JP2006011056A - エレクトロクロミック素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】構造が簡単で製造が容易であり、応答速度、発色効率及び繰り返し耐久性が大幅に向上したエレクトロクロミック(EC)素子を提供する。
【解決手段】透明電極11と、この透明電極11に対向するようにして設けられた対向電極12と、透明電極11及び対向電極12間に封入された電解質14と、電解質14と接触するようにして透明電極11上に設けられたインドアニリン系色素を担持した半導体層13とからEC素子10を構成する。
【選択図】図1
【解決手段】透明電極11と、この透明電極11に対向するようにして設けられた対向電極12と、透明電極11及び対向電極12間に封入された電解質14と、電解質14と接触するようにして透明電極11上に設けられたインドアニリン系色素を担持した半導体層13とからEC素子10を構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、エレクトロクロミック素子に関し、特に、フルカラー化が容易であり、メモリー性に優れ、応答速度、発色効率及び繰り返し耐久性が大幅に向上したエレクトロクロミック素子に関する。
エレクトロクロミック (以下、「EC」と略す場合がある)素子を利用したEC表示装置は、偏光板等が不要であるので視野角依存性がなく受光型で視認性に優れる、電気化学的酸化還元反応により可逆的に発色又は消色する前記EC材料を含む電解質と一対の電極とを少なくとも有すれば成立するので構造が簡単であり大型化が容易である、前記EC材料の選択により多様な色調が得られる、電子の移動を遮断し酸化 還元状態を保持するだけで表示状態を静止できるのでメモリー性に優れ、しかもその表示状態を維持するのに電力が不要であるので消費電力が少ない、等の種々の利点があることから各種分野において応用されてきている。
例えば、ガラス基板上に、透明電極層(陰極)、三酸化タングステン薄膜層(EC層)、二酸化珪素のような絶縁層、電極層(陽極)を順次積層してなる全固体型EC素子が、特公昭52−46098号公報に開示されている。このEC素子は電圧(着色電圧)を印加すると、三酸化タングステン(WO3)薄膜層が青色に着色する。その後、このEC素子に極性が逆の電圧(消色電圧)を印加すると、三酸化タングステン薄膜層の青色が消えて、無色に戻る。この着色消色する機構は詳しく解明されてはいないが、WO3表面の水素イオンに起因していて着色消色していると理解される。
また、例えば、特開平9−120088号公報に示されているように、一対の電極上に前記EC材料を蒸着し、該電極間に支持塩と溶媒とを封入したEC表示装置や、一対の電極間に前記EC材料と支持塩と溶媒とを封入したEC表示装置など、各種のEC表示装置が提案されてきている。
しかしながら、これらのEC表示装置においては、発色・消色に物質(イオン)の移動を伴うので、応答速度が上げ難いという重大な問題があり、特に後者のEC表示装置の場合には、発色物質の拡散による滲みが発生してしまい、高精細な画像表示が困難であるという問題がある。このため、例えば、特開2000−19567号公報においては、後者のEC表示装置において高分子固体電解質を用いることが提案されているが、加熱等しても十分なイオン伝導度が得られず、応答性に劣るという問題がある。
したがって、フルカラー化が容易であり、メモリー性に優れ、応答速度、発色効率及び繰り返し耐久性が大幅に向上したEC装置は未だ提供されていないのが現状である。
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の課題を解決することを目的とする。即ち、本発明は、構造が簡単で製造が容易であり、応答速度、発色効率及び繰り返し耐久性が大幅に向上したEC素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、
透明電極と、この透明電極に対向するようにして設けられた対向電極と、前記透明電極及び前記対向電極間に封入された電解質と、前記電解質と接触するようにして前記透明電極上に設けられた色素を担持した半導体層とを具え、
前記色素はインドアニリン系色素であることを特徴とする、エレクトロクロミック素子に関する。
透明電極と、この透明電極に対向するようにして設けられた対向電極と、前記透明電極及び前記対向電極間に封入された電解質と、前記電解質と接触するようにして前記透明電極上に設けられた色素を担持した半導体層とを具え、
前記色素はインドアニリン系色素であることを特徴とする、エレクトロクロミック素子に関する。
本発明のEC素子は、一対の電極間に電解質を封入し、この電解質と接触するようにして前記透明電極上に設けられた色素を担持した半導体層を有するような構造を呈している。この場合、前記一対の電極間に所定の外部電圧が印加されると、前記外部電圧は前記電解質を介して前記半導体層に印加されることになる。このとき、具体的な原理は明確ではないが、前記半導体層に担持された前記色素と前記電解質との間で電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方が生じ、前記色素と前記電解質との間での電子の授受を通じて前記色素が励起され、発色又は消色動作を行うものである。
前記色素は、前記電解質との電子の授受を通じて、前記電子が過剰又は不足した状態となるが、これらの過剰電子及び不足電子は前記色素が担持した半導体層に供給され、あるいは前記半導体層から供給されることになる。本発明では、前記色素を上述したインドアニリン系色素から構成しているので、前述した前記色素の、前記電解質との電子の授受が極めて良好かつ高速で行われるようになると推定され、その結果、EC素子全体としての応答速度が向上する。
また、本発明のEC素子では、前記電解質を介して前記半導体層に電圧を印加するようにしているので、前記電解質の濃度を適宜制御することにより、前記電解質の伝導度を制御できるようになる。したがって、前記電解質の伝導度がある程度の割合で高くなるようにその濃度を制御することにより、前記半導体層への外部電圧の印加を高速で行うことができるようになる。したがって、前記インドアニリン系色素の使用との相乗効果により、本発明のEC素子の応答速度を極めて高くすることができる。
さらに、上記インドアニリン系色素は、前記電解質との電子の授受を通じて、比較的低い印加電圧で発色及び消色を行うことができるので、前記インドアニリン系色素を含む本発明のEC素子の発色効率を増大させることができる。
また、上記インドアニリン系色素は、発色及び消色の繰り返し実行しても、発色時の色の濃さ及び消色時の透明度を十分の保持することができる。したがって、前記インドアニリン系色素を含む本発明のEC素子は高い繰り返し耐久性を呈するようになる。
以上説明したように、本発明によれば、構造が簡単で製造が容易であり、応答速度、発色効率及び繰り返し耐久性が大幅に向上したEC素子を提供することができるようになる。
以下、本発明の詳細、並びにその他の特徴及び利点について、最良の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のEC素子の一例を概略的に示す構成図である。図1に示すEC素子10は、透明電極11と、この透明電極11と対向するようにして設けられた対向電極12と、透明電極11及び対向電極12間に側枠部材15を介して封入された電解質14と、この電解質14に接触するようにして、透明電極11上に設けられた半導体層13とを具えている。半導体層13は半導体微粒子13Aからなり、多孔質半導体層として構成されている。また、半導体層13では半導体微粒子13Aに色素が担持されている。
また、前記色素は、インドアニリン系色素から構成する。インドアニリン系色素とは、下記式(化1)で表される化合物の誘導体である色素であって、電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方により可逆的に発色又は消色するものである。
また、前記インドアニリン系色素の中でも、下記式(化2)で表されるものが好ましい。
(式中、R1 〜R8 はそれぞれ水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アミド基、アシル基、水酸基もしくはそのエステル、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、カルボキシル基もしくはその塩もしくはそのエステル、またはスルホン酸基もしくはその塩もしくはそのエステル、またはホスフィン酸基もしくはその塩もしくはそのエステルを表わすか、またはR1 とR2 、R3 とR4 、R5 とR6 およびR7 とR8 はそれぞれ結合して環を形成していてもよく、その環は置換基を有していてもよい。R9 およびR10はそれぞれ水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表わし、R9 とR10はそれぞれ結合して環を形成してもよく、その環は置換基を有していてもよい。また、R1 〜R8には、電子共役系側鎖を介して、前記官能基(水素原子からホスフィン酸基のエステルまで)を有していてもよい。
(式中、R1 〜R8 はそれぞれ水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アミド基、アシル基、水酸基もしくはそのエステル、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、カルボキシル基もしくはその塩もしくはそのエステル、またはスルホン酸基もしくはその塩もしくはそのエステル、またはホスフィン酸基もしくはその塩もしくはそのエステルを表わすか、またはR1 とR2 、R3 とR4 、R5 とR6 およびR7 とR8 はそれぞれ結合して環を形成していてもよく、その環は置換基を有していてもよい。R9 およびR10はそれぞれ水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表わし、R9 とR10はそれぞれ結合して環を形成してもよく、その環は置換基を有していてもよい。また、R1 〜R8には、電子共役系側鎖を介して、前記官能基(水素原子からホスフィン酸基のエステルまで)を有していてもよい。
図1に示すEC素子10において、透明電極11をアノードとし、対向電極12をカソードとして所定の外部電圧を印加すると、前記外部電圧は電解質14を介して半導体層13に印加される。このとき、半導体層13に担持された前記色素と電解質14との間で電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方が生じ、前記色素と電解質14との間での電子の授受を通じて前記色素が励起され、発色または消色動作を行うものである。
前記色素は、電解質14との電子の授受を通じて、前記電子が過剰又は不足した状態となるが、これらの過剰電子及び不足電子は前記色素が担持した半導体層13に供給され、あるいは半導体層13から供給されることになる。本発明では、前記色素を上述したインドアニリン系色素から構成しているので、前記色素の、電解質14との電子の授受が極めて良好かつ高速で行われるようになると推定され、その結果、EC素子全体としての応答速度が向上する。
また、図1に示すEC素子10では、電解質14を介して半導体層13に電圧を印加するようにしているので、電解質14の濃度を適宜制御することにより、電解質14の伝導度を制御できるようになる。したがって、電解質14の伝導度がある程度の割合で高くなるようにその濃度を制御することにより、半導体層13への外部電圧の印加を高速で行うことができるようになる。したがって、前記インドアニリン系色素の使用との相乗効果により、本発明のEC素子の応答速度を極めて高くすることができる。
さらに、上記インドアニリン系色素は、電解質14との電子の授受を通じて、比較的低い印加電圧で発色及び消色を行うことができるので、前記インドアニリン系色素を含むEC素子10の発色効率を増大させることができる。
また、上記インドアニリン系色素は、発色及び消色を繰り返し実行しても、発色時の色の濃さ及び消色時の透明度を十分の保持することができる。したがって、前記インドアニリン系色素を含む図1に示すEC素子10は高い繰り返し耐久性を呈するようになる。
上述したように、半導体層13は多孔質半導体層として構成されているので、その実質的な表面積が増大し、その結果、比較的多量の上述したインドアニリン系色素を担持できるようになる。この場合、半導体層13の比表面積は1−5000m2/gであることが好ましく、さらには10−2500m2/gであることが好ましい。半導体層13がこのような比表面積を有する多孔質半導体層として構成することにより、前述したインドアニリン系色素の多量の担持と、層自体が安定に保持できるような強度とを有することができるようになる。なお、前記比表面積は窒素ガスの吸着量から求めたBET比表面積を意味する。
半導体層13を上述したような多孔質半導体層として形成する場合には、単体半導体微粒子、酸化物半導体微粒子、化合物半導体微粒子、有機半導体微粒子、並びにこれらの複合物及び混合物から選ばれる少なくとも1種から構成する。この場合、半導体層13は層全体として見た場合、上述した多孔質半導体層として簡易に構成することができる。なお、これらの半導体微粒子には、必要に応じてドーパントなどの不純物が含まれていてもよい。また、半導体層13は、単結晶、多結晶、非晶質又はこれらの混合形態であってもよい。
前記単体半導体微粒子としては、例えば、Si、Ge、Teなどの微粒子を例示することができる。また、前記酸化物半導体微粒子としては、金属酸化物で半導体の性質を持つものであり、例えば、TiO2、SnO2、Fe2O3、SrTiO3、WO3、ZnO、Nb2O5、V2O5、In2O3などの一種類もしくは二種類以上からなる微粒子を例示することができる。
前記化合物半導体微粒子としては、例えば、カドミウム含有硫化物、亜鉛含有硫化物、鉄含有硫化物、銅含有硫化物、カドミウム含有セレン化物、鉄含有セレン化物、亜鉛含セレン化物、カドミウム含有テルル化物などの微粒子を例示することができる。また、前記有機半導体微粒子としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィドなどが挙げられる。前記複合半導体微粒子としては、上記単体半導体、酸化物半導体、化合物半導体、有機半導体などを少なくとも一種類以上を組み合わせた微粒子などを例示することができる。
なお、半導体層13を構成する前記半導体微粒子の形状は特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選定することができる。例えば、多角形状、球形、ナノチューブ状、ロッド状、ウィスカー状のいずれの形状とすることができ、これら形状内の相異なる2種類以上の形状の混合微粒子を用いることもできる。前記球形粒子の場合には、平均粒径が0.1〜100nmが好ましく、5〜30nmがより好ましい。
また、半導体層13の厚さは1〜30μmであることが好ましい。この場合、半導体層13の透明性を低下させることなく、担持できるインドアニリン系色素の量を増大することができる。
電解質14は、例えば、I-/I3-系や、Br-/Br3-系、Fe+2/Fe+3系、キノン/ハイドロキノン系等の酸化還元種を用いることができる。また、これらの化合物を溶媒に溶解したものを使用することが好ましい。電解質の溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート等を使用することができる。前記電解質中に含む酸化還元種の含有量は、0.01〜2000mmol/Lが好ましく、さらには5−1000mmol/Lが好ましい。
透明電極11は、例えば、ガラス、プラスチック等の基材上に、ITO、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、及びATO等の導電性膜を形成して構成することができる。なお、透明電極11がEC素子10の作製工程などにおいて加熱条件下に置かれるような場合には、前記導電性膜としてFTOを用いることが好ましい。
なお、対向電極12も透明電極11と同様にして形成することができるが、電解質14中の酸化還元反応を促進する必要がある場合には、前述した基材上にPt、Ru、Auなどの触媒を例えば層状に担持することが好ましく、基板の透明性を維持する際にはそれら触媒がナノ粒子であることが望ましい。
また、対向電極12上に、必要に応じて白色多孔質層を設けることもできる。この場合、EC素子10を消色した後に、白色化することができる。
図1に示すEC素子10は、例えば0−5V、好ましくは0.7−3Vの低電圧を印加することによって発色させることができる。一方、例えば0.1−5Vの逆電圧を印加することによって消色速度を向上させることができる。つまり、本発明のEC素子は、5V以下、好ましくは0.1−5V、さらに好ましくは0.1−3Vの低電圧を印加することにより発色、消色させることができる。
次に、図1に示すEC素子10の作製方法について説明する。最初に、透明電極11を準備し、一方で、半導体微粒子13Aから半導体微粒子ペーストを調整する。調整方法としては、例えば、半導体微粒子、分散剤、および溶剤を混合し、サンドミル等の分散装置を用いて分散させ、半導体微粒子分散液を得る。前記溶剤は、特に限定されないが、高沸点であることが望ましく、例えば水とアセチルアセトンの混合物、1−p−メンテン−8−オールとアセチルアセトンの混合物を好ましく用いることができる。また、前記分散剤としては、例えばポリエステル系分散剤を好ましく用いることができる。
次いで、得られた半導体微粒子分散液とバインダーとを攪拌、混合することによって半導体微粒子ペーストを得る。前記バインダーは、半導体微粒子ペーストの粘度増加と、半導体層13として形成した場合のクラック防止効果を有し、550℃以下で蒸発または燃焼するものが好ましい。例えばセルロース系バインダーや、ポリエチレングリコール等を好適に用いることができる。バインダーの添加量は半導体微粒子ペースト中の半導体微粒子の10〜60重量%が好ましい。
次いで、透明基板11上に、上述のようにして調整した半導体微粒子ペーストを塗布し、必要に応じて乾燥させた後、空気中550℃以下の温度で焼成することにより、半導体層13を形成する。前記塗布法としては、スクリーン印刷が好ましく、その他にフレキソ印刷、グラビア印刷、ドクターブレード、バーコーター、ロールコーター、スピンコーター、ディップコーター等を用いることもできる。
次いで、半導体層13を適宜の溶剤に溶解させたインドアニリン系色素溶液中に浸漬させ、または還流を行うことにより、半導体層13中の半導体微粒子13Aに前記色素を吸着及び担持させる。
次いで、透明電極11に対向させて対向電極12を形成するとともに側枠部材15を設けてセルを形成し、このセル内部に電解質14を封入することによって、目的とするEC素子10を作製する。なお、側枠部材15は、絶縁性および光透過性を有する材料からなり、例えばエポキシ樹脂、フッ素含有樹脂、アイオノマー樹脂、低融点ガラス等を用いて構成される。また、透明電極11及び対向電極12との間隔は、1〜1000μm程度で、特には10〜50μm程度が好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(EC素子の作製)
粒径20nmの酸化チタンナノ粒子を30重量%含む分散液を調製した。溶剤は1−p−メンテン−8−オール(α−テルピネオール(商品名):関東化学社製)、分散剤はポリエステル系分散剤(ディスパロンDA703(商品名):東京化成社製)を用い、0.1mmビーズを用いたサンドミル(アイメックス社製)で分散させた。この分散液にバインダーとしてエチルセルロース(関東化学社製)を5重量%添加して酸化物半導体ペーストを得た。
粒径20nmの酸化チタンナノ粒子を30重量%含む分散液を調製した。溶剤は1−p−メンテン−8−オール(α−テルピネオール(商品名):関東化学社製)、分散剤はポリエステル系分散剤(ディスパロンDA703(商品名):東京化成社製)を用い、0.1mmビーズを用いたサンドミル(アイメックス社製)で分散させた。この分散液にバインダーとしてエチルセルロース(関東化学社製)を5重量%添加して酸化物半導体ペーストを得た。
透明電極して表面抵抗が10Ω/□の導電性ガラスを用い、前記透明電極上に上述した酸化物半導体ペーストをスクリーン印刷機を用いて塗布した。そして、大気中、500℃で30分間焼成を行い、前記透明電極上に前記酸化物半導体(酸化チタンナノ粒子)からなる半導体層を形成した。なお、前記半導体層は透明性を呈していた。
次いで、前記半導体層を濃度が1重量%の塩化チタン(IV)溶液中に浸漬し、乾燥した後、再び大気中、450℃で30分間焼成を行い、酸化チタンの被覆を施した。
次いで、前記半導体層を上述した(化4)で表されるインドアニリン色素の0.3mMメタノール溶液に一昼夜浸漬して、前記半導体層に前記インドアニリン系色素を吸着及び担持させた。
次いで、前記透明電極と対向するようにしてガラス基板上にPt層を設けてなる対向電極を形成し、さらにアイオノマー樹脂で側枠部材15を形成して、セルを構成した。なお、両電極の間隔は25μmとした。その後、前記セル内にヨウ素、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム、ヨウ化リチウムをアセトニトリル液に溶解させた電解質(溶液)を封入し、目的とするEC素子を得た。
(評価)
室温で2Vの低電圧を印加したところ、陰極ではインドアニリン色素が還元されて、緑色から無色に変わった。なお、到達透過率となるまでの応答速度は60msecであった。また、発色−消色を1万回繰り返しても発色時の色の濃さも、消色時の透明度ほとんど変わらなかった。すなわち、本発明のEC素子は、構造が簡単で製造が容易であり、応答速度、発色効率及び繰り返し耐久性が極めて高いことが判明した。
室温で2Vの低電圧を印加したところ、陰極ではインドアニリン色素が還元されて、緑色から無色に変わった。なお、到達透過率となるまでの応答速度は60msecであった。また、発色−消色を1万回繰り返しても発色時の色の濃さも、消色時の透明度ほとんど変わらなかった。すなわち、本発明のEC素子は、構造が簡単で製造が容易であり、応答速度、発色効率及び繰り返し耐久性が極めて高いことが判明した。
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。例えば、上記具体例では、半導体層13を多孔質半導体層として形成したが、本発明において使用するインドアニリン系色素を十分に担持することができれば、半導体層13は必ずしも多孔質として形成する必要はない。
10 エレクトロクロミック(EC)素子
11 透明電極
12 対向電極
13 半導体層
13A 半導体微粒子
14 電解質
15 側枠部材
11 透明電極
12 対向電極
13 半導体層
13A 半導体微粒子
14 電解質
15 側枠部材
Claims (12)
- 透明電極と、この透明電極に対向するようにして設けられた対向電極と、前記透明電極及び前記対向電極間に封入された電解質と、前記電解質と接触するようにして前記透明電極上に設けられた色素を担持した半導体層とを具え、
前記色素はインドアニリン系色素であることを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 - 前記インドアニリン系色素は下記一般式(化1)で表わされることを特徴とする、請求項1記載のエレクトロクロミック素子。
(式中、R1 〜R8 はそれぞれ水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アミド基、アシル基、水酸基もしくはそのエステル、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、カルボキシル基もしくはその塩もしくはそのエステル、またはスルホン酸基もしくはその塩もしくはそのエステル、またはホスフィン酸基もしくはその塩もしくはそのエステルを表わすか、またはR1 とR2 、R3 とR4 、R5 とR6 およびR7 とR8 はそれぞれ結合して環を形成していてもよく、その環は置換基を有していてもよい。R9 およびR10はそれぞれ水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表わし、R9 とR10はそれぞれ結合して環を形成してもよく、その環は置換基を有していてもよい。また、R1 〜R8には、電子共役系側鎖を介して、前記官能基(水素原子からホスフィン酸基のエステルまで)を有していてもよい。) - 前記半導体層は多孔質であって、その比表面積が1−5000m2/gであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記半導体層は、単体半導体微粒子、酸化物半導体微粒子、化合物半導体微粒子、有機半導体微粒子、並びにこれらの複合物及び混合物から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記酸化物半導体が、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化タングステン、酸化バナジウム、チタン酸亜鉛、チタン酸バリウム、及びチタン酸ストロンチウム、並びにこれらの複合物及び混合物から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする、請求項6に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記半導体層の厚さが1〜30μmであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載のエレクトロクロミック素子。
- 画像形成電圧又は画像消去電圧が5V以下であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載のエレクトロクロミック素子。
- 下記一般式(化4)
(式中、R1 〜R8 はそれぞれ水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アミド基、アシル基、水酸基もしくはそのエステル、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、カルボキシル基もしくはその塩もしくはそのエステル、またはスルホン酸基もしくはその塩もしくはそのエステル、またはホスフィン酸基もしくはその塩もしくはそのエステルを表わすか、またはR1 とR2 、R3 とR4 、R5 とR6 およびR7 とR8 はそれぞれ結合して環を形成していてもよく、その環は置換基を有していてもよい。R9 およびR10はそれぞれ水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表わし、R9 とR10はそれぞれ結合して環を形成してもよく、その環は置換基を有していてもよい。また、R1 〜R8 には、電子共役系側鎖を介して、前記官能基(水素原子からホスフィン酸基のエステルまで)を有していてもよい。)
で表されることを特徴とする、エレクトロクロミック素子用色素。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|---|
JP2007102197A (ja) * | 2005-09-12 | 2007-04-19 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 全固体型反射調光エレクトロクロミック素子及びそれを用いた調光部材 |
CN111142301A (zh) * | 2020-02-14 | 2020-05-12 | 辽宁大学 | 一种高性能的电致变色器件及其制备方法 |
-
2004
- 2004-06-25 JP JP2004188291A patent/JP2006011056A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007102197A (ja) * | 2005-09-12 | 2007-04-19 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 全固体型反射調光エレクトロクロミック素子及びそれを用いた調光部材 |
CN111142301A (zh) * | 2020-02-14 | 2020-05-12 | 辽宁大学 | 一种高性能的电致变色器件及其制备方法 |
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