JP2006017285A - 十字軸継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】 たとえグリース切れが生じても、応急的に摺動を維持して、スラストワッシャやころワッシャ、ころガイド等の、トラニオン軸ところとをそれぞれの軸方向に支持または案内する支持案内部材が直ちに摩耗等を生じない十字軸継手を提供する。
【解決手段】 十字軸継手の、軸受けケース2の凹部21の底面23と、十字軸1のトラニオン軸11の先端面13との間に配設されるスラストワッシャ4を、ポリフェニレンサルファイド樹脂中に、四フッ化エチレン樹脂と溶融フッ素樹脂とを添加した複合樹脂を用いて成形した。
【選択図】 図1
【解決手段】 十字軸継手の、軸受けケース2の凹部21の底面23と、十字軸1のトラニオン軸11の先端面13との間に配設されるスラストワッシャ4を、ポリフェニレンサルファイド樹脂中に、四フッ化エチレン樹脂と溶融フッ素樹脂とを添加した複合樹脂を用いて成形した。
【選択図】 図1
Description
本発明は、十字軸を介して2軸間を回転可能に接続するための十字軸継手に関するものである。
例えば、鉄鋼圧延機、鉄道車輌、自動車等において動力伝達に用いる駆動軸には、その両端に、当該駆動軸を入力軸および出力軸と接続するために、十字軸継手が組み込まれる。図3は、従来の十字軸継手の一例を示す一部切り欠き正面図である。また図4は、上記十字軸継手の一部を拡大した断面図である。
図3を参照して、十字軸継手は、円柱状の4つのトラニオン軸911を十字状に配設した形状を有する十字軸91と、各トラニオン軸911を受容する有底円筒状の凹部921を有する4つの軸受ケース92とを備えると共に、各トラニオン軸911の、円柱の外周面に設けられる内側軌道面912と、この内側軌道面912と一定の間隔をあけて対向するように、各軸受ケース92の凹部921の筒状の内周面に設けられる外側軌道面922との間の空間内に、その軸線をトラニオン軸911の軸線と平行に向けて複数のころ93が配設された構造を有している。上記各部は、いずれも軸受鋼等の金属によって形成される。
図3を参照して、十字軸継手は、円柱状の4つのトラニオン軸911を十字状に配設した形状を有する十字軸91と、各トラニオン軸911を受容する有底円筒状の凹部921を有する4つの軸受ケース92とを備えると共に、各トラニオン軸911の、円柱の外周面に設けられる内側軌道面912と、この内側軌道面912と一定の間隔をあけて対向するように、各軸受ケース92の凹部921の筒状の内周面に設けられる外側軌道面922との間の空間内に、その軸線をトラニオン軸911の軸線と平行に向けて複数のころ93が配設された構造を有している。上記各部は、いずれも軸受鋼等の金属によって形成される。
各トラニオン軸911の先端面913と軸受ケース92の凹部921の底面923との間には、両者の間に介在して、トラニオン軸911をその軸方向に支持するためのスラストワッシャ94が配設され、ころ93の、トラニオン軸911の先端面913側の端面931と、軸受ケース92の凹部921の底面923との間には、両者の間に介在して、ころ93をその軸方向に案内するためのころワッシャ95が配設される。また、軸受ケース92の凹部921の入口924には、ころ93の、トラニオン軸911の先端面側と反対側の端面932と当接することで、ころ93をその軸方向に支持するためのころガイド96が配設される。さらに、ころガイド96とトラニオン軸911との間には、ころ93が配設される内側軌道面912と外側軌道面922との間の空間にグリースを充てんした状態で、外部から遮蔽するためのオイルシール97が嵌め合わされる。
スラストワッシャ94は、例えばポリアセタール〔ポリプラスチック(株)製のジュラコン(登録商標)等〕などの、いわゆるエンジニアリングプラスチックや、あるいは金属等によって形成される。また、ころワッシャ95ところガイド96は通常、金属によって形成される。
上記の十字軸継手によれば、図において、十字軸91の中心点を挟んで上下方向に伸びる2つのトラニオン軸911に嵌め合わせた2つの軸受ケース92を、一方の軸の軸端に設けたヨーク(図示せず)に固定し、かつ十字軸91の中心点を挟んで上記と直交する左右方向に伸びる2つのトラニオン軸911に嵌め合わせた2つの軸受ケース92を、他方の軸の軸端に設けたヨーク(図示せず)に固定することによって、上記両軸を、例えばその軸線を交差させた状態で、回転可能に接続することができる。
上記の十字軸継手によれば、図において、十字軸91の中心点を挟んで上下方向に伸びる2つのトラニオン軸911に嵌め合わせた2つの軸受ケース92を、一方の軸の軸端に設けたヨーク(図示せず)に固定し、かつ十字軸91の中心点を挟んで上記と直交する左右方向に伸びる2つのトラニオン軸911に嵌め合わせた2つの軸受ケース92を、他方の軸の軸端に設けたヨーク(図示せず)に固定することによって、上記両軸を、例えばその軸線を交差させた状態で、回転可能に接続することができる。
十字軸継手の回転時に、十字軸91と軸受ケース92とは、互いに略一致する両者の中心軸を中心として、一定角度の左右回転を繰り返す。そしてその際に、スラストワッシャ94は、軸受ケース92の凹部921の底面923と、トラニオン軸911の先端面913との間に挟まれて、トラニオン軸911からスラスト荷重を受けながら、十字軸91と軸受ケース92との間で繰り返し摺動される。そのため、グリース切れが発生すると、スラストワッシャ94が摩耗したり、金属製のスラストワッシャ94の場合は焼き付いたりするおそれがある。
そこで、グリース切れによるスラストワッシャ94の摩耗や焼き付きを防止するため、当該スラストワッシャ94の片面または両面に、その全面にグリースを行き渡らせるための溝を設けることが一般的に行われる(例えば特許文献1参照)。また、金属同士の摺動面の一方に微小なディンプル(凹部)を形成することで、グリース等の潤滑剤の保持性を高めることも知られており(例えば特許文献2参照)、この技術を応用して、グリース切れによるスラストワッシャ94の摩耗や焼き付きを防止することも考えられる。
特開2000−145806号公報(請求項1、第0002欄〜第0005欄、図2)
特開2003−13710号公報(請求項1、第0006欄〜第0008欄、図1)
しかし、高負荷が加えられた状態で、低速で回転する鉄鋼圧延機用の駆動軸等に組み込んで使用する十字軸継手においては、たとえ上記のような対策を施したとしても、その効果が十分に得られず、グリース切れによるスラストワッシャ94の摩耗や焼き付きが発生しやすいという問題がある。
この原因としては、高負荷での回転を繰り返すと、トラニオン軸911の内側軌道面912、ころ93、および軸受ケース92の外側軌道面922が摩耗して、トラニオン軸911ところ93と凹部921との間の隙間が大きくなって、十字軸継手の回転時に、トラニオン軸911の中心軸と、軸受ケース92の凹部921の中心軸とがずれることが考えられる。
この原因としては、高負荷での回転を繰り返すと、トラニオン軸911の内側軌道面912、ころ93、および軸受ケース92の外側軌道面922が摩耗して、トラニオン軸911ところ93と凹部921との間の隙間が大きくなって、十字軸継手の回転時に、トラニオン軸911の中心軸と、軸受ケース92の凹部921の中心軸とがずれることが考えられる。
すなわち、図4を参照して、トラニオン軸911ところ93と凹部921との間の隙間が大きくなると、十字軸継手の回転時に、トラニオン軸911の中心軸C1と、軸受ケース92の凹部921の中心軸C2とが、十字軸91の中心点を中心として回転方向に僅かなずれを生じ、このずれに伴って、トラニオン軸911からスラストワッシャ94に加えられるスラスト荷重が、十字軸継手の回転方向の前方側と後方側とで不均一化する。
詳しく説明すると、十字軸91が入力軸側、軸受ケース92が出力軸側であって、十字軸継手が図において時計回り方向に回転する際には、十字軸91が、軸受ケース92に対して、両中心軸軸C1、C2のずれの分だけ先行して回転することになるため、トラニオン軸911からスラストワッシャ94に加えられるスラスト荷重は、回転方向前方側(図において左側)で小さく、後方側(図において右側)で大きくなる。逆に、十字軸91が出力軸側、軸受ケース92が入力軸側であって、十字軸継手が図において反時計回り方向に回転する際には、軸受ケース92が、十字軸91に対して、両中心軸軸C1、C2のずれの分だけ先行して回転することになるため、トラニオン軸911からスラストワッシャ94に加えられるスラスト荷重は、回転方向前方側(図において左側)で大きく、後方側(図において右側)で小さくなる。
そして、スラスト荷重が大きくなった側で、グリースが、トラニオン軸911の先端面913とスラストワッシャ94との摺動面から押し出されてグリース切れを生じて、摩耗や焼き付きが発生する。
また、図3を参照して、十字軸継手の回転時に、十字軸91は、その全体が、上記隙間の分だけ鉛直方向下方側にずれながら回転することから、回転によって下方側に位置した軸受ケース92内のスラストワッシャ94にかかるスラスト荷重に、十字軸継手とそれに接続された軸の重みが加わって、グリースが、トラニオン軸911の先端面913とスラストワッシャ94との摺動面から押し出されてグリース切れを生じて、摩耗や焼き付きが発生する。
また、図3を参照して、十字軸継手の回転時に、十字軸91は、その全体が、上記隙間の分だけ鉛直方向下方側にずれながら回転することから、回転によって下方側に位置した軸受ケース92内のスラストワッシャ94にかかるスラスト荷重に、十字軸継手とそれに接続された軸の重みが加わって、グリースが、トラニオン軸911の先端面913とスラストワッシャ94との摺動面から押し出されてグリース切れを生じて、摩耗や焼き付きが発生する。
なお、グリース切れによる摩耗や焼き付きの問題はスラストワッシャ94に限らず、十字軸継手の回転時に、内外両軌道面912、922間で、一定回転数分の左右動を繰り返すころ93の両端面931、932をガイドするころワッシャ95、ころガイド96においても発生する。また、グリース切れによる摩耗や焼き付きの問題は、上で説明したように、鉄鋼圧延機用の駆動軸に組み込む等して、高負荷が加えられた状態で、低速で回転させる十字軸継手において顕著に発生するが、その他の用途、例えば鉄道車輌や自動車等の駆動軸に組み込んで、より低負荷で、高速回転させる十字軸継手においても問題となる。そこで、グリース切れが生じても、応急的に摺動を維持して、直ちに摩耗や焼き付きを生じない十字軸継手が求められている。
本発明の目的は、たとえグリース切れが生じても、応急的に摺動を維持して、スラストワッシャやころワッシャ、ころガイド等の、トラニオン軸ところとをそれぞれの軸方向に支持または案内する部材(支持案内部材)が直ちに摩耗等を生じない十字軸継手を提供することにある。
本発明は、円柱状の4つのトラニオン軸を十字状に配設した形状を有する十字軸と、各トラニオン軸を個別に受容する有底円筒状の凹部を有する4つの軸受ケースとを備え、かつ各トラニオン軸の、円柱の外周面に設けられる内側軌道面と、この内側軌道面と一定の間隔をあけて対向するように、各軸受けケースの凹部の筒状の内周面に設けられる外側軌道面との間に、その軸線をトラニオン軸と平行に向けて複数のころが配設される十字軸継手であって、上記トラニオン軸ところとを、それぞれの軸方向に支持または案内する支持案内部材を有すると共に、この支持案内部材が、ポリフェニレンサルファイド樹脂中に、四フッ化エチレン樹脂と溶融フッ素樹脂とを添加した複合樹脂を、支持案内部材の形状に対応した金型キャビティ内に充てんすることによって成形されていることを特徴とするものである。
また、上記支持案内部材は、成形時に生じるウエルドラインを、十字軸継手を回転させる際に支持案内部材に加わるスラスト荷重が最も高くなる部位と重ならないようにずらした状態で、十字軸継手に組み込まれるのが好ましい。
支持案内部材としては、トラニオン軸の先端面と軸受ケースの凹部の底面との間に配設されるスラストワッシャが挙げられ、このスラストワッシャが、ポリフェニレンサルファイド樹脂中に、四フッ化エチレン樹脂と溶融フッ素樹脂とを添加した複合樹脂を用いて成形されているのが好ましい。
支持案内部材としては、トラニオン軸の先端面と軸受ケースの凹部の底面との間に配設されるスラストワッシャが挙げられ、このスラストワッシャが、ポリフェニレンサルファイド樹脂中に、四フッ化エチレン樹脂と溶融フッ素樹脂とを添加した複合樹脂を用いて成形されているのが好ましい。
本発明においては、支持案内部材を、耐熱性や機械的強度等に優れたポリフェニレンサルファイド樹脂中に、良好な摺動性を有する四フッ化エチレン樹脂と溶融フッ素樹脂とを添加した複合樹脂を用いて成形しているため、たとえグリース切れが発生しても、トラニオン軸やころとの摺動を応急的に維持して、摩耗等を防止することが可能となる。
また、上記支持案内部材を射出成形等によって成形する際に生じるウエルドラインを、十字軸継手を回転させる際に支持案内部材に加わるスラスト荷重が最も高くなる部位と重ならないようにずらした状態で、十字軸継手に組み込んだ場合には、スラスト荷重が加わった際に、支持案内部材がウエルドラインで破損するのを防止することができる。
また、上記支持案内部材を射出成形等によって成形する際に生じるウエルドラインを、十字軸継手を回転させる際に支持案内部材に加わるスラスト荷重が最も高くなる部位と重ならないようにずらした状態で、十字軸継手に組み込んだ場合には、スラスト荷重が加わった際に、支持案内部材がウエルドラインで破損するのを防止することができる。
本発明の構成は、スラストワッシャに適用することができる。
図1(a)は、本発明の一実施形態にかかる十字軸継手の一部切り欠き正面図、図1(b)は、上記十字軸継手に用いるスラストワッシャの平面図である。また、図2は、上記十字軸継手の一部切り欠き分解斜視図である。
図1(a)および図2を参照して、この例の十字軸継手は、円柱状の4つのトラニオン軸11を十字状に配設した形状を有する十字軸1と、各トラニオン軸11を受容する有底円筒状の凹部21を有する4つの軸受ケース2とを備えると共に、各トラニオン軸11の、円柱の外周面に設けられる内側軌道面12と、この内側軌道面12と一定の間隔をあけて対向するように、各軸受ケース2の凹部21の筒状の内周面に設けられる外側軌道面22との間の空間内に、その軸線をトラニオン軸11の軸線と平行に向けて複数のころ3が配設された構造を有している。上記各部は、従来同様に、いずれも軸受鋼等の金属によって形成される。
図1(a)および図2を参照して、この例の十字軸継手は、円柱状の4つのトラニオン軸11を十字状に配設した形状を有する十字軸1と、各トラニオン軸11を受容する有底円筒状の凹部21を有する4つの軸受ケース2とを備えると共に、各トラニオン軸11の、円柱の外周面に設けられる内側軌道面12と、この内側軌道面12と一定の間隔をあけて対向するように、各軸受ケース2の凹部21の筒状の内周面に設けられる外側軌道面22との間の空間内に、その軸線をトラニオン軸11の軸線と平行に向けて複数のころ3が配設された構造を有している。上記各部は、従来同様に、いずれも軸受鋼等の金属によって形成される。
各トラニオン軸11の先端面13と軸受ケース2の凹部21の底面23との間には、両者の間に介在して、トラニオン軸11をその軸方向に支持するためのスラストワッシャ4が配設され、ころ3の、トラニオン軸11の先端面13側の端面31と、軸受ケース2の凹部21の底面23との間には、両者の間に介在して、ころ3をその軸方向に案内するためのころワッシャ5が配設される。また、軸受ケース2の凹部21の入口24には、ころ3の、トラニオン軸11の先端面側と反対側の端面32と当接することで、ころ3をその軸方向に支持するためのころガイド6が配設される。さらに、ころガイド6とトラニオン軸11との間には、ころ3が配設される内側軌道面12と外側軌道面22との間の空間にグリースを充てんした状態で、外部から遮蔽するためのオイルシール7が嵌め合わされる。
図2を参照して、上記十字軸継手は、図において、十字軸1の中心点を挟んで上下方向に伸びる2つのトラニオン軸11に嵌め合わせた2つの軸受ケース2を、連結すべき一対の軸のうち手前側の軸の軸端に設けたヨークYに固定し、かつ十字軸1の中心点を挟んで上記と直交する左右方向に伸びる2つのトラニオン軸11に嵌め合わせた2つの軸受ケース2を向こう側の軸の軸端に設けたヨークYに固定することによって、上記両軸を、例えばその軸線を交差させた状態で、回転可能に接続するために用いられる。
軸受ケース2とヨークYとは、いずれの軸の側においても、軸受ケース2の、固定するヨークY側の側面に設けた突起25を、ヨークYの、十字軸継手と対向する端面Y1から突設したヨーク爪Y2間の凹部Y3に嵌め合わせて、軸の回転方向への移動を規制しながら、各軸受ケース2の、突起25の両側に設けた、当該軸受ケース2を軸方向に貫通する一対の通孔26にねじBを挿通して、ヨークYの端面Y1に設けたねじ穴Y4にねじ込むことによって固定される。
図1(a)(b)を参照して、この例の十字軸継手においては、上記各部のうちスラストワッシャ4が、ポリフェニレンサルファイド樹脂中に、四フッ化エチレン樹脂と溶融フッ素樹脂とを添加した複合樹脂を、当該スラストワッシャ4の形状に対応した金型キャビティ内に充てんすることによって成形される。成形方法としては、射出成形法、圧縮成形法等が挙げられ、特に、上記の複合樹脂を加熱して溶融させた状態で、金型キャビティ内に注入し、充填したのち冷却する射出成形法が好ましい。
複合樹脂を構成するポリフェニレンサルファイド樹脂としては、射出成形等による成形が可能な種々のグレードのポリフェニレンサルファイド樹脂が、いずれも使用可能である。
四フッ化エチレン樹脂としては、いわゆる固体潤滑剤として、スラストワッシャ4の摺動性を向上するために機能する微粉末状のものが挙げられる。四フッ化エチレン樹脂の添加量は、複合樹脂の総量中の5〜40重量%であるのが好ましい。四フッ化エチレン樹脂の添加量が5重量%未満では、当該四フッ化エチレン樹脂による、スラストワッシャ4の摺動性を向上する効果が得られないおそれがあり、40重量%を超える場合には、相対的にポリフェニレンサルファイド樹脂の量が少なくなるため、成形性が低下したり、スラストワッシャ4の機械的強度が低下して摩耗したり割れたりしやすくなるおそれがある。
四フッ化エチレン樹脂としては、いわゆる固体潤滑剤として、スラストワッシャ4の摺動性を向上するために機能する微粉末状のものが挙げられる。四フッ化エチレン樹脂の添加量は、複合樹脂の総量中の5〜40重量%であるのが好ましい。四フッ化エチレン樹脂の添加量が5重量%未満では、当該四フッ化エチレン樹脂による、スラストワッシャ4の摺動性を向上する効果が得られないおそれがあり、40重量%を超える場合には、相対的にポリフェニレンサルファイド樹脂の量が少なくなるため、成形性が低下したり、スラストワッシャ4の機械的強度が低下して摩耗したり割れたりしやすくなるおそれがある。
溶融フッ素樹脂としては、加熱により溶融して成形が可能な種々のフッ素樹脂が用いられる。かかる溶融フッ素樹脂としては、例えばテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−フルオロアルキルビニルエーテル−フルオロオレフィン共重合体、ポリトリクロロフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等の1種または2種以上が挙げられる。
溶融フッ素樹脂は、上記のようにそれ自体が加熱により溶融するため、溶融しない四フッ化エチレン樹脂を単独で、ポリフェニレンサルファイド樹脂に添加する場合に比べて、複合樹脂の良好な成形性を維持しつつ、成形したスラストワッシャ4に高い摺動性を付与することができる。溶融フッ素樹脂の添加量は、複合樹脂の総量中の3〜20重量%であるのが好ましい。溶融フッ素樹脂の添加量が3重量%未満では、当該溶融フッ素樹脂による、スラストワッシャ4の摺動性を向上する効果が得られないおそれがあり、20重量%を超える場合には、相対的にポリフェニレンサルファイド樹脂の量が少なくなるため、成形性が低下したり、スラストワッシャ4の機械的強度が低下して摩耗したり割れたりしやすくなるおそれがある。
図1(b)を参照して、例えば射出成形法により、金型キャビティの、スラストワッシャ4の1側面に相当する部分に設けたゲートGから、加熱して溶融させた複合樹脂を注入して、平面形状が円形で、なおかつその円の中心に円形の通孔41を備えたスラストワッシャ4を成形する場合には、成形されたスラストワッシャ4の、上記ゲートGと通孔41を挟んで反対側の領域に、図中に二点鎖線で示すようなウエルドラインWLが発生する。このウエルドラインWLの両側の樹脂は、完全に分離しているわけではないが、その他の部分に比べると外力が加わった際に割れやすい。
そこで、この例においては、スラストワッシャ4を、その円の中心C3を中心として約90°回転させて、ウエルドラインWLが、十字軸継手の回転時に、スラストワッシャ4に加わるスラスト荷重が最も高くなる部位4a(つまり、前記図4において、軸線C1がずれたトラニオン軸11の先端面13が、同図中に白矢印で示すように大きなスラスト荷重で当接する部位)と重ならないようにずらした状態で、スラストワッシャ4を、十字軸継手に組み込むようにしている。なお、図1(b)中の一点鎖線は、スラストワッシャ4に加わるスラスト荷重の分布を示す等圧線であり、スラスト荷重は、上記のように部位4aにおいて最も高く、図において右側ほど低くなっている。スラストワッシャ4をこのようにずらして組み込むことにより、前記のように外力に弱いウエルドラインWLが、スラスト荷重によって割れるのを防止することができる。
なお、この例において、ウエルドラインWLを約90°回転させているのは、十字軸継手を反対方向に回転させた際には、スラストワッシャ4の、円の中心C3を挟んで反対側、つまり現在の、スラスト荷重が最も高くなる部位4aから約180°回転させた位置が、今度は、スラスト荷重が最も高くなる部位となり、この両部位から最も遠く、スラスト荷重の影響を受けにくいのが、約90°回転させた位置であるためである。
したがって、例えば鉄鋼圧延機の駆動軸等に組み込むもののように、一方向にしか回転させない十字軸継手においては、ウエルドラインWLを、スラスト荷重が最も高くなる部位4aから約180°回転させた位置に配置しても良い。
本発明においては、上記スラストワッシャ4以外の他の支持案内部材、つまりころワッシャ5やころガイド6を、同様に上記の複合樹脂によって形成してもよい。しかし、グリース切れが最も生じやすいスラストワッシャ4を上記の複合樹脂によって形成しておくだけでも十分に効果的であり、その場合、ころワッシャ5やころガイド6は、従来同様に金属によって形成すればよい。
本発明においては、上記スラストワッシャ4以外の他の支持案内部材、つまりころワッシャ5やころガイド6を、同様に上記の複合樹脂によって形成してもよい。しかし、グリース切れが最も生じやすいスラストワッシャ4を上記の複合樹脂によって形成しておくだけでも十分に効果的であり、その場合、ころワッシャ5やころガイド6は、従来同様に金属によって形成すればよい。
1 十字軸
11 トラニオン軸
12 内側軌道面
13 先端面
2 軸受ケース
21 凹部
22 外側軌道面
23 底面
3 ころ
4 スラストワッシャ(支持案内部材)
4a スラスト荷重が最も高くなる部位
WL ウエルドライン
11 トラニオン軸
12 内側軌道面
13 先端面
2 軸受ケース
21 凹部
22 外側軌道面
23 底面
3 ころ
4 スラストワッシャ(支持案内部材)
4a スラスト荷重が最も高くなる部位
WL ウエルドライン
Claims (3)
- 円柱状の4つのトラニオン軸を十字状に配設した形状を有する十字軸と、各トラニオン軸を個別に受容する有底円筒状の凹部を有する4つの軸受ケースとを備え、かつ各トラニオン軸の、円柱の外周面に設けられる内側軌道面と、この内側軌道面と一定の間隔をあけて対向するように、各軸受けケースの凹部の筒状の内周面に設けられる外側軌道面との間に、その軸線をトラニオン軸と平行に向けて複数のころが配設される十字軸継手であって、上記トラニオン軸ところとを、それぞれの軸方向に支持または案内する支持案内部材を有すると共に、この支持案内部材が、ポリフェニレンサルファイド樹脂中に、四フッ化エチレン樹脂と溶融フッ素樹脂とを添加した複合樹脂を、支持案内部材の形状に対応した金型キャビティ内に充てんすることによって成形されていることを特徴とする十字軸継手。
- 成形時に生じるウエルドラインを、十字軸継手を回転させる際に支持案内部材に加わるスラスト荷重が最も高くなる部位と重ならないようにずらした状態で、支持案内部材が十字軸継手に組み込まれる請求項1記載の十字軸継手。
- 支持案内部材が、トラニオン軸の先端面と軸受ケースの凹部の底面との間に配設されるスラストワッシャであって、このスラストワッシャが、ポリフェニレンサルファイド樹脂中に、四フッ化エチレン樹脂と溶融フッ素樹脂とを添加した複合樹脂を用いて成形されている請求項1記載の十字軸継手。
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JP (1) | JP2006017285A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101448190B1 (ko) * | 2006-12-15 | 2014-11-21 | 도오꾜오까고오교 가부시끼가이샤 | 부극 기재 |
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2004
- 2004-07-05 JP JP2004198369A patent/JP2006017285A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101448190B1 (ko) * | 2006-12-15 | 2014-11-21 | 도오꾜오까고오교 가부시끼가이샤 | 부극 기재 |
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