されるアルキル基の好ましい炭素数、置換基、具体例等は各々R11、R12で示したものと同様である。ただし、R21及びR22が−CH2CH2SO31(M1は一般式〔C〕におけるM1と同義である)となることはない。R13、R14、R21、R22、R23、R24で表されるアリール基は、好ましくは炭素数6〜20、さらに好ましくは6〜10、特に好ましくは6〜8の、置換もしくは無置換のアリール基である。置換基としては水酸基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシなどの各基)、カルボキシ基、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピルなどの各基)、スルホン酸基、アミノ基、カルバモイル基などが挙げられ、これらは上記の置換基でさらに置換されていてもよい。R13、R14、R21、R22、R23、R24で表されるアリール基として具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−イソプロピルフェニル基が挙げられる。R13、R14、R21、R22、R23、R24として各々好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基又は2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基又は2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基であり、特に好ましくは水素原子又はメチル基である。
R15で表される少なくとも1つの不斉炭素を有するアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4であり、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。置換基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などが挙げられ、水酸基が好ましい。
上記説明した一般式〔B〕で表される化合物の具体例としては、例えば、特開2001−281823号公報の段落番号〔0038〕〜同〔0049〕に記載の化合物I−1〜I−48を挙げることができる。また、上記説明した一般式〔C〕で表される化合物の具体例としては、例えば、特開2001−281823号公報の段落番号〔0050〕〜同〔0052〕に記載の化合物II−1〜II−16を挙げることができる。
なお、上記一般式〔B〕及び一般式〔C〕で表される化合物は、例えば、松井弘次著有機合成化学協会誌第17巻528頁(1959年刊)および特許第2,618,748号を参考にして合成することができる。
また、上記した蛍光増白剤の発色現像液への添加量としては、好ましくは1×10-4〜5×10-2mol/Lであり、より好ましくは2×10-4〜1×10-2mol/Lである。
また、本発明の発色現像液においては、下記の一般式〔D〕で表される化合物を含有してもよい。
Figure 2006023546
上記一般式〔D〕において、Ar1及びAr2は炭素環式基または複素環式基であり、Ar1及びAr2の一方もしくは両方に、合わせて2個の可溶化基を含む。Qは水素原子、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、スルホ基、−NR23基、−OR2基、またはハロ基であり、RおよびR1は各々独立に水素原子、1〜3個の炭素原子を有するアルキル基、または1〜3個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基であり、R2及びR3は各々独立に水素原子、アルキル基、またはフェニル基を表す。
上記一般式〔D〕で表される化合物の具体例としては、例えば、特開2001−174957号公報の段落番号〔0026〕〜同〔0030〕に記載の化合物1〜17を挙げることができる。
本発明の発色現像液への上記一般式〔D〕で表される化合物の添加量としては、好ましくは1×10-4〜5×10-2mol/Lであり、より好ましくは2×10-4〜1×10-2mol/Lである。
本発明に用いられる発色現像補充液には、塩化物が4.0×10-2〜3.0×10-1mol/L含有していることが、低補充及び又は迅速化した場合の処理変動が少ないという利点がある。
本発明において発色現像液の補充量は、低補充化を達成する観点から100ml/m2以下が好ましく、より好ましくは20〜80ml/m2であり、更に好ましくは20〜60ml/m2である。
本発明の処理方法で適用されうる発色現像液の処理温度は20〜50℃が好ましく、より好ましくは30〜45℃である。処理時間は10秒〜100秒が好ましく、より好ましくは10秒〜40秒である。
本発明の処理方法においては、発色現像工程の処理時間が10秒以上、40秒以下であって、かつ発色現像補充液量が80ml/m2以下であることが好ましく、更に好ましくは発色現像工程の処理時間が10秒以上、40秒以下であって、かつ発色現像補充液量が55ml/m2以下である。
なお、本発明でいう発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程の漂白定着液に入るまでの時間をいう。例えば、自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ、次の処理工程の漂白定着液に向けて液外を搬送される時間(いわゆるクロスオーバータイム)との両者の合計を発色現像時間という。また、クロスオーバータイムは5秒以下が好ましく、より好ましくは3秒以下である。
また、本発明の発色現像液としては、発色現像液の安定性の点から液開口率としては0〜0.1cm-1が好ましい。連続処理においては、実用的にも0.001〜0.07cm-1の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.002〜0.03cm-1である。このように液開口率を低減させる方法としては、処理槽の写真処理液面に浮き蓋等の遮蔽物を設けるほかに、特開昭62−241342号に記載された可動蓋を用いる方法、特開昭63−216050号に記載されたスリット現像処理方法等を挙げることができる。
次に、本発明に係る漂白定着液について説明する。
本発明の処理方法においては、漂白定着液中の全カチオンに対するアンモニウムカチオン濃度が実質的に0を含み50mol%以下であることを特徴とする。
本発明における漂白定着液には漂白主剤としては過硫酸塩、過酸化水素などいかなる漂白剤を用いることもできるが、下記一般式[E]、[F]、[G]又は[H]で示される第2鉄錯塩の如きアミノポリカルボン酸第2錯塩を漂白剤として使用することが迅速処理適性の点から好ましい。
Figure 2006023546
上記一般式[E]において、A1〜A4は各々同一でも異なってもよく、−CH2OH、−COOM又は−PO312を表す。M、M1、M2は各々、水素原子、アルカリ金属又はその他のカチオンを表す。Xは炭素数3〜6の置換若しくは無置換のアルキレン基を表す。
Figure 2006023546
上記一般式[F]において、A1〜A4は前記一般式[E]で定義したものと同義であり、nは1〜8の整数を表す。B1及びB2は同一でも異なっていてもよく、各々炭素数2〜5の置換若しくは無置換のアルキレン基(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン等)を表す。置換基としては水酸基、炭素数1〜3の低級アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基)等が挙げられる。
Figure 2006023546
上記一般式[G]において、R1は水素原子又は水酸基を表し、nは1または2であり、xは2または3であり、yは0または1であり、そしてxとyの和は常に3である。
Figure 2006023546
上記一般式[H]において、A1〜A4は各々前記一般式[E]で定義したものと同義であり、Xは炭素数2〜6の置換若しくは無置換のアルキレン基(例えば、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等の各基)又は−(B1O)n−B2−を表す。B1及びB2は同一であっても異なっていてもよく、各々炭素数1〜5の置換若しくは無置換のアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン等の各基)を表す。nは1〜8の整数であり、好ましくは1〜4である。
前記一般式[E]で示される化合物の好ましい具体例を、以下に示す。
E−1:1,3−プロパンジアミン四酢酸
E−2:2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジアミン四酢酸
E−3:2,3−プロパンジアミン四酢酸
E−4:1,4−ブタンジアミン四酢酸
E−5:2−メチル−1,3−プロパンジアミン四酢酸
E−6:N−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−プロパンジアミン三酢酸
E−7:1,3−プロパンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸
E−8:2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸
E−9:2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン四酢酸
E−10:2,4−ブタンジアミン四酢酸
E−11:2,4−ペンタンジアミン四酢酸
E−12:2−メチル−2,4−ペンタンジアミン四酢酸
これらE−1〜E−12の化合物の第2鉄錯塩としては、これらの第2鉄錯塩のナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩を任意に用いることができる。
また、前記一般式[F]で示される化合物の具体例としては、特開平5−224380号公報の段落番号〔0034〕に記載の例示化合物II−1〜II−7を挙げることができ、これら例示化合物E−1〜E−7の第2鉄錯塩は、これら化合物の第2鉄錯塩のナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩を任意に用いることができる。
また、前記一般式[G]で示される化合物の具体例としては、
G−1:ニトリロモノプロピオノ二酢酸
G−2:ニトリロトリ酢酸
等が挙げられ、ナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩等を任意に用いることができる。
また、前記一般式[H]で示される化合物の具体例としては、特開平5−224380号公報の段落番号〔0041〕、〔0041〕に記載の例示化合物IV−1〜IV−17を挙げることができ、これら例示化合物IV−1〜IV−17の第2鉄錯塩は、これらの化合物の第2鉄錯塩のナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩を任意に用いることができる。
一般式[E]、[F]、[G]又は[H]で示される第2鉄錯塩のうち、これらの第2鉄錯塩のナトリウム塩又はカリウム塩で有ることが好ましい。
一般式[E]、[F]、[G]又は[H]で示される化合物は、溶解性の点から漂白定着液1L当り、0.03〜0.28molの範囲で含有することが好ましく、より好ましくは0.05〜0.25molの範囲である。また、本発明における配位子としての一般式[E]、[F]、[G]又は[H]と鉄イオンとのmol比率はキレート構造の安定性から、好ましくは1.02:1.00〜1.10:1.00範囲である。また、漂白剤としては、他のFe(III)キレート系漂白剤を添加してもよい。
本発明に係る漂白定着液に使用される定着剤の例としては、公知の定着剤、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどチオ硫酸塩のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩である。チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩を併用しても良い。また、本発明の目的効果からチオ硫酸塩の中では、特にチオ硫酸ナトリウム塩或いはチオ硫酸カリウム塩が好ましい。また漂白定着液中1Lあたりの定着剤の量は、0.3〜3.0molが好ましく、更に好ましくは0.5〜2.0molの範囲である。漂白定着液には、定着促進などの目的で副次的に他のハロゲン化銀溶解剤を加えてもよい。副次的に添加できる適当なハロゲン化銀溶解剤は、エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物およびチオ尿素、エチレンチオ尿素などのチオ尿素類などの水溶性ハロゲン化銀溶解剤であり、これらを1種あるいは2種以上処理剤成分として添加して使用することができる。
漂白定着液には、脱銀促進性を有する化合物を添加して、処理の迅速化と銀除去性能の向上を図ることができる。この目的に適した化合物には、特開平8−297356号及び特開平8−137070号の各公報に開示された1,2,4−トリアゾリウム−3−スルフィド型のメソイオン化合物(代表例、1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−スルフィド)、特開平8−292510号公報に開示されたRSO2M(Rはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アラルキル、アリール基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基)型のスルフィン酸類(代表例、フェニルスルフィン酸)および特開平9−005964号公報に開示された3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール型のメルカプト化合物(代表例、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール−1−メチルスルホン酸)であり、これらの1種以上を0.001〜0.1mol/Lの濃度で添加することができる。
また、漂白定着液には、銀スラッジの生成を防止するために、銀塩形成性の化合物を添加することができる。この目的に適した化合物には、特開平8−204980号公報に開示されたグアニジンのN−アミノ置換又はN−アルコキシ置換誘導体(そのほかにアルキル基などが置換してもよい)、(代表例、N−(ジ−n−ブチルアミノプロピル)グアニジン、N−(ジ−n−プロピルアミノエチル)グアニジン)、特開平9−211820号公報に開示された2−メルカプトアゾール誘導体及び2−メルカプトピリミジン誘導体(代表例、2−メルカプト−5−アセトアミドチアジアゾール、2−メルカプト−4−メチル−5−アミノ−ピリミジン)であり、これらの一つ以上を0.001〜0.1mol/Lの濃度で漂白定着液中に添加することができる。
本発明に係る漂白定着液のpHは、漂白性能と液の劣化およびシアン色素のロイコ化の観点から、3〜8が好ましく、より好ましくは4〜7である。pHを調整するためには、必要に応じて塩酸、硫酸、硝酸、重炭酸塩、アンモニア、苛性カリ、苛性ソーダ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を添加することができる。また、漂白定着液には、その他各種の消泡剤或いは界面活性剤、ポリビニルピロリドン、メタノール等の有機溶媒を含有させることができる。漂白定着組成物には、保恒剤として亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウムなど)、重亜硫酸塩(例えば、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウムなど)やメタ重亜硫酸塩(例えば、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸アンモニウムなど)等の亜硫酸イオン放出性化合物、p−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸などのアリールスルフィン酸などを含有させてもよい。その場合は、これらの化合物の添加量は亜硫酸イオンやスルフィン酸イオンに換算して約0.02〜0.8mol/Lであることが好ましい。
漂白定着処理液の保恒剤としては、上記のほか、アスコルビン酸、カルボニル重亜硫酸付加物又はその他のカルボニル化合物等を添加しても良い。本発明の漂白定着液には、緩衝剤を添加するのも好ましい。緩衝剤は意図するpHにより選択されるが好ましく、化合物としては、下記一般式〔J〕で表されるジカルボン酸、またはイミダゾール誘導体等が挙げられる。また、緩衝剤として、本発明に係る漂白定着液には、実質的に酢酸を用いないことが好ましい。
以下、一般式〔J〕で表されるジカルボン酸について説明する。
一般式〔J〕
R(COOM)2
上記一般式〔J〕において、Rは単結合又は2価の基を表し、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基を表す。Rが表す好ましい2価の基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキレンオキシアルキレン基、アルキレンチオアルキレン基、シクロアルキレン基およびフェニレン基である。これらのアルキレン基およびアルケニレン基の炭素数は、1〜6が好ましく、水酸基又はカルボキシル基が置換してもよい。また、アルキレンオキシアルキレン基及びアルキレンチオアルキレン基を構成するアルキレン基は炭素数が1〜4が好ましく、さらに炭素数1〜3のアルキル基が1〜2個置換してもよい。シクロアルキレン基およびフェニレン基には、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基、カルボキシル基が1〜2個置換していてもよく、そのシクロアルキレン基の炭素数は、5〜7である。具体例としては、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、本発明で用いることのできるイミダゾール誘導体の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
1−メチルイミダゾール
2−メチルイミダゾール
4−メチルイミダゾール
4−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール
4−(2−アミノエチル)イミダゾール
2−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール
2−エチルイミダゾール
2−ビニルイミダゾール
4−プロピルイミダゾール
2,4−ジメチルイミダゾール
2−クロロイミダゾール
4,5−ジ(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール
本発明に係る漂白定着液には、処理直後の感光材料の白地性を良好にできる点で、上記蛍光増白剤又は一般式〔A〕で表される化合物を添加する事もできる。添加量としては、1×10-4〜5×10-2mol/Lが好ましく、より好ましくは2×10-4〜1×10-2mol/Lである。
本発明の処理方法に適用されうる、漂白定着工程に要する時間は90秒以下が好ましく、更には45秒以下、特に好ましくは26秒以下である。ここでいう漂白定着工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンス又は安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは5秒以下が好ましく、より好ましくは3秒以下である。
漂白定着液の温度は20〜70℃で使用されるのがよいが、望ましくは25〜50℃である。また、漂白定着液の補充量は低補充化を達成する観点から、処理する感光材料1m2あたり100ml以下が好ましく、より好ましくは20ml〜100mlであり、更に好ましくは20ml〜45mlであり、低補充量になればなる程、本発明の効果がより顕著となる。本発明においては、漂白定着液に強制的液撹拌を付与することが本発明の実施態様として好ましい。この理由は本発明の目的の効果をより良好に奏するのみならず、迅速処理適性の観点からである。ここに強制的液撹拌とは、通常の液の撹拌移動ではなく、撹拌手段を付加して強制的に撹拌することを意味する。強制的撹拌手段としては、特開昭64−222259号及び特開平1−206343号に記載の手段を採用することができる。
本発明においては、漂白定着液の活性度を高める為に処理浴中に処理補充液貯蔵タンク内で所望により空気の吹き込み、又は酸素の吹き込みを行ってよく、或いは適当な酸化剤、例えば過酸化水素、臭素酸塩、過硫酸塩等を適宜添加してもよい。
次に、リンス又は安定化工程及びそこで用いる処理液について説明する。
本発明において適用されうるリンス又は安定化工程に要する時間は90秒以下が好ましく、更に好ましくは60秒以下である。ここのリンス又は安定化工程に要する時間とは、該工程が複数の槽を有する場合、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、最終槽から次処理工程、例えば乾燥工程に感光材料が移動する時間は含まないものとする。但し、複数槽を有する場合の槽と槽間のクロスオーバータイムは含むものとする。リンス又は安定化処理槽は1槽でも良いが、2〜10槽程度までは槽の数を増やすことができ、槽の数の増加によりリンス又は安定化処理液の補充量を減少させることができるが、自動現像機のコンパクト化を考えると2〜6槽程度が好ましい。補充液は何カ所かに分けて補充しても良いが、感光材料の搬送方向の下流側の槽に補充し、そのオーバーフロー液(槽間を液面下に位置する管で連結させた場合、該管を溶液が通る場合も含む)を該槽の前槽に流入させる、多段向流方式(カウンターカレント方式)にするのが好ましい。また、好ましくは2槽以上の安定槽で最後の槽へ補充液を補充し、オーバーフロー液を順次前の槽へ流し込むことである。
リンス又は安定化工程のクロスオーバータイムは5秒以下が好ましく、より好ましくは3秒以下である。更に好ましくは実質的に0秒である。クロスオーバータイムを短縮する手段としては、特開平5−66540号の図2〜図5に記載されるような液中ブレード等の搬送方式を用いることで達成できる。
リンス又は安定化工程の処理温度は20〜70℃で使用される事が好ましく、より好ましくは、25〜60℃である。リンス又は安定化処理の後には水洗処理を全く必要としないが、極短時間内での少量水洗による表面洗浄等は必要に応じて任意に行うことができる。リンス又は安定化液のpHは、4.0〜10.0の範囲が好ましい。前記pHに調整するためのpH調整剤を含有する事も出来る。pH調整剤としては、一般に知られているアルカリ剤または酸剤のいかなるものでもよい。
本発明において、リンス又は安定化液には、キレート剤(エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等)、緩衝剤(炭酸カリウム、硼酸塩、酢酸塩、リン酸塩等)、防黴剤(ディアサイド702(米国ディアボーン社製)、p−クロロ−m−クレゾール、ベンゾイソチアゾリン−3−オン等)、蛍光増白剤(トリアジニルスチルベン系化合物等)、酸化防止剤(アスコルビン酸塩等)、水溶性金属塩(亜鉛塩、マグネシウム塩等)等、通常安定液に含有せしめる成分を適宜用いることができる。
更にリンス又は安定化液には、液保存性の点からp−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸などのアリールスルフィン酸などを含有させてもよく、亜硫酸塩、重亜硫酸塩又はメタ重亜硫酸塩も含有させることが好ましい。亜硫酸イオンを放出するものであれば、有機物、無機物いかなるものでもよいが、好ましくは無機塩である。好ましい具体的化合物としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。これらの塩は安定液中に少なくとも1×10-3mol/L以上になるような量が添加されることが好ましく、更に好ましくは5×10-3モル/L〜5×10-2mol/Lになるようなに添加されることである。本発明において、リンス又は安定化液の補充量は低補充化を達成する観点から180ml/m2以下、好ましくは120ml/m2以下である。
本発明の処理方法において、各補充剤は、複数パートに分かれた濃厚液、一液濃厚液、水で希釈する必要のない複数パートに分かれた、もしくは一液の補充液、又、粉末、顆粒、錠剤等の固体処理剤、いずれの形態でも良いが、経時での保存安定性に優れた固体処理剤が好ましく、粉塵等の少ない、取り扱い性に優れた錠剤が好ましい。補充の方式としては、濃厚液を水で希釈して補充液として用いる形態、濃厚液と水を直接補充する形態、粉末、顆粒、錠剤等の固体処理剤を水に溶解して補充液として用いる形態、前記固体処理剤と水を直接補充する形態、等、いずれの形態を取ることができるが、固体処理剤と水を直接補充する形態が、補充液を作成しない分、酸化劣化を受けにくく、経時保存安定性に優れ、又補充液の低温析出の発生もなく、好ましい。固体処理剤が錠剤である場合は、補充の精度、定量性の観点からもより好ましく、粉塵が舞わない分、作業環境も好ましい。
次いで、本発明の処理方法に適用されるハロゲン化銀カラー感光材料について説明する。
本発明の処理方法に適用できるハロゲン化銀カラー写真感光材料としては、支持体上にハロゲン化銀感光性層を有する多種多様の写真要素、例えば、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラーペーパー、並びにカラー映画フィルム等を挙げることができるが、特に、カラーペーパーの処理に適用することが好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、主に、支持体上に、イエロー色素形成カプラー含有青感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素形成カプラー含有緑感光性含有ハロゲン化銀乳剤層、シアン色素形成カプラー含有赤感光性ハロゲン化銀乳剤層および非感光性親水性コロイド層の各々少なくとも一層ずつからなる写真構成層を有する。前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として、及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。感光材料は、イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する非感光性親水性コロイド層として、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
以下、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の代表的構成要素を説明する。
例えば、下記のリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)にその詳細が記載されており、参考にすることができる。
ハロゲン化銀乳剤は、例えば、RDNo.17643、22〜23頁(1979年12月)の「1.乳剤製造法(Emulsion preparation and types)」、及びRDNo.18716、648頁、グラキデ著「写真の物理と化学」ポールモンテル社刊(P.Glkides,Chimie et Physique Photographique,Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Dauffin,Photographic Emulsion Chemistry Focal Press 1966)、ゼリクマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman etal,Making and coating Photographic Emulsion, Focal Press 1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。乳剤は、米国特許3,574,628号、同3,665,394号及び英国特許1,413,748号などに記載された単分散乳剤も好ましい。
ハロゲン化銀乳剤には物理熟成、化学熟成及び分光増感を行うことができる。このような工程で使用される添加剤は、RDNo.17643、RDNo.18716及びRDNo.308119(各々、以下、RD17643、RD18716及びRD308119と略す。)に記載されている。下記にその記載箇所を示す。なお、下記に記載の各数値は、記載されている頁を表す。
〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕〔RD18716〕
化学増感剤 996 III−A項 23 648
分光増感剤 996 IV−A−A、
B、C、D、 23〜24 648〜649
H、I、J項
強色増感剤 996 IV−A−E、J項
23〜24 648〜649
カブリ防止剤 998 VI 24〜25 649
安定剤 998 VI 24〜25 649
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料に使用できる公知の写真用添加剤も、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
〔項目〕 〔RD308119の頁〕〔RD17643〕〔RD18716〕
色濁り防止剤 1002VII−I項 25 650
色素画像安定剤 1001VII−J項 25
増白剤 998V 24
紫外線吸収剤 1003VIII−I項、
XIII−C項 25〜26
光吸収剤 1003VIII 25〜26
光散乱剤 1003VIII
フィルター染料 1003VIII 25〜26
バインダー 1003IX 26 651
スタチック防止剤1006XIII 27 650
硬膜剤 1004X 26 651
可塑剤 1006XII 27 650
潤滑剤 1006XII 27 650
活性剤・塗布助剤1005XI 26〜27 650
マット剤 1007XVI
現像剤(ハロゲン化銀カラー写真感光材料に含有)
1001XXB項
本発明に係る感光性層には、種々のカプラーを使用することが出来、その具体例は、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕
イエローカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
マゼンタカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
シアンカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
カラードカプラー 1002VII−G項 VIIG項
DIRカプラー 1001VII−F項 VIIF項
BARカプラー 1002VII−F項
その他の有用残基放出 1001VII−F項
カプラー
アルカリ可溶カプラー 1001VII−E項
上記各添加剤は、RD308119XIVに記載されている分散法などにより、添加することが出来る。
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料には、前述RD308119VII−K項に記載されているフィルター層や中間層等の補助層を設けることも出来る。
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、前述RD308119VII−K項に記載されている順層、逆層、ユニット構成等の様々な層構成をとることが出来る。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《発色現像液の調製》
以下の手順に従って、発色現像液1−1〜1−34を調製した。
1L当たり
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナートエチル)ヒドロキシルアミン 8g
亜硫酸ナトリウム 0.1g
パラトルエンスルホン酸ナトリウム 10g
水酸化リチウム1水和物 6.5g
炭酸カリウム 20g
炭酸ナトリウム 5g
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 6g
一般式〔A〕(表1に記載の例示化合物) 表1記載の量
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−[β−(メタンスルホンアミド)エチル]アニリン・3/2硫酸塩 7.5g
塩化カリウム 5g
臭化カリウム 50mg
pH 10.10
表面張力 表1に記載の値(mN/m)
pHは、硫酸、または水酸化カリウムで調整を行った。また、表面張力は、1−オクタンスルホン酸ナトリウムの添加量を適宜調節することで、表1記載の値に調整した。なお、表面張力の測定は、協和界面化学株式会社製自動表面張力計CBVP−Z型で行った。このときの1−オクタンスルホン酸ナトリウムの添加量は、1リットル当たり0〜2gの範囲内であった。
《発色現像液の評価》
〔長期保存処理〕
上記調製した各発色現像液の200mlをビーカーに入れて静置し、そこにポリ塩化ビニル板(サイズ:厚さ3mm×幅20mm×長さ150mm)を挿入した。この時、塩化ビニル板において、発色現像液に浸漬している領域と液外に出ている領域が存在するようにした。この状態で、1日のうち、12時間は恒温槽によって40℃に液温を調整した状態で保存し、残りの12時間は、温調しない条件下(室温:約25℃)で保存を行い、これを1週間にわたって繰り返した。なお、1日1回、発色現像液の蒸発ロス分に相当する水分を補充して、発色現像液面が常に一定となるようにした。
〔着色性の評価〕
上記長期保存処理を行った各発色現像液と未処理の各発色現像液について、島津製作所製の分光光度計UV−1650PCを用いて、波長450nmでの吸光度を各々測定し、長期保存前後での吸光度差を求めた。
〔タール付着耐性の評価1〕
上記長期保存処理を行った後、発色現像液からポリ塩化ビニル板を、表面に浮遊しているタール等の異物が付着しないように静かに引き上げ、液中に浸漬している領域でのタールの付着の有無及び液外に出ている領域でのタールの析出(固着)の有無を目視観察し、下記の基準に従って、液中及び液外のタール付着耐性の評価を行った。
◎:ポリ塩化ビニル板へのタールの付着あるいは析出が全く認められない
○:ポリ塩化ビニル板へのタールの付着あるいは析出が僅かに認められるが、良好な状態である
△:ポリ塩化ビニル板へのタールの付着あるいは析出がやや認められるが、実用上感光材料への転写等の可能性は低く、許容範囲内のレベルである
×:ポリ塩化ビニル板へのタールの付着あるいは析出が明らかに認められ、感光材料への転写等の恐れがあり、実用上問題となるレベルである
××:ポリ塩化ビニル板へのタールの付着あるいは析出が激しく、感光材料への大量のタール転写の恐れがあり、実用上不可のレベルである
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2006023546
表1に記載の結果より明らかなように、本発明の一般式〔A〕で表される化合物を含有しない比較の発色現像液では、発色現像液の表面張力がいかなる値であろうと、長期保存処理後の吸光度が高く、発色現像主薬酸化物生成に起因する着色が大きい。更に、ポリ塩化ビニル板に対する発色現像液中に浸漬している領域でのタール付着による汚れが悪い。これに対し、本発明の一般式〔A〕で表される化合物を含有し、かつ表面張力を高く設定した本発明の発色現像液は、長期保存処理を行った後でも、液の着色性が低く、かつポリ塩化ビニル板に対する液中及び液外での析出あるいは付着性が大幅に改善されることが分かる。
実施例2
《発色現像液の調製》
実施例1に記載の発色現像液1−7(比較例)、1−13(比較例)及び1−21(本発明)において、パラフェニレンジアミン発色現像主薬の構成を表2に記載の様に変更した以外は同様にして、発色現像液2−1〜2−21を調製した。なお、表2に記載のCD−3は、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−[β−(メタンスルホンアミド)エチル]アニリン3/2硫酸塩を示し、CD−4は、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン硫酸塩を示す。
《発色現像液の評価》
〔タール付着耐性の評価2〕
上記調製した各発色現像液の200mlをビーカーに入れて静置し、そこにポリ塩化ビニル板(サイズ:厚さ3mm×幅20mm×長さ150mm)を挿入した。この時、塩化ビニル板において、発色現像液に浸漬している領域と液外に出ている領域が存在するようにした。この状態で、室温(25℃)で30日間の保存を行い、発色現像液に浸漬している領域でのタール付着が生じる日数及び液外に出ている領域で析出物が発生する日数を求め、得られた結果を表2に示す。
Figure 2006023546
表2に記載の結果より明らかなように、本発明に係るパラフェニレンジアミン発色現像主薬、特にヒドロキシメチル基を構造式中に持たない現像主薬(CD−3)の比率が高い場合には、本発明で規定する構成外である比較例においては、ポリ塩化ビニル板に対する発色現像液中に浸漬している領域や液外に出ている領域でのタール付着が短い日数で発生する。特に、CD−3の比率が80%以上になると、タール汚れ付着発生までの日数が、より著しく短縮化する。これに対し、本発明で規定する構成からなる発色現像液は、CD−3の比率が高くなっても、タール汚れ付着が発生せず、優れたタール付着耐性を良好に維持していることが分かる。
実施例3
実施例1に記載の発色現像液1−15(本発明)に、表3に記載の各添加剤を添加した以外は同様にして、発色現像組成物3−1〜3−17を調製し、実施例1に記載の方法と同様にして、長期保存処理における着色性の評価及びタール付着耐性の評価1を行い、得られた結果を表3に示す。
Figure 2006023546
表3に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなる発色現像液に、更に本発明に係る分子量が2,000以上のポリエチレングリコール、分子量が10,000以上のポリビニルピロリドン、トリアルカノールアミン類またはε−カプロラクタムを含有することにより、着色性及びタール付着耐性が更に向上していることが分かる。
実施例4
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製》
下記の方法に従って、反射観賞用のハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーペーパーを作製した。
坪量180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチレンをラミネートし、紙支持体を作製した。ただし、各乳剤層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンの分散物(含有量は15質量%)を含有する溶融ポリエチレンをラミネートし、反射支持体Aを作製した。この反射支持体Aをコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、さらに以下に示す構成の各構成層を塗設し、カラーペーパーである試料101を作製した。ただし表中、ハロゲン化銀乳剤の添加量は、銀に換算して記載した。
上記試料101の作製において、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。又各層にF−1を全量が0.04g/m2となるように添加した。
Figure 2006023546
Figure 2006023546
なお、表4、表5に記載の各添加剤の詳細は、以下の通りである。
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5,−オクタフル オロペンチル)・ナトリウム
DBP:ジブチルフタレート
DNP:ジノニルフタレート
DOP:ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−5:2,5−ジ〔(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル〕ハイドロキノン
画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
画像安定剤B:ポリ(t−ブチルアクリルアミド)
Figure 2006023546
Figure 2006023546
Figure 2006023546
Figure 2006023546
Figure 2006023546
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
〈青感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1を、常法に従い調製した。次に、平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1Bを、常法に従い調製した。
上記EMP−1に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。また、EMP−1Bに対しても同様に感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、増感されたEMP−1とEMP−1Bを銀量で1:1の比率で混合し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を調製した。
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 4×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1×10-4モル/モルAgX
〈緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2を、常法に従い調製した。次に平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2Bを、常法に従い調製した。
上記EMP−2に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−2Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、増感されたEMP−2とEMP−2Bを銀量で1:1の比率で混合し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を調製した。
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−1 4×10-4モル/モルAgX
〈赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3を、常法に従い調製した。また平均粒径0.38μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3Bを、常法に従い調製した。
上記EMP−3に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−3Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、増感されたEMP−3とEMP−3Bを銀量で1:1の比率で混合し、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を調製した。
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1×10-4モル/モルAgX
上記各ハロゲン化銀乳剤の調製に使用した各化合物の詳細は、以下の通りである。
STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
また赤感光性ハロゲン化銀乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当り2.0×10-3モル添加した。
Figure 2006023546
《現像処理》
下記に記載の方法に従って、現像処理4−1〜4−10を行った。
〔処理条件1〕
処理工程 処理温度 処理時間 補充量
(℃) (秒) (ml/m2
発色現像 39.8 表6に記載 表6に記載
漂白定着 37.0 30 55
安定化−(1) 32.0 25
安定化−(2) 32.0 25
安定化−(3) 32.0 25 150
乾燥 60〜80 25
なお、安定化工程は、安定化−(3)→安定化−(2)→安定化−(1)への向流方式とした。
〔処理液組成〕
タンク液及び補充液について以下に示す。
(発色現像タンク液:1L当たり)
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナートエチル)ヒドロキシルアミン 8g
亜硫酸ナトリウム 0.1g
パラトルエンスルホン酸ナトリウム 10g
水酸化リチウム1水和物 6.5g
炭酸カリウム 20g
炭酸ナトリウム 5g
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 6g
一般式〔A〕で表される化合物(例示化合物A−2) 表6記載の量
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−[β−(メタンスルホンアミド)エチル]アニリン3/2硫酸塩 7.5g
塩化カリウム 5g
臭化カリウム 50mg
pH 10.10
表面張力 表6に記載の値(mN/m)
pHは、硫酸、または水酸化カリウムで調整を行った。また、表面張力は、1−オクタンスルホン酸ナトリウムの添加量を適宜調節することで、表6記載の値に調整した。なお、表面張力の測定は、協和界面化学株式会社製自動表面張力計CBVP−Z型で行った。このときの1−オクタンスルホン酸ナトリウムの添加量は、1リットル当たり0〜2gの範囲内であった。
(発色現像補充用固体処理剤:補充液1L当たり)
〈Aパート〉
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナートエチル)ヒドロキシルアミン 15g
亜硫酸ナトリウム 0.3g
パラトルエンスルホン酸ナトリウム 10g
水酸化リチウム1水和物 6.5g
炭酸カリウム 20g
炭酸ナトリウム 5g
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 6g
一般式〔A〕で表される化合物(例示化合物A−2) 表6記載の量
ポリエチレングリコール#4000 9g
〈Bパート〉
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−[β−(メタンスルホンアミド)エチル]アニリン3/2硫酸塩 16g
1−オクタンスルホン酸ナトリウム タンク液の表面張力が表6記載の値となる量
〈発色現像固体処理剤の作製〉
上記Aパートの組成比率となるよう計量された原材料粉末の合計10kgを、マツボー(株)製のレーディゲミキサーM−20に投入し、75℃の温水をウォータージャケットに循環しながら、内容物の温度が58℃になるまで原材料粉末を撹拌混合し、顆粒を得た。この顆粒と、上記Bパートの原材料粉末とを上記組成比率となるよう計量したもの5kgを、クロスロータリー混合機(容積20L)に投入し、10分間混合した。この混合物を菊水製作所製ロータリー打錠機タフコレクト18HUを用いて圧縮成型し、1錠当たり質量10g、直径30mm、厚み10mmの錠剤を得た。
(漂白定着タンク液:1L当たり)
エチレンジアミン四酢酸第II鉄アンモニウム 55g
チオ硫酸アンモニウム 95g
亜硫酸アンモニウム 16g
メタ重亜硫酸ナトリウム 12g
pH 6.5
なお、pHはアンモニア、または硫酸で調整した。
(漂白定着補充用固体処理剤:1L当たり)
〈Aパート〉
エチレンジアミン四酢酸第II鉄ナトリウム 90g
ポリエチレングリコール#4000 10g
〈Bパート〉
90/10チオ硫酸アンモニウム 100g
メタ重亜硫酸ナトリウム 50g
ポリエチレングリコール#4000 18g
〈Cパート〉
ソイポンSLP(川研ファインケミカル社製) 1g
〈漂白定着固体処理剤の作製〉
上記Aパートの組成比率となるよう計量された原材料粉末合計10kgを、マツボー(株)製のレーディゲミキサーM−20に投入し、75℃の温水をウォータージャケットに循環しながら、粉体温度が58℃になるまで原材料粉末を撹拌混合し、Aパート顆粒を得た。また、同様の方法でBパートの組成比率となるよう計量された原材料粉末合計10kgからBパート顆粒を得た。これらのA、Bパート顆粒と、Cパートの原材料粉末を上記組成比率となるよう計量した5kgを、クロスロータリー混合機(容積20L)に投入し、10分間混合した。この混合物を菊水製作所製のロータリー打錠機タフコレクト18HUを用いて圧縮成型し、1錠当たり質量11g、直径30mm、厚み10mmの錠剤を得た。
(安定化タンク液:1L当たり)
ディクエスト2016D(モンサント社製) 3g
ジエチレントリアミン五酢酸 1g
亜硫酸ナトリウム 0.8g
チノパールSFP(チバガイギー社製) 0.8g
ダウサイド(ダウケミカル社製) 0.05g
pH 7.0
なお、pHはアンモニア、または硫酸で調整した。
(安定化補充用固体処理剤:1L当たり)
〈Aパート〉
ディクエスト2016D(モンサント社製) 3g
ジエチレントリアミン五酢酸 1g
亜硫酸ナトリウム 0.8g
チノパールSFP(チバガイギー社製) 0.8g
ダウサイド(ダウケミカル社製) 0.05g
ポリエチレングリコール#4000 0.6g
〈Bパート〉
ソイポンSLP(川研ファインケミカル社製) 0.06g
〈安定化固体処理剤の作製〉
上記Aパートの組成比率となるよう計量された原材料粉末合計10kgを、マツボー(株)製のレーディゲミキサーM−20に投入し、75℃の温水をウォータージャケットに循環しながら、粉体温度が58℃になるまで原材料粉末を撹拌混合し、顆粒を得た。この顆粒と、上記Bパートの原材料粉末を上記組成比率となるよう計量したもの5kgを、クロスロータリー混合機(容積20L)に投入し、10分間混合した。この混合物を菊水製作所製のロータリー打錠機タフコレクト18HUを用いて圧縮成型し、1錠当たり質量10g、直径30mm、厚み10mmの錠剤を得た。
〔ランニング処理条件〕
コニカミノルタフォトイメージング社製の自動現像機R1superを、処理時間が上記処理条件1に記載の時間となる様に改造した。この自動現像機を用いて、先に作製した感光材料101にイエロー、マゼンタ、シアンの各反射濃度が0.8となるような露光条件で露光を施した後、一日当たり5m2ずつ、発色現像の補充液量がタンク容量の0.5倍相当になるまで、ランニング処理を行った。このランニング処理を行っている間、発色現像から漂白定着にかけての渡りラックは、水洗浄を行わなかった。漂白定着以降の渡りラックは、毎日処理終了後に水洗浄を実施し、析出物による汚れを完全に除去した。
《各特性の評価》
〔タール析出物の蓄積耐性の評価1〕
ランニング処理終了後に、発色現像タンクの内壁面の液面より上部の領域に発生する析出物の有無を目視観察し、実施例1に記載のタール付着耐性の評価1の評価基準に準じてタール析出物の蓄積耐性の評価を行った。
〔タンク内のタール汚れ耐性の評価1〕
ランニング処理終了後に、発色現像タンクの液中に浸っている搬送ラックに付着しているタール汚れの様子を目視観察し、実施例1に記載のタール付着耐性の評価1の評価基準に準じてタンク内のタール汚れ耐性の評価を行った。
〔感光材料への汚れ付着耐性の評価〕
ランニング処理を行った期間中、毎日の現像開始時に、未露光の感光材料を1枚(2L版)処理し、汚れ付着の有無を目視観察した。
〔画質評価〕
ランニング終了後に、感光材料に光学楔による露光を施したものを処理し、最大露光部と未露光部のイエロー反射濃度をX−rite濃度計で測定した。
以上により得られた結果を、表6に示す。
Figure 2006023546
表6に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する表面張力値を外れているかあるいは一般式〔A〕で表される化合物を含有しない比較例においては、長期間にわたるランニング処理により、タール析出物の蓄積、タンク内の搬送ラックに対するタール汚れ、感光材料に対する汚れ付着が発生し、かつ最大露光部の濃度が低く、未露光部の濃度が高い(ステイン)といった画質劣化を引き起こしている。これに対し、本発明で規定する構成からなる発色現像液を用いてランニング処理を行っても上記の各特性が著しく改良されていることが分かる。また、比較例では、処理時間の迅速化、低補充化に伴い、上記の各特性が著しく劣化するのに対し、本発明ではより良好にその効果を奏していることが分かる。
実施例5
《現像処理》
実施例4に記載の現像処理4−3(比較例)、4−5(比較例)、4−7(本発明)において、処理条件1に代えて、下記の処理条件2を用いた以外は同様にして、現像処理5−1〜5−3のランニング処理を行った。
ランニング処理条件は、先に作製した感光材料101にイエロー、マゼンタ、シアンの各反射濃度が0.8となるような露光条件で露光を施した後、一日当たり50m2ずつ、発色現像の補充液量がタンク容量の1.0倍相当になるまで、ランニング処理を行った。このランニング処理を行っている間、発色現像から漂白定着にかけての渡りラックは、水洗浄を行わなかった。漂白定着以降の渡りラックは、毎日処理終了後に水洗浄を実施し、析出物による汚れを完全に除去した。
〔処理条件2〕
処理工程 処理温度 処理時間 補充量
(℃) (秒) (ml/m2
発色現像 45.0 15 45
漂白定着 40.0 15 35
安定化−(1) 40.0 15
安定化−(2) 40.0 15
安定化−(3) 40.0 15 150
乾燥 60〜80 25
なお、安定化工程は、安定化−(3)→安定化−(2)→安定化−(1)への向流方式とした。
《各特性の評価》
〔タール析出物の蓄積耐性の評価2〕
毎日、ランニング処理後に、発色現像タンクの内壁面の液面より上部の領域に発生する析出物の状態を目視観察し、析出物が確認されるまでの日数を測定した。
〔タンク内のタール汚れ耐性の評価2〕
毎日、ランニング処理終了後に、発色現像タンクの液中に浸っている搬送ラックへのタール付着汚れの様子を目視観察し、タール付着物が確認されるまでの日数を測定した。
〔感光材料への汚れ付着耐性の評価及び画質の評価〕
実施例4に記載の方法と同様にして評価した。
以上により得られた結果を、表7に示す。
Figure 2006023546
表7に記載の結果より明らかなように、比較例では、低補充および処理時間が短い迅速処理条件下においては、液中並びに液外でのタールによる問題が発生するまでの日数が著しく短くなり、画質劣化も著しいのに対し、本発明は、低補充化及び迅速処理条件下においても、本発明の目的効果を良好に維持できることが分かる。

Claims (9)

  1. 下記一般式〔A〕で表される化合物の少なくとも1種を含有し、かつ表面張力が30mN/m以上であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物。
    Figure 2006023546
    〔式中、R1及びR2は各々水素原子または置換基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子またはNH4基を表す。kは1〜5の整数を表す。mは1〜6の整数を表す。nは自然数を表す。〕
  2. 下記一般式〔I〕、〔II〕及び〔III〕で表されるパラフェニレンジアミン発色現像主薬から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物。
    Figure 2006023546
    〔式中、R1、R3は各々メチル基、エチル基、プロピル基またはヒドロキシエチル基を表す。R2はヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、スルホアルキル基またはβ−メタンスルホンアミドエチル基を表す。〕
    Figure 2006023546
    〔式中、R4、R5は各々炭素数1〜4のアルキル基を表し、R6は炭素数3〜4の直鎖または分岐のアルキレン基を表す。〕
    Figure 2006023546
    〔式中、R7はアルキル基を表し、R8は主鎖の炭素数が2以上のアルキレン基を表す。R9及びR10は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子または炭素数4以下のアルキル基を表す。R11は置換基を表す。nは0〜4の整数を表し、nが2以上のとき各R11は同一でも異なっていてもよい。〕
  3. 前記一般式〔I〕、〔II〕及び〔III〕で表されるパラフェニレンジアミン発色現像主薬のうち、構造中にヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、またはスルホン酸基を含まない発色現像主薬が、全パラフェニレン発色現像主薬の80モル%以上を占めることを特徴とする請求項2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物。
  4. 前記ヒドロキシメチル基、カルボキシル基、スルホン酸基を含まない発色現像主薬が、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−[β−(メタンスルホンアミド)エチル]アニリンであることを特徴とする請求項3に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物。
  5. 平均分子量が2,000以上、20,000以下のポリエチレングリコール類、平均分子量が10,000以上、360,000以下のポリビニルピロリドン類、トリアルカノールアミン類及びε−カプロラクタムから選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物。
  6. 前記表面張力が40mN/m以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像組成物を用いて処理することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
  8. 発色現像工程の処理時間が10秒以上、40秒以下であって、かつ発色現像補充液量が80ml/m2以下であることを特徴とする請求項7に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
  9. 発色現像工程の処理時間が10秒以上、40秒以下であって、かつ発色現像補充液量が55ml/m2以下であることを特徴とする請求項8に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
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