JP2006005616A - 音響機器や映像機器あるいは振動発生源を組み込んだ機器の筐体の組立方法 - Google Patents

音響機器や映像機器あるいは振動発生源を組み込んだ機器の筐体の組立方法 Download PDF

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Abstract

【技術課題】 音響機器等において、筐体の接合部においてビビリ等の異音が発生したり、共振が発生するのを防止する。
【解決手段】 部品の接合部の一方に形成した溝11内にホットメルト剤aを注入し、他方の接合部にはリブ10を形成して、部品同士を結合するときに、リブ10を溝11内のホットメルト剤a中に没入させる。このようにすると、ホットメルト剤aで表面パネル2側と裏面パネル3側の接合部が直接接合せず、ホットメルト剤aでスピーカユニット4で発生した振動を吸収することができる。この結果、部品の接合部において、ビビリ等の異音及び共振の発生を防ぐことができる。
【選択図】 図2

Description

本願発明は、音響機器や映像機器あるいは内部にモータのような振動発生源を組み込んだ機器において、その筐体(ケース・ケーシングハウジング)となる構成部品同士の接触部からビビリ音等の異音や共振が発生するのを防止する筐体の組立方法に関するものである。
音響機器や映像機器あるいはモータのような振動発生源を組み込んだ機器において、その筐体となる構成部品同士に接触部が存在すると、この部分でビビリ等の異音や共振が発生するため、この防止対策が製品設計における重要な要件になっている。
たとえば、テレビやオーデオ機器におけるスピーカ装置の場合、一般的なスピーカ装置の構造として、その筐体は、スピーカユニットを取り付けた前面パネル(バッフルボード)と、共鳴効果を得るためスピーカユニットの後方へ空間を形成する後部ハウジングとの組み合わせで構成される。
この様に、2つの構成部品を組み合わせる時、その各接合部においては、前面パネルと後部ハウジングにおいて、スピーカユニットにより発生する振動や音波(音圧)により各々が振動し、然もこの振動は2つの部品の大きさや重量等との関係で微妙に異なることから、その接触部においては微妙な接触を繰り返し、その結果、いわゆるビビリ等の異音や共振が発生する。
また、最近の傾向として、テレビなども薄型且つ大型になり、音響効果も高められてきていることから、そのスピーカ装置は、薄型や形状的に多様化がみられ、そのためにビビリ等の異音や共振が発生しやすい。このため、その防止策が求められている。
従来、上記の様な問題を解決するために、接合部に不織布やクッションテープなどの緩衝材を貼り付けて直接前面パネルと後部ハウジングとが直接接触しないようにしたり、ビス止めの箇所を多くして、強固に構成部品同士を固定することにより、ビビリ等の異音の発生や共振の発生を防止する対策がとられている。
しかし、緩衝材を貼り付ける場合、接合部の形状が複雑な場合が多いため、手作業で行うことが多く、工数削減の妨げになっている。また、ビス止めについては、構造上多く設けられない場合もあることから、適用できる範囲が狭いと共に、適用したとしても、経年的にビスの弛みが発生して、ビビリ等の異音や共振が発生するようになる。
以上の様な問題を解決する手段として、特開平7−222273号公報には、次に示す技術が開示されている。
特開平7−222273号公報 この発明は、スピーカの前面に音波を導く音響管2を結合したスピーカ装置において、熱可塑性オレフィン系樹脂または熱可塑性ポリエステル系樹脂を溶融して不活性ガスを噴入して発泡させた第1、第2の緩衝材20,21を音響管2の開口部の機器への取り付け面に結合した構成とすることにより、異常共振や異常音の防止効果を得ると云う技術である。 しかし、熱可塑性オレフィン系樹脂または熱可塑性ポリエステル系樹脂を溶融し更に不活性ガスを噴入した緩衝材は、柔軟性が十分でないため、振動を吸収しきれないと云う材質的な欠点がある。また、特許文献1の緩衝材は、定形発泡材質のため、その取り付けは手作業とならざるを得ず、このために製作コストが嵩み、しかも手作業なるが故に、安定した取り付け精度を確保するのが難しいと云う欠点がある。
本発明の目的は、音響機器や映像機器あるいはモータ等の振動発生源を組み込んだ機器の筐体の組立方法において、筐体を構成する部品同士の接合部から、ビビリ等の異音や共振が発生せず、部品同士を容易に組み立てることができる音響機器や映像機器あるいはモータ等の振動発生源を組み込んだ機器の筐体の組立方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明においては、音響機器や映像機器あるいは振動発生源を組み込んだ機器の筐体の組立方法において、構成部品同士の接触部の一方又は双方にホットメルト剤を介在させたのち、当該構成部品同士を結合手段にて固定することにより、前記接触部において、ホットメルト剤の吸振作用によりビビリなどの異音や共振が発生するのを防止することを特徴とするものである。
上記組立方法によれば、接触部(接触面)にホットメルト剤を介在させ、構成部品同士を組み合わせた時、ホットメルト剤の介在により部品同士が直接に接触するのを防止する。また、組立の際には、ホットメルト剤を塗布する装置のノズルを接合部に沿って移動させることにより、接合部にホットメルト剤を自動的に塗布することが可能になる。
更に、ホットメルト剤の優れた弾性にて振動を吸収できるため、ビビリ等の異音あるいは共振の発生を防止することができると共に、従来の様に強固に部品同士を固定する必要がなく、例えば、部品同士のネジ止め箇所を低減できる効果も得られる。
更に、請求項2に記載の発明においては、請求項1記載の音響機器や映像機器あるいは振動発生源を組み込んだ機器の筐体の組立方法において、ホットメルト剤には、非接着性又は接着性を有するものが使用されることを特徴とするものである。
この発明によれば、ホットメルト剤に非接着性を有するものを用いた場合には、あとで容易に接合した部品同士を分離できる。この結果、廃棄処分に際しては、筐体を開放して内部の部品を容易に取り出すことができるため、分別廃棄あるいはリサイクルを助長できる。
又、分別等の必要のない部品同士の場合には、接着性を有するホットメルト剤を用いて部品同士の結合を強固にしたり、固定手段を用いずに部品同士を結合することができる。
更に、請求項3に記載の発明においては、請求項1記載の音響機器や映像機器あるいは振動発生源を組み込んだ機器の筐体の組立方法において、一方の構成部品の接触部に溝を形成し、他方の構成部品の接触部に、前記溝内に空隙を残して入り込むリブを形成して、組立を行う際には、先ず前記溝内にホットメルト剤を注入した後、前記溝内に前記リブを挿入してこのリブをホットメルト剤中に没入させ、次に結合手段にて構成部品同士を結合することを特徴とするものである。
例えば、スピーカ装置の前面パネルと後部ハウジングとの2つの構成部品によりスピーカ装置の筐体を組み立てる時、まず、前面パネルに形成された溝へホットメルト剤を注入する。その後、前面パネルへ後部ハウジングを組み立てるが、その際、後部ハウジングの接合部に形成されたリブを前面パネル側の溝内に注入されたホットメルト剤中に没入させることにより、リブの周囲がホットメルト剤で覆われ、前面パネルと後面ハウジングはその接触部において直接接触することは無く、その結果、大きな振動吸収効果が得られる。また、ホットメルト剤が振動を吸収するため、お互いの振動により接触部から発するビビリ等の異音や共振の発生を防ぐ事ができる。また、組み立ての際には、請求項1、3に記載の発明と同様、ホットメルト剤を注入するノズルを接合部又は溝に沿って移動させることにより、ホットメルト剤を自動的に溝内に注入することができる。
更に、請求項4に記載の発明においては、請求項3記載の音響機器や映像機器あるいは振動発生源を組み込んだ機器の筐体の組立方法において、構成部品の一方の接触部に単数又は複数条から成る溝を形成すると共に、他方の構成部品の接触部に単数又は複数条のリブを形成して行うことを特徴とするものである。
この溝数とリブ数の選択は、構成部品の大きさ及び接合部の大きさ等により決定する。
更に、請求項5に記載の発明においては、請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載の音響機器や映像機器あるいは振動発生源を組み込んだ機器の筐体の組立方法において、50%圧縮時において、その圧縮応力値が0.1〜0.5fkg/cm2であるホットメルト剤を用いて行うことを特徴とするものである。
本発明に使用するホットメルト剤は、ビビリ等の異音あるいは共振を防止すると言う目的から、ホットメルト剤そのものが振動を吸収する性質を持っていなければならない。そこで本発明は、振動を吸収するのに最適な物性値を有するホットメルト剤の選択を行い使用することにした。
また、このホットメルト剤は、結合した部品を後で分離できるようにするため、非接着性でなければならない。但し、ここでの非接着性とは、あとで容易に分離できる程度の接着性を有するものを否定するものではない。
因みに、ホットメルト剤の物性値において、その硬度は、本来、ホットメルト剤が冷却された時の表面硬度で求めるものであるが、使用するホットメルト剤の表面硬度が低いため、物性としての硬度を直接測定することが出来ない。そこで、その代用値として、圧縮応力の測定値を用いた。なお、ここでいう圧縮応力の測定方法は、JIS K 7208に定められた試験方法により得られた値である。
その結果、本発明に用いる非接着性のホットメルト剤を用いる場合、その圧縮応力値として、50%圧縮時に0.1〜0.5fkg/cm2の値を示すものが最良であるとの結論を得た。
つまり0.1以下であるとあまりにも柔らかすぎるため吸振性が得られず、異常共振や異常音の防止として目的を達せない場合がある。
また、0.5以上の場合は、緩衝材としての軟性が不充分で、溝及びI字形リブの振動を柔らかく吸収することができなくなって、前記と同じ様に異常共振や異常音の防止と云う目的を達成することはできない。
また、本発明において用いるホットメルト剤として、接着性を有する場合、その接着力は自由に選択しても良く、例えば、手で容易に部品同士を分離できる程度の接着性を有するものから、固定手段がいらなくなる程の強固な接着性を有するものまでを含む。
以上に説明した請求項1〜5に記載の発明による効果は次の通りである。
1.接合部にホットメルト剤を介在させて部品同士を合わせ、その上で部品同士を結合手段を用いて固定することにより、ホットメルト剤の弾性特性により接合部において振動を吸収でき、また、部品は接合部において直接接触しないので、ビビリ等の異音や共振の発生を防止することができる(請求項1〜5)。
2.部品の一方の接合部に形成された溝に注入したホットメルト剤が、他方に形成されたリブとの間に介在することにより、防振効果をさらに高めることができる(請求項3、4)。
3.ホットメルト剤を塗布又は注入するノズルを接合部又は溝に沿わせて移動させることにより、ホットメルト剤を自動的に塗布又は注入でき、この方式によれば、ホットメルト剤の塗布又は注入を自動化することが容易である(請求項1〜4)。
4.非接着性ホットメルト剤を用いた場合には、易剥離性を有するため、容易に部品同士をあとから分離でき、廃棄するときの分別性及びリサイクル性を助長できる(請求項2)。
5.接着性を有するホットメルト剤を使用した場合には、部品同士の結合手段を軽減できたり、無しにすることができる(請求項2)。
6.ホットメルト剤の物性値として、推奨する圧縮応力を定めたことにより、防振効果をさらに高めることができる(請求項5)。
ホットメルト剤は、最近、様々な用途に用いられ、その中でも、包装、製本、木工、粘着テープ、製品組立、建築などが代表使用例としてあげられる。
その使用目的に応じてホットメルト剤の種類も開発され、その種類は、例えば「ホットメルト接着剤の実際技術」(発行所 株式会社シーエムシー p3(2000))に記載されている文面によれば、
ホットメルト接着剤の主成分であるベースポリマーの種類により分類され、また別に形態や性状によっても分類される。
ベースポリマーの種類により分類すれば次のようである。
a.エチレン−酢酸ビニル(EVA)系
b.ポリアミド系
c.ポリエステル系
d.ポリオレフィン系
e.熱可塑性ゴム(TPR)系
f.その他
以上説明したホットメルト剤の種類の中で、熱可塑性ホットメルト剤は、スチレン−ブタジエンやスチレン−イソプレンなどブロックコポリマーを基として用いた時、常温でのゴム弾性が優れている。
本発明のホットメルト剤は、事例としての熱可塑性ホットメルト剤であって、常温でゴム弾性を有し、且つ非接着性だけでなく、接着性を有するものが用いられる。
本発明の実施例を各図に基づいて説明する。
本実施例1は、スピーカ装置に請求項1〜5に記載した本発明を実施した例である。本実施例1を図1〜図5を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、図1において、(a)はスピーカ装置の側面図、(b)はスピーカ装置の右側面図、(c)は正面図、(d)は後面図、図2は図1(d)におけるA−A部断面図、図3において、(a)は前面パネルを裏側から見た説明図、(b)は前面パネルを取
り外して、後面ハウジングを正面側から見た説明図、(c)は(a)のAで示す丸で囲まれた部分の拡大断面図、(d)は(b)のBで示す丸で囲まれた部分の拡大断面図である。
ホットメルト剤には、旭化学合成株式会社SGシリーズやアイカ工業株式会社HX−800等が使用目的に適っており、本実施例1ではホットメルト剤が冷却されて通常温度になった時、ホットメルト剤の表面硬度が適しているHX−800を選択した。また、圧縮応力値は50%圧縮時において0.3fkg/cm2であるものを用いた。なお、構造や使用用途によってホットメルト剤は自由に選択できる。
まず、図1を用いて本実施例のスピーカ装置1について説明する。このスピーカ装置1の筐体の全体形状は、他の装置との関係にて一部分が薄くなっている。構成は大きく分けると前面パネル2と後面ハウジング3からなり、スピーカユニット4は、図2に示すように、前面パネル2に固定されている。また、前面パネル2の正面には、小さな径の音孔が図1(c)に示すようにほぼ全域に形成された化粧パネル2aが取り付けられている。後面ハウジング3については、浅底部3aと深底部3bとがあり、深底部3bには中空ボス5が4カ所形成されている。さらに、中空ボス5の底部には前面パネル2との係合に用いるネジ6を貫通させる固定用穴7が形成されている。その固定用穴7にネジ6を挿入し前面パネル2側の固定軸8にねじ込むことにより、後面ハウジング3は、前面パネル2に固定される。実施例1において、この中空ボス5、ネジ6、固定軸8が結合手段となる。
実施例1におけるスピーカ装置1は、スピーカユニット4から発生される音波が広音響域でさらに効率よく前面に伝わるように、後部ハウジング3側を2重箱構造に形成して内部の音が外に漏れないようにハウジングの内部を密封状態にする必要がある。そのため、内箱9の開口部周囲にI字形リブ10を全囲に亘って形成し、一方の前面パネル2の裏面には、そのI字形リブ10が入り込む溝11を全囲に亘って形成した。この際、前面パネル2と後部ハウジング3が係合された状態において、図4(b)に示す様に、溝11の天面12とI字形リブ10の付け根部13との隙間L1と、I字形リブ10の先端14と溝11の底部15との隙間L2と、溝11の内面とリブ10との間には、間隔が形成されて、溝11とリブ10が直接接触しない寸法となっている。
内箱9の外部に2カ所形成された孔16は、ビス17を前面パネル2側のネジ孔19にねじ込んで固定するための貫通穴である。
前面パネル2の裏面であって、その接合部においては、前記した様に溝11を形成しており、その溝11により囲まれた内部にスピーカユニット4を取り付けるスピーカユニット固定部18がある。
ホットメルト剤の注入装置50について図5を基に説明する。51はホットメルト剤注入装置本体であって、このホットメルト剤注入装置本体51は、ホットメルト剤溶融タンク52と、この溶融タンク52内の溶融状態のホットメルト剤をヒートホース53へ送り込むポンプ(図示せず)と、ヒートホース53の先端に具備されたノズル54と、制御回路(図示せず)で構成されている。ノズル54を前面パネル2に形成された接合部又は溝11に沿うように移動させることにより、溶融されたホットメルト剤は接合部又は溝11の全周に亘って塗布又は注入される。
次に、スピーカー装置1の組立方法について説明する。
まず、前面パネル2にスピーカユニット4を取り付けた後、前面パネル2を受け台(図示せず)に上向きに組み込む。その後、ホットメルト剤注入装置50のノズル54を溝11に近づけてホットメルト剤aを接合部又は溝11に塗布又は注入する。この時のホットメルト剤aの温度は200℃前後である。ホットメルト剤aの注入量は、溝11へリブ10を入れ込んだ時にできる空間を全て充填できる量より僅かに多い量が望ましい。
この状態で、ノズル54を接合部又は溝11に沿うように移動させてホットメルト剤aを塗布又は注入しながら、図5において矢印に示すように接合部又は溝11の全周に亘ってノズル54を移動させる。
塗布又は注入が完了すると、受け台から前面パネル2を取り出して、後部ハウジング3を前面パネル2へ組み込む。組み込み時におけるI字形リブ10と溝11の係合具合を示している図2におけるC部の要部拡大断面である図4を用いて説明すると、図4(a)はホットメルト剤aを溝11に注入し、リブ10を溝11内に入れ込む直前の図、図4(b)は溝11に充填されたホットメルト剤aの中にI字形リブ10が食い込んでいる様子を示している。したがって、I字形リブ10の周囲は、ホットメルト剤aにて覆われるので、ホットメルト剤aの弾性により、溝11の内壁面との接触を防止することが出来る。
さらに、図2で説明した中空ボス5と固定軸8との先端間の当りで溝11とI字形リブ10の位置関係が決まり、溝11の天面12とI字形リブ10の付け根部13との隙間L1と、リブ天面14と溝11の底部15との隙間L2が確保される。その結果、前面パネル2と後部ハウジング3が振動しても直接接触していないので、ビビリ等の異音の発生および共振を防止できる。
次に、ネジ6、ビス17にて前面パネル2と後部ハウジング3をネジ止めすることにより、前面パネル2と後部ハウジング3は一体に結合する。
最後に、前面パネル2に化粧パネル2aを取り付けて実施例1によるスピーカ装置1は完成した。
以上の組立方法で得られたスピーカ装置1の異音テストを行った。テスト条件として、
20Hz〜20kHz のスイープ音
レベル 6Vp−p
の信号をスピーカユニット4へ入力して、ビビリ等の異音及び共振を確認したところ、異常がなかった。
[比較例1]
比較例として従来のスピーカ装置の組立方法を図6を基に説明する。
図6は前面パネル2と後部ハウジング3との開口部を表示した図で、図6(a)は前面パネル2の開口部、図3(b)は後部ハウジング3の開口部、図7はリブ10と溝11との係合部の部分拡大断面図、図8は、組み込んだスピーカ装置1の断面図である。
図6により比較例1のスピーカ装置1についてその構成を説明すると、溝11やリブ10などの基本的な構造は実施例1と同様であるが、異音を発生しないように前面パネル2と後部ハウジング3を強固に係合する必要があるため、実施例1のネジ止め箇所(6、8)を実施例1の6カ所に対し4カ所多く10カ所とした。
したがって、中空ボス5、固定軸8が多く形成されている。
組み込みにおいては、図7(a)に示すように、I字形リブ10の周囲にクッションテープ30を貼り、これを全周にわたって前加工として行った。
次に、前面パネル2と後部ハウジング3を係合させ、図7(b)の様に、リブ10と溝11の間にクッションテープ30を介在させてビビリなどの異音発生を防止した。前面パネル2と後部ハウジング3を結合した後、ネジ6、ビス17により固定を行うことにより、前面パネル2と後部ハウジング3とは一体になり、スピーカ装置1が完成した。
以上の組立方法を用いたスピーカ装置1を実施例1と同様な異音テストを行った。その結果、クッションテープ30をリブ10に貼り付ける際、十分にI字形リブ10を覆わなかったところ、特に接合部が曲がっている箇所ではその傾向が顕著に現れ、その結果、ビビリ等の異音が発生した。
また、クッションテープ30を貼り付ける作業は人手に負うところがあり、生産効率向上の妨げの要因になった。
本実施例2は、請求項1及び請求項5に記載した発明に対応するもので、音響機器において、内部にモータを組み込んだ筐体の組立方法である。
図9は音響機器のシャーシにモータ取り付けた説明図で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
ホットメルト剤aとして実施例1同様アイカ工業株式会社HX−800を使用した。
モータ31はシャーシ32の一部である取付板32aへモータ31を横にし、更に、ネジ33により固定した。さらに、従来は、機器の移動に伴う振動による影響を防ぐため接着剤で固定していたが、本実施例では、前記のホットメルト剤aをモータ31の周囲とシャーシ32との間に塗布した。この事により、ホットメルト剤aがモータ31を包むように保持でき、さらに、ホットメルト剤aは放熱しやすい特徴をもっているため、直ぐ硬化し、モータ31への熱影響がほとんどなく、また、作業性も良い。
従来の方法である接着剤を用いた固定方法は、モータ31の回転振動がシャーシ32に伝わり、共振により異音を発生したり、回路の構成部品に電気的影響を与えたりすることがあった。しかし、本発明に用いるホットメルト剤aは、優れた弾性を有しているため振動を吸収する効果があり、モータ31の回転振動やモータ31への外部要因による振動の影響を防止することができた。
本実施例3では、請求項1及び請求項5に記載した発明対応するもので、テレビの筐体へスピーカユニット4を取り付ける際の筐体の組立方法である。
図10は筐体34へスピーカユニット4を取り付ける組立図、図11は図10のB−B部断面図、図12は図11におけるD部の拡大断面図で、(a)は組立前の拡大断面図、(b)はリブ35の天面36へホットメルト剤aを塗布した拡大断面図、(c)はスピーカユニット4を筐体34へ取り付けた状態の拡大断面図である。
図10及び図11を基に筐体34とスピーカユニット4との関係について説明する。筐体34には、貫通された音孔集合部37が形成されており、更に、その周囲にスピーカユニット4を受けるリブ35が形成されている。また、そのリブ35の外部4カ所にスピーカユニット4をネジ止めするための固定用ボス38が形成されている。
リブ35と固定用ボス38との高さ関係は、図11に示す様に、リブ35の天面36にホットメルト剤aを塗布し、スピーカユニット4を取り付けた時、ホットメルト剤aが圧縮されながら介在できる様に固定用ボス38を僅かに高く設定することが必要で、例えば1〜2mmの高低差が望ましい。
図12を基にスピーカユニット4の取り付け作業について説明する。ホットメルト剤aとして実施例1同様アイカ工業株式会社HX−800を使用した。
先ず、図12(b)の様に、リブ35の天面36にホットメルト剤aを塗布した。ホットメルト剤aは実施例2で説明したように硬化が速いため下に流れ落ちることはなく、リブ35の天面36にクッション層として形成される。次に、図12(c)に示すように、スピーカユニット4をネジ39で固定用ボス38へ取り付けると、クッション層はスピーカユニット4とリブ35との間に挟まれながら介在する。
自動化が可能になる本発明による組立方法は、前記したようにホットメルト剤aは直ぐ硬化するため、直ちにスピーカユニット4を取り付けられるなどの効果も得られる。
従来は、比較例で説明したクッションテープ30を貼り付ける作業は人手に負うところがあり、生産効率向上の妨げの要因になっていたが、本実施例によると、自動化による生産効率の向上を図ることができる。
スピーカー装置を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は背面図である。 A−A断面図である。 スピーカー装置を前面パネルと後面ハウジングに分離した状態を示すもので、(a)は前面パネルの背面図、(b)は裏面ハウジングの正面図、(c)はA部分の拡大断面図、(d)はB部分の拡大断面図である。 リブと溝及びホットメルト剤を示すもので、(a)は溝にホットメルト剤を注入した状態の説明図、(b)は溝内にリブを挿し込んだ状態の説明図である。 ホットメルト剤注入装置の説明図である。 比較例の説明図であって、(a)は前面パネル背面図、(b)は裏面ハウジングの正面図である。 比較例の説明図であって、(a)はクッションテープをリブに巻きつけた状態の説明図、(b)はクッションテープを巻きつけたリブを溝内に嵌合させた状態の説明図である。 図7に示した前面パネルと裏面ハウジングをねじ止めした状態の説明図である。 実施例2の説明図であって、(a)はシャーシにモータを取り付けた状態の側面図、(b)は正面図である。 実施例3の説明図であって、スピーカユニットを筐体に取り付ける状態の説明図である。 図10におけるB−B断面図である。 図11のC部分の拡大説明図であって、(a)はリブの説明図、(b)はリブの天面にホットメルト剤を塗布した状態の説明図、(c)はリブに対し、スピーカユニットを取り付けた状態の説明図である。
符号の説明
a ホットメルト剤
1 スピーカ装置
2 前面パネル
3 裏面パネル
4 スピーカユニット
10 リブ
11 溝
30 クッションテープ
31 モータ

Claims (5)

  1. 構成部品同士の接触部の一方又は双方にホットメルト剤を介在させたのち、当該構成部品同士を結合手段にて固定することにより、前記接触部において、ホットメルト剤の吸振作用によりビビリなどの異音や共振が発生するのを防止する音響機器や映像機器あるいは振動発生源を組み込んだ機器の筐体の組立方法。
  2. ホットメルト剤には、非接着性又は接着性を有するものが使用されることを特徴とする請求項1記載の音響機器や映像機器あるいは振動発生源を組み込んだ機器の筐体の組立方法。
  3. 一方の構成部品の接触部に溝を形成し、他方の構成部品の接触部に、前記溝内に空隙を残して入り込むリブを形成して、組立を行う際には、先ず前記溝内にホットメルト剤を注入した後、前記溝内に前記リブを挿入してこのリブをホットメルト剤中に没入させ、次に結合手段にて構成部品同士を結合する請求項1記載の音響機器や映像機器あるいは振動発生源を組み込んだ機器の筐体の組立方法。
  4. 構成部品の一方の接触部に単数又は複数条から成る溝を形成すると共に、他方の構成部品の接触部に単数又は複数条のリブを形成して行う請求項3記載の音響機器や映像機器あるいは振動発生源を組み込んだ機器の筐体の組立方法。
  5. 50%圧縮時において、その圧縮応力値が0.1〜0.5fkg/cm2であるホットメルト剤を用いて行う請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載の音響機器や映像機器あるいは振動発生源を組み込んだ機器の筐体の組立方法。
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