JP2006001013A - 支持体付き発泡ポリウレタンシートおよびその製造方法 - Google Patents

支持体付き発泡ポリウレタンシートおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低分子シロキサン化合物、およびその発生源となる化合物を実質的に含有しない支持体付き発泡ポリウレタンシート、その製造方法、それを用いる遮音材およびハードディスクドライブを提供する。
【解決手段】 支持体とポリウレタン発泡体とが一体成形され、オルガノシロキサンを含有せず、ポリウレタンのベースポリマーが、数平均分子量が1,500〜8,000、分子中に存在するヒドロキシル基の20%以上が第一級ヒドロキシル基のポリオールである、支持体付き発泡ポリウレタンシート;ポリオルガノシロキサン化合物を用いないその製造方法;上記発泡ポリウレタンシートを用いる遮音材およびハードディスクドライブ。
【選択図】 なし

Description

本発明は、支持体付き発泡ポリウレタンシートおよびその製造方法に関し、さらに詳細には、オルガノシロキサン化合物を含有しない、支持体付き発泡ポリウレタンシートおよびその製造方法に関する。
パソコンなどのハードディスクドライブ(以下、HDDという)には、駆動時にモータ音やディスクの風切り音などが発生し、周辺に対する騒音となる。このため、HDD自体や、HDDと基板および/または天板との間に遮音材を配置して、発生音の洩れの低減と制振を図っている。
従来、上記の遮音材、制振材として、ポリウレタンフォームなどのスラブ状に形成された発泡体から、所定の厚みにスライスされた発泡体シートが知られていた。しかしながら、そのような発泡体シートは、遮音効果が乏しく、音が洩れるという問題があった。そのため、発泡体の靜バネ定数を限定する(特許文献1);発泡体の気泡内表面に、微細な凹凸を有するポリマー膜を付設する;発泡体の該表面を、空気を封入したフィルムで被覆する(特許文献2)などの提案がなされている。また、発泡体からなる吸音層を、通気性が低いフィルムで被覆したもの(特許文献3)や、特定範囲の通気性を有する圧縮性の発泡体(特許文献4)を、防音材として用いるという提案もなされている。発泡体としては、軟質ポリウレタンフォームが用いられている。
これらの従来技術において、高分子量ポリオルガノシロキサンを主成分とするシリコーン系の接着剤またはシーリング材が、発泡体を支持体などに固定するために用いられている。また、作業上の都合から、吸音材として用いるポリウレタンフォームを一時的に支持体などに貼り付けるために、ポリオルガノシロキサンを主成分とするシリコーン系粘着剤が用いられている。
一方、ポリシロキサン・ポリエーテルグラフト共重合体が、ポリウレタンフォームを形成させる際の整泡剤として用いられている。特殊な用途には、低分子シロキサン化合物を併用することもある。
HDDの遮音に用いられる遮音材の新しい課題として、吸音層である発泡体に、揮発性有機化合物(以下、VOCという)を含有せず、特に絶縁性で、接点や、HDD制御部のプリント基板などに接触不良を生じる原因になる低分子シロキサン化合物を含有せず、また使用中にそれを発生しない遮音材が求められるようになった。遮音材を改良するための前述の技術は、いずれもこの新しい課題を解決するものではない。
さらに、遮音材と支持体を、接着剤やシーリング材によって接着する方法は、接着剤が圧縮力を受けると、発泡体である吸音層の内部まで接着剤と接着するため、発泡体が復元しないという問題も生じ、その解決もまた求められていた。
特開昭59−102294号公報 特開平7−261768号公報 特開平10−254453号公報 特開平10−254454号公報
本発明の課題は、低分子オルガノシロキサン化合物、およびその発生源となる化合物を実質的に含有しない支持体付き発泡ポリウレタンシート、ならびにその製造方法を提供することである。本発明のもう一つの課題は、発泡体の不必要な部分まで接着剤が存在して、発泡体の復元を妨げることを防止することである。本発明の他の課題は、上記の支持体付き発泡ポリウレタンシートであるハードディスクドライブ用遮音材、およびそれを用いるハードディスクドライブを提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために研究を重ねた結果、支持体と発泡体とを一体成形することにより、ポリオルガノシロキサンを含有する接着剤、シーリング材、粘着剤などの使用を排除することができ、かつポリオールとして、特定の数平均分子量および第一級ヒドロキシル基率を有するポリオールを用いることによって、シロキサン含有整泡剤を使用しないでも、優れた発泡ポリウレタンを製造できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、支持体とポリウレタン発泡体とが一体成形され、オルガノシロキサン化合物を含有せず、かつポリウレタンのベースポリマーが、数平均分子量が1,500〜8,000、分子中に存在するヒドロキシル基の20%以上が第一級ヒドロキシル基である、支持体付き発泡ポリウレタンシートに関する。
また、本発明は、支持体付き発泡ポリウレタンシートの製造方法であって、工程にオルガノシロキサン化合物を使用せず、かつポリウレタンのベースポリマーとして、数平均分子量が1,500〜8,000、分子中に存在するヒドロキシル基の20%以上が第一級ヒドロキシル基であるポリオールを用いる、支持体と発泡体とを一体成形することを特徴とする製造方法に関する。
さらに、本発明は、上記の支持体付き発泡ポリウレタンシートであるハードディスクドライブ用遮音材、およびそれを用いるハードディスクドライブに関する。
本発明により、特定範囲のポリオールを用いることにより、整泡剤を用いなくても優れたポリウレタンシートを得ることができる。また、支持体を用いることによって、作業性および遮音性が向上する。さらに、ポリウレタンフォームと支持体を一体に成形することによって、接着剤、シーリング材または粘着剤を用いることなく、したがって、接着剤、シーリング材および粘着剤から生じるVOCの発生がない。特に、遮音材にオルガノシロキサン化合物を含まないので、該化合物中に含まれ、または使用中に発生する低分子シロキサン化合物によるHDDの制御基板の汚染や、それによる誤動作がない。そのうえ、硬化した接着剤が不必要な箇所まで存在して、吸音材の形状が復元しないということもない。さらに、接着剤によって製品の硬さに影響を与えることがなく、風合も変化しない。
本発明において、発泡ポリウレタンシートは、末端にヒドロキシル基を有する直鎖状または分岐状のポリオールをベースポリマーとし、これをイソシアネート化合物および/または末端にイソシアナト基を有するプレポリマーと反応させて、支持体と一体成形させることによって得られる。
ベースポリマーとしては、数平均分子量が1,500〜8,000、好ましくは2,000〜6,000のポリオールが用いられる。このことにより、発泡初期における系の機械的強度を上げて、整泡剤を用いないでも上記のような破泡をすることがなく、均一な発泡を行うことができる。得られるポリウレタンに網状構造を与えるために、少なくとも一部のポリオールとして、分子中に分岐単位を有し、分子中のヒドロキシル基の数が3以上のものが用いられ、分子中のヒドロキシル基の数が2のものと併用するなど、ポリオールは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上のポリオールを併用する場合、上記の数平均分子量は、用いられた全ポリオールの平均を意味する。
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオールなどを用いることができる。ただし、分子中にポリシロキサン鎖を有するポリオールを用いることはできない。容易に入手でき、良好な性質のポリウレタンを与え、特に優れた耐加水分解性および耐湿熱老化性を有するポリウレタンを与えることから、ポリエーテルポリオールを用いることが好ましく、液状で取扱いが容易なことから、オキシプロピレン系またはオキシエチレン−オキシプロピレン系のポリエーテルポリオールを用いることがより好ましく、優れた耐湿熱老化性を有するポリウレタンを与え、かつ発泡後の収縮を生じないことから、上記のうちでもオキシエチレン単位含有量が60モル%以下、とりわけ25モル%以下のポリエーテルポリオールを用いることが、特に好ましい。ここで、たとえばオキシプロピレン系とは、開始剤に由来する部分を除いてオキシプロピレンからなるポリオールを意味する。
本発明に用いられるポリオールのもう一つの特徴は、分子中に存在するヒドロキシル基の20%以上、好ましくは35%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは60〜80%が第一級ヒドロキシル基であることである。このことにより、イソシアネート化合物またはイソシアナト基含有プレポリマーとイソシアナト基との反応性を高め、整泡剤の助けを借りなくても、均質に発泡した、優れた発泡ポリウレタンシートを得ることができる。
このようなポリエーテルポリオールは、代表的には、開始剤を用いないか、開始剤としてエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールのような二価アルコール;またはグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトールのような三価以上の多価アルコールを開始剤として用い、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフランのような環状オキシドを開環重合させて合成したものが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、代表的には、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールのような二価アルコールと、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸のような二塩基酸とを、二価アルコールが僅かに過剰になるように重縮合反応させるか、ε−カプロラクトンやメチルバレロラクトンのようなラクトン類を、少量の二価アルコールの存在下に開環重合させたものが例示される。
プロピレンオキシドの開環重合、またはプロピレンオキシドとその他の環状オキシドとの共開環重合によって合成されるポリエーテルポリオールやポリエーテル−エステルポリオールでは、開環重合触媒の種類に応じて、末端ヒドロキシル基の一部または全部として第二級ヒドロキシル基を生じる。本発明に用いるのに適したポリオールは、たとえば、開環重合触媒として酸性触媒を用いる開環重合の末期にエチレンオキシドを導入して開環付加させる;ベンジルアルコールを開始剤として開環重合させ、末端ヒドロキシル基をカップリングした後、ベンジル基を水素化分解して脱離させて、ポリエーテルに第一級ヒドロキシル基を形成させるなどの方法によって得ることができる。
イソシアネート化合物としては、ポリオールと反応してポリウレタンを形成するのに通常用いられるものを用いることができる。イソシアネート化合物としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、両者の混合物(TDI)、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート、両者の混合物(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネートのような芳香族イソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのような脂肪族イソシアネート化合物;それらの二量体、三量体、カルボジイミド変性体などのような誘導体が例示され、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。優れた反応速度が得られ、整泡剤なしでも均質で優れたポリウレタンシートが得られることから、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネートおよびMDI(以下、MDI類と総称する)を用いることが好ましい。
また、これらのイソシアネート化合物を、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールのようなポリオールと反応させて得られる、分子末端にイソシアナト基を有するプレポリマーを、イソシアネート化合物の一部または全部の代わりに用いることもできる。優れた反応速度が得られ、整泡剤なしでも均質で優れたポリウレタンシートが得られることから、MDI類をポリオールと反応させて得られるプレポリマーを用いることが好ましい。
イソシアネート化合物および/またはプレポリマーの配合量は、品質の安定した発泡体を生産しうることから、イソシアネートインデックスが、通常70〜120、好ましくは80〜105の範囲になる量である。
ポリオールとイソシアネート化合物またはプレポリマーを反応させる触媒としては、オクタン酸スズ(II)、デカン酸スズ(II)、ドデカン酸スズ(II)、テトラデカン酸スズ(II)、オレイン酸スズ(II)、ナフテン酸スズ(II)のようなスズカルボン酸塩;ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジマレアートのような有機スズ化合物;トリエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、トリエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミノエチルモルホリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7のようなアミン類などが例示され、1種を用いても、2種以上を併用してもよく、たとえばスズカルボン酸塩または有機スズ化合物とアミン類を併用することができる。これらの触媒は、そのまま混合してもよく、低分子量ジオール類のような溶媒に溶解させて配合してもよい。触媒の使用量は、ベースポリマー100重量部に対して、通常0.1〜3.0重量部、好ましくは0.8〜2.0重量部である。
発泡ポリウレタンシートの原液には、前述のベースポリマーであるポリオール、イソシアネート化合物もしくはその誘導体またはプレポリマー、および触媒、ならびに必要に応じて、発泡剤、気泡安定剤、鎖延長剤、架橋剤、難燃剤、充填剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を配合することができる。通常、上記の材料を安定に保存するために、イソシアネート化合物もしくはその誘導体またはプレポリマーを、必要に応じてその融点以上の温度に加熱してB液とし、使用直前に、残余の成分からなるA液と均一に混合して、原液を調製する。配合には、常温または加温状態で、撹拌混合機などの混合手段を用いることができる。A液とB液の混合には、ギヤポンプのような計量ポンプを備えたミキシングヘッドを用いることができる。
本発明に用いられる発泡ポリウレタンシートの特徴は、上記の原液に、オルガノシロキサン化合物を含有しないことである。ここでオルガノシロキサン化合物とは、ケイ素原子に直接に結合した有機性炭素原子を有し、分子中にシロキサン結合を有する、低分子量から高分子量までの化合物をいう。オルガノシロキサン化合物としては、ケイ素原子に結合した、メチル、エチル、プロピル、ブチル、デシルのようなアルキル基;ビニルのようなアルケニル基;フェニルのようなアリール基;2−フェニルエチル、2−フェニルプロピルのようなアラルキル基などの1価の炭化水素基;フッ素、塩素、ヒドロキシル、アミノ、メルカプト、カルボキシル、グリシドキシ、メタクリロキシなどの置換基を有する1価の置換炭化水素基を有するものが例示され、これらの有機基のほかに、ケイ素原子に結合した水素原子;ヒドロキシル基;メトキシ、エトキシのようなアルコキシ基などのケイ素官能性基を有するもの、ならびにそれらを架橋させて得られる硬化体も包含される。ポリオルガノシロキサンの代表例としては、直鎖状、分岐状、環状および網状のシロキサン骨格を有する、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサンなどが挙げられる。
さらに、オルガノシロキサン化合物には、もうひとつのタイプとして、発泡ポリウレタンシートの整泡剤として一般に用いられているポリシロキサン−ポリエーテルブロックおよび/またはグラフト共重合体も包含される。このような共重合体の代表例としては、ポリシロキサン部分にメチル基およびポリエーテル部分との結合基としてトリメチレン基を有し、ポリエーテル部分がポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンまたはオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体であるポリシロキサン−ポリエーテルブロックおよび/またはグラフト共重合体が挙げられる。
ポリオルガノシロキサンを主成分として含むシリコーン系接着剤やシーリング材は、未硬化状態で遮音材の表面や周辺部に塗布され、硬化反応によって接着性を発現させて、ポリシロキサン鎖を主成分として含むゴム層を形成する。また、同様にポリオルガノシロキサンを主成分として含むシリコーン系粘着剤は、テープ状の基材に処理された粘着剤層として、作業の際の一時的な固定に用いられ、吸音層や支持体の表面に残存する。
上記のシリコーン系接着剤、シーリング材および粘着剤に含まれる高分子量ポリオルガノシロキサンや、整泡剤として用いられるポリシロキサン・ポリエーテルグラフト共重合体は、微量の低分子シロキサン化合物を不純物として含有している。また、ポリシロキサンは、最も一般的なポリジメチルシロキサンの場合に200℃を越える温度、分子中にフェニル基を導入し、または耐熱性向上剤を配合した耐熱性グレードでも250〜300℃を越える温度では、熱分解により、オクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状シロキサンなどの低分子シロキサン化合物を生じる。ポリシロキサン・ポリエーテルグラフト共重合体の場合は、さらに低い温度、たとえば180℃でも熱分解を起こす。したがって、オルガノシロキサン化合物を整泡剤などとして含有するか、あるいはポリオルガノシロキサンを主成分として含む接着剤、シーリング材、粘着剤などが吸音層などの表面に付着した遮音材を用い、該遮音材が使用中に高温にさらされると、熱分解により微量の低分子シロキサン化合物を生じ、揮発して接点やプリント基板などに付着して、接触不良の原因となる。
したがって、本発明の製造方法においては、このようなオルガノシロキサン化合物を含む整泡剤のような添加剤をはじめ、接着剤、シーリング材、粘着剤および剥離剤を使用しない。
本発明に用いられる支持体は、紙、不織布、布、フェルトのような高分子多孔体;およびポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)フィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルムのようなフィルムが例示され、成形性、加熱した際の寸法安定性およびコストから、PETフィルムが好ましい。
本発明の遮音材は、断面概念図を図1に示すように、ポリウレタンフォームからなる吸音層1と、支持体2とが接着された一体成形体である。吸音層1の厚さは、通常0.5〜4.0mm、好ましくは0.8〜1.6mmである。支持体2の厚さは、通常0.025〜0.1mmである。
本発明の遮音材は、ポリウレタンフォームと支持体を一体成形する工程を含む製造方法によって作製することができる。一体成形は、たとえば、剥離ライナーを、剥離剤層を設けた場合は該剥離剤層が支持体側を向いて、着設する吸音層の幅の間隙をあけて支持体と平行に配置し、その間隙に、ポリウレタンフォームの材料を流入させる工程を含む方法によって実施することができる。流入は、注型、射出などの任意の方法によって実施する。
剥離ライナーは、ポリプロピレンやポリテトラフルオロエチレンのような、ポリウレタンおよびその材料との親和性のない高分子フィルム;または剥離剤をその少なくとも一方の面に塗布した紙、不織布または高分子フィルムを用いる。剥離剤としては、ポリテトラフルオロエチレン含有エマルション、ポリプロピレンのような極性の低い樹脂、ワックス、流動パラフィンが例示される。剥離ライナーとしては、PETフィルムや紙とポリプロピレンとのラミネートが好ましい。
硬化および発泡によるポリウレタンフォームの形成は、通常、剥離ライナーを置いたまま、50〜180℃に2〜10分間加熱することにより、実施することができる。ポリウレタンフォーム層の形成後、剥離ライナーをはがして、遮音材を完成させる。
このようにして作製した遮音材は、HDD自体や、HDDと基板および/または天板との間に配置して、用いることができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。実施例および比較例において、部は重量部、組成の%は重量%を表す。
実施例および比較例において、表1に示すオキシプロピレン系またはオキシエチレン−オキシプロピレン系のポリエーテルポリオールを用いた。
Figure 2006001013
実施例および比較例において、下記の触媒を用いた。
C−1:トリエチレンジアミンの33%ジプロピレングリコール溶液
C−2:N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン
実施例および比較例に用いたポリオールのヒドロキシル基の分析、および得られた遮音材の評価を、次のようにして行った。
(1)ポリオールのヒドロキシル基のうち、第一級ヒドロキシル基の割合
ポリオールを1H NMRにかけ、分子中に存在する第一級および第二級ヒドロキシル基の量を定量して、全ヒドロキシル基中の第一級ヒドロキシル基の割合を求めた。
(2)遮音材のVOCの定量
遮音材を密閉容器に封入し、100℃に加熱して、10分間に発生するVOCの量を測定した。
(3)遮音材の低分子シロキサン化合物の定量
発生したVOCをGC−MSにかけ、分子中のケイ素原子数が20までの環状および鎖状有機シロキサン化合物について、あらかじめ得られている保持時間および分子量と同一の保持時間および分子量を示す化合物を、低分子シロキサン化合物として集計した。
(4)騒音試験
JIS Z8732により、遮音材を載置したHDDに生じる騒音を測定した。すなわち、半無響室において、概念図を図3に示す測定装置を用いて、HDD4と基板5の間に、支持体を基板側にして遮音材6をはさんだ試料を、背面から発生した雑音も拾うように、HDDの背後に空隙を設けるための保持台7上の所定の位置に置いた。電源9を入れてHDD4を作動させ、発生する騒音を、試料の直上に10cm離して設けた集音マイク8で拾い、アナライザ10によって騒音レベルを測定した。
実施例1〜7、比較例1〜4
表2に示す配合比により、ポリエーテルポリオール、触媒、および必要に応じて無機質充填剤を配合し、ついでイソシアネート化合物またはイソシアナト基を有するプレポリマーを混合して、ポリウレタンフォーム原液を調製した。すなわち、実施例1を例にとると、容器にP−4を70部とP−2を30部仕込み、これにC−1を0.8部とC−2を0.2部を加え、撹拌混合機によって混合して、A液を調製した。これにMDI(2,4′−と4,4′−の混合物)とポリプロピレングリコールとの反応によって得られた、NCO含有率が25%であるプレポリマーからなるB液40部を、撹拌混合機中で均質になるまで混合して、ポリウレタンフォーム原液を調製した。厚さ0.05mmのPETフィルムと、片面にポリプロピレン剥離剤層を設けた紙からなる剥離ライナーを、剥離剤層をPETフィルム側に向けて0.15mmの間隙をあけて平行に併置し、その間隙に、上記ポリウレタンフォーム原液を注型して、100℃の乾燥炉で5分間加熱することにより、発泡と硬化を実施した。ついで、形成されたポリウレタンフォームから剥離ライナーをはがして、断面概念図を図1に示すように、ポリウレタンフォームを吸音層1とし、PETフィルムを支持体2とする、両者が一体成形された積層体を作製した。ポリウレタンフォームの発泡倍率は、7.0倍であった。これをダイカットで打ち抜いて、100mmx50mmの遮音材を作製した。得られた発泡体の外観および性質を、表2に示す。
Figure 2006001013
実施例8〜12、比較例5、6
ポリオールとして、実施例2に用いたP−3と、比較例2または4に用いたP−6またはP−8とを配合して、全体で各種の第一級ヒドロキシル基含有量を有するポリオール混合物を用い、実施例2と同様にしてポリウレタンフォーム原液を調製した。これを用いて、実施例2と同様の工程によりポリウレタンフォームを作製した。得られた発泡体の外観および性質を、表3に示す。比較のために、実施例2の結果も表3に再録する。
Figure 2006001013
比較例5
整泡剤としてポリジメチルシロキサン・ポリオキシプロピレングラフト共重合体1.0部を配合した以外は実施例1と同様にしてA液を調製した。これを実施例1に用いたB液と均一に混合して得られたポリウレタンフォーム原液を用いた以外は、実施例1と同様にして、遮音材を作製した。
比較例6
実施例1で調製したポリウレタンフォーム原液から、型に流延して、フォームブロックを作製した。これを刃物によってスライスして、厚さ1.0mmの試料を作製した。粘着剤の保護にシリコーン系剥離紙を用いたアクリル系粘着剤から、剥離紙を外して接着に供することにより、上記試料に厚さ0.05mmのPETフィルムを接着し、ダイカットで打抜いて、実施例1と同一寸法で、断面概念図を図2に示すように、従来法と同様に吸音層1と支持体2の間に接着剤層3を有する遮音材を作製した。
比較例7
比較例5で調製したポリウレタンフォーム原液を用いた以外は比較例6と同様にして、遮音材を作製した。
比較例5〜7で得られた遮音材について、総VOCおよび低分子シロキサン化合物の定量を行った。その結果を、比較のために再録する実施例1の値とともに、表4に示す。また、実施例1および比較例5〜7で得られた遮音材を装置したHDD、ならびに遮音材を用いないHDDの騒音試験を行った。その結果を表4に示す。
Figure 2006001013
表4から明らかなように、ポリシロキサン−ポリエーテルグラフト共重合体のような整泡剤を用いず、また、接着剤を用いない実施例1から、優れた発泡ポリウレタンシートが得られたばかりでなく、得られた遮音材は、整泡剤を用いた比較例5および7の遮音材に比べてVOCの発生量が低く、特に低分子シロキサン化合物を全く生じなかった。また、整泡剤を用いないが接着剤を用いた比較例6の遮音材に比べても、総VOCおよび低分子シロキサン化合物発生量ともに優れていた。
整泡剤を用いないで発泡ポリウレタンシートを得ようとするとき、用いる原液の組成によっては、必ずしも満足すべき発泡体が得られるのではない。表2および表3から明らかなように、数平均分子量が1,500〜8,000で、分子中のヒドロキシル基の20%以上、好ましくは35%以上が第一級ヒドロキシル基であるポリオールを、ポリウレタンのベースポリマーとして用いることにより、優れた発泡ポリウレタンシートを得ることができた。
本発明の支持体付き発泡ポリウレタンシートは、ハードディスクドライブやその他の電子機器、音響機器の遮音材として、極めて有用である。
本発明の遮音材の断面概念図である。 従来法の遮音材の断面概念図である。 騒音試験の実験装置の概念図である。
符号の説明
1 吸音層
2 支持体
3 接着剤層
4 HDD
5 基板
6 遮音材
7 保持台
8 集音マイク
9 電源
10 アナライザ

Claims (8)

  1. 支持体とポリウレタン発泡体とが一体成形され、オルガノシロキサン化合物を含有せず、かつポリウレタンのベースポリマーが、数平均分子量が1,500〜8,000、分子中に存在するヒドロキシル基の20%以上が第一級ヒドロキシル基のポリオールである、支持体付き発泡ポリウレタンシート。
  2. ベースポリマーが、分子中に存在するヒドロキシル基の50%以上が第一級ヒドロキシル基のポリオールである、請求項1記載の支持体付き発泡ポリウレタンシート。
  3. ベースポリマーが、オキシプロピレン系またはオキシエチレン−オキシプロピレン系のポリエーテルポリオールである、請求項1または2記載の支持体付き発泡ポリウレタンシート。
  4. 支持体付き発泡ポリウレタンシートの製造方法であって、工程にオルガノシロキサン化合物を使用せず、かつポリウレタンのベースポリマーとして、数平均分子量が1,500〜8,000、分子中に存在するヒドロキシル基の20%以上が第一級ヒドロキシル基であるポリオールを用い、支持体と発泡体とを一体成形することを特徴とする製造方法。
  5. イソシアネート化合物またはプレポリマーとして、ジフェニルメタンジイソシアネートか、またはそれとポリオールとの反応生成物であるプレポリマーを用いる、請求項4記載の製造方法。
  6. 支持体と剥離ライナーの間に、均一に混合した発泡ポリウレタンシートの材料を流入させる工程を含む、請求項4または5記載の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項記載の支持体付き発泡ポリウレタンシートを含むハードディスクドライブ用遮音材。
  8. 請求項7記載の遮音材を用いるハードディスクドライブ。
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