JP6693264B2 - ボールねじ - Google Patents

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本発明は、例えば半導体製造装置や圧縮成形機、射出成形機、一般搬送装置等の機械要素として用いられるボールねじおよびボールねじの製造方法に関する。
回転運動を直線運動に変換する機構として、ボールねじが知られている。ボールねじは、ボールを転動させるための螺旋状のねじ溝が外周面に形成された直線状のねじ軸と、ねじ軸のねじ溝と対向し、ボールを転動させるための螺旋状のねじ溝が内周面に形成されたナットとを備え、ナットは、両ねじ溝によって形成されるボール転動路に転動可能に介装された多数のボールを介してねじ軸の外周側に嵌装されている。このような構成により、ボールねじは、ねじ軸を回動させることによりナットをねじ軸の軸方向に移動させ、あるいはナットを回動させることによりねじ軸を軸方向に移動させることができるようになっている。
ボールねじには、ボール転動路でボールを無限循環させるために、ボール転動路を転動したボールを、ボール転動路の所定の位置に戻すための循環路すなわちボール戻し径路が必要である。このようなボール戻し径路として、ボール循環溝をねじ軸の外周面に直接形成したボールねじが知られている。ボール循環溝は、ボールを、ナットのランド部すなわちナットのねじ山を乗り越えさせて、隣接するボール転動路に戻す径路である。特許文献1には、このようなボール循環溝を備えたボールねじのねじ溝の加工方法が記載されている。
特開2008−238384号公報
しかしながら、特許文献1のボールねじのねじ溝の加工方法においては、ねじ軸となるワークのねじ溝となる部分を、切削工具であるエンドミルを複数回往復させて当該部分を切削加工することによりねじ溝を成形している。そのためねじ軸にねじ溝を成形するための加工時間が長くなってしまい、その結果ボールねじの製造に手間が掛かってしまうという問題がある。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ボールを循環させるためのボール循環溝がねじ軸に形成されたボールねじにおいて、ねじ軸にねじ溝を成形するための加工時間を短縮し、製造の手間を低減することができるボールねじ、およびボールねじの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を達成するために、本発明に係るボールねじは、軸方向に延在し、外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、前記螺旋状のねじ溝に対向する螺旋状のねじ溝を内周面に有し、該ねじ溝と前記ねじ軸のねじ溝とで形成されるボール転動路に転動可能に配置された複数のボールを介して前記ねじ軸の径方向外方に嵌装されたナットとを備え、前記ボールを前記ボール転動路の所定位置まで戻すためのボール循環溝が前記ねじ軸の外周面に形成されたボールねじにおいて、前記ボール循環溝の断面形状は、第1の溝底部の断面と、前記第1の溝底部の断面の軸方向一方端および軸方向他方端と前記ねじ軸の外周面との間のそれぞれの部分である軸方向一方側の第1面取り部の断面と軸方向他方側の第2面取り部の断面とからなり、前記ナット側のねじ溝の断面形状は、溝底で連続する軸方向一方側の第1円弧部と軸方向他方側の第2円弧部とを有し、前記第1面取り部の断面と前記ねじ軸の外周面との交点を接点とする前記ねじ軸の外周面の接線と、前記第1面取り部の断面とが成す第1の角、および、前記第2面取り部の断面と前記ねじ軸の外周面との交点を接点とする前記ねじ軸の外周面の接線と、前記第2面取り部の断面とが成す第2の角は、それぞれ、前記ナット側のねじ溝の溝底から前記ナットの中心軸線に下ろした垂線と、前記第2円弧部を含む円の中心と前記第2円弧部の径方向内方端とを通る直線とが成す第3の角、および、前記垂線と、前記第1円弧部を含む円の中心と前記第1円弧部の径方向内方端とを通る直線とが成す第4の角よりも大きいことを特徴とする。
また、本発明に係るボールねじは、前記ねじ軸側のねじ溝の断面形状は、第2の溝底部の断面と、前記第2の溝底部の断面の軸方向一方端および軸方向他方端と前記ねじ軸の外周面との間のそれぞれの部分である軸方向一方側の第3面取り部の断面と軸方向他方側の第4面取り部の断面とからなり、前記ボール循環溝の前記第1の溝底部の断面は、前記第2の溝底部の断面の溝底の幅を広げた形状であり、前記第1面取り部の断面および前記第2面取り部の断面は、それぞれ前記第3面取り部の断面および前記第4面取り部の断面を径方向外方に延ばした形状であることを特徴とする。
また、本発明に係るボールねじは、前記第1の溝底部の断面と前記第1面取り部の断面とは滑らかに連続し、前記第1の溝底部の断面と前記第2面取り部の断面とは滑らかに連続していることを特徴とする。
また、本発明に係るボールねじは、前記第2の溝底部の断面と前記第3面取り部の断面とは滑らかに連続し、前記第2の溝底部の断面と前記第4面取り部の断面とは滑らかに連続していることを特徴とする。
また、本発明に係るボールねじは、前記第1面取り部の断面および前記第2面取り部の断面は直線であることを特徴とする。
また、本発明に係るボールねじは、前記第1面取り部の断面および前記第2面取り部の断面は円弧であり、前記第1の角は、前記第1面取り部の断面と前記ねじ軸の外周面との交点を接点とする前記ねじ軸の外周面の接線と、該交点を接線とする前記第1面取り部の断面の接線とが成す角であり、前記第2の角は、前記第2面取り部の断面と前記ねじ軸の外周面との交点を接点とする前記ねじ軸の外周面の接線と、該交点を接線とする前記第2面取り部の断面の接線とが成す角であることを特徴とする。
本発明によれば、ボールを循環させるためのボール循環溝がねじ軸に形成されたボールねじにおいて、ねじ軸にねじ溝を成形するための加工時間を短縮し、製造の手間を低減することができるボールねじ、およびボールねじの製造方法を提供することができる。
図1は、実施形態に係るボールねじの斜視図である。 図2は、ボールねじの側面図であり、ナットの一部を破断して示している。 図3は、ボールねじの負荷部の拡大断面図である。 図4は、図2の4−4線の拡大断面図であり、ボールねじの循環部の中央部の断面を示している。 図5は、負荷部との境界近傍における循環部の拡大断面図である。 図6は、ボールねじを加工するためのエンドミルの先端部の拡大図であり、エンドミルが回動した際の輪郭を示している。 図7は、図6に示す工具を用いてワークにねじ溝を成形している状態を示す斜視図である。 図8は、負荷部との境界近傍における循環部の拡大断面図であり、ボールおよびナットに作用する力の方向を模式的に示している。
(実施形態)
以下、本発明に係るボールねじの実施形態について図面を参照しつつ説明する。
まず、本明細書中におけるボールねじに係る方向について定義する。本明細書においては、特に明記しない限り、ねじ軸が延在する長手方向を軸方向とし、ねじ軸の中心軸線と直交する方向を径方向とする。これらの方向は、ナットおよび他の部材については、ねじ軸に組み付けられた状態において同様とする。また、図2、図3、図4、図5および図8においては、紙面左方を軸方向一方側とし、紙面右方を軸方向他方側とする。
図1は、実施形態に係るボールねじの斜視図である。
図2は、ボールねじの側面図であり、ナットの一部を破断して示している。
図1および図2に示すように、本実施形態に係るボールねじ1は、円筒状のナット3と、ナット3のねじ孔に挿通されたねじ軸5とを備えている。ねじ軸5の軸方向他方側端部には、ねじ軸5を駆動するための駆動機構(図示省略)にねじ軸5を連結するための、あるいは射出成形機等(図示省略)にねじ軸5を連結するための連結部7が設けられている。
ナット3の内周面には、螺旋状のねじ溝9が設けられている。ねじ溝9はナット3の軸方向一方端から他方端に亘って連続して設けられている。ナット3の内周面のうち、隣り合うねじ溝9とねじ溝9との間の部分はランド部11すなわちねじ山である。
ねじ軸5の外周面には、螺旋状のねじ溝13が複数形成されている。本実施形態においては、ねじ軸5には3つのねじ溝13が形成されている。なお、図2においては1つのねじ溝13を示している。これら3つのねじ溝13は、それぞれナット3のねじ溝9に対向し、ねじ軸5の外周を螺旋状に約一周する長さに亘って形成されている。したがって各ねじ溝13は、一方端と他方端とが、ランド部11を間にして近い位置となるように形成されている。ねじ軸5の各ねじ溝13と、これら各ねじ溝13とそれぞれ対向するナット3のねじ溝9の部分とによってボール転動路15が形成されている。したがって本実施形態に係るボールねじ1には、ボール転動路15が3つ形成されている。
3つのボール転動路15には、それぞれ多数の鋼製のボール17が転動自在に介装されている。ナット3は、3つのボール転動路15に介装された多数のボール17を介してねじ軸5の外周側に嵌装されている。なお、3つのボール転動路15は同様の構成なので、以下では1つのボール転動路15について説明し、他の2つのボール転動路15についての説明は重複するので省略する。また、ボールねじ1に形成されるボール転動路15の数は3つに限定されず、適宜変更が可能である。
多数のボール17は、ねじ軸5とナット3とが相対回動することにより、ボール転動路15を転動する。本実施形態に係るボールねじ1は、ボール17をボール転動路15で無限循環させるために、ボール17をボール転動路15の一方端から他方端へ、あるいは他方端から一方端へ戻すためのボール戻し経路を備えている。ボールねじ1には、このようなボール戻し径路として、S字状のボール循環溝19がねじ軸5の外周面に形成されている。ボール循環溝19は、ナット3のランド部11すなわちねじ山と交差して形成され、ねじ軸5のねじ溝13の一方端と他方端とを接続している。ボール転動路15とボール循環溝19とでボール17が無限循環する閉ループが構成される。
ボール循環溝19は、ボール17がスムーズにボール循環溝19を転動するように、ねじ軸5のねじ溝13の溝幅よりも少し大きな溝幅で形成されている。ボール循環溝19の一方端および他方端は、それぞれねじ軸5のねじ溝13の一方端および他方端と滑らかに連続している。ボール循環溝19の深さは、ボール循環溝19の一方端および他方端から中央部に向かうにしたがって徐々に深くなり、ナット3のランド部11と対向する中央部において最も深くなるように形成されている。ボール循環溝19の中央部は、ボール17がナット3のランド部11を乗り越えることができる深さを有している。
ボール転動路15およびボール循環溝19はこのような構成なので、ボール転動路15を転動し、ボール転動路15の一方端(または他方端)に達したボール17は、ボール循環溝19に掬い上げられ、ボール循環溝19を転動する。ボール循環溝19を転動したボール17はナット3のランド部11を乗り越え、ボール転動路15の他方端(または一方端)に戻される。ボール17は、ボール循環溝19を介してボール転動路15をこのように循環している。ナット3は、ボール循環路15をこのように循環する多数のボール17を介してねじ軸5の外周側に嵌装されている。したがってボールねじ1は、ねじ軸5を回動させることによりナット3を軸方向に移動させ、あるいはナット3を回動させることによりねじ軸5を軸方向に移動させることができるようになっている。なお、以下の説明においては、ボール17が無限循環する閉ループを構成する部分として、ねじ軸5側のねじ溝13とナット3側のねじ溝9とで構成されるボール転動路15を「負荷部15」ともいい、ボール循環溝19を「循環部19」ともいう。
図3は、ボールねじの負荷部の拡大断面図である。
ねじ軸5側のねじ溝13は、断面形状が円弧である軸方向一方側の曲面21a(図3の紙面に向かって左方)と、断面形状が円弧である軸方向他方側の曲面21b(図3の紙面に向かって右方)とを組み合わせた溝面を底部側すなわち径方向内方側に有している。曲面21aの断面形状の円弧と曲面21bの断面形状の円弧とは同じ曲率半径であり、この曲率半径はボール17の曲率半径よりも大きい。また、曲面21aの断面形状の円弧と曲面21bの断面形状の円弧とは同じ長さである。ねじ軸5側のねじ溝13の断面形状の底部側は、対をなす曲面21aと曲面21bの各断面形状の円弧を組み合わせた所謂ゴシックアーク形状となっている。なお、ねじ軸5側のねじ溝13のうち、曲面21aで構成された部分および曲面21bで構成された部分をそれぞれ「ねじ軸側ねじ溝R部」という。
ねじ軸5側のねじ溝13の曲面21aの径方向外方端とねじ軸5の外周との間の部分は、面取りが施され、断面が直線の面取り部23aが形成されている。面取り部23aの径方向内方端と曲面21aの径方向外方端とは滑らかに連続している。また、ねじ軸5側のねじ溝13の曲面21bの径方向外方端とねじ軸5の外周との間の部分も同様に面取りが施され、断面が直線の面取り部23bが形成されている。面取り部23bの径方向内方端と曲面21bの径方向外方端とは滑らかに連続している。面取り部23aと面取り部23bとは対をなし、ボールねじ1の径方向に対して径方向外方に向かうに従い互いの間隔が広がる方向に傾いて、略軸方向に対向している。面取り部23aの断面形状の直線と面取り部23bの断面形状の直線とは同じ長さである。
このように、ねじ軸5側のねじ溝13の断面形状は、一対のねじ軸側ねじ溝R部の断面であるゴシックアーク形状と、該ゴシックアーク形状の両端と滑らかに連続する面取り部23aおよび面取り部23bの断面である一対の直線とから構成されている。言い換えると、ねじ軸5側のねじ溝13の断面形状は、溝底の中心すなわちゴシックアーク形状の底部を中心として、軸方向一方側の曲面21aの断面形状の円弧と面取り部23aの断面形状の直線とからなる軸方向一方側部と、軸方向他方側の曲面21bの断面形状の円弧と面取り部23bの断面形状の直線とからなる軸方向他方側部とから構成されている。
ナット3側のねじ溝9は、断面形状が円弧である軸方向一方側の曲面25c(図3の紙面に向かって左方)と、断面形状が円弧である軸方向他方側の曲面25d(図3の紙面に向かって右方)とを組み合わせた溝面を底部側すなわち径方向外方側に有している。曲面25cの断面形状の円弧と曲面25dの断面形状の円弧とは、ねじ軸5側のねじ溝13を構成している曲面21aおよび曲面21bの断面形状の円弧と同じ曲率半径であり、この曲率半径はボール17の曲率半径よりも大きい。また、曲面25cの断面形状の円弧と曲面25dの断面形状の円弧とは同じ長さである。ナット3側のねじ溝9の断面形状の底部側は、対をなす曲面25cと曲面25dの各断面形状の円弧を組み合わせた所謂ゴシックアーク形状となっている。なお、ナット3側のねじ溝9のうち、曲面25cで構成された部分および曲面25dで構成された部分をそれぞれ「ナット側ねじ溝R部」という。
ナット3側のねじ溝9の曲面25cの径方向内方端とナット3の内周との間の部分は、R面取りが施され、断面が円弧の溝肩部27cが形成されている。ナット3側のねじ溝9の曲面25dの径方向内方端とナット3の内周との間の部分も同様にR面取りが施され、断面が円弧の溝肩部27dが形成されている。溝肩部27cと溝肩部27dとは対をなし、ボールねじ1の径方向に対して径方向内方に向かうに従い互いの間隔が広がる方向に傾いて、略軸方向に対向している。溝肩部27cの断面形状の円弧と溝肩部27dの断面形状の円弧とは同じ長さである。
このように、ナット3側のねじ溝9の断面形状は、一対のナット側ねじ溝R部の断面であるゴシックアーク形状と、該ゴシックアーク形状の両端と滑らかに連続する溝肩部27cおよび溝肩部27dの断面である一対の円弧とから構成されている。言い換えると、ナット3側のねじ溝9の断面形状は、溝底の中心すなわちゴシックアーク形状の底部を中心として、軸方向一方側の曲面25cの断面形状の円弧と溝肩部27cの断面形状の円弧とからなる軸方向一方側部と、軸方向他方側の曲面25dの断面形状の円弧と溝肩部27dの断面形状の円弧とからなる軸方向他方側部とから構成されている。
ねじ軸5側のねじ溝13の軸方向一方側部と、ナット3側のねじ溝9の軸方向他方側部とは、負荷部15を転動するボール17の中心に関して対向している。同様に、ねじ軸5側のねじ溝13の軸方向他方側部と、ナット3側のねじ溝9の軸方向一方側部とは、負荷部15を転動するボール17の中心に関して対向している。
ここで、図3に示す断面図において、面取り部23aの外径側端、すなわち面取り部23aとねじ軸5の外周面との交点を交点Aとしたとき、交点Aを接点とするねじ軸5の外周面の接線TAと面取り部23aの断面とが成す角の大きさを、「面取り部逃げ角度θA」とする(以下、単に「角度θA」という。)。角度θAは、90°よりも小さい角度である。
面取り部23bの外径側端、すなわち面取り部23bとねじ軸5の外周面との交点を交点Bとしたとき、交点Bを接点とするねじ軸の外周面の接線(不図示)と面取り部23bの断面とが成す角の大きさ(当該角の大きさを「面取り部逃げ角度θB」とし、以下単に「角度θB」という。)も、「角度θA」と同じ大きさである。
また、図3に示す断面図において、ナット3側のねじ溝9の溝底、すなわちゴシックアーク形状を構成する2つの曲面25cおよび曲面25dの各断面形状である円弧の交点からナット3の中心軸線に下ろした垂線L1と、曲面25dの断面形状である円弧を含む円の中心C1と曲面25dの内径側端すなわちねじ軸側端とを通る直線L2とが成す角の大きさを、「ナット側ねじ溝R部範囲角度θD」とする(以下、単に「角度θD」という。)。角度θDは、90°よりも小さい角度である。
垂線L1と、曲面25cの断面形状である円弧を含む円の中心と曲面25cの内径側端すなわちねじ軸側端とを通る直線とが成す角の大きさ(当該角の大きさを「ナット側ねじ溝R部範囲角度θC」とし、以下単に「角度θC」という。)も、「角度θD」」と同じ大きさである。
本実施形態に係るボールねじ1は、ねじ軸5側のねじ溝13の軸方向一方側部の面取り部23aに関する角度θAが、負荷部15を転動するボール17の中心に関して対向する、ナット3側のねじ溝9の軸方向他方側部の曲面25dに関する角度θDよりも大きく形成されている。同様に、ねじ軸5側のねじ溝13の軸方向他方側部の面取り部23bに関する角度θBが、負荷部15を転動するボール17の中心に関して対向する、ナット3側のねじ溝9の軸方向一方側部の曲面25cに関する角度θCよりも大きく形成されている。
図4は、図2の4−4線の拡大断面図であり、ボールねじの循環部の中央部の断面を示している。
循環部19の溝幅は、ボール17がスムーズにボール循環溝19を転動するように、負荷部15のねじ軸5側ねじ溝13の溝幅よりも少し大きく形成されている。溝幅を大きくした分は、図4において幅方向のオフセット量tとして示している。
循環部19は、図4に示すように、断面形状が円弧である軸方向一方側の曲面29e(図4の紙面に向かって左方)と、断面形状が円弧である軸方向他方側の曲面29f(図4の紙面に向かって右方)とを組み合わせた溝面を底部側すなわち径方向内方側に有している。曲面29eの断面形状の円弧と曲面29fの断面形状の円弧とは、ねじ軸5側のねじ溝13を構成している曲面21aおよび曲面21bの断面形状の円弧と同じ曲率半径であり、この曲率半径はボール17の曲率半径よりも大きい。また、曲面29eの断面形状の円弧と曲面29fの断面形状の円弧とは同じ長さである。循環部19の断面形状の底部側は、対をなす曲面29eと曲面29fの各断面形状の円弧を組み合わせた所謂ゴシックアーク形状となっている。循環部19の断面形状のゴシックアーク形状は、ねじ軸5側のねじ溝13との境界すなわちねじ溝13と接続する循環部19の両端部においては、ねじ溝13の断面形状であるゴシックアーク形状と同じ形状であるが、中央部に向かうに従って底部が幅方向に徐々に長くなり、中央部においては、図4に示すように、ねじ溝13の断面形状であるゴシックアーク形状よりも溝幅を大きくした分だけ底部が幅方向に長くなっている。なお、循環部19すなわちボール循環溝19のうち、曲面29eで構成された部分および曲面f29で構成された部分をそれぞれ「ねじ軸側循環溝R部」という。
循環部19の曲面29eの径方向外方端とねじ軸5の外周との間の部分は、面取りが施され、断面が直線の面取り部31eが形成されている。面取り部31eの径方向内方端と曲面29eの径方向外方端とは滑らかに連続している。また、循環部19の曲面29fの径方向外方端とねじ軸5の外周との間の部分も同様に面取りが施され、断面が直線の面取り部31fが形成されている。面取り部31fの径方向内方端と曲面29fの径方向外方端とは滑らかに連続している。面取り部31eと面取り部31fとは対をなし、ボールねじ1の径方向に対して径方向外方に向かうに従い互いの間隔が広がる方向に傾いて、略軸方向に対向している。ボールねじ1の径方向に対する面取り部31eおよび面取り部31fの傾き角度は、ボールねじ1の径方向に対するねじ軸5側のねじ溝13の面取り部23aおよび面取り部23bの傾き角度と同じ角度である。面取り部31eの断面形状の直線と面取り部31fの断面形状の直線とは同じ長さである。
面取り部31eの断面形状の長さは、負荷部15のねじ軸5のねじ溝13との境界においては面取り部23aの断面形状の長さと同じであるが、循環部19の中央に向かうに従い、徐々に面取り部23aの断面形状の長さよりも長くなってゆく。同様に、面取り部31fの断面形状の長さは、ねじ軸5のねじ溝13との境界においては面取り部23bの断面形状の長さと同じであるが、循環部19の中央に向かうに従い、徐々に面取り部23bの断面形状の長さよりも長くなってゆく。
このように、循環部19の中央部の断面形状は、一対のねじ軸側循環溝R部の断面であるゴシックアーク形状と、該ゴシックアーク形状の両端と滑らかに連続する面取り部31eおよび面取り部31fの断面である一対の直線とから構成されている。言い換えると、循環部19の断面形状は、溝底の中心すなわちゴシックアーク形状の底部を中心として、軸方向一方側の曲面29eの断面形状の円弧と面取り部31eの断面形状の直線とからなる軸方向一方側部と、軸方向他方側の曲面29fの断面形状の円弧と面取り部31fの断面形状の直線とからなる軸方向他方側部とから構成されている。そして循環部19の中央部の断面形状は、図3に示すねじ軸5側のねじ溝13の断面形状における面取り部23aおよび面取り部23bの長さをそれぞれ外方に延長し、さらに、ねじ軸5側のねじ溝13のゴシックアーク形状の底部を、溝幅を大きくした分だけ長くした形状となっている。
図5は、負荷部との境界近傍における循環部の拡大断面図である。
図5に示すように、負荷部との境界近傍における循環部においては、循環部19の軸方向一方側部と、ナット3側のねじ溝9の軸方向他方側部とは、循環部19を転動するボール17の中心に関して対向している。同様に、循環部19の軸方向他方側部と、ナット3側のねじ溝9の軸方向一方側部とは、循環部19を転動するボール17の中心に関して対向している。
図5に示す断面図において、面取り部31eの外径側端、すなわち面取り部31eとねじ軸5の外周面との交点を交点Eとしたとき、交点Eを接点とするねじ軸5の外周面の接線TEと面取り部31eの断面とが成す角の大きさを、「面取り部逃げ角度θE」とする(以下、単に「角度θE」という。)。角度θEは、90°よりも小さい角度である。
面取り部31fの外径側端、すなわち面取り部31fとねじ軸5の外周面との交点を交点Fとしたとき、交点Fを接点とするねじ軸5の外周面の接線(不図示)と面取り部31fの断面とが成す角の大きさ(当該角の大きさを「面取り部逃げ角度θF」とし、以下単に「角度θF」という。)も、「角度θE」と同じ大きさである。
ここで、負荷部15のねじ軸5側のねじ溝13の面取り部23aおよび面取り部23b(図3参照)と、循環部19の面取り部31eおよび面取り部31fとは、上述したように、ボールねじ1の径方向に対して同じ角度で傾いているので、角度θAと角度θEとは同じ大きさである。同様に、角度θBと角度θFとは同じ大きさである。したがって、循環部19においても、面取り部逃げ角度とナット側ねじ溝R部範囲角度との関係は、負荷部15と同様である。すなわち、本実施形態に係るボールねじ1は、循環部19の軸方向一方側部の面取り部31eに関する角度θEが、負荷部15との境界近傍における循環部19を転動するボール17の中心に関して対向する、ナット3側のねじ溝9の軸方向他方側部の曲面25dに関する角度θDよりも大きく形成されている。
同様に、循環部19の軸方向他方側部の面取り部31fに関する角度θFが、負荷部15との境界近傍における循環部19を転動するボール17の中心に関して対向する、ナット3側のねじ溝9の軸方向一方側部の曲面25cに関する角度θCよりも大きく形成されている。このように構成することにより、後述するように、負荷部15と循環部19との境界において、ボール17をナット3側のねじ溝9から掬い上げる際、ナット3側のねじ溝9の曲面dと溝肩部27dとの境界、または曲面25cと溝肩部27cとの境界に位置しているボール17を、循環部19の面取り部31eまたは面取り部31fによって滑らかに掬い上げることができる。
次に、本実施形態に係るボールねじ1の製造方法について説明する。具体的には、ねじ軸5となるワークにねじ溝13および循環部19すなわちボール循環溝19を成形する加工方法を説明する。
図6は、実施形態に係るボールねじ1を切削加工するための切削工具であるエンドミル41の先端部をエンドミル41の外径側から見た状態を示す拡大図であり、エンドミル41が回動した際の輪郭を示している。図7は、図6に示す工具を用いてねじ軸5となるワーク43にねじ溝5を成形している状態を示す斜視図である。
図6に示すエンドミル41の輪郭は、エンドミル41のシャンク(不図示)の外周部に対応する平行部45と、刃の先端部に対応するV字状部47とから構成されている。V字状部47は、先端の曲がり部49と、曲がり部49の両端からそれぞれ延在する一対の直線部51、51とから構成されている。曲がり部49の両端と各直線部51とは滑らかに連続している。
曲がり部49は、一対のねじ軸側ねじ溝R部の断面に対応した形状である。すなわち、曲がり部49は、曲面21aの断面形状および曲面21bの断面形状で形成されるゴシックアーク形状(図3参照)と同じ形状である。一対の直線部51、51は、エンドミル41の軸方向(図5の紙面の上下方向)に対して、シャンクの上部側(図5の紙面上方)に向かうに従って互いの間隔が広がる方向に傾いて対向している。エンドミル41の軸方向に対する一対の直線部51、51の傾き角度は、ボールねじ1の径方向に対するねじ軸5側のねじ溝13の面取り部23aおよび面取り部23bの傾き角度と同じ角度である。各直線部51の長さは、面取り部23aおよび面取り部23bの各断面の長さよりも長く、さらには、循環部19の面取り部31eおよび面取り部31fの各断面の長さよりも長い。すなわちV字状部47は、完成後のねじ軸5側のねじ溝13の断面形状を含む形状である。したがって、図6に示す、曲がり部49の両端を通る直線と直線部51とが成す角度θMは、角度θAまたは角度θBと同じ角度である。
回動している状態の輪郭が上述したようなV字状部47を有するようなエンドミル41を用いることにより、ねじ軸5となるワーク43にねじ溝13を容易に成形することができる。具体的には、図7に示すように、ねじ軸5となるワーク43に対し、加工後の溝深さが完成したねじ溝13の深さとなるようにエンドミル41で切削加工を行う。この場合、加工中すなわち回動中のエンドミル41の輪郭は、完成後のねじ軸5側のねじ溝13の形状を有しているので、ねじ軸5側のねじ溝13は1パスで加工することが可能である。このとき、ボール循環溝19となる部分については、1パス目では、溝幅はねじ溝13と同じであって、深さは完成後のボール循環溝19の深さとなるように加工する。
循環部すなわちボール循環溝19の切削加工は、上記1パス目の加工位置からエンドミル41を所定量オフセットさせて2パス目の加工を行う。具体的には、2パス目においては、ワーク43のボール循環溝19となる部分でエンドミル41を溝幅方向に所定量オフセットさせる。オフセットさせる量は、ボール循環溝19の中央部において、図4の断面図に示すように、最大となる。このとき、ワーク43を切削する深さは1パス目と同じである。すなわち、完成後のボール循環溝19の深さと同じ深さである。
このように、ボール循環溝19となる部分において、1パス目の加工位置に対してエンドミル41を溝幅方向にオフセットさせて2パス目の切削加工を行うことにより、負荷部15のねじ軸5側のねじ溝13とボール循環溝19とを1つのエンドミル41で加工することが可能となる。さらに、同一のエンドミル41によって、1パス目でねじ軸5側のねじ溝13を加工し、1パス目および2パス目でボール循環溝19を加工することより、ねじ軸5側のねじ溝13およびボール循環溝19は段差のない滑らかな連続する面とすることができる。その結果、ボール17が滑らかに循環し、作動性が良好なボールねじ1を提供することができる。さらにボール17が滑らかに循環するので、ボールねじ1の作動時の音や振動を抑制することができる。
本実施形態に係るボールねじ1の製造方法によれば、1パス目でねじ軸5側のねじ溝13を加工し、1パス目および2パス目でボール循環溝19を加工するので、ねじ軸5側のねじ溝13およびボール循環溝19の加工時間を大幅に短縮するができる。さらに、このように加工されたねじ溝13とボール循環溝19とは滑らかに連続しているので、ボール17が滑らかに転動し、作動性が良好なボールねじ1を製造することができる。
次に、図8を参照して、本実施形態に係るボールねじにおけるボールの循環について説明する。
図8は、負荷部15との境界近傍における循環部19の拡大断面図であり、ボール17およびナット3に作用する力の方向を模式的に示している。図8においては、ねじ軸5が一方向に回動し、ナット3はねじ軸5に対して軸方向一方側(図8の紙面に向かって左方)に移動するものとする。
ねじ軸5が上述したように一方向に回動し、ねじ軸5とナット3とが相対回動すると、ボール17はボール転動路15の一方端から他方端に向かってボール転動路すなわち負荷部15を転動する。負荷部15においては、ねじ軸5側のねじ溝13の曲面21aと、ナット3側のねじ溝9の曲面25d(図3参照)とが、ボール17からの主負荷を受けることとなる。曲面21aと曲面25dとは、負荷部15を転動するボール17の中心に関して対向している。ナット3はねじ軸5に対して軸方向一方側に移動してゆく。すなわち、ナット3の曲面25dはねじ軸5に対して図8において左方に移動してゆく。負荷部15を転動したボール17が負荷部15の他方端に達し、負荷部15の他方端から循環部19へ入ると、循環部19の面取り部31eがボール17に接触する。同時に、面取り部31eと曲面25dとの間隔は徐々に狭くなってゆき、循環部19の深さは増してゆく。ボール17は、面取り部31eと曲面25dとを転動しつつ、間隔が狭くなるように相対的に近づく面取り部31eと曲面25dとによって径方向内方、すなわち循環部19の底部の方へ押し出されてゆく。
ボール17が負荷部15の他方端から循環部19へ入り、面取り部31eがボール17に接触すると、面取り部31eとボール17との接点Gにおいて、面取り部31eがボール17を垂直方向すなわち面取り部31eの法線方向に押す力F1が生じる。面取り部31eの法線方向には、循環部19を転動するボール17の中心に関して面取り部31eと対向しているナット3側のねじ溝9の曲面25dがある。したがって力F1は、ボール17を曲面25dに押し付ける力である。力F1は、ボール17と曲面25dとの接点Hにおいてボール17を曲面25dに押し付ける。
ボール17と曲面25dとの接点Hにおけるボール17の接線THは、面取り部31eの法線と垂直には交差しない。つまり面取り部31eと接線THは平行ではない。接線THは、面取り部31eに対して、径方向内方すなわちねじ軸5に近づくに従い面取り部31eとの間隔が広がる方向に傾いている。したがって力F1は、ボール17と曲面25dとの接点Hにおいて、図8に示すように、接線THに対して垂直方向の分力F2と、接線THに沿ってねじ軸5に近づく方向の分力F3とに分解される。
接点Hにおいては、ボール17は、曲面25dから垂直方向の反力を受ける。この反力は、図8に示す分力F2と同じ大きさで、分力F2の方向とは反対方向の向きである。ボール17にはこのような反力が作用するが、力F1によって接点Hにおいて曲面25dに押し付けられているボール17は、上述した分力F3によって、曲面25dから分力F3の方向すなわちねじ軸5に近づく方向に押し出される。すなわち、分力F3は、循環部19に入ったボール17をナット3側のねじ溝9からねじ軸5に近づく方向に押し出す方向に作用する力である。ボール17と曲面25dとの接点Hにおいて分力F3が生じることにより、ボール17をナット3側のねじ溝9から容易に掬い上げることができる。つまり、上述したように間隔が狭くなってくる面取り部31eと曲面25dとによってボール17はボール循環溝19の底部の方へ押し出されるが、同時に接点Hにおいて分力F3が生じることにより、ボール17はよりスムーズにボール循環溝19の底部の方へ移動することとなる。
ねじ軸5とナット3とがさらに相対回動し、ボール17が循環部19をさらに転動すると、循環部19は深さがさらに深くなるとともに、ナット3のランド部11と交差する。ボール17は循環部19の最深部を転動してナット3のランド部11を乗り越え、循環部19の一方端から負荷部15すなわちボール転動路15の一方端へ戻される。こうしてボール17は負荷部15および循環部19を循環する。本実施形態によれば、ボール17が循環部19に入った段階でボール17を滑らかにねじ軸5側に掬い上げることができるので、ボール17はスムーズに循環部19を転動し、負荷部15の一方端に戻される。このように、本実施形態によれば、ボール17はスムーズにボール転動路15および循環部19を循環する。
本実施形態に係るボールねじ1のねじ軸5は、負荷部15との境界近傍における循環部19の面取り部31eが、循環部19を転動するボール17の中心に関して対向するナット3側のねじ溝9の曲面25dにボール17を押し付けたときに、ボール17と曲面25dとの接点Hにおいて上述した分力F3、すなわちボール17をナット3側のねじ溝9からねじ軸5に近づく方向に押し出す方向の力が生じるように、面取り部逃げ角度θE(図5参照)が設定されている。具体的には、角度Eが角度θD(図5参照)よりも大きく設定されている。このような構成とすることにより、ボール17と曲面25dとの接点Hがナット側ねじ溝R部の内径側端にあるとき、すなわち、面取り部31eと上述した接線TH(図8参照)とが最も平行に近い状態でボール17が曲面25dに接触しているときであっても、分力F3が生じることとなる。つまり、ボール17と曲面25dとの接点Hがナット側ねじ溝R部のどの位置であっても、分力F3が生じることとなる。したがって、本実施形態に係るボールねじ1によれば、ボール17の循環性を良好に維持することができる。
ねじ軸5の回転方向が上記の例と反対方向の場合、すなわちねじ軸5が他方向に回動し、ナット3がねじ軸5に対して軸方向の他方側に移動する場合も同様である。すなわち、角度θFが角度θCよりも大きく設定されている。そのため、面取り部31fから所定の力によってナット5側のねじ溝9の曲面25cに押し付けられたボール17は、ボール17と曲面25cとの接点において、該接点における接線に沿ってねじ軸5に近づく方向の分力によって、ねじ軸5に近づく方向に押し出される。その結果、ボール17をナット3側のねじ溝から容易に掬い上げることができる。
このように、本実施形態によればボール17の循環性を良好に維持することができる。また、本実施形態に係るボールねじ1は、ねじ軸5のねじ溝13は、曲面21aと面取り部23aとは滑らかに連続し、曲面21bと面取り部23bとは滑らかに連続しているので、ボールねじ1が高荷重を受けて、ねじ軸5側のねじ溝13に対するボール17の接触範囲が曲面21aと面取り部23aとの境界、あるいは曲面21bと面取り部23bとの境界を越えても、ボール17およびねじ溝13に過度な応力が集中することがない。その結果、ボールねじ1の耐久性を向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、ボール17を循環させるためのボール循環溝19がねじ軸5に形成されたボールねじにおいて、ねじ溝13を成形するための加工時間を短縮し、製造の手間を低減することができるボールねじ1、およびボールねじの製造方法を提供することができる。さらに、本実施形態に係るボールねじの製造方法によって製造されたボールねじ1は、ボール17の循環性を良好に維持することができ、その結果耐久性を向上させ、さらにボール17が滑らかに転動するので静粛性を向上させることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されず、変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、ねじ軸5側のねじ溝15の面取り部23aと面取り部23b、および循環部19の面取り部31eと面取り部31fは、断面が直線の面取りとしたが、これらの面取り部を、断面の曲率半径が大きなR面取りとしても良い。この場合、面取り部逃げ角度θA、θB、θE、およびθFは、R面取り部の上端を接点とするねじ軸の外周面の接線と、R面取り部の上端を接点とする各面取り部の接線とが成す角度であり、当該面取り部逃げ角度がナットねじ溝R部範囲角度よりも大きくなるように構成すれば、上記実施形態と同様の効果を発揮することができる。
また、上記実施形態においては、ねじ軸5側のねじ溝13およびナット3側のねじ溝9の溝面をゴシックアーク形状としたが、これらの溝面を単一円弧状のサーキュラーアーク形状の溝面としても良い。
1 ボールねじ
3 ナット
5 ねじ軸
7 連結部
9 (ナット側)ねじ溝
11 ランド部
13 (ねじ軸側)ねじ溝
15 ボール転動路(負荷部)
17 ボール
19 ボール循環溝(循環部)
21a、21b 曲面
23a、23b 面取り部
25c、25d 曲面
27c、27d 溝肩部
29e、29f 曲面
31e、31f 面取り部
41 エンドミル
43 ワーク
45 平行部
47 V字状部
49 曲がり部
51 直線部

Claims (6)

  1. 軸方向に延在し、外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
    前記螺旋状のねじ溝に対向する螺旋状のねじ溝を内周面に有し、該ねじ溝と前記ねじ軸のねじ溝とで形成されるボール転動路に転動可能に配置された複数のボールを介して前記ねじ軸の径方向外方に嵌装されたナットとを備え、
    前記ボールを前記ボール転動路の所定位置まで戻すためのボール循環溝が前記ねじ軸の外周面に形成されたボールねじにおいて、
    前記ボール循環溝の断面形状は、第1の溝底部の断面と、前記第1の溝底部の断面の軸方向一方端および軸方向他方端と前記ねじ軸の外周面との間のそれぞれの部分である軸方向一方側の第1面取り部の断面と軸方向他方側の第2面取り部の断面とからなり、
    前記ナット側のねじ溝の断面形状は、溝底で連続する軸方向一方側の第1円弧部と軸方向他方側の第2円弧部とを有し、
    前記第1面取り部の断面と前記ねじ軸の外周面との交点を接点とする前記ねじ軸の外周面の接線と、前記第1面取り部の断面とが成す第1の角、および、前記第2面取り部の断面と前記ねじ軸の外周面との交点を接点とする前記ねじ軸の外周面の接線と、前記第2面取り部の断面とが成す第2の角は、それぞれ、前記ナット側のねじ溝の溝底から前記ナットの中心軸線に下ろした垂線と、前記第2円弧部を含む円の中心と前記第2円弧部の径方向内方端とを通る直線とが成す第3の角、および、前記垂線と、前記第1円弧部を含む円の中心と前記第1円弧部の径方向内方端とを通る直線とが成す第4の角よりも大きいことを特徴とするボールねじ。
  2. 前記ねじ軸側のねじ溝の断面形状は、第2の溝底部の断面と、前記第2の溝底部の断面の軸方向一方端および軸方向他方端と前記ねじ軸の外周面との間のそれぞれの部分である軸方向一方側の第3面取り部の断面と軸方向他方側の第4面取り部の断面とからなり、
    前記ボール循環溝の前記第1の溝底部の断面は、前記第2の溝底部の断面の溝底の幅を広げた形状であり、前記第1面取り部の断面および前記第2面取り部の断面は、それぞれ前記第3面取り部の断面および前記第4面取り部の断面を径方向外方に延ばした形状であることを特徴とする請求項1に記載のボールねじ。
  3. 前記第1の溝底部の断面と前記第1面取り部の断面とは滑らかに連続し、前記第1の溝底部の断面と前記第2面取り部の断面とは滑らかに連続していることを特徴とする請求項1または2に記載のボールねじ。
  4. 前記第2の溝底部の断面と前記第3面取り部の断面とは滑らかに連続し、前記第2の溝底部の断面と前記第4面取り部の断面とは滑らかに連続していることを特徴とする請求項2または3に記載のボールねじ。
  5. 前記第1面取り部の断面および前記第2面取り部の断面は直線であることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のボールねじ。
  6. 前記第1面取り部の断面および前記第2面取り部の断面は円弧であり、前記第1の角は、前記第1面取り部の断面と前記ねじ軸の外周面との交点を接点とする前記ねじ軸の外周面の接線と、該交点を接線とする前記第1面取り部の断面の接線とが成す角であり、前記第2の角は、前記第2面取り部の断面と前記ねじ軸の外周面との交点を接点とする前記ねじ軸の外周面の接線と、該交点を接線とする前記第2面取り部の断面の接線とが成す角であることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のボールねじ。
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