JP2006002022A - ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも2個の活性水素を有する活性水素化合物にアルキレンオキシドを付加させたポリオキシアルキレンポリオールをポリオール成分として用いるポリエステルの製造法において、該ポリオキシアルキレンポリオールが触媒として4個のアルキル基が炭素数4以下のアルキル基であるテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを用いたことを特徴とするポリエステル製造法である。
【選択図】 なし
Description
上記アルキレンオキシド付加反応に用いる触媒としては、従来からアルカリ触媒、例えば、KOH、NaOH等のアルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属(Na、K等)、及びその水素化物(NaH、KH等)、アミン類(トリエチルアミン、トリメチルアミン等)、BF3、BCl3、AlCl3、FeCl3、SnCl3等のルイス酸及びそれらの錯体[例えばBF3エーテル錯体、BF3・THF錯体(BF3・THF)]、H2SO4、HClO4等のプロトン酸等が用いられている。
アミン類を触媒として用いてアルキレンオキシド付加反応を行った後、減圧留去により取り除くことが可能である。これによると、低沸点のアミンを用いた場合、エステル化工程の条件下すなわち減圧で180〜250℃という高温下においては容易に留去されるため、処理工程を省くことが可能である。しかしながらアミン類は触媒活性が低く、所望する重合度を得るために工程時間が長くなるという問題点がある。
上記問題点に対して、ポリオールへのアルキレンオキシド付加反応の触媒としてテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを用いる方法(例えば、特許文献1、2)が提案されている。
特開昭56−38323号公報に記載の技術は、ポリウレタン原料としてのポリオキシアルキレンポリオールの製造に関するものであるため、この触媒はウレタン化反応に影響を与えるため、ウレタン化反応の前に事前に触媒を処理しておく必要がある。そしてこの処理方法としては、アルキレンオキシド付加反応後、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを熱分解して減圧留去するものであるが、完全に留去するためには工程時間が非常に長くなるという問題点もある。
即ち本発明は、少なくとも2個の活性水素を有する活性水素化合物にアルキレンオキシドを付加させたポリオキシアルキレンポリオールをポリオール成分として用いるポリエステルの製造法において、該ポリオキシアルキレンポリオールが触媒として4個のアルキル基が炭素数4以下のアルキル基であるテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを用いたことを特徴とするポリエステル製造法である。
(1)エステル化工程で触媒の熱分解と除去を同時に行えるため、ポリオール製造からポリエステル製造までの全工程時間を大幅に短縮することができる。
(2)アルキレンオキシド付加反応後の処理工程無しでエステル化に進めることは、特に反応スケールが大きい時に有効である。
(3)アルキレンオキシド付加に従来のアルカリ金属触媒を使用した場合と同等のポリエステル物性を維持することができる。
上記(a)のアルキル基としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基が挙げられ、4個のアルキル基は同一でも異なっていても良い。より好ましくはメチル基であり、特に好ましくは4個のアルキル基の全てがメチル基のものである。炭素数が4を超えると、触媒活性が低くなり、また分解後の成分が高沸点であるためエステル化工程において留去が容易でなくなる。
フェノール化合物としては、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、ノボラック等の2〜10価の多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ポリブタジエンポリオール、ひまし油系ポリオール、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体、ポリビニルアルコール類等の分子量1000以下の多官能(例えば官能基数2〜50)ポリオール等が挙げられる。
これらの内好ましくは、アルコール化合物、フェノール化合物であり、より好ましくは、ビスフェノール類、ビスフェノール類アルキレンオキシド付加物である。
これらのうち好ましくは、EO、PO、BO及びTHFであり、より好ましくはEO、POである。
テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(a)の使用量は、好ましくは得られるポリオキシアルキレンポリオールに対して0.01〜1.0重量%であり、より好ましくは0.05〜0.2重量%である。
反応時間は好ましくは2〜15時間であり、より好ましくは3〜10時間である。
このようにして得られたポリオキシアルキレンポリオールは触媒をそのまま残した状態で、次のエステル化工程に使用されるが、必要に応じて中和しても構わない。中和に用いる酸は、好ましくはポリエステルの酸成分として用いるものである。
(1)ポリカルボン酸としては炭素数4〜30、2〜8価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられ、具体的には下記の化合物が挙げられる。
(i) 重合性不飽和基を有しないポリカルボン酸;
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ハイミック酸、テトラブロモフタル酸、テトラクロロフタル酸、ジフェニルジカルボン酸等の2価芳香族ポリカルボン酸;ベンゼントリカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸等の3価以上の芳香族ポリカルボン酸;マロン酸、コハク酸、プロパンジカルボン酸、チオジプロピオン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の2価脂肪族ポリカルボン酸;プロパントリカルボン酸、メチルシクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキセントリカルボン酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸等の3価以上の脂肪族ポリカルボン酸
(ii)重合性不飽和基を有するポリカルボン酸;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸等の重合性不飽和基を有するポリカルボン酸;
等が挙げられる。
(3) ポリカルボン酸のエステルとしては、上記ポリカルボン酸の炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等)が挙げられる。
(4) ポリカルボン酸のハロゲン化物としては上記ポリカルボン酸の酸塩化物、臭素化物、フッ素化物、ヨウ化物が挙げられ、例えばマレイン酸塩化物、イタコン酸塩化物、フマル酸臭化物、シトラコン酸塩化物等が挙げられる。
[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、より好ましくは1.6/1〜1/1.6であり、特に好ましくは1.3/1〜1/1.3である。
エステル化触媒としては、スズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウム等の金属;及びこれらの金属含有化合物、例えばジブチルスズオキシド、オルソジブチルチタネート、テトラブチルチタネート、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸コバルト、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン等が挙げられる。エステル化の原料100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。
反応温度としては好ましくは150℃〜280℃である。反応時間は好ましくは1〜20時間であり、より好ましくは1〜10時間である。
反応方法は公知の方法が適用でき、典型的には常圧で加熱し生成する水若しくは低級アルコール若しくはハロゲン化水素を除去しながら反応させて低重合物を得る第1段階の反応と、第1段階の反応生成物を減圧下(例えば30mmHg以下)で加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造される。
反応は、反応物の性質、例えば酸価(AV値)、水酸基価等が所望の値に到達した時点、あるいは反応機の撹拌トルク又は撹拌動力が所定の値に到達した時点で反応を停止させることによって、反応をコントロールすることができる。
撹拌装置、温度制御装置付きの容積2リットルのステンレス製オートクレーブに、「ニューポール BP−3P」(三洋化成工業社製;ビスフェノールAのPO3モル付加物;「ニューポール」の製造に用いられた触媒は吸着剤で除去されている。以下同様) 200g(0.5モル)、ビスフェノールA 720g(3.1モル)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液 10g(純分で0.17重量%)を仕込み、100℃、30mmHg以下の減圧下で脱水した。プロピレンオキサイド 540g(9.4モル)を、反応温度100℃を保持制御しながら、3時間かけて滴下した後、100℃で7時間熟成し、液状の粗製ポリエーテル 1,450gを得た。この粗製ポリエーテルに無水マレイン酸 2gを加えて85〜95℃で1時間撹拌中和して、POが平均3モル付加のビスフェノールAポリオキシプロピレンポリオール 1,450gを得た。得られたこのポリオールの水酸基価は281、50℃の粘度は2,050mPa・sであった。また、仕込み始めからポリオールを得るまでの総工程時間は13時間であった。
撹拌装置、温度制御装置付きの容積1リットルのステンレス製オートクレーブに、「ニューポール」 BP−2P(三洋化成工業社製;ビスフェノールAのPO2モル付加物) 100g(0.3モル)、ビスフェノールA 405g(1.8モル)、テトラ(t−ブチル)アンモニウムヒドロキシドの10%メタノール溶液 14g(純分で0.19質量%)を仕込み、60℃、30mmHg以下でメタノールを減圧留去した。プロピレンオキサイド 215g(3.7モル)を、反応温度70℃を保持制御しながら、3時間かけて滴下した後、70℃で10時間熟成し、液状の粗製ポリエーテル 720gを得た。この粗製ポリエーテルに無水フタル酸 2gを加えて80〜90℃で1時間撹拌中和して、POが平均2モル付加のビスフェノールAポリオキシプロピレンポリオール 720gを得た。得られたこのポリオールの水酸基価は321、60℃の粘度は1,650mPa・sであった。また、仕込み始めからポリオールを得るまでの総工程時間は17時間であった。
触媒をテトラ(n−オクチル)アンモニウムヒドロキシドの10%メタノール溶液(純分で0.19質量%)に変更する以外は実施例2と同様に行い、反応温度70℃を保持制御しながら、3時間かけてプロピレンオキサイドを滴下した後、70℃で11時間熟成し、液状の粗製ポリエーテル 720gを得た。この粗製ポリエーテルに無水フタル酸 2gを加えて80〜90℃で1時間撹拌中和して、POが平均2モル付加のビスフェノールAポリオキシプロピレンポリオール 720gを得た。得られたこのポリオールの水酸基価は320、60℃の粘度は1,680mPa・sであった。また、仕込み始めからポリオールを得るまでの総工程時間は18時間であった。
撹拌装置、温度制御装置付きの容積2リットルのステンレス製オートクレーブに、「ニューポール BP−3P」(三洋化成工業社製;ビスフェノールAのPO3モル付加物) 200g(0.5モル)、ビスフェノールA 720g(3.1モル)、触媒としてトリエチルアミン 4g(0.27質量%)を仕込み、プロピレンオキサイド 540g(9.4モル)を、反応温度100℃を保持制御しながら、8時間かけて滴下した後、100℃で23時間熟成し、液状の粗製ポリエーテル 1,450gを得た。この粗製ポリエーテルに無水マレイン酸 3.8gを加えて85〜95℃で1時間撹拌中和して、POが平均3モル付加のビスフェノールAポリオキシプロピレンポリオール 1,450gを得た。得られたこのポリオールの水酸基価は285、50℃の粘度は2,350mPa・sであった。また、仕込み始めからポリオールを得るまでの総工程時間は34時間であった。
撹拌装置、温度制御装置付きの容積2リットルのステンレス製オートクレーブに、ニューポール BP−3P(三洋化成工業社製;ビスフェノールAのPO3モル付加物) 200g(0.5モル)、ビスフェノールA 720g(3.1モル)、触媒として水酸化カリウム 2.9g(0.20質量%)を仕込み、プロピレンオキサイド 540g(9.4モル)を、反応温度120℃を保持制御しながら、3時間かけて滴下した後、120℃で10時間熟成し、液状の粗製ポリエーテル 1,450gを得た。この粗製ポリエーテルに、イオン交換水 10g、キョーワード600(協和化学工業社製)10gを加えて75〜85℃で30分間撹拌した後、減圧濾過、および脱水を行い、POが平均3モル付加のビスフェノールAポリオキシプロピレンポリオール 1,320gを得た。得られたこのポリオールの水酸基価は281、50℃の粘度は2,020mPa・sであった。また、仕込み始めからポリオールを得るまでの総工程時間は23時間であった。
得られた各ポリオールについて下記エステル化を行い、Tg、軟化点、窒素含量について評価した。結果を表1に示す。
<用いたポリオール>
実施例3:実施例1で得られたポリオール
実施例4:実施例2で得られたポリオール
比較例4:比較例1で得られたポリオール
比較例5:比較例2で得られたポリオール
比較例6:比較例3で得られたポリオール
トルク検知器の付いた攪拌機、温度計、冷却器及び窒素導入菅を装備した反応槽に上記ポリオールを940部、テレフタル酸を380部、無水トリメリット酸を60部及びジブチルスズオキシド2.5部を入れて、窒素気流下230℃で反応させた。反応物に透明感が出た時点から反応温度を200℃に下げて減圧下でポリエステル化反応を進めた。反応物の酸価が2.0〜3.0となった時点で反応を停止し、反応物を取り出し急冷し、ポリエステル樹脂を得た。
評価は次の通りに行った。
(a)ガラス転移温度(Tg)
ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)。
(b)軟化点
フローテスター(CFT−500、島津製作所製)で1.0mmφ×1.0mmのノズルを用 い、荷重10kg、昇温速度5℃/分で測定し、1.5gのサンプルの1/2が流出した時の 温度を求める。
(c)窒素含量
窒素分析装置(ANTEK7000、(米)アンテック社製)で測定した。
Claims (4)
- 少なくとも2個の活性水素を有する活性水素化合物にアルキレンオキシドを付加させたポリオキシアルキレンポリオールをポリオール成分として用いるポリエステルの製造法において、該ポリオキシアルキレンポリオールが触媒として4個のアルキル基が炭素数4以下のアルキル基であるテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを用いて製造されたことを特徴とするポリエステル製造法。
- 前記4個のアルキル基がすべてメチル基であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル製造法。
- 前記ポリオキシアルキレンポリオールを前記触媒を除去せずにそのままポリエステルの製造に用いることを特徴とする請求項1又は2記載のポリエステル製造法。
- 前記活性水素化合物がビスフェノール類及び/又はビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物である請求項1〜3の何れか記載のポリエステル製造法。
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