JP2006000867A - 熱間圧延ラインの搬送ロール - Google Patents
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Abstract
【課題】 金属製芯金に電気絶縁層を有するスリーブを嵌合した熱間圧延ラインの搬送ロールにおいて、ロールの熱膨張に起因するスリーブの破損を防止でき、また耐衝撃性に優れたロールを提供すること。
【解決手段】 ロール端部にばねを設置し、該ばねと電気絶縁層を有するスリーブ間に金属製スリーブを介在させ、該ばねによって該金属製スリーブを介して電気絶縁層を有するスリーブに圧縮荷重を与えるようにしたことを特徴とする熱間圧延ラインの搬送ロール。そして前記ばねは、皿ばねであることが好ましい。
【選択図】 図10
【解決手段】 ロール端部にばねを設置し、該ばねと電気絶縁層を有するスリーブ間に金属製スリーブを介在させ、該ばねによって該金属製スリーブを介して電気絶縁層を有するスリーブに圧縮荷重を与えるようにしたことを特徴とする熱間圧延ラインの搬送ロール。そして前記ばねは、皿ばねであることが好ましい。
【選択図】 図10
Description
本発明は、熱間圧延ラインの搬送ロール(テーブルロール)に関するもので、詳細には、熱間圧延ラインに配設された誘導加熱装置の直下およびその近傍に配置する金属製芯金に電気絶縁層を有するスリーブを嵌合した搬送ロールに関するものである。
鋼板の熱間圧延方法は、加熱炉で所定の温度に加熱した鋼片(スラブ)を熱間圧延ラインの粗圧延機で所定の厚さに粗圧延して粗バーとなし、必要に応じて粗バーの先尾端をクロップシャーで切断し、圧延中に放冷によって温度低下した粗バーの幅方向エッジ部をエッジヒーターで加熱して温度低下を回復させた後に、複数基のスタンドからなる連続仕上圧延機で仕上圧延し、圧延鋼板をランアウトテーブルの冷却スタンドにおいて冷却し、コイラーで巻き取ることにより行われるのが一般的である。
また、仕上圧延の前に粗バー同士を接合して仕上圧延を行うエンドレス圧延(連続圧延)によっても熱延鋼板は製造されている。この場合は、粗圧延した粗バーをコイルボックスで巻き取り、コイルボックスから巻き戻された粗バーの先端と、先行する粗バーの後端とを溶接装置で接合し、連続的に仕上圧延を行っている。
これらの熱間圧延においては、粗圧延された粗バーの両端部、中央部或いは先端部の温度低下が避けられず、特に、粗バーの幅方向の温度分布が不均一のまま仕上圧延を行えば、仕上圧延中に熱延鋼板に耳波や中伸びが生じたり、幅方向の機械的性質が不均一の熱延鋼板となってしまう等の問題を生じる。
そこで、この問題解決のために熱間圧延ラインの仕上圧延機入り側にエッジヒータや誘導加熱装置を配設して、仕上圧延前の粗バーを加熱し、粗バーの幅方向温度分布を均一化することが種々提案されている。
例えば、粗圧延機と仕上圧延機との間に、粗バーをその幅方向全体に亙って加熱するためのソレノイド誘導加熱装置と、粗バーの両エッジ部を加熱するためのエッジヒータを設け、ソレノイド誘導加熱装置とエッジヒータとによって、仕上圧延機入り側における粗バーを幅方向に均一温度となるように加熱することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、搬送される被加熱材を誘導加熱して板幅方向に対する温度分布の不均一を補償するトランスバース式誘導加熱装置と、搬送される被加熱材を誘導加熱して長手方向に対する温度分布の不均一を補償するソレノイド式誘導加熱装置を熱間圧延ラインに配設することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
このように熱間圧延ラインに誘導加熱装置を配設して粗バーを加熱すると、誘導加熱により誘起された渦電流がテーブルロールと粗バーとを循環して流れる電流流路を形成し、粗バーがテーブルロールを離れるときに電流流路が遮断され、粗バーとテーブルロール間にスパークが発生する。そして、このスパークは、粗バー表面およびテーブルロール表面にスパーク疵を発生させ製品の品質価値を低下させるとともに、ロールの研磨作業が必要となり、熱間圧延作業を停止させることともなる。スパーク発生を防止するロールとして、金属製芯金に耐熱性電気絶縁層であるセラミック製スリーブを嵌合したロールであって、セラミック製スリーブが金属製芯金の胴長方向の両側にそれぞれ外嵌され、そのスリーブ外嵌部が、ロールの胴長方向中央部よりも大径としたことを特徴とする熱間圧延ライン向ロールが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
ところが、仕上圧延機入り側に誘導加熱装置を配置し、搬送ロールとしてセラミック等の電気絶縁層を有するロールを誘導加熱装置の直下およびその近傍に配置した熱間圧延ラインを用いて、粗圧延された粗バーを幅方向温度分布が均一化するように誘導加熱により加熱昇温し、仕上圧延機で仕上圧延を行う操業中に、電気絶縁層を有するロールが破損する場合が生じた。
本発明者は電気絶縁層を有するロールの破損の原因について究明したところ、破損の原因には次の3つの要因があることが分った。即ち、先ず第一に、熱延ラインを搬送される粗バーがロールに衝突し、衝突エネルギーは20tonにも達するので、その衝突時の衝突エネルギーに耐えられずにロールが破損するケース、第二に、ロールは金属製芯金に電気絶縁層を有するスリーブを嵌合して構成されていて、熱間圧延時には高温の粗バーの熱により約400℃にも昇温するので、金属製芯金とスリーブとはロール半径方向に熱膨張する。両者の熱膨張率には差があるため電気絶縁層を有するスリーブが破損するケース、そして、第三に、金属製芯金に嵌合している電気絶縁層を有するスリーブは、止め金具により芯金に固定されているが、止め金具は回り止め溶接により芯金と一体になっているので、ロール幅方向に熱膨張すると、芯金と止め金具とが同時に幅方向に移動する。その結果、止め金具の機能がなくなり、電気絶縁層を有するスリーブが回転し、振動してスリーブの破損に至るケースがある。
第一の粗バーの衝突によるスリーブの破損は、粗バーとロールとが衝突しないようにするためのロールの保護エプロンを改良することにより回避できるが、耐衝撃性に優れたロールとすることが重要である。また、第二及び第三のロールの熱膨張に起因するスリーブの破損はロール自体の構造に問題があり、熱膨張しても破損しないロールとすることが重要である。
そこで、本発明は、金属製芯金に電気絶縁層を有するスリーブを嵌合した熱間圧延ラインの搬送ロールにおいて、ロールの熱膨張に起因するスリーブの破損を防止でき、また耐衝撃性に優れたロールを提供することを解決課題とするものである。
本発明は、上記課題を解決すべくなしたもので、金属製芯金に電気絶縁層を有するスリーブを嵌合した熱間圧延ラインの搬送ロールにおいて、金属製のロール芯金とスリーブとの間隙を合計0.3〜0.8mm与えることでロールが半径方向に熱膨張してもスリーブが破損するのを防止できる。
しかし、この初期間隙は、ロールの幅方向の熱膨張が生じると、芯金の熱膨張率が電気絶縁層を有するスリーブの熱膨張率より大きいため、スリーブの止め金具は芯金の熱膨張に応じて移動し、止め金具としての機能を果たさなくなって、スリーブの回転を引き起こす。そこで、ばねでスリーブ両側を押圧(圧縮)するように支持することで芯金の幅方向の熱膨張があっても、スリーブの回転が防止できることを知見した。
また、ロールの衝突力緩和機能として、スリーブと芯金間に緩衝材を設置し、緩衝材厚みも考慮してロール芯金とスリーブとの間隙を与えることで、ロールの耐衝撃性能が向上することを知見した。
本発明は、上記知見に基づいて完成したもので、その発明の要旨は、次のとおりのものである。
(1) 金属製芯金の外側に電気絶縁層を有するスリーブを嵌合した熱間圧延ラインの搬送ロールにおいて、ロール端部に該ばねを設置し、該ばねと電気絶縁層を有するスリーブ間に金属製スリーブを介在させ、該ばねによって電気絶縁層を有するスリーブに圧縮荷重を与えるようにしたことを特徴とする熱間ラインの搬送ロール。
(2) ばねをロールに保持させるための止め金具をロール端部に設けたことを特徴とする上記(1)記載の熱間圧延ラインの搬送ロール。
(3) 前記ばねが皿ばねであることを特徴とする上記(1)または(2)記載の熱間圧延ラインの搬送ロール。
(4) 電気絶縁層を有するスリーブが複数の分割スリーブであって、該分割スリーブ間に金属製スリーブを配置したことを特徴とする上記(1)記載の熱間圧延ラインの搬送ロール。
(5) 電気絶縁層を有するスリーブと金属製芯金との間隙に緩衝材を充填したことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱間圧延ラインの搬送ロール。
(6) 緩衝材が金属繊維、炭素繊維、およびセラミック繊維の内から選ばれる繊維状材料であることを特徴とする上記(5)記載の熱間圧延ラインの搬送ロール。
本発明の搬送ロール(電気絶縁層を有するロール)によれば、熱間圧延ラインでの誘導加熱時に粗バーと搬送用ロール間のスパーク発生を防止できるとともに、搬送用ロールの幅方向及び半径方向の熱膨張が要因となる電気絶縁層を有するスリーブの破損を効果的に抑制でき、また金属製芯と電気絶縁層を有するスリーブとの間隙に緩衝材を充填することで、電気絶縁層を有するスリーブの耐衝撃性を向上させることが可能となり、寿命が長い搬送ロールとすることができた。
以下図を参酌して本発明を詳細に説明する。
図1は、熱間圧延ラインの概要を示す図である。
図1に示すように、熱間圧延ラインでの鋼材の熱間圧延方法においては、加熱炉で加熱された鋼片(スラブ)は、粗圧延機1で粗圧延して粗バー2となし、テーブルロール(搬送ロール)4で搬送しながらソレノイド型やトランスバース型誘導加熱装置3で温度低下部分を加熱昇温させて粗バーの幅方向温度分布の均一化を図った後、仕上げ圧延機5で仕上圧延を行うことで、熱延鋼板を製造している。また、粗バーを接合して連続的に圧延するエンドレス圧延(連続圧延)も行われている。
図2は、誘導加熱装置の配置の概要を示す図である。誘導加熱装置の配置は、図2に示すように、例えば複数台(図では3台)のU字鉄心6とコイル7を備えたトランスバース式誘導加熱装置3をテーブルロール4上に搬送される粗バー2の搬送方向に直列状に配置し、かつ、その配置は幅方向の温度分布が均一化できるように幅方向全体を覆うように各々の位置をずらして配置してある。各誘導加熱装置は矢印に示すように板幅方向に移動可能となっているので、粗バー板幅に応じて幅方向に移動させて板幅全体を覆うことができるように偏心して配置することができる。このように配置して昇温した結果、3台の誘導加熱装置での各の昇温量の合計により板幅方向の温度偏差を20℃以内にすることが可能である。誘導加熱装置により粗バーを加熱すると粗バーに渦電流が誘起される。
図3は、トランスバース式誘導加熱装置で粗バーを加熱した場合に誘起される渦電流を示す模式図である。図3に示すように、誘導加熱装置3により粗バー2を加熱すると、誘導加熱装置からの磁束8により粗バーに渦電流9が誘起される。この渦電流9はテーブルロール4に分流し、粗バー→テーブルロール→粗バーと電流流路が形成される。渦電流が大きいと、粗バーとテーブルロールとの接触、非接触の切り替わりタイミングで両者間にスパークが発生し、テーブルロール及び粗バー表面にスパーク疵を形成するという問題がある。
この問題を解決するために、熱間圧延ラインの誘導加熱装置の直下及びその近傍に配置する搬送ロール(テーブルロール)として、金属製芯金に耐熱性で電気絶縁層を有するスリーブ(例えばセラミック製スリーブ)を嵌合したロールを用いる場合がある。電気絶縁層を有するスリーブにより絶縁性が確保でき、ロールと粗バーとの間に電流循環路が形成されないので、粗バーとロール間に発生するスパークを抑止することができる。電気絶縁層を有するスリーブとしてセラミックを用いた場合には窒化珪素系セラミックが望ましいが、他の絶縁抵抗として1kΩ以上を有するアルミナ、マグネシア、ベリリア、ジルコニア等のセラミックも用いることができ、焼結してセラミック製スリーブとする。そして、金属製芯金としては、熱間圧延ラインで高温の粗バーと絶えず接触させる必要があることから、耐食性、耐熱性、耐摩擦性、強度等に優れた鋼材、例えばCr−Mo鋼やステンレス鋼を用いることが望ましい。
ところが、熱間圧延ラインに、誘導加熱装置の直下またはその近傍にテーブルロールとして電気絶縁層を有するスリーブを有するロールを配設して、搬送される粗バーを誘導加熱装置で加熱昇温させ熱間圧延を行うと、電気絶縁層を有するスリーブが破損することが発生した。スリーブが破損する原因について究明したところ、本発明者は、スリーブの破損の原因が、ロールに粗バーが衝突したときの衝突エネルギーによって破損すること、及びスリーブとロールが高温の粗バーの熱等によって半径方向及び幅方向に熱膨張することによって破損することを知見した。
まず、ロール幅方向の熱膨張について説明する。図4は、従来の電気絶縁層を有するロールとしてセラミック製スリーブを用いた場合の概要を示す図である。
ロールは、図4に示すように、金属製のロール芯金10に所定の幅のセラミック製スリーブ11(図では2個のスリーブを示している)を嵌合してある。スリーブとスリーブの間にはロールと一体に構成された中央セパレーター12が設けられている。スリーブは、回転または幅方向に移動しないように止め金具13をねじ込んでロール芯金に固定されている。
ロール芯金及びセラミック製スリーブは、高温の粗バーによって昇温し、熱膨張するので、ロール及びスリーブの温度について調査した。
図5は、ロールについての操業時間とロール芯金部及びセラミック製スリーブ部のそれぞれの平均温度の関係の一例を示す図である。
図5に示すように、操業開始から約60分でセラミック製スリーブ部及びロール芯金部の平均温度は、それぞれ約400℃及び300℃に上昇し、それ以降セラミック製スリーブ部は350〜450℃の間の温度範囲を、ロール芯金部は270〜320℃の間の温度範囲を変動する。
このようなロール各部の温度における熱膨張について検討する。
まず、セラミック製スリーブのセラミックとして、窒化珪素焼結体を用い、ロール芯金としてCr−Mo鋼を用いた場合についてロールの幅方向熱膨張量を検証する。
なお、窒化珪素焼結体は、窒化珪素粉末に結合剤を混入し圧紛形成して成形体となし、焼結してスリーブとしたものである。
窒化珪素焼結体の線膨張係数は約3×10-6/℃であり、膨張しにくい材料である。これに対して、ロール芯金は、Cr−Mo鋼を用いたが、Cr−Mo鋼の熱膨張係数は12×10−6/℃であり、窒化珪素焼結体よりも膨張が大きい材料である。
ロールの寸法は、図4に示すように、セラミック製スリーブの長さが各400mmで、2個の合計長さが800mmで、ロール芯金全長は2500mmであるが、セラミック製スリーブを嵌合する部分が止め金具を含めて850mmで、そしてセパレータ部の長さが50mmである。ロール各部の平均温度は、セラミック製スリーブが400℃、ロール芯金部が300℃、そしてセパレータ部が350℃である。これらの関係をまとめて表1に示す。
表1に示す条件で、各部のロール長さ方向の熱膨張量を計算により求めると、セラミック製スリーブ部膨張量は、2つ合計で0.96mm、セラミック製スリーブ部の両とめ金具位置でのロール芯金部膨張量は3.06mm、そして中央セパレータ部膨張量は0.21mmとなる。
したがって、セラミック製スリーブ部とロール芯金部との熱膨張の差は3.06−(0.96+0.21)=1.89mm(両側)となる。その結果、図6に示すように、止め金具13とスリーブ11との間に片側で0.95mmの隙間が発生することとなる。
このように止め金具とスリーブ間に必要以上に隙間が発生すると、止め金具による回転防止機能がなくなるので、スリーブが回転し、振動して破損してしまう。
次に、ロール半径方向の熱膨張量について説明する。
図7は、ロール半径方向のセラミック製スリーブとロール芯金の熱膨張量並びにロール芯金とセラミック製スリーブとの熱膨張量の差を時間に対して示した図である。
図7に示すように、ロール半径方向のロール芯金とセラミック製スリーブでは、ロール芯金の熱膨張量はセラミック製スリーブよりも大きいため、両者のロール半径方向の間隔は初期よりも約0.8mm狭まる。
そこで、ロール半径方向の両者の熱膨張量の差を考慮して、ロール芯金とスリーブとの間で予め初期間隙(GAP)を0.3〜0.55mm程度与えれておけば、温度上昇に伴ってスリーブがロール芯金を締め付けるようになる。即ち、図8に示すように、ロール芯金とセラミック製スリーブとのロール半径方向の熱膨張量の差をa(mm)(この場合約8mm)としたとき、初期間隙を0.3mmとした場合には約0.5mm、初期間隙を0.55mmとした場合には約0.2mm、それぞれスリーブ内径よりもロール芯金が大きくなるような現象が生じるため、適度にスリーブがロール芯金を締め付けられるようになる。
この際に初期間隙を0.3mmと0.55mmとした場合のスリーブに発生する引張応力は、図9に示すとおりであった。即ち、立ち上げからの圧延の場合は、30〜45分で引張応力が発生し、セラミック製スリーブの許容引張応力約600MPaの60%が発生する。また、圧延単位が連続する場合は常時引張応力が発生している。
つまり、立ち上げ直後30〜45分は、初期間隙が存在しているので、スリーブが回転しないように固定する必要があるが、ロール温度が上昇すれば、間隙が無くなり回転は防止できる。しかし、温度上昇に応じてスリーブに引張応力が発生し、セラミック製スリーブに搬送材である粗バーが衝突すると、その衝突エネルギーによりスリーブが破損しやすくなるという問題が生じる。
以上に述べたように、スリーブの破損を防止するためには、ロールの幅方向熱膨張による回転起因を抑制するとともに、半径方向熱膨張によって発生する熱膨張の影響を排除したロール構造とすることが重要である。
そこで、本発明では、ロールの温度が上昇して幅方向に膨張すると、スリーブの止め金具が機能しなくなって、スリーブが回転すること、及び立ち上げ直後30〜45分は初期間隙があってスリーブが回転することを防止するために、熱膨張の影響を受けないスリーブ回転防止機能をロールに設置することにした。
図10は、本発明の搬送ロール構造の例を示す図である。
本発明の搬送ロールは、金属製のロール芯金の外側に電気絶縁層を有するスリーブとしてセラミック製スリーブが嵌合されている。芯金の材料は、外側のスリーブに比較して熱膨張係数に差が小さく、耐食性、耐熱性、耐磨耗性に優れた高強度鋼材であれば使用可能である。例えば、Cr−Mo鋼やステンレス鋼(SUS)が好ましい。セラミック製スリーブの材料は、窒化珪素系、アルミナ系、ジルコニア系等のセラミックを用いることができるが、特に耐衝撃性に優れた窒化珪素系セラミックを用いることが好ましい。
電気絶縁層を有するスリーブは、熱間圧延ラインを搬送される粗バーを支持し、ロールの芯金等の金属部分に粗バーが接触することを防止し、スパークの発生を抑制できる幅でロール幅方向中央部に設置する。しかし、このようなスリーブは高価であるので、コストを抑えるため、スリーブ部分の長さは短くするほうがコスト面から良い。スリーブの厚みは、強度を確保するために10mm以上の厚いほうが好ましいが、コスト面からその上限は40mmとした。
また、電気絶縁層を有するスリーブがセラミック等の靱性が高い材料の場合には破壊されやすいので、破壊時の交換のし易さ、セラミックスリーブのコストを考慮すると、スリーブ部分を分割して複数(2以上)のスリーブを所定の間隔を設けて必要とされる箇所に配置することが好ましい。図10では、4本のスリーブを分割して配置したロール構造を示してある。
スリーブ間には、セパレーターとしてステンレス鋼(SUS)スリーブ14が芯金に嵌合されている。
また、ロールが高温になったときに芯金の熱膨張によってスリーブ内圧が上昇し、スリーブがその圧力に耐えられずに破損しないようにするため、金属製芯金とその外側に嵌合するスリーブ間には所定の初期間隙(GAP)、例えば、合計0.3〜0.8mmが設けられている。
スリーブの回転防止手段として、半径方向のロールの熱膨張によって機能しなくなる止め金具を用いることなく、本発明ではロール両端部にばね15、特に好ましいばねとして皿ばねを設け、皿ばねとセラミック製スリーブとの間に介在させたSUSスリーブ14を介して皿ばね15によりセラミック製スリーブ11に圧縮荷重を加える構造とした。皿ばねによる圧縮荷重によりセラミック製スリーブの回転は防止でき、かつ、幅方向の熱膨張量が吸収できた。皿ばね構造としては、リング状のばねを約10枚並べてロール端部から抜け落ちないように止め金具16で保持してある。止め金具16は金属製芯金にねじ止め等で固定できるものであれば良い。
ロール金属芯金長さ2300mm、セラミック製スリーブ長さ200mm×4=800mm、SUSスリーブ合計長さ1370mmとした場合の皿ばねの反発力を計算により求める。これらの計算条件は表2に示す通りとした。
セラミック膨張量は、3×10-6×400×800=0.96(mm)、
ロール金属芯金膨張量は、12×10-6×200×2300=5.52(mm)、
SUSスリーブ部膨張量は、17×10-6×350×1370=8.15(mm)、
となる。
ロール金属芯金膨張量は、12×10-6×200×2300=5.52(mm)、
SUSスリーブ部膨張量は、17×10-6×350×1370=8.15(mm)、
となる。
したがって、熱膨張量差は、片側で
5.52−(0.96+8.15)=−3.59(mm)
となり、これはセラミック圧縮荷重123.5kN、セラミック圧縮応力4.2MPa相当となる。
5.52−(0.96+8.15)=−3.59(mm)
となり、これはセラミック圧縮荷重123.5kN、セラミック圧縮応力4.2MPa相当となる。
このように皿ばねの低い圧縮荷重でセラミック製スリーブの回転が抑制できるのは、ロールの熱膨張量よりもセラミック製スリーブとSUSスリーブとの合計熱膨張量が大きいため、ロール幅方向に圧縮応力が発生しているからである。
なお、SUSスリーブ長さが大きくなるとSUSスリーブの膨張量が大きいため、幅方向圧縮力が大きくなるので、適正なスリーブ長さとばねによる締め付け力の選定が必要である。ばねとしては、皿ばねが最も好ましいが、締め付け力を与えるものであれば皿ばね以外でも用いることができる。
締め付け力としては、スリーブの回転を止める力が粗バーからの押圧力及びセラミック製スリーブと芯金との摩擦力を考慮すれば、24.5kN以上あればよいので、図11の締め付け量と荷重との関係に示すように0.1mm以上締め付ければ回転を止めることができる。しかし、締め付け量が過大になるとセラミック製スリーブが破損することとなるので好ましくない。
次に、本発明のセラミックロールの衝突力緩和機能について説明する。
熱延ラインを搬送される粗バーがセラミックロールに衝突することに起因するセラミックロールの破損は、セラミックロール前に保護エプロンを設けることによって低減できる。しかし、粗バーがセラミックロールに接触したときに、セラミックロールは点で衝撃を受けて破損する場合があるので、セラミックロールの耐衝撃性を向上させる必要がある。
図12は、セラミック製スリーブと金属製芯金との間に緩衝材を入れた本発明のセラミックロールの部分構造を示す図である。
図12に示すように、セラミックロールのセラミック製スリーブ11の衝撃力を緩和するために、本発明では金属製芯金10とセラミック製スリーブ11との間に緩衝材17を充填した構造にした。緩衝材はセラミック製スリーブが受ける衝撃を緩和する。また、立ち上げ直後30〜45分間にはスリーブと芯金との間に初期間隙が存在していて、スリーブの空転の要因となり、かつ、ロール上を搬送される粗バーの荷重によって、ロール上下の初期間隙に相違が生じ破損の要因となる。ところが、スリーブと芯金との間の初期間隙に緩衝材を充填することで、立ち上げ直後の初期間隙の存在によるスリーブの空転が抑制できると共に初期間隙の不均一が生じる弊害も抑制できる。
緩衝材としては、SUS(オーステナイト系ステンレス)等の金属繊維、炭素繊維、セラミック繊維等の1種または2種以上の緩衝効果のある繊維状材料を用いることができる。また緩衝材の厚みとしては0.5mm程度が良い。さらにロール芯金とスリーブとの間隙は緩衝材の厚みを考慮して設定することが望ましく、例えば緩衝材の厚みとしては0.8〜1.5mm程度が良い。
1 粗圧延機
2 粗バー
3 誘導加熱装置
4 テーブルロール(搬送ロール)
5 仕上圧延機
6 U字鉄芯
7 コイル
8 磁束
9 渦電流
10 金属製芯金(ロール芯金)
11 電気絶縁層を有するスリーブ
12 中央セパレータ
13 止め金具
14 ステンレス鋼スリーブ
15 ばね(皿ばね)
16 止め金具
17 緩衝材
2 粗バー
3 誘導加熱装置
4 テーブルロール(搬送ロール)
5 仕上圧延機
6 U字鉄芯
7 コイル
8 磁束
9 渦電流
10 金属製芯金(ロール芯金)
11 電気絶縁層を有するスリーブ
12 中央セパレータ
13 止め金具
14 ステンレス鋼スリーブ
15 ばね(皿ばね)
16 止め金具
17 緩衝材
Claims (6)
- 金属製芯金の外側に電気絶縁層を有するスリーブを嵌合した熱間圧延ラインの搬送ロールにおいて、ロール端部にばねを設置し、該ばねと電気絶縁層を有するスリーブ間に金属製スリーブを介在させ、該ばねによって該金属製スリーブを介して電気絶縁層を有するスリーブに圧縮荷重を与えるようにしたことを特徴とする熱間圧延ラインの搬送ロール。
- ばねをロールに保持させるための止め金具をロール端部に設けたことを特徴とする請求項1記載の熱間圧延ラインの搬送ロール。
- 前記ばねが皿ばねであることを特徴とする請求項1または2記載の熱間圧延ラインの搬送ロール。
- 電気絶縁層を有するスリーブがロール幅方向に複数分割したスリーブであって、該分割スリーブ間に金属製スリーブを配置したことを特徴とする請求項1記載の熱間圧延ラインの搬送ロール。
- 電気絶縁層を有するスリーブと金属製芯金との間隙に緩衝材を充填したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱間圧延ラインの搬送ロール。
- 緩衝材が金属繊維、炭素繊維、およびセラミック繊維の内から選ばれる繊維状材料であることを特徴とする請求項5記載の熱間圧延ラインの搬送ロール。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007275990A (ja) * | 2006-03-17 | 2007-10-25 | Hitachi Metals Ltd | セラミックス製ロール |
JP2008254042A (ja) * | 2007-04-06 | 2008-10-23 | Nippon Steel Corp | 圧延方法及び圧延設備 |
KR100951268B1 (ko) | 2007-05-02 | 2010-04-02 | 주식회사 포스코 | 금속 판재 이송롤 |
KR20210054252A (ko) * | 2019-11-05 | 2021-05-13 | 김태민 | 원단 접착용 열 프레스 장치 |
-
2004
- 2004-06-15 JP JP2004176770A patent/JP2006000867A/ja not_active Withdrawn
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