JP2006005416A - 移動体無線通信装置、無線通信方法 - Google Patents

移動体無線通信装置、無線通信方法 Download PDF

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Abstract

【課題】移動体無線通信装置が中継器として機能し得る通信網において、比較的多数の移動体無線装置により通信網が形成されるような場合にも、移動体無線装置間における正常な通信が維持されるようにする。
【解決手段】各移動体無線通信装置は、自身をルートとして、現在の移動体無線通信装置のコネクションの確立関係を親子関係により示すルーティングディレクトリ情報を保持するようにしている。そして、このルーティングディレクトリ情報に基づいて、中継器として機能する移動体無線通信装置は、しかるべき移動体無線通信装置を送信先として指定して情報を転送するようにされる。
【選択図】図22

Description

本発明は、主に会話のために、音声情報を無線により送受信する無線通信装置及びその方法に関するものである。
互いに遠隔した場所にいる者同士が会話を行うための通信装置としては、いわゆる携帯電話やトランシーバなどの移動体無線通信装置が知られている。携帯電話は、基本的には1対1での会話に限定されるが、トランシーバでは、複数のユーザ間での同時会話が可能である。
ただし、上記携帯電話やトランシーバは、個々の電波の届く範囲(通信可能範囲)は比較的狭い。そこで携帯電話の通信網に関しては、現状においては中継器を設けることが行われているが、中継器を設置するためのインフラストラクチャの整備などでコストがかかるという問題がある。
そこで、移動体無線通信装置そのものを中継器として動作させる構成が提案されている(例えば特許文献1参照)。このような構成を採れば、例えば移動体無線通信装置Aと移動体無線装置Bとが互いに通信可能範囲になくとも、移動体無線通信装置A及び移動体無線装置Bに対して共通に通信可能範囲に在る移動体無線通信装置Cを中継器として動作させることで、移動体無線通信装置Aと移動体無線装置Bは、移動体無線通信装置Cを介するようにして相互に通信を行うことができる。これにより、中継器を設けなくとも、その移動体無線装置の通信網としての物理的距離範囲が拡がることになる。
特開2000−151497号公報
しかしながら、移動体無線通信装置について単に中継器として機能させるだけの技術構成にとどまった場合には、次のような不都合の生じることが考えられる。
例えば、比較的多数の移動体無線装置により同時会話が可能な通信網を形成するのにあたって、上記したように移動体無線装置に中継器としての機能を与えることとしたような場合には、単に無差別に受信した信号を中継して再送信するだけの構成とすると、比較的近隣にある端末同士で、信号送受信のループが形成されてしまって、正常に通信網がはたらかなくなる可能性も出てくることが考えられる。逆に言えば、通信網において移動体無線装置そのものが中継器として機能するように構成される場合において、上記した送受信経路のループなどの問題が回避されるようにして、比較的多数の移動体無線装置により通信網を形成した場合にも正常な通信環境が維持されるようにすることが、実際には求められている。
そこで本発明は上記した課題を考慮して、移動体無線装置として次のように構成することとした。
つまり、接続確立された他の移動体無線通信装置との間で、無線による情報送受信のための通信を行う通信手段と、この通信手段以外の手段であり、音声情報を外部から取得する音声情報取得手段と、少なくとも、通信手段により受信して取得した音声情報を音声として出力させる音声出力手段と、音声情報取得手段により取得した音声情報を、他の移動体無線通信装置に対して送信するように、通信手段を制御する第1の送信制御手段と、自己をルートとして、接続確立された移動体無線通信装置の親子関係が示される装置関係情報を少なくとも有する通信環境情報を保持する情報保持手段と、通信手段により受信して取得した、他の移動体無線通信装置の通信環境情報に基づいて情報保持手段に保持される通信環境情報を構築する情報構築手段と、通信環境情報を参照して、通信手段により受信して取得した情報を、この情報の送信元となる移動体無線通信装置以外で、自身と通信可能とされる他の移動体無線通信装置に対して送信するように、通信手段を制御する第2の送信制御手段とを備えることとした。
また、無線通信方法として、接続確立された他の移動体無線通信装置との間で、無線による情報送受信のための通信を行う通信手順と、この通信手順以外の手順とされ、音声情報を外部から取得する音声情報取得手順と、 少なくとも、通信手順により受信して取得した音声情報を音声として出力させる音声出力手順と、音声情報取得手順により取得した音声情報を、他の移動体無線通信装置に対して送信するように、通信手順を制御する第1の送信制御手順と、自己をルートとして、接続確立された移動体無線通信装置の親子関係が示される装置関係情報を少なくとも有する通信環境情報を保持する情報保持手順と、通信手順により受信して取得した、他の移動体無線通信装置の通信環境情報に基づいて、上記情報保持手順に保持される通信環境情報を構築する情報構築手順と、通信環境情報を参照して、通信手順により受信して取得した情報を、この情報の送信元となる移動体無線通信装置以外で、自身と通信可能とされる他の移動体無線通信装置に対して送信するように、通信手順を制御する第2の送信制御手順とを実行するように構成することとした。
上記各構成によれば、移動体無線通信装置としては、受信した音声情報を自身で音声出力可能とされていると共に、この受信した音声を、第2の送信制御手段(手順)により、さらに他の移動体無線装置に対して再送信可能とされている。つまり、移動体無線装置としては、中継器としても機能するようにされており、これにより、複数の移動体無線装置間では、同時会話的な通信を行うことが可能とされている。そのうえで、中継器としての機能により再送信される情報は、通信環境情報に基づいて、しかるべき移動体無線装置においてのみ有効に受信取得されるようにされている。
このようにして、本発明としては、自身も中継器として機能可能な複数の移動体無線通信装置により同時会話通信が可能な通信網を形成するのにあたり、通信環境情報に基づいて移動体無線通信装置間の通信情報のルーティングが制御されるようになっているが、、これにより、例えば、比較的多数の移動体無線装置により通信網が形成されるような場合にも、移動体無線装置間における正常な通信が維持されることになる。
以下、本発明の実施の形態について説明を行っていくこととする。
なお、以降の説明は次の順序で行う。

1.無線会話装置(端末)の外観構成
2.基本的な利用形態例
3.端末間での通信網形成例
4.通信網の形成状態の遷移に応じた警告、通知動作
5.無線会話装置(端末)の内部構成例
6.通信環境情報
6−1.端末リスト
6−2.ルーティングディレクトリ情報
7.呼びかけ処理/呼びかけ対応処理
8.会話音声出力処理
9.中継処理
10.警告音、通知音出力処理
11.サーバの利用形態例
1.無線会話装置(端末)の外観構成

図1(a)(b)(c)は、本発明の実施の形態の移動体無線通信装置である、無線会話装置1の外観例を、それぞれ、斜視図、側面図、及び正面図により示している。
なお、本実施の形態の無線会話装置1は、特に基地局、サーバなどを必要とすることなく通信網を形成できるが、この通信網内においては、個々の無線会話装置1が端末であると見ることができる。このことから、以降の説明においては、無線会話装置1については「端末」という場合もある。
この図1に示すようにして、本実施の形態の無線会話装置1は、左イヤパッド2、右イヤパッド3をベルト4により連結した、いわゆるヘッドセットといわれる形態をとっている。また、この場合には、左イヤパッド2に対してアンテナボディ部5が取り付けられている。このアンテナボディ部5内には送受信アンテナ11が収納されている。また、右イヤパッド3にはマイクロフォンアーム7が取り付けられている。
ユーザが、このヘッドセット形態の無線会話装置1を装着すると、ほぼ口の前側となる位置にマイクロフォンアーム7の先端部が在るようにされる。ユーザの発話音声は、このマイクロフォンアーム7の先端にあるマイクロフォン6により収音され、オーディオ信号として得られる。この発話音声のオーディオ信号は、アンテナボディ部5内の送受信アンテナ11から電波として他の無線会話装置1に対して無線送信されることになる。
また、他の無線会話装置1から電波送信された発話音声のオーディオ信号は、送受信アンテナ11により受信され、所要の信号処理を経て左イヤスピーカ2a、及び右イヤスピーカ3aから受話音声として出力される。このようにして、無線会話装置1を装着することで、ユーザは、同じ無線会話装置1を装着して遠隔した場所にいる他のユーザと、会話によるコミュニケーションをとることができる。
2.基本的な利用形態例

続いては、図2及び図3を参照して、本実施の形態の無線会話装置1の最も基本的な利用形態例について説明する。
本実施の形態において、無線会話装置1は、或る特定のグループに属するとされるメンバー間での会話に使用される。これに対応して、図2に示すようにして、無線会話装置1を提供する側では、グループを管理する管理センターを設けている。この管理センターでは、グループの管理として、無線会話装置1を使用するものとして申請されたグループについて、グループごとに固有となるグループIDを付与する。
ここでは、グループのメンバーとされるユーザのうちの一名がグループリーダーとなるようにされる。図2では、ユーザAがグループリーダーである。グループリーダーとしての1名のみが、図示するように、管理センターにグループ申請を行うことができる。管理センターは、申請を行ったグループリーダーにグループIDを発行する。逆にいえば、管理センターからグループIDを発行してもらった1名のユーザがグループリーダーとなる。
なお、管理センターとグループリーダーとの間でのグループ申請とグループIDの発行とを、どのような形態により行うのかは、特にここでは問わない。例えば、パーソナルコンピュータなどのネットワーク機器によりネットワーク経由で管理センターとの手続きを行って、グループIDを取得するようにして、このグループIDを、グループリーダーが所有する無線会話装置1に登録するようにされる。また、この登録も、例えばネットワーク機器と無線会話装置1とを何らかのデータインターフェイス経由(有線/無線を問わない)でグループIDを転送して行われるようにしても良いし、あるいは手動により、例えばグループIDとしての文字列をユーザが所定操作により入力するようにしても良い。
グループリーダーは、グループ内における権限として、グループIDを発行することができる。また、グループ内のメンバーからサブリーダーを選ぶことができる。図2では、グループリーダーのユーザAが、ユーザC,Dをサブリーダーとして選んだうえで、グループIDを発行している。また、ユーザAとユーザBの関係として示すように、グループリーダーは、一般メンバーに対してもグループIDを発行できる。
ここで、図3に無線会話装置1間でのグループIDの発行形態を模式的に示す。
本実施の形態の無線会話装置1は、電波による会話音声の送受信のための通信機能の他に、これよりも近距離でなければ実質的に情報の授受が不可能とされる通信機能を備える。
グループIDの発行は、既にグループIDが登録(記憶)されている無線会話装置1Aと、未だグループIDが登録されていない無線会話装置1Bとを、上記した近距離通信機能に対応する通信網により接続し、この通信網により無線会話装置1Aから無線会話装置1BにグループIDを転送することで行うようにされる。
なお、このような近距離通信網としては、特に限定されるべきものではないが、例えばUSB,IEEE1394などのケーブル接続を伴うデータインターフェイスのほか、赤外線通信やBluetoothなどのような近距離無線通信などを挙げることができる。
サブリーダーは、一般メンバーに対してグループIDを発行することができる。図2では、ユーザCのサブリーダーが、一般メンバーであるユーザE,FにグループIDを発行している。また、ユーザDのサブリーダーが、一般メンバーであるユーザG,HにグループIDを発行している。
また、ユーザG,H間の関係として示すように、仮に一般メンバー同士でグループIDを発行しようとしても、これはできないことになっている。
このようなグループIDの発行形態によると、先ずは、グループIDの発行は、無線会話装置1を所有するユーザ同士が顔を合わせられる程度の近距離でなければ行われないことになる。また、グループIDの発行は、グループを管理するグループリーダーと、このグループリーダー自らが選んだグループリーダーのみによってしか行われないようになっている。これにより、例えばグループリーダーが意図しないようなユーザまでがグループに属してしまうようなことが避けられる。
そして、上記のようにしてグループIDが発行される結果、同じグループIDが登録(記憶された)されたことで同一グループに属するものとされた複数の無線会話装置1が存在することとなる。
本実施の形態では、無線会話装置1を使用しての無線通信による会話は、これらの同一グループに属する無線会話装置1の間でのみ可能とされている。なお、このための技術的構成については後述する。
3.端末間での通信網形成例

続いては、同一グループに属する複数の無線会話装置1による通信網の形成例について説明していくこととする。なお、以降の説明においては、無線会話装置1を端末という。
図4は、本実施の形態における通信網形成の基本を示しているもので、ここでは、黒色の丸印により、同一グループに属する6つの端末A,B,C,D,E,Fが示されている。これらの黒色の丸印により端末間の位置関係が示されている。また、この図では、端末A,B,C,D,E,Fごとの通信可能エリア(通信可能範囲)AR−A,AR−B,AR−C,AR−D,AR−E,AR−F,AR−Gが示されている。ここでの通信可能エリアは、端末の電波の出力強度(電力)に対応したものとされる。
この図においては、端末Aの通信可能エリアAR−A内に端末Bが位置している。また、端末Aは、端末Bの通信可能エリアAR−A内に位置している。つまり、端末A,Bはともに、相手の通信可能エリアAR−B,AR−A内に位置している。このような位置関係にある場合、これら2台の端末A,Bは直接的な相互通信が可能とされる。なお、ここではこのような2者間での直接的な相互通信が可能な状態を「コネクション(接続)が確立」している状態ともいうことにする。この図4、及び以降の図15においてはコネクションが確立している状態を、黒色両方向の矢印によって2つの端末を繋ぐことで表すようにしている。
ただし、端末Aの通信可能エリアAR−A内に位置しているのは、端末Bのみとなるので、端末Aと、残る端末C,D,E,Fとについてはコネクションは確立されない。
また、端末Bを基点としてみると、端末B,Cが相互の通信可能エリアAR−C,AR−B内に位置しているので、端末B,Cの関係としてもコネクションが確立している。また、端末B,Dの関係としてもコネクションが確立している。また、端末Bは、端末Fともコネクションが確立している。
ただし、端末B,Eについては、互いに相手の通信可能エリアAR−E,AR−B内に位置してはいないことから、端末B,E間でのコネクションは確立していない。
この図において、端末Eとのコネクションが確立されるのは、端末Dとなる。端末E,Dは、それぞれが相手の通信可能エリアAR−D,AR−E内に位置している。
なお、端末C,F、端末D,F、端末E,Fの各組についてみると、何れの組も、それぞれが相手の通信可能エリア内に位置しているので、コネクションを確立させることは可能である。しかしながら、例えば端末C,Fの間でコネクションを確立させたとすると、端末B,C,Fの間で、確立されたコネクションのループができあがる。このような状態は、通信網内での情報中継(ルーティング)の経路が2通り以上形成されてしまうが、これは後述するようにして端末のルーティングをディレクトリ形態で管理することと矛盾が生じる。端末D,F、あるいは端末E,Fについても、コネクションを確立させたとすると、端末B,D,F、あるいは端末D,E,Fの間で確立されたコネクションのループができあがり、同様の問題を生じる。このために、端末C,F、端末D,F、端末E,Fについてはコネクションを確立させないようにしている。
このようなコネクションが確立された状態において、例えば端末Aを基点として他の端末との関係について考えてみる。
先ず、端末A,Cは、相互にはコネクションが確立してはいないが、両者は何れも端末Bとコネクションが確立されている。このときに、端末Bが中継器の機能を有していれば、端末Aと端末Cは、端末Bを経由させるようにして、相互通信が可能となる。本実施の形態としては、端末(無線会話装置1)についてこの中継機能を与えているものであり、従って、端末A,Cは、端末Bが中継器として動作することで実際に相互通信が可能となっている。
同様にして、端末Aは、端末F,Dともコネクションを確立できないが、端末Bの中継を介して端末F,Dと相互通信が可能となる。
さらに、端末Aは、端末B、端末Dの2つを中継器とすることで、端末Eとも相互通信が行える。
つまり、端末Aは、自身の通信可能エリアAR−A内にある端末Bだけではなく、コネクション確立で接続される経路を辿っていくことで、この図に示される、通信可能エリアAR−Aの外に位置する他の全ての端末C,D,E,Fとも、相互通信が可能とされるものである。この点については、端末A以外の端末B,C,D,E,Fを基点とした場合においても同様のことがいえる。このことから、図4に示す端末A〜Fの位置状態に応じた通信網が形成されている状態では、端末A〜F間での相互通信が可能となっているものである。これは、トランシーバのようにして、端末A〜Fの間で同時会話が成立することを意味する。また、従来からのトランシーバの場合には、各トランシーバが中継器の機能を有していないので、通信可能エリア内に位置していないトランシーバとの通信は不可能であり、通信可能範囲が狭く限定されていたが、本実施の形態としては、端末そのものが中継器として動作することで、上記もしたように、コネクションが確立された端末の中継を辿っていくようにして、通信可能エリア外の端末との通信が可能とされている。これにより、グループ間での無線会話通信が可能な物理的な距離範囲は大きく拡大される。なお、以降において、端末間で形成される通信網として、これら端末A〜Fから成る通信網のように、グループ内での相互通信が可能とされた1まとまりの通信網については、単位通信網ともいうことにする。
また、ここで、上記のようにして形成される単位通信網において会話のための通信が行われる場合において、この会話音声の聞こえ方について説明しておく。
本実施の形態の端末(無線会話装置1)は、図1に示したように、左右のイヤスピーカ2a,3aを備えてL,Rchステレオ方式により音声出力させることができる。そのうえで、本実施の形態としては、Lch及びRchのオーディオ信号についていわゆるバーチャルサラウンドに対応する信号処理を実行可能とされている。これにより、イヤスピーカ2a,3aから出力される音により形成される音場としては、例えばユーザの頭部周囲360°における任意の角度位置に音像を定位させることが可能とされる。
その処理動作については後述するが、本実施の形態の端末(無線会話装置1)は、他の端末から送信された発話音声のオーディオ信号を受信して、これを受話音声としてイヤスピーカ2a,3aから出力させるときには、自身の現在位置と、自身が現在向いている方角と、発話音声のオーディオ信号の最初の送信元となる端末との位置との関係に基づいて、受話音声の音像定位について、この受話音声の送信元である端末が実際に位置している方向と同じとなるようにして設定する。そして、この設定した音像定位となるようにして、受話音声のオーディオ信号についてのサラウンド信号処理を実行するようにされる。
具体例として、端末Eのユーザが発話した発話音声を、端末Aにて受信して受話音声として出力させるときに、端末Aは図4において矢印aにより示す方向(方角)を向いているとする。この端末が向いている方向とは、端末を装着したユーザの顔が正面を向いている方向となる。この場合、端末Aを装着したユーザには、端末Eの実際の位置関係に対応した、右のやや後ろ方向から、端末Eのユーザの受話音声が聞こえることになる。このようにして受話音声についての音像定位となるようにされることで、同時会話で複数の端末のユーザの受話音声が同時に出力されているときにも、これらの受話音声は、それぞれ、受話音声の送信元の端末との位置関係、向きの関係に応じた方向から聞こえるようにされ、各端末が位置的にどの方向にいるのかが認識できるようになっている。
そして、上記図4に示す状態から、図5に示す位置にまで端末Dが移動したとする。
この図5に示す位置にまで端末Dが移動した状態では、端末Dは、他のどの端末の通信可能エリアからも外れており、従って、図4ではコネクションが確立されていた端末B,Eとのコネクションは何れも切断されることになる。
このようにしてコネクションが切断されることによっては、端末Eと、他の端末との中継点であった端末Dが通信網内に存在しなくなるので、端末Eは、他の端末の何れとも通信不可能な孤立した状態となる。
このような状態になった場合、端末Eは、コネクションを再確立する動作を行う。このコネクションの再確立の動作としては、現在において、自身の通信可能エリア内に位置しているとされる端末を探索して、このような端末が存在していれば、この端末とのコネクションを新規に確立させるようにする。
図5においては、端末Eの通信可能エリアAR−E内には、端末Fが位置している。この場合、端末Eは、端末の探索を実行することによりこの端末Fの存在を認識する。そして、この端末Fとのコネクションを新規に確立させることになる。これにより、端末Eは、その後において、端末A,B,C,Fとの相互通信が可能な状態となる。
このようにして、例えば、中継点となる端末との通信が不能になったことで、他の端末との相互通信が不能になったような場合でも、コネクションの再確立が行われさえすれば、他の端末と相互通信可能な状態を復帰させることが可能となる。
また、図6及び図7により、単位通信網に対して新たに相互通信可能な端末が追加される場合について説明する。
先ず、図6においては、端末A,B,C,Dについて、図示するコネクション確立の関係が得られていることで、これら端末A,B,C,Dの間での相互通信が可能とされ、1つの単位通信網が形成されている。そして、この単位通信網に対して、図示する方向から端末Eが物理的に移動したとする。
上記のようにして端末Eが移動して、図7に示す位置にまで至ったとする。この端末Eの位置では、端末Eと端末Dとが互いの通信可能エリアAR−D,AR−E内に在る状態となっている。このために端末Eは、端末Dと新規コネクションを確立することになる。
このようにして端末Eが端末Dとコネクションを確立させた結果、端末Eは、端末Dを中継点として端末B,Cとも相互通信が可能となる。さらに端末Eは、端末D,Bを中継点として端末A,Cとも相互通信が可能となる。つまり、端末A,B,C,Dの全てと相互通信可能となるもので、これら端末A,B,C,Dから成る単位通信網に対して端末Eも追加されるようにして組み込まれたことになる。
4.通信網の形成状態の遷移に応じた警告、通知動作

本実施の形態の端末(無線会話装置1)のように、移動無線通信装置は、通信を行っている最中においても、例えばユーザが実際に場所を移動するのに応じて、その位置が移動していくものである。このために、例えばこの移動に伴って端末が通信可能エリアから外れてしまって通信不能になるなど、通信網の状態が遷移していくことは当然想定されるもので、また、このような状況となることは避けられるものではない。このことから、移動体無線装置を中継器とする通信網が正常に通信できる環境を整えることにとどまるのではなく、さらに推し進めて、上記したような移動体無線装置の移動に伴う通信状態の変化に対して、できるだけ適切とされる処置が執られるようにすることが好ましい。そこで、本実施の形態としては、以降説明するようにして、通信網が遷移するのに応じて警告、通知が行われるようにしている。
例えば、図8においては、図7と同様にして、端末A,B,C,D,Eにより1つの単位通信網が形成されている状態を示している。ここで、端末Eが破線の太い矢印で示す方向に移動していったとすると、この端末Eは、コネクションを確立している端末Dの通信可能エリアの限界である通信可能限界エリアAR−D(Lim)に近づいていくことになる。通信可能限界エリアAR−D(Lim)は、対応する端末Dの電波強度に対応するもので、端末D以外の端末が通信可能限界エリアAR−D(Lim)よりも外に位置すると、端末Dとコネクションを確立させるのに足るとされる通信の安定性は得られないものとされる。
例えば、各端末は、通信を行っているときに相手の電界強度などを検出している。この図の場合、端末Dは、端末Eとの通信における電界強度が一定以下となっていることで、通信可能限界エリアAR−D(Lim)付近に端末Eが位置していることを認識する。同様に。端末Eも、端末Dとの通信における電界強度が一定以下となっていることで、自身の通信可能限界エリア付近に端末Eが位置していることを認識する。
このような認識結果が得られるのに応じて、端末Dは、端末Eとのコネクションが切断されそうになっていることを示す切断警告音を出力する。同様にして、端末Eも、端末Dとのコネクションが切断されそうになっていることを示す切断警告音を出力する。
このような警告音を出力する機能は、例えば現状においても携帯電話において備えられてはいるが、これは一般的には単に所定の電子音パターンを出力させるのみとなっている。これに対して、本実施の形態としては、より高い警告音の出力機能が与えられる。
つまり、この場合において、端末Dにて出力する切断警告音は、端末Eとのコネクションの切断を警告するものである。そこで、本実施の形態としては、端末Dの現在位置に対して端末Eが位置する方向から聞こえるようにして切断警告音を出力する。また、端末Eにおいては、端末Dが位置する方向から聞こえるようにして切断警告音を出力する。
このような切断警告音の出力も、先の受話音声の出力と同様に、自身の現在位置と、自身が現在向いている方角と、コネクションが切断されそうな相手の端末との位置との関係に基づいて、この相手の端末が実際に位置している方向と同じとなるようにして切断警告音の音像定位を設定し、切断警告音のオーディオ信号についてのサラウンド信号処理を実行するようにされる。
そして、上記図8に示す状態から、端末Eがさらに破線の太い矢印が示す方向に移動していき、図9に示す位置にまで至ったとする。
この状態では、端末Eは、端末Dの通信可能限界エリアAR−D(Lim)から完全に外れているので、端末Dとのコネクションは切断されることになる。
このようにして端末間のコネクションが切断されると、本実施の形態では、コネクションの切断が生じた端末にて、コネクションが切断されたことを通知するとともに、コネクションが切断した相手端末の位置する方向をその音像定位により示す、切断通知音を出力するようにされる。
この場合において、切断通知音について、コネクションが切断した相手端末の位置する方向に対応する音像定位は、先に説明した受話音声、切断警告音などと同様に、自身の現在位置と、自身が現在向いている方角と、コネクションが切断された相手の端末との位置に基づいて得るようにされる。
但し、より詳しい説明は後述するが、コネクションが切断された相手の端末の位置情報は、この相手の端末側から送信されたものを取得するようにされる。従って、図9の場合において、端末Dが受信取得できる端末Eの最後の位置情報は、位置Peに端末Eが位置していたときのものとなり、図9に示す状態に至ったときの実際の端末Eの位置とは異なってくる。このために、端末Dにて出力される切断通知音は、細い矢印Ybとして示すように、位置Peに対応する音像定位により聞こえるものとなる。ただし、位置Peと、図9に示す時点での実際の端末Eの位置のずれは大きなものではないので、切断通知音を聴いてユーザが端末Eの方向を認識するのに特に不都合はない。
これに対して、端末Dはここでは移動していないものとされていることから、端末Eが最後に取得した端末Dの位置情報は、図9に示す時点での実際の端末Dの位置とほとんど同じであり、従って、端末Eでは、細い矢印Yaとして示す方向から到来するような音像定位により切断通知音が聞こえることになる。
上記図8及び図9は、単位通信網において中継点となっていない、末端の端末のコネクションが切断された場合を示している。これに対して、中継点となっている端末のコネクションが切断される場合を図10、及び図11により説明する。
ここで図10に示すようにして、端末A,B,C,D,Eにより1つの単位通信網が形成されている状態において、端末Dが太い破線の矢印で示す方向に移動して、この時点では図示する位置にあるものとする。
端末Dは、この位置状態においては、端末B,Eの双方とコネクションが確立している。このように複数の端末とのコネクションが確立しているということは、その端末が中継点として機能していることを意味する。
ただし、この端末Dの位置状態としては、コネクションは未だ確立してはいるものの、端末B,Eの双方の通信可能限界エリアAR−B(Lim),AR−E(Lim)に近づいており、端末D−B間の通信の電界強度、及び端末D−E間の通信の電界強度も一定以下になっているものとされる。
このような状態では、端末B,D,Eのそれぞれにて切断警告音が出力されることになる。
端末Bでは、端末Dとのコネクションの切断を警告する切断警告音が出力される。端末Dでは、端末Bとのコネクションの切断を警告する切断警告音と、端末Eとのコネクションの切断を警告する切断警告音とが出力される。端末Eでは、端末Dとのコネクションの切断を警告する切断警告音が出力される。
なお、これらの端末B,D,Eにて出力される切断警告音としても、前述したように、コネクションが切断しそうな相手端末の位置に応じた方向から聞こえるように音像定位が設定されている。従って、例えば端末Dのユーザは、端末Bに対応する切断警告音と、端末Eに対応する切断警告音とを、これらの端末の位置に応じた互いに異なる音像定位により、同時的に聴くことになる。
そして、上記図10に示す状態から端末Dがさらに移動して、ある時点で図11に示す位置に至ったとする。
この状態では、端末Dは、端末B,Eのいずれの通信可能限界エリアAR−B(Lim),AR−E(Lim)からも外れているので、端末B,Eとのコネクションは切断されたことになる。
この場合において、端末B及び端末Eでは、先の図9における端末Dと同様にして、これら端末B及び端末Eが最後に取得した端末Dの位置情報である位置Pdの方向に対応する音像定位(矢印Ya、Ybにより示す)が設定された切断通知音が一定時間出力されることになる。
また、この場合の端末Dにおいては、端末Bとのコネクションの切断と、端末Eとのコネクションの切断が生じている。このような場合は、両者に対応する2つの切断通知音を、端末B,Eとの各位置、方向関係に応じた音像定位により出力させることとする。
図11の場合、端末Dが最後に取得した端末B,Eの各位置情報(この場合には、端末B,Eの移動はないので、図示する現在位置と同じとなる)と現在の自身の位置情報とに基づいて、端末Dとしては、端末Bの位置方向に対応する音像定位(矢印Ycにより示す)を設定した切断通知音と、端末Eの位置方向に対応する音像定位(矢印Ydにより示す)を設定した切断通知音とを同時的に一定時間出力するようにされる。
なお、コネクションが切断された複数の相手端末のうちから、最も距離的に近い端末に対応する切断通知音のみを出力させるようにすることも考えられる。
上記図8、図9、図10、図11により説明したようにして、本実施の形態では、コネクションが確立されている端末同士において、コネクションが切断しそうな状態となったときには、相手端末の位置が認識できるようにして音像定位が設定された切断警告音が出力される。
また、コネクションが切断された状態に遷移したのに応じては、コネクションが切断した相手端末の位置が認識できるようにして音像定位が設定された切断通知音が出力される。
このような切断警告音や切断通知音が出力されることで、これを聴いたユーザとしては、コネクションが切断しそうな相手端末、若しくはコネクションが切断してしまった相手端末が、自身の位置からどの方角に位置しているのかを知ることができる。そして、例えばユーザが、コネクションの確立をもっと安定したものにしたり、あるいはコネクションの確立を復帰させたいと思い、より強い電界強度が得られるように相手端末にできるだけ近づきたいとおもったときにも、そのための移動方向を、これらの通知音から判断した端末の方向に応じて容易、かつ即座に判断できることになる。
また、図12〜図14により、本実施の形態における端末探索に関して説明する。
ここで、図12に示すようにして端末A,B,C,D,Eがコネクション確立を得ていることで、1つの単位通信網を形成している状態において、端末Dが太い破線の矢印で示す方向に移動しており、現在は、この図に示す位置に在るとする。この端末Dの位置は、端末Bの通信可能限界エリアAR−B(Lim)に近く、端末Dと端末Bの通信状態として、一定以下の電界強度となっている。これにより、端末Dと端末Bにて、互いに相手の端末を対象とする切断警告音が出力されている状態にある。
なお、この場合の端末Dの移動経路は、図12からも分かるように、端末Eの通信可能エリアAR−E内に在るものとなる。このために、端末Dと端末Eとの間のコネクションの確立は維持される。
そして、上記図12に示す位置から端末Dがさらに移動して、図13に示す位置にまで至ったとする。
この端末Dの位置は、端末Bの通信可能限界エリアAR−B(Lim)を完全に越えているので、端末D,Bのコネクションは切断される。これに応じて、端末D,Bにおいては、矢印Ya,Ybにより示すように、互いに相手の端末を対象とする切断通知音が一定時間出力されることになる。なお、この場合にも、端末B側では、端末Dについて最後に取得した位置情報が示す位置Pdに対応する音像定位を設定した切断通知音となる。
なお、端末Dは、この位置状態においても、端末Eの通信可能エリアAR−E内に在るので、端末D,E間のコネクションの確立は維持されたままである。
この図13に示すようにして、端末Dと端末Bとがディスコネクションしたことに応じては、端末A,B,Cのコネクションによる単位通信網と、端末D,Eのコネクションによる単位通信網との、2つの単位通信網が形成されることになる。
例えば本実施の形態の端末を用いたグループ内の通信としては、上記のようにして、複数の単位通信網に分かれることは好ましくなく、できるかぎり、全てのグループのメンバーの端末が1つの単位通信網にまとめられるべきであることが必要な場合があると考えられる。そこで、このような必要性のあることを考慮して、本実施の形態としては、以降の説明のようにして、主となる単位通信網から一旦分離されてしまった単位通信網に在るとされる端末が、上記主となる単位通信網に復帰できるようにするための再ルーティングが行われるようにされる。
ここで、図13に示される複数の通信網のうち、端末A,B,Cから成る単位通信網が、主となる単位通信網(主単位通信網)であり、端末D,Eから成る単位通信網が、端末Dの移動に伴って主単位通信網から分離してしまった分離単位通信網であるとする。
なお、単位通信網とすることの根拠としては、特に問わないが、例えば、特定の代表者の端末が存在する単位通信網とすることなどが考えられる。ここでは、上記特定の代表者として、グループリーダーの端末が存在する単位通信網が主単位通信網であるとする。また、グループリーダーの端末は、ここでは端末Aであるとする。
このようにして分離単位通信網に属することとなった端末D,Eのうちで、端末Dについては、端末Bを対象とする切断通知音が出力されるので、この段階でユーザは、単位通信網(この場合には主単位通信網)から外れたことに気付く。そこで、例えばユーザにお判断によって切断通知音が定位する方向に近づいていくなどして、単位通信網に復帰することもできる。
しかしながら、端末Eのほうでは、端末Dとのコネクションの確立が維持され続けていることで、切断通知音が出力されることはない。これまでの説明から理解されるように、切断通知音は、あくまでも端末間の直接的接続であるコネクションが切断されたときに出力されものだからである。
また、図12の説明によっても分かるように、同様の理由で、端末Eにおいて切断警告音も出力されることはない。
このため、端末Eを装着しているユーザにとって見れば、端末A,B,C,Dの全てのグループメンバーと会話通信が可能とされていたのに、何の警告や通知もなく、いきなり端末A,B,Cのメンバーとの会話通信が不能になって端末Dのみとの会話通信士か行えなくなってしまったように捉えられてしまう。
また、端末Eが主単位通信網から外れてしまったのは、自身の中継点であった端末Dが主単位通信網から外れたことが原因であるから、場合によっては、端末Eの主単位通信網への復帰は、端末Dの移動状態に依存することになってしまい、端末Eのユーザが不利益を被るという問題もある。
そこで、本実施の形態としては、このような不都合を回避するために、つぎのような対策を講じる。
ここで、図13の端末Eは、自身の中継点となる端末(D)が主単位通信網から外れてしまったことが原因で分離単位通信網に属することとなってしまったことで、切断警告音も切断通知音も出力されない端末であるということになる。このような端末は、
a.主単位通信網から分離した分離単位通信網に属する
b.主単位通信網に属していたときと、分離単位通信網に属したときとで、コネクションの確立関係は変化しない
ということの2つの条件a,bを満足している。本実施の形態では、この2つの条件a,bを満足することとなった端末は、分離単位通信網に属したことを通知する分離通知音を出力するようにされる。この分離通知音も、例えば一定時間出力されるようにすればよい。なお、端末が、自身について上記条件a,bを満足しているか否かについて、どのようにして判断するのかについては後述する。
図13の場合であれば、図示するようにして、端末Eが分離通知音を出力することになる。この分離通知音を聴いた端末Eのユーザは、自分がグループの主単位通信網から外れたことを知ることになる。
そして、自分がグループの主単位通信網から外れたことを知った端末Eのユーザは、自らの意志として主単位通信網に戻りたいと思ったときには、例えば端末E(無線会話装置1)に対する所定操作を行って、図14に示すようにして、端末探索モードを設定するようにされる。
この端末探索モードが設定されると、無線会話装置1は、現在において、主単位通信網に属していると考えられる端末のうちから、物理的に最短距離にあるとされる端末を特定するようにされる。
このためには、端末Dが端末Bとのコネクションを確立させていたとき、つまり、端末Eにとってみれば、端末Dを中継点として主単位通信網に属していたときにおいて、通信環境情報として最後に得られた他の端末の位置情報と、現在の自身の位置情報とを参照するようにされる。
図14の場合であれば、端末Eでは、最後に取得した端末A,B,Cの位置情報と、現在の自身の位置情報とを参照し、端末A,B,Cのうちから最短距離に位置する端末として端末Cを特定することになる。
そして、端末Eは、現在の端末Eの位置から最短距離に在る端末Cの方向を通知するための端末方向通知音を出力する。この端末方向通知音としても、端末Cの位置情報と、端末E自身の位置情報、及び方角情報とにより、現在の端末Eが向いている方向と、端末Cとの位置関係に応じて、端末Cが位置する方向(矢印Yaにより示す)に対応する音像定位を求め、この音像定位により聞こえるように、端末方向通知音のオーディオ信号についてサラウンド信号処理を実行するようにされる。
この端末方向通知音を聴くことで、主単位通信網に属しているとされる端末のうちで、自身に最も近距離にある端末の方向を知ることができる。ユーザが、このときに主単位通信網への帰属を復帰させたいと思っていたのであれば、ユーザは、この端末方向通知音をたよりに、その端末方向通知音が聞こえてくる方向(音像定位)に移動していくようにされる。これにより、端末Eは、主単位通信網に属しているとされる端末Cに近づいていくことになる。
そして、上記のようにして端末Eが端末Cに対して近づいていった結果として、図15に示す位置状態に遷移したとする。
この図15に示す位置状態では、端末Eは、端末Cの通信可能エリアAR−C内に位置しているので、端末Cとの間に新規コネクションを確立することになる。これにより、端末Eは、主単位通信網への帰属が復帰したことになる。つまり、以降において、端末A,B,Cとの相互通信が可能となる。
なお、この場合には、端末Dと端末Eとについては、端末Eが端末Dの通信可能エリアAR−Dから外れることになるので、コネクションは切断される。このために、端末Eにおいては、矢印Yaにより示す端末Dの位置方向(端末Eの移動中、端末Dは移動していない)に応じた音像定位による切断通知音が出力され、端末Dにおいては、端末Eとのコネクションが確立しているときに最後に得られた位置情報により、矢印Ybにより示す位置Peの位置方向に応じた音像定位による切断通知音が出力される。
5.無線会話装置(端末)の内部構成例

以降、これまで説明した通信網の形成や、警告音/通知音の出力を実現するための構成について説明していくこととし、先ず、実施の形態の端末である無線会話装置1の内部構成例について説明する。
先ず、送信系から説明する。
マイクロフォン6は、図1に示したように、ユーザの発話音声を収音してオーディオ信号を得るためのものである。このマイクロフォン6により収音して得られたオーディオ信号は、A/D変換器19によりデジタルオーディオ信号に変換されたうえで、暗号化処理部20に対して入力される。
暗号化処理部20においては、発話音声についての暗号化を施すのであるが、このときの暗号化鍵には、グループIDに基づいたものを使用する。後述するようにして、グループIDは、例えばNVRAM(不揮発性(Non-Volatile)RAM)30に記憶されており、暗号化処理が実行されるときには、制御部26が、NVRAM30から読み出したグループIDを暗号化処理部20に転送したうえで、暗号化処理部20に対して暗号化処理を指示する。図2及び図3により説明したように、グループIDは、グループごとに固有で管理センターからグループリーダーに配布されるもので、その後、グループの各メンバーが所有する無線会話装置1に書き込んで記憶させるようにして登録される。図16の場合には、制御部26内のNVRAM30に記憶させることとしている。このようにして無線会話装置1に記憶されるグループIDとしては、同一のグループメンバーの無線会話装置1であれば、同一のグループIDが登録されていることになる。
上記暗号化処理部20により暗号化が施されたデジタルオーディオ信号は、パケット処理部21に対して入力されることで、無線送信フォーマットに適合したパケットの構造に変換されることになる。
本実施の形態の送受信データとなるパケットの構造は、例えば図17に示すようにして、先頭に配置される所定データサイズのパケットと、このパケットに続くオーディオ信号データとなる。また、ヘッダには、例えば図示するようにして、送信元端末の通信環境情報と、送信源端末の通信環境情報、送信元端末からの送信先の端末を示す送信先端末ID、及びその他所要の情報が格納されて成る。通信環境情報は後述するようにして、各端末において保持される情報で、本実施の形態の単位通信網における端末間での無線会話通信が適正に実行されるために必要な情報である。また、ここでの送信元端末とは、この図に示すパケット構造のデータを実際に送信出力する端末のことを指す。これに対して送信源端末とは、最初にこのパケット構造におけるオーディオ信号を生成して送信出力した端末となる。つまり、送信源端末は、最初に、発話音声を送信出力した端末である。送信元端末は、最初に発話音声を送信出力した端末である場合と、他の端末から送信されてきたオーディオ信号を、さらに他の端末に送信する中継器としての端末の場合とがある。
これらのヘッダに格納される付加情報は、制御部26が保持している情報、あるいは生成した情報である。
図16においてパケット処理部21は、例えば上記図17に示したパケット単位のシーケンスによる送信データを、送信部22に対して送信する。
送信部22においては、入力されたパケット単位の送信データについて、無線送信フォーマットに対応する所定のキャリア変調処理などを施して送信電波として出力する。この送信電波は、制御部26の送受信経路の切り換え制御によって、切り換え器30を介して送受信アンテナ11に供給され、ここから送信電波が空間に伝搬されることになる。
また、他の無線会話装置1からの送信電波は、送受信アンテナ11により受信される。この受信波は、制御部26の送受信経路の切り換え制御によって、切り換え器30を介して受信部12に入力される。
受信部12では、入力された受信波についてキャリア復調などをはじめとした所要の受信復調処理を実行することで、パケット単位(図17)のシーケンスによる構造の受信データを得て、パケット処理部13に対して入力する。
パケット処理部13においては、入力されたパケットを解いて、個々に格納されていた情報を抽出分離する処理を実行する。そして、ヘッダに格納されていた各種所要の情報については、制御部26に対して転送する。また、ペイロードであった暗号化デジタルオーディオ信号は、暗号化復号処理部14に対して入力される。
ここで、図17に励磁したように、パケットのヘッダには送信先端末IDが格納されているが、この送信先端末IDも制御部26に転送されることになる。制御部26では、この送信先端末IDのなかで、自身の端末IDと一致しているものが在るか否かについて判別する。つまり、受信した情報が、自身を送信先として指定して送信されてきたものであるか否かについて判別する。ここで、受信情報が、自身を送信先として指定して送信してきたものであることを判別した場合には、ペイロードの暗号化デジタルオーディオ信号についての処理を実行するが、自身を送信先として指定して送信してきたものでないことを判別した場合には、暗号化デジタルオーディオ信号についての処理は実行しないようにされる。これにより、自身を送信先として指定していない情報が受信されたときに、これをデコードして音声として出力させてしまうという誤動作が生じないようにされる。
暗号化復号処理部14においては、入力された暗号化デジタルオーディオ信号について、暗号化を解くための処理を実行するが、このためには、復号鍵として、当該無線会話装置1の制御部26がNVRAM30に記憶保持しているグループIDに基づいたものを利用するようにされる。
前述したように、送信系においても、発話音声のオーディオ信号は、自己が保有するグループIDを用いて暗号化されており、受信処理系においても、同様にして自己が保有するグループIDを用いて暗号化を復号するようにしている。
このことは、暗号化復号処理部14による復号は、同じグループIDを保有している他の無線会話装置1から送信された暗号化オーディオ信号でなければ復号ができないことを意味する。つまり、本実施の形態では、同じグループIDを保有する無線会話装置1同士でなければ、無線会話ができないようになっている。また、このことは、本実施の形態のグループIDを用いたオーディオ信号の暗号化/復号化処理は、例えば送受信のキャリア周波数の割り当てやスペクトラム変調などに依らなくとも、他のグループの無線会話装置1との混信を適正に防止する技術要素になっているということも意味する。
暗号化復号処理部14により復号化して得られたオーディオ信号は、オーディオ信号処理部15に対して入力される。また、オーディオ信号処理部15に対しては、制御部26によって発生された電子音的なオーディオ信号なども入力されるようになっている。このような電子音的なオーディオ信号は、例えば各種の通知音、警告音の元となるものである。
オーディオ信号処理部15は、いわゆるDSP(Digital Signal Processor)を備えて構成され、入力されたオーディオ信号について所要の信号処理を実行する。ここでの信号処理の1つとして、図4〜図15により説明したようにして、受話音声、及び各種の警告音、通知音のオーディオ信号については、必要に応じて、バーチャルサラウンド処理を施すようにされている。バーチャルサラウンド処理により、どのような音像定位とするのかは、自己の現在位置情報と、方角情報、及び他の所要の無線会話装置1の位置情報などに基づいて、制御部26が判断する。制御部26では、判断した音像定位が得られるように、オーディオ信号処理部15における所要のバーチャルサラウンド処理のためのパラメータを変更設定する。
オーディオ信号処理部15からは、L(左),R(左)による2chのデジタルオーディオ信号を生成して、D/A変換器16に対して出力する。D/A変換器16においては、入力された2chのデジタルオーディオ信号をアナログオーディオ信号に変換して、例えばここでは図示していない増幅回路系により増幅を行ったうえで、左イヤスピーカ2a、右イヤスピーカ3aから出力させる。
制御部26は、例えば図示するようにして、CPU27、ROM28、RAM29を備えたマイクロコンピュータとして構成され、無線会話装置1全体についての各種所要の制御処理を実行する。CPU27は、例えばROM28(及びNVRAM30)に記憶されているプログラムに従った処理を実行することで、各種の制御処理動作を行うようにされる。また、RAM29は、CPU27が各種の処理を実行するときの作業領域として利用される。また、この場合には、書き換え可能であり、かつ、電源供給が絶たれても記憶内容を保持可能なNVRAM30を備えることとしている。
また、制御部26に対しては、メモリドライブ23、位置情報取得部24、地磁気センサ25、近距離通信部32、及び操作部31が接続されている。
メモリドライブ23は、図1に示したカード型メモリ7を挿脱可能とされており、カード型メモリ7が装着された状態では、制御部26の制御に応じて、このメモリドライブ23に対してデータの書き込み/読み出しを実行することができる。
位置情報取得部24は、当該無線会話装置1の位置情報を取得可能なデバイスから成るものであり、例えばGPS(Global Positioning System)に対応したデバイスを用いれば、少なくとも緯度/経度による位置情報を得ることができる。この位置情報取得部24により取得された位置情報は、制御部26が取り込んで利用する。
地磁気センサ25は、そのときの向きなどの状態に応じた方向(方角)を検出して、その検出して得られた方角情報を制御部26に出力する。制御部26では、この地磁気センサ25の方角情報に基づいて、現在、無線会話装置1が向いているとされる方角の情報を得るようにされる。先にも述べたように、無線会話装置1が向いている方向とは、ユーザが無線会話装置1を装着した状態で、正面を向いている方角に対応する。
近距離通信部32は、送信部22,受信部12による無線通信に対して、より近距離の範囲で限定される通信を行うために設けられるもので、図3により説明したようにして、グループIDを発行するときなどに用いられる。また、この近距離通信部32としては、図3でも述べたように、有線、無線に限定されることなく、近距離に限定される通信フォーマットに対応したデータインターフェイスのデバイスとして構成されればよい。
また、この図では、操作部31が示されている。この操作部31は、例えば図1に示した無線会話装置1の本体における所要の位置に対してユーザが操作可能に設けられる操作子を備えて成るものとされる。この操作部31としての所定の操作子に対して行われた操作に応じた操作信号は制御部26に出力される。制御部26では、入力された操作信号に応じて所要の制御処理を実行するようにされる。
6.通信環境情報
6−1.端末リスト

続いては、制御部26が、無線会話装置1同士の通信網の形成や、警告音/通知音の出力を適正に実行するのに必要とされ、自身が保持する情報である、通信環境情報について説明する。通信環境情報としては、端末リストとルーティングディレクトリ情報とから成る。通信環境情報は、以降の説明から理解されるように、例えば通信網を形成する端末(無線会話装置1)のコネクション状況などに変更が生じるごとに、これに応じて更新される情報である。そこで、本実施の形態としては、通信環境情報は、NVRAM30に記憶されるようにして保持されるものとする。
通信環境情報である端末リストとルーティングディレクトリ情報のうち、先ず、端末リストの情報について説明する。
端末リストは、図18に示すようにして、自身を含み、自身と単位通信網を形成している(直接的或いは中継点の端末を介して自身と相互通信可能な他の端末についての端末情報がリスト形式で管理される。
ここで図18は、先に図4に示した単位通信網の形成状態に対応した端末Aの端末リストとされる。この場合、端末Aは、端末B,C,D,E,Fと相互通信可能であるので、先ず、自身である端末Aの端末情報と、さらに端末B,C,D,E,Fの端末情報のリストにより端末リストが形成される。
また、端末ごとの端末情報の内容としては、ここでは、端末ID、グループID、ユーザ名、メンバー区分、及び位置情報から成るものとされる。
先ず、端末IDは、端末ごとに固有に割り与えられるIDである。この端末IDの実際としては、例えば端末としての機器(無線会話装置1)ごとに固定となる、例えばMAC(Media Access Control)アドレス的な値や、機器のシリアルナンバなどの情報を利用することが考えられる。なお、端末の使用は、あくまでグループ内での通信のみとし、グループ範囲を越えた端末間の相互通信は行わないものとする仕様とするのであれば、グループ内のみで管理しているIDを端末IDとして、端末ごとに割り当てて登録させるようにしても良い。
グループIDは、対応する端末に与えられたグループIDを示す。本実施の形態では、同じグループIDを保持する端末同士でのみ無線会話通信が可能とされているので、端末リストにおける各端末ごとのグループIDは原則として同じ値となる。
ユーザ名は、対応する端末のユーザ名を示す。このユーザ名は、各端末装置において、例えば操作部31に対して行う文字入力操作によって入力することができる。
また、図2により説明したように、グループメンバーは、グループリーダー、サブリーダー、及び一般メンバーのいずれかであるものとして区分されているが、メンバー区分は、対応する端末のユーザのメンバー区分を示す。図18では、端末Aのユーザがグループリーダーであり、端末B,Cの各ユーザがサブリーダーであり、残る端末D,E,Fのユーザが一般ユーザであることとして示されている。
なお、各端末における自身のメンバー区分の設定は、例えばグループIDを登録するときに、メンバー区分も指定させることで、グループIDとともにメンバー区分も、自身の端末情報の要素として端末リストに格納されるようにすることが考えられる。
位置情報は、対応する端末の位置を、この場合には緯度/経度により示す情報とされる。
この端末リストとしては、先ずは、自身についての端末情報が格納されていることからも分かるように、自身の端末情報を管理する領域であるということがいえる。さらに、他の端末についての端末情報も格納されることから、現在において、自身と共に単位通信網を形成している各端末が、どのような端末であるのかを把握するための情報であるということにもなる。

6−2.ルーティングディレクトリ情報

上記端末リストによっては、自身と共に単位通信網を形成している端末ごとについての情報は得られるが、これらの端末間でどのようなコネクション確立(ルーティング)を行っていることで、単位通信網が形成されているのかを知ることはできない。このような単位通信網を形成する端末間でのルーティングがどのようになっているのかを示すのがルーティングディレクトリ情報である。
図19には、先に図4及び図5により説明したルーティングの遷移に応じて、端末A〜Fの各々が保持するルーティングディレクトリ情報の内容を示している。
先ず、図19(a)〜(f)には、図4に示されるコネクションの確立状況に対応する、端末A〜Fの各々のルーティングディレクトリ情報を示している。
ルーティングディレクトリ情報は、自身の端末を基点(ルート)として、ツリー(ディレクトリ)構造(親子関係)により、端末間のコネクション確立関係を示す。
この点について、図19(a)に示す端末Aのルーティングディレクトリ情報を例に挙げると、先ず、ルートには自身である端末Aがおかれる。図4を参照すると、端末Aとコネクションを確立している端末は端末Bのみである。これに応じて、端末Aのルーティングディレクトリ情報では、端末Aの子として端末Bが連結される。
続いて、図4によると、端末Aの子である端末Bに対してさらにコネクションが確立される端末、つまり、端末Aに対して孫となる端末は、端末B,C,Dであることがわかる。これに対応して、端末Aのルーティングディレクトリ情報では、端末Bの子として端末C,D,Fが並列的におかれることになる。そして、これらの端末Aの孫となる端末C,D,Fのうちで、さらに子となる端末を持つのは、図4によると、端末Eとコネクションが確立される端末Dであることがわかる。そこで、図19(a)に示す端末Aのルーティングディレクトリ情報では、端末Dに対しては子となる端末Eがおかれる。
このようにして、図19(a)に示すルーティングディレクトリ情報としては、自身である端末Aを基点として、単位通信網を形成している(相互通信が可能な)端末間でのコネクションの確立状況がどのようになっているのかを示すものとなる。
詳しい説明は省略するが、残る図19(b)〜(f)に示すルーティングディレクトリ情報は、図4に示す端末B〜端末Fの各々が保持するもので、それぞれ、自身の端末をルートとしたうえで、親子関係(階層関係)により、同一グループで同じ単位通信網を形成する他の端末とのコネクション確立の関係を示している。
そして、図4に示す状況から、端末Dが物理的に移動をして、図5に示す状況になったとすると、端末Dは、これまでの端末B,Eとのコネクションが切断されることで、単位通信網からは外れることになる。また、端末Eは、端末Fと新規コネクションを確立することで、単位通信網に復帰している。
このような状況変化に応じて、図19(a)〜(f)に示した端末A〜端末Fの各ルーティングディレクトリ情報は、それぞれ図19(g)〜図19(l)に示すようにしてその内容が更新されることになる。
つまり、端末Dについてみれば、図19(d)から図19(j)への変化として示すように、単位通信網から外れたことで、ルーティングディレクトリ情報としてはルートの端末Dのみがおかれることになる。
また、端末Eについては、端末Fとの新規コネクションを確立して図5に示す他の端末との接続関係を得たことで、ルーティングディレクトリ情報としては、図19(k)に示すようにして、自身の端末Eをルートとして、その子に端末Fがおかれることになる。さらに、この端末Fの子として端末Bがおかれ、さらに端末Bに対しては、子として端末A,Cがおかれるものとなる。また、上記図19(j)はもちろんのこと、この図19(k)をみても、単位通信網から外れた端末Dは、ツリー構造のなかにおかれていないことがわかる。
また、詳しい説明は省略するが、上記端末E、端末D以外の他の端末A,B,C,Fのルーティングディレクトリ情報も、図19(g)(h)(i)(l)に示すようにして、図5に示すコネクション確立の状況に応じてその内容が変更されている。
7.呼びかけ処理/呼びかけ対応処理

以降、端末(無線会話装置1)における各種動作を実現するために制御部26(CPU27)が実行する処理動作について説明する。
単位通信網は、例えば最初に或る2つの端末が新規コネクションを確立して最初に単位通信網を形成したとされる状況を基点として、さらに他の端末が、この単位通信網に帰属している端末の何れか1つと新規コネクションを確立して新たに単位通信網に帰属するようにされる(図6、図7の端末E)、ということを繰り返して、単位通信網に帰属される端末を増加させていくということがいえる。従って、本実施の形態において単位通信網形成の基本となるのは、2つの端末間において、最初に新規コネクションを確立することであるといえる。また、各端末においては、上記図18及び図19により説明した通信環境情報(端末リスト、ルーティングディレクトリ情報)が、例えば、自身端末及び他端末のコネクションの新規確立や、切断などに応じて、自身をとりまく通信網形成状況の遷移に応じて適正に変更(再構築)されるようにする必要がある。
図20のフローチャートは、新規コネクションの確立と、通信状況情報の適正な再構築を実現するもので、2つの端末間で行われる呼びかけ処理と、この呼びかけ処理に応答した呼びかけ対応処理とを示す。
ここでは、端末(無線会話装置1)Aと端末Bとの間での処理として示している。
先ず端末Aの制御部26は、ステップS101において呼びかけ処理の開始タイミングとなるのを待機している。
本実施の形態において、呼びかけ処理は、一定時間おきに全ての端末が実行するものとされ、ステップS101の処理は、例えば計時結果などに基づいて、この呼びかけ処理を実行開始するタイミングに至ったか否かについて判別しているものである。
そして、ステップS101において呼びかけ処理を実行開始すべきタイミングに至ったとされるとステップS102以降の処理に進むことになる。
ステップS102においては、呼びかけ信号を生成する。この呼びかけ信号は、他の端末に対するコールであり、このコールに対するレスポンスを要求するコマンドとされる。そして、この呼びかけ信号には、自身のNVRAM30にて保持している最新の端末リストから、自身の通信環境情報(自身の端末リスト、及びルーティングディレクトリ情報)を所定のデータ構造により含めることとしている。
そして、制御部26は、ステップS103の処理として、上記のようにして生成した呼びかけ信号を送信出力させるための制御処理を実行する。このためには、制御部26は、生成した呼びかけ信号をパケット処理部21に転送してパケットデータの構造に変換した後に、送信部22から切り換え器30を介して送受信アンテナ11から電波として送信出力させる。
また、この呼びかけ信号は、特に送信先は指定しないいわゆるブロードキャストによる送信となる。
端末B側では、送信元がどのような端末であるのかを問わず、他の端末から送信された呼びかけ信号が受信されるのを待機している。そして、呼びかけ信号を受信したことが判別されるとステップS202以降の処理に進む。
ステップS202においては、例えばパケット処理部13により、受信された呼びかけ信号を対象とするパケット抽出処理を実行させることで、この呼びかけ信号に含められている通信環境情報を抽出させる。そして、この抽出された通信環境情報を取り込んで、例えばRAM29に書き込んで一時保持する。
続いて制御部26は、ステップS203の処理として、今回の呼びかけ信号の送信元である端末が同一グループであるか否かについて判別する。つまり、ステップS202により取得して保持した通信環境情報の端末リストには、送信元の端末を示す情報として端末情報が格納されているが、この送信元端末の端末情報におけるグループIDと、自身の端末リストにおいて自己の端末情報に格納している自己のグループIDとが一致しているか否かについて判別する。
そして、両者のグループIDは一致しておらず同一グループではないとして否定の判別結果が得られた場合には、特に処理を実行することなく、この図に示す処理ルーチンを抜けることになる。この処理によって、他のグループの端末から送信された呼びかけ信号に対しては無視する動作を得ることができる。
これに対して、ステップS203において両者のグループIDが一致して同一グループであることが判別された場合には、ステップS204に進む。
ステップS204においては、今回受信した呼びかけ信号に応答するレスポンスを生成するが、このレスポンスには、自身の通信環境情報を含めるようにされる。そして、次のステップS204により、このレスポンスを送信する。このレスポンスの送信は、呼びかけ信号の送信元の端末を送信先として送信するものとなる。このような送信先を示したり、あるいは呼びかけ信号のようにブロードキャストであることを示す情報は、パケットのヘッダの所定領域に格納される。
端末Bにおいては、上記ステップS205によりレスポンスを送信した後、例えばステップS206の処理によって、先のステップS202により取得して保持した通信環境情報は、新規のものであるか否かについて判別する。
また、通信環境情報の内容が新規なものになるのには、おおきくは2つの場合がある。1つは、自身が属している単位通信網に対してこれまで属してはいなかった端末が呼びかけ信号を送信してきた場合である。あるいは、単位通信網内において、自身以外の端末のコネクションの状況などが変化して、このような変化が反映されるように他の端末における通信環境情報(端末リスト、ルーティングディレクトリ情報)が更新され、呼びかけ信号を送信してきた通信環境情報についても更新が行われていた場合である。
例えば実際において、各端末は、呼びかけ信号を受信して得られた通信環境情報の内容が新規なものである場合において、その通信環境情報が次回更新されるまで保持しておくようにされる。そこで、端末B側では、ステップS206の処理として、このようにして保持されている更新前の通信環境情報と、ステップS202により取得して保持した通信環境情報の内容とを比較する。そして、更新前の通信環境情報において、ステップS202により取得して保持した通信環境情報と同じ内容のものがある場合、呼びかけ信号を受信して得られた通信環境情報の内容は新規なものではないとして否定の判別結果が得られることになる。この場合、通信網を形成するコネクションなどに以前と変化はないということになるので、以降特に処理を実行することなく、この図に示すルーチンを抜ける。
これに対して、ステップS206の処理として、更新前の通信環境情報において、ステップS202により取得して保持した通信環境情報と同じ内容のものがない、つまり、呼びかけ信号を受信して得られた通信環境情報の内容は新規である、として肯定の判別結果が得られた場合には、ステップS207の処理を実行する。ステップS206において肯定結果が得られた場合には、端末Bが属するとされる単位通信網において、何らかのコネクションの状況の変化が生じたことに対応する。
ステップS207においては、今回の呼びかけ信号を受信して得た通信環境情報の内容が反映されるようにして、自己のNVRAM30に保持させている通信環境情報である端末リストとルーティングディレクトリ情報を再構築(更新)するようにされる。
一方、端末A側では、ステップS103の処理により呼びかけ信号を送信した後において、ステップS104によりレスポンスが受信されるのを待機している。このレスポンスの受信待機は、ステップS106においてタイムアウト(時間切れ)であることが判別されるまで継続される。ここでのステップS106のタイムアウト判定の時間設定としては、例えばステップS103により送信した呼びかけ信号を受信したとされる全ての端末からレスポンスが送信されてくるのに要する時間を考慮して設定される。
そして、ステップS104においてレスポンスが受信されたことが判別されるとステップS105の処理を実行することになる。
なお、端末B側でステップS203の処理が設けられていることにより、ステップS104に対応して受信されるレスポンスは、全て同一グループの端末からのものとなる。
ステップS105では、受信したレスポンスからに格納されていた通信環境情報を抽出して、RAM29に書き込んで一時保持させる。ちなみに、レスポンスは、端末Aの通信可能範囲にあるとされる全ての端末から返送されてくる。従って、ステップS105の処理は、ステップS106においてタイムアウトとなることが判別されるまで、レスポンスが受信されるごとに繰り返し実行される。
また、端末Aの通信可能範囲内に他の端末が位置していないような場合、端末A側としては、ステップS106においてタイムアウトとなるまで、1つのレスポンスも取得できない場合もある。
ステップS106においてタイムアウトとなることが判別された後は、ステップS107の処理に進むことになる。ステップS107においては、ステップS105により取得して保持した他の同一グループ端末の通信環境情報の全てについて、新規の内容のものが存在するか否かについて判別する。
このステップS107の処理としても、ステップS206の場合と同様に、制御部26は、更新前の通信環境情報と、ステップS105により取得して保持した通信環境情報の内容とを比較する。そして、この比較結果に基づいて、ステップS105により取得して保持した通信環境情報の少なくとも1つの内容が新規であるか否かについて判別する。
ここで、ステップS105により取得して保持した全ての内容通信環境情報が新規ではないとして否定の判別結果が得られた場合、通信網を形成するコネクションなどについて、以前と変化はないということになる。そこで、この場合には、以降、特に処理を実行することなく、この図に示すルーチンを抜ける。
これに対して、ステップS107において、ステップS105により取得して保持した通信環境情報の少なくとも1つの内容が新規であるとして肯定の判別結果が得られた場合には、ステップS108の処理を実行する。
なお、ステップS107においては、ステップS104によりレスポンスが1つも受信されないという結果が最初に得られた場合にも、これを新規内容の通信環境情報として扱って、肯定の判別結果を出すようにされる。
ステップS108においては、ステップS202により取得して保持した通信環境情報のうち新規の内容が反映されるようにして、自己のNVRAM30に保持している通信環境情報を再構築する。この場合において、ステップS104によりレスポンスが1つも受信されなかった場合には、この端末Aは、他のどの端末ともコネクションが確立していないので、例えば、ルーティングディレクトリ情報としては、図19(d)に示すような内容となる。また、最新の端末リストは、自己端末の端末情報のみを格納したものとなる。
この図20に示す処理が、例えば、図7に示した端末Dと、この端末Dの通信可能エリアAR−Dに入ってきた端末Eとの間ではじめて行われたのであれば、両端末において、ステップS108,ステップS207の通信環境情報の更新が完了した時点で、電波状況的にも、また、制御部26の管理面からも両者は通信可能な状況となる。つまり、コネクションが確立されることになる。
つまり、図20の処理によって新規コネクションの確立が実現されるということである。
また、自身端末の通信可能エリア内からエリア外に位置することとなった端末とは、呼びかけ信号とレスポンスの送受信ができないことから、ステップS108,ステップS207による再構築の結果得られる通信環境情報としては、この自身端末と通信不能となった端末が抹消された内容を有していることになる。これは、コネクションの切断が通信環境情報に反映されていることを意味する。
また、このような定期的な呼びかけ信号とレスポンスの送受信が実行されて、逐次、コネクションの状況の変化に応じて通信環境情報が再構築される結果、1つの単位通信網を形成する各端末の通信環境情報としては、実質的に同じ情報内容を共有することができる。つまり、端末リストとしては、それぞれが、自己と、同じ単位通信網を形成する自己以外の全ての端末の端末情報を格納する。また、ルーティングディレクトリ情報としては、自己をルートとはしているが、全て同じコネクションの関係を示している。
8.会話音声出力処理

つづいて、端末において会話音声を出力させるために制御部26が実行するとされる処理動作について図21を参照して説明する。
先ず、ステップS301においては、他の端末装置から送信されてきたオーディオ信号として、当該端末にとっては受話音となるオーディオ信号が、所定の信号処理単位分、受信取得されるのを待機している。受信取得されたオーディオ信号が、受話音としてのものであるか否かは、例えばパケットのヘッダにおける所定位置の情報を参照することで認識できる。
そして、ステップS301において肯定の判別結果が得られると、ステップS302に以降の処理に進む。
ステップS302においては、送信源端末の位置情報を取得する。確認のために述べておくと、送信源端末とは、上記ステップS301に対応して受信されたオーディオ信号としての発話音声を最初に送信した端末のことである。この送信源端末の位置情報の取得にあたっては、例えば図17に示すようにして送信されてきたパケットに格納される送信源端末の端末情報における端末リストに格納される位置情報を参照すればよい。あるいは、NVRAM30に保持されている通信環境情報の端末リストにおける、この送信源端末に対応する位置情報を参照するようにしても良い。
また、ステップS303においては、自身の現在位置情報と、自身が向いているとされる方角を示す方角情報を取得する。現在位置情報は、位置情報取得部24から取得する。また、方角情報は、地磁気センサ25の検出信号に基づいて取得する。
次のステップS304においては、受話音を音として出力させるときの音像定位位置を求めるようにされる。
このためには、ステップS302により取得した受話音を最初送信してきた送信源端末の位置情報と、ステップS303により取得した自身端末の位置情報及び方角情報から、自身端末の現在の位置、向いている方向の状態では、どの方向に受話音を送信してきた端末が位置しているかについて認識するようにされる。このときには、例えば端末の正面方向を0°として、0°〜360°(あるいは±180°)の範囲における角度値を設定するようにすればよい。
そして、ステップS305においては、上記ステップS304により求められた音像定位情報が示す角度位置にて受話音声が定位するように、オーディオ信号処理部15におけるバーチャルサラウンド処理のためのパラメータを設定する。受話オーディオ信号は、このパラメータ設定に応じたバーチャルサラウンド処理が実行されたうえでイヤスピーカ2a,3aから音として出力される。このような処理を経て音として出力される受話音声は、この受話音声を最初に発信してきた端末が実際に位置しているとされる方向から到来するようにして、ユーザに聞こえることになる。
9.中継処理

これまでの説明から理解されるようにして、本実施の形態では、端末自身が中継器として機能することで、端末間において通信可能な範囲が拡大されるようにしている。
図22は、このようにして端末が中継器として機能するために制御部26が実行する処理動作を示している。
この図においても、先ず、制御部26は、ステップS401の処理によって、他の端末装置から送信されてきたオーディオ信号として、当該端末にとっては受話音となるオーディオ信号が受信取得されるのを待機しており、受話オーディオ信号を取得したことを判別すると、ステップS402に進む。
ステップS402においては、上記ステップS401の処理に対応して受信されたオーディオ信号を送信してきた送信元端末を認識する。つまり、コネクション確立を介して、直接的にオーディオ信号を送信してきた端末を認識する。このためには、ステップS401にて受信取得したオーディオ信号を格納していたパケットのヘッダにおける、送信元端末の端末情報における端末IDを参照する。
また、次のステップS403においては、現在、自身がNVRAM30に保持しているルーティングディレクトリ情報を参照する。そして、このルーティングディレクトリ情報が示すルーティングの状態と、上記ステップS403により認識した送信元端末の端末IDとにより、自身端末が中継点として、さらに、今回受信した受話オーディオ信号を転送すべき対象の端末が在るか否かについて判別する。例えば図4に示す単位通信網の形成状態において、端末Bを送信元端末として、端末Dに対して受話オーディオ信号が送信されてきたとする。このとき端末Dは、ステップS402により端末Bが送信元端末であることを認識し、ステップS403によりルーティングディレクトリ情報を参照する。このときのルーティングディレクトリ情報は、図19(d)に示すものとなる。この図19(d)に示すルーティングディレクトリ情報によれば、端末Bから端末Dに対して送信が行われた場合、端末D自身としては、自身が中継点となって、受信した情報を端末Eに送信すべきことが認識できる。つまりこの場合、ステップS404としては、中継転送の対象端末として端末Eが特定されることで、肯定結果が得られることになる。このようにしてステップS404にて肯定結果が得られたのであれば、ステップS405の処理に進むことになる。
なお、ステップS404にて否定結果が得られたときには、このまま、図に示す処理ルーチンを抜ける。
ステップS405においては、先ず、ステップS401により取得した受話オーディオ信号と、この受話オーディオ信号とともにパケットのヘッダから抽出している送信源端末情報とを送信処理系のパケット処理部、つまりパケット処理部21に対して転送し、ここで送信のための再パケット化の処理を実行させる。この再パケット化の処理により得られるパケットデータにおいて、ヘッダの送信元端末の端末情報は、この図22に示す処理を実行している端末についてのものとなる。また、送信先端末としては、上記ステップS404の処理に対応して特定された中継転送の対象端末の端末IDが格納される。
そして、次のステップS406においては、この再パケット化の処理によって得られたパケットデータを送信部22に対して転送し、ステップS404の処理に対応して特定された、中継転送の対象端末に対して送信出力するようにされる。
このようにして、本実施の形態では、通信環境情報におけるルーティングディレクトリ情報を参照して、自身が中継器として機能すべきかを判断している。さらに中継器として機能するときには、同じくルーティングディレクトリ情報を参照することで、受信情報を中継して送信する送信先の端末を適正に判断し、これらの送信先の端末に情報送信を行うようにしている。このことは、例えば、1つの単位通信網を形成する端末が多数である場合においても、そのルーティングの状況がルーティングディレクトリ情報により示されていることで、端末間における情報の中継は特に混乱することなく適正に行われることを意味している。
10.警告音、通知音出力処理

図23のフローチャートは、切断警告音を出力するための処理動作を示している。
先ず、制御部26は、ステップS501により、今現在コネクションを確立している端末において、電界強度が所定以下となった端末(ここでは対象端末という)があるか否かについて判別している。このためには、例えば受信して得られたデータについてのエラーレートなどを測定しても良い。ここで、ステップS501において電界強度が所定以下の端末は存在しないとして否定の判別結果が得られたのであれば、このまま処理ルーチンを抜けるようにされる。これに対して、これまで電界強度が所定以下となる端末があることが認識されると、ステップS502以降の処理に移行する。
ステップS502においては、現在自己のNVRAM30に保持している通信環境情報の端末リストから、上記ステップS501により認識された対象端末の位置情報を取得する。
また、ステップS503においては、自身の現在位置情報を位置情報取得部24から取得し、自身が向いているとされる方角を示す方角情報を、地磁気センサ25の検出信号に基づいて取得する。
そして、ステップS504においては、先の図21のステップS303と同様にして、上記ステップS502及びステップS503により取得した情報から、音像定位情報を算出するようにされる。
次のステップS505においては、現在測定されている電界強度に応じた切断警告音のオーディオ信号を発生させる。例えば、切断警告音としては、単発的な所定音色のパルス音を等間隔で発生させることとして、電界強度が弱くなって通信状態が劣化するのに応じて、このパルス音の出力間隔の時間を短くしていくようにするものである。
次のステップS506において、制御部26は、上記ステップS505により発生させた切断警告音のオーディオ信号を、オーディオ信号処理部15に転送して入力させる。そして、上記ステップS504により求められた音像定位情報が示す角度位置にて受話音声が定位するように、バーチャルサラウンド処理のためのパラメータを設定したうえで、オーディオ信号処理部15における信号処理を実行させ、イヤスピーカ2a,3aから切断警告音を実音として出力させる。このようして出力される切断警告音の定位は、自身端末とコネクションが切断しそうな端末の方向に対応したものとなる。
また、図示による説明は省略するが、切断通知音の出力については、上記図23に準じた処理となる。
つまり、ステップS501の処理としては、コネクションが切断された端末(対象端末)が存在するか否かについて判別を行うようにされる。この場合においても、電界強度やエラーレートなどに基づいて判別を行うようにすればよい。例えば電界強度やエラーレートの値について、実質的な通信が不能とされる程度に低下したことを以て、ステップS501にて肯定の判別結果が得られるようにすればよい。
また、ステップS502としては、上記ステップS501に対応してコネクションが切断される直前の通信状況に対応する、自己が保持する端末リストを参照して、対象端末の位置情報を取得するようにされる。そして、ステップS504により、音像定位情報を算出する。また、ステップS505においては切断通知音のオーディオ信号を発生させることになるが、この場合には、電界強度に応じて音の変化を与える必要はないものとされる。
そして、ステップS506においては、ステップS504により算出される音像定位情報に基づいて、上記ステップS505により発生された切断通知音のオーディオ信号を対象としてサラウンド処理が実行されるように制御することになる。
図24は、図13により説明した分離通知音の出力に関する処理動作を示している。
制御部26は、ステップS601により、自身端末そのものはコネクションの切断を生じていないにもかかわらず、主単位通信網から切断される状態となったか否かについて判別している。この状態は、図13を例にとると端末Eが相当する。この図の端末Eは、端末Dとのコネクション確率は維持されているのであるが、自身端末にとっては、主単位通信網への中継点であった端末Dがコネクション切断したことで、主単位通信網から切断されている。
このステップS601における判別は、例えば次のようにして行われる。
先の図20の呼びかけ処理と、これに応答したレスポンスのやりとり(コール・アンド・レスポンス)が実行されることで、例えば図12から図13に示す状態となった端末Eにおいて構築される最新の通信環境情報としては、端末Dのみとコネクション確立していることを示す内容となる。これが先に説明した条件bを満足していることになる。
この場合において、これより過去の通信環境情報と、上記最新の通信環境情報とを比較すると、端末装置Eは、グループリーダーの端末Aと相互通信が不能な状態となっていることが認識される。つまり、主単位通信網とは分離しているものであり、これにより条件aを満足していることになる。このようにして先に説明した条件a,bの両者を満たしているとの判定結果を得たときに、ステップS601においては、肯定の判別結果が得られる。
そして、ステップS601により肯定の判別結果が得られると、制御部26は、ステップS602に進んで、分離通知音を一定時間にわたって音声として出力させるための処理を実行する。
前述もしたように、分離通知音を聴いたユーザは、自身の判断で主単位通信網に復帰したいと思ったときには、端末探索モードを設定する操作を行って、主単位通信網に現在も属しているとされる端末のうちで、自身端末から最短距離に位置する端末の方向を、端末方向通知音により通知させることができる。図25は、このための処理である。
図25においては、先ず、ユーザの操作部31に対する所定操作によって、端末探索モードが設定されるのを待機している。そして、端末探索モードが設定されたとすると、ステップS702の処理に移行する。
ステップS702においては、自身がNVRAM30に保持している過去の通信環境情報として、主単位通信網から切断される状態となる直前の状態において得られていた通信環境情報における端末情報を参照するようにされる。
また、ステップS703においては、自身端末の現在位置情報を位置情報取得部24から取得する。
ステップS704においては、先のステップS702により参照した端末リストにリストアップされている端末(つまり、主単位通信網に属しているとされる端末)の位置情報を得る。ただし、現在において自身端末とコネクションが確立している端末は対象から除く。図13に示す端末Eが図25の処理を実行しているとすれば、端末Dが対象から外され、他の端末A,B,Cについての位置情報を得る。
そして、このようにして取得した各端末の位置情報と、上記ステップS703により取得した自身の現在位置情報とに基づいて、自身端末と最短距離にあるとされる端末を特定するようにされる。図13の場合であれば、端末Cが特定される。
そして、ステップS705においては、上記ステップS704により特定された端末の位置するとされる方向に対応した音像定位により端末方向通知音が出力されるように、音声信号処理を実行する。このための処理としては、先に図23に示した切断警告音の出力処理に準じたものとなる。ただしこの場合には、ステップS702〜S704の処理によって、対象端末の位置情報と、自身端末の位置情報を取得しているので、ステップS704において取得すべき情報は、自身端末の方角情報のみでよいことになる。
11.サーバの利用形態例

これまでの説明から分かるように、本実施の形態としては、端末同士のみによる無線会話通信が可能とされている。しかしながら、本実施の形態の端末(無線会話装置1)が音声送受信が可能であることに基づいて、例えば会話音声だけではなく、楽曲などの音声コンテンツを送受信できるような形態とすれば、実施の形態の無線会話装置1の利用にあたっては、より高いエンタテイメント性が得られることになる。
図26は、このようなコンテンツ送受信に対応した形態例の1つを示している。
この図においては、コンテンツサーバ100と、端末A,B,C,が示されている。
このコンテンツサーバ100は、例えば楽曲、本を朗読した音声などの、オーディオ信号によるコンテンツデータを格納している。あるいは、例えば観光地などにコンテンツサーバ100を設置して、観光用のガイド音声などを格納しておくことも考えられる。
ここで、コンテンツサーバ100と端末Aの位置関係として、端末Aとコンテンツサーバ100はコネクションが確立される距離範囲内にあるものとされる。これにより、端末Aは、コンテンツサーバから送信されるようにして配信されるコンテンツデータを受信して、先ずは自身により音声として出力させることができる。つまり、コンテンツサーバから例えばストリーミング的に送信されたコンテンツを、端末Aのユーザが音として聴くことができる。
一方、端末B,Cは、コンテンツサーバ100とのコネクションは確立していないが、端末A,B、端末B,Cのコネクションが確立していることで、端末Aと単位通信網を形成して、これら3つの端末の間で相互通信が可能となっている。従って、端末Aが受信取得したコンテンツデータは、端末Bに転送するようにして送信することができ、さらに、端末Bから端末Cに送信することができる。つまり、結果的には、端末Aのみがコンテンツサーバ100とコネクションを確立しさえすれば、この端末Aと単位通信網を形成する全ての端末においても、同じコンテンツデータを受信して聴くことができるものである。また、このようにして各端末にて受信したコンテンツデータを、例えばメモリドライブ23に転送して、カード型メモリ23に記憶させるようにしても良い。
また、図26に示す場合において、例えばコンテンツサーバ100とコネクションが確立された端末Aのユーザは、コンテンツデータは必要ないのに対して、残る端末B,Cのユーザはコンテンツデータが必要であるという状況も考えることができる。この場合、例えば端末Aそのものとしては、コンテンツデータを受信して音声として出力したりメディアに記憶させるような動作は実行しない。しかしながら、端末Aは、端末B,Cがそれぞれコンテンツデータを要求しているのに応じて、コンテンツサーバ100に対してコンテンツを要求して送信出力させ、これを受信するようにされる。そして、端末Aは、このようにして受信したコンテンツデータについて、自身は音声出力やメディアへの書き込み等は実行しないで、ただ端末Bに対して転送するようにして送信する。つまり、この場合の端末Aは、コンテンツデータが端末B、端末C側にて受信されるようにするための中継器としてのみ機能するようにされる。
なお、本発明としてはこれまでに説明した実施の形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、警告音、通知音としては、ほかにも、図6、図7に示すようにして、主単位通信網に対して新たに端末(E)が追加されるようにして新規コネクションが確立されるときに、端末が追加されることを通知する参加通知音を、主単位通信網に属する各端末にて出力させるようにすることも考えられる。この参加通知音についても、新規追加された端末の位置情報に基づいて、この新規追加された端末の位置方向から聞こえるようにして音像定位させるようにすることができる。
また、この参加通知音について、追加された端末から他の端末に対してオーディオ信号として送信して、これを受信した端末側で音声出力させる、という構成とした場合においては、この参加通知音について、任意の端末装置の音色、メロディなどによるオーディオ信号を設定することが考えられる。このようにすれば、参加通知音としては端末(つまりユーザ:グループメンバー)ごとに固有となって、グループメンバー個人の特定も可能となる。また、エンタテイメント性も高まることになる。
さらには、例えば端末(無線会話装置1)に対して所定の生体情報を検出可能なセンサを設けて、この生体情報センサの検出結果により判定したユーザの体調、感情などに応じて、上記参加通知音を変更設定して送信するようにすることも考えられる。これにより、この参加通知音を聴いた他のメンバーは、主単位通信網に新規参加してきたメンバーの体調や感情などを知ることができ、より高い利便性、エンタテイメント性が得られる。このような構成は、例えば切断警告音などには適用することが可能である。
また、実施の形態では、実際的な説明を行うことの都合上、グループ単位による通信のみが可能であることとして説明しているが、本発明としては、必ずしもグループ内での無線通信会話に限定されるべきものではない。
本発明の実施の形態としての無線会話装置(端末)の外観例を示す図である。 実施の形態の無線会話装置の利用形態例としてグループIDの配布について示す図である。 グループIDを無線会話装置に登録させるための通信例を示す図である。 実施の形態の無線通信装置による通信網の形成例を示す図である。 実施の形態の無線通信装置による通信網の形成例を示す図である。 実施の形態の無線通信装置による通信網の形成例を示す図である。 実施の形態の無線通信装置による通信網の形成例を示す図である。 実施の形態の無線通信装置による通信網の形成状態として、切断警告音が出力される場合の例を示す図である。 実施の形態の無線通信装置による通信網の形成状態として、切断通知音が出力される場合の例を示す図である。 実施の形態の無線通信装置による通信網の形成状態として、切断警告音が出力される場合の他の例を示す図である。 実施の形態の無線通信装置による通信網の形成状態として、切断通知音が出力される場合の他の例を示す図である。 分離通知音が出力される前の、実施の形態の無線通信装置による通信網の形成状態の例を示す図である。 分離通知音が出力されるときの、実施の形態の無線通信装置による通信網の形成状態の例を示す図である。 端末探索モードが設定されて端末方向通知音を出力させているときの通信網の形成状態の例を示す図である。 端末方向通知音を頼りにユーザが移動して主単位通信網に復帰したとされるときの状態例を示す図である。 本実施の形態の無線会話装置の内部構成例を示すブロック図である。 無線会話装置により送受信されるデータの構造例を示す図である。 通信環境情報における端末リストの構造例を示す図である。 通信環境情報におけるルーティングディレクトリ情報の内容例を示す図である。 2つの無線会話装置間で行われる呼びかけ処理と、この呼びかけ処理に応答した呼びかけ対応処理を示すフローチャートである。 無線会話装置にて会話音声を出力させるための処理動作を示すフローチャートである。 無線会話装置が中継器として機能するための処理動作を示すフローチャートである。 無線会話装置にて切断警告音を出力させるための処理を示すフローチャートである。 無線会話装置にて分離通知音を出力させるための処理を示すフローチャートである。 無線会話装置にて端末方向通知音を出力させるための処理を示すフローチャートである。 無線会話装置によるコンテンツサーバの利用例を示す説明図である。
符号の説明
1 無線会話装置、2 左イヤパッド、2a 左イヤスピーカ、3 右イヤパッド、3a 右イヤスピーカ、4 ベルト、5 アンテナボディ部、6 マイクロフォン、7 マイクロフォンアーム、11 送受信アンテナ、12 受信部、13,21 パケット処理部、14 暗号化復号処理部、15 オーディオ信号処理部、16 D/A変換器、19 A/D変換器、20 暗号化処理部、22 送信部、23 メモリドライブ、24 位置情報取得部、25 地磁気センサ、26 制御部、27 CPU、28 ROM、29 RAM、30 NVRAM、31 切り換え器、32 近距離通信部、33 操作部、100 コンテンツサーバ

Claims (2)

  1. 接続確立された他の移動体無線通信装置との間で、無線による情報送受信のための通信を行う通信手段と、
    上記通信手段以外の手段であり、音声情報を外部から取得する音声情報取得手段と、
    少なくとも、上記通信手段により受信して取得した音声情報を音声として出力させる音声出力手段と、
    上記音声情報取得手段により取得した音声情報を、他の移動体無線通信装置に対して送信するように、上記通信手段を制御する第1の送信制御手段と、
    自己をルートとして、接続確立された移動体無線通信装置の親子関係が示される装置関係情報を少なくとも有する通信環境情報を保持する情報保持手段と、
    上記通信手段により受信して取得した、他の移動体無線通信装置の上記通信環境情報に基づいて、上記情報保持手段に保持される通信環境情報を構築する情報構築手段と、
    上記通信環境情報を参照して、上記通信手段により受信して取得した情報を、この情報の送信元となる移動体無線通信装置以外で、自身と通信可能とされる他の移動体無線通信装置に対して送信するように、上記通信手段を制御する第2の送信制御手段と、
    を備えることを特徴とする移動体無線通信装置。
  2. 接続確立された他の移動体無線通信装置との間で、無線による情報送受信のための通信を行う通信手順と、
    上記通信手順以外の手順とされ、音声情報を外部から取得する音声情報取得手順と、
    少なくとも、上記通信手順により受信して取得した音声情報を音声として出力させる音声出力手順と、
    上記音声情報取得手順により取得した音声情報を、他の移動体無線通信装置に対して送信するように、上記通信手順を制御する第1の送信制御手順と、
    自己をルートとして、接続確立された移動体無線通信装置の親子関係が示される装置関係情報を少なくとも有する通信環境情報を保持する情報保持手順と、
    上記通信手順により受信して取得した、他の移動体無線通信装置の上記通信環境情報に基づいて、上記情報保持手順に保持される通信環境情報を構築する情報構築手順と、
    上記通信環境情報を参照して、上記通信手順により受信して取得した情報を、この情報の送信元となる移動体無線通信装置以外で、自身と通信可能とされる他の移動体無線通信装置に対して送信するように、上記通信手順を制御する第2の送信制御手順と、
    を実行することを特徴とする無線通信方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009134363A (ja) * 2007-11-28 2009-06-18 Nissan Motor Co Ltd 移動体端末、情報送信方法及び歩行者情報報知システム
JP2011530931A (ja) * 2008-08-11 2011-12-22 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 身体領域ネットワークにおいてグローバル・ビーコンの送信をスケジュールする方法
US10542571B2 (en) 2016-03-30 2020-01-21 Fujitsu Limited Wireless communication apparatus, wireless communication method, and computer readable storage medium
JP2022047290A (ja) * 2020-09-11 2022-03-24 カシオ計算機株式会社 電子機器、身体装着型機器、通信システム、通信制御方法及びプログラム

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