JP2007303481A - 伸縮軸および伸縮軸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】転動体の振動による騒音の発生を防止することができる伸縮軸および伸縮軸の製造方法を提供する。
【解決手段】伸縮軸としての中間軸5は、互いに嵌合された内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23;22,24間にそれぞれ複数のボール17を介在させている。外軸15の一対の軌道溝23,24は、外軸15の軸方向X1に沿って延びている。内軸16の一対の軌道溝21,22は、内軸16の軸方向X1に対して互いに逆向きに傾斜している。内軸16の各軌道溝21,22と、それに対応する外軸15の軌道溝23,24とによって、全てのボール17が確実に挟持されている。
【選択図】図3
【解決手段】伸縮軸としての中間軸5は、互いに嵌合された内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23;22,24間にそれぞれ複数のボール17を介在させている。外軸15の一対の軌道溝23,24は、外軸15の軸方向X1に沿って延びている。内軸16の一対の軌道溝21,22は、内軸16の軸方向X1に対して互いに逆向きに傾斜している。内軸16の各軌道溝21,22と、それに対応する外軸15の軌道溝23,24とによって、全てのボール17が確実に挟持されている。
【選択図】図3
Description
この発明は、伸縮軸および伸縮軸の製造方法に関するものである。
自動車のステアリング装置には、伸縮軸が備えられている。例えば伸縮軸としての中間軸は、ステアリングシャフトとステアリングギヤとの間に介装されている。これにより、ステアリングホイールに加わる回転操作力が、ステアリングシャフトおよび中間軸を介して、ステアリングギヤに伝達されるようになっている。
中間軸は、特許文献1記載のように、互いに嵌合された内軸および筒状の外軸と、内軸および外軸の間に介在し中間軸の軸方向に並ぶ列をなす複数の転動体とを備えるものがある。内軸および外軸には、それぞれ複数の軸方向溝が形成されており、上記複数の転動体は、内軸および外軸の互いに対応する軸方向溝間に介在している。また、複数の転動体は、内軸および外軸の軸方向溝間で挟持され、予圧が与えられている。
特開2005−308095号公報
中間軸は、特許文献1記載のように、互いに嵌合された内軸および筒状の外軸と、内軸および外軸の間に介在し中間軸の軸方向に並ぶ列をなす複数の転動体とを備えるものがある。内軸および外軸には、それぞれ複数の軸方向溝が形成されており、上記複数の転動体は、内軸および外軸の互いに対応する軸方向溝間に介在している。また、複数の転動体は、内軸および外軸の軸方向溝間で挟持され、予圧が与えられている。
しかしながら、特許文献1記載の中間軸では、転動体が内軸および外軸の互いに対応する軸方向溝間で振動し、騒音が発生する場合がある。すなわち、軸方向溝および転動体の加工精度や寸法精度のばらつきの影響によって、一部の転動体が内軸および外軸の互いに対応する軸方向溝間で遊び、その転動体が、上記軸方向溝間で振動を発生して、騒音の原因になる。
この発明は、かかる背景のもとになされたものであり、転動体の振動による騒音の発生を防止することができる伸縮軸および伸縮軸の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、互いに嵌合された内軸(16)および筒状の外軸(15)と、外軸の内周(20)に形成された複数の軌道溝(23,23a,24,24a)と、内軸の外周(18)に形成された複数の軌道溝(21,22)と、外軸および内軸の対応する軌道溝間に介在する複数の転動体(17)とを備え、外軸および内軸の少なくとも一方の軸の軌道溝が、その軸の軸方向(X1)に対して傾斜されており、その結果、両軸を径方向(Y1)に沿って見たときに、両軸の軌道溝が互いに交差する方向に延びている、伸縮軸(5)である。
本発明によれば、内軸および外軸にそれぞれ形成された軌道溝は、両軸の径方向に沿って見たときに互いに交差する方向に延びているので、全ての転動体を内軸および外軸の対応する軌道溝によって確実に挟持することができる。したがって、内軸および外軸の対応する軌道溝間で転動体が振動することがないので、振動に起因する騒音の発生を防止することができる。
また、上記外軸および内軸の何れか一方の軸の軌道溝の延びる方向が、その一方の軸の軸方向に対して傾斜しており、他方の軸の軌道溝はその他方の軸の軸方向に延びていてもよい。この場合、外軸および内軸の何れか一方の軸の軌道溝のみを、その一方の軸の軸方向に対して傾斜させることにより、転動体の振動による騒音の発生をコスト安価に防止することができる。
また、上記外軸の軌道溝の延びる方向が外軸の軸方向に対して傾斜しており、内軸の軌道溝の延びる方向が内軸の軸方向に対して傾斜しており、両軸の軌道溝の延びる方向は、互いに逆向きに傾斜していてもよい。この場合、転動体の振動による騒音の発生を確実に防止することができる。
また、上記伸縮軸の製造方法として、上記外軸および内軸の何れか一方の素材となる素材軸(34)に、その軸方向(X2)に沿って溝を形成し、その後、その素材軸をその周方向(Z1)にねじることにより、外軸または内軸の軸方向に対して傾斜した軌道溝を得るようにしてもよい。この場合、外軸および内軸の素材となる素材軸に、その軸方向に沿う溝を形成するだけでよいので、溝の加工が容易である。また、上記溝が形成された素材軸を周方向にねじるだけで、外軸または内軸の軸方向に対して傾斜した軌道溝を簡単に得ることができる。
また、上記伸縮軸の製造方法として、上記外軸および内軸の何れか一方の素材となる素材軸(34)に、その軸方向(X2)に沿って溝を形成し、その後、その素材軸をその周方向(Z1)にねじることにより、外軸または内軸の軸方向に対して傾斜した軌道溝を得るようにしてもよい。この場合、外軸および内軸の素材となる素材軸に、その軸方向に沿う溝を形成するだけでよいので、溝の加工が容易である。また、上記溝が形成された素材軸を周方向にねじるだけで、外軸または内軸の軸方向に対して傾斜した軌道溝を簡単に得ることができる。
また、伸縮軸の製造方法として、上記外軸および内軸の何れか一方の素材となる素材軸をその周方向にねじった状態で、素材軸の軸方向に沿って溝を形成し、その後、素材軸のねじりを戻すことにより、外軸または内軸の軸方向に対して傾斜した軌道溝を得るようにしてもよい。この場合、周方向にねじられた素材軸にその軸方向に沿う溝を形成するだけでよいので、溝の加工が容易である。また、上記溝が形成された素材軸のねじりを戻すことにより、外軸または内軸の軸方向に対して傾斜した軌道溝を簡単に得ることができる。
なお、上記において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る伸縮軸が中間軸5に適用されたステアリング装置1の模式図である。
図1を参照して、ステアリング装置1は一端にステアリングホイール等の操舵部材2が連結されたステアリングシャフト3と、このステアリングシャフト3に自在継手4を介して一体回転可能に連結された伸縮軸としての中間軸5とを備える。また、ステアリング装置1は、自在継手6を介して中間軸5に一体回転可能に連結されたピニオン軸7と、このピニオン軸7に設けられたピニオン8に噛み合うラック9を有し車両の左右方向に延びるラック軸10とを備える。
図1は、本発明の一実施形態に係る伸縮軸が中間軸5に適用されたステアリング装置1の模式図である。
図1を参照して、ステアリング装置1は一端にステアリングホイール等の操舵部材2が連結されたステアリングシャフト3と、このステアリングシャフト3に自在継手4を介して一体回転可能に連結された伸縮軸としての中間軸5とを備える。また、ステアリング装置1は、自在継手6を介して中間軸5に一体回転可能に連結されたピニオン軸7と、このピニオン軸7に設けられたピニオン8に噛み合うラック9を有し車両の左右方向に延びるラック軸10とを備える。
ラック軸10の両端には、それぞれタイロッド11が結合されている。各タイロッド11は、対応するナックルアーム12を介して操向輪13に連結されている。
ラック軸10は、図示しない軸受等を介してハウジング14によりその軸方向に移動自在に支持されている。ピニオン軸7、ラック軸10、タイロッド11、ナックルアーム12および操向輪13を含んで舵取り機構が構成されている。
ラック軸10は、図示しない軸受等を介してハウジング14によりその軸方向に移動自在に支持されている。ピニオン軸7、ラック軸10、タイロッド11、ナックルアーム12および操向輪13を含んで舵取り機構が構成されている。
操舵部材2が操作されてステアリングシャフト3が回転すると、この回転がピニオン8およびラック9によって車両の左右方向に沿うラック軸10の直線運動に変換される。これにより、操向輪13の転舵が達成される。
伸縮軸としての中間軸5は、ロワーシャフトとしての筒状の外軸15と、この外軸15に嵌め合わされたアッパーシャフトとしての内軸16と、外軸15および内軸16の間に介在し中間軸5の軸方向X1に並ぶ複数の転動体としてのボール17とを備える。外軸15および内軸16は、複数のボール17を介して軸方向X1に相対移動可能に且つトルク伝達可能に接続されている。
伸縮軸としての中間軸5は、ロワーシャフトとしての筒状の外軸15と、この外軸15に嵌め合わされたアッパーシャフトとしての内軸16と、外軸15および内軸16の間に介在し中間軸5の軸方向X1に並ぶ複数の転動体としてのボール17とを備える。外軸15および内軸16は、複数のボール17を介して軸方向X1に相対移動可能に且つトルク伝達可能に接続されている。
図2は、外部からトルクが付与されていない状態の中間軸5の軸方向X1に沿う概略的な断面図である。また、図3は、図2におけるIII−III線に沿う中間軸5の断面図であり、図4は、図2におけるIV−IV線に沿う中間軸5の断面図である。
図3および図4を参照して、内軸16は、中実の軸であり、内軸16の外周18は断面矩形状をなしている。外軸15は、中空の軸であり、外軸15の外周19は、断面円形をなしている。また、外軸15の内周20は、概ね内軸16の外周18に沿い、且つ内軸16の外周18よりも大きい断面矩形状をなしている。内軸16は、外軸15の内部に嵌め合わされている。なお、内軸16は、中空の軸であってもよい。
図3および図4を参照して、内軸16は、中実の軸であり、内軸16の外周18は断面矩形状をなしている。外軸15は、中空の軸であり、外軸15の外周19は、断面円形をなしている。また、外軸15の内周20は、概ね内軸16の外周18に沿い、且つ内軸16の外周18よりも大きい断面矩形状をなしている。内軸16は、外軸15の内部に嵌め合わされている。なお、内軸16は、中空の軸であってもよい。
図2、図3および図4を参照して、内軸16の外周18には、概ね軸方向X1(実際には、軸方向X1に対して浅い角度で傾斜する方向)に延びる複数の軌道溝21,22が内軸16の周方向に等間隔を隔てて形成されている。本実施の形態では、一対の軌道溝21,22が形成されており、一対の軌道溝21,22は互いに内軸16の径方向に対向している。また、外軸15の内周20には、軸方向X1に延びる複数の軌道溝23,24が形成されている。本実施の形態では、一対の軌道溝23,24が形成されており、外軸15の各軌道溝23,24は、それぞれ対応する内軸16の軌道溝21,22に概ね対向する位置に形成されている。内軸16および外軸15に形成された各軌道溝21〜24は、図3および図4に示すように、断面V字状をなしている。
内軸16の各軌道溝21,22と、それに対応する外軸15の軌道溝23,24との間には、それぞれ軌道路25が区画されている。上記複数のボール17は、概ね軸方向X1に並んで各軌道路25に介在している。具体的には、図2に示すように、内軸16の一方の軌道溝21と外軸15の一方の軌道溝23との間に、2つのボール17が介在しており、内軸16の他方の軌道溝22と外軸15の他方の軌道溝24との間に、2つのボール17が介在している。
また、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23間に介在する2つのボール17は、保持器26によって軸方向X1に所定間隔を隔てて保持されている。同様に、内軸16および外軸15の対応する軌道溝22,24間に介在する2つのボール17は、保持器26によって軸方向X1に所定間隔を隔てて保持されている。
これら4つのボール17は、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23;22,24によってそれぞれ挟持され予圧が与えられている。また、内軸16および外軸15の各軌道溝21〜24には潤滑剤が塗布されている。本実施形態で用いられる潤滑剤としては、ASTM混和ちょう度が250以下のグリースや、動粘度が20mm2/s(20℃)以上の潤滑油が挙げられる。
これら4つのボール17は、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23;22,24によってそれぞれ挟持され予圧が与えられている。また、内軸16および外軸15の各軌道溝21〜24には潤滑剤が塗布されている。本実施形態で用いられる潤滑剤としては、ASTM混和ちょう度が250以下のグリースや、動粘度が20mm2/s(20℃)以上の潤滑油が挙げられる。
また、内軸16の先端27には、内軸16の各軌道溝21,22からのボール17の脱落を阻止するためのピン28が取り付けられている。ピン28は、内軸16をその径方向Y1に貫通する貫通孔29に例えば圧入して取り付けられている。内軸16に取り付けられたピン28の両端は、内軸16の各軌道溝21,22の底から径方向Y1外方にそれぞれ突出している。これにより、内軸16および外軸15が軸方向X1に相対移動してボール17が内軸16の先端27側に移動したとき、ピン28の両端がそれぞれ保持器26に当接することにより、内軸16の一対の軌道溝21,22からのボール17の脱落を阻止することができる。
また、外軸15の先端30には、外軸15の一対の軌道溝23,24からのボール17の脱落を阻止するための一対のピン31が取り付けられている。一対のピン31は、それぞれ、外軸15をその径方向(本実施形態では、内軸16の径方向Y1と同一方向)に貫通する一対の貫通孔32に例えば圧入して取り付けられている。外軸15に取り付けられた各ピン31の先端は、それぞれ対応する外軸の軌道溝23,24の底から径方向Y1内方に突出している。これにより、内軸16および外軸15が軸方向X1に相対移動してボール17が外軸15の先端30側に移動したとき、各ピン31の先端が保持器26に当接することにより、外軸15の一対の軌道溝23,24からのボール17の脱落を阻止することができる。
なお、内軸16に取り付けられたピン28の両端は、対応する外軸15の軌道溝23,24内に進出してもよいし、進出していなくてもよい。また、外軸15に取り付けられた各ピン31の先端は、それぞれ内軸16の対応する軌道溝21,22内に進出してもよいし、進出していなくてもよい。
図5は、保持器26の概略的な斜視図である。図5を参照して、本実施形態に係る保持器26は、板金によって形成された長尺で矩形をなす薄板からなる。保持器26には、ボール17を保持するための2つの保持孔33が、保持器26の長手方向A1に間隔を隔てて形成されており、各保持孔33は保持器26をその厚み方向に貫通している。また、各保持孔33の直径は、ボール17の直径よりも大きくされている。
図5は、保持器26の概略的な斜視図である。図5を参照して、本実施形態に係る保持器26は、板金によって形成された長尺で矩形をなす薄板からなる。保持器26には、ボール17を保持するための2つの保持孔33が、保持器26の長手方向A1に間隔を隔てて形成されており、各保持孔33は保持器26をその厚み方向に貫通している。また、各保持孔33の直径は、ボール17の直径よりも大きくされている。
図6は、中間軸5の軸方向X1に沿う概略的な断面図であり、図2におけるVI−VI線に沿う断面を矢視Rまたは矢視Sから見た断面である。また、図7は、図6における中間軸5の概略的な分解断面図である。なお、図6および図7においては、ボール17、ピン28、一対のピン31および保持器26を省略して図示している。
図7を参照して、内軸16に形成された各軌道溝21,22は、内軸16の軸方向(本実施の形態では、中間軸5の軸方向X1と同一方向)に対して傾斜した方向に延びている。図7に示すように、内軸16を径方向に沿って見たときに、内軸16に形成された一対の軌道溝21,22は、内軸16の軸方向X1に対して互いに逆向きに傾斜している。また、外軸15に形成された各軌道溝23,24は、外軸15の軸方向(本実施の形態では、中間軸5の軸方向X1と同一方向)に延びている。
図7を参照して、内軸16に形成された各軌道溝21,22は、内軸16の軸方向(本実施の形態では、中間軸5の軸方向X1と同一方向)に対して傾斜した方向に延びている。図7に示すように、内軸16を径方向に沿って見たときに、内軸16に形成された一対の軌道溝21,22は、内軸16の軸方向X1に対して互いに逆向きに傾斜している。また、外軸15に形成された各軌道溝23,24は、外軸15の軸方向(本実施の形態では、中間軸5の軸方向X1と同一方向)に延びている。
したがって、図6に示すように、内軸16および外軸15が互いに嵌合された状態において、軌道溝21〜24を両軸の径方向Y1に沿って見ると、互いに対応する軌道溝21および軌道溝23が互いに交差する方向に延びており、また、互いに対応する軌道溝22および軌道溝24が互いに交差する方向に延びている。
これにより、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23間に介在する2つのボール17は、図3および図4に示すように、それぞれ、内軸16および外軸15の軌道溝21,23によって確実に挟持され予圧が与えられている。同様に、内軸16および外軸15の対応する軌道溝22,24間に介在する2つのボール17は、それぞれ、内軸16および外軸15の軌道溝22,24によって確実に挟持され予圧が与えられている。
これにより、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23間に介在する2つのボール17は、図3および図4に示すように、それぞれ、内軸16および外軸15の軌道溝21,23によって確実に挟持され予圧が与えられている。同様に、内軸16および外軸15の対応する軌道溝22,24間に介在する2つのボール17は、それぞれ、内軸16および外軸15の軌道溝22,24によって確実に挟持され予圧が与えられている。
また、図3および図4に示すように、各ボール17は、軌道溝21,23または軌道溝22,24によって2点で挟持されている。さらに、各軌道路25の一方の端部(図2におけるIII−III線に対応する位置)に配置されたボール17がそれぞれ対応する軌道溝21,23;22,24から受ける力の作用線L1と、各軌道路25の他方の端部(図2におけるIV−IV線に対応する位置)に配置されたボール17がそれぞれ対応する軌道溝21,23;22,24から受ける力の作用線L2とは、両軸の中心線L3および各ボール17の中心P1を通る平面D1に対して、互いに逆向きに傾斜している。この傾斜する角度が、接触角B,C(B=−C)に相当する。
このように、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23;22,24の延びる方向を、両軸の径方向Y1に沿って見たときに、互いに交差させることにより、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23;22,24間に介在する全てのボール17を確実に挟持することができる。したがって、ボール17が、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23;22,24間で振動することはないので、ボール17の振動により騒音が発生することを防止できる。
また、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23;22,24間で全てのボール17を確実に挟持することにより、各軌道溝21〜24に対するボール17の接触圧が分散される。その結果、各軌道溝21〜24の一部にボール17による過大な接触圧がかかることを防止できるので、内軸16および外軸15の軌道溝21〜24の摩耗を低減することができる。
また、各軌道路25の両端付近に配置されたボール17がそれぞれ対応する軌道溝21,23;22,24から受ける力の作用線L1,L2が互いに逆向きの接触角B,C(B=−C)をなすことにより、内軸16および外軸15間でトルクを伝達する際に発生する両軸への曲げモーメントに対して、高い剛性を中間軸5に備えさせることができる。
さらに、各ボール17を対応する軌道溝21,23;22,24によって2点で挟持することにより、内軸16および外軸15が軸方向X1に相対移動する際のスライド荷重を相対的に減少させることができる。
さらに、各ボール17を対応する軌道溝21,23;22,24によって2点で挟持することにより、内軸16および外軸15が軸方向X1に相対移動する際のスライド荷重を相対的に減少させることができる。
また、内軸16および外軸15の軌道溝21〜24によって、全てのボール17を確実に挟持することができるので、ボール17に対する軌道溝21〜24の挟持圧を調節する際に、内軸16の一対の軌道溝21,22および外軸15の一対の軌道溝23,24の何れか一方の対の軌道溝を調節するだけでよい。したがって、両軸の全ての軌道溝21〜24を調節する場合に比べて容易に、且つコスト安価にボール17に対する上記接触圧を調節することができる。
次に、軸方向X1に対して傾斜した一対の軌道溝21,22を内軸16に形成する方法について説明する。
図8は、一対の軌道溝21,22を内軸16に形成するための各工程を示す図である。
まず最初に、図8(a)に示すように、内軸16の素材となる素材軸34を例えば加工機(図示せず)に固定する。その後、図8(b)に示すように、素材軸34の外周にその軸方向X2に沿って一対の溝35,36を加工する。そして最後に、図8(c)に示すように、素材軸34をその周方向Z1にねじり、素材軸34を塑性変形させる。素材軸34のねじりに伴って一対の溝35,36もねじられ、軸方向X2に対して傾斜した一対の軌道溝21,22を得ることができる。
図8は、一対の軌道溝21,22を内軸16に形成するための各工程を示す図である。
まず最初に、図8(a)に示すように、内軸16の素材となる素材軸34を例えば加工機(図示せず)に固定する。その後、図8(b)に示すように、素材軸34の外周にその軸方向X2に沿って一対の溝35,36を加工する。そして最後に、図8(c)に示すように、素材軸34をその周方向Z1にねじり、素材軸34を塑性変形させる。素材軸34のねじりに伴って一対の溝35,36もねじられ、軸方向X2に対して傾斜した一対の軌道溝21,22を得ることができる。
このように、溝加工としては、軸方向X2に延びる一対の溝35,36を素材軸34に加工するだけでよいので、溝加工が容易である。また、一対の溝35,36が形成された素材軸34を周方向Z1にねじることにより、軸方向X2に対して傾斜した一対の軌道溝21,22を簡単に得ることができる。
なお、図8においては、素材軸34に一対の溝35,36を軸方向X2に沿うように加工し、その後、素材軸34を周方向Z1にねじって、傾斜された一対の軌道溝21,22を得る場合について説明したが、傾斜された軌道溝21,22の形成方法はこれに限らない。例えば、予め周方向Z1にねじられた素材軸34の軸方向X2に沿って一対の溝35,36を加工し、その後、素材軸34のねじりを戻すことにより軸方向X2に対して傾斜された一対の軌道溝21,22を得るようにしてもよい。
なお、図8においては、素材軸34に一対の溝35,36を軸方向X2に沿うように加工し、その後、素材軸34を周方向Z1にねじって、傾斜された一対の軌道溝21,22を得る場合について説明したが、傾斜された軌道溝21,22の形成方法はこれに限らない。例えば、予め周方向Z1にねじられた素材軸34の軸方向X2に沿って一対の溝35,36を加工し、その後、素材軸34のねじりを戻すことにより軸方向X2に対して傾斜された一対の軌道溝21,22を得るようにしてもよい。
また、上述の方法では、内軸16に一対の軌道溝21,22を形成する場合について説明したが、同様の方法により、外軸15に一対の軌道溝23,24を形成することもできる。この場合、外軸15の素材となる筒状の素材軸の内周に一対の溝を加工すればよい。
図9は、本発明の別の実施形態に係る伸縮軸としての中間軸5の軸方向X1に沿う概略的な断面図である。また、図10は、複数のボール17を保持するためのワイヤー保持器37の斜視図である。この図9および図10において上述の図2に示された各部と同等の構成部分については、図2と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図9は、本発明の別の実施形態に係る伸縮軸としての中間軸5の軸方向X1に沿う概略的な断面図である。また、図10は、複数のボール17を保持するためのワイヤー保持器37の斜視図である。この図9および図10において上述の図2に示された各部と同等の構成部分については、図2と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
なお、図9は、中間軸5に対して外部からトルクが付与されていない状態を示している。
図9を参照して、本実施の形態が上述の実施形態と主に相違するのは、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23;22,24間に、それぞれ複数(3個以上)のボール17が介在していることにある。また、これら複数のボール17は、ワイヤー保持器37によって保持されている。
図9を参照して、本実施の形態が上述の実施形態と主に相違するのは、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23;22,24間に、それぞれ複数(3個以上)のボール17が介在していることにある。また、これら複数のボール17は、ワイヤー保持器37によって保持されている。
ワイヤー保持器37は、図10に示すように、例えば1本の金属製ワイヤーによって構成されており、所定の軸線A2を中心として螺旋状に延びている。具体的には、ワイヤー保持器37は、所定の軸線A2に平行な複数の真直部38と、複数の螺旋状部39とを有しており、真直部38と螺旋状部39とが交互に配置されている。各ボール17は、互いに隣接する螺旋状部39間に配置されて保持されるようになっている。
本実施形態においても、上述の実施形態と同様に、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23;22,24間に介在する全てのボール17を確実に挟持することができる。したがって、ボール17が、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23;22,24間で振動することはないので、ボール17の振動により騒音が発生することを防止できる。
また、内軸16の各軌道溝21,22、およびそれに対応する外軸15の軌道溝23,24の延びる方向を、両軸の径方向Y1に沿って見たときに、互いに交差させることにより(図6および図7参照)、各ボール17とそれに対応する内軸16および外軸15の軌道溝21,23;22,24との接触状態を、軸方向X1に沿って変化させることができる。すなわち、各ボール17は、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23;22,24によって、種々の接触角で2点で挟持されている。その結果、ボール17の振動による騒音の発生をより確実に防止することができる。
また、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23;22,24間に複数(3個以上)のボール17を介在させ、且つ全てのボール17を確実に挟持することにより、各軌道溝21〜24に対するボール17の接触圧を相対的に小さくすることができる。その結果、各軌道溝21〜24の摩耗をさらに低減することができる。
また、ワイヤー保持器37を用いることにより、ワイヤー保持器37に保持されたボール17の配置間隔を短縮することができる。したがって、ワイヤー保持器37は、図5に示した保持器26に比べてより多くのボール17を保持することができる。これにより、各軌道溝21〜24に対するボール17の接触圧をさらに小さくすることができる。
また、ワイヤー保持器37を用いることにより、ワイヤー保持器37に保持されたボール17の配置間隔を短縮することができる。したがって、ワイヤー保持器37は、図5に示した保持器26に比べてより多くのボール17を保持することができる。これにより、各軌道溝21〜24に対するボール17の接触圧をさらに小さくすることができる。
図11は、本発明のさらに別の実施形態に係る伸縮軸としての中間軸5の軸方向X1に沿う概略的な分解断面図である。この図11において上述の図7に示された各部と同等の構成部分については、図7と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図11を参照して、本実施の形態が上述の実施形態と主に相違するのは、外軸15の一対の軌道溝23a,24aの延びる方向が、軸方向X1に対して傾斜していることにある。
図11を参照して、本実施の形態が上述の実施形態と主に相違するのは、外軸15の一対の軌道溝23a,24aの延びる方向が、軸方向X1に対して傾斜していることにある。
具体的には、内軸16に形成された一方の軌道溝21は、上述のように、軸方向X1に対して傾斜している。また、外軸15に形成された一方の軌道溝23aは、軸方向X1に対して傾斜しており、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23aは、軸方向X1に対して互いに逆向きに傾斜している。
また、外軸15の他方の軌道溝24aは、軸方向X1に対して傾斜しており、内軸16および外軸15の対応する軌道溝22,24aは、軸方向X1に対して互いに逆向きに傾斜している。
また、外軸15の他方の軌道溝24aは、軸方向X1に対して傾斜しており、内軸16および外軸15の対応する軌道溝22,24aは、軸方向X1に対して互いに逆向きに傾斜している。
したがって、図示はしないが、内軸16および外軸15が互いに嵌合された状態において、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23a;22,24aを両軸の径方向Y1に沿って見ると、両軌道溝21,23a;22,24aは互いに交差する方向に延びている。
本実施形態によれば、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23a;22,24aを軸方向X1に対して傾斜させ、内軸16の各軌道溝21,22と、それに対応する外軸15の軌道溝23a,24aとを互いに逆向きに傾斜させることにより、互いに対応する軌道溝21,23a;22,24aの交差角度を大きくすることができる。これにより、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23a;22,24aによって、全てボール17をより確実に挟持することができる。
本実施形態によれば、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23a;22,24aを軸方向X1に対して傾斜させ、内軸16の各軌道溝21,22と、それに対応する外軸15の軌道溝23a,24aとを互いに逆向きに傾斜させることにより、互いに対応する軌道溝21,23a;22,24aの交差角度を大きくすることができる。これにより、内軸16および外軸15の対応する軌道溝21,23a;22,24aによって、全てボール17をより確実に挟持することができる。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
5・・・中間軸(伸縮軸)16・・・内軸、15・・・外軸、17・・・ボール(転動体)、18・・・外周(内軸の外周)、20・・・内周(外軸の内周)、21,22・・・軌道溝(内軸の軌道溝)、23,23a,24,24a・・・軌道溝(外軸の軌道溝)、34・・・素材軸、35,36・・・溝、X1・・・軸方向(内軸および外軸の軸方向)、X2・・・軸方向(素材軸の軸方向)、Y1・・・径方向(内軸および外軸の径方向)、Z1・・・周方向
Claims (5)
- 互いに嵌合された内軸および筒状の外軸と、
外軸の内周に形成された複数の軌道溝と、
内軸の外周に形成された複数の軌道溝と、
外軸および内軸の対応する軌道溝間に介在する複数の転動体とを備え、
外軸および内軸の少なくとも一方の軸の軌道溝が、その軸の軸方向に対して傾斜されており、その結果、両軸を径方向に沿って見たときに、両軸の軌道溝が互いに交差する方向に延びていることを特徴とする伸縮軸。 - 請求項1において、上記外軸および内軸の何れか一方の軸の軌道溝の延びる方向が、その一方の軸の軸方向に対して傾斜しており、他方の軸の軌道溝はその他方の軸の軸方向に延びていることを特徴とする伸縮軸。
- 請求項1において、上記外軸の軌道溝の延びる方向が外軸の軸方向に対して傾斜しており、内軸の軌道溝の延びる方向が内軸の軸方向に対して傾斜しており、両軸の軌道溝の延びる方向は、互いに逆向きに傾斜していることを特徴とする伸縮軸。
- 請求項1〜3の伸縮軸の製造方法であって、上記外軸および内軸の何れか一方の素材となる素材軸に、その軸方向に沿って溝を形成し、その後、その素材軸をその周方向にねじることにより、外軸または内軸の軸方向に対して傾斜した軌道溝を得ることを特徴とする伸縮軸の製造方法。
- 請求項1〜3の伸縮軸の製造方法であって、上記外軸および内軸の何れか一方の素材となる素材軸をその周方向にねじった状態で、素材軸の軸方向に沿って溝を形成し、その後、素材軸のねじりを戻すことにより、外軸または内軸の軸方向に対して傾斜した軌道溝を得ることを特徴とする伸縮軸の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2006129254A JP2007303481A (ja) | 2006-05-08 | 2006-05-08 | 伸縮軸および伸縮軸の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017217321A1 (ja) * | 2016-06-14 | 2017-12-21 | 日本電気硝子株式会社 | ガラス転動体 |
WO2018110224A1 (ja) * | 2016-12-16 | 2018-06-21 | 日本電気硝子株式会社 | 球状ガラス及びガラス転動体の製造方法 |
-
2006
- 2006-05-08 JP JP2006129254A patent/JP2007303481A/ja active Pending
Cited By (3)
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WO2017217321A1 (ja) * | 2016-06-14 | 2017-12-21 | 日本電気硝子株式会社 | ガラス転動体 |
JPWO2017217321A1 (ja) * | 2016-06-14 | 2019-06-13 | 日本電気硝子株式会社 | ガラス転動体 |
WO2018110224A1 (ja) * | 2016-12-16 | 2018-06-21 | 日本電気硝子株式会社 | 球状ガラス及びガラス転動体の製造方法 |
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