JP2006010138A - 保存庫 - Google Patents

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Abstract

【課題】 断熱容器内の時系列的な温度変化を確認でき、また、被収容物近傍の温度を正確に測定することができる保存庫を提供することを課題とする。
【解決手段】 断熱容器2と、この断熱容器2の内部を冷却するスターリング冷凍機3と、前記断熱容器2の内部の温度を設定する温度設定手段としての温度設定スイッチ14と、前記断熱容器2の内部の温度を検知する温度検知手段としての温度センサ13と、前記断熱容器2の内部の温度を表示する温度表示手段4と、前記断熱容器2の内部の温度を時系列的に記録する記録手段15と、前記温度設定スイッチ14および温度センサ13からの入力により前記スターリング冷凍機3と温度表示手段4と記録手段15を制御する制御回路17とを備えることにより上記の課題を解決する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、薬品、血液、あるいは臓器等を保存するために使用することが可能な保存庫に関する。
従来、この種の保存庫としては、例えば、断熱性を有する容器に、この容器内を冷却または加熱するためのサーモモジュールおよび容器内の温度を検知するための温度センサを設けると共に、この温度センサが検知した温度によって前記サーモモジュールを制御する制御回路を設けた電子式温冷蔵庫が知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、このような電子式温冷蔵庫は、主として食品や飲料の冷蔵または温蔵といった用途に用いられるものであるが、その他の物品、例えば薬品、血液、臓器等の保存や運搬等といった、医学的、科学的な用途に用いられることも想定されている。
特開平10−148453号公報
しかしながら、これらの電子式温冷蔵庫等の保存庫においては、前述したような、薬品、血液、臓器等の保存や運搬等、医学的、科学的な用途に用いる場合、容器内温度の設定が可能であったとしても、実際の容器内の温度変化が不明なため、薬品、血液、臓器等の保存温度範囲から外れてしまっても気付かず、これらの薬品、血液、臓器等が変質あるいは損傷し、重大事故につながる虞があった。また、化学薬品の中には、極めて低温で保存するように指定されているものもあり、このような化学薬品を保存、運搬する場合、上述したサーモモジュールのみならず、携帯型の冷蔵庫で用いることが可能な小型のコンプレッサーであっても、そのような低温が実現できないため、容器内に収容された化学薬品が変質してしまう虞があった。さらに、前記容器内において、温度分布が均一でない場合もあり、温度センサの位置と被収容物近傍とで温度が異なっている虞があった。
本発明は、以上の問題点を解決し、断熱容器内の時系列的な温度変化を確認することができる保存庫を提供することを第一の目的とする。また、被収容物近傍の温度を正確に測定することができる保存庫を提供することを第二の目的とする。
本発明の請求項1記載の保存庫は、断熱容器と、この断熱容器の内部を冷却するスターリング冷凍機と、前記断熱容器の内部の温度を設定する温度設定手段と、前記断熱容器の内部の温度を検知する温度検知手段と、前記断熱容器の内部の温度を表示する温度表示手段と、前記断熱容器の内部の温度を時系列的に記録する記録手段と、前記温度設定手段および温度検知手段からの入力により前記スターリング冷凍機と温度表示手段と記録手段を制御する制御回路とを有するものである。
また、本発明の請求項2記載の保存庫は、請求項1において、前記記録手段が記録紙に印刷するプリンタであるものである。
また、本発明の請求項3記載の保存庫は、請求項1において、前記記録手段が電子的、磁気的あるいは光学的に記録する記憶媒体であるものである。
また、本発明の請求項4記載の保存庫は、請求項3において、前記記録手段と外部のコンピュータとを接続するための接続部が設けられているものである。
また、本発明の請求項5記載の保存庫は、請求項1において、前記記録手段が着脱自在に設けられているものである。
また、本発明の請求項6記載の保存庫は、請求項1において、前記温度検知手段が前記断熱容器内における任意の位置に設置可能に設けられているものである。
また、本発明の請求項7記載の保存庫は、請求項6において、前記温度検知手段が前記断熱容器内に収容される被収容物に近接した位置に設置可能に設けられているものである。
さらに、本発明の請求項8記載の保存庫は、請求項1、6または7において、前記温度検知手段が前記断熱容器内に複数設けられているものである。
本発明の請求項1記載の保存庫は、以上のように構成することにより、前記制御回路が前記温度設定手段および温度検知手段からの入力に従って前記スターリング冷凍機を駆動制御すると共に、前記温度表示手段に前記断熱容器内の温度を表示し、さらに、前記記録手段によって、前記断熱容器内の時系列的な温度変化が記録される。これによって、前記断熱容器内で被収容物が適正に保存されていたかどうかを知ることができるので、重大な事故を未然に防ぐことができる。また、断熱容器内の冷却にスターリング冷凍機を用いているため、前記断熱容器内を極めて低い温度で冷却することができるので、あらゆる薬品、血液、臓器等の保存に用いることができる。
また、本発明の請求項2記載の保存庫は、以上のように構成することにより、前記断熱容器内の時系列的な温度変化を、前記記録紙に印刷される情報で順次知ることができるので、運搬中であっても前記断熱容器内の温度変化をモニターすることができる。
また、本発明の請求項3記載の保存庫は、以上のように構成することにより、前記記憶媒体によって、前記断熱容器内の時系列的な温度変化が電子的、磁気的あるいは光学的に記録されるので、これらの時系列的な温度変化の履歴を、外部のコンピュータ、あるいは保存庫に搭載したコンピュータによって電子的に管理することができる。
また、本発明の請求項4記載の保存庫は、以上のように構成することにより、前記接続部によって前記保存庫と外部のコンピュータとを接続することができるので、外部のコンピュータによる時系列的な温度変化の履歴の管理を容易に行うことができる。
また、本発明の請求項5記載の保存庫は、以上のように構成することにより、前記記録手段による記録が不要な被記録物を前記断熱容器内に収容して運搬する場合、前記記録手段を前記断熱容器から取り外すことで、前記保存庫を軽量にすることができる。
また、本発明の請求項6記載の保存庫は、以上のように構成することにより、前記温度検知手段を前記断熱容器内の任意の位置に設置することができるので、前記断熱容器内部の温度分布によらず、前記断熱容器内における任意の位置の温度を正確に検知することができる。
また、本発明の請求項7記載の保存庫は、以上のように構成することにより、前記温度検知手段を被収容物の近傍に設置することができるので、前記断熱容器内部の温度分布によらず、前記断熱容器内における被収容物の近傍、ひいてはこの被収容物の温度を正確に検知することができる。
さらに、本発明の請求項8記載の保存庫は、以上のように構成することにより、前記断熱容器内に複数の被収容物が収容されていたとしても、これらの被収容物に対して個別に周囲温度を検知することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る保存庫の外観を示す斜視図であり、図2は該保存庫の構成を示すブロック図である。また、図3はスターリング冷凍機の原理を説明するための模式図である。
保存庫1の箱体は、大別すると、被収容物を収容するための断熱容器2と、スターリング冷凍機3や温度表示手段4等を装着している機器収納部5からなる。そして、被収容物を収容するための前記断熱容器2には、開閉式の蓋6が設けられていると共に、この蓋6と前記断熱容器2の本体7との間には、気密を保持するためのパッキン8が設けられている。また、前記断熱容器2の本体7の側面および底面には断熱部材9が張設されていると共に、前記蓋6の内部にも、同様な断熱部材11が配されている。前記断熱部材9としては、ウレタンフォームや発泡ポリスチレン等が一般的であり、これらを熱伝導性の良好な金属からなる前記断熱容器2の内容器2Aの外周を覆ったり、合成樹脂または金属材料からなる前記断熱容器2の本体7の外殻と前記内容器2Aとの間に充填したりすることで、前記断熱容器2の本体7が構成される。なお、断熱仕様によっては、前記ウレタンフォームや発泡ポリスチレンに代えて真空断熱部材を用いる場合もある。また、前記機器収容部5は、本来的には断熱構造を必要としないものであるが、本保存庫1の主要機器である前記スターリング冷凍機3が収容されるため、このスターリング冷凍機3において低温となる先端部25及びこの先端部25に伝熱的に取り付けられた低温側熱交換器3Aの周囲が断熱部材12により囲まれることで、必要な断熱が図られている。
図2は、本発明に係る保存庫1の構成を示すブロック図である。前記断熱容器2の内部には、温度検知手段としての温度センサ13が設けられている。この温度センサ13は、具体的には、熱電対やサーミスタ等である。また、前記機器収容部5には、主要機器である前記スターリング冷凍機3の他に、前記断熱容器2内の温度を設定する温度設定手段としての温度設定スイッチ14が設けられている。この温度設定スイッチ14は、具体的には、メインブレン構造のスイッチやプッシュボタンスイッチを用いることができる。そして、この温度設定スイッチ14は、操作性を考慮して、前記機器収容部5の上面に近い側面に傾斜面を設けて、その傾斜面に取り付けられている。また、前記温度表示手段4は、前記温度検知手段13によって検出した前記断熱容器2内の温度を表示するためのものであり、前記温度設定スイッチ14の操作性を考慮して、この温度設定手段の近傍である前記傾斜面に設けられている。なお、前記温度表示手段4は、液晶ディスプレイ等によるディジタル表示としてもよく、また、アナログ的に表示してもよい。さらに、前記機器収容部5の下方側面には、記録手段15が設けられている。この記録手段15は、前記保存庫1の断熱容器2内の使用中における実際の温度を把握するため、前記断熱容器2内の温度履歴を時系列的に記録するためのものである。なお、前記記録手段15としては、各種の記録装置を用いることができる。例えば、前記記録手段15として、記録紙に一定時間間隔で前記断熱容器2内の温度をプロットする打点式のアナログ形式の記録計や、記録紙に一定時間間隔で前記断熱容器2内の温度を数値で印刷するディジタル式のプリンタを用いることができる。また、前記記録手段15の記録媒体として、記録紙ではなく、ICメモリーカードや磁気式メモリーカード、あるいは光ディスクや磁気ディスク、光磁気ディスク等の記憶媒体を用いることもできる。これらの記憶媒体を用いる場合、前記記録手段15には各種記憶媒体への書き込み装置が含まれる。また、前記記録手段15には、外部に設けられた図示しないコンピュータとの接続を可能とするための接続部としてのコネクタ16(USBやIEEE1394等)が設けられている。そして、前記機器収納部5内には、前記スターリング冷凍機3,温度表示手段4,温度検知手段13、温度設定スイッチ14、記録手段15と電気的に接続されており、前記温度検知手段13及び温度設定スイッチ14からの入力信号を入力とし、前記スターリング冷凍機3,温度表示手段4及び記録手段15を制御するための制御回路17が設けられている。そして、この制御回路17によって、前記断熱容器2の内部が設定温度になるように、前記スターリング冷凍機3が駆動制御されるばかりでなく、前記断熱容器2の内部温度を記録するように、前記記録手段15が制御される。
ここで、本発明に係る前記保存庫1の主要機器である前記スターリング冷凍機3について簡単に説明する。このスターリング冷凍機3におけるガスサイクルに関わる部分を模式的に説明すると、図3に示すような構造となり、これは、スターリングサイクルを利用したユニークな冷凍機である。スターリングサイクル自体は、熱力学等でよく知られているように、二つの等温変化と二つの等体積変化とからなる可逆サイクルである。スターリングサイクルを利用して冷凍機を構成する場合、図3に示すように、先端が閉じられたケーシング21の円筒部21Aの内側にディスプレイサー(フリーピストン)22が設けられており、このディスプレイサー22が前記円筒部21Aの軸方向に設けられたシリンダ23に沿って自由に移動できるようになっている。また、前記円筒部21Aとシリンダ23との間には、再生器24が設けられている。そして、前記円筒部21Aの先端部25近傍の内側で且つ前記シリンダ23の外周に吸熱部26が設けられると共に、前記円筒部21Aの基部27近傍の内側で且つ前記シリンダ23の外周に排熱部28が設けられている。これら吸熱部26、放熱部28は熱伝導牲に優れた金属、例えば銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金でフィン状に製作されている。さらに、前記円筒部21Aの基部27及び前記ケーシング21の胴部21Bの内側に設けられたシリンダ29に、前配ディスプレイサー22と対向するように、駆動ピストン30が設けられている。この駆動ピストン30は、リニアモータ等の駆動装置(図示せず)によって、前記ディスプレイサー22に対向して、前記シリンダ29内を往復駆動されるようになっている。なお、前記シリンダ23とシリンダ29は一体に形成されており、これらのシリンダ23,29間に、複数の通孔31が形成されている。そして、ケーシング21で囲まれた密閉空間には、作動ガスとしてヘリウム等の気体が充填されている。
従って、前記駆動ピストン30を前記ディスプレイサー22の方向に移動させると、前記ディスプレイサー22と駆動ピストン30間の圧縮室C内の作動ガスは圧縮されて前記通孔31から矢印Zのように前記排熱部28、再生器24、吸熱部26を通り、前記円筒部21Aの先端部25側の膨張室E内に至ると共に、前記ディスプレイサー22を押し下げる。一方、前記駆動ピストン30を前記ディスプレイサー22と反対の方向に移動させると、前記圧縮室C内が負圧となることで、前記膨張室E内の作動ガスは、矢印Zとは逆に、前記吸熱部26、再生器24、排熱部28を通って前記通孔31から前記圧縮室C内復帰し、これにより、前記ディスプレイサー22が押し上げられる。このような行程中において、前述の二つの等温変化と二つの等体積変化とからなる可逆サイクルが行われて、前記円筒部21Aの先端部25の内部に取り付けられた吸熱部26、ひいては前記円筒部21Aの先端部25の外部に伝熱的に取り付けられた低温側熱交換器3Aは低温となり、一方、前記円筒部21Aの基部27、ひいては前記円筒部21Aの基部27に伝熱的に取り付けられた高温側熱交換器3Bは高温となる。このようなスターリング冷凍機3を保存庫1に使用する場合には、前記低温側熱交換器3Aを、直接あるいは間接的に、前記断熱容器2の内容器2Aに対して熱的に接触させる一方、前記高温側熱交換器3Bの熱を前記保存庫1外に排出できるようにする。
図4および図5は、本発明に係る保存庫1の縦断面図である。なお、図4は、前記断熱容器2を構成する内容器2Aの外側に、前記内容器2A内の空気と連通するように前記温度センサ13を設けた例であり、図5は、前記断熱容器2内における任意の位置に配置可能な温度センサ13を設けた例である。前記機器収納部5には、前記スターリング冷凍機3が取り付けられている。そして、このスターリング冷凍機3の先端部25の外部に取り付けられた低温側熱交換器3Aは、前記スターリング冷凍機3の作動によって低温となる。そして、前記低温側熱交換器3Aの冷熱は、例えばサーモサイフォン(図示せず)により、断熱容器2の内容器2Aへと運ばれ、この内容器2A内の被収容物を冷やす。一方、前記スターリング冷凍機3の基部27の外部に取り付けられた高温側熱交換器3Bは、前記スターリング冷凍機3の作動によって高温となる。そして、前記高温側熱交換器3Bの熱は、冷却ファン32によって前記機器収容部5内に導入された気流へ排出された後、この気流が前記冷却ファン32から前記収容部5外へ強制的に排気される。なお、前記スターリング冷凍機3の先端部25及びこの先端部25に伝熱的に取り付けられた低温側熱交換器3Aの外周は、前記高温側熱交換器3Bからの熱移動を阻止するために、前記断熱部材12によって覆われている。
前述したように、前記断熱容器2内には前記温度センサ13が設けられている。ここで、前記温度センサ13は、図4に示すように、前記断熱容器2を構成する内容器2Aの外側に設置することもできるし、図5に示すように、前記断熱容器2の内容器2A内における任意の位置に設置することもできる。
図5に示すように、前記温度センサ13を前記断熱容器2内に設置する際に、前記温度センサ13を前記内容器2A内の任意の箇所に変更配置できるように、前記温度センサ13のリード線34を十分長くしておくことで、前記温度センサ13を前記内容器2A内の任意の位置に設置することができるので、前記断熱容器2の内容器2A内部の温度分布によらず、前記断熱容器2の内容器2A内における任意の位置の温度を正確に検知することができる。また、図5に示すように、前記内容器2A内での配置が自在な温度センサ13であれば、被収容物に近接した位置に温度センサ13を配置できるので、被収容物あるいはその周囲の正確な温度を測定、記録することができる前記保存庫1を実現できる。
また、前記温度センサ13は1個ではなく、複数個を設置することもできる。このように、複数個の前記温度センサ13を設置することにより、比較的大きな前記断熱容器2であっても、この断熱容器2の内容器2A内における各部の温度分布を正確に把握することができるので、被収容物あるいはその周囲の温度をより正確に測定、記録することができる前記保存庫1を実現することができる。また、前記断熱容器2の内容器2A内に複数の被収容物が収容されていたとしても、これらの被収容物に対して個別に被収容物自身あるいはその周囲温度を正確に測定、記録することができる。
なお、前記温度センサ13には、用途や必要とされる仕様に応じて、熱電対やサーミスタ等、各種の素子を用いることができる。因みに、一般的に、熱電対は検出精度や信頼性に優れ、サーミスタは経済性に優れる。したがって、用途や仕様に応じて各種の温度センサ13を使い分けるのが望ましい。
図6は、前記記録手段15が前記機器収容部5に対して着脱自在に設けられた前記保存庫1の外観斜視図である。この実施例では、必要に応じて前記記録手段15を前記保存庫1から容易に着脱することができる。
次に、上記のように構成した保存庫1の作用について説明する。前記温度検知手段13により検出された前記断熱容器2内の温度信号は、前記制御回路17に送られ、さらに、この制御回路17から前記温度表示手段4に温度信号が送られて温度表示される。また、温度信号は、前記制御回路17から前記記録手段15にも送られて、紙や電子的な記憶媒体等の各種の記録媒体に記録される。なお、前記温度検知手段13による温度データの前記記録媒体への記録間隔は、設定により任意の時間間隔を選択できるようにされている。そして、前記断熱容器2内の設定温度を変更する場合には、前記温度設定スイッチ14を操作することにより行う。なお、前記温度設定スイッチ14で設定された温度値は、前記制御回路17に送られて、この制御回路17の一部を構成する不揮発性メモリ等に記憶される。したがって、いったん設定された温度設定値は、電源がオフされても失われることはなく、電源を再投入すれば、そのまま従来の設定状態で運転を継続することができる。
本保存庫1の主要機器であるスターリング冷凍機3は、前記制御回路17に対して電気的に接続されており、前記制御回路17からの制御信号により、前記スターリング冷凍機3の駆動電圧、駆動電流あるいは駆動電力を制御することで、精度の高い冷凍能力を発揮することができるようにされている。
そして、この保存庫1の断熱容器2に血液や臓器、検体あるいは化学薬品等の被収容物を収容して運搬する場合、予め、前記温度センサ13を前記断熱容器2の内容器2A内における被収容物が置かれる位置の近傍に設置し、前記蓋6を閉じて前記断熱容器2内を外気から遮断し、前記温度設定スイッチ14によって断熱容器2内の温度を設定した後、前記スターリング冷凍機3を作動させることで、前記断熱容器2内を設定温度に冷却しておく。そして、前記断熱容器2内が設定温度に達した後、速やかに前記蓋6を開放し、前記断熱容器2内における前記温度センサ13が設置された位置の近傍に前記被収容物を収容した後、速やかに前記蓋6を閉じる。このようにして、保存庫1内に被収容物が収容される。なお、前記保存庫1の断熱容器2内が、極めて低い温度を作り出すことができる前記スターリング冷凍機3によって冷却されるので、極めて低い温度で保存しなければならない化学薬品等であっても、確実に保存することができる。
そして、このように前記被収容物を収容した保存庫1を運搬する場合、前記温度センサ13によって前記断熱容器2内の被収容物あるいはその周囲の温度を計測し、前記温度表示手段4に温度を表示すると共に、図7に示すように、所定の時間間隔毎に(図7の例においては5分間隔で)前記記録手段15に温度を記録してゆく。この記録手段15に記録される内容は、図7(a)に示すような、温度と時間をそれぞれ座標軸としたグラフであってもよく、あるいは、図7(b)に示すような、前記温度センサ13と時間のマトリックスであってもよい。また、これらの内容は、紙にプリントアウトしてもよく、あるいは、ICメモリーカードや磁気式メモリーカード、光ディスクや磁気ディスク、光磁気ディスク等といった、電子的、磁気的、光学的な記憶媒体に記憶させてもよい。そして、このような記憶媒体に温度の時系列的な変化のデータを記憶させることで、このデータをコンピュータ等で読み込んで利用することができる。さらに、前記コネクタ16にコンピュータを接続することで、このコンピュータによって前記温度センサ13近傍の温度の時系列的な変化を直接記憶させるようにしてもよい。なお、この場合、前記コネクタ16に接続されたコンピュータが記録手段になる。そして、このように記憶媒体に記憶されたデータをコンピュータに読み込ませたり、前記コネクタ16を介して直接データをコンピュータに記憶させたりすることで、前記コンピュータによって、前記断熱容器2内の温度の時系列的な変化を統計的な処理を容易に行うことができる。
そして、何らかの原因で、設定された温度に対して計測された温度がずれた場合、(例えば図7においては、7:50〜8:10頃の間に、設定温度に対して最大で約6℃高い温度が記録されている)この記録に基づいて、被収容物が損傷したり変質したりしている可能性を検討することができ、この結果、被収容物が損傷したり変質したりしている可能性が高いと判断された場合、この被収容物を使用することを中止することで、重大な事故が起こる可能性を低くすることができる。
また、前記温度センサ13を被収容物の近傍に設置することができるので、前記断熱容器2内の温度にムラがあったとしても、被収容物の温度をほぼ正確に計測することができる。更に、前記温度センサ13を複数設けることで、前記断熱容器2内の温度にムラがあったとしても、各被収容物の温度を個別にほぼ正確に計測することができる。
また、前記記録手段15を前記機器収納部5に対して着脱自在としたので、前記断熱容器2内に温度を監視する必要のない被収容物を収容して運ぶ場合、前記記録手段15を取り外すことで、前記保存庫1を軽量にすることができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載した事項の範囲内で種々の変形実施をすることができる。例えば、上記実施例では、前記温度設定手段としての温度設定スイッチを前記機器収容部に組み込んだものを例にあげて説明したが、家電製品において多用されているリモートスイッチを用いて遠隔操作で設定温度を変更できるようにすることもできる。また、上記実施例では、断熱容器内の温度を5分間隔で記録しているが、これ以外の時間間隔で記録してもよい。また、上記実施例において、前記記録手段は前記機器収納部に対して着脱自在とされているが、前記保存庫における機器収納部以外の部位に前記記録手段を設けてもよい。更に、上記実施例において、接続部たる前記コネクタは前記記録手段に設けられているが、前記機器収容部あるいは断熱容器に前記コネクタを設けてもよい。この場合、前記コネクタは、前記制御回路に対して接続されることになる。
本発明に係る保存庫の外観を示す斜視図である。 本発明に係る保存庫の構成を示すブロック図である。 本発明に係る保存庫で用いられるスターリング冷凍機の原理を示す模式図である。 本発明に係る保存庫の縦断面図である。 本発明に係る保存庫の縦断面図である。 本発明に係る保存庫の記録手段を取り外した状態を示す斜視図である。 本発明に係る保存庫の温度の時系列的な変化を記録する形態を示す説明図である。
符号の説明
1 保存庫
2 断熱容器
3 スターリング冷凍機
4 温度表示手段
13 温度センサ(温度検知手段)
14 温度設定スイッチ(温度設定手段)
15 記録手段
16 コネクタ(接続部)
17 制御回路

Claims (8)

  1. 断熱容器と、この断熱容器の内部を冷却するスターリング冷凍機と、前記断熱容器の内部の温度を設定する温度設定手段と、前記断熱容器の内部の温度を検知する温度検知手段と、前記断熱容器の内部の温度を表示する温度表示手段と、前記断熱容器の内部の温度を時系列的に記録する記録手段と、前記温度設定手段および温度検知手段からの入力により前記スターリング冷凍機と温度表示手段と記録手段を制御する制御回路とを有することを特徴とする保存庫。
  2. 前記記録手段が記録紙に印刷するプリンタであることを特徴とする請求項1記載の保存庫。
  3. 前記記録手段が電子的、磁気的あるいは光学的に記録する記憶媒体であることを特徴とする請求項1記載の保存庫。
  4. 前記記録手段と外部のコンピュータとを接続するための接続部が設けられていることを特徴とする請求項3記載の保存庫。
  5. 前記記録手段が着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1記載の保存庫。
  6. 前記温度検知手段が前記断熱容器内における任意の位置に設置可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の保存庫。
  7. 前記温度検知手段が前記断熱容器内に収容される被収容物に近接した位置に設置可能に設けられていることを特徴とする請求項6記載の保存庫。
  8. 前記温度検知手段が前記断熱容器内に複数設けられていることを特徴とする請求項1、6または7記載の保存庫。
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