JP2006002238A - ロール金型及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 微細な凹凸形状を高精度で形成したロール金型及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 表面に凹凸形状(11)が形成された母型(10)を、少なくともロール表面部が体積率50〜100%の非晶質相を含む実質的に非晶質の合金(3)からなるロール(2)の表面に、該非晶質合金の過冷却液体温度領域(ΔTx=Tx−Tg)の温度で圧接し、上記母型の凹凸形状を上記非晶質合金からなるロール表面に転写する。このような方法により、非晶質合金からなるロール表面に微細な凹凸形状が高精度で形成されてなるロール金型(1)が提供される。好適な態様においては、前記ロールは、非晶質合金からなる円筒状ロール又は表面に非晶質合金層(3)を有する円筒状ロール(2)である。
【選択図】 図2
【解決手段】 表面に凹凸形状(11)が形成された母型(10)を、少なくともロール表面部が体積率50〜100%の非晶質相を含む実質的に非晶質の合金(3)からなるロール(2)の表面に、該非晶質合金の過冷却液体温度領域(ΔTx=Tx−Tg)の温度で圧接し、上記母型の凹凸形状を上記非晶質合金からなるロール表面に転写する。このような方法により、非晶質合金からなるロール表面に微細な凹凸形状が高精度で形成されてなるロール金型(1)が提供される。好適な態様においては、前記ロールは、非晶質合金からなる円筒状ロール又は表面に非晶質合金層(3)を有する円筒状ロール(2)である。
【選択図】 図2
Description
本発明は、ロール金型及びその製造方法に関し、例えば、反射防止性能を発現するために微細凹凸加工を施した液晶表示板やCRT等の最表面層、LCDバックライトやリヤプロジェクションスクリーン等に用いられるプリズムシート、レンチキュラーシート、フレネルシート、配向した凹凸形状を有する液晶基板の配向膜などを製造するための、表面に微細な凹凸形状を有するロール金型及びその製造方法に関する。
プリズムシートやフレネルシートなどの光学製品は、大きなサイズのシート表面にサブミクロンからミクロンオーダーの微細な凹凸形状に加工することが必要である。そのため、プレス成形や射出成形では金型のサイズに限界があるため、一般にロール金型が利用されている。すなわち、表面に微細な凹凸形状が形成されたロール金型を、目的とする部材に圧接して上記凹凸形状を転写し、所望の性能を発現させるシートを作製する方法がとられる。
このようなロール金型の具体例として、例えば円筒表面に凹凸模様が形成されたローラー状金型を用いて、これを配向膜を形成する部材表面に回転しながら転写して液晶用基板の配向膜を作製する転写装置がある(特許文献1参照)。
このようなロール金型の具体例として、例えば円筒表面に凹凸模様が形成されたローラー状金型を用いて、これを配向膜を形成する部材表面に回転しながら転写して液晶用基板の配向膜を作製する転写装置がある(特許文献1参照)。
一方、特許文献2には、表面にマイクロレンズアレイの複数の微小レンズ面に対応する複数の微小曲面が形成された円筒表面を有するロール金型とその製造方法が開示されている。この製造方法は、円筒状金型部材を回転させると共に、その表面に、微小曲面に対応する形状の先端部を有する圧子を軸線に沿って往復駆動させながら押圧して微小曲面に対応する凹凸形状を加工する方法であり、同一表面積の平坦な表面に加工するのに比較して、加工用の圧子が移動するXYステージの範囲を小さくできるという利点がある。しかしながら、上記製造方法によって円筒状金型部材の円筒表面に微細な加工を行う場合、加工ピッチが小さくなると加工に膨大な時間を要し、さらに連続した微小凹凸形状の加工を行う場合、温度変化の影響等で円筒状金型部材が微小な体積変化を起こし、加工ピッチがずれるという問題がある。特に加工ピッチが1μm以下という微細な場合はこの影響が大きく、大面積の加工を一定ピッチで行うことは非常に困難である。また、立体ホログラフィでしか作製できないような複雑な凹凸形状パターンや格子模様の転写は難しく、仮に可能であったとしても非常に時間を要するという問題がある。
また、ロール金型の別の製造方法として、表面に微細な凹凸形状が刻印された雄型に電鋳等により金属膜を形成し、該金属膜に上記凹凸形状を転写して、対応する凹凸形状の表面を有するフィルム状又は薄板状の雌型を作製し、該雌型をロール金型母材に取り付けるロール金型の製造方法も提案されている(特許文献3参照)。しかし、このロール金型の製造方法においては、フィルム状又は薄板状の雌型をロール金型母材に巻きつけて張り合わせるとき、雌型の端部のつなぎ目で隙間が発生し、該ロール金型を用いて転写した成形体の凹凸形状に、上記隙間に対応した周期的なバリ形状が発生するという問題がある。また、シートの張り合わせ時のよじれや隙間の発生により、成形される凹凸形状が乱れるという問題点もある。さらに、雌型の作製に電鋳などの化学処理を必要とし、雌型作製の工程に時間がかかるという問題もある。
特開平8−6027号公報(特許請求の範囲)
特開平11−216761号公報(特許請求の範囲)
特開2003−25431号公報(特許請求の範囲)
本発明は、前記のような従来のロール金型及びその製造方法の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、微細な凹凸形状を高精度で形成したロール金型を提供することにある。
さらに本発明の目的は、ロール部材に微細な凹凸形状を転写性良く、かつ高精度で形成できるロール金型の製造方法を提供することにある。
さらに本発明の目的は、ロール部材に微細な凹凸形状を転写性良く、かつ高精度で形成できるロール金型の製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の第一の側面によれば、少なくともロール表面部が体積率50〜100%の非晶質相を含む実質的に非晶質の合金からなり、該非晶質合金表面に凹凸形状が形成されてなるロール金型が提供される。
好適な態様においては、前記非晶質合金は、下記一般式(1)で示される組成を有する非晶質合金である。
一般式(1):M1 aM2 bLncM3 dM4 eM5 f
(但し、M1はZr及びHfから選ばれる1種又は2種の元素、M2はNi、Cu、Fe、Co、Mn、Nb、Ti、V、Cr、Zn、Al及びGaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、LnはY、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb及びMm(希土類元素の集合体であるミッシュメタル)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M3はBe、B、C、N及びOよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M4はTa、W及びMoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M5はAu、Pt、Pd及びAgよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a、b、c、d、e及びfはそれぞれ原子%で、25≦a≦85、15≦b≦75、0≦c≦30、0≦d≦30、0≦e≦15、0≦f≦15である。)
好適な態様においては、前記非晶質合金は、下記一般式(1)で示される組成を有する非晶質合金である。
一般式(1):M1 aM2 bLncM3 dM4 eM5 f
(但し、M1はZr及びHfから選ばれる1種又は2種の元素、M2はNi、Cu、Fe、Co、Mn、Nb、Ti、V、Cr、Zn、Al及びGaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、LnはY、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb及びMm(希土類元素の集合体であるミッシュメタル)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M3はBe、B、C、N及びOよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M4はTa、W及びMoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M5はAu、Pt、Pd及びAgよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a、b、c、d、e及びfはそれぞれ原子%で、25≦a≦85、15≦b≦75、0≦c≦30、0≦d≦30、0≦e≦15、0≦f≦15である。)
本発明の第二の側面によれば、ロール表面に微細な凹凸形状が形成されたロール金型の製造方法であって、表面に凹凸形状が形成された母型を、少なくともロール表面部が体積率50〜100%の非晶質相を含む実質的に非晶質の合金からなるロールの表面に、該非晶質合金の過冷却液体温度領域(ΔTx=Tx−Tg)の温度で圧接し、上記母型の凹凸形状を上記非晶質合金からなるロール表面に転写する工程を含むことを特徴とするロール金型の製造方法が提供される。
好適な態様によれば、前記ロールは、非晶質合金からなる円筒状ロール又は表面に非晶質合金層を有する円筒状ロールである。
好適な態様によれば、前記ロールは、非晶質合金からなる円筒状ロール又は表面に非晶質合金層を有する円筒状ロールである。
前記転写工程においては、前記母型とロールを相対的に移動させながら圧接させればよいが、好適には、母型の凹凸形状が形成された表面上を、前記非晶質合金の過冷却液体温度領域の温度で、前記ロールを一定の圧力をかけながら回転移動させ、母型の凹凸形状を非晶質合金からなるロール表面に転写する。
より具体的な態様においては、前記転写工程に先立って、ロール表面に非晶質合金層を形成する工程及び該非結晶質合金層の厚さを均一にする工程を含む。
より具体的な態様においては、前記転写工程に先立って、ロール表面に非晶質合金層を形成する工程及び該非結晶質合金層の厚さを均一にする工程を含む。
前記非結晶質合金は、過冷却液体温度領域ΔTxが30℃以上の非晶質合金であることが、温度管理幅に余裕があり、成形し易いので好ましい。また、前記非晶質合金は、ガラス転移点Tgが150℃以上の非晶質合金であることが好ましく、ロール金型を用いて成形する被処理材の融点が120程度までのものにも充分対応可能となる。
特に、前記一般式(1)で示される組成を有する非晶質合金を用いることが好ましい。
また、前記転写工程においては、ロール内部を冷却しながら行うことが好ましい。
特に、前記一般式(1)で示される組成を有する非晶質合金を用いることが好ましい。
また、前記転写工程においては、ロール内部を冷却しながら行うことが好ましい。
本発明の方法は、表面に凹凸形状が形成された母型を、少なくともロール表面部が体積率50〜100%の非晶質相を含む実質的に非晶質の合金からなるロールの表面に、該非晶質合金の過冷却液体温度領域(ΔTx=Tx−Tg)の温度で圧接し、上記母型の凹凸形状を上記非晶質合金からなるロール表面に転写するものであるため、転写性が良く、立体ホログラフィでしか作製できないような複雑な凹凸形状パターンや格子模様などの微細なパターンの転写も高精度で達成でき、様々な微細凹凸形状を高精度で形成したロール金型を提供できる。
また、非晶質合金の過冷却液体温度領域での粘性流動を利用して凹凸形状を転写できるため、金型パターン変更や、金型摩耗による補修に際し、再転写が容易にできる。
さらに、ロール表面への母型の凹凸形状の転写によるロール金型作製と、得られたロール金型による製品作製は、いずれも転写工程によるものであるため、これらを同一の装置で行うことができる。
さらに、ロール表面への母型の凹凸形状の転写によるロール金型作製と、得られたロール金型による製品作製は、いずれも転写工程によるものであるため、これらを同一の装置で行うことができる。
また、ロール金型が、表面に非晶質合金層を有するロールである場合、非晶質合金層はロールとの密着性が強く、従来のフィルム状又は薄板状の雌型をロール金型母材に巻き付ける方法で問題となり得るシートのよじれ等の貼付け不良が無い。
特に非晶質合金がZr基又はHf基の金属ガラスの場合、酸化処理することで表面硬化が可能であり、金型の耐久性を向上できる。すなわち、非晶質合金からなるロール金型又は表面に非晶質合金層を有するロール金型を、反応性ガスを含む雰囲気下にてその非晶質合金の等温変態曲線(TTT曲線)のアモルファス領域内の温度及び時間で熱処理し、非晶質合金層表面部にセラミック系硬質層を形成することにより、非晶質合金本来の優れた特性に加えて耐摩耗性が著しく改善された非晶質合金製ロール金型が得られる。
特に非晶質合金がZr基又はHf基の金属ガラスの場合、酸化処理することで表面硬化が可能であり、金型の耐久性を向上できる。すなわち、非晶質合金からなるロール金型又は表面に非晶質合金層を有するロール金型を、反応性ガスを含む雰囲気下にてその非晶質合金の等温変態曲線(TTT曲線)のアモルファス領域内の温度及び時間で熱処理し、非晶質合金層表面部にセラミック系硬質層を形成することにより、非晶質合金本来の優れた特性に加えて耐摩耗性が著しく改善された非晶質合金製ロール金型が得られる。
以下、添付図面に示す実施例を説明しつつ、本発明についてさらに具体的に説明する。
図1は、本発明の方法で作製されたロール金型の1実施例を示している。ロール金型1は、中空の円筒状ロール2と、その表面に形成された非晶質合金層3とからなり、該非晶質合金層3の表面には、微細な(プリズムシート等に使用する場合には、500nm程度の)凹凸形状4が形成されている。円筒状ロール2は、熱伝導率の良い金属、例えば銅合金で作製されており、この円筒状ロール2の中心部には、図示しないロール駆動装置と連結するための回転軸5が設けられている。非結晶質合金層3の厚さについては、幅広い範囲で形成可能であり、必要な用途に合わせて適宜設定することができるが、数十nm〜数cm程度が好ましい。なお、本実施例では円筒状ロール2の表面に非晶質合金層3が形成されているが、円筒状ロール自体を非晶質合金から作製することもでき、この場合には非晶質合金層3は不要となる。また、円筒状ロール2は中実のロールであってもよい。
図1は、本発明の方法で作製されたロール金型の1実施例を示している。ロール金型1は、中空の円筒状ロール2と、その表面に形成された非晶質合金層3とからなり、該非晶質合金層3の表面には、微細な(プリズムシート等に使用する場合には、500nm程度の)凹凸形状4が形成されている。円筒状ロール2は、熱伝導率の良い金属、例えば銅合金で作製されており、この円筒状ロール2の中心部には、図示しないロール駆動装置と連結するための回転軸5が設けられている。非結晶質合金層3の厚さについては、幅広い範囲で形成可能であり、必要な用途に合わせて適宜設定することができるが、数十nm〜数cm程度が好ましい。なお、本実施例では円筒状ロール2の表面に非晶質合金層3が形成されているが、円筒状ロール自体を非晶質合金から作製することもでき、この場合には非晶質合金層3は不要となる。また、円筒状ロール2は中実のロールであってもよい。
図2は本発明のロール金型の成形プロセス(転写工程)を説明するための概略図であり、図3は成形されたロール金型を用いて製品を製造するプロセスを説明するための概略図を示している。
まず、本発明で使用する母型10の材料としては、その軟化温度Tsがロール金型に用いる非晶質合金の結晶化温度Txよりも十分大きなものを使用する。例えば、シリコンや石英ガラスの融点は1000℃以上であり、母型素材として好適に使用できる。母型10の凹凸形状11は、機械加工、レーザ加工、電子ビーム加工等で形成してもよいが、微細形状の場合は、通常、リソグラフィ法によりレジストを金型素材に形成し、反応性イオンエッチングなどの方法でレジスト以外の素材を削り取る方法(RIE法)で作製することが好ましい。
まず、本発明で使用する母型10の材料としては、その軟化温度Tsがロール金型に用いる非晶質合金の結晶化温度Txよりも十分大きなものを使用する。例えば、シリコンや石英ガラスの融点は1000℃以上であり、母型素材として好適に使用できる。母型10の凹凸形状11は、機械加工、レーザ加工、電子ビーム加工等で形成してもよいが、微細形状の場合は、通常、リソグラフィ法によりレジストを金型素材に形成し、反応性イオンエッチングなどの方法でレジスト以外の素材を削り取る方法(RIE法)で作製することが好ましい。
上記のように形成された微細な凹凸形状11を有する母型10を、図2(A)に示すような方法で、円筒状ロール2の表面に形成された非晶質合金層3へ転写する。まず、好ましくは真空中あるいは不活性ガス(Ar等)の雰囲気下で、母型10と接する非晶質合金層3の部分の温度がガラス転移温度Tgを超えるように、母型10を非晶質合金のガラス転移点Tg以上の温度に加熱する。一方、母型から離れた部分の非晶質合金層3の変形が起こらないように、円筒状ロール2自体は非晶質合金のガラス転移点Tg以下の温度となるように制御する。この状態で、母型10又は/及び円筒状ロール2に一定の加圧力(中空矢印で示す)を加えながら、母型10の凹凸形状11が形成されている表面上に円筒状ロール2を一回転させれば、母型10の凹凸形状11を非晶質合金層3に転写でき、図2(B)に示すようなロール金型1が得られる。
このように母型10の凹凸形状11が転写されたロール金型1を、図3に示すように、被処理材12(例えば、樹脂シート、樹脂板等)上に加圧しながら回転させれば、母型と同じ凹凸形状11’を被処理材12に連続的に転写することができる。勿論、ロール金型1を回転自在な状態に固定して、被処理材12をロール金型1と圧接しながら移動させることも可能である。この時の温度条件としては、ロール金型1と接する箇所から離れた部分で被処理材12の変形がおこらないように、例えば被処理材12の温度を、用いた被処理材のガラス転移点Tp以下となるように制御する。
基本的に、母型10の軟化点Ts>非晶質合金の結晶化温度Tx>非晶質合金のガラス転移点Tg>被処理材のガラス転移点Tpを満たせば、少なくとも表面部が非晶質合金からなるロール金型1を作製し、被処理材12(樹脂シート、樹脂板等)に母型と同じ凹凸形状を連続転写することができる。従って、被処理材は、非晶質合金のガラス転移点Tg以下の合金、金属、樹脂材から選択される。
前記したように、本発明のロール金型は、非晶質合金からなる円筒状ロール又は表面に非晶質合金層を有する円筒状ロールのいずれでもよいが、経済性や作製の容易性等の点から、表面に非晶質合金層を有する円筒状ロールであることが好ましい。
そこで、以下においては、円筒状ロールの表面に非晶質合金層を形成する幾つかの方法について説明する。
そこで、以下においては、円筒状ロールの表面に非晶質合金層を形成する幾つかの方法について説明する。
図4は、非晶質合金層を円筒状ロール表面に形成するための第1実施例を示している。
図示のように、1対の加圧ロール20、21で円筒状ロール2を挟んだ状態でそれぞれ矢印方向(図中の→)に回転させながら、一方の加圧ロール20と円筒状ロール2の隙間に非晶質合金箔3’を挿入し、非晶質合金箔3’を押圧しながら円筒状ロール2に非晶質合金箔3’を圧着させる。円筒状ロール2の表面は、非晶質合金箔3’が付着し易いように凹凸状に形成されているが、摩擦力を大きくできればよい。加圧ロール20、21は非晶質合金の過冷却液体温度領域に加熱されているため、円筒状ロール2と加圧ロール20、21は一定圧力で両側から非晶質合金箔3’を押圧し、円筒状ロール2に非晶質合金箔3’を圧着させることができる。非晶質合金箔3’が通るロール間のギャップは、非晶質合金層の膜厚に応じて適宜設定できる。なお、加工雰囲気については、真空中あるいは不活性ガス雰囲気下が好ましく、それにより非晶質合金の酸化を抑制することができる。また、非晶質合金箔を円筒状ロールに付着させ易くするため、円筒状ロール表面は凹凸状に形成されているが、この凹凸状表面は後に述べる実施例(図5〜11)にも適用することができる。
図示のように、1対の加圧ロール20、21で円筒状ロール2を挟んだ状態でそれぞれ矢印方向(図中の→)に回転させながら、一方の加圧ロール20と円筒状ロール2の隙間に非晶質合金箔3’を挿入し、非晶質合金箔3’を押圧しながら円筒状ロール2に非晶質合金箔3’を圧着させる。円筒状ロール2の表面は、非晶質合金箔3’が付着し易いように凹凸状に形成されているが、摩擦力を大きくできればよい。加圧ロール20、21は非晶質合金の過冷却液体温度領域に加熱されているため、円筒状ロール2と加圧ロール20、21は一定圧力で両側から非晶質合金箔3’を押圧し、円筒状ロール2に非晶質合金箔3’を圧着させることができる。非晶質合金箔3’が通るロール間のギャップは、非晶質合金層の膜厚に応じて適宜設定できる。なお、加工雰囲気については、真空中あるいは不活性ガス雰囲気下が好ましく、それにより非晶質合金の酸化を抑制することができる。また、非晶質合金箔を円筒状ロールに付着させ易くするため、円筒状ロール表面は凹凸状に形成されているが、この凹凸状表面は後に述べる実施例(図5〜11)にも適用することができる。
図5は、非晶質合金層を円筒状ロール表面に形成するための第2の実施例を示している。
前記図4に示したような加圧ロールによる圧着方法でもよいが、非晶質合金層と円筒状ロールの接着強度の点からは、図5に示す方法が好ましい。この方法の場合、図示のように、溶解槽22内に満たされ、非晶質合金の融点Tm以上に加熱した溶湯40に、図示しない冷却手段により冷却した円筒状ロール2を部分的に浸漬して回転すれば、円筒状ロール2の表面に非晶質合金が付着し、図6に示すように、表面に非晶質合金層3を有する円筒状ロール2が作製できる。
その後、図3に示す方法にて、母型10の凹凸形状11を非晶質合金層3の表面に転写し、ロール金型1を作製することができる。
前記図4に示したような加圧ロールによる圧着方法でもよいが、非晶質合金層と円筒状ロールの接着強度の点からは、図5に示す方法が好ましい。この方法の場合、図示のように、溶解槽22内に満たされ、非晶質合金の融点Tm以上に加熱した溶湯40に、図示しない冷却手段により冷却した円筒状ロール2を部分的に浸漬して回転すれば、円筒状ロール2の表面に非晶質合金が付着し、図6に示すように、表面に非晶質合金層3を有する円筒状ロール2が作製できる。
その後、図3に示す方法にて、母型10の凹凸形状11を非晶質合金層3の表面に転写し、ロール金型1を作製することができる。
図7は、非晶質合金層を円筒状ロール表面に形成するための第3の実施例を示している。
図示のように、円筒状ロール2をインサートした金型23に、温度Tm(融点)+200〜400℃である非晶質合金の溶湯40をスリーブ25を通して装填し、プランジャー24を用いて金型内に射出し、鋳造(ダイカスト)することで、円筒状ロール2の周りに非晶質合金層を成形させることが可能である。
溶湯40の冷却は、金型23に熱を逃がすことで行うため、好ましくは金型は水冷やオイル循環装置のような温度調節機能を具備する。金型温度は、ロール径や非晶質合金層の膜厚、使用する非晶質合金の種類等に依存する。また、全ての製法についても言えることであるが、本製法は、鋳造を真空中あるいは不活性ガス雰囲気下で行うことにより、非晶質合金の酸化を抑えることができる。
図示のように、円筒状ロール2をインサートした金型23に、温度Tm(融点)+200〜400℃である非晶質合金の溶湯40をスリーブ25を通して装填し、プランジャー24を用いて金型内に射出し、鋳造(ダイカスト)することで、円筒状ロール2の周りに非晶質合金層を成形させることが可能である。
溶湯40の冷却は、金型23に熱を逃がすことで行うため、好ましくは金型は水冷やオイル循環装置のような温度調節機能を具備する。金型温度は、ロール径や非晶質合金層の膜厚、使用する非晶質合金の種類等に依存する。また、全ての製法についても言えることであるが、本製法は、鋳造を真空中あるいは不活性ガス雰囲気下で行うことにより、非晶質合金の酸化を抑えることができる。
図8は、非晶質合金層を円筒状ロール表面に形成するための第4の実施例を示しており、図示のように、ガスアトマイズ法、遠心噴霧法、液滴法等で作製した非晶質合金粉末を過冷却液体温度領域での粘性流動を利用して加圧・圧粉して円筒状ロール表面に付着させることも可能である。
アモルファス(非晶質)成形能が大きい非晶質合金では、ガラス転移温度Tgは結晶化温度Txよりも低温で観察される。Tg〜Tx間の領域は一般に過冷却液体温度領域と呼ばれ、粘性の低下が見られ、この温度で応力を付加することで非晶質性を維持したまま形状付与が可能となる。
アモルファス(非晶質)成形能が大きい非晶質合金では、ガラス転移温度Tgは結晶化温度Txよりも低温で観察される。Tg〜Tx間の領域は一般に過冷却液体温度領域と呼ばれ、粘性の低下が見られ、この温度で応力を付加することで非晶質性を維持したまま形状付与が可能となる。
上記方法の場合、図8(A)に示すように、小径部26aと大径部26bを有し、真空あるいは減圧されたシリンダ26(加熱手段は図示していない)内に、小径部26a内に摺動自在に配設された背圧付加用ピストン27と、大径部26b内に摺動自在に配設された主成形用ピストン28との間の空間に非晶質合金粉末41を装填した状態にする。このとき、成形に先だって、非晶質合金粉末41を圧粉用の治具を用いて圧粉しておくことが望ましい。また、過冷却液体温度領域に加熱保持された状態でも加圧して密度を高めることがさらに望ましく、この段階では背圧付加用ピストン27は固定した状態としておくことが望ましい。そして、図示しない主成形用ピストン、背圧用ピストン用駆動装置を利用して、図8(B)に示すように前記ピストン28,27を駆動し、非晶質合金の粘性流動を利用し、非晶質合金粉表面の酸化皮膜を破壊し、機械的に組織を結合させて円筒状ロール2の表面に付着させ、非晶質合金層を形成する。
この時、例えばZr55Al10Ni5Cu30の組成の非晶質合金粉を用いた場合、Tg:400℃、Tx:480℃である。
この時、例えばZr55Al10Ni5Cu30の組成の非晶質合金粉を用いた場合、Tg:400℃、Tx:480℃である。
図9は、非晶質合金層を円筒状ロール表面に形成するための第5の実施例を示しており、図示のように非晶質合金の溶湯中に金属製の円筒状ロールを浸漬・引き上げすることでロール表面に非晶質合金層を付着させることも可能である。
図9に示されるように、真空あるいは減圧された図示しないチャンバ内に配置され、図示しない加熱手段を具備した溶解槽22(坩堝)内には、非晶質合金の溶湯40が入っている。冷却媒体(例えば、He、Ar、N2等の冷却ガス、水、油等の冷却液体)で冷却された円筒状ロール2を、ロール上端面が湯面と同一面となるまで溶湯40中に浸漬し、引き上げると、図10に示されるように、円筒状ロール表面に非晶質合金3が付着するので、ロール下端面及び回転軸5表面に付着した非晶質合金は研磨等により除去する。このとき、好ましくは、円筒状ロール内部からの冷却に加えて、補助的に、図9に仮想線で示すように、溶湯上方に冷却用ガス噴出装置29を配置し、その円形パイプ30に配設された複数のノズル31から冷却用ガスを噴出させ、円筒状ロール2の外側から冷却することも可能である。
溶解槽22内への円筒状ロール2の浸漬・引き上げ速度は、用いる非晶質合金のアモルファス形成能や付着厚さ、円筒状ロールの材質や熱伝導率、冷却状態により異なる。
なお、図9では、ロール冷却手段として、中空の円筒状ロール内部に冷却媒体を送る方法を採用しているが、ロール冷却方法はこの方法に限定されるものではなく、その他の任意の方法を採用でき、また、他の実施例にも採用することができる。
図9に示されるように、真空あるいは減圧された図示しないチャンバ内に配置され、図示しない加熱手段を具備した溶解槽22(坩堝)内には、非晶質合金の溶湯40が入っている。冷却媒体(例えば、He、Ar、N2等の冷却ガス、水、油等の冷却液体)で冷却された円筒状ロール2を、ロール上端面が湯面と同一面となるまで溶湯40中に浸漬し、引き上げると、図10に示されるように、円筒状ロール表面に非晶質合金3が付着するので、ロール下端面及び回転軸5表面に付着した非晶質合金は研磨等により除去する。このとき、好ましくは、円筒状ロール内部からの冷却に加えて、補助的に、図9に仮想線で示すように、溶湯上方に冷却用ガス噴出装置29を配置し、その円形パイプ30に配設された複数のノズル31から冷却用ガスを噴出させ、円筒状ロール2の外側から冷却することも可能である。
溶解槽22内への円筒状ロール2の浸漬・引き上げ速度は、用いる非晶質合金のアモルファス形成能や付着厚さ、円筒状ロールの材質や熱伝導率、冷却状態により異なる。
なお、図9では、ロール冷却手段として、中空の円筒状ロール内部に冷却媒体を送る方法を採用しているが、ロール冷却方法はこの方法に限定されるものではなく、その他の任意の方法を採用でき、また、他の実施例にも採用することができる。
図11は、円筒状ロール表面に形成した非晶質合金層の厚さを均一化する実施例を示している。
図3〜図9に示されるような方法で円筒状ロール表面に非晶質合金層を形成させた後、非晶質合金層を均一化することで、金型ロールの表面に付着した非晶質合金層を均一、かつ、滑らかなものに仕上げることが可能となる。
図3〜図9に示されるような方法で円筒状ロール表面に非晶質合金層を形成させた後、非晶質合金層を均一化することで、金型ロールの表面に付着した非晶質合金層を均一、かつ、滑らかなものに仕上げることが可能となる。
図11に示す方法では、非晶質合金の過冷却液体温度領域に加熱された1対(2個)の加圧板31a、31bで、表面に非晶質合金層3が形成された円筒状ロール2を挟み、加圧板31a、31bの少なくとも一方を水平移動させることにより、円筒状ロール2が回転し、且つ、非晶質合金が過冷却液体温度領域で軟化することから、非晶質合金層3の凹凸を平滑にし、前記図6に示されるように、円筒状ロール2の表面に均一な非晶質合金層3を有するロール金型1を作製することができる。
なお、上記加圧板31a、31bに代えて、加圧ロールを用いてもよい。その場合、加圧ロールあるいは円筒状ロール2を回転させることで膜の均一化が可能である。このときの加圧ロールの温度も、上記と同様に過冷却液体温度領域に設定する。また、上記均一化工程を真空中あるいは不活性ガス雰囲気下で行うことにより、非晶質合金の酸化を抑えることができる。
なお、上記加圧板31a、31bに代えて、加圧ロールを用いてもよい。その場合、加圧ロールあるいは円筒状ロール2を回転させることで膜の均一化が可能である。このときの加圧ロールの温度も、上記と同様に過冷却液体温度領域に設定する。また、上記均一化工程を真空中あるいは不活性ガス雰囲気下で行うことにより、非晶質合金の酸化を抑えることができる。
さらに、円筒状ロール表面への非晶質合金層の形成は、図示はしないがイオンプレーティング法等によっても行うことが可能である。例えば、イオンプレーティング装置内に円筒状ロールを回転自在に配置する。円筒状ロールを回転させながら、非晶質合金の組成を有する蒸発源に電子ビームを照射し、非晶質合金を円筒状ロール表面に蒸着させることにより、ロール表面に非晶質合金膜を付着させることができる。蒸発源は、母合金でも混合物でもよく、また、それらの結晶化した金属や合金でもよい。また、非晶質合金組成で蒸着できるようにコントロールできれば、蒸発源は複数あっても良い。蒸着物を非晶質化するためには冷却速度をコントロールする必要があるため、円筒状ロールは温度調節する。
イオンプレーティング以外にも、スパッタ法、PVD法、CVD法等を採用できる。
イオンプレーティング以外にも、スパッタ法、PVD法、CVD法等を採用できる。
非晶質合金としては、本発明の方法を適用できる材料であれば全て使用可能であり、特定の材料に限定されるものではないが、下記一般式(1)〜(6)のいずれか1つで示される組成を有する非晶質合金を好適に使用できる。
一般式(1):M1 aM2 bLncM3 dM4 eM5 f
但し、M1はZr及びHfから選ばれる1種又は2種の元素、M2はNi、Cu、Fe、Co、Mn、Nb、Ti、V、Cr、Zn、Al及びGaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、LnはY、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb及びMm(希土類元素の集合体であるミッシュメタル)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M3はBe、B、C、N及びOよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M4はTa、W及びMoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M5はAu、Pt、Pd及びAgよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a、b、c、d、e及びfはそれぞれ原子%で、25≦a≦85、15≦b≦75、0≦c≦30、0≦d≦30、0≦e≦15、0≦f≦15である。
但し、M1はZr及びHfから選ばれる1種又は2種の元素、M2はNi、Cu、Fe、Co、Mn、Nb、Ti、V、Cr、Zn、Al及びGaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、LnはY、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb及びMm(希土類元素の集合体であるミッシュメタル)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M3はBe、B、C、N及びOよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M4はTa、W及びMoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M5はAu、Pt、Pd及びAgよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a、b、c、d、e及びfはそれぞれ原子%で、25≦a≦85、15≦b≦75、0≦c≦30、0≦d≦30、0≦e≦15、0≦f≦15である。
上記非晶質合金は、下記一般式(1−a)〜(1−p)の非晶質合金を含む。
一般式(1−a):M1 aM2 b
この非晶質合金は、M2元素がZr又はHfと共存するために、混合エンタルピーが負で大きく、アモルファス形成能が良い。
一般式(1−b):M1 aM2 bLnc
この非晶質合金のように、上記一般式(1−a)の合金に希土類元素を添加することによりアモルファスの熱的安定性が向上する。
一般式(1−a):M1 aM2 b
この非晶質合金は、M2元素がZr又はHfと共存するために、混合エンタルピーが負で大きく、アモルファス形成能が良い。
一般式(1−b):M1 aM2 bLnc
この非晶質合金のように、上記一般式(1−a)の合金に希土類元素を添加することによりアモルファスの熱的安定性が向上する。
一般式(1−c):M1 aM2 bM3 d
一般式(1−d):M1 aM2 bLncM3 d
これらの非晶質合金のように、原子半径の小さな元素M3(Be,B,C,N,O)でアモルファス構造中の隙間を埋めることによって、その構造が安定化し、アモルファス形成能が向上する。
一般式(1−d):M1 aM2 bLncM3 d
これらの非晶質合金のように、原子半径の小さな元素M3(Be,B,C,N,O)でアモルファス構造中の隙間を埋めることによって、その構造が安定化し、アモルファス形成能が向上する。
一般式(1−e):M1 aM2 bM4 e
一般式(1−f):M1 aM2 bLncM4 e
一般式(1−g):M1 aM2 bM3 dM4 e
一般式(1−h):M1 aM2 bLncM3 dM4 e
これらの非晶質合金のように、高融点金属M4(Ta,W,Mo)を添加した場合、アモルファス形成能に影響を与えずに耐熱性、耐食性が向上する。
一般式(1−f):M1 aM2 bLncM4 e
一般式(1−g):M1 aM2 bM3 dM4 e
一般式(1−h):M1 aM2 bLncM3 dM4 e
これらの非晶質合金のように、高融点金属M4(Ta,W,Mo)を添加した場合、アモルファス形成能に影響を与えずに耐熱性、耐食性が向上する。
一般式(1−i):M1 aM2 bM5 f
一般式(1−j):M1 aM2 bLncM5 f
一般式(1−k):M1 aM2 bM3 dM5 f
一般式(1−l):M1 aM2 bLncM3 dM5 f
一般式(1−m):M1 aM2 bM4 eM5 f
一般式(1−n):M1 aM2 bLncM4 eM5 f
一般式(1−o):M1 aM2 bM3 dM4 eM5 f
一般式(1−p):M1 aM2 bLncM3 dM4 eM5 f
これらの貴金属M5(Au,Pt,Pd,Ag)を含んだ非晶質合金の場合、結晶化が起きても脆くならない。
一般式(1−j):M1 aM2 bLncM5 f
一般式(1−k):M1 aM2 bM3 dM5 f
一般式(1−l):M1 aM2 bLncM3 dM5 f
一般式(1−m):M1 aM2 bM4 eM5 f
一般式(1−n):M1 aM2 bLncM4 eM5 f
一般式(1−o):M1 aM2 bM3 dM4 eM5 f
一般式(1−p):M1 aM2 bLncM3 dM4 eM5 f
これらの貴金属M5(Au,Pt,Pd,Ag)を含んだ非晶質合金の場合、結晶化が起きても脆くならない。
一般式(2):Al100-g-h-iLngM6 hM3 i
但し、LnはY、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb及びMmよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M6はTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M3はBe、B、C、N及びOよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、g、h及びiはそれぞれ原子%で、30≦g≦90、0<h≦55、0≦i≦10である。
但し、LnはY、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb及びMmよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M6はTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M3はBe、B、C、N及びOよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、g、h及びiはそれぞれ原子%で、30≦g≦90、0<h≦55、0≦i≦10である。
上記非晶質合金は、下記一般式(2−a)及び(2−b)の非晶質合金を含む。
一般式(2−a):Al100-g-hLngM6 h
この非晶質合金は、混合エンタルピーが負で大きく、アモルファス形成能が良い。
一般式(2−b):Al100-g-h-iLngM6 hM3 i
この非晶質合金においては、原子半径の小さな元素M3(Be,B,C,N,O)でアモルファス構造中の隙間を埋めることによって、その構造が安定化し、アモルファス形成能が向上する。
一般式(2−a):Al100-g-hLngM6 h
この非晶質合金は、混合エンタルピーが負で大きく、アモルファス形成能が良い。
一般式(2−b):Al100-g-h-iLngM6 hM3 i
この非晶質合金においては、原子半径の小さな元素M3(Be,B,C,N,O)でアモルファス構造中の隙間を埋めることによって、その構造が安定化し、アモルファス形成能が向上する。
一般式(3):Mg100-pM7 p
但し、M7はCu、Ni、Sn及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、pは原子%で5≦p≦60である。
この非晶質合金は、混合エンタルピーが負で大きく、アモルファス形成能が良い。
但し、M7はCu、Ni、Sn及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、pは原子%で5≦p≦60である。
この非晶質合金は、混合エンタルピーが負で大きく、アモルファス形成能が良い。
一般式(4):Mg100-q-rM7 qM8 r
但し、M7はCu、Ni、Sn及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M8はAl、Si及びCaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、q及びrはそれぞれ原子%で、1≦q≦35、1≦r≦25である。
この非晶質合金のように、前記一般式(3)の合金において原子半径の小さな元素M8(Al,Si,Ca)でアモルファス構造中の隙間を埋めることによって、その構造が安定化し、アモルファス形成能が向上する。
但し、M7はCu、Ni、Sn及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M8はAl、Si及びCaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、q及びrはそれぞれ原子%で、1≦q≦35、1≦r≦25である。
この非晶質合金のように、前記一般式(3)の合金において原子半径の小さな元素M8(Al,Si,Ca)でアモルファス構造中の隙間を埋めることによって、その構造が安定化し、アモルファス形成能が向上する。
一般式(5):Mg100-q-sM7 qM9 s
一般式(6):Mg100-q-r-sM7 qM8 rM9 s
但し、M7はCu、Ni、Sn及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M8はAl、Si及びCaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M9はY、La、Ce、Nd、Sm及びMmよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、q、r及びsはそれぞれ原子%で、1≦q≦35、1≦r≦25、3≦s≦25である。
これらの非晶質合金のように、前記一般式(3)及び(4)の合金に希土類元素を添加することによりアモルファスの熱的安定性が向上する。
一般式(6):Mg100-q-r-sM7 qM8 rM9 s
但し、M7はCu、Ni、Sn及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M8はAl、Si及びCaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M9はY、La、Ce、Nd、Sm及びMmよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、q、r及びsはそれぞれ原子%で、1≦q≦35、1≦r≦25、3≦s≦25である。
これらの非晶質合金のように、前記一般式(3)及び(4)の合金に希土類元素を添加することによりアモルファスの熱的安定性が向上する。
前記した非晶質合金の中でも、ガラス遷移温度(Tg)と結晶化温度(Tx)の温度差が極めて広いZr−TM−Al系及びHf−TM−Al系(TM:遷移金属)非晶質合金は、高強度、高耐食性であると共に、過冷却液体温度領域(ガラス遷移領域)ΔTx=Tx−Tgが30K以上、特にZr−TM−Al系非晶質合金は60K以上と極めて広く、この温度領域では粘性流動により数10MPa以下の低応力でも非常に良好な加工性を示す。また、冷却速度が数10K/s程度の鋳造法によっても非晶質バルク材が得られるなど、非常に安定で製造し易い特徴を持っている。従って、このガラス遷移領域を利用した粘性流動を利用して、母型の凹凸形状を上記非晶質合金からなるロール表面に極めて精度良く転写できる。
本発明に利用されるこのZr−TM−Al系及びHf−TM−Al系非晶質合金は、合金組成、測定法によっても異なるが、非常に大きなΔTxの範囲を持っているため、転写工程における温度管理幅が大きく、容易にロール金型を作製できる。例えば、Zr60Al15Co2.5Ni7.5Cu15合金(Tg:652K、Tx:768K)のΔTxは116Kと極めて広い。また、硬度は室温からTg付近までビッカース硬度(Hv)で460(DPN)、引張強度は1,600MPa、曲げ強度は3,000MPaに達する。熱膨張率αは室温からTg付近まで1×10-5/Kと小さく、ヤング率は91GPa、圧縮時の弾性限界は4〜5%を超えるため、ロール金型の材料又は表面層として最適である。さらに靭性も高く、シャルピー衝撃値で6〜7J/cm2を示す。このように非常に高強度の特性を示しながら、ガラス遷移領域まで加熱されると、流動応力は10MPa程度まで低下する。このため極めて加工が容易で、低応力で複雑な形状の微小部品や高精度部品に成形できるのが本合金の特徴である。しかも、いわゆるガラス(非晶質)としての特性から加工(変形)表面は極めて平滑性が高く、結晶合金を変形させたときのように滑り帯が表面に現われるステップなどは実質的に発生しない特徴を持っている。
一般に、非晶質合金はガラス遷移領域まで加熱すると長時間の保持によって結晶化が始まるが、本合金のようにΔTxが広い合金は非晶質相が安定であり、ΔTx内の温度を適当に選べば2時間程度までは結晶が発生せず、前記転写工程において結晶化を懸念する必要はない。
また、本合金は溶湯からの凝固においてもこの特性を如何なく発揮する。一般に非晶質合金の製造には急速な冷却が必要とされるが、本合金は冷却速度10K/s程度の冷却で溶湯から容易に非晶質単相からなるバルク材を得ることができる。その凝固表面はやはり極めて平滑であり、金型表面のミクロンオーダーの研磨傷でさえも忠実に再現する転写性を持っている。
従って、ロール金型の材料又は表面層として本合金を適用すれば、複雑な微細凹凸形状であっても母型の凹凸形状をそのまま転写することができる。
また、本合金は溶湯からの凝固においてもこの特性を如何なく発揮する。一般に非晶質合金の製造には急速な冷却が必要とされるが、本合金は冷却速度10K/s程度の冷却で溶湯から容易に非晶質単相からなるバルク材を得ることができる。その凝固表面はやはり極めて平滑であり、金型表面のミクロンオーダーの研磨傷でさえも忠実に再現する転写性を持っている。
従って、ロール金型の材料又は表面層として本合金を適用すれば、複雑な微細凹凸形状であっても母型の凹凸形状をそのまま転写することができる。
1 ロール金型
2 円筒状ロール
3 非晶質合金層
3’ 非晶質合金箔
4 凹凸形状
5 回転軸
10 母型
11、11’ 凹凸形状
12 被処理材
20,21 加圧ロール
22 溶解槽
23 金型
24 プランジャ
26 シリンダ
27 背圧付加用ピストン
28 主成形用ピストン
31a、31b 加圧板
40 溶湯
2 円筒状ロール
3 非晶質合金層
3’ 非晶質合金箔
4 凹凸形状
5 回転軸
10 母型
11、11’ 凹凸形状
12 被処理材
20,21 加圧ロール
22 溶解槽
23 金型
24 プランジャ
26 シリンダ
27 背圧付加用ピストン
28 主成形用ピストン
31a、31b 加圧板
40 溶湯
Claims (10)
- 少なくともロール(2)表面部が体積率50〜100%の非晶質相を含む実質的に非晶質の合金(3)からなり、該非晶質合金表面に凹凸形状(4)が形成されてなるロール金型(1)。
- 前記非晶質合金が、下記一般式(1)で示される組成を有することを特徴とする請求項1に記載のロール金型。
一般式(1):M1 aM2 bLncM3 dM4 eM5 f
(但し、M1はZr及びHfから選ばれる1種又は2種の元素、M2はNi、Cu、Fe、Co、Mn、Nb、Ti、V、Cr、Zn、Al及びGaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、LnはY、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb及びMm(希土類元素の集合体であるミッシュメタル)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M3はBe、B、C、N及びOよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M4はTa、W及びMoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M5はAu、Pt、Pd及びAgよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a、b、c、d、e及びfはそれぞれ原子%で、25≦a≦85、15≦b≦75、0≦c≦30、0≦d≦30、0≦e≦15、0≦f≦15である。) - ロール表面に微細な凹凸形状が形成されたロール金型の製造方法であって、表面に凹凸形状(11)が形成された母型(10)を、少なくともロール表面部が体積率50〜100%の非晶質相を含む実質的に非晶質の合金(3)からなるロール(2)の表面に、該非晶質合金の過冷却液体温度領域(ΔTx=Tx−Tg)の温度で圧接し、上記母型の凹凸形状を上記非晶質合金からなるロール表面に転写する工程を含むことを特徴とするロール金型(1)の製造方法。
- 前記ロールが、非晶質合金からなる円筒状ロール又は表面に非晶質合金層(3)を有する円筒状ロール(2)であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
- 前記母型(10)の凹凸形状(11)が形成された表面上を、前記非晶質合金の過冷却液体温度領域の温度で、前記ロール(2)を一定の圧力をかけながら回転移動させ、母型の凹凸形状を非晶質合金からなるロール表面に転写することを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
- 前記転写工程に先立って、ロール表面に非晶質合金層を形成する工程及び該非結晶質合金層の厚さを均一にする工程を含むことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記非結晶質合金が、過冷却液体温度領域ΔTxが30℃以上の非晶質合金であることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記非晶質合金が、ガラス転移点Tgが150℃以上の非晶質合金であることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記非晶質合金が、下記一般式(1)で示される組成を有することを特徴とする請求項3乃至8のいずれか一項に記載の方法。
一般式(1):M1 aM2 bLncM3 dM4 eM5 f
(但し、M1はZr及びHfから選ばれる1種又は2種の元素、M2はNi、Cu、Fe、Co、Mn、Nb、Ti、V、Cr、Zn、Al及びGaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、LnはY、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb及びMm(希土類元素の集合体であるミッシュメタル)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M3はBe、B、C、N及びOよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M4はTa、W及びMoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M5はAu、Pt、Pd及びAgよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a、b、c、d、e及びfはそれぞれ原子%で、25≦a≦85、15≦b≦75、0≦c≦30、0≦d≦30、0≦e≦15、0≦f≦15である。) - 前記転写工程を、ロール内部を冷却しながら行うことを特徴とする請求項3乃至9のいずれか一項に記載の方法。
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