JP2006001722A - 重量物移送方法及びこれに用いる重量物移送具 - Google Patents
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Abstract
【課題】 重量物をドライコンテナ等に搬入又は搬出させる際に、容易に重量物を水平方向に移送できる重量物搬送方法を提供する。
【解決手段】 移送しようとするパイプパレット21の底面部69の下面に、互いに平行な傾斜面で摺動自在とされるスキッド19を設置する。スキッド19に対して水平方向に力Fを加えると、上部ウェッジ57の水平方向の移動はストッパー50により停止するが、下部ウェッジ56は更に移動する。これによって上部ウェッジ57は上昇し、上部プレート48によってパイプパレット21が押し上げられる。更に力Fを加え続けると、パイプパレット21の重量Wの一部は重量W1としてスキッド19を介してプラットホーム18に伝達される。下部プレート47の摩擦係数を小さくすれば、パイプパレット21及びスキッド19に働く摩擦力(F1+F2)が当初の摩擦力F0より減少するので、パイプパレット21の移送がより容易となる。
【選択図】 図19
【解決手段】 移送しようとするパイプパレット21の底面部69の下面に、互いに平行な傾斜面で摺動自在とされるスキッド19を設置する。スキッド19に対して水平方向に力Fを加えると、上部ウェッジ57の水平方向の移動はストッパー50により停止するが、下部ウェッジ56は更に移動する。これによって上部ウェッジ57は上昇し、上部プレート48によってパイプパレット21が押し上げられる。更に力Fを加え続けると、パイプパレット21の重量Wの一部は重量W1としてスキッド19を介してプラットホーム18に伝達される。下部プレート47の摩擦係数を小さくすれば、パイプパレット21及びスキッド19に働く摩擦力(F1+F2)が当初の摩擦力F0より減少するので、パイプパレット21の移送がより容易となる。
【選択図】 図19
Description
この発明は重量物移送方法及びこれに用いる重量物移送具に関するものであり、特に、パイプ等の長尺物や鋼板コイル等の重量物をドライコンテナに搬入又は搬出する際の重量物移送方法及びこれに用いる重量物移送具に関するものである。
図22は従来のパイプ等の長尺物の重量物をドライコンテナに積載する場合の積載方法を示した概略工程図である。
図を参照して、図22の(1)に示されているように、積載に用いるフォークリフト45のフォーク54に、長い梁状のアタッチメント61が取付けられている。床面15上に載置されているドライコンテナ34に積載すべき長尺パイプ16は、玉掛けワイヤロープ63を介してアタッチメント61に取付けられている。
次に図22の(2)に示されているように、フォークリフト45のフォーク54を上方に移動させることによって長尺パイプ16を吊り上げる。そしてこの状態で図22の(3)に示されているように、フォークリフト45を矢印の方向に移動させて、吊り上げている長尺パイプ16をドライコンテナ34内部に搬入する。
ドライコンテナ34に搬入された長尺パイプ16は、フォーク54を下降させることによってドライコンテナ34の床面に搭載される。そして玉掛けワイヤロープ63を搭載した長尺パイプ16から外し、上記と同様の作用を繰返して順次ドライコンテナ34内に、長尺パイプ16を搬入する。そして図22の(4)に示されているように長尺パイプ16をドライコンテナ34内に搭載する。
上記のような従来の長尺物の積載方法にあっては、1回当たりの吊り上げ量、すなわち積載量が大きくないため、長尺パイプ16のドライコンテナ34内への搬入回数を多く取る必要があり、積載に時間がかかってしまう。
又、ドライコンテナ34の天板とその中に積載された長尺パイプ16との間にアタッチメント61及び玉掛けワイヤロープ63を使用するためのデッドスペースが生じ、積載効率を低くしていた。
そこで、ドライコンテナに移送する前に、積載分のパイプをパイプパレットに積上げておき、パイプパレット自体を床面に滑らしてコンテナに搬入する方法が考えられる。しかし、この場合、パイプパレットと床面との間に生じる摩擦力が過大となり、通常のフォークリフトによる押圧力ではパイプパレットを移送させることはできない。
この問題は、鋼板コイルをスチールパレットに積載した状態でドライコンテナに搬入させる場合も同様である。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、重量物をドライコンテナ等に搬入させる際に容易に重量物を水平方向に移送できる重量物移送方法及びこれに用いる重量物移送具を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、重量物を移送するための重量物移送方法であって、重量物の接地面を除いた底面部と床面との間のスペースに、スペースの高さより低い高さであって、床面に対する重量物の動摩擦係数より小さな動摩擦係数を有するスキッドを配置する第1工程と、スキッドの少なくとも一部を上昇させ、重量物の底面部に当接させて重量物の重量の少なくとも一部をスキッドで受ける第2工程と、スキッドを水平方向に押圧することにより、重量物をスキッドとともに移送する第3工程とを備えたものである。
このように構成すると、移送時には主にスキッドの動摩擦係数による摩擦力が生じる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、スキッドは下面は水平面で且つ上面が水平方向に向かって下方に傾斜する第1傾斜面よりなる下部ウェッジと、下面が第1傾斜面と平行な第2傾斜面で且つ上面が水平面よりなり、下部ウェッジの上に載置される上部ウェッジとからなる駆動体を含み、第2工程は、上部ウェッジの水平方向への移動を阻止する工程と、下部ウェッジを水平方向へ移動させるとともに、上部ウェッジを上昇させる工程とを含むものである。
このように構成すると、下部ウェッジの水平方向の移動に伴い上部ウェッジが上昇する。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、重量物の重量をWとし、駆動体の下面と床面との間の動摩擦係数をμ(0)とし、重量物と床面との間の動摩擦係数をμ(1)とし、下部ウェッジの上面と上部ウェッジの下面との間の動摩擦係数をμ(2)とし、第1傾斜面及び第2傾斜面の各々の水平面に対する傾斜角度をθとし、下部ウェッジの水平方向へ加える力をPとし、μ(2)=tanφとすると、P>W・tan(θ+φ)及びW・μ(1)>P>W・μ(0)としたものである。
このように構成すると、駆動体の重量を無視した状態において、重量物の移送に必要な水平方向の力Pが算出される。
請求項4記載の発明は、重量物を床面上で移送するための重量物移送具であって、下面は水平面で且つ上面が水平面に対して傾斜する第1傾斜面よりなり、床面上を滑走するための下部ウェッジと、下面が第1傾斜面と平行な第2傾斜面で且つ上面が水平面よりなり、下部ウェッジの上に載置され、重量物を支持するための上部ウェッジとを備え、下部ウェッジの第1傾斜面と上部ウェッジの第2傾斜面とは摺動自在に構成されるものである。
このように構成すると、下部ウェッジの水平方向への移動によって上部ウェッジの上面が昇降する。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、上部ウェッジの上面に、上方に突出するように取付けられたストッパーを更に備えたものである。
このように構成すると、上部ウェッジ及び下部ウェッジをともに水平移動させた際、ストッパーが重量物に当接して係止すると、上部ウェッジのみがそれ以上の移動が停止する。
請求項6記載の発明は、重量物を移送するための重量物移送方法であって、重量物の接地面を除いた底面部と床面との間のスペースに、スペースの高さより低い高さであって、床面に対する重量物の動摩擦係数より小さな転がり摩擦係数を有するスキッドを配置する第1工程と、スキッドの少なくとも一部を上昇させ、重量物の底面部に当接させて重量物の重量の少なくとも一部をスキッドで受ける第2工程と、スキッドを水平方向に押圧することにより、重量物をスキッドとともに移送する第3工程とを備えたものである。
このように構成すると、移送時には主にスキッドの転がり摩擦係数による摩擦力が生じる。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の構成において、スキッドは、下面にコロを有し且つ上面が水平方向に向かって下方に傾斜する第1傾斜面よりなる下部ウェッジと、下面が第1傾斜面と平行な第2傾斜面で且つ上面が水平面よりなり、下部ウェッジの上に載置される上部ウェッジとからなる駆動体を含み、第2工程は、上部ウェッジの水平方向への移動を阻止する工程と、下部ウェッジを水平方向へ移動させるとともに、上部ウェッジを上昇させる工程とを含むものである。
このように構成すると、下部ウェッジの水平方向の移動に伴い上部ウェッジが上昇する。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明の構成において、重量物の重量をWとし、駆動体の下面と床面との間の転がり摩擦係数をμ1とし、重量物の床面との間の動摩擦係数をμ2とし、下部ウェッジの上面と上部ウェッジの下面との間の動摩擦係数をμ3とし、第1傾斜面及び第2傾斜面の各々の水平面に対する傾斜角度をθとし、下部ウェッジの水平方向へ加える力をFとし、C=(cosθ−μ3sinθ)/(sinθ+μ3cosθ)とすると、F>μ2W/(1−μ1C+μ2C)であるものである。
このように構成すると、駆動体の重量を無視した状態において、重量物の移送に必要な水平方向の力Fが算出される。
請求項9記載の発明は、重量物を床面上で移送するための重量物移送具であって、下面にコロを有し且つ上面が水平面に対して傾斜する第1傾斜面よりなり、床面上を滑走するための下部ウェッジと、下面が第1傾斜面と平行な第2傾斜面で且つ上面が水平面よりなり、下部ウェッジの上に載置され、重量物を支持するための上部ウェッジとを備え、下部ウェッジの第1傾斜面と上部ウェッジの第2傾斜面とは摺動自在に構成されるものである。
このように構成すると、下部ウェッジの水平方向への移動によって上部ウェッジの上面が昇降する。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の発明の構成において、上部ウェッジの上面に、上方に突出するように取付けられたストッパーを更に備えたものである。
このように構成すると、上部ウェッジ及び下部ウェッジをともに水平移動させた際、ストッパーが重量物に当接して係止すると、上部ウェッジのみがそれ以上の移動が停止する。
以上説明したように、請求項1記載の発明は、移送時には主にスキッドの動摩擦係数による摩擦力が生じるため、重量物を直接移送させるものに比べて小さな押圧力での移送が可能となる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、下部ウェッジの水平方向への移動に伴って上部ウェッジが上昇するため、重量物の重量の少なくとも一部が駆動体によって支持され、重量物の摩擦力が低減する。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、重量物の移送に必要な水平方向の力Pが算出されるため、重量物に合わせたスキッドの設計が容易となる。
請求項4記載の発明は、下部ウェッジの水平方向への移動によって上部ウェッジの上面が昇降するため、重量物と床面との間のスペースに配置した状態で上部ウェッジを上昇させて重量物を支持させることが容易となる。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、上部ウェッジの移動が停止した状態で下部ウェッジの移動を続けると上部ウェッジを上昇させることが容易となり、容易に重量物を支持することができる。
請求項6記載の発明は、移送時には主にスキッドの転がり摩擦係数による摩擦力が生じるため、重量物を直接移送させるものに比べて小さな押圧力での移送が可能となる。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の効果に加えて、下部ウェッジの水平方向への移動に伴って上部ウェッジが上昇するため、重量物の重量の少なくとも一部が駆動体によって支持され、重量物の摩擦力が低減する。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明の効果に加えて、重量物の移送に必要な水平方向の力Fが算出されるため、重量物に合わせたスキッドの設計が容易となる。また、μ1を小さくすることにより、移送に要する力Fを小さくすることが可能となる。
請求項9記載の発明は、下部ウェッジの水平方向への移動によって上部ウェッジの上面が昇降するため、重量物と床面との間のスペースに配置した状態で上部ウェッジを上昇させて重量物を支持させることが容易となる。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の発明の効果に加えて、上部ウェッジの移動が停止した状態で下部ウェッジの移動を続けると上部ウェッジを上昇させることが容易となり、容易に重量物を支持することができる。
図1はこの発明の第1の実施の形態による重量物移送方法を示した図であって、パイプ等の長尺物の重量物をドライコンテナに積載する場合の概略工程図である。
図を参照して、図1の(1)に示されているように、床面15の上に長方形厚板状のプラットホーム18を設置し、プラットホーム18の上にフォークリフト45を用いてスキッド19をセットする。尚、スキッド19の構造の詳細については後述する。
次に図1の(2)に示されるように、スキッド19の上に覆い被さるようにパイプパレット21をセットし、更にその(3)に示すように、ドライコンテナに搬送すべき複数の長尺パイプ16をクレーン等を用いて搭載する。
図2はこの状態を示した拡大正面図であり、図3は図2で示したIII−IIIラインの断面図である。
これらの図を参照して、パイプパレット21は、プラットホーム18の上面に設置され、平行に配列された例えばH型鋼よりなる2本のベース材28a,ベース材28bと、ベース材28a,ベース材28bの上面に設置され、これに対して直交する方向に配列された例えばH型鋼よりなる2本の前方梁26,後方梁27と、前方梁26の上面の両端側に設置され、鉛直方向に伸びる1対の前方支柱23a,前方支柱23bと、後方梁27の上面の両端側に設置され、鉛直方向に伸びる1対の後方支柱24a,後方支柱24bとから構成されている。尚、この実施の形態においては前方支柱23a,前方支柱23bは、H型鋼をその立脚部を斜めに切断することによって構成されているが、H型鋼をそのまま用いても良い。同様に後方支柱24a,後方支柱24bも、1本のH型鋼を切断することによって製造されている。
ドライコンテナ内に移送すべき長尺パイプ16は、前方梁26及び後方梁27に架け渡すようにまず1層目が載置され、その上には板材32を介して順次同様に繰返して各層の長尺パイプ16が設置されている。尚、板材32は上下に長尺パイプ16を設置することによる損傷を防止するためである。又、長尺パイプ16の中央部には木材35がスペーサーとして取付けられており、長尺パイプ16の横方向への移動を阻止している。このようにして積上げられた長尺パイプ16全体に対してラッシングベルト29及びラッシングベルト30が掛けられて全体が固定され、移送時における長尺パイプ16の個々の不用意な移動を防止している。
一方、スキッド19は、前方梁26及び後方梁27の下方面とプラットホーム18の上面との間及びベース材28aとベース材28bとの間で規定されるスペースに挿通された状態で、プラットホーム18上に設置されている。
図4はスキッド19の外観形状を示した図であって、その(1)は平面図であり、その(2)は正面図である。
これらの図を参照して、スキッド19は1対の第1昇降部材41a,第1昇降部材41bと、1対の第2昇降部材42a,第2昇降部材42bとを中心として構成されている。尚、第1昇降部材41及び第2昇降部材42の具体的構造については後述する。第1昇降部材41aと第2昇降部材42aとは、例えば図2で示したパイプパレット21の前方梁26,後方梁27のスパンに対応した距離を離して配置されており、これらの両外側を通過するように中空四角柱形状の第1フレーム36a,第2フレーム37aが配置されている。又、後述するように第1昇降部材41aの上方を構成する部材と第2昇降部材42aの上方を構成している部材とは、伸張プレート43aによって互いに接続されている。
同様に第1昇降部材41b及び第2昇降部材42bの両外側においても第1フレーム36a,第2フレーム37bが配置されており、第1昇降部材41bの上方部材と第2昇降部材42bの上方部材とは、伸張プレート43bによって互いに接続されている。第1フレーム36a及び第2フレーム37aと第1フレーム36b及び第2フレーム37bとは、これらに直交する方向においてこれらの上面に設置された板状のプレート38a〜プレート38dによって一体化されている。
又、第1フレーム36a,第1フレーム36b及び第2フレーム37a,第2フレーム37bの図において左側の端部には、中空四角柱形状の横フレーム39が取付けられている。尚、プレート38aには図示しない係合機構が組込まれており、フォークリフト45のフォークとの係合及び離脱が可能なように構成されている。
図5は図4で示したV−Vラインの断面図であり、図6は図4で示したVI−VIラインの断面図であり、図7は図4で示したVII−VIIラインの断面図である。
これらの図を参照して、第1昇降部材41bは、矩形平板形状の上部プレート48及びこれに接続している部材と、上部プレート48より大きな矩形平板形状を有した下部プレート47及びこれに接続する部材とから構成されている。そして図8に示すように上部プレート48及びこれに接続する部材と下部プレート47及びこれに接続する部材とは、上下に分離可能となるように構成されている。
下部プレート47の上面には垂直方向に伸びる板状の1対の下部ガイドプレート52a,下部ガイドプレート52bが取付けられている。そして下部ガイドプレート52a,下部ガイドプレート52bの内方側であって下部プレート47の上面には、下面が水平面で且つ上面が図6においては左側の水平方向に向かって下方に傾斜する傾斜面を有する、例えばポリエチレン樹脂よりなる下部ウェッジ56が取付けられている。下部ウェッジ56の左右位置にはウェッジストッパー60a,ウェッジストッパー60bが取付けられ、下部ウェッジ56の下部プレート47に対する水平方向の移動を防止している。
下部プレート47の下面には、矩形枠形状の枠材66内部に矩形平板形状の例えばポリエチレン樹脂よりなるスライドプレート49が取付けられている。又、下部ガイドプレート52a,下部ガイドプレート52bの外方位置であって下部プレート47の上面には、上述のように第2フレーム37a,第2フレーム37bが取付けられている。
一方、上部プレート48の下面には鉛直方向に伸びる1対の平板形状の上部ガイドプレート53a,上部ガイドプレート53bが取付けられている。尚、上部ガイドプレート53a,上部ガイドプレート53bの内方側の間隔は、図7に示されているように下部プレート47に取付けられている下部ガイドプレート52a,下部ガイドプレート52bの外方面同志で規定される幅より若干大きく設定されている。従って上部ガイドプレート53a,上部ガイドプレート53bと下部ガイドプレート52a,下部ガイドプレート52bとは、摺動状態において上下にスムーズに移動することが可能となる。
上部ガイドプレート53a,上部ガイドプレート53bの内方側であって上部プレート48の下面において、下部ウェッジ56に対応する例えばポリエチレン樹脂よりなる上部ウェッジ57が取付けられている。すなわち、上部ウェッジ57の下面は下部ウェッジ56の上面の傾斜面と平行な傾斜面を有し、その上面は水平面となっている。又、上部ウェッジ57の幅は図7に示されているように下部ウェッジ56の幅と略同一に設定されている。そして上部ウェッジ57は、下部ウェッジ56の上方に位置するように上部プレート48に取付けられていることから、下部プレート47の下部ガイドプレート52a,下部ガイドプレート52bの間の空間にスムーズにセットすることが可能となる。又、上部ウェッジ57の長手方向の長さと下部ウェッジ56の長手方向の長さとを同一となるように設定した場合には、上部ウェッジ57を下部ウェッジ56上に重ねると図6に示したような断面状態となる。
尚、上部ウェッジ57の長手方向の端部側には、上部プレート48の下面にウェッジストッパー59a,ウェッジストッパー59bが取付けられている。従って、上部ウェッジ57の上部プレート48に対して、その長手方向への移動が阻止された状態で取付けられている。
又、上述のように上部プレート48の下面には第2昇降部材42b側の上部プレートと接続された矩形平板形状の伸張プレート43bが取付けられている。そして、上部プレート48の上面には上方に突出する板状の1対のストッパー50a,ストッパー50bが取付けられている。以上が図4で示した第1昇降部材41bの具体的構造であるが、第1昇降部材41aはこれと同様の構造を有している。一方、第2昇降部材42a,第2昇降部材42bの各々も、その上面にストッパーが取付けられていない点を除いて第1昇降部材41bの構造と基本的には同一構造である。
そして上述のように第1昇降部材41aと第2昇降部材42aとは及び第1昇降部材41bと第2昇降部材42bとは、伸張プレート43a及び伸張プレート43bによって各々その上部プレートが互いに接続されている。一方、第1昇降部材41aと第2昇降部材42aとは、これらの下部プレート同志が第1フレーム36a,第2フレーム37aによって一体的に接続されている。同様に第1昇降部材41b及び第2昇降部材42bの下部プレートの各々は、第1フレーム36b及び第2フレーム37bによって一体的に接続されている。
すなわち、第1昇降部材41a及び第2昇降部材42aの下部プレートは第1フレーム36a,第2フレーム37aに固定されており、一方これらの上部プレートは一体となって図4においては左右方向に移動自在となるように構成されている。同様に第1昇降部材41b及び第2昇降部材42bの下部プレートは第1フレーム36b及び第2フレーム37bに固定されており、これらの上部プレートは互いに一体となって下部プレートに対して左右方向に移動自在となるように構成されている。
ここで図1に戻って、その(4)に示されているように、パイプパレット21に搭載されている長尺パイプ16を搬入すべきドライコンテナ34を、フォークリフト45を用いてプラットホーム18の端部に位置合わせした状態にセットする。そしてその(5)に示されているように、スキッド19の端部にフォークリフト45のフォークを係合させて、スキッド19をドライコンテナ34の方向に進行させる。ここで、長尺パイプ16を搭載したパイプパレット21の重量をWとし、パイプパレット21とプラットホーム18の上面との間の動摩擦係数をμ(1)とし、フォークリフト45の水平方向への押圧力をPとすると、
P<W・μ(1)
となっている。すなわち、この状態ではフォークリフト45の押圧力によっては、長尺パイプ16を搭載したパイプパレット21をプラットホーム18上を滑らせて移送できない状態となっている。そこでこの実施の形態によるスキッド19を用いることによって、フォークリフト45の押圧力を変えることなく長尺パイプ16が搭載されたパイプパレット21をドライコンテナ34内に移送することが可能となる。
P<W・μ(1)
となっている。すなわち、この状態ではフォークリフト45の押圧力によっては、長尺パイプ16を搭載したパイプパレット21をプラットホーム18上を滑らせて移送できない状態となっている。そこでこの実施の形態によるスキッド19を用いることによって、フォークリフト45の押圧力を変えることなく長尺パイプ16が搭載されたパイプパレット21をドライコンテナ34内に移送することが可能となる。
図9は図2から図8で示したスキッド19を用いて行なう重量物の移送方法を模式的に示した工程図である。
図を参照して、長尺パイプ16が搭載されたパイプパレット21はプラットホーム18に対して接地面71において接触している。従ってこの状態では、パイプパレット21を含めた長尺パイプ16の重量Wは、接地面71を介してプラットホーム18に加わることになる。又、この状態においてはパイプパレット21の底面部69とプラットホーム18の上面との間のスペースに対して、スキッド19を構成する上部プレート48の上面の高さが低くなるように設定されている。
そしてこの状態で上部プレート48上に取付けられているストッパー50の上方位置は、パイプパレット21の底面部69の水平レベルより高くなるように設定されている。従って、図1の説明においてはスキッド19を設置した後この上にパイプパレット21をセットしたが、パイプパレット21を設置した後スキッド19を外方からその下部に進行させて同様の位置に設置させることも可能である。
尚、各部分の動摩擦係数の1例としては、パイプパレット21の接地面71における動摩擦係数μ(1)は0.3であり、スライドプレート49のプラットホーム18に対する動摩擦係数μ(0)は0.25であり、下部ウェッジ56と上部ウェッジ57との接触面における動摩擦係数μ(2)は0.2と設定されている。従ってスキッド19単体に対しては、フォークリフト45によってプラットホーム18の上を用意に滑走させることが可能となる。
図9の(1)の状態からその(2)に示されているように、フォークリフト45を操作してスキッド19に対して水平方向に押圧力Pを加える。するとスキッド19はプラットホーム18上を水平方向に移動するが、所定以上移動するとスキッド19のストッパー50がパイプパレット21の側面部68に当接して、上部プレート48及び上部ウェッジ57のそれ以上の移動が阻止された状態となる。この時押圧力Pがストッパー50を介してパイプパレット21に伝達されると、パイプパレット21の接地面71には摩擦力F1が生じることになる。この時
F1=W・μ(1)>P
の関係となっているため、パイプパレット21がプラットホーム18上を移動することはない。
F1=W・μ(1)>P
の関係となっているため、パイプパレット21がプラットホーム18上を移動することはない。
この状態から図9の(3)に示されているように、フォークリフト45による押圧力Pを加え続けると、上部ウェッジ57は上述のようにストッパー50によって移動しない状態となっているが、その下方に位置する下部ウェッジ56はスライドプレート49とともに矢印の方向に移動することになる。下部ウェッジ56と上部ウェッジ57とは互いに平行な傾斜面によって接しているため、下部ウェッジ56の水平方向の移動に伴い上部ウェッジ57は上部プレート48とともに上方向に移動することになる。そして上部プレート48の上面はパイプパレット21の底面部69に接することになる。
図10はこの状態における力関係を示した図である。
図を参照して、傾斜角θの下部ウェッジ56の傾斜面に上部ウェッジ57を設置し、上部ウェッジ57に対して水平方向に力Pを加えた状態を想定する。この場合、作用点に上部ウェッジ57の重量Wが下部ウェッジ56に対して鉛直方向に加わる。一方、その作用点に対して傾斜面に直交する反力Rが下部ウェッジ56から上部ウェッジ57に加わることになる。そして下部ウェッジ56の傾斜面と上部ウェッジ57の傾斜面とで規定される動摩擦係数によって生じる摩擦力Fが、下部ウェッジ56の斜面に沿って上部ウェッジ57に対して加わることになる。
図11はこの状態の力の釣合いを示したベクトル図である。
図を参照して重量W、押圧力P、反力R及び摩擦力Fは、力の釣合いから図のような閉ループを構成することになる。この時
F=R・μ(2)
であるから、μ(2)=tanφとなる。
従って、P=W・tan(θ+φ)
となる。すなわち、P>W・tan(θ+φ)
となるような押圧力Pを下部ウェッジ56に加えると、スキッド19によってパイプパレット21を持ち上げることが可能となることを意味する。パイプパレット21が持ち上げられると、図9の(4)に示されているように、スキッド19の重量を便宜上無視すると長尺パイプ16を加えたパイプパレット21の重量Wは、スライドプレート49を介してプラットホーム18に加わることになる。この時スライドプレート49に加わる摩擦力F0は
F0=W・μ(0)
となる。従って
P>W・μ(0)
となるような押圧力Pをフォークリフト45によってスキッド19に加えることによって、パイプパレット21をプラットホーム18上で移送することが可能となる。
F=R・μ(2)
であるから、μ(2)=tanφとなる。
従って、P=W・tan(θ+φ)
となる。すなわち、P>W・tan(θ+φ)
となるような押圧力Pを下部ウェッジ56に加えると、スキッド19によってパイプパレット21を持ち上げることが可能となることを意味する。パイプパレット21が持ち上げられると、図9の(4)に示されているように、スキッド19の重量を便宜上無視すると長尺パイプ16を加えたパイプパレット21の重量Wは、スライドプレート49を介してプラットホーム18に加わることになる。この時スライドプレート49に加わる摩擦力F0は
F0=W・μ(0)
となる。従って
P>W・μ(0)
となるような押圧力Pをフォークリフト45によってスキッド19に加えることによって、パイプパレット21をプラットホーム18上で移送することが可能となる。
尚、実際的には、パイプパレット21が持ち上げられるにつれて、パイプパレット21の接地面を介してプラットフォーム18に加わる重量が減少する。このときの重量をW1とし、スライドプレート49を介してプラットフォーム18に加わる重量をW2とすると、
W= W1+W2
となる。
W= W1+W2
となる。
すなわち、押圧力Pが、
P>W1・μ(1)+W2・μ(0)
の関係となったとき、パイプパレット21はスキッド19と共にプラットフォーム18上を移動することになる。
P>W1・μ(1)+W2・μ(0)
の関係となったとき、パイプパレット21はスキッド19と共にプラットフォーム18上を移動することになる。
図1に戻ってその(5)及び(6)に示すようにスキッド19を用いることによって、上述のように実質的な摩擦力が低減され、パイプパレット21に搭載された長尺パイプ16をドライコンテナ34内に移送することが可能となる。尚、ドライコンテナ34の床面の平滑度をプラットホーム18の上面の平滑度と同じように設定しておけば、プラットホーム18の上からドライコンテナ34内へスキッド19をスムーズに移送することが可能となる。
長尺パイプ16のドライコンテナ34内への移送が終了すると、フォークリフト45によってスキッド19にプラットホーム18の方向に移動するように力を加える。すると図9の(4)の状態から(2)の状態にスキッド19が変化することになり、スキッド19のパイプパレット21を持ち上げた状態が解消する。これによってスキッド19は、パイプパレット21からスムーズに引出されることになる。このようにして、スキッド19は他のパイプパレットやドライコンテナに対し繰返して使用することが可能となる。
図12はこのようにしてドライコンテナ34内に移送された長尺パイプ16及びパイプパレット21の状態を示した概略図である。
図を参照して、パイプパレット21はほとんどその位置を上下に移動させることなく底面板73上を滑走することになるため、従来の積載方法のような長尺パイプ16上にデッドスペースを必要とすることなく、効率的なドライコンテナへの重量物の積載が可能となる。
図4に戻って、上述のように第1昇降部材41a及び第1昇降部材41bの上部プレートにはストッパーが設けられているため、パイプパレットに係合した状態ではそれ以上の移動が阻止されている。そして第2昇降部材42a,第2昇降部材42bは、これらに伸張プレート43a,伸張プレート43bを介して接続されているため、第1昇降部材41の上部プレートの移動の停止に伴って第2昇降部材42の上部プレートの移動も停止することになる。
そして第2昇降部材42の下部プレートは第1昇降部材41の下部プレートと同様に水平移動されるため、第2昇降部材42にあっても第1昇降部材41と同様にその上部プレートが上昇してその上方位置のパイプパレットを支持することになる。従って図4で示したスキッド19の構造にあっては、第1昇降部材41a,第1昇降部材41b及び第2昇降部材42a,第2昇降部材42bの各々の4点の位置においてパイプパレットを支持することになるため、安定したパイプパレットの移送が可能となる。
図13はこの発明の第2の実施の形態による重量物移送具の要部の概略構造を示した図であって、先の実施の形態による図6に示した構造に対応するものである。
図を参照して、この実施の形態による重量物移送具の要部は先の実施の形態によるものとは異なりドライコンテナに搬入されたパイプパレット等を搬出する際に用いられるものである。基本的な形態は先の実施の形態によるものと同一であるため、ここではその相違点についてのみ説明する。図において右方向が搬出方向であるが、下部ウェッジ56と上部ウェッジ57とが接する傾斜面の傾斜方向が先の実施の形態とは異なり、搬出方向に向かって下方向に傾斜している。そして上部プレート48の上面に取付けられているストッパー50の向きが先の実施の形態とは逆になっている。尚、このストッパー50は二点鎖線で示されているように上部プレート48に対してその面より下方向に移動できるとともに、実線位置となるように常時付勢される構造となっている。
この様に、パイプパレット等を搬出する際に用いる場合には、上部プレート48の上面に、その上面より下方に移動可能な構造を有するストッパー50が取付けられた第1昇降部材と同様の構造を有する昇降部材を用いてスキッド19は構成される。
ここで図4を参照して説明すると、第1昇降部材41,第2昇降部材42をすべてこの昇降部材に置き換え、第1昇降部材41,第2昇降部材42の各々の上部ウェッジ及び下部ウェッジの傾斜方向を図で左右逆となるようにする。つまり、図4において右方向に搬出する時にストッパーが、例えば、パイプパレット21の前方梁26,後方梁27に係合するように昇降部材を取付けることで、伸張プレート43を不要にしてパイプパレット等を搬出することができる。
ここで、ストッパーを上部プレート48の上面より下方に移動可能とする構造にしたことで、例えば、パイプパレット21の前方梁26,後方梁27が障害となることなく、スキッド19をパイプパレット21の下部に挿入することができ搬出目的を達することができる。
また、この昇降部材の取付け方向を入れ替えることで、先の実施の形態によるスキッドの構造とは別の構造でパイプパレット21等の搬入も可能となる。
使用に際しては、ドライコンテナ内に載置されているパイプパレット21に対して外方から破線の矢印で示す方向にスキッド19を移送する。この時ストッパー50はパイプパレット21に当接した時点で下方向に移動し、パイプパレット21を通過した時点で図のような実線位置に復帰する。この状態でスキッド19を実線の矢印の方向に引出すように力を加える。するとストッパー50はパイプパレット21に当接状態となり、上部ウェッジ57及び上部プレート48はそれ以上の移動が阻止されることになる。この状態で更に第2フレーム37に対して力を加えると、下部ウェッジ56が上部ウェッジ57の下面を滑り、その作用で上部プレート48を上昇させることになる。そして先の実施の形態と同様にパイプパレット21を上部プレート48で支持した状態に変化し、パイプパレット21をスキッド19とともに外方に引出すことが可能となる。
尚、上記の各実施の形態では、長尺パイプの移送を前提としているが、鋼板コイル等の他の重量物に対しても適当なパレット等を準備すれば同様に適用できることは言うまでも無い。
又、上記の各実施の形態では、ドライコンテナに重量物を搬入することを前提としているが、重量物を水平方向に移送するものであれば、他の用途に対しても同様に適用できる。
更に、上記の各実施の形態では、スキッドに対して駆動体となる昇降部材を4セット設けているが、用途に応じてこのセット数を決定すれば良い。
更に、上記の各実施の形態では、昇降部材の下面にスライドプレートを設けているが、スライドプレートを設けずに下部プレートの下面の平滑度を向上させて使用しても良い。
更に、上記の各実施の形態では、重量物を搬入するドライコンテナは20フィートのものを前提としているが、40フィートのドライコンテナにも同様に適用できる。この場合、ドライコンテナ内にフォークリフトを進行させて更にスキッドを床面上に滑走させれば良い。
更に、上記の各実施の形態では、上部ウェッジ及び下部ウェッジは、上部プレート及び下部プレートの各々と別体で構成されているが、これらと一体として加工しても良い。
図14は、この発明の第3の実施の形態による重量物の移送方法において、重量物の搬入に用いられるスキッドの概略構成を示した図であって、(1)はその平面図であり、(2)はその正面図である。また、図15は、図14で示したXV−XVラインの断面図であり、図16は、図14で示したXVI−XVIラインの断面図であり、図17は、図14で示したXVII−XVIIラインの断面図である。更に、図18は、図15で示した図に対応した図であって、上部プレート部分と下部プレート部分とを分離した状態を示した図である。
これらの図を参照して、スキッド19の基本的な構成は、上述した第1の実施の形態によるものと同様である。ただし、この実施の形態によるスキッド19は、下部プレート47の下面に長方形厚板形状の台座75が取付けられている点と、台座75の幅方向の両側に複数のコロ51がそれぞれ回動自在に取付けられている点とが、先の第1の実施の形態によるものとは異なっている。
この実施の形態による重量物の移送方法についても、第1の実施の形態と同様である。すなわち、先の図1で示した工程により、パイプパレット等の重量物を容易に移送することが可能となる。以下においては、スキッド19の下面にコロ51を取付けることによる利点を、必要な押圧力Fの大きさの観点から説明する。
図19は、この発明の第3の実施の形態による重量物移送方法の移送原理を模式的に示した概略工程図である。尚、この図においてはスキッド19の下部プレート47対して複数のコロの記載を省略しているが、スキッド19は、実際にはコロを介してプラットホーム18と接した状態となっている。
図を参照して、長尺パイプ16が搭載されたパイプパレット21はプラットホーム18に対して接地面71において接触している。従ってこの状態では、パイプパレット21を含めた長尺パイプ16の重量Wは、接地面71を介してプラットホーム18に加わることになる。又、この状態におけるパイプパレット21とスキッド19の各々の寸法についても、第1の実施の形態と同様に設定されている。
尚、各部分の摩擦係数の1例としては、下部プレート47に取付けられたコロ51のプラットホーム18に対する転がり摩擦係数μ1は0.05であり、パイプパレット21の接地面71における動摩擦係数μ2は0.5であり、下部ウェッジ56と上部ウェッジ57との接触面における動摩擦係数μ3は0.1と設定されている。従ってスキッド19単体に対しては、フォークリフト45によってプラットホーム18の上を用意に滑走させることが可能となる。
図19の(1)の状態からその(2)に示されているように、フォークリフト45を操作してスキッド19に対して水平方向に押圧力Fを加える。するとスキッド19はプラットホーム18上を水平方向に移動するが、所定以上移動するとスキッド19のストッパー50がパイプパレット21の側面部68に当接して、上部プレート48及び上部ウェッジ57のそれ以上の移動が阻止された状態となる。この時押圧力Fがストッパー50を介してパイプパレット21に伝達されると、パイプパレット21の接地面71には摩擦力F0が生じることになる。この時
F0=μ2W>F
の関係となっているため、パイプパレット21がプラットホーム18上を移動することはない。
F0=μ2W>F
の関係となっているため、パイプパレット21がプラットホーム18上を移動することはない。
この状態から図19の(3)に示されているように、フォークリフト45による押圧力Fを加え続けると、上部ウェッジ57は上述のようにストッパー50によって移動しない状態となっているが、その下方に位置する下部ウェッジ56は下部プレート47とともに矢印の方向に移動することになる。下部ウェッジ56と上部ウェッジ57とは互いに平行な傾斜面によって接しているため、下部ウェッジ56の水平方向の移動に伴い上部ウェッジ57は上部プレート48とともに上方向に移動することになる。そして上部プレート48の上面はパイプパレット21の底面部69に接することになる。
そして、図19の(4)に示されているように、フォークリフト45による押圧力Fを更に大きくすると、上部ウェッジ57はパイプパレット21を更に押し上げるように移動するため、これまで全て直接プラットホーム18へと加わっていた重量Wの一部は、スキッド19へと分散することになる。ここで、スキッド19を介してプラットホーム18に加わる重量をW1、プラットホーム18に直接加わる重量をW2とすると、
W=W1+W2 ・・・(1)
である。
W=W1+W2 ・・・(1)
である。
このとき、プラットホーム18に対するスキッド19の摩擦係数をμ1とし、スキッド19の重量を無視すると、スキッド19に働く摩擦力F1は、
F1=μ1W1 ・・・(2)
となる。また、プラットホーム18との接触面においてパイプパレット21に働く摩擦力F2は、上述した摩擦係数μ2を用いて、
F2=μ2W2 ・・・(3)
となる。したがって、押圧力Fと摩擦力F1及びF2とが釣り合う状態では、
F=F1+F2 ・・・(4)
となる。
F1=μ1W1 ・・・(2)
となる。また、プラットホーム18との接触面においてパイプパレット21に働く摩擦力F2は、上述した摩擦係数μ2を用いて、
F2=μ2W2 ・・・(3)
となる。したがって、押圧力Fと摩擦力F1及びF2とが釣り合う状態では、
F=F1+F2 ・・・(4)
となる。
図20はこの状態における力関係を示した図である。
図を参照して、傾斜角θの下部ウェッジ56の傾斜面に上部ウェッジ57を設置し、上部ウェッジ57に対して水平方向に力Fを加えて釣り合った状態を想定する。この場合、作用点に上部ウェッジ57の重量W1が下部ウェッジ56に対して鉛直方向に加わる。また、下部ウェッジ56の傾斜面と上部ウェッジ57の傾斜面とで規定される動摩擦係数によって生じる摩擦力fが、下部ウェッジ56の斜面に沿って上部ウェッジ57に対して加わることになる。
この状態で、下部ウェッジ56の斜面に対して直交する方向における重量W1の分力をR、斜面に平行な方向における重量W1の分力をSとすると、図より次の等式が成り立つ。
R=W1cosθ ・・・(5)
S=W1sinθ ・・・(6)
また、斜面に対して直交する方向における力Fの分力をN、斜面に平行な方向における力Fの分力をTとすると、図より次の等式が成り立つ。
N=Fsinθ ・・・(7)
T=Fcosθ ・・・(8)
上部ウェッジ57を下部ウェッジ56に押しつける力は(R+N)であるから、摩擦力fは、
f=μ3(R+N)
となり、上記(5)及び(7)を用いて、
f=μ3(W1cosθ+Fsinθ) ・・・(9)
と表せる。
R=W1cosθ ・・・(5)
S=W1sinθ ・・・(6)
また、斜面に対して直交する方向における力Fの分力をN、斜面に平行な方向における力Fの分力をTとすると、図より次の等式が成り立つ。
N=Fsinθ ・・・(7)
T=Fcosθ ・・・(8)
上部ウェッジ57を下部ウェッジ56に押しつける力は(R+N)であるから、摩擦力fは、
f=μ3(R+N)
となり、上記(5)及び(7)を用いて、
f=μ3(W1cosθ+Fsinθ) ・・・(9)
と表せる。
一方、下部ウェッジ56の斜面に平行な方向の力の釣り合いより、
T=S+f
が成り立つ。これに、上記(6)、(8)及び(9)を用いて整理すると、
W1=F(cosθ−μ3sinθ)/(sinθ+μ3cosθ)
となる。更に、
(cosθ−μ3sinθ)/(sinθ+μ3cosθ)=C
とおくと、
W1=CF ・・・(10)
と表せる。
T=S+f
が成り立つ。これに、上記(6)、(8)及び(9)を用いて整理すると、
W1=F(cosθ−μ3sinθ)/(sinθ+μ3cosθ)
となる。更に、
(cosθ−μ3sinθ)/(sinθ+μ3cosθ)=C
とおくと、
W1=CF ・・・(10)
と表せる。
また、上記(2)〜(4)より、釣り合いの状態においては、
F=μ1W1+μ2W2
である。これと(1)より、
F=μ1W1+μ2(W−W1)=(μ1−μ2)W1+μ2W
となる。更に、W1に上記(10)を用いて、整理すると、
F=μ2W/(1−μ1C+μ2C)(ただし、C=(cosθ−μ3sinθ)/(sinθ+μ3cosθ)) ・・・(11)
となる。
F=μ1W1+μ2W2
である。これと(1)より、
F=μ1W1+μ2(W−W1)=(μ1−μ2)W1+μ2W
となる。更に、W1に上記(10)を用いて、整理すると、
F=μ2W/(1−μ1C+μ2C)(ただし、C=(cosθ−μ3sinθ)/(sinθ+μ3cosθ)) ・・・(11)
となる。
以上より、F>μ2W/(1−μ1C+μ2C)となるような押圧力Fを下部ウェッジ56に加えると、パイプパレット21を前方へと滑らせるようにして移動させることが可能となる。
また、スキッド19へと重量W1を分散させることができる場合、すなわち、W1>0となる場合に限定すると、上記の式(10)よりμ3及びθはCを正とする範囲の値となる。C>0であるときには、上記(11)において、μ1が小さくなるにつれて右辺の分母の値は大きくなる。よって、μ1の値を小さくすることにより、パイプパレット21を移動させるために必要な押圧力Fの大きさを小さくすることが可能となる。
ここで、この実施の形態によるスキッド19を使用した場合の押圧力Fの変化について具体的に説明する。
まず、「1.スキッドを使用しない場合」には、パイプパレット21の重量は全てプラットホーム18に直接加わる。この場合は、パイプパレット21を移動させるために必要な力Fは、パイプパレット21に働く摩擦力μ2Wの大きさである49.0(kN)より大きくする必要がある。
次に、「2.スキッド19の下面にスライドプレート49を取付けた場合」は、先の図4〜8で示したスキッド19を用いた場合に対応する。ここでは、スライドプレート49のプラットホーム18に対する摩擦係数μ1を0.13とし、必要な押圧力Fを上記の式(11)により算出すると、13.2(kN)となる。このようなスライドプレート49をスキッド19の下面に取付けることによって、スキッド19を使用しない場合と比べると必要な押圧力を大きく減少させることが可能となる。
更に、「3.スキッド19の下面にコロ51を取付けた場合」についてみると、下部プレート47の下面にコロ51を取付けることによって、下部プレート47とプラットホーム18との間の摩擦係数μ1は0.05まで減少する。この値を用いて、パイプパレット21を移動させるのに要する押圧力Fを上記の式(11)により算出すると、11.4(kN)となる。この算出結果と上記2.のケースと比較すると明らかなように、摩擦係数μ1を0.13から0.05まで小さくすることによって、必要な押圧力Fは13.2から11.4へと更に減少している。
このように、スキッド19を用いることによって、必要な押圧力Fを小さくすることが可能であるが、特に、第3の実施の形態のスキッド19のように、コロ51を取付けてプラットホーム18に対する摩擦係数μ1を小さくすると、必要な押圧力Fを更に小さくすることが可能となる。
図21は、この発明の第4の実施の形態による重量物移送方法において、重量物の搬出に用いられるスキッドの要部概略構造を示した断面図であって、図13と対応する図である。
図を参照して、スキッド19の基本的な構成は、図13で示した第2の実施の形態によるスキッドと同様であるが、下部プレート47の下面に台座75と複数のコロ51とが取付けられている点が第2の実施の形態とは異なっている。尚、この台座75及びコロ51の取付け態様に関しては、図14〜図18で示した第3の実施の形態と同様である。
この実施の形態によるスキッド19は、ドライコンテナに搬入されたパイプパレット等を搬出するために用いられるものである。使用時には、第2の実施の形態と同様にしてパイプパレット等を搬出することが可能であるが、第2の実施の形態に対して、コロ51によって床面に対するスキッド19の摩擦係数が小さくなるため、パレット等を搬出するために必要な力をより小さくすることが可能となる。
尚、上記の第3及び第4の実施の形態では、長尺パイプの移送を前提としているが、鋼板コイル等の他の重量物に対しても適当なパレット等を準備すれば同様に適用できることは言うまでも無い。
又、上記の第3及び第4の実施の形態では、ドライコンテナに重量物を搬入することを前提としているが、重量物を水平方向に移送するものであれば、他の用途に対しても同様に適用できる。
更に、上記の第3及び第4の実施の形態では、スキッドに対して駆動体となる昇降部材を4セット設けているが、用途に応じてこのセット数を決定すれば良い。
更に、上記の第3及び第4の実施の形態では、重量物を搬入するドライコンテナは20フィートのものを前提としているが、40フィートのドライコンテナにも同様に適用できる。この場合、ドライコンテナ内にフォークリフトを進行させて更にスキッドを床面上に滑走させれば良い。
更に、上記の第3及び第4の実施の形態では、上部ウェッジ及び下部ウェッジは、上部プレート及び下部プレートの各々と別体で構成されているが、これらと一体として加工しても良い。
更に、上記の第3及び第4の実施の形態では、下部プレートの下面には車輪形状のコロを取付けているが、必ずしもこのような車輪形状のコロに限られるものではなく、転がりによって摩擦抵抗を軽減することがものであればよい。例えば、ボールや円筒形のローラー等もコロとしてして同様に使用可能である。
更に、上記の第3及び第4の実施の形態では、台座及びコロを下部プレートに一体的に取付けているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、下部プレートから脱着自在としても良い。
更に、上記の第1から第4の実施の形態においては、上部ウェッジと下部ウェッジとの間に働く動摩擦は、転がり摩擦をも含む概念である。したがって、上部ウェッジの下面または下部ウェッジの上面にコロを取付けても良い。この場合でも、動摩擦係数の代わりに転がり摩擦係数を用いれば、上記の各実施の形態で示した押圧力に関する式を同様に適用することが可能である。
16…長尺パイプ
19…スキッド
21…パイプパレット
41…第1昇降部材
42…第2昇降部材
43…伸張プレート
49…スライドプレート
50…ストッパー
51…コロ
56…下部ウェッジ
57…上部ウェッジ
69…底面部
71…接地面
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
19…スキッド
21…パイプパレット
41…第1昇降部材
42…第2昇降部材
43…伸張プレート
49…スライドプレート
50…ストッパー
51…コロ
56…下部ウェッジ
57…上部ウェッジ
69…底面部
71…接地面
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
Claims (10)
- 重量物を移送するための重量物移送方法であって、
前記重量物の接地面を除いた底面部と床面との間のスペースに、前記スペースの高さより低い高さであって、前記床面に対する前記重量物の動摩擦係数より小さな動摩擦係数を有するスキッドを配置する第1工程と、
前記スキッドの少なくとも一部を上昇させ、前記重量物の前記底面部に当接させて前記重量物の重量の少なくとも一部を前記スキッドで受ける第2工程と、
前記スキッドを水平方向に押圧することにより、前記重量物を前記スキッドとともに移送する第3工程とを備えた、重量物移送方法。 - 前記スキッドは、
下面は水平面で且つ上面が前記水平方向に向かって下方に傾斜する第1傾斜面よりなる下部ウェッジと、
下面が前記第1傾斜面と平行な第2傾斜面で且つ上面が水平面よりなり、前記下部ウェッジの上に載置される上部ウェッジとからなる駆動体を含み、
前記第2工程は、
前記上部ウェッジの前記水平方向への移動を阻止する工程と、
前記下部ウェッジを前記水平方向へ移動させるとともに、前記上部ウェッジを上昇させる工程とを含む、請求項1記載の重量物移送方法。 - 前記重量物の重量をWとし、
前記駆動体の下面と前記床面との間の動摩擦係数をμ(0)とし、
前記重量物の前記床面との間の動摩擦係数をμ(1)とし、
前記下部ウェッジの上面と前記上部ウェッジの下面との間の動摩擦係数をμ(2)とし、
前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面の各々の水平面に対する傾斜角度をθとし、
前記下部ウェッジの前記水平方向へ加える力をPとし、
μ(2)=tanφとすると、
P>W・tan(θ+φ)及び
W・μ(1)>P>W・μ(0)
である、請求項2記載の重量物移送方法。 - 重量物を床面上で移送するための重量物移送具であって、
下面は水平面で且つ上面が前記水平面に対して傾斜する第1傾斜面よりなり、前記床面上を滑走するための下部ウェッジと、
下面が前記第1傾斜面と平行な第2傾斜面で且つ上面が水平面よりなり、前記下部ウェッジの上に載置され、前記重量物を支持するための上部ウェッジとを備え、
前記下部ウェッジの前記第1傾斜面と前記上部ウェッジの前記第2傾斜面とは摺動自在に構成される、重量物移送具。 - 前記上部ウェッジの上面に、上方に突出するように取付けられたストッパーを更に備えた、請求項4記載の重量物移送具。
- 重量物を移送するための重量物移送方法であって、
前記重量物の接地面を除いた底面部と床面との間のスペースに、前記スペースの高さより低い高さであって、前記床面に対する前記重量物の動摩擦係数より小さな転がり摩擦係数を有するスキッドを配置する第1工程と、
前記スキッドの少なくとも一部を上昇させ、前記重量物の前記底面部に当接させて前記重量物の重量の少なくとも一部を前記スキッドで受ける第2工程と、
前記スキッドを水平方向に押圧することにより、前記重量物を前記スキッドとともに移送する第3工程とを備えた、重量物移送方法。 - 前記スキッドは、
下面にコロを有し且つ上面が前記水平方向に向かって下方に傾斜する第1傾斜面よりなる下部ウェッジと、
下面が前記第1傾斜面と平行な第2傾斜面で且つ上面が水平面よりなり、前記下部ウェッジの上に載置される上部ウェッジとからなる駆動体を含み、
前記第2工程は、
前記上部ウェッジの前記水平方向への移動を阻止する工程と、
前記下部ウェッジを前記水平方向へ移動させるとともに、前記上部ウェッジを上昇させる工程とを含む、請求項6記載の重量物移送方法。 - 前記重量物の重量をWとし、
前記駆動体の下面と前記床面との間の転がり摩擦係数をμ1とし、
前記重量物の前記床面との間の動摩擦係数をμ2とし、
前記下部ウェッジの上面と前記上部ウェッジの下面との間の動摩擦係数をμ3とし、
前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面の各々の水平面に対する傾斜角度をθとし、
前記下部ウェッジの前記水平方向へ加える力をFとし、
C=(cosθ−μ3sinθ)/(sinθ+μ3cosθ)とすると、
F>μ2W/(1−μ1C+μ2C)
である、請求項7記載の重量物移送方法。 - 重量物を床面上で移送するための重量物移送具であって、
下面にコロを有し且つ上面が前記水平面に対して傾斜する第1傾斜面よりなり、前記床面上を滑走するための下部ウェッジと、
下面が前記第1傾斜面と平行な第2傾斜面で且つ上面が水平面よりなり、前記下部ウェッジの上に載置され、前記重量物を支持するための上部ウェッジとを備え、
前記下部ウェッジの前記第1傾斜面と前記上部ウェッジの前記第2傾斜面とは摺動自在に構成される、重量物移送具。 - 前記上部ウェッジの上面に、上方に突出するように取付けられたストッパーを更に備えた、請求項9記載の重量物移送具。
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