JP2006001822A - 針状シリカ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鱗片状シリカとは形態的に異なる針状の低結晶性シリカを、ケイ灰石やアルミノケイ酸塩を経ることなく、水熱反応により創出する。
【解決手段】 アルカリ性のリチウム源及びシリカ源を含む水溶液又は水スラリーを出発原料とし、水熱処理することにより、低結晶性の針状シリカを得ることができ、特にアルカリ性のリチウム源として水酸化リチウム等を使用し、シリカ源としてシリカゾル等を使用するか、アルカリ性のリチウム源及びシリカ源としてケイ酸リチウムを使用することにより、直径が0.001〜1μmの針状シリカであり、アスペクト比が5〜200である針状シリカが提供される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、新規な低結晶性の針状シリカ粒子及びその製造方法に関するものである。
従来、シリカ粒子は、塗料、樹脂、ゴム、化粧料、制汗剤、紙塗工剤等に配合するフィラー等として好適に使用されている。通常これらシリカ粒子は、微小粒状または不定形状のものであるが、もし粒状等の代わりに形状異方性を有する針状シリカが使用できれば、例えば塗料や化粧料に配合した場合、その形成する塗膜や化粧料の被膜中で基体等に平行に配向することが期待されるため、塗膜や被膜の膜質の向上効果や補強効果が粒状シリカ粒子等に比較して格段に向上することが期待される。
このような針状(または短繊維状シリカとも称される。)の形態を有するシリカ粒子を得ようとする試みが最近なされるようになったが、最も安易な方法は、細く長い針状(又は長柱状)として公知のSiO2・CaO系天然鉱物であるワラストナイト(wollastnite/ケイ灰石)を出発原料とする方法である(特許文献1参照。)。すなわち、原料のワラストナイトの水分散スラリーに二酸化炭素ガスを吹き込んで脱カルシウム処理し、得られたシリカゲルをさらに熱処理して原料であるワラストナイトの針状形状をそのまま保持した状態の非晶質シリカや、さらにこれを加熱結晶化させ、クリストバライトシリカとするものである。しかしながら、この方法は、天然鉱物であるワラストナイトをそのまま利用するものであるから、得られる針状(短繊維状)シリカの粒子径等はワラストナイトとほぼ同一の形状のもの(例えば、長さ29μm、アスペクト比5〜30)しか得られない。
他の方法は、エリオナイトやイモゴライト等の短繊維状鉱物として知られているアルミノケイ酸塩を脱アルミナ処理する方法である(特許文献2参照。)。繊維状アルミノケイ酸塩は、水ガラス、アルミン酸ナトリウムを水熱処理することにより、容易に合成され、これを硫酸を加えて当該繊維形状が破壊されない条件下で脱アルミナ処理して、非晶質の繊維状シリカ(例えば、直径0.1μm、長さ2.0μm、アスペクト比25)を得ている。しかしながら、この方法は、アルミノケイ酸塩を経由するため、どうしてもアルミナ(Al23)の残留を避けることができないという問題がある。またこの非晶質シリカは、比表面積が200〜500m2/g程度のものであり、吸湿性のものである。
このような、SiO2・CaO系鉱物やアルミノケイ酸塩を経ない方法としては、アルコキシシランを加水分解して得た10〜30nmのシリカ微粒子をアンモニア存在下で水熱処理して、2次元的に成長させて、例えば直径20nm、長さ80nm程度の微小な短繊維状シリカとすることが提案されている(特許文献3参照。)。
しかしながら、当該短繊維状シリカと称するものは、その透過型電子顕微鏡写真(図1)をみるかぎり、ずんぐりしたまゆ状または細菌状のもので、出発物質であるシリカ微粒子が単にいくつか結合し、かつ、内側に湾曲したような形状のものであって、とうてい、針状と称することのできる直線的にまっすぐに伸びたようなものではない。
本出願人はさきに、鱗片状又は葉状の形状を有し、かつ、人体に対する安全性の高い低結晶性シリカを、シリカゾルを特定の条件で水熱処理することにより創出し得ることを提案している(特許文献4参照。)。しかしながら、この水熱処理による方法では、特許文献3に記載の方法と同様にアスペクト比の高い針状シリカを得ることは困難であった。
特開2000−1309号公報、特許請求の範囲(請求項1〜13) 特開平5−97426号公報、特許請求の範囲(請求項1〜8)、〔0031〕、〔0040〕(実施例8)、〔0041〕〔表4〕 特開平11−61043号公報、特許請求の範囲(請求項4〜5)、〔0027〕〜〔0032〕、〔0060〕、図1 特開平11−29317号公報、特許請求の範囲(請求項1〜6)
本発明は、本出願人が先に提案した鱗片状シリカとは形態的に異なり、したがって異なる効果が期待される針状の低結晶性シリカを、ケイ灰石やアルミのケイ酸塩を経ることなく、同様に水熱反応により創出することを目的とする。
本発明者らは、かかる観点から鋭意検討した結果、アルカリ源として従来のナトリウム系のものに代えてリチウム系のものを選択し、シリカ源と水熱処理せしめることにより、意外なことに、鱗片状ではなく、直線的に伸びた針状のシリカが形成されることを見出した。しかも、これは、人体に有害な結晶型遊離ケイ酸の含有量の充分少ない、針状の低結晶性シリカであることをも見出した。本発明はかかる知見によりなされるに至ったものである。
本発明に従えば、以下の針状シリカおよびその水熱処理による製造方法が提供される。
〔1〕
直径が0.001〜1μmの針状シリカであり、当該針状シリカの当該直径に対する長さの比であるアスペクト比が5〜200で、かつ、結晶型遊離ケイ酸を実質的に含有しない低結晶性のものであることを特徴とする針状シリカ。
〔2〕
少なくともそのIRスペクトルの3400〜3500cm-1に、1つの吸収帯を持ったシラノール基を有する〔1〕項に記載の低結晶性の針状シリカ。
〔3〕
そのIRスペクトルの3600〜3700及び3400〜3500cm-1に、それぞれ1つの吸収帯を持ったシラノール基を有する〔1〕項または〔2〕項に記載の低結晶性の針状シリカ。
〔4〕
アルカリ性のリチウム源及びシリカ源を含む水溶液又は水スラリーを出発原料とし、これを水熱処理することを特徴とする〔1〕項〜〔3〕項のいずれかに記載の低結晶性の針状シリカの製造方法。
〔5〕
アルカリ性のリチウム源として水酸化リチウム、酸化リチウム、過酸化リチウム、又は炭酸水素リチウムを使用し、シリカ源としてシリカゾル又はシリカヒドロゲルを使用する〔4〕項に記載の低結晶性の針状シリカの製造方法。
〔6〕
アルカリ性のリチウム源及びシリカ源としてケイ酸リチウムを使用する〔4〕項に記載の低結晶性の針状シリカの製造方法。
〔7〕
前記水溶液または水スラリーにおけるアルカリ性のリチウム源及びシリカ源のシリカ/リチウムモル比( SiO2 /Li2 O )が、2.0〜10.0(mol/mol)である〔4〕項〜〔6〕項のいずれかに記載の針状シリカの製造方法。
〔8〕
水熱処理を、種晶を添加して行う〔4〕項〜〔7〕項のいずれかに記載の針状シリカの製造方法。
以下、本発明について詳細に説明する。
(針状粒子)
本発明にいう針状シリカは、当該粒子が、針の形状を有するもので、直径が0.001〜1μm、好ましくは0.01〜0.5μmであり、当該直径に対する長さの比(アスペクト比)が5〜200、好ましくは20〜100であるような針状のシリカである。
ここで、「針状」とは、後記添付写真に示すように、一方向にほぼ直線状に伸びた形状の針状(Needle)で、(または、長柱状、棒状、板状、ワイヤー状等と称される。)短辺(直径又は幅)に対する長辺(長さ)の比(すなわち、アスペクト比)が充分に大きい形状を総称するものである。ここで針状とは、完全に直線状でなくてもよく、部分的または全体的に多少曲がったり、ねじれたりしていてもよい。なお、本発明の針状シリカの直径及び長さは、特に断らない限り、当該粒子についての平均値を意味する。
(合成法)
本発明において、かかる針状シリカは、アルカリ性のリチウム源及びシリカ源を含む水溶液又は水スラリーを出発原料とし、これを後記するような条件で水熱処理することにより得られる。
(アルカリ性のリチウム源、シリカ源)
アルカリ性のリチウム源としては、例えば、水酸化リチウム(LiOH)〔水和物(LiOH・H2O)でもよい。〕又は加水分解して水酸化リチウムを生成する化合物が好ましく、酸化リチウム(Li2O)、過酸化リチウム(Li22)、炭酸水素リチウム(LiHCO3)、水素化リチウム(LiH)のいずれかを使用することが好ましい。
一方、アルカリ源として、他のアルカリ(アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物等)を使用した場合は、本発明の目的を達成することができない。すなわち、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを使用した場合は、針状シリカではなく、すでに述べたように、鱗片状または葉状シリカのみが形成されてしまうことがわかった。また、水酸化マグネシウムや水酸化カルシウムを使用することも試みたが、これらの水中への溶解度が極めて低いため、シリカ源であるシリカゾル等との反応が進行しないためか、全く針状シリカは形成されなかった。
さらに後記するように、本発明においては、シリカ・リチウムモル比(SiO2/Li2O)を調整したケイ酸リチウムを使用して、アルカリ性のリチウム源及びシリカ源の両者を兼ねることが可能であるが、ケイ酸リチウムの代わりにケイ酸マグネシウムやケイ酸カルシウムを使用した場合は、これらは水中へほとんど溶解しないため、水酸化マグネシウム等の場合と同様に、全く針状シリカは形成されないことが見出された。
一方、シリカ源としては、シリカゾル又はシリカヒドロゲルを使用することが好ましい。
シリカ源としてのシリカゾルとしては、適当なシリカ/アルカリモル比(SiO2/Na2O)(1.0〜3.4mol/mol程度)を有するケイ酸アルカリ水溶液を、イオン交換樹脂法あるいは電気透析法などによって脱アルカリしたシリカゾルが好適に使用される。シリカゾル中のシリカ粒子径は、100nm以下1.0nm以上のものが好ましく、特に20nm以下のいわゆる活性ケイ酸と称されるものが望ましい。さらには、シリカ源として含水ケイ酸(いわゆるホワイトカーボン)を使用することも可能である。
また、シリカ源としてのシリカヒドロゲルとしては、球状または不定型粒状の形状の粒子状シリカヒドロゲルが使用される。例えば球状のシリカヒドロゲルは、古くから公知の方法に従い、シリカヒドロゾルを石油類その他の媒体中で、球形状に固化せしめて生成してもよく、または、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液を混合して、シリカゾルを短時間で生成させると同時に、気体中に放出・ゲル化せしめ、水を張った熟成水槽中で熟成させ、酸を添加してpHを下げ、水洗して得られる。このシリカヒドロゲルは、粒径がよく揃った粒径2〜10mm程度の透明で弾力性を有する球状粒子であり、例えば、SiO2 に対して質量比で約4倍もの水を含有している(すなわち、SiO2 20質量%、水分80質量%程度)ものであるが、当該ヒドロゲル中のSiO2 濃度は、入手容易性及び反応性の点から、15〜75質量%(すなわち、水分量85〜25質量%)のものが好ましい。
なお、場合によっては、シリカ・リチウムモル比(SiO2/Li2O)を調整したケイ酸リチウムを使用することにより、アルカリ性のリチウム源及びシリカ源の両者を兼ねることができる。ケイ酸リチウムは、ケイ酸ナトリウムと同じような粘性のある液状の水溶液であって、シリカ・リチウムモル比2.0〜10.0(mol/mol)程度の範囲のモル比のものが、試薬として市販されており、所望の当該モル比のものを入手し、適宜希釈して水熱反応に使用することができる。
(水熱反応処理)
本発明においては、上記のごとくして、アルカリ性のリチウム源及びシリカ源を特定量含む溶液もしくはスラリーを水熱反応(「水熱処理」ということがある。)させる。特に、水酸化リチウム水溶液にシリカゾルやシリカヒドロゲルを加えてモル比を調整したスラリーが好適に使用される。
以上のごとくして本発明で出発原料として使用するモル比を調整した溶液(スラリー)のシリカ/リチウムモル比(SiO2 /Li2 O)は、2.0〜10.0mol/molの範囲が好ましく、2.0〜8.0mol/molの範囲がより好ましく、2.0〜5.0mol/molの範囲がさらに好ましい。この範囲よりあまりモル比が低くなると、シリカの溶解度が上昇し、収率が悪化するので好ましくない。一方、この範囲よりあまりモル比が高くなると、結晶化(針状シリカ粒子の成長)が悪くなり収率が悪化するので好ましくない。
溶液中のシリカ濃度は2〜20質量%が好ましく、3〜15質量%が特に好ましい。この範囲より濃度があまり低いと生産性が低下するので好ましくない。また、この範囲より濃度があまり高いとアルカリ源としての水酸化リチウムが水中に溶解し難くなり好ましくない。
本発明においては、以上のごとき溶液を出発原料とし、これを例えばオートクレーブ等の加熱圧力容器中で加熱して水熱処理を行い、目的とする針状の低結晶性シリカを生成せしめる。
なお、溶液を水熱処理するため、オートクレーブに仕込むに先立って、さらに蒸留水やイオン交換水のごとき精製水を加えることにより、シリカ濃度を所望の範囲に調製することも可能である。
オートクレーブとしては特にその形式を限定するものではないが、少なくとも加熱手段と撹拌手段及び好ましくは温度制御・測定手段を備えたものであればよい。
本発明において水熱処理は150〜250℃、好ましくは170〜220℃の温度で行われる。これよりあまり温度が低いと、目的とする針状の低結晶性シリカを得るのに長時間を必要とすることになるので好ましくない。一方、これよりあまり高温では、目標とする針状の低結晶性シリカが単一相として得られにくくなるので好ましくない。これは、本発明の目的とする針状の低結晶性シリカが準安定相と考えられ、水熱処理の進行とともに、逐次クリストバライト、クオーツに相転移する傾向があるところ、高温、特に250℃を超えるような場合は、結晶化効果が大きくなり、クリストバライトやクオーツとの混合物が生成しやすいためであると考えられる。
また、必要な水熱処理の時間は、水熱処理の温度や種晶の添加の有無等により変わりうるが、通常、5〜50時間、好ましくは、5〜40時間、より好ましくは5〜25時間程度である。
なお、本発明においては、水熱処理を効率よく進め、処理時間を短くするためには、その添加は必須ではないが、種晶を添加することがより好ましい。種晶としては、針状シリカを使用することが特に好ましく、また、その添加量は、原料の溶液の仕込み量に対して0.001〜1質量%程度が好ましい。
(ろ過、水洗、乾燥、分散処理等)
水熱処理終了後、水熱処理生成物を、中和、ろ過、水洗、乾燥することにより、本発明の針状低結晶性シリカが最終的に得られる。中和は、硫酸等の鉱酸の添加により行うことが好ましく、これにより残存するアルカリ性のリチウム源は、硫酸リチウム等を生成し、水洗により針状低結晶性シリカ粒子より容易に除去することができる。中和、水洗処理後の粒子は、10質量%のスラリーとしたときのpHが5〜7程度であるようにすることが好ましい(後記実施例においても同様。)。
水熱処理生成物を濾過・水洗した状態において顕微鏡で観察すると、基本的には針状の1次粒子からなることが認められるが、一部において、個々の針状の1次粒子同志が癒着したような凝集粒子(2次粒子)を形成している部分が認められる。これらの凝集粒子部分は、当該湿ケーキにつき、乾燥前に、分散処理(解砕処理)を行うことにより、容易に、針状の1次粒子として分散させることができる。
なお、本発明の針状シリカ粒子を、化粧料、制汗剤、パック剤、塗料もしくは樹脂、ゴム等に添加する粉末のフィラーとして使用する場合は、当該湿ケーキについて特にこのような分散処理することなく、水熱処理生成物のケーキを水洗、乾燥して得られた粒子をそのまま化粧料等に配合しても、その針状の形態に由来して十分優れた効果が得られる。
分散処理を行う場合の装置としては、特に限定するものではないが、超音波ホモジナイザーや湿式ビーズミル等を用いた機械的分散方法の他に、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリを用いた化学的分散方法も有効である。この化学的分散方法における効果発現のメカニズムは、各針状粒子同士の癒着部に存在する言わばバインダーとしての易溶解性シリカ分が、当該アルカリの添加により溶解するため、各針状1次粒子が互いに分離し、分散するものと推定される。
なお、本発明における湿ケーキの乾燥操作はそのまま、または、アセトンやメタノール等の低沸点有機溶媒で洗浄して付着水を溶媒置換した後行われる。また、乾燥装置は特に限定するものではないが、例えば、気流乾燥機、流動層乾燥機、媒体流動層乾燥機、撹拌型乾燥機、円筒乾燥機、箱型乾燥機、バンド乾燥機、熱風乾燥機、真空乾燥機等任意の装置を採用できる。なお、乾燥温度は通常、50〜300℃程度で行うのが好ましい。
(針状シリカ粒子の形状)
図1〜3は、以上のごとくして得られた針状シリカ粒子の走査型電子顕微鏡写真(SEM)の一例である。写真から明らかなように、当該各シリカ粒子は、多少曲がりを伴うものもあるが、実質的に一方向(長手方向)に直線的に伸びた典型的な針状結晶からなるものであることが認められる。
この写真をもとに、各針状粒子の短辺(直径)及び長辺(長さ)を測定すると、直径の平均が0.001〜1μm、好ましくは0.01〜0.5μmの範囲であり、また、当該直径に対する長さの比(アスペクト比)が5〜200、好ましくは20〜100であるような針状のシリカであることが確認される。なお、当該アスペクト比は、走査型電子顕微鏡により撮影された充分多数の針状の1次粒子像にスケール等をあてて、直径及び長さを測定することにより求めた。
また、図4〜5は、針状シリカ粒子の透過型顕微鏡写真(TEM)の一例を示す。SEMと同様に、アスペクト比の高い、直線状に伸びる典型的な針状シリカ粒子が認められるが、当該各針状シリカ粒子の表面近傍には、多数の微小粒子の存在が観察される。これは、シリカ源である反応途中のシリカゾルやシリカゲル粒子ではないか考えられる。おそらく、水熱反応のメカニズムにおいては、まず、シリカゾル等の粒子は水酸化リチウムが溶解している水中に溶解し、当該シリカは、そのバルク濃度が飽和溶解度を超えると、針状シリカ粒子表面に拡散して表面で晶出、結晶成長が行われると推定され、図4〜5は、その過程を示しているものであろうと推測される。
(針状シリカ粒子の低結晶性等)
以上のようにして得られた針状シリカの、物理化学的特性は以下のようである。
図6は、本発明の針状シリカ粒子の電子線回折パターンを、アモルファスシリカ(非結晶シリカ)、クオーツ(石英)とともに示したものである。すなわち、図6(a)がアモルファスシリカの回折パターン、(b)が針状シリカの回折パターン、(c)がクオーツの回折パターンである。これから明らかなように、本発明の針状シリカは、アモルファスと結晶の間の低結晶性(微結晶性)に対応する回折パターンのものであることが認められる。このように、本発明の針状シリカは、微結晶性のものであって、準安定状態にあるため、従来のアモルファスシリカ粒子に比較して、対アルカリ性、耐熱性の点でもより向上することが期待される。
また、図7は、本発明の針状シリカ粒子のX線回折分析のパターンを、アモルファスシリカ(非結晶シリカ)、クオーツ(石英)とともに示したものである。これから明らかなように、本発明の針状シリカは、X線回折パターンにおいて、いわゆるアモルファス状態を示すテーリングはほとんど観察されない。また、クオーツのX線パターンの吸収スペクトルとは全く異なることも明らかである。
さらにまた、本発明の針状シリカの低結晶性に関し、結晶型遊離ケイ酸をX線解析分析方により測定した(労働安全衛生法に関する告示に示された作業環境測定基準に則る作業環境測定ガイドブック(鉱物性粉塵関係 労働省安全衛生部環境改善室編)に記載された、X線回折分析法による。)。結果は、当該針状シリカは、その含有される結晶型遊離ケイ酸の量を、純クオーツを100として表示すると、10%未満、好ましくは5%未満、さらに好ましくは2%( 検出限界以下 )と、きわめてわずかであり、低結晶性の針状シリカであることが確認された。すなわち、この針状シリカは、結晶型遊離ケイ酸を実質的に含有せず、きわめて人体に安全といいうるものである。
また、図8は、本発明の針状シリカのIRスペクトルの一例であり、当該スペクトルより、本発明の低結晶性シリカの表面に存在するシラノール基が求められる。
すなわち、本発明の針状シリカは、少なくともIRスペクトルの3400〜3500cm-1に1つの吸収帯を持ったシラノール基を有するものである。そしてさらに好ましくは、そのIRスペクトルの3600〜3700及び3400〜3500cm-1に、それぞれ1つの吸収帯を持ったシラノール基を有するシリカである。本発明の針状シリカは、その表面に反応活性の高いシラノール基が存在することから、所望の有機成分による化学修飾も可能であると考えられる。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれに限定されるものではない。なお、%とあるものは、とくに断りなき限り、質量%である。
〔実施例1〕
(1)加熱手段及び撹拌手段を備えた容積1000cm3 のオートクレーブ( 電気加熱式、アンカー型撹拌羽根)に、アルカリ性のリチウム源として10%水酸化リチウム水溶液を155g、シリカ源としてシリカヒドロゲル( シリカ分18.8% )を600g(SiO2 /Li2 Oモル比=6.0mol/mol)、及び、イオン交換水を100g仕込み、昇温して185℃において、40rpmで撹拌下、13.5時間水熱処理を行った。水熱処理物を約pH=6まで中和し、濾過、水洗後、180℃で2時間乾燥し、92.5gの微粉末を得た。
(2)この得られた微粉末について、粉末X線回折スペクトルにより生成相の同定を行ったところ、2θ=4.9°及び26.0°のピークを特徴とするシリカであることがわかった。また、その電子線回折パターンは、図6(b)に示すようなものであった。
(3)当該シリカ微粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図1〜3に示されたように、その1次粒子の粒子形状は、針状のシリカ粒子であることが確認された。当該針状シリカ粒子は、平均直径0.05μmに対し、平均長さは3.3μmであり、その直径に対するアスペクト比は65であった。
(4)なお、当該針状シリカ粒子のIRスペクトルは、添付図面の図8のIRチャートに示すように、少なくとも3400〜3500cm-1に一つの吸収帯が存在することが認められた。さらに、当該シリカ針状微粒子の結晶型遊離ケイ酸量を測定したところ、検出限界以下(2%未満)であることがわかった。
〔実施例2〕
(1)実施例1と同一の加熱手段及び撹拌手段を備えた容積1000cm3 のオートクレーブに、アルカリ性のリチウム源及びケイ酸源として、モル比を調整したケイ酸リチウム(組成:SiO2 21.5%、Li2 O 2.9%、SiO2 /Li2 Oモル比=3.5mol/mol)335gを、イオン交換水265gとともに仕込み、さらに種晶として、実施例1で得られた針状シリカを0.1g添加し、昇温して185℃において、40rpmで撹拌下13.5時間水熱処理を行った。水熱処理物を実施例1と同様に中和、濾過、水洗後、180℃で2時間乾燥し、59.0gの微粉末を得た。
(2)この得られた微粉末について、粉末X線回折スペクトルにより生成相の同定を行ったところ、実施例1と同様なシリカであることがわかった。また、その電子線回折パターンは、図6(b)に示すようなものであった。
(3)当該シリカ微粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、実施例1と同様に、その1次粒子の粒子形状は、針状のシリカ粒子であることが確認された。当該針状シリカ粒子は、平均直径0.05μmに対し、平均長さは2.8μmであり、その直径に対するアスペクト比は56であった。
(4)なお、そのIRスペクトルは、吸収帯の位置、数ともに実施例1と同様であった。
さらに、当該微粉末の結晶型遊離ケイ酸量を測定したところ、検出限界以下(2%未満)であることがわかった。
本発明の針状シリカ粒子は、強い形状異方性を有する針状のものであるから、塗料、樹脂又は樹脂系複合材料、ゴム系材料、化粧料、制汗剤、パック剤、紙塗工剤等に配合する粉末フィラー等として、その塗膜や被膜の膜質の向上効果や補強効果が従来の粒状シリカ粒子に比較して格段に向上することが期待される有用な新規物質である。また、クロマトグラフィー坦体や触媒坦体としても有用である。
また、当該針状シリカ粒子は、結晶型遊離ケイ酸を実質的に含有しない低結晶性のものであるから、人体に対して安全と考えられ、特に人体に直接接触して使用する化粧料、制汗剤、パック剤等に配合するフィラー等として好ましいものである。
さらに本発明に従えば、針状の低結晶性シリカを、従来のごとく針状のケイ灰石やアルミノケイ酸塩を出発原料としこれを脱カルシウム処理、脱アルミナ処理する迂回方法ではなく、アルカリ性のリチウム源とシリカ源から、直接に水熱反応により創出することができる。
針状シリカ粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 針状シリカ粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 針状シリカ粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 針状シリカ粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 針状シリカ粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 アモルファスシリカ、針状シリカ、およびクオーツの電子線回折パターンである。 針状シリカ粒子のX線回折分析のパターンである。 針状シリカのIRスペクトルである。

Claims (8)

  1. 直径が0.001〜1μmの針状シリカであり、当該針状シリカの当該直径に対する長さの比であるアスペクト比が5〜200で、かつ、結晶型遊離ケイ酸を実質的に含有しない低結晶性のものであることを特徴とする針状シリカ。
  2. 少なくともそのIRスペクトルの3400〜3500cm-1に、1つの吸収帯を持ったシラノール基を有する請求項1に記載の低結晶性の針状シリカ。
  3. そのIRスペクトルの3600〜3700及び3400〜3500cm-1に、それぞれ1つの吸収帯を持ったシラノール基を有する請求項1又は2に記載の低結晶性の針状シリカ。
  4. アルカリ性のリチウム源及びシリカ源を含む水溶液又は水スラリーを出発原料とし、これを水熱処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の低結晶性の針状シリカの製造方法。
  5. アルカリ性のリチウム源として水酸化リチウム、酸化リチウム、過酸化リチウム、または炭酸水素リチウムを使用し、シリカ源としてシリカゾル又はシリカヒドロゲルを使用する請求項4に記載の低結晶性の針状シリカの製造方法。
  6. アルカリ性のリチウム源及びシリカ源としてケイ酸リチウムを使用する請求項4に記載の低結晶性の針状シリカの製造方法。
  7. 前記水溶液または水スラリーにおけるアルカリ性のリチウム源及びシリカ源のシリカ/リチウムモル比( SiO2 /Li2 O )が、2.0〜10.0(mol/mol)である請求項4〜6のいずれかに記載の針状シリカの製造方法。
  8. 水熱処理を、種晶を添加して行う請求項4〜7のいずれかに記載の針状シリカの製造方法。
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