JP2005533021A - 肝炎の治療方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、一酸化炭素を含む薬学的組成物を患者へ投与する段階を含む、患者の肝炎を治療する方法に関する。

Description

関連出願との相互参照
本出願は、2002年5月17日に出願された米国特許仮出願第60/381,527号(これは全体が参照として本明細書に組み入れられる)に対する優先権を主張する。
連邦政府の資金提供による研究に関する陳述書
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)助成金番号第R01-GM-44100、HL 58688、HL55330、HL60234、およびAI42365号により、政府の援助を受けて実施された。米国政府は本発明について一定の権利を保有する。
技術分野
本発明は肝炎の治療に関する。
背景
一酸化炭素気体は高濃度では有毒である。しかし、現在、この気体は重要なシグナル伝達分子として認識されている(Vermaら、Science 259: 381-384, 1993)。さらに、一酸化炭素は脳(Id.)における神経メッセンジャー分子として、および視床下部における神経内分泌調節物質として機能することが示唆されている(Pozzoliら、Endocrinology 735: 2314-2317, 1994)。一酸化窒素(NO)と同じく、一酸化炭素は平滑筋弛緩剤であり(Utzら、Biochem Pharmacol. 47: 195-201, 1991;Christodoulidesら、Circulation 97: 2306-9, 1995)、血小板凝集を阻害する(Mansouriら、Thromb Haemost. 48: 286-8, 1982)。低濃度の一酸化炭素(CO)の吸入は、いくつかのモデルにおいて抗炎症作用を持つことが示されている。
肝炎は肝臓の炎症を特徴とする疾患である。この炎症は、腺房に影響するび漫性または斑状の壊死によって特徴づけることができる。肝炎の原因因子には、例えば、A、B、C、D、E、およびG型肝炎ウイルスといった特定の肝炎ウイルスなどのウイルス;アルコール;およびその他の薬剤(例えば、イソニアジド、メチルドパ、アセトアミノフェン、アミオダロン、およびニトロフラントイン)が含まれる(The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、第17版、第4節、第42章参照)。
概要
本発明は、一部、COの投与により肝炎の発症から保護することができるという発見に基づく。
従って、本発明は、患者における肝炎の治療、予防または危険性軽減の方法を特徴とする。この方法には、肝炎患者または肝炎の危険性があると診断される患者を同定する段階(例えば、肝炎であるかまたは肝炎の危険性があると診断される患者)、およびその患者における肝炎を治療するのに有効な量の一酸化炭素を含む薬学的組成物を患者に投与する段階を含む。
薬学的組成物は、患者への気体および/または液体の投与に関する技術分野において既知の任意の方法、例えば吸入、通気、注入、注射および/または経口摂取を介して患者に投与することができる。本発明の一つの態様において、薬学的組成物は吸入によって患者に投与される。もう一つの態様において、薬学的組成物は患者に経口的に投与される。さらにもう一つの態様において、薬学的組成物は患者の腹腔に直接投与される。さらにもう一つの態様において、薬学的組成物は体外膜型気体交換装置または人工肺によって投与される。もう一つの態様において、患者はアルコール中毒者である。
患者は、ヒトまたはヒト以外の動物であることができる。例えば、患者は、ヒト、それ以外の霊長類、ブタ、マウスおよびラットのようなげっ歯類、ウサギ、モルモット、ハムスター、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、ヒツジ、およびヤギなどの任意の哺乳類であることができる。肝炎は、例えばA、B、C、D、E、および/またはG型肝炎ウイルスの感染などのウイルス感染といった感染、アルコール使用(例えば、アルコール中毒);薬剤使用(例えば、アセトアミノフェン、麻酔薬、抗結核薬、抗真菌剤、抗糖尿病薬、神経弛緩剤、ならびにHIV感染およびAIDSの治療に用いられる薬物など、本明細書に述べられる一つまたは複数の薬物);自己免疫状態(自己免疫性肝炎など);および/または外科的手技などの多くの要因のいずれかの結果である可能性があり、あるいはこのような多くの要因のいずれかのために肝炎の危険性があると見なされることがある。薬学的組成物は、例えば気体状または液体状などの任意の形態とすることができる。
もう一つの態様において、本方法は以下の治療の少なくとも一つを患者に実施する段階をさらに含む:
患者にHO-1またはフェリチンを誘導する段階;患者に組換え型HO-1またはフェリチンを発現させる段階;およびHO-1、ビリルビン、ビリベルジン、フェリチンもしくはアポフェリチン、鉄、デスフェロキサミン、または鉄デキストランを含む薬学的組成物を患者に投与する段階。肝炎の治療または予防のための医用薬剤の調製におけるCOおよび上記の薬剤のいずれかの使用も、も企図される。
もう一つの態様において、肝炎(または肝炎の危険性)は、手術(例えば、腹部手術または移植手術)、細菌性エンドトキシン、敗血症性ショック、および/または全身性炎症によっては惹起されない。
もう一つの局面において、本発明は、患者における肝炎の治療または予防の方法であって、肝炎患者または肝炎の危険性を持つ患者(例えば、肝炎であると診断される患者、または肝炎の危険性があると診断される患者)を同定する段階、一酸化炭素気体を含む加圧気体を含む容器を提供する段階、この容器から加圧気体を放出させて一酸化炭素気体を含む雰囲気を生成する段階、および一酸化炭素量が患者の肝炎を治療するのに十分である雰囲気に患者を曝露する段階を含む方法を特徴とする。
さらにもう一つの局面において、本発明は、患者に対する肝移植などの腹部手術を実施する方法であって、腹部手術が必要である患者を識別する段階(肝炎が腹部手術の危険因子である);患者に対する腹部手術を実施する段階、ならびに実施する段階の実施前、実施中または実施後に患者における肝炎の危険性を低減するのに十分な量の一酸化炭素気体を患者に吸入させる段階を含む方法を特徴とする。肝炎の治療または予防に用いるための、気体または液体薬剤などの医用薬剤の調製におけるCOの利用も企図される。
本発明はさらに、例えば手術および/またはエンドトキシン以外の本明細書に述べられる任意の要因によって惹起される肝炎のような、手術および/またはエンドトキシンに起因しない肝炎の患者またはその危険性を有する患者における肝炎の治療方法を特徴とする。この方法は、手術および/またはエンドトキシンに起因しない肝炎の患者またはその危険性を持つ患者を同定する段階、ならびに患者における肝炎の治療に有効な量の一酸化炭素を含む薬学的組成物を患者に投与する段階を含む。
患者に肝炎誘発薬(即ち、イソニアジド、メチルドパ、アセトアミノフェン、アミオダロンまたはニトロフラントインなどの肝毒性薬など)を投与する方法も本発明の範囲内である。この方法には、薬物を患者に投与する段階、ならびにその薬物の投与前、投与中および/または投与後に患者の肝炎を治療するのに有効な量の一酸化炭素を含む薬学的組成物を患者に投与する段階が含まれる。
もう一つの局面において、本発明は医療用の圧縮CO気体を含む容器を提供する。この容器には、気体が患者の肝炎の治療に使用できることを明示するラベルを貼付することができる。または、もしくは加えて、その容器には気体が例えばアセトアミノフェンなどの肝炎誘発薬(即ち、肝毒性薬)の投与とともに患者に投与できることを示すラベルを貼付することができる。CO気体は、窒素気体、一酸化窒素および窒素気体、または酸素含有気体との混合物とすることができる。CO気体は少なくとも約0.025%、例えば、少なくとも約0.05%、0.10%、0.50%、1.0%、2.0%、10%、50%、または90%の濃度で混合物に存在することができる。
肝炎の治療または予防のための医用薬剤の製造におけるCOの利用も本発明に含まれる。この医用薬剤は、本明細書に述べられる方法に従って、肝炎患者または肝炎の危険性を有する患者における肝炎を治療する方法において使用することができる。この医用薬剤は、例えば液体または気体のCO組成物など、本明細書に述べられる任意の形態とすることができる。
特記する場合を除いて、本明細書で用いられる技術的および科学的な用語はすべて、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を持つ。適切な方法および材料は下記に示すが、本明細書で述べられるものと類似または等価な材料および方法を本発明の実践または試験において使用することができる。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、参照として全体が組み入れられる。矛盾がある場合は、定義を含めて本明細書が優先する。材料、方法および実施例は専ら例示的であり、制限することを意図するものではない。
本発明の一つまたは複数の態様の詳細は、以下の説明において述べられる。本発明のその他の特徴、目的、および利点は、説明および特許請求の範囲から明らかとなる。
詳細な説明
本明細書で用いられる「一酸化炭素」(または「CO」)という用語は、気体状態の一酸化炭素分子、圧縮されて液体となった一酸化炭素分子、または水溶液に溶解した一酸化炭素分子を示す。「一酸化炭素組成物」および「一酸化炭素を含む薬学的組成物」という用語は、本明細書を通して、患者および/または例えば肝臓などの臓器に投与することのできる一酸化炭素を含む気体または液体組成物を表すために用いられる。当業者は、例えば気体状、液体状、または気体および液体状双方、などのいずれの薬学的組成物の形態が所与の適用に好ましいかを認識すると考えられる。
本明細書で用いられる「有効量」および「治療するのに有効な」という用語は、意図する効果または生理学的転帰を惹起するための投与の状況において有効な期間(急性または長期投与、および定期的または連続投与を含む)に用いられる一酸化炭素の量または濃度を示す。本発明における使用のための一酸化炭素の有効量には、例えば、肝炎を予防する量、肝炎の危険性を低減する量、肝炎の症状を低減する量、またはその他の肝炎治療の転帰を改善する量が含まれる。
気体の場合、一酸化炭素の有効量は、一般に約0.0000001重量%〜約0.3重量%の範囲内、例えば0.0001重量%〜約0.25重量%、好ましくは少なくとも約0.001重量%であり、例えば、少なくとも0.005重量%、0.010重量%、0.02重量%、0.025重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.08重量%、0.10重量%、0.15重量%、0.20重量%、0.22重量%、または0.24重量%である。好ましい範囲は、例えば、0.001%〜約0.24%、約0.005%〜約0.22%、約0.005%〜約0.05%、約0.010%〜約0.20%、約0.02%〜約0.15%、約0.025%〜約0.10%、または約0.03%〜約0.08%、もしくは約0.04%〜約0.06%を含む。COの液体溶液の場合は、有効量は一般に液体100g当たり約0.0001〜約0.0044g COの範囲であり、例えば、水溶液100g当たり少なくとも0.0001、0.0002、0.0004、0.0006、0.0008、0.0010、0.0013、0.0014、0.0015、0.0016、0.0018、0.0020、0.0021、0.0022、0.0024、0.0026、0.0028、0.0030、0.0032、0.0035、0.0037、0.0040、または0.0042g COである。好ましい範囲は、例えば、液体100g当たり約0.0010〜約0.0030g CO、液体100g当たり約0.0015〜約0.0026g CO、または液体100g当たり約0.0018〜約0.0024g COを含む。当業者は、適用によってはこれらの範囲外の量を使用することができることを認識する。
「患者」という用語は、本明細書を通して、本発明の方法に従った治療が提供されるヒトまたはヒト以外の動物を表すために用いられる。本発明は獣医学分野での適用を企図する。この用語は、例えばヒト、その他の霊長類、ブタ、マウスおよびラットのようなげっ歯類、ウサギ、モルモット、ハムスター、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、ヒツジ、およびヤギなどの哺乳動物を含むが、これらに限定されない。本明細書において、「治療(する)」という用語は、患者における例えば肝炎などの状態の影響の発現を遅延させるか、状態の影響を阻害するか、または状態の影響を緩和することを示すために用いられる。
「肝炎」という用語は当技術分野において認識された用語であり、本明細書では肝臓の炎症によって一部特徴付けられる患者の疾患を示すために用いられる。肝炎の原因因子には、例えば、A、B、C、D、E、およびG型肝炎ウイルスのような特定の肝炎ウイルスの感染などの感染;肝毒性薬(例えば、イソニアジド、メチルドパ、アセトアミノフェン、アミオダロン、およびニトロフラントイン)および毒素(例えば、エンドトキシンまたは環境毒素)などの肝毒性因子が含まれる。肝移植患者では、術後に肝炎が発症する可能性がある。肝炎を惹起する可能性のある薬物および毒素(即ち、肝毒性因子)のさらなる例については、Feldman: Sleisenger & Fordtran's Gastrointestinal and Liver Disease、第7版、第17章(Liver Disease Caused by Drugs, Anesthetics, and Toxins)に述べられており、その内容は参照として全体が明確に本明細書に組み入れられる。このような例には、メチルドパおよびフェニトイン、フェノバルビタールなどのバルビツレート;スルホンアミド(例えば、コトリモキサゾール(スルファメトキサゾールおよびトリメトプリム)のような薬物と組み合わせて);スルファサラジン;サリチル酸塩;ジスルフィラム;アセブタロール、ラベタロールおよびメトプロロールなどのβ-アドレナリン遮断剤);ニフェジピン、ベラパミル、およびジルチアゼムなどのカルシウムチャネル遮断剤;エトレチナートなどの合成レチノイド;オクスメチジン、エブロチジン、シメチジン、ラニチジン、オメプラゾールおよびファモチジンなどの胃酸抑制剤;ザフィルルカストなどのロイコトリエンレセプターアンタゴニスト;リファンピシンおよびピラジンアミドなどの抗結核薬;ケトコナゾール、テルビナフィン、フルコナゾールおよびイトラコナゾールなどの抗真菌剤;トログリタゾンおよびロシグリタゾンなどのチアゾリジンジオンのような抗糖尿病薬;神経弛緩剤、抗うつ剤(例えば、フルオキセチン、パロキセチン、ベンラファキシン、トラゾドン、トルカポン、およびネファゾドン)、催眠薬(例えば、アルピデム、ゾルピデム、およびベンタゼパム)、ならびにタクリン、ダントロレン、リルゾール、チザニジン、およびアルベリンなどのその他の薬物のような神経疾患に使用される薬物;ブロムフェナクなどの非ステロイド系抗炎症薬;COX-2阻害剤;酢酸シプロテロン;レフルノミド;フィアルリジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、ラミブジン、ジドブジン、アバカビルなどの抗ウイルス剤;タモキシフェンおよびメトトレキセートなどの抗癌剤;コカイン、フェンシクリジン、および5-メトキシ-3,4-メチレンジオキシメトアンフェタミンなどの気晴らし用薬物(recreational drug);L-アスパラギナーゼ;アモジアキン;ヒカントン;ハロタン、エンフルラン、およびイソフルランなどの麻酔剤;ビタミンAなどのビタミン類;ならびにピロリジジンアルカロイド、タマゴテングタケ(Amanita phalloides)またはその他の有毒きのこ由来毒素、アフラトキシン、ヒ素、ボルドー合剤(銅塩および石灰)、塩化ビニルモノマーなどの食物性および/または環境毒素;四塩化炭素、ベリリウム、ジメチルホルムアミド、ジメチルニトロソアミン、メチレンジアニリン、リン、クロルデコン(ケポン)、2,3,7,8-テトラクロロ-ジベンゾパラジオキシン(TCDD)、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、2,4,5-トリニトロトルエン、1,1,1-トリクロロエタン、トルエン、およびキシレン、ならびにエフェドリンおよびオイゲノールなどの既知の「ハーブ治療薬」が含まれるが、これらに限定されない。
肝炎の症状としては、疲労、食欲喪失、胃不快感、および/または黄疸(皮膚および/または眼球の黄色化)などが挙げられる。肝炎のより詳細な説明は、例えば、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、第17版、第4節、第42章、第4節、第44章、および第4節、第40章に示されており、その内容は参照として全体が明確に本明細書に組み入れられる。
当業者は、患者が当技術分野において既知の任意の方法、例えば血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値、アルカリホスファターゼ(AP)またはビリルビン値に関する血液検査を用いて肝機能を評価することによって、医師により肝炎と診断されうることを認識する。
肝炎発症の危険性があると考えられる個体は本発明から特に利益を得る場合があり、これは主に何らかの肝炎の証拠が現れる前に予防的治療を開始することができるためである。「危険性のある」個体には、例えば、肝炎ウイルスに感染した患者、または本明細書に述べられるいずれかの状態を患っている個体、または本明細書に述べられる危険因子を持っている個体(例えば、肝毒性因子に曝露された患者)などが含まれる。当業者は、患者は医師の診断によって肝炎の危険性があると判定されうることを認識する。
肝炎の治療に有効なCOの量は、患者が肝炎もしくは肝炎に関連する何らかの症状を患っている、または患者が肝炎を発症する可能性の増大と関連する何らかの危険性因子を持っている(例えば、患者がアセトアミノフェンのような肝毒性薬のような肝毒性因子に最近曝露された、現在曝露されている、もしくは将来曝露される)と診断された日に投与することができる。患者は、COを10ppm〜1000ppmの範囲、例えば、約100ppm〜約800ppm、約150ppm〜約600ppm、または約200ppm〜約500ppmの濃度で吸入することができる。好ましい濃度には、例えば、約30ppm、50ppm、75ppm、100ppm、125ppm、200ppm、250ppm、500ppm、750ppm、または約1000ppmが含まれる。COは間欠的または連続的に患者に投与することができる。COは約1日、2日、4日、6日、8日、10日、12日、14日、18日もしくは20日間、または20日以上、例えば1カ月、2カ月、3カ月、5カ月もしくは6カ月間、または患者がもはや肝炎の症状を発現しなくなるまで、もしくは患者がもはや肝炎の危険性がないと診断されるまで、投与することができる。所与の日において、COは一日中、連続的に投与してもよく、または例えば一日一回のCO吸入(高濃度を用いる場合)、または一日最長23時間、例えば一日に最長20時間、15時間、12時間、10時間、6時間、3時間もしくは2時間または一日最長1時間にわたり間欠的に投与することもできる。
患者が(例えば、医師に処方されたために)肝毒性薬を用いて治療される必要がある場合、患者はその薬物の投与前、投与中、および/または投与後にCO(例えば、気体CO組成物)で治療されうる。例えば、その薬剤の投与(多回投与が行われる場合は個々の各投与前)の0日前ないし20日前から、例えば、投与の少なくとも約30分前、例えば、約1時間、2時間、3時間、5時間、7時間、もしくは10時間前、または約1日、2日、4日、6日、8日、10日、12日、14日、18日、もしくは20日前、または20日以上前から、患者に対してCOを間欠的または連続的に投与することができる。または、もしくは加えて、COはその薬剤の投与と同時に患者に投与することができる。または、もしくは加えて、COはその薬剤の投与後に、例えば投与直後から患者に投与することが可能であり、約1時間、2時間、3時間、5時間、7時間、もしくは10時間、または約1日、2日、5日、8日、10日、20日、30日、50日、もしくは60日間、無期限に、または医師がCOの投与がもはや必要でないと判断するまで(例えば、肝毒性薬が体内から排出されたか、またはもはや肝障害を惹起することができなくなった後)、間欠的または連続的に投与を継続することができる。
気体組成物の調製
一酸化炭素組成物は気体一酸化炭素組成物とすることができる。本発明の方法において有用な圧縮または加圧された気体は、市販の供給元から圧縮気体の保存に適した任意の型の容器で入手することができる。例えば、圧縮または加圧気体は、医療用の酸素のような圧縮気体を供給する供給元から入手することができる。本明細書で用いられる「医療用」気体という用語は、本明細書で定義される患者への投与に適した気体を示す。本発明の方法において用いられるCOを含む加圧気体は、NOおよびO2が一緒に貯蔵できないことを除いて、所望の最終組成物のすべての気体(CO、He、NO、CO2、O2、N2など)が同一の容器に入れられた状態で提供されることができる。任意で、本発明の方法は個々の気体を含む多くの容器を用いて実施することができる。例えば、他の気体を含むか、または含まない一酸化炭素を含む単一の容器が提供されてもよく、その容器の内容物は選択的に室内の空気、または例えば酸素、窒素、二酸化炭素、圧縮空気もしくはその他の適切な気体もしくはその混合物を含む容器など、その他の容器の内容物と混合することが可能である。
本発明に従って患者に投与される気体組成物は、一般に、0重量%〜約79重量%の窒素、約21重量%〜100重量%の酸素、および約0.0000001重量%〜約0.3重量%(約1ppbまたは0.001ppm〜約3,000ppmに対応する)の一酸化炭素を含む。好ましくは、その気体組成物の窒素量は約79重量%であり、酸素の量は約21重量%であり、一酸化炭素の量は約0.0001重量%〜約0.25重量%であり、好ましくは少なくとも約0.001重量%であり、例えば、少なくとも約0.005重量%、0.010重量%、0.02重量%、0.025重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.08重量%、0.10重量%、0.15重量%、0.20重量%、0.22重量%、または0.24重量%である。一酸化炭素の好ましい範囲は、約0.005重量%〜約0.24重量%、約0.01重量%〜約0.22重量%、約0.015重量%〜約0.20重量%、約0.08重量%〜約0.20重量%、および約0.025重量%〜約0.1重量%を含む。0.3%よりも高い(1%またはそれ以上)一酸化炭素濃度を持つ気体一酸化炭素組成物は、適用に応じて、短期間(例えば、呼吸1回または数回)使用することができる点に注意する。
気体一酸化炭素組成物は、一酸化炭素気体を含む雰囲気を作製するために使用することができる。適切な量の一酸化炭素を含む雰囲気は、例えば、一酸化炭素気体を含む加圧気体の入った容器を提供して、加圧気体をその容器からチャンバーまたは空間に放出させてそのチャンバーまたは空間内部に一酸化炭素気体を含む雰囲気を生成することによって作製することができる。または、その気体を呼吸マスクまたは呼吸チューブとなる装置内に放出させて、それによって呼吸マスクまたは呼吸チューブ内に一酸化炭素気体を含む雰囲気を作製することが可能であり、確実に患者がその室内において有意な量の一酸化炭素に曝露される唯一の人物であるようにする。
雰囲気中の一酸化炭素量は、当技術分野において既知の任意の方法を用いて測定またはモニターすることができる。このような方法には、電気化学的検出、気体クロマトグラフィー、ラジオアイソトープ計測法、赤外吸収、比色法、および選択膜に基づく電気化学的方法(例えば、Sundermanら、Clin. Chem. 28: 2026-2032, 1982;Ingiら、Neuron 16: 835-842, 1996を参照されたい)が含まれる。百万分の1未満の一酸化炭素量は、例えば、ガスクロマトグラフィーおよびラジオアイソトープ計測法によって検出することができる。さらに、当技術分野では、ppmよりも低い範囲の一酸化炭素量は中赤外(midinfrared)気体センサーによって生物組織中で測定できることが知られている(例えば、Morimotoら、Am. J. Physiol. Heart. Circ. Physiol 280: H482-H488, 2001を参照されたい)。一酸化炭素センサーおよび気体検出装置は、多くの市販供給源から広く入手することができる。
液体組成物の調製
一酸化炭素組成物は液体一酸化炭素組成物とすることもできる。液体は、気体を液体に溶解させる技術分野において既知の任意の方法によって、一酸化炭素組成物とすることができる。例えば、液体をいわゆる「CO2インキュベーター」に入れて、液体内で所望の一酸化炭素濃度に達するまで、好ましくは二酸化炭素と平衡させた一酸化炭素の連続流に曝すことができる。もう一つの例として、液体内の所望の一酸化炭素濃度に達するまで、一酸化炭素気体を直接液体に「通気(bubbled)」することができる。所与の水溶液に溶解することのできる一酸化炭素の量は温度の低下に伴って増加する。さらにもう一つの例として、適切な液体を気体を拡散させるチューブに通してもよく、そのチューブを一酸化炭素を含む雰囲気に通す(例えば、体外膜型酸素供給装置のような装置を使用)。一酸化炭素は液体に拡散して、液体一酸化炭素組成物を作製する。
生きている動物への導入を意図したこのような液体組成物は、動物への導入時点で37℃または約37℃である可能性が高い。
液体は、患者への投与に適していることが当業者に既知である任意の液体とすることができる(例えば、Oxford Textbook of Surgery, MorrisおよびMalt編、Oxford University Press (1994)を参照されたい)。一般に液体は水溶液である。溶液の例としては、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)、Celsior(商標)、Perfadex(商標)、コリンズ液、クエン酸液、およびUniversity of Wisconsin(UW)液などがある(Oxford Textbook of Surgery, MorrisおよびMalt編、Oxford University Press (1994))。本発明の一つの態様において、液体は、乳酸加リンガー液などのリンガー液、または患者への注入に使用することができるその他の任意の液体である。もう一つの態様において、液体は、全血などの血液を含む。
適切な液体は、気体拡散装置を介して、一酸化炭素を設定した濃度まで飽和させることができる。または、設定した一酸化炭素値を含むように品質管理されている既成の溶液を用いることができる。投与量の正確な管理は、一酸化炭素分析装置に接続した気体浸透性液体不浸透性膜を用いた装置を介して達成することができる。
一酸化炭素組成物の患者への投与
患者は、患者への気体および/または液体の投与に関する技術分野において既知の任意の方法によって一酸化炭素組成物を投与されうる。一酸化炭素組成物は、肝炎と診断された患者または肝炎の危険性があると判断された患者に対して投与することができる。本発明は、(例えば、吸入および/または経口摂取による)液体または気体の一酸化炭素組成物の患者への全身投与、および(例えば腹腔への誘導による)患者の肝臓への局所投与を企図する。
一酸化炭素の全身送達
気体一酸化炭素組成物は、例えば肝炎と診断された患者または肝炎の危険性があると判断された患者などの患者に対して全身性に送達することが可能である。気体一酸化炭素組成物は、典型的に口または鼻道を介しての吸入によって肺に投与され、そこで一酸化炭素は患者の血流中に容易に吸収される。治療用の気体組成物中に用いられる活性化合物(CO)の濃度は、一酸化炭素の吸収、分布、不活化、および(一般に呼吸を介しての)排出の速度、ならびに当業者に既知のその他の要因に依存する。任意の特定の患者では、個々の必要性および組成物の投与を実施または監督する者の専門的判断に従って、期間を通して具体的な投与計画を調整しなければならない点、ならびに、本明細書に示される濃度範囲はあくまで例示的なものであって、主張される組成物の範囲または実践を制限することを意図しない点がさらに理解されるべきである。患者の至適治療を確保するために、治療をモニターしてCOの用量を調節することができる。本発明では、例えば患者の肝炎の程度または持続性などに応じて、一酸化炭素の急性、亜急性および長期投与が企図される。一酸化炭素は、状態の治療および意図する薬学的または生物学的効果の発現に十分な期間(無期限を含む)、患者に送達することができる。
気体一酸化炭素組成物を患者に投与するために利用することのできるいくつかの方法および装置の例を次に示す。
人工呼吸装置
医療用一酸化炭素(濃度は変化しうる)は、標準圧縮気体タンク中の空気またはもう一つの酸素含有気体(例えば、21%O2、79%N2)と混合して購入することができる。医療用一酸化炭素は無反応性であり、本発明の方法に必要な濃度は可燃性範囲(空気中10%)を十分に下回る。病院設備において、その気体はおそらくベッドサイドに運搬されて、ブレンダー内で酸素または家の空気(house air)と所望の濃度のppm(百万分率)に混合されると考えられる。患者は、患者の快適さおよび必要性に基づく流速に設定された人工呼吸装置を介してその混合気体を吸入する。これは肺図式計算法(pulmonary graphics)(即ち、呼吸数、一回換気量など)によって定められる。患者が所望の量よりも多い一酸化炭素を不必要に吸入することを防ぐためのフェールセーフ機構を送達システム内に設計することができる。患者の一酸化炭素量は、(1)静脈血において測定することのできるカルボキシヘモグロビン(COHb)、および(2)人工呼吸装置のサイドポートから回収される呼気中一酸化炭素を測定することによってモニターすることができる。一酸化炭素曝露は、患者の健康状態およびマーカーの基準に基づいて調節することができる。必要ならば、100%O2吸入に切り替えることによって患者から一酸化炭素を洗い出すことができる。一酸化炭素は代謝されず;従って、ごく一部がCO2に転換されるのを除いて、吸入されるものはすべて最終的には呼出される。重大な低酸素状態を起こすことなく一酸化炭素の治療的送達を提供するために、一酸化炭素は任意の量のO2と混合することもできる。
フェースマスクおよびテント
フェースマスクまたはテントを用いて患者に受動吸入させるために、一酸化炭素を含む混合気体は上記のように調製される。吸入濃度は変更することができ、100%O2に切り替えるだけで洗い出すことができる。一酸化炭素値のモニタリングは、過度に高濃度の一酸化炭素が吸入されることを防ぐフェールセーフメカニズムを用いて、マスクまたはテントの位置またはその近傍で行われる。
移動用吸入器
圧縮一酸化炭素は移動用吸入装置に充填することが可能であり、例えば病院設備内にいないレシピエントの間欠的投与を可能とするために測定された用量を吸入させることができる。異なる濃度の一酸化炭素を容器に充填することが可能である。装置は、開閉弁(on-off valve)および標準的投与計画に従ってまたは必要に応じて患者がCOを吸入するチューブを備えた適宜希釈されたCOの小型タンク(例えば、5kg未満)のように、単純にすることができる。
静脈人工肺
一酸化炭素の送達には、O2の送達およびCO2の除去用に設計された人工肺(血液中の気体交換のためのカテーテル装置)を使用することができる。埋め込む場合、カテーテルを挿入して大きな静脈の一つに留置し、全身送達または局所部位に所与の濃度の一酸化炭素を送達することができる。送達は、高濃度の一酸化炭素を肝臓の近位などの手技の部位に限局的に短期間送達するか(この高濃度は血流中で速やかに希釈される)、または低濃度の一酸化炭素を比較的長期間曝露することができる(例えば、Hattlerら、Artif. Organs 18 (11): 806-812 (1994);およびGolobら、ASAIO J., 47 (5): 432-437 (2001)を参照されたい。)。
常圧チャンバー
一部の例では、患者の全身を一酸化炭素に曝露することが望ましい。患者を、一酸化炭素(患者を危険に曝さない濃度、または危険性が許容可能であって周囲の人が曝露される危険のない濃度)を満たした気密チャンバーに収容する。曝露終了後、チャンバーに空気(例えば、21%O2、79%N2)をフラッシュすることが可能であり、患者が曝露装置から出ることを許可する前に一酸化炭素が残っていないことを確認するために試料を一酸化炭素分析装置で分析することができる。
液体CO組成物の全身送達
本発明は、経口送達ならびに/または患者への静脈内注入、動脈内注入、腹腔内注入および/もしくは皮下注入など、患者への全身送達用の一酸化炭素含有水溶液が作製できることをさらに企図する。例えば、CO飽和リンガー液のような液体CO組成物を、肝炎患者または肝炎の危険性を持つ患者に注入することができる。またはもしくは加えて、COで部分的にまたは完全に飽和した全血(または血液成分(partial brood))を患者に注入することができる。
本発明は、気体CO組成物または液体CO組成物の用量を送達することのできる薬剤(例えば、CO放出ガム、クリーム、軟膏、ロゼンジ、またはパッチ)が利用できることも企図する。
一酸化炭素の臓器への局所投与
または、もしくは加えて、一酸化炭素組成物は、肝臓、例えば肝臓全体またはその一部に直接適用することができる。気体組成物は、患者への気体通気に関する技術分野において既知の任意の方法によって患者の肝臓に直接適用することができる。例えば、二酸化炭素などの気体は、腹腔鏡検査の手技中に検査を容易にするためにしばしば患者の腹腔に通気される(例えば、Oxford Textbook of Surgery, MorrisおよびMalt編、Oxford University Press (1994)を参照されたい)。当業者は、一酸化炭素組成物を患者の肝臓に直接投与するために同様の方法が使用できることを認識すると考えられる。
水性一酸化炭素組成物も、患者の肝臓に局所的に投与することができる。組成物の水溶液は、患者への液体の投与に関する技術分野において既知の任意の方法によって投与することができる。気体組成物の場合と同じく、水性組成物を肝臓に直接投与することができる。例えば、溶存COを含む生理食塩液などの液体は、腹腔鏡検査の手技中に患者の腹腔に注入することができる。当業者は、液体一酸化炭素組成物を患者の肝臓に直接投与するために同様の手技が利用できることを認識する。さらに、液体一酸化炭素組成物で肝臓またはその一部を洗い流すことによってインサイチュー曝露を実施することができる(Oxford Textbook of Surgery, MorrisおよびMalt編、Oxford University Press (1994)を参照されたい)。
肝炎におけるヘモキシゲナーゼ-1、その他の化合物、およびその他の治療法の使用
COの投与と組み合わせた、ヘモキシゲナーゼ-1(HO-1)の誘導または発現も本発明により企図される。例えば、HO-1は肝炎患者または肝炎の危険性を有する患者において誘導することができる。本明細書で用いられるように、「誘導(された)」という用語は、単離された細胞、または組織、臓器もしくは個体の細胞においてHO-1などのタンパク質をコードするその細胞自身の内因性(例えば、非組換え)遺伝子を用いてそのタンパク質の産生の増加を惹起することを意味する。
HO-1は、当技術分野において既知の任意の方法によって患者に誘導することができる。例えば、HO-1の産生はヘミン、鉄プロトポルフィリン、またはコバルトプロトポルフィリンによって誘導することができる。重金属を含む様々な非ヘム物質、サイトカイン、ホルモン、NO、COCl2、エンドトキシン、および熱ショックもHO-1発現の強力な誘導剤である(Choiら、Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 15: 9-19,1996;Maines, Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol. 37: 517-554, 1997;およびTenhunenら、J. Lab. Clin. Med. 75: 410-421, 1970)。HO-1は、過酸化水素、グルタチオン枯渇剤、UV照射、エンドトキシンおよび酸素過剰などの酸化的ストレスを惹起する様々な因子によっても強力に誘導される(Choi ら、Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 15: 9-19, 1996;Maines, Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol. 37: 517-554, 1997;およびKeyseら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 99-103, 1989)。「HO-1誘導剤を含む薬学的組成物」は、例えば、NO、ヘミン、鉄プロトポルフィリン、および/またはコバルトプロトポルフィリンなどの上記の物質のいずれかのような、患者にHO-1を誘導することのできる何らかの薬剤を含む薬学的組成物を意味する。
細胞におけるHO-1の発現は遺伝子導入によって増大させることができる。本明細書で用いられるように、「発現する(された)」という用語は、外因性に投与される遺伝子(組換え遺伝子など)を用いて、単離された細胞、または組織、臓器もしくは動物の細胞において、例えばHO-1またはフェリチンなどのタンパク質の産生の増大を惹起することを意味する。HO-1またはフェリチンは、免疫応答を最小限に抑えるために、好ましくはレシピエントと同一種(例えば、ヒト、マウス、ラットなど)である。発現は、構成的プロモーター(例えば、サイトメガロウイルスプロモーター)または組織特異的プロモーター(例えば、乳腺細胞における乳清プロモーター、または肝細胞におけるアルブミンプロモーター)によって制御することができる。HO-1またはフェリチンをコードする適切な遺伝子療法ベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、ポックス(例えば、ワクシニア)ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、マウス微小ウイルス、B型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、単純疱疹ウイルス1型、およびレンチウイルス)は、経口、吸入または肝臓への注入によって肝炎患者または肝炎の危険性を有する患者に投与される。同様に、HO-1またはアポフェリチンをコードするプラスミドベクターは、例えば裸のDNAとして、リポソームに内包させて、または微小粒子に内包させて投与することができる。
さらに、外因性HO-1タンパク質は当技術分野において既知の任意の方法によって患者に直接投与することができる。外因性HO-1は、上記のように患者におけるHO-1の誘導もしくは発現に加えて、または代替として、直接投与することができる。HO-1タンパク質は、例えば、リポソームに内包させて、および/またはTAT-融合タンパク質などの融合タンパク質として患者に送達することができる(例えば、Becker- Hapakら、Methods 24: 247-256, 2001を参照されたい)。
または、もしくは加えて、ビリルビン、ビリベルジン、鉄、および/またはフェリチンなどHO-1による代謝産物は、肝炎を予防または治療するために、COと併用して患者に投与することができる。さらに、本発明は、デスフェロキサミン(DFO)、鉄デキストラン、および/またはアポフェリチンなど、フェリチン以外の鉄結合分子を患者に投与することができることも企図する。さらに、本発明は、これらの産物のいずれかの分解を触媒する酵素(例えば、ビリベルジンレダクターゼ)が、所望の効果の発揮/増大のため阻害されうることも企図する。上記はいずれも、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、または肝臓への直接投与によって投与することができる。
本発明は、デカカルボニル二マンガン、トリカルボニルジクロロルテニウム(II)ダイマーおよび塩化メチレンなど(400〜600mg/kgの用量、例えば約500mg/kg)の化合物(例えば光活性化可能なCO放出化合物のようなCO放出化合物)の投与後に体内にCOを放出する化合物を、カルボキシヘモグロビンおよびCO供与人工ヘモグロビンのように、本発明の方法において用いることができることを企図する。
上記は、例えば、経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、または動脈内投与などの任意の経路で患者に投与することができる。上記のいずれの化合物も、局所および/または全身に、かつ、任意の組み合わせで患者に投与することができる。
本発明は、例えば原因薬物の投与の中止または減小;コルチコステロイドおよび/またはα-インターフェロンもしくはその他の抗ウイルス剤の患者への投与;ならびに/または肝移植など患者への手術の実施など、肝炎を治療するためのその他の既知のあらゆる方法または化合物と組み合わせて患者にCOを投与することによって肝炎を治療/予防することをさらに企図する。
本発明は次の実施例に一部例示されるが、これらは決して本発明を制限するものと考慮されるべきではない。
実施例1.一酸化炭素による肝損傷の軽減
動物
8〜12週齢の雄性C57BL/6J(Charles River Laboratories, Bar Harbor, ME)のinos-/-マウスおよび野生型同腹子(University of Pittsburghにて繁殖/維持)をインビボにおける実験に使用した。
急性肝損傷モデル
マウスの群にTNF-α/D-galを投与した(0.3μg/8mg/マウス、それぞれ腹腔内投与)。実験条件に応じて、数匹のマウスにCO(250ppm)、選択的NOドナーであるO2-ビニル1-(ピロリジン-1-イル)-1-ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(V-PYRRO;10mg/kg、皮下注射(s.c.)、Alexis Biochem., San Diego, CA)、またはコバルトプロトポルフィリン(CoPP、5mg/kg、腹腔内投与(i.p.)、Frontier Scientific, Logan, UT)を投与した。さらに、指定される場合は、iNOSの選択的阻害剤であるL-N6-(1-イミノエチル)-リシン二塩酸塩(L-NIL;5mg/kg i.p.、Alexis Biochemicals)、またはHO-1阻害剤のプロトポルフィリンスズ(SnPP;50μmol/kg、i.p.、Frontier Scientific)を投与した。指示される場合は、アセトアミノフェン(Sigma Chem. Co.;St Louis, MO)を投与した(500mg/kg、i.p.)。
肝細胞培養
マウス一次肝細胞は、Kimら(J. Biol. Chem. 272: 1402-1411 (1997))に記載されるようにC57BL/6Jのmkk3-/-、inos-/-(自家繁殖コロニー)、またはhmox-1-/-マウスから採取した。肝細胞は、採取から1〜3日後に使用した。
肝細胞の死/アポトーシスの誘発
細胞死を誘発するために、細胞をTNF-α(10ng/ml)およびアクチノマイシン-D(Act-D;200ng/ml、Sigma Chemical Co. St. Louis, MO)で処理した。TNF-α/ActD処理は、一次肝細胞に細胞死、特にアポトーシスを誘発することが実証されている(例えば、Kimら(J.Biol.Chem. 272: 1402-1411 (1997)を参照されたい)。肝細胞を、CO、NOドナーであるs-ニトロソ-N-アセチル-ペニシラミン(SNAP;250〜750μM)、および/または指示される場合は追加の薬学的物質で処理した。TNF-α/ActD処理の12時間後に細胞を洗って、既述(Id.)のように生存度を調べるためにクリスタルバイオレットで染色した。指示される場合は、iNOSのインビトロにおける選択的阻害剤であるL-N5-(1-イミノエチル)-オルニチン-2HCl(LNIO;1〜2mM;Calbiochem, San Diego, CA)で処理した。
遺伝子導入/プラスミド
いくつかの実験において、TNF-α/ActD処理の12時間前にアデノウイルスベクター(10pfu/細胞)を用いたIκBαスーパーレプレッサー(Hellerbrandら、Hepatology 27: 1285-1295 (1998))またはβ-ガラクトシダーゼの遺伝子導入が実施された。NF-κBの活性化は、Chowら(J. Biol. Chem. 274: 10689-10692 (1999))に記載されるようにルシフェラーゼレポーターアッセイ法を用いて評価した。簡潔に言えば、リポフェクチン(商標)(Invitrogen, Carlsbad, CA)を製造業者の指示通りに用いてNF-κBレポーター構築物(pGL3-κβルシフェラーゼ、100ng/ウェル;およびpIEP-Lac-z 0.5μg/ウェル)を肝細胞に同時トランスフェクトした。iNOS発現の評価は、Lowensteinら(Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A 90: 9730-9734 (1993))に記載されるようにルシフェラーゼレポーターアッセイ法を用いて行った。簡潔に言えば、上記の通りiNOSプロモーターレポーター構築物(pXP2;1μg/ウェル)およびpIEP-LacZ(0.5μg/ウェル)を肝細胞に同時トランスフェクトした。
ルシフェラーゼレポーターアッセイ法
上記のように肝細胞にプラスミドをトランスフェクトして、トランスフェクションの24時間後に様々な刺激を与えた。ルシフェラーゼアッセイキット(Promega, Madison, WI)およびBertholdルミノメーターを用いて、処理開始後6時間にルシフェラーゼ活性(任意単位(A.U.)として報告される)をアッセイした。結果は、トランスフェクション効率およびタンパク質濃度に関して補正した。
電気泳動移動度シフトアッセイ法
処理後に肝細胞から核を抽出した。二本鎖DNAのNF-κBコンセンサス配列
Figure 2005533021
;Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)を[δ-32P]-ATPで標識して、総核タンパク質5mgと共にインキュベートした。スーパーシフトの有無を調べるために、p65/RelAまたはp50に対する抗体(Santa Cruz Biotech)の存在下において数回インキュベートした。電気泳動移動度シフトアッセイ法(EMSA)は、Taylorら(J.Biol.Chem. 273:15148-15156 (1998))の通りに実施した。
イムノブロット分析
培養物の一次肝細胞または肝ホモジネート由来の一次肝細胞に対して、iNOSに対する抗体(Transduction Laboratories, Lexington, Kentucky;1:1000)、HO-1に対する抗体(Calbiochem;1:2000)、またはβ-アクチンに対する抗体(Sigma Chemical;1:5000)を用いてウェスタンブロット分析を実施した。SDS-PAGEについては、各ウェル当たり細胞培養実験におけるタンパク質30μg、または肝ホモジネートに由来するタンパク質100μgをロードする。
組織学/免疫組織化学
組織学および免疫組織化学については、肝臓を2%パラホルムアルデヒドで固定した後、液体窒素で軽く凍結した。次に、肝臓を薄切して(厚さ7ミクロン)、ヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)で染色した。肝臓の切片は、キットを製造業者(Promega)の説明書に従って用いてTUNELおよび活性化カスパーゼ-3に関しても染色した。iNOS免疫細胞化学のための切片は、0.2%ウシ血清アルブミンを含む5%ヤギ血清でブロッキングした。その後、切片を抗iNOS抗体(Transduction Laboratories;1:300)と共に室温で1時間インキュベートした後、洗浄して、Alexa-488(Molecular Probes, Eugene, OR)結合二次抗体を用いてプローブした。核はヘキスト色素で染色した。画像は、Olympus Provus顕微鏡を用いて得た。ゼラチン処理したカバーガラスに培養物の肝細胞を載せて、示された通りに刺激した後、0.1%トリトンX-100を含む2%パラホルムアルデヒド中で固定した。ブロッキングおよび染色は、抗p65/RelA抗体(Santa Cruz Biotechnology;1:350)を用いた点を除いて、肝切片と同様であった。
CO曝露
動物を、250ppmの濃度のCOに曝露した。簡潔に言うと、空気中1%COをステンレススチール製混合シリンダー内で空気(21%酸素)と混合した後、3.70ft3のガラス製曝露チャンバー内に12L/分の流速で誘導した。CO分析装置(Interscan, Chatsworth, CA)を用いて、チャンバー内のCO値を連続的に測定した。CO濃度は常に250ppmに維持された。マウスは、必要に応じて曝露チャンバーに収容した。
HO-1による肝損傷からの保護
HO-1が急性肝不全に対して保護作用を示すか否かについて検討した。結果を図1に示す。コバルトプロトポルフィリン(5mg/kg、i.p.)を雄性C57BL/6Jマウスに投与した。24時間後に、TNF-α/D-galをマウスに投与した(それぞれ0.3μg/8mg/マウス、i.p.)。TNF-α/D-galの投与8時間後に、マウスの血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値を測定した。血清ALT値により測定される通り、HO-1の誘導によって肝損傷が予防された。
外因性COによる肝細胞の保護
外因性COがインビトロにおける肝細胞の細胞死に対して保護作用を示すか否かについて検討した。結果を図2および3に示す。図2に示されるデータを得るために、TNF-α/Act-D(それぞれ、10ng/200ml)の添加前にCO(250ppm)と共に1時間(すべての実験における標準的前処理時間)、マウスの肝細胞をプレインキュベートした。細胞は、実験期間を通してCO内に維持した。12時間後、細胞の生存度をKimら(J.Biol.Chem. 272: 1402-1411 (1997))に記載される通りに測定した。アデノウイルス実験では、TNF-α/ActDの添加前に10pfu/細胞のアデノウイルスと共に肝細胞を一晩インキュベートして、その後、クリスタルバイオレットを用いて生存度をアッセイした。シグナル伝達分子であるグアニリル酸シクラーゼおよびp38 MAPKの役割もこのモデルにて検討した。cGMPの役割を評価してNF-κBの役割を確認するために、肝細胞を可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)阻害剤である1H-[1,2,4]オキサジアゾロ[4,3-a]キノキサリン-1-オン(ODQ;Calbiochem;2〜10μM)またはNF-κB阻害剤であるBAY 11-7082(10μM)で別々に処理した。細胞は、COを用いた1時間の前処理前に1時間、これらの阻害剤で処理した。続いて、TNF-α/ActDを加えて、12時間後に細胞の生存度を調べた。COに惹起される保護にはNF-κB活性化が重要であり、cGMPは関与しなかった。COへの曝露は、CO非存在時よりも細胞死を有意に減少させた(*p<0.01)。
図3に示すデータを得るために、ドナーの肝切開術から得られたヒト一次肝細胞を上記のようにCOおよびTNF-α/ActDで処理した。
マウス、ラット、およびヒトの一次肝細胞をCOに曝露した結果、TNF-αに誘発されるアポトーシスが阻害された。選択的グアニル酸シクラーゼ阻害剤のODQがCOによって提供される保護を逆転させなかったことから、肝細胞アポトーシスの阻害はcGMPの生成には依存しなかった(図2)。さらに、CO処理は、p38 MAPK活性化の選択的阻害剤であるSB203580(3〜30μM、Calbiochem)の存在下において、およびp38の優性の上流キナーゼであるmkk3-/-マウス由来肝細胞において、細胞死を阻害した(データは示していない)。このように、COの効果はcGMP/p38 MAPK経路には非依存性であった。これらの実験では、TNF-α/ActDの培地への添加前に1時間にわたって肝細胞をCOで前処理した。CO処理がTNF-αの添加後に開始されると、保護作用の低下が認められた(データは示していない)。
CO保護作用におけるNF-κBの役割
CO誘発性の肝細胞保護作用がNF-κBに依存するか否かを調べた。図4、5、および6A〜6Cは、それぞれ、NF-κBルシフェラーゼレポーターアッセイ活性、EMSA、およびRelA/p65核移行に関する免疫染色により測定される通り、COがマウス肝細胞におけるNF-κB核移行およびDNA結合の増加を誘発したことを例証するデータを示す。
図4に示すデータを得るために、Chowら(J. Biol. Chem. 274: 10689-10692 (1999))に記載されたルシフェラーゼレポーターアッセイ法を用いてNF-κB活性化を評価した。簡潔に言うと、BAY 11-7082(10μM)または溶媒添加の24時間前に、NF-κBレポーター構築物およびpIEP-Lac-zを肝細胞に同時トランスフェクトした。細胞はCO(250ppm)前に1時間、インキュベートした。ルシフェラーゼ活性(任意単位;A.U.として報告)は、CO、またはTNF-α(500U/ml)、IL-1β(100U/ml)、およびIFN-δ(100U/ml)から構成されるサイトカイン混合物(CM)(NF-κB活性化の陽性対照として用いた)への暴露6時間後にアッセイした。結果は、トランスフェクション効率およびタンパク質濃度について補正した。
図5のデータを得るために、EMSAを用いてCO(250ppm)で処理した肝細胞におけるNF-κB DNA結合を評価した。NF-κB結合(総量)は時間依存性に増加して、発現は1時間の時点でピークを示したことに注意されたい(レーン1、4、7)。次に、p50(レーン2、5、8)およびp65(レーン3、6、9)に対する抗体を用いて、異なるNF-κBダイマーを識別するために抽出物をスーパーシフトさせた。
図6A〜6Cのデータを得るために、CO(250ppm)に1時間曝露後に核p65の位置決定のために一次肝細胞に免疫染色を施した。画像は、空気で処理した細胞に局在化が認められなかったのに対して(青色の核を指す矢印)、CM(陽性対照として使用)およびCOを曝露した細胞の双方においてNF-κBが核移行したこと(NF-κBの移行を示す緑色の核を指す矢印)を示す。
NF-κBルシフェラーゼレポーターアッセイの活性は、細胞をCO雰囲気中に収容した1時間後にピークを示した。サイトカイン混合物(CM)は、陽性シグナルならびにCOの効果を評価するための最大レポーター活性の標準として処理群に加えた。一次肝細胞におけるトランスフェクション効率は難しいが、レポーター活性は極めて有意であった(*対照に対してp<0.001)。陽性の免疫染色およびEMSAの結果と組み合わせたこれらのデータは、それ自体が選択的遺伝子発現の一因となる可能性のあるNF-κBの中等度の増加がCOによって誘発されるという知見を支持するものである。COに介在される保護作用にNF-κB活性が必要であるかどうかを調べるために、アデノウイルスによるIκBαの遺伝子導入を用いてNF-κBの移行を阻害し、かつBAY 11-7082(1〜10mM、Calbiochem)を用いてNF-κB活性化を阻害した。COの保護作用は、NF-κB活性化の阻害によって阻止された。
CO保護作用におけるNF-κB依存性iNOS発現の役割
CO介在性の肝細胞保護作用がiNOSの発現およびNOの発生を必要とするか否かを調べた。結果を図7、8および9に示す。
図7のデータを得るために、Lowenstein ら(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A 90 : 9730-9734 (1993))に記載されるルシフェラーゼレポーターアッセイ法を用いてiNOSの発現を評価した。簡潔に言うと、BAY 11-7082(10μM)または溶媒曝露の24時間前に、iNOSプロモーターレポーター構築物およびpIEP-LacZを肝細胞に同時トランスフェクトした。CO(250ppm)曝露の1時間前に、細胞をBAYとインキュベートした。ルシフェラーゼ活性(任意単位;A.U.として報告)を上記の通りアッセイした。陽性対照としてサイトカイン混合物(CM;上記参照)を用いてiNOSの発現を誘発し、結果をトランスフェクション効率およびタンパク質濃度について補正した。
図8のデータを得るために、イムノブロッティング技術を用いてiNOSタンパク質の発現を評価した。簡潔に言うと、肝細胞由来の細胞抽出物をCO(250ppm)の存在下および非存在下においてTNF-α/ActDで6〜8時間処理した。対照の細胞は空気またはCO単独で処理した。図8では、TNF-αがiNOS発現を最小限に誘発するのに対して、COの存在下においてTNF-αで処理した細胞は、iNOSタンパク質の有意に大きな誘導を示す点に留意されたい。
図9に示すデータを得るために、inos-/-マウスまたは野生型C57BL/6Jマウスからマウス肝細胞を単離した後、CO投与に先立ってiNOSを阻害するためにL-NIO(1mM)で1時間、前処理した。CO曝露群にはTNF-α/ActDの添加前に1時間の前処理を行い、その後、CO曝露に戻した。iNOS発現が見られないまたは阻害された細胞では、12時間後のクリスタルバイオレット排除により評価される通り、COは細胞死に対して保護作用を示さなかった。
肝細胞のCOへの曝露は、iNOSルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて極めて顕著な活性増大を生じた(図7)。この場合も、サイトカイン混合物はこれらの低効率トランスフェクションにおける陽性対照およびCOの効果を評価する標準として使用した。iNOS発現のNF-κB依存性に一致して、BAY 11-7082で処理した肝細胞ではレポーター活性の低下が認められた(図7)。さらに、iNOSタンパク質は、TNF-α単独に比べて、COの存在下においてINF-αに応答して著しく増加した(図8)。iNOSノックアウトマウス(inos-/-)由来肝細胞、およびiNOS阻害剤であるL-NIO(1mM、Calbiochem)で処理した野生型肝細胞を用いて、本出願者らはCOがiNOS活性の非存在下においてTNF-α誘発死に対して保護作用を示すか否かを調べた。iNOS活性を欠く肝細胞はCOによってTNF-α誘発性細胞死から保護されなかったが、野生型肝細胞は保護された(図9)。これらを考え合わせると、これらのデータは、インビトロにおいて肝細胞を細胞死から保護するために、COはNF-κBの活性化およびiNOSの発現を必要とすることを示している。
CO吸入の肝不全に対する保護作用
劇症肝不全のTNF-α/D-galモデルにおいて、CO吸入剤が肝損傷からマウスを保護するか否かを調べた。結果を図10および11A〜11Hに示す。
図10に示すデータを得るために、TNF-α/D-gal(それぞれ、0.3μg/8mg/マウス;i.p.)投与前に1時間、マウスをCO(250ppm)で前処理した。TNF-α/D-galの投与後、マウスをCO曝露チャンバーに戻して、6〜8時間後にALTに関してマウスの血清を分析した。CO曝露を行わなかった場合、上記のインビトロモデルのように、主として肝細胞のアポトーシスに惹起されて6〜8時間以内に肝不全が発症した。CO処理したマウスの血清ALTは、空気曝露したマウスよりも74%低かった。
図11A〜11Hに示すデータを得るために、CO(250ppm)の存在下および非存在下においてTNF-α/D-galで8時間処理したマウスから採取した肝試料について、切片を作製して、ヘマトキシリン・エオジン(H&E)、活性化カスパーゼ3(赤色の強度の増大によって示される)、およびTUNEL陽性細胞(緑色細胞染色の増大によって区別される;細胞死のマーカー)に対して染色した。核は青色に染色した。H&E染色により評価される通り、COへの曝露によって、TNF-α/D-gal誘発性肝細胞障害は著しく抑制された。COに曝露したマウスの肝臓でも、より少ないTUNEL陽性細胞数を示し、活性化カスパーゼ-3の着色の減少を示し、かつ正常な構造物を有した。TNF-α/D-galを投与した空気曝露対照マウスは、顕著な肝臓の炎症、浮腫、出血、および構造物の消失を示した。
上記の結果は、TNFの代わりにリポポリサッカライド(LPS、エンドトキシンとも呼ばれる)を用いて確認された。これらの確認試験において、LPS/D-Galを投与した結果、LPS/D-Gal投与8時間後に測定された通り、血清ALT値が対照値の20±5 IU/mlから>1000 IU/mlに増加した。250ppmのCOで前処理したマウスの場合、ALTの増加は>75%抑制されて、250±75 IU/mであった。このモデルにおいてCOを用いて認められた作用をさらに特徴づけるために、血清インターロイキン-6を測定し、空気を呼吸した対照動物に対して、COを呼吸した動物では65%減少することが明らかとなった(データは示していない)。これらのマウスから得られた肝臓の組織病理学は、TNF/D-Galを用いて実証されたものとほぼ等しかった。無処理マウスおよびCO曝露マウス(LPS/D-Galなし)は損傷の徴候を示さなかったが、空気およびLPS/D-Galで処理したマウスは浮腫、出血、好中球浸潤、ならびに正常な形態学および構造物の全体的な破壊を含む顕著な損傷を示した。これに対して、COおよびLPS/D-Galで処理したマウスの肝臓は、COおよびTNF/D-Galで処理したマウスと同程度に保護された。炎症マーカー(浮腫、出血、好中球浸潤)の変化はほとんど認められなかった。構造物は維持されて、無処置マウスおよび(LPS/D-Gal非存在下での)CO処理マウスと概ね等しかった。全般的に、急性肝炎誘発のためのLPS/D-Galの使用はTNF/D-Gal処理を用いて得られたデータと一致し、これを追認するものであった。
肝障害からのCO保護作用におけるiNOSの役割
イムノブロッティング技術および免疫組織化学を用いて、TNF-α/D-galの投与後にCO曝露したマウスの肝臓において肝臓のiNOSタンパク質値が増大するか否かを調べた。さらに、iNOS発現が機能的役割を持つか否かを明らかにするために、選択的iNOS阻害剤であるL-NIL(10mg/kg、i.p.;2時間毎に投与)で処理したinos-/-マウスまたは野生型マウスに対してCOが保護作用を示すか否かを調べた。結果を図12、13A〜13Dおよび14に示す。
図12に示すデータを得るために、TNF-α/D-gal(それぞれ、0.3μg/8mg/マウス、i.p.)投与の1時間前に雄性C57BL/6Jマウスを空気またはCO(250ppm)で処理した。6時間後、イムノブロッティングによりiNOSの発現を調べるために肝臓を採取した。結果は、空気/TNF-α/D-gal処理マウスではiNOSの発現が若干増加したが、TNF-α/D-galおよびCOで処理したマウスでは著しく増加したことを示している。予想通り、inos-/-マウスはiNOSタンパク質の発現を示さなかった。
図13A〜13Dのデータを得るために、マウスの肝臓の切片をiNOS発現に関して免疫染色した。肝臓の切片は、COの存在下または非存在下においてTNF-α/D-galで処理したマウス、TNF-α/D-galを投与しなかった空気およびCO対照から採取した。COに曝露してTNF-α/D-galを投与されなかったマウスの肝臓は、iNOS発現の若干の増加を示した。しかし、COに曝露されてTNF-α/D-galを投与されたマウスの肝臓では、有意に大きな発現増大(緑色染色細胞の増加により示される)が認められた。この発現増加は、血管周辺への局在化を呈した。
図14のデータを得るために、iNOSの選択的阻害剤であるL-NIL(L-NIL;5mg/kg、2時間毎にi.p.投与)で処理したinos-/-および野生型マウスを用いて、iNOS活性の非存在下においてCOに誘発される保護作用の有効性を調べた。L-NILはCOの2時間前に投与した。続いて、CO処理動物をTNF-α/D-galの前に1時間、前処理した(250ppm)。iNOS機能/発現の非存在下において、血清ALT値および病理組織学により評価される通り、COは肝細胞障害から保護できない(データは示していない)。
従って、TNF-α誘発性肝不全における吸入COの保護効果はiNOS活性に依存すると思われる。
急性肝不全からのCO保護におけるHO-1の役割
COおよびNOがHO-1依存性メカニズムを介して急性肝不全からの保護作用を示すか否かを調べた。データを図15、16、17および18に示す。
図15に示すデータを得るために、イムノブロッティングを行ってCO(250ppm)の存在下および非存在下においてTNF-α/D-galを投与したマウスの肝臓におけるHO-1の発現を調べた。COで処理したマウスは、TNF-α/D-galの存在下および非存在下の双方において、HO-1発現の有意な増加を示した。
肝臓におけるTNF-α/D-gal誘導性HO-1発現に対するiNOSの役割を評価するために(図16に示すデータ)、CO(250ppm)による前処理の2時間前、およびその後2時間毎にマウスにL-NIL(5mg/kg、i.p.)を投与した。対照マウスにはL-NILを投与して、室内の空気中で維持した。図16では、COが溶媒投与マウスにおけるHO-1発現を増加させたが、iNOSが阻害されると発現を誘導できなかったことに注意されたい。L-NILの単独処理はHO-1発現に対して最小限の影響を及ぼした。
COに誘導されるHO-1の保護的役割(図17に示すデータ)を試験するために、COの5時間前にマウスにに対して選択的HO-1阻害剤であるSnPP(50μmol/kg、s.c.)を投与した。または、マウスにNOドナーであるVPYRRO(VP)(10mg/kg、s.c.)を投与した。VPはNOを肝臓に直接送達するように選択的に設計された。初回VP投与の1時間後、TNF-α/D-gal投与に先立って、動物をCOに1時間、曝露した(上記を参照されたい)。血清ALT値は6〜8時間後に測定した。HO-1活性が遮断された動物では、COは保護作用を示すことができなかった点に注意されたい。VPは、2時間前およびその後2時間毎に投与された場合、8時間後に血清ALT測定値により判定される通り、損傷からの保護作用を発揮した。
図18に示すデータを得るために、Stengerら(J. Exp. Med. 183: 1501-1514 (1996))に記載される通り、L-NILを飲水に混入して(4.5mM)、24時間にわたって野生型C57BL/6Jマウスを前処理した。続いて、これらのマウスおよびinos-/-マウスにCoPPを投与した。L-NILは実験を通して飲水中に維持した。対照マウスおよびinos-/-マウスには通常の飲水を与えた。CoPPの投与24時間後にTNF-α/D-galを投与して、6〜8時間後に血清ALTを測定した。図18において、iNOSの有無に関わらずHO-1の誘導は保護作用を示す点に注意されたい。
TNF-α/D-galの存在下または非存在下においてCOで処理したマウスから得られた肝抽出物のイムノブロッティングは、HO-1のアップレギュレートを示した(図15)。保護作用が阻害されたこれらの上記の群(図17)にiNOS阻害剤であるL-NILを添加した場合も、HO-1のアップレギュレートが阻止された(図16)。HO-1がCOに誘発される肝臓保護作用の中心であるか否かを判定するため、プロトポルフィリンスズ-IX(SnPP、50μmol/kg、s.c.、Frontier Scientific)をHO-1活性の選択的阻害剤として用いた。SnPPは、このモデルにおいてCOの保護作用を著しく減少させた(図17)。TNF-α/D-gal非存在下でのSnPPの投与は、有害作用または保護作用を示さなかった(データは示していない)。これらの結果は、HO-1のアップレギュレートがCOの保護効果にとって重要であることを示唆する。
保護作用がNOによって惹起される場合にもHO-1のアップレギュレートが必要か否かを調べるために、マウスを薬学的NOドナーであるV-PYRRO/NOで処理した。この薬剤は肝臓によって代謝されて、肝細胞よりNOが放出される。V-PYRRO/NOは、LPS/D-galまたはTNF-α/D-galの投与後にも保護作用を示す。HO-1の役割を調べるために、マウスを無作為化し、SnPPを併用して、または併用せずにTNF-α/D-galを投与した。血清ALTにより評価される通り、V-PYYRO/NOは保護作用を示した。しかし、SnPPはこのNOドナーの肝障害からの保護能力を阻害した(図17)。従って、COまたはNOに惹起される肝臓保護作用は少なくとも部分的にはHO-1に依存すると思われる。
これらのデータは、COおよびNOがTNF-α誘発性肝細胞死から保護するにはHO-1の活性が必要であることを示唆することから、HO-1に介在される保護作用がiNOSの活性化を必要とするか否かについて検討した。inos-/-マウスを用いて、CoPPの投与によってHO-1を誘導した。24時間後のHO-1発現のピーク時にTNF-α/D-galを注射して、6〜8時間後に肝障害を評価した。結果は、HO-1の誘導がiNOS活性に非依存性に肝損傷を有意に予防することが可能であり、血清ALTが>50%低下したことを示している(図18)。これらの結果は、L-NILを用いて確認された。マウスに、L-NIL(4.5mM)を含む飲水で24時間にわたって前処理した。この方法はNOS活性を効果的に阻害する。対照マウスには通常の水を与えた。その後、HO-1発現を誘導するためにCoPPを投与して、24時間後にTNF-α/D-galでマウスを攻撃した。L-NILの単独処理はこのモデルにおいて誘発される損傷の重症度を変化させなかった。CoPPを投与したすべての動物(L-NILを併用する場合および併用しない場合)が、肝損傷から保護された(図18)。
COまたはNOに誘発されるTNF-α/ActD誘発性肝細胞死からの保護作用にとって、HO-1発現が必要であるか否かについて調べた。データを図19および20に示す。
図19に示すデータを得るために、HO-1ヌルマウス(hmox-1-/-)および野生型(C57BL/6J)の同腹子からマウス肝細胞を単離して、CO(250ppm)で1時間前処理してTNF-α/ActDで処理した。生存度は上記のように測定した。COは野生型肝細胞に対して有意に保護したが、hmox-1-/-マウスから単離された肝細胞は保護できなかった。
図20に示すデータを得るために、HO-1ヌルマウス(hmox-1-/-)および野生型(C57BL/6J)の同腹子からマウス肝細胞を単離して、NOドナーであるSNAP(500μM)で前処理した後、1時間後にTNF-α/ActDで処理した。SNAPはこのモデルにおいて肝細胞保護作用を示すことが実証されている。SNAPは野生型肝細胞では細胞死に対して有意に保護したが、hmox-1-/-マウスから単離された肝細胞では細胞死からの有意な保護作用を示さなかった。
上記のように、空気で処理した野生型およびhmox-1-/-細胞をTNF-α/ActDに曝露すると予想通り細胞死を起こしたが、COまたはNOに曝露した野生型細胞はTNF-α/ActDの存在下において保護された(図19および20)。機能性HO-1を欠く細胞(hmox-1-/-)では、COおよびNOによって付与される保護作用がなかった。従って、HO-1はこのモデルにおいてiNOSの関与なしに保護作用を示すことが可能であると思われ、HO-1またはその触媒性産物の一つもしくは複数がこのモデルにおける細胞保護効果を一部発揮できることを示唆している。
CO吸入によるアセトアミノフェン誘発性肝炎に対する保護作用
CO吸入がアセトアミノフェン(APAP)誘発性肝炎に対して保護作用を示すか否かを調べた。データを図21に示す。
図21のデータを得るために、APAP(500mg/kg、i.p.)の投与1時間前または4時間後のいずれかに雄性C57BL/6JマウスをCO(250ppm)に曝露した。その後、マウスは実験期間を通してCO内で維持した。APAP投与の20時間後に血清ALT値を測定した。対照マウスにはAPAPを投与して、空気中で維持した。このプロトコールは、CO投与前に4時間にわたって肝炎を発症させるように設計された。COは、血清ALTより評価される通り、肝臓に対する障害を有意に減少させた(622±44対175±137、対照と比較してp<0.01)。この保護作用は、APAP前にCOで前処理した別の動物群において認められた作用と類似した。これらのデータは、肝炎発症後に治療が開始される臨床的に関連性のある状況においてCOが治療上有用であることを裏付けるものである。
この実施例で考察された結果は、低濃度のCOがTNF-α/D-gal誘発性劇症肝炎から保護できることを実証し、TNF-α/D-galによる障害からのCO誘発性保護においてこれまで知られていなかったHO-1およびiNOS双方への固有の依存性を例証する。
理論にしばられることを意図するものではないが、CO介在性の保護作用は、NF-κBを活性化することによって作動し、これにより炎症刺激の存在下ではiNOSがアップレギュレートされて、その結果、NOが産生される。iNOSの誘導に加えて、その他のNF-κB依存性抗アポトーシス/保護遺伝子が誘導される可能性がある。COを用いた1時間の前処理期間中およびTNF-αでの細胞処理前に、NF-κBの有意な活性化が生じたが、これが上記の細胞装置の準備(priming)の一部である可能性がある。COによるNF-κBの活性化は、ミトコンドリアに源を発する反応性酸素種生成の軽度の増加を一因とする可能性がある(予備的所見)。1時間という時間がNF-κV依存性抗アポトーシス遺伝子発現のための時間を認めた可能性もある。このような仮説的モデルにおける次の段階により、iNOSのアップレギュレートに続いてNOが産生される可能性がある。NOはHO-1のアップレギュレートを招き、このHO-1の活性によって保護効果が付与される。HO-1の保護効果はヘムの除去またはその3つの産物であるCO、ビリベルジン/ビリルビンもしくは鉄/フェリチンのいずれか一つまたは複数に起因する可能性がある。実験期間を通して外因性COが投与されたので、内因性に産生されるCOのみがHO-1保護作用を介在する可能性は低いと思われる。しかし、COとHO-1のその他の産物の組み合わせ、または個々に作用するこれらのその他の産物が関与する可能性がある。
上記の試験では、COは、ヒトにおける急性肝炎の発症と類似の時間経過を辿るアセトアミノフェン(APAP)誘発性肝炎の臨床的関連モデルにおいて投与された。データは、APAP(500mg/kg、i.p.)投与4時間後のCO曝露によって肝損傷が62%減少したことを実証している(図21)。このAPAP誘発性肝損傷モデルにおいて、マウスはAPAP投与後2〜4時間には早くも肝炎の徴候を示し、致死は24〜48時間までに発生する。従って、COは肝損傷の開始後に曝露された。2.5時間のショック期間後の蘇生中におけるCO吸入の治療開始によって肝損傷からの保護が得られた(24時間の時点における血清ALTの>65%減少、p<0.01;n=6〜10匹/群)マウス出血性ショックモデルの結果は、APAPモデルのデータと一致する。
まとめると、主としてTNF-α誘発性アポトーシスに惹起される肝損傷モデルを用いて、以下のことが実証された:まず、このモデルにおいてCO吸入は肝炎を予防することができる;第二に、COによる保護には二番目の気体分子であるNOの発生が必要である;第三に、NOは、少なくとも一部はHO-1のアップレギュレートを介してその有益な効果を発揮する;第四に、HO-1のアップレギュレートは、iNOS/NO活性を必要とせずに、即ちサイクルの絶対的継続(obligate continuation)を伴わずに、保護作用を示す。
実施例2.肝炎の治療プロトコール
次の実施例は、肝炎と診断された患者の治療に用いるためのプロトコールを示す。この実施例は、例えば肝臓を移植する手術などの外科的手技の実施前、実施中および/または実施後に患者を治療するためのプロトコールを示す。当業者は、本明細書に述べられるプロトコールは患者の個々の要求に基づいて適合させることが可能であり、その他の任意の肝炎治療と併用するために適合させることができることを認識する。
患者の治療
COを用いた患者の治療は、例えば、ウイルス感染および/またはアルコール乱用によって惹起される肝炎など、患者が肝炎と診断される当日に開始することができる。患者は、当技術分野において既知の任意の方法を用いて医師によって診断されうる。例えば、医師は血清ALT値を調べるための検査および患者が特定のウイルス(例えば、既知のいずれかの肝炎ウイルス)に感染しているか否かを調べるための検査などの、血液検査から得られるデータを用いてこのような診断を下すことができる。さらに、医師はこのよな診断を下す際に患者の病歴を考慮してもよい(例えば、患者がアルコール中毒者または長期薬物使用者であるか否かを検討することによって)。患者は、約250〜500ppmの濃度のCOを1日1時間吸入することができる。この治療は約30日間、または患者がもはや肝炎でないかもしくは肝炎の危険性がないと診断されるまで、継続することができる。
肝移植手技
肝臓ドナーの治療
肝臓またはその一部の採取前に、ドナーを1時間、一酸化炭素吸入(250ppm)で治療することができる。治療は、10ppmから1000ppmまでの範囲の用量で、1時間から6時間の範囲の期間、または脳死(死体)ドナーを扱うことが可能となる時期から臓器が摘出される時期までの全期間、行うことができる。ヒトドナーの場合は、脳死であることの宣言後可能な限り速やかに治療を開始しなければならない。いくつかの適用においては、脳死前に投与が開始されることが望ましい可能性がある。
ヒト以外の動物(例えば、ブタ)を異種移植ドナーとして用いる場合、産生されるカルボキシヘモグロビンが移植されるべき臓器の生存度および機能を損なわない限り、所望に応じて、生存ドナー動物を比較的高濃度の一酸化炭素吸入で治療することができる。例えば、500ppmを超える濃度(例えば、1000ppmまたはそれ以上、および特に短時間の場合は最高10,000ppm)を使用することができる。
インサイチューでの肝臓の処理
ドナーから肝臓を採取する前に、肝臓がまだドナー体内にある状態で、緩衝液または培地などの溶液で肝臓を洗い流すかまたは還流することができる。目的は、一酸化炭素含有量を飽和状態に維持するために、一酸化炭素で飽和して一酸化炭素雰囲気中に維持された溶液で肝臓を洗い流すことである。洗い流しは、少なくとも10分間、例えば、1時間、数時間またはそれよりも長い時間、実施することができる。溶液は、理想的には肝臓(またはその一部)の細胞に可能な最大濃度の一酸化炭素を送達するべきである。
エクスビボでの肝臓の処理
肝臓は、ドナーから摘出された時点からレシピエントに移植される時点まで一酸化炭素を含む培地に保存することができる。これは、肝臓をCOを含む培地中に維持することによって、または肝臓をそのような培地で還流することによって行うことができる。これは動物体内ではなくエクスビボで実施されるので、COで飽和した培地を維持するために極めて高濃度のCO気体を使用することができる(例えば、10000ppm)。
肝臓レシピエントの治療
COを用いたレシピエントの治療は、手術開始の少なくとも30分前の移植当日に開始することができる。または、レシピエント体内での臓器再灌流の少なくとも30分前に開始することができる。これは少なくとも30分間、例えば1時間継続することができる。10ppmから3000ppmの一酸化炭素用量を、例えば数分または数時間などの様々な時間にわたって送達することが可能であり、移植当日または移植した後日に投与することができる。例えば、患者は、例えば3000ppmの濃度の一酸化炭素を連続10秒間ずつ3回にわたって息を止めて吸入することができる。または、これよりも低い濃度の一酸化炭素を、息こらえではなく通常の呼吸にてより長い期間、間欠的または常時、送達することができる。カルボキシヘモグロビン濃度は、患者に対する適切な一酸化炭素投与の目安として利用することができる。通常、レシピエントに対する治療は、移植を必要とする患者が許容できる危険性を生じると考えられる値を超えてカルボキシヘモグロビン値を上昇させるべきではない。
本発明の多くの態様が記載されている。それにも関わらず、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく様々な改変を行ってもよいことが理解される。従って、その他の態様は特許請求の範囲内である。
HO-1の誘導がTNF-α/D-galに誘導される細胞死からマウス肝細胞を保護することを示す棒グラフである。CoPP=コバルトプロトポルフィリン;ALT=血清アラニンアミノトランスフェラーゼ;TNF=腫瘍壊死因子α。結果は、1群6〜8匹のマウスの平均±SDである。*p<0.005。 外因性COが、cGMP/p38経路依存的およびNF-κB活性化依存的にTNF-α誘発細胞死から肝細胞を保護することを示す棒グラフである。CO=一酸化炭素;空気=室内の空気;TNF=腫瘍壊死因子α;BAY=BAY 11-7082(NF-κB活性化を阻害);IκB=IκBα(NF-κB活性化を阻止);ODQ=1H-[1,2,4]オキサジアゾロ[4,3-a]キノキサリン-1-オン(選択的グアニル酸シクラーゼ阻害剤);Lac-Z=pIEP-Lac-Z(アデノウイルス対照)。記載する結果は、独立した4回の実験から得られた3連のウェルの平均±SDである(*p<0.01)。 外因性COがTNF-α/アクチノマイシン-D(ActD)誘発性細胞死からヒト肝細胞を保護することを示す棒グラフである。CO=一酸化炭素;空気=室内の空気;TNF=TND-α/ActD。結果は、独立した3回の実験から得られた3連のウェルの平均±SDである。*p<0.05。 外因性COが肝細胞におけるNF-κB活性化の増大を惹起することを示す棒グラフである。CO=一酸化炭素;空気=室内の空気;BAY=BAY 11-7082;CM=サイトカイン混合物(TNF-α(500 U/ml)、IL-1β(100 U/ml)、およびIFN-δ(100 U/ml))。記載する結果は、独立した3回の実験から得られた3連のウェルの平均±SEである。*空気に対してp<0.001。 外因性COが、電気泳動移動度シフトアッセイ法(EMSA)により測定されるように、NF-κB核移行およびDNA結合の増加を誘発することを示すポリアクリルアミドゲルの像である。FP=フリープローブ(核内タンパク質なし、従ってDNA結合なし);TOTAL=抗体のスーパーシフトを伴わないNFκBのバンド。 核p65の局在を検出するために免疫染色を施した一次肝細胞の顕微鏡写真であり、外因性COが肝細胞においてNF-κB活性化の増大を惹起することを示している。図6A:空気に曝露した肝細胞。図6B:サイトカイン混合物(TNF-α(500 U/ml)、IL-1β(100 U/ml)、およびIFN-δ(100 U/ml))に曝露した肝細胞。図6C:COに曝露した肝細胞。画像は異なる6視野の代表である。バーは10μmを示す。 外因性COに誘発される肝細胞保護にNF-κB依存性のiNOSの発現が関与することを示す棒グラフである。CO=一酸化炭素;空気=室内の空気;BAY=BAY 11-7082;CM=サイトカイン混合物。記載する結果は、独立した4回の実験から得られた3連のウェルの平均±SEである。*空気および空気/BAYで処理した細胞に対してp<0.001。 肝細胞におけるiNOSタンパク質の発現が、TNF-α単独曝露に比べて、CO存在下でのTNF-αの曝露によって著しく増加することを示すウェスタンブロット画像である。iNOS=誘導性一酸化窒素シンターゼ;CO=一酸化炭素;空気=室内の空気;TNF=TNF-α/ActD;β-アクチン=対照タンパク質。イムノブロットは独立した3回の実験の代表である。 iNOS活性欠損マウス(inos-/-)の肝細胞がCOによってTNF-α誘発性細胞死から保護されないことを示す棒グラフである。CO=一酸化炭素;空気=室内の空気;TNF=TNF-α/ActD;inos-/-=iNOSノックアウトマウス;L-NIO=L-N5-(1-イミノエチル)-オルニチン-2HCl。記載する結果は、独立した4回の実験から得られた3連のウェルの平均±SEである。*非TNF/ActDおよびCO/TNF/ActD処理細胞に対してp<0.01。 外因性に投与したCOがTNF-α/D-Galに誘発されるマウスの肝損傷を予防することを示す棒グラフである。ALT=血清アラニンアミノトランスフェラーゼ;CO=一酸化炭素;空気=室内の空気。結果は18〜20匹のマウスの平均±SDとして示した。*空気曝露に対してp<0.001。 外因性に投与したCOがTNF-α/D-Galに誘発されるマウスの肝損傷を予防することを示す肝試料の顕微鏡写真である。図11Aおよび11B:それぞれ、室内の空気およびCOに曝露し、ヘマトキシリン・エオジン(H&E)で染色したマウスの肝試料である。図11Cおよび11D:それぞれ、室内の空気およびCOに曝露してH&E染色を施したTNF-α/D-Gal処理マウスの肝試料。図11Eおよび11F:それぞれ、室内の空気およびCOに曝露し、活性化カスパーゼ-3を検出するために染色を施したTNF-α/D-Gal処理マウスの肝試料である。図11Gおよび11H:それぞれ、室内の空気およびCOに曝露し、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ介在dUTPニック末端ラベリング(TUNEL)を用いて染色した、TNF-α/D-Gal処理マウスの肝試料である。画像は、各群3〜4匹の各マウスから得られた肝臓当たり15〜20切片の代表的切片である。バーは20μmを示す。 TNF-α/D-Galに曝露してCO吸入で治療したマウスの肝臓がiNOSタンパク質量の増加を示すことを表すウェスタンブロットの画像である。野生型=野生型マウス;iNOS-/-=iNOS欠損マウス;CO=一酸化炭素;空気=室内の空気;TNF=TNF-α/D-Gal;β-アクチン=対照タンパク質。 TNF-α/D-Galに曝露してCO吸入で治療したマウスの肝臓がiNOSタンパク質量の増加を示すことを表す肝試料の顕微鏡写真である。図13A:室内の空気に曝露したマウスの肝試料。図13B:COを曝露したマウスの肝試料。図13C:TNF-α/D-Galおよび室内の空気に曝露したマウスの肝試料。図13D:TNF-α/D-GalおよびCOに曝露したマウスの肝試料。画像は、6匹の異なる動物および肝試料当たり6〜10個の異なる切片の代表である。バーは20μmを示す。 iNOS機能/発現の非存在下ではCOが肝障害から保護しないことを示す棒グラフである。L-NIL=L-N6-(1-イミノエチル)-リシン二塩酸塩(iNOSの選択的阻害剤);CO=一酸化炭素;空気=室内の空気;TNF=TNF-α/D-Gal。結果は群当たり6〜8匹の動物の平均±SDである。*CO/TNF-a/D-Galならびに空気およびCO対照に対して、p<0.01。 COで治療したマウスの肝臓がTNF-α/D-Galの存在下および非存在下の双方においてHO-1の発現の増大を示したことを表すウェスタンブロット画像である。CO=一酸化炭素;空気=室内の空気;TNF=TNF-α/D-Gal;β-アクチン=対照タンパク質。ブロットは独立した2回の実験の代表である。 L-NILを用いてiNOSが阻害されると、TNF-α/D-Galの存在下または非存在下においてCO処理マウスの肝臓がHO-1の発現増大を示さないことを表すウェスタンブロット画像である。CO=一酸化炭素;空気=室内の空気;TNF=TNF-α/D-Gal;β-アクチン=対照タンパク質;L-NIL=L-N6-(1-イミノエチル)-リシン二塩酸塩(iNOSの選択的阻害剤)。ブロットは、独立した2回の実験の代表である。 CO誘導性HO-1がマウスにおけるTNF-α誘発性肝障害に対して保護作用を示すことを表す棒グラフである。ALT=血清アラニンアミノトランスフェラーゼ;空気=室内の空気;TNF=TNF-α/D-Gal;Sn=スズプロトポルフィリン(HO-1の阻害剤);VP=V-PYRRO(一酸化窒素ドナー)。結果は群当たり8〜10匹のマウスの平均±SDとして示す。*CO/TNF/D-gal処理マウスに対してp<0.05。 HO-1の誘導が、iNOS活性に依存しないTNF-α誘発肝損傷に対して保護作用を示すことを表す棒グラフである。ALT=血清アラニンアミノトランスフェラーゼ;空気=室内の空気;TNF=TNF-α/D-Gal;L-NIL=L-N6-(1-イミノエチル)-リシン二塩酸塩(iNOSの選択的阻害剤);CoPP=コバルトプロトポルフィリン(HO-1の誘導物質);iNOS-/-=iNOS欠損マウス。結果は群当たり6〜8匹のマウスの平均値±SDである。*空気/TNFおよびL-NIL/TNFに対してp<0.001。 COに誘発されるTNF-α/ActD誘発性細胞死からのマウス肝細胞の保護にはHO-1の発現が必要であることを示す棒グラフである。野生型(黒いバー)=野生型C57BL/6Jマウスから単離された肝細胞;hmox-1-/-(白いバー)=HO-1ヌルマウスから単離された肝細胞;CO=一酸化炭素;空気=室内の空気;TNF=TNF-α/ActD。*TNF-α/ActD無処理細胞に対して、およびCO処理したTNF-α/ActD投与細胞に対してp<0.01。 NOに誘発されるTNF-α/ActD誘発性細胞死からのマウス肝細胞の保護にはHO-1の発現が必要であることを示す棒グラフである。野生型(黒いバー)=野生型C57BL/6Jマウスから単離された肝細胞;hmox-1-/-(白いバー)=HO-1ヌルマウスから単離された肝細胞;SNAP=s-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン(NOドナー);空気=室内の空気;TNF-α=TNF-α/ActD。*TNF-α/ActD無処理細胞およびNO処理したTNF-α/ActD処理細胞に対してp<0.01。 COに曝露されたマウスがアセトアミノフェン誘発性肝損傷から保護されたことを示す棒グラフである。ALT=血清アラニンアミノトランスフェラーゼ;空気=室内の空気;APAP=アセトアミノフェン。結果は、群当たり4〜8匹のマウスの平均値±SDである。

Claims (26)

  1. 以下の段階を含む、患者の肝炎を治療する方法:
    肝炎と診断される患者を同定する段階;および
    患者における肝炎の治療に有効な量の一酸化炭素を含む薬学的組成物を患者に投与する段階。
  2. 薬学的組成物が気体状であり、吸入によって患者に投与される、請求項1記載の方法。
  3. 薬学的組成物が液体状であり、経口的に患者に投与される、請求項1記載の方法。
  4. 薬学的組成物が患者の腹腔に直接投与される、請求項1記載の方法。
  5. 患者がA型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、およびG型肝炎ウイルスからなる群より選択されるウイルスに感染している、請求項1記載の方法。
  6. 患者がアルコール中毒者である、請求項1記載の方法。
  7. 肝炎誘発性薬物の投与の留保または低減、および患者へのコルチコステロイドまたは抗ウイルス剤の投与からなる群より選択される治療を患者に実施する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  8. 薬学的組成物が人工肺によって投与される、請求項1記載の方法。
  9. 薬学的組成物が体外膜型気体交換装置によって投与される、請求項1記載の方法。
  10. 肝炎が肝毒性因子への曝露によって引き起こされる、請求項1記載の方法。
  11. 以下の段階を含む、患者の肝炎を治療する方法:
    (a)肝炎患者または肝炎の危険性を持つ患者を同定する段階;
    (b)一酸化炭素気体を含む加圧気体を含む容器を提供する段階;
    (c)一酸化炭素気体を含む雰囲気を形成するために容器から加圧気体を放出させる段階;および
    (d)一酸化炭素の量が患者の肝炎を治療するのに十分である雰囲気に患者を曝露する段階。
  12. 以下の段階を含む、患者に肝毒性薬を投与する方法:
    (a)肝毒性薬を患者に投与する段階;および
    (b)段階(a)の実施前、実施中、または実施後に、患者の肝炎を治療するのに有効な量の一酸化炭素を含む薬学的組成物を患者に投与する段階。
  13. 一酸化炭素が段階(a)の実施前に投与される、請求項12記載の方法。
  14. 一酸化炭素が段階(a)の実施中に投与される、請求項12記載の方法。
  15. 一酸化炭素が段階(a)の実施後に投与される、請求項12記載の方法。
  16. 肝毒性薬がイソニアジド、メチルドパ、アセトアミノフェン、アミオダロン、およびニトロフラントインからなる群より選択される、請求項12記載の方法。
  17. 医療用圧縮一酸化炭素気体を含む容器であって、その気体が患者の肝炎の治療に用いることができることを明記したラベルが貼付される容器。
  18. 一酸化炭素気体が酸素含有気体との混合物である、請求項17記載の容器。
  19. 一酸化炭素気体が混合物中に少なくとも約0.025%の濃度で存在する、請求項17記載の容器。
  20. 一酸化炭素気体が混合物中に少なくとも約0.05%の濃度で存在する、請求項17記載の容器。
  21. 一酸化炭素気体が混合物中に少なくとも約0.10%の濃度で存在する、請求項17記載の容器。
  22. 一酸化炭素気体が混合物中に少なくとも約1.0%の濃度で存在する、請求項17記載の容器。
  23. 一酸化炭素気体が混合物中に少なくとも約2.0%の濃度で存在する、請求項17記載の容器。
  24. 気体を肝毒性薬の投与とともに患者に投与できることがラベルにさらに明記される、請求項17記載の容器。
  25. 医療用圧縮一酸化炭素気体を含む容器であって、その気体を肝毒性薬の投与とともに患者に投与できることを明記したラベルが貼付される容器。
  26. 以下の段階を含む、患者の肝炎を治療する方法:
    手術またはエンドトキシンによって引き起こされない肝炎の患者またはその危険性を有する患者を同定する段階;および
    患者の肝炎を治療するのに有効な量の一酸化炭素を含む薬学的組成物を患者に投与する段階。
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