JP2005527539A - 黒米からのアントシアニンの抽出方法およびその組成物 - Google Patents

黒米からのアントシアニンの抽出方法およびその組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】黒米からのアントシアニンの抽出方法およびその組成物を提供する。
【解決手段】黒米(Oryza Sativa L)からアントシアニンを含む組成物を抽出する方法であって、脱穀した黒米中のデンプン質内乳から外層を分離し、少なくとも1種の有機溶媒と酸との溶液を該分離した外層に添加し、該溶媒および該酸を該分離した外層から濾過および除去して顔料画分を生成し、該顔料画分中の成分を分離し、そして該成分から該アントシアニン組成物を収集することを含む方法。この組成物は、酸化からHDL−C並びにLDL−C、VLDL−CおよびIDL−Cのようなアテローム生成離プタンパク質の安定性を増大および/または保存することに、酸化ストレスによる損傷を防止、減少、排除または軽減することに、およびそれらに伴うアテローム性動脈硬化病変および炎症の進行を防止、減少、排除または軽減することに有用である。

Description

発明の分野
本発明は、動物、特にヒトにおいて、心血管疾患、並びにアテローム性動脈硬化を包含するその根底にある状態、酸化ストレス、並びに異脂肪血状態または障害を治療または予防する方法に関する。
発明の背景
科学および技術における最近の進歩は人の生活の資質を改良しそして寿命を長引かせているけれども、アテローム性動脈硬化、即ち心血管疾患(“CVD”)の根底にある原因の予防は十分に対処されておらず、そして米国、欧州およびアジアの一部では筆頭の死因のままである(1)。アテローム性動脈硬化は、遺伝された(遺伝子的)要因と食事および生活様式のような環境的要因との相互作用から生じる変性プロセスである。現在までの研究は、コレステロールが血管中でアテローム性動脈硬化斑を形成し、動脈系図における斑の位置に依存して、心筋またはさもなくば脳もしくは肢への血液供給を最終的に断ち切ることにより、アテローム性動脈硬化において役割を果たし得ることを示唆している(2、3)。全体的検討は、ヒトの全血清コレステロールにおける1%の減少が冠状動脈事象の危険性における2%の減少を生じることを示している(4)。統計的に、平均血清コレステロールにおける10%の減少(例えば、6.0mmol/Lから5.3mmol/Lへ)が米国での毎年100000人の死亡を防止し得る(5)。従って、高濃度の全コレステロールおよび低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールを伴う高脂質血状態は、顕著な危険因子である。
研究は同様に、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールの低い血漿濃度がアテローム性動脈硬化症の進行についての顕著な危険要因であり(6)、そして高水準は防止性であることを示している。
リポタンパク質は、非共有結合により一緒に保持された脂質とタンパク質の複合体である。
各種のリポタンパク質類は、特徴的な質量、化学組成、密度および生理学的役割を有する。密度または粒度に関わらず、循環脂質は、コレステリルエステルおよびトリグリセリドのコアと、リン脂質、遊離コレステロールおよびアポリポタンパク質のエンベロープからなる。該アポリポタンパク質は、該リポタンパク質の構築および分泌に関連し、構造結合性を与え、リポタンパク質変性酵素を活性化し、そして多くの分類の受容体および膜タンパク質のためのリガンドである。血漿中に見出されるリポタンパク質類は、HDL、LDL、中密度リポタンパク質(IDL)および超低密度リポタンパク質(VLDL)を包含する。
各種のリポタンパク質は、特徴的なアポリポタンパク質の組成または比率を有する。HDLで最も有名なアポリポタンパク質は、アポリポプロテイン−AI(アポA−1)であり、タンパク質質量の約70%を占め、他方、アポA−IIが他の20%を占める。アポA−IのアポA−IIに対する比率は、HDLの機能特性および抗アテローム発生特性を決定し得る。循環HDL粒子は、200ないし400キロダルトンの質量および7ないし10nmの直径を持つ板状粒子および球状粒子の異種起源の混合物からなる。
HDLは血漿中の脂質の輸送において機能する1つの主要な分類のリポタンパク質であ
り、そして、体内で、コレステロール分子基質を胆汁酸合成に提供する逆コレステロール輸送、クルステリンの輸送、パラオキサナーゼの輸送、リポタンパク質酸化の防止および副腎細胞によるコレステロールの選択的摂取を包含する多数の機能を有する。HDLを伴う主な脂質は、コレステロール、コレステリルエステル、トリグリセリド、リン脂質および脂肪酸を包含する。
どのようにHDLが抗アテローム発生作用を示すかをより良く理解するためには、アテローム性動脈硬化プロセスの簡単な説明が必要である。該アテローム性動脈硬化プロセスは、LDLが血管壁内に捕捉されたときに開始される。このLDLの酸化は、該血管壁を覆う内皮細胞への単核細胞の結合を生じる。この単核細胞は活性化され、そして内皮空間中に移動し、そこでマクロファージへと変形し、LDLのさらなる酸化を導く。酸化したLDLは該マクロファージ上の消去レセプターを通して摂取され、泡沫細胞の形成を導く。繊維質キャップが動脈平滑筋細胞の増殖および移動により生成し、そうしてアテローム性動脈硬化斑が生じる。
HDLは肝臓外組織から肝臓へのコレステロールの輸送に必須であり、遊離コレステロールとして、またはコレステロールから形成された胆汁酸として、胆汁中に排出される。このプロセスは幾つかの段階を必要とする。最初は、肝臓および腸管中での発生期またはプレ−ベータHDL粒子の形成である。過剰なコレステロールは、ABCAIトランスポーターの作用により、細胞膜を通過して発生期HDLへ移動する。レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)は該コレステロールをコレステリルエステルに変換し、そして続いて発生期HDLを成熟HDLへと変換する。エステル化したコレステロールはその後、コレステリルエステルトランスファータンパク質(CETP)によりHDLからアポリポプロテイン−B含有リポタンパク質へと転移され、それが多数のレセプターにより肝臓中に摂取される。発生期HDLは胆汁トリグリセリドリパーゼおよびリン脂質トランスファータンパク質により再生され、そして循環が継続する。末梢細胞から除去されたコレステロールに加え、HDLはLDLおよび赤血球膜からのコレステロールを受容する。他の逆コレステロール輸送機構は、貧コレステロール膜とHDLまたは他のアクセプター分子との間のコレステロールの受動的拡散と関連し得る。
HDLは、逆コレステロール輸送におけるその役割を通して、およびもしかするとLDL酸化を遅らせることによりアテローム性動脈硬化の進行に対して保護する。幾つかのHDLを伴う酵素が前記プロセスに関わっている。パラオキソナーゼ(PON1)、LCAT、および血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ(PAFAH)の全ては、LDL酸化の間に生成したリン脂質過酸化物を加水分解することにより関係し、そしてLDL中の酸化した脂質の蓄積を防止することに密接に作用する。これらの酵素は、HDLの抗酸化特性および抗炎症特性の原因である。
高コレステロール血症はCVDを持つ患者について重要な危険因子であるけれども、酸化ストレスおよび血清ホモシステインの増加のような他の危険因子を考慮しなければならない(7)。動脈におけるこれらの有害な成分の変性は、進行したCVDを有するか、または進行したCVDの危険にあるが、高コレステロール血症を有さない者の管理のための新たな道を生じるに有用であろう(8)。
酸化ストレスが、アテローム性動脈硬化を包含する多くの慢性障害の発生および進行に重要な役割を有することは良く知られている(9)。反応性酸素種(ROS)は至る所に存在し、そして全ての好気性種において自然発生し、代謝の内因性生産および環境供給源から誘導される外因性供給源の双方から生じる。ROSは広く無差別に反応する分子であり、DNA、タンパク質、炭水水素および脂質を包含する生体高分子を容易に損傷する(10)。ROSの過剰または未制御の生産は、アテローム性動脈硬化およびCVDの進行
と、血管内皮細胞損傷、泡沫細胞形成、血管平滑筋増殖、遺伝子発現、損傷した血管運動反応性および血小板不安定性を包含する異なる段階で関わる(11、12a)。
十分な外因性酸化防止防御無しでは、遊離ラジカル事象の増殖が、求核性細胞成分の共酸化並びに第2脂質自動酸化生成物の求核性高分子との反応を導く。標的組織および血液における酸化ストレスインジケータの例は、8−ヒドロキシデオキシグアノシン、マロンジアルデヒド、4−ヒドロキシノネアナールおよび脂質過酸化物を包含し、脂肪酸酸化生成物だけでなくコレステロール酸化生成物も包含する。酸化ストレスの管理は、特定の酵素性および非酵素性の細胞酸化防止系からのROSの収集除去および無毒化により達成される。例えば、脂質および酸素ラジカルの無毒化に関連する酵素性酸化防止剤は、Cu/Znスーパーオキシドジスムターゼ(SOD;細胞質)、カタラーゼ(ペルオキシイソマーゼ)セレン−グルタチオンペルオキシダーゼ/レダクターゼ還元サイクル酵素(GSH−PxおよびGSHG−Red;細胞質およびミトコンドリアの双方における)および最後に非セレングルタチオン−S−トランスフェラーゼ(細胞質)を包含する。非酵素性細胞酸化防止剤は、α−トコフェロール、アスコルビン酸およびβ−カロチンを包含する。
インビトロおよびインビボの研究からの証拠は、LDLの酸化変性はアテローム性動脈硬化の開始に関連し、そしてその臨床症状発現を悪化させることを示唆する。コレステロール酸化の特別な生成物は、例えばアテローム性動脈硬化斑において同定されている(12b)。従って、特に増加した酵素性酸化防止活性または補足的な非酵素性酸化防止活性の何れかに影響できる食餌起源を持つ酸化防止剤は、ROSの生成に対して、またそれ故のアテローム性動脈硬化およびCVDの進行に対して保護できる可能な薬剤としてかなりの注目を受けている。
米食餌でのCVDの治療が数十年前に示唆された。50年以上前、白米の消費が血圧を減じ、そしてヒトにおける高コレステロール血症を低下することが報告された(13)。しかしながら、多くの異なる種類の米がある。ヒトにより消費されている最も普及した米は白米(85%を越える)であり、赤米および黒米が続く。後者の2つは、南アジア、ギリシャ、イタリア、および米国において主に栽培されている。欧州人は南アジア人よりも多くの色付きの米を食べ(14)、色付きの米は中国において長い間消費されており、そして身体を強くする健康食品であると考えられている。それ故、“血液強化米”または“薬米”として慣用的に知られている。
米100g当たり1mgの顔料濃度を有する黒米は、100g当たり3mgのビタミンCおよび0.2mgのリボフラビンを有し、そして色無しの米よりも多く鉄、カルシウムおよびリンを有する。韓国、インド、様々なナバラでは、医薬特性を有すると信じられ、そして麻痺状態にある神経を再活性化するために使用され:米中に存在するアルカロイドであるオリジンは、不純物であるとき幾らかの抗神経症特性を有する。
黒米の分野での以前の調査は、着色剤としての黒米顔料の生成および使用(中国特許第93109627.8号明細書)、黒米顔料を補足した飲料および食品(中国特許第93109627.8号明細書)並びに血清脂質および大動脈血小板についての全食用黒米および赤米の効果(15)に注目していた。
Breslow, 1997 Nat. Med. 3:600-601 Law et al., Br. Med. J. 1994; 308: 363-366 Law et al., Br. Med. J. 1994; 308: 367-373 Circulation 1990; 81: 1721-1733 Havel R. J.; Rapaport E., New England Journal of Medicine, 1995; 332: 1491-1498 Barker and Rye, Atherosclerosis 1996; 121: 1-12 Braunwald E., 1997 N. Engl. J. Med. 340: 115-126 Ross R., 1999 N. Engl. J. Med. 340: 115-126 Liao D. F. et al., 2000 J. Biol. Chem. 275: 189-196 Shackelford R. E. et al., 2000 Free Rad. Biol. Med. 28: 1387-1404 Giugliano D., 2000 Nutr. Metab. Cardiovasc. Dis. 10: 38-44 Kunsch C. and Medford R. M., 1999 Circ. Res. 85: 753-766 Yuan Y. V.; Kitts D. D. and Godin D. V., 1997 Influence of dietary cholesterol and fat source on atherosclerosis in Japanese quail, Brit. J. Nutr. 78: 993-1014 Genest J., 1986 Can. J. Physiol. Pharmacol. 64: 836-839 Simmons D. and Willaims R., 1997 Br. J. Nutr. 78: 5-14 Ling et al., Biomedical and Molecular Action of Nutrients 2001
本発明の目的は、CVD、およびアテローム性動脈硬化を包含するその根底にある状態の全て、酸化ストレス、並びに異脂肪血状態を治療および予防するためにこの分野で既知の化合物および組成物の欠点および不十分さを回避または軽減することである。本発明のさらなる目的は、その様々な治療効果を最適化するように黒米を操作することである。
発明の要約
本発明は、1つの観点において、黒米(Oryza Sativa L)からアントシアニンを含む組成物を抽出する方法であって、
a)脱穀した黒米中のデンプン質内乳から外層を分離する工程と、
b)少なくとも1種の有機溶媒と酸との溶液を分離した外層に添加する工程と、
c)該溶媒および該酸を該分離した外層から濾過および除去して顔料画分を生成する工程と、
d)該顔料画分の成分を分離する工程と、
e)該成分からアントシアニン組成物を収集する工程
を含む方法を提供する。
本発明はさらに、黒米から誘導したシアニジン−3−O−グルコシドおよびペオニジン−3−O−グルコシドを含む組成物を含む。
本発明はさらに、動物において、心血管疾患、並びにアテローム性動脈硬化、炎症、高脂質血症、低アルファリポタンパク質血症、高コレステロール血症を包含するその根底にある状態、並びに酸化ストレスを治療または予防する方法であって、本発明の抽出方法により生成した組成物を投与することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、動物において、心血管疾患、並びにアテローム性動脈硬化、炎症、高脂質血症、低アルファリポタンパク質血症、高コレステロール血症を包含するその根底にある状態、並びに酸化ストレスを治療または予防する方法であって、黒米から誘導されたシアニジン−3−O−グルコシドおよびペオニジン−3−O−グルコシドを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
本発明の方法の1つの鍵となる観点は、黒米の活性治療成分であるアントシアニンが、米粒の分離した外層から最も有利に抽出されることを見出したことである。アントシアニ
ンの分布は粒の深さに明らかに関係し、最初の外層が最高水準のアントシアニンを含有する。黒米からのアントシアニンの抽出のための以前に既知の方法は、この重要な利点を認めていなかった。
これらの効果および他の顕著な利点は以下に詳細に記載される。
図面の簡単な説明
本発明は以下の制限しない図面により説明され、ここで:
図1は、米粒の要素を断面で表す図であり、
図2は、黒米抽出物のバイオ−ゲルP−2溶離のクロマトグラムであって、ピーク1および2がそれぞれLC/MSによりペオニジン−3−グルコシドおよびシアニジン−3−グルコシドとしてその後同定されており、
図3は、黒米抽出物のバイオ−ゲルP−2溶離のクロマトグラムであり、
図4は、黒米抽出物のバイオ−ゲルP−2溶離のクロマトグラムであって、ピークがLC/MSによりペオニジン−3−グルコシドとしてその後同定されており、
図5は、黒米抽出物のバイオ−ゲルP−2溶離のクロマトグラムであって、ピークがLC/MSによりシアニジン−3−グルコシドとしてその後同定されており、
図6は、DPPHラジカルの阻害についての黒米抽出物の効果を示すグラフであり、
図7は、37℃でペルオキシラジカル誘発性リポソーム過酸化における共役ジエンの形成についての黒米抽出物の効果を示すグラフであり、
図8は、酸化変性LDLの負電荷を抑制することにおける黒米抽出物の効果のアガロースゲル電気泳動結果であり、ここでレーン1は天然LDLを示し、レーン2はLDL+第2銅イオンを示し、レーン3〜7は黒米抽出物を伴うLDL+第2銅イオンを示し、そしてレーン8はLDL+第2銅イオンおよびEDTAを示しており、
図9は、インビトロでのヒトLDLのLDL酸化変性の抑制を示す棒グラフであり(CDおよびTBARS)、
図10は、ペロキシルラジカル誘発性スーパーコイルDNA切断を防止することにおける黒米抽出物の効果のアガロースゲル電気泳動結果を示し、ここでSはスーパーコイルDNAを示し、レーン1はDNA+PBSを示し、レーン2はDNA+AAPHを示し、レーン3、4、5および6はそれぞれDNA+AAPH+1、10、25、100μg/mLの黒米抽出物を示し、レーン7、8はそれぞれDNA+AAPH+1、10μg/mLのトロロックス(登録商標)を示しており、
図11は、ペロキシルラジカル誘発性DNA切断の損傷を減じることにおけるペオニジン−3−グルコシドおよびシアニジン−3−グルコシドの組み合わせ(10μg/mL)の効果のアガロースゲル電気泳動結果を示し、ここでレーン1、2はそれぞれ天然DNAおよび酸化DNAを示し、レーン3、4、5、6および7はそれぞれ9/1、4/1、1/1、1/4および1/9のシアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン3−グルコシドを伴うDNA+AAPHを示し、レーン8は10μg/mLのトロロックス(登録商標)を伴うDNA+AAPHを示しており、
図12は、ヒドロキシラジカル(非部位特異的)誘発性DNA切断を防止することにおける黒米抽出物の効果のアガロースゲル電気泳動結果を示し、ここでレーン1はDNA+PBSを示し、レーン2はDNA+ヒドロキシラジカル開始剤を示し、レーン3および4はそれぞれDNA+ヒドロキシラジカル開始剤+1.7、17mg/mLの黒米抽出物(第1層)を示し、レーン5、6はそれぞれDNA+ヒドロキシラジカル開始剤+1.7、170mg/mLの黒米の全粒の抽出物を示し、レーン7、8はそれぞれDNA+ヒドロキシラジカル開始剤+0.17、1.7mg/mLのトロロックス(登録商標)を示しており、
図13は、ヒドロキシラジカル(部位特異的)誘発性DNA切断を防止することにおける黒米抽出物の効果のアガロースゲル電気泳動結果を示し、ここでレーン1はDNA+PBSを示し、レーン2はDNA+ヒドロキシラジカル開始剤を示し、レーン3および4は
それぞれDNA+ヒドロキシラジカル開始剤+1.7、17mg/mLの黒米抽出物(第1層)を示し、レーン5、6はそれぞれDNA+ヒドロキシラジカル開始剤+1.7、170mg/mLの黒米の全粒の抽出物を示し、レーン7、8はそれぞれDNA+ヒドロキシラジカル開始剤+0.17、1.7mg/mLのトロロックス(登録商標)を示しており、
図14は、黒米抽出物を使用した細胞生存度試験を示す棒グラフであり、
図15は、黒米抽出物による肝臓リパーゼ活性の阻害を示す棒グラフである。
図16は、異なる処理群のマウスの体重を時間にわたり表すグラフであり、
図17は、異なる群のアテローム性動脈硬化斑の面積を表すグラフである。アテローム性動脈硬化の程度は16週後に定量した。血脈洞中のアテローム性動脈硬化病変面積を、病変をオイル−レッドOで染色することにより測定した。値は、n=15の平均値値±SDである。共通文字を持たない棒はP<0.01で顕著に異なっており、
図18は、マウスマクロファージ細胞RAW264.7におけるバクテリアリポ多糖により刺激される窒素酸化物の阻害についての本発明の黒米画分の効果を示すグラフであり、そして
図19は、誘発性窒素酸化物合成の発現についての本発明の黒米抽出物の効果のアガロースゲル電気泳動結果を示す。
本発明の好ましい態様
以下の詳細な説明は、本発明を行う当業者を助けるために与えられる。しかしながら、この詳細な記載は、本発明の範囲を不当に制限するように解釈されるべきでない。本明細書において議論される態様に対する改良および変更は、本発明の真意または範囲から逸脱すること無く当業者によりなされ得る。
抽出プロセス
本発明によれば、黒米(Oryza Sativa L)からアントシアニンを含む組成物を抽出する方法であって、脱穀した黒米中のデンプン質内乳から外層を分離し、少なくとも1種の有機溶媒と酸との溶液を分離した外層に添加し、該溶媒および該酸を該分離した外層から濾過および除去して顔料画分を生成し、該顔料画分の成分を分離し、そして該成分からアントシアニン組成物を収集することを含む方法が提供される。
本発明の方法のための開始材料は脱穀した黒米である。未処理米の脱穀は、当該技術に既知の様々な方法により行うことができる。一般に、籾摺りは手動により(手突き)または機械的に行われる。機械的籾摺り機は、3つの主な種類:エンゲルバーグミル、石籾摺り機およびゴム籾摺り機がある。
石籾摺り機は熱帯アジアでは依然として慣用である。ゴムローラーは日本国で慣用であり、脱穀米が未処理米の代わりに貯蔵され、空間を節約する。
本発明の方法の第1工程は重要であり、そして脱穀した黒米中のデンプン質内乳から外層を分離することを含む。より良く理解するために、図1は、米粒の基本要素を断面で示す。脱穀プロセスにおける殻成分、例えばセルロースおよびヘミ−セルロースの除去後、一般に残存するのは、該デンプン質内乳上に位置する果皮、外被およびアリューロン層である。本発明の範囲内で、この外側の“アリューロン”層を分離し、そしてここからアントシアニン組成物を抽出することが望ましい。以前は、この外層だけでなく、全米粒がアントシアニン抽出プロセスに使用されていた。
デンプン質内乳化からの外層の分離は物理的分離により、最も好ましくは精米により達成することが好ましい。様々な種類の精米が色付きの米の製造および精製において既に使
用されており、そして本発明でも用いられ得る。そのような既知の製造において、米粒を脱穀、精米そしてその後研ぎ出しし、消費者により購入され米粒であるとき、該外層は一般に放出される。本発明の範囲内で、精米した材料が回収され、そしてアントシアニン組成物が最終的に抽出される。
単一経路エンゲルバーグミルから多経路系まで、多くの慣用的に使用される米精米機がある。本発明の範囲内で、手突きに関連する手動技術を、研磨または摩擦を使用する機械精米と同様に使用し得る。最も好ましくは、物理的引掻きを使用する精米機が用いられる。適した精米機の例は、サタケ・USA・インコーポレイテッドおよびビューラー・AGにより提供される。
細粒は、そのより薄いアリューロン層のために、太粒(即ち、厚粒)よりも小さな圧力を必要とする。精米は、実質的に全ての外層(アリューロン層を含む)が除去されるまで行われる。一般に、この層は米粒の5ないし15%をなす。1つの好ましい形態では、精米プロセスの終点を決定するインデックスとして、米粒の約10%を計量し得る。さもなくば、粒の色変化を評価し、そして粒が開始材料より薄い色になったときに精米プロセスを終了し得る。処理は粒の必要な深さについて調節できる。
本発明の範囲内で利点とし得る日本国の米産業に導入された技術革新は、所望の程度の精米および胚芽米精米に基く、精米のマイクロコンピューター制御を包含する。1976年に導入され、非常に低圧下での穏やかな研磨ロール精米を使用する胚芽米精米機は、80%以上の粒を未損傷のままにする。この方法で、前記外層を治療的に有用なアントシアニン組成物を抽出するために使用し、そして粒の残りを市販品として販売し得るので、非常に高い経済的効率が達成される。
表1は、比較のために全黒米とシムズ・ミルからの精米した黒米外層画分との凡その分析を示す:
Figure 2005527539
明らかに、外層画分は、全粒よりも100mg当たりでの高い栄養素を有する。
表2は、全粒およびその画分の双方で、黒米中のアントシアニンの比較分布を示す。
Figure 2005527539
アントシアニンの分布(シアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン−3−グルコシ
ドの双方の組み合わせ)は粒の深さに関係し、デンプン質内乳から分離した第1層は最も多い量のアントシアニンを含有することを見出した。この発見は、アントシアニン回収を最適化する特別な契機を提供する。
本発明の方法の第2工程は、少なくとも1種の有機溶媒と酸との溶液を前記分離した外層に添加することを含む。好ましくは、該有機溶媒は、アルコール、ケトン、炭化水素および水からなる群より選択される。
前記ケトンは、次ぎの一般構造:RCOR1[式中、RおよびR1は、アルキル基を表す。]を有する群より選択される。好ましくは、該アルキル基は炭素原子数1ないし6のアルキル基である。最も好ましくは、該ケトンは2−プロパノン(アセトン)である。前記炭化水素は、全ての炭素原子数5ないし10の炭化水素からなる群より選択され得る。最も好ましくは、該炭化水素はヘキサンである。前記アルコールは、次ぎの一般構造:R−CHOHR、R−CH2OH、およびR3COH[式中、Rは、炭素原子数1ないし4のアルキル基を表す。]を有する群より選択される。最も好ましくは、該アルコールはメタノールまたはエタノールの何れかである。
前記酸は、所望のpH範囲を与えるに十分な何れかの非毒性の食用酸であり得る。好ましくは、該酸は、塩酸、酢酸、クエン酸、酒石酸および低濃度硫酸からなる群より選択される。1と4との間のpHを達成するために十分な酸を添加することが好ましい。前記分離した外層を1ないし10時間前記溶媒中に浸漬し、そして温度を25〜40℃の範囲内とすることが好ましい。溶媒の米に対する比率は、30/1ないし100/1(容量/重量)の間であることが好ましい。
本発明の方法の第3工程は、前記溶媒および前記酸を前記分離した外層から濾過および除去して顔料画分を生成することを含む。好ましくは、該溶媒は濾過抽出により除去され、そして該酸は回転蒸発のような蒸発により除去されるが、例えば真空乾燥および凍結乾燥のような他の方法は明らかに本発明の範囲内である。
本発明の方法の第4工程および第5工程は、前記顔料画分の成分を分離および収集することを含む。好ましくは、これは分画により達成される。最も好ましくは、カラムクロマトグラフィーのような手順(例えば、ポリアミドゲル濾過)を使用し得る。この工程で、分画後、2つの主な画分が収集され、一方はシアニジン−3−グルコシドを含み、そして他方はペオニジン−3−グルコシドを含む。
分離後の画分の同定の確認は、所望により高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により達成できる。図2は、黒米抽出物のバイオ−ゲルP2溶離のクロマトグラムであり、ピーク1および2はそれぞれLC/MSによりペオニジン−3−グルコシドおよびシアニジン−3−グルコシドとしてその後同定されている。
本発明に従って使用され得る好ましい黒米種は、それらに制限されないが、ウ・ゴン、シャン−ノン、ヘイ・シャン・ゲン・ノウ、ゼン・キ・ヘイ・ミ、ドン・ベイ・ヌオ149、アオ・ユ・ヌオ349、ホン280、ホン280、ホン463およびシャン・ク・ヌオを包含する。
アントシアニン組成物
本発明は、黒米から誘導したシアニジン−3−O−グルコシドおよびペオニジン−3−O−グルコシドを含む組成物を含む。そのような組成物は、本明細書に記載された抽出および精製方法から誘導された組成物、並びに、さらに以下に記載するような2つの成分の
比率を有するデノボ合成された(即ち、この方法から誘導されることが必要でない)組成物を包含する。
シアニジン−3−O−グルコシドおよびペオニジン−3−O−グルコシドの構造は以下の通りである:
Figure 2005527539
好ましい態様において、本発明の組成物は、シアニジン−3−グルコシドとペオニジン−3−グルコシドとを10ないし1、より好ましくは6ないし1、より好ましくは3.5:1ないし6.5:1の比率で含む。最も好ましくは、この比率は4:1である。
本発明の範囲内では、そのような組成物を生成することに使用するためのシアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン−3−グルコシドは、黒米、ブラックベリーおよび黒スグリのような黒色果物、黒豆、ゴマのような黒色種子、および黒小麦のような黒色穀物を包含するが、それらに制限されない多数の供給源から抽出または入手し得る。加えて、他の供給源は赤スグリおよび赤米を包含する。
本発明の1つの態様では、記載した好ましいアントシアニン比率を有する組成物を達成するために、最も好ましい方法は、様々な供給源からのアントシアニンを“ブレンド”することである。この方法で、あるものより特に高水準の1つの成分の利点を得ることができ、一方、他の起源は他の必要な成分に富み得る。
酸化防止剤および/またはフィトステロールとの組み合わせ
さらなる態様では、本発明の組成物は、1種以上の酸化防止剤と投与の前に組み合せるか、同時に投与するか、または時間間隔を開けて別々に投与し得る。適した酸化防止剤は、それらに制限されること無く、ビタミンE、ベータ−カロチン、酵素性スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオンレダクターゼ、茶カテキン、キレート化剤、例えばクエン酸、EDTA、フェニルアラニン、リン酸、酒石酸およびトリプトファン;選択的に酸化される化合物、例えばアスコルビン酸、ナトリウムビスルフィットおよびナトリウムスルフィット;水溶性連鎖停止剤、例えばチオール並びに脂溶性連鎖停止剤、例えばアルキルガレート、アスコルビルパルミテート、t−ブチルヒドロキノン、ブチレート化ヒドロキシアニソール、ブチレート化ヒドロキシトルエン、ヒドロキノン、ノルジヒドログアイアレチン酸およびアルファ−トコフェロールを包含する。これらの酸化防止剤と本発明のアントシアニン組成物との組み合わせは、有益な酸化防止効果を開始および永続させると考えられる。
さらなる態様では、本発明の組成物は、1種以上のステロールまたはスタノールと投与の前に組み合せるか、同時に投与するか、または時間間隔を開けて別々に投与し得る。
本明細書で使用するとき、用語“ステロール”は、制限無く全てのステロール、例えば:シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール(ジヒドロブラシカステロールを包含する)、デスモステロール、カリノステロール、ポリフェラステロール、クリオナステロール、エルゴステロール、コプロステロール、コジステロール、イソフコステロール、フコステロール、クレロステロール、ネルビステロール、ラトステロール、ステラステロール、スピナステロール、コンドリラステロール、ペポステロール、アベナステロール、イソアベナステロール、フェコステロール、ポリナステロール、コレステロールおよびそれらの全ての天然または合成形態並びに異性体を包含するそれらの誘導体を包含する。用語“スタノール”は、それらの全ての天然または合成形態並びに異性体を包含するそれらの誘導体を包含する飽和または水素化ステロールを指す。ステロールおよびスタノールへの修飾、即ち側鎖を含むことは、本発明の範囲内であると理解される。例えば、24−ベータ−クロスタノール、24−アルファ−エチル−22−デヒドロクロスタノールは本発明の範囲に明らかに包含される。明細書を通して疑問となり、また他に特定されない限り、用語“ステロール”は、ステロールおよびスタノールの双方を包含するとも理解される。最も好ましい形態では、該ステロールはその飽和形態にあり、そしてシトスタノールである。
本発明に従って使用するためのこれらのステロールおよびスタロールは、様々な天然供給源から獲得し得る。例えば、それらはコーン油および他の植物油のような植物油(水性植物を包含する)、小麦胚芽油、豆抽出物、米抽出物、米糠、菜種油、ヒマワリ油、胡麻油および魚油(および他の海洋供給源)の処理から入手し得る。それらはまた例えばエルゴステロールのように菌類から、例えばコレステロールのように動物から誘導され得る。従って、本発明は何れか1つのステロールの供給源に限定されない。米国特許第4420427号明細書は、メタノールのような溶媒を使用する植物油滓からのステロールの生成を教示する。さもなくば、フィトステロールおよびフィトスタノールは、参照により本明細書中組み入れられる米国特許第5770749号明細書に記載されるように、森林業務の副産物であるトール油ピッチまたは石鹸から入手し得る。
本発明のアントシアニン組成物と結合したこれらのステロールおよび/またはスタノールの組み合わせは、特に脂質調節において、少なくとも相加的、またおそらく相乗的かつ補足的な治療効果を生じると考えられる。作用機構に関する何れか1つの理論に束縛されることを意図しないが、各成分の異なる脂質標的のためであるかもしれない。例えば、ステロールおよびスタノールは血清LDL−Cを低下させる有効な薬剤であることが示され、そして血清HDL−Cを増加させることには最小の効能しか示さない。反対に、本発明のアントシアニンおよびステロール/スタノール組成物は、HDL−CおよびLDL−Cの双方を酸化から効果的かつ全く十分に安定化することを見出した。加えて、アントシアニン成分とステロール/スタノール成分との間に、アテローム性動脈効果病変進行の減少および実質的な停止についての補足的な効果がある。
治療効能
本発明の第1の態様では、動物、好ましくはヒトにおいて、心血管疾患、並びにアテローム性動脈硬化およびそれに伴う炎症を包含するその根底にある状態、並びに酸化ストレスを治療または予防する方法であって、該動物に、シアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン−3−グルコシドを含む黒米から誘導した組成物の治療有効量を投与することを含む方法が提供される。
本発明の他の態様では、動物、好ましくはヒトにおいて、心血管疾患、並びにアテローム性動脈硬化、炎症、高脂質血症、低アルファリポタンパク質血症、高コレステロール血症を包含するその根底にある状態、並びに酸化ストレスを治療または予防する方法であっ
て、該動物に、シアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン−3−グルコシド並びに所望により1種以上のフィトステロールまたはフィトスタノールおよび/または1種以上の酸化防止剤を含む黒米から誘導した組成物の治療有効量を投与することを含む方法が提供される。
そのような組成物が包含するのは:
1)本明細書に記載された抽出および精製方法より誘導されたアントシアニン成分、
2)デノボで合成され、そして本明細書に記載された2種のアントシアニン成分の比率を有するアントシアニン成分、および
3)例えば黒米、黒豆、黒色種子、ブラックベリーのような1種以上の供給源から抽出および精製され、かつシアニジン−3―グルコシドとペオニジン−3−グルコシドとの所望の比率を達成するようにブレンドしたアントシアニン成分
である。
用語“治療有効量”は、以下の目標の1つ以上を達成するために投与される組成物の量を定量することを意図する:
a)酸化からのHDLの安定性を増大および/または保存すること、
b)酸化からのLDL、VLDLまたはIDLの安定性を増大および/または保存すること、
c)酸化からのトリグリセリド(TG)の安定性を増大および/または保存すること、
d)異脂肪血状態または障害を予防、軽減、排除または改善すること、
e)高コレステロール血症、低アポリポタンパク質血症を予防、軽減、排除または改善すること、
f)アテローム性動脈硬化病変を予防、軽減、排除または改善すること、
g)心血管疾患および環状動脈疾患の進行に伴う炎症の進行を予防、軽減、排除または改善すること、
h)血漿中のHDLの欠乏、またはLDL、VLDL、Lp(a)、ベータ−VLDL、IDLまたは残骸リポタンパク質の過剰を基礎として有するか、これらにより悪化させられる状態、疾患または障害を予防、軽減、排除または改善すること、および
i)酸化ストレスのための損傷を予防、軽減、排除または改善すること。
以下に与える例からも明らかとなるように、本発明の組成物は、多数の試験プロトコルにより証明された強い酸化防止効果を示し、そしてアテローム性動脈硬化斑形成を低減することに有効である。
本発明のアントシアニン組成物は、治療的に投与するとき
1)酸化からのHDL−Cおよびアテローム発生リポタンパク質、例えばLDL−C、VLDL−CおよびIDL−Cの安定性を増大および/または保存し、
2)酸化ストレスによる損傷を予防、軽減、排除または改善し、
3)アテローム性動脈硬化病変の進行を予防、軽減、排除または改善し、そして
4)アテローム性動脈硬化、環状動脈疾患(CAD)、および心血管疾患(CVD)に伴う炎症を予防、軽減、排除または改善する
ことを見出した。これは、近年、CADおよびCVDが炎症により明らかに低い危険の人々に起こることが見出されているので重要である。近年の証拠はまた、動脈の炎症が将来の心臓発作および脳卒中の重要な指標となり得ることを示唆する。炎症は損傷または感染に対して身体が応答するときに生じる。
本発明のアントシアニンおよびフィトステロール/フィトスタノール組成物は、治療的に投与するとき
1)アテローム性動脈硬化病変の進行を予防、軽減、排除または改善し、
2)血漿リポタンパク質を調節または制御し、
3)それらに制限されること無く、心血管疾患、並びにアテローム性動脈硬化、異脂肪血状態または障害、高コレステロール血症および低アルファリポタンパク質血症を包含するその根底にある状態、アテローム性動脈硬化病変の進行および毒性ショック症候群を包含する多数の症状および障害の予防、軽減、排除または改善を与え、そして
4)血漿中のHDLの欠乏、またはLDL、VLDLまたはIDLの過剰を基礎として有するか、これらにより悪化させられる多数の状態および障害の予防、軽減、排除または改善えを与えることを見出した。
使用方法
本発明の組成物は、医薬品、栄養剤、食品、飲料等において使用可能な何れかの慣用手段により投与され得る。
上記の一般性を制限することなく、本発明の組成物は、直接投与を補助するか、または食品、飲料、栄養剤または医薬中への組成物の混入を補助するために様々なキャリアまたは助剤と混合し得る。本組成物の送達の様々な可能なビヒクルを示すために、以下の列挙を与える。本組成物の投薬は、他の因子の中でも、送達の様式、患者の大きさおよび状態、達成される結果、並びに食品添加物および医薬剤の当業者に既知の他の因子に依存して変化する。
本明細書に記載される所望の効果は、様々な異なる方法で達成し得る。これらの組成物は、医薬品、栄養剤、食品、飲料等と組み合わせた使用のために利用可能な慣用の手段の何れによっても投与し得る。
所望の効果を達成するために要求される組成物の量は、当然に、組成物の特定のプロファイル、投与の様式および患者の状態のような多数の因子に依存する。
1)医薬投薬形態:
本発明の組成物は、それ自身で、またはそれらが適したキャリアまたは賦形剤と混合された医薬組成物で患者に投与できる。
本発明の実施のために全身性投与に適した投薬へと本明細書で開示された組成物を配合するための医薬的に許容可能なキャリアの使用は、本発明の範囲内である。キャリアおよび適した製造実施の適切な選択で、本発明の組成物、特に溶液として配合されたものは、例えば静脈注射により非経口的に投与し得る。該組成物は、経口投与に適した投薬に、従来技術で良く知られている医薬的に許容可能なキャリアを使用して容易に配合できる。そのようなキャリアは本発明の組成物を、治療される患者による経口摂取のために、錠剤、丸剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等に配合することを可能にする。
本発明の1種以上の組成物を含む医薬配合物は、有効成分がその意図する目的を達成するための有効量で含まれている配合物を包含する。有効量の決定は、特に本明細書で与えられる詳細な開示の知見の下で、当業者の能力の範囲内である。
活性成分に加え、これらの医薬組成物は、活性化合物を医薬的に使用できる製剤へ処理することを容易にする賦形剤および助剤を含む適した医薬的に許容可能なキャリアを含有し得る。経口投与のために配合された製剤は、錠剤、糖衣剤、カプセル剤または液剤であり得る。
本発明の医薬組成物は、例えば、慣用の混合、溶解、顆粒化、糖衣−製造、湿式粉砕、
乳化、カプセル化、捕捉または凍結乾燥プロセスにより、それ自身は既知の方法で製造し得る。
非経口投与のための医薬配合物は、水溶性形態にある活性化合物の水溶液を包含する。加えて、活性化合物の懸濁液もまた、適した油性注射懸濁液として生成し得る。適した親油性溶媒またはベヒクルは、胡麻油のような脂質油、またはエチルオレエートまたはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、またはリポソームを包含する。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増加する物質、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランを含有し得る。所望により、該懸濁液はまた適した安定剤または、高濃度の溶液の調製を可能にするための化合物の溶解度を増加する薬剤を含有し得る。
経口使用のための医薬製剤は、活性化合物を固形賦形剤と混合し、所望により生じた混合物を粉砕し、そして適した助剤を添加した後、顆粒の混合物を所望により錠剤または糖衣剤核を入手するために処理することにより入手できる。適した賦形剤は、特にラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを包含する糖、例えば大麦デンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロースのようなセルロース製剤、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)のような充填剤である。所望により、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギニン酸またはその塩、例えばナトリウムアルギネートのような崩壊剤を添加し得る。
糖衣剤核は適したコーティングを設けられる。この目的のために、所望によりアラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールガム、ポリエチレングリコールおよび/または2酸化チタン、ラッカー溶液および適した有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る濃縮糖溶液を使用し得る。色素または顔料は、識別のために、または活性化合物投薬の異なる組み合わせを特徴付けるためにタブレットまたは糖衣剤コーティングに添加し得る。
経口使用できる医薬製剤は、ゼラチンから作製した押し嵌めカプセル、並びにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールのような可塑剤から作製した軟質密封カプセルを包含する。該押し嵌めカプセルは、ラクトース、デンプンのようなバインダーおよび/またはタルクまたはマグネシウムステアレートのような潤滑剤、および所望により安定剤と混合した活性成分を含有できる。軟質カプセルでは、活性化合物は適した液体、例えば脂肪油、液状パラフィン、または液状ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁し得る。加えて、安定剤を添加し得る。
経口液状製剤は、例えば乳液、シロップまたはエリキシルの形態にあることができ、または使用前の水または他の適したビヒクルでの再構成のための乾燥製品として存在し得る。そのような液状製剤は、慣用の添加剤、例えば懸濁剤、例えばソルビトール、シロップ、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロール、アルミニウムステアレートゲル、水素化食用脂肪;乳化剤、例えばレクチン、ソルビタンモノオレエート、またはアカシア;非水性ビヒクル(食用脂を包含し得る)、例えばアーモンド油、分画ココナッツ油、油状エステル、例えばグリセリンのエステル、ポリエチレングリコール、またはエチルアルコール;防腐剤、例えばメチルまたはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸;および所望による慣用の香料および着色剤を含有し得る。
本発明の組成物を様々な慣用の医薬製剤および投薬形態、例えば経口、口腔内または舌上使用のための錠剤(プレーンおよび被覆)、カプセル剤(さらなるコーティングを伴う
か伴わない硬質および軟質、ゼラチン)粉末、顆粒(発泡性顆粒を包含する)、ペレット、微粒子、溶液(ミセル性、シロップ、エリキシルおよびドロップ)、ロゼンジ、香錠、アンプル、乳液、マイクロエマルジョン、軟膏、クリーム、座剤、ゲル、経皮パッチおよび慣用の賦形剤および/または希釈剤および安定剤を伴う改良放出投薬形態中に混入し得ることは、本発明の範囲内であると考慮される。
上記した適した投薬形態に適用された本発明の組成物は、ヒトを包含する動物に、経口的に、注射(血管内、皮下、腹膜内、皮膚内または筋肉内)により、局所的にまたは他の方法で投与し得る。
各場合における本発明の組成物の正確な送達様式は、投与プロトコルの目的に依存する。既存の状態および障害の場合、障害の深刻さ、および上記したように、個人の年齢、大きさおよび性別に依存する。適した投薬および投与計画を決定することは、この分野の当業者の行う範囲内である。
2)食品/飲料/栄養剤:
本発明の他の形態では、本発明の組成物は、継続する予防使用のために、制限無しに以下のものを包含する食品、飲料および栄養剤に混入し得る:
1)チーズ、ミルクおよび他の乳飲料、スプレッドおよび乳製品混合物、アイスクリームおよびヨーグルトを包含する乳製品、
2)調理、焼きまたは他の処理をされているかされていない穀粒を含む穀物をベースとする製品(例えば、パン、パスタ、クラッカーおよびシリアルバー)、
3)チョコレート、キャンディ、チューインガム、デザート、非乳製品トッピング(例えばクール・ウイップ(登録商標))、シャーベット、氷菓子および他の詰め物のような菓子、
4)アルコール性または非アルコール性で、またコーラおよび他のソフトドリンク、ジュース飲料、ダイエットサプリメントおよび、商品名ブースト(登録商標)およびエンシュア(登録商標)の下で販売されているもののような食品代替飲料を包含する飲料、および5)スープのような処理食品、前処理パスタソース、前成形食餌等を包含する多種の製品。
本発明の組成物は、直接かつさらなる変性を伴わずに、食品、栄養剤または飲料中に、混合、注入、注射、ブレンド、分散、乳化、浸漬、噴霧および混練のような技術により混入し得る。さもなくば、本組成物は、消費者により摂取前に直接に食品上または飲料中に適用し得る。これらは送達の単純かつ経済的な様式である。
実施例
本発明を以下の制限しない例により説明する:
実施例1 アントシアニンの抽出および分離
ウ・ゴン種の黒米からシムズ・ミルによりPOS(サスカチワン州)で外層を除去した。黒米画分をメタノール中の1%HCl中に一晩浸漬した。ワットマン濾紙第4番を使用して抽出液を濾過した。メタノールを40℃下での回転蒸発により除去した。得られた顔料画分を、酢酸でpH2.5まで酸性化した水で充填したバイオ−ゲルP−2カラム(2.5×45cm)中に注入して、アントシアニンを分離した。
前記カラムを、酢酸でpH2.5まで酸性化した水で、1mL/分の流速で溶離し、そして画分を画分収集器により収集した(5mL/チューブまたは5分/チューブ)。試料を520nmで観察した。2つの主な画分を収集し、そして同定のために真空下で濃縮した。
実施例2 アントシアニンの定量および同定
実施例1からの2つの主な画分を、HPLCおよびLC/MSにより標準参照(シアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン−3−グルコシド)を使用してさらに分析した。該HPLCは、自動試料採取器およびカラム加熱器を備えたウォータース・アリアンス・2690システムを使用して行った。HPLC条件は以下の通りであった:ウォータース・エクステラ・MS・C18カラム(2.1×50mm、2.5μm)を40℃で使用し、5μL注射、溶媒Aは100%メタノールであり、溶媒Bは水中の5%蟻酸であった。Aの濃度は5分の内に20から4%であった。流速は0.4mL/分に設定した。ウォータース・996PDA検出器を使用し、そして波長を200〜600nmで設定した。
黒米画分のLC/MS分析を、ウォータース・2690分離モジュールを結合した電気噴霧マス分光計を使用して行った。PDAは、このバイオ−ゲルP−2クロマトグラフィーを使用して、保持時間およびスペクトルの双方で区別できる2つの画分を入手したことを示した(図3、4および5)。図3は、バイオ−ゲルP−2分離後の画分Iおよび画分IIを示す。
実施例3 酸化防止活性DPPHラジカル消去試験
黒米の第1層、第2層および全粒のラジカル消去活性を、エタノール溶液中の安定な遊離ラジカルである1,1−ジフェニル−2−ピクリル(“DPPH”)を使用して評価した。DPPHは、他の遊離ラジカル消去剤、特に主要な酸化防止剤(水素供与体)と反応するときに非ラジカル形態に変化する。分光法を、アルコール溶液中のDPPHの消失を測定するために適用した。
図6は、DPPHラジカルの阻害についての各層および全粒の効果を示す。明らかに、試験した各濃度で、第1層が優れていた。
実施例4 酸化防止活性リポソームモデル
本発明のアントシアニン組成物の遊離ラジカル消去活性を、リン脂質の酸化が2,2−アゾビス(α−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(“AAPH“)の加熱分解により誘発されるリポソームモデルで評価した。この試験を、37℃での共役ジエンヒドロペルオキシドの形成を連続的に観察することにより行った。
図7は、様々な濃度で共役ジエンヒドロペルオキシドの形成を防止することにおけるアントシアニン組成物の効能を示し、10μg/mL以上が最も有効であった。
実施例5 LDL酸化の抑制
本発明のアントシアニン組成物によるLDL酸化の防止を評価した。LDLの酸化変性は、ox−LDLの下流調節の変性によるアテローム性動脈硬化の進行における重要な段階である。LDL粒子の変性は、マクロファージ細胞での泡沫細胞の形成を生じ、そして次いで血管の内皮上の負荷および斑の形成を生じる。従って、LDLの減少は、心血管疾患の予防における重要な段階と考えられている。遷移金属イオンを透析により除去し、そしてLDL酸化を37℃である時間、Cu2+イオンと一緒に放置することにより開始した。LDL酸化を、アガロースゲル電気泳動、共役ジエンおよびチオバルビツール酸反応性基質の形成を包含する異なる手法で観察した。図8での結果は、本発明のアントシアニン組成物の添加が電気泳動移動距離を減じ、酸化により変性したLDLの負電荷の増大が抑制されたことを示した。
さらに、共役ジエンおよびチオバルビツール酸反応基質の形成もまた低減し(図9)、第1および第2脂質過酸化生成物の発生もまたアントシアニン組成物の組成により阻害さ
れたことを示唆した。加えて、HDL酸化を評価した。ペルオキシラジカル誘発性HDL変性は、アガロースゲル電気泳動により測定したとき、アントシアニン組成物の添加により防止された。
実施例7 DNA酸化の抑制
ペルオキシラジカルおよびヒドロキシラジカルのような酸化ラジカル(部位特異的および非部位特異的)により誘発されるDNA酸化を防止することにおけるアントシアニン組成物の効果を調査した。図10は、ペルオキシラジカルがスーパーコイルDNA鎖の消失を導くこと、並びにアントシアニン組成物または標準の酸化防止剤であるトロックスの何れかの添加がそのような損傷の部分的な回復を生じることを示す。同様の効果は、様々な比率で組み合わせたシアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン−3−グルコシドの添加によっても見られる(図11)。
本発明の黒米抽出物または組成物は、非部位特異的および部位特異的の双方のヒドロキシラジカルにより誘発されるDNA切断を阻害する(図12および13)。このヒドロキシラジカルモデルでは、該ヒドロキシラジカルは、アスコルビン酸媒介フェントン反応により発生した。該黒米抽出物が、部位特異的モデルで発生したヒドロキシラジカルを消去することが見出され、そして部位特異的ヒドロキシラジカルモデルでは、遷移金属イオンをキレート化することも示した。
実施例8 細胞生存度試験
この試験の目的は、本発明の抽出物が遊離ラジカル誘発性細胞毒性に対する保護を細胞培養において与えるか否かを決定することであった。THP−1、白血病ヒト細胞系(ATCC)では、第1鉄イオンの添加(酸化刺激剤として)は、フェントン反応機構に起因する酸化ストレスを介して細胞死を生じた(図14)。本発明の黒米抽出物の添加は、濃度依存様式で細胞死を回復した。
実施例9 肝臓リパーゼ抑制
肝臓リパーゼ活性は、本発明の抽出物により抑制された(図15の第1層参照)。肝臓リパーゼはHDLリン脂質およびトリグリセリドを加水分解し、そしてポストテパリン血漿肝臓リパーゼ活性は血漿HDL−C濃度に逆の相関を示す。従って、この結果は、アントシアニンが高濃度である本発明の抽出物がインビボでHDLを増加させることを示す。
実施例10 DNA切断防止
ペルオキシドラジカルおよびヒドロキシラジカルの双方をこの試験で適用して、0.5μg/mLのエチジウムブロミドを伴いTEA緩衝液(40mMのトリス−アセテート、2mMのEDTA、pH8.5)を使用する0.7%アガロースゲル電気泳動により、DNA切断を防止することにおける本発明の黒米抽出物の効果を評価した。DNAバンドは、紫外線ベンチトップ徹照器(UVP・インコーポレイテッド、アップランド、CA)により可視化し、そしてバンドの密度をラボワークソフトウェア(UVP・インコーポレイテッド、アップランド、CA)により分析した。DNA切断の阻害は、以下の等式のように計算した:
Figure 2005527539
native、Doxidative、Dsampleはそれぞれ、AAPHを伴わないDNA、AAPHを伴うDNA、およびAAPHおよび試験試料を伴うDNAの密度を表す。
DNA結合性は、細胞分裂および生存に極めて重要である。DNAはインビボでの酸化損傷に傷付き易く、途絶した転写、翻訳およびDNA複製を導き、そして最終的に突然変異および細胞死を導くことが示されている。例えば、シュナイダー等[19]は、ヒドロキシラジカルはDNA損傷に関与することを示し、初期のヒドロキシラジカルは突然変異誘発および発癌のプロセスと生物学的に関係していることを示唆している。遷移金属−アスコルビン酸−過酸化水素系は、優先的なグアニンの酸化を伴うDNAの配列依存損傷を生じ、DNAの特異領域への金属結合の結果としての反応性酸素種の局所的生成を示唆している。以前の報告は、DNA切断試験が、ヒドロキシラジカルおよびペルオキシラジカルの双方を包含する活性酸素種誘発性DNA劣化に対する酸化防止活性を評価するための有用な手段であり得ることを示している[20](ケッツ等、1999)。
今回の研究では、発明者等は、非部位特異的および部位特異的のヒドロキシラジカルの双方の概念を適用し、そしてこれらをDNA切断アッセイに適用した(図10および11)。ヒドロキシラジカルは、部位特異性または非部位特異性に関わらず、スーパーコイルDNA鎖の結合性を破壊したことは明らかである(図10のレーン2)。
このヒドロキシラジカル誘発性DNA切断試験で、黒米抽出物は、部位特異的の場合よりも非部位特異的での保護に、より良い相性を示した(表3)。
Figure 2005527539
1シアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン−3−グルコシドを外部標準として使用するLC−MSにより測定
ヒドロキシラジカル誘発性切断からのスーパーコイルDNAの保護が黒米中のアントシアニン分布とも関連すること、即ち、黒米外層がより多量のアントシアニンを含有してヒドロキシラジカル誘発性DNA損傷を阻害することに全米より高い能力を示すことも言及に値する(表3)。標準の酸化防止剤であるトロックスも、非部位特異的ヒドロキシラジカルにより誘発されるDNA損傷の高い阻害として同様の傾向を示し(表3)、配列規格がヒドロキシラジカル誘発性DNA鎖破壊に関連することを裏付ける。ヒドロキシラジカル誘発性DNA切断の関連性は、過酸化水素および遷移金属のようなフェントン反応成分を細胞核中に見出すことができ、そして次いでDNA切断を伴う細胞毒性を引き起こす。
Figure 2005527539
本発明者等の今回の研究で、本発明者等は、黒米抽出物が濃度依存様式でスーパーコイルDNA切断を抑制し(表4)、顕著な効果は10μg/mLの低さであったことを見出した。上記で指摘したように、シアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン−3−グルコシドは黒米中に主要な顔料提供成分として存在する。本発明者等の研究で、本発明者等は、シアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン−3−グルコシドがそれぞれ、1μg/mLで、DNA鎖切断についての11.5%および11.4%の保護を示し、一方、保護はそれぞれ5μg/mLの濃度で45.3%および44.1%まで増加することを見出した。シアニジン−3−グルコシドとペオニジン−3−グルコシドとの組み合わせの効果を、このペルオキシラジカル誘発性DNA切断モデルでも測定した。結果は、該保護がシアニジン−3−グルコシドの割合の減少と共に減少したことを示した(図10および表3)。スーパーコイルDNA切断の濃度依存抑制もまた黒米抽出物で観察された(図11および表4)。
実施例11 抗炎症試験
A)窒素酸化物の防止についての黒米抽出物の効果
B)iNOSについてのウェスタンブロッティング
A)
マウスマクロファージ細胞RAW264.7(ATCC)を10%の子ウシ血清および抗生物質(100U/mLのペニシリンおよび100U/mLのストレプトマイシン)を補足したDMEM培地中、37℃、5%のCO2下で培養した。細胞を2×105細胞/ウェルの密度で96ウェルのプレートにプレート化した。一晩育成後、細胞がウェルの底部に付着したとき、様々な量のPBS中の黒米抽出物および1μg/mLのバクテリアリポ多糖(LPS、大腸菌、セロタイプ0111:B4)をさらに24時間添加した。培地を他の96−ウェルプレート中に分注し(100μL)、その後、100μLのグライス試薬(5%のリン酸中の1%のスルファニルアミドおよび水中の0.1%のナフチルエチレンジアミンジヒドロクロリド、1:1v/v)をその後添加した[18]。540nmでの吸光度をELISAプレートリーダーで決定した。ニトライトの濃度を同様の手順から入手した標準曲線に従って測定した。窒素酸化物の阻害を以下の等式に従って計算した:
Figure 2005527539
[式中、Abspositive、Absnegative、Abssampleは、LPSを伴う培養培地、LPSを伴わない、およびLPSを伴う試料の吸光度を表す。]。
B)
細胞を収集して2×試料還元緩衝液とし、そして沸騰水で5分間放置した。20μLの試料を8%のSDS−PAGE上に注入し、次いでニトロセルロース膜(バイオ−ラッド・ラボラトリーズ社製)へ電気泳動した。膜を1時間、室温で、150mMのNaClおよび0.05%のトゥイーン−20を含有する50mMのトリス緩衝液(pH7.5)中の3%の脱脂粉乳でブロックした。膜をその後、4℃で、マウス抗−iNOS抗体(ファルミンゲン・トランスダクション・ラボラトリーズ社製)およびマウス抗−α−ツブリン抗体(シグマ社)と共に、150mLNaClを伴う50mMのトリス緩衝液(pH7.5)中で一晩放置した。膜をその後、ホースラディッシュペルオキシダーゼと共役したヤギ抗−マウスIgG(ファルミンゲン・トランスダクション・ラボラトリーズ社製)と共に、1時間、室温で培養した。4−クロロ−1−ナフトールおよび過酸化水素を、標的タンパク質の可視化のために使用した[19](ボラッグ等、1996)。
反応性酸素種に加え、窒素酸化物およびその代謝物であるペルオキシニトライトのような反応性酸素種は、突然変異誘発性であると考慮されている[21](キーファーおよびウィンク、1996)。哺乳類細胞中には2種類の窒素酸化物合成、即ち、構成NOS(cNOS)および誘発性NOS(iNOS)があり、後者はリポ多糖(LPS)およびサイトカインのような内毒素により活性化されるようである。該iNOSは殆どの細胞中で通常状態下では存在しないが、しかしながら、LPSおよびサイトカインのような適切な刺激に続いて、急速に誘導され、そして大量の窒素酸化物の原因となる。マクロファージでのバクテリアリポ多糖の培養は、誘発性窒素酸化物合成からの窒素酸化物の発生を評価する素早い方法を与える。リューヴェンバーグ等[22](1997)は、大動脈アテローム性動脈硬化内膜からのLDLは血漿LDLよりも顕著に多い3−ニトロトリオジンを含有し、大動脈LDL酸化およびアテローム性動脈硬化における反応性窒素種の係わり合いを示すことを報告している。さらに、iNOS阻害剤であるN−イミノエチル−L−リシンが高コレステロール血症のウサギにおいて既存のアテローム性動脈硬化の進行を制限し、それ故iNOSの阻害がアテローム性動脈硬化の進行を防止するために有益かもしれないことを示唆している。
多量の窒素酸化物発現が、バクテリアLPSと一緒に培養されたマウスマクロファージ細胞系RAW264.7を使用することにより可能となった。窒素酸化物の測定は、細胞培養培地の上清中のその代謝生成物であるニトライトにより、グライス試薬により間接的に測定した。ニトライトを、培養培地中、LPS処理を伴わないマクロファージ細胞と比較して高い25μMで見出し、RAW264.7細胞をバクテリアリポ多糖により刺激したとき、窒素酸化物形成が促進されたことを示した。
黒米抽出物の添加はニトライトの生成を顕著に減じ、活性化マクロファージ細胞中の窒素酸化物の抑制を示した(図18)。細胞生存度が黒米抽出物の添加で通常通りであるから、窒素酸化物生成の阻害が細胞毒性によらないことも注目できる。窒素酸化物の阻害はまた、シアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン−3−グルコシドについても見出された。同じ作業条件下での、シアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン−3−グルコシドによるLPS−活性化RAW264.7細胞における窒素酸化物の阻害を表5に示す

Figure 2005527539
シアニジン−3−グルコシドは、100μMで、ペオニジン−3−グルコシドのものよりも高い窒素酸化物形成の阻害を表したことは注目に値した。
本発明者等の今回の研究では、RAW264.7細胞へのLPSの添加がウェスタンブロッティング(図19)により示されるようにiNOSタンパク質の発現を顕著に誘発したことは明らかである。この細胞培養モデル中への黒米抽出物の添加は、iNOSタンパク質(MW130kDa)の発現を濃度依存様式で抑制することを示した(図19)。加えて、抗−α−ツブリン抗体でブロッティングした細胞溶解物は、このハウスキーピングタンパク質がLPSおよび試料処理をしようとしまいと未変化のままであり、それ故、黒米がマクロファージ中での誘発性窒素酸化物合成発現を特異的に抑制し、それ故、この条件下で窒素酸化物生成を減じたことを示した。
実施例12 アポ−Eマウスでのアテローム性動脈硬化の進行の遅延
C57BL/6Jバックグラウンドにあるアポ−E欠損マウスを、ジャクソン・ラボラトリーズ社(バー・ハーバー、米国メイン州)より購入し、そして慣用の飼育条件下で繁殖および維持した。C57BL/6Jマウスは、サン−ヤト・セン・ユニバーシティ・オブ・メディカル・サイエンセズのアニマル・センターからのものであった。
4週齢の全45匹のオスアポE−欠損マウスを各群15匹の3つの群にランダムに分け、そして体重測定を行った。マウスにAIN−93G配合(表6に要約)に基く精製食餌を与え、そして各群に以下の食餌の1つを消費させた:AIN−93G精製食餌(陽群)、5g/100gの本発明の抽出物:黒米画分を伴うAIN−93G精製食餌(BRF群)、5g/100gの白米画分を伴うAIN−93G精製食餌(WRF群)。対照(対照群)として、4週齢の15匹のオスC57BL/6JマウスにAIN−93G精製食餌を与えた。
異なる食餌でのタンパク質、脂肪およびエネルギーの含量は、カゼインおよび大豆油を添加することにより同じ水準に調節した(表7)。BRFおよびWRFの組成を表5に列挙する。全ての群は、ステンレス鋼格子の頂部を持つプラスチックケージ中で飼育した。餌および蒸留水は任意に与えた。実験を16週間継続した。各マウスにおける食餌摂取の平均値量は、4つの群で≒2.8g/dであった。該マウスを実験の間毎週2回秤量した。
実験の終了で、全てのマウスを一晩絶食させ、そして麻酔下で後方眼窩集網から血液を抜くことにより安楽死させた。血清を、2800×gで20分間、4℃での低速遠心分離により生成し、血清脂質の濃度を決定するために使用した。
Figure 2005527539
1、2ICNカンパニー、米国
3遊離塩基の分子量に基く
Figure 2005527539
*対照群:AIN−93G精製食餌を与えたC57BL/6Jマウス
陽群:AIN−93G精製食餌を与えたアポE欠損マウス
BRF群:5g/100gの黒米画分を伴うAIN−93G精製食餌を与えたアポE欠損マウス
WRF群:5g/100gの白米画分を伴うAIN−93G精製食餌を与えたアポE欠損マウス
Figure 2005527539
血清脂質プロファイル
血清全コレステロール(TC)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)をヒタチ・オートマチック・アナライザー(東京、日本国)を使用して測定した。血清TCをコレステロールエステラーゼおよびコレステロールオキシダーゼアッセイを使用して決定した。HDL−Cの血清濃度を同じ方法によりアッセイした。血清LDL濃度をフライドワルド式に従って計算した。
アテローム性動脈硬化の評価
アテローム性動脈硬化脂肪ストリークの定量を、以前に記載したように、大動脈洞中の病変寸法を計算することにより行った(18)。簡単に述べると、心臓および大動脈の上側断片を動物から除去し、そして辺縁の脂肪を注意深く除いた。上部断片をO.C.T化合物中に埋め込み、そして−20℃で冷凍した。大動脈洞(400μm)を通した全ての他の断片(10μm厚)を分析のために採取した。大動脈洞の遠位部分を大動脈と心臓との接合部である3つの心臓弁膜尖により認識した。低温維持部分をオイルレッドOで染色し、そしてヘマトキシリンで対比染色した。心臓弁の各断片を、オリンパス・BX−50光学顕微鏡に取付けたRGBカメラから直接に画像を取り込み、そしてトリニトロン(登録商標)RGBモニターに表示することにより、オイルレッドO染色面積について評価した。画像分析は、オプティマス(登録商標)4.1ソフトウェア(イメージ・プロセッシング・ソリューション社製)を使用して決定した。結果を、オイルレッドOで染色された全横断面血管壁面積(正常+障害の面積/断面、ルーメンを除く)の割合として示した。
統計学的分析
結果は平均値±SDとして示し、そして差異を、スチューデント−ニューマン−ケウルス(SNK)多重比較試験と組み合わせた一方向ANOVAにより決定した。P<0.05を持つ差異を有意であると見なした。
結果
体重
各群の15匹のマウスを実験プロトコルについて開始した。実験のための初期マウス体重は、17±1g(平均値±SD)であった。最終平均値体重は25ないし27gであった。体重における顕著な差異は、実験期間の間に観察されなかった(表9)(図16)。
Figure 2005527539
血清コレステロール水準
対照群中の血清TC、LDL−C、HDL−CおよびLDL/HDLは他の3群と相違した(P<0.05)。BRF群におけるTC、LDL−CおよびLDL/HDLの水準は陽群およびWRF群と比較して低く(P<0.05)、また陽群とWRF群との間に差異は無かった。BRF群およびWRF群の双方は陽群と比較して高水準のHDL−Cを有するけれども、BRF群は低いLDL/HDLを有していた(表10)。
Figure 2005527539
*値は平均値±標準偏差である。カラム中の共通文字を伴わない値は顕著に異なる、P<0.05。使用した略称:TC、全コレステロール;LDL、低密度リポタンパク質コレステロール;HDL、高密度リポタンパク質コレステロール;C、コレステロール。
大動脈洞におけるアテローム性動脈硬化の進行
調査16週後、AIN−93G食餌を与えた対象群の大動脈洞には目視できるアテローム性動脈硬化斑は無かった。しかし、様々な程度のアテローム性動脈硬化斑が、他の3群の大動脈洞に見られた。斑は陽群およびWRF群においてBRF群よりも非常により深刻であった(表11)(図17)。
BRF群のマウスにおける平均斑面積は陽群およびWRF群のものより小さかった(P<0.01)。BRFを与えたマウスにおける大動脈洞の斑面積はそれぞれ、陽群およびWRF群と比較して48.42%および46.08%少なかった。陽群およびWRF群に
マウスの斑面積における顕著な差異は無かった。
Figure 2005527539
*カラム中の共通文字を伴わない値は顕著に異なる、P<0.01。
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図1は、米粒の要素を断面で表す図である。 図2は、黒米抽出物のバイオ−ゲルP−2溶離のクロマトグラムである。 図3は、黒米抽出物のバイオ−ゲルP−2溶離のクロマトグラムである。 図4は、黒米抽出物のバイオ−ゲルP−2溶離のクロマトグラムである。 図5は、黒米抽出物のバイオ−ゲルP−2溶離のクロマトグラムである。 図6は、DPPHラジカルの阻害についての黒米抽出物の効果を示すグラフである。 図7は、37℃でペルオキシラジカル誘発性リポソーム過酸化における共役ジエンの形成についての黒米抽出物の効果を示すグラフである。 図8は、酸化変性LDLの負電荷を抑制することにおける黒米抽出物の効果のアガロースゲル電気泳動結果である。 図9は、インビトロでのヒトLDLのLDL酸化変性の抑制を示す棒グラフである。 図10は、ペロキシルラジカル誘発性スーパーコイルDNA切断を防止することにおける黒米抽出物の効果のアガロースゲル電気泳動結果である。 図11は、ペロキシルラジカル誘発性DNA切断の損傷を減じることにおけるペオニジン−3−グルコシドおよびシアニジン−3−グルコシドの効果のアガロースゲル電気泳動結果である。 図12は、ヒドロキシラジカル(非部位特異的)誘発性DNA切断を防止することにおける黒米抽出物の効果のアガロースゲル電気泳動結果である。 図13は、ヒドロキシラジカル(部位特異的)で誘発されたDNA切断を保護することにおける黒米抽出物の効果のアガロースゲル電気泳動結果である。 図14は、黒米抽出物を使用した細胞生存度試験を示す棒グラフである。 図15は、黒米抽出物による肝臓リパーゼ活性の阻害を示す棒グラフである。 図16は、異なる処理群のマウスの体重を時間にわたり表すグラフである。 図17は、異なる群のアテローム性動脈硬化斑の面積を表すグラフである。 図18は、マウスマクロファージ細胞RAW264.7中のバクテリアリポ多糖により刺激される酸化窒素の阻害についての本発明の黒米画分の効果を示すグラフである。 図19は、誘発性酸化窒素合成の発現についての本発明の黒米抽出物の効果のアガロースゲル電気泳動結果である。

Claims (25)

  1. 黒米(Oryza Sativa L)からアントシアニンを含む組成物を抽出する方法であって、
    a)脱穀した黒米中のデンプン質内乳から外層を分離する工程と、
    b)少なくとも1種の有機溶媒と酸との溶液を分離した外層に添加する工程と、
    c)該溶媒および該酸を該分離した外層から濾過および除去して顔料画分を生成する工程と、
    d)該顔料画分の成分を分離する工程と、
    e)該成分からアントシアニン組成物を収集する工程
    を含む方法。
  2. 工程a)で、前記外層を前記デンプン質内乳から物理的に分離する、請求項1記載の方法。
  3. 工程a)で、前記脱穀した黒米を精米することにより、前記外層を前記デンプン質内乳から物理的に分離する、請求項1記載の方法。
  4. 前記有機溶媒は、アルコール、ケトン、炭化水素および水からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  5. 前記有機溶媒は、次ぎの構造:RCOR1[式中、RおよびR1は、炭素原子数1ないし6のアルキル基を表す。]を有するケトンである、請求項1記載の方法。
  6. 前記有機溶媒は、炭素原子数5ないし10の炭化水素である、請求項1記載の方法。
  7. 前記有機溶媒は、次ぎの一般構造:R−CHOHR、R−CH2OH、およびR3COH[式中、Rは、炭素原子数1ないし4のアルキル基を表す。]からなる群より選択されるアルコールである、請求項1記載の方法。
  8. 前記酸は、塩酸、酢酸、クエン酸、低濃度硫酸および酒石酸からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  9. 1と4との間のpHを達成するために十分な酸を添加する、請求項1記載の方法。
  10. 前記分離した外層を1ないし10時間前記溶媒中に浸漬する、請求項1記載の方法。
  11. 工程c)で、蒸発により前記溶媒および酸を除去する、請求項1記載の方法。
  12. 工程d)で、分画により前記顔料画分の成分を分離する、請求項1記載の方法。
  13. 請求項1ないし9のうちの何れか1項に記載の方法に従って生成した組成物。
  14. シアニジン−3−O−グルコシドおよびペオニジン−3−O−グルコシドを含む組成物。
  15. シアニジン−3−O−グルコシドのペオニジン−3−O−グルコシドに対する比率は10ないし1である、請求項14記載の組成物。
  16. シアニジン−3−O−グルコシドのペオニジン−3−O−グルコシドに対する比率は6ないし1である、請求項14記載の組成物。
  17. シアニジン−3−O−グルコシドのペオニジン−3−O−グルコシドに対する比率は3.5:1ないし6.5:1である、請求項14記載の組成物。
  18. シアニジン−3−O−グルコシドのペオニジン−3−O−グルコシドに対する比率は4:1である、請求項14記載の組成物。
  19. 1種以上の酸化防止剤をさらに含む、請求項11記載の組成物。
  20. 1種以上のステロールをさらに含む、請求項11記載の組成物。
  21. 1種以上のスタノールをさらに含む、請求項11記載の組成物。
  22. ビタミンE、ベータ−カロチン、酵素性スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオンレダクターゼ、茶カテキン、キレート化剤、例えばクエン酸、EDTA、フェニルアラニン、リン酸、酒石酸およびトリプトファン;選択的に酸化される化合物、例えばアスコルビン酸、ナトリウムビスルフィットおよびナトリウムスルフィット;水溶性連鎖停止剤、例えばチオール並びに脂溶性連鎖停止剤、例えばアルキルガレート、アスコルビルパルミテート、t−ブチルヒドロキノン、ブチレート化ヒドロキシアニソール、ブチレート化ヒドロキシトルエン、ヒドロキノン、ノルジヒドログアイアレチン酸およびアルファ−トコフェロールからなる群より選択される1種以上の酸化防止剤をさらに含む、請求項11記載の組成物。
  23. 動物において、心血管疾患、並びにアテローム性動脈硬化、炎症、高脂質血症、低アルファリポタンパク質血症、高コレステロール血症を包含するその根底にある状態、および酸化ストレスを治療または予防する方法であって、該動物に請求項1記載の方法に従って生成した組成物を投与することを含む方法。
  24. 動物において、心血管疾患、並びにアテローム性動脈硬化、炎症、高脂質血症、低アルファリポタンパク質血症、高コレステロール血症を包含するその根底にある状態、および酸化ストレスを治療または予防する方法であって、該動物に請求項11記載の組成物を投与することを含む方法。
  25. 動物において、心血管疾患、並びにアテローム性動脈硬化、炎症、高脂質血症、低アルファリポタンパク質血症、高コレステロール血症を包含するその根底にある状態、および酸化ストレスを治療または予防する方法であって、該動物に請求項12記載の組成物を投与することを含む方法。
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