JP2005539460A - 導波管フィルタ - Google Patents

Abstract

本発明は、組織化された金属層（ＴＭ）と、１つあるいは複数の金属ストリップ線路（ＭＬ１、ＭＬ２）と、が表面に被覆された基板（Ｓ）、および、構成部品（ＦＢ）によって形成された導波管フィルタに関する。導波管フィルタの１つの側壁は、基板（Ｓ）の組織化された金属層（ＴＭ）によって形成され、導波管フィルタの残る側壁は、構成部品（ＦＢ）によって形成されている。この導波管フィルタは、ストリップ線路（ＭＬ１、ＭＬ２）内を導かれる電磁波を導波管フィルタに導入する入力部とそこから導出する出力部とを有している。

Description

本発明は、特許請求の範囲の請求項１（の上位概念部分）に記載された導波管フィルタに関する。

導波管フィルタは、マイクロ波帯およびミリ波帯の通信技術で普及している構成素子である。この種のフィルタは、通常、比較的高い共振器品質と、通過帯域および阻止帯域に対する小さな電気的公差と、を有している。導波管フィルタは、大きな阻止減衰性と小さな通過減衰性において優れている。導波管フィルタは、特に、電気的公差精度と品質とについての要件が厳しいために平坦なフィルタが利用できない個所に採用されている。

独国特許出願公開第１９７５７８９２号明細書（ＤＥ１９７５７８９２Ａ１）において、高周波信号の周波数選択抑制の装置が知られている。当該装置は、第１基板表面と第２基板表面とを有する支持板を備え、その各基板表面は、それぞれ接続端子および導電板を備えている。支持板上に配置されたフードは、導電板と共にチャンバを形成し、そのチャンバは空洞共振器として作用する。その空洞共振器は、高域フィルタとして作用し、これによって、空洞共振器の幾何学的寸法で定められた限界周波数より大きな周波数帯域しか通過させない。

米国特許第６２３６２９１号明細書（ＵＳ６２３６２９１Ｂ１）により、別のフィルタが知られている。この場合、裏面全面が金属被覆された基板の表面側にケースが配置され、そのケースは基板の表面と共に空洞を形成している。その空洞の中に、誘電フィルタとして作用する誘電体板が配置されている。

本件出願の図１に、実行可能な別の装置が示されている。この図には、従来技術における平面回路への導波管フィルタの統合が示されている。この装置は、基板Ｓを有し、その表面に第１ストリップ線路ＭＬ１と第２ストリップ線路ＭＬ２、例えばマイクロストリップ線路、を有している。第１ストリップ線路ＭＬ１は、搬送電磁波を導波管フィルタＨＦに入力するために使われ、第２ストリップ線路ＭＬ２は、導波管フィルタＨＦから電磁波を出力するために使われる。信号をストリップ線路伝播モードからフィルタ内において伝播する導波管モードに転換するかその逆に転換するために、ストリップ線路に信号を入力するためおよびストリップ線路から信号を出力するため、フィルタの両側端に入力部ないし出力部（結合個所）が存在している。

これらの結合個所は、フィルタの両端において、ストリップ線路ＭＬ１、ＭＬ２、基板Ｓ、シールドキャップＳＣ、貫通接触部（ビア・ホール）ＶＨ、背面材料ＲＭおよび貫通部ＤＢ付き支持板ＴＰ、から形成されている。

各ストリップ線路ＭＬ１、ＭＬ２は、それぞれ、シールドキャップＳＣの下側で終わっている。シールドキャップＳＣは、電磁波の周囲への放射を阻止するために使われる。基板Ｓの裏面に背面金属層ＲＭが存在し、この背面金属層ＲＭはシールドキャップＳＣの範囲に貫通部ＤＢを有している。基板Ｓの裏面に金属支持板ＴＰが配置され、この支持板ＴＰは、シールドキャップＳＣの範囲に同様に貫通部ＤＢを有している。基板Ｓの背面金属層ＲＭおよび支持板ＴＰにおける両貫通部は、互いに一致して位置している。その支持板ＴＰに導波管フィルタＨＦがねじ結合され、その場合、導波管フィルタの開口が貫通部ＤＢにそれぞれ接続される。

電磁波は、第１ストリップ線路ＭＬ１から、基板Ｓおよび貫通部ＤＢを通って、導波管フィルタＨＦに到達する。そして電磁波は、導波管フィルタＨＦから貫通部ＤＢを通って第２ストリップ線路ＭＬ２に到達する。

旧来の導波管フィルタをストリップ線路周囲（例えばプリント回路あるいは導体カード）に統合する場合、それに伴って高い経費がかかるという欠点があり、その高い経費のために、その原理は広く普及されていない。その高い経費の原因は、多くの製造工程数、多くの構成要素数、および、基板の表裏への部品装着の必要性にある。

導波管への移行には、精密に製造され機械的に正確に位置決めされるシールドキャップＳＣが必要とされる。基板Ｓ上における金属層は、両側において、表裏における導体軌道形成物間に僅かなずれをもたして組織化されねばならない。支持板ＴＰにおける貫通部ＤＢは、追加的製造工程で形成されねばならない。基板Ｓは、伝導性を有し、支持板ＴＰと位置を正確に合わせて結合されなければならない。別個の部品として作られるシールドキャップは、伝導性を有し、基板Ｓ上に位置を正確に合わせて設けられなければならない。

導波管フィルタＨＦは、通常、別個に作られなければならない２つの部品（導波管フィルタの３つの側壁を有する導波管フィルタ下部および導波管フィルタの第４の側壁としてのカバー）から成り、これらの部品はまず接合されなければならない。接合済みフィルタは、続いて、支持板の裏面に位置を正確に合わせて固定されなければならない。

この導波管フィルタは、通常、複数の部品（シールドキャップ、支持板、導波管フィルタ）を有し、この実施の様式は大きな所要空間を必要とする、というほかの欠点もある。

本発明の課題は、単純で安価で且つ空間を節約して導体板に適合できる導波管フィルタを創造することにある。

この課題は、特許請求の範囲の請求項１の特徴部分を有する導波管フィルタによって解決される。本発明に基づく導波管フィルタの有利な実施の態様が、従属請求項の対象である。

本発明に基づいて、導波管フィルタは、組織化された金属層と、１つあるいは複数の金属ストリップ線路と、が表面に被覆された基板、および、構成部品によって形成され、前記構成部品は前記基板の表面上に設けられ、前記導波管フィルタの１つの側壁は前記基板の組織化された金属層によって形成され、前記導波管フィルタの残る側壁は前記構成部品によって形成され、前記導波管フィルタは前記ストリップ線路内を導かれる電磁波を当該導波管フィルタに導入する入力部とそこから導出する出力部とを有している。

本発明の利点は、本発明に基づく導波管フィルタが、本質的に、単純で安価に製造できる唯一の構成部品から成り、この構成部品が、相応して予め組織化された基板の表面に設けられている、ということにある。導波管フィルタは、構成部品自体あるいは基板自体では形成されず、その両部品の本発明に基づく相互配置によってはじめて形成される。

構成部品は、有利には、ＳＭＤ（surface mounted device）部品として形成される。通常、導体カード上で利用される多数の部品は、ＳＭＤ部品である。本発明に基づく導波管フィルタのＳＭＤ部品は、目的に適って製造過程を考慮して設計される。部品群の組立は、片側面からだけ実施され得る。これによって、製造費用および製造時間についての利点も生ずる。

フィルタ上部とも呼ばれる構成部品は、有利には、伝導性表面を有し、例えば金属あるいは金属化樹脂で作られ得る。後者の場合、製造費用および重量についての利点も生ずる。フィルタ上部は、基板に有利に伝導結合され、特にフィルタ上部は基板にはんだ付けあるいは伝導接着される。

本発明の有利な実施の形態において、フィルタ上部は、基板の表面（即ちフィルタ上部が固定される基板の側）に対向して位置する側壁に組織（構造）を有している。この組織は、導波管フィルタの所望のフィルタ特性に応じて与えられ得る。導波管フィルタの横断面は、有利には、フィルタリングされるべき高周波数信号に応じて決められる。

以下、図面に基づいて、本発明およびその有利な実施の形態について詳細に説明する。

図２には、内側面が組織化されたフィルタ上部が平面図で示されている。このフィルタ上部ＦＢは、その対向両側端にそれぞれ開口ＯＺを有している。これらの開口ＯＺを通して、マイクロストリップ線路（図４および図５参照）が導波管フィルタ内に導かれる。フィルタ上部ＦＢは本質的にＵ形に形成され（図３参照）、その内部に組織ＳＫを有している。その組織ＳＫは、有利には、導波管フィルタの所望のフィルタ特性に応じて決められる。

削り加工あるいは樹脂射出成形のような製造方法によって、機械的に非常に精密な組織ＳＫを生成することができ、これに応じて、導波管フィルタは入力結合部およびフィルタ機能に対して電気的にほんの僅かな公差しか存在しない。

さらに、フィルタ上部ＦＢは、有利には、環状リブＳＴを有している（図２および図３参照）。このリブＳＴは、導波管フィルタにおいて、基板（図示せず）の金属化表面に直に接している。このリブＳＴは、採用される接合法に目的に適って合わされている。フィルタ上部と基板とを結合する際に生ずる隙間に、伝導性はんだ材あるいは伝導性接着剤が分散して、そのようにして最良の結合が保証され得る。

リブＳＴは、例えば接合法が「はんだ付け」である場合、はんだ付け過程時に生ずるはんだ表面張力が、構成部品ＦＢがはんだ付け過程中に図４に示された組織化された金属層上に正確に位置決めされるために、活用されるように、目的に適って適合され得る。

図３には、図２におけるＡ−Ａ′線に沿ってフィルタ上部が縦断面図で示されている。この図には、内側面に組織ＳＫを備えた本質的にＵ形のフィルタ上部ＦＢが示されている。この組織ＳＫは、一例に過ぎない。用途に応じて組織を異なった形状にすることも勿論できる。

図４には、基板の金属化表面が平面図で示されている。その金属化表面の上に、本発明に基づく導波管フィルタを形成するために、フィルタ上部が載せられ得る。図中、ＭＬ１、ＭＬ２はストリップ線路であり、ＴＭは本発明に基づく配置において導波管フィルタの１つの壁を形成する金属層である。そのストリップ線路ＭＬ１、ＭＬ２は、例えばマイクロストリップ線路であり、電磁波を導波管フィルタに入力するためあるいはそこから出力するために使われる。

図５には、図２および図４におけるＢ−Ｂ′線に沿った横断面図として、導波管フィルタのための本発明に基づく配置が示されている。図２に示されたフィルタ上部ＦＢが図４に示された基板Ｓの金属表面ＴＭ上に正確に合わせて設けられることによって、導波管フィルタＨＦが形成されている。

基板Ｓの表面上に形成されたストリップ線路ＭＬ１、ＭＬ２は、外から導波管フィルタＨＦの内部領域に通じている。基板Ｓの表面上における金属層ＴＭは、本発明に基づく導波管フィルタＨＦの第４の壁を形成している。導波管フィルタＨＦの残りの側壁（図示せず）は、フィルタ上部ＦＢで形成されている。

従来技術における基板に設けられた導波管フィルタ。 内側表面が組織化されているフィルタ上部の平面図。 図２におけるＡ−Ａ′線に沿ったフィルタ上部の縦断面図。 基板の表面における金属層の平面図。 基板とフィルタ上部とを有する導波管フィルタの本発明に基づく配置の図２および図４におけるＢ−Ｂ′線に沿った横断面図。

Claims (10)

1. 組織化された金属層（ＴＭ）と、１つあるいは複数の金属ストリップ線路（ＭＬ１、ＭＬ２）と、が表面に被覆された基板（Ｓ）、および、構成部品（ＦＢ）によって形成された導波管フィルタであって、
   前記構成部品（ＦＢ）は、前記基板（Ｓ）の表面上に設けられ、
   前記導波管フィルタの１つの側壁が、前記基板（Ｓ）の組織化された金属層（ＴＭ）によって形成され、
   前記導波管フィルタの残る側壁が、前記構成部品（ＦＢ）によって形成され、
   前記導波管フィルタは、前記ストリップ線路（ＭＬ１、ＭＬ２）内を導かれる電磁波を当該導波管フィルタに導入する入力部と、そこから導出する出力部と、を有している
   ことを特徴とする導波管フィルタ。
2. 前記構成部品（ＦＢ）は、ＳＭＤ部品である
   ことを特徴とする請求項１に記載の導波管フィルタ。
3. 前記構成部品（ＦＢ）は、前記基板（Ｓ）の表面における組織化された金属層（ＴＭ）に接する環状リブ（ＳＴ）を有している
   ことを特徴とする請求項２に記載の導波管フィルタ。
4. 前記構成部品（ＦＢ）の横断面は、当該導波管フィルタ（ＨＦ）の所定のフィルタ特性に応じて決められている
   ことを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１つに記載の導波管フィルタ。
5. 前記構成部品（ＦＢ）の前記基板（Ｓ）の表面に対向して位置する側壁は、フィルタ特性に応じて与えられる組織（ＳＫ）を有している
   ことを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１つに記載の導波管フィルタ。
6. 前記基板（Ｓ）の表面に存在する少なくとも１つのストリップ線路（ＭＬ１、ＭＬ２）は、導波管フィルタの中に突出している
   ことを特徴とする請求項１乃至５のいずれか１つに記載の導波管フィルタ。
7. 前記基板（Ｓ）は、裏面に背面金属層（ＲＭ）を有している
   ことを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１つに記載の導波管フィルタ。
8. 前記構成部品（ＦＢ）および前記基板（Ｓ）は、伝導結合され、特にはんだ付けあるいは伝導接着されている
   ことを特徴とする請求項１乃至７のいずれか１つに記載の導波管フィルタ。
9. 前記構成部品（ＦＢ）は、伝導性表面を有している
   ことを特徴とする請求項１乃至８のいずれか１つに記載の導波管フィルタ。
10. 通信機および又はレーダーの送信／受信装置に利用される
    ことを特徴とする請求項１乃至９のいずれか１つに記載の導波管フィルタの利用。

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