JP2006009923A - ベルトテンショナー - Google Patents

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Abstract

【課題】アーム部材の基端の内軸の貫通部分からの水の侵入を防止する。
【解決手段】ベルトテンショナー10は、エンジン12への固定面と反対側に内軸14cが突設されたベース部材14と、内軸の先端が挿通可能な貫通孔17gとそれと同軸であって内軸に嵌入可能な筒部17aとが基端に設けられ先端にテンションプーリ24が枢支されたアーム部材17と、貫通孔から突出する内軸の先端に取付けられる金属プレート21と、金属プレートとアーム部材との間に介装された樹脂パッキング22と、弾発力でテンションプーリを無端ベルト11に圧接させるようにアーム部材を回転付勢するコイルスプリング16とを備える。アーム部材の金属プレート側にリング状の凸条17hが貫通孔を囲むように形成され、凸条の内側に樹脂パッキングが設けられ、金属プレートは凸条の先端を被覆しかつ凸条の外周面を覆うように全外周がアーム部材方向に折り曲げられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エンジンに設けられて動力伝達用の無端ベルトにテンションプーリを弾発的に当接させて所定の張力を与えるためのオートテンショナーに関するものである。
図3に示すように、従来のオートテンショナー1は、先端にテンションプーリ2を有するアーム部材3の基端を枢支手段4を介してベース部材6に揺動自在に枢支し、この枢支手段4の外周に配置したスプリング7でアーム部材3を回転方向に付勢することにより、テンションプーリ2を無端ベルト1aに圧接して所定の張力を与えるようになっている。
しかしながら、上記従来のオートテンショナー1では、ベース部材6及びアーム部材3にそれぞれ設けた円筒状の周壁6a,3aの開口部が所定の隙間を介して対向しているので、その隙間から水や泥が入り込むことが避けられず、枢支手段4やスプリング7のスムーズな作動が阻害される等の問題があった。
この点を解消するために、ベース部材6に設けた円筒状の固定側周壁6aの開口部とアーム部材3に設けた円筒状の可動側周壁3aの開口部とを互いに対向させるとともに、その可動側周壁3aの開口部の直径を拡大して隆起部3bを形成し、この隆起部3bで固定側周壁6aの開口部の半径方向外側を覆うこと(例えば、特許文献1参照。)が提案されており、図示しないが更にこの隙間に防水スリーブを介装させる技術(例えば、特許文献2参照。)も提案されている。このようなオートテンショナー1では、隆起部3bで固定側周壁6aの開口部の半径方向外側を覆うことにより、水の侵入経路を複雑にしてその隙間から水や泥が入り込むことを避けることができるとしており、この隙間に防水スリーブを介装させた場合には、そのスリーブによりその隙間から水や泥が入り込むことを避けることができるとしている。
特開平9−42392号公報(特許請求の範囲) 実開平5−32856号公報(実用新案登録請求の範囲)
しかし、従来のベルトテンショナー1における枢支手段4は、ベース部材6のエンジン1bへの固定面と反対側に突設した内軸6bにアーム部材3の基端を挿通させ、貫通した内軸6bの先端に金属プレート8を取付けてアーム部材3の内軸6bからの離脱を防止するとともに、その金属プレート8とアーム部材3との間に金属プレート8と同一か或いはそれよりも大きな外径を有する樹脂パッキング9を介装させるような構造になっている。このため、ベース部材6及びアーム部材3にそれぞれ設けた円筒状の周壁6a,3aの開口部間における隙間から水や泥が入り込むことを避けることができたとしても、この枢支手段4におけるアーム部材3の基端の内軸6bの貫通部分から水が侵入、即ち、このベルトテンショナー1に雨水等が降りかかると樹脂パッキング9に直接その水が降りかかり、アーム部材3がベース部材6に対して揺動すると、その振動により樹脂パッキング9と金属プレート8との間、又は樹脂パッキング9とアーム部材3との間に隙間が生じ、その隙間から樹脂パッキング9に直接降りかかった水等が内部に侵入して枢支手段4やスプリング7のスムーズな作動が困難になるという不具合が残存していた。
本発明の目的は、アーム部材の基端の内軸の貫通部分からの水の侵入を防止することができるベルトテンショナーを提供することにある。
請求項1に係る発明は、図1に示すように、エンジン12に固定されエンジン12への固定面と反対側に内軸14cが突設されたベース部材14と、内軸14cの先端が挿通可能な貫通孔17gと貫通孔17gと同軸であって内軸14cに嵌入可能な筒部17aとが基端に設けられ先端にテンションプーリ24が枢支されたアーム部材17と、貫通孔17gから突出する内軸14cの先端に取付けられアーム部材17の内軸14cからの離脱を防止する金属プレート21と、金属プレート21とアーム部材17との間に介装された樹脂パッキング22と、筒部17aの外側に設けられて両端部がベース部材14及びアーム部材17にそれぞれ係止され弾発力でテンションプーリ24を無端ベルト11に圧接させるようにベース部材14に対してアーム部材17を回転付勢するコイルスプリング16とを備えたベルトテンショナーの改良である。
その特徴ある構成は、アーム部材17の金属プレート21側にリング状の凸条17hが貫通孔17gを囲むように形成され、凸条17hの内側に樹脂パッキング22が設けられ、金属プレート21は凸条17hの先端を被覆しかつ凸条17hの外周面を覆うように全外周がアーム部材17方向に折り曲げられたところにある。
この請求項1に記載されたベルトテンショナーでは、アーム部材17に形成された凸条17hの先端を金属プレート21が被覆しかつ凸条17hの外周面を覆うように金属プレート21の全外周がアーム部材17方向に折り曲げらたので、金属プレート21の周囲から凸条17hの内部に至るまでの経路が複雑になり、金属プレート21の周囲とアーム部材17との間の隙間に水や泥がかかっても、その水や泥が金属プレート21の周囲から凸条17hを越えてその凸条17hの内側にまで侵入することを有効に防止する。また、仮に凸条17hの内側にまで水等が侵入したとしても、凸条17hの内側に樹脂パッキング22を設けたので、その水等はその樹脂パッキング22により遮られてスプリング16を収納する空間に入り込むことを有効に防止することができる。従って、オートテンショナー10に水や泥が掛ったとしても、アーム部材17の基端の内軸14cの貫通部分からの水の侵入を防止することができ、水等の侵入に起因するスプリング16やアーム部材17がベース部材14に固着してしまうような作動不良を有効に回避することができる。
本発明のベルトテンショナーでは、アーム部材の金属プレート側にリング状の凸条を貫通孔を囲むように形成し、金属プレートが凸条の先端を被覆しかつ凸条の外周面を覆うように全外周をアーム部材方向に折り曲げたので、金属プレートの周囲から凸条の内部に至るまでの経路が複雑になり、金属プレートの周囲とアーム部材との間の隙間に水や泥がかかっても、その水や泥が金属プレートの周囲から凸条を越えてその凸条の内側にまで侵入することを有効に防止することができる。また、仮に凸条の内側にまで水等が侵入したとしても、凸条の内側に樹脂パッキングを設けたので、その水等はその樹脂パッキングにより遮られてスプリングを収納する空間に入り込むことが防止される。従って、オートテンショナーに水や泥が掛ったとしても、アーム部材の基端の内軸の貫通部分からの水の侵入は有効に防止でき、その侵入に起因する作動不良を有効に回避することができる。
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、エンジン12の前部には、図示しないクランクシャフトの駆動力を発電機等の補器類に伝達する無端ベルト11と、その無端ベルト11の張力を調整するためのオートテンショナー10が設けられる。オートテンショナー10はエンジン12にボルト13で固定されるベース部材14を備える。ベース部材14はエンジン12の取付座12aに当接する概円板状の取付部14aと、この取付部14aの周囲から立ち上がる円筒状の固定側周壁14bと、この固定側周壁14bの軸線に沿うように取付部14aの中央からエンジン12への固定面と反対側に突設された内軸14cとを備える。この内軸14cにはボルト13を挿通するボルト孔14dが軸心に沿って形成される。また固定側周壁14bの取付部14a側内周には、後述するコイル状の捩じりスプリング16の一端が係合する図示しない係止部が凹設される。
ベース部材14にはアーム部材17の基端が揺動自在に枢支される。このアーム部材17の基端にはベース部材14の内軸14cの先端が挿通可能な貫通孔17gと、この貫通孔17gと同軸であって内軸14cの外周に回転自在に嵌合する筒部17aと、この筒部17aの外周を同軸に囲繞する有底円筒状の可動側周壁17bと、この可動側周壁17bから半径方向外側に延びるアーム本体17cと、このアーム本体17cの半径方向外端に突設されたプーリ軸17dとを備える。可動側周壁17bは固定側周壁14bと同一の直径を有して同軸に配置されるものであり、その固定側周壁14bに対向する開口部の周縁には直径が拡大した隆起部17eが形成される。
図1に示すように、可動側周壁17bの隆起部17eは固定側周壁14bの開口部の半径方向外側を覆うように配置され、側面視で可動側周壁17bの開口端と固定側周壁14bの開口端とがオーバーラップするように構成される。そして、可動側周壁17bの開口端と固定側周壁14bの開口端と間の隙間には円周上の横断面がクランク状の防水スリーブ15が装着される。また、図示しないが、可動側周壁17bの内周面には半径方向外側に膨出して軸方向に延びる溝状の係止部が形成され、この図示しない係止部にスプリング16の他端 が係合するように構成される。
ベース部材14の内軸14cにアーム部材17の筒部17aを枢支する際に、内軸14cの外周面と筒部17aの内周面との間に円筒状に形成された合成樹脂製の内側制動体18が介装されるとともに、筒部17aの外周面に概略円筒状に形成された合成樹脂製の外側制動体19が嵌合する。外側制動体19の外周と固定側周壁14b及び可動側周壁17の内周との間に画成された空間にスプリング16が収納され、その一端が固定側周壁14bの図示しない係止部に係合するとともに、その他端が可動側周壁17bの図示しない係止部に係合する。このとき、スプリング16の一端が外側制動体19の下端に形成したフランジ部19aを取付部14aに押圧することにより、ベース部材14に対する外側制動体19の回転を規制するように構成される。
アーム部材17のプーリ軸17dにはボールベアリング23を介してテンションプーリ24が回転自在に支持され、ボールベアリング23への塵の付着を防止すべく防塵ワッシャ26を介してボルト27で固定される。プーリ軸17dの基端にはボールベアリング23への塵の付着を防止する防塵板17fが一体的に形成され、この防塵板17fの外周はテンションプーリ24の半径方向中間の凹部に遊嵌するように構成される。
アーム部材17の貫通孔17gから突出する内軸14cの上端には、金属プレート21及び樹脂パッキング22が重ね合わされてカシメ14eにより固定される。この状態でスプリング16に所定の圧縮荷重と所定の捩じり荷重とが与えられる。このアーム部材17の金属プレート21側には、リング状の凸条17hが貫通孔17gを囲むように形成される。この凸条17hの内側に樹脂パッキング22が設けられ、金属プレート21はこの凸条17hの先端を被覆しかつ凸条17hの外周面を覆うように全外周がアーム部材17方向に折り曲げられる。
次に、このように構成されたベルトテンショナーの作用について説明する。
オートテンショナー10のアーム部材17はベース部材14に対して揺動可能であり、エンジンの運転中に無端ベルト11の張力が変動すると、スプリング16の弾発力によりそれに追随してアーム部材17が揺動し、無端ベルト11の張力を常に一定に維持することができる。そして、アーム部材17が揺動することに起因するいわゆるアーム部材17の踊り現象は、内側制動体18及び外側制動体19と可動側周壁17bとの間に作用する摩擦力により規制される。
車両の走行に伴ってオートテンショナー10の可動側周壁17b及び固定側周壁13bに水や泥が掛った場合、可動側周壁17bに形成された隆起部17eが、固定側周壁14bの開口部の半径方向外側を覆い、かつその隙間には防水スリーブ15が介装されているので、その水や泥は隆起部17e及び防水スリーブ15に遮られてスプリング16を収納する空間に入り込むことを有効に防止する。
また、車両の走行に伴ってオートテンショナー10のアーム部材17の基端の内軸14cの貫通部分に水や泥が掛った場合、その内軸14cの先端にカシメられた金属プレート21がその水や泥をはじく。また、金属プレート21の周囲とアーム部材17との間の隙間に水や泥がかかっても、アーム部材17に形成された凸条17hの先端を金属プレート21が被覆しかつ凸条17hの外周面を覆うように金属プレート21の全外周がアーム部材17方向に折り曲げられたので、金属プレート21の周囲から凸条17hの内部に至るまでの経路が複雑になり、その水や泥が金属プレート21の周囲から凸条17hを越えてその凸条17hの内側にまで侵入することを有効に防止することができる。また、凸条17hの内側に樹脂パッキング22を設けているので、仮に凸条17hの内側にまで水等が侵入したとしても、その水等はその樹脂パッキング22により遮られてスプリング16を収納する空間に入り込むことを防止することができる。
従って、オートテンショナー10に水や泥が掛ったとしても、その水や泥がスプリング16を収納する空間にまで入り込むことはなく、水等の侵入に起因するスプリング16やアーム部材17がベース部材14に固着してしまうような作動不良を有効に回避することができる。
本発明実施形態のオートテンショナーの構造を示す図2のA−A線断面図である。 そのオートテンショナーの平面図である。 従来のオートテンショナーの構造を示す図1に対応する断面図である。
符号の説明
10 ベルトテンショナー
11 無端ベルト
12 エンジン
14 ベース部材
14c 内軸
16 コイルスプリング
17 アーム部材
17a 筒部
17g 貫通孔
17h 凸条
21 金属プレート
22 樹脂パッキング
24 テンションプーリ

Claims (1)

  1. エンジン(12)に固定され前記エンジン(12)への固定面と反対側に内軸(14c)が突設されたベース部材(14)と、前記内軸(14c)の先端が挿通可能な貫通孔(17g)と前記貫通孔(17g)と同軸であって前記内軸(14c)に嵌入可能な筒部(17a)とが基端に設けられ先端にテンションプーリ(24)が枢支されたアーム部材(17)と、前記貫通孔(17g)から突出する前記内軸(14c)の先端に取付けられ前記アーム部材(17)の前記内軸(14c)からの離脱を防止する金属プレート(21)と、前記金属プレート(21)と前記アーム部材(17)との間に介装された樹脂パッキング(22)と、前記筒部(17a)の外側に設けられて両端部が前記ベース部材(14)及び前記アーム部材(17)にそれぞれ係止され弾発力で前記テンションプーリ(24)を無端ベルト(11)に圧接させるように前記ベース部材(14)に対して前記アーム部材(17)を回転付勢するコイルスプリング(16)とを備えたベルトテンショナーにおいて、
    前記アーム部材(17)の前記金属プレート(21)側にリング状の凸条(17h)が前記貫通孔(17g)を囲むように形成され、
    前記凸条(17h)の内側に前記樹脂パッキング(22)が設けられ、
    前記金属プレート(21)は前記凸条(17h)の先端を被覆しかつ前記凸条(17h)の外周面を覆うように全外周が前記アーム部材(17)方向に折り曲げられた
    ことを特徴とするベルトテンショナー。


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