以下、本発明に係る遊技機の好適な一実施形態としてスロットマシンを例に図面を参照して説明する。なお、図1は、スロットマシン1の外観構造を表した斜視図、図2は、前扉3を開放した状態におけるスロットマシン1の内部構造を表した図である。
図1において、スロットマシン1は、略矩形状の箱体である筐体2と、当該筐体2と蝶番機構により開閉可能に取り付けられた前扉3とを備えている。
前扉3の前面側は、上部パネル部4と下部パネル部5に略区分けされ、これらは視覚効果を高めてデザインされたいわゆる化粧板として、硬質プラスチックにより一体的に形成されている。更に、下部パネル部5の下方には、入賞時に払い出されるメダル(遊技媒体)を貯留する受皿部6aが一体的に形成された受皿ユニット6が設けられている。
また、上部パネル部4と下部パネル部5との間に、遊技者側に突出し、ゲーム操作を行うためのスイッチ類が配置されている操作卓7が一体的に形成されている。なお、上部パネル部4、操作卓7、下部パネル部5、及び受皿ユニット6は、遊技者側に面し、これらによって「前面パネル部」が構成される。
上部パネル部4の中央には、硬質プラスチック板等で形成されたパネル面41が設けられている。パネル面41のほぼ中央には略長方形の透明な表示窓42が形成され、表示窓42を通して筐体2内に設けられているリールユニット100の3個のリール101a、101b、101cが目視される。
ここで、筐体2内に設置されているリールユニット100は、円筒形状のリール101a、101b、101cがそれぞれ回転軸方向に並べられ、各リール101a、101b、101cの外周面にはその周方向に沿って複数種類の図柄が描かれている。遊技者は、表示窓42を通して3列のリールに描かれたそれぞれ上下方向3個の図柄を目視できるようになっている。
また、パネル面41には、裏面側に設けられている図示しないランプを点灯させることで例えば入賞役への内部当選など遊技状態に関する情報を演出表示する遊技状態表示部43と、複数の発光ダイオードを点灯させてドット画像を演出表示するドットマトリクス表示部44、スロットマシン1にクレジット(貯留)されているメダル数や、入賞によって獲得したメダル数、又は入賞役への当選回数等の情報を数値表示する数値情報表示部45が、それぞれ表示窓42の周辺に設けられている。
上部パネル部4の上部には、高輝度発光ダイオード等のランプ類を内蔵する演出用照明部46と、ゲームに係る効果音を発生させるスピーカを内蔵する演出用放音部47a、47bがそれぞれ配置されている。
また、演出用放音部47a、47bの間には、透明な硬質プラスチック板等が嵌め込まれて形成された表示窓に面して液晶表示ユニット48が配置されている。なお、液晶表示ユニット48は、ゲームの演出に係る映像を主に表示する。
上部パネル部4の側部には、蛍光灯や高輝度発光ダイオードで形成された演出用照明部49a、49bが設けられている。ゲームの進行に応じて上述した複数の演出用照明部46、49a、49b等が点灯又は点滅することで、ゲームにおける視覚的な演出効果を高めるように形成されている。
操作卓7の上面右側には、メダルを投入するための投入口を有するメダル投入部71が設けられている。また、当該上面の左側には、押しボタンスイッチである3個のベットボタン72、73、74が設けられている。
ベットボタン72、73、74はスロットマシンの1ゲームに賭けるメダルの枚数を提示するためのボタンスイッチである。ゲームを開始する際に、ベットボタン72が押圧操作されることで、貯留されているメダルから1枚のメダルがゲームに対して賭けられる。同様に、ベットボタン73が押圧操作されることで2枚のメダルが賭けられ、ベットボタン74が押圧操作されることで3枚の当該ゲームにメダルが賭けられる。なお、ベットボタン74は、最大枚数のメダルを賭けることから、特に「マックスベットボタン」と呼ばれている。
操作卓7の前面左側には、リール101a、101b、101cの回転開始を指示するためのスタートレバー75が設けられている。スタートレバー75は、先端に球形の操作ノブを有する揺動可能な操作旱を備え、操作旱が傾倒操作されるとオン、操作旱から手が離されるとスプリングの付勢力によって自動的に元の位置に戻ってオフ状態となるスイッチユニットで形成されている。
また、操作卓7の中央には、各リール101a、101b、101cの回転停止をそれぞれ指示するためのストップボタン76a、76b、76cが各リールの配列に対応して並設されている。
操作卓7の前面右側には、前扉3を開錠するための鍵が挿入される鍵穴77が設けられている。スロットマシン1の管理者等が鍵穴77に所定の鍵を挿入して開錠操作すると、蝶番機構によって筐体2に取り付けられている前扉3を前方へ開くことができ、また前扉3を筐体2側に閉じると、自動的にこれらを施錠するようになっている。
下部パネル部5には、スロットマシン1のモデルタイプを遊技者へ認識させる等のため、登場キャラクターの絵などを表示するパネル51が設けられている。下部パネル部5の下側に配置された受皿ユニット6には、入賞時にメダルを排出するメダル払出口61と、払い出されたメダルを貯留する受皿部6aと、演出効果音を発生させるスピーカを内蔵する演出用放音部62がそれぞれ配置されている。
次に、図2を参照して、筐体2の内部構造と前扉3の裏面構造とを説明する。同図において、筐体2内の上部には、スロットマシン1の全体動作を集中制御するCPU(マイコン)を備え硬質プラスチックのケースに収納された主制御基板20が取り付けられている。
筐体2内の中央には、リール101a、101b、101cを備えるリールユニット100が設けられている。リールユニット100は、前扉3が筐体2側に閉じられると前扉3の表示窓42にリール101a、101b、101cが対向するように、所定フレームに位置決めされて取り付けられている。なお、各リール101a、101b、101cは、それぞれに内蔵されたステッピングモータによって回転駆動される。
また、リールユニット100の上部には、各リールを回転駆動する上記ステッピングモータへ4相の駆動パルス信号を送出する回胴装置基板が取り付けられており、主制御基板20が回胴装置基板に回胴駆動(励磁)パルスデータを送出することで、各リールの回転と制動及び停止の制御を行っている。
リールユニット100の下方には、ホッパ装置21と、ホッパ装置21から溢れたメダルを収容するための補助貯留部22と、主電源装置23が設けられている。主電源装置23の側面には、いわゆる配電盤に相当する電源装置基板24が設けられている。更に、筐体2の上部右側の内壁に、遊技場に設置されている「ホールコンピュータ」と呼ばれる管理用コンピュータと接続可能な外部集中端子基板25が取り付けられている。
次に、前扉3の裏面側上部には、演出用照明部46の光源である高輝度の発光ダイオード31が複数配列されると共に、上述の演出用放音部47a、47bに対向してスピーカ32a、32bが取り付けられている。また、図2には示していないが、スピーカ32a、32bの間に、液晶表示ユニット48が取り付けられている。更に、液晶表示ユニット48の裏面側に、電気回路基板で形成されたサブ制御基板30が取り付けられている。
なお、スロットマシン1全体の動作は、筐体2側に設けられている主制御基板20によって統括制御されており、サブ制御基板30は、液晶表示ユニット48による演出映像の表示制御、演出用照明部46、49a、49bを使った照明制御、及び演出用放音部47a、47b、62を使った演出効果音制御など、ゲームの演出に係る制御を主に行っている。
サブ制御基板30の下方には、リール101a、101b、101cを目視させるための透明な表示窓42が形成されたパネル板が配置され、表示窓42の下方には、前面側のスタートレバー75及びストップボタン76a、76b、76c等の操作スイッチ類の出力信号を主制御基板20へ転送する中継基板として機能する中央表示基板33が設けられている。
中央表示基板33の下方には、メダル選別装置34が取り付けられている。メダル選別装置34は、メダル投入部71に投入されたメダルの適否を判別し振り分ける装置である。また、メダル選別装置34はメダルセンサを内蔵しており、ゲームの待機状態等において正規のメダルが投入され、メダルセンサがこのメダルを検出することによって、メダル投入の受け付けを示す信号を主制御基板20へ送出する。
メダル選別装置34の下方には、メダル選別装置34によって振り分けられた正規のメダルを筐体2内に設けられているホッパ装置21へ案内するガイド部材35と、メダル選別装置34により排除されたメダル(又は異物)をメダル排出口61へ案内するガイド部材36が設けられている。また、前扉3の裏面側下部には、ホッパ装置21から排出されたメダルをメダル排出口61へ案内するガイド部材37が設けられている。更に、メダル排出口61に隣接して、上述した演出用放音部62に対向するスピーカ38が取り付けられている。
次に、リールユニット100の構造を図3を参照して説明する。なお、図3(a)は、リールユニット100に備えられたリール101aを分解して表した平面図、図3(a)は、リールユニット101aの側面図である。リールユニット100は、3個のリール101a、101b、101cがそれぞれ回転軸方向に並べられて組み立てられるが、ここでは、一のリール101aについてその構造を代表して説明する。
リール101aは、ステッピングモータaの回転軸が挿入される軸穴を有するボス部102と、ボス部102を中心に放射状に延在する複数本のアーム部103と、アーム部103の先端部分に接続されボス部102の中心から同心円状に形成された第1リング部104と、第1リング部104と同一径を有し、これと所定の間隔をおいて平行に位置する第2リング部105と、第1リング部104と第2リング部105を複数カ所で連結する棒状の連結部106から構成され、これらを骨組み体として比較的軽質のプラスチックによって一体的に形成されている。また、一つのアーム部103には、内側に向けて延びる舌片状の遮光片107が形成されている。なお、円筒状のリール101aの外周面には、後述する複数種類の図柄が印刷された長尺状のプラスチックシートであるリールテープ108が捲装されている。
ステッピングモータ110aの駆動軸にリール101aのボス部102が固着されることで、ステッピングモータ110aによるリール101aの回転駆動が可能となっている。なお、ステッピングモータ110aは、板状の基枠体111にボルト112で固定される。
基枠体111に取り付けられるバックランプユニット113には、上下方向に3個のバックランプ114、115、116が設けられている。バックランプユニット113はリール101aの内部に収容され、ランプ114、115、116がリールテープ108の裏面を照射することにより、リールテープ108に描かれた3個の図柄を明るく表示するようになっている。
また、バックランプユニット113を介して基準位置センサ120aが基枠体111に取り付けられており、リール101aが一回転する毎にリール101aのアーム部103に形成された遮光片107が基準位置センサ120aを遮光してオン動作させる。なお詳細は後述するが、本実施形態では、リールテープ108に21個の図柄が描かれ、リール101aが回転して先頭の図柄(図柄番号[0])が表示窓42の中央の有効ラインへさしかかると同時に、最後尾の図柄(後述する図柄番号[20])が当該有効ラインを超えた位置を基準位置として、基準位置センサ120aの出力信号が立ち上がるように形成されている。
かかる構成のリール101a、101b、101cが3個配列してリールユニット100が組み立てられている。
次に、図4のブロック図を参照して、スロットマシン1に設けられている制御システムについて説明する。
主制御基板20は、CPU201の他にROM、RAM等の半導体メモリからなる記憶部203が備えられ、ここに予め記憶されているスロットマシンゲーム用のシステムプログラム204に従ってCPU201が演算処理を実行することで、スロットマシン1全体の動作を統括制御している。主制御基板20には、ベットボタン72、73、74、スタートレバー75、ストップボタン76a、76b、76c等の操作スイッチ類、メダル選別装置34のメダルセンサ34a等の検出スイッチ類が配線ケーブルで接続され、これらのスイッチ類からの出力信号によりゲームに係る操作が検出される。
また、主制御基板20は、各リール101a、101b、101cに設けられる基準位置センサ120a、120b、120cの検出信号を入力し、各リールの基準となる回転位置を把握しながら、回胴装置基板130に所定の回胴駆動パルスデータを送出する。回胴装置基板130は、主制御基板20からの回胴駆動パルスデータに従って各ステッピングモータ110a、110b、110cを回転駆動することで、各リール101a、101b、101cの回転及び停止の動作を行っている。なお、主制御基板20による各リール101a、101b、101cの回転及び停止制御の詳細については後述する。
また、主制御基板20には、ホッパ装置21等のメダル払出装置、及びサブ制御基板30がそれぞれ配線ケーブルによって接続されている。入賞が確定した際、主制御基板20はホッパ装置21を制御することで、所定数のメダルを受皿部6aに払い出す。サブ制御基板30は、主制御基板20からの制御信号に基づいて液晶表示ユニット48、演出用照明部46、49a、49b、演出用放音部47a、47b、62を制御駆動することで、遊技者の視覚や聴覚に訴える演出をゲームの進行に応じて行っている。
なお、主制御基板20には、乱数抽選部202が設けられるとともに、記憶部203に、入賞抽選テーブル205が記憶されている。例えばCPU201は、スタートレバー75が操作された時点で乱数抽選部202を起動して乱数値を取得し、入賞抽選テーブル205を参照することで、得られた乱数値に割り当てられた入賞役またはハズレを抽選する。乱数値に対応する入賞役が存在すると、それを当該ゲームの入賞役として当選し、記憶部203の内部抽選フラグ206に記憶する。ここでは、かかる入賞役の抽選方法を「内部抽選」と呼んでいる。
また、後述する役物連続装置または役物連続増加装置等、通常よりも有利な条件で行えるゲームを遊技者に与える大当たりに係る入賞役に内部当選した場合には、当該ゲームにおいて大当たり入賞が確定しなくても(本発明に係る後述する自動停止によりリールが異常停止しても)、当該内部当選状態が次回のゲームに持ち越される。これに対し、大当たり以外の小役またはリプレイ等の入賞役に内部当選した場合には、当該内部当選の効果は当該ゲームに限られ、入賞が得られなければ当該内部当選状態は解消される。
記憶部203には、図柄配列データ207、リール停止位置検索テーブル208、リール停止位置選択テーブル209等の書き換え不可の参照データテーブルが記憶され、更にリール停止コマフラグ210、リール制御フラグ211等の書き換え可能なデータフラグ用のメモリ領域が確保されている。これら参照データテーブル及びデータフラグは、リール101a、101b、101cの回転及び停止制御の際に用いられ、詳細については後述する。
更に、主制御基板20には、後述する自動停止手段を起動するまでの時間を計測するタイマ212、及び各リール101a、101b、101cのステッピングモータ110a、110b、110cを制御するパルス信号(回胴駆動パルスデータ)の同期を取るためのタイマ割込生成部213が設けられている。
次に、図5のフローチャートに基づいて、スロットマシン1におけるゲーム動作の概要を説明する。
スロットマシン1は、先のゲームにおいて入賞しメダルの配当が完了した時、又は先のゲームにおいてハズレが確定すると待機状態となる。この待機状態においては、当該状態を遊技者に示唆するとともにゲーム操作を促す待機モードの演出が行われる(ステップS101)。遊技者がメダル投入部71にメダルを投入し何れかのベットボタン72、73、74を押圧操作することで、内部に貯留したメダル(クレジット)から当該ゲームに所定枚数のメダルが賭けられゲームが準備される(ステップS102:YES)。
ゲーム準備の状態でスタートレバー75が傾倒操作されゲームが開始されると(ステップS103:YES)、主制御基板20は、3個のリール101a、101b、101cを一斉に回転させ始める(ステップS104)とともに、上述した内部抽選を実行する(ステップS105)。内部抽選の結果は、内部抽選フラグ206に記憶される。
次に、遊技者により何れかのストップボタン76a、76b、76cが押圧操作(ストップ操作)されることで、主制御基板20がリール停止の操作を検出すると(ステップS106:YES)、押圧操作されたストップボタンに対応するリールを停止させる制御を行う(ステップS107)。そして、全てのリール101a、101b、101cが停止したことを検知すると(ステップS108:YES)、各リールが表示する図柄と上述の内部抽選フラグ206に対応する入賞役に係る図柄の組み合せとが一致しているかどうか判定する(ステップS109)。
ステップS109の入賞の判定においては、例えば、ベットボタン74が押圧操作されることで当該ゲームに3枚のメダルが賭けられた場合、図6に示されるように、表示窓42を通して目視される9個の図柄のうち、上中下段のラインL1、L2、L3に沿って横3列に並んだ3組の図柄と、右に下る斜めのラインL4と左に下る斜めのラインL5に沿って対角線上に3列並んだ2組の図柄を調べ、何れか1つの組の図柄が内部抽選フラグ206に対応する入賞役に係る図柄の組み合せとが一致しているかどうか判定する。また、ベットボタン73が押圧操作され2枚のメダルが賭けられた場合には、入賞役に係る図柄の組み合せが判定される有効ラインは上中下段のラインL1、L2、L3のみとなる。更に、ベットボタン72が押圧操作され1枚のメダルが当該ゲームに賭けられた場合には、中央(中段)のラインL1のみを有効ラインとして、入賞図柄の組み合せが判定される。
役への入賞が確定すると(ステップS109:YES)、当該役の種類に応じて予め決められた配当数のメダルを受皿部6aへ払い出す(ステップS110)。または配当数分のメダルを内部貯留しているクレジット数に加算してもよい。
なお、主制御基板20は、ステップS102においてスタートレバー75によるゲーム開始操作を検知するとタイマ212を起動し、タイマ212が例えば40秒の既定時間経過を示した時に何れかのリールが回転中である場合(ステップS111)に、当該リールを自動的に停止させる(ステップS112)。そして、少なくとも1つのリールが自動停止された場合、ホールの管理者等へこれを異常として報知する(ステップS113)。この異常報知の手段としては、主制御基板20がサブ制御基板30へ異常報知をする旨の指令信号を送出し、演出用照明部46、49a、49b、または演出用放音部47a、47b、62を駆動して周囲又はホールの管理者等へ異常を報知する。また、通信回線等の手段を用いてホールの管理室等に設置されるホールコンピュータへ当該異常を報知してもよい。
そして、入賞判定を行わずに当該ゲームを終了させる。すなわち、回転開始の操作から一定時間ストップボタン76a、76b、76cによる停止操作が行われず、リール101a、101b、101cの少なくとも何れかが自動停止した場合は、仮に入賞に係る図柄が有効ラインL1〜L5に揃って表示されたとしても、本スロットマシン1は異常としてこれを処理し、入賞判定は行わない。すなわち、本スロットマシン1においては、自動停止が起動された場合当該ゲームが無効となり、自動停止によっては入賞を得ることができなくなる。なお、リール101a、101b、101cを自動停止させた後、上述の異常報知をするとともに、当該スロットマシン1の動作を一時的に停止させてもよい。
次に、スロットマシン1における入賞形態の一例を図7及び図8を参照し説明する。図7は、各リール101a、101b、101cの外周に捲装されるリールテープ108に描かれた図柄及びその配列の具体的な例を表し、説明のため各図柄の名称及び符号等を付記している。また、図8には、スロットマシン1における入賞形態を、図7に表示した図柄の組み合せを用いて例示する。
図7において、各リール101a、101b、101cのリールテープには、7種類21個の図柄が適宜の順序で描かれ、それぞれの図柄に[0]から[20]の図柄番号が順次連続して割り当てられている。なお、本実施形態によるスロットマシン1においては、各リールは、表示窓42を通して表示される図柄が上から下へ移動する方向に回転するものとしている。このため、図7にあるように、図柄番号の順(昇順)に各図柄が変動表示されるようになっている。また、本実施形態では、400ステップ(最小可動単位が360度/400)のステッピングモータをリールの駆動原として使用するものとし、このため、各図柄の大きさに相当しリールの外周において占めるステップ数として、図柄番号0の図柄のみステップ数として[20]を、他の図柄番号1から20の図柄にはステップ数[19]を割り当てている。かかるステップ数の割り当ては、各リールにおいて共通している。
図7に示した図柄の配列及び名称を有するスロットマシン1の入賞形態について、その具体的な一例を図8に基づいて説明する。なお、図8(a)は、一般遊技における入賞形態を表している。一般遊技における入賞は、入賞時に所定枚数のメダルを払い出す小役と、役物連続装置(レギュラーボーナス:「RB」と記載)または役物連続増加装置(ビッグボーナス:「BB」と記載)等の大当たり装置を作動させる大当たり役に概ね分けられる。また、一般遊技中の再遊技役装置(リプレイ)は、先のゲームで投入したメダルの枚数を維持しつつ再ゲームの権利を遊技者に与える入賞役である。
図8(b)は、役物連続装置(RB)が作動した場合における入賞形態を表し、このRBが作動すると遊技者は高確率で高配当の遊技状態(特別遊技状態)を所定の回数又は所定入賞回数に達するまで行うことができる。
更に図8(c)は、役物連続増加装置(BB)が作動した場合における入賞形態を表しており、このBB中においては、上記特別遊技状態を更に所定の回数連続して遊技者に与えられる。
次に、上述の入賞形態を有するスロットマシン1において、主制御基板20が実行するリール101a、101b、101cの回転及び停止制御についての詳細を説明する。図9は、図4に示したスロットマシン1のハードウエア資源を用いて主制御基板20に備えられる、リール101a、101b、101cの回転及び停止制御に係る手段を表すブロック図である。
まず、主制御基板20には内部抽選手段250が備えられている。内部抽選手段250は、上述したように、スタートレバー75の操作を契機に乱数抽選部202を起動して乱数値を取得し、入賞抽選テーブル205を参照することで、得られた乱数値に割り当てられた入賞役またはハズレを抽選する。そして、内部抽選の結果を内部抽選フラグ206に記憶する。
リール定速駆動手段251は、スタートレバー75の操作を契機に全てのリール101a、101b、101cの回転を開始して、各リールを一定の速度で回転させる制御を行う。ここで、図10は、リール定速駆動手段251とその他のリールの回転制御に係る手段が共有するリール制御フラグ211の構成を表す図である。なお、リール制御フラグ211は、各リール101a、101b、101cについて、それぞれ別個に備えられている。
リール制御フラグ211は、更に、リール状態フラグRF1、センサ通過フラグRF2、図柄ステップフラグRF3、通過図柄番号フラグRF4、停止図柄番号フラグRF5、ステップカウンタフラグRF6を備え、それぞれに所定のバイト数が割り当てられている。
リール状態フラグRF1には、当該リールの状態が記憶され、例えば、リールが停止中の時は[0]、回転加速中では[1]、定速動作中は[2]等の値が設定される。センサ通過フラグRF2には、リールが定速動作中に基準位置を通過して基準位置センサが検出信号を送出した時、[FFh](h符号は16進数表示とする)が設定される。
図柄ステップフラグRF3には、表示窓42の中央のラインL1を通過中の図柄の位置を、各図柄に割り当てられた上述のステップ数で表して設定される。例えば、図7に示した図柄番号[1]の図柄がラインL1にさしかかると、その図柄に割り当てられたステップ数[19]が設定される。そしてリールが回転するに従いステッピングモータの単位ステップが過ぎる毎に図柄ステップフラグRF3も減少し、図柄の中心がラインL1上に来たときには、図柄ステップフラグRF3は、ほぼ[10]のステップ数を示すこととなる。
通過図柄番号フラグRF4には、現在ラインL1上を通過している図柄の図柄番号が設定される。停止図柄番号フラグRF5には、当該リールにおいて停止させるべき図柄の図柄番号が設定される。なお、停止図柄番号フラグRF5は、後述する入賞図柄または入賞を形成しない図柄(ハズレ図柄)の引き込み制御が行われる際に、所定の停止図柄選択手順に従って設定される。かかる引き込み制御等が行われない場合には、[FFh]がデフォルトとして設定されている。
ステップカウンタフラグRF6は、リールが定速動作中においては、主制御基板20がステッピングモータを単位ステップだけ動作させる毎にインクリメントされる。なお、主制御基板20は、タイマ割込生成部213からの割込(例えば1.87msec)毎にリール制御フラグ211を更新するとともに、リールを駆動するステッピングモータに対しては、当該割込信号すなわちリール制御フラグ211の更新に同期して単位ステップだけ回転動作を進めるパルス信号(励磁データ)を回胴装置基板130に送出している。
図11は、リールの定速動作中におけるリール制御フラグ211の推移例を表すタイムチャートである。同図によれば、リールが単位ステップだけ回転するに同期して、図柄ステップフラグRF3が減算(デクリメント)され、この値が[1]以下になると、次の図柄番号が通過図柄番号フラグRF4に設定される。また、定速動作中に基準位置センサがオン動作し出力信号の立ち上がりが検出された時、センサ通過フラグRF2に[FFh]が設定され、通過図柄番号フラグRF4が図柄番号[0]に設定され、図柄ステップフラグRF3が図柄番号[0]の図柄に割り当てられたステップ数である[20]に設定される。
かかるリール制御フラグ211を主制御基板20のリール定速駆動手段251が逐一更新することで、中央のラインL1上に表示する図柄の種類(図柄番号)及びリールの回転位置を正確に把握し、当該リールを定速で回転制御することが可能となっている。
次に、図9において示される、主制御基板20に備えられるストップ操作停止制御手段260を説明する。ストップ操作停止制御手段260は、ストップボタン76a、76b、76cが押圧操作に応じて対応するリールの回転を停止させる。なお、ストップ操作停止制御手段260のリール制動手段262は、ストップボタンによる停止操作が検出された時点でリール制御フラグ211の図柄ステップフラグRF3が[17]以上の値(ステップ数)を示していれば、当該図柄を中央のラインL1上に停止させることができるように設計されている。
ストップ操作停止制御手段260について、目押し制御と呼ばれる、停止操作直後にリールの回転を停止させる動作を説明する。図12は、かかるリール停止動作におけるリール制御フラグ211の推移例を表すタイムチャートである。図12によれば、通過図柄番号フラグRF4が示す図柄番号[9]がラインL1を通過中にストップボタンによる停止操作が検出され、この時図柄ステップフラグRF3が[19]を示しているので、ストップ操作停止制御手段260(リール停止位置選択手段261)は、リール制御フラグ211の次の更新において、当該図柄番号[9]を停止図柄番号フラグRF5に設定する。そして、ストップ操作停止制御手段260(リール制動手段262)は、ステップフラグRF3が[16]になった時点で、ステッピングモータへの4相の駆動パルス信号を全てオンさせる励磁データを回胴装置基板130に送出することでリールの制動を行う。これにより、図柄番号[9]の当該図柄がラインL1の中央に停止することとなる。
次に、図13は、ストップボタンによる停止操作がされた時点で図柄ステップフラグRF3が[17]よりも小さなの値を示す場合のリール停止動作における、リール制御フラグ211の推移例を表すタイムチャートである。図13によれば、通過図柄番号フラグRF4が示す図柄番号[9]がラインL1を通過中にストップボタンが操作され、この時図柄ステップフラグRF3が[16]を示しているので、リール停止位置選択手段261は、当該図柄の次の番号[10]を停止図柄番号フラグRF5に設定する。そして、リール制動手段262は、図柄番号[10]の図柄がラインL1に到達するまで当該リールの制動を行わないことで、図柄番号[9]の図柄を滑らせる。そして、図柄番号[10]の図柄がラインL1に到達し、ステップフラグRF3が[16]になった時点で、ステッピングモータへの制動を行う。これにより、図柄番号[10]の図柄がラインL1の中央に停止することとなる。
次に、特定の図柄をラインL1上に停止させる引き込み制御と呼ばれるリールの制動制御を説明する。図14は、引き込み制御におけるリール制御フラグ211の推移例を表すタイムチャートである。例えば、通過図柄番号フラグRF4が示す図柄番号[9]がラインL1を通過中にストップボタンが操作されると、リール位置選択手段261は、内部抽選フラグ206を調べ、仮に一の入賞役に当選しその入賞役に係る図柄がラインL1を通過中の図柄から所定の滑りコマ数(例えば5コマ)だけ先に配置された図柄の中にある場合、その図柄の図柄番号、例えば[13]を停止図柄番号フラグRF5に設定する。リール制動手段262は、入賞に係る図柄番号[13]の図柄がラインL1に到達するまで、リールの制動を行わず、その間の図柄を滑らせる。そして、図柄番号[13]の図柄がラインL1に到達し、ステップフラグRF3が[16]になった時点で、ステッピングモータへの制動を行う。これにより、入賞に係る図柄がラインL1の中央に停止することとなる。
かかるリール停止位置選択手段261が内部抽選フラグ206に基づいて停止すべき図柄を選択する動作を更に説明する。リール停止位置選択手段261は、各図柄がラインL1上に到達する毎に、図15に示されるようなリール停止コマフラグ210を設定更新している。ここで、リール停止コマフラグ210は、ラインL1上の図柄と滑り制御を行うコマ数の和、すなわち本実施形態では6コマ分(6ビット)のビット配列から形成されている。リール停止位置選択手段261は、現在ラインL1上の表示図柄を含め滑り制御可能なそれぞれの図柄について、停止させるべき図柄であれば停止ビット[1]を、停止させない図柄であれば蹴飛ばしビット[0]をそれぞれの図柄のビット目に設定する。そして、ストップボタンの操作時に、リール停止コマフラグ210を参照し、上記停止ビットが設定された図柄のうち、現在ラインL1上にある表示図柄から最も近い図柄の図柄番号を停止図柄番号フラグRF5に設定している。
図15に基づいて、例えばBBに内部当選中にリール停止位置選択手段261によって設定されるリール停止コマフラグ210の設定例を説明する。なお、この例は、「赤セブン」の図柄が何れかのラインL1〜L5上に停止するように引き込み制御される場合について示している。また、図15に示される例は、全てのリールが回転状態であって、第1投目のリール停止操作待ちの状態における、リール停止コマフラグ210の抜粋である。例えば、回転する中央のリール101bの図柄「リプレイ」SB10がラインL1上を通過している場合について説明すると、リール停止位置選択手段261は、当該状態から5コマ先までの図柄がラインL1上にあるケースをそれぞれ想定し、各ケースでBBに係る図柄「赤セブン」がラインL1、L2、L3の何れかに表示されるか、例えば図柄配列データ207を参照して調べる。そして、各ケースにおいて、上記各ライン上に当該図柄「赤セブン」がないときは、当該図柄の引き込み制御ができないので、リール停止コマフラグ210の全てのビットを停止ビット[1]に設定する。この場合、図柄「リプレイ」SB10がラインL1を通過中にストップボタン76bによる停止操作がされると、直近の図柄、すなわち当該「リプレイ」SB10または「ベル」SB9がラインL1上に停止することとなる。
また、例えば、中央のリール101bの図柄「ベル」SB9がラインL1上を通過している場合について説明すると、上述した例と同様にリール停止位置選択手段261は、当該状態から5コマ先までの図柄がラインL1上にあるケースをそれぞれ想定し、各ケースでBBに係る図柄「赤セブン」が何れかのラインL1、L2、L3上に表示されるかリール図柄配列から調べる。この例の場合、図柄「ベル」SB9から5コマ先の図柄「BAR」SB4がラインL1上に滑り制御されると、入賞に係る図柄「赤セブン」SB3がラインL2上に来るため、リール停止コマフラグ210の5コマ目のビットが停止ビット[1]に設定される。そして、リール停止コマフラグ210のその他のビットは蹴飛ばしビット[0]に設定される。この場合、図柄「ベル」SB9がラインL1を通過中にストップボタン76bによる停止操作がされると、5コマ分の図柄が滑り制御され、図柄「BAR」SB4がラインL1上に停止するとともに、入賞に係る「赤セブン」SB3がラインL2上に引き込み制御される。
次に、図9のブロック図に示した主制御基板20に備えられる自動停止手段270について説明する。なお、自動停止手段270は、上述したように、スタートレバー75が操作されてから、既定時間(例えば40秒)経過後、ストップボタンによる停止操作がされていない回転中のリールに対して施される。図16によれば、自動停止手段270は、左リール101a、中央リール101b、右リール101cの順で回転中のリールに対し自動停止処理を行う。
すなわち、自動停止手段270は、スタートレバー75が操作された時点から既定時間が経過したと判定し(ステップS201:YES)、左リール101aが回転中であれば(ステップS202:YES)、その時点で停止可能な図柄をラインL1上に表示するようリール101aを停止制御する(ステップS203)。
より具体的には、例えば、リール101aへの自動停止処理が起動された時点(この場合、回転開始操作から既定時間経過時)において、リール制御フラグ211の図柄ステップフラグRF3が[17]以上の値を示していれば、ラインL1を通過する図柄を、当該図柄の中心がラインL1上に来るように当該リール101aを停止させる。図柄の中心がラインL1上に来るように当該リール101aを停止させるには、前述したように、当該図柄に係る図柄ステップフラグRF3が[16]になったタイミングで、当該リール101aを駆動するステッピングモータ110aへの4相の駆動パルス信号を全てオン(電力供給状態)させることで、当該ステッピングモータ110aが制動される。かかるタイミングでリールを制動することで、当該図柄がラインL1上に停止するように設計されている。
自動停止処理が起動された時点で、リール制御フラグ211の図柄ステップフラグRF3が[17]よりも小さい値を示していれば、現在ラインL1上を通過している図柄の次の(図柄番号の)図柄について、同様に図柄ステップフラグRF3が[16]になったタイミングで、ステッピングモータ110aへの4相の駆動パルス信号を全てオンする。これにより、次にラインL1上を通過する図柄がラインL1上に停止して表示されることとなる。
左リール101aに対する自動停止処理が起動されてから例えば200msec程度待機して時間調整を行う(ステップS204)。
左リール101aが停止中だった場合(ステップS202:NO)、または左リール101aが自動停止され時間調整された後、中央リール101bが回転中か調べ、中央リール101bが回転中であれば(ステップS205:YES)、中央リール101bに対し上述した自動停止処理を起動する(ステップS206)。そして、当該起動から例えば200msec程度待機して時間調整を行う(ステップS207)。
中央リール101bが停止中だった場合(ステップS205:NO)、または中央リール101bが自動停止され時間調整された後、右リール101cが回転中か調べ、右リール101cが回転中であれば(ステップS208:YES)、右リール101cに対する自動停止処理が施される。
なお、図5のフローチャートに示したように、少なくとも何れかリールに対して自動停止が行われた場合には、図9において示される異常報知手段271が異常として報知するとともに、入賞判定を行わないとしている。また、自動停止が行われた際に主制御基板20に設けられている異常処理手段272が当該スロットマシン1の動作またはゲームを一時的に停止させてもよい。
かかる構成のスロットマシン1によれば、リールの回転開始操作から一定時間以上リールの停止操作がされず当該リールの自動停止処理がされた場合には、本スロットマシン1はこれを異常として報知するとともに、入賞判定を行わない。これにより、リールの自動停止を意図的に行うことで入賞の確率を高める等の問題は解消される。