JP2005528496A - 不飽和ポリエステル樹脂硬化用の、食品用に認可された促進剤溶液 - Google Patents
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Abstract
本発明は、1種以上の溶媒、1種以上のコバルト含有塩、及び任意的に1種以上の安定剤から実質的になる、不飽和ポリエステル樹脂の硬化用の促進剤溶液に関する。溶媒、塩、及び安定剤は食品用に認可された化合物である。溶液それ自体が、食品関連用途に適した不飽和ポリエステル樹脂の硬化に使用される。
Description
本発明は不飽和ポリエステル樹脂硬化用の、溶媒及びコバルト含有塩を含んでなる促進剤溶液に関する。
本発明が関する硬化方法は、過酸化物によって達成される、不飽和ポリエステル樹脂系配合物の通常の硬化方法である。促進剤溶液は当該硬化処理を促進し、加速するために加えられる。より詳しくは、促進剤溶液はより低温での過酸化物の活性を特に増加して、それによりポリエステル樹脂の硬化速度を上げるのに役立ち、結果として硬化時間が減少される。
そのような促進剤溶液は特開昭57−147509号により知られており、該溶液は溶媒、有機コバルト化合物、有機銅化合物、及びカルボン酸アルカリ金属塩を含有している。この金属塩混合物は食品関連用途への適合性に関して問題を生じる。また、そこに列挙されている芳香族溶媒のような芳香族化合物も望ましくない。
特開昭57−147509号公報
本発明の目的は、食品関連用途に適し、好ましくは良好な貯蔵安定性を有する促進剤溶液を提供することである。
本発明者らは、1種以上の適当な溶媒を採用し、また随意に1種以上の適当な安定剤を加えることにより本発明の目的を達成できることをここに見出した。本発明は、1種以上の当該溶媒、1種以上のコバルト含有塩、及び任意的に1種以上の安定剤から実質的になる、不飽和ポリエステル樹脂の過酸化物硬化に適した促進剤溶液からなる。促進剤溶液への安定剤の添加は、一般にその安定性を改善する。
本発明に使用される溶媒は、非毒性であること及びそれにより食品関連用途に利用できることの要件を満たすべきである。加えて、溶媒は環境に著しく負担をかけるものであるべきでないし、負担をかけると疑われるものでもあるべきでない。芳香族溶媒は一般にこれらの要件を満たさず、好ましくない。本発明に従う促進剤溶液中に存在する1種以上の促進剤、即ち、1種以上のコバルト含有塩はさらに、溶媒に十分に可溶でなければならない。そのため、該溶媒は好ましくは1種以上の極性基、例えば水酸基又はカルボン酸基を含有している。1種以上のコバルト含有塩は、少なくとも1重量%の1種以上の当該塩が99重量%の溶媒に溶解することができれば、溶媒に十分に可溶であると考えられる。溶媒は1種以上のコバルト含有塩の加速特性に悪影響を与えないものが好ましい。溶媒はまた1種以上のコバルト含有塩の調製時に既に存在させておくように企図できる。従って溶媒はこの反応混合物中で不活性であることが好ましく、その後、該溶液は不飽和ポリエステル樹脂(UP樹脂)の硬化用に使用される。溶媒は0℃より低い融点を有することが好ましい。その上、本発明で採用される溶媒は非吸湿性であるものが好ましい。
適当な溶媒の例は、ペンタン、イソペンタン、及びヘキサンのようなアルカン;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びエチレングリコールのようなグリコール;イソブタノール;ペンタノール;リン酸トリエチル、及び亜リン酸トリエチルのようなリン含有化合物;及びマレイン酸ジブチル、コハク酸ジブチル、及び酢酸エチルのようなエステルである。好ましい溶媒は、リン酸トリエチル、亜リン酸トリエチル、イソペンタン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及び酢酸エチルである。より好ましい溶媒は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、リン酸トリエチル、及び亜リン酸トリエチルである。前述した溶媒のうち少なくとも2種の混合物を使用することも企図できる。しかしながら、1種のみを使用することが好ましい。
促進剤溶液は、全促進剤溶液の重量に基づき、少なくとも20重量%(% W/W)、好ましくは少なくとも25重量%、最も好ましくは少なくとも30重量%、及び、多くても99重量%、好ましくは多くても98重量%、最も好ましくは多くても95重量%の溶媒を含む。
促進剤溶液は、全促進剤溶液の重量に基づき、少なくとも20重量%(% W/W)、好ましくは少なくとも25重量%、最も好ましくは少なくとも30重量%、及び、多くても99重量%、好ましくは多くても98重量%、最も好ましくは多くても95重量%の溶媒を含む。
本発明の1種以上の促進剤は、一般に不飽和ポリエステル樹脂に可溶であるようなものを選ぶのが好都合である。適当な促進剤は、酢酸コバルト、プロピオン酸コバルト、酪酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルト、ヘキサン酸コバルト、オクタン酸コバルト、ラウリン酸コバルト、オレイン酸コバルト、リノール酸コバルト、パルミチン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、アセチルアセトンコバルト錯体、及びナフテン酸コバルトから選ばれるコバルト含有塩である。最も好適な促進剤溶液は、オクタン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルト及び/又はナフテン酸コバルトを金属塩として実質的に含有する。前述のコバルト含有塩の混合物も採用できるけれども、そのうち 1種のみを使用することが好ましい。
どちらかというと好ましいことではないが、コバルト含有塩は他の金属を含有する促進剤と組み合わせることができる。そのような金属含有促進剤は、他の金属と1種以上のカルボン酸の慣用の塩及び、リチウム、銅、カリウム、マンガン、マグネシウム、バナジウム、及び鉄からなる群から選ばれた金属の錯体からなる群から選ぶことができる。
促進剤溶液は、全促進剤溶液の重量に基づき、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも2重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%、及び、多くても80重量%、好ましくは多くても75重量%、最も好ましくは多くても70重量%の促進剤又は組み合わせた促進剤を含むことができる。
好ましくは促進剤溶液は、促進剤及び溶媒から実質的になる。しかしながら、促進剤溶液の安定性を改善するために、随意に1種以上の安定剤を加えてもよい。
どちらかというと好ましいことではないが、コバルト含有塩は他の金属を含有する促進剤と組み合わせることができる。そのような金属含有促進剤は、他の金属と1種以上のカルボン酸の慣用の塩及び、リチウム、銅、カリウム、マンガン、マグネシウム、バナジウム、及び鉄からなる群から選ばれた金属の錯体からなる群から選ぶことができる。
促進剤溶液は、全促進剤溶液の重量に基づき、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも2重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%、及び、多くても80重量%、好ましくは多くても75重量%、最も好ましくは多くても70重量%の促進剤又は組み合わせた促進剤を含むことができる。
好ましくは促進剤溶液は、促進剤及び溶媒から実質的になる。しかしながら、促進剤溶液の安定性を改善するために、随意に1種以上の安定剤を加えてもよい。
本発明に適した安定剤は、典型的には溶液中の1種以上のコバルト塩の結晶化を防止する化合物、例えばトリエタノールアミン及びジメチルアミノエタノールのような第三級アミン、及びジエタノールアミンのような第二級アミンである。これらの安定剤は、好ましくは非毒性で、食品関連用途に適したものである。この理由から芳香族アミンは好ましくない。これらの安定剤は、全促進剤溶液の重量に基づき、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%、最も好ましくは少なくとも0.5重量%、及び、多くても8重量%、好ましくは多くても6重量%、最も好ましくは多くても4重量%の安定剤の量で溶液に添加される。
本発明の硬化方法は、本発明に従う促進剤溶液を1種以上の慣用の樹脂及び/又はプレポリマー、及び好ましくは少なくとも1種の過酸化物に添加し、その後に混合し、分散させることを含む。本硬化方法は、ハンドレイアップ法、スプレーアップ法、フィラメントワインディング法、樹脂トランスファー成形法、塗装(例えばゲルコート及び標準的な塗装品)、ボタンの製造、遠心注型法、波板や平板、リライニング法製品、注型成形材料による台所の流しなどのような用途において普通に用いられる周囲温度で好ましくは実施される。しかし、本硬化方法は、SMC法やBMC法、引抜成形手法、その他においても用いられ、そこでは180℃までの温度、より好ましくは150℃までの温度、最も好ましくは100℃までの温度が用いられる。
樹脂又はプレポリマーは任意の慣用の樹脂から選択できる。好ましくは、それはいわゆるオルト樹脂、イソ樹脂、イソ−npg(ネオペンチルグリコール)樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂及びジシクロペンタジエン樹脂を含む慣用の不飽和ポリエステルからなる群から選ばれる。そのような樹脂の例は、少なくとも1種のエチレン性不飽和反応性単量体と組み合わされた、マレイン酸系、アリル系、ビニル系及びエポキシ系の物質である。好ましいエチレン性不飽和反応性単量体は、スチレン及びα−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、ジビニルベンゼン、スチルベンのようなスチレン誘導体だけでなく、フタル酸ジアリル、ジベンジリデンアセトン、アリルベンゼン、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル及びこれらの混合物をも含む。エチレン性不飽和反応性単量体の量は、樹脂の重量基準で、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも1重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%、及び、多くても50重量%、好ましくは多くても40重量%、最も好ましくは多くても35重量%である。
本発明の方法においては、促進剤溶液は一般に慣用の量で使用される。樹脂の重量基準で、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.25重量%、及び、多くても5重量%、好ましくは多くても2重量%の促進剤溶液の量が典型的には用いられる。
UP樹脂の硬化に適した過酸化物は、慣用的に使用される過酸化ケトン、過エステル、過酸化2炭酸エステルのような有機過酸化物を含む。当業者であればこれらの過酸化物は、慣用の添加剤、例えば親水性エステル及び炭化水素溶媒のような減感剤と組み合わせてもよいことは容易に理解しよう。
本硬化方法において使用される過酸化物の配合物の量は、樹脂の重量基準で、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、最も好ましくは少なくとも1重量%、及び、多くても8重量%、好ましくは多くても5重量%、最も好ましくは多くても2重量%である。
本硬化方法において使用される過酸化物の配合物の量は、樹脂の重量基準で、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、最も好ましくは少なくとも1重量%、及び、多くても8重量%、好ましくは多くても5重量%、最も好ましくは多くても2重量%である。
充填剤、ガラス繊維、顔料、抑制剤、及び助触媒のようなその他の随意の添加剤が本発明に従う硬化方法において用いることができる。本発明の硬化方法においては、典型的にはUP樹脂は最初にエチレン性不飽和反応性単量体と混合される。促進剤組成物はいくつかの異なった様式で添加でき、単量体又は樹脂と予混合しておいてもよい。過酸化物の配合物は直接に該混合物に添加できる。しかし、過酸化物の配合物は最初に単量体又は樹脂と混合してもよい。過酸化物の配合物と促進剤溶液を予混合すると危険なので、予混合しないように注意する。
本発明の促進剤溶液を用いることにより、硬化されたUP樹脂は食品関連用途に適用することができる。これらの樹脂は、ワイン、水、ウイスキー、コニャック、牛乳等のような飲料、及び野菜又は肉のような食品と接触するガラス繊維強化及びガラス繊維非強化の製品に採用できる。UP樹脂はまた例えば管、箱又はトラックの側板に使用される。本発明は以下の実施例により詳細に説明される。
本発明に従う促進剤溶液の例は、35重量%の2−エチルヘキサン酸コバルトを含有するリン酸トリエチル中の溶液である。また、さらに2重量%のトリエタノールアミンを含有する組成物が調製された。両溶液は良好な貯蔵安定性を示す。溶媒リン酸トリエチルのみならず安定剤トリエタノールアミンも食品用に認可されている。これらの促進剤配合物が用いられているButanox M50(商標)によるUP樹脂の硬化は、食品用に認可されていない通常の促進剤組成物による硬化と同一であった。当該促進剤溶液の存在下での硬化方法から得られるUP樹脂は食品関連用途に適している。
Claims (10)
- 1種以上のコバルト含有塩、1種以上の溶媒、及び任意的に1種以上の安定剤から実質的になり、溶媒がアルカン、グリコール、リン含有化合物、及びエステルからなる群から選ばれたものである、不飽和ポリエステル樹脂の過酸化物による硬化に適した促進剤溶液。
- 溶媒が、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、イソブタノール、ペンタノール、リン酸トリエチル、亜リン酸トリエチル、マレイン酸ジブチル、コハク酸ジブチル、及び酢酸エチルからなる群から選ばれたものである、請求項1記載の促進剤溶液。
- 20重量%から99重量%の1種以上の溶媒、1重量%から80重量%の1種以上のコバルト含有塩、及び任意的に0.1重量%から8重量%の1種以上の安定剤を、合計100重量%まで含んでなる請求項1又は2記載の溶液。
- コバルト含有塩が、オクタン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルト、及びナフテン酸コバルトからなる群から選ばれたものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の溶液。
- 0.1重量%から4重量%の安定剤を含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項記載の溶液。
- 安定剤が、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、及びジエタノールアミンからなる群から選ばれた脂肪族アミンである、請求項1〜5のいずれか1項記載の溶液。
- 溶媒がリン酸トリエチルであり、かつ、コバルト含有塩が2−エチルヘキサン酸コバルトである、請求項1〜6のいずれか1項記載の溶液。
- ポリエステル樹脂が、有機過酸化物及び請求項1〜7のいずれか1項記載の促進剤溶液を用いて硬化される、不飽和ポリエステル樹脂の硬化方法。
- 請求項8記載の方法により得られたものである、硬化された不飽和ポリエステル樹脂。
- 請求項9記載の硬化された不飽和ポリエステル樹脂からつくられたものである、飲料又は食品を貯蔵し又は輸送するのに適した物品。
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