JP2006009704A - 筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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浩見 吉岡
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Toshiki Matsue
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Abstract

【課題】 空燃比のリーンな成層燃焼モードとリッチな均一燃焼モードとに切替えて運転する筒内噴射式内燃機関において、その2つの燃焼モードの切替え時にエンジントルクを正確に合わせて、トルクショックを解消する。
【解決手段】 例えば成層燃焼モードから均一燃焼モードへの切替えの際に、燃料噴射モードの切替えに先立ってスロットル弁20を所定量、閉作動させる(時刻t2〜t3)。これに伴うポンピングロスの増大分を吸気圧センサ21からの信号等に基づいて検出するとともに、空燃比A/Fのリッチ化による燃焼効率等の低下分を検出し、それらによるエンジントルクの低下を相殺するように燃料噴射量を増量補正する(t2〜t4)。そして、燃料噴射モードを圧縮行程噴射から吸気行程噴射に切替えるとともに、これに伴う空燃比のジャンプに対応して点火リタードを行い(t4〜)、これにより、噴射モード切替直後のエンジントルクの急増を打ち消す。
【選択図】 図6

Description

本発明は、空燃比のリーンな成層燃焼状態とリッチな均一燃焼状態とに切替えて運転される筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置に関し、特にそれら運転状態の切替えの際に発生するトルクショックを抑えるための補正制御の技術分野に属する。
従来より一般に、気筒内の燃焼室に燃料を直接、噴射して燃焼させるようにした筒内噴射式のガソリンエンジン(内燃機関)において、比較的軽負荷の運転状態では、気筒の圧縮行程で噴射した燃料の混合気を点火プラグの周りに偏在させて着火、燃焼させることにより(成層燃焼)、その燃料に対する空気量の比率が非常に大きな(例えば空燃比A/Fが30以上)リーン状態で運転するようにしており、これによりポンピングロスや熱損失を大幅に低減して機関効率を高めることができる。
一方、比較的負荷の大きな運転状態では気筒の吸気行程で燃料を噴射し、これを吸気と十分に混合して理論空燃比乃至それよりもリッチな均一混合気を形成した上で燃焼させる(均一燃焼)。これは、仮に前記成層燃焼状態のままで、負荷の上昇に応じて燃料噴射量を増やしていくと、燃焼室全体の空燃比は未だ理論空燃比よりもリーンな状態であっても、点火プラグ周りに偏在する混合気は理論空燃比よりもリッチな過濃状態になってしまい、燃焼性が悪化するとともに失火を招く虞れもあるからである(これを成層燃焼限界という)。
ところで、そのように運転中に燃焼状態を切替える結果として、従来の筒内噴射式エンジンでは不快なトルクショックが発生する虞れがあった。すなわち、前記の如く空燃比のリーンな成層燃焼状態ではスロットル弁を大きく開いて、エンジンの気筒に多量の空気を吸入するようにしており、一方、均一燃焼状態では空燃比は理論空燃比近傍乃至それよりもリッチにするために、スロットル弁の開度は相対的には小さくなる。
このため、例えばエンジンを前記成層燃焼状態から均一燃焼状態に切替えるときには、まずスロットル弁を閉じて吸気量を減少させ、このことによって空燃比が成層燃焼限界付近に達する頃に燃料噴射モードを圧縮行程噴射から吸気行程噴射へ切替えることになるが、このときの空燃比は上述したように依然として理論空燃比よりもリーンな状態であり、その分、空気が多いにも拘わらず一足飛びに理論空燃比へ切替えることから(以下、空燃比のジャンプともいう)、エンジントルクが急増して、ショックが発生するものである。
このトルクショックの問題に対して、例えば特許文献1に開示される筒内噴射式内燃機関の点火時期制御装置では、前記のように吸気行程噴射へ切替えるのと略同時に点火時期を遅角側に補正して(点火リタード)、前記空燃比のジャンプに起因するトルクの増大を相殺するようにしており、これによりショックを或る程度、軽減できるものである。
特許第3211677号公報
しかしながら、前記従来例のように燃料噴射モードの切替え直後に点火リタードを行なって、空燃比のジャンプに起因するエンジントルクの急増を相殺するようにしていても、それだけでは不十分であり、未だトルクショックが残ってしまうことが分かった。
その理由は、以下のように考えられる。すなわち、一般的に、成層燃焼運転のための基本的な燃料制御ロジックにおいては、エンジンの負荷や回転数により規定される定常的な運転状態に対応して、そのときに必要とされるトルク(要求トルク)が得られるように燃料噴射量を設定するようにしている。この際、当然ながら、その定常的な運転状態におけるポンピングロスや空燃比の影響は織り込まれている。
しかし、燃焼状態を成層燃焼から均一燃焼に切替えるときには、エンジンの負荷や回転数は殆ど変化しないままでスロットル弁を急速に閉じることになり、これによりポンピングロスが急増するとともに、吸気量の急減に伴い空燃比がリッチ側に急変して、エンジントルクが低下する。そして、このように運転状態が殆ど変化しないままでポンピングロスの大きさや空燃比が急変することは、前記基本的な制御ロジックにおいては予定されていない。
つまり、従来の筒内噴射式エンジンにおいては、運転中に燃焼状態を切替えるときに、そのためのスロットル弁の作動によって燃料制御ロジックには予定されていないトルクの変化が発生しており、例えば成層燃焼から均一燃焼への切替えの際には燃料噴射モードを吸気行程噴射に切替える前にエンジントルクが予定よりも低下してしまうことから、その予定のトルクに合わせて点火リタードを行っても、切替えの前後でエンジントルクを正確に合わせることはできなかったのである。
前記の如き知見に基づいて、本発明は、空燃比のリーンな成層燃焼状態とリッチな均一燃焼状態との間でエンジンの燃焼状態を切替えるときのエンジントルクを正確に合わせて、トルクショックを解消することを目的とするものである。
前記目的の達成のために、本発明は、燃焼状態の切替えの際に発生する過渡的なポンピングロスの変化を検出し、これによるエンジントルクの変動を打ち消すように燃料噴射量を補正するようにした。
具体的に、請求項1の発明では、内燃機関の運転状態に応じて、少なくとも気筒の圧縮行程で燃料を噴射して成層燃焼状態とする圧縮行程噴射モード、及び、吸気行程で燃料を噴射して均一燃焼状態とする吸気行程噴射モードの切替え制御を行う切替制御手段と、前記圧縮行程噴射モードにおいて内燃機関への要求トルクに基づいて目標燃料噴射量を設定する目標噴射量設定手段と、を備えた筒内噴射式内燃機関の燃料制御装置を対象として、 前記内燃機関は、前記切替制御手段による圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードへの切替え制御の際に、これに伴う目標空燃比のリッチ側への変化に対応して、噴射モードの切替えに先立って吸気絞り弁を閉じ側に作動させる吸気制御手段を備えており、
前記吸気絞り弁の閉作動によって増大するポンピングロスに関する所定のパラメータ値を検出するパラメータ値検出手段と、
前記検出されたパラメータ値に基づいて、ポンピングロスの増大分に相当する機関トルクの低下量を推定演算するポンピングロストルク推定手段と、をさらに備え、
そして、前記目標噴射量設定手段は、前記圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードへの切替えの際に、前記ポンピングロストルク推定手段によって推定された機関トルクの低下量に相当する燃料量を目標燃料噴射量に追加する燃料増量補正部を有する、ものとする。
前記の構成により、筒内噴射式内燃機関(以下、単にエンジンともいう)の運転状態が変化し、これに応じて成層燃焼状態から均一燃焼状態へ切替えるべく、切替制御手段によって圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードへの切替え制御が行われるときには、この噴射モードの切替えに先立って、エンジンの吸気絞り弁が吸気制御手段により閉じ側に作動制御される。
その吸気絞り弁の閉作動によってポンピングロスが増大するときに、これに関する所定のパラメータ値がパラメータ値検出手段により検出され、この検出されたパラメータ値に基づいて、ポンピングロスの増大分に相当するエンジントルクの低下量が、ポンピングロストルク推定手段によって推定演算される。
こうして推定されたエンジントルクの低下量に相当する燃料量が燃料増量補正部によって追加されて、目標噴射量設定手段により目標燃料噴射量が増量設定されることにより、前記スロットル弁の閉作動によるポンピングロスの増大分が打ち消され、これによるエンジントルクの低下が相殺される。これにより、燃料噴射モード切替えの前後におけるエンジントルクの変動が抑えられて、トルクショックが軽減される。
前記燃料噴射制御装置のより具体的な構成として、エンジンの運転状態に応じて、吸気行程噴射モードに対応する運転状態では目標空燃比を理論空燃比乃至それよりも小さなリッチ側の値に設定し、一方、圧縮行程噴射モードに対応する運転状態では目標空燃比を理論空燃比よりも大きなリーン側の値に設定するとともに、切替制御手段による前記圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードへの切替え制御の際には、この噴射モードの切替えに先立って目標空燃比を前記リッチ側の値に切替える目標空燃比設定手段を備え、
そして、前記吸気制御手段は、前記噴射モードの切替え制御の際に、前記目標空燃比設定手段により設定された目標空燃比と目標噴射量設定手段により設定された目標燃料噴射量とに基づいて、吸気絞り弁の開度を制御するものとする(請求項2の発明)。
この構成では、エンジンの燃焼状態を成層燃焼から均一燃焼に切替えるときには、切替制御手段による燃料噴射モードの切替えに先立って(即ち成層燃焼状態のままで)、目標空燃比設定手段により目標空燃比が、前記成層燃焼状態に対応するリーン側の値から前記均一燃焼状態に対応するリッチ側の値に切替えられる。このとき、エンジンへの要求トルクの大きさは殆ど変わらないので、目標噴射量設定手段により設定される目標燃料噴射量も殆ど変わらず、従って、目標空燃比のリッチ側への変化に対応して、吸気制御手段により吸気絞り弁が閉じ側に作動されることになる。
また、前記燃料噴射制御装置のより具体的な構成として、前記パラメータ値検出手段は、少なくとも、吸気絞り弁よりも吸気下流側に配設されたセンサからの信号に基づいて、ポンピングロスに関するパラメータ値を検出するものとするのが好ましい(請求項3の発明)。そのセンサとしては例えば吸気圧センサなどが好適である。
すなわち、前記の如く燃焼状態の切替えの際のポンピングロスの増大を検出するために、例えば閉作動されるスロットル弁の開度に基づいてポンピングロスを求めることも考えられるが、吸気の輸送遅れがあるので高精度の検出は難しいという問題があり、仮に吸気の輸送モデルを用いてポンピングロスを正確に計算しようとすると、計算時間が長くなってしまい制御の応答遅れが問題になる。
これに対し、吸気絞り弁よりも吸気下流側に配設した例えば吸気圧センサなどからの信号に基づいて、吸気管負圧などのパラメータ値を検出するようにすれば、この検出値に基づいてポンピングロスを正確に求めることができ、しかも、複雑な計算は不要で、制御の応答遅れを招くこともない。従って、前記請求項1の発明の作用を十分に得ることができる。
さらに、前記構成の燃料噴射制御装置において、前記切替制御手段による圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードへの切替え制御の際に、吸気制御手段による吸気絞り弁の閉じ側への制御に伴いリッチ側に変化する実空燃比を推定演算する実空燃比推定手段を備え、
目標噴射量設定手段の燃料増量補正部は、前記推定された実空燃比を加味して、空燃比が相対的にリッチになるほど燃料の追加量を多くするように構成するのが好ましい(請求項4の発明)。
すなわち、上述したように、エンジン燃焼状態の切替えに際して成層燃焼状態のままスロットル弁を閉じていくと、ポンピングロスの増大とともに、吸気量の減少によって空燃比がリッチ側に変化する。この空燃比のリッチ化に伴い冷却損失が大きくなるとともに、空燃比が成層燃焼限界に近づくに従って燃焼効率も低下し、このことによってもエンジントルクが低下する。
つまり、燃焼状態切替えのためのスロットル弁の作動に起因して空燃比がリッチ化することによっても、上述したポンピングロスの変化と同様に基本的な燃料制御ロジックには予定されていないトルクの変化が発生することになる。
そこで、前記請求項4の発明では、エンジン燃焼状態の切替えに際して、前記のように吸気絞り弁の閉作動によってリッチ側に変化する実空燃比を実空燃比推定手段によって推定演算し、こうして求めた実空燃比を加味して、目標噴射量設定手段の燃料増量補正部により、空燃比が相対的にリッチなほど燃料の追加量が多くなるように設定する。これにより、ポンピングロスの増大分と同様に、空燃比のリッチ化に起因するエンジントルクの低下も相殺することができるので、燃料噴射モード切替えの前後におけるエンジントルクの変動が殆どなくなり、トルクショックを解消することができる。
以上のように、本発明に係る筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置によると、従来の筒内噴射式エンジンにおいて運転中に燃焼状態を切替えるときに、そのためのスロットル弁の作動に起因して燃料制御ロジックに予定されていないトルクの変化が発生していることに着目し、そのスロットル弁の作動に伴うポンピングロスや空燃比の変化を検出して、これに応じて燃料噴射量を補正することにより、前記予定外のトルクの変化を殆どなくして、トルクショックを解消することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(エンジンの概略構成)
図1は、本発明の実施形態に係る燃料噴射制御装置を備えた筒内噴射式のガソリンエンジン1(内燃機関)の概略構成を模式的に示し、この実施形態のエンジン1は、図には1つのみ示すが、複数のシリンダ(気筒)2,2,…が直列に配置されたものである。図示の如く、気筒2の上端はシリンダブロック3の上端面に開口していて、そこに載置されたシリンダヘッド4の下面により閉塞されている。該気筒2内にはピストン5が往復動可能に嵌挿されていて、このピストン5の上面とシリンダヘッド4の下面との間に燃焼室6が区画されている。
一方、ピストン5の下方のクランクケース内にはクランク軸7が配設され、コネクティングロッドによって各気筒2のピストン5とそれぞれ連結されている。また、クランクケース内には、クランク軸7の一端側において、その回転角度を検出するためのクランク角センサ8が配設されている。
前記シリンダヘッド4には、各気筒2毎にその軸心に沿うようにして点火プラグ9が配設されている。この点火プラグ9の先端の電極は燃焼室6に臨むように配置され、一方、点火プラグ9の基端部は点火回路10に接続されている。この点火回路10にはイグナイタ及びイグニッションコイルが含まれており、後述のECU30からの制御信号を受けて各気筒2毎に所定のタイミングで点火プラグ9に通電するようになっている。
また、各気筒2の周縁部には燃料噴射弁12が配設されていて、その先端の噴口が燃焼室6を臨む一方、燃料噴射弁12の基端部は図示しない燃料供給系に接続されている。そして、ECU30からの制御信号を受けて燃料噴射弁12が気筒2の圧縮行程の所定のタイミングで噴射作動すると、その噴口から噴出した燃料噴霧が点火プラグ9周りに層状に分布した混合気の層を形成し、一方、燃料噴射弁12が気筒2の吸気行程で噴射作動すると、燃料噴霧は燃焼室6に拡散して均一な混合気を形成するようになっている。
さらに、前記シリンダヘッド4には、各気筒2毎の燃焼室6に臨んで開口するように吸気ポート13及び排気ポート14がそれぞれ形成され、その各ポート開口部にはそれぞれ図示しないカム軸によって開閉されるように吸気弁15及び排気弁16が配設されている。そのカム軸は吸気側及び排気側に1本ずつ設けられており、共通のタイミングチェーンによってクランク軸7と同期して回転されるようになっている。
前記シリンダヘッド4の吸気側(図の右側)には、吸気ポート13に連通するようにして吸気通路17が接続されている。この吸気通路17は、各気筒2の燃焼室6に対してエアクリーナ(図示せず)で濾過した吸気を供給するためのものであり、サージタンク18よりも上流の共通通路には、電動アクチュエータ19などにより駆動されて吸気を絞るスロットル弁20が配設される一方、サージタンク18よりも下流側は、気筒2毎の独立通路に分かれた吸気マニホルドとされている。この吸気マニホルドには、吸気の圧力状態(マニホルド負圧)を検出するための吸気圧センサ21が配設されている。
また、シリンダヘッド4の排気側(図の左側)には、排気ポート14に連通するようにして、各気筒2の燃焼室6から既燃ガスを排出するための排気通路22が接続されている。その排気通路22の最上流側は各気筒2毎の独立通路からなる排気マニホルドによって構成され、この排気マニホルドよりも下流の排気通路22には、図示しないが、排気中のHC,CO、NOxなどを浄化するための触媒が介設されている。
前記排気マニホルドには、排気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ23が配設されるとともに、その上流側の排気通路22から分岐するようにして、排気の一部を吸気系に環流させるためのEGR通路24の上流端が接続されている。このEGR通路24の下流端は吸気通路17の例えばサージタンク18などに接続されていて、その近傍には排気の環流量を調節するためのEGR弁25が配設されている。
前記エンジン1の運転制御は、エンジンコントロールユニット30(以下、ECUという)によって行われる。すなわち、ECU30は、少なくとも前記のクランク角センサ8、吸気圧センサ21、酸素濃度センサ23からの信号と、スロットル弁20よりも上流の吸気通路17に配設された吸気流量センサ27からの信号と、エンジン1の冷却水温を検出する水温センサ28からの信号とを入力するとともに、車両のアクセルペダルの踏み操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ31からの信号と、車両の走行速度を検出する車速センサ32からの信号とを入力し、これらの入力値に応じて、所定の制御プログラムに従って前記点火回路10、燃料噴射弁12、スロットル弁20、EGR弁25などを制御する。
(エンジン制御の概要)
具体的に、この実施形態に係るエンジン1は、温間であればその運転状態に応じて燃料の噴射形態が大きく2つに切替えられて、相互に異なる2つの燃焼状態で運転されるようになっている。すなわち、まず図2に模式的に示すように、エンジン1の負荷及び回転数によって規定される運転領域が、相対的に低負荷低回転側の成層燃焼領域と高負荷高回転側の均一燃焼領域とに2分されている。
そして、前記成層燃焼領域では、燃料噴射弁12により気筒2の圧縮行程で燃料を噴射させて(圧縮行程噴射モード)点火プラグ9の周りに層状に分布する混合気に着火して、燃焼させる(以下、この運転モードを成層燃焼モードという)。このときには、スロットル弁20を大きく開いて気筒2内に多量の空気を取り入れるようにしており、このことで、気筒2内燃焼室6の平均的な空燃比は非常にリーンな状態(例えばA/F>30くらい)になる。
一方、前記均一燃焼領域では、燃料噴射弁12により気筒2の吸気行程で燃料を噴射させ(吸気行程噴射モード)、この燃料が拡散しながら吸気と混合されて、燃焼室6に概ね均一な混合気が形成された後に着火して、燃焼させる(以下、この運転モードを均一燃焼モードという)。このときには、全負荷に近い高負荷状態を除いて、空燃比が略理論空燃比(A/F=14.7)になるように燃料噴射量やスロットル開度等を制御する。また、全負荷に近い高負荷状態では、空燃比は理論空燃比よりもリッチになるように制御する。
尚、図には特に示さないが、前記成層燃焼領域を含むエンジン1の低負荷及び中負荷の運転領域では、EGR弁25を開いて、EGR通路24により排気の一部を吸気通路17に還流させるようにしており、これにより燃焼室6の熱容量を増大させて、燃焼に伴うNOxの生成を抑えることができる。
より具体的に、図3は前記ECU30における燃料噴射弁12及びスロットル弁20の基本的な制御ロジックを示す機能ブロック図であり、この実施形態では図示の如く、まずアクセル開度及び車速に基づいてエンジン1への要求トルクTrを求める。これは、予めアクセル開度及び車速に対応付けて要求トルクTrを設定したマップから読み込むようにしてもよいし、予め設定した計算式により求めるようにしてもよい。そうして求めた要求トルクTrに対して要求ISCトルクを加算して、正味の目標負荷Peを求める。
尚、前記要求ISCトルクというのは、エンジン1のアイドル運転時にアクセルペダルが全閉とされていても燃料供給が行われるようにするための制御上のパラメータであり、アイドル運転時にのみ所定値が入力され、それ以外は0とされる。これにより、アイドル運転時にアクセル開度及び車速が0であれば、前記正味の目標負荷Peは要求ISCトルクに相当するものとなり、これに基づいてアイドル運転に必要な燃料が供給されることになる。
次に、ECU30は、前記のようにして求めた正味の目標負荷Peにエンジン1の機械損失やポンピングロスによる損失分の推定値Pfを加えて、以下の制御に用いられる目標負荷Piを決定する。ここで、前記機械損失及びポンピングロスの大きさは、それぞれ、図4に示すように予め設定されたテーブルから読み込むようにしており、図の例では、機械損失の大きさはエンジン1の運転状態によらず、エンジン水温に対応付けて設定されており(同図(a))、一方、エンジン1の定常的な運転状態に対応するポンピングロスは、例えば吸気の流量及びエンジン回転数から算出される実吸気充填効率(実ce)に対応付けて設定されている(同図(b))。
そして、前記制御上の目標負荷Piとエンジン回転数とに基づいて、ECU30は、前記図2に示したマップからエンジン1の運転モードを決定するとともに、目標燃料噴射量Fと目標空燃比A/Fとをそれぞれ決定する。すなわち、エンジン1が図2のマップ上の成層燃焼領域にあれば、ECU30は、燃料噴射弁12による燃料の噴射形態を圧縮行程噴射モードとし、一方、均一燃焼領域では吸気行程噴射モードとする。
また、目標空燃比A/Fは、前記成層燃焼モード及び均一燃焼モードのそれぞれでエンジン1の出力特性及び排気性状の最適なバランスが得られるように、予め目標負荷Pi及びエンジン回転数に対応付けてマップとして設定されており、上述したように、成層燃焼モードでは非常にリーンに、また、前記均一燃焼領域の大部分では略理論空燃比に、さらに、均一燃焼領域の高負荷側では理論空燃比よりもリッチに設定されている。
さらに、目標燃料噴射量Fは、前記成層燃焼モード及び均一燃焼モードのそれぞれで、エンジントルクが前記要求トルクTrに相当するものとなるように、予め目標負荷Pi及びエンジン回転数に対応する基本的な値Fa(以下、要求基本噴射量という)がマップとして設定されており、このマップから読み出した要求基本噴射量Faに基づいて目標燃料噴射量Fが設定される。
前記の燃料噴射量のマップは、予め前記の燃焼モードや空燃比の相違に起因するエンジン1の出力特性を織り込んで設定されており、圧縮行程噴射モードでは、前記目標燃料噴射量Fが概ねそのまま燃料噴射弁12の制御に用いられる目標燃料噴射量Fsとなって、ECU30は、そのFsに基づいて燃料噴射弁12への制御信号(噴射パルス)を出力する。一方、吸気行程噴射モードの目標燃料噴射量Fhは、空燃比の制御精度を優先して前記目標空燃比A/Fと実ceとに基づいて決定される。
また、ECU30は、前記の如く求めた目標燃料噴射量F(=要求基本噴射量Fa)と目標空燃比A/Fとに基づいて、エンジン1の運転モード毎にそれぞれ目標吸気充填効率(目標ce)を求め、さらに、この目標ceにエンジン回転数を掛け合わせて、目標吸気量を求める。そして、この目標吸気量に基づいて目標スロットル開度を決定し、これに応じてスロットル弁20のアクチュエータ19に制御信号を出力する。尚、ECU30は、以下に述べる運転モード切替えの過渡時に前記目標ceの実ceに対する比率(ceレシオ)を算出し、このceレシオに基づいて燃料噴射モードを切替えるようになっている。
以上の如く、ECU30は、エンジン1への要求トルクTrに基づいて目標燃料噴射量Fを設定する目標噴射量設定部30aと、エンジン1の運転状態に応じて成層燃焼モード(圧縮行程噴射モード)と均一燃焼モード(吸気行程噴射モード)との切替え制御を行う切替制御部30bと、エンジン1の運転状態に応じて目標空燃比A/Fを、均一燃焼モードでは理論空燃比乃至それよりも小さなリッチ側の値に設定する一方、成層燃焼状モードでは理論空燃比よりも大きなリーン側の値に設定する目標空燃比設定部30cと、そうして設定された目標燃料噴射量F及び目標空燃比A/Fとエンジン回転数とに基づいて、スロットル弁20の目標開度を設定する目標スロットル開度設定部30d(吸気制御手段)と、を備えている。
そして、図2に矢印で示すようにエンジン1の運転状態がマップ上の2つの領域に跨って変化するとき、ECU30は、燃料噴射モードを切替えるとともに、スロットル開度を変更することによって、エンジン1の燃焼モードを切替えることになる。この際、スロットル開度の変更による吸気量の変化は比較的応答遅れの大きなものであり、一方、燃料噴射モードの切替えは制御信号に速やかに応答するものであるから、その応答遅れの差を考慮して、先にスロットル弁20を作動させて吸気量を或る程度、変化させた後に、燃料噴射モードを切替えるようにしている。尚、ハンチング防止のために、図に誇張して示すように成層領域から均一領域への境界(実線)と均一領域から成層領域への境界(破線)とは相互に異なるものとされている。
(燃焼モードの切替え)
以下に、燃焼モード切替え時の過渡的な制御手順を、例えば図2に太線の矢印で示すようにエンジン1の運転状態が低負荷側から高負荷側に変化して、成層燃焼モードから均一燃焼モードに切替わる場合について、図5〜8に基づいて具体的に説明する。
まず、図5に示す制御フローにおいてスタート後のステップS1では各種センサやスイッチなどからの検出信号を読み込み、続くステップS2では目標負荷Piやエンジン回転数などからエンジン1を成層燃焼モードとするかどうか判定する。すなわち、エンジン1が図2のマップ上で定常的に均一燃焼領域にあるか或いは均一燃焼領域から成層燃焼領域への切替え途中であればNOと判定して、リターンする(均一燃焼及び均一燃焼から成層燃焼への切替えについては詳しい説明を省略する)。一方、エンジン1が成層燃焼領域にあるか或いは成層燃焼領域から均一燃焼領域への切替え途中であればYESと判定して、ステップS3に進む。
このステップS3では今度は燃焼モードの切替え途中かどうか判定する。これは、例えば、エンジン1が図2のマップ上で成層燃焼領域から均一燃焼領域に移行したときに判定フラグをオンにするとともに、このフラグを後述のステップS17にてオフにするようにし、その間は当該フラグのオン状態に基づいて切替え途中と判定するようにすればよい。そして、判定がYESであれば後述のステップS9〜S16に進んで、燃焼モードの切替え制御を行う一方、判定がNOであればステップS4〜S8に進んで、エンジン1を成層燃焼モードで運転する。
すなわち、前記図3のブロック図に基づいて上述したように、まず正味の目標負荷Peに機械損失やポンピングロスの損失分(推定値Pf)を加えて、制御上の目標負荷Piを決定し(ステップS4)、この目標負荷Piから目標燃料噴射量F(=Fa)及び目標空燃比A/Fを決定する(ステップS5)。この目標燃料噴射量Fが燃料噴射弁12の制御に用いられる(F=Fs)。また、目標空燃比A/Fは、理論空燃比よりも大きなリーン側の値に設定される。
前記ステップS5に続いて、前記目標燃料噴射量F及び目標空燃比A/Fから目標ceを決定し(ステップS6)、これにより目標吸気量を決定する(ステップS7)。この目標吸気量に基づいて目標スロットル開度を決定し、これによりスロットル弁20の開度を比較的大きくなるように制御するとともに、目標燃料噴射量Fs(=F)に基づいて噴射パルス巾を決定し、これにより燃料噴射弁12を制御して気筒2の圧縮行程で燃料を噴射させて(ステップS8)、しかる後にリターンする。
斯くして成層燃焼モードでは、燃料噴射弁12から気筒2内の燃焼室6に噴射された燃料噴噴霧が点火プラグ9周りに偏在する状態で着火され、当該燃焼室6の平均的な空燃比が非常にリーンな状態で良好に燃焼するようになる。
一方、前記ステップS3でYESと判定して進んだステップS9では、まずEGR弁25が全閉になったかどうか判定する。これは、燃焼モード切替えの際にはトルクショックの解消のために空燃比を厳密に制御する必要があり、このためにエンジン1の均一燃焼領域への移行に伴い(例えばステップS3と同様にフラグのオンオフにて判定すればよい)EGR弁25を閉じるようにしているからである。こうして、燃焼モード切替えの際には図6のタイムチャートに示すように時刻t=t1〜t2においてEGR弁25が閉じられる。
そして、その時刻t1〜t2の間は前記ステップS9の判定がNOになって、前記ステップS4に進む一方、時刻t2にEGR弁25が閉じられれば、判定がYESになってステップS10に進む。このステップS10では、前記ステップS4と同様にして目標負荷Piを決定し、続くステップS11において目標燃料噴射量F及び目標空燃比A/Fを決定する。
ここで、目標燃料噴射量Fは、前記ステップS5と同じマップから要求基本噴射量Faを読み込むとともに、詳しくは後述するが、燃焼モード切替えに伴う過渡的なポンピングロスの増大や空燃比のリッチ化によるトルクの低下を補完すべく、燃料の増量補正を行う(F=Fa+Fb+Fc)。一方、目標空燃比A/Fは、前記時刻t2にEGR弁25が閉じられれば、直ちに均一燃焼モードでの目標値(理論空燃比)に切替える。
続いてステップS12において、前記ステップS6と同様に目標燃料噴射量F及び目標空燃比A/Fから目標ceを決定する。このときにはエンジン1への要求トルクTrの大きさが変わらず、これに対応する目標燃料噴射量Fの変化がないので、前記ステップS11における目標空燃比A/Fの理論空燃比への切替えに伴い目標ceが所定量、急低下することになる。
続いて、ステップS13では目標ceに基づいて目標吸気量を算出し、これに基づいて、ステップS14において前記ステップS8と同様に燃料噴射弁12及びスロットル弁20の制御を行う。こうすると、前記の如く目標ceが急低下して、その分、目標吸気量も急低下することから、これに応じてスロットル弁20の開度も図6の時刻t2〜t3に示すように所定量だけ急速に低下することになる。これにより各気筒2において吸気の実ceも急速に低下し、実空燃比A/Fが急速にリッチ側に変化する。
そこで、前記ステップS14に続くステップS15では、理論空燃比に対応する前記目標ceを実ceで除算して、目標ceの実ceに対する比率(ceレシオ)を算出し、続くステップS16において、そのceレシオが所定値(1よりも小さな値であり、予め成層燃焼限界に対応付けて設定しておく)以上かどうか判定して、この判定がNOであれば(ceレシオ≧所定値)リターンする一方、ceレシオが所定値を越えればステップS17に進んで、燃料噴射形態を吸気行程噴射モードに切替えるようにする。
すなわち、前記のようにスロットル弁20が閉じられることによって吸気量が減少し、実空燃比A/Fが目標空燃比A/F(理論空燃比)に近づいていくと、圧縮行程噴射モードでは、燃焼室6全体の平均的な空燃比は未だリーンな状態であっても、点火プラグ9周りの局所空燃比は理論空燃比よりもリッチな過濃状態になり、良好な着火、燃焼が困難な成層燃焼限界(例えばA/Fで18〜19くらい)に近づいていく。
これに伴い、実ceに対する目標ce(この場合は理論空燃比に対応する値になる)の比率であるceレシオは、図6の時刻t2〜t4に示すように増大していき、これが前記成層燃焼限界に相当する所定値(図にはRとして示す)に達すれば(時刻t4)、ECU30によって燃料の噴射形態が吸気行程噴射モードに切替えられるのである。
そのとき、燃料噴射モードの切替え直前には燃焼室6の平均的な空燃比は未だ理論空燃比よりもリーンで、相対的に吸気量の多い状態である(ceレシオ<1)にも拘わらず、噴射モードの切替え後は実ceに基づいて目標燃料噴射量Fhが決定され、図示の如く燃料噴射量が急増して(時刻t4)実空燃比A/Fが一足飛びに理論空燃比に変更されることから(空燃比のジャンプ)、そのままではエンジントルクが急増してショックが発生してしまう。
この点について、この実施形態では、図示の如く時刻t4から燃料噴射量の増大に対応するように点火時期をリタード(遅角補正)して、これにより前記空燃比のジャンプに起因するエンジントルクの急増を打ち消すようにしている。
(燃料噴射量の増量補正)
ところで、前記の如く燃料噴射モードの切替え直後に点火リタードを行って、エンジントルクの急増を打ち消すようにしても、それだけではトルクショックを解消することはできない。その理由は、燃料噴射モードの切替え前に図6の時刻t2〜t3においてスロットル弁20が閉じられるときに、図3のブロック図に示される基本的な制御ロジックには予定されていないエンジントルクの低下が発生するからである。
すなわち、上述したようにエンジン1の運転モードを切替えるときには、燃料噴射モードの切替えに先立ってスロットル弁20を所定量、閉じるのであるが、このスロットル弁22の閉作動によってポンピングロスが増大するとともに、空燃比A/Fがリッチ側に変化して燃焼効率等が低下するにも拘わらず、このときにはエンジン1の運転状態が殆ど変化せず、従って上述の基本的な制御ロジックにおいて燃料噴射量の制御マップから読み込まれる要求基本噴射量Faの値は殆ど変化しないことから、これをそのまま目標燃料噴射量Fとしたのでは、前記のポンピングロスの増大や燃焼効率の低下分だけエンジントルクが低下してしまうのである
ここで、図7に成層燃焼における燃焼室の平均的空燃比と燃焼効率との対応関係の例を示すと、例えば図に実線で示す低負荷低回転運転時には、空燃比をA/F=34からA/F=17くらいまでリッチ側に変更するに従って、燃焼効率が徐々に低下しており、また、破線で示す高負荷中回転運転時にも、A/F=24くらいからA/F=16くらいまで、燃焼効率が徐々に低下している。尚、図に仮想線で示すのは、A/F=34のときを基準(100%)として破線のグラフをシフトしたものあり、これは前記実線のグラフと良く一致している。
また、図8のグラフは、成層燃焼において燃料噴射量を一定としたままスロットル弁を徐々に閉じていったときの空燃比A/Fのリッチ側への変化と、エンジントルクの低下とを対比して示したものであり、実線は低回転時を、また破線は中回転時を示す。このグラフに前記図7のグラフを合わせて考察すると、スロットル弁の閉作動に伴い、図示の如くポンピングロスの増大と、空燃比A/Fのリッチ化による燃焼効率等の低下とによって、エンジントルクが低下していることが分かる。
そのようなエンジントルクの低下を補完すべく、この実施形態の燃料噴射制御装置では本発明の特徴部分として、前記図5のフローのステップS11に示すように、運転モード切替えのためにスロットル弁20を閉じるときに、その閉作動に起因する過渡的なポンピングロスの増大と実空燃比のリッチ化とをそれぞれ正確に求めて、これに応じて燃料の増量補正を行うようにしたものである。
すなわち、前記ステップS11においては、まず基本的な制御ロジックに従い目標燃料噴射量のマップから要求基本噴射量Faを読み込む。これとともに、エンジン1の吸気圧と排気圧との差圧からポンピングロスの大きさを求めて、スロットル弁20の閉作動によるポンピングロスの増大分に相当するエンジントルクの低下量を推定演算し、このトルクの低下量に相当する燃料量をポンピングロス補正燃料量Fbとして設定する。
その際、ポンピングロスの大きさを正確に求めるために、エンジン1の吸気圧は吸気マニホルドの吸気圧センサ21によって検出する。一方、排気圧は、同様に排気マニホルドに設けたセンサにより検出するようにしてもよいが、この実施形態では、吸気流量センサ27による検出値と前記要求基本噴射量Faとから推定する。この推定は予め設定したマップから吸気流量と燃料噴射量Faとに対応する値を読み込むようにすればよい。
また、前記ステップS11においては実燃料噴射量と実ceとから実空燃比A/Fを推定演算し、この推定値と目標空燃比との偏差に基づいて、空燃比のリッチ化に起因するエンジントルクの低下量に相当する燃料量を、燃焼効率補正燃料量Fcとして設定する。すなわち、前記図7などに示すような空燃比と燃焼効率等との対応関係に基づいて予め設定したテーブルから前記燃焼効率補正燃料量Fcを読み込むようにする。
換言すれば、この実施形態の燃料噴射制御装置では、前記ステップS11における吸気圧の検出手順により、スロットル弁20の閉作動に伴い増大するポンピングロスに関する所定のパラメータ値(この場合は吸気圧)を吸気圧センサ21からの信号に基づいて検出するパラメータ値検出手段30eが構成されている。
また、前記ステップS11において、主に吸気圧に基づいてポンピングロスの増大分に相当するエンジントルクの低下量を推定演算する手順によってポンピングロストルク推定手段30fが構成され、同様に、実空燃比A/Fを推定演算する手順によって実空燃比推定手段30gが構成されている。
さらに、前記ステップS11において、目標負荷Pi等に対応する要求基本噴射量Faをマップから読み出すとともに、前記ポンピングロスや空燃比のリッチ化によるエンジントルクの低下量に相当する燃料の補正量(Fb,Fc)を要求基本噴射量Faに追加して、目標燃料噴射量Fを決定する手順が、エンジン1への要求トルクTrに基づいて目標燃料噴射量Fを設定するという目標噴射量設定部30aの制御手順に対応している。
従って、前記目標噴射量設定部30aは、圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードへの切替えの際に、前記ポンピングロストルク推定手段30fによって推定されたエンジントルクの低下量に相当する燃料量を目標燃料噴射量Fに追加するとともに、前記実空燃比推定手段30gにより推定された実空燃比A/Fの変化を加味して、空燃比A/Fが相対的にリッチになるほど燃料の追加量を多くする燃料増量補正部を含んでいる。
以上、説明したように、この実施形態に係る筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置によると、例えば図2に太線の矢印で示すようにエンジン1の運転状態が低負荷側から高負荷側に変化して、その運転モードが成層燃焼モードから均一燃焼モードに切替えられるときには、そのための燃料噴射モードの切替え(圧縮行程噴射モード→吸気行程噴射モード)に先立って、ECU30により、図6の時刻t2〜t3に示すようにスロットル弁20が閉じ側に作動制御される。
そのスロットル弁20の閉作動によってエンジン1のポンピングロスが増大するとともに、実空燃比A/Fのリッチ化に伴い冷却損失が増大し燃焼効率も低下することになるが、これに対して、主に吸気圧センサ21による検出値に基づいてポンピングロスの増大分を正確に検出し、また、実燃料噴射量等から実空燃比のリッチ化の度合いを正確に求め、それぞれに対応して、図6の時刻t2〜t4に示すように目標燃料噴射量Fを増量補正することで、前記ポンピングロスの増大や燃焼効率の低下によるエンジントルクの低下をなくすことができる。
そして、図6の時刻t4において燃料噴射モードが切替えられると、これに伴う燃料噴射量の急増に対応して点火時期がリタードされ、その燃料噴射量の急増(空燃比のジャンプ)に起因するエンジントルクの急増が打ち消される。
斯くして、噴射モード切替え前のスロットル弁20の閉作動によるエンジントルクの低下がなくなり、且つ、噴射モード切替えの際の空燃比のジャンプによるエンジントルクの急増が打ち消されることにより、噴射モード切替えの前後でエンジン1のトルク変動が略完全になくなり、トルクショックを解消することができる。
尚、この実施形態の燃料噴射制御装置では、前記したようにエンジン1の運転状態を切替える際に、吸気圧センサ21により検出した吸気マニホルドの負圧状態に基づいてポンピングロスを求めるようにしているが、これに限らず、例えばECU30において決定した目標スロットル開度に基づいてポンピングロスを計算することも可能である。
但し、吸気の輸送遅れを考慮すれば、スロットル開度から単純に計算してもポンピングロスを正確に求めることは難しく、一方、吸気の輸送モデルを用いて正確に計算しようとすると、計算時間が長くなってしまい制御の応答遅れが問題になる虞れがある。
これに対し、前記実施形態のようにスロットル弁20よりも吸気下流側に配設した吸気圧センサ21などからの信号に基づいて、マニホルド負圧などのパラメータ値を検出するようにすれば、この検出値に基づいてポンピングロスを正確に求めることができ、しかも、複雑な計算は不要で、制御の応答遅れを招くこともないというメリットがある。
また、前記の実施形態では、スロットル弁20の閉作動に伴うポンピングロスの増大分と空燃比のリッチ化による燃焼効率等の低下分とを検出し、これらに応じて燃料噴射量を増量補正するようにしているが、これに限らず、いずれか一方のみによって補正を行うようにしても、トルクショックを低減することは可能である。
本発明の実施形態に係る燃料噴射制御装置を備えたエンジンの概略構造図。 エンジンの運転モードを切替えるための制御マップの一例を示す模式図。 燃料及び吸気制御の基本的な制御ロジックを示す機能ブロック図。 基本的な制御に用いられるテーブルの一例を示す模式図。 燃料及び吸気制御の手順を示すフローチャート図。 成層燃焼モードから均一燃焼モードに切り替わるときのEGR、スロットル開度、ceレシオ、燃料噴射量、点火時期等の変化を示すタイムチャート図。 成層燃焼時の平均空燃比と燃焼効率との対応関係を示すグラフ図。 成層燃焼時に強制的にスロットル弁を閉じて吸気量を減少させたときに、ポンピングロスの増大と空燃比リッチ化による燃焼効率の低下とによってエンジントルクが低下する様子を示すグラフ図。
符号の説明
1 エンジン(筒内噴射式内燃機関)
2 気筒
12 燃料噴射弁
20 スロットル弁(吸気絞り弁)
21 吸気圧センサ
30 エンジンコントロールユニット(ECU)
30a 目標噴射量設定部
30b 切替制御部
30c 目標空燃比設定部
30d 目標スロットル開度設定部(吸気制御手段)
30e パラメータ値検出手段
30f ポンピングロストルク推定手段
30g 実空燃比推定手段

Claims (4)

  1. 内燃機関の運転状態に応じて、少なくとも気筒の圧縮行程で燃料を噴射して成層燃焼状態とする圧縮行程噴射モードと、吸気行程で燃料を噴射して均一燃焼状態とする吸気行程噴射モードと、の切替え制御を行う切替制御手段と、
    前記圧縮行程噴射モードにおいて内燃機関への要求トルクに基づいて目標燃料噴射量を設定する目標噴射量設定手段と、を備えた筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置であって、
    内燃機関には、前記切替制御手段による圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードへの切替え制御の際に、これに伴う目標空燃比のリッチ側への変化に対応して、噴射モードの切替えに先立って吸気絞り弁を閉じ側に作動させる吸気制御手段が備えられ、
    前記吸気絞り弁の閉作動によって増大するポンピングロスに関する所定のパラメータ値を検出するパラメータ値検出手段と、
    前記検出されたパラメータ値に基づいて、ポンピングロスの増大分に相当する機関トルクの低下量を推定演算するポンピングロストルク推定手段と、を備え、
    前記目標噴射量設定手段は、前記圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードへの切替えの際に、前記ポンピングロストルク推定手段によって推定された機関トルクの低下量に相当する燃料量を目標燃料噴射量に追加する燃料増量補正部を有する、ことを特徴とする筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射制御装置において、
    内燃機関の運転状態に応じて、吸気行程噴射モードに対応する運転状態では目標空燃比を理論空燃比乃至それよりも小さなリッチ側の値に設定し、一方、圧縮行程噴射モードに対応する運転状態では目標空燃比を理論空燃比よりも大きなリーン側の値に設定するとともに、切替制御手段による前記圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードへの切替え制御の際には、この噴射モードの切替えに先立って目標空燃比を前記リッチ側の値に切替える目標空燃比設定手段を備え、
    吸気制御手段は、前記噴射モードの切替え制御の際に、前記目標空燃比設定手段により設定された目標空燃比と目標噴射量設定手段により設定された目標燃料噴射量とに基づいて、吸気絞り弁の開度を制御するものであることを特徴とする筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載の燃料噴射制御装置において、
    パラメータ値検出手段は、少なくとも、吸気絞り弁よりも吸気下流側に配設されたセンサからの信号に基づいて、ポンピングロスに関するパラメータ値を検出するものであることを特徴とする筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の燃料噴射制御装置において、
    切替制御手段による圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードへの切替え制御の際に、吸気制御手段による吸気絞り弁の閉じ側への制御に伴いリッチ側に変化する実空燃比を推定演算する実空燃比推定手段を備え、
    目標噴射量設定手段の燃料増量補正部は、前記推定された実空燃比を加味して、空燃比が相対的にリッチになるほど燃料の追加量を多くするように構成されていることを特徴とする筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
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