JP2005527539A - 黒米からのアントシアニンの抽出方法およびその組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】黒米(Oryza Sativa L)からアントシアニンを含む組成物を抽出する方法であって、脱穀した黒米中のデンプン質内乳から外層を分離し、少なくとも1種の有機溶媒と酸との溶液を該分離した外層に添加し、該溶媒および該酸を該分離した外層から濾過および除去して顔料画分を生成し、該顔料画分中の成分を分離し、そして該成分から該アントシアニン組成物を収集することを含む方法。この組成物は、酸化からHDL−C並びにLDL−C、VLDL−CおよびIDL−Cのようなアテローム生成離プタンパク質の安定性を増大および/または保存することに、酸化ストレスによる損傷を防止、減少、排除または軽減することに、およびそれらに伴うアテローム性動脈硬化病変および炎症の進行を防止、減少、排除または軽減することに有用である。
Description
本発明は、動物、特にヒトにおいて、心血管疾患、並びにアテローム性動脈硬化を包含するその根底にある状態、酸化ストレス、並びに異脂肪血状態または障害を治療または予防する方法に関する。
科学および技術における最近の進歩は人の生活の資質を改良しそして寿命を長引かせているけれども、アテローム性動脈硬化、即ち心血管疾患(“CVD”)の根底にある原因の予防は十分に対処されておらず、そして米国、欧州およびアジアの一部では筆頭の死因のままである(1)。アテローム性動脈硬化は、遺伝された(遺伝子的)要因と食事および生活様式のような環境的要因との相互作用から生じる変性プロセスである。現在までの研究は、コレステロールが血管中でアテローム性動脈硬化斑を形成し、動脈系図における斑の位置に依存して、心筋またはさもなくば脳もしくは肢への血液供給を最終的に断ち切ることにより、アテローム性動脈硬化において役割を果たし得ることを示唆している(2、3)。全体的検討は、ヒトの全血清コレステロールにおける1%の減少が冠状動脈事象の危険性における2%の減少を生じることを示している(4)。統計的に、平均血清コレステロールにおける10%の減少(例えば、6.0mmol/Lから5.3mmol/Lへ)が米国での毎年100000人の死亡を防止し得る(5)。従って、高濃度の全コレステロールおよび低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールを伴う高脂質血状態は、顕著な危険因子である。
り、そして、体内で、コレステロール分子基質を胆汁酸合成に提供する逆コレステロール輸送、クルステリンの輸送、パラオキサナーゼの輸送、リポタンパク質酸化の防止および副腎細胞によるコレステロールの選択的摂取を包含する多数の機能を有する。HDLを伴う主な脂質は、コレステロール、コレステリルエステル、トリグリセリド、リン脂質および脂肪酸を包含する。
と、血管内皮細胞損傷、泡沫細胞形成、血管平滑筋増殖、遺伝子発現、損傷した血管運動反応性および血小板不安定性を包含する異なる段階で関わる(11、12a)。
Breslow, 1997 Nat. Med. 3:600-601 Law et al., Br. Med. J. 1994; 308: 363-366 Law et al., Br. Med. J. 1994; 308: 367-373 Circulation 1990; 81: 1721-1733 Havel R. J.; Rapaport E., New England Journal of Medicine, 1995; 332: 1491-1498 Barker and Rye, Atherosclerosis 1996; 121: 1-12 Braunwald E., 1997 N. Engl. J. Med. 340: 115-126 Ross R., 1999 N. Engl. J. Med. 340: 115-126 Liao D. F. et al., 2000 J. Biol. Chem. 275: 189-196 Shackelford R. E. et al., 2000 Free Rad. Biol. Med. 28: 1387-1404 Giugliano D., 2000 Nutr. Metab. Cardiovasc. Dis. 10: 38-44 Kunsch C. and Medford R. M., 1999 Circ. Res. 85: 753-766 Yuan Y. V.; Kitts D. D. and Godin D. V., 1997 Influence of dietary cholesterol and fat source on atherosclerosis in Japanese quail, Brit. J. Nutr. 78: 993-1014 Genest J., 1986 Can. J. Physiol. Pharmacol. 64: 836-839 Simmons D. and Willaims R., 1997 Br. J. Nutr. 78: 5-14 Ling et al., Biomedical and Molecular Action of Nutrients 2001
本発明は、1つの観点において、黒米(Oryza Sativa L)からアントシアニンを含む組成物を抽出する方法であって、
a)脱穀した黒米中のデンプン質内乳から外層を分離する工程と、
b)少なくとも1種の有機溶媒と酸との溶液を分離した外層に添加する工程と、
c)該溶媒および該酸を該分離した外層から濾過および除去して顔料画分を生成する工程と、
d)該顔料画分の成分を分離する工程と、
e)該成分からアントシアニン組成物を収集する工程
を含む方法を提供する。
ンの分布は粒の深さに明らかに関係し、最初の外層が最高水準のアントシアニンを含有する。黒米からのアントシアニンの抽出のための以前に既知の方法は、この重要な利点を認めていなかった。
本発明は以下の制限しない図面により説明され、ここで:
図1は、米粒の要素を断面で表す図であり、
図2は、黒米抽出物のバイオ−ゲルP−2溶離のクロマトグラムであって、ピーク1および2がそれぞれLC/MSによりペオニジン−3−グルコシドおよびシアニジン−3−グルコシドとしてその後同定されており、
図3は、黒米抽出物のバイオ−ゲルP−2溶離のクロマトグラムであり、
図4は、黒米抽出物のバイオ−ゲルP−2溶離のクロマトグラムであって、ピークがLC/MSによりペオニジン−3−グルコシドとしてその後同定されており、
図5は、黒米抽出物のバイオ−ゲルP−2溶離のクロマトグラムであって、ピークがLC/MSによりシアニジン−3−グルコシドとしてその後同定されており、
図6は、DPPHラジカルの阻害についての黒米抽出物の効果を示すグラフであり、
図7は、37℃でペルオキシラジカル誘発性リポソーム過酸化における共役ジエンの形成についての黒米抽出物の効果を示すグラフであり、
図8は、酸化変性LDLの負電荷を抑制することにおける黒米抽出物の効果のアガロースゲル電気泳動結果であり、ここでレーン1は天然LDLを示し、レーン2はLDL+第2銅イオンを示し、レーン3〜7は黒米抽出物を伴うLDL+第2銅イオンを示し、そしてレーン8はLDL+第2銅イオンおよびEDTAを示しており、
図9は、インビトロでのヒトLDLのLDL酸化変性の抑制を示す棒グラフであり(CDおよびTBARS)、
図10は、ペロキシルラジカル誘発性スーパーコイルDNA切断を防止することにおける黒米抽出物の効果のアガロースゲル電気泳動結果を示し、ここでSはスーパーコイルDNAを示し、レーン1はDNA+PBSを示し、レーン2はDNA+AAPHを示し、レーン3、4、5および6はそれぞれDNA+AAPH+1、10、25、100μg/mLの黒米抽出物を示し、レーン7、8はそれぞれDNA+AAPH+1、10μg/mLのトロロックス(登録商標)を示しており、
図11は、ペロキシルラジカル誘発性DNA切断の損傷を減じることにおけるペオニジン−3−グルコシドおよびシアニジン−3−グルコシドの組み合わせ(10μg/mL)の効果のアガロースゲル電気泳動結果を示し、ここでレーン1、2はそれぞれ天然DNAおよび酸化DNAを示し、レーン3、4、5、6および7はそれぞれ9/1、4/1、1/1、1/4および1/9のシアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン3−グルコシドを伴うDNA+AAPHを示し、レーン8は10μg/mLのトロロックス(登録商標)を伴うDNA+AAPHを示しており、
図12は、ヒドロキシラジカル(非部位特異的)誘発性DNA切断を防止することにおける黒米抽出物の効果のアガロースゲル電気泳動結果を示し、ここでレーン1はDNA+PBSを示し、レーン2はDNA+ヒドロキシラジカル開始剤を示し、レーン3および4はそれぞれDNA+ヒドロキシラジカル開始剤+1.7、17mg/mLの黒米抽出物(第1層)を示し、レーン5、6はそれぞれDNA+ヒドロキシラジカル開始剤+1.7、170mg/mLの黒米の全粒の抽出物を示し、レーン7、8はそれぞれDNA+ヒドロキシラジカル開始剤+0.17、1.7mg/mLのトロロックス(登録商標)を示しており、
図13は、ヒドロキシラジカル(部位特異的)誘発性DNA切断を防止することにおける黒米抽出物の効果のアガロースゲル電気泳動結果を示し、ここでレーン1はDNA+PBSを示し、レーン2はDNA+ヒドロキシラジカル開始剤を示し、レーン3および4は
それぞれDNA+ヒドロキシラジカル開始剤+1.7、17mg/mLの黒米抽出物(第1層)を示し、レーン5、6はそれぞれDNA+ヒドロキシラジカル開始剤+1.7、170mg/mLの黒米の全粒の抽出物を示し、レーン7、8はそれぞれDNA+ヒドロキシラジカル開始剤+0.17、1.7mg/mLのトロロックス(登録商標)を示しており、
図14は、黒米抽出物を使用した細胞生存度試験を示す棒グラフであり、
図15は、黒米抽出物による肝臓リパーゼ活性の阻害を示す棒グラフである。
図16は、異なる処理群のマウスの体重を時間にわたり表すグラフであり、
図17は、異なる群のアテローム性動脈硬化斑の面積を表すグラフである。アテローム性動脈硬化の程度は16週後に定量した。血脈洞中のアテローム性動脈硬化病変面積を、病変をオイル−レッドOで染色することにより測定した。値は、n=15の平均値値±SDである。共通文字を持たない棒はP<0.01で顕著に異なっており、
図18は、マウスマクロファージ細胞RAW264.7におけるバクテリアリポ多糖により刺激される窒素酸化物の阻害についての本発明の黒米画分の効果を示すグラフであり、そして
図19は、誘発性窒素酸化物合成の発現についての本発明の黒米抽出物の効果のアガロースゲル電気泳動結果を示す。
以下の詳細な説明は、本発明を行う当業者を助けるために与えられる。しかしながら、この詳細な記載は、本発明の範囲を不当に制限するように解釈されるべきでない。本明細書において議論される態様に対する改良および変更は、本発明の真意または範囲から逸脱すること無く当業者によりなされ得る。
本発明によれば、黒米(Oryza Sativa L)からアントシアニンを含む組成物を抽出する方法であって、脱穀した黒米中のデンプン質内乳から外層を分離し、少なくとも1種の有機溶媒と酸との溶液を分離した外層に添加し、該溶媒および該酸を該分離した外層から濾過および除去して顔料画分を生成し、該顔料画分の成分を分離し、そして該成分からアントシアニン組成物を収集することを含む方法が提供される。
用されており、そして本発明でも用いられ得る。そのような既知の製造において、米粒を脱穀、精米そしてその後研ぎ出しし、消費者により購入され米粒であるとき、該外層は一般に放出される。本発明の範囲内で、精米した材料が回収され、そしてアントシアニン組成物が最終的に抽出される。
ドの双方の組み合わせ)は粒の深さに関係し、デンプン質内乳から分離した第1層は最も多い量のアントシアニンを含有することを見出した。この発見は、アントシアニン回収を最適化する特別な契機を提供する。
本発明は、黒米から誘導したシアニジン−3−O−グルコシドおよびペオニジン−3−O−グルコシドを含む組成物を含む。そのような組成物は、本明細書に記載された抽出および精製方法から誘導された組成物、並びに、さらに以下に記載するような2つの成分の
比率を有するデノボ合成された(即ち、この方法から誘導されることが必要でない)組成物を包含する。
さらなる態様では、本発明の組成物は、1種以上の酸化防止剤と投与の前に組み合せるか、同時に投与するか、または時間間隔を開けて別々に投与し得る。適した酸化防止剤は、それらに制限されること無く、ビタミンE、ベータ−カロチン、酵素性スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオンレダクターゼ、茶カテキン、キレート化剤、例えばクエン酸、EDTA、フェニルアラニン、リン酸、酒石酸およびトリプトファン;選択的に酸化される化合物、例えばアスコルビン酸、ナトリウムビスルフィットおよびナトリウムスルフィット;水溶性連鎖停止剤、例えばチオール並びに脂溶性連鎖停止剤、例えばアルキルガレート、アスコルビルパルミテート、t−ブチルヒドロキノン、ブチレート化ヒドロキシアニソール、ブチレート化ヒドロキシトルエン、ヒドロキノン、ノルジヒドログアイアレチン酸およびアルファ−トコフェロールを包含する。これらの酸化防止剤と本発明のアントシアニン組成物との組み合わせは、有益な酸化防止効果を開始および永続させると考えられる。
本発明の第1の態様では、動物、好ましくはヒトにおいて、心血管疾患、並びにアテローム性動脈硬化およびそれに伴う炎症を包含するその根底にある状態、並びに酸化ストレスを治療または予防する方法であって、該動物に、シアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン−3−グルコシドを含む黒米から誘導した組成物の治療有効量を投与することを含む方法が提供される。
て、該動物に、シアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン−3−グルコシド並びに所望により1種以上のフィトステロールまたはフィトスタノールおよび/または1種以上の酸化防止剤を含む黒米から誘導した組成物の治療有効量を投与することを含む方法が提供される。
1)本明細書に記載された抽出および精製方法より誘導されたアントシアニン成分、
2)デノボで合成され、そして本明細書に記載された2種のアントシアニン成分の比率を有するアントシアニン成分、および
3)例えば黒米、黒豆、黒色種子、ブラックベリーのような1種以上の供給源から抽出および精製され、かつシアニジン−3―グルコシドとペオニジン−3−グルコシドとの所望の比率を達成するようにブレンドしたアントシアニン成分
である。
a)酸化からのHDLの安定性を増大および/または保存すること、
b)酸化からのLDL、VLDLまたはIDLの安定性を増大および/または保存すること、
c)酸化からのトリグリセリド(TG)の安定性を増大および/または保存すること、
d)異脂肪血状態または障害を予防、軽減、排除または改善すること、
e)高コレステロール血症、低アポリポタンパク質血症を予防、軽減、排除または改善すること、
f)アテローム性動脈硬化病変を予防、軽減、排除または改善すること、
g)心血管疾患および環状動脈疾患の進行に伴う炎症の進行を予防、軽減、排除または改善すること、
h)血漿中のHDLの欠乏、またはLDL、VLDL、Lp(a)、ベータ−VLDL、IDLまたは残骸リポタンパク質の過剰を基礎として有するか、これらにより悪化させられる状態、疾患または障害を予防、軽減、排除または改善すること、および
i)酸化ストレスのための損傷を予防、軽減、排除または改善すること。
1)酸化からのHDL−Cおよびアテローム発生リポタンパク質、例えばLDL−C、VLDL−CおよびIDL−Cの安定性を増大および/または保存し、
2)酸化ストレスによる損傷を予防、軽減、排除または改善し、
3)アテローム性動脈硬化病変の進行を予防、軽減、排除または改善し、そして
4)アテローム性動脈硬化、環状動脈疾患(CAD)、および心血管疾患(CVD)に伴う炎症を予防、軽減、排除または改善する
ことを見出した。これは、近年、CADおよびCVDが炎症により明らかに低い危険の人々に起こることが見出されているので重要である。近年の証拠はまた、動脈の炎症が将来の心臓発作および脳卒中の重要な指標となり得ることを示唆する。炎症は損傷または感染に対して身体が応答するときに生じる。
1)アテローム性動脈硬化病変の進行を予防、軽減、排除または改善し、
2)血漿リポタンパク質を調節または制御し、
3)それらに制限されること無く、心血管疾患、並びにアテローム性動脈硬化、異脂肪血状態または障害、高コレステロール血症および低アルファリポタンパク質血症を包含するその根底にある状態、アテローム性動脈硬化病変の進行および毒性ショック症候群を包含する多数の症状および障害の予防、軽減、排除または改善を与え、そして
4)血漿中のHDLの欠乏、またはLDL、VLDLまたはIDLの過剰を基礎として有するか、これらにより悪化させられる多数の状態および障害の予防、軽減、排除または改善えを与えることを見出した。
本発明の組成物は、医薬品、栄養剤、食品、飲料等において使用可能な何れかの慣用手段により投与され得る。
本発明の組成物は、それ自身で、またはそれらが適したキャリアまたは賦形剤と混合された医薬組成物で患者に投与できる。
乳化、カプセル化、捕捉または凍結乾燥プロセスにより、それ自身は既知の方法で製造し得る。
か伴わない硬質および軟質、ゼラチン)粉末、顆粒(発泡性顆粒を包含する)、ペレット、微粒子、溶液(ミセル性、シロップ、エリキシルおよびドロップ)、ロゼンジ、香錠、アンプル、乳液、マイクロエマルジョン、軟膏、クリーム、座剤、ゲル、経皮パッチおよび慣用の賦形剤および/または希釈剤および安定剤を伴う改良放出投薬形態中に混入し得ることは、本発明の範囲内であると考慮される。
本発明の他の形態では、本発明の組成物は、継続する予防使用のために、制限無しに以下のものを包含する食品、飲料および栄養剤に混入し得る:
1)チーズ、ミルクおよび他の乳飲料、スプレッドおよび乳製品混合物、アイスクリームおよびヨーグルトを包含する乳製品、
2)調理、焼きまたは他の処理をされているかされていない穀粒を含む穀物をベースとする製品(例えば、パン、パスタ、クラッカーおよびシリアルバー)、
3)チョコレート、キャンディ、チューインガム、デザート、非乳製品トッピング(例えばクール・ウイップ(登録商標))、シャーベット、氷菓子および他の詰め物のような菓子、
4)アルコール性または非アルコール性で、またコーラおよび他のソフトドリンク、ジュース飲料、ダイエットサプリメントおよび、商品名ブースト(登録商標)およびエンシュア(登録商標)の下で販売されているもののような食品代替飲料を包含する飲料、および5)スープのような処理食品、前処理パスタソース、前成形食餌等を包含する多種の製品。
本発明を以下の制限しない例により説明する:
ウ・ゴン種の黒米からシムズ・ミルによりPOS(サスカチワン州)で外層を除去した。黒米画分をメタノール中の1%HCl中に一晩浸漬した。ワットマン濾紙第4番を使用して抽出液を濾過した。メタノールを40℃下での回転蒸発により除去した。得られた顔料画分を、酢酸でpH2.5まで酸性化した水で充填したバイオ−ゲルP−2カラム(2.5×45cm)中に注入して、アントシアニンを分離した。
実施例1からの2つの主な画分を、HPLCおよびLC/MSにより標準参照(シアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン−3−グルコシド)を使用してさらに分析した。該HPLCは、自動試料採取器およびカラム加熱器を備えたウォータース・アリアンス・2690システムを使用して行った。HPLC条件は以下の通りであった:ウォータース・エクステラ・MS・C18カラム(2.1×50mm、2.5μm)を40℃で使用し、5μL注射、溶媒Aは100%メタノールであり、溶媒Bは水中の5%蟻酸であった。Aの濃度は5分の内に20から4%であった。流速は0.4mL/分に設定した。ウォータース・996PDA検出器を使用し、そして波長を200〜600nmで設定した。
黒米の第1層、第2層および全粒のラジカル消去活性を、エタノール溶液中の安定な遊離ラジカルである1,1−ジフェニル−2−ピクリル(“DPPH”)を使用して評価した。DPPHは、他の遊離ラジカル消去剤、特に主要な酸化防止剤(水素供与体)と反応するときに非ラジカル形態に変化する。分光法を、アルコール溶液中のDPPHの消失を測定するために適用した。
本発明のアントシアニン組成物の遊離ラジカル消去活性を、リン脂質の酸化が2,2−アゾビス(α−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(“AAPH“)の加熱分解により誘発されるリポソームモデルで評価した。この試験を、37℃での共役ジエンヒドロペルオキシドの形成を連続的に観察することにより行った。
本発明のアントシアニン組成物によるLDL酸化の防止を評価した。LDLの酸化変性は、ox−LDLの下流調節の変性によるアテローム性動脈硬化の進行における重要な段階である。LDL粒子の変性は、マクロファージ細胞での泡沫細胞の形成を生じ、そして次いで血管の内皮上の負荷および斑の形成を生じる。従って、LDLの減少は、心血管疾患の予防における重要な段階と考えられている。遷移金属イオンを透析により除去し、そしてLDL酸化を37℃である時間、Cu2+イオンと一緒に放置することにより開始した。LDL酸化を、アガロースゲル電気泳動、共役ジエンおよびチオバルビツール酸反応性基質の形成を包含する異なる手法で観察した。図8での結果は、本発明のアントシアニン組成物の添加が電気泳動移動距離を減じ、酸化により変性したLDLの負電荷の増大が抑制されたことを示した。
れたことを示唆した。加えて、HDL酸化を評価した。ペルオキシラジカル誘発性HDL変性は、アガロースゲル電気泳動により測定したとき、アントシアニン組成物の添加により防止された。
ペルオキシラジカルおよびヒドロキシラジカルのような酸化ラジカル(部位特異的および非部位特異的)により誘発されるDNA酸化を防止することにおけるアントシアニン組成物の効果を調査した。図10は、ペルオキシラジカルがスーパーコイルDNA鎖の消失を導くこと、並びにアントシアニン組成物または標準の酸化防止剤であるトロックスの何れかの添加がそのような損傷の部分的な回復を生じることを示す。同様の効果は、様々な比率で組み合わせたシアニジン−3−グルコシドおよびペオニジン−3−グルコシドの添加によっても見られる(図11)。
この試験の目的は、本発明の抽出物が遊離ラジカル誘発性細胞毒性に対する保護を細胞培養において与えるか否かを決定することであった。THP−1、白血病ヒト細胞系(ATCC)では、第1鉄イオンの添加(酸化刺激剤として)は、フェントン反応機構に起因する酸化ストレスを介して細胞死を生じた(図14)。本発明の黒米抽出物の添加は、濃度依存様式で細胞死を回復した。
肝臓リパーゼ活性は、本発明の抽出物により抑制された(図15の第1層参照)。肝臓リパーゼはHDLリン脂質およびトリグリセリドを加水分解し、そしてポストテパリン血漿肝臓リパーゼ活性は血漿HDL−C濃度に逆の相関を示す。従って、この結果は、アントシアニンが高濃度である本発明の抽出物がインビボでHDLを増加させることを示す。
ペルオキシドラジカルおよびヒドロキシラジカルの双方をこの試験で適用して、0.5μg/mLのエチジウムブロミドを伴いTEA緩衝液(40mMのトリス−アセテート、2mMのEDTA、pH8.5)を使用する0.7%アガロースゲル電気泳動により、DNA切断を防止することにおける本発明の黒米抽出物の効果を評価した。DNAバンドは、紫外線ベンチトップ徹照器(UVP・インコーポレイテッド、アップランド、CA)により可視化し、そしてバンドの密度をラボワークソフトウェア(UVP・インコーポレイテッド、アップランド、CA)により分析した。DNA切断の阻害は、以下の等式のように計算した:
A)窒素酸化物の防止についての黒米抽出物の効果
B)iNOSについてのウェスタンブロッティング
マウスマクロファージ細胞RAW264.7(ATCC)を10%の子ウシ血清および抗生物質(100U/mLのペニシリンおよび100U/mLのストレプトマイシン)を補足したDMEM培地中、37℃、5%のCO2下で培養した。細胞を2×105細胞/ウェルの密度で96ウェルのプレートにプレート化した。一晩育成後、細胞がウェルの底部に付着したとき、様々な量のPBS中の黒米抽出物および1μg/mLのバクテリアリポ多糖(LPS、大腸菌、セロタイプ0111:B4)をさらに24時間添加した。培地を他の96−ウェルプレート中に分注し(100μL)、その後、100μLのグライス試薬(5%のリン酸中の1%のスルファニルアミドおよび水中の0.1%のナフチルエチレンジアミンジヒドロクロリド、1:1v/v)をその後添加した[18]。540nmでの吸光度をELISAプレートリーダーで決定した。ニトライトの濃度を同様の手順から入手した標準曲線に従って測定した。窒素酸化物の阻害を以下の等式に従って計算した:
細胞を収集して2×試料還元緩衝液とし、そして沸騰水で5分間放置した。20μLの試料を8%のSDS−PAGE上に注入し、次いでニトロセルロース膜(バイオ−ラッド・ラボラトリーズ社製)へ電気泳動した。膜を1時間、室温で、150mMのNaClおよび0.05%のトゥイーン−20を含有する50mMのトリス緩衝液(pH7.5)中の3%の脱脂粉乳でブロックした。膜をその後、4℃で、マウス抗−iNOS抗体(ファルミンゲン・トランスダクション・ラボラトリーズ社製)およびマウス抗−α−ツブリン抗体(シグマ社)と共に、150mLNaClを伴う50mMのトリス緩衝液(pH7.5)中で一晩放置した。膜をその後、ホースラディッシュペルオキシダーゼと共役したヤギ抗−マウスIgG(ファルミンゲン・トランスダクション・ラボラトリーズ社製)と共に、1時間、室温で培養した。4−クロロ−1−ナフトールおよび過酸化水素を、標的タンパク質の可視化のために使用した[19](ボラッグ等、1996)。
。
C57BL/6Jバックグラウンドにあるアポ−E欠損マウスを、ジャクソン・ラボラトリーズ社(バー・ハーバー、米国メイン州)より購入し、そして慣用の飼育条件下で繁殖および維持した。C57BL/6Jマウスは、サン−ヤト・セン・ユニバーシティ・オブ・メディカル・サイエンセズのアニマル・センターからのものであった。
陽群:AIN−93G精製食餌を与えたアポE欠損マウス
BRF群:5g/100gの黒米画分を伴うAIN−93G精製食餌を与えたアポE欠損マウス
WRF群:5g/100gの白米画分を伴うAIN−93G精製食餌を与えたアポE欠損マウス
血清全コレステロール(TC)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)をヒタチ・オートマチック・アナライザー(東京、日本国)を使用して測定した。血清TCをコレステロールエステラーゼおよびコレステロールオキシダーゼアッセイを使用して決定した。HDL−Cの血清濃度を同じ方法によりアッセイした。血清LDL濃度をフライドワルド式に従って計算した。
アテローム性動脈硬化脂肪ストリークの定量を、以前に記載したように、大動脈洞中の病変寸法を計算することにより行った(18)。簡単に述べると、心臓および大動脈の上側断片を動物から除去し、そして辺縁の脂肪を注意深く除いた。上部断片をO.C.T化合物中に埋め込み、そして−20℃で冷凍した。大動脈洞(400μm)を通した全ての他の断片(10μm厚)を分析のために採取した。大動脈洞の遠位部分を大動脈と心臓との接合部である3つの心臓弁膜尖により認識した。低温維持部分をオイルレッドOで染色し、そしてヘマトキシリンで対比染色した。心臓弁の各断片を、オリンパス・BX−50光学顕微鏡に取付けたRGBカメラから直接に画像を取り込み、そしてトリニトロン(登録商標)RGBモニターに表示することにより、オイルレッドO染色面積について評価した。画像分析は、オプティマス(登録商標)4.1ソフトウェア(イメージ・プロセッシング・ソリューション社製)を使用して決定した。結果を、オイルレッドOで染色された全横断面血管壁面積(正常+障害の面積/断面、ルーメンを除く)の割合として示した。
結果は平均値±SDとして示し、そして差異を、スチューデント−ニューマン−ケウルス(SNK)多重比較試験と組み合わせた一方向ANOVAにより決定した。P<0.05を持つ差異を有意であると見なした。
体重
各群の15匹のマウスを実験プロトコルについて開始した。実験のための初期マウス体重は、17±1g(平均値±SD)であった。最終平均値体重は25ないし27gであった。体重における顕著な差異は、実験期間の間に観察されなかった(表9)(図16)。
対照群中の血清TC、LDL−C、HDL−CおよびLDL/HDLは他の3群と相違した(P<0.05)。BRF群におけるTC、LDL−CおよびLDL/HDLの水準は陽群およびWRF群と比較して低く(P<0.05)、また陽群とWRF群との間に差異は無かった。BRF群およびWRF群の双方は陽群と比較して高水準のHDL−Cを有するけれども、BRF群は低いLDL/HDLを有していた(表10)。
調査16週後、AIN−93G食餌を与えた対象群の大動脈洞には目視できるアテローム性動脈硬化斑は無かった。しかし、様々な程度のアテローム性動脈硬化斑が、他の3群の大動脈洞に見られた。斑は陽群およびWRF群においてBRF群よりも非常により深刻であった(表11)(図17)。
マウスの斑面積における顕著な差異は無かった。
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Claims (25)
- 黒米(Oryza Sativa L)からアントシアニンを含む組成物を抽出する方法であって、
a)脱穀した黒米中のデンプン質内乳から外層を分離する工程と、
b)少なくとも1種の有機溶媒と酸との溶液を分離した外層に添加する工程と、
c)該溶媒および該酸を該分離した外層から濾過および除去して顔料画分を生成する工程と、
d)該顔料画分の成分を分離する工程と、
e)該成分からアントシアニン組成物を収集する工程
を含む方法。 - 工程a)で、前記外層を前記デンプン質内乳から物理的に分離する、請求項1記載の方法。
- 工程a)で、前記脱穀した黒米を精米することにより、前記外層を前記デンプン質内乳から物理的に分離する、請求項1記載の方法。
- 前記有機溶媒は、アルコール、ケトン、炭化水素および水からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
- 前記有機溶媒は、次ぎの構造:RCOR1[式中、RおよびR1は、炭素原子数1ないし6のアルキル基を表す。]を有するケトンである、請求項1記載の方法。
- 前記有機溶媒は、炭素原子数5ないし10の炭化水素である、請求項1記載の方法。
- 前記有機溶媒は、次ぎの一般構造:R−CHOHR、R−CH2OH、およびR3COH[式中、Rは、炭素原子数1ないし4のアルキル基を表す。]からなる群より選択されるアルコールである、請求項1記載の方法。
- 前記酸は、塩酸、酢酸、クエン酸、低濃度硫酸および酒石酸からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
- 1と4との間のpHを達成するために十分な酸を添加する、請求項1記載の方法。
- 前記分離した外層を1ないし10時間前記溶媒中に浸漬する、請求項1記載の方法。
- 工程c)で、蒸発により前記溶媒および酸を除去する、請求項1記載の方法。
- 工程d)で、分画により前記顔料画分の成分を分離する、請求項1記載の方法。
- 請求項1ないし9のうちの何れか1項に記載の方法に従って生成した組成物。
- シアニジン−3−O−グルコシドおよびペオニジン−3−O−グルコシドを含む組成物。
- シアニジン−3−O−グルコシドのペオニジン−3−O−グルコシドに対する比率は10ないし1である、請求項14記載の組成物。
- シアニジン−3−O−グルコシドのペオニジン−3−O−グルコシドに対する比率は6ないし1である、請求項14記載の組成物。
- シアニジン−3−O−グルコシドのペオニジン−3−O−グルコシドに対する比率は3.5:1ないし6.5:1である、請求項14記載の組成物。
- シアニジン−3−O−グルコシドのペオニジン−3−O−グルコシドに対する比率は4:1である、請求項14記載の組成物。
- 1種以上の酸化防止剤をさらに含む、請求項11記載の組成物。
- 1種以上のステロールをさらに含む、請求項11記載の組成物。
- 1種以上のスタノールをさらに含む、請求項11記載の組成物。
- ビタミンE、ベータ−カロチン、酵素性スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオンレダクターゼ、茶カテキン、キレート化剤、例えばクエン酸、EDTA、フェニルアラニン、リン酸、酒石酸およびトリプトファン;選択的に酸化される化合物、例えばアスコルビン酸、ナトリウムビスルフィットおよびナトリウムスルフィット;水溶性連鎖停止剤、例えばチオール並びに脂溶性連鎖停止剤、例えばアルキルガレート、アスコルビルパルミテート、t−ブチルヒドロキノン、ブチレート化ヒドロキシアニソール、ブチレート化ヒドロキシトルエン、ヒドロキノン、ノルジヒドログアイアレチン酸およびアルファ−トコフェロールからなる群より選択される1種以上の酸化防止剤をさらに含む、請求項11記載の組成物。
- 動物において、心血管疾患、並びにアテローム性動脈硬化、炎症、高脂質血症、低アルファリポタンパク質血症、高コレステロール血症を包含するその根底にある状態、および酸化ストレスを治療または予防する方法であって、該動物に請求項1記載の方法に従って生成した組成物を投与することを含む方法。
- 動物において、心血管疾患、並びにアテローム性動脈硬化、炎症、高脂質血症、低アルファリポタンパク質血症、高コレステロール血症を包含するその根底にある状態、および酸化ストレスを治療または予防する方法であって、該動物に請求項11記載の組成物を投与することを含む方法。
- 動物において、心血管疾患、並びにアテローム性動脈硬化、炎症、高脂質血症、低アルファリポタンパク質血症、高コレステロール血症を包含するその根底にある状態、および酸化ストレスを治療または予防する方法であって、該動物に請求項12記載の組成物を投与することを含む方法。
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