以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
図1はプリンタとして構成された画像形成装置の一例を示す垂直断面図である。ここに示した画像形成装置は、その本体筐体1内に配置された複数の像担持体、図示した例では第1乃至第4の4つの像担持体2Y,2M,2C,2BKが設けられている。各像担持体には互いに色の異なるトナー像がそれぞれ形成される。どの像担持体にいかなる色のトナー像を形成するがは適宜選択できるが、図1に示した例では、第1乃至第4の像担持体2Y,2M,2C,2BKに、イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成されるものとする。
図1に示した各像担持体2Y,2M,2C,2BKはドラム状の感光体より成るが、複数のローラに巻き掛けられて回転駆動される無端ベルト状の感光体より成る像担持体などを用いることもできる。ドラム状の像担持体は、例えば、直径が30乃至100mm程度のアルミニウム製の円筒状の基体の表面に、光導電性物質である有機半導体の層を設けたものから構成することができる。
第1乃至第4の像担持体2Y,2M,2C,2BKに対向して第1の中間転写体3が配置され、各像担持体2Y,2M,2C,2BKが第1の中間転写体3の表面に当接している。第1の中間転写体としてドラム状の中間転写体を用いることもできるが、図1に示した例では、第2の中間転写体3が、支持ローラ4,5より成る複数の支持部材に巻き掛けられて矢印A方向に回転駆動される無端ベルトにより構成されている。かかる第1の中間転写体3の表面上に、各像担持体2Y,2M,2C,2BK上に形成された各色のトナー像が重ねて転写される。
第1乃至第4の像担持体2Y,2M,2C,2BK上にトナー像を形成する構成と、その各トナー像を第1の中間転写体3上に転写する構成は実質的に全て同一であり、形成される各トナー像の色が異なるだけである。よって、第1の像担持体2Yにトナー像を形成し、そのトナー像を第1の中間転写体3上に転写する構成と作用だけを説明する。
この像担持体2Yは図1における時計方向に回転駆動され、このとき像担持体表面に除電装置7からの光が照射され、該像担持体2Yの表面電位が初期化される。初期化された像担持体表面は帯電装置8によって所定の極性、この例ではマイナス極性に一様に帯電される。この帯電面に、露光装置9から出射する光変調されたレーザ光Lが照射され、像担持体2Yの表面に書き込み情報に対応した静電潜像が形成される。図1に示した例では帯電装置8として帯電ローラが用いられているが、コロナ放電器や帯電ブレードなどから成る帯電装置を用いることもできる。同様に図1に示した画像形成装置においてはレーザ光を出射するレーザ書き込み装置より成る露光装置9が用いられているが、LEDアレイと結像手段を有する露光装置などを用いることもできる。
像担持体2Yに形成された静電潜像は、これが現像装置11を通るとき、イエロートナー像として可視像化される。ここに一例として示した現像装置11は、乾式の現像剤を担持して搬送する現像ローラ10を有し、この現像ローラ10に担持されて搬送される現像剤によって静電潜像がトナー像として可視像化される。
一方、無端ベルトより成る第1の中間転写体3の内側には、その第1の中間転写体3を挟んで像担持体2Yに対向して位置する第1の転写手段の一例である転写ローラ12と、裏当てローラ13が配置されている。この転写ローラ12と裏当てローラ13が第1の中間転写体3の裏面に当接し、像担持体2Yと第1の中間転写体3との適正な転写ニップが確保されている。
上記転写ローラ12には、像担持体2Y上に形成されたトナー像のトナー帯電極性と逆極性、この例ではプラス極性の転写電圧が印加される。これにより、像担持体2Yと第1の中間転写体3との間に転写電界が形成され、像担持体2Y上のトナー像が、その像担持体2Yと同期して回転駆動される第1の中間転写体3上に静電的に転写される。このように、第1の転写手段は、像担持体2Y上のトナー像を第1の中間転写体3の表面に静電転写する用をなす。
トナー像を第1の中間転写体3に転写したあとの像担持体2Y表面に付着する転写残トナーは、クリーニング装置14のクリーニング部材14Aによって除去され、像担持体2Yの表面が清掃される。
全く同様にして、第2乃至第4の各像担持体2M,2C,2BKには、マゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成される。各像担持体に対向配置された現像装置が、その各像担持体に互いに異なった色のトナー像を形成するのである。第2乃至第4の像担持体2M,2C,2BK上に形成された各色のトナー像は、転写ローラにより構成された各第1の転写手段によって、イエロートナー像の転写された第1の中間転写体3上に順次重ねて静電転写される。このようにして複数の像担持体のそれぞれに形成された互いに色の異なるトナー像が第1の中間転写体に重ねて静電転写されるが、第1の中間転写体上に転写された重ねトナー像より成る画像を必要に応じて第1の画像と称することにする。
一方、第1の中間転写体3の右方には、複数の像担持体から第1の中間転写体3上に転写された重ねトナー像より成る第1の画像が転写される第2の中間転写体15が配置されている。この第2の中間転写体15も支持ローラ16,17,18,21より成る複数の支持部材に巻き掛けられて、第1の中間転写体3に同期して矢印B方向に回転駆動される無端ベルトにより構成されている。この第2の中間転写体15の内側には、第1の中間転写体3用の支持ローラ5にほぼ対向して位置する第2の転写手段の一例である転写ローラ20が配置されている。転写ローラ20と、裏当てローラとしての用をなす支持ローラ21が第2の中間転写体15の裏面に当接し、これによって第1の中間転写体3と第2の中間転写体15が適正な転写ニップをもって互いに当接する。
上記転写ローラ20にも、第1の中間転写体3上の第1の画像のトナー帯電極性と逆極性(図した例ではプラス極性)の転写電圧が印加され、第1の中間転写体3と第2の中間転写体15との間に転写電界が形成される。これにより、第1の中間転写体3上の第1の画像が、第1の中間転写体3と第2の中間転写体15との間の転写位置に達したとき、第1の中間転写体3上の重ねトナー像より成る第1の画像が第2の中間転写体15上に静電的に転写される。このように第2の転写手段は、複数の像担持体2Y,2M,2C,2BKから第1の中間転写体3に転写された重ねトナー像より成る第1の画像を第2の中間転写体15上に静電転写する用をなす。
第2の中間転写体15に第1の画像を転写したあとの第1の中間転写体3の表面に付着する転写残トナーは、紙粉などと共に、クリーニング装置22のクリーニング部材22Aによって除去され、第1の中間転写体3の表面が清掃される。
第2の中間転写体15に転写された第1の画像が、その第2の中間転写体15の回転に伴って所定のところまで移動した時、前述したところと全く同様にして、複数の像担持体2Y,2M,2C,2BK上に順次各色のトナー像がそれぞれ形成され始め、これらのトナー像が第1の中間転写体3上に重ねて静電転写される。このようにして第1の中間転写体3上に得られた重ねトナー像より成る画像を必要に応じて第2の画像と称することにする。
一方、本体筐体内の下部には、記録媒体給送装置23が設けられている。ここに例示した記録媒体給送装置23は、転写紙や樹脂シートなどから成る記録媒体Pを積載収容した2つの給紙カセット24,24Aと、その各給紙カセットから記録媒体Pを送り出す給紙ローラ25,25Aを有し、そのいずれかの給紙ローラが最上位の記録媒体上面に当接して回転することにより、その最上位の記録媒体が送り出され、該記録媒体は複数のガイド部材により構成された搬送路を通ってレジスト手段の一例であるレジストローラ対26へ搬送される。
レジストローラ対26は、第1の中間転写体3上の第2の画像と第2の中間転写体15上の第1の画像が記録媒体Pの各面にそれぞれ整合して転写されるタイミングで記録媒体Pを送り出す。このようにしてレジストローラ対26から送り出された記録媒体は、第1の中間転写体3と第2の中間転写体15との当接部を通過し、上方に搬送される。この搬送過程中に、第2の中間転写体15上の第1の画像が記録媒体Pの一方の面に静電転写されると共に、像担持体2Y乃至2BKのそれぞれに形成された互いに色の異なるトナー像を第1の中間転写体3に重ねて静電転写して得た第1の中間転写体3上の第2の画像が、同じ記録媒体の他方の面に静電転写される。
記録媒体の各面に第1の画像と第2の画像を転写し始める順は、いずれが先であってもよく、また同時に第1の画像と第2の画像を記録媒体の一方の面と他方の面にそれぞれ転写するように構成してもよいが、図1に示した画像形成装置においては、先ず第1の中間転写体3上の第2の画像を記録媒体Pの他方の面に転写し始め、次いで第2の中間転写体15上の第1の画像を記録媒体Pの一方の面に転写し始めるように構成されている。すなわち、記録媒体Pが第1及び第2の中間転写体3,15の間を通過するとき、前述の転写ローラ20に第1の中間転写体3上の第2の画像のトナー帯電極性と逆極性(図の例ではプラス)の転写電圧が印加され、これによって記録媒体Pの他方の面に第1の中間転写体3上の第2の画像が静電転写される。このようにして第2の画像を転写された記録媒体Pは、引き続き第2の中間転写体15の表面に密着しながら上方に搬送される。
このとき第2の中間転写体15の表面に対向して配置された第3の転写手段の一例であるコロナ放電器27に、第2の中間転写体15上の第1の画像のトナー帯電極性と逆極性(本例ではプラス極性)の転写電圧が印加される。これによって第2の中間転写体15と記録媒体Pとの間に転写電界が形成され、第2の中間転写体15上の第1の画像が記録媒体Pの一方の面に静電的に転写される。
上述のように、第2の中間転写体上の第1の画像を記録媒体の一方の面に静電転写する第3の転写手段を有しており、本例の画像形成装置においては、第2の中間転写体15の表面から離間して位置する放電ワイヤを有するコロナ放電器27によって第3の転写手段が構成されている。かかる第3の転写手段は、第2の中間転写体15の表面に対向し、かつその表面から離間して配置されているので、第3の転写手段は、第2の中間転写体15の表面に密着して搬送される記録媒体に接触しない。従ってこの記録媒体の他方の面に転写された第2の画像が第3の転写手段によって乱されることはない。同様の機能を達成できれば、コロナ放電器以外の第3の転写手段を採用することもできる。
また、複数の像担持体から第1の中間転写体に転写された重ねトナー像より成る第2の画像が記録媒体の他方の面に静電転写されるが、この転写を行う転写手段が第4の転写手段である。図示した例では、この第4の転写手段として、第2の転写手段としての転写ローラ20が用いられている。第4の転写手段と第2の転写手段が同一の転写装置によって構成され、第2の転写手段が第4の転写手段としても用いられるのである。
第2の転写手段と第4の転写手段を別々に設けることもできるが、これらの転写手段を同一の転写装置により構成することにより画像形成装置の構成を簡素化することができる。第1の中間転写体3上の第2の画像又は第2の中間転写体15上の第1の画像の帯電極性を、図示していない帯電装置によって反転させるように構成すれば、第2、第3及び第4の転写手段を1つの転写装置、例えば図1に示した転写ローラ20によって構成することもでき、画像形成装置の構成を一層簡素化することができる。
第1の画像と第2の画像を転写された記録媒体Pは第2の中間転写体15から離れてさらに上方に搬送され、第2の中間転写体15よりも上方に配置された定着手段28を通過する。ここに示した定着手段28は、定着ローラとして構成された第1の加熱手段29と第2の加熱手段30を有し、これらの加熱手段はその内部に設けられたヒータなどの熱源によって加熱され、それぞれ矢印方向に回転しながら互いに当接する。記録媒体Pは、かかる第1及び第2の加熱手段29,30の間を搬送され、このとき両加熱手段29,30から受ける熱と圧力の作用によって、記録媒体Pに転写された第1の画像と第2の画像が一度に記録媒体Pに定着される。定着手段28を通過した記録媒体Pは、排出ローラ対60によって、記録媒体排出部31へ搬送され、矢印Cで示すようにこの記録媒体排出部31上に排出される。このようにして、両面にフルカラー画像の形成された記録媒体が得られる。
第1及び第2の加熱手段29,30の表層を、例えば離型性に優れたシリコーンゴムなどにより構成することができるが、その表層の材質を同じにしておくと、記録媒体Pの各面に定着された第1及び第2の画像の光沢度や色合いなどを同じにすることができる。
第2の画像を記録媒体Pの他方の面に転写したあとの第1の中間転写体3の表面はクリーニング装置22のクリーニング部材22Aによって清掃される。
一方、第1の画像を転写したあとの第2の中間転写体15の表面に付着する転写残トナーは、その第2の中間転写体15の表面に圧接するクリーニング装置32のクリーニング部材32Eによって除去され、その表面が清掃される。除去されたトナーは図示していないトナー搬送手段により同じく図示していない収納部に集められる。
ここに示したクリーニング部材32Eは、クリーニング部材14A,22Aと同じく、クリーニングブレードにより構成されているが、他の形態のクリーニング部材を用いることもできる。クリーニング部材32Eは、第2の中間転写体15に担持された第1の画像がそのクリーニング部材32Eを通るとき、第2の中間転写体15の表面から離間し、その表面に付着した転写残トナーを除去する時に、当該表面に当接する。
第2の中間転写体15を支持ローラ16を支点として揺動可能とすることにより、該第2の中間転写体15を第1の中間転写体3に対して接離可能に支持し、第1の中間転写体3上の第1の画像を第2の中間転写体15に転写するときと、第1の中間転写体3上の第2の画像を記録媒体に転写するとき、両中間転写体3,15を直接又は記録媒体を介して当接させ、その他の時期にはこれらの中間転写体3,15を互いに離しておくように構成することもできる。
以上説明した画像形成方法及びその装置の構成によれば、第1の中間転写体3と第2の中間転写体15との間に記録媒体を一度送り込むだけで、その両面にカラー画像を形成することができるので、記録媒体の両面にカラー画像を形成し終えるまでの時間を短縮でき、その生産性を高めることができる。しかも、従来のように一方の面に画像が転写された記録媒体を反転させて再びその記録媒体を像担持体へ向けて搬送する必要はないので、記録媒体の搬送トラブルの発生を抑制できる。さらに記録媒体が像担持体に接触することはないので、像担持体に紙粉が付着して、像担持体上に形成されるトナー像の品質が低下する不具合を抑制できる。また、第1の中間転写体3の表面に沿って複数の像担持体2Y乃至2BKを配列し、その各像担持体から第1の中間転写体3上に各トナー像を転写するので、短時間で第1の中間転写体3上に重ね画像を形成することができ、カラー画像の生産性を一層高めることができる。
また、従来のように、記録媒体の一方の面に転写した第1の画像を定着した後、その記録媒体の他方の面に第2の画像を転写し、その第2の画像を定着するように構成すると、記録媒体が最初の定着手段を通過するとき、これに加えられる熱と圧力によって記録媒体がわずかに伸ばされ、かかる記録媒体の他方の面に第2の画像が転写されるので、記録媒体の各面に形成された画像の倍率が微妙に異なってしまう。ところが図1に示した画像形成装置においては、記録媒体Pの各面に転写された第1及び第2の画像を定着手段28によって一度に、すなわち同時に定着するので、定着後の各画像の倍率が異なってしまうことはない。
また、複数の色のトナー像を重ねた第1の画像を第2の中間転写体15上に転写し、同じく複数の色のトナー像を重ねた第2の画像を第1の中間転写体3上に転写し、その各重ねトナー像を記録媒体の各面にそれぞれ一括して転写するので、記録媒体に転写された各画像に色ずれが発生し難くなり、その画質を高めることができる。複数の像担持体に形成された各色のトナー像を記録媒体に順次転写すると、記録媒体の搬送の不安定性に起因して、記録媒体に転写された各色のトナー像がずれるおそれがあるが、図1に示した画像形成装置においては、このような不具合の発生を阻止することができる。
また第1及び第2の画像をそれぞれ記録媒体に転写したあとの第1及び第2の中間転写体3,15の表面をクリーニング装置22,32によってそれぞれクリーニングするので、記録媒体の各面に形成されたカラー画像の色合いが異なる不具合も阻止できる。各クリーニング装置22,32によって各中間転写体上に付着している紙粉も除去できるので、紙粉によるカラー画像の品質低下も防止できる。
なお、無端ベルトより成る第1の中間転写体3は、各像担持体からのトナー像の転写を可能とし、そのトナー像を担持できる抵抗値を備えたベルトより成り、例えば、厚みが50乃至600μmの樹脂フィルム又はゴムなどから成るベルト基体に低表面エネルギーの表層をコートしたものから構成することができる。
同様に無端ベルトより成る第2の中間転写体15は、第1の中間転写体3からのトナー像の転写を可能とし、そのトナー像を担持できる抵抗値を備えたベルトより成り、例えば、50乃至600μmのポリイミド或いはポリアミドイミドなど耐熱性に優れた樹脂フィルム又はゴムなどから成るベルト基体の表面にフッ素樹脂などから成る低表面エネルギーの離型層が積層された無端ベルトによって構成することができる。このように、耐熱性に優れた第2の中間転写体15を用いれば、この第2の中間転写体15を定着手段28に接近させて配置しても、その第2の中間転写体が早期に熱劣化することを防止できる。また、無端ベルトより成る第2の中間転写体15の周長は、例えば、A4サイズの画像が、その短辺を当該周長方向とした状態で、互いに間隔をあけて2画面分担持できる長さ、例えば548mmとすることができる。これにより、A3サイズの1つの画像、又はこれよりも多少大サイズの所謂ノビサイズの画像を第2の中間転写体15に担持することができる。
第1の中間転写体3と第2の中間転写体15の体積抵抗率は、105乃至1012Ω・cmで、特に107乃至1011Ω・cmであることが好ましい。また、これらの中間転写体3,15の表面抵抗率は、106乃至1013Ω/□、特に108乃至1012Ω/□であることが好ましい。
その際、第1の中間転写体3上の第1の画像を第2の中間転写体15に効率よく静電的に転写するには、第1の中間転写体3の体積抵抗率を、第2の中間転写体15の体積抵抗率よりも高く設定し、また第1の中間転写体3の表面抵抗率を、第2の中間転写体15の表面抵抗率よりも高く設定することが好ましい。
また、第1及び第2の中間転写体3,15の内側に設けられる支持ローラなどの各部材のうち、第1の転写手段と第2の転写手段を構成する各転写ローラ12,20以外の部材は、接地しておくことが好ましく、これによって転写効率を高め、異常画像の発生を防止する効果が得られる。
さらに、各像担持体2Y乃至2BKと、そのまわりに設けられる帯電装置8、現像装置11及びクリーニング装置14などを一体的なプロセスカートリッジとして構成し、これを寿命到来時に新たなプロセスカートリッジと交換できるように構成することもできる。
また、記録媒体Pの一方の面に転写された第1の画像と、その他方の面に転写された第2の画像が共に正像となるようにするには、第1の画像用のトナー像を各像担持体2Y乃至2BK上に形成するとき、その各像担持体に逆像の静電潜像を形成し、第2の画像用のトナー像を各像担持体2Y乃至2BK上に形成するときは、その各像担持体に正像の静電潜像を形成する必要があるが、このような露光の切り換えは、図示していない書き込み制御コントローラによって制御される。
また、記録媒体排出部31を図1に示したように配置した場合、記録媒体は、第1の中間転写体3から直に第2の画像を転写された他方の面を下にして記録媒体排出部31に載置されるので、記録媒体排出部31に排出された記録媒体の頁順が揃うようにするには、第1の画像が2頁目の画像となり、第2の画像が1頁目の画像となるように、各像担持体にトナー像を形成すればよい。このようにすれば多数枚の記録媒体を記録媒体排出部31に排出したときも、その頁順を全て揃えることができる。かかる頁揃えを行うには、画像データをメモリに貯蔵する公知の技術で実現できる。
また、図1に示した画像形成装置の本体筐体1内には、制御装置E1及び電源装置E2が収納され、定着手段28の近傍にはファンF1が設けられていて、本体筐体内の温度過昇防止のために、ファンF1によって本体筐体内の空気を外部に排出するように構成されている。
図1に示した第1及び第2の転写手段は、第1及び第2の中間転写体3,15の裏面にそれぞれ接触した転写ローラ12,20によって構成されているが、中間転写体の裏面に接触するブラシ、またはブラシローラなどからなる転写手段や、中間転写体から離間して配置される放電ワイヤを有するコロナ放電器より成る転写手段などを採用することもできる。但し、転写時に第1の中間転写体3を各像担持体に押し付け、また第2の中間転写体15を第1の中間転写体3に押し付けて良好な転写効果が得られる転写ローラ12,20を採用することが好都合である。
図1に示した第1の中間転写体3と第2の中間転写体15は、それぞれ、支持ローラより成る複数の支持部材に巻き掛けられて回転駆動される無端ベルトにより構成されているので、その各無端ベルトを各種形態で張架することができ、これらが最もコンパクトとなるように構成することが可能である。これにより、第1の中間転写体3の外周面に複数の像担持体を並べて配置しても、その全体をコンパクト化することが可能となり、画像形成装置の小型化を達成できる。
特に、図1に示した画像形成装置においては、図2に示すように、複数の支持部材に巻き掛けられて回転駆動される無端ベルトより成る第1の中間転写体3の高さHが、その水平方向の幅Wよりも小さく設定され、しかもその第1の中間転写体3の水平方向における一方の端部Eを記録媒体が通過するように、その記録媒体の搬送路と第1の中間転写体3の相対位置が設定されているので、第1の中間転写体3の高さを小さくして、画像形成装置の全高を低くすることができる。しかも第1の中間転写体3の水平方向における端部Eを記録媒体が通るので、記録媒体が水平方向に搬送されるように構成した場合に比べ、本体筐体1のデッドスペースを少なくして、画像形成装置の水平方向のサイズも小型化できる。
さらに、図1に示す如く無端ベルトより成る第1の中間転写体3の下辺3Aに沿って、複数の像担持体2Y乃至2BKを配置し、或いは図14及び図16に示した後述する画像形成装置のようにその第1の中間転写体3の上辺3Bに沿って複数の像担持体2Y,2M,2C,2BKを配置すると、本体筐体1内に、複数の像担持体をバランス良く配置し、本体筐体内のデッドスペースをより小さくして画像形成装置全体をよりコンパクトに構成することができる。
また、図1に示した画像形成装置においては、第1の中間転写体3の上方に、定着手段28を通過した記録媒体が排出される記録媒体排出部31が配置されているが、この記録媒体排出部31は、記録媒体の排出方向上流側部分よりも下流側部分が高くなる向きに傾斜配置されている。これにより、記録媒体排出部31に複数の記録媒体を正しくスタックすることが可能となるが、その際、図1に示す如く、複数の支持部材に巻き掛けられた無端ベルトより成る第1の中間転写体3の上辺3Bが記録媒体排出部31にほぼ平行に延びていると、本体筐体内のデッドスペースをより少なくすることができる。
さらに、図1に示した画像形成装置においては、記録媒体給送装置23が本体筐体1の下部に設けられ、記録媒体Pに画像が転写される転写位置に対し、その下方から記録媒体Pが搬送されるようにその記録媒体Pの搬送路が形成され、定着手段28が上記転写位置の上方に配置されている。
この構成により、記録媒体Pはほぼ垂直な姿勢で定着手段28に進入する。このため、記録媒体は、その腰によって、自重で垂れ下がることなく第1及び第2の加熱手段29,30の間に確実に入り込み、記録媒体の先端が加熱手段29,30に突き当たることはない。このため、記録媒体上の未定着トナー像(第1及び第2の画像)が振動によって乱されるようなことがなく、定着後のカラー画像の品質を高めることができる。
しかも、定着手段28が転写位置の上方に位置しているので、定着手段28で発生する熱が本体筐体内にこもり、その内部の温度が過度に上昇する不具合を防止することができる。本体筐体内の上部の熱はファンF1によって外部に排出される。
また、図1に示した画像形成装置は、記録媒体Pに画像が転写される転写位置へ記録媒体Pを所定のタイミングで送り出すレジストローラ対26より成るレジスト手段を有しているが、その際、上記転写位置よりも下方に位置する第2の中間転写体15の部分15Aが、レジスト手段との干渉を避けるように、その転写位置を通る鉛直線V(図2)よりも、レジスト手段から離れる向きに退避して位置している。このため、レジストローラ対26を配置するスペースを支障なく確保でき、そのレジストローラ対26を配置する設計自由度を高めることができる。
図4は、図1に示した画像形成装置と一部の構成が異なった画像形成装置の垂直断面図である。ここに示した画像形成装置の基本構成と作用は図1に示した画像形成装置と変りはないので、主として異なる点だけを説明する。無端ベルトより成る第2の中間転写体15は、支持ローラ16,17,18,21に巻き掛けられ、その内側には裏当て板33と裏当てローラ34が配設され、第2の中間転写体15を挟んで裏当て板33には第3の転写手段の一例であるコロナ放電器27が対向配置され、裏当てローラ34にはクリーニング装置32のクリーニングローラ32Aより成るクリーニング部材が対向配置されている。
クリーニング装置32は、クリーニングローラ32Aのほかに、このクリーニングローラ32Aに圧接するブレード32B、トナー搬送手段32Cを有している。クリーニングローラ32Aは支点32Dのまわりに揺動可能に支持されている。
また定着手段28は、第2の中間転写体15の外側に位置する第1の加熱手段29Aと、第2の中間転写体15の内側に配置され、その内側面に当接した第2の加熱手段30Aを有している。第1の加熱手段29Aは、その内部に設けられたヒータによって加熱される定着ローラより成るが、発熱体により加熱される定着ベルトより成る第1の加熱手段を用いることもできる。第2の加熱手段29Aとしては、例えば、発熱素子をアレイ状に配置した装置などを用いることができる。
また、第2の中間転写体15を支持する支持ローラ16は、第2の中間転写体15を冷却する冷却手段を兼ねていて、このローラは、例えば内部に冷却媒体を有するヒートパイプにより構成されている。かかる冷却手段以外の冷却装置、例えば第2の中間転写体15に冷風を吹き当ててこれを冷却する装置などを採用することもできる。
無端ベルトより成る第2の中間転写体15は、図1に示した画像形成装置の第2の中間転写体15と全く同じく、耐熱性のベルト基体の表面に離型層が積層された無端ベルトにより構成されている。
図1に示した画像形成装置の場合と全く同様にして、複数の像担持体2Y乃至2BKから第1の中間転写体3に静電転写された複数色のトナー像によって第1の中間転写体3上に第1の画像が形成され、この第1の画像は第2の中間転写体15に静電転写される。第2の中間転写体15上に転写された第1の画像が定着手段28と、クリーニング装置32を通るとき、第1の加熱手段29Aとクリーニングローラ32Aは第2の中間転写体15から離間している。このため、第1の画像が第1の加熱手段29Aとクリーニングローラ32Aによって乱されることはない。しかも、このとき、第1及び第2の加熱手段29A,30Aへの加熱動作はオフされている。
引き続き、第2の中間転写体15上の第1の画像と、複数の像担持体2Y乃至2BKから第1の中間転写体3上に重ね転写された第2の画像が、記録媒体給送装置23から給送された記録媒体Pの一方の面と他方の面に、図1の画像形成装置の場合と全く同様にしてそれぞれ転写される。この記録媒体が定着手段28を通るとき、第1の加熱手段29Aと第2の加熱手段30Aはそれぞれ加熱され、しかも第1の加熱手段29Aは記録媒体Pの他方の面に当接しながら回転する。これにより、記録媒体Pの各面に転写された第1及び第2の画像に圧力と熱が加えられ、これらの画像が記録媒体に定着される。
このように、第2の中間転写体15の外側に位置する第1の加熱手段29Aと、第2の中間転写体15の内側に位置する第2の加熱手段30Aによって、記録媒体に転写された第1及び第2の画像が同時に定着されるのである。
定着手段28を通過した記録媒体Pは、図1に示した画像形成装置の場合と同じく記録媒体排出部31に排出される。また、第2の中間転写体15上の転写残トナーは、紙粉などと共にその中間転写体15の表面に接触したクリーニングローラ32Aによって除去される。クリーニングローラ32Aに付着したトナーはブレード32Bによって掻き落とされ、トナー搬送手段32Cによってクリーニング装置外に排出される。
クリーニング装置32を通過した第2の中間転写体15の部分は、冷却手段を兼用する支持ローラ16によって冷却される。
図4に示した画像形成装置の画像形成に関する他の基本構成と作用は、図1に関連して先に説明したところと変りはなく、よって、図1の各部に対応する図4の各部分には、図1と同一の符号を付して、その説明は省略する。
図4に示した画像形成装置においては、第2の中間転写体15が複数の支持部材に支持されて回転駆動される無端ベルトより成ると共に、定着手段28が、無端ベルトより成る第2の中間転写体15の内側に配置された加熱手段30Aを有し、第2の中間転写体15に密着して搬送される記録媒体上の画像を定着するので、定着手段28に進入する記録媒体に大きな衝撃が与えられることはない。このため、画像を乱すことなく、その画像を定着することができ、定着後の画像の画質を高めることができる。また、第2の中間転写体15は像担持体2Y乃至2BKとは接触していないので、各像担持体が定着手段28の熱の影響を直に受けることはなく、像担持体の熱劣化を防ぐことができる。
また、無端ベルトより成る第2の中間転写体15は、前述のように耐熱性と表面の離型性に優れているので、第2の中間転写体15が熱によって早期に劣化することを阻止でき、しかも定着時に第2の中間転写体15の側へ溶融したトナーが移行することを防止できる。
さらに、第2の中間転写体15の移動方向に関し、定着手段28よりも下流側であって、画像が記録媒体Pに転写される転写位置よりも上流側の部位に、第2の中間転写体15を冷却する冷却手段が設けられているので、定着動作時に加熱された第2の中間転写体15の温度を下げ、この第2の中間転写体15に次の画像が転写されるときに熱によってその画像に悪影響が与えられることを阻止できる。
ところで、図1及び図4に示した画像形成装置においては、その本体筐体1が不動筐体1Aと、その不動筐体1Aに支軸35を介して回動開閉可能に支持された可動筐体1Bとを有している。図3及び図5は、それぞれ図1及び図4に示した可動筐体1Bを開位置に回動させたときの様子を示している。このとき、記録媒体の搬送路が大きく開くので、ジャムした記録媒体を容易に取り出すことができる。しかも、第3の転写手段を構成するコロナ放電器27は不動筐体1A側に設けられ、可動筐体1Bを開いたとき、第3の転写手段が外部に露出する。このため、操作者はこの第3の転写手段に容易にアクセスして、これを清掃するなどの保守作業を行うことができる。
このように、画像形成装置の本体筐体1が、不動筐体1Aと、記録媒体Pの搬送路を境にして不動筐体1Aに対して開放可能な可動筐体1Bとを有し、可動筐体1Bを開位置にもたらしたとき、第3の転写手段が外部に対して露出するように、その第3の転写手段が不動筐体1A側に設けられているのである。図示した例では可動筐体1Bが不動筐体1Aに対して回動可能に支持されているが、図示していない案内レール又はリンク機構を用いて、可動筐体1Bを回動させることなく、立ち上がった状態のまま、不動筐体1Aに対して離間できるように構成することもできる。
その際、図4及び図5に示した画像形成装置においては、前述のように、定着手段28が、その間を記録媒体が通過する第1の加熱手段29Aと第2の加熱手段30Aとを有しているが、可動筐体1Bを開位置にもたらしたとき、第1の加熱手段29Aと第2の加熱手段30Aが互いに離間するように、第1の加熱手段29Aが不動筐体1A側に設けられ、第2の加熱手段30Aが可動筐体1B側に設けられている。しかも可動筐体1Bを開位置にもたらしたとき、第1の中間転写体3と第2の中間転写体15が互いに離間するように、該第1の中間転写体3が不動筐体1A側に設けられ、第2の中間転写体15が可動筐体1B側に設けられている。この点は図1及び図3に示した画像形成装置も同様である。また、図1に示した画像形成装置においても、その定着手段28の第1の加熱手段29を不動筐体1Aの側に設け、第2の加熱手段30を可動筐体1Bの側に設け、可動筐体1Bを開いたとき、両加熱手段29,30が離間するように構成することもできる。
上述の構成により、記録媒体のジャムが発生したとき、可動筐体1Bを開くことにより容易にジャムした記録媒体を取り除くことができ、しかも第1の加熱手段と第2の加熱手段が互いに大きく離れるので、これらを容易に清掃するなどの保守作業を行うことができる。
また、可動筐体1Bの側に設けられた第2の中間転写体15と、これに関連する部品をユニットとして構成しておけば、図3及び図5に示すように可動筐体1Bを開いて、そのユニットを上方に容易に取り出すことができる。
図6及び図7に示した画像形成装置は、無端ベルトより成る第1の中間転写体3が支持ローラ4,5,6に巻き掛けられ、その下辺3Aが水平に配置され、その下辺に沿って複数の像担持体2Y,2M,2C,2BKが配設され、第1の中間転写体3は矢印A方向に回転する。図6及び図7に示した第1の中間転写体3を清掃するクリーニング装置22のクリーニング部材22Aは、クリーニングローラにより構成されている。図6に示した画像形成装置の他の基本構成は、図1乃至図5に関連して先に説明した画像形成装置と実質的に変りはない。よって、図1の各部に対応する図6の各部分には、図1と同一の符号を付してその説明を省略する。また図1の各部に対応する図7の各部分にも図1と同一の符号を付してある。
図7に示した画像形成装置も、先に説明した各例の画像形成装置と同様に、第1の中間転写体3と第2の中間転写体15は、それぞれ、複数の支持部材に巻き掛けられて回転駆動される無端ベルトより成り、しかも図8に示すように第1の中間転写体3の高さHが、その水平方向の幅Wよりも小さく設定され、かつ第2の中間転写体15の高さH1がその水平方向の幅W1よりも大きく設定され、第1の中間転写体3の水平方向における一方の端部Eを前記記録媒体が通過するように、該記録媒体Pの搬送路と第1の中間転写体3の相対位置が設定されている。さらに、記録媒体に画像が転写される転写位置と第2の中間転写体15の下端部E1(図8)との間の高さ方向領域内に、転写位置へ記録媒体Pを所定のタイミングで送り出すレジスト手段の一例であるレジストローラ対26が設けられている。また、第1の中間転写体3の下方には、前述の各例の画像形成装置と同じく転写位置に記録媒体を送り出す記録媒体給送装置23が配置されているが、図7に示した例では、この記録媒体給送装置23のほかに、転写位置に記録媒体を送り出す第2の記録媒体給送装置61が設けられている。この第2の記録媒体給送装置61は、第2の中間転写体15の下方領域に配置され、フレーム62と、このフレーム62に支持された底板63を有し、その底板63上に記録媒体Pが載置されている。この記録媒体Pに当接した給紙ローラ64が回転することにより、最上位の記録媒体が矢印R2で示す記録媒体の搬送路を通してレジストローラ対26へ送り出され、転写位置へ給送される。第1の記録媒体給送装置23から送り出された記録媒体Pは、矢印R1で示す記録媒体の搬送路を通してレジストローラ対26に送られる。
また、第2の記録媒体給送装置61から送り出される記録媒体Pの先端部P1が、第2の中間転写体15よりも下方の高さ領域内に位置するように、第2の記録媒体給送装置61が配置され、しかもこの第2の記録媒体給送装置61は、画像形成装置の本体筐体1から外方に突出している。給紙ローラ64は、第1の記録媒体給送装置23の給紙ローラ25Aにほぼ対向して位置している。
さらに、複数の像担持体2Y,2M,2C,2BKのそれぞれを露光して、各像担持体に静電潜像を形成する露光装置9が第1の中間転写体3の下方に配置されている。
上述のように、第2の中間転写体15を上下方向に縦長に形成することにより、画像形成装置の本体筐体1が水平方向に大型化することを阻止でき、しかもその第2の中間転写体15の側方の空間に、水平方向に扁平に形成された第1の中間転写体3と、レジストローラ対26と、第1の記録媒体給送装置23と、さらには露光装置9を配置することにより、本体筐体1内の空間を無駄なく使い、該空間に上記各要素をコンパクトに収めることができる。しかも、第2の記録媒体給送装置61が、本体筐体1から外方に突出しているので、この第2の記録媒体給送装置61が本体筐体内で大きなスペースを占めることはない。このようにして、本体筐体1が大型化することを阻止できる。
また、第2の記録媒体給送装置61を、その下部側を中心として本体筐体1に対して回動可能に支持し、第2の記録媒体給送装置61の非使用時には、当該第2の記録媒体給送装置61を図7に示した状態から反時計方向に回動させ、その第2の記録媒体給送装置61をほぼ垂直な状態に折り畳むことができるように構成すると、第2の記録媒体給送装置61の非使用時に、これが邪魔となる不具合を阻止できる。
また、図7に示した画像形成装置においても、先の例の画像形成装置と同じくその本体筐体1が、不動筐体1Aと、該不動筐体1Aに対して開閉可能な可動筐体1Bとを有し、図9に示すように可動筐体1Bを支軸35のまわりに回動させて開放することができる。ここで、第1の記録媒体給送装置23からレジスト手段に通じる記録媒体の搬送路を第1の記録媒体搬送路R1と称し、第2の記録媒体給送装置61から第1の記録媒体搬送路R1へ通じる記録媒体の搬送路を第2の記録媒体搬送路R2と称することにすると、図9に示す如く、可動筐体1Bを開くことにより、第1の記録媒体搬送路R1と第2の記録媒体搬送路R2が共に開放されるように、第1及び第2の記録媒体搬送路R1、R2に対する可動筐体1Bの位置が設定されている。このため、第1及び第2の記録媒体搬送路R1、R2で記録媒体が詰まった場合にも、可動筐体1Bを開いて、容易にその詰まった記録媒体を除去することができる。なお、図7に示した本体筐体1の下方に図示していない記録媒体給送装置を配置した場合に、その記録媒体給送装置から送り出された記録媒体が第1の記録媒体搬送路R1に送り込まれるように、該第1の記録媒体搬送路R1に通じる第3の記録媒体搬送路R3が設けられている。
また、図7に示したレジスト手段を構成するレジストローラ対26のうちの一方のレジストローラ26Aを第1のレジストローラと称し、他方のレジストローラ26Bを第2のレジストローラと称することにすると、図7に示した画像形成装置には、第1及び第2のレジストローラ26A,26Bの表面をそれぞれクリーニングする第1及び第2の異物除去手段65,65Aと、その第1及び第2の異物除去手段65,65Aにより除去された異物をそれぞれ収容する第1及び第2の異物収容部材66,66Aとが設けられている。図7に示した例では、第1のレジストローラ26Aの表面が金属より成り、第2のレジストローラ26Bの表面がゴムより成り、第1の異物除去手段65は、第1のレジストローラ26Aの表面に当接するブレードにより構成され、第2の異物除去手段65Aは、第2のレジストローラ26Aの表面に接触するブラシローラにより構成されている。
記録媒体には、紙粉やサイジング剤などの添加物より成る異物が付着しており、かかる異物がレジストローラ26A,26Bの表面に付着してこれが堆積すると、その各ローラ26A,26Bの表面が変質したり、その外径寸法が変化して、記録媒体の搬送トラブルの原因となる。また、異物が第1の中間転写体3を介して、像担持体の表面に移行すると、その各像担持体上に形成されるトナー像の画質が劣化するおそれがある。ところが、図7に示した画像形成装置においては、上述のように第1及び第2の異物除去手段65,65Aによって、第1及び第2のレジストローラ26A,26Bの表面から異物を除去できるので、上述した不具合の発生を阻止することができる。しかも、その除去した異物を、第1及び第2の異物収容部材66,66Aに収容できるので、本体筐体内に異物が散乱する不具合も阻止できる。
しかも、図7に示した画像形成装置においては、第1のレジストローラ26Aは不動筐体1Aの側に支持され、第2のレジストローラ26Bは可動筐体1Bの側に支持され、さらに、第1及び第2の異物収容部材66,66Aが、第1の記録媒体搬送路R1を挟んで、その各側にそれぞれ配置され、かつ第1の異物除去手段65と第1の異物収容部材66が不動筐体1Aの側に配置され、第2の異物除去手段65Aと第2の異物収容部材66Aが可動筐体1Bの側に配置されている。このため、可動筐体1Bを図9に示したように開放すれば、第1のレジストローラ26Aと第2のレジストローラ26Bが互いに大きく離間すると共に、第1の異物除去手段65及び第1の異物収容部材66の側と、第2の異物除去手段65A及び第2の異物収容部材66Aの側とが大きく離間するので、これらの間に詰まった記録媒体を容易に除去できる。しかも、第1及び第2の異物収容部材66,66Aが外部に対して開放されるので、これらの異物収容部材66,66Aに溜まった異物を該収容部材66,66Aから取り出すなどして、当該異物を容易に処理することができる。
また、図7に示した画像形成装置においては、第1の記録媒体搬送路R1を搬送される記録媒体に搬送力を付与する一対の搬送ローラ67,67Aと、第2の記録媒体搬送路R2を搬送される記録媒体に搬送力を与える一対の搬送ローラ68,68Aが設けられ、これらの搬送ローラ67,67A,68,68Aは共に不動筐体1Aの側に支持されている。可動筐体1Bを図9に示したように開くと、搬送ローラ67A,68Aが、不動筐体1Aの側に位置不動に配置された搬送ローラ67,68に対して離間する。また、定着手段28も、その全体が不動筐体1Aの側に支持され、可動筐体1Bを開くと、第2の加熱手段30が第1の加熱手段29から離間する。このため、搬送ローラ67,67A,68,68A、定着手段28に詰まった記録媒体を容易に除去できる。可動筐体1Bを図7に示すように閉じれば、互いに対をなした各ローラ67と67A、68と68A、及び第1及び第2の加熱手段29,30は、互いに圧接する。第1の加熱手段29、搬送ローラ67,68を不動筐体1A側に支持し、第2の加熱手段30、搬送ローラ67A,68Aを可動筐体1B側に支持して、可動筐体1Bを開くことにより、両搬送ローラ67と67A、68と68A及び両加熱手段29,30を互いに大きく離間させるように構成することもできる。
また、レジスト手段を構成する第1のレジストローラ26Aと第2のレジストローラ26Bは、記録媒体Pの全幅に亘って当接する長さを有していることが好ましい。このようにすれば、記録媒体Pに付着した異物の全体を第1及び第2のレジストローラ26A,26Bに付着させ、その異物を第1及び第2の異物除去手段65,65Aによって除去できるので、異物が像担持体の表面に付着したり、画像中に入り込むことを防止でき、高品質な画像を形成することができる。また、第1及び第2のレジストローラ26A,26Bにバイアスを印加して、記録媒体に付着した異物を静電的に各レジストローラ26A,26Bに移行させるように構成し、その異物を各異物除去手段65,65Aにより各レジストローラ26A,26Bから除去するように構成することもできる。
また、図7に示した画像形成装置にも、第2の中間転写体15の表面を清掃するクリーニング装置32が設けられ、ここに示したクリーニング装置32は、第2の中間転写体15の表面に当接して該表面に付着した転写残トナーや紙粉などの異物を除去するクリーニングブレードより成るクリーニング部材32Eと、第2の中間転写体15から除去されてクリーニングケース69に落下したトナーを、図7の紙面に対して垂直な方向に搬送するトナー搬送手段32Cを有し、該クリーニング装置32は、支点32Dのまわりに揺動して、クリーニング部材32Eが第2のの記録媒体15の表面に対して接離する。
さらに、図7に示した画像形成装置は、上記クリーニング装置32により第2の中間転写体15の表面から除去された転写残トナーを収容する廃トナー収容部材70を有している。トナー搬送手段32Cにより搬送されたトナーが廃トナー収容部材70に落下し、ここに収容されるのである。さらに、該廃トナー収容部材70とクリーニング装置32は、可動筐体1Bの側に配置され、該廃トナー収容部材70と第2の異物収容部材66Aが隣接して配置されている。これにより、可動筐体1Bを開くことによって、廃トナー収容部材70に溜まったトナーと第2の異物収容部材66Aに溜まった異物を容易に廃棄するなどして処理することができる。また、第2の中間転写体15から転写残トナーを除去するクリーニング装置32と、除去されたトナーを収容する廃トナー収容部材70を別々に設けることにより、トナーをその廃トナー収容部材70に密閉状態に収容できるので、可動筐体1Bを回動開放させたとき、トナーがこぼれ出て周辺をトナーで汚す不具合を抑制できる。
また、可動筐体1Bを開放することにより、廃トナー収容部材70と第2の異物収容部材66Aのうちの少なくとも一方を、可動筐体1Bから取り出し可能に、該可動筐体1Bに装着することが好ましい。このように、廃トナー収容部材70と第2の異物収容部材66Aを可動筐体1Bから取り外すことができれば、その内部に収容されたトナーや異物を容易に取り出すことができ、或いは廃トナー収容部材70と第2の異物収容部材66Aを空の新たなものと交換することもできる。
さらに、廃トナー収容部材70と第2の異物収容部材66Aを一体化すると、これらを可動筐体1Bから一緒に取り外すことができるので、廃トナーや異物の処理、或いはトナー収容部材70と第2の異物収容部材66Aの交換作業をより一層容易に行うことができる。より具体的に示すと、廃トナー収容部材70と第2の異物収容部材66Aを連結部材71によって一体に連結する。その際、その連結部材71に、作業者が指を掛けることのできる凹部又は穴から成る把手72を設けておくと、廃トナー収容部材70と第2の異物収容部材66Aの可動筐体1Bに対する着脱作業をより一層容易に行うことができる。
可動筐体1が閉じられているとき、搬送ローラ67Aは、連結部材71に隣接して位置するが、この搬送ローラ67Aは可動筐体1Bではなく、不動筐体1Aの側に支持されているので、可動筐体1Bを図9に示すように開くと、その搬送ローラ67Aは連結部材71から大きく離れる。従って、この搬送ローラ67Aに邪魔されることなく、把手72に指を掛けることができる。
また、第1の記録媒体搬送路R1と、第2の記録媒体搬送路R2と、第2の中間転写体15とにより囲まれた空間に、第2の異物収容部材66Aと、廃トナー収容部材70とを設けることにより、本体筐体1内のスペースを有効に利用することができ、本体筐体1が大型化する不具合を防止できる。
また、可動筐体1Bを開くことによって、第1の異物収容部材66を不動筐体1Aから取り外し、その内部の異物を廃棄したり、新たな空の第1の異物収容部材と交換できるように構成することもできる。その際、図9に示すように、第1の異物収容部材66を、ピン73を介して不動筐体1Aに回動可能に支持し、その第1の異物収容部材66を取り外すとき、図示していない把手を掴んで、その第1の異物収容部材66を矢印Q方向に回動させ、次いでその第1の異物収容部材66を不動筐体1Aから取り外せるように構成すると、その第1の異物収容部材66の着脱作業を容易に行うことができる。
ところで、第1の記録媒体搬送路R1と第2の記録媒体搬送路R2は、多数のガイド部材により構成されるが、その際、第1の異物収容部材66と、第2の異物収容部材66Aと、廃トナー収容部材70が、搬送される記録媒体のガイドとして構成されていると、専用のガイド部材の数を減らし、画像形成装置のコストを低減することができる。例えば、第1及び第2の異物収容部材66,66Aと廃トナー収容部材70を樹脂成形品により構成し、これらが第1及び第2の記録媒体搬送路R1,R2を向いている面74,75,76を、記録媒体用のガイド面とする。記録媒体がこれらのガイド面74,75,76の全体に接触すると搬送抵抗が大きくなるので、その各ガイド面74,75,76にリブを設けることも有利である。
ところで、図7に示した第2の記録媒体給送装置61を、搬送トラブルを起こすおそれの高い厚紙や封筒などの特殊記録媒体を送り出す給送装置として利用し、第1の記録媒体給送装置23と第2のの記録媒体給送装置61を使い分けるようにすることができる。このように、特殊記録媒体を給送する記録媒体給送装置は一般に手操作によって記録媒体をセットする手差し給送装置として構成される。
上述のように、第2の記録媒体給送装置61から特殊記録媒体を送り出すように構成した場合、第2の記録媒体搬送路R2を送られる記録媒体に加えられる搬送抵抗を小さくする必要がある。厚紙などの特殊記録媒体に大きな搬送抵抗が与えられると、これが搬送トラブルを起こすおそれを免れないからである。そこで、本例の画像形成装置においては、第2の記録媒体搬送路R2の曲率半径r1が40mm以上となるように、該第2の記録媒体搬送路R2を区画するガイド部材が形成されている。このように構成すれば、厚紙などの特殊記録媒体も、第2の記録媒体給送装置61からレジストローラ対26まで、搬送トラブルを起こすことなく円滑に搬送することができる。第2の記録媒体給送装置61から送り出された特殊記録媒体を、スイッチバックさせるようなことなく、そのまま連続してレジストローラ対26に搬送できるのである。例えば、A4サイズの200kg紙を支障なく搬送することが可能であり、また用紙を何重にも重ねて構成した封筒も、しわを発生することなく搬送することが可能である。
同じ理由で、定着手段28から排出ローラ対60へ通じる記録媒体の搬送路R4の曲率半径r2を40mm以上に設定することにより、特殊記録媒体をも円滑に記録媒体排出部31に搬送することができる。これは、他の例の画像形成装置においても同様である。
図7乃至図9に示した画像形成装置の他の構成は、図1乃至図6に示した画像形成装置と同じく構成することができる。
ところで、以上説明した各例の画像形成装置には、各像担持体2Y乃至2BKにそれぞれトナー像を形成する複数の現像装置11が設けられているが、これらの現像装置のトナーの量が減少したとき、その各現像装置にトナーを補給する必要がある。そこで、図1、図4、図6及び図7に示した画像形成装置は、複数の各現像装置のそれぞれに供給されるトナーを収容した複数のトナー容器36Y,36M,36C,36BKが設けられている。その各トナー容器にはイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー及びブラックトナーがそれぞれ収容され、各現像装置においてトナー不足が検知されたとき、図示していない粉体ポンプによって、各トナー容器からこれに対応する色の現像装置にトナーが供給される。
また、図1、図4、図6及び図7に示すように、定着手段28を通過した記録媒体Pが排出される記録媒体排出部31の下方であって、第1の中間転写体3の上方に、複数のトナー容器36Y,36M,36C,36BKを収納する収納空間Sが設けられている。しかも、記録媒体排出部31の全体又はその一部が、本体筐体1に対して回動支点37のまわりに回動可能なカバー31Aにより構成され、通常、このカバー31Aは、図示するように閉じられていて、その上に記録媒体Pが排出される。
図10は、図1、図4、図6及び図7に示した画像形成装置が2つ設置された状態を示す図である。この図の上側に示した画像形成装置においては、カバー31Aは閉じられている。このカバー31Aには把手34Aが設けられ、この把手34Aを掴んでそのカバー31Aを、図10の下側に示した画像形成装置のように開き、収納空間Sに対してトナー容器36Y,36M,36C,36BKを着脱することができる。
カバー31Aの一端の回動支点37は、記録媒体排出部31の低くなった側に位置しているので、記録媒体排出部31に記録済みの記録媒体が存在しているときにカバー31Aを開いても、その記録媒体が下方に落下したり、頁順が狂うようなことはない。また、把手34Aは、記録媒体排出部31に排出される記録媒体の搬送とそのスタックの妨げとならない位置に配置されていると共に、その形状が定められている。
上述のように、トナー容器36Y,36M,36C,36BKを収納空間Sに着脱できるように、記録媒体排出部31を開放可能に構成することによって、そのトナー容器を容易に交換することができる。
また、上述の構成に代え、またはこの構成と共に、記録媒体排出部31よりも下方の位置に、トナー容器36Y乃至36BKを収納空間Sに着脱できるように、開放可能なドアを設けることもできる。図11も図10と同様に2つの画像形成装置が設置された状態を示す図であるが、この画像形成装置の本体筐体1には、ドアD1が回動開閉可能に支持され、このドアD1は記録媒体排出部31よりも下方に配置されている。
このドアD1は、通常、図11の上側の画像形成装置のように閉じられている。トナー容器を交換するときは、図11の下側に示した画像形成装置のようにこのドアD1を開き、収納空間S内のトナー容器36Y乃至36BKを外部に露出させる。このようにして簡単にトナー容器を着脱することができる。この構成を採用すれば、記録媒体排出部31の上方に後述する如く読み取り装置を装着しても、トナー容器を支障なく交換することができる。
また、前述の給紙カセット24,24Aも図10及び図11に示す如く手前側に引き出し可能に本体筐体1に支持されているが、図11に示したドアD1を開いても、給紙カセット24,24Aの引き出し操作や、オペレーションパネルOPの操作に支障は生じない。
また、図10に示した画像形成装置にも、その本体筐体1に回動開閉自在に支持されたドアD2が設けられているが、このドアD2と図11に示したドアD1を開くことにより、複数の像担持体2Y乃至2BK、第1の中間転写体3及びこれらの周辺に設けられた構成部品を、露光装置9を残したまま、本体筐体1の手前側に引き出し、その引き出した状態で像担持体や第1の中間転写体を取り出すことができる。これらの要素を支持台に一体的に支持し、その支持台をガイドレールによって案内しながら、これを手前側に引き出すように構成することもできる。ドアD1,D2は垂直方向のヒンジで本体筐体1に支持されているので、これらのドアD1,D2を開いたときも、その下方の保守部品やオペレーションパネルOPに対する視認性が悪くなることを防止できる。
また、収納空間Sに収納されたトナー容器内のトナーに定着手段28からの多量の熱が伝えられ、そのトナーの温度が上昇すると、これが溶融するおそれがある。
そこで、トナー容器内のトナーを熱から保護する保護手段を設け、そのトナーが変質することを阻止するように構成することが好ましい。例えば、図1、図4、図6及び図7に示すように、収納空間Sと定着手段28の間に設けられた断熱部材135によって保護手段を構成することができる。収納空間Sと定着手段28を断熱部材135により仕切ることによって、定着部材28で発散する熱が直接、トナー容器に伝わって、トナーが変質することを防止できる。この断熱部材135としては、樹脂板、植毛を施した樹脂願、内部に空気層を有するように樹脂板を積層したものなどを採用することができる。
また、収納空間Sと定着手段28の間に空気を流通させて、定着手段28の熱が収納空間Sに直に伝わることを防止する空気流通手段によって保護手段を構成することもできる。例えば図1、図4、図6及び図7に示すように、ファンF2より成る空気流通手段を設け、このファンF2によって、収納空間Sと定着手段28との間に外気を取り込む。取り込んだ空気を本体筐体外に排出するダクト(図示せず)を設けることもできる。
さらに、図1、図4、図6及び図7に示すように、少なくとも1つのトナー容器、図の例では定着手段28に最も近いトナー容器36BKに断熱性外装部材50より成る保護手段を設け、これによってそのトナー容器内のトナーに直に熱が伝わることを防止することもできる。
図12は、図13に示したスタンド36の下支持部137上に大量の記録媒体を収容できる用紙バンク38をセットし、その上に先に説明した各例の画像形成装置の本体筐体を載置し、さらにスタンド36の上支持部39上に原稿画像を読み取る読み取り装置40を載置して画像形成装置を構成した例を示す。読み取り装置40は本体筐体1の上方に位置し、これらの間に空間が形成されている。定着手段を通過した記録媒体が排出される記録媒体排出部31の上方に、原稿画像を読み取る読み取り装置40が設けられているのである。画像形成装置をこのように構成することにより、画像形成装置の設置面積を広げることなく、その画像形成装置の機能を拡大でき、複写機能やファクシミリ機能を持たせることができる。
また、図13及び図14に示すように、スタンド36の上支持部39に自動原稿送り装置を有する読み取り装置40を載置して画像形成装置を構成することもできる。図14に示した画像形成装置においては、無端ベルトより成る第1の中間転写体3が3本の支持ローラ4,5,6に巻き掛けられて矢印A方向に回転駆動される。かかる第1の中間転写体3の上辺3Bがほぼ水平に配置され、その上方に複数の像担持体2Y,2M,2C,2BKが配設され、さらにその上方に露光装置9が設けられている。この露光装置9と、記録媒体排出部31の間に複数のトナー容器36Y乃至36BK用の収納空間Sが設けられている。画像形成装置本体の他の構成は、図1に示した画像形成装置と実質的に変りはない。
読み取り装置40の構成と作用は次の通りである。
フレーム301にはその上部にコンタクトガラス302,303が設けられている。内部には照明用光源304とミラーから構成された第1走行体305とミラーを含む第2走行体306がコンタクトガラス302に平行に移動・走査できるように配置されている。第2走行体306は、第1走行体305の1/2の速度で移動する公知の光学系を採用している。光源304からの光で照明される原稿の画像は、固定されたレンズ307で結像され、固体撮像素子(CCD)308に取り込まれる。このデータはデジタル信号として適宜処理され、ファクシミリ機能により遠隔地へ送られたり、画像形成装置でプリントされる。このデータはコンピュータに取り込み、画像処理し適宜利用できる。
自動原稿送り装置を構成する部分(以下、ADFという)には、原稿を押さえる圧板363が設けられ、これを持ち上げることによってコンタクトガラス302,303の上方を開放できる。また本のような厚い原稿の場合でも圧板363が原稿を押しつけられるような機構にしてある。数頁のシート原稿の束は、給紙台361の可動板362上に1頁目を上面にしてセットする。給紙ローラ352が矢印方向に回転し、最上部のシート原稿が送り出され給紙搬送部351に送られる。分離ローラ対353により、シート原稿が確実に1枚づつ搬送される。このシート原稿は、搬送ローラ354,355,358を経て排紙ローラ359から矢印A2方向に排出され、原稿排紙トレイ360上に1頁目が下面になってスタックされる。
シート原稿が排出されるまでの間に、第1の読み取り手段の一例であるイメージセンサ356により、2頁目の画像が読み取られる。その後1頁目の画像はシート圧板357とコンタクトガラス303の間を通過中に、第2の読み取り手段の一例である前述の光学系で読み取られる。この光学系で第2のコンタクトガラス303を通過するシート原稿を読み取る場合、前述の第1、第2走行体305、306をその読み取り位置に静止させる。従ってシート原稿の両面は1度の搬送で、ずらして配置された2カ所の読み取り場所で読み取とられる。このシート状原稿を搬送中に読み取る読み取り部をY1、原稿は固定し、走行体により読み取る読み取り部をY2と呼ぶことにする。
圧板363の原稿に接する部分には白色シート363Aが貼りつけてある。裏面が透けるような薄い原稿であると、圧板の色が読み取り手段で背景として読み取られてしまう恐れがある。そのため白色にしてある。同じ理由で、搬送ローラ355、シート圧板357も白色にしてある。
図12はイメージセンサ356の断面の詳細図である。原稿に対面するガラス356A、原稿の読み取り面を照明する光源、たとえばLEDアレイ356B、結像素子であるレンズアレイ356C、等倍センサ356Dから構成されている。以上の形式以外のイメージセンサ、例えば結像レンズを使用しない密着センサなどを採用することも可能である。
また前述のADFは画像形成装置本体に対し着脱が可能になっている。ADFは、厚い本などの原稿をコンタクトガラス302上にセットし、圧板363で押しつけるが、ADF本体と一体に構成されている第1の読み取り部Y1も浮き上がり、第2のコンタクトガラス303とシート圧板357が離れてしまう。そのためシート圧板357がコンタクトガラス303から離れていることを検知するセンサ(不図示)を設け、この検知結果をもとに、第1の読み取り部Y1の使用を禁止するようにしてある。したがってコンタクトガラス上に厚い原稿がセットされたままで、シート原稿の読み取りが行われ、不具合が発生することはない。
また、シート原稿を第1の読み部Y1で取り中に、緊急の読み取り、画像形成の必要が生じた場合、たとえシート原稿が給紙台361あるいは原稿排紙トレイ360に存在していても、割り込み作業として、コンタクトガラス302と圧板363を使用する、第2の読み取り部Y2が使用できるようにしてある。割り込み時の指令の操作はオペレーションパネルのキーにより指示できる。
読み取り装置40は、両面に画像が形成された原稿の搬送中に、その各面の画像をそれぞれ読み取る第1及び第2の読み取り手段を有しているので、両面に画像情報を有するシート原稿の各画像を迅速に読み取ることができる。
図1を参照して第1の画像と第2の画像を記録媒体Pの一方の面と他方の面にそれぞれ転写するモードを説明したが、このモードのほか、複数の像担持体2Y乃至2BKから第1の中間転写体3上に静電転写された重ねトナー像より成る画像を記録媒体に直に静電転写し、その画像だけを担持した記録媒体Pを、定着手段28を通過させて、その画像を定着するモードを選択できるように構成することもできる。
図1、図4、図6及び図7を参照してより具体的に説明すると、複数の各像担持体2Y乃至2BKに形成した互いに色の異なるトナー像を第1の中間転写体3に重ねて静電転写してその第1の中間転写体3上に画像を形成する。この画像を、記録媒体給送装置23から給送された記録媒体Pに、転写ローラ20の作用によって静電転写する。この記録媒体は、移動する第2の中間転写体15の表面に密着して上方に搬送されるが、このときコロナ放電器27は作動することはない。そして、この記録媒体が定着手段28を通過するとき、転写された画像が記録媒体に定着される。次いで記録媒体は記録媒体排出部31に排出される。
その際、図1、図4、図6及び図7に示した画像形成装置においては、定着手段28を通過した記録媒体Pが、第1の中間転写体3から転写された画像が形成されている面を下方に向けて記録媒体排出部31に排出されるように、該記録媒体排出部31と、第1の中間転写体3と、第2の中間転写体15とが配置されているので、記録媒体排出部31に排出された記録媒体は、その画像面を下に向けている。従って、上述の画像形成動作を連続して行ったとき、記録媒体排出部31上にスタックされた複数の記録媒体の頁順を揃えることができる。
また、第1の画像と第2の画像を記録媒体の一方の面と他方の面にそれぞれ転写するモードのほか、複数の像担持体2Y乃至2BKから第1の中間転写体3上に静電転写された重ねトナー像より成る画像を第2の中間転写体15上に静電転写し、その第2の中間転写体上の画像を記録媒体に静電転写し、その画像だけを担持した記録媒体Pを、定着手段28を通過させて、その画像を定着するモードを選択可能に構成することもできる。
さらに、複数の像担持体2Y乃至2BKのうちの一部の像担持体だけから第1の中間転写体3上にトナー像を静電転写して、その画像を記録媒体に静電転写して該記録媒体上に画像を形成し、前述の各態様で記録媒体の一方の面のみ、他方の面のみ、又はその両方の面に画像を転写し、これを定着するモードを選択可能に構成することもできる。このモードにより、単色の画像を形成することができる。
上述のように構成することにより、各種のモードで記録媒体に画像をプリントすることができる。その際、記録媒体の片面にだけ画像を転写した場合と、両面に画像を転写した場合とで、これらの画像を定着するときの定着手段28における定着条件を切り換えることもできる。すなわち、記録媒体の片面にのみ画像を転写したときは、両面に画像を転写した場合よりも、定着手段において記録媒体に与える熱量を少なくするのである。片面記録のとき、例えば画像のない側に位置する加熱手段に与える熱量を減らし、或いは熱を与えないようにする。
図10及び図11は、前述の各例の画像形成装置をホスト機器の一例であるホストコンピュータHCに接続して画像形成システムを構成した例を示している。これは、所謂ネットワークで結ばれたシステムで、画像形成装置は、主にホストコンピュータHCの出力装置(プリンタ)としての役割を担っている。ケーブルを介さずに無線で繋がれたシステムとしても良い。
ホストコンピュータHCのディスプレイに表示されるガイドに従って出力すべき画像の作像プロセス条件などを指示、入力可能となっている。画像形成装置の状況をディスプレイに報知、表示することもできる。制御の指令は、オペレーションパネルOPやホストコンピュータHCのキーボードから行うことができる。例えば、記録媒体の両面に画像を形成する両面プリントの場合、オペレーションパネルOPに設けてある両面釦によって、また特殊紙の選択や給紙カセットの選択は給紙用の設定釦によって選択することができる。
上述のように画像形成装置とホスト機器とを接続して画像形成システムを構成することにより、扱う情報を目的や記録媒体の種類に応じてプリントすることができ、また画像形成装置から離れたところからでもホスト機器により作像条件を設定することができる。
本発明は、記録媒体を下方から上方へ向けて搬送する形式の画像形成装置以外の画像形成装置にも適用できる。図16は、通常の記録媒体を送り出すのに適した記録媒体給送装置23又は厚紙などの特殊記録媒体を手操作でセットして記録媒体を送り出すのに適した手差し給紙部51から給送された記録媒体Pを水平方向に搬送しながら、その片面又は両面に画像を転写し、これを水平方向に搬送しながら定着手段28によってその画像を定着する画像形成装置を示している。図16に示した画像形成装置の構成と作用は、前述の説明から明らかであるが、念のため、主として先に説明した画像形成装置と相違する点を以下に説明する。
図16に示した画像形成装置においても、第1の中間転写体3が支持ローラ4,5,6より成る複数の支持部材に巻き掛けられて矢印A方向に回転駆動される無端ベルトより、その上辺3Bに沿って、複数の像担持体2Y,2M,2C,2BKが並設され、その上方に露光装置9が配置されている。各像担持体2Y,2M,2C,2BKは、第1の中間転写体3に接触しながら矢印方向に回転駆動される。このときその各像担持体上には、先に説明した画像形成装置と全く同様にして、イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、その各トナー像が第1の中間転写体3の表面に重ねて転写され、第1の中間転写体3上に第1の画像が形成される。
上述の第1の画像は、転写ローラ20の作用によって第2の中間転写体15上に転写されるが、本例の第2の中間転写体15は、支持ローラ17,18,19,21より成る複数の支持部材に巻き掛けられて矢印B方向に回転駆動される無端ベルトにより構成されている。かかる第2の中間転写体15は、第1の中間転写体3の下方に配置され、支持ローラ21と転写ローラ20との間の第2の中間転写体部分に、第1の中間転写体3を介して、支持ローラ5が圧接し、この状態で第1の中間転写体3上の第1の画像が第2の中間転写体15上に転写される。
次いで、各像担持体2Y,2M,2C,2BK上には、次の各色のトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像が第1の中間転写体3上に順次重ねて転写され、該第1の中間転写体上に第2の画像が形成される。
第2の中間転写体15の下方には、給紙カセット24,24Aと給紙ローラ25,25Aを有する記録媒体給送装置23が配置され、いずれかの給紙カセット24又は24Aから記録媒体Pがレジストローラ対26に送り出される。或いは、第2の中間転写体15の左方に配置された手差し給紙部51に記録媒体Pをセットし、その給紙ローラ52の回転によって、記録媒体をレジストローラ対26に送り出すこともできる。
レジストローラ対26の回転により記録媒体がほぼ水平方向に送り出され、図1に示した画像形成装置の場合と同様にして、転写ローラ20の作用により、第1の中間転写体3上の第2の画像が記録媒体Pの他方の面に転写され、コロナ放電器27の作用によって第2の中間転写体15上の第1の画像が記録媒体Pの一方の面に転写される。第1及び第2の中間転写体3,15の間を通過した記録媒体Pは第2の中間転写体15上に担持されてほぼ水平方向(図16の右方)に搬送されながら、第1の画像を一方の面に転写されるのである。
上述のようにして、両面に画像が転写された記録媒体は支持ローラ17の部分で第2の中間転写体15から曲率分離され、定着手段28によってその各画像が記録媒体Pの各面に定着される。
定着手段28よりも記録媒体搬送方向下流側の位置には、切換手段の一例である切換爪53が設けられ、その回動位置を切り換えることにより、定着装置28を通過した記録媒体Pを、上方に向けて搬送し、本体筐体1の上部に配置された記録媒体排出部31に矢印Cで示すように排出させるか、又は定着手段28を通った記録媒体Pをその右方に配置された記録媒体排出部54に排出させることができる。
第1の画像を記録媒体Pに転写したあとの第2の中間転写体15の表面は、この場合もクリーニング装置32によって清掃されるが、図16に示したクリーニング装置32のクリーニング部材は、図4に示したクリーニング装置と同様にクリーニングローラ32Aにより構成され、このクリーニングローラ32Aは、第2の中間転写体15上の第1の画像がそのクリーニングローラ32Aを通過するとき、第2の中間転写体15の表面から離間していることも、先に説明した各画像形成装置の場合と同様である。図1に示した画像形成装置の場合と同様にして、記録媒体の片面にのみ画像を形成することもできる。先に説明した例の画像形成装置の各部分に対応する図16に示した画像形成装置の各部分には、先の例において用いた符号と同一の符号を付してある。
ところで、以上説明したいずれの画像形成装置の場合も、第2の中間転写体15は、複数の支持部材に巻き掛けられて回転駆動される無端ベルトより成り、第2及び第4のの転写手段を構成する転写ローラ20は、第2の中間転写体のベルトループ内に配置され、該転写手段に、第1の中間転写体3上の第1の画像又は第2の画像を形成するトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加して、第1の画像を第2の中間転写体15上に静電転写し、又は第2の画像を記録媒体の他方の面に静電転写する。図17は、図16に示した転写ローラ20の拡大図であり、第1の中間転写体3と第2の中間転写体15との間に記録媒体Pが搬送されつつ、第1の中間転写体3上の画像が記録媒体Pに転写されている状態を示している。支持ローラ5はアースされている。転写ローラ20にプラスの電圧が印加され、第1の中間転写体3上の画像を構成するマイナス極性のトナーTが記録媒体P上に静電的に移行する。同様にして、第1の中間転写体3上の第1の画像を第2の中間転写体15上に静電転写することができる。
転写ローラ20を上述のように配置すると、その転写ローラ20に対して、第1の転写手段を構成する転写ローラ12に印加する電圧の極性と同極性の電圧を印加することになるので、これらの転写ローラ12,20に電圧を印加する電源装置として、同一形態の電源装置を用い、或いは共通の電源装置を用いることが可能となり、これにより画像形成装置の構成を簡素化でき、しかも部品の調達や、その保管を行い易くなる。
これに対し、図18に示すように、支持ローラ5を第2及び第4の転写手段として構成することもできる。第1の中間転写体3が、複数の支持部材に巻き掛けられて回転駆動される無端ベルトより成る場合、第2及び第4の転写手段、この例では支持ローラ5を、第1の中間転写体3のベルトループ内に配置するのである。この構成においては、ベルトループ内に配置された支持ローラ5より成る転写手段に対して、第1の中間転写体3上の第1又は第2の画像を構成するトナーTの帯電極性と同極性、図の例ではマイナス極性の電圧を印加して、その第1の中間転写体3上の第1の画像を第2の中間転写体15上に転写し、又は第2の画像を記録媒体の他方の面に転写する。ローラ20はアースされている。
第2及び第4の転写手段を上述のように構成すると、その転写手段を構成する支持ローラ5が第2の中間転写体15を介することなく、記録媒体Pに対向することになるので、記録媒体Pの厚さがいかなるときも、支持ローラ5に一定の電流を供給して、第1の中間転写体3上の画像を記録媒体Pに転写することができる。記録媒体の厚さに影響されずに、画像を記録媒体に転写することができ、厚い記録媒体への転写に対して格別に支持ローラ5に供給する電流を増やすなどの制御を行う必要はなく、その制御態様を簡素化することができる。
また、図1、図4、図6及び図7に示した画像形成装置に対して、図18に示した構成を採用した場合、第2及び第4の転写手段を構成する支持ローラ5と、第1の転写手段を構成する複数の転写ローラ12と、第3の転写手段を構成するコロナ放電器27の全ての転写装置が、不動筐体1Aの側に設けられるので、これらの転写装置に対し、不動筐体1Aに配置された電源装置E2から電流を供給することができる。従って、可動筐体側に電源装置を設ける必要がなくなり、画像形成装置の構成を簡素化することができる。図1、図4、図6及び図7に示した画像形成装置に対して、図17に示した構成を採用した場合も、不動筐体1Aの側の接点(図示せず)と、可動筐体1Bの側の接点(同じく図示せず)を接触させ、これらの接点を介して電源装置E2から転写ローラ20に電流を供給することができるが、かかる接点を用いると、画像形成装置の構成が複雑化し、また両接点の接触不良に基づく不具合が発生するおそれもある。図18に示した構成によると、かかる欠点を全て回避することができる。
また、図16に示した画像形成装置においては、第1の中間転写体3が、複数の支持部材に巻き掛けられて回転駆動される無端ベルトより成ると共に、図19に示すように、第1の中間転写体3の高さHが、その水平方向の幅Wよりも小さく設定され、該第1の中間転写体3の下方に第2の中間転写体15が配置され、しかも第1の中間転写体3と第2の中間転写体15の間を記録媒体Pがほぼ水平方向に通過するように、該記録媒体Pの搬送路と第1の中間転写体3と第2の中間転写体15の相対位置が設定されている。かかる構成によっても、画像形成装置本体の上下方向の高さが過度に高くなることを阻止できる。
さらに、図16に示した画像形成装置においては、手差し給紙部51から、定着手段28を通過した記録媒体Pが排出される記録媒体排出部54に至るまでの記録媒体Pの搬送路が水平方向に、かつほぼ一直線状に位置している。かかる構成によれば、記録媒体をほぼ一直線状に搬送するので、その記録媒体の厚さが厚く、その剛性が高い特殊記録媒体であるときも、当該記録媒体を安定した状態で搬送でき、搬送トラブルの発生を効果的に抑制することができる。
また、図16に示した画像形成装置には、記録媒体をその都度手操作でセットして送り出す手差し給紙部51と、積載した記録媒体を1枚ずつ自動給送する記録媒体給送装置23とが設けられ、また記録媒体排出部31のほかに、今一つの記録媒体排出部54が設けられている。このため、通常の記録媒体Pは、手差し給紙部51と記録媒体給送装置23のどちらからでも給送でき、またその記録媒体Pを記録媒体排出部31と他の記録媒体排出部54のいずれにも排出させることができる。これに対し、厚紙やOHPフィルムなどの特殊記録媒体に画像を記録するときは、その記録媒体を手差し給紙部51から給送し、これを記録媒体排出部54に排出することによって、搬送トラブルを起こすことなく、その記録媒体を搬送することができる。
また、図16に示した画像形成装置を含めた前述のいずれの画像形成装置においても、記録媒体Pに画像が転写される転写位置の下方の高さ領域内に、該転写位置に送り出される記録媒体Pを収容した記録媒体給送装置23が配置されていると共に、第2の中間転写体15が、複数の支持部材に巻き掛けられて回転駆動される無端ベルトより成り、第1の中間転写体3と第2の中間転写体15との間を出て定着手段28へ向けて移動する記録媒体Pを担持する第2の中間転写体15の表面部分、又はその表面部分のほぼ延長上に、定着手段28の画像定着部、すなわち第1の加熱手段29と第2の加熱手段30の当接部が位置している。この構成によれば、記録媒体Pが定着手段28の画像定着部に滑らかに進入することができるので、定着時に画像が乱される不具合を防止できる。
さらに、図16に示した画像形成装置も、記録媒体Pに画像が転写される転写位置へ記録媒体を所定のタイミングで送り出すレジストローラ対26より成るレジスト手段を有しているが、その際、図16に示すように、転写位置よりも記録媒体搬送方向上流側に位置する第1の中間転写体3の部分3Cと、第2の中間転写体15の部分15Aが、転写位置を通る水平線よりも、レジストローラ対26から離れる向きに退避している。これにより、第1及び第2の中間転写体3,15に干渉することなく、レジストローラ対26を配置することができ、レジストローラ対26を配設する自由度を高めることができる。第1及び第2の中間転写体3,15の一方のみをレジストローラ対26から退避させるようにしてもよい。要は、転写位置よりも記録媒体搬送方向上流側に位置する第1の中間転写体の部分と第2の中間転写体の部分との少なくとも一方が、レジスト手段との干渉を避けるべく、前記転写位置を通る水平線よりも、レジスト手段から離れる向きに退避しているのである。
また、図16に示した画像形成装置の場合も、図20に示すように、画像形成装置の本体筐体1が、不動筐体1Aと、記録媒体Pの搬送路を境にして不動筐体1Aに対して開放可能な可動筐体1Bを有している。その際、可動筐体1Bは、支軸35を介して、上方に回動できるように、不動筐体1Aに支持されている。そして、可動筐体1Bを開位置にもたらしたとき、第1の中間転写体3と第2の中間転写体15が互いに離間するように、該第1の中間転写体3が可動筐体1B側に設けられ、第2の中間転写体15が不動筐体1A側に設けられている。この構成によっても、第1及び第2の中間転写体3,15の間に記録媒体が詰まったとき、その記録媒体を容易に取り出すことができる。
その際、可動筐体1Bを開位置にもたらしたとき、第3の転写手段(図示した例ではコロナ放電器27)が外部に対して露出するように、その第3の転写手段が前記可動筐体1B側に設けられている。これにより、第1及び第2の中間転写体15の間の記録媒体搬送路を大きく開放して、詰まった記録媒体を容易に除去することができる。
なお、図16及び図20に示した画像形成装置は、本体筐体1がもう1つの可動筐体1Cを有し、可動筐体1Bを開放するとき、そのもう1つの可動筐体1Cを図20に示すように開放し、可動筐体1Bを容易に開閉できるように構成されている。もう1つの可動筐体1Cを開くことによっても、搬送路に詰まった記録媒体を容易に除去することができる。
また、以上説明したいずれの画像形成装置においても、可動筐体1Bを開位置にもたらすことにより、第1の中間転写体3と第2の中間転写体15の少なくとも一方を本体筐体1に対して着脱可能となっており、これによって中間転写体の交換作業などを容易に行うことができる。
図20に示すように開位置にもたらされた可動筐体1Bは、例えばガスシリンダなどの支持手段によってその開位置に保持されるので、ジャム処理、コロナ放電器27や第1及び第2の中間転写体3,15などの交換や保守作業などを容易に行うことができる。また、図20に破線で囲んだ各要素を一体的なユニットUNとして構成し、そのユニットUNを上方に取り出せるように構成することもできる。
また、本体筐体1の上部を開放できないように構成することもでき、その場合には、上記ユニットUNを下方に下げることができるように支持し、該ユニットUNを下方に下げることによって、第1及び第2の中間転写体3,15の間を開き、ここに詰まった記録媒体を除去することができる。
さらに、図16に示した画像形成装置にも、トナー容器36Y,36M,36C,36BKを保護する保護手段が設けられているが、その際、図16に示した保護手段は、第1の画像と第2の画像をそれぞれ転写したあとの第1の中間転写体3の表面を清掃するクリーニング装置22と定着手段28の間の断熱手段を兼ねている。
図16を参照してより具体的に示すと、トナー容器36Y乃至36BKの収納空間Sと定着手段28との間に設けられた断熱部材135の一部135Aが、その定着手段28とクリーニング装置22との間に位置し、定着手段28が熱が直にクリーニング装置22に伝わることを防止している。これにより、クリーニング装置22に回収されたトナーが熱の影響を受ける不具合を効果的に抑制することができる。かかる構成は、図14に示した画像形成装置にも採用されている。
また、図16に示した画像形成装置は、定着手段28を通過した記録媒体Pが排出される記録媒体排出部31及び記録媒体排出部54を有しており、前者を第1の記録媒体排出部、後者を第2の記録媒体排出部としたとき、定着手段28を通過した記録媒体Pが、第1の中間転写体3から転写された画像が形成されている面を下方に向けて第1の記録媒体排出部31に排出され、かつ第1の中間転写体3から転写された画像が形成されている面を上方に向けて第2の記録媒体排出部54に排出されるように、第1の記録媒体排出部31と、第2の記録媒体排出部54と、第1の中間転写体3と、第2の中間転写体15とが配置され、定着手段28を通過した記録媒体Pを第1の記録媒体排出部31に排出させるか、又は第2の記録媒体排出部54に排出させるかを切り換える切換手段が設けられている。
上記構成によれば、記録媒体を第1の記録媒体排出部31と第2の記録媒体排出部54のいずれに排出させるかを選択することにより、記録媒体のいずれかの片面、又はその両面に画像を形成したとき、そのいずれの場合も、頁順を揃えて、記録媒体をスタックすることができる。
図16に示した画像形成装置に対しても、図1乃至図15を参照して先に説明した各構成を適宜適用することができる。図1の各部に対応する図16の各部分には、図1に付した符号と同一の符号を付してある。