JP2005536375A - 装飾用積層安全ガラス - Google Patents

Abstract

本発明は、画像を担持する熱可塑性中間層を含む装飾用積層物品であって、画像が、インクジェット印刷プロセスを使用して前記中間層上に印刷されており、顔料が、ＰＹ １２０、ＰＹ １５５、ＰＹ １２８、ＰＹ １８０、ＰＹ ９５、ＰＹ ９３、ＰＶ１９／ＰＲ ２０２、ＰＲ １２２、ＰＢ １５：４、ＰＢ １５：３、およびＰＢＩ ７よりなる群から選択される少なくとも１種の顔料を含む、装飾用積層物品に関する。本発明の中間層材料は、たとえば、ＰＶＢ、ＰＥＴ、またはポリウレタンであってよい。

Description

本発明は、インクジェット印刷プロセスによって中間層上に印刷された画像担持装飾用積層体に関する。本発明は特に、ポリビニルブチラール（ＰＶＢ）を含む中間層上に画像が印刷されている装飾用積層体に関する。本発明は、本発明の積層体の製造に有用なインク配合物にも関する。

（関連出願の相互参照）
本願は、特許法１１９条に基づいて、２００２年８月２０日に提出された米国特許仮出願第６０／４０４，７００号明細書、および２００３年６月２６日に提出された米国特許仮出願第６０／４８３，５１５号明細書に対して優先権を主張する。

装飾用積層体は公知であり、種々の方法によって得ることができる。（特許文献１）、米国特許公報（特許文献２）、米国特許公報（特許文献３）、（特許文献４）、および（特許文献５）は、スクリーン印刷方法による装飾用合わせガラスの製造を開示している。画像の中間層上へのシルクスクリーン印刷は、装飾用積層安全ガラスの製造の場合には、非常に時間を消費し費用のかかる方法である。装飾用合わせガラスの製造方法は米国特許公報（特許文献６）にも開示されている。この特許には、紙の上に印刷された画像が熱可塑性フィルムに転写され、転写された画像を担持するそのフィルムがガラスシートの間に積層される転写積層方法が記載されている。

染料系インクを使用してＰＶＢおよびポリウレタンの上に印刷するための「インクジェット」技術の積層安全ガラスへの使用が（特許文献７）に開示されている。インクジェット印刷は公知であり、印刷ヘッドを介してインク液滴が印刷される基材に向けて高速で送り出される従来の印刷プロセスである。あらゆるデジタル画像を基材上に印刷することができるため、インクジェット技術は非常に自由度が高い。

しかし、インクジェット印刷プロセスを使用してＰＶＢ上に直接印刷することの欠点は、ＰＶＢ中間層が粗面パターン（Ｒｚが３０〜６０μｍ）を有するため、印刷された画像の画質が低くなりうることである。この粗面パターンは、気泡や、積層工程中に取り込まれた空気の存在によって生じるその他の欠陥が存在しない積層体を得るために、ＰＶＢ積層工程において必要となる。しかし、ＰＶＢ上にインクジェット印刷する場合、この粗面パターンは、斑点および解像度に関して画質に影響しうる。

インクジェット印刷のための従来方法が有する他の問題は、従来のインクジェットプロセスで使用されるインクのために発生する。インクジェットプリンターのプリントヘッド中で発生する高い圧力の軽減、および引き続くヘッドの損傷、および／または印刷された画像の低品質の改善のために、従来のインクジェット印刷プロセスでは低粘度のインクが必要である。インクジェット印刷は、従来、（ａ）圧電印刷またはサーマルインクジェット印刷プロセスなどのドロップオンデマンド（ＤＯＤ）プロセス、または（ｂ）コンティニュアスドロップインクジェット印刷のいずれかによって実施されている。インクジェット印刷プロセスにおいて低粘度インクが必要となり好ましくなる他の要因も存在する。しかし、インクジェット印刷に適した従来のインクを使用すると、熱可塑性中間層上で低画質となることがある。低画質は、積層のために形成されているＰＶＢ表面などの粗面上に低粘度インクが噴霧される場合に発生しうるが、これは、中間層表面上の高い点から低い点にインクが流れるためである。

別の基材上に積層する前の中間層上への画像の印刷において可能性のある別の問題は、中間層の表面上の着色剤が、基材と中間層との間の「有効な」結合表面領域を減少させうるため、中間層と基材との間の接着結合が大幅に弱まる可能性があることである。「有効結合表面」とは、中間層と基材とが、着色剤層が介在せずに互いに直接接触する表面領域を表す。積層体の接着力が低下すると、安全ガラスとして、または意図される用途において低い性能を有する積層体が得られる場合がある。

ＤＥ ２９７０６８８０号明細書 米国特許第４，９６８，５５３号明細書 米国特許第５，９１４，１７８号明細書 ＥＰ １１２９８４４Ａ１号明細書 ＤＥ ２０１００７１７号明細書 米国特許第４，１７３，６７２号明細書 国際公開第０２１８１５４号パンフレット 米国仮特許出願第６０／４８３５１６号 国際公開第０１／９４４７６号パンフレット 米国特許第５，０８５，６９８号明細書 ＥＰ−Ａ−０５５６６４９明細書 米国特許第５，２３１，１３１号明細書

本願特許出願人は、基材に積層した場合に、その積層体が破壊に対する強度および弾力性を維持しながら、同時に中間層の印刷用基材上にある品質の画像を形成する方法で、熱可塑性中間層上にインクジェット印刷するシステムを開発した。

一態様において、本発明は、少なくとも約１０００ｐｓｉの積層体接着強度を有する装飾用積層体を得る方法であって、熱可塑性中間層の少なくとも１つの表面上にデジタル画像をインクジェット印刷する工程と、好適な積層基材の２つの透明シート間に画像を担持する前記中間層を積層する工程とを含む方法に関する。

別の態様において、本発明は、熱可塑性中間層上にデジタル画像をインクジェット印刷する方法であって、水性または溶剤ベースのいずれかの顔料インクを粗面化された前記中間層表面上に噴射する工程を含み、前記表面が約３０μｍ〜約６０μｍのＲ_ｚおよび約０．９サイクル／ｍｍを超える頻度を有し、前記インクが、周囲温度より高温に印刷ヘッドを加熱することなくインクジェット印刷ヘッドを介して前記インクを噴射することが可能となる十分低い粘度を有する、方法に関する。

別の態様において、本発明は、中間層材料の少なくとも１つのシートを含み、前記中間層シートの少なくとも１つの表面上に画像を有する装飾用積層体であって、前記画像が、水性または溶剤ベースのいずれかの顔料インクを粗面化された中間層表面上に噴射する工程を含むインクジェット印刷プロセスを使用して印刷され、前記表面が約３０μｍ〜約６０μｍのＲ_ｚおよび０．９サイクル／ｍｍを超える頻度を有し、前記インクが、周囲温度より高温に印刷ヘッドを加熱することなくインクジェット印刷ヘッドを介して前記インクを噴射することが可能となる十分低い粘度を有する、装飾用積層体に関する。

別の態様において、本発明は、少なくとも１つの表面上に画像を有する熱可塑性中間層シートであって、前記画像が、水性または溶剤ベースのいずれかの顔料インクを粗面化された中間層表面上に噴射する工程を含む方法によって前記シート上に印刷され、前記表面が約３０μｍ〜約６０μｍのＲ_ｚおよび０．９サイクル／ｍｍを超える頻度を有し、前記インクが、周囲温度より高温に印刷ヘッドを加熱することなくインクジェット印刷ヘッドを介して前記インクを噴射することが可能となる十分低い粘度を有する、熱可塑性中間層シートに関する。

一実施態様において、本発明は、インクジェット印刷プロセスによって熱可塑性中間層材料上に画像を印刷する方法に関する。本発明の目的に好適な熱可塑性中間層材料は、十分可撓性ではあるがインクジェットプリンターを通過するために十分剛性である任意の従来の公知のまたは市販の熱可塑性材料であってよい。本発明の中間層は、インクジェットプリンターに適合することができる任意の厚さを有することができるが、典型的な中間層の厚さは約３０ミル〜約６０ミルの範囲である。好適な熱可塑性材料としては、ポリウレタン（ＰＵＲ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）などのポリエステル、エチレン／酢酸ビニルコポリマー（ＥＶＡ）、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、およびポリビニルブチラール（ＰＶＢ）、ポリエチレンおよび／またはポリプロピレンなどのポリオレフィンなどが挙げられる。本発明の目的に好ましいものはＰＶＢである。ＰＶＢは、たとえば本願特許出願人より商品名ブタサイト（Ｂｕｔａｃｉｔｅ）（登録商標）で市販されている。

本発明の中間層材料上へのインクジェット印刷は、好ましくは顔料インクを使用して実施される。本願において、顔料インクは、染料を使用するよりも優れた画質を得ることができる。顔料インクは、耐変色性、熱安定性、エッジ解像力、および印刷された基材上での低い拡散性のため好ましい。従来どおり実施される場合、顔料は、従来「ビヒクル」と呼ばれている液体媒体中に懸濁される。本発明の実施に使用すると好適な顔料は、水性または非水性のいずれかのビヒクル中に分散させることができる。本発明での使用に適した「非水性」ビヒクルは、特定の有機溶媒が使用される場合には、ある少ない比率（１６重量％以下）で水を含むことができる。場合によっては、インクの噴射性を改善するために、１種以上の溶媒が水性ビヒクル中に含まれることが好ましいこともありうる。種々の従来の溶媒が公知であり、これらを使用することができる。有用であるがあまり好ましくない溶媒としては、たとえば、メチルイソブチルケトン（ＭＩＢＫ）、メチルエチルケトン（ＭＥＫ）、ブチロラクトン、およびシクロヘキサノンが挙げられる。好適な溶媒としては、プロピレングリコールエーテル、プロピレングリコールエーテルアセテート、およびエチレングリコールブチルエーテルが挙げられる。好ましい実施態様においては、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート（ＤＰＭＡ）が顔料インクを分散させるために使用される主要な溶媒である。ＤＰＭＡとグリコールエーテルとの混合物も好ましい。

非水性、水性、または水性および非水性の混合物のいずれのビヒクルであっても、本発明のインクは、インクの粘度を低下させるためにプリンタヘッドを加熱する必要なしに、インクジェットプリンターの印刷ヘッドを介したインクの噴射が可能となる十分低い粘度を有する。本発明を実施するにおいて、２５℃で測定される際、インク粘度は約３０センチポアズ（ｃｐｓ）未満である。好ましくは、インク粘度は２５℃で約２０ｃｐｓ未満である。２５℃において、より好ましくはインク粘度は約１５ｃｐｓ未満であり、最も好ましくは約１２ｃｐｓ未満である。

理論に固持しようとするものではないが、本願特許出願人らは、インクジェット印刷システムを使用した画質の問題は、ジェット印刷に使用されるインクシステムが、たとえばシルクスクリーン印刷プロセスで使用されるインクよりもはるかに低粘度であることが原因となりうると考えている。低粘度インクは、粗面化されたＰＶＢ表面の谷に重力によって「流れこむ」場合がある。したがって、インクは、ＰＶＢ表面上の低い領域でたまりを形成することがあり、高い位置に均一に付着しない。したがって、低粘度インクは好ましいが、積層体中の画質が低くなったり、印刷工程中にミストが発生したりするほど粘度が低くなるべきではない。好ましくは、インクは約１ｃｐｓを超える粘度を有する。ＤＯＤ印刷プロセスでは、インクの好ましくは、２５℃で測定される際、約１．５ｃｐｓを超える粘度を有し、より好ましくは約１．７を超え、最も好ましくは約１．８ｃｐｓを超える粘度を有する。インクの粘度は、本願特許出願人の標準試験方法に従って測定される。

本発明の実施に使用すると好ましいインクは、画質および耐光性の満足できる組み合わせを有する印刷画像が得られるインクである。さらに、本発明の画像担持中間層が組み込まれる積層体は、本明細書に記載される接着特性を有するべきである。本発明で印刷に使用されるポリマー中間層基材の性質、および安全ガラスの接着における必要条件のため、好適なインクの選択に問題がないわけではない。本発明を実施するための使用に適したインクは、満足できる結果を得るために基材と適合性がある必要もある。本発明を実施するための使用に適したインクは、ＰＹ １２０、ＰＹ １５５、ＰＹ １２８、ＰＹ １８０、ＰＹ ９５、ＰＹ ９３、ＰＶ１９／ＰＲ ２０２、ＰＲ １２２、ＰＢ １５：４、ＰＢ １５：３、およびＰＢＩ ７よりなる群から選択される顔料を使用して得ることができることを発見した。当業者であれば、種々の顔料のカラーインデックス番号であることが分かるであろう。発明を実施するための使用に適した顔料およびインクセットは、２００３年６月２６日出願、発明の名称「非水性インクジェットインクセット」（Ｎｏｎ−Ａｑｕｅｏｕｓ Ｉｎｋｊｅｔ Ｉｎｋ Ｓｅｔ）
米国特許公報（特許文献８）に記載されており、この記載内容全体を本明細書に援用する。

環境に長期間曝露した後に元の色を維持する顔料または染料の能力である耐候性は、本発明の実施に有用なインクセットに関する重要な問題である。耐候性は、ＡＳＴＭ Ｇ９０サイクル２に準拠してカラーブロックの促進耐候性試験によって評価することができる。耐候性試験試料は、１２０キロラングリー（約１年の自然曝露）〜１，２００キロラングリー（約１０年の自然曝露）の範囲で耐候性試験を行うことができる。本発明での使用に適した顔料は典型的には、４８０キロラングリーの曝露時間を有する試料に対して、促進耐候性試験後のΔＥ（すなわちＥ値の変化の大きさ）が約８以下であり、好ましくはΔＥが約３．５未満であり、より好ましくは約２．５未満であり、最も好ましくは約２．０未満である。
ΔＥは、Ｌ、ａ^＊、およびｂ^＊の色測定値から次式：
ΔＥ＝［（Ｌ_Ｉ−Ｌ_ｗ）^２＋（ａ^＊ _Ｉ−ａ^＊ _ｗ）^２＋（ｂ^＊ _Ｉ−ｂ^＊ _ｗ）^２］^１／２に従って求められ、式中、Ｌ_Ｉ、ａ＊_Ｉ、およびｂ＊_Ｉは初期の色測定値であり、Ｌ_ｗ、ａ^＊ _ｗ、およびｂ^＊ _ｗは耐候試験後の色測定値である。Ｌ、ａ^＊、およびｂ^＊は、明度を表すために従来使用されているカラースケール軸であり、すなわち画像の黒／白（Ｌ）、赤／緑（ａ^＊）、および青／黄（ｂ^＊）である。約１０未満のΔＥが本発明の実施に適している。印刷技術分野の当業者であれば、本明細書に記載されるΔＥ値を解釈できるであろうが、比較のため、約２〜５のΔＥは比較対照なしに訓練されていない肉眼で許容することができ、約１．５未満のΔＥは人間の肉眼では検出できない。特に、耐候性および耐候性に関して従来知られている黄色顔料は本発明の実施において予想される性能を示さなかったが、他の顔料では本発明の実施において驚くべき良好な性能が得られることが分かった。これらの予期せぬ結果は、理論に固持しようとするものではないが、これらの予期せぬ優れた顔料とポリマー基材との間に相乗関係があるためと考えることができる。

圧電プロセスに有用な印刷ヘッドは、たとえば、エプソン（Ｅｐｓｏｎ）、セイコーエプソン（Ｓｅｉｋｏ−Ｅｐｓｏｎ）、スペクトラ（Ｓｐｅｃｔｒａ）、ザール（ＸＡＡＲ）、およびザール−日立（ＸＡＡＲ−Ｈｉｔａｃｈｉ）より入手可能である。サーマルインクジェット印刷に有用な印刷ヘッドは、たとえば、ヒューレットパッカード（Ｈｅｗｌｅｔｔ−Ｐａｃｋａｒｄ）およびキヤノン（Ｃａｎｏｎ）より入手可能である。コンティニュアスドロップ印刷に好適なヘッドは、たとえばアイリス（Ｉｒｉｓ）およびビデオジェット（Ｖｉｄｅｏ Ｊｅｔ）より入手可能である。

任意選択的に、本発明のインクシステムはバインダー樹脂を含む。バインダー樹脂は、インクと積層体基材との間の接着性を向上させるために好ましいことがある。本発明の実施に使用すると好適なバインダーとしては、たとえばポリビニルピリリドン／酢酸ビニル（ＰＶＰ／ＶＡ）、ポリビニルピリリドン（ＰＶＰ）、およびＰＵＲが挙げられる。バインダー樹脂の混合物も本発明の実施に有用となる場合がある。その他のバインダーも従来公知であり、本発明で有用となる場合もある。

一実施態様において、本発明のインクはバインダーを含まない。典型的にはバインダーは、インクの基剤への親和性を増大させるために望ましい。しかし、添加されたバインダーによってインクの粘度が増加し、それによって本発明の方法による印刷には粘度が高くなりすぎる場合がある。本願特許出願人らは、驚くべきことに、本発明の積層体中に望ましい接着レベルが、好ましい溶媒を顔料と併用することで得られ、本願特許出願人らがインク中のバインダーを減少させたり使用しなかったりできることを発見した。

従来、ポリマー分散剤または界面活性剤などの分散剤によって、顔料がビヒクル中で安定化して分散体となる。より最近では、いわゆる「自己分散可能な」または「自己分散性」顔料（以降「ＳＤＰ」）が開発されており、本発明の実施に使用すると好適である。ＳＤＰは、従来の分散剤を使用せずに水性ビヒクル中に分散可能である。本発明の顔料粒子は、数種の方法により安定化させることができる。顔料粒子は、たとえば（特許文献９）（この記載内容全体をあらゆる目的で本明細書に援用する）に記載される表面処理によって自己分散性にすることができるし、または顔料粒子は従来の方法で分散剤を使用した処理によって安定化させることができるし、または顔料は表面処理および従来の処理のある組み合わせによって分散させることもできる。

好ましくは、従来の分散剤が使用される場合、その分散剤はランダムポリマーまたは構造化ポリマーの分散剤であってよい。好ましいランダムポリマーとしては、アクリルポリマーおよびスチレン−アクリルポリマーが挙げられる。しかし、最も好ましいものは、構造化分散剤であり、ＡＢ、ＢＡＢ、およびＡＢＣブロックコポリマー、分枝ポリマー、およびグラフトポリマーが挙げられる。一部の有用な構造化ポリマーは、米国特許公報（特許文献１０）、（特許文献１１）、および米国特許公報（特許文献１２）に開示されており、これらの記載内容全体をあらゆる目的で本明細書に援用する。

本発明の実施において重要なパラメーターの１つは、画像が印刷される粗面化された中間層表面の頻度である。粗面の頻度は、プロフィルメーターデータから得られるデータを使用して計算することができる。本発明の実施において、好適な頻度は約０．９０サイクル／ｍｍを超える。好ましくは、頻度は約０．９０サイクル／ｍｍ〜約３サイクル／ｍｍの範囲である。より好ましくは、頻度は約１．０〜約２．９の範囲であり、最も好ましくは頻度は約１．１〜約２．５サイクル／ｍｍの範囲である。上限を超えると、画質の顕著な改善は見られなくなることがある。下限を下回ると、画質が低くなる場合がある。

別の実施態様において、本発明は、本発明の画像担持熱可塑性中間層を含む積層体に関する。中間層は、種々の基材、たとえば、ガラスまたはポリカーボネートなどと互いに積層することができる。好ましくは画像担持中間層シートは、少なくとも２つの板ガラスの間に積層される。中間層の他の層は、画像担持中間層およびガラスの間に配置することができ、たとえばガラス／「従来のＰＶＢ」／「印刷されたＰＶＢ」／合わせガラスとすることができ、この場合、印刷されたＰＶＢ表面は従来のＰＶＢ中間層表面と接触している。従来の積層技術が、本発明の積層体を得るために有用であり効果的である。

大まかには、本願特許出願人らは、本発明の画像担持積層体の接着性が、画像形成に使用される個々のインクの接着レベル、および画像形成に使用される各インクの相対量に依存しうることを見いだした。たとえば、本発明の画像担持積層体の接着性は、所与の色の組の個々のインクによって示される最も低い接着性以上となり、同じインクセットの個々のインクによって示される最も高い接着性以下となると予想することができる。したがって、本発明の積層体は、色の組で使用される種々のインクの接着性を複合した接着性を有し、配合物に依存して個々のインクの最低および最高の接着レベルの間の中間値となると思われる。

本発明での使用に適した個々のインク配合物の複合接着力は、圧縮剪断試験で測定される際、少なくとも約１０００ｐｓｉとなるべきである。配合物の個々のインクが少なくとも１０００ｐｓｉの接着力を示さない場合でも、約１０００ｐｓｉ未満まで複合接着力を低下させるのに実質的に十分亜量で配合物中に加えられなければ、好適な積層体を得ることができる。説明のため、個々のインクＡ、Ｂ、Ｃ、およびＤを含み、それぞれの接着両区が１５００ｐｓｉ、１３００ｐｓｉ、１２００ｐｓｉ、および８５０ｐｓｉであるインク配合物「Ｋ」について考える。本発明の実施に好適な画像担持積層体は、積層体の接着力を低下させるために実質的に十分な量のＤを含まないように配合物を調製することによって、なおＫから得ることができる。しかし、インク配合物の各インクが少なくとも約１０００ｐｓｉの接着力を示すことが好ましい。

いずれにせよ、本発明の積層体は少なくとも約１０００ｐｓｉの全体の接着強度を有し、これは安全ガラス用途に好適な接着レベルである。好ましくは、接着力は少なくとも約１４００ｐｓｉである。より好ましくは、本発明の積層体の接着力は約１５００ｐｓｉ以上であり、さらにより好ましくは約１７００ｐｓｉ以上である。最も好ましくは積層体は約１８００ｐｓｉ以上の接着強度を有する。

本発明の積層体は、従来の（すなわち非装飾用）合わせガラスが使用されるあらゆる用途で使用することができる。しかし、安全ガラスとしての従来の使用以外に、本発明の積層体は、装飾用物品、たとえば、ピクチャーウインドウ、装飾用カウンター、グラフィックアート、画像を有する店頭用の窓、表示部を有する会社のロゴ、広告媒体、および／または画像を担持する透明積層体が望ましい場合がある他のあらゆる使用などで使用することができる。

本発明の積層体は、画像担持中間層と、ガラスまたはポリカーボネートなどの安全ガラスまたは窓の製造に有用な材料とから得ることができる。中間層の他の構成要素への積層は、従来の積層技術を使用して実施することができる。たとえば、積層体物品に取り込まれる気泡を除去または防止できる条件下で、高い温度および圧力において２つの板ガラスの間で中間層を加圧することによって、画像担持中間層をガラスと積層することができる。

別の実施態様においては、本発明は、本明細書に記載の方法により印刷された画像担持中間層シートに関する。本発明の印刷された中間層シートは、ＰＥＴ、ＰＵＲ、および／またはＰＶＢなどの他の好適な中間層材料と積層して積層中間層を得ることができ、次にこれをガラスまたはポリカーボネートなどの本発明の好適な基材と積層することができる。

基材熱可塑性フィルムを従来のインクジェットプリンターに供給し、そのフィルム表面上に画像をインクジェット印刷して、続いてその画像担持を熱可塑性中間層材料の少なくとも第２のシートと積層することを含む方法によって得ることができる画像担持中間層。複合体の印刷された中間層は好ましくは約３０〜約６０ミルの厚さを有する。他の熱可塑性シートは、印刷なしであってもよいし、印刷画像またはベタ色を担持することができるし、透明、半透明、不透明、または任意のベタ色の透光性の色、たとえば赤、緑、青、あるいは白色であってよいし、印刷機材と目視で区別できる他のものであってもよい。

以下の実施例は、本発明を説明するために提供される。これらの実施例は、いかなる方法でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の説明および本明細書に含まれる教示ととともに、実施例によって、当業者が本明細書によって請求される本発明の明確な概念を得られるように本明細書が説明される。

（試験方法）
表面粗さＲｚは、ＩＳＯ−Ｒ４６８に記載されるように１０箇所の平均粗さから求められ、μｍの単位で表される。表面粗さは、マール・フェデラル（Ｍａｈｒ Ｆｅｄｅｒａｌ）（ロードアイランド州プロビデンス（Ｐｒｏｖｉｄｅｎｃｅ，ＲＩ）サーフアナライザー（ｓｕｒｆａｎａｌｙｚｅｒ）を使用して測定される。表面パターン頻度（Ｓｕｒｆａｃｅ Ｐａｔｔｅｒｎ Ｆｒｅｑｕｅｎｃｙ）は、自己相関関数対プロフィルメーターデータの距離のグラフを作成することによってサーフアナライザーのデータから計算される。自己相関データは、高速フーリエ変換によって解析される。報告される表面パターンの頻度はメジアン頻度である。

圧縮剪断接着試験：積層体接着力（圧縮剪断強度で与えられる）は、圧縮剪断試験によって求められる。圧縮剪断強度は、積層体を２．５４ｃｍ×２．５４ｃｍの６つの断片に切断することで求められる。これらの断片を４５°でジグに取り付け、圧縮試験装置を使用して０．２５ｃｍ／分の速度で断片に力を加える。ガラス−ＰＶＢ接着の凝集破壊を引き起こす力の量が、その積層体の圧縮剪断強度である。

画質試験：画質は、各積層体について、解像度および斑点に関して試料を目視で順位付けすることによって求めた。

促進耐候性試験：積層体を作製し、それらの積層体のＣＩＥ Ｌ^＊、ａ^＊、ｂ^＊の色を測定した。それらの積層体について、ＡＳＴＭ Ｇ９０サイクル２プロトコルに準拠した促進耐候性試験を行った。曝露から戻した試料のＣＩＥ Ｌ^＊、ａ^＊、ｂ^＊の色の変化を測定した。平均で４８０，０００ラングリーの曝露が、自然屋外曝露約４年に相当する。

（印刷／積層方法）
市販のインクまたは実験用インクのいずれかを使用して、対象となる画像を厚さ３０ミルの中間層上にインクジェット印刷した。積層前に、シーティング層を、２７％ＲＨで最低１６時間コンディショニングする。積層するために、１５ミルの透明中間層の層を、画像担持面上に配置する。中間層の厚さ１５ミルの第２の層を、画像の裏側に配置した。この多層構造体構造を、減圧バッグまたはニップロール法のいずれかを使用して脱気し、標準的な積層条件を使用してオートクレーブ処理する。積層体のオートクレーブ処理後、その積層体について圧縮剪断接着試験を使用して接着性を試験する。それらの結果を以下の表１に示す。積層体は、斑点および解像度に関して画質を目視による段階評価も行った。これらの結果を以下の表２に示す。

（実施例１〜４）
エプソン（Ｅｐｓｏｎ）３０００プリンターを使用してＰＶＢ上にインクをインクジェット印刷した。これらの試料を風乾し、上記のように積層した。

実施例１。インクの配合を以下に示す。

実施例２。インクの配合を以下に示す。

実施例３。インクの配合を以下に示す。

実施例４。インクの配合を以下に示す。

比較例１。ミマキ（Ｍｉｍａｋｉ）より市販されるインクを入手し、試料にＪＶ３インクジェットプリンターで印刷した。

比較例２。インクの配合を以下に示す。

比較例３。インクの配合を以下に示す。

実施例５〜７。実施例５〜７ならびに比較例４および５で使用したシーティング上の表面パターンをメルトフラクチャーによって形成した。比較例７で使用したシーティングの表面パターンは、脱気チャネルが平行な列で配列したエンボス加工によって形成し、パターンをメルトフラクチャーによって形成したシーティング上ではより不規則な脱気チャネルが見られることと対照的であった。

前述のようにして耐光性試験を行った。４８０，０００ラングリーの曝露後の実施例８〜１８のΔＥ値は８以下である。比較例７〜９で使用される顔料は低い耐候性を有することが分かり予想外であった。

Claims (35)

1. 少なくとも約１０００ｐｓｉの積層体接着強度を有する画像担持積層体を得る方法であって、顔料インクを使用して熱可塑性ポリマー中間層の少なくとも１つの表面上にデジタル画像を「インクジェット」印刷して画像担持中間層を得る工程と、前記画像担持中間層を透明材料のシート間に積層して画像担持積層体を得る工程とを含み、前記熱可塑性中間層が、ポリビニルブチラール（ＰＶＢ）、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリエステル、ＥＶＡから選択されるポリマーであり、前記顔料が、ＰＹ １２０、ＰＹ １５５、ＰＹ １２８、ＰＹ １８０、ＰＹ ９５、ＰＹ ９３、ＰＶ１９／ＰＲ ２０２、ＰＲ １２２、ＰＢ １５：４、ＰＢ １５：３、およびＰＢＩ ７よりなる群から選択される少なくとも１種の顔料を含むことを特徴とする方法。
2. 前記印刷方法が、前記顔料インクを粗面化された中間層表面上に噴射する工程をさらに含み、前記表面が約３０μｍ〜約６０μｍの粗さ（Ｒ_ｚ）および０．９サイクル／ｍｍを超える頻度を有し、前記インクが、分散剤を含み、および、任意選択的に水性または非水性のいずれかのビヒクル中のバインダーを含むことを特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 前記インクの粘度が、２５℃で測定される際に、約１ｃｐｓ〜約３０ｃｐｓの範囲であることを特徴とする請求項２に記載の方法。
4. 前記インクの粘度が約１ｃｐｓ〜約２０ｃｐｓの範囲であることを特徴とする請求項３に記載の方法。
5. 前記インクの粘度が約１ｃｐｓ〜約１５ｃｐｓの範囲であることを特徴とする請求項４に記載の方法。
6. 前記インクの粘度が約１ｃｐｓ〜約１２ｃｐｓの範囲であることを特徴とする請求項５に記載の方法。
7. 前記顔料が、１６重量％以下の含水率を有するビヒクル中に分散されることを特徴とする請求項６に記載の方法。
8. 前記ビヒクルが、プロピレングリコールエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート（ＤＰＭＡ）、またはこれらの任意のものの混合物よりなる群から選択される有機溶媒を含むことを特徴とする請求項７に記載の方法。
9. 前記ビヒクルがＤＰＭＡを含むことを特徴とする請求項８に記載の方法。
10. 前記ビヒクルがＤＰＭＡおよび水を含むことを特徴とする請求項９に記載の方法。
11. 前記ビヒクルが本質的にＤＰＭＡからなることを特徴とする請求項１０に記載の方法。
12. 前記インクが分散剤を含むが、バインダーは含まないことを特徴とする請求項８に記載の方法。
13. 前記分散剤が構造化ポリマーを含むことを特徴とする請求項１２に記載の方法。
14. 前記インクが分散剤およびバインダーを含むことを特徴とする請求項９に記載の方法。
15. 前記分散剤がＡＢ、ＢＡＢ、およびＡＢＣブロックコポリマー、分枝ポリマー、ならびにグラフトポリマーを含むことを特徴とする請求項１４に記載の方法。
16. 前記バインダーが、ポリウレタン（ＰＵＲ）、ポリビニルピリリドン（ｐｏｌｙｖｉｎｙｌ ｐｙｒｉｌｉｄｏｎｅ）／ポリ酢酸ビニル（ＰＶＰ／ＶＡ）、ＰＶＰ、およびこれらの任意のものの混合物よりなる群のバインダーから選択されることを特徴とする請求項１５に記載の方法。
17. 前記熱可塑性中間層が、ポリビニルブチラール（ＰＶＢ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ＰＵＲ、またはエチレン酢酸ビニル（ＥＶＡ）であることを特徴とする請求項１６に記載の方法。
18. 前記中間層がＰＶＢであることを特徴とする請求項１７に記載の方法。
19. 前記画像が、ドロップオンデマンド（ＤＯＤ）インクジェット印刷プロセスを使用して印刷されることを特徴とする請求項１８に記載の方法。
20. 前記ＤＯＤプロセスが圧電プロセスであることを特徴とする請求項１９に記載の方法。
21. 前記ＤＯＤプロセスがサーマルインクジェット印刷プロセスであることを特徴とする請求項１９に記載の方法。
22. 前記画像が、コンティニュアスドロップインクジェット印刷プロセスを使用して印刷されることを特徴とする請求項１８に記載の方法。
23. 少なくとも１つの中間層材料のシートを含み、前記中間層シートの少なくとも１つの表面上に画像を担持する、少なくとも約１０００ｐｓｉの接着強度を有する装飾用積層体であって、前記画像が、水性または溶剤ベースのいずれかの顔料インクを粗面化された中間層表面上に噴射する工程を含むインクジェット印刷プロセスを使用して印刷され、前記表面が約３０μｍ〜約６０μｍの粗さ（Ｒ_ｚ）および０．９を超える頻度を有し、前記顔料が、ＰＹ １２０、ＰＹ １５５、ＰＹ １２８、ＰＹ １８０、ＰＹ ９５、ＰＹ ９３、ＰＶ１９／ＰＲ ２０２、ＰＲ １２２、ＰＢ １５：４、ＰＢ １５：３、およびＰＢＩ ７よりなる群から選択される少なくとも１種の顔料を含み、前記インクが、印刷ヘッドを加熱することなくインクジェット印刷ヘッドを介して前記インクを噴射することが可能となる十分低い粘度を有し、前記インクが分散剤を含み、および任意選択的にバインダーを含むことを特徴とする装飾用積層体。
24. 前記中間層が２つのガラスシートの間に積層されることを特徴とする請求項２３に記載の積層体。
25. 前記積層体が少なくとも約１４００ｐｓｉの接着強度を有することを特徴とする請求項２４に記載の積層体。
26. 前記積層体が少なくとも約１７００ｐｓｉの接着強度を有することを特徴とする請求項２５に記載の積層体。
27. 前記積層体が少なくとも約１８００ｐｓｉの接着強度を有することを特徴とする請求項２６に記載の積層体。
28. 少なくとも２種のインクを使用して印刷された画像を含み、各インクが、別個に前記中間層上に印刷された場合、少なくとも１０００ｐｓｉの接着力を有することを特徴とする請求項２７に記載の積層体。
29. 各インクが、別個に前記中間層上に印刷された場合、少なくとも１４００ｐｓｉの接着力を有することを特徴とする請求項２８に記載の積層体。
30. 各インクが、別個に前記中間層上に印刷された場合、４８０キロラングリー後に１０未満のΔＥを有することを特徴とする請求項２９に記載の積層体。
31. 少なくとも１つの表面上に画像を担持する熱可塑性中間層シートであって、前記画像が、水性または溶剤ベースのいずれかの顔料インクを粗面化された中間層表面上に噴射する工程を含む方法によって前記シート上に印刷され、前記表面が約３０μｍ〜約６０μｍの粗さ（Ｒ_ｚ）および０．９サイクル／ｍｍを超える頻度を有し、前記顔料が、ＰＹ １２０、ＰＹ １５５、ＰＹ １２８、ＰＹ １８０、ＰＹ ９５、ＰＹ ９３、ＰＶ１９／ＰＲ ２０２、ＰＲ １２２、ＰＢ １５：４、ＰＢ １５：３、およびＰＢＩ ７よりなる群から選択される少なくとも１種の顔料を含み、前記インクが、印刷ヘッドを加熱することなくインクジェット印刷ヘッドを介して前記インクを噴射することが可能となる十分低い粘度を有し、前記インクが分散剤を含み、および任意選択的にバインダーを含むことを特徴とする熱可塑性中間層シート。
32. 前記中間層が、約１．０サイクル／ｍｍ〜約２．９サイクル／ｍｍの表面粗さ頻度を有することを特徴とする請求項３１に記載の中間層。
33. 前記中間層が、約１．１サイクル／ｍｍ〜約２．５サイクル／ｍｍの表面粗さ頻度を有することを特徴とする請求項３２に記載の中間層。
34. 前記中間層が、ＰＶＢ、ＰＥＴ、またはＰＵＲを含むことを特徴とする請求項３３に記載の中間層。
35. 前記中間層がＰＶＢであることを特徴とする請求項３４に記載の中間層。