JP2006002056A - 複合樹脂組成物水性分散体及びその製造方法 - Google Patents

複合樹脂組成物水性分散体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、重合時に凝集物を発生することなく、ウレタン樹脂とアクリル系樹脂とを複合化し、安定性に優れる水性分散体を提供することを課題とする。さらにコーティング剤に使用した場合に、ロールコート適性に優れ、光沢、耐水性の良好な塗膜を形成し得る、水性分散体を提供することを課題とする。
【解決手段】 アニオン基を有するポリオール成分(a1)を含有し、分子量が500以下の低分子量ポリオールを70モル%以上含有するポリオール成分(A)と、分子量が500以下の低分子量ポリイソシアネートを70モル%以上含有するポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなる、重量平均分子量が1000〜50000、酸価が20〜100(mgKOH/樹脂固型分1g)のウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体の存在下に、芳香族系単量体を含むラジカル重合可能な不飽和単量体(X)を水性媒体中で乳化重合してなる複合樹脂組成物水性分散体。
【選択図】 なし


Description

本発明は、保存安定性、成膜性に優れる複合樹脂組成物水性分散体及び重合安定性にも優れる前記複合樹脂組成物水性分散体の製造方法に関する。詳しくは、紙、フイルム、金属、ガラス、木材、皮革などの各種基材に使用できるコーティング剤や、水性インキに好適に用いられる複合樹脂組成物水性分散体に関する。さらに詳しくは、ロールコート適性に優れ、耐候性、光沢、耐水性、耐ブロッキング性、強靭性、密着性の良好な塗膜を形成し得る複合樹脂組成物水性分散体に関する。
従来より、ラジカル重合可能な不飽和単量体を重合してなる水分散体の重合方法として、乳化重合法は多岐にわたり利用されている。一般的な乳化重合法としては、水媒体中で比較的低分子量の界面活性剤を使用し、そのミセル中でラジカル重合を行う方法がある。この方法で作られた重合体は分子量が高く、コーティング剤用樹脂として使用して場合には優れた物性をもつ塗膜が得られる。反面、高分子量であるため成膜性が悪く光沢の良い塗膜を得るのが難しい。また得られた水分散体の粘性はチキソが強く、スプレーコートには適しているがロールコートには適していない。
一方、上記した乳化重合法に対して、水溶性の樹脂を高分子乳化剤として使用する乳化重合法が知られている。この方法で作られた水分散体は、水溶性樹脂が比較的多く存在するために成膜性が良く、ある程度高光沢な塗膜が得られる。また、粘性もニュートニアンに近くロールコートに適しているという特徴がある。しかし、水溶性樹脂を比較的多く使用しているため耐水性が悪いという欠点を持っている。
また、一般に乳化重合の際にはカルボキシル基を有するモノマーのような酸含有モノマーを使用する。そこで、上記耐水性の低下という問題を解決するために酸含有モノマーの使用量を減らすことが考えられる。しかし、重合安定性、得られた水分散体の経時安定性が悪くなる。
ところで、一般にウレタン樹脂は、基材への密着性、耐摩耗性、耐衝撃性など皮膜の強靭性に優れている。しかし、耐候性、耐アルカリ性、耐熱性などでは他の樹脂より劣っており、塗料、インキ、接着剤等の用途には汎用されるには至っていない。
これらの欠点を補う方法として、他樹脂との複合化が試みられている。
例えば、特開昭60−55064号公報、特開平5−117611号公報(特許文献1)に開示されているようにウレタン樹脂エマルジョンとアクリル樹脂エマルジョンとのブレンドがある。
しかし、両樹脂エマルジョンをブレンドすると、両樹脂の相溶性が不十分なためか、エマルジョンの経時安定性に難があり、成膜時に相分離を生じ、形成される塗膜が濁ったりするという問題がある。
また、特開平6−80930号公報(特許文献2)には、水性ウレタン樹脂の存在下でアクリル系モノマーを乳化重合する方法が開示されている。この方法は、ウレタン樹脂とアクリル樹脂の複合化には優れた方法ではある。
しかし、ウレタン樹脂の酸価が低い場合は高分子乳化剤としての乳化力が不足し、重合安定性、経時安定性が低下する。また、ウレタン樹脂の酸価が高い場合は乳化力はあるが、形成される膜の耐水性等が低下する欠点がある。
さらに特許文献2に開示される方法では、ウレタン樹脂100部に対して、アクリル系モノマーを10〜30部程度しか用いないので、ウレタン樹脂が相対的に多い。その結果形成される膜の耐候性、耐アルカリ性、耐熱性などの物性に欠点がある。
特開平5−117611号公報 特開平6−80930号公報
本発明は、重合時に凝集物を発生することなく、ウレタン樹脂とアクリル系樹脂とを複合化し、安定性に優れる水性分散体を提供することを課題とする。さらにコーティング剤に使用した場合に、ロールコート適性に優れ、光沢、耐水性の良好な塗膜を形成し得る、水性分散体を提供することを課題とする。
本発明は、アニオン基を有するポリオール成分(a1)を含有し、分子量が500以下の低分子量ポリオールを70モル%以上含有するポリオール成分(A)と、分子量が500以下の低分子量ポリイソシアネートを70モル%以上含有するポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなる、重量平均分子量が1000〜50000、酸価が20〜100(mgKOH/樹脂固型分1g)のウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体の存在下に、芳香族系単量体を含むラジカル重合可能な不飽和単量体(X)を水性媒体中で乳化重合してなる複合樹脂組成物水性分散体に関する。
また本発明は、低分子量ポリオールが、下記一般式(1)又は(2)で表されるポリオール成分の少なくとも一方を必須成分として含有することを特徴とする上記発明のいずれか記載される複合樹脂組成物水性分散体に関する。
Figure 2006002056
さらにまた本発明は、ウレタン樹脂と不飽和単量体(X)とが、ウレタン樹脂:不飽和単量体(X)=1:9〜3:7(重量比)であることを特徴とする上記発明のいずれか記載される複合樹脂組成物水性分散体に関する。
また、本発明は、ラジカル重合性不飽和基を有する界面活性剤をウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体と併用することを特徴とする上記発明記載の複合樹脂組成物水性分散体に関する。
さらに本発明は、不飽和単量体(X)100重量部に対して、ラジカル重合性不飽和基を有する界面活性剤を0.5〜5.0重量部用いることを特徴とする上記発明に記載の複合樹脂組成物水性分散体に関する。
さらに本発明は、複合樹脂組成物の分散粒子径が5〜150nmであることを特徴とする上記発明のいずれかに記載される複合樹脂組成物水性分散体に関する。
また本発明は、上記発明のいずれかに記載される複合樹脂組成物水性分散体を含有することを特徴とするコーティング剤に関する。
さらに本発明は、アニオン基を有するポリオール成分(a1)を含有し、分子量が500以下の低分子量ポリオールを70モル%以上含有するポリオール成分(A)と、分子量が500以下の低分子量ポリイソシアネートを70モル%以上含有するポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなる、重量平均分子量が1000〜50000、酸価が20〜100(mgKOH/樹脂固型分1g)のウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体の存在下に、芳香族系単量体を含むラジカル重合可能な不飽和単量体(X)を水性媒体中で乳化重合することを特徴とする複合樹脂組成物水性分散体の製造方法に関する。
本発明によって、重合安定性、保存安定性、成膜性の良好な粒子径の細かい、ウレタン樹脂とアクリル系樹脂との複合樹脂組成物の水性分散体を得ることができるようになった。この複合樹脂組成物の水性分散体をコーティング剤に使用した場合、ロールコート適性に優れ、光沢、耐水性の良好な塗膜を形成できるようになった。
本発明の具体的な態様について説明する。
本発明の複合樹脂組成物水性分散体は、上記したように比較的低酸価の特定のウレタン樹脂(C)を高分子乳化剤として使用し、芳香族系単量体を必須とするラジカル重合可能な不飽和単量体(X)を水性媒体中で乳化重合してなるものである。
そこで、まず乳化剤として機能するウレタン樹脂(C)について説明する。
ウレタン樹脂(C)は、特定のポリオール成分(A)と特定のポリイソシアネート成分(B)とを常法に従い反応させてなるものである。
本発明で用いられる特定のポリオール成分(A)は、アニオン基を有するポリオール成分(a1)を含有し、分子量が500以下の低分子量ポリオールを70モル%以上含有するものであり、低分子量ポリオールは90モル%以上であることが好ましく、ポリオール成分の全てが分子量500以下の低分子量ポリオールであることがさらに好ましい。分子量が500以下のポリオール成分が30モル%未満だと充分に安定な水性分散体が得られなくなる。
本発明で用いられるアニオン基を有するポリオール成分(a1)は、ウレタン樹脂(C)中にアニオン基を導入し、該アニオン基を後述する塩基性化合物で中和することによって、ウレタン樹脂(C)を水性媒体中に溶解ないし分散させる機能を担う。
アニオン基としては、カルボキシル基、スルホニル基などのが挙げられ、最終的な塗膜の耐水性等を考慮した場合、カルボキシル基が好ましい。ポリオール成分は、前記したように低分子量のものが好ましいので、アニオン基を有するポリオール成分(a1)としても低分子量のものを用いることが好ましい。
例えば、カルボキシル基を有するポリオール成分(a1)としては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロールペンタン酸等のジメチロールアルカン酸や、ジヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシ安息香酸等が挙げられ、ジメチロールアルカン酸が好ましい。
本発明では、これらのようなアニオン基含有ポリオール(a1)を単独、または複数使用できる。また、ポリオール成分(A)全体100モル%中に、アニオン基を含むポリオール成分(a1)は、0.1〜99モル%であることが好ましく、30〜80モル%であることがより好ましい。
本発明では、これらのようなアニオン基含有ポリオール成分(a1)の他に、アニオン基を含有しないポリオール成分(a2)を使用することができる。
アニオン基を含有しないポリオール成分(a2)としては、分子量が500以下の低分子量のものと、分子量が500を超える高分子量のものとが挙げられ、前者が好ましい。
アニオン基を含有しないポリオール成分(a2)のうち、分子量が500以下の低分子量のものとしては、下記一般式(1)又は(2)で表されるアミノ基を有するポリオールが好ましく、両者を併用することもでき、下記一般式(1)で表されるポリオールがより好ましい。
Figure 2006002056
一般式(1)におけるR1は、水素又は一価の官能基であり、一価の官能基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基が挙げられる。R1は、水素又はメチル基が好ましい。
一般式(1)におけるR2は、二価の結合基又は直接結合であり、二価の結合基としては、スルホニル基、アルキレン基等が挙げられる。
一般式(1)におけるR3、R4は、それぞれ独立に二価の結合基であり、直鎖又は分岐したアルキレン基等が挙げられる。
一般式(1)で表されるポリオールとしては、例えば、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルエンスルホンアミド、N,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルエンスルホンアミド等のスルホンアミド誘導体、
N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシプロピルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−m−トルイジン、N,N−ジヒドロキシプロピル−m−トルイジン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、N,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン等のアニリン誘導体、
N,N−ジヒドロキシエチルベンジルアミン、N,N−ジヒドロキシプロピルベンジルアミン等のベンジルアミン誘導体等が挙げられ、アニリン誘導体が好ましい。
一般式(2)におけるR5は、一価の官能基であり、一価の官能基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基が挙げられ、直鎖又は分岐を有していてもよい。
一般式(2)におけるR6、R7は、それぞれ独立に二価の結合基であり、直鎖又は分岐したアルキレン基等が挙げられる。
一般式(1)で表されるポリオールとしては、例えば、N,N−ジヒドロキシエチル−n−ブチルアミン、N,N−ジヒドロキシプロピル−n−ブチルアミン、N,N−ジヒドロキシエチル−tert−ブチルアミン、N,N−ジヒドロキシプロピル−tert−ブチルアミン、N,N−ジヒドロキシエチルイソプロピルアミン、N,N−ジヒドロキシプロピルイソプロピルアミン、N,N−ジヒドロキシエチル−n−ステアリルアミン、N,N−ジヒドロキシプロピル−n−ステアリルアミン等が挙げられる。
本発明において用いられるアニオン基を含有しないポリオール成分(a2)として、一般式(1)、(2)で表されるアミノ基を有するポリオールの他に、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメチロール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等や、N,N−ジヒドロキシエチルピペラジン、N,N−ジヒドロキシプロピルピペラジン等が挙げられる。本発明では、これらのポリオールを単独で使用することも併用することもできる。
また、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、アニオン基を含有しないポリオール成分(a2)として、分子量が500よりも大きいポリオールも併用できる。このようなポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールは、ジオールと二塩基酸の重縮合より得られる。
ジオールとしては、前記のエチレングリコール、ジエチレングリコールの他、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。
二塩基酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。
その他、ポリカプロラクトン、ポリβ−メチル−δ−バレロラクトンなどのラクトン系開環重合体ポリオール、ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、水酸基を有するモノマーの共重合体が挙げられる。
水酸基含有モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ジヒドロキシアクリレート等が挙げられる。
エポキシポリオールとしては、アミン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
その他、ポリブタジエンジオール、ひまし油等も挙げられる。
本発明でこれら分子量が500よりも大きいポリオールを用いる場合、単独で使用することもできるし、複数種を併用することもできる。
本発明で使用されるウレタン樹脂(C)は、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて分子内にウレア結合を含んでいても良い。例えば、インキ塗膜の発色性や耐水性を向上させる目的で、鎖延長する場合などである。このような場合には、ジアミン、ポリアミン、N−メチルジエタノールアミンの如きN−アルキルジアルカノールアミン、ジヒドラジド化合物などの公知の鎖延長剤を使用できる。
本発明で使用されるウレタン樹脂(C)を構成する他の成分、即ちポリイソシアネート成分について説明する。
本発明で使用できるポリイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族、脂環式のポリイソシアネートなどが挙げられ、分子量が500以下のものを70モル%以上使用することが重要であり、分子量が500以下のものを100モル%使用することが好ましい。分子量が500以下のポリオール成分が30モル%未満だと充分に安定な水性分散体が得られなくなる。
本発明で使用されるポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、3,3'−ジクロロ−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。本発明では、これらのポリイソシアネートを単独で使用することも、または複数使用することもできる。
本発明において用いられるウレタン樹脂(C)の製造は、常法に従えばよい。例えば、イソシアネート基と反応しない不活性な有機溶剤中で、室温または40〜120℃程度の温度で付加反応を行うのが好ましい。
本発明のウレタン樹脂(C)を合成する際に用いる溶剤としては、一般に使用されるものすべてが使用できるが、反応性の制御の点から、イソシアネート基および水酸基(ウレア結合を入れる場合にはアミノ基)と反応しないもの、あるいはこれらの官能基に対する反応性が低いもの、樹脂およびその原料に対する溶解性が良く、樹脂の合成上問題がないものであることが好ましい。
このような溶剤としては、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸イソプロピル、酢酸−n−プロピル、塩化メチレン、ベンゼン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
後述するようにウレタン樹脂(C)を水性化する際の脱溶剤を考慮すると、蒸気圧が水より高く、脱溶剤を行いやすい溶剤を用いることが好ましい。このような溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
また、本発明ではイソシアネートと水酸基の反応を促進するために触媒を使用してもよい。
イソシアネートと水酸基の反応に用いられる触媒としては、ジブチルすずジラウレート、オクトエ酸すず、ジブチルすずジ(2−エチルヘキソエート)、2−エチルヘキソエート鉛、チタン酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキソエート鉄、2−エチルヘキソエートコバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、テトラ−n−ブチルすず、塩化第一すず、塩化第二すず、塩化鉄などが挙げられる。
ポリオールとポリイソシアネートとの仕込み量は、前述のような鎖延長を行わない場合、ポリオールの水酸基1モル当量に対し、ポリイソシアネートのイソシアネート基は0.50〜0.99モル当量が好ましい。
0.50より小さい場合は、樹脂の分子量が小さくなりすぎたり、樹脂合成時に低分子量成分が未反応のまま残留しやすくなったりして、結果として耐水性やフィルムへの密着性などに悪影響を及ぼし易くなる。また、0.99より大きい場合は、反応終了後に、系内にイソシアネート基が残存することになり、この残存イソシアネート基が空気中の水分や、各種添加剤に含まれる活性水素と反応し、経時安定性に悪影響を及ぼす。また、1.00の場合は、反応系がゲル化し易くなる。
ただし、前述のように、鎖延長剤を用いて鎖延長する場合は、一般的に知られているような鎖延長の方法を用いればよい。例えば、ポリオールの水酸基1モル当量に対するポリイソシアネートのイソシアネート基のモル当量が1より大きくなるように仕込み、ポリオールとポリイソシアネートを反応させ、末端がイソシアネート基となるプレポリマーを合成した後、鎖延長剤を添加することによって、系内に残存しているイソシアネート基を完全に反応させるか、または、鎖延長反応終了後もイソシアネート基が残存するように設計し、残存イソシアネート基をモノアルコールと反応させることで末端封止するといった方法で、最終的に系内にイソシアネート基が残存しないように設計すれば問題はない。
本発明で使用されるポリウレタン樹脂(C)の重量平均分子量は、1000〜50000であることが重要であり、好ましくは4000〜30000、より好ましくは7000〜15000である。重量平均分子量が50000より大きい場合は、粘度が高くなりすぎたり、塗膜の光沢が低下したり、組成によっては高分子乳化剤としての能力が難くなる。また、重量平均分子量が1000より小さい場合は、塗膜の耐水性・密着性・強靭性などに悪影響を及ぼし易くなる。尚、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミェイション)によって求めたポリスチレン換算の値である。
本発明で使用されるポリウレタン樹脂(C)の酸価は、20〜100(KOHmg/樹脂固形分1g)であることが重要であり、好ましくは40〜100(KOHmg/樹脂固形分1g)、より好ましくは、50〜90(KOHmg/樹脂固形分1g)である。酸価が100より大きい場合は、塗膜の耐水性・密着性などに悪影響を及ぼし易くなる。他方、酸価が20よりも小さい場合には、高分子乳化剤として用いる場合の充分な乳化力が得られない。
本発明においてウレタン樹脂(C)は水性化して使用する。水性化の方法としては、一般的に知られているような、樹脂の水性化の方法を用いればよい。
例えば、有機溶剤中でカルボキシル基等のアニオン基を有するウレタン樹脂を合成した後、ウレタン樹脂中のカルボキシル基を、アンモニアなどの塩基性化合物を用いて中和し、水を添加した後、加熱して脱溶剤する方法などが挙げられる。この操作によりウレタン樹脂(C)が、高分子乳化剤としての機能を十分発揮できるようになる。
本発明において、ウレタン樹脂(C)中のアニオン基を中和する場合、用いる塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような無機塩基、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジエチルアミノエタノール、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モルホリンなどの有機アミンなどが挙げられる。
次に本発明において用いられる芳香族系単量体を必須とするラジカル重合可能な不飽和単量体(X)について説明する。
ラジカル重合可能な不飽和単量体(X)は、芳香族系単量体、及び芳香族系単量体以外のラジカル重合可能な不飽和単量体からなる。
本発明に使用する芳香族系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ビニルトルエン等から1種または2種以上を選択することができる。
芳香族系単量体は屈折率が高いので、これを多く含む不飽和単量体を乳化重合してなる複合樹脂組成物分散体を用いたコーティング剤の塗膜は高い光沢をもつ。そのため、高光沢の塗膜を得るには乳化重合の際に芳香族系単量体をできるだけ多量に使用した方が有利である。
ラジカル重合可能な不飽和単量体(X)のうち上記芳香族系単量体以外の単量体としては、
アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体;
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシルなどのアクリル酸アルキルエステル類;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシルなどのメタクリル酸アルキルエステル類;
アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ基含有モノマー;
N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタアクリルアミドなどのN−置換アクリル、メタクリル系モノマー;
アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有モノマー;並びにアクリロニトリルなどから1種または2種以上を選択することができる。
乳化重合の際に用いられる芳香族系単量体は、ラジカル重合可能な不飽和単量体(X)100重量%中に20〜99重量%であることが望ましい。前述したように芳香族系不飽和単量体を多く含む単量体を乳化重合した複合樹脂組成物を用いたコーティング剤の塗膜は高い光沢をもつため、芳香族系単量体は20重量%以上が望ましい。
本発明においては分子量調整のために連鎖移動剤を使用しても良い。チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、ステアリルメルカプタン等のメルカプタン類、α−メチルスチレンダイマーなどを使用することができる。さらに複合樹脂組成物の分子量を調整するために乳化重合時に使用することができる。
本発明においては、ウレタン樹脂(C)と不飽和単量体(X)とは、ウレタン樹脂(C)/不飽和単量体(X)=1〜5/9〜5(重量比)であることが好ましく、1〜3/9〜7(重量比)であることがより好ましい。ウレタン樹脂(C)が1割より少ないと、不飽和単量体(X)、並びにその形成される重合体を水性媒体中に乳化、分散させる能力が不足しがちとなり、乳化重合時の安定性及び乳化重合後の保存安定性が悪化し易い。他方、ウレタン樹脂(C)が3割よりも多くなると、得られる複合樹脂組成物を構成する低分子量の親水性の樹脂が相対的に増えることとなり、コーティング剤に使用した際の塗膜物性、特に耐水性や強度などに悪影響が出易い。
上記ウレタン樹脂(C)は一般的な低分子量の界面活性剤に比して乳化力が不足気味になりやすい。そこで乳化力を補う目的で、本発明では、乳化重合の際に上記したウレタン樹脂(C)の他に一般的な低分子量の界面活性剤も使用することが好ましい。
ウレタン樹脂(C)は、水性化、即ち水溶化ないし水性分散体化するためにアニオン基を有するポリオール成分(a1)を使用している。複合樹脂組成物の水性分散体から形成される塗膜の耐水性を向上するためには、使用量をできるだけ少なくすることが好ましい。しかし、アニオン基を有するポリオール成分(a1)を減らした結果、ウレタン樹脂(C)の親水性が低下することとなる。低親水性のウレタン樹脂(C)を用いて不飽和単量体(X)を水性媒体中で乳化重合使用とすると、凝集物が発生し易くなる。
低親水性のウレタン樹脂(C)の使用量を増やすことによって凝集物の発生は抑制することができる。しかし、ウレタン樹脂(C)の使用量を増やすと、相対的に不飽和単量体(X)に由来する部分が少なくなり、得られる複合樹脂組成物がウレタン樹脂(C)とほとんど同様の物性を示すこととなる。
そこで、低親水性のウレタン樹脂(C)の乳化力を補い、乳化重合の安定化を図るために一般的な低分子量の界面活性剤も併用することが好ましい。
一般的な低分子量の界面活性剤としては、環境問題及び形成される塗膜の耐水性を考慮して非ノニルフェノール構造のラジカル重合性の不飽和基を1個以上有する界面活性剤を使用することが好ましい。
本発明に併用し得る界面活性剤としては、非ノニルフェノール系で分子中にラジカル重合性の不飽和基を1個以上有するものが好ましく、例えばスルフォコハク酸エステル系(市販品としては、例えば花王株式会社製ラテムルS−120,S−180P,S−180A,三洋化成株式会社製エレミノールJS−2等)やアルキルエーテル系(市販品としては、例えば第一工業製薬株式会社製アクアロンKH−05、KH−10、旭電化工業株式会社製アデカリアソープSR−10N、SR−20N、ER−10、20、30、40等)がある。乳化重合に際しては、これらの1種または2種以上を併用して用いることができる。
これらラジカル重合性の不飽和基を1個以上有する界面活性剤は、不飽和単量体(X)100重量部に対して、0.5〜5.0重量部用いることが好ましく、0.5〜2.0重量部用いることが好ましい。
またラジカル重合性の不飽和基を1個以上有する界面活性剤の使用量が少なく乳化が不足気味の場合は、必要に応じて塗膜の耐水性に悪影響を及ぼさない範囲でさらに反応性のない界面活性剤を併用することも可能である。
反応性のない界面活性剤としては、通常の乳化重合に使用される非ノニルフェノール系のアニオン系、ノニオン系の界面活性剤を使用することができる。
乳化重合時に使用する開始剤としては、アンモニウムパーオキサイド、ソディウムパーオキサイド等の無機系過酸化物重合開始剤や水溶性アゾ系開始剤を使用する。場合によればベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性の開始剤を併用することもできる。これら開始剤は単独で使用することもできるが、ロンガリット等の還元剤との併用によるレドックス型で使用してもよい。
また乳化重合中に、硫酸第二銅、塩化第二銅等の銅イオンや、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等の鉄イオンなどの遷移金属イオンを重合系に10-7〜10-5モル/リットルの範囲で添加することができる。
さらに緩衝剤として酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等が、また保護コロイドとしてのポリビニルアルコール、水溶性セルロース誘導体等が使用できる。
本発明の複合樹脂組成物の水性分散体は、種々の方法で得ることができる。例えば、下記(1)〜(3)等の方法で得ることができ、(1)の方法で得ることが好ましい。
(1)ウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体に、不飽和単量体(X)、反応性界面活性剤及び水を混合してなる単量体エマルジョンを滴下する。この場合、重合開始剤は、ウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体に入れておいても良いし、単量体エマルジョンに入れておいても良いし、単量体エマルジョンとは別に、ウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体に滴下してもよい。
(2)ウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体に反応性界面活性剤を加え、不飽和単量体(X)を滴下する。この場合、重合開始剤は、ウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体に入れておいても良いし、単量体(X)と混合して滴下しても良いし、単量体(X)とは別に、ウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体に滴下してもよい。
(3)上記(1)と(2)の中間の方法。不飽和単量体(X)、反応性界面活性剤及び水と混合してなる単量体エマルジョンを用意し、その単量体エマルジョンの一部をウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体に添加し、残りの単量体エマルジョンを滴下する。。この場合、重合開始剤は、ウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体に入れておいても良いし、単量体エマルジョンに入れておいても良いし、単量体エマルジョンとは別に、ウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体に滴下してもよい。
より具体的には、本発明の複合樹脂組成物水性分散体は、アニオン基を有するポリオール成分(a1)のうち分子量500以下の低分子量ポリールと、アニオン基を有しないポリオールであって一般式(1)で示されるアミノ基を有する分子量500以下の低分子量ポリールと、分子量が500以下の低分子量ポリイソシアネート成分とを反応させてなるウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体に、ラジカル重合性の不飽和基を1個以上有する界面活性剤で芳香族系単量体を含むラジカル重合可能な不飽和単量体(X)を水性媒体中の乳化分散した単量体エマルジョンを、滴下し、重合して得ることが特に好ましい。
本発明の複合樹脂組成物水性分散体の分散粒子の体積平均粒子径は、5〜150nmであることが好ましく、30〜100nmであることがよりましい。複合樹脂組成物水性分散体の分散粒子の粒子径は、コーティング剤として用いた場合の成膜性に大きな影響を与える。粒子径が150nmより大きいと、得られる塗膜の光沢が低く、また塗膜の割れなどの塗膜欠陥も生じやすい。また、通常の手法では、粒子径が5nmより小さい水分散体は得られにくい。なお、粒子径はレーザー光散乱法で測定することができる。
本発明の複合樹脂組成物水性分散体は、各種コーティング剤に使用することができる。このコーティング剤は保存安定性、成膜性が良好であり、ロールコート適性に優れ、光沢、耐水性、耐ブロッキング性、密着性の良好な塗膜を形成する。コーティング剤の具体例としては紙、フィルム、金属、ガラス、木材、皮革などの各種基材に使用することのできる塗料やインキが挙げられる。
またこれらのコーティング剤には顔料、染料等の着色剤やフィラー、微粉末シリカ等のチキソ性調整剤、コロイダルシリカ、アルミナゾル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、水溶性ポリエステル樹脂、乳化剤、消泡剤、レベリング剤、滑り剤、粘着性付与剤、防腐剤、防黴剤、造膜助剤としての有機溶剤などを必要に応じて配合してもよい。
以下、本発明を実施例により説明する。なお、例中「部」、「%」はそれぞれ「重量部」、「重量%」を示す。
[実施例1]
<ウレタン樹脂水溶液の合成>
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、攪拌装置、温度計を備えた4ツ口の1000mlフラスコに、ジメチロールブタン酸13.3部、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン16.3部、メチルエチルケトン33.3部を仕込み、フラスコ内を乾燥窒素で置換し、攪拌しながら80℃まで昇温した。攪拌下、イソホロンジイソシアネート37.0部を10分で滴下し、6時間反応させた。反応物を65℃に冷却し、水177.4部、25%のアンモニア水6.0部を添加し、昇温して、溶剤であるメチルエチルケトン33.3部を脱溶剤した。室温に冷却後、さらに水を添加して樹脂固形分が25.0%になるように調整し、重量平均分子量が11000、酸価が75(mgKOH/g)である、ハイドロゾル状のウレタン樹脂水溶液(C1)を得た。
<乳化重合>
別途、スチレン75.0部、メタクリル酸メチル85.0部、アクリル酸2エチルヘキシル90.0部、アクアロンHS-10(第一工業製薬製)5.0部、イオン交換水254.5部を混合、乳化した単量体エマルジョンを用意した。
上記ウレタン樹脂水溶液(C1)を80℃まで昇温し、上記単量体エマルジョン90分間かけて滴下し、3時間反応させた。尚、重合開始剤としては過硫酸アンモニウムを単量体エマルジョンとは別に90分間かけて連続滴下した。
固型分40.8%、pH8.1、粘度1100mpa・s、粒子径95nmの複合樹脂組成物水分散体を得た。
[実施例2〜8]、[比較例1〜比較例7]
表2に示す組成を実施例1と同様の方法で重合して、それぞれの水性分散体を得た。
[比較例8]
スチレン75.0部、メタクリル酸メチル85.0部、アクリル酸2エチルヘキシル90.0部、アクアロンHS-10(第一工業製薬製)5.0部、イオン交換水100.0部を混合、乳化した単量体エマルジョンを用意した。
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、攪拌装置、温度計を備えた4ツ口の1000mlフラスコに、イオン交換水154.5部と乳化した上記単量体エマルジョン17.8部を入れ、80℃まで昇温し、残りの上記単量体エマルジョン90分間かけて滴下し、3時間反応させた。尚、重合開始剤としては過硫酸アンモニウムを単量体エマルジョンとは別に90分間かけて連続滴下し、固型分50.0%、pH2.0、粘度1200mpa・s、粒子径120nmのアクリル系エマルジョンを得た。
実施例1で得た固形分25.0%のウレタン樹脂水溶液(C1)水溶液250重量部とと、上記固形分50.0%のアクリル系エマルジョン512.0重量部とを混合した。
次に得られた実施例1〜8および比較例1〜8の各水性分散体について、下記に示す方法で各種性能を評価した。
水性分散体の評価
(1)重合安定性:反応終了後の反応容器への樹脂の付着量および、濾布で濾過後の凝集物の量を目視で評価した。なお、評価基準は次のとおりである。
◎:良好である。
○:実用上問題のないレベルである。
△:若干問題のあるレベルである。
×:不良である。
(2)保存安定性:密閉したガラス容器に水分散体をいれて40℃で1カ月保存し、粘度の変化率を測定した。さらに、ガラス容器の底の凝集物について目視で評価した。なお、評価基準は次のとおりである。
◎:粘度変化率 ≦±10%、凝集物は認められない。
○:粘度変化率 ≦±10%、凝集物がわずかに認められる。
△:粘度変化率 ±10%〜±30%、もしくは凝集物が一部認められる。
×:粘度変化率 ≧±30%、もしくはかなりの沈降が認められる。
(3)耐水性:得られた各水性分散体100部にブチルセロソルブ5部を添加し、試験用の分散液とした。
顔料濃度14%、樹脂/顔料の固形分比=1/1の水性インキを#4バーコーターでコート紙に塗工し、80℃のオーブンで1分間乾燥した。
この上に、試験用の分散液を#6バーコーターで塗工し、120℃のオーブンで3分間乾燥させ評価試料とした。試料を学振型テスターにセットして、水で濡らしたカナキン3号布で500g×100回表面を往復させ、表面状態を目視で観察した。なお、評価基準は次のとおりである。
◎:100回のラビングでも塗膜に全く変化がない。
○:100回のラビングで塗膜にわずかな変化が見られる。
△:100回のラビングで塗膜にかなりの変化が見られる。
×:100回のラビングを行わないうちに塗膜がなくなってしまう。
(4)光沢:上記(3)で作成した評価試料を用いて、60度の鏡面反射率をグロスメーターで測定した。
(5)ロールコート適性
得られた各水性分散体100部にブチルセロソルブ5部を添加し、試験用の分散液とした。
顔料濃度14%、樹脂/顔料の固形分比=1/1の水性インキをロールコーターで100m/分でコート紙に連続塗工したときの塗工表面の状態で判断した。
○:塗工抜け、塗りむら全くなし。
△:少量の塗工抜け、塗りむらが確認できる。
×:塗工面全面に塗工抜け、塗りむらが確認できる。
Figure 2006002056
Figure 2006002056
比較例1は、低酸価のウレタン樹脂を用いた例であり、重合安定性およびロールコート適性が劣った。また、比較例2および3は、高酸価のウレタン樹脂を用いた例であり、いずれも耐水性が著しく劣った。また、重量平均分子量の小さいウレタン樹脂を用いた比較例4は、重合安定性、耐水性が劣った。また、比較例5、6は、重量平均分子量の大きいウレタン樹脂を用いた例であり、重合安定性が著しく劣る結果であった。さらに、被乳化成分としてスチレンを含まない不飽和単量体を重合した比較例7は、光沢値が劣った。また、ウレタン樹脂水溶液ないし水性分散体とアクリル系エマルジョンとを混合した比較例8は保存安定性が悪く沈降物が生じた。
これに対して、本発明の水性分散体である実施例1〜8は、いずれも、重合安定性、保存安定性、耐水性、光沢値のすべてを満足するものであった。
本発明の複合樹脂組成物の水性分散体は、紙、フィルム、金属、ガラス、木材、皮革などの各種基材向けのコーティング剤として使用し得る。このコーティング剤は、また、耐候性、耐ブロッキング性、強靭性、密着性等の良好な塗膜を形成し得る。

Claims (8)

  1. アニオン基を有するポリオール成分(a1)を含有し、分子量が500以下の低分子量ポリオールを70モル%以上含有するポリオール成分(A)と、分子量が500以下の低分子量ポリイソシアネートを70モル%以上含有するポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなる、重量平均分子量が1000〜50000、酸価が20〜100(mgKOH/樹脂固型分1g)のウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体の存在下に、芳香族系単量体を含むラジカル重合可能な不飽和単量体(X)を水性媒体中で乳化重合してなる複合樹脂組成物水性分散体。
  2. 低分子量ポリオールが、下記一般式(1)又は(2)で表されるポリオール成分の少なくとも一方を必須成分として含有することを特徴とする請求項1記載の複合樹脂組成物水性分散体。
    Figure 2006002056
  3. ウレタン樹脂と不飽和単量体(X)とが、ウレタン樹脂:不飽和単量体(X)=1:9〜3:7(重量比)であることを特徴とする請求項1又は2記載の複合樹脂組成物水性分散体。
  4. ラジカル重合性不飽和基を有する界面活性剤をウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体と併用することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の複合樹脂組成物水性分散体。
  5. 不飽和単量体(X)100重量部に対して、ラジカル重合性不飽和基を有する界面活性剤を0.5〜5.0重量部用いることを特徴とする請求項4記載の複合樹脂組成物水性分散体。
  6. 複合樹脂組成物の分散粒子径が5〜150nmであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の複合樹脂組成物水性分散体。
  7. 請求項1〜6いずれか記載の複合樹脂組成物水性分散体を含有することを特徴とするコーティング剤。
  8. アニオン基を有するポリオール成分(a1)を含有し、分子量が500以下の低分子量ポリオールを70モル%以上含有するポリオール成分(A)と、分子量が500以下の低分子量ポリイソシアネートを70モル%以上含有するポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなる、重量平均分子量が1000〜50000、酸価が20〜100(mgKOH/樹脂固型分1g)のウレタン樹脂(C)の水溶液ないし水性分散体の存在下に、芳香族系単量体を含むラジカル重合可能な不飽和単量体(X)を水性媒体中で乳化重合することを特徴とする複合樹脂組成物水性分散体の製造方法。

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