JP2005534441A - 手術用糸を使用する半自動縫合装置 - Google Patents

手術用糸を使用する半自動縫合装置 Download PDF

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Abstract

手術用糸を使用する半自動縫合装置
本発明は手術用糸(1)を使用して半自動的に縫合する嵌め込み可能な装置を提供する。縫合によって生体組織及び/又は人工組織は接合される。本装置は係止手段(2)と支持要素を含む。係止手段(2)は2本の縫合糸(3、3)を係止域(4)において合わせて接合する。支持要素は支持面(4)を有しており、縫合される組織を支持する。本装置は更に、制御された張力を糸に付与する制御張力付与手段(4)を含む。制御張力付与手段(4)は、係止手段(2)を使用して2本の糸が合わせて係止された後に、糸に第1所定張力値の張力を作用させるように構成される。装置の支持要素(4)及び係止域(4)間の連結部分には制御張力付与手段(4)が設けられる。

Description

本発明は手術用糸を使用する嵌め込み可能な半自動手術用縫合装置に関する。特に、本発明は縫合時に2本の糸繊維を合わせて係止する係止手段を含む縫合装置に関する。
本発明は詳細には、最小侵襲性の手術手法による縫合装置に関する。最小侵襲性の手術には、皮膚壁を小さく切開する工程と、機器を差し込む工程と、映像の補助を得て開口から手術を行なうためのカメラ等の観察手段が含まれる。開口は3ミリメートル(mm)から12ミリメートルの範囲内の直径を備えており、「トラカール」と称する中空円柱状機器によって形成される。
最小侵襲性手術では、手術用糸による縫合によって吻合が形成されることが頻繁にある。糸は結び目を形成することにより固定される。手術中に器官又は血管上で結び目を形成することは困難な処置である。なぜなら:
・縫合糸の弛緩によって重症の又は致命的でさえある合併症を引き起こし得る。
・腹腔鏡手術法を実行しながら結び目を形成することは技術的に困難である。
・必要とされる結び目の数が増加することにより、例えば血管の締め付けを含むような特定の手術では手術時間が著しく増大し、手術中又は手術後に合併症を引き起こす危険がある。そのような手術は極めて短時間で終わらせなければならない。
クリップ又はステープル型装置を使用することが、特に特許文献1において提案されている。特許文献1では縫合糸は取り替えられており、結び目を形成する必要がない。しかしながら手術医は、手術医によって形成された縫い目を判断するための自動的且つ習慣的な技術を獲得していることから、縫合時に糸を使用するほうを好む。また、クリップ又はステープル型装置の信頼性は未だ確認されていない。
従って本発明は、糸を使用して縫合するが、結び目を形成するための代替物が設けられた装置を提供する。その結果、2本の縫合糸はより容易に接合されるとともに、糸を接合するために必要な時間が大幅に短縮される。
発明者達が発見した縫合糸に結び目を形成する際における問題点として、最初に糸を緊張させてから2本の糸を恒久的に接続し、次により簡易に糸を結ぶために、手術医は糸に張力を作用させる必要がある。それ故問題点の一つとして、手術医が糸に作用させる張力を制御して、過度に緊張させたり、反対に充分に緊張させなかったりして、縫合が不適当となることがないようにする必要がある。糸の張力を制御し、糸に結び目を形成することは、いずれも困難な行為である。なぜならば、結び目は長い(20センチメートルから30センチメートル)鉗子を使用し且つトラカールを介して、制限された空間において形成されなければならないからである。糸を過度に緊張させると、糸自体が切れたり、或いは治療される生体組織が挟み潰されたりすることが起こり得る。このように生体組織が潰されると、組織破壊又は炎症反応現象が引き起こされる可能性がある。対照的に、緊張が不十分であると、組織片間又は組織とプロテーゼ間の連結部分が不完全となる恐れがあり、また縫合が液密でなくなる。
特許文献2乃至6では、手術医が結び目を形成する代わりに、2本の糸を接合及び係止する種々の装置を提案している。しかしながら、それら従来の装置では、2本の糸を接合及び係止する前に、縫合をかたく締めるために糸を緊張状態にする必要がある。この工程の間に、手術医により糸に作用させられた張力を自動的に制御することは不可能である。
また提案された装置の幾つかにおいて、形成された縫合を解くことは、その必要があっても容易ではない。
米国特許第5,356,459号 米国特許第5,669,917号 米国特許第6,066,160号 米国特許第6,077,277号 米国特許第6,217,519号 米国特許第6,293,961号
従って、本発明の目的は、従来の縫合糸を使用した手術用縫合装置を提供して、従来装置の欠点を改善しつつ、従来の手術における効果を維持し、且つ手術医の信頼を高めることにある。
特に、本発明の目的は、迅速且つ確実に手術医によって半自動的に縫合糸を係止することが可能な縫合装置を提供することにある。
本発明の別の目的は、縫合装置によって形成された縫合が撤回可能或いは取り外し可能な性質を持ち、特に周囲の組織に損傷を与える恐れなく殆ど即座に縫合が切断される縫合装置を提供することにある。
上記目的に鑑みて、本発明は縫合装置を提供する。縫合装置は係止域において2本の糸を接合する係止手段を備える。本装置はまた、制御張力付与手段を含み、係止手段を使用して2本の糸が合わせて係止された後に、第1所定張力値の張力を糸に作用させる。
詳細には、本発明は手術用糸を使用して半自動的に縫合する嵌め込み可能な装置を提供する。縫合によって、生体組織及び/又は人工組織は接合される。本装置は係止手段を含み、係止手段は係止域において2本の縫合糸を合わせて接合する。本装置はまた支持要素を含む。支持要素は縫合される組織を支持する支持面を備える。本装置は更に、糸に制御された張力を付与する制御張力付与手段を含む。制御張力付与手段は、2本の糸が係止手段を使用して合わせて係止された後に、第1所定張力値の張力を作用させる。装置の支持要素及び係止域間の連結部分には、制御張力付与手段が設けられる。
本明細書では、2本の糸が係止域において相互に移動することができない時に、2本の糸繊維は「接合」されていると言う。即ち、2本の糸は係止域において必ずしも相互に接触している必要はない。
本装置を使用して複数の生体組織片が接合され、1個以上の生体組織片が1個以上の人工組織と接合され、或いは複数の人工組織片のみが接合される。
本発明の装置において、係止手段及び張力付与手段は協働して、第1所定張力値の張力が作用させられる前に2本の糸を合わせて係止する。また、2本の糸が合わせて係止されると、装置は糸に第1所定張力値の張力を自動的に付与する。
縫合糸に張力を付与する工程では、糸を緊張させることによって、縫合によって接合される2個の組織片、又は1個の組織片とプロテーゼとが効果的に合わせて移動させられる。組織はプロテーゼを伴う生体組織又は人工組織である。
本明細書において、「制御張力付与」という用語は、既知且つ所定の第1張力値の張力
を付与することを意味しており、張力は張力付与手段を使用して自動的に付与されるとともに、手術医によって糸又は装置に手動で作用させられる初期の張力値に左右されることがない。それ故、本発明の装置を半自動的と言う。
縫合糸に第1所定張力値の張力が付与されるように制御されることにより、装置は検力計として作用する。また、装置の効果に貢献するとともに、装置を使用した場合において縫合速度を向上させ且つ縫合を簡易にする。本発明の装置が検力計として作用することにより、張力は適切、均一、確実且つ反復的に、縫合を行なう糸に作用させられる。均一な張力を備えることにより、縫合された組織へ力を均等に配分することができるので、組織への侵襲が最小限となる。
第1所定張力値は好適には、手術部位に応じて、即ち縫合される組織の種類及び使用される縫合糸の種類に応じて、0.1ニュートン(N)から10Nの範囲内にあり、詳細には約2Nである。この値は、従来の手術において、良好な手術状態で血管及び血管プロテーゼ間に形成される平均縫合張力値に対応する。
好適な実施形態において、係止手段を使用した縫合糸の係止工程は、第1所定張力値の張力を縫合糸へ自動的に付与させるように構成されており、第1所定値は好適には0.1Nから10Nの範囲内にある値である。
更に詳細には、本発明の検力計縫合装置において、制御張力付与手段は、支持要素及び係止手段(2)と協働する。支持要素は域(4)において縫合される組織を支持する支持面を有し、域(4)において、装置は組織、好適には組織内における縫合開口の近接部位と接触する。係止域と、装置及び組織間の接触域との間の距離は、初期距離(L)と最終距離(L’=L±b)の間で調整される。初期距離(L)において、縫合糸の2端部は、好適には糸の張力が低い状態で係止される。最終距離(L’=L±b)において、第1所定張力値の制御張力が作用させられる。
従って、係止工程に先立ち手術医によって糸に作用させられる張力が第1所定張力値未満であるならば、最終距離(L+b)は初期距離よりも長くなる。逆に、係止工程に先立ち手術医によって糸に作用させられる張力が前記所定張力値よりも大きいならば、最終距離(L−b)は初期距離よりも短くなる。
詳細には、本発明の縫合装置において、組織上の接触域と係止域の間の距離を調整する張力付与手段は、接触域及び係止域間に連結手段を含む。
従って、第1制御張力値は2個の域、即ち接触域及び係止域間の距離を連結要素によって調整することにより達成される。この調整は2域間の初期距離及び係止工程に先立ち手術医によって作用させられる糸の初期張力と相関関係にある。
上述したように、糸への張力付与工程、更には接触域及び係止域間の調整距離達成工程は、好適には糸係止手段を作用させることにより自動的に開始される。しかしながら、手術医によって手動で開始させられてもよく、特に初期圧力を手で維持するために手術医によって作用させられる圧力を弛緩させることにより開始させられてもよい。
本発明の装置は、「補助装置」として知られている装着具を介して、縫合される組織と効果的に接触させられる。従って、本発明の縫合装置は装着具と協働するように構成されており、縫合装置は係止に先立ち、好適には係止域に対応する上側部分を介して装着具に固定される。また適切であれば、係止後において、装着具を使用して手によって糸へ張力が付与される。
一実施形態において、装着具はまた糸が合わせて係止された後に、解剖部位に応じて糸係止域から1ミリメートルから10ミリメートル、好適には5ミリメートルから6ミリメートルの範囲内にある距離だけ糸係止域の上方において縫合糸の端部を切断する。
一実施形態において、張力付与手段は接触域及び係止域間に弾性連結部を設ける手段を含み、接触域及び係止域の間は、制御初期距離(L)と最終調整距離(L’=L±b)の間で調整される。制御初期距離(L)において、接触域及び係止域間の間隔は、第1連結要素又は第1スペーサ要素により制御され、初期距離(L)は係止域及び接触域が接近位置にあるときの距離に対応する。接近位置は、遠隔静止位置(L+a)から圧縮させられることにより得られる。最終調整距離(L’=L±b、b<a)は力の均衡位置に対応し、接触域及び係止域間の距離は、第1連結要素又は第1スペーサ要素によって制御されることがない。
「力の均衡」という用語は本明細書では、連結手段によって作用させられる力と、縫合張力との間の均衡を意味する。
詳細には、連結手段は弾性を備えた材料により形成されるとともに、縫合装置は係止域を介して装着具に固定されており、係止域へ圧力が作用させられた時には、適切であれば係止域を装置の自然静止位置(L+a)から初期距離(L)へ移動させることが可能であり、初期距離(L)において2本の糸は、手術医によって縫合糸に作用させられる任意の張力、好適には張力が作用させられない状態で合わせて係止される。また、本発明の装置によって作用させられる縫合糸への張力付与工程は、係止域へ作用させられた圧力が解放される際に、係止域を調整最終距離(L±b)へ戻すことにより係止工程後に実行される。
係止域及び接触域は、糸が装置へ挿入させられる前であっても、初期距離(L)へ相互に接近させられる。次に、装置が装着具内における所定位置へ配置された時に、装置には元圧が付与される。
第1実施形態において、初期距離はタブ等の第1連結要素を使用して得られる。タブは当初に係止域と接触域とを接続するように構成される。また、接触域に対する係止域の調整最終距離は、装置の係止域及び接触域を連結する第1連結要素を解放することにより得られる。
好適には、第1連結要素は本発明の縫合装置の一部を形成しており、連結要素は手動で、特に本発明の装置を配置する機器を使用して解放させられる。或いは、係止手段が係止されたら第1連結要素を解放するように第1連結要素が係止手段に接続されているならば、連結要素は自動的に解放させられる。
このようにして好適な実施形態では、縫合糸が係止手段によって合わせて係止されたら第1連結要素が解放されるように、第1連結要素は係止手段と協働するように構成される。
本発明の第2実施形態において、装置は弾性連結手段を含むとともに、装着具と協働するように構成される。装置は、係止域に相当する上側部分を介して装着具に好適に固定される。その結果、接触域が組織と接触する前には、弾性連結手段は静止状態にあり、また接触域及び係止域は遠隔位置(L+a)にある。接触域が縫合される組織へ圧力を作用させると、弾性連結手段は圧縮状態とされて、係止域及び接触域間の距離は、最小スペーサ要素によって制御されて初期距離(L)まで減少させられる。このスペーサ要素は好適には装着具に固定される。支持接触域は装着具のスペーサ要素に当接させられる。また、最終距離(L±b、b<a)は、装着具及び装置が協働することにより、好適には装着具を
縫合装置から離間させることにより得られる。
「静止状態にある弾性連結手段」という用語は、弾性手段に圧力が付与されていない状態を意味する。
詳細には、連結手段は弾性を備えた材料により形成されており、係止域及び接触域の移動は装着具により制御される。装着具は以下のように係止域に固定される。即ち、係止域に圧力が作用させられた時に、係止域は遠隔位置(L+a)から装着具の第1スペーサ要素と当接する第1接近位置(L)へ移動させられる。第1接近位置(L)は初期距離に対応する。その状態において、2本の糸は手術医によって作用させられる任意の張力に基づいて合わせて係止させられる。その張力は第1所定張力値よりも大きく、又は小さい。また、係止後であって、装着具が後退させられた後に、係止域を第2調整位置(L±b)に向けて移動させることにより係止域に作用させられた圧力が解放された時に、縫合糸に張力が付与される。第2調整位置は、手術医によって糸に作用させられる張力が所定張力値よりも大きいならば第1位置よりも接近(L−b)し、或いは、手術医によって糸に作用させられる張力が所定張力値よりも小さいならば、第1位置よりも離間する(L+b)。
本発明に係る装置の別の有利な特性によれば、縫合が実施された後に、糸が係止域と組織内の縫合開口の間において、好適には係止域と接触域の間において切断可能となるように、装置は糸が妨げられないような形状を備える。
これにより、糸を切断し、また必要であれば縫合を除去することが容易になる。本装置によって施される縫合は撤回可能な性質を備えているので、誤って配置された時には、略瞬時に以前の状況へ戻すことができる。従って、手術中において手術医には大きな選択及び行動の自由が与えられる。
本発明に係る装置の別の有利や特性によれば、本装置は案内手段を含み、案内手段は2本の糸を組織内の縫合開口において、相互に水平方向に離間させた位置で保持する。
案内手段は詳細には、係止域において係止手段によって糸が接合された後、糸に張力が作用させられた時に、2本の糸を離間位置で維持するように構成される。次に案内手段は、糸が組織を貫通する開口において、糸の端部が合わせて係止された後、糸に張力が作用させられた時に組織に裂き傷を付けることがないようにする。
詳細には、本発明の装置は、装置と組織間の接触域を形成する支持面において、案内手段を有する。
本発明の好適な実施形態において、案内手段は少なくとも1個の切欠を含み、切欠は接触域を形成する支持面に形成される。
また好適には、切欠の下方において、支持面は布片を有し、布片は生体適合性材料により形成される。布片はまた、2本の糸を貫通させ、且つ糸を離間した状態で維持する。布は特に止血を容易にするとともに、縫合される生体組織又は人工組織の完全性を保つ合成材料により構成される。特に、布は血管プロテーゼ片、圧定布、又は綿棒により構成される。
従来の縫合において開口間の水平方向における間隔を維持するための従来技術では、手術医は「綿撒糸」を使用している。これは特に商標名ダクロン又は商標名テフロンにより形成される布片であって、手術医により2本の糸はその布片を別々に貫通させられる。また、布片は結び目と縫合される組織の間の媒介物として作用する。
本発明において、縫合された組織を通過した縫合糸を案内及び離間させる手段として作用する生体適合性材料はまた、旧来からの綿撒糸としても作用するが、装置に一体化させ
られており、装置と組織間の接触をより緩やかに且つ深く傷つけることがないようにする。また、止血を容易にするとともに縫合された組織の完全性を保つという綿撒糸の機能を達成する。
好適な実施形態において、係止手段は2個の係止面を含み、係止面は離間位置へ移動する。離間位置において、縫合糸を2個の係止面の間に挿入させることができる。また、係止面は接近係止位置となったら糸と2個の係止面との間の摩擦によって糸を合わせて係止するように構成される。2個の係止面を離間位置及び接近位置間において移動させることにより、好適には自動的に糸へ張力が付与される。
圧迫力ではなく摩擦力によって縫合糸が合わせて係止されることは有利である。圧迫力は糸の破損を引き起こす恐れがある。このため、係止面は以下の特性を備える必要がある。即ち、係止面を形成するために使用される材料は、縫合糸を構成する材料に対して適合性を備えていなければならない。糸との接触面積を最大限にして、摩擦力を増大させるために、面は可能な限り大きくなければならない。面は糸を切断してしまうような鋭角を備える必要はない。
本発明に係る装置の一実施形態において、係止手段を使用して糸を係止する工程は自動的に開始させられる。
係止機構は、縫合に際して本発明の装置を挿入及び配置するために使用される機器を介して自動的に開始させられる。
詳細には、本発明の装置が縫合のために組織と接触させられた時に、係止手段は第2所定値よりも大きい支持力によって自動的に始動させられる。第2所定値は0.2Nから20Nの範囲内にあり、特に10Nよりも大きい値である。この10Nの支持力は、腹部大動脈を吻合させるための従来の縫合において、手術医が第1の結び目を形成する間に縫合糸を引っ張る時に生じる力に対応する。この支持力の大きさは、実施される手術の種類及び使用される縫合糸の種類に応じて当然変化する。
係止手段は有利には2個の爪部を含む。爪部は弾性的に相互接続されるとともに、係止面を形成する。爪部は第2スペーサ要素により離間させられる。第2スペーサ要素は分離又は破損によって解放されるように構成されており、これにより係止面は相互に接近するように移動させられて、糸を係止する。
第2スペーサ要素は縫合装置自体、又は装着具の構成要素であってもよい。
詳細には、第2スペーサ要素は好適には、第2スペーサ要素を押圧する装着具によって、装置の支持面が第2所定値よりも大きい圧力を組織に作用させた時に自動的に解放される。第2所定値は好適には0.2Nから20Nの範囲内にあり、より好ましくは少なくとも10Nである。
更に詳細には、装置の係止域及び接触域の距離が調整最終距離となるように、両域間において第1連結要素を自動的に解放させることにより、第2スペーサ要素は解放させられる。最終距離において、糸には制御張力が作用させられる。
本発明の有利な実施形態では、本発明に係る装置の下側において組織に作用させられる支持力によって、第2スペーサ要素は解放させられる。これにより好適には、縫合糸が係止された後に、適切であれば係止域及び接触域間の固定間隔を初期距離で維持するための第1連結要素を解放することにより、糸に第1張力値の張力が付与させられる。その結果、係止域及び接触域間の距離は調整距離となる。
別の実施形態において、係止手段は突出要素を含む。突出要素は好適には円形断面を備え、更に好適には円柱形状を備えており、接合される縫合糸の端部がその周囲に巻回される。詳細には、係止工程は、突出要素を相互に接近又は離間させることにより達成される。
別の実施形態において、係止手段は係止域に係止開口を含む。係止開口は第2係止要素と協働する。第2係止要素はねじ、鋲、押しボタン、又は現実には固定くさびを含む。
別の実施形態において、係止手段は2本の糸を係止域において合わせて固着、溶接、熱シール、又は圧着する手段を含む。
好適には、糸は0.5Nから50N、特に約20Nから30Nの範囲内にある牽引力に耐えながら係止させられる。縫合糸はそれよりも大きな力で破損する。
本発明に係る装置の形状、特に支持面と係止域間の連結要素の形状によって、糸を切断して縫合を解き且つ装置を離間させることが不可能であるならば、代替案で提供される係止手段は、係止手段が機器によって解除させられることにより糸が合わせて係止された状態から解放される。
本発明では、「嵌め込み可能な装置」という用語を使用して、生体へ嵌め込み得る、特に長期に亘り例えば30日以上も生体内に嵌め込み得るような寸法及び生体適合性組成材料を備えた装置を表している。
同様に本発明では、「最小侵襲性手法によって嵌め込み可能」という用語を使用して、本発明の装置は最小侵襲性手法によって、詳細にはトラカールによって嵌めこまれる程度に十分に小さいということを表している。特に、トラカールは2ミリメートルから20ミリメートルの範囲内にある直径を有する。更に、本発明の装置は高さ及び幅に関して、2ミリメートルから20ミリメートル、好適には5ミリメートルから10ミリメートルの範囲内にある寸法を備える。
本発明の装置は最小侵襲性手術、特にロボット補助手術において、また従来の手術において使用することができる。装置の小型化の程度に応じて、例えば腹部手術、心胸手術及び頚部手術等、様々な最小侵襲性手術における装置の使用が考えられる。
更に有利な実施形態において、本発明の装置は単純な機械構成を備えるとともに、支持要素、係止手段及び制御張力付与手段を少なくとも部分的に、好適には全面的に備えており、単一の一体形成機械部品を形成する。
上述したように、本発明の装置を形成する要素の構成材料は生体適合性材料である。この種の材料としては、金属、プラスチック又は複合材があり、また当該技術分野に属する者には周知である。幾つかの生体適合性材料は、以下に記載する詳細な説明において一例として挙げる。
図1乃至図11において、本発明の縫合装置は種々の構成要素をより明確に表すために概略的に図示されている。
図1乃至図7に示す第1実施形態において、本発明の装置はU字型であり、以下の構成要素を含む。
・組織と接する支持面及び接触域を形成する下側第1分岐部4
・係止域を含むとともに、係止手段2に固定され又は係止手段2と協働する上側第2分岐部4
・第1及び第2部分岐部4、4の間に設けられるとともに、前記の弾性度を備えた半
硬質材料から形成される連結要素4。連結要素は真直とされており、好適には2個の分岐部間がヘアピン連結となるように曲げられる。
装置全体は金属、プラスチック、又は複合材等の生体適合性材料から形成されており、特に361L鋼、チタン、又はポリプロピレンから形成される。
本実施形態において、U字の2個の分岐部間における空間には2本の糸のみが通過させられており、糸は必要であればこの位置で切断される。
本装置により作用させられる第1張力値は、特にヘアピン連結要素4の接合部分の寸法パラメータ、及び使用される材料の性質に応じて変化する。ポリプロピレン4.0から形成された糸を使用した腹部大動脈の手術に採用されるためには、約2Nが好ましい。
図1乃至図4は本発明の縫合装置を示す概略図であり、以下に記載する第1実施形態ではU字形状とされている。
上側分岐部4は係止域を形成しており、2個の爪部2を有する。爪部2は当初は解放、即ち離間させられており、2個の爪部2の各々に設けられた2個の隣接する相補面2及び2が相互に接近した時に、糸を相補面2及び2に対して摩擦させることにより、糸3及び3を係止するように作用し、糸は相補面2及び2間で係止される。
2個の爪部2は例えばポリプロピレンから形成される。また爪部2は弾性接続されており、2個の相補面2及び2は当初はスペーサタブ2によって離間させられている。この場合、スペーサタブ2は一端が一方の爪部2に固定されており、他端は歯2を担持している。歯2は第2爪部に形成された切欠2と協働するものであり、タブ2の歯2が切欠2から分離させられると、2個の爪部2は解放されて、2個の相補面2及び2は相互に接近する。
2個の爪部2の相補構造2及び2は好適には曲線形状を備えており、その表面上に糸に対する通路が形成される。通路は糸との接触面積が最大となるように、可能な限り長くされる。その結果、糸は締め付けよりもむしろ摩擦によって係止されることとなり、糸の破損が回避される。
下側分岐部4は中央切欠7を含む。中央切欠7はその下側が綿撒糸7により被覆されている。綿撒糸7は商標名ダクロン(Dacron)又は商標名テフロン(Teflon)により形成される。また、綿撒糸7は開口6及び6において糸3及び3を離間させており、その状態で糸3及び3が組織を通過して縫合が施される。開口の間隔は例えば3ミリメートルから5ミリメートルの間であり、これにより組織の完全性が保たれるとともに、止血が容易になる。
下側分岐部4は組織との接触域を形成しており、弾性連結域4及び第1連結要素即ち連結ロッド5を介して係止域4を形成する上側分岐部と接続される。連結ロッド5はその一端が下側分岐部4に固定されており、他端において第2歯5を担持する。第2歯5は上側分岐部4に形成された第2切欠2と協働する。第2切欠2は水平切欠であり、即ち上側分岐部4の一方の面に形成された切欠である。
縫合装置1は補助装置1と協働しており、補助装置1に固定される。上側分岐部4の一方の爪部2(又は両方の爪部2)は例えば中空ハウジング8内の補助装置1に保持され、爪部2は当初は嵌合及び/又は係止される。
連結ロッド5が上側分岐部4の水平第2切欠2と係合させられず、また係止される糸がない限り、上側分岐部4及び下側分岐部4は自然静止位置にあり、距離L+a
だけ離間させられる。
連結ロッド5が上側分岐部の水平第2切欠2と係合させられると、装置は圧縮状態となり、2個の分岐部4及び4間の距離は縮小させられて、係止が開始される直前及びその間の初期距離Lとなる。
本発明の縫合装置の所定位置への配置方法及び実施方法は以下のとおりである。
1)手術医は補助装置1のロッドの端部において補助装置1に固定された縫合装置1を持ち、且つ装置1を縫合域に接近させる。
2)手術医は下側分岐部4の切欠7内において綿撒糸7に穴を開け、縫合糸3及び3は綿撒糸6及び6を通過させられる。縫合糸3及び3と接続する2本の針で綿撒糸7を貫通させることは、手術医によって常習的に行なわれている行為であり、問題はない。糸が綿撒糸7を通過させられると、糸がもつれあう危険性がなくなる。また、係止機構はスペーサタブ2によって離間させられている2個の爪部2により構成されることから、糸を係止機構に、即ち離間させられた2個の爪部2及びスペーサタブ2により形成させる空間内に容易に挿入することができる。
3)続いて、綿撒糸7及び2個の爪部2とスペーサタブ2によって形成される空間を貫通する糸3及び3に沿って縫合装置を滑動させることにより、装置は下降させられる(図1参照)。次に糸3及び3は張力が低下させられて、2個の分岐部即ち係止域4及び下側分岐部即ち接触域4の間の距離は、連結ロッド5により維持される初期距離Lとなる。
4)縫合される組織と接触させる際には、手術医は装着具1を介して装置1を縫合される組織に押圧する。作用させられる推力が第2値、特に10Nの所定レベルに達すると、これを目的として設けられた補助装置の押圧要素8はスペーサタブ2を押圧し、スペーサタブ2はその歯即ち突部2が切欠2から移動するように屈曲させられる(図2)。従って、弾性的に相互接続された2個の爪部2は相互に接近するように移動し、且つ糸3及び3を相補面2及び2の間で係止するように相互に押圧する(図3)。この段階において、糸3及び3は当初に手術医によって糸に作用させられた張力に対応する張力値で係止される一方で、装置は縫合される組織に押圧される。また、下側分岐部4の接触域及び上側分岐部4の係止域間の距離はLである。同時に、或いはその直後に、縫合装置は先ず補助装置から離間し、次に下側分岐部4及び上側分岐部4の間にある連結ロッド5を非係合状態とすることにより、下側分岐部4及び上側分岐部4間の距離は最終距離L’=L±bに調整される。
下側分岐部4及び上側分岐部4の間に設けられた弾性連結要素4は、下側及び上側分岐部4、4の間の距離がL±bであり、b<aである時に、2個の分岐部が第1所定張力値の張力を作用させるように構成される。第1所定張力値は詳細には0.1Nから10Nの範囲内にあり、更に詳細には上述したように2Nの値を有する。
5)次に糸は係止域4の上方数ミリメートル、詳細には5ミリメートルから6ミリメートルにおいて切断されることにより、糸は選択された第1所定張力値が付与された状態で合わせて係止される。第1所定張力値は縫合装置の形成方法、詳細には下側及び上側分岐部4、4間に設けられた連結要素4の形成方法の関数として得られる。
従って、縫合装置が縫合される組織と接触し、且つ第2所定値、この場合は10Nの支持力が装置に作用させられると、自動的に糸3及び3は合わせて係止される。この10Nの値は、血管系の手術医が通常の方法で縫合を行なう際において、結び目を形成するために縫合糸を引っ張る時に作用させられる力に相当する。係止前では、この10Nの初期支持力は連結ロッド5により支持されており、連結ロッド5は支持力にも拘わらず下側及び上側分岐部4、4を離間させた状態で維持する。スペーサタブ2が分離させられ且つ2個の爪部2が解放されると、弾性接続された爪部2が相互に接近するように
移動することにより、糸は合わせて係止されるとともに、下側及び上側分岐部4、4間の距離は最終距離(L±b、b<a)に調整される。この距離において、分岐部は合わせて係止された糸に対して張力を作用させ、その張力は前記第1所定値である。
また有利には、補助装置1はスペーサ要素5を含み、スペーサ要素5は装置接触域を備えた下側分岐部4を係止域を備えた上側分岐部4に近付け過ぎないように、即ちLより小さい距離まで接近させないようにする。その結果、下側分岐部4即ち接触域4は特に連結ロッド5の回転によって離脱させられる恐れもなく、縫合のために組織に押圧される。
下側分岐部4及び上側分岐部4間の空間は、縫合装置1の使用を中止するために必要であれば、糸3及び3を切断するための利用手段となる。
従って、合わせて係止される糸に第1所定張力値を付与した後に、糸3及び3を係止る機構を自動的に始動させることにより、手術医は一連の行為を行なう必要から問題なく解放される。
図5乃至図7は、U字型縫合装置の第1態様における第2実施形態を示す。第2実施形態は以下の点において図1乃至図4に示す第1態様と異なる。
1)係止域を構成する2個の爪部2を離間させるための第2スペーサ要素2は縫合装置1の一部を完全に形成しておらず、装着具1と一体化させられている。
2)各々係止域4及び接触域4を形成するU字形状の上側及び下側分岐部は、当初は連結ロッド5によって相互に接続されておらず、第1スペーサ要素5によって離間させられている。第1スペーサ要素5は装着具1の一体化部分を形成する。
図1乃至図4に示す第1態様と同様に、図5乃至図7の縫合装置1は係止域2を介して装着具1に固定される。詳細には、各爪部2は装着具1のスペーサーバー2を使用して、離間位置に保持されており、バーの両端210及び211は2個の爪部2の各々に形成された溝2に収容される。補助装置に設けられた2個の第1スペーサ要素5の各上端において、その上面によって2個の爪部2の底面は離間位置で保持されており、また2個の爪部2の上面は補助装置1の横断バー9により保持される。
初めに、装置の接触域を形成する下側分岐部4は、縫合される組織と接触させられる前には、補助装置に設けられたスペーサ要素5の下端を必ずしも押圧する必要はない。補助装置のスペーサ要素5の高さは初期の係止距離Lに相当しており、装置の接触域4が縫合される組織と接触させられ、次に組織に押圧させられたときには、補助装置1の第1スペーサ要素5により装置の中間連結要素4の屈曲が制限されて、係止域4及び接触域4間の距離は初期距離Lと等しくなる。上側係止域4及び下側接触域4間における初期距離Lは、縫合糸が合わせて係止された後に第1所定張力値を確実に得るように、装置のこれら2域間で維持する必要がある間隔(L±b)の平均値に相当する。
静止状態において、2個の爪部2は所定位置に配置される前に、補助装置のスペーサロッド2によって離間させられており、ロッドの端部は2個の爪部2の各々に形成された溝2に収容されている。爪部2に形成された溝2は対称的であり、且つ深端2から浅端2へ向けて深さが変化するように構成されている。その結果、
・初めに、スペーサロッド2の端部210及び211は溝2の深端2に収容される。この位置において、手術医は切欠7内において綿撒糸7として作用する布に縫合糸によって穴を開け、次に糸を2個の爪部2及び補助装置のスペーサロッド2によって形成される空間を通過させる。糸は綿撒糸7を介して、2個の爪部2及びスペーサロッド2の間に形成される空間内へ滑動させられることから、糸が逃げる心配なくアセンブリは縫合される組織と接触させられる。
・その後、縫合される組織と接触させられる時には、装着具1に対して圧力Pが方向NN’へ作用させられ、その圧力はスペーサロッド2へ伝達される。スペーサロッド2は軸NN’がロッド2の中央を通過するように位置させられる。その結果、スペーサロッド2の両端部210、211は溝2に沿ってその深端2から浅端2へ向けて滑動し、2個の爪部2の間隔が増大する。
・次に、補助装置に作用する推力が第2所定値、例えば10Nの支持力に到達すると、爪部のスペーサロッド2は溝2から完全に脱出する。2個の爪部2はその相補面2及び2が弾性的に接続されていることから、相互に接近するように移動して、縫合糸3、3を合わせて係止する。係止の瞬間に、接触域4及び接近した2個の爪部2により構成される係止域4は、補助装置1の第1スペーサ要素5の高さに相当する初期距離Lだけ離間させられる。
このようにして接近移動した後における2個の爪部2の幅は、補助装置1に設けられた2個の第1スペーサ要素5の上端間における距離より小さい。それ故、補助装置は上方へ引っ張られることにより装置から後退及び離間させられて、接触域4及び係止域4間の間隔は補助装置1の第1スペーサ要素5によって制御されなくなる。ここで、連結要素4の弾性効果に基づいて、装置の上側及び下側分岐部4、4によって合わせて係止された糸へ作用させられるのは第1所定張力値、詳細には2Nの第1張力値である。
図8乃至図10に示す本発明の第2態様において、装置は以下のように構成される。
・組織を支持するための支持面を形成する第1板材4
・係止域を含む第2板材4
・第1板材4及び第2板材4はばねブレード又は線材を含む弾性連結要素によって相互に接続される。
詳細には、本発明の装置は以下のように構成される。
・円錐形の包絡線を形成するばね線材;
・ばねにより形成される切頭円錐形の大きい底面に対応するばねの端部に設けられる第1板材4
・ばねにより形成される切頭円錐形の小さい底面の側方においてばねの端部に設けられる第2板材4
・好適には、ばね4は第1及び第2板材が相互に接近移動することにより圧縮させられると、その空洞中央空間に適切に収容される。
本実施形態において、縫合糸は第1及び第2板材間においてばねの内側を通過する。
係止域4は好適には、その寸法が接触要素4よりも小さい。圧縮状態では、ばねは高さ方向において最小限の空間面積を占有する。予め定義されたばね剛性によって、検力計の作用が得られる。
円錐形ばね4を備えた第2態様は、中間連結要素4が円錐形包絡線のばね4によって構成されている点において、図1乃至図4に示すU字型の第1態様と本質的に異なる。
他の点では、係止域4は2個の相互接続された爪部によって同様に構成される。係止域4は弾性接続された2個の爪部2によって構成されており、爪部2はスペーサロッド2により離間した状態とされる。スペーサロッド2はその一端が2個の爪部の一方に固定されており、その他端において第2爪部に形成された切欠2と協働する。従って、2個の爪部2は離間させられた状態にされるとともに、装着具1の所定位置に保持される。その後、スペーサロッド2に支持力が作用させられると、スペーサロッド2は撓
み、第2爪部2に形成された切欠2から脱出する。その結果、2個の爪部2の相補面2、2は相互に接近するように移動して、糸を係止する(図9)。同時に、連結ロッド5は非係合状態とされて、第1板材4及び第2板材4間の距離は接続ばね4により作用させられる張力のみによって制御される。係止する際において、上述したように最終距離L±bとなるように接触及び係止域間の初期距離Lから移動するときには、接続ばね4は第1張力値、詳細には2Nの張力を作用させるように構成される。
従って本第2態様では、補助装置1に作用される圧力によって、縫合糸は合わせて係止され、その後合わせて係止されると、縫合糸には第1所定値の張力が付与される。
図1乃至図10に示す両態様の実施形態において、縫合装置は以下のように構成されている。
・静止状態において、接触域4及び係止域4間の距離はL+aに等しい。
・装置が縫合される組織と接触させられ、且つ係止の準備が整えられた位置にあるとき、接触域4及び係止域4間の距離はLに等しく、可能であれば装置は装着具の所定位置に保持される(第1態様)。
・装置の多様な構成要素における弾性、特に中間連結要素4の弾性は、接触域4及び係止域4間の距離がL−b及びL+b(b<a)の範囲にある時に、第1の値、詳細には2Nの力によって圧縮された装置をL±bの距離に保持するように決められる。
一例として、L、及びの値は以下のとおりである。
L=2mm、a=1mm、b=0.5mm。
従って、これらの2態様の実施形態において、手術医が縫合装置を所定位置に配置する間には2つの状況が生じ得る。
1)第1状況
係止が開始される時には、手術医によって縫合糸に作用させられる張力はTと等しい。尚、T<T(T=第1所定張力値、例えば2N)である。接触域及び係止域間における糸の長さはLである。
本第1状況において、係止が行なわれた後に張力が付与される時には、装置は装着具1によって保持されておらず、装置には糸の張力Tのみが作用されるので、装置は拡張しようとする。その結果、接触域4及び2個の爪部2により構成された係止域4間の距離は、Lよりも大きな値、即ちL+b(b<a)となる。装置によって縫合糸に作用させられる張力は次にTと等しくなり、装置は糸によりL+b(は張力差T−Tの影響を受けた時の糸の伸長範囲に相当する)を超えて拡張することがない。
2)第2状況
係止が開始される時には、係止直前に手術医によって縫合糸に作用させられる張力はT>Tに等しく、また接触域及び係止域間における糸の長さはLである。
係止された後、装置によって糸に張力が付与される時には、装置は糸の張力Tの作用を受けて圧縮し、接触域及び係止域間の距離はL未満の値、即ちL−b(b<a)となる。従って、装置によって糸に作用させられる張力はTに等しく、また装置によって糸はL−b(は張力差T−Tの影響を受けた時の糸の短縮に相当する)を越えて縮むことがない。
図11は接触域1に設けられる案内手段の一実施形態を示す。案内手段は切欠7を有しており、切欠7は係止域の中央軸上において中央溝形状を有する。また切欠7は2個の区画7を備えており、区画7は中央溝の周囲に対称的に配置される。2個の対称区画7は2本の糸3、3を離間位置で保持するように保持突起を備え或いは保持突起を形成しており、糸は各々区画を通過する。切欠7の対称区画7は、糸に張力が作用させられたときに、2本の糸3、3が縫合開口6、6の軸上において緊張させ
られることにより縫合開口に歪が生じないように離間させられている。
種々の実施形態において、本発明の縫合装置は最小侵襲性手術に採用された時には、例えば装着具1を使用して所定位置に配置される。装着具1は2ミリメートルから12ミリメートルの直径を備えたトラカールを介して作動する。本装置は支持面及び係止域を有しており、それらは2平方ミリメートルから40平方ミリメートルの矩形面積内に配置されるとともに、10ミリメートルの最大高さだけ離間させられる。
本発明に係るU字型縫合装置の第1実施形態において、縫合装置が所定位置に配置される前に補助装置1に固定された状態を示す概略図。 本発明に係るU字型縫合装置の第1実施形態において、糸が合わせて係止される直前に補助装置が縫合装置の上部を押圧する状態を示す概略図。 本発明に係るU字型縫合装置の第1実施形態において、係止している状態を示す概略図。 本発明に係るU字型縫合装置の第1実施形態において、補助装置1が取り除かれ、且つ係止が行なわれた後の縫合装置1を示す概略図。 U字型縫合装置の第2実施形態において、縫合装置が装着用補助装置1の所定位置に保持された状態を示す概略図。 U字型縫合装置の第2実施形態を示す概略正面図。 U字型縫合装置の第2実施形態を示す概略側面図。 本発明に係る縫合装置の第2実施形態において、装置は円錐ばねにより相互に接続される2個の板材を含み、係止が行なわれる前の初期位置にあるばねを示す概略図。 本発明に係る縫合装置の第2実施形態において、係止位置にあるばねを示す概略図。 本発明に係る縫合装置の第2実施形態において、縫合装置の張力付与位置にあるばねを示す図。 支持面4において案内手段を構成する切欠7の別の態様を示す図。

Claims (21)

  1. 手術用糸(1)を使用して半自動的に縫合する嵌め込み可能な装置であって、縫合によって生体組織及び/又は人工組織は接合され、装置は係止手段(2)及び支持要素を含み、係止手段(2)は糸の2本の縫合糸(3、3)を係止域(4)において合わせて接合し、支持要素は縫合される組織を支持する支持面(4)を含み、装置は更に、制御された張力を糸に付与する制御張力付与手段(4)を含み、制御張力付与手段(4)は、係止手段(2)を使用して2本の糸が合わせて係止された後に、第1所定張力値の張力を作用させるように構成されており、装置の支持要素(4)及び係止域(4)間の連結部分には制御張力付与手段(4)が設けられることを特徴とする装置。
  2. 係止手段を使用して糸を係止する工程は、所定の張力値、好適には0.1Nから10Nの範囲にある張力を自動的に糸に付与するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 制御張力付与手段(4)によって、係止域(4)及び組織と接触する接触域(41)間の距離は、初期距離(L)と最終距離(L’=L±b)の間で調整され、
    初期距離(L)において、2本の糸(3、3)の端部は、好適には張力が低い状態で合わせて係止され、
    最終距離(L’=L±b)において、第1所定張力値の制御張力が作用させられることを特徴とする請求項1又は2に記載の縫合装置。
  4. 張力付与手段(4)は接触域(4)及び係止域(4)間に弾性連結手段を含み、接触域(4)及び係止域(4)間の距離を制御初期距離(L)及び最終調整距離(L’=L±b)の間で調整し、
    制御初期距離(L)において、接触域(4)及び係止域(4)間の間隔は第1連結要素(5)及び/又は第1スペーサ要素(5)により制御され、初期距離(L)は圧縮力が付与されることにより、係止域(4)及び接触域(4)が離間静止位置(L+a)に比べて相互接近位置にある時の距離に対応しており、
    最終調整距離(L’=L±b)は力が均衡する位置に対応しており、均衡位置において、接触域(4)及び係止域(4)間の距離は第1連結要素(5)及び/又は第1スペーサ要素(5)によって制御されることがない
    ことを特徴とする請求項3に記載の縫合装置。
  5. 係止域(4)及び接触域(4)間の初期距離(L)は、最初に装置の係止域(4)及び接触域(4)を接続する第1連結要素(5)を使用することにより得られ、第1接触域(4)に対する第1係止域(4)の最終距離(L’=L±b)は第1連結要素(5)を解放することにより得られることを特徴とする請求項4に記載の装置。
  6. 第1連結要素(5)は、係止手段(2)を使用して糸(3、3)が係止されてから第1連結要素(5)が解放されるように、係止手段(2)と協働するように構成されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
  7. 装置(1)は装着具(1)と協働するように構成されており、装置(1)は好適には係止域(4)に対応する上側部分を介して装着具(1)に固定され、
    支持面(4)が組織と接触する前には、弾性連結手段(4)が静止状態にあるとともに、支持面(4)及び係止域(4)が離間位置にあり、
    接触域(4)が縫合のために組織に押圧される時には、弾性連結手段(4)は圧縮させられ、且つ接触域(4)及び係止域(4)間の距離は第1最小スペーサ要素(5)により制御される初期距離(L)まで減少させられ、スペーサ要素(5)は好適に
    は装着具(1)に固定されており、支持面(4)は装着具の第1スペーサ要素(5)に当接させられ、
    最終距離(L’)は装着具(1)及び装置(1)が協働することにより、好適には装着具(1)を縫合装置(1)から離間させることにより得られる
    ことを特徴とする請求項4に記載の縫合装置。
  8. 糸が係止域(4)及び組織内の縫合開口(6、6)間において、好適には係止域(4)及び接触域(4)間において切断されるように糸は解放されることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の装置。
  9. 装置は案内手段(7)を含み、案内手段(7)によって2本の糸(3,3)は、組織内の縫合開口(6,6)において相互に水平方向に離間させられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
  10. 案内手段(7,7)は少なくとも1個の切欠(7)を含み、切欠(7)は接触域(4)を形成する支持面に設けられることを特徴とする請求項9に記載の装置。
  11. 案内手段は切欠(7)の下面に生体適合性材料により形成された綿撒糸(7)片を含み、綿撒糸(7)は2本の糸を相互に離間させておくように糸によって穴が開けられることを特徴とする請求項10に記載の装置。
  12. 装置はU字形状を備えており、
    組織を支持するための支持面を形成し、且つ接触域(4)を含む下側第1分岐部(4)と、
    係止域を含み、且つ係止域()に固定され或いは係止域(2)と協働する上側第2分岐部(4)と、
    第1及び第2分岐部(4、4)間に設けられる連結要素(4)とを含み、連結要素(4)は弾性を備えた半硬質材料により形成されており、好適には湾曲連結要素(4)であり、第1及び第2部分岐部間にはヘアピン連結部が形成されることを特徴とする請求項4乃至11のいずれか一項に記載の装置。
  13. 装置は、
    組織を支持するための支持面を形成し、且つ接触域を含む第1板材(4)と、
    係止域を含む第2板材(4)とを含み、
    第1及び第2板材(4,4)は連結要素(4)により連結されており、連結要素(4)は弾性ばね線材又はばねブレードを含む
    ことを特徴とする請求項4乃至11のいずれか一項に記載の装置。
  14. ばね線材(4)は円錐形包絡線を形成し、
    第1板材(4)は、ばねにより形成される切頭円錐台の大きい底面の側方において、ばねの端部に配置され、
    第2板材(4)は、ばねにより形成される切頭円錐台の小さい底面の側方において、ばねの端部に配置され、
    好適には、ばね(4)は第1及び第2板材が相互に接近移動することにより圧縮させられると、その空隙中央空間に収容されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
  15. 係止手段(2)は2個の係止面(2、2)を含み、係止面(2,2)は離間位置へ移動可能であり、離間位置において糸(3、3)を2個の係止面(2,2)間へ挿入させることができ、また係止面(2,2)が接近係止位置とされた直後に、糸及び2個の係止面(2,2)間の摩擦によって糸(3,3)を合わせて係止する
    ように構成されており、2個の係止面(2,2)を離間位置及び接近位置の間で移動させることにより、糸には係止後に自動的に張力が付与されることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の装置。
  16. 係止手段を使用した糸の係止は自動的に開始されることを特徴とする請求項15に記載の装置。
  17. 第2所定値よりも大きい支持力によって装置が縫合される組織に押圧された時に、係止手段を使用して糸は自動的に係止され、第2所定値は好適には0.2Nから20Nの範囲にある値、更に好適には10Nより大きい値であることを特徴とする請求項16に記載の装置。
  18. 係止手段は2個の爪部(2)を含み、爪部(2)は相互に弾性接続されるとともに、係止面(2,2)の各々を形成しており、係止面(2,2)は第2スペーサ要素(2)によって離間させられており、第2スペーサ要素(2)は、係止面(2,2)を相互に接近するように移動させ且つ糸(3,3)を合わせて係止するように分離又は破損により解放されることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一項に記載の装置。
  19. 第2スペーサ要素(2)は好適には、装置の支持面(4)が第2所定値よりも大きい圧力を組織に作用させつつ、装着具(1)を第2スペーサ要素(2)に押圧させることにより自動的に解放させられ、第2所定値は好適には0.2Nから20Nの範囲内の値、更に好適には10Nより大きい値であることを特徴とする請求項18に記載の装置。
  20. 第2スペーサ要素(2)は、装置の係止域(4)及び接触域(4)間が最終距離(L’=L±b)となるように、第1連結要素(5)を両域間で自動的に解放させるように構成されており、最終距離(L’=L±b)は糸に第1制御張力値の張力が作用させられるように調整されていることを特徴とする請求項17乃至19のいずれか一項に記載の装置。
  21. 支持要素(4)、係止手段(2)及び制御張力付与手段(4)は、単一の一体形機械部品を形成することを特徴とする請求項1乃至20のいずれか一項に記載の装置。
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