JP2005536487A - ルテニウム抗癌性錯体 - Google Patents

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Abstract

式(I)のルテニウム(II)化合物は、癌の治療および/または予防において有用である。

Description

本発明は、ルテニウム(II)化合物、それらの医薬における使用、特に癌の治療および/または予防のための使用、ならびにそれらの製造方法に関する。
癌の治療において使用するための特定のルテニウム(II)錯体が提案されている。例えば、米国特許第4980473号には、被験体の腫瘍細胞の処置に有用だと言われている、ルテニウム(II)およびコバルト(III)の1,10-フェナントロリン錯体が開示されている。
抗腫瘍活性を示すことが判っている幾つかの他のルテニウム(II)およびルテニウム(III)錯体が、Guoら, Inorganica Chimica Acta, 273 (1998), 1-7に述べられており、具体的にはtrans-[RuCl2(DMSO)4]、trans-[RuCl4(イミダゾール)2]-およびtrans-[RuCl4(インダゾール)2]-が挙げられている。Clarkeらは、ルテニウム錯体の抗癌活性、特に抗転移活性について概説している:Chem. Rev., 1999, 99, 2511-2533。また、Savaは、“Metal Compounds in Cancer Therapy”, S P Fricker編, Chapman and Hall, London 1994, p. 65-91において、抗転移活性について概説している。
Daleら, Anti-Cancer Drug Design, (1992), 7、3-14には、ルテニウム(II)のメトロニダゾール錯体、すなわち[(η6-C6H6)RuCl2(メトロニダゾール)]、ならびにDNAおよび大腸菌の増殖速度に及ぼすその作用が記載されている。メトロニダゾールは、低酸素腫瘍細胞の照射に対する感度を高め、Daleらの錯体の重要な要素であると思われる。Daleらには、これらの錯体がメトロニダゾール配位子の不在下で実際に有効であるかについては全く示されていない。
Kramerら, Chem Eur J., 1996, 2, No. 12, p. 1518-1526には、ルテニウムとアミノエステルとのハーフサンドイッチ型錯体が開示されている。
Bennettら, Canadian Journal of Chemistry, (2001), 79, 655-669には、アセチルアセトナート配位子を有する特定のルテニウム(II)錯体が開示されている。
Oroら, J Chem Soc, Dalton Trans, (1990), 1463には、η6-p-シメンおよびアセチルアセトナート配位子を含むルテニウム(II)錯体が記載されている。
WO 01/30790には、ルテニウム(II)化合物、および抗癌剤としてのそれらの使用が開示されている。これらの化合物は中性のN-ドナー配位子を有しており、得られるルテニウム錯体は通常、正に荷電している。
また、WO 02/02572にも、癌細胞系に対して活性を有するルテニウム(II)化合物が開示されている。ここでもまた、これらの錯体は通常、正に荷電している。中性のジアミン配位子である二座配位子を含む錯体が開示されている。
Chenら, J. Am. Chem. Soc., 第124巻, No.12, 3064, (2002)には、ルテニウム錯体のグアニン塩基への結合機構が記載されている。この結合モデルでは、グアニン塩基へ水素結合するために、錯体中にジアミノ配位子由来のNH結合が存在することが必要である。同様に、Morrisら, J. Med. Chem., 第44巻, 3616-3621, (2001)には、グアニン塩基への結合についてのルテニウム(II)錯体の選択性が記載されている。
現在利用可能な化合物の代替物として使用できる新規な抗癌性化合物が必要とされている。
さらに、異なるDNA塩基に結合できる化合物が必要とされている。異なるDNA塩基への結合により、薬物耐性腫瘍細胞に対する活性が増大した化合物を提供できるようになる。
本発明は、抗腫瘍活性を有するルテニウム(II)錯体の新規な一クラスを提供する。
本発明によれば、式(I):
Figure 2005536487
[式中:
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、CO2R7、CONR8R9、COR10、SO3G、SO2N R11R12、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13、NR14R15、アリールまたはアラルキルを表し、但し、そのうちの最後の2つの基は、場合により、芳香族環上で、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、CO2R7a、CONR8aR9a、COR10a、SO3G'、SO2NR11aR12a、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13a、NR14aR15aから選択される1個以上の基で置換されており、あるいは、R1およびR2は、それらが結合している環と一緒になって、3個以下の3〜8員の炭素環または複素環を含む飽和または不飽和の炭素環基または複素環基を表し、そこにおいて、それぞれの炭素環または複素環は、1個以上の他の炭素環または複素環と縮合していてもよく、それらの環はそれぞれ、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、CO2R7b、CONR8bR9b、COR10b、SO3H、SO2NR11bR12b、アリールオキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13b、NR14bR15bまたは(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されていてもよく;
R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R7a、R8a、R9a、R10a、R11a、R12a、R13a、R14a、R15a、R7b、R8b、R9b、R10b、R11b、R12b、R13b、R14bおよびR15bは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリールまたはアラルキルから選択され;
Xは、中性または負に荷電しているO-、N-もしくはS-ドナー配位子またはハロであり;
GおよびG'は、独立して、アルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム)、アリール、アラルキルおよび(C1〜C6)アルキルから選択され;
Y-L-Y'は、負の電荷を有し、該電荷の一部をYおよびY'両者上に有する二座配位子であり、YおよびY'は、独立して、O、SまたはNR16から選択され、そこにおいて、R16は、H、(C1〜C6)アルキル、アリールまたはアラルキルであり、Lは、YとY'とを連結する基であり、かつ、(C1〜C6)アルキレン、(C1〜C6)アルケニレン、(C1〜C6)アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレン(これら後者の6種の基はそれぞれ、場合により置換されている)、フェロセニレン、Se、Se-Se、S-S、N=NおよびC=Oから選択される1個以上の基を含み;
mは、−1、0または+1であり、mが−1または+1である場合、本化合物は対イオンを含み;
式(I)の化合物は、場合によっては二量体の形態であり、そこにおいて、2個のL基は、直接または1個以上の(C1〜C6)アルキレン、(C1〜C6)アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレン、Se、Se-Se、S-S、N=NおよびC=Oを含む基を介して連結されているか、あるいは、Lは、2個のY基および2個のY'基を有しており;
但し:
Y-L-Y'が(CH3C(O)CHC(O)CH3)-である場合、XはハロまたはN-ドナー配位子であり、R1、R2、R3、R4、R5およびR6が、それらが結合している環と一緒になって、4-イソプロピル-1-メチルベンゼンを表すことはなく;
Y-L-Y'が(CH3C(O)CHC(O)CH3)-であり、かつXがクロロ、(CH3)2SO、CH3CN、ピリジンまたは(CH3C(O)CHC(O)CH3)-である場合:R1、R2、R3、R4、R5およびR6は全部Hまたは全部メチルであることはなく;R2、R4およびR6が全部メチルである場合、R1、R3およびR5は全部Hであることはなく;R1、R3およびR5が全部メチルである場合、R2、R4およびR6は全部Hであることはなく;
Y-L-Y'が(CF3C(O)CHC(O)CF3)-であり、かつXがクロロである場合、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は全部Hまたは全部メチルであることはなく;R2、R4およびR6が全部メチルである場合、R1、R3およびR5は全部Hであることはなく;R1、R3およびR5が全部メチルである場合、R2、R4およびR6は全部Hであることはない]
のルテニウム(II)化合物が提供される。
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩、溶媒和物および/またはプロドラッグの形態とすることができる。プロドラッグとは、in vivoで式(I)の化合物へと変換され得る、本発明の化合物の改変形態である。
式(I)の化合物は、1つ以上のキラル中心を有することができる。式(I)の化合物が1つ以上のキラル中心を有している場合、それらは1種のエナンチオマーの形態であってもよいし、1種のエナンチオマーに富むものであってもよいし、あるいは、ラセミ混合物であってもよい。
本明細書中で用いられる「アルキル」という用語には、C1〜C6アルキル基が含まれ、それらは分枝状であっても非分枝状であってもよく、開鎖状であってもよく、あるいは、それらがC3〜C6の基である場合は環状であってもよい。非分枝状で開鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシルが挙げられる。分枝状で開鎖状のアルキルとしては、例えば、2-プロピル、2-ブチルおよび2-(2-メチル)プロピルが挙げられる。環状の基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。本発明の化合物中のアルキル基は、場合により置換されていてもよい。置換基としては、1つ以上のさらなる非置換アルキル基および/または1つ以上のさらなる置換基が挙げられ、例えば、シアノ、ニトロ、-CO2(C1〜C6)アルキル、ハロ、チオール(SH)、チオエーテル(例えばS-(C1〜C6)アルキル)およびスルホネートである。「アルコキシ」という用語は、-O-アルキルを意味する。「アルキルチオ」という用語は、-S-アルキルを意味する。
「ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル」および「アミノ(C1〜C6)アルキル」という用語は、それぞれ、1個以上のヒドロキシル(OH)基またはアミノ(NH2)基で置換されている、上記で定義したようなアルキル基をいう。
「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、「アルキル」という用語と同様に定義されるが、2〜6個の炭素原子を含み、かつ、それぞれ1個以上の炭素-炭素二重結合または1個以上の炭素-炭素三重結合を含む基をいう。アルケニル基およびアルキニル基は、場合により、アルキル基と同様に置換されていてもよい。アルケニル基の例としては、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、1,4-ブタジエニル、シクロヘキセニルおよびシクロヘキサジエニルが挙げられる。
「アルキレン」という用語は、「アルキル」という用語の定義と同様にして定義されるが、C2〜C6の基を含み、鎖中で連結されている2個以上(例えば2〜6個)の炭素原子により分離されている基を有する二価の種を表す。好ましくは、アルキレン基は、直鎖状の基である。アルキレン基は、場合により、アルキレン鎖中で、好ましくは1個以上のフェニレン(例えば1-4-フェニレン)および/または-CONR1x-基および/または-NR2x-基[式中、R1xおよびR2xは独立して、H、アルキル、アリールまたはアラルキルを表す]で置換されている。好ましくは、R1xおよびR2xは、HまたはC1〜C3アルキルである。「アルケニレン」および「アルキニレン」という用語は、同様に定義され、それぞれ1個以上の炭素-炭素二重結合または1個以上の炭素-炭素三重結合を含む二価の基をいう。
本明細書中で用いられる「アリール」という用語は、フェニル、ナフチルおよびアントラセニルなどの芳香族炭素環、ならびにピリジル、イミダゾリル、ピロリルおよびフラニルなどの複素環を含む。アリール基は、場合により、例えば(C1〜C6)アルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、ハロ(C1〜C6)アルキル、-CO2(C1〜C6)アルキル、ハロ、チオール (SH)、チオエーテル(例えばS-(C1〜C6)アルキル)およびスルフォネート(SO3H)などの1個以上の置換基で置換されていてもよい。「アリールオキシ」という用語は、-O-アリールを意味する。
「複素環」という用語は、3員、4員、5員、6員、7員または8員(好ましくは5員、6員または7員)の飽和または不飽和の環をいい、それらは、独立してN、OおよびSから選択される1〜3個の複素原子を含む芳香族系であっても非芳香族系であってもよく、例えばインドールが挙げられる。
「アリーレン」という用語は、芳香族炭素環または複素環を含む二価の基をいい、そこにおいて、そのラジカルは環の異なる位置に存在する。アリーレン基の一例は1,4-フェニレンである。
「アラルキル」という用語は、例えばベンジルなどのアリールで置換されているアルキルを意味する。「アルカリル」という用語は、例えばメチルフェニルなどの、アルキルで置換されているアリールを意味する。
「アラルキレン」という用語は、例えば1-メチレン-4-フェニルなどの、アラルキル基から誘導できる二価の基をいう。そこで2個のラジカルはそれぞれ、アリール環上またはアルキル基上に存在していてもよいし、あるいは、それらのラジカルの一方がアルキル基上に存在し、他方のラジカルがアリール環上に存在していてもよい。「アルカリーレン」という用語は、同様に定義される。
「フェロセニレン」という用語は、フェロセン(FeCp2)から誘導されるジラジカル(diradical)をいう。それぞれのラジカルは同一の環に存在していてもよいし、あるいは別々の環に存在していてもよい。
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから選択されるハロゲン基を意味する。クロロが特に好ましい。式(I)においてXがハロである場合、Xは、負に荷電しているイオンの特徴の少なくとも幾つかを有するものであり、ルテニウム原子に共有結合しているという訳ではないと考えられることが理解されよう。事実、全ての配位子Xは、幾つかの共有結合性の特徴だけでなく、幾つかのイオン性の特徴も備え得る。
「ハロアルキル」という用語は、1個以上のハロ基で置換されているアルキルを意味し、例えばトリフルオロメチルが挙げられる。
本発明の化合物において、R1およびR2は、式(I)の化合物においてそれらが結合している環と一緒になって、オルト縮合またはペリ縮合炭素環系または複素環系を表すことができる。R1およびR2は、それらが結合している環と一緒になって、例えば、場合により置換され、場合により水素化されているナフタレンまたはアントラセンなどの、2個または3個の縮合炭素環を含む環系などの、完全に炭素環が縮合している環系を表すことができる。したがって、R1およびR2は、式(I)の化合物においてそれらが結合している環と一緒になって、アントラセン、または、アントラセンの一水素化、二水素化、三水素化、四水素化またはそれ以上に水素化した誘導体などの縮合三環を表すことができる。例えば、R1およびR2は、式(I)においてそれらが結合している環と一緒になって、アントラセン、1、4-ジヒドロアントラセン、または1、4、9、10-テトラヒドロアントラセンを表すことができる。式(I)の化合物においてそれらが結合している環と一緒になって複素環系を表すR1およびR2の例としては、R1およびR2が、それらが結合している環と一緒になって、2,3-ベンゾフラン、インドールまたはベンゾ[b]チオフェンを表す化合物が挙げられる。
好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、H、(C1〜C6)アルキルおよびフェニルから選択されるか、あるいは、R1およびR2は、それらが結合している環と一緒になって、アントラセンまたはアントラセンの水素化誘導体の基を表し、上記のフェニルおよびアントラセンまたはアントラセンの水素化誘導基は、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、フェニル、ベンジル、ハロ、カルボキシル、CO2(C1〜C6)アルキル、CONH2、COH、CO(C1〜C6)アルキル、SO3H、SO2NH2、フェノキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、NH2または(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されている。最も好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つがフェニルであり、かつ他の基が全てHであるか、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つまたは2つが(C1〜C6)アルキルであり、かつ他の基がHであるか、R1およびR2が、それらが結合している環と一緒になって、アントラセンまたはアントラセンの水素化誘導体を表す。
本発明の化合物は、荷電していないことが好ましい場合もある。何故ならば、それが、in vivo系でのこれら化合物の輸送、ひいてはそれらの抗癌細胞障害活性に寄与するからである。したがって、式(I)において、mが0であることが好ましい。mが+1または−1である場合、式(I)の化合物は対イオンを含む。好適な対イオンとしては、例えばPF6 -およびBF4 -などの非求核性イオンが挙げられる。
式(I)の化合物において、Xは、中性または負に荷電しているO-、N-もしくはS-ドナー配位子、またはハロである。好適な配位子としては、例えば、H2O、ジ((C1〜C6)アルキル)S(O)、(C1〜C6)アルキルCO2 -またはジ((C1〜C6)アルキル)C=Oが挙げられる。他の配位子としては、例えば、N-ドナーニトリル配位子(例えば、式(C1〜C6)アルキルCNの化合物)、ならびに場合によりピリジン環の1つ以上の炭素環において例えば(C1〜C6)アルキルまたはハロで置換されているN-ドナーピリジン配位子が挙げられる。他の好適な配位子は、メチルアミンおよびエチルアミンなどの(C1〜C6)アルキル一級アミンである。好ましくは、XはハロまたはCH3CNであり、最も好ましくは、Xはクロロである。
Y-L-Y'は二座配位子である。この配位子は、全体的に負に荷電している。すなわち、この配位子は、本発明の錯体中に存在しない場合、負の電荷を有している。この配位子は、1の負の電荷を有していてもよいし、あるいは、例えばジアニオンのように2以上の負の電荷を有していてもよい。好ましくは、Y-L-Y'は単一または二重の負の電荷を有する。電荷は、配位子全体に分布していてもよいが、電荷の一部はYおよびY'の両者に存在する。電荷は、Yおよび/またはY'における脱プロトン化またはYからY'への(またはその逆の)電荷の転移(delocalisation)によるアニオンの形成によるものでありうる。好ましくは、Lを介した電子のコンジュゲーションによりYからY'またはY'からYへの電荷の転移が起こる。Lは、1個以上の基を含むことができ、例えば、Lは、アルキレン鎖の各末端にCO基がついているアルキレン基を含むことができる。好ましくは、Y-L-Y'は、次の式の配位子から選択される。
Figure 2005536487
[式中、
TおよびT'は、独立して、OおよびSから選択され、
R1gおよびR3gは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリールまたはアラルキルであり、
R1c〜R5f(すなわち、R1c、R2c、R3c、R4c、R5c、R6c、R7c、R8c、R9c、R1d、R2d、R3d、R4d、R5d、R6d、R7d、R8d、R9d、R10d、R1e、R2e、R3e、R4e、R5e、R6e、R7e、R8e、R9e、R1f、R2f、R3f、R4fおよびR5f)ならびにR2gは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキルであり、そこにおいて、最後の2種の基は、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、カルボキシル、CO2R7b、CONR8bR9b、COR10b、SO3H、SO2N R11bR12b、アリールオキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13b、NR14bR15bおよび(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されており、そこにおいて、R7b、R8b、R9b、R10b、R11b、R12b、R13b、R14bおよびR15bは、独立してH、(C1〜C6)アルキル、アリールまたはアラルキルから選択される。]
式(I)の化合物は、二量体の形態とすることができ、これはまた、二核錯体とも呼ぶことができる。そうした錯体は、2個のルテニウム原子を含んでいる。二核錯体は、2つの連結している配位子Y-L-Y'を含んで2個のルテニウム中心の間を橋かけするようになっている配位子を用いることにより得ることができる。したがって、本発明のもう1つの実施形態では、Y-L-Y'は、式(XI)〜(XV):
Figure 2005536487
[式中、
T、T'、T''およびT'''は、独立して、OおよびSから選択され、
Aは、(C1〜C6)アルキレン、(C1〜C6)アルケニレン、(C1〜C6)アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレン、フェロセニレン、Se、Se-Se、S-S、N=NおよびC=Oから選択される1個以上の基を含み、
R1h〜R6j(すなわち、R1h、R2h、R3h、R4h、R1i、R2i、R3i、R4i、R5i、R6i、R7i、R8i、R9i、R10i、R11i、R12i、R13i、R14i、R1j、R2j、R3j、R4j、R5jおよびR6j)は、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキルであり、そこにおいて、最後の2種の基は、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、カルボキシル、CO2R7b、CONR8bR9b、COR10b、SO3H、SO2N R11bR12b、アリールオキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13b、NR14bR15bおよび(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されており、そこにおいて、R7b、R8b、R9b、R10b、R11b、R12b、R13b、R14bおよびR15bは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリールまたはアラルキルから選択される]
の配位子から選択することができる。
特に好ましい式(I)の化合物は、式中で、Y-L-Y'が、
Figure 2005536487
[式中、
TおよびT'は、独立して、OおよびSであり、
R、R1cおよびR3cは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキルであり、そこにおいて、最後の2種の基は、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、カルボキシル、CO2R7b、CONR8bR9b、COR10b、SO3H、SO2N R11bR12b、アリールオキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13b、NR14bR15bおよび(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されており、そこにおいて、R7b、R8b、R9b、R10b、R11b、R12b、R13b、R14bおよびR15bは上記で定義したとおりである]
であるものである。一層さらに好ましくは、TおよびT'は両者ともにOであり、R、R1cおよびR3cは、独立して、(C1〜C6)アルキルまたはフェニルであり、そのフェニルは場合により(C1〜C6)アルキル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、カルボキシル、CO2(C1〜C6)アルキル、CONH2、COH、CO(C1〜C6)アルキル、SO3H、SO2NH2、フェノキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、NH2または(C1〜C6)アルコキシで置換されている。最も好ましくは、RがHまたは(C1〜C6)アルキルであり、R1cまたはR3cは独立して、非置換(C1〜C6)アルキルまたは場合により置換されているフェニルである。
本発明の化合物において、YおよびY'(上記の式におけるT、T'、T''およびT'''を含む)は全部Oである。
式(I)の化合物および式Y-L-Y'の配位子は、1種以上の互変異性体の形態で存在することができ、それらの全てが本発明に包含される。例えば、式:
Figure 2005536487
の配位子は、次の互変異性体の形態を有することができる。
Figure 2005536487
これらの互変異性体の存在および性質は、Y-L-Y'の構造に依存する。
式(I)の化合物の特に好ましい基は、式中で、
Xがハロ(好ましくはクロロ)であり;
R1、R2、R3、R4、R5およびR6が、独立して、H、(C1〜C6)アルキルおよびフェニルから選択されるか、あるいは、R1およびR2が、それらが結合している環と一緒になって、アントラセンまたはアントラセンの水素化誘導体を表し、上記のフェニルおよびアントラセンまたはアントラセンの水素化誘導体は、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、フェニル、ベンジル、ハロ、カルボキシル、CO2(C1〜C6)アルキル、CONH2、COH、CO(C1〜C6)アルキル、SO3H、SO2NH2、フェノキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、NH2または(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されており;
Y-L-Y'が、
Figure 2005536487
[式中、TおよびT'が両者ともにOであり、RがHまたは(C1〜C6)アルキルであり、R1cおよびR3cが、独立して、(C1〜C6)アルキルまたはフェニルであり、そのフェニルは、場合により、(C1〜C6)アルキル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、カルボキシル、CO2(C1〜C6)アルキル、CONH2、COH、CO(C1〜C6)アルキル、SO3H、SO2NH2、フェノキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、NH2または(C1〜C6)アルコキシから選択される1〜3個の基で置換されている]
であるものである。
式(I)の化合物のさらなる好ましい基は、式中で、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6が全部Hであるか、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つがフェニルであり、その他の基が全部Hであるか、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つまたは2つが(C1〜C6)アルキルであり、その他の基が全部Hであるか、R1およびR2が、それらが結合している環と一緒になって、アントラセンまたはアントラセンの水素化誘導体を表し;
Xがクロロであり;
Y-L-Y'が、
Figure 2005536487
[式中、TおよびT'が両者ともにOであり、RがHであり、R1cおよびR3cが、独立して、(C1〜C6)アルキルであるか、あるいは、R1cおよびR3cが、独立して、非置換(C1〜C6)アルキルまたは場合により置換されているフェニルである]
であるものである。
本発明の化合物は、癌細胞系に対して細胞障害活性を示すことが判明しており、したがって、抗癌活性を示すことが予期される。これらの化合物は、細胞をin vivoまたはex vivoで死滅させるのに使用可能である。
したがって、もう1つの実施形態では、本発明は、医薬において使用するための、但し書を除く上記で定義した式(I)の化合物を提供する。また、本発明は、癌の治療および/または予防において使用するための、但し書を除く上記で定義した式(I)の化合物の提供、ならびに、但し書を除く上記で定義した式(I)の化合物の、癌の治療および/または予防における使用も包含する。
また、本発明により、但し書を除く上記で定義した式(I)の化合物の、癌を治療および/または予防するための医薬の製造における使用も提供される。
さらに、本発明により、但し書を除く上記で定義した式(I)の化合物を、1種以上の薬学的に許容される賦形剤と共に含む医薬組成物が提供される。
本発明のさらにもう1つの態様は、本発明の但し書を除く上記で定義した式(I)の化合物または組成物の治療上有効量を被験体に投与することを含む、癌の治療および/または予防方法である。
本発明の化合物は、腫瘍に直接使用することができる。あるいは、またはさらに、この化合物は、転移を予防もしくは抑制し、かつ/または二次性腫瘍を死滅させるのに使用することができる。転移の予防または抑制は、本明細書で用いられる「癌の予防」という用語に包含されることが理解されよう。
腫瘍という用語は、肺、肝臓、血液細胞、皮膚、膵臓、胃、結腸、前立腺、子宮、乳房、リンパ節および膀胱の腫瘍を含む、新生細胞増殖のあらゆる形態を包含する。卵巣腫瘍は、本発明による治療に特に適し得る。
本発明の化合物は、例えばシスプラチンなどの他の細胞障害薬に対して耐性がある細胞により引き起こされる腫瘍の治療および/または予防に有効であり得る。
本発明の特定の化合物には、グアニン塩基に選択的に結合しないが、グアニンおよびアデニンへの結合に関してほぼ同等の親和性を示す、という驚くべき利点がある。水素結合に利用可能なN-H基の存在がグアニンへの結合に必要であるものと考えられていたとすれば、この効果は予想外であった。さらに、グアニンおよびアデニンへ結合させると、上記化合物は、腫瘍細胞において薬剤耐性を受けにくくなる、という潜在的に大きな能力を獲得できる。1つの実施形態では、上記化合物は、グアニン塩基へ非選択的に結合させる方法、好ましくはグアニン塩基およびアデニン塩基へほぼ同等の親和性で結合させる方法において使用できる。この方法は、例えば、細胞をin vivoもしくはex vivoで死滅させる方法、または混合物からのグアニン塩基およびアデニン塩基の分離などの別の方法とすることができる。
本発明はまた、1種以上の本発明の化合物を、1種以上の薬学的に許容される賦形剤と共に含む、医薬組成物を提供する。好適な賦形剤としては、希釈剤および/または担体が含まれる。
本発明の化合物は、例えば経口、非経口(例えば筋肉内、静脈内もしくは皮下注射による)、局所、経鼻、または徐放性微小担体によるものを含む、幾つかの経路により投与することができる。したがって、本発明の医薬組成物において使用するための好適な賦形剤としては、食塩水、無菌水、クリーム、軟膏、溶液、ジェル、ペースト、エマルジョン、ローション、オイル、固形担体およびエアロゾルが挙げられる。
本発明の組成物は、単位剤形またはサブ単位剤形に製剤化することができ、例えば、錠剤、カプセル剤および舐剤、ならびにこの組成物を非経口投与に適する形態で収容している収容物が挙げられる。好ましくは、この組成物は、注射に適する形態である。
本発明の化合物および組成物の具体的な投薬レベルは、使用する具体的な化合物の生物学的活性、被験体の年齢、体重および性別などの、幾つかの要因に応じて決まる。被験体はヒトであってもよいし、または哺乳動物であってもよいことが理解されよう。
本発明の化合物および組成物は、単独で、あるいは他の化合物と組合せて投与できる。この他の化合物とは、例えばその腫瘍殺傷作用を増大させることにより、または本発明の化合物に付随する副作用を軽減することにより、本発明の化合物の活性を補う生物学的活性を有するものとすることができる。
もう1つの実施形態では、本発明は、場合によっては二量体の形態である式[(η6-C6(R1)(R2)(R3)(R4)(R5)(R6))RuX2]の化合物を、反応用の適切な溶媒中で、Y-L-Y'と反応させることを含む(式中、R1,R2、R3、R4、R5、R6、X、Y、Y'およびLは、式(I)について上記で定義したとおりである)、式(I)の化合物の製造方法を提供する。好ましくは、この方法は、場合によっては二量体の形態である式[(η6-C6(R1)(R2)(R3)(R4)(R5)(R6))RuX2]の化合物を、0℃〜100℃(例えば10℃〜50℃)の温度で、ジ(C1〜C6)アルキルケトン(例えばアセトン)または水またはそれらの混合物などの極性溶媒中で、アニオンとしてY-L-Y'を含む塩(例えばナトリウムなどのアルカリ金属の塩)と反応させることを含む。式(I)の化合物は、反応混合物から、例えば極性の低い溶媒(例えばジクロロメタン)への抽出により分離し、場合によっては(例えば適切な溶媒または2種以上の異なる溶媒の混合物からの再結晶により)精製することができる。
本発明の方法において出発物質(出発ルテニウム錯体)として使用するための式[(η6-C6(R1)(R2)(R3)(R4)(R5)(R6))RuX2]の好適な化合物は、WO 01/30790およびWO 02/02572に記載されているようにして製造することができる。式Y-L-Y'の化合物は、市販されているものであってもよいし、あるいは当業者に周知の経路により合成することもできる。
ここで、以下の非限定的な実施例を参照して、本発明を説明する。
A.合成
実施例1
[(η 6 -p-シメン)RuCl(H 3 CCOCHCOCH 3 -O,O)]
実施例1の化合物は、D. Carmonaら, J. Chem. Soc., Dalton Trans., 1990, 1463-1476に記載されている方法を用いて製造した。
[(η6-p-シメン)RuCl2]2(250mg、0.41mmol)およびナトリウムアセチルアセトナート一水和物(150mg、1.07mmol)をアセトン(25ml)中で室温(RT)にて50分間撹拌した。次に、抽出ステップは、ロータリーエバポレーターでの溶媒の減圧除去、ジクロロメタンによる生成物の抽出、ワットマン(Whatman)No.541濾紙を用いた濾過、それに続くロータリーエバポレーターでの再度の溶媒の除去を含むものとした。最終生成物をアセトン/ジエチルエーテルから再結晶し、凍結装置に253Kにて一夜放置した。赤色結晶(180mg、0.48mmol、59%の収率)を回収し、減圧乾燥した。1H NMR (CDCl3):δ 5.43 (d, 2H), 5.18 (d, 2H), 5.13 (s, 1H), 2.85 (sp, 1H), 2.24 (s, 3H), 1.97 (s, 6H), 1.30 (d, 6H)。
実施例2
[(η 6 -p-シメン)RuCl(F 3 CCOCHCOCF 3 -O,O)]
[(η6-p-シメン)RuCl2]2(250mg、0.41mmol)およびナトリウムヘキサフルオロアセチルアセトナート(260mg、1.13mmol)をアセトン(25ml)中でRTにて40分間撹拌した。ジクロロメタンを用いた抽出ステップ(実施例1を参照)の後、最終生成物をジエチルエーテルに溶解させ、溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、ヘキサンを添加した。容器を凍結装置に253Kにて一夜放置した。結晶(277mg、0.58mmol、70.7%の収率)を回収し、減圧乾燥した。1H NMR (CDCl3):δ 5.86 (s, 1H), 5.63 (d, 2H), 5.36 (d, 2H), 2.88 (sp, 1H), 2.24 (s, 3H), 1.33 (d, 6H)。
実施例3
[(η 6 -p-シメン)RuCl(C 6 H 5 COCHCOC 6 H 5 -O,O)]
1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン(277mg、1.24mmol)およびナトリウムメトキシド(62mg、1.15mmol)をメタノール(30ml)中で室温(RT)にて100分間撹拌した。溶媒を減圧除去し、生成物をジエチルエーテルで洗浄し、次にこれをロータリーエバポレーターで減圧除去した。このナトリウム塩(210mg、0.85mmol、73.9%の収率)および[(η6-p-シメン)RuCl2]2(240mg、0.39mmol)をアセトン(25ml)中でRTにて40分間撹拌した。ジクロロメタンを用いた抽出ステップ(実施例1を参照)の後、最終生成物をアセトンに溶解させ、ロータリーエバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテルを添加した。この溶液を凍結装置に253Kにて一夜放置した。結晶(238mg、0.48mmol、61.8%の収率)を回収し、減圧乾燥した。1H NMR (CDCl3):δ 7.88 (m, 2H), 7.43 (m, 2H), 7.36 (m, 2H), 6.43 (s, 1H), 5.57 (d, 2H), 5.30 (d, 2H), 3.01 (sp, 1H), 2.33 (s, 3H), 1.39 (d, 6H)。
実施例4
[(η 6 -p-シメン)RuCl((CH 3 ) 3 CCOCHCOC(CH 3 ) 3 -O,O)]
2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン(299mg、1.62mmol)およびナトリウムメトキシド(68mg、1.26mmol)をメタノール(40ml)中でRTにて5時間撹拌した。溶媒および過剰な液状の出発物質をロータリーエバポレーターで減圧除去した。得られたナトリウム塩(233mg、1.13mmol、89.6%の収率)および[(η6-p-シメン)RuCl2]2(258mg、0.42mmol)をアセトン(25ml)中でRTにて40分間撹拌した。ジクロロメタンを用いた抽出ステップ(実施例1を参照)の後、残渣をジエチルエーテルに溶解させ、ロータリーエバポレーターで濃縮し、ヘキサンを添加した。溶液を凍結装置に253Kにて一夜放置した。結晶(215mg、0.47mmol、56.0%の収率)を回収し、減圧乾燥した。1H NMR (CDCl3):δ 5.38 (d, 2H), 5.37 (s, 1H), 5.10 (d, 2H), 2.88 (sp, 1H), 2.21 (s, 3H), 1.33 (d, 6H), 1.10 (s, 18H)。
実施例5
[(η 6 -C 6 H 5 C 6 H 5 )RuCl(H 3 CCOCHCOCH 3 -O,O)]
[(η6-C6H5C6H5)RuCl2]2(250mg、0.38mmol)を水(25ml)中で2時間還流した。熱を沸点より低く下げ、ナトリウムアセチルアセトナート一水和物(141mg、1.01mmolを添加した。溶液を30分間撹拌し、熱濾過した。溶媒をロータリーエバポレーターで減圧除去した。ジクロロメタンを用いた抽出ステップ(実施例1を参照)の後、残渣を少量のアセトンに溶解させ、析出が起こるまでジエチルエーテルを添加した。容器を凍結装置に253Kにて6d放置した。生成物(65mg、0.16mmol、21.3%の収率)を回収し、減圧乾燥した。1H NMR (CDCl3):δ 7.67 (m, 2H), 7.45 (m, 3H), 5.83 (m, 2H), 5.75 (m, 3H), 5.10 (s, 1H), 1.83 (s, 6H)。
実施例6
[(η 6 -p-シメン)Ru(CH 3 CN)(H 3 CCOCHCOCH 3 -O,O)]BF 4
実施例1の化合物(144mg、0.39mmol)およびAgBF4(72mg、0.37mmol)をアセトニトリル(20ml)中で一夜撹拌した。得られた溶液をガラスウールで濾過し、溶媒をロータリーエバポレーターで減圧除去した。残渣をできるだけ少量のアセトンに溶解させ、析出が起こるまでジエチルエーテルを添加した。フラスコを凍結装置に253Kにて4d置いた。結晶(149mg、0.32mmol、87.1%の収率)を回収し、減圧乾燥した。1H NMR (CDCl3):δ 5.74 (d, 2H), 5.48 (d, 2H), 5.16 (s, 1H), 2.85 (sp, 1H), 2.43 (s, 3H), 2.21 (s, 3H), 1.98 (s, 6H), 1.33 (d, 6H)。
実施例7
[(η 6 -p-シメン)RuCl(H 3 CCOCCOCH 3 -O,O)] 2
Figure 2005536487
四座配位子であるテトラアセチルエタンの製造は、Robert. G. CharlesによりOrganic Syntheses (1959), 39, 61に報告されている。テトラセチルエタン(208mg、1.05mmol)を水中で、メタノール中のKOHの0.1M溶液21mlと2時間反応させた。溶媒を留去し、その塩をアセトンに溶解させた。その溶液に[(p-シメン)RuCl2]2(643mg、1.05mmol)を添加し、混合物を3時間反応させた。溶媒を留去し、残渣をCH2Cl2で抽出した。溶媒を濾過および留去して、純粋な二核錯体を得、これをアセトンから再結晶させた(550mg、71%)。
B.生物学的データ
1.Ru化合物の試験プロトコール
上記の化合物を、24ウェルトレーで試験する。フラスコ内で増殖させた細胞を、コンフルエントになる直前に収集し、血球計を用いて計数し、培地で1×104個/mlの濃度まで希釈する。次に、細胞を24ウェルトレーに1×104個/ウェルの密度で播種する(すなわち、各ウェルに1mlの希釈細胞懸濁液を添加する)。次に、細胞をプレートダウンし、72時間増殖させた後、本発明の化合物を添加する。
Ru錯体を秤量し、脱イオン水および0.5%w/wのDMSOで1mg/mlの濃度にする。適当容量のRu溶液を5mlの培地に添加して、各薬剤について100μMの濃度にする。次に、この100μM溶液を連続希釈して、10μM、1μMおよび0.1μMの溶液にする。
細胞から培地を除去し、薬剤を加えた1mlの培地で交換する。各濃度は二連で行う。1セットの対照ウェル(培地および0.5%w/wのDMSOを含むが薬剤は含まない)を各プレートに残す。
細胞を薬剤に24時間暴露し、次にリン酸緩衝化食塩水で洗浄した後、新しい培地を添加する。
それらをさらに3日間増殖させた後、コールターカウンターを用いて計数する。
計数用の細胞の調製:
培地を除去し、1mlのPBSを細胞に添加する。
250μlのトリプシンを添加し、細胞を数分間インキューベーター内に放置して、単層を剥がす。
トリプシン処理したら、250μlの培地を各ウェルに添加して、トリプシンを中和する。
計数するために、200μlのこの懸濁液を10mlのNaClに添加する。
2.結果
上記のプロトコールを用いて、幾つかの本発明の化合物をA2780卵巣癌細胞系について試験した。このプロトコールに従って試験したところ、本発明の化合物は、150μM未満、好ましくは100μM未満、さらに好ましくは50μM未満のIC50を有する。結果は以下のとおりである。
Figure 2005536487
C.NMRのデータ
本発明の化合物のDNA塩基に結合する能力をnmrにより調べ、結果を添付の図面に示す。
図1は、10%D2O/90%H2O中のグアノシン:アデノシン:実施例1の化合物のそれぞれ1.3:1:1のモル比での混合物の500MHz 1H NMRスペクトルである。
図2は、図1に示す1H NMRスペクトルの5.1〜5.4ppmおよび7.9〜8.6ppmの領域の拡大図を示す。
図2において、5.1〜5.4ppm(右側)の領域は、acac配位子の中心CHに該当する。ピークaおよびbは、アデノシン付加物に該当し、ピークcはグアノシン付加物に該当する。7.9〜8.6ppm(左側)の領域では、アデノシンのH2プロトンおよびH8プロトンについてのピークと、グアノシンのH8プロトンについてのピークが現われている。アデノシンおよびグアノシンの両者が、実施例1の化合物と付加物を形成することが判る(結合という標識をつけたもの)。ヌクレオシドの核酸塩基部分(AおよびG)の原子標識スキームを示す。
10%D2O/90%H2O中のグアノシン:アデノシン:実施例1の化合物のそれぞれ1.3:1:1のモル比での混合物の500MHz 1H NMRスペクトルを示す図である。 図1に示す1H NMRスペクトルの5.1〜5.4ppmおよび7.9〜8.6ppmの領域の拡大図を示す図である。

Claims (15)

  1. 式(I):
    Figure 2005536487
    [式中:
    R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、CO2R7、CONR8R9、COR10、SO3H、SO2N R11R12、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13、NR14R15、アリールまたはアラルキルを表し、但し、そのうちの最後の2つの基は、場合により、芳香族環上で、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、CO2R7a、CONR8aR9a、COR10a、SO3G、SO2NR11aR12a、アリールオキシ、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13a、NR14aR15aから選択される1個以上の基で置換されているか、あるいは、R1およびR2は、それらが結合している環と一緒になって、3個以下の3〜8員の炭素環または複素環を含む飽和または不飽和の炭素環基または複素環基を表し、そこにおいて、それぞれの炭素環または複素環は、1個以上の他の炭素環または複素環と縮合していてもよく、それらの環はそれぞれ、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、CO2R7b、CONR8bR9b、COR10b、SO3G'、SO2NR11bR12b、アリールオキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13b、NR14bR15bまたは(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されていてもよく;
    R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R7a、R8a、R9a、R10a、R11a、R12a、R13a、R14a、R15a、R7b、R8b、R9b、R10b、R11b、R12b、R13b、R14bおよびR15bは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリールまたはアラルキルから選択され;
    Xは、中性または負に荷電しているO-、N-もしくはS-ドナー配位子またはハロであり;
    GおよびG'は、独立して、アルカリ金属、アリール、アラルキルおよび(C1〜C6)アルキルから選択され;
    Y-L-Y'は、負の電荷を有し、該電荷の一部をYおよびY'両者上に有する二座配位子であり、YおよびY'は、独立して、O、SまたはNR16から選択され、そこにおいて、R16は、H、(C1〜C6)アルキル、アリールまたはアラルキルであり、Lは、YとY'とを連結する基であり、かつ、(C1〜C6)アルキレン、(C1〜C6)アルケニレン、(C1〜C6)アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレン(これら後者の6種の基はそれぞれ、場合により置換されている)、フェロセニレン、Se、Se-Se、S-S、N=NおよびC=Oから選択される1個以上の基を含み;
    mは、−1、0または+1であり、mが−1または+1である場合、本化合物は対イオンを含み;
    式(I)の化合物は、場合により、二量体の形態であり、そこにおいて、2個のL基は、直接または1個以上の(C1〜C6)アルキレン、(C1〜C6)アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレン、Se、Se-Se、S-S、N=NおよびC=Oを含む基を介して連結されているか、あるいは、Lは、2個のY基および2個のY'基を有しており;
    但し:
    Y-L-Y'が(CH3C(O)CHC(O)CH3)-である場合、XはハロまたはN-ドナー配位子であり、R1、R2、R3、R4、R5およびR6が、それらが結合している環と一緒になって、4-イソプロピル-1-メチルベンゼンを表すことはなく;
    Y-L-Y'が(CH3C(O)CHC(O)CH3)-であり、かつXがクロロ、(CH3)2SO、CH3CN、ピリジンまたは(CH3C(O)CHC(O)CH3)-である場合:R1、R2、R3、R4、R5およびR6は全部Hまたは全部メチルであることはなく;R2、R4およびR6が全部メチルである場合、R1、R3およびR5は全部Hであることはなく;R1、R3およびR5が全部メチルである場合、R2、R4およびR6は全部Hであることはなく;
    Y-L-Y'が(CF3C(O)CHC(O)CF3)-であり、かつXがクロロである場合、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は全部Hまたは全部メチルであることはなく;R2、R4およびR6が全部メチルである場合、R1、R3およびR5は全部Hであることはなく;R1、R3およびR5が全部メチルである場合、R2、R4およびR6は全部Hであることはない]
    のルテニウム(II)化合物。
  2. R1、R2、R3、R4、R5およびR6が、独立して、H、(C1〜C6)アルキルおよびフェニルから選択されるか、あるいは、R1およびR2が、それらが結合している環と一緒になって、アントラセンまたはアントラセンの水素化誘導体を表し、上記のフェニルおよびアントラセンまたはアントラセンの水素化誘導体の基は、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、フェニル、ベンジル、ハロ、カルボキシル、CO2(C1〜C6)アルキル、CONH2、COH、CO(C1〜C6)アルキル、SO3H、SO2NH2、フェノキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、NH2または(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
  3. mが0である、請求項1または請求項2に記載の化合物。
  4. xがハロまたはCH3CNである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
  5. Y-L-Y'が式(II)〜(X):
    Figure 2005536487
    Figure 2005536487
    [式中、
    TおよびT'は、独立して、OおよびSから選択され、
    R1gおよびR3gは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリールまたはアラルキルであり、
    R1c〜R5fおよびR2gは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキルであり、そこにおいて、最後の2種の基およびR1gおよびR3gについての対応する基は、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、カルボキシル、CO2R7b、CONR8bR9b、COR10b、SO3H、SO2N R11bR12b、アリールオキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13b、NR14bR15bおよび(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されており、そこにおいて、R7b、R8b、R9b、R10b、R11b、R12b、R13b、R14bおよびR15bは、請求項1で定義されているものと同じである]
    の配位子から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. Y-L-Y'が、
    Figure 2005536487
    [式中、
    T、T'、T''およびT'''は、独立して、OおよびSから選択され、
    Aは、(C1〜C6)アルキレン、(C1〜C6)アルケニレン、(C1〜C6)アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレン、フェロセニレン、Se、Se-Se、S-S、N=NおよびC=Oから選択される1個以上の基を含み、
    R1h〜R6jは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキルであり、そこにおいて、最後の2種の基は、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、カルボキシル、CO2R7b、CONR8bR9b、COR10b、SO3H、SO2N R11bR12b、アリールオキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13b、NR14bR15bおよび(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されており、そこにおいて、R7b、R8b、R9b、R10b、R11b、R12b、R13b、R14bおよびR15bは、請求項1で定義したとおりである]
    から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  7. Y-L-Y'が、
    Figure 2005536487
    [式中、
    TおよびT'は、独立して、OおよびSであり、
    R、R1cおよびR3cは、独立して、H、(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキルであり、そこにおいて、最後の2種の基は、場合により、独立して(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、カルボキシル、CO2R7b、CONR8bR9b、COR10b、SO3H、SO2N R11bR12b、アリールオキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、-N=N-R13b、NR14bR15bおよび(C1〜C6)アルコキシから選択される1個以上の基で置換されており、そこにおいて、R7b、R8b、R9b、R10b、R11b、R12b、R13b、R14bおよびR15bは、請求項1で定義したとおりである]
    である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  8. TおよびT'が両者ともにOであり、RがHまたは(C1〜C6)アルキルであり、R1cおよびR3cが、独立して、(C1〜C6)アルキルまたはフェニルであり、そのフェニルは、場合により、(C1〜C6)アルキル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C6)アルキル、ハロ、カルボキシル、CO2(C1〜C6)アルキル、CONH2、COH、CO(C1〜C6)アルキル、SO3H、SO2NH2、フェノキシ、(C1〜C6)アルキルチオ、NH2または(C1〜C6)アルコキシで置換されている、請求項7に記載の化合物。
  9. RがHであり、R1cおよびR3cが、 独立して(C1〜C6)アルキルまたはフェニルである、請求項8に記載の化合物。
  10. YおよびY'が両者ともOである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
  11. 医薬において使用するための、但し書を除く請求項1〜10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
  12. 但し書を除く請求項1〜10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の、癌を治療および/または予防するための医薬の製造における使用。
  13. 但し書を除く請求項1〜10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を、1種以上の薬学的に許容される賦形剤と共に含む医薬組成物。
  14. 但し書を除く請求項1〜10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または請求項13に記載の組成物の治療上有効量を被験体に投与することを含む、癌の治療および/または予防方法。
  15. 場合によっては二量体の形態の式[(η6-C6(R1)(R2)(R3)(R4)(R5)(R6))RuX2]の化合物を、反応用の適切な溶媒中で、Y-L-Yと反応させることを含む(式中、R1,R2、R3、R4、R5、R6、X、Y、Y'およびLは、請求項1で定義したとおりである)、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物の製造方法。
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