JP2006016254A - 単結晶の熱処理方法及びそれを用いた単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、短時間且つ少ない消費電力で優れた品質を備えた単結晶が得られる単結晶の熱処理方法及びそれを用いた単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】単結晶引き上げ法により育成した単結晶の熱処理方法であって、最高保持温度Tmaxから室温まで降温させる際に、1200℃から800℃以外の温度範囲での降温速度をxとし、1200℃から800℃までの平均降温速度をx1200−800とすると、x1200−800<xである。
【選択図】図3

Description

本発明は、単結晶引き上げ法により育成した単結晶の熱処理方法に関し、特に、ファラデー回転子等に用いられるBi置換希土類鉄ガーネット単結晶を液相エピタキシャル(LPE)法で育成するための単結晶基板として好適なガーネット単結晶や、移動体通信機等に組み込まれる表面弾性波(SAW)フィルタに用いられるランガサイト単結晶等の酸化物単結晶の製造における熱処理方法及びそれを用いた製造方法に関する。
近年、インターネットの発達により、通信量が飛躍的に増大している。それに伴い光通信網は広範囲に整備が進みつつあり、通信用光部品及び光素子の市場は急成長すると共に、それら製品には低価格化と安定供給が強く求められている。光素子の一つであるファラデー回転子は光アイソレータ、光サーキュレータ及び光アッテネータ等の通信用光部品に使用されている。
このようなファラデー回転子は、ガーネット単結晶基板上にLPE法により育成したBi置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を加工して得られる。Bi置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を育成するためのガーネット単結晶基板は、単結晶育成法の一つである例えば単結晶引き上げ法(チョクラルスキー法(Cz法))により育成されたガーネット構造の酸化物単結晶を切断して基板状に加工して得られる。また、SAWフィルタに用いられるランガサイト単結晶等の酸化物単結晶も単結晶引上げ法により製造される。
単結晶引き上げ法は、るつぼに充填した原料融液の表面に鉛直上方から種結晶を接触させ、種結晶を回転させながら徐々に引き上げて単結晶を育成する。単結晶の育成に先立ち、るつぼ内に育成する結晶と同じ組成の固形物を充填し、るつぼ内を加熱して当該固形物を融解する。
融液表面で結晶を成長させるには、融液近傍で適切な温度勾配を与えることが重要である。ところが、結晶は育成中に長時間に渡り当該温度勾配下に置かれるため、結晶内は当該温度勾配に起因した歪み応力が生じる。当該応力は育成後も結晶内部に残留する。
また酸化物単結晶の育成には、酸化物の融点に耐えられること、及び融解した酸化物と反応しないこと等の観点から、るつぼの材質には白金や白金ロジウム合金、あるいはイリジウム等の白金族の貴金属が用いられる。そして、貴金属製のるつぼの加熱は、高温での酸化を防止するために大気中の酸素分圧よりも低い酸素分圧下で行われる。
ところが、酸化物の構成元素に複数の価数を取り得る元素が含まれていると、室温及び大気中で所定の価数で安定な元素を原料として用いても、低い酸素分圧下での育成雰囲気中では、それらの元素の一部が還元されてしまい価数が変わってしまう可能性がある。同一元素で且つ同一配位数であっても価数が異なるとそのイオン半径は異なる。結果として、結晶内のいずれかの格子位置が、場所により大きさの異なる元素により占有されることになり、これにより結晶内部に歪み応力が生じる。
歪み応力を抑制するには一般に、温度勾配がないか、あるいは少なくとも育成時よりは緩い温度勾配の下で、結晶育成時の雰囲気よりも酸素分圧を上昇させた雰囲気中で結晶に熱処理を施して結晶内部の応力の緩和を行う。
育成時の温度勾配に起因する結晶内部の残留応力を緩和するには、育成した結晶に対してできるだけ高温の結晶融点近傍で熱処理をするのが望ましい。一方、育成中に変化してしまった価数を室温の大気中で安定な状態に戻す観点からは、結晶を長時間高温に曝しておくのは好ましくない。このため、熱処理以降の冷却工程において、酸素分圧を高くした雰囲気下で長時間かけて結晶を冷却することで価数を戻すようにしている。
図1は、育成した酸化物単結晶をある冷却条件で熱処理した状態を結晶引き上げ方向(結晶成長方向)にほぼ直交する方向から見た図である。図1は、結晶の中央部の濃い色(例えば茶褐色)が育成直後には結晶全体に現れていたが、熱処理により結晶の外側から着色度が低下していく一課程を示している。着色度の変化は、結晶構成元素の価数変化による光吸収特性の変化により生じる。冷却速度を遅くすることで、着色度の低い領域を拡大させることができるが、結晶全体の着色度を一様に下げるには極めて長時間を要するため、このような熱処理操作は単結晶製造の生産性を下げる一因となっている。
特開2002−34816号公報
本発明の目的は、短時間且つ少ない消費電力で優れた品質を備えた単結晶が得られる単結晶の熱処理方法及びそれを用いた単結晶の製造方法を提供することにある。
上記目的は、単結晶引き上げ法により育成した単結晶の熱処理方法であって、最高保持温度Tmaxから室温まで降温させる際に、1200℃から800℃以外の温度範囲での降温速度をxとし、1200℃から800℃までの平均降温速度をx1200−800とすると、x1200−800<xであることを特徴とする単結晶の熱処理方法によって達成される。
上記本発明の単結晶の熱処理方法であって、1200℃から800℃までの降温に要する時間t1200−800の、前記最高保持温度Tmaxから室温まで降温させる冷却時間tに対する割合が、約47%以上であることを特徴とする。
上記本発明の単結晶の熱処理方法であって、前記時間t1200−800=a・400/x(但し、係数a>1)を満足することを特徴とする。
上記本発明の単結晶の熱処理方法であって、前記時間t1200−800≧14(hr)であることを特徴とする。
上記本発明の単結晶の熱処理方法であって、前記降温速度xは、45〜100(℃/hr)であることを特徴とする。
また、上記本発明の単結晶の熱処理方法であって、前記係数aは、1<a<3.5であることを特徴とする。
上記目的は、単結晶引き上げ法により、るつぼに充填した原料融液の表面に鉛直上方から種結晶を接触させ、前記種結晶を回転させながら徐々に引き上げて単結晶を製造する単結晶の製造方法であって、前記単結晶を冷却する際に、上記本発明の単結晶の熱処理方法を用いることを特徴とする単結晶の製造方法によって達成される。
本発明によれば、育成した単結晶に対する熱処理操作を効率的に行うことができるので、熱処理操作に要する時間及び消費電力を低減することができる。また、処理時間の短縮及び消費電力の低減を実現できるので単結晶の熱処理に使用する装置(例えば、炉材やヒータ等)の耐久性を向上させることができる。
本発明の一実施の形態による単結晶の熱処理方法及びそれを用いた単結晶の製造方法について図2乃至図4を用いて説明する。図2は、本実施の形態で用いる単結晶育成炉を鉛直方向に切断した断面の概略構成を示している。チャンバ11内には、アルミナ等のセラミックスからなる耐火物ハウジング8が設けられている。ハウジング8内の中央には、イリジウム等の金属製るつぼ2が、粉末又は中空球状のジルコニア等で構成される断熱材6を介して設置されている。ハウジング8内において、るつぼ2の鉛直上方は、必要な長さの単結晶4を保温できる空間10を確保して耐火物構造体9で覆われている。ハウジング8の頂部壁8a及び耐火物構造体9の頂部壁9aの中央にはそれぞれ開口8b、9bが設けられている。下端に種結晶5を取り付けた引き上げ軸7が、図示しない動力源から鉛直下方に延びてこれら開口8b、9bを貫通している。耐火物ハウジング8の外側には高周波誘導コイル1が巻き回されており、コイル1に高周波電流を流すことによりるつぼ2内を誘導加熱し、るつぼ2内の所望の結晶組成の原料融液3を所定温度に維持できるようになっている。また、チャンバ11内全体の雰囲気は、所定窒素体積%及び酸素体積%に調整できるようになっている。
次に、図2に示す単結晶育成炉を用いた単結晶引き上げ法による単結晶の製造方法の概略について説明する。まず、育成する結晶と同じ組成の単結晶又はその小片、あるいは焼結体等の多孔質体やガラス質体、粉末等をるつぼ2内に充填する。次いで、チャンバ11内を所定窒素体積%及び酸素体積%の混合ガス雰囲気に調整する。次いで、コイル1に高周波電流を流して、るつぼ2内の各原料を誘導加熱して融解させて原料融液3を調製する。コイル1に流す電流を制御して融液3を所定温度に維持する。その後、引き上げ軸7を降下させて引き上げ軸7下端に取り付けた種結晶5を融液3の液面に浸漬し、引き上げ軸7を所定の回転数で回転させながら所定の引き上げ速度で引き上げて単結晶を成長させる。
次に、本実施の形態による単結晶の熱処理方法について説明する。
本発明者は、育成した結晶に対し条件を変えて種々の熱処理を施したところ、結晶内での価数変化に対してある特定の温度領域での熱処理が効果的であることを見出した。すなわち、特定の温度領域での冷却時間を長く設定すれば、その他の温度領域の冷却速度を速めても、実効的な効果に差異はなく、結果として時間短縮の効果が得られることを見出した。
まず、単結晶の成長過程において結晶内部に生じた歪み応力を緩和するために、単結晶育成炉から取り出した単結晶を例えば電気炉内に載置する。次に、大気中と同一雰囲気の電気炉内で、単結晶が割れない程度の昇温速度で1200℃を超える所定の最高保持温度Tmaxまで単結晶を加熱する。次に、電気炉内を所定の最高保持温度Tmaxに維持して単結晶を数十時間熱処理する。これにより、原料融液3表面から鉛直上方の空間10内の温度勾配によって結晶内に生じた歪み応力が緩和される。
次に、電気炉内を徐々に降温して単結晶を冷却し、電気炉内の温度を室温まで下げる。
本発明者は、様々な条件で熱処理を繰り返した結果、電気炉内の温度を1200℃から800℃の温度範囲に維持している時間(以下、価数調整用時間という)を長くすることにより、単結晶の育成中に変化した元素の価数を効果的に調整でき、単結晶の結晶状態を室温の大気中で安定な状態に戻すことができることを見出した。
最高保持温度Tmaxから室温まで降温させる際に、1200℃から800℃以外の温度範囲での降温速度をxとし、1200℃から800℃までの平均降温速度をx1200−800として、x1200−800<xを満足することにより価数調整用時間を長くすることができる。これにより、単結晶の結晶中の一部の価数が異なることにより生じる結晶内部の歪み応力を緩和することができる。
図3は、単結晶の熱処理に用いる冷却用の温度プロファイルを示している。図3(a)は、本実施の形態による単結晶の熱処理方法に基づく温度プロファイルを示している。横軸は経過時間tを表し、縦軸は電気炉内の温度Tを表している。
ここで、価数調整用時間をt1200−800とし、最高保持温度Tmaxと室温(20℃)との温度差をΔTとし、最高保持温度Tmaxから室温までであって1200℃から800℃の範囲を除く温度範囲での降温速度を一定のx(℃/hr)とする。
図3(b)は、比較例として従来の単結晶の熱処理方法による温度プロファイルを示している。横軸は経過時間tを表し、縦軸は電気炉内の温度Tを表している。仮に、本実施の形態の価数調整用時間t1200−800を考慮せずに図3(b)に示す従来と同様の一直線状に降温させる熱処理を施すとすると、降温速度は一定のxであるので、最高保持温度Tmaxから室温まで降温する冷却時間をtとすると、冷却時間t=ΔT/xとなる。また、価数調整用時間t1200−800は400/xとなる。
図3(b)に示す従来例では、最高保持温度Tmax=1370℃であるので室温との温度差ΔTは1350℃であり、降温速度はx=45℃/hrである。従って、冷却時間tは1350/45=30時間になる。また、価数調整用時間t1200−800は、400/45=約8.9時間になる。しかしながら、単結晶の育成中に変化した価数を効果的に調整でき、単結晶の結晶状態を室温の大気中で安定な状態に戻すには、価数調整用時間t1200−800が8.9時間では全く足りず、この従来の熱処理方法の場合には図3(b)に示す温度プロファイルを少なくとも2回繰り返して、当該価数調整用時間t1200−800を倍の18時間程度にする必要がある。従って、図3(b)のプロファイルを2回繰り返す場合は、室温から最高保持温度Tmaxに昇温させるのに要する時間を無視しても、少なくとも冷却時間が倍の2・t=60時間程度かかり、仮に確実性を見込んで3回繰り返す場合は、冷却時間が3倍の3・t=90時間程度かかってしまう。
これに対し図3(a)に示す本実施の形態による熱処理方法の温度プロファイルを用いれば、当該温度プロファイルに基づく熱処理を複数回繰り返す必要はなく、1度だけ当該温度プロファイルによる熱処理を施して単結晶の育成中に変化した元素の価数を効果的に調整でき、単結晶の結晶状態を室温の大気中で安定な状態に戻すことができる。
図3(a)に示す本実施形態による冷却用温度プロファイルでは、最高保持温度Tmax=1370℃であり、1370℃から1000℃までは従来と同様の降温速度x=45℃/hrで冷却し、その後1000℃を10時間維持し、1000℃から20℃(室温)までは従来と同様の降温速度x=45℃/hrで冷却するようにしている。従って、冷却時間tは10+1350/45=40時間になる。
また、図3(a)に示す温度プロファイルでは、価数調整用時間t1200−800は、10+200/45+200/45=約19時間となる。このように、本実施の形態によれば、冷却時間tを40時間にして、従来の冷却時間である60乃至90時間の2/3から半分程度に短縮でき、さらに、冷却時間tを短縮したにもかかわらず価数調整用時間t1200−800を従来の18時間程度より十分長い19時間にすることができる。
本実施の形態における価数調整用時間t1200−800は、従来の価数調整用時間t1200−800=400/xより長くすることに特徴があるので、係数aを用いて、本実施の形態における価数調整用時間は、
1200−800=a・400/x ・・・(1)
(但し、係数a>1、xは1200℃から800℃以外の温度範囲での降温速度(℃/hr)である。)
と表すことができる。
なお、価数調整用時間t1200−800は、少なくとも14時間以上設けることが好ましく、更に19時間以上設けることが好ましい。短すぎると、熱処理の効果が現れない。一方で、価数調整用時間t1200−800が長すぎると、熱処理時間が全体として長くなり好ましくない。好ましくは、37時間、より好ましくは25時間以下である。従来の降温プロファイル、すなわち、一定速度で降温した場合に本願発明と同様の効果を得ようとすると、最短の価数調整用時間t1200−800が14時間であるので、平均降温速度x1200−800、すなわち、降温速度は約28.6℃/hrとなる。そして、最高保持温度Tmax=1370から室温20℃までは、47.2時間を要することになる。一方で、後述するが、単結晶が割れない最高冷却速度は100℃/hr程度であるので、1200〜800℃以外の最短の冷却時間は、(1370−1200+800−20)/100=9.5時間程度を要する。よって、価数調整用時間t1200−800は、47.2−9.5=37.7時間よりも短時間の必要がある。
図3(a)に示した降温速度x=45℃/hrは、単結晶に割れを生じないようにするのに適切な速度である。従って、降温速度x=45℃/hrで、例えば価数調整用時間t1200−800として19時間を確保するには、係数aは、2.14程度となる。また、この場合には、熱処理時間(冷却時間)t=ΔT/x=40時間に対する価数調整用時間t1200−800=19時間の割合は19/40=0.475(=47.5%)となる。
また、発明者は、価数調整用時間t1200−800が式(1)を満たしていれば、1200℃から800℃以外の温度範囲の降温速度の大きさに因らず、結晶内の価数が調整される実効的な効果に差異は生じないことを見出した。従って、1200℃から800℃以外の温度範囲の降温速度を単結晶が割れない程度まで高くできるので、冷却時間tを上述の40時間より短縮させることが可能である。
単結晶は降温速度が100℃/hr程度で冷却しても割れないため、降温速度x=100℃/hrとすることも可能である。価数調整用時間t1200−800を14時間程度とした場合、これらを式(1)に代入して係数a=3.5が得られる。この場合には、最高保持温度Tmax=1370℃であり、1370℃から1000℃までは従来と同様の降温速度x=100℃/hrで冷却し、その後1000℃を10時間維持し、1000℃から20℃(室温)までは従来と同様の降温速度x=100℃/hrで冷却する。従って、冷却時間tは10+1350/100=23.5時間になる。また、価数調整用時間t1200−800の内訳は、時間t1200−1000が200/100=2時間、時間t1000が10時間、時間t1000−800が200/100=2時間の計14時間となる。冷却時間t=23.5時間に対する価数調整用時間t1200−800=14時間の割合は14/23.5=0.596(=59.6%)である。
この場合には、図3(b)に示す温度プロファイルに匹敵する短時間で熱処理を完了できるようになる。以上の観点から、価数調整用時間t1200−800=14時間の場合、単結晶に割れを生じさせずに短時間で熱処理をするには、係数aの範囲は、1<a<3.5であることが望ましい。また、価数調整用時間t1200−800=19時間、45℃/hr以上の降温速度であれば2.14<a<3.5が望ましい。また、この範囲内では冷却時間tに対する価数調整用時間t1200−800の割合を47.5%〜59.6%(約47%〜60%)にすることができる。
なお、価数調整用時間t1200−800を効果の現れる最低の14時間とし、降温速度xを冷却しても割れない100℃/hrとし、その他は上記と同一条件(最高保持温度Tmax=1370、保持温度1000℃、保持時間10時間)の場合、10+1350/100=23.5時間となり、最短の処理時間となる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、単結晶の熱処理工程での所定の温度Tmaxから室温まで冷却する過程において、1200℃から800℃の温度範囲に維持している価数調整用時間t1200−800を従来に比して長くすることにより、効果的に結晶内の価数を調整でき、結晶内部の歪み応力が緩和された単結晶を実現できる。さらに、1200℃から800℃以外の温度範囲の降温速度を単結晶が割れない程度に高めて冷却時間の短縮化を図ることができるので、単結晶の生産性を向上させることができる。
以下、本実施の形態による単結晶の熱処理方法及びそれを用いた単結晶の製造方法について実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。
(前提)
Ca、Nb及びGaの組成比が、モル比でCa:Nb:Ga=38:21:41となるように、各原料CaCO、Nb及びGaを合計約8000g秤量配合し、原料1を用意した。内径145mm、高さ150mm、肉厚2.5mmのイリジウム製るつぼ2内に原料1を充填し、発振周波数18kHzの高周波加熱式の単結晶育成炉に設置し、窒素及び酸素の体積比が98:2の混合ガス雰囲気下で約1450℃に加熱して融解し、原料融液3を調製した。
次いで、引き上げ軸7を降下させて、長軸方向が<111>で5mm角の柱状の原料1と同組成の種結晶5を融液3表面に垂直に浸漬し、引き上げ軸7を所定の回転数で回転させながら速度0.5mm/hrで引き上げ、直径80mm、長さ80mmのカルシウム・ニオビウム・ガリウム・ガーネット(CNGG)単結晶4を製造した。製造したCNGG単結晶4を観察したところ、割れ等の巨視的欠陥のない所望の結晶品質が得られた。
蛍光X線による組成分析の結果、単結晶4の組成は原料1で用意した組成と同じくCa:Nb:Ga=38:21:41のモル比になっていることが判明した。
この単結晶4を育成方向に二分割し、一つを本実施例による単結晶の熱処理方法(実施例)で熱処理し、他方を従来の単結晶の熱処理方法(比較例)で熱処理した。
(実施例)
まず、結晶4から切り出した一方の結晶片を例えば大気中と同一雰囲気の電気炉内に載置して、昇温速度70℃/hで、1370℃まで加熱した。次いで、原料融液3表面から鉛直上方の空間10内の温度勾配によって生じた当該結晶片の結晶内の歪み応力を緩和するため、結晶片を1370℃で20時間保持した。
次に、図3(a)に示す温度プロファイルで本実施例による単結晶の熱処理方法を1回だけ実施して結晶片を室温まで冷却した。このようにして熱処理された直後の結晶片を図4左側に示す。本実施例の冷却用温度プロファイルによって熱処理することにより、結晶内の価数が調整され、結晶内部に生じた応力による歪みが緩和されたので、図4左側に示すように、結晶片全体が透明(例えば透黄色)になり、育成直後に観られる濃い色(例えば茶褐色)の色相は完全に消失している。この結晶片を内周刃切断機で切断加工して厚さ0.5mmのウェハを作成したところ、36枚の全てのウェハにクラックは生じなかった。
(比較例)
次に、本実施例と同様に、まず、結晶4から切り出した一方の結晶片を例えば大気中と同一雰囲気の電気炉内に載置して、昇温速度70℃/hで、1370℃まで加熱した。次いで、原料融液3表面から鉛直上方の空間10内の温度勾配によって生じた当該結晶片の結晶内の応力による歪みを緩和するため、結晶片を1370℃で20時間保持した。
次に、図3(b)に示す温度プロファイルで従来の単結晶の熱処理方法を1回だけ実施して結晶片を室温まで冷却した。このようにして熱処理された直後の結晶片を図4右側に示す。比較例に係る冷却用温度プロファイルでは価数調整用時間t1200−800が8.9時間と短いため、結晶内の価数が十分に調整されず、結晶内部に生じた応力による歪みは十分に緩和されない。このため、図4右側に示すように、結晶片の中央部に、育成直後に観られる濃い色(例えば茶褐色)の色相が残っている。この結晶片を内周刃切断機で切断加工して厚さ0.5mmのウェハを作成したところ、36枚のうち4枚のウェハに切断時にクラックが生じてしまった。
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
上記実施の形態では、1200℃から800℃の温度範囲において1000℃で一定時間維持する温度プロファイルを有しているが、本発明はこれに限定されない。1200℃から800℃の温度範囲において式(1)を満たす価数調整用時間t1200−800が設定されていれば、1200℃から800℃の温度範囲の温度プロファイルは特に制限がなく、任意の降温速度xを設定できる。
育成した酸化物単結晶をある冷却条件で熱処理した状態を結晶引き上げ方向(結晶成長方向)にほぼ直交する方向から見た図である。 本発明の一実施の形態で用いる単結晶育成炉を鉛直方向に切断した断面の概略構成を示す図である。 単結晶4の熱処理に用いる冷却用の温度プロファイルを示す図である。 本発明の実施例による熱処理方法と比較例による熱処理方法とで得られた結晶片の状態を比較して示す図である。
符号の説明
1 高周波誘導コイル
2 金属製るつぼ
3 原料融液
4 単結晶
5 種結晶
6 断熱材
7 引き上げ軸
8 耐火物ハウジング
8a、9a 頂部壁
9 耐火物構造体
8b、9b 開口
10 空間
11 チャンバ

Claims (7)

  1. 単結晶引き上げ法により育成した単結晶の熱処理方法であって、
    最高保持温度Tmaxから室温まで降温させる際に、1200℃から800℃以外の温度範囲での降温速度をxとし、1200℃から800℃までの平均降温速度をx1200−800とすると、
    1200−800<x
    であること
    を特徴とする単結晶の熱処理方法。
  2. 請求項1記載の単結晶の熱処理方法であって、
    1200℃から800℃までの降温に要する時間t1200−800の、前記最高保持温度Tmaxから室温まで降温させる冷却時間tに対する割合が、約47%以上であること
    を特徴とする単結晶の熱処理方法。
  3. 請求項1記載の単結晶の熱処理方法であって、
    前記時間t1200−800=a・400/x
    (但し、係数a>1)
    を満足すること
    を特徴とする単結晶の熱処理方法。
  4. 請求項3記載の単結晶の熱処理方法であって、
    前記時間t1200−800≧14(hr)
    であること
    を特徴とする単結晶の熱処理方法。
  5. 請求項4記載の単結晶の熱処理方法であって、
    前記降温速度xは、45〜100(℃/hr)
    であること
    を特徴とする単結晶の熱処理方法。
  6. 請求項5記載の単結晶の熱処理方法であって、
    前記係数aは、1<a<3.5
    であること
    を特徴とする単結晶の熱処理方法。
  7. 単結晶引き上げ法により、るつぼに充填した原料融液の表面に鉛直上方から種結晶を接触させ、前記種結晶を回転させながら徐々に引き上げて単結晶を製造する単結晶の製造方法であって、
    前記単結晶を冷却する際に、
    請求項1乃至6のいずれか1項に記載の単結晶の熱処理方法を用いること
    を特徴とする単結晶の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008126532A1 (ja) * 2007-03-14 2008-10-23 Nippon Mining & Metals Co., Ltd. エピタキシャル成長用基板および窒化物系化合物半導体単結晶の製造方法
JP2009249200A (ja) * 2008-04-02 2009-10-29 Fujikura Ltd 窒化アルミニウム単結晶の製造方法

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