以下に本発明の実施の形態を説明するが、本明細書に記載の発明と、発明の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本明細書に記載されている発明をサポートする実施の形態が、本明細書に記載されていることを確認するためのものである。したがって、発明の実施の形態中には記載されているが、発明に対応するものとして、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が発明に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明以外の発明には対応しないものであることを意味するものでもない。
更に、この記載は、本明細書に記載されている発明の全てを意味するものでもない。換言すれば、この記載は、本明細書に記載されている発明であって、この出願では請求されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により出現、追加される発明の存在を否定するものではない。
請求項1に記載の記録情報生成装置(例えば、図1の記録データ処理部11に対応する装置)は、階層化伝送方式が採用されている放送信号を取得する取得手段(例えば、図1のアンテナ21)と、取得手段により取得された放送信号の受信状況を示す情報(例えば、C/Nレベル)を検出する検出手段(例えば、図1のC/Nレベル検出部26)と、
検出手段により検出された放送信号の受信状況を示す情報を基に、放送信号に含まれるストリームデータのうち、記録されるストリームデータを選択する選択手段(例えば、図1のストリーム選択部28)と、検出手段により検出された放送信号の受信状況を示す情報を基に、放送信号に含まれる制御情報(例えば、PMTを含む情報)を必要に応じて変換する変換手段(例えば、図1のPMT変換部29)とを備えることを特徴とする。
選択手段により選択されたストリームデータと、変換手段により必要に応じて変換された制御情報の記録を制御する記録制御手段(例えば、図1の記録再生制御部53)を更に備えるようにすることができる。
請求項5に記載の記録情報生成方法は、階層化伝送方式が採用されている放送信号を用いて記録情報を生成する記録情報生成装置(例えば、図1の記録データ処理部11に対応する装置)の記録情報生成方法であって、放送信号を取得する取得ステップ(例えば、図12のステップS2の処理)と、取得ステップの処理により取得された放送信号の受信状況を示す情報(例えば、C/Nレベル)を検出する検出ステップ(例えば、図12のステップS3の処理)と、検出ステップの処理により検出された放送信号の受信状況を示す情報を基に、放送信号に含まれるストリームデータのうち、記録されるストリームデータを選択する選択ステップ(例えば、図12のステップS4およびS5の処理)と、検出ステップの処理により検出された放送信号の受信状況を示す情報を基に、放送信号に含まれる制御情報(例えば、PMTを含む情報)を必要に応じて変換する変換ステップ(例えば、図12のステップS4およびS6の処理)とを含むことを特徴とする。
また、請求項6に記載のプログラムにおいても、各ステップが対応する実施の形態(但し一例)は、請求項5に記載の記録情報生成方法と同様である。
請求項7に記載の情報再生装置(例えば、図1の再生処理部13に対応する装置)は、所定の記録媒体(例えば、図1のハードディスク52)に記録されているストリームデータおよび制御情報(例えば、PMTを含む情報)を取得する取得手段(例えば、図1のバッファメモリ63)と、取得手段により取得されたストリームデータおよび制御情報から、所定の第1の情報(例えば、PMT)を抽出する抽出手段(例えば、図1のPMT抽出部64)と、抽出手段により抽出された第1の情報に、所定の第2の情報(例えば、階層伝送記述子)が含まれているか否かを基に、ストリームデータの再生を制御する再生制御手段(例えば、図1の再生制御部61)とを備えることを特徴とする。
再生制御手段により再生が制御されるストリームデータが、高階層のストリームデータから低階層のストリームデータに、または、低階層のストリームデータから高階層のストリームデータに切り替わった場合、再生制御手段により再生が制御されるストリームデータが切り替わったことをユーザへ通知するための処理を実行する通知処理実行手段(例えば、図1のOSD67)を更に備えることができる。
請求項11に記載の情報再生方法は、情報を再生する情報再生装置(例えば、図1の再生処理部13に対応する装置)の情報再生方法であって、所定の記録媒体(例えば、図1のハードディスク52)に記録されているストリームデータおよび制御情報(例えば、PMTを含む情報)を取得する取得ステップ(例えば、図13のステップS22の処理)と、取得ステップの処理により取得されたストリームデータおよび制御情報から、所定の第1の情報(例えば、PMT)を抽出する抽出ステップ(例えば、図13のステップS23の処理)と、抽出ステップの処理により抽出された第1の情報に、所定の第2の情報(例えば、階層伝送記述子)が含まれているか否かを基に、ストリームデータの再生を制御する再生制御ステップ(例えば、図13のステップS24乃至S26の処理)と
を含むことを特徴とする情報再生方法。
また、請求項12に記載のプログラムにおいても、各ステップが対応する実施の形態(但し一例)は、請求項11に記載の情報再生方法と同様である。
請求項13に記載の記録再生装置(例えば、図1の記録再生装置1)は、階層化伝送方式が採用されている放送信号を取得する第1の取得手段(例えば、図1のアンテナ21)と、第1の取得手段により取得された放送信号の受信状況を示す情報(例えば、C/Nレベル)を検出する検出手段(例えば、図1のC/Nレベル検出部26)と、検出手段により検出された放送信号の受信状況を示す情報を基に、放送信号に含まれるストリームデータのうち、記録されるストリームデータを選択する選択手段(例えば、図1のストリーム選択部28)と、検出手段により検出された放送信号の受信状況を示す情報を基に、放送信号に含まれる制御情報(例えば、PMTを含む情報)を必要に応じて変換する変換手段(例えば、図1のPMT変換部29)と、選択手段により選択されたストリームデータと、変換手段により必要に応じて変換された制御情報の記録を制御する記録制御手段(例えば、図1の記録再生制御部53)と、記録制御手段により記録が制御されたストリームデータおよび制御情報を取得する第2の取得手段(例えば、図1のバッファメモリ63)と、第2の取得手段により取得されたストリームデータおよび制御情報から、所定の第1の情報(例えば、PMT)を抽出する抽出手段(例えば、図1のPMT抽出部64)と、抽出手段により抽出された第1の情報に、所定の第2の情報(例えば、階層伝送記述子)が含まれているか否かを基に、ストリームデータの再生を制御する再生制御手段(例えば、再生制御部61)とを備えることを特徴とする。
請求項14に記載の記録再生方法は、階層化伝送方式が採用されている放送信号を記録再生する記録再生装置(例えば、図1の記録再生装置1)の記録再生方法であって、放送信号を取得する第1の取得ステップ(例えば、図12のステップS2の処理)と、第1の取得ステップの処理により取得された放送信号の受信状況を示す情報(例えば、C/Nレベル)を検出する検出ステップ(例えば、図12のステップS3の処理)と、検出ステップの処理により検出された放送信号の受信状況を示す情報を基に、放送信号に含まれるストリームデータのうち、記録されるストリームデータを選択する選択ステップ(例えば、図12のステップS4およびS5の処理)と、検出ステップの処理により検出された放送信号の受信状況を示す情報を基に、放送信号に含まれる制御情報(例えば、PMTを含む情報)を必要に応じて変換する変換ステップ(例えば、図12のステップS4およびS6の処理)と、選択ステップの処理により選択されたストリームデータと、変換ステップの処理により必要に応じて変換された制御情報の記録を制御する記録制御ステップ(例えば、図12のステップS7の処理)と、記録制御ステップの処理により記録が制御されたストリームデータおよび制御情報を取得する第2の取得ステップ(例えば、図13のステップS22の処理)と、第2の取得ステップの処理により取得されたストリームデータおよび制御情報から、所定の第1の情報(例えば、PMT)を抽出する抽出ステップ(例えば、図13のステップS23の処理)と、抽出ステップの処理により抽出された第1の情報に、所定の第2の情報(例えば、階層伝送記述子)が含まれているか否かを基に、ストリームデータの再生を制御する再生制御ステップ(例えば、図13のステップS24乃至S26の処理)とを含むことを特徴とする。
また、請求項15に記載のプログラムにおいても、各ステップが対応する実施の形態(但し一例)は、請求項14に記載の情報処理方法と同様である。
以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した記録再生装置1の構成を示すブロック図である。
記録再生装置1は、記録データ処理部11、記録部12、および、再生処理部13で構成されている。
記録データ処理部11は、チューナ22、復調部23、デスクランブラ24、デマルチプレクサ25、C/Nレベル検出部26、記録制御部27、ストリーム選択部28、PMT(Program Map Table)変換部29、マルチプレクサ30、および、REC−FIFO31で構成されている。
チューナ22は、記録制御部27から供給される制御信号に基づいて、アンテナ21により受信された放送信号から、ユーザにより指定された放送信号を選局して抽出し、復調部23に供給する。復調部23は、チューナ23から供給された放送信号を復調して、トランスポートストリームを生成し、デスクランブラ24に出力する。デスクランブラ24は、復調部23から供給されたトランスポートストリームのスクランブルを適宜解除して、デマルチプレクサ25に出力する。デマルチプレクサ25は、多重化されたトランスポートストリームを、映像または音声データなどのストリームデータや、セクションデータに分離し、ストリームデータをストリーム選択部28に供給するとともに、セクションデータをPMT変換部29に供給する。PMT変換部29に供給されるセクションデータには、PAT(Program Association Table:放送番組関連テーブル)、PMT(Program Map Table:放送番組マップテーブル)、NIT(Network Information Table:ネットワーク情報テーブル)、CAT(Conditional Access Table:限定受信テーブル)等のテーブル類が含まれる。
C/Nレベル検出部26は、チューナ22により取得された放送信号におけるC/Nレベル(キャリア対ノイズ比)を取得し、記録制御部27に供給する。記録制御部27は、記録データ処理部11の全体の処理を制御するものであり、例えば、再生処理部13の再生制御部61を介して供給される、ユーザの操作入力を示す情報を基に、チューナ22を制御して、ユーザが指定するチャンネルの放送信号を選局して受信させたり、C/Nレベル検出部26から供給されたC/Nレベルを基に、ストリーム選択部28を制御して、記録部12により記録されるエレメンタリーストリーム(以下、ESとも称する)を選択させたり、PMT変換部29を制御して、記録部12により記録されるPMTの記述を、必要に応じて変換する。
アンテナ21により受信される放送信号がBSデジタル放送や広帯域CSデジタル放送などの、階層変調の運用が定義されている放送信号である場合、記録制御部27は、C/Nレベル検出部26から供給されたC/Nレベルの検出結果を基に、ストリーム選択部28によるエレメンタリーストリームの選択を制御するとともに、PMT変換部29によるPMTの変換を制御する。すなわち、記録制御部27は、受信された放送信号において、記録部12に記録するべき情報の生成を制御する。
ストリーム選択部28は、記録制御部27の制御に基づいて、供給されたエレメンタリーストリームから、記録部12に記録するべきエレメンタリーストリームを選択し、マルチプレクサ30に供給する。具体的には、ストリーム選択部28は、記録制御部27の制御に基づいて、C/Nレベルが所定の値よりも高い、すなわち、受信レベルが良好である場合、高階層の映像および音声のエレメンタリーストリームを、記録部12に記録するべきエレメンタリーストリームとして選択し、マルチプレクサ30に供給し、C/Nレベルが所定の値よりも低い、すなわち、受信レベルが良好でない場合、受信したすべての映像および音声のエレメンタリーストリームを、記録部12に記録するべきエレメンタリーストリームとして選択し、マルチプレクサ30に供給する。
なお、受信レベルが良好であるか否かを決定するために、C/Nレベルの閾値(上述した、所定の値)は、実験的、または、経験的に、適宜設定される値である。
PMT変換部29は、記録制御部27の制御に基づいて、供給されたPMTを必要に応じて変換し、マルチプレクサ30に供給する。具体的には、PMT変換部29は、記録制御部27の制御に基づいて、C/Nレベルが所定の値よりも高い、すなわち、受信レベルが良好である場合、PMTから、階層伝送記述子の記述を削除して、変換後のPMTをマルチプレクサ30に供給し、C/Nレベルが所定の値よりも低い、すなわち、受信レベルが良好でない場合、PMTを変換せずに(階層伝送記述子の記述を残したまま)、マルチプレクサ30に供給する。
マルチプレクサ30は、ストリーム選択部28およびPMT変換部29から供給された信号を、マルチプレクスし、REC−FIFO31に供給する。
REC−FIFO31は、記録用信号のFIFO(first in first out)動作を行うメモリであり、供給された信号を一時記憶して、入力された順に、その信号を、記録部12のハードディスク記録再生処理部51に出力するものである。
なお、記憶データ処理部22の説明においては、アンテナ21により受信された放送信号の圧縮符号化方式と、記録部12においてハードディスクに記録される場合の圧縮符号化方式が、例えば、ISO/IEC(International Organization for Standardization / International Electrotechnical Commission)で定められたMPEG−2(moving picture experts group- 2)標準規格に従った同一の形式である場合を例として説明しているが、アンテナ21により受信された放送信号の圧縮符号化方式と、記録部12においてハードディスクに記録される場合の圧縮符号化方式が異なるものである場合、記録データ処理部11には、復号部および符号化部(または、フォーマット変換処理部)などが、適宜設けられるものとしてもよいことは言うまでもない。
つぎに、記録部12は、ハードディスク記録再生処理部51、ハードディスク52、および、記録再生制御部53で構成されている。
ハードディスク記録再生処理部51は、記録再生制御部53の制御に基づいて、記録データ処理部11から供給された記録用の放送信号を、セクタサイズに基づいて分割し、ハードディスク52に供給して記録させたり、ハードディスク52に記録されている所定の信号を読み出して、信号の増幅、および周波数応答特性などの補正を行い、再生処理部13のバッファメモリ63に供給する。ハードディスク52は、ハードディスク記録再生処理部51から供給された記録用の放送信号を記録する。
記録再生制御部53は、再生処理部13の再生処理部61から供給される制御信号に基づいて、記録部12が実行する処理を制御するものであり、ハードディスク記録再生処理部51を制御して、ハードディスク52に記録用の放送信号を記録させるとともに、ハードディスク52に記録された放送信号のうち、ユーザが再生を指令した放送信号を読み出させて、再生処理部13のバッファメモリ63に供給させる。
なお、ここでは、記録用の放送信号が、ハードディスク52に記録され、ハードディスク52に記録された放送信号が読み出されるものとして説明したが、記録用の放送信号は、各種のリムーバブル記録媒体に記録されるようにしてもよいことはいうまでもない。
次に、再生処理部13は、再生制御部61、操作入力部62、バッファメモリ63、PMT抽出部64、ストリーム選択部65、MPEGデコーダ66、OSD(On Screen Display)67、音声信号処理部68、D/A変換部69、映像信号処理部70、D/A変換部71、および、ドライブ72により構成されている。
再生制御部61は、再生処理部13の全体の処理を制御するものであり、例えば、PMT抽出部64により抽出された再生信号のPMTを基に、ストリーム選択部65を制御して、再生されるエレメンタリーストリームを制御したり、OSD67を制御して、表示される映像信号に、ユーザへの所定のメッセージを表示させる。具体的には、再生制御部61は、PMT抽出部64により抽出された再生信号のPMTに、階層伝送記述子が含まれていないとき、再生信号に含まれるエレメンタリーストリームは、高階層に対応するもののみであると判断し、ストリーム選択部65を制御して、供給されるエレメンタリーストリームをそのまま出力させ、再生信号のPMTに、階層伝送記述子が含まれているとき、再生信号に含まれるエレメンタリーストリームは、品質が悪いと予測される高階層に対応するものと、低階層に対応するものの両方であると判断し、ストリーム選択部65を制御して、供給されるエレメンタリーストリームから、低階層に対応するエレメンタリーストリームを選択させるとともに、再生信号のPMTに階層伝送記述子が含まれている部分と含まれていない部分との切り替わり点において、OSD67を制御して、再生されるエレメンタリーストリームが切り替わったことをユーザに通知するためのメッセージなどを、映像に重畳させて表示させる。
また、再生制御部61は、再生処理部13の全体の処理を制御するのみならず、操作入力部62により入力されたユーザの操作入力に基づいて、必要に応じて、記録データ処理部11または記録部12の動作を制御する。
操作入力部62は、例えば、ボタン、キー、タッチパッド、または、リモートコマンダから供給される赤外線などの無線信号を受信する受信部などで構成され、ユーザの操作入力を受け、その操作入力を示す信号を、再生制御部61に供給する。
バッファメモリ63は、記録部12から供給された再生信号を一時記録するメモリであり、一時記録した再生信号を、PMT抽出部64に供給する。PMT抽出部64は、供給された再生信号から、PMTを抽出し、再生制御部61に供給するとともに、エレメンタリーストリームをストリーム選択部65に供給する。
ストリーム選択部65は、再生制御部61の制御に基づいて、供給されたエレメンタリーストリームのうち、出力されるものを選択して、MPEGデコーダ66に供給する。MPEGデコーダ66は、供給された再生信号をデコードし、音声信号を音声信号処理部68に、映像信号を映像信号処理部70に、それぞれ供給する。
OSD67は、再生制御部61の制御に基づいて、映像信号に重畳させて表示させるメッセージを映像信号処理部70に供給する。
音声信号処理部68は、MPEGデコーダ66によりデコードされた音声データの供給を受け、ノイズ除去や増幅などの所定の処理を行って、D/A変換部69に供給する。D/A変換部69は、供給されたデジタルの音声データをアナログ信号に変換し、例えば、テレビジョン受像機や外部のスピーカなどに供給して音声出力させる。
映像信号処理部70は、MPEGデコーダ66によりデコードされた映像データの供給を受け、NTSCフォーマットの信号に変換するなどの所定の処理を施し、必要に応じて、OSD67から供給されたデータを重畳し、D/A変換部71に供給する。D/A変換部71は、供給されたデジタルの映像データをアナログ信号に変換し、例えば、テレビジョン受像機や外部のモニタなどに供給して表示させる。
ドライブ72は、磁気ディスク81、光ディスク82、光磁気ディスク83、あるいは半導体メモリ84などが装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて、再生制御部61に転送され、再生制御部61によって実行される。
次に、図1を用いて説明した記録再生装置1において記録再生される、階層変調に対応した放送信号について説明する。
階層変調は、降雨時など受信レベルが低下した際に、極力サービスの提示を継続することを目的としており、ARIB(Association of Radio Industries and Businesses)TR−B15第七編「7.1階層変調の運用」において、以下のように定義されている。
(1)1サービス内のコンポーネントに異なる別々の変調方式を用いることにより、低C/Nレベル時のサービス時間率を改善する方式を階層変調と定義する。
(2)階層変調ではTS(トランスポートストリーム)内で2種類の変調方式間(階層間)でのサービスに限定する。
(3)符号化効率の低下が少ない範囲で極力所要C/Nレベル差の大きな変調方式の組み合わせを推奨する。
(4)TC8PSKを用いて伝送する情報が流れている階層を高階層とする。一方、それ以外の周波数利用効率が低い変調方式を用いて、低いC/Nレベルでも受信できる情報が流れている階層を低階層とする。
(5)同じ種類のコンポーネントが異なる階層に存在する場合(例えば、高階層映像と低階層映像)、階層伝送記述子で相互のエレメンタリーストリームを参照して受信状態に応じて切換を行う。
(6)TSまたはサービス毎に別々の変調方式を用いることにより、1キャリア内で複数の変調方式が用いられる場合には、階層変調とは呼ばない。
図2乃至図4を用いて、階層変調が適用されている放送信号において放送信号に含まれるエレメンタリーストリーム、すなわち、ストリーム選択部28に供給されるエレメンタリーストリームの例について説明する。図2乃至図4において、図中、記載されている矢印は、参照先エレメンタリーストリームを示すものであり、参照先エレメンタリーストリームとは、それぞれが対応する他階層のエレメンタリーストリームである。
階層変調が適用されている放送信号における放送信号に含まれるエレメンタリーストリームの第1のパターンは、図2に示されるように、階層変調が適用されている放送信号に含まれるエレメンタリーストリームにおいて、高階層の映像1に対して、低階層の映像2が対応付けられ、高階層の音声1に対して、低階層の音声2が対応付けられているものである。この場合、C/Nレベルが一定以上に高い状態(十分な受信強度である状態)では、映像1および音声1が視聴されるようになされており、C/Nレベルが低下し、一定以下の値となった場合、映像2および音声2が視聴されるようになされている。そして、C/Nレベルが一定以上に低い状態(十分な受信強度でない状態)から、C/Nレベルが一定以上に高い状態となったとき、視聴される放送信号は、再び、映像1および音声1となるようになされている。
階層変調が適用されている放送信号における放送信号に含まれるエレメンタリーストリームの第2のパターンは、図3に示されるように、階層変調が適用されている放送信号に含まれるエレメンタリーストリームにおいて、高階層の映像1に対して、低階層の映像2が対応付けられるとともに、高階層の映像3に対しても、低階層の映像2が対応付けられ、高階層の音声1に対して、低階層の音声2が対応付けられているものである。この場合、C/Nレベルが一定以上に高い状態(十分な受信強度である状態)では、映像1および音声1、または、映像3および音声1が視聴されるようになされており、C/Nレベルが低下し、一定以下の値となった場合、映像2および音声2が視聴されるようになされている。そして、C/Nレベルが一定以上に低い状態(十分な受信強度でない状態)から、C/Nレベルが一定以上に高い状態に復帰したとき、視聴される放送信号は、再び、C/Nレベルが一定以上に高い状態に視聴されていたものに戻るようになされている場合と、C/Nレベルが一定以上に高い状態に視聴されていたものにかかわらず、映像2の参照先となっている映像1と、音声2の参照先となっている音声2となるようになされている場合とがあり、このうちのいずれの方法が採用されるかは、放送信号を受信する装置の仕様に依存する。
階層変調が適用されている放送信号における放送信号に含まれるエレメンタリーストリームの第3のパターンは、図4に示されるように、階層変調が適用されている放送信号に含まれるエレメンタリーストリームにおいて、高階層の映像1に対して、低階層の映像2が対応付けられ、高階層の音声1に対しては、音声信号が対応付けられていないものである。この場合、C/Nレベルが一定以上に高い状態(十分な受信強度である状態)では、映像1および音声1が視聴されるようになされており、C/Nレベルが低下し、一定以下の値となった場合、映像2が表示されるが、音声信号の提供がないようになされている。そして、C/Nレベルが一定以上に低い状態(十分な受信強度でない状態)から、C/Nレベルが一定以上に高い状態に復帰したとき、視聴される放送信号は、再び、視聴される放送信号は、再び、映像1および音声1となるようになされている。
そして、図1の記録制御部27は、C/Nレベル検出部26から供給されたC/Nレベルが所定の値よりも高い、すなわち、受信状況が良好であるとき、ストリーム選択部28を制御して、高階層に対応する映像データおよび音声データを、記録部12により記録されるエレメンタリーストリームとして選択させ、C/Nレベル検出部26から供給されたC/Nレベルが所定の値よりも低い、すなわち、受信状況が良好ではないとき、ストリーム選択部28を制御して、高階層に対応する映像データおよび音声データと、低階層に対応する映像データおよび音声データの両方を、記録部12により記録されるエレメンタリーストリームとして選択させる。
また、放送信号において、図2乃至図4を用いて説明したエレメンタリーストリームの参照先などの関連情報は、PMTの階層伝送記述子に記載されている。図1の記録制御部27は、C/Nレベル検出部26から供給されたC/Nレベルに応じて、ストリーム選択部28を制御して、記録部12により記録されるエレメンタリーストリームを選択させるとともに、記録されるエレメンタリーストリームに対応させて、PMTを適宜変換させる。
次に、図5乃至図7を用いて、PMTについて説明する。図5は、PMT変換部29に供給されるセクションデータのうちのPMTセクションの構造を示す図である。
table_id(8ビット)は、セクション(テーブル)の種類を示す情報であり、ここでは、PMTであることを表す情報が記載される。section_syntax_indicator(1ビット)は、セクションのヘッダがロングフォームであるか、ショートフォームであるかを示す情報である。reservedは、将来意味付けされるフラグである(以下同様)。section_length(12ビット)は、この直後からセクションの最後まで(CRC(Cyclic Redundancy code)符号があるときはそれを含む)のセクション長をバイト単位で示す情報である。
version_number(5ビット)は、PMTのバージョンを示し、PMTの内容が更新される毎に1だけインクリメントされる。current_next_indicator(1ビット)は、PMTの新旧バージョンを同時に伝送する際に、何れのバージョンのものであるかを示す。section_number(8ビット)は、セクション番号を示し、最初のセクションのセクション番号は、”0x00”とされ、それ以降のセクションにおいては、セクション毎に1だけインクリメントされる。last_section_number(8ビット)は、同一サブテーブルの最後のセクションのセクション番号を示す情報である。PCR_PID(3ビット)は、新しいPMTの内容に書かれているPCR(Program Clock Reference)を伝送するトランスポートパケットのパケットIDである。program_info_length(12ビット)は、このフィールドの直後に続くdescriptorのバイト数を規定する情報である。descriptorは、セクションの内容を補完する情報が記述される記述子である。
stream_type(8ビット)は、映像、音声、またはデータ等、ストリームが伝送される信号の種類を示す。elementary_PID(13ビット)は、エレメンタリーストリームのPIDを示す。ES_info_length(12ビット)は、このフィールドの直後に続く関連するエレメンタリーストリームのdescriptorの長さ(バイト数)を規定する。descriptorには、図6を用いて後述する構造を有する階層伝送記述子が記述される。階層伝送記述子には、階層化伝送における階層化したストリーム間の関係が記述される。また、stream_type、elementary_PID、ES_info_lengthおよびdescriptorは、繰り返し記述される情報である。
そして、最後の32バイトにCRC(Cyclic Redundancy code)32がフレームの誤りを検出するために記載される。
図6は、PMTに記載される階層伝送記述子の構造を示す図である。
descriptor_tagは、descriptorの種別を示す(記述子を識別する)ための情報である。descriptor_lengthは、以下に記載されるデータ部分の全バイト長を規定する。quality_levelは、対応するエレメンタリーストリームが高階層に対応するストリームであるか、低階層に対応するストリームであるかを示す情報であり、たとえば、quality_level=1のとき、高階層であり、quality_level=0のとき、低階層であるものとすることができる。reference_PIDは、図2乃至図4を用いて説明した、参照先のエレメンタリーストリームを示す情報である。
PMTの具体的な記載例について、図7を用いて説明する。
図4を用いて説明した、table_id乃至program_info_lengthの情報に続き、descriptorが記載されている。まず、1つ目のエレメンタリーストリームは、stream_type=0x02が記述されているので、この記述子で表されるエレメンタリーストリームの種類は、MPEG2 VIDEOであり、elementary_PIDとして、0x0100が記述され、ES_info_lengthに、このエレメンタリーストリームの長さが記述され、続いて、ストリーム識別記述子が記述されて、component_tag=0x00でこのエレメンタリーストリームが識別されるようになされ、階層伝送記述子が記述されて、quality_level=1で、このエレメンタリーストリームが高階層であることが示され、reference_PID=1x0101で、このエレメンタリーストリームが参照するエレメンタリーストリームのPIDが指定される。
2つ目のエレメンタリーストリームは、stream_type=0x02が記述されているので、エレメンタリーストリームの種類は、MPEG2 VIDEOであり、elementary_PIDとして、0x0101が記述され、ES_info_lengthに、このエレメンタリーストリームの長さが記述され、続いて、ストリーム識別記述子が記述されて、component_tag=0x01でこのエレメンタリーストリームが識別されるようになされ、階層伝送記述子が記述されて、quality_level=0で、このエレメンタリーストリームが低階層であることが示され、reference_PID=1x0100で、このエレメンタリーストリームが参照するエレメンタリーストリームのPIDが指定される。
3つ目のエレメンタリーストリームは、stream_type=0x02が記述されているので、エレメンタリーストリームの種類は、MPEG2 VIDEOであり、elementary_PIDとして、0x0200が記述され、ES_info_lengthに、このエレメンタリーストリームの長さが記述され、続いて、ストリーム識別記述子が記述されて、component_tag=0x10でこのエレメンタリーストリームが識別されるようになされ、階層伝送記述子が記述されて、quality_level=1で、このエレメンタリーストリームが高階層であることが示され、reference_PID=1x0201で、このエレメンタリーストリームが参照するエレメンタリーストリームのPIDが指定される。
4つ目のエレメンタリーストリームは、stream_type=0x02が記述されているので、エレメンタリーストリームの種類は、MPEG2 VIDEOであり、elementary_PIDとして、0x0201が記述され、ES_info_lengthに、このエレメンタリーストリームの長さが記述され、続いて、ストリーム識別記述子が記述されて、component_tag=0x11でこのエレメンタリーストリームが識別されるようになされ、階層伝送記述子が記述されて、quality_level=0で、このエレメンタリーストリームが低階層であることが示され、reference_PID=1x0200で、このエレメンタリーストリームが参照するエレメンタリーストリームのPIDが指定される。
そして、最後に、CRC32が記載される。
図7を用いて説明したPMTに対応するエレメンタリーストリームの概要を、図8を用いて説明する。
PID0x0100のエレメンタリーストリームは、映像ES(エレメンタリーストリーム)であり、component_tag=0x00で識別され、参照先のエレメンタリーストリームは、PID0x0101の映像ESである。
また、PID0x0200のエレメンタリーストリームは、音声ESであり、component_tag=0x10で識別され、参照先のエレメンタリーストリームは、PID0x0201の音声ESである。
そして、PID0x0101のエレメンタリーストリームは、映像ES(エレメンタリーストリーム)であり、component_tag=0x01で識別され、参照先のエレメンタリーストリームは、PID0x0100の映像ESである。
また、PID0x0201のエレメンタリーストリームは、音声ESであり、component_tag=0x11で識別され、参照先のエレメンタリーストリームは、PID0x0200の音声ESである。
図8に示される放送波が送信され、チューナ22により受信された放送波のC/Nレベルの、C/Nレベル検出部26による検出結果が所定の値以上である、すなわち、放送波の受信状況が良い場合、記録制御部27は、PMT変換部29を制御して、低階層のエレメンタリーストリームに対応する部分の記述と、階層伝送記述子とをPMTから削除させる。したがって、受信された放送波のC/Nレベルが所定の値以上である場合、PMT変換部29は、図7を用いて説明したPMTから、低階層のエレメンタリーストリームに対応する部分の記述と、階層伝送記述子の記載とを削除し、図9に示されるように変更して、マルチプレクサ30に供給する。
そして、受信された放送波のC/Nレベルが所定の値以上である場合、記録制御部27は、ストリーム選択部28を制御して、高階層に対応するエレメンタリーストリームを選択させる。すなわち、ストリーム選択部28は、図8を用いて説明した高階層および低階層のエレメンタリーストリームから、高階層に対応するPID0x0100のエレメンタリーストリームとPID0x0200のエレメンタリーストリームを選択し、マルチプレクサ30に供給する。
一方、図8に示される放送波が送信され、チューナ22により受信された放送波のC/Nレベルの、C/Nレベル検出部26による検出結果が所定の値以下である、すなわち、放送波の受信状況が悪い場合、記録制御部27は、PMT変換部29を制御して、階層伝送記述子をPMTから削除させずに、図10に示されるPMTの状態で、マルチプレクサ30に供給させる。
そして、受信された放送波のC/Nレベルが所定の値以上である場合、記録制御部27は、ストリーム選択部28を制御して、受信されたエレメンタリーストリームをすべて選択させる。すなわち、ストリーム選択部28は、図8を用いて説明した高階層および低階層のエレメンタリーストリームをすべて選択し、マルチプレクサ30に供給する。しかしながら、高階層に対応するエレメンタリーストリームは、受信状況が悪いため、エラーパケットが発生している可能性が高く、再生出力に耐えられるものではない。
そして、図8に示される放送波が送信され、チューナ22により受信された放送波のC/Nレベルの、C/Nレベル検出部26による検出結果が所定の値以上である状態において記録されたエレメンタリーストリームが再生される場合、PMC抽出部64により抽出されるPMTには階層伝送記述子が含まれていないので、再生制御部61は、この再生信号は、C/Nレベルが所定の値以上である状態において記録されたエレメンタリーストリームであることを認識することができる。したがって、再生制御部61は、ストリーム選択部65に、供給されたエレメンタリーストリーム、すなわち、高階層に対応するもののみのエレメンタリーストリームをそのままMPEGデコーダ66に供給させる。
また、図8に示される放送波が送信され、チューナ22により受信された放送波のC/Nレベルの、C/Nレベル検出部26による検出結果が所定の値以下である状態において記録されたエレメンタリーストリームが再生される場合、PMC抽出部64により抽出されるPMTには階層伝送記述子が含まれているので、再生制御部61は、この再生信号は、C/Nレベルが所定の値以下である状態において記録されたエレメンタリーストリームであることを認識することができる。したがって、再生制御部61は、ストリーム選択部65に、供給されたエレメンタリーストリームから、低階層に対応するもののみのエレメンタリーストリームを選択させてMPEGデコーダ66に供給させる。
また、PMC抽出部64により抽出されるPMTには階層伝送記述子が含まれているかいないかの切り替え点において、OSD67が制御されて、表示される映像データに、C/Nレベルの低下、または復帰が原因で、再生されている映像および音声の品質が変更したことを通知するためのメッセージが、表示される映像データに重畳されるようになされている。
図8に示されるエレメンタリーストリームと対応するPMCが受信された場合における、記録されるPMTおよびエレメンタリーストリーム、並びに、提示されるエレメンタリーストリームについて図11を用いて説明する。
録画時のC/Nレベルが所定の値以上であり、受信状態が良好である場合、記録されるPMTには、階層伝送記述子が含まれておらず、記録される映像ES(エレメンタリーストリーム)のPIDは、0x0100であり、記録される音声ESのPIDは、0x0200であり、再生時に提示される映像ESのPIDは、0x0100であり、再生時に提示される音声ESのPIDは、0x0200である。
そして、録画時のC/Nレベルが所定の値以上に低下してしなった場合、記録されるPMTには、階層伝送記述子が含まれており、記録される映像ESのPIDは、0x0100および0x0101であり、記録される音声ESのPIDは、0x0200および0x0201であり、再生時に提示される映像ESのPIDは、0x0101であり、再生時に提示される音声ESのPIDは、0x0201である。
そして、再び、録画時のC/Nレベルが所定の値以上に復帰した場合、記録されるPMTには、階層伝送記述子が含まれておらず、記録される映像ESのPIDは、0x0100であり、記録される音声ESのPIDは、0x0200であり、再生時に提示される映像ESのPIDは、0x0100であり、再生時に提示される音声ESのPIDは、0x0200である。
そして、録画時のC/Nレベルの変化により提示されるエレメンタリーストリームが変更されたとき、ユーザに、C/Nレベルの低下、または復帰が原因で、再生されている映像および音声の品質が変更したことを通知するためのメッセージが、表示される映像データに重畳されるので、ユーザは、なぜ品質が劣るエレメンタリーストリームが提示されているのか、もしくは、なぜエレメンタリーストリームの提示がされなくなったのか、または、なぜ再び提示されるようになったかなど、再生信号の状況を把握することができる。
次に、図12のフローチャートを参照して、放送信号受信記録処理について説明する。
ステップS1において、記録再生装置1の記録データ処理部11の記録制御部27は、再生制御部61を介して供給される信号に基づいて、操作入力部62により、ユーザから、放送信号の受信と記録を指令する操作入力を受けたか否かを判断する。ステップS1において、放送信号の受信と記録を指令する操作入力を受けていないと判断された場合、放送信号の受信と記録が指令されたと判断されるまで、ステップS1の処理が繰り返される。
ステップS1において、放送信号の受信と記録を指令する操作入力を受けたと判断された場合、ステップS2において、記録制御部27は、記録データ処理部11の各部を制御するので、チューナ22は、アンテナ21により受信された放送信号を取得して選局し、以下、復調部23、デスクランブラ24、および、デマルチプレクサ25は、上述したように、受信信号を処理する。
ステップS3において、C/Nレベル検出部26は、チューナにより取得された放送波のC/Nレベルを検出し、検出結果を記録制御部27に供給する。
ステップS4において、記録制御部27は、C/Nレベル検出部26により検出された放送波のC/Nレベルは所定の値以上であるか否かを判断する。
ステップS4において、放送波のC/Nレベルは所定の値以上であると判断された場合、ステップS5において、記録制御部27は、ストリーム選択部28を制御して、デマルチプレクサ25から供給される映像および音声のES(エレメンタリーストリーム)のうち、高階層のESを選択させる。ストリーム選択部28は、記録制御部27の制御に基づいて、高階層のESを選択し、低階層のESを削除し、マルチプレクサ30に供給する。
ステップS6において、記録制御部27は、PMT変換部29を制御して、PMTを書き換えて、伝送記述子を削除させる。PMT変換部29は、記録制御部27の制御に基づいて、供給されたPMTを書き換えて、伝送記述子を削除し、マルチプレクサ30に供給する。
ステップS4において、放送波のC/Nレベルは所定の値以上ではないと判断された場合、または、ステップS6の処理の終了後、ステップS7において、マルチプレクサ30は、供給されたESおよびPMTをマルチプレクスし、REC−FIFO31に供給する。REC−FIFO31は供給された信号を一時保持した後、記録部12のハードディスク記録再生処理部51に供給する。ハードディスク記録再生処理部51は、REC−FIFO31から供給された、処理済の放送信号およびPMTを、ハードディスク52に供給して記録する。
ステップS8において、記録制御部27は、放送信号の記録が終了されるか否かを判断する。ステップS8において、放送信号の記録が終了されないと判断された場合、処理は、ステップS2に戻り、それ以降の処理が繰り返される。ステップS8において、放送信号の記録が終了されると判断された場合、処理が終了される。
このような処理により、階層変調に対応した放送波が記録されるとき、C/Nレベルによって、記録される信号が必要に応じて削除または変更される。すなわち、信号が再生される場合、記録信号の受信時のC/Nレベルに応じて再生されるエレメンタリーストリームが制御されるとともに、異なる階層に切り替わったときに、ユーザに通知することができるような記録信号を生成して記録することができる。
次に、図13のフローチャートを参照して、記録された放送信号の再生処理について説明する。
ステップS21において、再生制御部61は、操作入力部62から供給される信号を基に、ユーザから、記録部12に記録された放送信号の再生を指令する操作入力を受けたか否かを判断する。ステップS21において、放送信号の再生を指令する操作入力を受けていないと判断された場合、放送信号の再生を指令する操作入力を受けたと判断されるまで、ステップS21の処理が繰り返される。
ステップS21において、放送信号の再生を指令する操作入力を受けたと判断された場合、ステップS22において、再生制御部61は、記録再生制御部53に、ユーザにより指定された、記録されている放送信号の読み出しを指令する制御信号を出力する。記録再生制御部53は、ハードディスク記録再生処理部51を制御し、ハードディスク51に記録された、ユーザにより指定された放送信号を読み出させ、バッファメモリ63に供給させる。バッファメモリ63は、供給された放送信号、すなわち、再生信号を、PMT抽出部64に供給する。
ステップS23において、PMT抽出部64は、供給された再生信号から、PMTを抽出し、再生制御部61に供給する。また、PMT抽出部64は、供給された再生信号のうちのエレメンタリーストリーム(ES)を、ストリーム選択部65に供給する。
ステップS24において、再生制御部61は、PMT抽出部64から供給されたPMTに階層伝送記述子が記述されているか否かを判断する。
ステップS24において、PMTに階層伝送記述子が記述されていると判断された場合、ステップS25において、再生制御部61は、ストリーム選択部65を制御して、供給されたエレメンタリーストリームのうち、低階層のエレメンタリーストリーム(ES)を選択させる。ストリーム選択部65は、再生制御部61の制御にしたがって、供給されたエレメンタリーストリームのうち、低階層のエレメンタリーストリームを選択し、MPEGデコーダ66に供給する。
ステップS24において、PMTに階層伝送記述子が記述されていないと判断された場合、ステップS26において、再生制御部61は、ストリーム選択部65を制御して、供給されたエレメンタリーストリームのうちをそのまま出力させる、すなわち、高階層のエレメンタリーストリーム(ES)を選択させる。ストリーム選択部65は、再生制御部61の制御にしたがって、供給されたエレメンタリーストリーム、すなわち、高階層のエレメンタリーストリームを選択し、MPEGデコーダ66に供給する。
ステップS25またはステップS26の処理の終了後、ステップS27において、再生制御部61は、PMT抽出部64から供給されたPMTの階層伝送記述子の記載の有無が切り替わったか否か、具体的には、PMTに階層伝送記述子の記載がある状態から、PMTに階層伝送記述子の記載がない状態に切り替わったか、または、階層伝送記述子の記載がない状態から、PMTに階層伝送記述子の記載がある状態に切り替わったか、もしくは、PMTには、階層伝送記述子の記載がある状態のままであるか、または、階層伝送記述子の記載がない状態のままであるかを判断する。
ステップS27において、PMTの階層伝送記述子の記載の有無が切り替わったと判断された場合、ステップS28において、再生制御部61は、MPEGデコーダ66、音声信号処理部68、D/A変換部69、映像信号処理部70、および、D/A変換部71を制御して、再生信号を適宜処理させ、処理済の放送信号を再生出力するとともに、OSD67を制御して、再生される放送信号の階層が切り替わったことを通知するためのメッセージを映像信号処理部70により処理される映像信号に重畳させ、ユーザに、再生される放送信号の階層が切り替わったことを通知する。
ステップS27において、PMTの階層伝送記述子の記載の有無が切り替わっていないと判断された場合、ステップS29において、再生制御部61は、MPEGデコーダ66、音声信号処理部68、D/A変換部69、映像信号処理部70、および、D/A変換部71を制御して、再生信号を適宜処理させ、処理済の放送信号を再生出力する(映像信号に通知メッセージは重畳されない)。
ステップS28またはステップS29の処理の終了後、ステップS30において、再生制御部61は、記録部12により再生され、バッファメモリ63に供給される再生信号が終了するか否か、または、操作入力部62から供給される信号により再生の終了が指令されたか否かを基に、記録された放送信号の再生が終了されるか否かを判断する。ステップS30において、記録された放送信号の再生が終了されないと判断された場合、処理は、ステップS22に戻り、それ以降の処理が繰り返される。ステップS30において、記録された放送信号の再生が終了されると判断された場合、処理は終了される。
このような処理により、階層変調に対応して記録された放送波を再生するにあたって、記録信号の受信時のC/Nレベルに応じて再生されるエレメンタリーストリームが制御されるとともに、異なる階層に切り替わったときに、ユーザに通知することができる。
したがって、ユーザは、再生信号の品質が切り替わってしまった場合、その原因が、記録信号の受信時のC/Nレベルの変更であることを認識することが可能である。
なお、ここでは、放送信号の記録と記録された放送信号との再生を、1つの装置である記録再生装置1において実行する場合について説明したが、記録される放送信号の処理、放送信号の記録、および、再生する信号の処理が、それぞれ、異なる装置で実行される場合や、それらの処理のうちの一部が異なる装置で実行される場合にも、本発明は適用可能である。すなわち、例えば、記録データ処理部11と同様の機能を有する記録データ処理装置、記録部12と同様の機能を有する情報記録装置、再生処理部13と同様の機能を有するデータ再生装置が、それぞれ、異なる装置として設けられている場合などにおいても、本発明は適用可能である。
また、ここでは、階層化伝送方式が採用されている放送信号を録画するにあたり、受信時のC/Nレベルに応じて、受信状況が良好であるか否かを判断するようになされていたが、受信状況を判断する判断材料としては、C/Nレベル以外に、受信ビット誤り率を用いるようにしてもよく、また、他の方法を用いて、受信状況を判断するようにしてもよい。
なお、ここでは、階層化伝送方式が採用されている放送信号を録画するにあたり、受信時のC/Nレベルに応じて、PMTに記載されている階層伝送記述子を削除するか否かを判断し、記録されたデータの再生時には、PMTに階層伝送記述子が記載されているか否かを基に、再生出力するエレメンタリーストリームを決定するものとして説明しているが、例えば、受信時のC/Nレベルに応じて、PMTに記載されている他の情報であって、削除しても支障がない情報を、必要に応じて削除するようにしてもよく、また、PMT以外の所定の情報(例えば、いずれかのテーブル情報)のうち、削除しても支障がない特定の情報を、必要に応じて削除するようにしてもよい。そして、再生時には、所定の情報(例えば、いずれかのテーブル情報)に、特定の情報が記載されているか否かを基に、再生出力するエレメンタリーストリームを決定するようにしてもよい。
上述した一連の処理は、ソフトウェアにより実行することもできる。そのソフトウェアは、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
この記録媒体は、図1に示すように、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク41または81(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク42または82(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク43または83(MD(Mini-Disk)(商標)を含む)、もしくは半導体メモリ44または84などよりなるパッケージメディアなどにより構成される。
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
1 記録再生装置, 11 記録データ処理部, 12 記録部, 13 再生処理部, 21 アンテナ, 26 C/Nレベル検出部, 27 記録制御部, 28 ストリーム選択部, 29 PMT変換部, 51 ハードディスク記録再生処理部, 52 ハードディスク, 53 記録再生制御部, 61 再生制御部, 42 操作入力部, 63 バッファメモリ, 64PMT抽出部, 65 ストリーム選択部, 67 OSD