(発明の要旨)
上で概略を述べた目的に従い、本発明は、癌腫(特に乳癌)を調節する組成物のスクリーニングの方法を提供する。本明細書中で、細胞(好ましくは乳癌細胞)の増殖を阻害する方法もまた、提供される。癌腫を処置する方法(診断を含む)もまた、本明細書中で提供される。
一局面において、薬物候補をスクリーニングする方法は、PRLRのような癌腫関連遺伝子(CA遺伝子)またはそのフラグメントを発現する細胞を提供する工程を包含する。CA遺伝子の好ましい実施形態は、癌細胞(好ましくはリンパ細胞、乳房細胞、前立腺細胞または上皮細胞)において、他の細胞と比較して差次的に発現される遺伝子である。本明細書中の方法において使用されるCA遺伝子の好ましい実施形態としては、表1から選択される核酸が挙げられるが、これらに限定されない。この方法は、細胞へ薬物候補を添加する工程、およびCA遺伝子の発現に対する薬物候補の効果を決定する工程を、さらに包含する。
一実施形態において、薬物候補をスクリーニングする方法は、薬物候補の非存在下における発現のレベルを、薬物候補の存在における発現のレベルと比較する工程を包含する。
CAタンパク質(CAP)に結合し得る生物活性薬剤をスクリーニングする方法もまた、本明細書中で提供され、この方法は、CAPと候補生物活性薬剤とを合わせる工程、および候補薬剤のCAPへの結合を決定する工程を包含する。
CAPの活性を調節し得る生物活性薬剤をスクリーニングする方法が、本明細書中でさらに提供される。一実施形態において、この方法は、CAPと候補生物活性薬剤とを合わせる工程、およびCAPの生物活性に対する薬物候補の効果を決定する工程を、包含する。
患者に薬物を投与する工程、および患者から細胞サンプルを採取する工程を包含する、候補癌腫薬物の効果を評価する方法もまた、提供される。細胞の発現プロファイルが、次いで、決定される。この方法は、患者の発現プロファイルを、健常な個体の発現プロファイルと比較する工程を、さらに包含し得る。
さらなる局面において、CAタンパク質の活性を阻害する方法が、提供される。一実施形態において、この方法は、表1において概略を示される配列またはその相補体からなる群から好ましくは選択されるCAタンパク質の阻害剤を、患者に投与する工程を包含する。
CAタンパク質(好ましくは表1において概略を示される配列の群から選択される核酸にコードされるタンパク質)の効果を中和する方法もまた、提供される。好ましくは、この方法は、上述のタンパク質に特異的な薬剤を、中和をもたらすのに充分な量で、上述のタンパク質に接触させる工程を包含する。
その上、CAタンパク質をコードする核酸セグメント(好ましくは表1において概略を示される配列から選択される)を含むバイオチップが、本明細書中で提供される。
癌腫(特に乳癌)に対する素因(propensity)を、ある個体の少なくとも1つの癌腫または乳癌の遺伝子を配列決定することにより、診断または決定する方法もまた、本明細書中で提供される。本発明のさらに別の局面において、癌腫(個体における乳癌の遺伝子コピー数を含む)を決定する方法が、提供される。
新規配列もまた、本明細書中で提供される。本発明の他の局面は、本発明の以下の説明によって、当業者にとって明確である。
(発明の詳細な説明)
本発明は、癌腫(特にリンパ腫、乳癌または前立腺癌)に関連する多くの配列に関連する。クローン的に組み込まれたプロウイルス(clonally−integrated provirus)と癌原遺伝子との間の比較的緊密な連結は、「プロウイルスタギング(provirus tagging)」を形成し、ここで、挿入変異メカニズム(insertion mutation mechanism)により作用する遅性トランスフォーミングレトロウイルスが、癌原遺伝子を単離するために使用される。いくつかのモデルにおいて、非感染動物は、低い癌比率を有し、そして感染動物は、高い癌比率を有する。関係するレトロウイルスの多くは、形質導入された宿主癌原遺伝子も病原性トランス作用性(trans−acting)ウイルス遺伝子も持たないため、癌発生率は、宿主癌原遺伝子に影響を及ぼすプロウイルスの組み込みの直接的な結果であるに違いないことは、公知である。プロウイルスの組み込みはランダムであるため、極少数の組み込み体(integrant)しか、選択的増殖有利性を提供する宿主癌原細胞を「活性化」しない。この稀な出来事は、腫瘍においてクローン化学量論で新しいプロウイルスを生じる。
腫瘍形成レトロウイルス(宿主生物のゲノムにその配列が挿入されて癌腫を生じる)の使用によって、癌腫に関係する宿主配列が、同定される。これらの配列は、次いで、多くの異なった方法(診断、予後、調節因子(アゴニストおよびアンタゴニストの両方を含む)のスクリーニング、抗体産生(免疫療法および画像化のため)、などが挙げられる)において、使用され得る。しかし、当業者に理解されるように、1種類の癌(乳癌など)において同定される癌遺伝子は、同様に、他の種類の癌に関わる可能性が強い。従って、本明細書中で概略が示される配列は、最初に、乳癌と相関すると同定されるが、以下で概略を示されるように、他の種類の癌においてもまた、見出され得る。
従って、本発明は、癌腫に関連する核酸およびタンパク質の配列(本明細書中で「癌腫関連」配列または「CA」配列と名付ける)を、提供する。好ましい実施形態において、本発明は、乳癌組織を起源とする癌腫に関連する核酸およびタンパク質の配列(「乳癌関連」配列または「BA」配列として公知である)を、提供する。
本発明の方法を使用して診断され得るか、またはスクリーニングされ得る適切な癌としては、部位によってかまたは組織学的型によって分類される、癌が挙げられる。部位によって分類される癌としては、以下が挙げられる:口腔および咽頭(唇、舌、唾液腺、口の床、歯肉および他の口腔、鼻咽頭、扁桃、口腔咽頭部、下咽頭、他の口/他の咽頭)の癌;消化系(食道;胃;小腸;結腸および直腸;肛門、肛門管、および肛門直腸;肝臓;肝臓内胆汁管;胆嚢;他の胆管;膵臓;腹膜後腔;腹膜、網、および腸間膜、他の消化系)の癌;呼吸系(鼻腔、中耳、および洞;喉頭;肺および気管支;胸膜;気管;縦隔;ならびに他の呼吸系)の癌;中皮腫;骨および関節の癌;および軟組織(心臓を含む)の癌;皮膚癌(黒色腫および他の非上皮性皮膚癌を含む);カポージ肉腫および乳癌;女性生殖系(子宮頸;子宮体;子宮(nos);卵巣;膣;外陰;および他の女性生殖器)の癌;男性生殖系(前立腺;精巣;陰茎;および他の男性生殖器)の癌;泌尿系(膀胱;腎臓および腎盤;尿管;および他の泌尿器)の癌;眼および眼窩の癌;脳および神経系(脳;および他の神経系)の癌;内分泌系(甲状腺、および胸腺を含む他の内分泌腺)の癌;リンパ腫の癌(ホジキン病リンパ腫および非ホジキン性リンパ腫)、多発性骨髄腫、ならびに白血病(リンパ性白血病;骨髄性白血病;単球性白血病;および他の白血病)。
本発明の配列に関連し得る他の癌(組織学的型によって分類される)としては、以下が挙げられるが、これらに限定はされない:新生物(悪性);癌腫(NOS);癌腫(未分化、NOS);巨細胞癌腫および紡錘体細胞癌;小細胞癌(NOS);乳頭状癌(NOS);扁平上皮癌(NOS);リンパ上皮癌腫;基底細胞癌(NOS);毛質癌腫;移行上皮癌(NOS);乳頭状移行上皮癌;腺癌(NOS);ガストリノーマ(悪性);胆管癌;肝細胞癌(NOS);肝細胞癌および胆管癌の複合;メルケル細胞腺腫;腺様嚢胞癌;腺腫様ポリープにおける腺癌;腺癌(大腸家族性ポリポシス);固形癌腫(NOS);カルチノイド腫瘍(悪性);気管支槽腺癌;乳頭状腺癌(NOS);色素嫌性癌腫;好酸性(acidophili)癌腫;好酸性(oxyphilc)腺癌;好塩基性癌腫;明細胞腺癌(NOS);顆粒細胞癌腫;濾胞状腺癌(NOS);乳頭状かつ濾胞状の腺癌;非被包硬化癌腫;副腎皮質癌腫;類内膜癌;皮膚付属器癌腫;アポクリン腺癌;脂腺腺癌;耳垢腺癌;粘膜表皮癌腫;嚢胞腺癌(NOS);乳頭状嚢胞腺癌(NOS);乳頭状漿液嚢胞腺癌;粘液性嚢胞腺癌(NOS);粘液性腺癌;印環細胞癌;浸潤腺管癌;髄様癌(NOS);小葉癌;炎症性乳癌;パジェット疾患(乳房);腺房細胞癌腫;腺扁平上皮癌;扁平化生を伴う腺癌;胸腺腫(悪性);卵巣間質腫瘍(悪性);莢膜腫(悪性);顆粒膜細胞腫(悪性);男性ホルモン産生細胞腫(悪性);セルトーリ細胞癌腫;ライディッヒ細胞腫(悪性);脂質細胞腫瘍(悪性);パラガングリオーマ(悪性);乳房外パラガングリオーマ(悪性);褐色細胞腫;グロムス血管肉腫;悪性黒色腫(NOS);メラニン欠乏症黒色腫;表在拡大型黒色腫;巨大色素性母斑における悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;青色母斑(悪性);肉腫(NOS);線維肉腫(NOS);線維性組織球腫(悪性);粘液肉腫;脂肪肉腫(NOS);平滑筋肉腫(NOS);横紋筋肉腫(NOS);胎児性横紋筋肉腫;槽横紋筋肉腫;間質肉腫(NOS);複合腫瘍(悪性、NOS);ミュラー複合腫瘍;腎臓芽細胞腫;肝臓芽細胞腫;癌肉腫(NOS);間葉腫(悪性);ブレンナー腫(悪性);葉状腫瘍(悪性);滑膜肉腫(NOS);中皮腫(悪性);未分化胚細胞腫;胎生期癌(NOS);奇形腫(悪性、NOS);卵巣甲状腺腫(悪性);絨毛癌;中腎腫(悪性);血管肉腫;血管内皮腫(悪性);カポージ肉腫;血管周囲細胞腫(悪性);リンパ管肉腫;骨肉腫(NOS);皮質近接部骨肉腫;軟骨肉腫(NOS);軟骨芽細胞腫(悪性);間葉軟骨肉腫;骨巨細胞腫;ユーイング肉腫;歯原性腫瘍(悪性);エナメル上皮歯原性肉腫;エナメル上皮腫(悪性);エナメル上皮線維肉腫;松果体腫(悪性);脊索腫;神経膠腫(悪性);上衣腫(NOS);星状細胞腫(NOS);原型質性星状細胞腫;線維性星状細胞腫;星状芽細胞腫;膠芽細胞腫(NOS);希突起膠腫(NOS);希突起膠細胞腫;未分化神経外胚葉性腫瘍;小脳肉腫(NOS);神経節芽細胞腫;神経芽細胞腫(NOS);網膜芽腫(NOS);嗅神経神経原性腫瘍;髄膜腫(悪性);神経線維肉腫;神経鞘腫(悪性);顆粒細胞腫瘍(悪性);悪性リンパ腫(NOS);ホジキン病(NOS);ホジキン性病側肉芽種(NOS);悪性リンパ腫(小リンパ球性);悪性リンパ腫(大細胞、散在性);悪性リンパ腫(濾胞状、NOS);菌状息肉腫;他の特定の非ホジキン性リンパ腫;悪性組織球増殖;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病(NOS);リンパ性白血病(NOS);形質細胞性白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞白血病;骨髄性白血病(NOS);好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病(NOS);肥満細胞性白血病;巨核芽球性白血病;骨髄性肉腫;およびヘアリーセル白血病。
さらに、このCA遺伝子は、加齢に関連する疾患または神経変性疾患などの他の疾患(しかしこれらに限定はされない)に関与し得る。
この文脈において、「関連」とは、ヌクレオチド配列またはタンパク質配列が、癌腫において、正常な細胞と比較して差次的に発現されるか、活性化されるか、不活化されるかまたは改変されるかのいずれかであることを意味する。以下で概略を示すように、CA配列としては、癌腫において、アップレギュレーションされる(すなわち、より高レベルで発現する)配列、ならびにダウンレギュレーションされる(すなわち、より低レベルで発現する)配列が、挙げられる。CA配列としてはまた、改変された配列(すなわち、切断された配列、または置換、欠失、もしくは挿入(点変異を含む)を有する配列)もまた挙げられ、同じ発現プロファイルまたは改変されたプロファイルのどちらかを示す。好ましい実施形態において、CA配列は、ヒト由来である;しかし、当業者によって理解されるように、他の生物由来のCA配列は、疾患の動物モデルおよび薬物評価の動物モデルにおいて、有用であり得る。従って、他のCA配列は、哺乳類(げっ歯類(ラット、マウス、ハムスター、モルモット、など)、霊長類、家畜(ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、などが挙げられる)を含む)を含む、脊椎動物から、提供される。いくつかの場合において、原核生物のCA配列は、有用であり得る。他の生物由来のCA配列は、以下で概要を示す技術を使用して、得られ得る。
CA配列は、核酸配列とアミノ酸配列との両方を含み得る。好ましい実施形態において、CA配列は、組換え核酸である。本明細書中の用語「組換え核酸」によって、一般的にポリメラーゼおよびエンドヌクレアーゼによる核酸の操作により、本来はインビトロで、自然界で普通には見出されない形態に形成される核酸が、意味される。従って、直鎖形態で単離された核酸、または普通は結合していないDNA分子の連結によってインビトロで形成された発現ベクターは、両方とも、本発明の目的のための組換え体と考えられる。一旦、組換え核酸が作られ、そして宿主細胞または宿主生物に再導入されれば、組換え核酸は、非組換え的に(すなわち、インビトロ操作よりむしろ宿主細胞のインビボ細胞機構を使用して)複製することが、理解される;しかし、このような核酸は、一旦組換え的に生産されれば、その後、実質的に非組換え的に複製されても、やはり、本発明の目的のためには組換え体と考えられる。
同様に、「組換えタンパク質」は、組換え技術を使用して(すなわち、上で示されるような組換え核酸の発現を通して)作られる、タンパク質である。組換えタンパク質は、少なくとも1つ以上の特徴により、天然に存在するタンパク質から区別される。例えば、タンパク質は、通常は野生型の宿主において会合しているタンパク質および化合物のいくらかのまたは全てから、単離され得るか、または精製され得、従って、実質的に純粋であり得る。例えば、単離されたタンパク質は、通常は天然の状態において会合している物質の少なくともいくつかを付随しない(与えられたサンプルの総タンパク質重量に対し、好ましくは少なくとも約0.5重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%を構成する)。実質的に純粋なタンパク質は、総タンパク質重量に対し少なくとも約75重量%(好ましくは少なくとも約80重量%、そして特に好ましくは少なくとも約90重量%)を構成する。この定義は、異なった生物または宿主細胞における、ある生物由来のCAタンパク質の産生を含む。あるいは、このタンパク質は、タンパク質が増加した濃度レベルで生成されるような、誘導プロモーターまたは高発現プロモーターの使用を通して、通常に見られるより有意により高い濃度において、生成され得る。あるいは、このタンパク質は、自然界で通常に見出されない形態(以下に考察されるような、エピトープタグの付加またはアミノ酸の置換、挿入および欠失のような)であり得る。
好ましい実施形態において、CA配列は、核酸である。当業者に理解されるように、そして以下により完全に概略が示されるように、CA配列は、種々の適用において有用である。ここで適用としては、診断の適用(天然に存在する核酸を検出する)ならびにスクリーニングの適用が挙げられる;例えば、CA配列に対する核酸プローブを含むバイオチップが、生産され得る。最も広い意味においては、本明細書中の「核酸」もしくは「オリゴヌクレオチド」または文法的同義語は、互いに共有結合する少なくとも2つのヌクレオチドを、意味する。本発明の核酸は、一般にはリン酸ジエステル結合を含むが、以下で概略を示されるようないくつかの場合(例えば、アンチセンス適用または候補薬剤が核酸である場合)において、代替の骨格(例えば、以下が挙げられる:ホスホロアミデート(phosphoramidate)(Beaucageら,Tetrahedron 49(10):1925(1993)およびこの中の参考文献;Letsingerら,J.Org.Chem.35:3800(1970);Sprinzlら,Eur.J.Biochem.81:579(1977);Letsingerら,Nucl.Acids Res.14:3487(1986);Sawaiら,Chem.Lett.805(1984),Letsingerら,J.Am.Chem.Soc.110:4470(1988);およびPauwelsら,Chemica Scripta 26:141 91986))、ホスホロチオエート(Magら、Nucleic Acids Res.19:1437(1991);および米国特許第5,644,048号)、ホスホロジチオエート(Briuら,J.Am.Chem.Soc.111:2321(1989)、O−メチルホスホロアミダイト結合(Eckstein,Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,Oxford University Press参照)、ならびにペプチド核酸の骨格および結合(Egholm,J.Am.Chem.Soc.114:1895(1992);Meierら,Chem.Int.Ed.Engl.31:1008(1992);Nielsen,Nature,365:566(1993);Carlssonら,Nature 380:207(1996)(全ては参考として援用される)を含む)を有する核酸アナログが、使用され得る。他のアナログ核酸としては、陽性の骨格(Denpcyら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6097(1995));非イオン化骨格(米国特許第5,386,023号、同第5,637,684号、同第5,602,240号、同第5,216,141号および同第4,469,863号;Kiedrowshiら,Angew.Chem.Intl.Ed.English 30:423(1991);Letsingerら,J.Am.Chem.Soc.110:4470(1988);Letsingerら,Nucleoside & Nucleotide 13:1597(1994);第2章および第3章,ASC Symposium Series 580,“Carbohydrate Modifications in Antisense Research”,Ed.Y.S.SanghuiおよびP.Dan Cook;Mesmaekerら,Bioorganic & Medicinal Chem.Lett.4:395(1994);Jeffsら,J.Biomolecular NMR34:17(1994);Tetrahedron Lett.37:743(1996))および非リボース骨格(米国特許第5,235,033号および第5,034,506号、ならびに第6章および第7章,ASC Symposium Series 580,“Carbohydrate Modifications in Antisense Research”,Y.S.SanghuiおよびP.Dan Cook編)に記載されるものを含む)を有する、アナログ核酸が挙げられる。1つ以上の炭素環状糖を含む核酸もまた、1つの核酸の定義(Jenkinsら,Chem.Soc.Rev.(1995)pp169−176)の範囲内に、含まれる。いくつかの核酸アナログは、Rawls,C & E News 6月2日(1997)35頁において、記載される。これらの参考文献の全ては、ここで、明示的に参考として援用される。リボース−リン酸骨格のこれらの改変は、種々の理由のため(例えば、アンチセンス適用における使用またはバイオチップ上のプローブとしての使用についての生理学的環境における、このような分子の安定性および半減期を増加させるため)に、なされ得る。
当業者に理解されるように、これらの核酸アナログの全ては、本発明における用途を見出し得る。さらに、天然に存在する核酸とアナログとの混合物も、生成され得る;あるいは、異なった核酸アナログの混合物、および天然に存在する核酸とアナログとの混合物が、生成され得る。
核酸は、特定されるように、一本鎖または二本鎖であり得るか、または二本鎖配列もしくは一本鎖配列の両方の部分を含み得る。当業者に理解されるように、一本鎖「ワトソン」の描写はまた、もう一方の鎖「クリック」の配列を定義する;従って、本明細書中で記載される配列はまた、この配列の相補鎖を含む。核酸はDNA(ゲノムDNAおよびcDNAの両方)、RNAまたはハイブリッド(核酸がデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの任意の組合せ、ならびにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、イソグアニンなどが挙げられる塩基の任意の組合せを含む)であり得る。本明細書で使用される場合、用語「ヌクレオシド」は、ヌクレオチドおよびヌクレオシドならびにヌクレオチドアナログ、ならびに改変されたヌクレオシド(アミノ改変されたヌクレオシドなど)を含む。さらに、「ヌクレオシド」は、天然に存在しないアナログ構造を含む。従って、例えば、ペプチド核酸の個々のユニット(それぞれ塩基を含む)は、本明細書中でヌクレオシドと呼ばれる。
CA配列は、本明細書中で概略を示されるCA配列に対する実質的な核酸および/またはアミノ酸の配列相同性により、最初に同定され得る。このような相同性は、核酸またはアミノ酸の配列全体に基づき得、一般に、相同性プログラムまたはハイブリダイゼーション条件のどちらかを使用して、以下で概略を示したように、決定される。
本発明のCA配列は、本明細書中で記載されるように、最初に同定され得る;本来、マウス白血病ウイルス(MLV)によるマウスの感染は、リンパ腫を生じさせる。配列を乳癌細胞サンプルにおける遺伝子産物(すなわち、mRNA)の発現レベルを決定することによって引き続き検証した。
本明細書中で概略を示されるCA配列は、ウイルスの挿入部位を含む。一般に、レトロウイルスは、3つの基本的な方法で、癌腫を引き起こし得る:まず、通常はサイレントな宿主遺伝子の上流への挿入およびその活性化(例えば、プロモーター挿入)による方法;第二に、腫瘍形成を導く宿主遺伝子の切断による方法;または隣接遺伝子の転写の増大による方法。例えば、レトロウイルスエンハンサー(SL3−3を含む)は、挿入部位のおよそ200キロベースまで、遺伝子に対して作用することが、公知である。
好ましい実施形態において、CA配列は、癌腫においてアップレギュレーションされるCA配列である;つまり、癌腫組織において(同じ分化段階の正常組織と比較して)、これらの遺伝子の発現は、より強い。「アップレギュレーション」は、本明細書中で使用される場合、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約100%、より好ましくは少なくとも約150%、より好ましくは少なくとも約200%を意味し、300%から少なくとも1000%が特に好ましい。
好ましい実施形態において、CA配列は、癌腫においてダウンレギュレーションされるCA配列である;つまり、癌腫組織において(同じ分化段階の正常組織と比較して)、これらの遺伝子の発現は、より弱い。「ダウンレギュレーション」は、本明細書中で使用される場合、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約100%、より好ましくは少なくとも約150%、より好ましくは少なくとも約200%を意味し、300%から少なくとも1000%が特に好ましい。
好ましい実施形態において、CA配列は、改変されたCA配列であるが、この改変CA配列は、同じ分化段階の正常リンパ組織と比較して、同じ発現プロファイルを示すか、または改変されたプロファイルを示す。「改変CA配列」は、本明細書中で使用される場合、短縮された配列、挿入を含む配列、または点変異を含む配列をいう。
本発明のCAタンパク質は、分泌タンパク質、膜貫通タンパク質、または細胞内タンパク質として分類され得る。
好ましい実施形態において、CAタンパク質は、細胞内タンパク質である。細胞内タンパク質は、細胞質および/または核において見出され得る。細胞内タンパク質は、細胞機能および複製(例えば、シグナル伝達経路が挙げられる)の全ての局面に関与する;このようなタンパク質の異常な発現は、無制御または非制御の細胞プロセスを生じさせる。例えば、多くの細胞内タンパク質は、酵素的活性(例えば、プロテインキナーゼ活性、タンパク質ホスファターゼ活性、プロテアーゼ活性、ヌクレオチドシクラーゼ活性、ポリメラーゼ活性など)を有する。細胞内タンパク質はまた、ドッキングタンパク質(タンパク質の複合体を組織することまたは種々の亜細胞位置へとタンパク質を標的化することに関与する)として働き、そしてオルガネラの構造的完全性を維持することに関与する。
細胞内タンパク質の特徴付けにおいてますます理解される概念は、規定された機能の原因とされている、1つ以上のモチーフがそのタンパク質において存在することである。タンパク質の酵素的ドメインにおいて見出される高度に保存された配列に加えて、タンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質において、高度に保存された配列が、同定されている。例えば、Src−homology−2(SH2)ドメインは、チロシンリン酸化標的を、配列依存的様式において結合する。SH2ドメインとは異なったPTBドメインもまた、チロシンリン酸化標的を結合する。SH3ドメインは、高プロリン標的に結合する。さらに、ごくわずかに挙げると、PHドメイン、テトラトリコペプチド反復およびWDドメインは、タンパク質−タンパク質相互作用を媒介することが示されている。これらのいくつかはまた、リン脂質または他のセカンドメッセンジャーとの結合に、関与し得る。当業者に理解されるように、これらのモチーフは、一次配列に基づいて、同定され得る;従って、タンパク質の配列の分析は、分子の酵素的可能性および/またはそのタンパク質が結合し得る分子の両方への洞察を、提供し得る。
好ましい実施形態において、CA配列は、膜貫通タンパク質である。膜貫通タンパク質は、細胞のリン脂質二重層にまたがる分子である。これらは細胞内ドメイン、細胞外ドメイン、または両方を有し得る。このようなタンパク質の細胞内ドメインは、細胞内タンパク質について既に記載された機能を含む多くの機能を、有し得る。例えば、細胞内ドメインは、酵素的活性を有し得、かつ/またはさらなるタンパク質の結合部位として働き得る。膜貫通タンパク質の細胞内ドメインは、両役割を果たすことが多い。例えば、特定のレセプターチロシンキナーゼは、プロテインキナーゼ活性およびSH2ドメインの両方を有する。その上、レセプター分子自体におけるチロシンの自己リン酸化は、さらなるSH2ドメイン含有タンパク質に対する結合部位を作り出す。
膜貫通タンパク質は、1個〜多数の膜貫通ドメインを含み得る。例えば、レセプターチロシンキナーゼ、特定のサイトカインレセプター、レセプターグアニリルシクラーゼおよびレセプターセリン/トレオニンプロテインキナーゼは、1つの膜貫通ドメインを含む。しかし、チャネルおよびアデニリルシクラーゼを含む種々の他のタンパク質は、多くの膜貫通ドメインを含む。多くの重要な細胞表面レセプターは、7つの膜にまたがる領域を含むため、「7回膜貫通ドメイン」タンパク質として分類される。重要な膜貫通タンパク質レセプターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定はされない:インスリンレセプター、インスリン様成長因子レセプター、ヒト成長ホルモンレセプター、グルコーストランスポーター、トランスフェリンレセプター、上皮成長因子レセプター、低密度リポタンパク質レセプター、上皮成長因子レセプター、レプチンレセプター、インターロイキンレセプター(例えば、IL−1レセプター、IL−2レセプターなど)。
膜貫通ドメインの特徴としては、その後に荷電アミノ酸が続き得るおよそ20個連続する疎水アミノ酸を含む。従って、特定のタンパク質のアミノ酸配列の分析において、タンパク質内における膜貫通ドメインの位置決定および数は、予測され得る。
膜貫通タンパク質の細胞外ドメインは、様々である;しかし、保存されたモチーフは、種々の細胞外ドメインの間で、くり返し見出される。保存的な構造および/または機能は、異なった細胞外モチーフに帰せられている。例えば、サイトカインレセプターは、システインクラスターおよびWSXWS(W=トリプトファン、S=セリン、X=任意のアミノ酸)(配列番号7)モチーフによって特徴付けられる。免疫グロブリン様ドメインは、高度に保存的である。ムチン様ドメインは、細胞接着に関与し得、そして高ロイシン反復は、タンパク質−タンパク質相互作用に関連し得る。
多くの細胞外ドメインは、他の分子への結合に関与する。一局面において、細胞外ドメインは、レセプターである。レセプタードメインを結合する因子は、循環型リガンド(ペプチド、タンパク質、またはアデノシンのような低分子などであり得る)を含む。例えば、成長因子(EGF、FGFおよびPDGFなど)は、同族のレセプターに結合して種々の細胞応答を開始する、循環型成長因子である。他の因子としては、サイトカイン、マイトジェン因子、神経栄養因子などが挙げられる。細胞外ドメインは、細胞結合分子にもまた、結合する。この点において、細胞外ドメインは、細胞間相互作用を媒介する。細胞結合リガンドは、例えば、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーにより細胞に係留され得るか、または、それ自体が膜貫通タンパク質であり得る。細胞外ドメインは、細胞外マトリックスにもまた結合し、細胞構造の保持に貢献する。
本発明において、膜貫通のCAタンパク質が、特に好ましい。なぜなら、膜貫通CAタンパク質は、本明細書中で記載されるように、免疫療法の良い標的であるからである。さらに、以下で概略を示されるように、膜貫通タンパク質はまたは、画像化様式において、有用であり得る。
膜貫通タンパク質は、(例えば、組換え方法を介する)膜貫通配列の除去により、可溶性にされ得ることもまた、当業者に理解される。さらに、可溶性にされている膜貫通タンパク質は、適切なシグナル配列の付加により、組換え手法を通して生成され得る。
好ましい実施形態において、CAタンパク質は、分泌タンパク質である;その分泌は、構成的分泌または制御される分泌の、どちらかであり得る。これらのタンパク質は、分泌経路へその分子を標的化する、シグナルペプチドまたはシグナル配列を有する。分泌タンパク質は、多くの生理学的事象に関する;その循環する性質のために、分泌タンパク質は、種々の他の細胞型に、シグナルを伝達するために働く。分泌タンパク質は、オートクライン様式(因子を分泌した細胞に対して作用する)、パラクライン様式(因子を分泌した細胞に近い細胞に対して作用する)またはエンドクライン様式(遠くの細胞で作用する)で、機能し得る。従って分泌分子は、多くの生理学の局面の調節または改変において、用途を見出す。分泌タンパク質であるCAタンパク質が、診断マーカーに対する良い標的として働く(例えば、血液検査のため)ので、本発明において特に好ましい
CA配列は、本明細書中で概略を示されるCA配列に対する実質的な核酸および/またはアミノ酸の配列相同性により、最初に同定される。このような相同性は、核酸またはアミノ酸の配列全体に基づき得、一般に、相同性プログラムまたはハイブリダイゼーション条件のどちらかを使用して、以下で概略を示したように、決定される。
本明細書中で使用される場合、この核酸配列と表1の核酸の1つとの全体的相同性が、好ましくは約75%より高く、より好ましくは約80%より高く、さらにより好ましくは約85%より高く、そして最も好ましくは約90%より高い場合、核酸は「CA核酸」である。いくつかの実施形態において、相同性は、約93%から95%または98%までと同じくらいの高さである。好ましい実施形態において、配列の同一性または類似性を決定するために使用される配列は、表1の核酸配列から選択される。別の実施形態において、この配列は、表1の核酸配列の天然に存在する対立遺伝子改変体である。別の実施形態において、この配列は、本明細書中でさらに記載される配列改変体である。
この文脈における相同性は、配列類似性または配列同一性を意味する(同一性が好ましい)。相同性の目的のために好ましい比較は、配列決定エラーを含む配列を正しい配列に対して比較することである。この相同性は、当該分野に公知である標準的技術を使用して決定される。この標準的技術としては以下が挙げられるが、これらに限定はされない:局所相同性アルゴリズム(Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981))、相同性アラインメントアルゴリズム(Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970))、類似性探索法(Pearson & Lipman,PNAS USA 85:2444(1988))、これらのアルゴリズムの電算化実行(Wisconsin Genetics Software PackageにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA,Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,WI)、Best Fit配列プログラム(Devereuxら,Nucl.Acid Res.12:387−395(1984)に記載)(好ましくはデフォルト設定を使用する)、または検査。
有用なアルゴリズムの一例は、PILEUPである。PILEUPは、関連配列の群から、進行的対合(pairwise)アラインメントを使用して、多重配列アラインメントを生成する。PILEUPは、アラインメントの生成に使用されるクラスター関係(clustering relationship)を示すツリー(tree)もまた、プロットし得る。PILEUPは、進行的アラインメント法(Feng & Doolittle,J.Mol.Evol.35:351−360(1987))の単純化を使用した。この方法は、Higgins & Sharp CABIOS 5:151−153(1989)に記載される方法と類似である。有用なPILEUPパラメータとしては、デフォルトギャップ重量(default gap weight)3.00、デフォルトギャップ長重量(default gap length weight)0.10、および重み付けエンドギャップ(weighted end gap)が挙げられる。
有用なアルゴリズムの別の例は、BLASTアルゴリズムである(Altschulら,J.Mol.Biol.215,403−410(1990)およびKarlinら,PNAS USA 90:5873−5787(1993)において記載)。特に有用なBLASTプログラムは、WU−BLAST−2プログラムである(Altschulら,Methods in Enzymology,266:460−480(1996);http://blast.wustlから得られた)。WU−BLAST−2は、いくつかの探索パラメータを使用する。パラメータの殆どは、デフォルト値に設定される。調節性パラメータは、以下の値と共に設定される:重複範囲(overlap span)=1、重複画分(overlap fraction)=0.125、ワード閾値(word threshold)(T)=11。HSP SパラメータおよびHSP S2パラメータは、動値(dynamic value)であり、そして特定の配列の組成、および目的の配列が検索される特定のデータベースの組成に依存して、プログラム自体によって確立される;しかし、この値は、感度を上げるために調節され得る。アミノ酸配列同一性%値は、整列された領域の「長い方の」配列の残基の総数によって除算された一致する同一残基の数によって決定される。「長い方の」配列は、整列された領域において最も多くの実際の残基を有する配列である(WU−Blast−2により、アラインメントスコアを最大にするために導入されるギャップは無視される)。
従って、「核酸配列同一性百分率(%)」は、表1の核酸のヌクレオチド残基と同一である候補配列におけるヌクレオチド残基の百分率として、定義される。好ましい方法は、デフォルトパラメータに設定されたWU−BLAST−2のBLASTNモジュールを、重複範囲および重複画分(それぞれ1および0.125に設定される)と共に利用する。
アラインメントは、整列される配列におけるギャップの導入を含み得る。さらに、表1の核酸のヌクレオチドより多いかより少ないかどちらかのヌクレオチドを含む配列について、相同性の百分率は、相同なヌクレオチドの数に基づいて(ヌクレオチドの総数と関係して)決定されることが理解される。従って、例えば、本明細書中で同定され以下で議論される配列より短い配列の相同性は、短い方の配列におけるヌクレオシドの数を使用して、決定される。
一実施形態において、核酸の相同性は、ハイブリダイゼーション研究を通して決定される。従って、例えば、図面において同定される核酸またはその相補鎖に、高ストリンジェンシー下でハイブリダイズする核酸は、CA配列と考えられる。高ストリンジェンシー条件は、当該分野に公知である;例えば、Maniatisら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,1989およびShort Protocols in Molecular Biology,Ausubelら編を参照のこと。これらは両方、本明細書において参考として援用される。ストリンジェント条件は、配列依存的であり、異なった環境において異なる。より長い配列は、より高い温度において特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの広範なガイドは、Tijssen,Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes,“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays”(1993)において見出される。一般に、ストリンジェント条件は、規定されるイオン化強度pHにおいて、特定の配列の熱融解点(Tm)より約5〜10℃低くなるように、選択される。Tmは、(規定されるイオン化強度、pHおよび核酸濃度下で)標的に相補的なプローブの50%が、標的配列とハイブリダイズし、平衡になる温度である(標的配列が過剰に存在する場合、Tmでプローブのうちの50%が平衡状態で占められる)。ストリンジェント条件は、塩濃度が約1.0Mナトリウムイオン未満(代表的には、約0.01Mから1.0Mナトリウムイオン濃度(または他の塩))、pH7.0からpH8.3、ならびに温度が、短いプローブ(例えば、10から50ヌクレオチド)について少なくとも約30℃、および長いプローブ(例えば、50ヌクレオチド以上)について少なくとも約60℃の条件である。ストリンジェント条件は、不安定化剤(ホルムアミドなど)の添加によってもまた、達成され得る。
別の実施形態において、より低いストリンジェントハイブリダイゼーション条件が、使用される;当該分野で公知であるように、例えば、中程度ストリンジェンシー条件または低いストリンジェンシー条件が、使用され得る;ManiatisおよびAusubel(既出)およびTijssen(既出)を参照のこと。
さらに、本発明のCA核酸配列は、より大きい遺伝子の断片である(すなわち、本発明のCA配列ば、核酸セグメントである)。あるいは、CA核酸配列は、癌遺伝子位置のインジケーターとして働き得る。例えば、CA配列は、癌原遺伝子を活性化させるエンハンサーであり得る。この文脈における「遺伝子」は、コード領域、非コード領域、およびコード領域と非コード領域の混合を含む。従って、当業者に理解されるように、本明細書中で提供される配列を使用し、より長い配列または全長配列のどちらかのクローニングのための当該分野で周知である技術(ManiatisらおよびAusubelら(既出)(本明細書で参考として明示的に援用される)を参照)を使用して、CA遺伝子のさらなる配列が、得られ得る。一般に、これは、PCR(例えば、キネティック(kinetic)PCR)を使用して行われる。
一旦CA核酸が同定されれば、これは、クローン化され得、必要な場合、その構成部分は、CA核酸全体を形成するように組換えられる。一旦天然の供給源から単離される(例えば、プラスミドもしくは他のベクターの中に含まれるか、またはこれらから直鎖状核酸セグメントとして切り出される)場合、組換えCA核酸は、他のCA核酸(例えば、さらなるコード領域)を同定および単離するためのプローブとして、さらに使用され得る。これは、修飾CA核酸または改変体CA核酸および修飾CAタンパク質および改変体CAタンパク質を生成するための「前駆体」核酸としてもまた、使用され得る。
本発明のCA核酸は、いくつかの方法で使用される。最初の実施形態において、CA核酸に対する核酸プローブが、生成され、そして、バイオチップに結合される。このバイオチップは、スクリーニングおよび診断方法において(以下で概略が示されるように)使用されるか、または投与のため(例えば、遺伝子療法および/またはアンチセンス適用のため)に使用される。あるいは、CAタンパク質のコード領域を含むCA核酸は、CAタンパク質発現のための発現ベクターに入れられ得る。この発現は、やはり、スクリーニング目的または患者への投与の目的のためのどちらかである。
好ましい実施形態において、CA核酸に対する核酸プローブ(図面において概略が示される核酸配列および/またはその相補配列の両方)が、生成される。バイオチップに結合される核酸プローブは、CA核酸(すなわち、標的配列(サンプルの標的配列または(例えばサンドイッチアッセイにおける)他のプローブ配列のどちらか))に対し、実質的に相補的であるように設計され、その結果、標的配列と本発明のプローブとのハイブリダイゼーションが起こる。以下で概略が示されるように、この相補性は、完全である必要はない;任意の数の塩基対ミスマッチが存在し得、標的配列と本発明の一本鎖核酸との間のハイブリダイゼーションを妨げる。しかし、変異の数があまりにも多いために、最低にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下ですら、ハイブリダイゼーションが起こらない場合、この配列は、相補的標的配列ではない。従って、本明細書中で「実質的に相補的」は、本明細書中で概略を示されるように、プローブが、標的配列に対し、通常の反応条件(特に高いストリンジェンシー条件)下でハイブリダイズするのに充分に相補的であることを意味する。
核酸プローブは、一般に一本鎖であるが、部分的に一本鎖および部分的に二本鎖であり得る。プローブの鎖状態(strandedness)は、標的配列の構造、組成、および特性によって述べられる。一般に、核酸プローブは、約8塩基から約100塩基長までの範囲におよぶ(約10塩基から約80塩基までが好ましく、約30塩基から約50塩基までが特に好ましい)。つまり、一般に、遺伝子全体は使用されない。いくつかの実施形態において、数百塩基までの、ずっと長い核酸が、使用され得る。
好ましい実施形態において、1つの配列につき、1つより多くのプローブが使用され、重複するプローブまたは標的の異なったセクションに対するプローブのどちらかが、使用される。つまり、2つ、3つ、4つ以上(3つが好ましい)のプローブが、特定の標的についての冗長性を形成するために使用される。これらのプローブは、重複し得る(つまり、配列のいくらかが共通である)か、または分離しており得る。
当業者に理解されるように、核酸は、広汎な種々の方法によって、固体保持体に結合され得るか、または固定化され得る。本明細書中の「固定化された」および文法的同義語により、核酸プローブと固体支持体との間の接着または結合が、以下で概略を示すような、結合、洗浄、分析、および除去の条件下で、十分に安定であることが、意味される。結合は、共有結合または非共有結合であり得る。本明細書中の「非共有結合」および文法的同義語により、静電的相互作用、親水性相互作用、および疎水性相互作用のいずれか1つ以上を意味する。非共有結合には、分子(ストレプトアビジンなど)の支持体への共有結合およびビオチン化プローブのストレプトアビジンへの非共有結合が、含まれる。本明細書中の「共有結合」および文法的同義語は、固体支持体およびプローブという2つの部分が、少なくとも1つの結合(σ結合、π結合、および配位結合が挙げられる)により、結合していることを意味する。共有結合は、プローブと固体支持体との間に直接形成され得るか、またはクロスリンカーにより、あるいは固体支持体もしくはプローブまたは両分子のいずれかに特定の反応基を含めることにより、形成され得る。固定化はまた、共有的相互作用と非共有的相互作用との組合せを含み得る。
一般に、プローブは、(当業者が理解するように)バイオチップに、広汎な種々の方法で結合する。本明細書中に記載されるように、核酸は、最初に合成され、その後にバイオチップに結合し得るか、または直接バイオチップ上に合成され得るかのいずれかである。
バイオチップは、適切な固体基材を含む。本明細書中の「基材」もしくは「固体支持体」または他の文法的同義語は、核酸プローブの結合または接着に適切な別個のそれぞれの部位を含むように改変され得る、任意の物質であり、少なくとも1つの検出方法に適合し得る。当業者に理解されるように、可能性のある基材の数は、非常に大きく、そして、以下が挙げられるが、これらに限定はされない:ガラスおよび改変ガラスまたは官能化ガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレン、およびスチレンと他の物質とのコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、など)、ポリサッカライド、ナイロンまたはニトロセルロース、樹脂、シリカもしくはシリカベース物質(シリコンおよび改変されたシリコンを含む)、炭素、金属、無機ガラス、など。一般にこの基材は、光学的検出を可能にし、感知される蛍光を発さない。
好ましい実施形態において、バイオチップの表面およびプローブは、この2つの後の結合のために化学官能基により誘導体化され得る。従って、例えば、バイオチップは、化学官能基を用いて誘導体化され、この化学官能基としては、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基およびチオール基が挙げられる(アミノ基が特に好ましい)が、これらに限定されない。これらの官能基を使用して、プローブは、プローブ上の官能基を使用して結合され得る。例えば、アミノ基を含む核酸は、アミノ基を含む表面に、例えば(当該分野で公知であるように)リンカーを使用して、結合され得る;例えば、ホモ二官能性リンカーまたはヘテロ二官能性リンカーが、周知である((1994)Pierce Chemical Company catalog,technical section on cross−linkers,155−200ページを、参照のこと(本明細書中に参考として援用される))。さらに、ある場合は、アルキル基のようなさらなるリンカー(置換された基およびヘテロアルキル基を含む)が、使用され得る。
この実施形態において、オリゴヌクレオチドは、当該分野に公知であるように合成され、次いで固体支持層の表面上に結合される。当業者に理解されるように、5’末端または3’末端のどちらかが固体支持体に結合され得るか、またはこの結合は、内在性ヌクレオシドを介し得る。
さらなる実施形態において、固体支持体への固定化は、非共有的であるのに、とても強くあり得る。例えば、ストレプトアビジンで共有結合的にコートされた表面に結合して結合を生じるビオチン化オリゴヌクレオチドが、生成され得る。
あるいは、オリゴヌクレオチドは、当該分野で公知であるように、表面上で合成され得る。例えば、光重合体形成化合物および光重合体形成技術を利用する光活性化技術が、使用される。好ましい実施形態において、核酸は、周知のフォトリソグラフィー技術(WO95/25116;WO95/35505;米国特許第5,700,637号および同第5,445,934号ならびにこの中の参考文献に記載される(これら全ては参考として明示的に援用される))を使用して、インサイチュで合成され得る;これらの結合の方法は、Affymetrix GeneChip技術の基礎を形成する。
バイオチップアレイに代表される固相技術に加えて、遺伝子発現はまた、液相アレイを使用して定量し得る。このような系の1つは、キネティックポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。キネティックPCRは、特異的核酸配列の同時の増幅および定量を可能にする。この特異性は、標的部位をまとめた一本鎖核酸配列に優先的に接着するように設計された、合成オリゴヌクレオチドプライマーに由来する。このオリゴヌクレオチドプライマー対は、標的配列のそれぞれの鎖に、特異的非共有結合複合体を形成する。これらの複合体は、逆方向の二本鎖DNAのインビトロ転写を容易にする。反応混合物の温度サイクリングは、プライマー結合、転写、および核酸から個々の鎖への再融解という、連続サイクルを作り出す。この結果は、標的dsDNA産物の指数関数的増加である。この産物は、インターカレート色素または配列特異的プローブのどちらかの使用を通してリアルタイムで定量され得る。SYBR(登録商標)Green Iは、インターカレート色素の例であり、dsDNAに優先的に結合し、蛍光シグナルの同時増加を生じる。TaqMan(登録商標)技術に使用されるような配列特異的プローブは、オリゴヌクレオチドの対向末端に共有的に結合する蛍光色素およびクエンチング分子からなる。このプローブは、2つのプライマーの間で標的DNA配列に選択的に結合するように設計される。PCR反応の間にDNA鎖が合成される場合、発蛍光団は、ポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によりプローブから切り離され、シグナルの脱クエンチングを生じる。プローブシグナル伝達方法は、インターカレート色素法より特異的であり得るが、それぞれの場合において、シグナル強度は、産生されるdsDNA産物に比例する。定量方法のそれぞれの種類は、マルチウェル液相アレイにおいて使用され得、このマルチウェル液相アレイは、それぞれのウェルが、目的の核酸配列に特異的なプライマーおよび/またはプローブを示す。組織または細胞株のメッセンジャーRNA調製物を用いて使用される場合、プローブ/プライマー反応のアレイは、同時に複数の目的の遺伝子産物発現を定量し得る。Germer,S.ら,Genome Res.10:258−266(2000);Heid,C.A.ら,Genome Res.6,986−994(1996)を、参照のこと。
好ましい実施形態において、CAタンパク質をコードするCA核酸は、CAタンパク質を発現する種々の発現ベクター(以下で記載されるようにスクリーニングアッセイにおいて使用され得る)を生成するために使用される。発現ベクターは、自己複製染色体外ベクターまたは宿主遺伝子に組み込まれるベクターのどちらかであり得る。一般に、これらの発現ベクターは、転写調節核酸および翻訳調節核酸(CAタンパク質をコードする核酸に作動可能に連結される)を含む。用語「制御配列」は、特定の宿主生物における作動可能に連結されたコード配列の発現に不可欠なDNA配列を言う。原核生物に対して適切な制御配列としては、例えば、プロモーター、(必要に応じて)オペレーター配列、およびリボソーム結合部位が、挙げられる。真核生物細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用することが、公知である。
核酸が、別の核酸配列との機能的関係の中に配置される場合、「作動可能に連結される」。例えば、ポリペプチドの分泌に関わるプレタンパク質として発現する場合、プレ配列または分泌リーダーのDNAは、そのポリペプチドのDNAに作動可能に連結されている;プロモーターまたはエンハンサーは、コード配列の転写に影響する場合、この配列に、作動可能に連結されている;またはリボソーム結合部位は、翻訳を容易にするように配置された場合、コード配列に、作動可能に連結されている。一般に、「作動可能に連結されている」とは、連結されるDNA配列が、連続し、分泌リーダーの場合は、連続し、リーディングフレームにあることを意味する。しかし、エンハンサーは、連続する必要はない。連結は、都合の良い制限部位で結合することによって、達成される。このような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが、従来技術の実施に従って使用される。転写調節核酸および翻訳調節核酸は、一般に、CAタンパク質を発現させるために使用される宿主細胞に、適切である;例えば、Bacillus由来の転写調節核酸配列および翻訳調節核酸配列は、好ましくは、BacillusにおいてCAタンパク質を発現するために使用される。多くの種類の適切な発現ベクターおよび適切な調節配列が、種々の宿主細胞について、当該分野で公知である。
一般に、転写調節配列および翻訳調節配列としては、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始配列および転写終結配列、翻訳開始配列および翻訳停止配列、ならびにエンハンサー配列またはアクチベーター配列が挙げられ得るが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、調節配列は、プロモーターならびに転写開始配列および転写終結配列を含む。
プロモーター配列は、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターのどちらかをコードする。プロモーターは、天然に存在するプロモーターまたはハイブリッドプロモーターのどちらかであり得る。1つより多くのプロモーターの要素を組み合わせるハイブリッドプロモーターもまた、当該分野で公知であり、本発明において有用である。
さらに、発現ベクターは、さらなる要素を含み得る。例えば、発現ベクターは、2つの複製系を有し得、これによって2種の生物(例えば、発現のための哺乳動物細胞または昆虫細胞、ならびにクローニングおよび増幅のための原核生物宿主)において維持される。さらに、発現ベクターの組み込みのために、発現ベクターは、宿主細胞ゲノムに相同な少なくとも1つの配列(好ましくは発現構築物に隣接する2つの相同配列)を含む。組込みベクターは、ベクター内に含めるために適切な相同配列を選択することにより、宿主細胞における特定の遺伝子座に指向され得る。組み込みベクターの構築物は、当該分野で周知である。
さらに、好ましい実施形態において、発現ベクターは、選択マーカー遺伝子を含み、形質転換された宿主細胞の選択を可能にする。選択遺伝子は、当該分野で周知であり、使用する宿主細胞によって変化する。
本発明のCAタンパク質は、CAタンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターによって形質転換された宿主細胞を、CAタンパク質の発現を誘導するかまたは引き起こすのに適切な条件下で培養することによって、産生される。CAタンパク質発現に適切な条件は、発現ベクターおよび宿主細胞の選択によって変化し、当業者により、慣用的実験を通して容易に確かめられる。例えば、発現ベクターにおける構成的プロモーターの使用は、宿主細胞の生育および増殖の最適化を必要とし、一方、誘導性プロモーターの使用は、誘導に適切な成育条件を必要とする。さらに、いくつかの実施形態において、収集のタイミングは、重要である。例えば、昆虫細胞発現において使用されるバキュロウイルス系は、溶解性のウイルスであり、従って、収集時間選択は、産物収量にとって重要であり得る。
適切な宿主細胞としては、酵母細胞、細菌細胞、古細菌細胞、真菌細胞、および昆虫細胞、植物細胞ならびに動物細胞(哺乳動物細胞を含む)が挙げられる。特に重要なのは、Drosophila melanogaster細胞、Saccharomyces cerevisiaeおよび他の酵母細胞、E.coli細胞、Bacillus subtilis細胞、Sf9細胞、C129細胞、293細胞、Neurospora細胞、BHK細胞、CHO細胞、COS細胞、HeLa細胞、THP1細胞株(マクロファージ細胞株)およびヒト細胞ならびにヒト細胞株である。
好ましい実施形態において、CAタンパク質は、哺乳動物細胞において発現される。哺乳動物発現系はまた、当該分野において公知であり、それにはレトロウイルス系が挙げられる。好ましい発現ベクター系は、例えば、一般的にPCT/US97/01019およびPCT/US97/01048(いずれも本明細書中で参照として明示的に援用される)において記載されるレトロウイルスベクター系である。哺乳動物プロモーターとして特に有用であるのは、哺乳動物ウイルス遺伝子由来のプロモーターである。なぜなら、このウイルス遺伝子は、しばしば高度に発現され、そして幅広い宿主範囲を有するからである。例としては、SV40初期プロモーター、マウス乳癌ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター、単純ヘルペスウイルスプロモーター、およびCMVプロモーターが挙げられる。代表的に、哺乳動物細胞によって認識される転写終結配列およびポリアデニル化配列は、翻訳停止コドンの3’側に位置する調節領域であり、従ってプロモーターエレメントとともにコード配列の側に隣接する。転写ターミネーターおよびポリアデニル化シグナルの例は、SV40に由来するものを含む。
哺乳動物宿主および他の宿主内に外来核酸を導入する方法は、当該分野において周知であり、そして使用される宿主細胞とともに変化する。技術は、デキストラン媒介性トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン(polybrene)媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、ウイルス感染、リポソーム中へのポリヌクレオチドのカプセル化、および核内へのDNAの直接微量注入を包含する。
好ましい実施形態において、CAタンパク質は、細菌系において発現される。細菌性発現系は、当該分野において周知である。バクテリオファージ由来のプロモーターもまた、使用され得、そして当該分野において公知である。さらに、合成プロモーターおよびハイブリッドプロモーターもまた、有用である;例えば、tacプロモーターは、trpプロモーター配列とlacプロモーター配列とのハイブリッドである。さらに、細菌プロモーターは、細菌のRNAポリメラーゼと結合して転写を開始する能力を有する、天然に存在する非細菌起源のプロモーターを含み得る。機能性プロモーター配列に加えて、効率的なリボソーム結合部位が望ましい。発現ベクターはまた、細菌中でのCAタンパク質の分泌を提供するシグナルペプチド配列を含み得る。このタンパク質は、増殖培地内に分泌されるか(グラム陽性細菌)、または細胞膜周辺腔(細胞の内膜と外膜との間に位置する)内に分泌される(グラム陰性細菌)かのいずれかである。細菌発現ベクターはまた、形質転換された細菌株の選択を可能にするような選択マーカー遺伝子を含み得る。適切な選択遺伝子は、細菌を、アンピシリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、カナマイシン、ネオマイシンおよびテトラサイクリンのような薬物に対して耐性にする遺伝子を含む。選択マーカーはまた、生合成遺伝子(例えば、ヒスチジン生合成経路、トリプトファン生合成経路およびロイシン生合成経路におけるもの)を含む。これらの成分は、発現ベクター中で構築される。細菌のための発現ベクターは当該分野において周知であり、とりわけ、Bacillus subtilis、E.coli、Streptococcus cremoris、およびStreptococcus lividansのためのベクターが挙げられる。細菌性発現ベクターは、当該分野において周知の技術(例えば、塩化カルシウム処理、エレクトロポレーションなど)を使用して細菌宿主細胞内に形質転換される。
1つの実施形態において、CAタンパク質は、昆虫細胞中で産生される。昆虫細胞の形質転換のための発現ベクター、および特にバキュロウイルスをベースにした発現ベクターは、当該分野において周知である。
好ましい実施形態において、CAタンパク質は、酵母細胞中で産生される。酵母発現系は、当該分野において周知であり、それとしては、Saccharomyces cerevisiaeのための発現ベクター、Candida albicansのための発現ベクターおよびC.maltosaのための発現ベクター、Hansenula polymorphaのための発現ベクター、Kluyveromyces fragilisのための発現ベクターおよびK.lactisのための発現ベクター、Pichia guillerimondiiのための発現ベクターおよびP.pastorisのための発現ベクター、Schizosaccharomyces pombeのための発現ベクターおよびYarrowia lipolyticaのための発現ベクターが挙げられる。
CAタンパク質はまた、当該分野で周知の技術を使用して融合タンパク質として作られ得る。従って、例えば、モノクローナル抗体生成のためである。所望のエピトープが小さい場合、CAタンパク質は、免疫原を形成するためにキャリアタンパク質に対して融合され得る。あるいは、CAタンパク質は、発現を増強するために、または他の理由のために融合タンパク質として作られ得る。例えば、CAタンパク質がCAペプチドである場合、このペプチドをコードする核酸は、発現目的のために、他の核酸に結合され得る。
1つの実施形態において、本発明のCA核酸、CAタンパク質およびCA抗体は、標識される。本明細書中の「標識される」によって、化合物は、その化合物の検出を可能にするために結合する少なくとも1つの元素、同位体または化学化合物を有することが意味される。一般的に、標識は、3つのクラスに分類される:a)同位体標識であり、これは放射性同位体または重同位体であり得る;b)免疫標識であり、これは、抗体または抗原であり得る;およびc)有色色素または蛍光色素である。標識は、CA核酸、CAタンパク質およびCA抗体内に任意の位置で組み込まれ得る。例えば、標識は、直接的または間接的のいずれかで検出可能なシグナルを産生し得るべきである。検出可能な部分は、例えば、3H、14C、32P、35S、または125Iのような放射性同位体、例えば、フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、またはルシフェリンのような蛍光化合物または化学発光化合物、あるいは、例えば、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼのような酵素であり得る。抗体を標識に結合体化するための当該分野で公知の任意の方法が使用され得、これは、Hunterら、Nature、144:945(1962);Davidら、Biochemistry、13:1014(1974);Painら、J.Immunol.Meth.、40:219(1981);およびNygren、J.Histochem.and Cytochem.、30:407(1982)によって記載される方法を含む。
従って、本発明はまた、CAタンパク質配列を提供する。本発明のCAタンパク質は、いくつかの方法で同定され得る。この意味における「タンパク質」とは、タンパク質、ポリペプチド、およびペプチドを包含する。当業者によって理解されるように、本発明の核酸配列は、タンパク質配列を生成するために使用され得る。タンパク質配列生成を行なうための種々の方法があり、これには、遺伝子全体をクローニングすること、ならびにそのフレームおよびアミノ酸配列を改変すること、またはCAタンパク質が、使用されるデータベース中のいくつかのタンパク質との相同性を有すると仮定して、フレームを提供するための相同性を検索するために公知の配列とアミノ酸配列を比較することが挙げられる。概して、核酸配列は、相同性について3つすべてのフレームを検索するプログラムに入力される。これは、以下のNCBI Advanced BLASTパラメータを使用する好ましい実施形態において行なわれる。このプログラムは、blastxまたはblastnである。データベースは、nrである。入力データは、「Sequence in FASTA format」としてある。生物リストは、「none」である。「expect」は10であり;フィルターはデフォルトである。「descriptions」は500であり、「alighments」は500であり、そして「alighment view」は2つ1組である。「query Genetic Codes」は標準(1)である。マトリックスは、BLOSUM62であり;ギャップ存在コストは11であり、残基ギャップあたりのコストは1であり;そしてλ比は、0.85デフォルトである。これは、推定タンパク質配列の生成を生じる。
本明細書中で決定されたような天然に存在する配列のアミノ酸改変体がまた、CAタンパク質の1つの実施形態内に含まれる。改変体は、好ましくは、野生型配列に対して、好ましくは約75%より大きい、より好ましくは約80%より大きい、さらにより好ましくは約85%より大きい、そして最も好ましくは90%より大きい相同性を有する。いくつかの実施形態において、相同性は、約93〜95または98%ほど高い。核酸に関する限りでは、このような状況における相同性は、配列類似性または配列同一性(同一性が好ましい)を意味する。この相同性は、核酸相同性に関して上で略述されるように、当該分野において公知の標準的技術を使用して決定される。
本発明のCAタンパク質は、野生型アミノ酸配列より短くても長くてもよい。従って、好ましい実施形態において、本明細書中の野生型配列の部分またはフラグメントが、CAタンパク質の定義内に含まれる。さらに、上で略述されるように、本発明のCA核酸は、さらなるコード領域、およびさらなるタンパク質配列を、当該分野において公知の技術を使用して得るために使用され得る。
好ましい実施形態において、CAタンパク質は、野生型配列と比較して誘導体CAタンパク質または改変CAタンパク質である。つまり、以下に、より十分に略述されるように、誘導体CAペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失または挿入(アミノ酸置換が特に好ましい)を含む。アミノ酸置換、挿入または欠失は、CAペプチド内の任意の残基で生じ得る。
本発明のCAタンパク質の1つの実施形態において、アミノ酸配列改変体もまた含まれる。これらの改変体は、以下の3つのクラスのうちの1つ以上に含まれる:置換改変体、挿入改変体または欠失改変体。これらの改変体は、通常、改変体をコードするDNAを産生するために、当該分野において周知のカセット式変異誘発またはPCR変異誘発あるいは他の技術を使用して、CAタンパク質をコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異性変異誘発、そしてその後、上で略述されるように組換え細胞培養においてDNAを発現することによって、調製される。しかし、約100〜150残基までを有する改変体CAタンパク質フラグメントは、確立された技術を使用するインビトロ合成によって調製され得る。アミノ酸配列改変体は、改変体の前もって決定された性質(CAタンパク質のアミノ酸配列の天然に存在する対立遺伝子バリエーションまたは種間バリエーションとその改変体を区別する特徴)によって特徴付けられる。代表的に改変体は、天然に存在するアナログと同じ定性的生物活性を示すが、より十分に以下に略述されるように、改変された特徴を有する改変体もまた、選択され得る。
アミノ酸配列バリエーションを導入するための部位または領域が前もって決定される一方で、変異自体は、前もって決定される必要はない。例えば、所定の部位での変異の実行を最適化にするために、ランダムな変異誘発が、標的コドンまたは領域で実行され得、そして発現したCA改変体は、所望される活性の最良の組み合わせについてスクリーニングされる。公知の配列を有するDNAにおける前もって決定された部位での置換変異を起こすための技術は、周知である(例えば、M13プライマー変異誘発およびLAR変異誘発)。変異体のスクリーニングは、CAタンパク質活性のアッセイを使用して行なわれる。
アミノ酸置換は、代表的に、単一残基である;挿入は、通常約1〜20個のアミノ酸であるが、かなり大きな挿入が許容され得る。欠失は、約1〜約20残基の範囲であるが、いくつかの場合において、欠失はより大きくあり得る。
置換、欠失、挿入またはそれらの任意の組み合わせが、最終的な誘導体に到達するために使用され得る。概してこれらの変化は、分子の変化を最小にするために2〜3個のアミノ酸に対して行なわれる。しかし、より大きな変化が、特定の状況において許容され得る。CAタンパク質の特徴における小さい変化が所望される場合、置換は、概して以下のチャートに従って行なわれる。
機能または免疫学的同一性における本質的な変化は、チャートIに示されるものより保存的でない置換を選択することによって、行なわれる。例えば:変更領域におけるポリペプチドの骨格構造(例えば、α−ヘリックス構造またはβシート構造);標的部位における分子の電荷または疎水性;あるいは側鎖のかさ高さ、により著しい影響を及ぼす置換が行なわれ得る。一般的にポリペプチド特性における最大の変化を産生することが予測される置換は、(a)親水性残基(例えば、セリルまたはトレオニル(threonyl))は、疎水性残基(例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリルまたはアラニル)と(またはこれらによって)置換される;(b)システインまたはプロリンは、任意の他の残基と(またはこれらによって)置換される;(c)電気陽性側鎖を有する残基(例えば、リジル、アルギニル、またはヒスチジル)は、電気陰性残基(例えば、グルタミルまたはアスパルチル)と(またはこれらによって)置換される;または(d)かさ高い側鎖を有する残基(例えば、フェニルアラニン)は、側鎖をもたないもの(例えば、グリシン)と(またはこれらによって)置換されるものである。
代表的に、改変体は、天然に存在するアナログと同じ定性的生物学的活性を示し、そして同じ免疫応答を惹起させるが、必要とされる場合、改変体はまた、CAタンパク質の特徴を改変するように選択される。あるいは、改変体は、CAタンパク質の生物学的活性が変更されるように設計され得る。例えば、グリコシル化部位は、変更され得るか、または除去され得、ドミナントネガティブ変異が生成され得る、など。
CAポリペプチドの共有結合修飾は、本発明の範囲内(例えば、スクリーニングにおいて使用するために)に含まれる。共有結合修飾の1つの型は、CAポリペプチドの標的化アミノ酸残基と、CAポリペプチドの選択された側鎖あるいはN末端残基またはC末端残基と反応し得る有機誘導体化剤との反応工程を包含する。以下でより十分に記載されるように、二官能性薬剤を用いる誘導体化は、例えば、CAポリペプチドと水不溶性支持マトリックスあるいは抗CA抗体の精製またはスクリーニングアッセイのための方法において使用するための表面を架橋するのに有用である。一般的に使用される架橋剤としては、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(例えば、4−アジドサリチル酸とのエステル、ホモ二官能性イミドエステル)が挙げられ、そしてジスクシンイミジルエステル(例えば、3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート))、二官能性マレイミド(例えば、ビス−N−マレイミド−1,8−オクタン)および薬剤(例えば、メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデート)が挙げられる。
他の改変としては、グルタミニル残基およびアスパラギニル残基の、それぞれ対応するグルタミル残基およびアスパルチル残基への脱アミド化、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリル、トレオニルまたはチロシル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、およびヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton、Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,79〜86頁(1983))、N末端アミンのアセチル化、および任意のC末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
本発明の範囲内に含まれるCAポリペプチドの別の型の共有結合修飾は、ポリペプチドのネイティブのグリコシル化パターンの変更を含む。「ネイティブのグリコシル化パターンの変更」は、本明細書における目的のために、ネイティブ配列CAポリペプチドにおいて見出される1つ以上の糖質部分の欠失、および/またはネイティブ配列CAポリペプチド中に存在しない1つ以上のグリコシル化部位の付加を意味することが意図される。
CAポリペプチドに対するグリコシル化部位の付加は、そのアミノ酸配列の変更によって達成され得る。例えば、この変更は、ネイティブ配列CAポリペプチドに対する(O結合型グリコシル化部位について)1つ以上のセリン残基またはトレオニン残基の付加、またはこれらによる置換によってなされ得る。CAアミノ酸配列は、DNAレベルでの変化を介して(特に、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンが生成されるように、CAポリペプチドをコードするDNAを前もって選択された塩基で変異させることによって)必要に応じて変化され得る。
CAポリペプチド上の糖質部分の数を増加する別の方法は、グリコシドをポリペプチドに対して化学的または酵素的に結合することによる。そのような方法は、当該分野において記載される(例えば、1987年9月11日に公開されたWO 87/05330、ならびにAplinおよびWriston,LA Crit.Rev.Biochem.,259〜306頁(1981))。
CAポリペプチド上に存在する糖質部分の除去は、グリコシル化のための標的として作用するアミノ酸残基をコードするコドンの、化学的置換または酵素的置換あるいは変異性置換によって達成され得る。化学的脱グリコシル化技術は、当該分野において公知であり、そして例えば、Hakimuddin、ら、Arch.Biochem.Biophys.、259:52(1987)およびEdgeら、Anal.Biochem.、118:131(1981)によって記載される。ポリペプチド上の糖質部分の酵素切断は、Thotakuraら、Meth.Enzymol.、138:350(1987)によって記載されるように、種々のエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼの使用によって達成され得る。
CAの共有結合修飾の別の型は、米国特許第4,640,835号;同第4,496,689号;同第4,301,144号;同第4,670,417号;同第4,791,192号または同第4,179,337号において示される様式で、CAポリペプチドと種々の非タンパク性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレン)の1つとを連結することを含む。
本発明のCAポリペプチドはまた、別の異種ポリペプチドまたはアミノ酸配列と融合したCAポリペプチドを含むキメラ分子を形成するために、ある方法において改変され得る。1つの実施形態において、そのようなキメラ分子は、CAポリペプチドと、抗タグ抗体が選択的に結合し得るエピトープを提供するタグポリペプチドとの融合を含む。一般的にエピトープタグは、CAポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシル末端に配置されるが、内部融合がまた、いくつかの実施例において許容され得る。CAポリペプチドのこのようなエピトープ−タグ化形態の存在は、タグポリペプチドに対する抗体の使用によって検出され得る。また、エピトープタグの提供は、CAポリペプチドが、抗タグ抗体、またはエピトープタグに結合するアフィニティーマトリックスの他の型を使用するアフィニティー精製によって容易に精製されることを可能にする。代替の実施形態において、キメラ分子は、CAポリペプチドと免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの特定の領域との融合を含み得る。キメラ分子の二価形態について、そのような融合は、IgG分子のFc領域に対してであり得る。
種々のタグポリペプチドおよびそれらのそれぞれの抗体は、当該分野において周知である。例としては、ポリ−ヒスチジン(poly−his)タグまたはポリ−ヒスチジン−グリシン(poly−his−gly)タグ;flu HAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5(Fieldら,Mol.Cell.Biol.,8:2159〜2165(1988));c−mycタグおよびこれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10抗体(Evanら,Molecular and Cellular Biology,5:3610〜3616(1985));ならびに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体(Paborskyら,Protein Engineering,3(6)547〜553(1990))が挙げられる。他のタグポリペプチドとしては、Flagペプチド(Hoppら,BioTechnology,6:1204〜1210(1988));KT3エピトープペプチド(Martinら,Science,255:192〜194(1992));チューブリンエピトープペプチド(Skinnerら,J.Biol.Chem.,266:15163〜15166(1991));およびT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ(Lutz−Freyermuthら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6393〜6397(1990))が挙げられる。
1つの実施形態において、CAタンパク質の定義を用いると、CAファミリーの他のCAンパク質、および他の生物由来のCAタンパク質もまた含まれ、これらは以下に略述されるようにクローン化され、そして発現される。従って、プローブまたは縮重ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー配列が、ヒトまたは他の生物由来の他の関連CAタンパク質を見出すために使用され得る。当業者によって理解されるように、特に有用なプローブおよび/またはPCRプライマー配列は、CA核酸配列の独特の領域を含む。一般的に当該分野で公知であるように、好ましいPCRプライマーは、約15〜約35ヌクレオチド長(約20〜約30が好ましい)であり、そして必要であるならばイノシンを含み得る。PCR反応のための条件は、当該分野において周知である。
さらに、本明細書中で略述されるように、図面の核酸によってコードされるものより長いCAタンパク質が(例えば、付加配列の解明、エピトープまたは精製タグの付加、他の融合配列の付加、などによって)作られ得る。
CAタンパク質はまた、CA核酸によってコードされるタンパク質として同定され得る。従って、本明細書中で略述されるように、CAタンパク質は、配列表の配列またはその相補体とハイブリダイズする核酸によってコードされる。
好ましい実施形態において、本発明は、CA抗体を提供する。好ましい実施形態において、CAタンパク質が、例えば、免疫療法のために、抗体を生成するために使用され得る場合、CAタンパク質は、少なくとも1つのエピトープまたは決定基を全長のタンパク質と共有するべきである。MHCの場合、本明細書中での「エピトープ」または「決定因子」によって、抗体またはT細胞レセプターを生成しそして/またはそれに結合するタンパク質の部分が意味される。従って、ほとんどの例において、より小さいCAタンパク質に対して作られた抗体は、全長のタンパク質に結合し得る。好ましい実施形態において、エピトープは独特である;つまり、独特のエピトープに対して生成された抗体は、ほとんどかまたは全く交差反応を示さない。
1つの実施形態において、用語「抗体」は、抗体フラグメント(当該分野で公知であるような抗体全体の改変によって産生されるか、または組み換えDNA技術を使用して新規に合成されたもののいずれかである、Fab、Fab2、単鎖抗体(例えば、Fv)、キメラ抗体、などを含む)を含む。
ポリクローナル抗体の調製方法は、当業者によって公知である。ポリクローナル抗体は、例えば、免疫剤、および望ましくは、アジュバントの1回以上の注射によって、哺乳動物中で惹起され得る。代表的には、免疫剤および/またはアジュバントは、複数回の皮下注射または腹腔内注射によって哺乳動物内へ注射される。免疫剤としては、図面の核酸によってコードされるタンパク質もしくはそのフラグメントまたはそれらに融合タンパク質が挙げられ得る。免疫される哺乳動物において免疫原であることが公知のタンパク質を免疫剤に結合体化することが有用であり得る。そのような免疫原性タンパク質の例としては、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、およびダイズトリプシン阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。使用され得るアジュバントの例としては、フロイント完全アジュバントおよびMPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA、合成トレハロースジコリノミコレート(dicorynomycolate))が挙げられる。免疫プロトコルは、過度の実験をすることなく、当業者によって選択され得る。
あるいは、抗体は、モノクローナル抗体であり得る。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ方法(例えば、KohlerおよびMilstein、Nature、256:495(1975)によって記載される)を使用して調製され得る。ハイブリドーマ方法において、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物は、代表的に、特異的に免疫剤に結合する抗体を産生するかまたは産生し得る、リンパ球を惹起するために免疫剤で免疫される。あるいは、リンパ球は、インビトロで免疫され得る。代表的に、免疫剤としては、表1の核酸によってコードされるポリペプチドもしくはそのフラグメント、またはそれらの融合タンパク質が挙げられる。一般的に、ヒト起源の細胞が所望される場合、末梢血リンパ球(「PBL」)が使用されるか、または非ヒト哺乳動物供給源が所望される場合、脾臓細胞またはリンパ節細胞が使用される。次いで、リンパ球は、ハイブリドーマ細胞(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,(1986)59〜103頁)を形成するために、適切な融合剤(例えば、ポリエチレングリコール)を使用して不死化細胞株と融合される。不死化細胞株は、通常形質転換された哺乳動物細胞(特にげっ歯類、ウシおよびヒト起源の骨髄腫細胞である。通常、ラットまたはマウスの骨髄腫細胞株が使用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、未融合の不死化細胞の成長または生存を阻害する1つ以上の物質を含む適切な培養培地中で培養され得る。例えば、その親細胞が酵素ヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシル・トランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠乏する場合、代表的に、ハイブリドーマのための培養培地は、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(「HAT培地」)を含み、この物質は、HGPRT欠損細胞の成長を防止する。
1つの実施形態において、抗体は、二重特異的抗体である。二重特異的抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル(好ましくは、ヒトまたはヒト化)抗体である。本発明の場合において、結合特異性の1つは、表1の核酸によってコードされるタンパク質またはそれらのフラグメントについてであり、他方は、任意の他の抗原についてであり、そして好ましくは、細胞表面タンパク質またはレセプターもしくはレセプターサブユニット(好ましくは、腫瘍特異的であるもの)についてである。
好ましい実施形態において、以下に記載されるように、CAに対する抗体は、CAの生物学的機能を減少し得るか、または除去し得る。つまり、CA(またはCAを含む細胞)への抗CA抗体(ポリクローナルまたは好ましくはモノクローナルのいずれか)の添加は、CA活性を減少し得るかまたは除去し得る。一般的に、活性の少なくとも25%の減少が好まれ、さらに、少なくとも約50%の減少が特に好ましく、そして約95〜100%の減少が特に好ましい。
好ましい実施形態において、CAタンパク質に対する抗体は、ヒト化抗体である。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含む免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそれらのフラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2または抗体の他の抗原結合部分配列)のキメラ分子である。ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含み、ここで、レシピエントの相補性決定領域(CDR)を形成する残基は、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラットまたはウサギのような非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基によって置換される。いくつかの例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体においてもインポートCDRのいずれにおいても見出されない残基あるいはフレームワーク配列を含み得る。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つおよび代表的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応するCDR領域の全てまたは実質上全ておよびフレームワーク残基(FR)領域の全てまたは実質上全ては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体はまた、必要に応じて、免疫グロブリン定常領域(Fc)(代表的にヒト免疫グロブリンの定常領域)の少なくとも一部を含む(Jonesら,Nature,321:522〜525(1986);Riechmannら,Nature,332:323〜329(1988);およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593〜596(1992))。
非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当該分野において周知である。一般的に、ヒト化抗体は、ヒトではない供給源からヒト抗体へ導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしばインポート残基と称され、これは、代表的にインポート可変ドメインから得られる。ヒト化は、Winterおよびその共同研究者らの方法(Jonesら,Nature,321:522〜525(1986);Riechmannら,Nature,332:323〜327(1988);Verhoeyenら,Science,239:1534〜1536(1988))に従って(げっ歯類CDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応配列で置換することによって)本質的に実行され得る。従って、そのようなヒト化抗体は、キメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、ここで実質的にほとんどインタクトではないヒト可変ドメインは、非ヒト種由来の対応配列によって置換されている。実際問題として、ヒト化抗体は、代表的にいくつかのCDR残基およびおそらくはいくつかのFR残基が、げっ歯類抗体における類似部位からの残基によって置換されているヒト抗体である。
ヒト抗体はまた、当該分野において公知の種々の技術(ファージディスプレイライブラリーを含む)を使用して産生され得る(HoogenboomおよびWinter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marksら,J.Mol.Biol.,222:581(1991))。ColeらおよびBoernerらの技術はまた、ヒトモノクローナル抗体の調製のために利用できる(Coleら,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,77頁(1985)およびBoernerら,J.Immunol.,147(1):86〜95(1991))。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座をトランスジェニック動物(例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されているマウス)内へ導入することによって作られ得る。チャレンジの際に、ヒト抗体産生が観察され、このヒト抗体は、遺伝子の再配列、集合、および抗体レパートリーを含む、全ての点で、ヒトにおいて見出されるものと密接に似ている。このアプローチは、例えば、米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,661,016号、および以下の科学刊行物:Marksら,Bio/Technology 10,779〜783(1992);Lonbergら,Nature 368 856〜859(1994);Morrison,Nature 368,812〜13(1994);Fishwildら,Nature Biotechnology 14,845〜51(1996);Neuberger,Nature Biotechnology 14,826(1996);LonbergおよびHuszar,Intern.Rev.Immunol.13 65〜93(1995)において記載される。
免疫治療によって、CAタンパク質に対して惹起された抗体での癌腫の処置が意味される。本明細書中で使用される場合、免疫治療は、受動的であってもまたは能動的でもあってもよい。本明細書中で定義される受動免疫治療は、レシピエント(患者)への抗体の受動移送である。能動免疫は、レシピエント(患者)における抗体および/またはT細胞応答の誘導である。免疫応答の誘導は、レシピエントに、抗体が惹起される抗原を提供することの結果である。当業者によって理解されるように、抗原は、抗体が惹起されることが望ましいポリペプチドをレシピエントに注射すること、または抗原の発現のための条件下でレシピエントと、抗原を発現し得る核酸とを接触させることによって、提供され得る。
好ましい実施形態において、分泌された成長因子をコードする癌遺伝子は、上述されるように分泌タンパク質であるCAタンパク質に対して抗体を惹起することによって阻害され得る。理論によって束縛されないが、処置のために使用される抗体が分泌タンパク質に結合し、そして分泌されたタンパク質がそのレセプターに結合することを防止し、それによって分泌CAタンパク質を不活化する。
別の好ましい実施形態において、抗体が惹起されるCAタンパク質は、膜貫通タンパク質である。理論によって束縛されないが、処置のために使用される抗体は、CAタンパク質の細胞外ドメインに結合し、そしてCAタンパク質が他のタンパク質(例えば、循環リガンドまたは細胞結合分子)に結合することを防止する。抗体は、膜貫通CAタンパク質のダウンレギュレートを引き起こし得る。当業者によって理解されるように、抗体は、競合的、非競合的であり得るか、またはCAタンパク質の細胞外ドメインに結合するタンパク質の非競合的阻害剤であり得る。抗体はまた、CAタンパク質のアンタゴニストである。さらに、抗体は、膜貫通CAタンパク質の活性化を防止する。1つの局面において、抗体がCAタンパク質への他の分子の結合を防止する場合、抗体は、細胞の成長を防止する。抗体はまた、細胞傷害性剤(TNF−α、TNF−β、IL−1、INF−γおよびIL−2が挙げられるがこれらに限定されない)、または化学治療剤(5FU、ビンブラスチン、アクチノマイシンD、シスプラチン、メトトレキサートなどを含む)に対して細胞を感作し得る。いくつかの例において、抗体が膜貫通タンパク質と複合体化し、それによって細胞傷害性を媒介する場合、抗体は、血清補体を活性化するサブタイプに属する。従って、癌は、患者に膜貫通CAタンパク質に対して指向される抗体を投与することによって処置され得る。
別の好ましい実施形態において、抗体は、治療部分と結合体化される。1つの局面において、治療部分は、CAタンパク質の活性を調節する低分子である。別の局面で、治療部分は、CAタンパク質と関連するか、またはCAタンパク質と密接に近位にある分子の活性化を調節する。この治療部分は、癌と関連するプロテアーゼ活性またはプロテインキナーゼ活性のような酵素活性を阻害し得る。
好ましい実施形態において、治療部分はまた、細胞傷害性の薬剤であり得る。この方法において、細胞傷害性薬剤を腫瘍組織または細胞に対して標的化することは、罹患細胞の数の減少を生じ、それゆえ、癌(リンパ腫または乳癌を含む)に関連する症状を減少させる。細胞傷害性薬剤は、多数および多様であり、そして細胞傷害性薬剤としては、細胞傷害性薬物または毒素あるいはそのような毒素の活性フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。適切な毒素およびその対応フラグメントとしては、ジフテリアA鎖、エキソトキシンA鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)などが挙げられる。細胞傷害性薬剤はまた、CAタンパク質に対して惹起される抗体に放射性同位体を結合体化すること、または抗体と共有結合するキレート剤に放射性核種を結合することによって作られる、放射化学物質を含む。治療部分の膜貫通CAタンパク質への標的化は、目的の癌(すなわち、リンパ腫または乳癌)における治療部分の局所濃度を増加するばかりでなく、治療部分と関連し得る有害な副作用を減少するように作用する。
別の好ましい実施形態において、抗体が惹起されるCAタンパク質は、細胞内タンパク質である。この場合において、抗体は、細胞内への侵入を促進するタンパク質に結合体化され得る。1つの場合において、抗体は、エンドサイトーシスによって細胞へ入る。別の実施形態において、抗体をコードする核酸は、個体または細胞に投与される。そのうえ、ここでCAタンパク質は、細胞内で(すなわち、核に)標的化され得、これに対する抗体は、局在を標的にするためのシグナル(すなわち、核局在シグナル)を含む。
本発明のCA抗体は、特異的にCAタンパク質に結合する。本明細書中の「特異的結合」によって、抗体は、少なくとも10−4〜10−6M−1の範囲にある結合定数(好ましくは、10−7〜10−9M−1)でタンパク質と結合することが意味される。
好ましい実施形態において、CAタンパク質は、発現後に精製されるかまたは単離される。CAタンパク質は、どのような他の成分がサンプル中に存在するかに依存して、当業者に公知の種々の方法で単離されるかまたは精製され得る。標準的な精製方法としては、電気泳動的技術、分子的技術、免疫学的技術およびクロマトグラフィー技術(イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、および逆相HPLCクロマトグラフィーを含む)ならびに等電点電気泳動が挙げられる。例えば、CAタンパク質は、標準的な抗CA抗体カラムを使用して精製され得る。タンパク質濃度に関連して、限外濾過技術およびダイアフィルトレーション(diafiltration)技術もまた、有用である。適切な精製技術における一般的な指針については、Scopes、R.、Protein Purification、Springer−Verlag、NY(1982)を参照のこと。必要な精製の程度は、CAタンパクの使用に依存して変化する。いくつかの例において、精製は必要ない。
一旦発現され、そして必要に応じて精製されたならば、CAタンパク質およびCA核酸は、多くの適用において有用である。
1つの局面において、遺伝子の発現レベルは、癌腫表現型における異なる細胞状態について決定される;つまり、正常な組織および癌組織における遺伝子発現のレベル(以下で略述されるように、いくつかの場合において、予後と関係するリンパ腫または乳癌の重症度を変えるために)は、発現プロファイルを提供するために評価される。特定の細胞状態または発生点での発現プロファイルは、本質的にその状態の「フィンガープリント」であり;2つの状態が、類似して発現した任意の特定の遺伝子を有し得る一方で、多くの遺伝子の評価は、細胞の状態に独特である遺伝子発現プロファイルの生成を同時に可能にする。異なる状態における細胞の発現プロファイルを比較することによって、これらの状態の各々においてどの遺伝子が重要である(遺伝子のアップレギュレーションおよびダウンレギュレーションの両方を含む)かに関する情報が得られる。次いで、診断がなされ得るか、または確認され得る:特定の患者由来の組織は、正常組織または癌腫組織の遺伝子発現プロファイルを有する。
本明細書中で使用される場合、「差示的発現」または文法的に等価なものは、細胞内および細胞間での、遺伝子の一時的発現パターンおよび/または細胞性発現パターンにおける定性的差異ならびに定量的差異の両方をいう。従って、差示的に発現した遺伝子は、定性的に発現を変化させ得、この変化としては、例えば、正常組織 対 癌腫組織における活性化または不活化を含む。つまり、遺伝子は、他の状態と比較して、特定の状態においてスイッチが入り得るか、または切れ得る。当業者によって理解されるように、2つ以上の状態の任意の比較が行われ得る。そのように定性的に調節される遺伝子は、1つの状態または細胞型において標準的な技術によって検出可能であるが両方では検出不可能である1つのそのような状態または細胞型内における発現パターンを示す。あるいは、発現が増加するまたは減少するという点で、この決定は、定量的である:つまり、遺伝子発現はアップレギュレートされ、転写物の量の増加を生じるか、またはダウンレギュレートされ、転写物の量の減少を生じるかのいずれかである。発現の差異の程度としては、以下に略述されるように、標準的な特徴付け技術を介して(例えば、Affymetrix GeneChip(登録商標)発現分析(Lockhart,Nature Biotechnology,14:1675〜1680(1996))(本明細書中で参照として明示的に援用される)の使用によって)定量するために十分大きいことのみが必要である。他の技術としては、定量的逆転写酵素PCR、ノーザン分析およびRNアーゼプロテクションが挙げられるが、これらに限定されない。上で略述されるように、好ましくは、発現における変化(すなわち、アップレギュレーションまたはダウンレギュレーション)は、少なくとも約50%であり、より好ましくは少なくとも約100%であり、より好ましくは少なくとも約150%であり、より好ましくは、少なくとも約200%であり、300%から少なくとも1000%までが特に好ましい。
当業者によって理解されるように、これは、遺伝子転写またはタンパク質レベルのいずれかでの評価によってなされ得る;つまり、遺伝子発現量は、遺伝子転写物のDNA等価物またはRNA等価物に対する核酸プローブを使用することでモニターされ得、そして遺伝子発現レベルの定量、あるいは最終遺伝子産物自体(タンパク質)は、例えば、CAタンパク質に対する抗体および標準的な免疫アッセイ(ELISAなど)の使用または他の技術(質量分光計アッセイ、2Dゲル電気泳動アッセイなどを含む)の使用を介してモニターされ得る。従って、CA遺伝子に対応するタンパク質(すなわち、特定の癌腫表現型(すなわち、乳癌またはリンパ腫)において重要であるとして同定されたもの)は、その癌腫に特異的な診断試験において評価され得る。
好ましい実施形態において、遺伝子発現モニタリングが行われ、そして多くの遺伝子(すなわち、発現プロファイル)が、同時にモニターされるが、複数のタンパク質発現モニタリングもまた、行われ得る。同様に、これらのアッセイはまた、個体ベースで行われ得る。
この実施形態において、CA核酸プローブは、本明細書中で略述されるように、特定の細胞におけるCA配列の検出および定量のためにバイオチップに結合され得る。アッセイは、当該分野で公知のように行われる。当業者によって理解されるように、任意の数の異なるCA配列が、プローブとして使用され得、いくつかのケースにおいて、単一配列アッセイが使用され、そして本明細書中で記載される複数の配列が他の実施形態において使用される。さらに、固相アッセイが記載されているが、任意の数の溶液ベースアッセイもまた、行われ得る。
好ましい実施形態において、固相ベースアッセイおよび溶液ベースのアッセイの両方が、正常組織と比較された場合に、癌腫においてアップレギュレートされるかまたはダウンレギュレートされるCA配列を検出するために使用され得る。CA配列は変性されるが、同じ発現プロファイルまたは変化した発現プロファイルを示す場合において、このタンパク質は、本明細書中で略述されるように検出される。
好ましい実施形態において、CAタンパク質をコードする核酸が検出される。CAタンパク質をコードするDNAまたはRNAが検出され得るが、CAタンパク質をコードするmRNAを検出する方法が、特に興味深い。サンプルにおけるmRNAの存在は、PRLRのようなCA遺伝子がmRNAを形成するために転写されることの指標であり、そしてこのタンパク質が発現されることを示唆する。mRNAを検出するためのプローブは、mRNAと相補的でありかつこのmRNAとの塩基対形成する任意のヌクレオチド/デオキシヌクレオチドプローブであり得、そしてこのプローブとしては、オリゴヌクレオチド、cDNAまたはRNAが挙げられるが、これらに限定されない。プローブはまた、本明細書中で規定されるような検出可能な標識を含むべきである。1つの方法において、mRNAは、試験されるべき核酸を固体支持体上(例えば、ナイロン膜)に固定化し、そしてプローブをサンプルにハイブリダイズした後に、検出される。洗浄して非特異的に結合したプローブを除去した後、標識が検出される。別の方法において、mRNAの検出は、インサイチュで実行される。この方法において、透過処理された細胞または組織サンプルは、プローブを標的mRNAとハイブリダイズさせるために十分な時間の間、検出可能に標識された核酸プローブと接触される。洗浄して非特異的に結合したプローブを除去した後、標識が検出される。例えば、CAタンパク質をコードするmRNAと相補的なジゴキシゲニン標識リボプローブ(RNAプローブ)は、ジゴキシゲニンと抗ジゴキシゲニン二次抗体の結合によって検出され、そしてニトロブルーテトラゾリウムおよび5−ブロモ−4−クロロ−3−インドイルホスフェートで発色される。
好ましい実施形態において、本明細書中で記載されるような3つのクラスのタンパク質(分泌性タンパク質、膜貫通タンパク質または細胞内タンパク質)のうちのいずれかが、診断アッセイにおいて使用される。CAタンパク質、CA抗体、CA核酸、CA配列を含む改変タンパク質および細胞が、診断アッセイにおいて使用される。この診断アッセイは、個々の遺伝子または対応するポリペプチドレベルについて行われるか、またはアッセイのセットとして行われる。
本明細書中で記載されそして定義されるように、CAタンパク質は、癌腫(例えば、乳癌、またはホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫のようなリンパ腫が含まれるが、これに限定されない)のマーカーとしての使用を見出す。癌腫と推定される組織または患者におけるこれらのタンパク質の検出は、癌腫の型の決定または診断を可能にする。当業者に公知の多くの方法は、癌腫を検出する際の使用を見出す。1つの実施形態において、抗体は、CAタンパク質を検出するために使用される。好ましい方法は、ゲル(代表的には、変性および還元タンパク質ゲルであるが、等電点電気泳動ゲルなどを含む任意の他の型のゲルでもあり得る)上での電気泳動によって、サンプルまたは患者由来のタンパク質を分離する。タンパク質を分離した後、CAタンパク質は、このCAタンパク質に対して惹起された抗体を用いる免疫ブロッティングによって検出される。免疫ブロッティングの方法は、当業者に周知である。
別の好ましい方法において、CAタンパク質に対する抗体は、インサイチュでの画像化技術における使用を見出す。この方法において、細胞は、CAタンパク質に対する1個〜多くの抗体と接触される。洗浄して非特異的抗体結合を除去した後、抗体の存在が検出される。1つの実施形態において、抗体は、検出可能な標識を含む二次抗体とともにインキュベートすることによって検出される。別の方法において、CAタンパク質に対する一次抗体は、検出可能な標識を含む。別の好ましい実施形態において、複数の一次抗体のうちのそれぞれ1つは、別個の検出可能な標識を含む。この方法は、複数のCAタンパク質についての同時スクリーニングにおける特定の使用を見出す。当業者によって理解されるように、多くの他の組織学的画像化技術は、本発明において有用である。
好ましい実施形態において、標識は、異なる波長の放出を検出しそして区別する能力を有する蛍光計で、検出される。さらに、蛍光活性化セルソーター(FACS)が、本方法において使用され得る。
別の好ましい実施形態において、抗体は、血液サンプルから癌腫を診断する際の使用を見出す。以前に記載されたように、特定のCAタンパク質は、分泌分子/循環分子である。それゆえ、血液サンプルは、プローブされるべきサンプルとして有用であるか、または分泌CAタンパク質の存在について試験される。抗体は、以前に記載された免疫アッセイ技術(当業者によって理解される、ELISA、免疫ブロッティング(ウエスタンブロット)、免疫沈降、BIACORE技術などが含まれる)のいずれかによってCAタンパク質を検出するために使用され得る。
好ましい実施形態において、標識されたCA核酸プローブの組織アレイとのインサイチュハイブリダイゼーションが行われる。例えば、組織サンプル(CA組織および/または正常組織を含む)のアレイが生成される。次いで、当該分野において公知のインサイチュハイブリダイゼーションが行われ得る。
個体と標準との間の発現フィンガープリントが比較される場合、当業者は、診断および予後を行い得ることが理解される。さらに、診断を示す遺伝子は、予後を示す遺伝子とは異なり得ることが理解される。
好ましい実施形態において、CAタンパク質、CA抗体、CA核酸、CA配列を含む改変タンパク質および細胞は、予後アッセイにおいて使用される。上記のように、癌腫(特に、乳癌またはリンパ腫)の長期予後の点からみた重症度に関連する遺伝子発現プロファイルが生成され得る。さらに、これは、タンパク質レベルまたは遺伝子レベルのいずれかで行われ得る(遺伝子の使用が、好ましい)。上記のように、CAプローブは、組織または患者内でのCA配列の検出および定量化のためにバイオチップに結合される。このアッセイは、診断のために略述されるように行われる。
好ましい実施形態において、本明細書中で記載されるようなCA配列のいずれかが、薬物スクリーニングアッセイにおいて使用される。CAタンパク質、CA抗体、CA核酸、CA配列を含む改変タンパク質および細胞が、薬剤スクリーニングアッセイにおいて、または「遺伝子発現プロファイル」もしくはポリペプチドの発現プロファイルに対する薬物候補の効果を評価することによって、使用される。1つの実施形態において、好ましくは、候補薬剤で処置した後の発現プロファイル遺伝子に関するモニタリングを可能にするための高スループットスクリーニング技術(Zlokarnikら,Science 279,84〜8(1998),Heidら,Genome Res.,6:986〜994(1996))と併用して、発現プロファイルが使用される。
好ましい実施形態において、CAタンパク質、CA抗体、CA核酸、改変CAタンパク質、およびネイティブのCAタンパク質または改変CAタンパク質を含む細胞が、スクリーニングアッセイにおいて使用される。つまり、本発明は、癌腫表現型を調節する組成物についてのスクリーニングのための新規の方法を提供する。上記のように、これは、遺伝子発現のための調節因子またはタンパク質活性の調節因子についてのスクリーニングによって行われ得る。同様に、これは、個々の遺伝子レベルまたはタンパク質レベルについて、あるいは「遺伝子発現プロファイル」に対する薬物候補の効果を評価することによって、行われ得る。好ましい実施形態において、好ましくは、候補薬剤で処置した後に発現プロファイル遺伝子に関するモニタリングを可能にするための高スループットスクリーニング技術(Zlokarnik,前出を参照のこと)と併用して、発現プロファイルが使用される。
本明細書でCA遺伝子を同定して、遺伝子発現に対する薬剤の効果を評価するために多様なアッセイが実施され得る。好ましい実施形態において、アッセイは、個々の遺伝子レベルまたはタンパク質レベルに対して実行され得る。すなわち、癌腫において異常に調節される遺伝子として、特定の遺伝子を同定すると、その遺伝子応答を調節する候補生物活性薬剤が、スクリーニングされ得る。このように「調節」は、遺伝子発現または遺伝子活性における増加および減少の両方を包含する。好ましい調節量は、正常組織 対 腫瘍組織における遺伝子発現の最初の変化に依存し、少なくとも10%、好ましくは50%、さらに好ましくは100〜300%の変化を有し、そしてある実施形態においては300〜1000%以上の変化を有する。このように、ある遺伝子が正常組織と比較して腫瘍組織では4倍の増加を表す場合、約4分の1への減少が所望される;正常組織と比較して、腫瘍組織では10分の1への減少は、候補薬剤の発現において10倍の増加を与えることが所望される、など。あるいは、CA配列が改変されているが同一の発現プロファイルまたは変化した発現プロファイルを示す場合、本明細書で概要を述べられるように、このタンパク質は検出され得る。
当業者により理解されるように、これは、遺伝子レベルまたはタンパク質レベルのいずれかでの評価により実施され得る;すなわち遺伝子発現量は、核酸プローブおよび遺伝子発現レベルの定量化を用いてモニターされ得、あるいは、遺伝子産物それ自身のレベルがモニターされ得る(例えば、CAタンパク質に対する抗体および標準的な免疫学的検定法の使用によって)。あるいは、このタンパク質を用いた結合アッセイおよび生物活性アッセイが、以下に概要を述べられているように実施され得る。
好ましい実施形態において、遺伝子発現のモニタリングが実施され、多くの遺伝子、すなわち発現プロファイルが同時にモニターされるが、多くのタンパク質の発現をモニターすることが、同様に実施され得る。
本実施形態において、特定の細胞におけるCA配列の検出および定量化のために、CA核酸プローブは、本明細書中に概要を述べられるようなバイオチップに結合される。このアッセイは、さらに以下に記述される。
概して、好ましい実施形態において、候補生物活性薬剤は、分析前に細胞に添加される。さらに、スクリーニングは、特定の癌腫の型を調節するか、CAタンパク質を調節するか、CAタンパク質に結合するか、またはCAタンパク質と抗体との結合の間で干渉する、候補生物活性薬剤を同定するように提供される。
本明細書中で使用される場合、「候補生物活性薬剤」または「薬物候補」という用語または文法的な同義語は、癌腫表現型(CAタンパク質に結合し、そして/またはCAタンパク質の生物活性を調節する)またはCA配列の発現(核酸配列およびタンパク質配列の両方の発現を含む)のいずれかを直接的にもしくは間接的に変え得る、生物活性薬剤について試験されるべき任意の分子(例えば、タンパク質、オリゴペプチド、有機低分子または無機低分子、多糖類、ポリヌクレオチドなど)を記載する。特に好ましい実施形態において、候補薬剤は、例えば正常組織フィンガープリントに対して、CA表現型を抑制する。同様に、候補薬剤は、好ましくは重症CA表現型を抑制する。概して、複数のアッセイ混合物は、種々の濃度に対して異なる応答を得るため、異なる薬剤の濃度で平行して実施される。代表的に、これらの濃度の1つは、ネガティブコントロール(すなわち、ゼロ濃度または検出レベル未満で)としての役割を果たす。
一つの局面において、候補薬剤は、CAタンパク質の効果を中和にする。「中和する」は、細胞に実質的な効果を与えないように、タンパク質の活性が、阻害されるか、または反対に作用されるかのいずれかを意味する。
候補薬剤は、多くの化学的分類(代表的にそれらは有機分子または無機分子であるが、好ましくは100ダルトンを超え約2,500ダルトン未満である分子量を有する有機低分子化合物)を包含する。好ましい低分子は、2000D未満または1500D未満または1000D未満または500D未満である。候補薬剤は、タンパク質との構造相互作用(特に水素結合)に必要な官能基を含み、この官能基としては、代表的には少なくとも一つのアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基が挙げられ、好ましくはこれらの化学官能基のうちの少なくとも二つが挙げられる。候補薬剤は、しばしば、一つ以上の上記の官能基で置換された環式炭素構造または複素環式構造、および/あるいは芳香族構造または多芳香族構造を含む。候補薬剤はまた、ペプチド、サッカリド、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、これらの構造アナログまたはそれらの組み合わせを含む生体分子の中から見出される。ペプチドが、特に、好ましい。
候補薬剤は、合成化合物または天然化合物のライブラリーを含む、広範囲の多様な供給源から得られる。例えば、多くの手段が、広範囲の多様な有機化合物および生体分子のランダム合成そして指向的合成(ランダム化したオリゴヌクレオチドの発現を含む)のために利用可能である。あるいは、細菌、真菌、植物および動物の抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが、入手可能であるかまたは容易に生成される。さらに、天然にかまたは合成的に生成されたライブラリーおよび化合物は、従来の化学的手段、物理的手段および生物化学的手段により、容易に改変される。公知の薬理学的な薬剤は、構造的アナログを生成するために、指向的またはランダムな化学修飾(アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化のような)に供され得る。
好ましい実施形態において、候補生物活性薬剤はタンパク質である。本明細書において「タンパク質」は、少なくとも二つの共有結合されたアミノ酸(それは、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチドおよびペプチドを包含する)を意味する。タンパク質は、天然に存在するアミノ酸およびペプチド結合、または合成ペプチド模倣構造から構成され得る。このように、本明細書で使用される場合、「アミノ酸」または「ペプチド残基」は、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸の両方を意味する。例えば、ホモフェニルアラニン、シトルリンおよびノルロイシンは、本発明の目的のためのアミノ酸と考慮される。「アミノ酸」はまた、イミノ酸残基(プロリンおよびヒドロキシプロリンのような)も包含する。側鎖は、(R)体または(S)体のいずれかであり得る。好ましい実施形態において、アミノ酸は、(S)体または(L)体である。天然に存在しない側鎖が使用される場合、非アミノ酸置換基が、例えば、インビボでの分解を妨げるかもしくは遅らせるために使用され得る。
好ましい実施形態において、候補生物活性薬剤は、天然に存在するタンパク質または天然に存在するタンパク質のフラグメントである。このように、例えば、タンパク質を含有する細胞抽出物、またはタンパク様の細胞抽出物のランダム消化物もしくは指向的な消化物が使用され得る。この方法において、原核生物タンパク質および真核生物タンパク質のライブラリーは、本発明の方法でスクリーニングするために生成され得る。本実施形態において、細菌、真菌、ウイルスおよび哺乳類のタンパク質のライブラリーが特に好ましく、後者が好ましく、ヒトタンパク質が特に好ましい。
好ましい実施形態では、候補生物活性薬剤は、約5〜約30アミノ酸のペプチドであり、約5〜約20アミノ酸が好ましく、約7〜約15アミノ酸が特に好ましい。そのペプチドは、上記に概要を述べられているような、天然に存在するタンパク質、ランダムなペプチド、または「偏った(biased)」ランダムなペプチドの消化物であり得る。本明細書中の「ランダム化」または文法的な同義語は、本質的にランダムなヌクレオチドおよびアミノ酸からなる、それぞれ核酸およびペプチドのいずれかを意味する。概して、これらのランダムなペプチド(または核酸、以下に検討される)は、化学的に合成されるので、それらは、任意の位置で、任意のヌクレオチドまたはアミノ酸を組み込み得る。合成プロセスは、ランダム化されたタンパク質または核酸を生成するように設計され、配列の長さにわたる全てのまたはほとんどの可能な組み合わせの形成を可能にし、従ってランダム化された候補生物活性タンパク様薬剤のライブラリーを形成し得る。
1つの実施形態において、ライブラリーは、どの位置にも配列優先性または一定配列を有さずに、十分にランダム化される。好ましい実施形態において、ライブラリーは偏っている。すなわち、配列内のいくつかの位置は、一定配列を保持されるか、または限られた数の可能性から選択されるかのいずれかである。例えば、好ましい実施形態において、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基は、規定された種類(例えば、疎水性アミノ酸、親水性残基、立体的に偏った(小さいかまたは大きいかのいずれか)残基、核酸結合ドメインの生成について、システインの生成、架橋について、SH−3ドメインについてのプロリン、リン酸化部位についてのセリン、スレオニン、チロシンまたはヒスチジンなど、または、プリンなど)内でランダム化される。
好ましい実施形態において、候補生物活性薬剤は、上記で規定されるような核酸である。
タンパク質について概して上で記述されるように、核酸候補生物活性薬剤は、天然に存在する核酸、ランダムな核酸、または「偏った」ランダムな核酸であり得る。例えば、原核生物ゲノムまたは真核生物ゲノムの消化物は、タンパク質について上記に概要を述べられたように使用され得る。
好ましい実施形態において、候補生物活性薬剤は、有機化学的部分であり、その広い範囲は文献において入手可能である。
一つ以上のCA遺伝子の発現プロファイルを変更するためのアッセイにおいて、候補薬剤が添加され、細胞がしばらくの間インキュベートされた後、分析される標的配列を含むサンプルは、バイオチップに添加される。必要な場合、標的配列は、公知技術を用いて調製される。例えば、公知の溶解緩衝液、エレクトロポレーションなどを用いて、当業者に理解されるような精製および/または必要に応じて生じるPCRのような増幅を用いて、サンプルは細胞を溶解するように処理され得る。例えば、ヌクレオシドに共有結合された標識を用いてインビトロの転写が行われる。概して、核酸は、本明細書中で規定されるように、標識(ビオチン−FITCまたはPE、cy3およびcy5が特に好ましい)を用いて標識化される。
好ましい実施形態において、標的配列は、プローブに対する標的配列の特異的な結合を検出する手段を与えるために、例えば、蛍光シグナル、化学発光シグナル、化学シグナルもしくは放射線シグナルを用いて標識される。標識はまた、検出され得る生成物を適切な基質が生成するのであれば、アルカリフォスファターゼまたはホースラディッシュペルオキシダーゼのような酵素であり得る。あるいは、標識は、標識化合物または標識低分子(酵素阻害剤のような)であり得、それは、酵素に結合するが、触媒も変化もされない。標識はまた、部分または化合物(例えば、エピトープタグ、もしくはストレプトアビジンに特異的に結合するビオチン)であり得る。ビオチンの例について、ストレプトアビジンは、上記に記述されたように標識化され、それにより、結合された標的配列に検出可能なシグナルを提供する。当該分野で公知のように、非結合標識ストレプトアビジンは、分析前に除去される。
当業者に理解されるように、これらのアッセイは、直接的なハイブリダイゼーションアッセイであり得るか、または「サンドイッチアッセイ」(それは多くのプローブの使用を含み、概して米国特許第5,681,702号、同第5,597,909号、同第5,545,730号、同第5,594,117号、同第5,591,584号、同第5,571,670号、同第5,580,731号、同第5,571,670号、同第5,591,584号、同第5,624,802号、同第5,635,352号、同第5,594,118号、同第5,359,100号、同第5,124,246号および同第5,681,697号(これらの全てが本明細書中で参考として援用される)に概要が述べられている)を包含し得る。本実施形態において、一般的に、標的核酸は、上記に概要が述べられているように調製され、次いで、ハイブリダイゼーション複合体を形成をさせる条件下で、複数の核酸プローブを含むバイオチップに添加される。
多様なハイブリダイゼーションの条件が、本発明で使用され得、上記に概要が述べられているような高ストリンジェンシー条件、中程度ストリンジェンシー条件および低いストリンジェンシー条件を包含する。アッセイは、概してストリンジェンシー条件下で実施され、これは、標的の存在下のみで標識プローブハイブリダイゼーション複合体を形成させる。ストリンジェンシーは、工程パラメータ(熱力学的変数であり、温度、ホルムアミド濃度、塩濃度、カオトロピック塩濃度pH、有機溶媒濃度等が挙げられるが、これらに限定されない)を変えることにより制御され得る。
これらのパラメータはまた、概して米国特許第5,681,697号に概要が述べられているように、非特異的な結合を制御するために使用され得る。従って、非特異的な結合を減少するため、より高いストリンジェンシー条件で特定の工程を実施することが望ましくあり得る。
本明細書中で概要が述べられた反応は、当業者に理解されるように、多様な方法で達成され得る。反応の構成要素は、任意の順序で、同時にまたは連続的に添加され得、好ましい実施形態は、以下に概要を述べられる。さらに、反応は、アッセイに含有され得る多くの他の試薬を含有し得る。これらは、塩、緩衝液、中性タンパク質(例えば、アルブミン)、界面活性剤等の様な試薬を含み、これらは最適なハイブリダイゼーションおよび検出を容易にするために使用され得、そして/または非特異的な相互作用もしくはバックグラウンドの相互作用を減少するために使用され得る。また、アッセイの効率を別な方法で改善する試薬(プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗微生物剤などのような)が使用され得、それはサンプル調製法および標的の純度に依存する。さらに、固相または液体ベースの(すなわちキネティックPCR)いずれかのアッセイが使用され得る。
一度そのアッセイが実施されると、データは、個々の遺伝子の発現レベル、および状態の間の発現レベルの変化を決定するために分析され、遺伝子発現プロファイルを形成する。
好ましい実施形態において、診断用途および予後用途に関しては、任意の一つの状態で重要な差次的に発現された遺伝子または変異遺伝子を同定した後、スクリーニングが、遺伝子個々の発現を変えるために実施され得る。すなわち、単一遺伝子発現の制御を調節するためのスクリーニングが行われ得る。このように、例えば、特にその存在または非存在が2つの状態の間で独特である標的遺伝子の場合において、スクリーニングは標的遺伝子発現の調節因子に対して行われる。
さらに、スクリーニングは、候補因子に応答して誘導される新規遺伝子について行われ得る。正常な発現パターンを導くCA発現パターンを抑制する能力または正常組織からの遺伝子発現を模倣するように1つのCA遺伝子発現プロファイルを調節するその能力に基づいて候補因子を同定した後、上記に記述されるようなスクリーニングが、その因子に応答して特に調節される遺伝子を同定するために実施され得る。正常組織と因子で処理されたCA組織との間で発現プロファイルを比較することは、正常組織またはCA組織で発現されないが因子で処理された組織で発現される遺伝子を明らかにする。これらの因子特異的な配列は、同定され得、そしてCA遺伝子またはCAタンパク質について本明細書で記述された任意の方法により使用され得る。特に、これらの配列およびそれらがコードするタンパク質は、因子で処理された細胞に目印をつけるかまたは同定することにおける用途を発見する。さらに、抗体が、因子誘導タンパク質に対して惹起され得、そして、処理されたCA組織サンプルに対して新規治療薬を標的化するために使用され得る。
このように、一つの実施形態において、このように関連したCA発現プロファイルを有する候補因子が、CA細胞集団に対して投与される。本明細書中の「投与」または「接触」は、候補因子が、摂取および細胞内作用、または細胞表面での作用のいずれかにより、因子が細胞に作用するようにする様式で細胞に添加されることを意味する。ある実施形態において、タンパク質様候補因子(すなわちペプチド)をコードする核酸は、ウイルス構築物(例えば、レトロウイルス構築物)に入れられ得、そして、細胞に添加され、その結果、ペプチド因子の発現が達成される(PCT US97/01019を参照のこと、本明細書中で参考として明示的に援用される)。
一旦、候補因子が細胞に投与されると、所望される場合に細胞は洗浄され得、そして、いくらかの期間好ましい生理条件下でインキュベートされる。次いで、本明細書で概要を述べたように、細胞が回収され、新しい遺伝子発現プロファイルが生成される。
このように、例えば、CA組織は、CA表現型を減少するかまたは抑制する因子についてスクリーニングされ得る。少なくとも一つの遺伝子の発現プロファイルの変化は、因子がCA活性に対する効果を有すことを示す。CA表現型に対するこのようなサイン(signature)を規定することにより、その表現型を変える新しい薬物のスクリーニングが考案され得る。このアプローチの場合、薬物の標的は公知である必要はなく、元々の発現スクリーニングプラットフォームにおいて示される必要もなく、標的タンパク質についての転写レベルが変化する必要もない。
好ましい実施形態において、上記で概要を述べたように、スクリーニングは個々の遺伝子および遺伝子産物(タンパク質)に対して実施され得る。すなわち、特定の状態において重要であるような特に差次的に発現される遺伝子が同定された後、その遺伝子または遺伝子産物それ自身の発現のいずれかの調節因子のスクリーニングが行われ得る。差次的に発現された遺伝子の遺伝子産物は、時々、本明細書中で「CAタンパク質」または「CAP」といわれる。CAPは、フラグメントであり得るか、あるいは、表1の核酸によりコードされる全長タンパク質またはフラグメントであり得る。好ましくは、CAPは、フラグメントである。別の実施形態において、配列は、さらに本明細書に記述されているような配列改変体である。
好ましくは、CAPは、約14〜24のアミノ酸長のフラグメントである。さらに好ましくは、フラグメントは可溶性フラグメントである。好ましくは、フラグメントは、非膜貫通領域を含む。好ましい実施形態において、フラグメントは、溶解性を補助するためにN末端にCysを有する。一つの実施形態において、フラグメントのc末端は、遊離酸として保たれ、N末端は、(例えば、システインに対する)結合を補助するための遊離アミンである。
一つの実施形態において、CAタンパク質は、本明細書中で検討されているように、免疫原性因子に結合体化される。一つの実施形態において、CAタンパク質は、BSAに結合体化される。
好ましい実施形態において、スクリーニングは、PRLRのようなCA遺伝子の発現産物の生物学的機能を変えるために実施される。また、特定の状態にある遺伝子の重要性を同定された後、遺伝子産物を結合し、そして/または遺伝子産物の生物学的活性を調節する因子についてのスクリーニングは、以下にさらに十分に概要を述べるように実行され得る。
好ましい実施形態において、スクリーニングは、CAタンパク質に結合し得る候補因子をまず見つけるように設計され、次いで、これらの因子は、CAP活性および癌腫表現型を調節する候補因子の能力を評価するアッセイにおいて使用され得る。このように、当業者に理解されるように、実施され得る多くの様々なアッセイ(結合アッセイおよび活性アッセイ)が存在する。
好ましい実施形態において、結合アッセイが実施される。一般的に、精製または単離された遺伝子産物が使用される;すなわち、一つ以上のCA核酸の遺伝子産物が生成される。一般的に、これは、当該分野に公知であるように実施される。例えば、抗体が、タンパク質遺伝子産物に対して産生され、標準免疫アッセイは、存在するタンパク質量を決定するために実行される。あるいは、CAタンパク質を含む細胞が、アッセイに使用され得る。
このように、好ましい実施形態において、方法は、CAタンパク質と候補生物活性因子とを合わせる工程、およびCAタンパク質への候補因子の結合を決定する工程を包含する。好ましい実施形態はヒトまたはマウスのCAタンパク質を利用するが、他の哺乳動物タンパク質をまた、例えば、ヒト疾患の動物モデルの開発のために使用され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に概要が述べられるように、改変体または誘導体のCAタンパク質が使用され得る。
概して、本明細書中の方法の好ましい実施形態において、CAタンパク質または候補因子は、単離されたサンプル受容領域(例えば、マイクロタイタープレート、アレイなど)を有する、不溶性支持体に非拡散的に結合される。この不溶性支持体は、任意の組成物から生成され得、これらの組成物は、この支持体に結合され得、可溶性物質から容易に分離され、そうでなければ、全般的なスクリーニング方法と適合性である。このような支持体の表面は、中実または多孔性であり得、任意の都合のよい形状である。適切な不溶性支持体の例としては、マイクロタイタープレート、アレイ、メンブレンおよびビーズが挙げられる。これらは、代表的には、ガラス、プラスチック(例えば、ポリスチレン)、多糖類、ナイロンもしくはニトロセルロース、TeflonTMなどから生成される。マイクロタイタープレートおよびアレイは、特に都合がよい。なぜなら、少量の試薬およびサンプルを用いて、膨大な数のアッセイが同時に実行され得るからである。組成物の特定の結合様式は、本発明の試薬および全般的な方法と適合性であり、組成物の活性を維持し、そして、非拡散性である限り、重要ではない。好ましい結合方法としては、抗体(タンパク質が支持体に結合される場合、リガンド結合部位または活性化配列のいずれも立体的にブロックしない)、「粘着性」支持体またはイオン性支持体への直接結合、化学的架橋、表面上でのタンパク質または因子の合成などの使用が挙げられる。タンパク質または因子の結合後、過剰の非結合性材料は洗浄により除去される。次いで、サンプル受容領域は、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインまたは他の無害なタンパク質もしくは他の成分とのインキュベーションによりブロック化され得る。
好ましい実施形態において、CAタンパク質は支持体に結合され、そして候補生物活性因子は、アッセイに添加される。あるいは、候補因子は、支持体に結合され、CAタンパク質が添加される。新規結合因子としては、特定の抗体、化学ライブラリーのスクリーニングで同定された非天然の結合因子、ペプチドアナログなどが挙げられる。ヒト細胞に対して低い毒性を有する因子についてのスクリーニングアッセイは特に興味深い。広範囲の多様なアッセイが、この目的のために使用され得、このアッセイとしては、標識化インビトロタンパク質−タンパク質結合アッセイ、電気泳動移動度シフトアッセイ、タンパク質結合についての免疫アッセイ、機能的アッセイ(リン酸化アッセイなど)などが挙げられる。
CAタンパク質への候補生物活性因子の結合の決定は、多くの方法で実施され得る。好ましい実施形態において、候補生物活性因子は標識され、結合が直接的に決定される。例えば、これは、固体支持体にCAタンパク質の全てまたは一部を結合することにより、標識化候補因子(例えば、蛍光標識)を添加すること、過剰な試薬を洗い流すこと、そして標識が固体支持体上に存在するかどうかを決定することにより、実施され得る。多様なブロッキング工程および洗浄工程が、当該分野で公知であるように利用され得る。
本明細書中の「標識化」は、検出可能なシグナルを提供する標識(例えば、放射線同位体、蛍光体、酵素、抗体、磁気粒子のような粒子、化学発光体または特異的な結合分子など)を用いて、化合物が直接的または間接的のいずれかで標識化されることを意味する。特異的な結合分子は、ビオチンとストレプトアビジンや、ジゴキシンと抗ジゴキシンなどのような対を含む。特異的な結合メンバーについて、相補的なメンバーは、通常、上に概要を述べたように、公知の手順に従って、検出を提供する分子を用いて標識化される。標識は、検出可能なシグナルを直接的または間接的に与え得る。
ある実施形態において、構成要素の一つのみが標識化される。例えば、タンパク質(またはタンパク様候補因子)は、125Iまたは発蛍光団を用いてチロシン位で標識され得る。あるいは、1個より多くの成分が、異なる標識を用いて(例えば、タンパク質について125Iを用いて、そして候補因子について蛍光体を用いて)標識され得る。
好ましい実施形態において、候補生物活性因子の結合は、競合結合アッセイの使用により決定される。この実施形態において、競合剤は、標的分子(すなわち、CAタンパク質)に結合することが公知の結合部分(例えば、抗体、ペプチド、結合パートナー、リガンドなど)である。特定の状況下で、生物活性因子と結合部分との間で生物活性因子を置換する結合部分との競合的結合が存在し得る。
ある実施形態において、候補生物活性因子は標識される。候補生物活性因子または競合剤のいずれか、あるいはその両方が、存在する場合には結合させるのに十分な時間の間、タンパク質にまず添加される。インキュベーションは、最適の活性を容易にする任意の温度(代表的には4℃〜40℃の間)で実施され得る。インキュベーション期間は、最適の活性について選択されるが、また、迅速なハイスループットスクリーニングを容易にするために最適化もされ得る。代表的に、0.1〜1時間の間が十分である。過剰の試薬は、概して除去されるかもしくは洗い流される。次いで、第2番目の成分要素が添加され、標識された成分の存在もしくは非存在が追跡され、結合を示す。
好ましい実施形態において、競合剤が、まず添加され、その後、候補生物活性因子が添加される。競合剤の置換は、候補生物活性因子がCAタンパク質に結合していることを示し、従って、CAタンパク質に結合し得、CAタンパク質の活性を潜在的に調節し得る。この実施形態において、いずれかの成分が標識され得る。従って、例えば、競合剤が標識化される場合、洗浄溶液中の標識の存在は、その因子による置換を表す。あるいは、候補生物活性因子が標識される場合、支持体上の標識の存在は、置換を表す。
代替的な実施形態において、候補生物活性因子がまず添加され、インキュベーションおよび洗浄を行い、その後、競合剤が添加される。競合剤による結合の非存在は、生物活性因子がより高い親和性でCAタンパク質と結合される、ということを表し得る。従って、候補生物活性因子が標識される場合、支持体上の標識の存在は、競合剤結合の欠如と合わせて、候補因子がCAタンパク質に結合し得ることを表し得る。
好ましい実施形態において、この方法は、CAタンパク質の活性を調節し得る生物活性因子を同定するために、差次的スクリーニング工程を包含する。この実施形態において、この方法は、第1サンプル中の、CAタンパク質と競合剤とを組み合わせる工程を包含する。第2サンプルは、候補生物活性因子、CAタンパク質および競合剤を含む。競合剤の結合が、両サンプルについて決定され、そして2つのサンプル間の結合の変化または相違は、CAタンパク質に結合し得る因子の存在、およびその活性を潜在的に調節することを表す。すなわち、競合剤の結合が、第1サンプルに比べて第2サンプルにおいて異なる場合、その因子は、CAタンパク質に結合し得る。
あるいは、好ましい実施形態は、ネイティブなCAタンパク質に結合するが改変されたCAタンパク質に結合し得ない、薬物候補を同定するために差次的スクリーニングを利用する。CAタンパク質の構造は、モデル化され得、その部位と相互作用する因子を合成するために、合理的な薬物設計において使用され得る。CA生物活性に影響を及ぼす薬物候補はまた、タンパク質の活性を増強または減少のいずれかをする能力について、薬物をスクリーニングすることにより同定される。
ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールは、アッセイにおいて使用され得る。好ましくは、全てのコントロールおよび試験サンプルは、統計上有意な結果を得るために、少なくとも三連で実施される。全てのサンプルのインキュベーションは、タンパク質に因子を結合するために十分な時間の間である。インキュベーション後、全てのサンプルは、非特異的に結合された材料を含まないように洗浄され、そして結合された(概して、標識された因子)量が決定される。例えば、放射標識が使用される場合で、サンプルは、結合化合物量を決定するために、シンチレーションカウンターで計数され得る。
多様な他の試薬は、スクリーニングアッセイにおいて包まれ得る。これらは、試薬(塩、中性タンパク質(例えば、アルブミン)、界面活性剤など)を含み、それは、最適なタンパク質−タンパク質結合を容易にし、そして/または非特異的な相互作用もしくはバックグラウンド相互作用を減らすために使用され得る。そうでなければ、アッセイの効率を改善する試薬(プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗微生物剤など)もまた、使用され得る。成分の混合物は、必須の結合を提供する任意の順番で添加され得る。
CAタンパク質の活性を調節する因子のスクリーニングもまた、実施され得る。好ましい実施形態において、CAタンパク質の活性を調節し得る生物活性因子をスクリーニングする方法は、上述のように、CAタンパク質のサンプルに候補生物活性因子を添加する工程およびCAタンパク質の生物学的活性の変化を決定する工程を包含する。「CAタンパク質の活性を調節する」ことは、活性の増大;活性の減少、または存在する活性の型もしくは種類の変化を包含する。このように、この実施形態において、候補因子は、CAタンパク質と結合すること(これは必要というわけではないが)および本明細書中に規定されるその生物学的活性または生化学的な活性を変えること、の両方をすべきである。この方法は、CAタンパクの存在、分布、活性または量の変化について、インビトロのスクリーニング方法(概して上に概要が述べられるように)およびインビボの細胞スクリーニングの両方を包含する。
従って、この実施形態において、この方法は、CAサンプルと候補生物活性因子とを組み合わせる工程、およびCA活性に対する効果を評価する工程を包含する。本明細書中において「CA活性」または文法的な同義語は、CAタンパク質の生物学的活性(腫瘍形成(細胞分裂、好ましくはリンパ組織における細胞分裂、細胞増殖、腫瘍増殖および細胞の形質転換を包含する)が挙げられるがこれらに限定されない)におけるその役割のうちの一つを意味する。一つの実施形態において、CA活性は、表1の核酸によりコードされるタンパク質の活性化、または、表1の核酸によりコード化されたタンパク質による活性化を包含する。CA活性の阻害剤は、任意の一つ以上のCA活性の阻害である。
好ましい実施形態において、CAタンパク質の活性は増大される;別の好ましい実施形態において、CAタンパク質の活性は減少される。従って、アンダゴニストである生物活性因子は、いくつかの実施形態において好ましく、アゴニストである生物活性因子は、他の実施形態において好ましくあり得る。
好ましい実施形態において、本発明は、CAタンパク質の活性を調節し得る生物活性因子をスクリーニングするための方法を提供する。本方法は、CAタンパク質を含む細胞に、上に規定されるような候補生物活性因子を添加する工程を包含する。好ましい細胞型は、ほとんどの任意の細胞を含む。この細胞は、CAタンパク質をコードする組換え核酸を含む。好ましい実施形態において、候補因子のライブラリーは、複数の細胞に対して試験される。
一つの局面において、このアッセイは、生理学的なシグナル(例えば、ホルモン、抗体、ペプチド、抗原、サイトカイン、増殖因子、活動電位、化学療法剤を包含する薬理学的な因子、放射線、発癌剤、または他の細胞(すなわち、細胞と細胞との接触))の存在下または非存在下、あるいはこれらの生理学的なシグナルの曝露前または曝露後で評価される。別の実施例において、決定因子は、細胞周期過程の異なる段階で決定される。
このようにして、生物活性因子は同定される。薬理学的な活性を有する化合物は、CAタンパク質の活性を増強し得るか、または妨害し得る。
一つの実施形態において、癌腫癌細胞分裂を阻害する方法が提供される。本方法は、癌腫癌阻害剤の投与を包含する。
好ましい実施形態において、リンパ腫癌腫細胞分裂を阻害する方法を提供し、この方法は、リンパ腫癌腫阻害剤の投与を包含する。
好ましい実施形態において、乳癌癌腫細胞分裂を阻害する方法を提供し、この方法は、乳癌癌腫阻害剤の投与を包含する。
別の実施形態において、腫瘍増殖を阻害する方法が提供される。本方法は、癌腫癌阻害剤の投与を包含する。特に好ましい実施形態において、リンパ組織において腫瘍増殖を阻害する方法を提供し、この方法は、リンパ腫阻害剤の投与を包含する。
別の実施形態において、腫瘍増殖を阻害する方法が提供される。本方法は、癌腫癌阻害剤の投与を包含する。特に好ましい実施形態において、哺乳動物組織において腫瘍増殖を阻害する方法を提供し、この方法は、乳癌阻害剤の投与を包含する。
さらなる実施形態において、細胞を処理する方法または癌を有する個体を処置する方法が提供される。本方法は、癌腫癌阻害剤の投与を包含する。一つの実施形態において、癌腫は乳癌癌腫である。代替の実施形態において、癌腫はリンパ腫である。
一つの実施形態において、癌腫性癌阻害剤は、上記で検討されたような抗体である。別の実施形態において、癌腫癌阻害剤は、アンチセンス分子である。本明細書中で使用される場合、アンチセンス分子は、癌腫性癌分子についての標的mRNA(センス)配列または標的DNA(アンチセンス)配列に結合し得る一本鎖核酸配列(RNAまたはDNAのいずれか)を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはセンスオリゴヌクレオチドを含む。本発明に従うアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはセンスオリゴヌクレオチドは、概して、少なくとも約14ヌクレオチドのフラグメント、好ましくは約14〜30ヌクレオチドのフラグメントを含む。所定のタンパク質をコードするcDNA配列に基づく、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはセンスオリゴヌクレオチドを誘導する能力は、以下に記述される:例えば、Stein and Cohen, Cancer Res.48:2659,(1988)およびvan der Krolら、BioTechniques 6:958,(1988)。
アンチセンス分子は、リガンド結合分子を用いた結合体形成により、標的ヌクレオチド配列を含む細胞に導入され得る(WO91/04753に記載)。適切なリガンド結合分子は、限定されないが、細胞表面レセプター、成長因子、他のサイトカイン、または細胞表面レセプターに結合する他のリガンドを包含する。好ましくは、リガンド結合分子の結合体は、リガンド結合分子が、その対応する分子もしくはレセプターに結合する能力を実質的に妨げないか、または、センスセンスオリゴヌクレオチドもしくはアンチセンスオリゴヌクレオチド、もしくはその結合体バージョンの細胞への進入をブロックしない。あるいは、センスセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド脂質複合体の形成により、標的核酸配列を含む細胞へ導入され得る(WO90/10448に記載)。アンチセンス分子またはノックアウトモデルおよびノックインモデルの使用はまた、処理方法に加えて、上記で検討されているような、スクリーニングアッセイで使用され得ることが理解される。
所望の薬理活性を有する化合物は、前述したように、宿主に対して生理学的に受容可能なキャリア中で投与され得る。薬剤は、多様な方法、経口、非経口(例えば、皮下、腹腔内、脈管内など)で投与され得る。導入方法により、化合物は、多様な方法で処方され得る。処方物中の、治療活性化合物の濃度は、約0.1〜100%(重量/体積)で変動し得る。薬剤は、単独、または他の処置(すなわち、放射線)と組み合わせて投与され得る。
薬学的組成物は、多様な形態(例えば、顆粒、錠剤、丸剤、坐剤、カプセル、懸濁剤、軟膏剤、ローション剤など)で調製され得る。経口および局所の使用に適した、医薬品等級の有機または無機のキャリアおよび/または希釈剤は、治療活性化合物を含む組成物を構成するために使用され得る。当該分野に公知の希釈剤としては、水性媒体、植物および動物油、および脂肪が挙げられる。安定化剤、湿潤剤および乳化剤、浸透圧を変える塩、または適切なpH値に安定化するための緩衝液および皮膚浸透増強剤は、補助剤として使用され得る。
理論に束縛されないが、種々のCA配列は、癌腫において重要であるようである。従って、変異体または改変体のCA遺伝子に基づいた障害が、決定され得る。一つの実施形態において、本発明は、細胞において少なくとも一つの内因性CA遺伝子の配列の全部または一部を決定することを包含する、改変体CA遺伝子を含む細胞を同定するための方法を提供する。当業者により理解されるように、これは、任意の数の配列決定の技術を使用して行われ得る。好ましい実施形態において、本発明は、個体の少なくとも一つのCA遺伝子(例えば、PRLR)の配列の全部または一部を決定することを包含する、個体のCA遺伝子型を同定する方法を提供する。これは、概して、少なくとも一つの個体組織において実施され、多くの組織または同一組織の異なるサンプルの評価を包含し得る。この方法は、配列決定されたCA遺伝子の配列と公知のPRLRのようなCA遺伝子(すなわち、野生型遺伝子)とを比較することを包含し得る。当業者により理解されるように、ある癌遺伝子の配列における変化は、疾患の存在または疾患を発生する傾向、または予後評価のいずれかの指標であり得る。
次いで、CA遺伝子(例えば、PRLR)の全部または一部の配列は、なんらかの相違が存在するか否かを決定するために公知のCA遺伝子の配列と比較され得る。これは、任意の数の公知の相同性プログラム(例えば、Bestfitなど)を用いて、実施され得る。好ましい実施形態において、患者のCA遺伝子(例えば、PRLR)と公知CA遺伝子との間の配列における相違の存在は、本明細書で概要が述べられているように、疾患状態の指標または疾患状態についての傾向の指標である。
好ましい実施形態において、CA遺伝子は、ゲノムにおけるPRLRのようなCA遺伝子のコピー数を決定するためのプローブとして使用され得る。例えば、いくつかの癌は、染色体欠失または染色体挿入を呈し、その結果、遺伝子のコピー数が変化する。
別の好ましい実施形態において、CA遺伝子は、CA遺伝子の染色体位置を決定するためのプローブとして使用される。特に染色体異常(例えば、転座など)などがCA遺伝子座(例えば、PRLR遺伝子座)で同定された際、染色体位置のような情報は、診断または予後診断を提供する有効性を見出す。
このように、一つの実施形態において、細胞または生物でのCAを調節する方法を提供する。一つの実施形態において、この方法は、内因性CAタンパク質の生物学的活性を減少または排除する抗CA抗体を細胞に投与することを包含する。あるいは、この方法は、CAタンパク質をコードする組換え核酸を、細胞または生物に投与することを包含する。当業者により理解されるように、これは、任意の数の方法で実行され得る。好ましい実施形態において、例えば、CA配列が癌腫においてダウンレギュレーションされた際、例えば、公知の遺伝子治療技術を用いて、細胞内のCA量の増加(例えば、内因性CAを過剰発現することにより、またはCA配列をコードする遺伝子を投与することにより)により、CA遺伝子の活性は増大される。好ましい実施形態において、遺伝子治療技術は、増強された相同組換え(EHR)(例えば、PCT/US93/03868(本明細書中で全体が参考として援用される)に記述されるような)を用いる外因性遺伝子の組み込みを包含する。あるいは、例えばCA配列が癌腫においてアップレギュレーションされる際、内因性CA遺伝子の活性は、例えば、CAアンチセンス核酸の投与により減少される。
一つの実施形態において、本発明のCAタンパク質は、CAタンパク質に対するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を生成するために使用され得、それらの抗体は、本明細書に記載されるように有用である。同様に、CAタンパク質は、標準技術を用いて、アフィニティークロマトグラフィーカラムに結合され得る。次いで、これらのカラムは、CA抗体を精製するために使用され得る。好ましい実施形態において、この抗体は、CAタンパク質に特有のエピトープに対して生成される;すなわち、抗体は、他のタンパク質に対して、ほとんどもしくは全く交差反応を示さない。これらの抗体は、多くの適用において有用性を見出す。例えば、CA抗体は、標準アフィニティークロマトグラフィーカラムに結合され得、CAタンパク質を精製するために使用され得る。抗体はまた、CAタンパク質に特異的に結合するので、上に概要が述べられているように、ポリペプチドをブロッキングするために使用され得る。
一つの実施形態において、治療有効用量のCAまたはその調節因子は、患者に投与される。本明細書中の「治療有効用量」は、投与される効果を生じる用量を意味する。正確な用量は、処置目的に依存し、公知の技術を用いて当業者により確かめられ得る。当該分野で公知なように、CA分解、全身送達 対 局所送達および新しいプロテアーゼ合成速度、ならびに年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与回数、薬物相互作用および状態の重症度についての調整が必要であり得、当業者により慣用的な実験により確かめられ得る。
本発明の目的のための「患者」は、ヒトならびに他の動物(特に哺乳動物)および生物の双方を包含する。このように、この方法は、ヒト治療および獣医学の適用の双方に適用可能である。好ましい実施形態において、患者は哺乳動物であり、最も好ましい実施形態では、患者はヒトである。
本発明のCAタンパク質および調節因子の投与は、上で検討されたように、多様な方法(限定されていないが、経口、皮下、静脈内、鼻腔内、経皮的、腹腔内、筋肉内、肺内、膣的、直腸的または眼内を包含する)において実施され得る。いくつかの例において、例えば、創傷および炎症の処置において、CAタンパク質および調節因子が、溶液またはスプレーとして、直接適用され得る。
本発明の薬学的組成物は、患者への投与に適切な形態でCAタンパク質を含む。好ましい実施形態において、薬学的組成物は、水溶性形態(例えば、薬学的に受容可能な塩として存在する)であり、これは、酸および塩基の双方の付加塩を包含することを意味する。「薬学的に受容可能な酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的効果を保持し、そして以下の酸と生物学的には形成されず、他の点では所望される塩をいい、酸としては、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)および有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸など)である。「薬学的に受容可能な塩基付加塩」としては、無機塩基の塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩など)から誘導される塩が挙げられる。特に好ましくは、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩である。薬学的に受容可能な有機非毒性塩基から誘導される塩としては、一級、二級および三級アミンの塩、置換アミン(天然に存在する置換アミンを包含する)、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンおよびエタノールアミン)が挙げられる。
薬学的組成物はまた、以下の一つ以上を含み得る:血清アルブミンのような、キャリアタンパク質;緩衝剤;微晶性セルロース、乳糖、トウモロコシデンプンおよび他のデンプンのような、充填剤;結合剤;甘味料および他の矯味矯臭剤;着色剤;およびポリエチレングルコール。添加剤は、当該分野に周知であり、多様な処方物で使用される。
好ましい実施形態において、CAタンパク質および調節因子は、治療薬として投与され、上に概要が述べられているように、処方され得る。同様に、CA遺伝子(全長配列、部分配列の両方またはCAコード領域の調節配列を含む)は、当該分野に公知なように、遺伝子治療の適用において投与され得る。これらのCA遺伝子は、当業者により理解されるように、遺伝子治療(すなわち、ゲノムへの組み込み)として、またはアンチセンス組成物としてのいずれかで、アンチセンスの適用を包含し得る。
好ましい実施形態において、PRLRのようなCA遺伝子は、DNAワクチン(単一遺伝子またはCA遺伝子の組み合わせのいずれか)として投与される。裸のDNAワクチンは、概して当該分野で公知である、Brower,Nature Biotechnology,16:1304〜1305(1998)。
一つの実施形態において、本発明のCA遺伝子は、DNAワクチンとして使用される。DNAワクチンとしての遺伝子の使用のための方法は、当業者に対して周知であり、癌腫を有する患者における発現のためのプロモーターの制御下に、CA遺伝子またはCA遺伝子の一部を配置することを包含する。DNAワクチンで使用されるCA遺伝子は、全長CAタンパク質をコードし得るが、さらに好ましくは、CAタンパク質由来のペプチドを含むCAタンパク質の一部をコードし得る。好ましい実施形態において、患者は、CA遺伝子由来の複数のヌクレオチド配列を含むDNAワクチンで免疫される。同様に、本明細書で定義されるような、複数のCA遺伝子またはその部分を用いて、患者を免疫することが可能である。理論に束縛されないが、CAタンパク質を発現する細胞を認識しそして破壊もしくは除去する、DNAワクチンによりコードされるポリペプチドの発現、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞および抗体が、誘導される。
好ましい実施形態において、DNAワクチンは、DNAワクチンとともに、アジュバント分子をコード化する遺伝子を含む。このようなアジュバント分子は、サイトカイン(DNAワクチンによりコードされるCAポリペプチドに対する免疫原性応答を増大する)を含む。さらなるアジュバントまたは代替的なアジュバントは、当業者に公知であり、発明での有用性を見出す。
別の好ましい実施形態において、CA遺伝子は、癌腫(特に乳癌またはリンパ腫性癌腫)の動物モデルを生成する有用性を見出す。当業者により理解されるように、同定されたCA遺伝子が、CA組織内で抑制または減少される際、アンチセンスRNAがCA遺伝子に指向された遺伝子治療技術はまた、遺伝子の発現を減少または抑制する。そのように生成された動物は、生物活性薬剤候補のスクリーニングにおける有用性を見出すCAの動物モデルとして機能する。同様に、遺伝子ノックアウト技術は、例えば、適切な遺伝子標的化ベクターを用いた相同性組換えの結果として、CAタンパク質の非存在という結果をもたらす。所望ならば、CAタンパク質の組織特異的な発現またはノックアウトは、必要であり得る。
CAタンパク質が、癌腫において過剰に発現されることもまた、可能である。従って、CAタンパク質を過剰に発現するトランスジェニック動物が生成され得る。所望の発現レベルに依存して、種々の強度のプロモーターが、トランスジーンを発現するために使用され得る。また、組み込まれたトランスジーンのコピー数は、トランスジーンの発現レベルの決定のために、決定および比較され得る。このような方法により生成された動物は、CAの動物モデルとしての有用性を見出し、癌腫の処置のための生物活性分子のスクリーニングにおいてさらに有用である。
本発明のCA核酸配列は、表1に示される。各表における配列は、マウスならびにヒトの双方についての、ゲノム配列、mRNA、およびコード配列を含む。N/Aは、同定されているが、名称が割り当てられていない遺伝子を示す。異なる配列は、以下の配列番号が割り当てられている:
表1:(マウス遺伝子:Prlr;ヒト遺伝子PRLR)
マウスゲノム配列(配列番号1)
マウスmRNA配列(配列番号2)
マウスコード配列(配列番号3)
ヒトゲノム配列(配列番号4)
ヒトmRNA配列(配列番号5)
ヒトコード配列(配列番号6)