JP2005279685A - 熱間圧延ラインのエプロン - Google Patents

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智明 吉山
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Abstract

【課題】 熱間圧延ラインのローラ上流側に配置するエプロンとして、誘導加熱装置からの漏れ磁束により過加熱されて変形或いは溶損することが無く、かつ、ローラを破損させずに通板速度を維持できるエプロンを提供すること。
【解決手段】 エプロンがオーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性材料で構成され、エプロンの上部が櫛歯形状となっていて、前記櫛歯形状の櫛歯間に該櫛歯部分を冷却するための水冷スプレー装置を配設していることを特徴とする熱間圧延ラインのエプロン。
【選択図】 図7

Description

本発明は、仕上圧延機入り側に粗バーを加熱するための誘導加熱装置を配設し、テーブルローラとして表面をセラミック等の電気絶縁層を有するローラを配設した熱間圧延ラインに関し、特に、粗バーの異常通板を防止し、前記ローラの破損を防止できる熱間圧延ラインのエプロンに関するものである。
鋼板の熱間圧延方法は、加熱炉で所定の温度に加熱した鋼片(スラブ)を熱間圧延ラインの粗圧延機で所定の厚さに粗圧延して粗バーとなし、必要に応じて粗バーの先尾端をクロップシャーで切断し、圧延中に放冷によって温度低下した粗バーの幅方向エッジ部をエッジヒーターで加熱して温度低下を回復させた後に、複数基のスタンドからなる連続仕上圧延機で仕上圧延し、圧延鋼板をランアウトテーブルの冷却スタンドにおいて冷却し、コイラーで巻き取ることにより行われるのが一般的である。
また、仕上圧延の前に粗バー同士を接合して仕上圧延を行うエンドレス圧延(連続圧延)によっても熱延鋼板は製造されている。この場合は、粗圧延した粗バーをコイルボックスで巻き取り、コイルボックスから巻き戻された粗バーの先端と、先行する粗バーの後端とを溶接装置で接合し、連続的に仕上圧延を行っている。
これらの熱間圧延においては、粗圧延された粗バーの両端部、中央部或いは先端部の温度低下が避けられず、特に、粗バーの幅方向の温度分布が不均一のまま仕上圧延を行えば、仕上圧延中に熱延鋼板に耳波や中伸びが生じたり、幅方向の機械的性質が不均一の熱延鋼板となってしまう等の問題を生じる。
そこで、この問題解決のために熱間圧延ラインの仕上圧延機入り側にエッジヒータや誘導加熱装置を配設して、仕上圧延前の粗バーを加熱し、粗バーの幅方向温度分布を均一化することが種々提案されている。
例えば、粗圧延機と仕上圧延機との間に、粗バーをその幅方向全体に亙って加熱するためのソレノイド式誘導加熱装置と、粗バーの両エッジ部を加熱するためのエッジヒータを設け、ソレノイド式誘導加熱装置とエッジヒータとによって、仕上圧延機入り側における粗バーを幅方向に均一温度となるように加熱することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、搬送される被加熱材を誘導加熱して板幅方向に対する温度分布の不均一を補償するトランスバース式加熱装置と、搬送される被加熱材を誘導加熱して長手方向に対する温度分布の不均一を補償するソレノイド式誘導加熱装置を熱間圧延ラインに配設することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、連続熱間圧延ラインの仕上圧延機前に粗バー幅方向に移動可能な誘導加熱装置を配設すると共に、粗バーの異常通板を防止するためにテーブルローラ間に粗バー幅方向に移動可能なエプロンを設けることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
このように熱間圧延ラインに誘導加熱装置を配設して粗バーを加熱すると、誘導加熱により誘起された渦電流がテーブルローラと粗バーとを循環して流れる電流流路を形成し、粗バーがテーブルローラを離れるときに電流流路が遮断され、粗バーとテーブルローラ間にスパークが発生する。そして、このスパークは、粗バー表面およびテーブルローラ表面にスパーク疵を発生させ製品の品質価値を低下させるとともに、ローラの研磨作業が必要となり、熱間圧延ラインを停止させることともなる(例えば、特許文献4参照)。スパーク発生を防止するために金属製芯金に耐熱性電気絶縁層であるセラミック製スリーブを嵌合した熱間圧延ライン向ローラーであって、セラミック製スリーブが金属製芯金の胴長方向の両側にそれぞれ外嵌され、そのスリーブ外嵌部が、ローラーの胴長方向中央部よりも大径としたことを特徴とする熱間圧延ライン向ローラーが提案されている。
また、熱間圧延ラインのテーブルローラ間には、搬送される粗バー等の異常通板を防止する目的でエプロンが設けられている。搬送される粗バー等は、直線上のものばかりでなく、その先端が上反ったり、下反ったりする場合があり、例えば、先端が下反った粗バーを通板すると、粗バーの先端がテーブルローラに衝突したり、或いは最悪の場合テーブルローラの下に潜り込んで事故を引き起こす可能性がある。これを未然に防止するためにテーブルローラ間にエプロンを設けるのが一般的である(例えば、特許文献5参照)。
特開平3−314216号公報 特開2003−290812号公報 特開平4−190916号公報 特開2002−178020号公報 特開2002−1411号公報
ところが、仕上圧延機入り側に誘導加熱装置を配置し、搬送テーブルローラとして金属製芯金にセラミック等の電気絶縁層を有するローラを誘導加熱装置の直下およびその近傍に配置した熱間圧延ラインにおいて、粗圧延された粗バーを幅方向温度分布が均一化するように誘導加熱により加熱昇温し、仕上圧延機で仕上圧延を行う際に、前記ローラが破損する場合が生じた。
本発明者はローラ破損の原因について究明したところ、ローラ上流側に配置したローラ保護用のエプロンが、誘導加熱装置からの漏れ磁束により過加熱され、また粗バーからの輻射熱が加わって1500℃以上の温度にもなり変形或いは溶損してエプロンとしての機能を果たしていないことを見いだした。従来の熱間圧延ラインのエプロンでは、エプロンの変形または溶損によるローラの破損については何ら考慮が払われていなかった。
そこで、本発明では、熱間圧延ラインのローラ上流側に配置するエプロンとして、誘導加熱装置からの漏れ磁束により過加熱されて変形或いは溶損することが無く、かつ、ローラを破損させずに通板速度を維持できるエプロンを提供することを解決課題とするものである。
本発明は、上記課題を解決すべくなしたもので、ローラ上流側に配置するエプロンを、誘導加熱装置からの漏れ磁束の影響を受けにくい材質で構成すれば良いこと、また、一般に電流(交流)が導体を流れる場合、電流密度は導体の表面に近いほど大きくなる表皮効果と呼ばれる現象があるので、エプロンの形状を工夫することで、この現象を利用してエプロンに漏れ磁束に起因する渦電流が流れにくくできることを見いだして本発明を完成した。
本発明の要旨は、次の通りである。
(1) 熱間圧延ラインのテーブルローラ間に配設され、且つ誘導加熱装置に近接したエプロンにおいて、該エプロンが非磁性材料で構成されていることを特徴とする熱間圧延ラインのエプロン。
(2) 前記非磁性材料がオーステナイト系ステンレス鋼であることを特徴とする上記(1)記載の熱間圧延ラインのエプロン。
(3) 前記エプロンの上部が櫛歯形状となっていることを特徴とする上記(1)または(2)記載の熱間圧延ラインのエプロン。
(4) 前記櫛歯形状の櫛歯間に該櫛歯部分を冷却するための水冷スプレー装置を
配設したことを特徴とする上記(3)記載の熱間圧延ラインのエプロン。
(5) 前記櫛歯形状の櫛歯厚を櫛歯に使用する材料の浸透深さの2倍以下となるようにしたことを特徴とする上記(3)または(4)記載の熱間圧延ラインのエプロン。
(6) 前記櫛歯形状の櫛歯厚を70mm以下としたことを特徴とする上記(5)に記載の熱間圧延ラインのエプロン。
(7) 前記櫛歯形状の櫛歯高さを240mm以下としたことを特徴とする上記(3)乃至(6)のいずれかに記載の熱間圧延ラインのエプロン。
(8) 前記櫛歯形状の櫛歯間隔を100mm以上としたことを特徴とする上記(3)乃至(7)のいずれかに記載の熱間圧延ラインのエプロン。
本発明によれば、ローラ保護用のエプロンをローラ上流側に配置しているので、粗バーの搬送速度を低下させる事なく、粗バーの衝突に起因するローラ、特にセラミック等の電気絶縁層有するローラの破損を引き起こさずに熱間圧延を実施することができる。また、エプロンの材質を誘導加熱装置からの漏れ磁束の影響を受けにくい非磁性材料としたので、漏れ磁束によって過加熱を生じにくい。また、エプロンの先端部を櫛歯形状としたので、渦電流に起因するエプロンの過昇温を防止できる。さらに、エプロンの先端部の櫛歯を冷却できる構成としたので、エプロンの過昇温を効果的に防止することができる。
以下図を参酌して本発明を詳細に説明する。
図1は、熱間圧延ラインの概要を示す図である。
図1に示すように、熱間圧延ラインでの熱間圧延方法においては、加熱炉で加熱された鋼片(スラブ)は、粗圧延機1で粗圧延して粗バー2となし、テーブルローラ4で搬送しながら誘導加熱装置3で温度低下部分を加熱昇温させて粗バーの幅方向温度分布の均一化を図った後、仕上げ圧延機5で仕上圧延を行うことで、熱延鋼板を製造している。また、粗バーを接合して連続的に圧延するエンドレス圧延(連続圧延)も行われている。
図2は、誘導加熱装置の配置の概要を示す図である。誘導加熱装置の配置は、図2に示すように、複数台(図では3台)のU字鉄心6とコイル7を備えたトランスバース式誘導加熱装置3をテーブルローラ4上を搬送される粗バー2の搬送方向に直列状に配置し、かつ、その配置は幅方向の温度分布が均一化できるように幅方向全体を覆うように各々の位置をずらして配置してある。各誘導加熱装置は矢印に示すように板幅方向に移動可能となっているので、粗バー板幅に応じて幅方向に移動させて板幅全体を覆うことができるように偏心して配置することができる。このように配置して昇温した結果、3台の誘導加熱装置での各の昇温量の合計により板幅方向の温度偏差を20℃以内にすることが可能である。誘導加熱装置により粗バーを加熱すると粗バーに渦電流が誘起される。
図3は、トランスバース式誘導加熱装置で粗バーを加熱した場合に誘起される渦電流を示す模式図である。図3に示すように、誘導加熱装置3により粗バー2を加熱すると、誘導加熱装置からの磁束8により粗バーに渦電流9が誘起される。この渦電流9はテーブルローラ4に分流し、粗バー→テーブルローラ→粗バーと電流流路が形成される。渦電流が大きいと、粗バーとテーブルローラとの接触、非接触の切り替わりタイミングで両者間にスパークが発生し、テーブルローラ及び粗バー表面にスパーク疵を形成するという問題がある。
この問題を解決するために、本出願人は誘導加熱装置の直下およびその近傍に配置するテーブルローラとして電気絶縁性ローラを用いることを先に提案した。即ち、テーブルローラの全てを電気絶縁性ローラとすれば良いが、電気絶縁性ローラは高価であるのでスパークが発生する誘導加熱装置の直下またはその近傍にのみ電気絶縁性ローラ配置することが好ましい。そして、電気絶縁性ローラとしては、耐熱性のある電気絶縁材であるセラミック層をローラ表面に形成したセラミックローラであれば好適に使用することができる。例えば、図4に示すように、金属製芯金10に耐熱性で電気絶縁性のセラミック製スリーブ11を嵌合したテーブルローラ4が好適であるが、スリーブではなく金属製ローラ表面に前記セラミックを溶射しても構わない。セラミックとしては、窒化珪素系セラミックやアルミナ系セラミック等を用いることができる。
ところが、熱間圧延ラインに、誘導加熱装置の直下またはその近傍にテーブルローラとしてセラミック製スリーブを有するローラを配設して、搬送される粗バーを誘導加熱装置で加熱昇温させ熱間圧延を行うと、ローラ(特に表面のセラミック)が破損することが発生した。ローラが破損する原因について究明したところ、テーブルローラの上流側に配設している特に、誘導加熱装置に近接したエプロンに問題があることを見いだした。
図4のテーブルローラとエプロンとの位置関係に示すように、通常、エプロン12は、粗バー2がテーブルローラ4に衝突しないように配置されているが、テーブルローラが変形や溶損してテーブルローラ4に粗バー2が衝突し、その際の衝突エネルギーによってローラが破損することに原因があることが分った。粗バーの衝突エネルギーは、粗バー搬送速度が2倍になると衝撃エネルギーは4倍に増加して、衝突時の破損の恐れが増大する。搬送速度を低下させて操業すれば衝突時の衝撃エネルギーは低くなるので破損の可能性は低くなるが、生産性を低下させることとなり好ましくない。エプロンが変形または溶損するのはエプロンが鋼で造られているのが通常で、誘導加熱時に、鋼製エプロンは誘導加熱装置からの漏れ磁束に起因する渦電流により発生したジュール熱で過加熱されて強度が低下して変形し、極端な場合、溶損してエプロンとしての機能を果たさなくなるものと考えられる。
そこで、本発明ではエプロンの材質を漏れ磁束の影響を受けない非磁性材料とすることで、エプロンが過加熱されることを防止するようにした。非磁性材料としては、オーステナイト系ステンレス鋼を用いることができる。オーステナイト系ステンレス鋼は、比透磁率が小さく、磁束を発生する割合が小さいため過加熱を生じにくく、かつ、強度も高いからである。特に、オーステナイト系ステンレス鋼の中でも非磁性で引張り強度が大きいSUS310やSUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼が望ましい。
また、エプロン先端部の形状を櫛歯状とすることで、誘導加熱時の漏れ磁束に起因する渦電流の発生を低減し、エプロンの過加熱を防止することができた。
一般に導体に電流が流れる場合、電流密度は導体の表面に近いほど大きくなる表皮効果と呼ばれる現象がある。そして、導体表皮を電流が流れる深さを浸透深さと呼んでおり、浸透深さδ(mm)は、下記(1)式で表すことができる。
Figure 2005279685
・・・(1)
ここで、ρw:固有抵抗(μΩ−cm)、μ:比透磁率(−)、f:周波数(Hz)を意味する。
なお、固有抵抗ρwと比透磁率μは使用する材料固有の値であり、一方fは誘導加熱の磁束密度の周波数である。この現象を利用することで、エプロンに流れる電流を小さくすることができた。即ち、図5に示すように、エプロン先端部にスリットを形成して櫛歯16にした場合、櫛歯16を流れる電流は浸透深さ15部分では電流の流れ13があるが、櫛歯の厚さを薄くし、櫛歯に使用する材料の浸透深さの2倍以下にすると図6のように中央部分ではお互いに電流の流れの打ち消し合い14の現象が生じ、電流が流れにくくなる。その結果、櫛歯に発生する渦電流を極めて小さな値とすることができ、エプロンの過加熱が防止される。
例えば、非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼と強磁性のフェライト系ステンレス鋼とでは浸透深さが大きく異なり、磁束の周波数がf=150Hzの時、オーステナイト系ステンレス鋼ではρw=33.3(μΩ−cm)、μ=35であり上記(1)式より浸透深さδは約40mmとなり、一方フェライト系ステンレス鋼ではρw=80(μΩ−cm)、μ=1であり上記(1)式より浸透深さδは約4mmである。したがって、材質がオーステナイト系ステンレス鋼のエプロンの場合、電流を打ち消す効果を期待するためには、櫛歯厚を浸透深さの2倍以下、即ち80mm以下、好ましくは70mm以下にすれば良く、材質がフェライト系ステンレス鋼のエプロンの場合には櫛歯厚を8mm以下にすれば良いこととなる。しかし、フェライト系ステンレス鋼のエプロンでは櫛歯厚が薄いため、十分な強度を確保することができず、粗バーがエプロンに衝突した場合に櫛歯が変形し、テーブルローラの保護機能を果たすことができなく恐れがあるが、一方、オーステナイト系ステンレス鋼のエプロンは櫛歯厚を厚くすることができ、十分な強度を有する櫛歯とすることが可能であるから、エプロンの材質としてはオーステナイト系ステンレス鋼を好適に用いることができる。
図7は、先端部に櫛歯を有するエプロンの概要を示す図である。
エプロン12は、図6に示すように、内部に水冷管17を有するボックスの上に幅方向に所定の間隔(スリット)を有して整列された櫛歯16を先端部に設けられている。櫛歯の本数は、テーブルローラの幅にもよるが、2〜10本とすることができる。エプロンの上部に発生する渦電流は、スリットが無いと大きな渦電流ループとなるが、スリットのある櫛歯とすることで大きな渦電流の発生が抑制され、発生するジュール熱も低いものとなるので、エプロンの過加熱が防止され変形や溶損することが無い。特に、非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼で櫛歯を構成すれば、渦電流の発生の原因となる漏れ磁束を通しにくくなるので、ジュール熱の発生をより低減することができる。
さらに、櫛歯には耐熱強度が要求されるので、オーステナイト系ステンレス鋼のSUS310の耐熱強度を実験により求めた。
図8は、SUS310(オーステナイト系ステンレス鋼)の温度(℃)と引張り強さ(MPa)との関係を示す図である。
図8に示すように、SUS310の引張り強度は、550℃を超えると急激に減少するので櫛歯としての強度を確保するためには、櫛歯温度を550℃以下、好ましくは350℃以下に制御することが望ましい。
櫛歯16の形状を、図9に示すように、櫛歯厚b、幅w、高さhとした場合に、櫛歯厚(mm)と櫛歯昇温量(℃)との関係は、図10に示すように、櫛歯厚が厚くなるに応じて昇温量が増大する。SUSの耐熱強度を確保するに必要な550℃以下の温度とするには、櫛歯厚bは浸透深さの2倍の80mm以下、好ましくは70mm以下、さらに好ましくは60mm以下とすれば良い。櫛歯厚の下限は特に限定するものではないが強度を確保するために、少なくとも10mmは必要である。なお、櫛歯厚は、実操業においては、誘導加熱装置の幅、ローラ間距離やローラ径によっても制約を受けるものである。また、櫛歯厚bが70mmの場合について検討すると、図11に示すように、櫛歯高さhが高くなるにつれて櫛歯の発生応力が増大して櫛歯の破損の恐れが増大する。発生応力を100MPa以下に抑制すれば櫛歯の破損を防止できるので、櫛歯高さhは240mm以下にすれば良い。
櫛歯温度の上昇は櫛歯強度の低下を招くので、本発明ではエプロン、特に櫛歯を冷却することによって櫛歯温度の上昇を抑制するようにした。櫛歯の冷却は、図6に示すように、内部に水冷管17を有する水冷ボックス18の上に櫛歯16を設置することによって行うことができが、さらに、櫛歯の温度上昇の抑制手段としては、櫛歯間に冷却スプレー装置を設けて櫛歯を外部冷却することが望ましい。
図12は、エプロンの櫛歯間に設けた冷却スプレーにより櫛歯を冷却する状態を示す図である。図12に示すように、櫛歯16と櫛歯16の間隔(スリット)部分に冷却ノズル19を設置し、ノズル18の側方から冷却水19を噴霧させることにより、櫛歯、特に櫛歯先端部分を効果的に冷却することができる。ノズル18の側方から水平方向に冷却水を噴霧させることで、冷却水の飛散を少なくすることができ、スケールの堆積も生じ難い。ノズルから噴霧された冷却水は、櫛歯全体を冷却し、櫛歯の温度を低下させる。冷却ノズルからの噴出圧力は2kg/cm以下とすることが望ましい。噴出圧力が2kg/cmを超えると、冷却水の飛散が大きくなり過ぎて、誘導加熱装置まで冷却水が飛散し誘導加熱装置の耐火物の寿命を低下させたり、鉄芯やコイルの漏電の原因となるので好ましくない。また水量も10L/minを越えると粗バーに水が飛散して、錆発生の原因となる恐れがあるため10L/min以下にすることが望ましい。
櫛歯間の間隔は、その距離が狭い方が櫛歯温度の昇温を抑制する効果があるので、冷却ノズルを設置する場合には、なるべく櫛歯間の間隔を狭くするように設計することが必要であり、例えば、冷却ノズルの大きさ等を考慮すると100mm以上とすることが望ましい。
以上に説明したように、本発明によれば、エプロンの材質、エプロンの形状及びエプロンの冷却手段等を適宜組み合わせることで、誘導加熱装置を備えた熱間圧延ラインに適したエプロンとすることができる。
熱間圧延ラインの概要を示す図である。 誘導加熱装置の配置の概要を示す図である。 トランスバース式誘導加熱装置で粗バーを加熱した場合に誘起される渦電流を示す模式図である。 熱間圧延ラインに配設されたローラとエプロンとを示す図である。 櫛歯に流れる電流の表皮効果を説明するための図である。 櫛歯に流れる電流の表皮効果を説明するための図である。 エプロンの構造を示す図である。 オーステナイト系ステンレス鋼(SUS310)の温度と引張り強度との関係を示す図である。 櫛歯形状を示す図である。 櫛歯厚(mm)と櫛歯昇温量(℃)との関係を示す図である。 櫛歯高さ(mm)と発生応力(MPa)との関係を示す図である。 エプロンの櫛歯間に設けた冷却スプレーにより櫛歯を冷却する状態を示す図である。
符号の説明
1 粗圧延機
2 粗バー
3 誘導加熱装置
4 テーブルローラ
5 仕上圧延機
6 U型鉄心
7 コイル
8 磁束
9 渦電流
10 金属製芯金
11 セラミック製スリーブ
12 エプロン
13 電流の流れ
14 電流の流れの打ち消し合い
15 浸透深さ
16 櫛歯
17 水冷管
18 ノズル
19 冷却水

Claims (8)

  1. 誘導加熱装置が配設された熱間圧延ラインのテーブルローラ間に配設され、且つ誘導加熱装置に近接したエプロンにおいて、該エプロンが非磁性材料で構成されていることを特徴とする熱間圧延ラインのエプロン。
  2. 前記非磁性材料がオーステナイト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1記載の熱間圧延ラインのエプロン。
  3. 前記エプロンの上部が櫛歯形状となっていることを特徴とする請求項1または2記載の熱間圧延ラインのエプロン。
  4. 前記櫛歯形状の櫛歯間に該櫛歯部分を冷却するための水冷スプレー装置を配設したこと
    を特徴とする請求項3記載の熱間圧延ラインのエプロン。
  5. 前記櫛歯形状の櫛歯厚を櫛歯に使用する材料の浸透深さの2倍以下となるようにしたことを特徴とする請求項3乃至4のいずれかに記載の熱間圧延ラインのエプロン。
  6. 前記櫛歯形状の櫛歯厚を70mm以下としたことを特徴とする請求項5に記載の熱間圧延ラインのエプロン。
  7. 前記櫛歯形状の櫛歯高さを240mm以下としたことを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の熱間圧延ラインのエプロン。
  8. 前記櫛歯形状の櫛歯間隔を100mm以上としたことを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の熱間圧延ラインのエプロン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108296291A (zh) * 2017-08-21 2018-07-20 广东省材料与加工研究所 一种医用镁合金薄壁精细管电致塑性加工方法

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