JP2006013047A - 多層プリント配線板用プリプレグ及び多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成型時におけるボイドの発生や、導電性樹脂ペーストの流れを低減し、導電性樹脂ペーストの接続安定性を阻害することなく、さらに熱サイクル時における優れた接続安定性を有する多層プリント配線板を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂組成物を基材に含浸、乾燥してなるプリプレグの硬化剤としてフェノール樹脂を含有し、基材がガラス織布からなり、プリプレグの半硬化状態における、エポキシ樹脂組成物の170℃での硬化時間を30秒〜120秒、樹脂流れを3%〜28%とする。
【選択図】なし
【解決手段】エポキシ樹脂組成物を基材に含浸、乾燥してなるプリプレグの硬化剤としてフェノール樹脂を含有し、基材がガラス織布からなり、プリプレグの半硬化状態における、エポキシ樹脂組成物の170℃での硬化時間を30秒〜120秒、樹脂流れを3%〜28%とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、多層プリント配線板に用いられるプリプレグに関し、特に導電性樹脂ペーストを充填した回路基板の接続安定性の改善に関する。
近年、パソコン、携帯電話、デジタルカメラ等の小型化、多機能化等に対応するため、プリント配線板の高密度化の要求が高まっている。
プリント配線板の高密度化を達成する方法の一つとして、基板を多層化することにより占有面積を小さくする、いわゆるビルドアップ工法による多層プリント配線板が挙げられる。
特に、任意の層間をインナービアホールによって接続することができるビルドアップ多層プリント配線板は、高密度化が可能で、設計の自由度が高まるために、注目されている。
このようなビルドアップ多層プリント配線板を製造する工法の一つとして、特許文献1や、特許文献2に開示されているような、多孔質で加圧時の収縮性(被圧縮性)が高いアラミド不織布に熱硬化性樹脂を含浸させて半硬化状態にしたプリプレグを絶縁層として用い、レーザーなどによって穿孔された穴に導電性の樹脂ペーストを充填し、それを介して層間の接続を確保する工法が挙げられる。
この工法に用いられるアラミド不織布プリプレグは、軽量であるが、吸湿性が大きいために特別な吸湿対策が求められる。また、基材も高価であることから、吸湿性が低く、かつ安価なアラミド不織布プリプレグに替わる材料が求められている。
このような状況において、ガラス織布基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させて半硬化状態にした、ガラス織布プリプレグを本工法に適用する試みが行われている。
ガラス織布を基材に用いた場合、基材の吸湿性が大きく低下し、かつ安価であることから、代替材としての要求を充分満たしている。
特開平7‐147464号公報
特開平7‐170046号公報
しかしながら、この種の回路基板を積層していく工法では、導電性樹脂ペーストが充填されたプリプレグの一面または両面に回路形成したコア材を配置し、加熱、加圧成型により積層する際に、成型性が必ずしも十分でなく、プリプレグから回路間の樹脂充填性が低下し易く、ボイドなどが生じ易いという問題がある。
また、上記のような多層プリント配線板は、層間の接続をプリプレグを穿孔した穴に充填した導電性樹脂ペーストによって確保していることから、この導電性樹脂ペーストの層間接続性を阻害しないことが要求される。
ところが、上記の工法では、導電性樹脂ペーストを充填後、金属箔間で電気的接続を行うために密閉構造で加熱、加圧することから、揮発成分のない無溶剤型であるとともに、導体である金属粒子の分散を確保するため、エポキシ樹脂及び潜在型硬化剤からなる樹脂組成物が好適に用いられており、従来汎用されている樹脂組成物を含浸、乾燥させたプリプレグに、上記のような導電性樹脂ペーストを充填すると、成型時にペーストが流れてしまい、接続安定性に劣り、生産性に影響を及ぼすという問題がある。また、成型後の基板に対しては、特に熱サイクルに対する接続安定性について厳しい特性が要求されている。
本発明は、上記のような導電性樹脂ペーストを充填したプリプレグを用いる回路基板の作製において、成型時におけるボイドの発生や、導電性樹脂ペーストの流れを低減し、導電性樹脂ペーストの接続安定性を阻害することなく、さらに熱サイクル時においても優れた接続安定性を有する多層プリント配線板を提供することを目的とする。
本発明は、エポキシ樹脂組成物を基材に含浸、乾燥してなるプリプレグを穿孔し、前記穿孔した穴に金属粒子を含有する導電性樹脂ペーストを充填した後、金属箔と加熱、加圧成型して層間を接続した回路基板を用いる多層プリント配線板用のプリプレグにおいて、前記エポキシ樹脂組成物の硬化剤としてフェノール樹脂を使用し、前記プリプレグの基材にガラス織布を用いるとともに、半硬化状態での前記含浸させたエポキシ樹脂組成物の170℃における硬化時間が30〜120秒で、樹脂流れが3%〜28%のプリプレグであることを特徴とするものである。
また、本発明は、上記ガラス織布プリプレグにおいて、前記含浸させたエポキシ樹脂組成物の130℃における最低溶融粘度が400ポイズ〜3000ポイズであることを特徴とするものである。
さらに、本発明は、上記の前記含浸させたエポキシ樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、無機充填剤を20重量部〜90重量部含むことを好ましい態様とするものである。
またさらに、本発明は、上記プリプレグに適用されるガラス織布が、レーザー加工に適した扁平加工が施されていることを好ましい態様とするものである。
本発明は、ガラス織布を基材を用いることにより、プリプレグの低湿化が図れるとともに、そのような基材を用いたプリプレグに適用されるエポキシ樹脂組成物の硬化剤にフェノール樹脂を用い、半硬化状態でのそのプリプレグに含浸されたエポキシ樹脂組成物の170℃における硬化時間が30秒〜120秒の範囲にあり、樹脂流れが3%〜28%の範囲にあるプリプレグを用いることで、成型時におけるプリプレグを穿孔した穴に充填した導電性樹脂ペーストの流れを低減でき、成型性を損なうことなく、回路基板とした時に、初期及び熱サイクル時の接続安定性を確保することができる。
また、前記プリプレグにおいて、エポキシ樹脂組成物の130℃における最低溶融粘度が400ポイズ〜3000ポイズとすることで、樹脂流れをさらに最適化できる。
さらに、本発明のプリプレグは、含浸されるエポキシ樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、無機充填剤を20重量部〜90重量部含むことで、接続安定性を確保しつつ、良好な成型性を確保することができる。
またさらに、前記プリプレグに適用されるガラスクロスが、レーザー加工に適した扁平加工が施されていることで、レーザーによる穿孔時の穴形状の安定化を図ることもできる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明のプリプレグに使用される基材は、低湿化のためにガラス織布が用いられる。このような基材は、例えば炭酸ガスレーザーにより、プリプレグを穿孔する際に穴周辺部の壁を滑らかに形成することができる。ガラス織布の厚みは特に限定されるものではないが、レーザー加工の安定性及び高密度ビルドアップ多層プリント配線板への適用を考慮して、100μm以下であることが好ましい。また、レーザー加工を施すことから、ガラスクロスにヤーン間の隙間を低減させる扁平加工を施したものを用いれば、レーザー穴の形状がより安定化し、より高密度化が可能になる。
本発明に使用されるガラス織布プリプレグに適用される樹脂系は、成型性、導電性樹脂ペーストとの相性、保存安定性などを考慮してエポキシ樹脂系である必要がある。エポキシ樹脂の種類としては特に限定されるものではないが、例えば、一般に使用されている1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂等の中から1種類もしくは複数種を組み合わせて使用することができる。
上記エポキシ樹脂に対する硬化剤としては、熱サイクル時の接続安定性を確保する必要があるために、硬化樹脂の熱分解温度が高く、かつ低吸湿となるフェノール樹脂を用いる必要がある。硬化剤として知られているアミン系硬化剤、特に一般的に良く用いられているジシアンジアミドを用いた場合、同じエポキシ樹脂を用いた場合でもフェノール樹脂を硬化剤として用いた場合に比較して、熱分解温度が低下し、吸湿性が悪化する。そのため、熱サイクル時の基板の膨張収縮が大きくなり、穴に充填された導電性樹脂ペーストの金属粒子と表面回路の金属との接合が不安定となり、接続信頼性が悪化するため好ましくない。
本発明のフェノール樹脂の種類については特に限定されるものではないが、例えば、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂で、ノボラック型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂等の中から1種類もしくは複数種を組み合わせて使用することができる。
本発明におけるエポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合比率は、全エポキシ樹脂のエポキシ当量に対する全フェノール樹脂の水酸基当量の比率(フェノール樹脂中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)が0.5〜2.0の範囲に設定することが好ましく、硬化樹脂の物性を考慮した場合、0.8〜1.3であることがさらに好ましい。この比率を0.5以上とすることにより、エポキシ樹脂の硬化が充分となり、また、この比率を2.0以下とすることにより、硬化樹脂中のフェノール系水酸基の量を低減し、電気特性や耐湿性などに優れた硬化物とすることができる。
また、本発明の樹脂系には上記成分以外に、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との硬化反応を促進するための硬化促進剤を用いることができる。この硬化促進剤の種類については特に限定されるものではないが、一般に使用されているイミダゾール類、キノン化合物、有機ホスフィン類などの中から1種以上用いることができる。
さらに本発明のエポキシ樹脂組成物には、成型性の確保及び導電性樹脂ペーストの流れ抑制の両立が必要であるため、樹脂成分100重量部に対して無機充填剤を20重量部〜90重量部、より好ましくは30重量部〜70重量部配合することが好ましい。無機充填剤の配合量が樹脂成分100重量部に対して20重量部以上もしくは90重量部以下である場合、成型性と導電性樹脂ペーストの流れ抑制が両立することから、接続安定性が高い回路基板を得ることができる。
ここに用いられる無機充填剤の種類としては特に限定されるものではないが、例えば溶融シリカ、結晶シリカ、ガラス、アルミナ、窒化アルミ、クレー、タルク等の微粉末、またはこれらを球状化したビーズなどが挙げられる。また、難燃効果を有する水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の使用もハロゲンフリー化された樹脂系を用いる場合については特に好ましい。これらの無機充填剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても差し支えない。
本発明のガラス織布プリプレグを作製する場合、上記に示した材料を好ましい組成範囲で選択し、有機溶媒中に分散、溶解することでワニスを調製し、このワニスを前述のガラス織布に含浸させ、加熱乾燥することで溶剤を除去すると共に含浸している樹脂組成物を半硬化状態にすることでプリプレグが得られる。
有機溶媒としては特に限定されるものではないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メトキシプロパノール(MP)、シクロヘキサノン等を用いることができる。ジメチルアセトアミド(DMAC)ジメチルフォルムアミド(DMF)などのアミン系溶媒についても使用可能であるが、フェノール系硬化剤の反応を促進する働きがあるので、使用に当たっては注意が必要である。溶剤は1種のみを用いることができるほか、2種以上を混合して用いることもできる。
本発明では、上記のようにして作製されるプリプレグを用い、これを穿孔した穴に金属粒子を含有する導電性樹脂ペーストを充填した後、金属箔と加熱、加圧成型して層間を接続するが、この際、上記プリプレグには、導電性樹脂ペーストとの接続安定性確保及び成型性の確保から、半硬化状態において含浸されたエポキシ樹脂組成物の170℃での硬化時間が30秒〜120秒、より好ましくは50秒〜110秒の範囲であり、かつプリプレグの樹脂流れが3%〜28%、より好ましくは8%〜25%のものが用いられる。
エポキシ樹脂組成物の硬化時間が30秒未満であったり、プリプレグの樹脂流れが3%未満のものでは、ビルドアップ材として使用する場合に成型性が確保できず、回路間に樹脂充填が十分に行われない結果、基板にボイドが発生してしまう。このボイドは多層基板の信頼性に大きな影響を及ぼすこととなる。
一方、エポキシ樹脂組成物の硬化時間が120秒より長くなったり、プリプレグの樹脂流れが28%より大きなものでは、成型時に導電性樹脂ペーストが同時に流れてしまい接続安定性を確保できない。
なお、本発明の硬化時間は、プリプレグから樹脂成分を分離した状態の値を意味するものであり、樹脂流れは、上記のように成型時でのエポキシ樹脂組成物の成型性を考慮するため、前記のようにして作製される半硬化状態のプリプレグを170℃、1.38MPaにて15分間保持した時の値を意味するものである。
上記硬化温度及び樹脂流れ性を有するプリプレグは、本発明のエポキシ樹脂とフェノール樹脂を必須成分とする樹脂組成物をガラス織布に含浸、乾燥して作製する時の熱履歴を適宜選択することにより変更することができる。さらに、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合比率を最適化したり、これらの樹脂組成物に添加する触媒の種類や量を最適化することで得ることができる。
なお、熱履歴による硬化温度及び樹脂流れが不明な場合は、同一組成の評価用樹脂組成物を用い、その熱履歴の変化による各特性の変動を確認することにより、硬化時間、樹脂流れが所定範囲のプリプレグを得ることができる。
さらに本プリプレグは、導電性樹脂ペーストの接続安定性及び成型性の両立という観点から130℃における最低溶融粘度が400ポイズ〜3000ポイズが好ましく、500ポイズ〜2000ポイズの間がより好ましい。上記範囲の粘度とすることにより、成型時の導電性樹脂ペーストの流れを抑制できる。なお、上記溶融粘度は、硬化時間と同様に、半硬化状態のプリプレグから樹脂成分を分離した状態で測定した時の粘度である。
本発明の上記プリプレグに充填される導電性樹脂ペーストの樹脂組成物は、エポキシ樹脂とその硬化剤からなる。このような樹脂を用いることにより、金属粒子の良好な分散が得られる。さらに、本発明は、硬化温度と樹脂流れを適正化しており、先に溶融から硬化が進む導電性樹脂ペーストの反応を阻害することなく、ペースト内の金属粒子間の十分な圧縮、接合を確保することができる。またそれによって、導電性樹脂ペーストの金属粒子と表面回路の接合が安定化し、熱サイクル下においても、接続抵抗値を安定化させることができる。
本発明の導電性樹脂ペーストの具体的な組成を挙げると、導電粒子としては、銀、銅、ニッケル、パラジウム等の適宜の金属粒子を用いることができ、その粒径は0.5〜20μm程度のものを用いることが好ましい。また、この金属粒子の配合量は、導電性樹脂ペーストの全量に対して30〜70体積%の範囲とすることが好ましい。
またペースト樹脂中のエポキシ樹脂成分としては、適宜の熱硬化性樹脂を用いることができるが、導電性樹脂ペーストの粘度を維持するために、低粘度のものを配合することが好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のような分子中に2個以上のエポキシ基を有する低粘度の液状エポキシ樹脂を用いることができる。
硬化剤としては、エポキシ樹脂成分と反応して硬化反応を進行させるものであれば特に制限されずに用いることができるが、例えば芳香族アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、イミダゾール系硬化剤等を用いることができる。これらの中でも、特に導電性樹脂ペーストの安定性及び作業性の観点から、固形状の潜在型硬化剤が望ましい。この硬化剤の配合量は適宜に設定することができる。また、必要に応じて、一般に常用される他の適宜の化合物を配合することができる。
このようなエポキシ樹脂成分及び硬化剤の組合せにおいては、プリプレグを構成する熱硬化性のエポキシ樹脂組成物(含浸樹脂)との反応性に優れ、導電性樹脂ペーストと含浸樹脂の界面を強固に密着させることが可能である。
このように導電性樹脂ペーストが充填されたプリプレグを絶縁層の形成用の部材として用い、このプリプレグの一面又は両面に金属箔又は回路形成を施したコア材のいずれかを配置し、加熱、加圧成型することにより、プリント配線板が製造される。
例えば、上記のプリプレグの両面に銅箔等の金属箔を配置して、加熱、加圧成型を施すことにより、積層一体化して、両面金属箔張りの積層板を得る。このとき、プリプレグは加熱硬化により絶縁層として形成され、このプリプレグ中の導電性樹脂ペーストが充填された穴では、導電性樹脂ペーストの樹脂が加熱硬化されて、層間接続用のビアホールが形成される。そしてこの積層板の両面の金属箔に、必要に応じて写真法などを利用して、回路成型を施すことにより、両面に導体回路が形成されるとともに、この導体回路がビアホールにて接続された回路基板が得られる。
そして、上記のように形成された回路基板をコア材とし、導電性樹脂ペーストが充填されたプリプレグを用いて、更に他の回路基板を導電性樹脂ペーストが充填された穴の開口とが重なるように配置し、プリプレグの他面に同様にしてコア材を積層するか、あるいは銅箔等の金属箔を配置して、加熱、加圧成型を施すことにより、多層プリント配線板とすることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づき具体的に説明する。
<ワニスの調製>
表1に示す配合組成にて原材料を混合し、2時間撹拌を実施して各エポキシ樹脂ワニスを調製した。ノボラック型エポキシ樹脂として、大日本インキ化学工業(株)製 品番N690を、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂として、大日本インキ化学工業(株)製 品番EPICLON153を、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂として、大日本インキ化学工業(株)製 TD2090を、水酸化アルミニウムとして、住友化学(株)製 CL302を、触媒として四国化成(株)製 2E4MZを使用した。なお、表1中各組成の配合量は、重量部を意味する。
表1に示す配合組成にて原材料を混合し、2時間撹拌を実施して各エポキシ樹脂ワニスを調製した。ノボラック型エポキシ樹脂として、大日本インキ化学工業(株)製 品番N690を、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂として、大日本インキ化学工業(株)製 品番EPICLON153を、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂として、大日本インキ化学工業(株)製 TD2090を、水酸化アルミニウムとして、住友化学(株)製 CL302を、触媒として四国化成(株)製 2E4MZを使用した。なお、表1中各組成の配合量は、重量部を意味する。
<プリプレグの作製>
ガラス織布には、一般ガラス織布として、日東紡績(株)製 WEA05E/S136を、レーザー用ガラス織布として、日東紡績(株)製 WEA1078/X153基材を使用した。
ガラス織布には、一般ガラス織布として、日東紡績(株)製 WEA05E/S136を、レーザー用ガラス織布として、日東紡績(株)製 WEA1078/X153基材を使用した。
そして、上記ガラス織布を用いて、上記各ワニスを含浸、乾燥する際に、乾燥温度と時間を変更して、表2に示す種々の硬化時間及び樹脂流れを有する半硬化状態のプリプレグを作製した。
硬化時間、樹脂流れ及び最低溶融粘度の各測定は、以下により行った。
[硬化時間]
上記のようにして作製したプリプレグから樹脂成分を分離し、各樹脂成分についてJIS C 6521に基づき、170℃での硬化時間を測定した。
上記のようにして作製したプリプレグから樹脂成分を分離し、各樹脂成分についてJIS C 6521に基づき、170℃での硬化時間を測定した。
[樹脂流れ]
上記のようにして作製したプリプレグを用い、JIS C 6521に基づいて測定した。試料は100mm角にバイアスカットしたプリプレグを重量20gになるように重ねたものを用い、すべり止めを施した後、170℃、1.38MPaにて15分間保持して成型を行い、成型前後の重量変化から樹脂流れ量を求めた。
上記のようにして作製したプリプレグを用い、JIS C 6521に基づいて測定した。試料は100mm角にバイアスカットしたプリプレグを重量20gになるように重ねたものを用い、すべり止めを施した後、170℃、1.38MPaにて15分間保持して成型を行い、成型前後の重量変化から樹脂流れ量を求めた。
[最低溶融粘度]
上記のようにして作製したプリプレグから樹脂成分を分離し、各樹脂成分について島津製作所製の高化式フローテスターを使用し、測定温度130℃、ダイ穴径0.5mm、ダイ長さ10mm、荷重20kg、予熱30秒の条件で行った。
上記のようにして作製したプリプレグから樹脂成分を分離し、各樹脂成分について島津製作所製の高化式フローテスターを使用し、測定温度130℃、ダイ穴径0.5mm、ダイ長さ10mm、荷重20kg、予熱30秒の条件で行った。
次に、上記のようにして作製した各プリプレグを用いて、以下の成型性、初期接続抵抗値及び熱サイクル時の接続抵抗値を測定した。
これらの結果を表3に示す。
[成型性確認]
コア材として、松下電工(株)製 R1766(製品厚み0.4mm、銅箔厚み18μ)の表面に回路を形成した両面板を準備した。この両面板の両側に実施例1〜3及び比較例1〜6のプリプレグをそれぞれ1枚づつ配置し、さらにその外側に18μmの片面粗化銅箔(古河電工(株)製 品名GTS18)を、粗化面がプリプレグと対向する向きで配置し、圧力4.9MPa(50kg/cm2)、プレス温度180℃にて、60分間真空加熱加圧成型した。
コア材として、松下電工(株)製 R1766(製品厚み0.4mm、銅箔厚み18μ)の表面に回路を形成した両面板を準備した。この両面板の両側に実施例1〜3及び比較例1〜6のプリプレグをそれぞれ1枚づつ配置し、さらにその外側に18μmの片面粗化銅箔(古河電工(株)製 品名GTS18)を、粗化面がプリプレグと対向する向きで配置し、圧力4.9MPa(50kg/cm2)、プレス温度180℃にて、60分間真空加熱加圧成型した。
このようにして得られた多層板の表面銅箔をエッチングにより除去後、成型状態を目視及び顕微鏡にて観察した。
[接続抵抗値測定]
前述の成型性実験において良好な成型性が確保できた実施例及び比較例につき、1枚のプリプレグの両面に、厚み30μmのフッ素系フィルム(旭硝子(株)製 品名アフレックス)の離型性フィルムを温度105℃にて貼り付け、炭酸ガスレーザー加工機(三菱電機(株)製 品名ML605GTX‐5100U)にて、エネルギー密度30mJ/P、パルス幅15μsec、1ショット加工にてプリプレグと離型フィルムを貫通する200μmの穴を穿孔した。次いで上記加工を施したプリプレグの1面側からゴム製スキージを用いて、銅粒子、エポキシ樹脂及び硬化剤を含有する樹脂組成物からなる導電性樹脂ペーストを加工した穴に押し込むと共に他面側から減圧吸引を施して穴内に導電性樹脂ペーストを充填した後、プリプレグの両面に圧着させた離型フィルムを剥離した。
前述の成型性実験において良好な成型性が確保できた実施例及び比較例につき、1枚のプリプレグの両面に、厚み30μmのフッ素系フィルム(旭硝子(株)製 品名アフレックス)の離型性フィルムを温度105℃にて貼り付け、炭酸ガスレーザー加工機(三菱電機(株)製 品名ML605GTX‐5100U)にて、エネルギー密度30mJ/P、パルス幅15μsec、1ショット加工にてプリプレグと離型フィルムを貫通する200μmの穴を穿孔した。次いで上記加工を施したプリプレグの1面側からゴム製スキージを用いて、銅粒子、エポキシ樹脂及び硬化剤を含有する樹脂組成物からなる導電性樹脂ペーストを加工した穴に押し込むと共に他面側から減圧吸引を施して穴内に導電性樹脂ペーストを充填した後、プリプレグの両面に圧着させた離型フィルムを剥離した。
上記加工を施したプリプレグに、18μmの片面粗化銅箔(古河電工(株)製 品名GTS18)を、粗化面がプリプレグと対向する向きで配置し、圧力4.9MPa(50kg/cm2)、プレス温度180℃にて、60分間真空加熱加圧成型した。その後、表裏の銅箔に対して回路形成を行い、1000穴直列抵抗値測定用パターンを20ブロック分作製した。
・初期接続抵抗値測定
各ブロック毎に1000穴直列抵抗値を四端子法にて測定し、配線抵抗分を差し引いた上で1穴当りの電気抵抗値を算出した。そして20ブロック全てについて各1ビアホール当りの電気抵抗値の平均値を算出した。
・熱時接続抵抗値測定
初期接続抵抗値の平均値のバラツキが、接続安定性の目安とした1mΩ以内に収まっていた実施例及び比較例において、20℃の水中に10秒間浸漬した後、10秒間大気中に保持し、260℃の油中に10秒間浸漬し、その後10秒間大気中に保持するサイクルを1サイクルとして、5サイクル、50サイクル、100サイクル処理後の各ブロックの1000穴直列抵抗値を四端子法にて測定し、配線抵抗分を差し引いた上で1穴当りの電気抵抗値を算出した。そして20ブロック全てについて各1ビアホール当りの電気抵抗値の平均値を算出した。
・初期接続抵抗値測定
各ブロック毎に1000穴直列抵抗値を四端子法にて測定し、配線抵抗分を差し引いた上で1穴当りの電気抵抗値を算出した。そして20ブロック全てについて各1ビアホール当りの電気抵抗値の平均値を算出した。
・熱時接続抵抗値測定
初期接続抵抗値の平均値のバラツキが、接続安定性の目安とした1mΩ以内に収まっていた実施例及び比較例において、20℃の水中に10秒間浸漬した後、10秒間大気中に保持し、260℃の油中に10秒間浸漬し、その後10秒間大気中に保持するサイクルを1サイクルとして、5サイクル、50サイクル、100サイクル処理後の各ブロックの1000穴直列抵抗値を四端子法にて測定し、配線抵抗分を差し引いた上で1穴当りの電気抵抗値を算出した。そして20ブロック全てについて各1ビアホール当りの電気抵抗値の平均値を算出した。
表3に示すように、本発明の実施例1〜3のプリプレグは、硬化剤にフェノール樹脂を用いるとともに、硬化時間及び樹脂流れの最適化を図っているため、成型性に優れ、初期接続抵抗値が低く、熱サイクル後でも安定な多層プリント配線板を作製できることが分かる。
これに対して、比較例1〜6のプリプレグでは、硬化時間、樹脂流れのいずれか、あるいは両方が本発明の範囲外であるため、成型性が劣る場合や、また成型性が良好でも、接続抵抗が初期から高いものとなっている。
Claims (5)
- エポキシ樹脂組成物を基材に含浸、乾燥してなるプリプレグを穿孔し、前記穿孔した穴に金属粒子を含有する導電性樹脂ペーストを充填した後、金属箔と加熱、加圧成型して層間を接続した回路基板を有する多層プリント配線板用のプリプレグであって、前記プリプレグは、硬化剤としてフェノール樹脂を含有し、前記基材がガラス織布からなり、プリプレグの半硬化状態における前記含浸されたエポキシ樹脂組成物の170℃での硬化時間が30秒〜120秒、樹脂流れが3%〜28%であることを特徴とする多層プリント配線板用プリプレグ。
- 前記含浸されたエポキシ樹脂組成物の130℃における最低溶融粘度が400ポイズ〜3000ポイズであることを特徴とする請求項1記載の多層プリント配線板用プリプレグ。
- 前記含浸されたエポキシ樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、無機充填剤を20重量部〜90重量部含むことを特徴とする請求項1または2記載の多層プリント配線板用プリプレグ。
- 前記ガラス織布が、扁平加工が施されていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の多層プリント配線板用プリプレグ。
- エポキシ樹脂組成物を基材に含浸、乾燥してなるプリプレグを穿孔し、前記穿孔した穴に金属粒子を含有する導電性樹脂ペーストを充填した後、金属箔と加熱、加圧成型して層間を接続した回路基板を作製する多層プリント配線板の製造方法において、前記プリプレグは、前記含浸するエポキシ樹脂組成物に硬化剤としてフェノール樹脂を含有し、前記基材がガラス織布からなり、プリプレグの半硬化状態における前記含浸されたエポキシ樹脂組成物の170℃での硬化時間が30秒〜120秒、樹脂流れが3%〜28%のものを用いることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
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