JP2004537710A - 乳癌の診断及び治療の新規方法、組成物及び乳癌調節剤用の選別方法 - Google Patents

乳癌の診断及び治療の新規方法、組成物及び乳癌調節剤用の選別方法 Download PDF

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Abstract

本明細書では乳癌の診断及び予後判定に用いることができる方法が記述される。本明細書では、また、乳癌をモジュレートする能力に関して候補生物活性物質をスクリーニングするのに利用できる方法が記述される。さらに、乳癌及びその他の癌に治療的に介入するための方法及び分子標的(遺伝子とその産物)が記述される。

Description

発明の分野
本発明は、乳癌に関する発現プロフィール及び核酸の同定に関し、そのような発現プロフィール及び核酸の乳癌診断、予後及び治療での使用に関する。本発明は更に、乳癌を調節する候補薬剤及び/又は標的の同定方法及び使用方法に関する。
発明の背景
乳癌は、欧米の人々では顕著に見られる癌である。これは正常乳房上皮組織が浸潤性癌へ病的形質転換する結果生じる。乳癌で関連した最近特徴づけられた遺伝的変化が数多くあった。しかしながら、乳癌の発生に関わる遺伝的変化を全て同定する必要はある。
診断における乳癌の撮像には問題が多く、限界があった。加えて、移動局所性リンパ節への腫瘍細胞の拡がり(転移)は重要な予後因子で、リンパ節転移がない患者の5年生存率が80%であるのにリンパ節転移がある患者では45〜50%に低下する。最近の報告では、微小転移性は癌胎児性抗体に対するmRNAの存在に基づく逆転写酵素−PCR法を用いてリンパ節から検出できることが示された。Liefers et al.,New England J.of Med.339(4):223(1998)。
このように、乳癌の診断及び予後に使える方法であればなお望まれている。学会や産業界では、新規配列を確認する努力をしてきたが新規配列の機能の確認には同じ程度の努力が行なわれていなかった。例えば、データベースは登録番号W72838の配列を示すが当該配列の機能、まして病気の状態に関するデータはない。従って、本発明で提供するのは乳癌の診断及び予後に使用できる方法である。更に、乳癌を調節する能力を有する生物活性剤候補を選別する方法を提供する。加えて本明細書には乳癌及び他の癌における治療に介在する分子標的を提供する。
発明の要旨
本発明は、乳癌を調節する組成物を選別する際の方法を提供する。また本明細書では細胞、好ましくは乳癌細胞の増殖を阻止する方法を提供する。また本明細書では癌の治療方法と共に組成物も提供する。
一つの側面では、薬物候補の選別法は発現プロフィール遺伝子又はその断片を発現する細胞の提供を含んでいる。発現プロフィール遺伝子の好ましい態様は、癌細胞、好ましくは乳癌細胞で他の細胞と比較して異なる発現をする遺伝子である。本明細書の方法における好ましい発現プロフィール遺伝子の態様にはBCR3、BCQ8、BCQ5、BCH1、BCN1、BCN2、BCN5、BCO2、BCX2、BCJ7、BCY3、BCX3、BCA2及びBCR2からなる群が含まれるが、これに限らない;当該群のタンパク質の断片も好ましい。他の態様では、核酸は図1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12から選択する。好ましい核酸は図10、より好ましくは図11及び最も好ましくは図12のものである。当該方法は薬物候補の細胞への添加及び発現プロフィール遺伝子の発現への薬物候補の効果の測定を更に含んでなる。
一つの態様では、薬物候補の選別法には薬物候補が存在する場合の発現程度と存在しない場合の発言程度の比較が含まれるが、存在する場合の薬物候補濃度は変化させることができ、比較は薬物候補の添加又は除去した後に行なわれる。好ましい態様では、当該細胞は少なくとも2種の発現プロフィール遺伝子を発現する。当該プロフィール遺伝子は増加も示せば減少も示す。
また、本明細書中では乳癌調節因子タンパク質(BCMP)に結合できる生物活性剤の選別法を提供し、当該方法にはBCMPと生物活性剤候補の結合及び候補薬剤とBCMPとの結合の測定を含む。好ましくは、BCMPはBCR3、BCQ8、BCQ5、BCH1、BCN1、BCN2、BCN5、BCO2、BCX2、BCJ7、BCY3、BCX3、BCA2及びBCR2からなる群より選択したタンパク質又はその断片である。他の一つの態様では、当該タンパク質は図1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12から選択した核酸にコード化されている。好ましい核酸は図10で、より好ましくは図11で、最も好ましくは図12のものである。
更に本明細書中にはBCMPの活性を調節することができる生物活性剤の選別する方法を提供する。一つの態様では、BCMPと生物活性候補の結合、BCMPの生物活性に対する候補薬剤の効果の測定を含む。好ましくは、BCMPはBCR3、BCQ8、BCQ5、BCH1、BCN1、BCN2、BCN5、BCO2、BCX2、BCJ7、BCY3、BCX3、BCA2及びBCR2からなる群より選択したタンパク質又は断片である。他の態様では、当該タンパク質は図1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12から選択した核酸にコード化されている。好ましい核酸は図10で、より好ましくは図11で、最も好ましくは図12のものである。
また、本明細書中ではBCMPを発現又は過剰発現するトランスジェニック動物或いは例えば遺伝子ノックアウトの結果の如きBCMP欠損動物への投与を含む乳癌治療薬候補の効果を評価する方法を提供する。
加えて、本明細書では当該薬物を患者に投与すること及び当該患者から細胞試料を除去することを含んだ乳癌治療薬候補の効果評価法を提供する。そして当該細胞の表現プロフィールを測定する。本方法は更に当該プロフィールと正常者の発現プロフィールとの比較を含んでなる。
更に、本明細書では好ましくはBCR3、BCQ8、BCQ5、BCH1、BCN1、BCN2、BCN5、BCO2、BCX2、BCJ7、BCY3、BCX3、BCA2及びBCR2或いはその断片からなる群から選択した乳癌タンパク質をコードしている核酸切片を含むバイオチップを提供し、そこにおけるバイオチップは1000より少ない核酸のプローブを含んでなる。好ましくは少なくとも2つの核酸切片が含まれている。他の態様では、核酸は図1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及又は12から選択されたものである。好ましい核酸は図10、より好ましくは図11及び最も好ましくは図12のものである。
更に、乳癌に関連した障害を診断する方法を提供する。当該方法は、一番目の個人の一番目の組織タイプにある乳癌タンパク質、好ましくはBCR3、BCQ8、BCQ5、BCH1、BCN1、BCN2、BCN5、BCO2、BCX2、BCJ7、BCY3、BCX3、BCA2及びBCR2或いはその断片からなる群から選択した乳癌タンパク質をコード化した遺伝子の発現の測定、そして最初の個人或いは二番目の個人から得た二番目の正常組織タイプの遺伝子発現への分布の比較を含んでなる。他の態様では、図1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及又は12から選択した核酸が当該タンパク質をコードしている。好ましい核酸は図10、更に好ましくは図11及び最も好ましくは図12の中のものである。発現での差異は、最初の個人が乳癌に関係した障害を有していることを示す。
他の側面では本発明は、好ましくはBCR3、BCQ8、BCQ5、BCH1、BCN1、BCN2、BCN5、BCO2、BCX2、BCJ7、BCY3、BCX3、BCA2及びBCR2或いはその断片からなる群から選択した乳癌タンパク質に特異的に結合する抗体を提供する。他の態様では、当該タンパク質は図1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及又は12から選択した核酸によりコード化されたタンパク質である。好ましい核酸は図10、より好ましくは図11そして最も好ましくは図12にあるものである。好ましい態様では、BCH1の断片はBCH1p1及びBCH1p2から選択したものである。乳癌タンパク質として他の好ましい断片は図の中に示した。好ましくは、抗体はモノクローナル抗体である。抗体は本明細書に記載した一重鎖抗体のような抗体の断片や他の分子との抱合体でありうる。他の態様では、当該抗体はヒト化抗体である。
他の態様では、乳癌タンパク質(BCMP)又はその断片との結合を阻害することができる生物活性剤及び前記BCMP又はその断片と結合する抗体を選択する方法を提供する。好ましい態様では、当該方法はBCMP又はその断片、生物活性剤候補及び前記BCMP又はその断片に結合する抗体の組合せを含んでなる。当該方法は更に前記BCMP又はその断片と前記抗体の結合の測定を含む。結合に変化がある場合、薬剤は阻害剤と確認される。阻害剤は作動薬であるか拮抗薬でありうる。好ましくは、抗体は当該薬と共に乳癌を阻害する。
更なる側面では、乳癌を阻害する方法を提供する。一つの態様では、当該方法では好ましくはBCR3、BCQ8、BCQ5、BCH1、BCN1、BCN2、BCN5、BCO2、BCX2、BCJ7、BCY3、BCX3、BCA2及びBCR2或いはその断片からなる群から選択した乳癌調整タンパク質に抗体を含んだ組成物の細胞への投与を含んでなる。他の一つの態様では、当該タンパク質は図1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及又は12から選択した核酸にコード化されている。好ましい核酸は図10、より好ましくは図11、そして最も好ましくは図12にある。
当該方法はin vitro又はin vivoで実施できるが、個体へのin vivoが好ましい。好ましい態様では、当該乳癌阻害の方法は乳癌の個体に提供される。本明細書に記載の如く、乳癌阻害の方法はアンチセンス分子や好ましくは小分子を含む乳癌タンパク質活性の阻害剤を投与して実施できる。
同時に、本明細書では個体の中の免疫応答を引き出す方法を提供する。一つの態様では、本明細書で提供する方法は個体に、好ましくはBCR3、BCQ8、BCQ5、BCH1、BCN1、BCN2、BCN5、BCO2、BCX2、BCJ7、BCY3、BCX3、BCA2及びBCR2或いはその断片から構成された群から選択した乳癌調節タンパク質を含む組成物の投与を含んでなる。他の態様では、当該タンパク質は図1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及又は12から選択した核酸にコード化されている。好ましい核酸は、図10、好ましくは図11、最も好ましくは図12のものである。他の側面では前記組成物は、好ましくはBCR3、BCQ8、BCQ5、BCH1、BCN1、BCN2、BCN5、BCO2、BCX2、BCJ7、BCY3、BCX3、BCA2及びBCR2或いはその断片から構成された群から選択した乳癌調節タンパク質をコード化した配列を含む核酸を含有する。他の態様では、核酸は図1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及又は12から選択する。好ましい核酸は、図10、より好ましくは図11及び最も好ましくは図12にあるものである。
更に本明細書では個体の免疫応答を誘起する能力のある組成物を提供する。一つの態様では、本明細書で提供した組成物には、好ましくはBCR3、BCQ8、BCQ5、BCH1、BCN1、BCN2、BCN5、BCO2、BCX2、BCJ7、BCY3、BCX3、BCA2及びBCR2或いはその断片から構成された群から選択した乳癌調節タンパク質及び薬剤許容担体を含んでなる。他の態様では、当該タンパク質は図1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及又は12から選択した核酸によりコード化されている。好ましい核酸は、図10、より好ましくは図11及び最も好ましくは図12にあるものである。他の態様では前記組成物は、好ましくはBCR3、BCQ8、BCQ5、BCH1、BCN1、BCN2、BCN5、BCO2、BCX2、BCJ7、BCY3、BCX3、BCA2及びBCR2或いはその断片から構成された群から選択した乳癌調節タンパク質をコードしている配列を含む核酸及び薬剤許容担体を含有する。他の態様では、核酸は図1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及又は12から選択する。好ましくは、核酸は、図10、より好ましくは図11及び最も好ましくは図12にあるものである。
好ましくはBCR3、BCQ8、BCQ5、BCH1、BCN1、BCN2、BCN5、BCO2、BCX2、BCJ7、BCY3、BCX3、BCA2及びBCR2或いはその断片から構成された群から選択した乳癌調節タンパク質の効果を中和する方法も提供する。好ましくは、該当方法は前記タンパク質と前記タンパク質に特異的薬剤を、中和するのに充分な量での接触を含んでなる。他の態様では、当該タンパク質は図1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及又は12から選択した核酸によりコードされている。好ましい核酸は図10、より好ましくは図11及び最も好ましくは図12にあるものである。
本発明の他の側面では、個体の乳癌の治療法を提供する。一つの態様では、当該方法は前記個体へのBCH1の阻害剤投与を含んでなる。他の態様では、当該個体は抗エストロゲン薬に対して応答無しで、エストロゲン受容体について陽性である。場合により、当該方法は更に抗エストロゲン薬の前記個体への投与を含んでなる。
また、本明細書は乳癌の個体の予後を試料中に存在するBCH1、BCH1のレベルが高いと予後が良くないことを示す、のレベルの測定を提供する。その上、本発明の他の側面では、乳癌である個体が抗エストロゲン薬治療に無応答かどうかを、高レベルであれば個体は無応答であるBCH1のレベル測定を含んだ方法を提供する。好ましくは、本明細書の方法はタモキシフェン抵抗であるヒトを確認する際に使用される。
本明細書には新規の配列も提供される。本発明の他の側面については、以下の発明の記述で当事者であれば明らかである。
本発明の詳細な記載
本発明は、乳癌の診断及び予後評価する際の新規方法と共に乳癌を調節する組成物を選別する方法を提供する。一つの側面では、診断又は予後情報のどちらか必要な異なる患者の試料につき遺伝子の発現レベルを測定し、発現プロフィールを提供する。ある試料の発現プロフィールは当該試料の状態の“指紋”である;二つの状態で、同様な発現をするなにか特別な遺伝子を持つかもしれないが、多くの遺伝子を同時に評価すると細胞の状態に特有な遺伝子発現プロフィールの発生を起こす。これで、正常組織と乳癌組織とは区別されるだろうし、乳癌組織内では異なる予後状態(例えば、長期間生存見通しが有るか乏しいか)が測定できる。既知の異なる状態にある乳癌組織の発現プロフィールを比較すれば、それらの各状態では何れの遺伝子が重要であるか(遺伝子の上昇制御及び下降制御を含めて)の情報が得られる。乳癌と正常組織で異なって発現する配列と共に異なる予後結果を生じる異なる発現を確認すれば、数多くの方法でその情報が使用できる。例えば、ある治療方式の評価を評価できる:ある患者の長期予後を改善する際に化学療法薬物が効果あるか。同様に、既知の発現プロフィールにより患者の試料と比較して診断ができ又は確認できる。更に、これらの遺伝子発現プロフィール(各個の遺伝子につき)はある発現プロフィールを模倣又は変化させることを目的として薬物候補を選別できる。:例えば、乳癌発現プロフィールを抑制するか又は悪い予後プロフィールを良い予後プロフィールへ変換する薬物の選別。これは重要な乳癌遺伝子の1群を含み、これらの選別に用いることができるバイオチップを作成することで行なわれる。これらの方法はタンパク質を基礎にしてもでき、即ち乳癌タンパク質の表現レベルを評価して診断及び予後目的に又は候補薬剤の選別もできる。加えて、アンチセンス核酸の投与或いは治療薬として乳癌タンパク質(抗体及び他のその調節剤を含む)の投与を含み、遺伝治療目的で乳癌核酸配列の投与ができる。
かくして、本発明は乳癌の中で異なって発現する核酸及びタンパク質配列で、本明細書では“乳癌配列”と名付けたものを提供する。以下に概説したように、乳癌配列には、乳癌中で上昇制御(即ち、高レベルで発現)するものと共に乳癌中で下降制御(即ち、低レベルで発現)されたものを含む。好ましい態様では、乳癌配列はヒトから由来のものである:しかし当技術分野の者であれば理解するように、他の生物からの乳癌配列は病気の動物モデル及び薬物評価で有用である:そこで、げっ歯類(ラット、マウス、ハムスター、モルモット、その他)、霊長類、家畜(羊、ヤギ、ブタ、乳牛、馬、その他)などの哺乳類を含んだ脊椎動物からの他の乳癌配列も提供する。他の生物からの乳癌配列は以下に概要を述べる技術を用いて得られる。
乳癌配列は核酸配列及びアミノ酸配列の両方を含むことができる。好ましい態様では、乳癌配列は組換え核酸である。本明細書での“組換え核酸”という単語は、もともと一般的にポリメラーゼ及びエンドヌクレアーゼでの処理でin vitroで生成した核酸を意味し、自然界では見出されるものではない。こうして単離した直線の核酸又は自然では結合しないDNA分子をin vitroで結合して作成した発現ベクターは両方とも本発明の目的において組換え体と考える。一旦組換え核酸ができ、宿主細胞又は宿主生物に再導入されると、それは非組換え的に複製をする、即ちin vitro作用というより宿主細胞のin vivo細胞機械を用いて;しかし一旦組換え的に生成したそのような核酸は、引き続いて非組換え的に複製するが本発明の目的では依然組換え体と考える。
同様に、“組換えタンパク質”は組換え技術を用いて、即ち上記の組換え核酸の発現により作成する。組換えタンパク質は天然由来のタンパク質と比べ少なくとも一つ又はそれより多い特徴で区別される。例えば、当該タンパク質は幾つかの又は全てのタンパク質及び野生株型宿主では通常会合している化合物からは単離又は精製されていて、実質的には純粋である。例えば、単離されたタンパク質は自然状態では通常会合している物質の少なくとも幾つかとは随伴することがなく、所与試料の全タンパク質の重量に対して少なくとも約0.5%程度、より好ましくは5%を構成する。実質的に純粋なタンパク質は、少なくとも全タンパク質の75重量%、好ましくは少なくとも約80%、特に好ましくは少なくとも約90%を構成する。当該定義では異なる生物又は宿主細胞中の一つの生物由来である乳癌タンパク質の生産物を含む。代わりとして、当該タンパク質は誘導プロモーター又は高発現プロモーターの使用により通常見られる以上の顕著な高濃度で作られるので、当該タンパク質は亢進した濃度レベルで製造される。代わりとして、当該タンパク質は、下記のようにエピトープタグ添加又はアミノ酸置換、挿入及び欠失などがあり、天然で見られない形である。
好ましい態様として、乳癌配列は核酸である。当分野の者であれば分かるように又下記に概説するように、乳癌配列は診断での応用を含めて種々な応用面に有用で、天然生成核酸を検出すると共に選別にも応用される;例えば乳癌配列に対する核酸プローブを含むバイオチップが生成できる。最も広い意味では、本明細書の“核酸”又は“オリゴヌクレオチド”又は文字通りの当量は、共有結合で結合した少なくとも二つのヌクレオチドを意味する。本発明の核酸は一般的にホスホジエステル結合を有するが、幾つかの場合は以下に概略するように代わりの骨格である核酸類似体を含む。例えばホスホルアミド(Beaucage et al.,Tetrahedron 49(10):1925(1993)及びその参考文献;Letsinger,J.Org.Chem.35:3800(1970);Sprinzl et al.Eur.J.Biochem.81:579(1977):Letsinger et al.,Nucl Acids Res.14:3487(1986);Sawai et al.,Chem.Lett.805(1984),Letsinger et al.,J.Am.Chem.Soc.110:4470(1988)及びPauweis et al.,Chemica Scripta 26:14191985))、ホスホロチオエート(Mag et al.,Nucleic Acids Res.19:1437(1991);及び米国特許番号5,644,048、ホスホロジチオエート(Briu et al.,J.Am.Chem.Soc.111:2321(1989)、O−メチルホスホロアミダイト結合(参照Eckstein,Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,Oxford University Press)、及びペプチド核酸骨格及び結合(Eghoim,J.Am.Chem.Soc.114:1895(1992);Meier et al.,Chem Int.Ed.Engl,31:1008(1992);Nielsen,Nature,365:566(1993):Carisson et al.,Nature380:207(1996)、全て参照により援用されている)。他の核酸類似体には陽荷電骨格(Denpcy et al.,Pro.Natl.Acad.Sci.USA 92:6097(1995);非イオン性骨格(米国特許番号5,386,023, 5,637,684, 5,602,240, 5,216,141及び4,469,863;Kiedowski et al.,Angew.Chem.Intl.Ed.English30:423(1991);Letsinger et al.,J.Am.Chem.Soc.110:4470(1988);Letsinger et al.,Nucleoside & Nucleotide 13:1597(1994);Chapters 2 and 3,ASC Symposium Series580,“Carbohydrate Modification in Antisense Research”,Ed.Y.S.Sanghui and P.Dan Cook;Mesmaeker et al.,Bioorganic & Medical Chem Lett.4:395(1994):Jeff et al.,J.Biomolecular NMR 34:17(1994):Tetrahedron Lett.37:743(1996))及び非リボース骨格で、米国特許番号5,235,033と5,034,506及び第6章と第7章、ACS Symposium Series 580,“Carbohydrate Modifications in Antisense Research,Ed.Y.S.Sanghui and P.Dan Cookに記述されているものを含む。一つ又はそれより大きな炭素環糖を含む核酸も又核酸の一つの定義内に含まれる(参照Jenkins et al.,Chem.Soc.Rev.(1995)pp169〜176)。数種の核酸類似体はRawls,C & E news June 2, 1997 p35に記載されている。これらの参考文献は本明細書に特に参照により本明細書に援用されている。リボースリン酸骨格の修飾は種々の理由で行なわれるが、例えば生理的環境におけるその分子の安定性及び半減期を長くしたり、バイオチップでのプローブとするためである。
当技術分野の当事者であれば分かるように、これらの核酸類似体は本発明で使用できる。加えて、天然由来核酸と類似体の混合物は作成可能である;代わりとして異なる核酸類似体の混合物及び天然由来核酸と類似体の混合物も作成できる。
特に好ましくはペプチド核酸類似体を含むペプチド核酸(PNA)である。これらの骨格は実質的に中性条件では非イオン性で、天然由来の核酸のホスホジエステル骨格が高荷電しているのと対象的である。これは二つの利点となる。一つにはPNA骨格はハイブリダイゼーション速度で改良を示す。PNAsは、不一致対完全一致塩基対についての融点(Tm)に大きな変化をもたらす。DNA及びRNAは典型的には内部的ミスマッチではTmに2〜4℃の低下を示す。非イオン性PNA骨格ではこの低下が7〜9℃近くまでになる。同様に、その非イオン性性質によりこれらの骨格に付着している塩基のハイブリダイゼーションは塩濃度に比較的感受性が低い。加えて、PNAsは細胞性酵素では分解しないのでより安定である。
当該核酸は、述べたように一重鎖又は二重鎖或いは二重鎖又は一重鎖配列両方の部分を含有する。当技術分野の当事者であれば明らかなように、一重鎖(“Watson”)の表現は他の鎖の配列を規定する(“Click”)。:そこで本明細書で提供した配列は配列の相補体も含んでいる。当該核酸はゲノムやcDNAであるDNA,RNAかハイブリッド、当該核酸はデオキシリボ及びリボ−ヌクレオチドのいずれの組合せ及びウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチンヒポキサンチン、イソシトシン、イソグアニンその他を含む塩基のいずれかの組合せを含有する。本明細書で用いたように“ヌクレオチド”の用語はヌクレオチド、ヌクレオシド、ヌクレオチド類似体及びアミノ酸修飾ヌクレオチドのような修飾ヌクレオシドを含む。加えて、“ヌクレオシド”は非天然由来類似体構造を含む。こうして例えばペプチド核酸の個々の単位、各々塩基を含んでいるのは本明細書ではヌクレオシドと呼ぶ。
乳癌配列は、当初本明細書で概要を述べた乳癌配列と実質的に核酸及びアミノ酸配列によれば相同であることが確認できる。そのような相同性は全核酸又はアミノ酸配列に基づいていて、以下に概要を述べるように相同プログラム又はハイブリダイゼーション条件を用いて決定する。
本発明の乳癌配列は次のように同定できる。正常及び腫瘍の組織は核酸プローブを含むバイオチップへ適用される。試料は応用する場合、最初細かく裁断し、mRNAの調製における当技術分野で知られている如く処理される。適したバイオチップは市販で入手でき、例としてはAffmetrixからの試料がある。本明細書で記述したように遺伝子発現プロフィールを発生させ、データを分析する。
好ましい態様では、正常と病気状態における発現での変化を示す当該遺伝子を他の正常な組織で肺、心臓、肝臓、乳房、腎臓、筋肉、前立腺、小腸、大腸、脾臓、骨及び胎盤などだが、これに限らない組織の発現した遺伝子と比較する。好ましい態様では、乳癌選別において確認された遺伝子でも他の組織で顕著な量を発現したものはプロフィールから除去するが、ある態様ではこれは必要ない。これは、薬物の選別において標的は病気特異的であるのが好ましく、可能な副作用を最小にするためである。
好ましい態様では、乳癌配列は乳癌で上昇制御されたもので、それはこれらの遺伝子の発現が正常乳房組織と比較して乳癌では高いことである:本明細書で用いる“上昇制御”は少なくとも約2倍変化、好ましくは少なくとも3倍変化で、少なくとも約5倍高いのが望ましい。本明細書の全ての登録番号はGenBank配列データベースのものであり、登録番号の配列は参照により本明細書に援用する。GenBankは当技術分野では知られている、参照、例えばBenson,DA,et al.,Nucleic Acids Research 26:1〜7(1998)及びhttp://www.ncbi.nim.nih.gov/である。加えて、これらの遺伝子は心臓、脳、肺、腎臓、前立腺、小腸、睾丸、線維芽細胞及び脾臓では限られた相対量又は全然発現されないことが判明した。
好ましい態様では、乳癌配列は乳癌では下降制御されているもので、即ちこれらの遺伝子の発現は乳癌では正常乳房組織と比較して低い。本明細書で用いる“下降制御”は少なくとも2倍変化、好ましくは少なくとも約3倍変化で、少なくとも5倍かそれ以上が好ましい。
本発明の乳癌タンパク質は分泌タンパク質、膜貫通タンパク質又は細胞内タンパク質に分類される。好ましい態様では、乳癌タンパク質は細胞内タンパク質である。細胞内タンパク質は、細胞機能及び複製(例えばシグナル経路を含む)の全ての面に関係する;そのようなタンパク質の異常な発現は細胞過程が上昇制御又は無制御となる。例えば、多くの細胞内タンパク質はタンパク質キナーゼ活性、タンパク質ホスファターゼ活性、プロテアーゼ活性、ヌクレオチドサイクラーゼ活性、ポリメラーゼ活性やその他の類似な酵素的活性を有する。細胞内タンパク質はまた、タンパク質の形成化複合体に関係するシグナル認識粒子受容体又は種々な細胞下局在化へのターゲッティングタンパク質として働き、オルガネラの構造状態を維持するのに関係している。
細胞内タンパク質の特徴付において評価が高まっている概念は、明確な機能がそれに起因する一つ以上のモチーフのタンパク質が存在することである。タンパク質の酵素ドメインで見出される保存配列に加えて、タンパク質−タンパク質相互作用に関係するタンパク質の中に高度な保存タンパク質が確認されている。例えば、Src−相同−2(SH2)ドメインはリン酸化チロシン標的を配列依存の遣り方で結合する。SH2ドメインとは別個のPTBドメインもまたリン酸化チロシン標的を結合する。SH3ドメインはプロリンに富んだ標的を結合する。加えて、PHドメイン、テトラトリコペプチド反復及びWDドメインなど数少ないが、タンパク質−タンパク質相互作用を仲介する。これらの幾つかはリン脂質又は他の二次メッセンジャーと結合する際にも関与する。当技術分野の当事者には理解される如く、これらのモチーフは一次配列に基づいて確認できる:そこでタンパク質の配列分析は、分子の酵素的可能性及び/又はタンパク質が会合するだろう分子についての洞察を与える。
好ましい態様では、乳癌配列は膜貫通タンパク質である。
膜貫通タンパク質は細胞のリン脂質二重層に架かる分子である。それは分子内ドメイン、分子外ドメイン又は両方を有している。そのようなタンパク質の分子内ドメインは、既に分子内タンパク質につき記述したのと同じ多くの機能を有している。例えば、分子内ドメインは酵素的活性を有し更に/又は追加タンパク質への結合部位として働く。しばしば膜貫通タンパク質の分子内ドメインは両方の役割を果たす。例えば、あるチロシンキナーゼ受容体はタンパク質キナーゼ活性及びSH2ドメインの両方を有する。加えて、受容体自身におけるチロシンの自己リン酸化は、タンパク質を含有する追加SH2ドメインにつき結合部位を作り出す。
膜貫通タンパク質は一つから数多くの膜貫通ドメインを含有する。例えば、チロシンキナーゼ受容体、あるサイトカイン受容体、グアニリルシクラーゼ及びセリン/トレオニンタンパク質キナーゼ受容体は単一膜貫通ドメインを含有する。しかし、チャンネル及びアデニルシクラーゼを含む種々な他のタンパク質は数多くの膜貫通ドメインを含有する。多くの重要な細胞表面受容体は7個の膜通過領域を含有するので“7回膜貫通ドメイン”に分類される。重要な膜貫通タンパク質受容体にはインスリン受容体、インスリン様成長因子受容体、ヒト成長ホルモン受容体、グルコース輸送体、トランスフェリン受容体、上皮成長因子受容体、低密度リポタンパク質受容体、上皮成長因子受容体、レプチン受容体、IL−1受容体やIL−2受容体などのインターロイキン受容体であるが、これに限らない。
膜貫通ドメインの特徴は、約20の連続した疎水性アミノ酸で、荷電したアミノ酸がそれに続いている。それで、ある種のタンパク質のアミノ酸配列分析に基づきタンパク質内の膜貫通ドメインの局在及び数は予測できる。
しかしながら膜貫通タンパク質の細胞外ドメインは異なっている;保存モチーフが繰り返し種々の細胞外ドメインの中に見出される。保存構造及び/又は機能は異なった細胞外モチーフによるものとみなされる。例えば、サイトカイン受容体はシステインのクラスター及びWSXWS(W=トリプトファン、S=セリン、X=アミノ酸)モチーフにより特徴付けられる。免疫グロブリン様ドメインは高度に保存されている。ムチン様ドメインは細胞接着に関係しているようであり、ロイシンに富む反復はタンパク質−タンパク質相互作用に加わっている。膜貫通ドメインは、本明細書の可溶性タンパク質を作り出す際には除去される。
多くの細胞外ドメインは他の分子を結合する際に関係する。一つの側面では、細胞外ドメインは受容体である。受容体ドメインを結合する因子は、ペプチド、タンパク質又はアデノシンや同種のもののような小分子である環状配位子を含む。例えば、EGF、FGF及びPDGFのような成長因子は循環性成長因子で、それらの同族受容体と結合して種々な細胞応答を開始する。他の因子にはサイトカイン、マイトジェン因子、神経栄養因子及び同種のものが含まれる。細胞外ドメインは同じように細胞会合分子と結合する。この点で、それらは細胞−細胞相互作用を仲介する。細胞会合した配位子は当該細胞に、例えばグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーを通して繋ぎ止めることができ、それ自身は膜貫通タンパク質である。細胞外ドメインは同様に細胞外マトリックスと会合し、細胞構造の維持に寄与する。
膜貫通している乳癌タンパク質は、本明細書に記述した免疫療法の良好な標的であるので本発明では特に好ましい。加えて、以下に概要を述べたように膜貫通タンパク質は想像形式として有効になりえる。
好ましい態様では、乳癌タンパク質は分泌タンパク質である;その分泌は構成性又は調節性のどちらかである。これらのタンパク質は分泌経路へ分子を標的とさせるシグナルペプチド又はシグナル配列を有する。分泌したタンパク質は数多くの生理的現象に関連する;それらの循環性性質により種々な他の細胞タイプへの信号伝達に役立っている。当該分泌タンパク質は自己分泌方式(因子を分泌した細胞に作用)、パラ分泌方式(因子を分泌した細胞の近接細胞に作用)又は内分泌方式(遠方の細胞に作用)で機能する。分泌された分子は生理の多くの面における調節又は変更に用いられる。分泌タンパク質である乳癌タンパク質は診断標識として、例えば血液試験における良好な標的として役立つので本特許では特に好ましい。
乳癌配列は、当初本明細書で概要を述べた乳癌配列に相同な実際の核酸及び/又はアミノ酸配列により同定される。そのような相同性は全体の核酸又はアミノ酸配列に基づいており、以下に述べるように相同性プログラム又はハイブリダイゼーション条件を用いて一般的に決定されている。
本明細書で用いたように、核酸配列が図のアミノ酸配列をコードしている核酸配列との全相同性で好ましくは約75%より大、より好ましくは約80%より大、それより好ましくは約85%より大そして最も好ましくは90%より大であれば、核酸は“乳癌核酸”である。幾つかの態様では、相同性は高々約93〜95又は98%程度である。本文での相同性とは配列類似性又は同一性を意味し、中でも同一性が好ましい。相同性の目的での好ましい対比は正しい配列に対する配列エラーを含む配列を比較することである。当該相同性は当技術分野で知られている標準手法、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局部相同性アルゴリズム、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biool.48:443(1970)の相同性整列アルゴリズム、Pearson & Lipman,PNAS USA 85:2444(1988)の類似点の検索法、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実行(GAP,BESTFIT,FASTA,and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,WI)、好ましくはデフォルト設定を用いたDevereux et al.,Nucl.Acid Res.12:387−395(1984)が記述したBest Fil配列プログラム、又は精査を含んだ既知標準手法を用いて決定されるが、これらに限らない。
好ましい態様では、配列の同一性又は類似性を決定した配列は図で述べた配列から選択する。一つの態様では、本明細書で利用した配列は、図の中に述べたものである。他の態様では、当該配列は図で述べた天然由来の対立遺伝子変種である。他の態様では、当該配列はこれから本明細書に記述するような配列変種である。
有用なアルゴリズムの一例はPILEUPである。PILEUPは関連配列の群から段階的、対による整列法を用いて多数の配列整列を作り出す。これは整列を作り出すのに用いたクラスター化関係を示す樹木のプロットもできる。PILEUPは、Feng & Doolittle,J.Mol.Evol.35:351(1987)の段階的整列法の簡易化法を用いた;本方法はHiggins & Sharp CABIOS 5:151−153(1989)が記述した方法と類似している。有用なPILEUPパラメータには、デフォルトギャップ重み3.00,デフォルトギャップ長さ0.10及び重み付け末端ギャップを含む。
他の有用なアルゴリズムの例はBLASTアルゴリズムで、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215,403−410(1990)及びKarin et al.,PNAS USA 90:5873−5787(1993)に記載されている。特に有用なBLASTプログラムは、Altschul et al.,Methods in Enzymology,266:460−480(1996);http//blast.Wustl/edu/blast/READE.html.から得たWU−BLAST−2プログラムである。WU−BLAST−2プログラムは数種の検索パラメータを用いるが、その多くはデフォルト値が設定されている。調整できるパラメータは次の値で設定する:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125,ワード閾値(T)=11。HSP S及びHSP S2パラメータは動的値であり、個々の配列の組成及び目的の配列を検索している個々のデータベースの組成に依存してプログラム自体により確立される;しかしながら、値は感度を上げるために調整される。A%アミノ酸配列同一性値は、整列領域における“より長い”配列の残基全数で合致した同一残基数を割った数で決定する。“より長い”配列は、整列領域において最も実際的残基を有するものである(整列スコアを最大にするためにWU−Blast−2で導入したギャップは無視する)。
こうして、“パーセント(%)核酸配列同一性”は候補配列の中にある配列のヌクレオチド残基と同一であるヌクレオチド残基のパーセントとして定義される。好ましい方法ではデフォルトパラメータに、オーバーラップスパン及びオーバーラップフラクションをそれぞれ1と0.125に設定したWU−BLAST−2のBLASTNモジュールを利用する。
当該整列は整列させる配列中へのギャップの導入を含む。加えて、図のそれより多い或いは少ないヌクレオチドを含有する配列については、相同性のパーセントはヌクレオチドの全数に関し相同なヌクレオチドの数に基づいて決定されると理解される。そこで、例えば、本明細書で確認して以下で検討する配列より短い配列の相同性は、当該短い配列におけるヌクレオシドの数を用いて決定する。
一つの態様では、核酸の相同性はハイブリダイゼーション研究で決定する。そこで、例えば、図において確認したタンパク質をコードしている核酸配列又はそれらの片方に対して高い厳密性のもとでハイブリッド形成する核酸は乳癌配列と考えられる。高い厳密性条件は当技術分野では既知であるが、Maniatis et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2 d Edition,1989,and Short Protocols in Molecular Biology,ed.Ausbel,et al.,の例を参照。両方とも参照により本明細書中に援用されている。高い厳密性は配列依存性であり、異なる環境においては違うものである。より長い配列であればより高い温度で特異的にハイブリッド形成する。核酸のハイブリダイゼーションへの広範囲のガイドはTijssen,Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes,“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays”(1993)に見出せる。一般的に、厳密な条件では、限定したイオン強度pHにおいて特定の配列については熱融点(Tm)より約5〜10℃低い温度を選択する。Tmは、標的に対して相補的なプローブの50%が平衡状態で(目標配列が過剰に存在するので、Tmではプローブの50%が平衡で占められる)、標的配列にハイブリッドする温度(限定したイオン強度、pH及び核酸濃度で)である。厳密な条件とは、塩濃度が約1.0Mナトリウムイオンより低く、典型的には約0.01〜1.0Mナトリウムイオン濃度(又は他の塩類)でpH7.0〜8.3及び温度は短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)に対しては少なくとも約30℃で、長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドより大)では少なくとも約60℃である。厳密条件はまたホルムアミドのような不安定化剤の添加で達成する。
他の態様では、厳密程度が低いハイブリダイゼーション条件を使用する;例えば当技術分野では既知の中程度又は低厳密条件が使われる;上記Maniatis and Ausubel,及び上記Tijssenを参照。
加えて、本発明の乳癌核酸配列はより長い遺伝子の断片で、即ちそれらは核酸切片である。この状況で“遺伝子”にはコード領域、非コード領域及びコードと非コード領域の混合がふくまれる。従って、当技術分野の当事者では知られているが、本明細書で提供した配列を用い、より長い又は完全長配列のクローニングにつき当技術分野では良く知られた技術を利用して乳癌遺伝子の追加配列を得ることができる;参照、上記のManiatis et al.,及びAusubel et al.,参照により本明細書中に援用する。
一旦乳癌核酸が確認されると、クローンされ、必要あればその構成要素は再び結合されて全乳癌核酸が形成される。一旦その天然源、例えばプラスミド又は他のベクター或いはそれから切取ったもの内に直線的核酸切片として含有されているものから単離すると、組換え乳癌核酸は更に他の乳癌核酸を同定し単離するプローブとして使用することができる。また修飾又は変種乳癌核酸及びタンパク質を作成する“前駆体”核酸として使用できる。
本発明の乳癌核酸は数種の分野で使用される。最初の態様では、乳癌核酸への核酸プローブを作成し、以下に概要を述べる選別及び診断法に使用したり、例えば遺伝子治療及び/又はアンチセンス応用のためのバイオチップに付着する。その代わりとしては、乳癌タンパク質のコード領域を含む乳癌核酸を乳癌タンパク質の発現するための発現ベクターに挿入して、更に選別目的又は患者への投与用とする。
好ましい態様では、乳癌核酸への核酸プローブ(図に概要を記述したペプチドをコードした核酸及び/又はその相補)を作成する。バイオチップに付着した当該核酸プローブは乳癌核酸に対し実質的に相補、即ち標的配列(試料の標的配列又は例えばサンドウィッチアッセイにおける他のプローブ配列)になるように設計するので本発明の標的配列及びプローブのハイブリダイゼーションが起こる。以下に概要を述べたように、この相補性は完全である必要はない;標的配列と本発明の一重鎖核酸との間のハイブリダイゼーションを妨害する塩基対のミスマッチの数はいくつかあるかもしれない。しかし、変異の数が相当多くなるとハイブリダイゼーション条件が最も少ない厳密性であってもハイブリダイゼーションは起こらず、当該配列は相補的標的配列ではない。こうして、本明細書における“実質的相補”は、概要を記したようにプローブが通常の反応条件、特に高厳密性条件のもとでハイブリッド形成を行なうのに充分な標的配列への相補性がある。
核酸プローブは一般的に一重鎖であるが部分的に一重で部分的に二重鎖でも有り得る。プローブの撚り具合は標的配列の構造、組成及び性質で決定される。一般的に、核酸プローブは約8〜100塩基長の範囲で、10〜約80塩基が好ましく、特に好ましくは30〜50塩基である。このことは、通常遺伝子全体は使用されない。幾つかの態様では、より大層長い核酸が使用することができ最大、数百塩基である。
好ましい態様では、配列当たり一より多いプローブを、重なり合うプローブ或いは用いる標的の異なる部分へのプローブと共に使用する。これは、二つ、三つ、四つ又はそれ以上のプローブ、好ましくは三つをある標的に対して過剰に用いて作る。当該プローブは重なり合うか(例えば、少し共通の配列をもつ)又は別々のものである。
当技術分野の当事者であれば知っている通り、核酸は様々な広い方法で固体担体に付着又は固定化できる。本明細書の“固定化”及び文字上の相当物により、核酸プローブと固体担体の間の会合又は結合は以下に概要を述べるような結合、洗浄、分析及び除去などの条件下でも充分安定であることを意味する。結合は共有又は非共有でありうる。本明細書での“非共有結合”及び文字上での相当物により、静電気的、疎水性及び親水性相互作用の一つ又はそれ以上を意味する。非共有結合に含まれるものにはストレプトアビジンの担体への如き分子の共有付着及びストレプトアビジンへのビオチニル化プローブの非共有結合が含まれる。本明細書の“共有結合”及び文字上での相当物により、固体担体及びプローブの二つの部分がシグマ結合、パイ結合及び配位結合を含む少なくとも一つの結合で付着することを意味する。共有結合はプローブと固体担体の間で直接形成できるか、橋架け剤又は固体かプローブか両方の上に特定の反応性基を含有させて形成できる。固定化にはまた共有及び非共有相互作用の組合せを含まれる。
一般的に、当技術分野の当事者であれば知っている種々な方法でバイオチップにプローブを付着する。本明細書に記述するように、核酸を先ず合成し、次いでバイオチップに付着するか、或いは直接的にバイオチップの上に合成する。
当該バイオチップは適切な固体担体を含む。本明細書の“基体”又は“固体担体”又は他の文字上での相当物により、核酸プローブの付着又は会合に際し適切に別個で個々の部位を含有するように修飾でき、少なくとも一つの検出法で検出できるいずれの材料も意味する。当技術分野の当事者であれば知っている如く、可能性がある基体の数は多数で、ガラスと修飾や機能化したガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレン及びスチレンと他の材料の共重合物、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロンJ、その他を含む)、多糖類、ナイロン又はニトロセルロース、樹脂、シリカ又は修飾シリコーンを含むシリカ母体材料、炭素、金属、無機ガラス、プラスチックなどを含む。一般的には、基体は光学的検出できるが感知できる蛍光は示さない。好ましい基体は、その全体を参照により本明細書に援用した共出願中の標題A Reusable Low Fluorescent Plastic Biochip,米国出願番号09/270.214,受付1999年3月15に記述してある。
一般的には、基材は平面であるが、当技術分野の当事者であれば分かるが、基材の他の形状も同様に使用される。例えば、フロースルー試料分析で試料量を最小で済ませるのにプローブは管の内部壁に配置する。同様に、基材は柔軟で、特別なプラスチックデで作った閉鎖細胞泡を含める柔軟性泡のようなものでもよい。
好ましい態様では、バイオチップやプローブの表面は当該二つの次に示す付着用の化学官能基で誘導化されている。かくして、例えばバイオチップはアミノ基がより好ましいが、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基及びチオール基などを含んだ化学官能基で修飾されるが、これに限らない。これらの官能基を用い、当該プローブはプローブ上の官能基を用いて付着できる。例えば、アミノ基を含有する核酸は例えば当技術分野では知られているリンカー、例えばよく知られているホモ又はヘテロ二官能リンカー(参照1994年度Pierce Chemical Company catalog,technical section on cross−linkers,pages155−200、参照により本明細書で参照)を用いてアミノ基を含む表面に付着可能である。加えて、幾つかの例では、アルキル基などの追加リンカー(置換及びヘテロアルキル基を含む)が使用される。
本態様では、当該オリゴヌクレオチドは当技術分野で知られているように合成され、固体担体の表面に付着させる。当技術分野の当事者であれば知っているように、5‘又は3’末端は固体担体に付着されるが、付着は内部ヌクレオチドを介する。
追加の態様では、固体担体への固定化は非共有であるが非常に強い。例えば、ビオチニル化オリゴヌクレオチドを作成し、それをストレプトアビジンを共有結合で被覆した表面に結合すると付着が生じる。
それに代わるものとして、当技術分野で知られているようにオリゴヌクレオチドは表面に合成する。たとえば、光重合化合物と技術を用いて光活性化技術を用いる。好ましい態様では、核酸は、WO 95/25116、WO95/35505:米国特許番号5,700,637及び5,445,934及びその中の参考文献などに記述され、全て参照により本最初明細書に援用されるが、これらの良く知られた写真石板法を用いてin situで合成できる:付属様式のこれらの方法はAffimetrix Gene Chip(商標)技術の基礎を形成している。
好ましい態様では、乳癌タンパク質をコードしている乳癌核酸は、以下に記述した如く選別用アッセイに用いることができる乳癌タンパク質を発現する種々の発現ベクターを作成するのに用いられる。発現ベクターは自己複製染色体外ベクター又は宿主ゲノムに合体するベクターである。一般的にこれらの発現ベクターは、乳がんタンパク質をコードした核酸に作用できるように連結した転写調節及び翻訳調節核酸を含む。用語“調節配列”はある宿主生物中で作用できるように連結したコード化配列の発現に際し必要なDNA配列を称する。原核生物に適した調節配列は例えば、プロモーター、場合によりオペレーター配列及びリボソーム結合部位を含む。原核細胞はプロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することで知られている。
核酸が他の核酸配列と機能関連で配置されたとき、核酸は“作用できるように連結する”である。例えば、ポリペプチドの分泌に加わるプレタンパク質として発現されれば、プレ配列又は分泌リーダー用のDNAはポリペプチド用のDNAと作用できるように連結している:プロモーター又はエンハンサーが配列の転写に影響するとすればコード化配列と作用できるように連結している;又は翻訳を促進するように配置していれば、リボソーム結合部位はコード化配列に作用できるように連結している。一般的に、“作用できるように連結する”は、結合したDNA配列では隣接しているが、分泌リーダーの場合は隣接し、リーディングフェーズである。しかしながら、エンハンサーでは隣接している必要はない。連結は都合の良い制限部位での連結反応で達成される。そのような部位が存在しなければ、従来の慣行に従って合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーを用いる。転写及び翻訳調節核酸は一般的に乳癌タンパク質を発現するのに用いられる宿主細胞に適している。;例えば、Bacillus菌からの転写及び翻訳調節核酸配列は、Bcillus菌中の乳癌タンパク質を発現するのに好都合に使える。適切な発現ベクターの数多くの型及び適した調節配列は当技術分野では種々の宿主細胞において知られている。一般に、転写および翻訳調節配列には、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始および転写中止配列、翻訳開始および翻訳中止配列、およびエンハンサー配列およびアクチベーター配列が挙げられ得るが、限定されるものではない。好ましい実施形態において、調節配列はプロモーター配列および転写開始および転写中止配列が挙げられる。
プロモーター配列は構成プロモーター類または誘導プロモーター類のいずれかをコード化する。プロモーター類は自然発生のプロモーター類またはハイブリッドプロモーター類のいずれであってもよい。1個以上のプロモーター要素を組み合わせるハイブリッドプロモーター類もまた当業界に知られており、本発明において有用である。
また、発現ベクターは追加の要素を含んで成り得る。例えば、発現ベクターは2つの複製系を有し得るので、2つの生物、例えば、発現にかかる哺乳動物または昆虫細胞において、またクローン化並びに増幅にかかる原核性宿主において維持されるのを可能にする。さらに、組込み発現ベクターでは、発現ベクターが宿主細胞ゲノムに相同性の少なくとも1配列、好ましくは発現構築を配置する2つの相同性配列を含有する。組込みベクターは、ベクターに封入するために適当な相同性配列を選択することにより、宿主細胞の特異的な遺伝子座に方向ずけることができる。組込みベクター類の構築体は当業界によく知られている。
また、好ましい実施形態において、発現ベクターは選択性のマーカー遺伝子を含有し、形質転換される宿主細胞の選択を可能にする。選択遺伝子は当業界によく知られており、使用する宿主細胞により異なってくる。
本発明の乳癌蛋白は、乳癌蛋白をコード化する核酸を含む発現ベクターにより形質変換された宿主細胞を乳癌蛋白の発現を誘導または引き起こす妥当な条件下で培養することにより産生する。乳癌蛋白発現にとって妥当な条件は、発現ベクターおよび宿主細胞の選択により異なり、慣例的な実験を介して当業者により容易に確かめられる。例えば、発現ベクターにおける構成プロモターの使用には、宿主細胞の生育と増殖の最適化が必要となるが、誘導プロモーターの使用には、誘導のために適当な増殖条件を必要とする。さらに幾つかの実施形態において、採取時機が重要となる。例えば、昆虫細胞発現に用いられるバキュロウイルス系は溶菌性ウィルスであり、したがって採取時期の選択は、生産収量にとってきわめて重要なものとなり得る。
適当な宿主細胞としては、酵母、細菌、始原菌、カビ類、および昆虫細胞や動物細胞が挙げられる。ドロソフィラメランガスター(Drosophila melangaster)細胞,サッカロミセス−セレビジエ(Saccharomyces cerevisae)および他の酵母類、大腸菌、枯草菌、Sf9細胞、C129細胞、293細胞、アカパンカビ、BHK、CHO、COS、ヒーラ細胞、THP1細胞株(マクロファージ細胞株)およびヒト細胞並びに細胞系が特に興味深い。
好ましい実施形態において、乳癌蛋白は哺乳動物細胞に発現する。哺乳動物の発現系はまた当業界に知られており、レトロウイルス系を含む。ここに引用文献として特別に組み入れているPCT/US97/01019およびPCT/US97/01048に一般に記載されているように、好ましい発現ベクター系は、レトロウィルスベクター系である。ウィルス遺伝子が高度に発現することが多く、広い宿主範囲を有することから、哺乳動物プロモーターとして特に使用されるのは、哺乳動物のウィルス遺伝子からのプロモーター類である。例として、SV40初期プロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター、単純ヘルペスウィルスプロモーターおよびCMVプロモーターが挙げられる。典型的には、哺乳動物細胞によって認識される転写終結配列およびポリアデニル化配列は、転写中止コドンに対し3′位に位置する調節領域であるので、プロモーター要素と共にコード化配列を配置する。転写終結およびポリアデニル化シグナルの例としては、SV40から誘導されるものが挙げられる。
外因性の核酸を他の宿主と同様に、哺乳動物宿主に導入する方法は、当業界によく知られており、使用される宿主細胞により異なるものとなる。この技術としては、デキストラン介在トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン介在トランスフェクション、プロトプラスト融合、電気泳動、ウィルス感染、ポリヌクレオチド(類)のリポソーム中へのカプセル化、およびDNAの核内への直接ミクロ注入が挙げられる。
好ましい実施形態において、乳癌蛋白は細菌系に発現する。細菌発現系は当業界によく知られている。バクテリオファージからのプロモーターもまた使用することができ、当業界に知られている。さらに、合成プロモーターおよびハイブリッドプロモーターも有用であり、例えばtacプロモーターはtrpおよびlacプロモーター配列のハイブリッドである。さらに、細菌プロモーターとしては、細菌RNAポリメラーゼを結合し、転写を開始する能力を有する非細菌源の自然発生のプロモーター類を挙げることができる。機能性プロモーター配列に加えて、効率的なリボソーム結合部位が望ましい。発現ベクターにはまた、細菌中の乳癌蛋白分泌のために提供するシグナルペプチド配列を含んでもよい。蛋白は、増殖媒質(グラム陽性細菌)中、または細胞(グラム陰性細菌)の内膜と外膜との間に位置するペリプラスム間隙のいずれかに分泌される。細菌発現ベクターはまた、形質転換された細菌株の選択を可能にする選択マーカー遺伝子を含んでもよい。好適な選択遺伝子としては、アンピシリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、カナマイシン、ネオマイシンおよびテトラサイクリンなどの薬剤に対して、抵抗性のある細菌を提供する遺伝子が挙げられる。選択マーカー類にはまた、ヒスチジン、トリプトファンおよびロイシンの生合成経路における遺伝子などの生合成遺伝子が挙げられる。これらの構成要素が発現ベクター内へ組込まれる細菌用の発現ベクターは当業界によく知られており、細菌の中では枯草菌、大腸菌、ストレプトコッカス−クレモリス、ストレプトコッカス−リビダンス(Streptococcus lividans)用のベクター類が挙げられる。細菌発現ベクター類は、塩化カルシウム処理、電気泳動などの当業界によく知られた技術を用いて細菌宿主細胞に形質転換される。
1実施形態において、乳癌蛋白は昆虫細胞に産生する。昆虫細胞の形質転換用の発現ベクター、特にバキュロウイルス由来の発現ベクター類は当業界によく知られている。
好ましい実施形態において、乳癌蛋白は酵母細胞に産生する。酵母発現系は当業界によく知られており、サッカロミセス−セレビジエ(Saccharomyces cerevisae)、カンジダアルビカンスおよびC.マルトーサ(C.maltosa)、ハンセヌラ−ポリモルファ(Hansenula polymorpha),クルイベロミセス−フラギリス(Kluyveromyces fragilis)およびK.ラクチス(K.lactis)、ピチア−ギレリモンジー(Pichia guillierimondii)およびP.パストリス(P.pastoris),分裂酵母ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)およびヤロウィア−リポリチカ(Yarrowia lipolytica)のための発現ベタターが挙げられる。
乳癌蛋白はまた、当業界によく知られた技術を用いて融合蛋白として作製してもよい。したがって、例えば、モノクローナル抗体の創製に関して、所望のエピトープが小さい場合、乳癌蛋白は免疫原を形成するために担体蛋白に融合してもよい。他に、乳癌蛋白は発現を増加させるために、または他の理由のために融合蛋白として作製されてもよい。例えば、乳癌蛋白が乳癌ペプチドである場合、該ペプチドをコード化する核酸は、発現目的のために他の核酸に結合してもよい。
実施形態の1つにおいて、本発明の乳癌の核酸、蛋白および抗体を標識化する。ここでの「標識化」とは、化合物が、該化合物の検出を可能にするために付加された少なくとも1つの要素、同位元素または化学化合物を有することを意味する。一般に、標識は以下の3つに分類される:a)放射活性または重同位元素であり得る同位元素標識;b)抗体または抗原であり得る免疫標識;およびc)着色または蛍光染色。該標識は、乳癌の核酸、蛋白および抗体に任意の位置で組み込むことができる。例えば、該標識は、直接または間接的に検出性シグナルを生成することができる必要がある。検出可能な部分は、H、14C、32P、35Sまたは125Iなどの放射性同位元素、蛍光イソシアネート、ローダミンまたはルシフェリンなどの蛍光または化学発光化合物、またはアルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼまたはわさび大根ペルオキシダーゼなどの酵素であってもよい。抗体を標識に結合するために当業界に知られた方法としては、Hunterら,Nature,144:945(1962);Davidら,Biochemistry,13:1014(1974);Painら,J.Immunol.Meth.,(1981);およびNygren,J.Histochem.およびCytochem.,30:407(1982)により記載されたこれらの任意の方法を用いることができる。
したがって、本発明はまた、乳癌蛋白配列を提供する。本発明の乳癌蛋白は幾つかの方法で確認できる。ここでの「蛋白」とは、タンパク質類、ポリペプチド類およびペプチド類を含む。当業者により認識されるように、本発明の核酸配列は、蛋白配列を生成するのに用いることができる。これを実施するには、多様な方法があり、全遺伝子をクローン化し、その読み枠およびアミノ酸配列を証明すること、または乳癌蛋白が、使用されるデータベース中の或る蛋白に相同性であることを想定して相同性を探索するために知られた配列と比較することにより読み枠を提供することなどが挙げられる。一般に核酸配列は、3つの全ての構成物を相同性に関して探索するプログラムに入力する。これは、以下のNCBI進展BLASTパラメータを用いて好ましい実施形態で成される。該プログラムはblastxまたはblastnである。該データベースはnrである。該入力データは「Sequence in FASTA format」としてである。生物リストは「none」である。「expect」は10であり;フィルターはデフォルトである。「descriptions」は500であり、「alignments」は500であり、「alignment view」はペアワイズである。「Query Genetic Codes」は標準(1)である。マトリクスはBLOSUM62であり;ギャップ存在コストは11であり、残基当たりのギャップコストは1であり;およびラムダ比はB5デフォルトである。この結果、推定蛋白配列が出来上がる。
ここに決定されるように、自然発生の配列のアミノ酸変異体もまた乳癌蛋白の実施形態の1つに含まれる。好ましくは、該変異体が野生型配列に対し約75%以上相同性であるのが好ましく、80%以上がさらに好ましく、約85%以上がさらにより好ましく、90%以上が最も好ましい。幾つかの実施形態において、相同性は約93%から95%または98%と同じ高さにもなる。核酸に関して、これに関連する相同性とは配列の類似性または同一性を意味するが、同一性であることが好ましい。該相同性は、核酸の相同性に関して上記のような当業者に知られた標準的な技術を用いて決定される。
本発明の乳癌蛋白は、野生型のアミノ酸配列よりも短くても、または長くてもよい。したがって、好ましい実施形態では、乳癌蛋白の定義内で、ここでは野生型配列の部分またはフラグメントが含まれる。さらに上述のように、本発明の乳癌核酸は、当業者に知られている技術を用いて追加のコード領域、すなわち追加の蛋白配列を獲得するために使用してもよい。
好ましい実施形態において、乳癌蛋白は野生型配列に比べて誘導または変異乳癌蛋白である。すなわち、以下に詳述するように、誘導乳癌ペプチドは少なくとも1個のアミノ酸の置換、欠失、挿入を含み、特にアミノ酸置換が好ましい。アミノ酸置換、挿入、欠失は乳癌ペプチド内のいずれの残基に生じてもよい。
アミノ酸配列変異体は、本発明の乳癌蛋白の実施形態の1つにまた含まれる。これらの変異体は、3分類、すなわち置換変異体、挿入変異体、欠失変異体の1つ以上に分類される。これらの変異体は通常、カセットまたはPCR変異誘発またはその他当業界でよく知られている技術を用いて、乳癌蛋白をコード化するDNA内ヌクレオチドの部位特異的変異誘発により調製し、この変異体をコード化するDNAを産生し、その後、上述したように組換え細胞培養中でDNAを発現させる。しかし、約100〜150残基までを有する変異乳癌蛋白フラグメントは、確立された技術を用いてイン・ビトロ合成により調製してもよい。アミノ酸配列配列変異体は予め決定されている変異の特質、すなわち乳癌蛋白アミノ酸配列の自然発生の対立遺伝子変異または種間変異から区別される特性により特徴づけられる。以下に詳述するように該変異体は、特性を修飾して選別することもできるが、一般には自然発生の類縁体と同一の定性的な生物学的活性を示す。
アミノ酸配列変異を導入する部位または領域は予め決定されるが、変異それ自体は予め決定される必要はない。例えば、与えられた部位の変異性能を最適化するために、標的コドンまたは標的領域において、無作為の誘発変異を行なって発現した乳癌変異体を、所望の活性を有する最適な組合せでスクリーニングすることができる。既知の配列を有するDNA内の予め決められた部位に置換変異体を作製する技術はよく知られており、例えばM13プライマー変異誘発およびPCR変異誘発がある。変異体のスクリーニングは乳癌蛋白活性のアッセイを用いて行なわれる。
アミノ酸の置換は、一般に1個の残基であり、挿入はかなり多くの挿入が可能であるが、通常約1〜20個のアミノ酸の範囲である。欠失は、約1〜20残基の範囲であるが、時にははるかに多い欠失も可能である。
最終的誘導体に到達するために、置換、欠失、挿入またはそれらの任意の組合せを用いることができる。一般にこれらの変化は、分子の変化を最小化するために、2,3個のアミノ酸において成される。しかし、一定の状況においては、より大きな変化が許容される。乳がん蛋白特性における変化の少ないことが望まれる場合は、一般に以下のチャートに従って置換が行われる。
チャート1
原残基 置換例
Ala Ser
Arg Lys
Asn Gln、His
Asp Glu
Cys Ser
Gla Asn
Glu Asp
Gly Pro
His Asn、Gln
Ile Leu、Val
Leu Ile、Val
Lys Arg、Gln、Glu
Met Leu、Ile
Phe Met、Leu、Tyr
Ser Thr
Thr Ser
Trp Tyr
Tyr Trp、Phe
Val Ile、Leu
機能または免疫学的特性における大きな変化は、表1で示したものより保守性の低い置換基を選択することにより成される。例えば、アルファ螺旋構造またはベータシート構造などの変更領域におけるポリペプチド骨格構造;標的部位における分子の電荷または疎水性;または側鎖の嵩高さに対しより大きな影響を与える置換を行なうことができる。ポリペプチドの特性に大きな変化を生じさせると一般に考えられる置換は、(a)親水性残基、例えばセリル、トレオニルと、疎水性残基、例えばロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、アラニルなどの疎水性残基との交互の置換;(b)システインまたはプロリンと、その他の残基との交互の置換;(c)正電荷の側鎖を有する残基、例えばリジル、アルギニル、ヒスチジルと、負電荷の側鎖、例えばグルタミル、アスパルチルとの交互の置換;または(d)嵩高い側鎖、例えばフェニルアラニンを有する残基と、側鎖を持たない残基、例えばグリシンとの交互の置換である。
変異体は、必要に応じて乳癌蛋白の特性を変化させるために選択されることもあるが、一般には、自然発生の類縁体と同一の定性的生物学的活性を示し、同一の免疫反応を誘導する。他に、変異体は乳癌蛋白の生物学的活性を変化させるために設計してもよい。例えばグリコシル化部位を変化させるか、または除いてもよい。
乳癌ポリペプチドの共有結合修飾も本発明の範囲に含まれる。共有結合修飾の1つに、乳癌ポリペプチドの標的アミノ酸残基を、乳癌ポリペプチドの選択された側鎖またはNまたはC末端残基と反応することのできる有機誘導化剤と反応させることが挙げられる。二元機能剤による誘導化は、例えば以下に詳述するように、抗乳癌抗体の精製、またはスクリーニングアッセイのための方法に使用するため、乳癌を水に不溶性の支持マトリクスまたは支持面に架橋させるために有用である。通常使用される架橋剤として、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル類、例えば4−アジドサリチル酸とのエステル、3,3′−ジチオビス(プロピオン酸スクシンイミジル)などのジスクシンイミジルエステルを含むホモ二元機能イミドエステル、ビス−N−マレイイミド−1,8−オクタンなどの二元機能マレイミド類およびメチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートなどの試薬が挙げられる。
その他の修飾としては、グルタミニル残基およびアスパラギニル残基の各々相当するグルタミル残基、アスパルチル残基への脱アミド化、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリル、トレオニル、チロシル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニンおよびヒスチジンの側鎖のα−アミノ基のメチル化[T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,pp.79−86(1983)]、N−末端アミンのアセチル化および任意のC−末端カルビキシル基のアミド化が挙げられる。
本発明の範囲に含まれる乳癌ポリペプチドの共有結合修飾のその他の種類は、ポリペプチドの本来のグリコシル化パターンの変更を含む。「本来のグリコシル化パターンの変更」は、ここでは本来の配列の乳癌ポリペプチドに見られる1つ以上の炭水化物の欠失および/または、本来の配列乳癌ポリペプチドには存在しないグリコシル化部位の1つ以上の付加を意味する目的のために意図されている。
グリコシル化部位の乳癌ポリペプチドへの付加は、そのアミノ酸配列を変更することにより達成できる。この変更は、例えば1つ以上のセリンまたはトレオニン残基を、本来の配列乳癌ポリペプチドへ付加または置換(O−結合グリコシル化部位に関して)することにより行なうことができる。乳癌アミノ酸配列は、DNAレベルでの変化により、特に予め選択された塩基における乳癌ポリペプチドをコード化するDNAを、所望のアミノ酸へ翻訳するようなコドンを生じるように変異させることにより、任意に変更させることができる。
乳癌ポリペプチド上の糖質部分数を増加させる他の手段は、グリコシル類をポリペプチドに化学結合または酵素結合するものである。このような方法は、当業界、例えば1987年9月11日に公表されたWO第87/05330号およびAplinおよびWristonの乳癌、Crit.Rev.Biochem.,pp.259−306(1981)に記載されている。
乳癌ポリペプチド上に存在する糖質部分の除去は、化学的または酵素的またはグリコシル化の標的として働くアミノ酸残基に対してコード化するコドンの変異置換により成就できる。化学的脱グリコシル法は、当業界に知られており、例えばHakimuddinらのArch.Biochem.Biophys.,259:52(1987)およびEdgeらのAnal.Biochem.,118:131(1981)により記載されている。ポリペプチド上の糖質部分の酵素的切断は、ThotakuraらのMeth.Enzymol.,138:350(1987)により記載されるように多種のエンド−およびエキソ−グリコシダーゼ類の使用により達成できる。
乳癌の共有結合修飾の他のタイプは、米国特許第4,640,835号;米国特許第4,496,689号;米国特許第4,301,144号;米国特許第4,670,417号:米国特許第4,791,192号または米国特許第4,179,337号に記載された方法で、乳癌ポリペプチドを多種の非蛋白ポリマー類の1つ、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレン類に結合することを含んで成る。
本発明の乳癌ポリペプチドはまた、他の非相同性ポリペプチドまたはアミノ酸配列に融合された乳癌ポリペプチドを含むキメラ分子を形成する方法で修飾してもよい。実施形態の1つにおいて、このようなキメラ分子は、抗タグ抗体が選択的に結合できるエピトープを提供するタグポリペプチドを有する乳癌ポリペプチドの融合を含んで成る。該エピトープタグは一般に、乳癌ポリペプチドのアミノ−またはカルボキシル−末端に位置する。乳癌ポリペプチドのこのようなエピトープ−タグ体の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を用いて検出できる。また、エピトープタグの提供により、乳癌ポリペプチドを、エピトープタグに結合する抗タグ抗体または他のタイプのアフィニティーマトリクスを用いてアフィニティー精製により容易に精製できる。他の実施形態において、キメラ分子は、乳癌ポリペプチドと免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの特別領域との融合を含んで成る。キメラ分子の二価形体ではこのような融合は、IgG分子のFc領域にされ得るであろう。
さまざまなタグポリペプチドおよびそれぞれの抗体は本技術分野でよく公知である。例としては、ポリ−ヒスチジン(ポリ−ヒス)またはポリ−ヒスチジン−グリシン(ポリ−ヒス−グリ)タグ、インフルエンザHAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5(Field et al.,Mol.Cell.Biol.,8:2159−2165(1988))、c−mycタグおよびそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10抗体(Evan et al.,Molecular and Cellular Biology,5:3610−3616(1985))、および単純ヘルペス糖タンパク質D(gD)タグとその抗体(Paborsky et al.,Protein Engineering,3(6):547−553(1990))が含まれる。他のタグポリペプチドには、Flag−ペプチド(Hopp et al.,BioTechnology,6:1204−1210(1988))、KT3エピトープペプチド(Martin et al.,Science,255:192−194(1992))、チューブリンエピトープペプチド(Skinner et al.,J.Biol.Chem.,266:15163−15166(1991))、およびT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ(Lutz−Freyermuth et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6393−6397(1990))が含まれる。
また、1つの実施様態における乳癌タンパク質の決定に際し、乳癌ファミリーの他の乳癌タンパク質および他の生物からの乳癌タンパク質が含まれ、それらは以下で概略したようにクローン化し、発現させる。したがって、プローブまたは変性ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー配列を、ヒトまたは他の生物から他の関連乳癌タンパク質を発見するのに使用してよい。当業者に明らかであろうように、とりわけ有用なプローブおよび/またはPCRプライマー配列には、乳癌核酸配列の固有の領域が含まれる。本技術分野で一般的に公知であるように、好ましいPCRプライマーは長さにして約15〜約35ヌクレオチドであり、好ましくは約20〜約30であり、必要ならばイノシンを含んでよい。PCR反応の条件は本技術分野でよく公知である。
さらに、本明細書で概略するように、乳癌タンパク質は、たとえば付加的な配列の解明、エピトープまたは精製タグの添加、他の融合配列の添加などによって、図で記載したものよりも長く作製できる。
乳癌タンパク質はまた、乳癌核酸によってコードされているものとして同定してよい。したがって、乳癌タンパク質は、本明細書で概略したような、配列表の配列、またはその相補的な配列にハイブリッド形成する可能性のある核酸によってコードされる。
好ましい実施様態において、たとえば免疫治療のために、乳癌タンパク質を抗体を作製するために使用する場合、乳癌タンパク質は、全長タンパク質で少なくとも1つのエピトープまたは決定基を共有しなければならない。本明細書において、「エピトープ(epitope)」または「決定基(determinant)」は、抗体またはMHCに関連したT−細胞受容体を作製および/または結合する可能性のあるタンパク質の一部分を意味する。したがって、ほとんどの場合、より小さな乳癌タンパク質に対して作製された抗体は、全長タンパク質に結合できる可能性がある。好ましい実施様態において、エピトープは固有であり、したがって、固有のエピトープに対して作製された抗体は、ほとんどまたは全く交差反応性は示さない。好ましい実施様態において、エピトープはBCH1p1、BCH1p2、BCR3p1、BCR3p2、BCQ8p1、BCQ8p2、BCQ5p1、BCQ5p2、BCN1p1、BCN1p2より選択し、BCH1p1およびBCH1p2が好ましい。1つの実施様態において、エピトープまたはBCH1p1の断片はKLHまたはBSAに共役させる。
1つの実施様態において、語句「抗体(antibody)」には、抗体全体の改変によって産出されるか、組換え体DNA技術を用いてde novoにて合成された、Fab、Fab、単鎖抗体(たとえばFv)、キメラ抗体などを含む、本技術分野で公知であるような抗体断片が含まれる。
ポリクローナル抗体を調製する方法は当業者に公知である。ポリクローナル抗体は、たとえば免疫薬剤、もし望むのならばアジュバントの1つまたはそれ以上の注入によって哺乳動物内で作製することができる。典型的には、免疫薬剤および/またはアジュバントは、多重皮下または腹腔内注射にて哺乳動物に注射する。免疫薬剤は、BCH1またはその断片またはその融合タンパク質を含んでよい。免疫薬剤を、免役されている哺乳動物において免疫原性であることが知られているタンパク質に共役させることが有用であり得る。そのような免疫原性タンパク質の例には、キーホールリンペット ヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリンおよびダイズチロシン阻害剤が限定はしないが含まれる。使用してよいアジュバントの例には、フロイト完全アジュバントおよびMPL−TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコレート)が含まれる。免疫プロトコールは、過度に実験を行わずに当業者によって選択されてよい。
あるいは、抗体はモノクローナル抗体であってよい。モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein,Nature,256:495(1976)によって記述されたもののようなハイブリドーマ方法を用いて調製してよい。ハイブリドーマ方法において、マウス、ハムスターまたは他の適切な宿主動物を、典型的には免疫薬剤で免役し、免疫剤に特異的に結合する可能性のある抗体を産出するか、産出することが可能であるリンパ球を誘発させる。あるいは、リンパ球をin vitroにて免役してよい。免疫薬剤は典型的には、BCH1ポリペプチドまたはその断片またはその融合タンパク質を含む可能性がある。一般的に、ヒト由来の細胞が望ましい場合、末梢血液リンパ球(「PBLs」)を使用し、非ヒト哺乳動物供給源が望ましい場合脾臓細胞またはリンパ管細胞を使用する。次いでリンパ球を、ポリエチレングリコールのような好適な融合剤を用いて不滅化した細胞株と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding,Monoclonal Antibodies.Principle and Practice,Academic Press,(1986)pp.59−103)。不滅化した細胞株は通常、形質転換した哺乳動物細胞、とりわけ齧歯類、ウシおよびヒト由来の骨髄腫細胞である。通常ラットまたはマウス骨髄腫細胞株を使用する。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは1つまたはそれ以上の、融合していない不滅化細胞の増殖または生存を阻害する基質を含む好適な培養培地中で培養してよい。たとえば、親細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシル転移酵素(HGPRTまたはHPRT)を欠損している場合、ハイブリドーマのための培養培地は典型的にはヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む可能性があり(「HAT培地」)、基質はHGPRT−欠損細胞の増殖を防止する。
1つの実施様態において、抗体は二重特異性抗体である。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して特異性を持っている、モノクローナル、好ましくはヒトまたはヒト化された抗体である。本発明の場合において、1つの結合特異性は乳癌タンパク質またはその断片に関してであり、他は任意の他の抗原に対してであり、好ましくは細胞表面タンパク質またはレセプターまたはレセプターサブユニットであり、好ましくは1つは腫瘍特異的である。
好ましい実施様態において、乳癌に対する抗体は、以下で記述するように乳癌の生物学的機能を減ずるかまたは除去することが可能である。したがって、(ポリクローナル、または好ましくはモノクローナルどちらかの)抗乳癌抗体の乳癌(または乳癌を含む細胞)への添加が、乳癌活性を減少させるかまたは除去しうる。一般的に、少なくとも25%の活性の減少が好ましく、少なくとも約50%がとりわけ好ましく、約95〜100%の減少が特に好ましい。
好ましい実施様態において、乳癌タンパク質に対する抗体はヒト化した抗体である。非ヒト(たとえば齧歯類)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリンから由来した最小配列を含む免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖または(Fv、Fab、Fabまたは抗体の他の抗原結合配列のような)その断片のキメラ分子である。ヒト化抗体には、レシピエントの相補性決定領域(CDR)が、望ましい特異性、親和性および能力を持っているマウス、ラットまたはウサギのような非ヒト種のCDR(ドナー抗体)からの残基で置換された、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)が含まれる。いくつかの場合、ヒト免疫グロブリンのFv骨格残基を、相当する非ヒト残基にて置換する。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体または導入したCDRまたは骨格配列どちらにも発見できない残基を含んでもよい。一般的に、ヒト化抗体は本質的に少なくとも1つ、典型的には2つの可変領域のすべてを含む可能性があり、その中で、すべてまたは本質的にすべてのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのCDR領域相当し、すべてまたは本質的にすべてのFR領域がヒト免疫グロブリン共通配列のそれである。ヒト化抗体は、任意にまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも1部分、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域を含む(Jones et al.,Nature,321:552−525(1986)、Riechmann et al.,Nature,332:323−329(1988)、Presta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593−596(1992))。
非ヒト抗体のヒト化のための方法は本技術分野で公知である。一般的に、ヒト化抗体は1つまたはそれ以上の、非ヒトである供給源よりその中に導入された核酸残基を持つ。これらの非ヒトアミノ酸残基はしばしば導入残基と呼び、典型的には導入可変領域よりとられる。ヒト化は、齧歯類CDRsまたはCDR配列をヒト抗体の相当する配列に置換することで、本質的にWinterとその共同研究者らの方法にしたがって実施する(Jones et al.,Nature,321:522−525(1986)、Riechmann et al.,Nature,332:323−327(1988)、Verthoeyen et al.,Science,239:1534−1536(1986))。よって、そのようなヒト化抗体はキメラ抗体であり(米国特許第4,818,587号)、そこで本質的にほとんど、野生型のヒト可変領域は、非ヒト種からの相当する配列によって置換される。実際に、ヒト化抗体は典型的には、いくつかのCDR残基と可能性のあるいくつかのFR残基が、齧歯類抗体の相同性部位からの残基で置換されたヒト抗体である。
ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリー(Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991))を含む、本技術分野で公知のさまざまな技術を使用して産出できる。Cole et al.およびBoemer et al.の技術もまた、ヒトモノクローナル抗体の調製のために使用可能である(Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R Liss,p.77(1985)およびBormer et al.,J.Immunol.,147(1):86−95(1991))。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座をトランスジェニック動物、たとえば内生免疫グロブリン遺伝子を部分的にまたは完全に不活性化したマウス内に導入することで作製することができる。誘発に際して、ヒト抗体産出が観察され、遺伝子再編成、組立、および抗体の能力の範囲を含むすべての観点でヒトで見られるものにとても似ている。このアプローチはたとえば、米国特許第5,545,807号、第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,661,016号で、および以下の科学的発行物、Marks et al.,Bio/Technology 10,779−783(1992)、Lonberg et al.,Nature 368:856−859(1994)、Morrison,Nature 368:812−13(1994)、Fishwild et al.,Nature Biotechnology 14,845−51(1996),Neuberger,Nature Biotechnology 14,826(1996)、Lonberg and Huszar,Inern.Rev.Immunol.13 65−93(1995)で記述されている。
免疫療法は、乳癌タンパク質に対して作製された抗体での乳癌の処置を意味する。本明細書で使用したように、免疫治療は受動的または能動的であってよい。本明細書で定義したような受動的免疫療法は、レシピエント(患者)への抗体の受動的な伝送である。能動的免疫化は、レシピエント(患者)での抗体および/またはT−細胞応答の誘導である。免疫応答の誘導は、それに対して抗体ができる抗原をレシピエントに提供することの結果である。当業者によって理解されるように、抗原は、それに対して抗体がレシピエント内に作製されることが望ましいようなポリペプチドを注入すること、またはレシピエントを抗体を発現可能な核酸と、抗原の発現のための条件下で接触させることによって産出してよい。
好ましい実施様態において、それに対して抗体が産出される乳癌タンパク質は上述にように分泌タンパク質である。理論に結びつけることなしに、治療のために使用した抗体は、分泌タンパク質に結合し、そのレセプターへの結合より分泌タンパク質を防ぎ、これによって分泌乳癌タンパク質を不活性化する。
他の好ましい実施様態において、それに対して抗体が作製される乳癌タンパク質は膜貫通タンパク質である。理論によって結びつけることなしに、治療のために使用した抗体は乳癌タンパク質の細胞外領域に結合し、循環リガンドまたは細胞関連分子のような他のタンパク質への結合を防止する。抗体は膜貫通乳癌タンパク質のダウンレギュレーションを引き起こす可能性がある。当業者に理解されるであろうように、抗体は競合、非競合または競合しない、乳癌タンパク質の細胞外領域に結合しているタンパク質の阻害剤であってよい。抗体はまた、乳癌タンパク質のアンタゴニストである。さらに抗体は膜貫通乳癌タンパク質の活性化を防止する。1つの観点において、抗体が乳癌タンパク質への他の分子の結合を防止した場合、抗体は細胞の増殖を防止する。抗体はまた細胞を、TNF−α、TNF−β、IL−1、INF−γおよびIL−2を限定はしないが含む細胞傷害性剤、または5FU、ビンブラスチン、アクチノマイシンD、シスプラチン、メトトレキサートのようなものを含む化学治療剤へ感作する。いくつかの場合、抗体は膜貫通タンパク質と複合体形成した場合に血清補体を活性化するサブタイプに属し、これによって細胞傷害性を仲介している。したがって、乳癌は、患者に対して膜貫通乳癌タンパク質に対する抗体を投与することで治療する。
他の好ましい実施様態において、抗体は治療部分に共役させる。1つの観点において、治療部分は乳癌タンパク質の活性を調節する小分子である。他の観点において、治療部分は、乳癌細胞に関連した、またはきわめて近い分子の活性を調節する。化学部位は、乳癌に関連したタンパク質分解酵素またはタンパク質リン酸化酵素のような酵素的活性を阻害する可能性がある。
好ましい実施様態において、治療的部位はまた細胞傷害性薬剤であってよい。この方法において、細胞傷害性薬剤を癌組織または細胞に対して標的化することは、結果として乳癌細胞の数の減少となり、これにより乳癌に関連した症状が減少する。細胞傷害性薬剤は数多く、変化し、細胞毒性薬品または毒素またはそのような毒素の活性断片が含まれるが、限定はしない。好適な毒素およびその相当する断片には、ジフテリアA鎖、エキソトキシンA鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、クルシン、クロチン、フェノマイシン、エノマイシンなどが含まれる。細胞毒医薬剤にはまた、放射性同位体を乳癌タンパク質に対して作製された抗体に共役すること、または放射性核種を抗体に共有結合したキレート剤と結合することで作製された放射化学品も含まれる。治療部分を膜貫通乳癌タンパク質に対して標的化することは、乳癌を患っている領域での治療部分の局所濃度を増加させるのに役に立つだけでなく、治療部分に関連する可能がある有害な副作用を減少させるのに役に立つ。
本発明の乳癌抗体は乳癌タンパク質に特異的に結合する。本明細書において「特異的に結合する(specifically bind)」は、抗体が、少なくとも10−4〜10−5−1の範囲、好ましくは10−7〜10−9−1の範囲での結合定数でタンパク質に結合することを意味する。
好ましい実施様態において、乳癌タンパク質は発現の後に精製し、または単離する。乳癌タンパク質は、どのような他の成分が試料中に存在するかに依存して当業者に公知の様々な方法にて単離し、または精製してよい。標準の精製方法には、電気泳動的、分子的、免疫学的およびイオン交換、疎水性、アフィニティーおよび逆相HPLCクロマトグラフィーを含むクロマトグラフィー技術、およびクロマトフォーカシングが含まれる。たとえば、乳癌タンパク質は標準の抗乳癌抗体カラムを用いて精製してよい。タンパク質濃縮と関連して限界濾過およびダイアフィルトレーション技術もまた有用である。好適な精製技術での一般的なガイドラインに関しては、Scopes,R., Protein Purification,Springer−Verlag,NY(1982)を参照のこと。精製の必要性の程度は、乳癌タンパク質の使用に依存して変化する可能性がある。いくつかの場合、精製は必要ない可能性がある。
いったん発現し、必要な場合精製したならば、乳癌タンパク質および核酸は多くの適用において有用である。
1つの観点において、遺伝子の発現レベルは、乳癌表現型における異なる細胞状態に関して決定され、すなわち通常の乳組織および乳癌組織における遺伝子の発現レベルを(いくつかの場合以下で概略したように、予後に関連した乳癌のひどさを変更するために)、発現プロフィールを提供するように評価する。特定の細胞状態または発達点の発現プロフィールは、本質的に状態の「識別特徴(fingerprint)」であり、2つの状態が任意の特定の遺伝子を同様に発現している可能性がある一方で、多くの遺伝子の評価が同時に、細胞の状態に固有である遺伝子発現プロフィールの生成を可能にする。異なる状態の細胞の発現プロフィールを比較することによって、それらの状態それぞれにおいて、どの遺伝子が重要であるか(遺伝子のアップ−およびダウン−レギュレーション両方を含めて)に関連した情報が得られる。よって、正常または乳癌組織の遺伝子発現プロフィールを持つ特定の患者からの組織で診断を行ってよく、または確認してよい。
本明細書で使用するところの「識別的発現(差動的発現)(differential expression)」または文法的同義語は、細胞内および細胞間での遺伝子の時間的なおよび/または細胞発現パターンにおける定性的および定量的両方の違いを意味する。したがって識別的に発現した遺伝子は、たとえば正常組織対乳癌組織において、活性化または不活性化を含めて定性的にその発現を変化させることができる。したがって遺伝子は他の状態と比較して、特定の状態で作り出されるか、または作り出されない可能性がある。当業者に理解されるように、2つまたはそれ以上の状態の比較を行うことができる。そのような定性的に制御された遺伝子は、1つのそのような状態または細胞型で標準技術によって検出可能であるが、両方で検出はできない状態または細胞型での発現パターンを示す可能性がある。あるいは、決定は、発現が増加または減少する定量的なものであり、すなわち遺伝子の発現はアップレギュレートされ、結果として転写物の量が増加するか、ダウンレギュレートされ、結果として転写物の量が減少するかどちらかである。発現が異なる程度は、参考文献として本明細書に組み込んだ、Affymetrix GeneChipTM発現アレイ、Lockhart,Nature Biotechnology,14:1675−1680(1996)の使用によるような、以下で概略したような標準の特性化技術を介して定量するのに十分大きいことのみが必要とされる。他の技術には、定量的逆転写PCR、ノザン解析およびPNaseプロテクションが含まれるが、限定はされない。以上で概略したように、好ましくは発現の変化(すなわちアップレギュレートまたはダウンレギュレート)は少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約100%、より好ましくは少なくとも約150%、より好ましくは少なくとも約200%、300〜少なくとも1000%がとりわけ好ましい。
当業者によって理解されるであろうように、これは遺伝子転写物またはタンパク質レベルのどちらかで評価されてよく、すなわち遺伝子発現量は、遺伝子転写物のDNAまたはRNA同等物に対する核酸プローブを用いてモニタしてよく、遺伝子発現レベルの定量、または最終遺伝子産物そのもの(タンパク質)は、たとえば乳癌タンパク質に対する抗体と標準免疫アッセイ(ELISA等)または、質量分析アッセイ、2Dゲル電気泳動アッセイなどを含む他の技術を使用することでモニタできる。したがって、乳癌遺伝子に関するタンパク質、すなわち乳癌表現型で重要であるとして同定されたものは、乳癌診断試験で評価することができる。
好ましい実施様態において、多重タンパク質発現モニタリングを同様に実施できるけれども、遺伝子発現モニタリングを行い、多くの遺伝子、すなわち発現プロフィールを同時にモニタする。同様に、これらのアッセイは同じように個々の基準において実施してよい。
本実施様態において、乳癌核酸プローブは、特定の細胞での乳癌配列の検出と定量のために本明細書にて概略したようにバイオチップに結合させる。
好ましい実施様態において、乳癌タンパク質をコードしている核酸を検出する。乳癌タンパク質をコードしているDNAまたはRNAを検出してよく、とりわけ興味のあるものは、乳癌タンパク質をコードしているmRNAを検出する方法である。試料中のmRNAの存在は、乳癌遺伝子がmRNAを形成するために転写されたことの示唆であり、タンパク質が発現されていることを示している。mRNAを検出するためのプローブは、mRANと相補的であり、塩基対である任意のヌクレオチド/デオキシヌクレオチドプローブでありえ、オリゴヌクレオチド、cDNAまたはRNAを限定しないが含む。プローブはまた、本明細書で定義したような、検出可能な標識を持つべきである。1つの方法において、mRNAは、ナイロン膜のような固体支持体上で試験するために核酸を固定化し、試料にプローブをハイブリッド形成した後に検出する。非特異的に結合したプローブを取り除くための洗浄に続き、標識を検出する。他の方法では、mRNAの検出はin situで実施する。この方法において、透過した細胞または組織試料を、プローブが標的mRNAとハイブリッド形成するのに十分な時間で、検出可能な標識化核酸プローブと接触させる。非特異的に結合したプローブを除くための洗浄の後に、標識を検出する。たとえば乳癌タンパク質をコードしているmRNAに相補的であるジゴキシゲニン標識化リボプローブ(RNAプローブ)を、抗ジゴキシゲニン二次抗体をジゴキシゲニンに結合させることで検出し、ニトロブルーテトラゾリウムおよび5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸で現像する。
好ましい実施様態において、本明細書で記述したような3種類のタンパク質(分泌、膜貫通または細胞内タンパク質)をいくつかは診断アッセイで使用する。乳癌タンパク質、抗体、核酸、改変タンパク質および乳癌配列を含んでいる細胞を診断アッセイで使用する。これは、個々の遺伝子または相当するポリペプチドレベル上で行いうる。好ましい実施様態において、好ましくはハイスループットスクリーニング技術と関連して発現プロフィールを使用し、遺伝子および/または相当するポリペプチドの発現に関するモニタリングを可能にする。
本明細書で記述し、概略したように、細胞内、膜貫通または分泌タンパク質を含む乳癌タンパク質が乳癌のマーカーとして使用できることが見いだせる。推定される乳癌組織または患者でのこれらのタンパク質の検出によって、乳癌の決定または診断が可能である。当業者に公知の多くの方法が乳癌の検出で使用できることがわかる。1つの実施様態において、抗体を乳癌タンパク質を検出するのに使用する。好ましい方法は、ゲル上の電気泳動(典型的には変性および還元タンパク質ゲルであるが、等電点焦点ゲルのようなものを含む任意の他の型のゲルでもよい)によって試料または患者よりタンパク質を分離する。タンパク質の分離に続き、乳癌タンパク質を、乳癌タンパク質に対して作製した抗体での免疫ブロッティングによって検出する。免疫ブロッティングの方法は当業者に良く公知である。
他の好ましい方法において、乳癌タンパク質に対する抗体は、in situイメージング技術で使用できることがみいだせる。この方法において、細胞を、乳癌タンパク質(類)に対する1つ〜多くの抗体と接触させる。非特異的抗体結合を取り除くための洗浄に続き、抗体または抗体類の存在を検出する。1つの実施様態において、抗体は検出可能な標識を含む二次抗体とインキュベートすることによって検出する。他の方法では、乳癌タンパク質(類)に対する一次抗体が検出可能な標識を含む。他の好ましい実施様態において、それぞれ1つの多重一次抗体が異なる検出可能な標識を持つ。この方法で、多数の乳癌タンパク質に対する同時スクリーニングでの特別な使用がみいだせる。当業者に理解されるであろうように、多くの他の組織学的イメージング技術が本発明で有用である。
好ましい実施様態において、標識は異なる波長の放射を検出および区別することができる分光計で検出する。さらに、蛍光活性化細胞ソーター(FACS)も本方法で使用できる。
他の好ましい実施様態において、抗体は、血液試料からの乳癌の診断において使用できることが見いだせる。すでに記載したように、ある乳癌タンパク質は分泌/循環分子である。したがって、血液試料は、分泌乳癌タンパク質に関してプローブし、試験するための試料として有用である。抗体は、当業者によって理解されるであろうように、ELISA、免疫ブロッティング(ウエスタンブロッティング)、免疫沈降、BIACORE技術などの任意のすでに記載した免疫アッセイ技術によって乳癌を検出するのに使用できる。
好ましい実施様態において、組織アレイに対する標識化乳癌核酸プローブのin situハイブリッド形成を行う。たとえば、乳癌組織および/または正常組織を含む組織試料のアレイを使用する。そして本技術分野で公知のようなin situハイブリッド形成を行う。
個々そして標準間の識別特徴を比較した場合に、当業者が診断および予後を行うことが可能であることが理解される。さらに、診断を示す遺伝子が、予後を示唆するものと異なってよいことが理解される。
好ましい実施様態において、乳癌タンパク質、抗体、核酸、改変タンパク質および乳癌配列を含んでいる細胞を予後アッセイに使用する。上記のように、長期予後に関して遺伝子発現プロフィールは、乳癌のひどさに相関して生成されうる。さらに、このことは、タンパク質または遺伝子レベルのどちらかで行ってよく、遺伝子の使用が好ましい。上記のように、乳癌プローブを組織または患者における乳癌配列の決定および定量のためにバイオチップに結合させる。アッセイは診断に関して概略したように実施する。
好ましい実施様態において、本明細書で記述したような任意の3種類のタンパク質を薬品スクリーニングアッセイで使用する。乳癌タンパク質、抗体、核酸、改変タンパク質および乳癌配列を含んでいる細胞を、薬品スクリーニングアッセイで使用し、または薬品候補物の「遺伝子発現プロフィール」またはポリペプチドの発現プロフィールにおける効果を評価することで使用する。好ましい実施様態において、好ましくはハイスループットスクリーニング技術と関連して発現プロフィールを使用し、候補薬品で処置した後の遺伝子の発現プロフィールについてモニタリングすることを可能にする。Zlokarnik,et al.,Science 279,84−8(1998),Heid,1996 #69。
好ましい実施様態において、乳癌タンパク質、抗体、核酸、改変タンパク質および天然のまたは改変した乳癌タンパク質を含んでいる細胞をスクリーニングアッセイで使用する。したがって、本発明は、乳癌表現型を調節する組成物に関するスクリーニングのための新規方法を提供する。上述のように、このことは個々の遺伝子レベル上で、または薬品候補の「遺伝子発現プロフィール」における効果を評価することによって行うことができる。好ましい実施様態において、発現プロフィールを、好ましくはハイスループットスクリーニング技術と関連させて使用し、候補薬剤で処置した後の遺伝子の発現プロフィールに関してモニタリングすることを可能にする。上記Zlokarnikを参照のこと。
ここで差動的に発現される遺伝子が同定されたので、いろいろな分析を実行することができる。ある好ましい実施形態では、分析は個々の遺伝子又はタンパク質レベルについて行われる。すなわち、ある特定遺伝子が乳癌でアップレギュレートされると同定されたら、この遺伝子の応答を変調する仕方で、好ましくはこの遺伝子をダウンレギュレートするように、しかし場合によってはこの遺伝子をアップレギュレートするように候補生物活性物質がスクリーニングされる。“変調”とは、このように遺伝子発現の増加も減少も含む。好ましい変調の量は、正常組織と腫瘍組織を比較したときの元の遺伝子発現の差に依存し、差は少なくとも10%、好ましくは50%、さらに好ましくは100−300%、実施形態によっては300−1000%以上、になる。すなわち、ある遺伝子が正常組織に比べて腫瘍組織で4倍の増加を示す場合、約4分の1の減少が望ましく、正常組織に比べて腫瘍組織での発現が10分の1の減少を示す場合、候補物質での発現は10倍の増加が望ましいということになる。
当業者には理解できるように、これは遺伝子レベルで評価して行うこともタンパク質レベルで評価して行うこともできる。すなわち、核酸プローブを用い遺伝子発現レベルを定量化することによって遺伝子発現の量をモニターすることも、あるいは遺伝子産物そのものを、例えば乳癌タンパク質の抗体を用い標準的な免疫分析によって、モニターすることもできる。
ある好ましい実施形態では、遺伝子発現のモニタリングを行っていくつかの遺伝子すなわち、発現プロフィール、が同時にモニターされるが、複数のタンパク質発現のモニタリングも行うことができる。
この実施形態では、ある特定細胞における乳癌シーケンスの検出と定量化のために乳癌核酸プローブがここで述べたバイオチップに装着される。この分析については以下でさらに詳しく述べる。
一般に、好ましい実施形態では、候補の生物活性物質が分析の前に細胞に加えられる。さらに、スクリーニングを行って、乳癌を変調する、乳癌タンパク質を変調する、乳癌タンパク質と結合する、あるいは乳癌タンパク質と抗体の結合を妨害する生物活性物質候補が同定される。
本明細書において用いられる“生物活性物質候補”又は“薬剤候補”という用語、又は文法的に同等なもの、は、何らかの分子、例えばタンパク質、オリゴペプチド、小さな有機分子、多糖類、ポリヌクレオチド、等であって、直接又は間接に乳癌表現型又は乳癌シーケンス(核酸シーケンスもタンパク質シーケンスも含む)の発現を変化させることができる生物活性物質かどうかテストされるもの、を指す。好ましい実施形態では、生物活性物質は、発現プロフィール、又は本明細書で述べる発現プロフィール核酸又はタンパク質、を変調する。特に好ましい実施形態では、候補物質は乳癌表現型を抑制する、例えば正常な乳組織と同じフィンガープリントにまで、抑制するものである。同様に、候補物質は好ましくは重症な乳癌表現型を抑制する。一般に、いろいろな濃度に対する応答の差を明らかにするために、異なる物質濃度で複数の分析ミックスが平行して行われる。普通、それらの濃度の一つはネガティブ対照として、すなわち、ゼロ濃度又は検出不可能なレベルで、用いられる。
候補物質には多くの化学的な部類が含まれるが、普通は有機分子、好ましくは分子量が100ダルトンより大きく約2500ダルトン未満の小さな有機化合物、である。好ましい小分子は2000D未満、又は1500D未満、又は1000D未満、又は500D未満、である。候補物質はタンパク質との構造的な相互作用、特に水素結合、に必要な機能グループを含み、普通少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシル又はカルボキシル基を含み、好ましくは少なくとも二つの機能的な化学基を含む。候補物質は、しばしば、環式炭素又は複素環式構造及び/又は芳香族又はポリ芳香族構造を一つ以上の上記機能グループで置換したものを含む。候補物質は、また、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、それらの誘導体、構造類似物又は組み合わせ、などの生体分子の間にも見られる。特に好ましいものはペプチドである。
候補物質は、合成又は天然の化合物のライブラリーなど、多種多様な源から得られる。例えば、いろいろな有機化合物及び生体分子のランダム及び有向合成の手段は、ランダムなオリゴヌクレオチドの発現を含めて多数ある。あるいはまた、バクテリア、菌類、植物及び動物からの抽出物という形の天然化合物のライブラリーが利用できる又は容易に作成できる。さらに、天然又は合成物質のライブラリー及び化合物は、通常の化学的、物理的、及び生化学的な手段によって容易に修飾される。既知の薬剤物質に対して、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化など、有向又はランダムな化学的修飾を行って構造的な類似体を生成することができる。
ある好ましい実施形態では、候補生物活性物質はタンパク質である。本明細書では、“タンパク質”という用語で、共有結合で付着した少なくとも二つのアミノ酸を意味し、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、及びペプチドを含む。タンパク質は、天然に見られるアミノ酸及びペプチド結合で構成されることも、合成のペプチド類似構造で構成されることもある。本明細書で用いられる“アミノ酸”又は“ペプチド残基”という用語は、天然に見られるアミノ酸と合成のアミノ酸の両方を意味する。例えば、本発明の目的には、ホモ−フェニルアラニン、シトルリン、ポラロイシンはアミノ酸と見なされる。“アミノ酸”は、また、プロリンやヒドロキシプロリンなど、イミノ酸残基も含む。側鎖は(R)配置でも(S)配置でも良い。好ましい実施形態では、アミノ酸は(S)又はL−配置である。天然には見られない側鎖が用いられる場合、例えば生体での分解を防ぐ又は遅らせるために非アミノ酸置換基を用いることがある。
ある好ましい実施形態では、候補生物活性物質は天然に見られるタンパク質又は天然に見られるタンパク質の断片である。従って、例えば、タンパク質を含む細胞抽出物、又はタンパク質様の細胞抽出物のランダム又は有向消化物、が用いられる。このようにして、原核細胞及び真核細胞のタンパク質のライブラリーを作成して本発明の方法でスクリーニングすることができる。この実施形態で特に好ましいのは、バクテリア、菌類、ウイルス、及び哺乳類のタンパク質のライブラリーであり、哺乳類が好ましく、ヒトのタンパク質が特に好ましい。
ある好ましい実施形態では、候補生物活性物質は、約5乃至約30アミノ酸から成るペプチドであり、約5乃至約20アミノ酸が好ましく、約7乃至約15アミノ酸が特に好ましい。ペプチドは、上述のような天然に見られるタンパク質の消化物であっても、ランダム・ペプチドであっても、“偏りのある”ランダム・ペプチドであってもよい。本明細書で用いられる“ランダム化された”という用語、又は文法的に同等なもの、は、各核酸又はペプチドが、それぞれ、本質的にランダムなヌクレオチド又はアミノ酸から成るということを意味する。一般に、これらのランダムなペプチド(又は、後で述べる核酸)は化学的に合成されるものであるから、どんなヌクレオチド又はアミノ酸をどんな位置に含むこともできる。ランダム化されたタンパク質又は核酸を生成し、全部又はほとんどの可能な組み合わせがシーケンスの長さにわたって形成されるように合成プロセスを設計して、ランダムな候補生物活性タンパク質様物質のライブラリーを作ることができる。
ある実施形態では、ライブラリーは完全にランダムであって、どの位置にも優先されるシーケンスや一定のシーケンスはない。ある実施形態では、ライブラリーは偏りがある。すなわち、シーケンスの中のある位置は一定に保たれるか、又は限られた数の可能性の中から選択される。例えば、ある好ましい実施形態では、ヌクレオチド又はアミノ酸残基は、一定の部類の中でランダム化され、例えば、疎水性アミノ酸、親水性残基、立体的に偏った(小さな又は大きな)残基、の範囲内で、核酸結合ドメインの形成、システインの形成、架橋のために、SH−3ドメインのためのプロリン、リン酸化のためのセリン、スレオニン、チロシン、又はヒスチジン、等を作る方向に、又はプリン等を作る方向に、ランダム化される。
ある好ましい実施形態では、候補生物活性物質は上で定義されたような核酸である。
上でタンパク質について一般的に述べたように、核酸の候補生物活性物質も、天然に見られる核酸、ランダムな核酸、又は“偏った”ランダムな核酸、がある。
上でタンパク質について述べたように、原核細胞又は真核細胞のゲノムの消化物を用いることもできる。
ある好ましい実施形態では、候補生物活性物質は有機化学分子であり、多種多様な有機化学分子が文献で利用できる。
候補物質を加えて、そのまま細胞をある時間培養した後、分析しようとする標的シーケンスを含むサンプルがバイオチップに加えられる。必要なら、標的シーケンスは既知の方法で調製される。当業者には理解されるように、例えば、サンプルを処理して既知の溶解バッファー、エレクトロポレーション、等を用いて細胞を溶かし、必要に応じてPCRを行って精製/増幅する。例えば、ヌクレオシドにラベルを共有結合で付着させてインビトロ(in vitro)転写を行う。一般に、核酸はビオチン−FITC又はPE、又はcy3又はcy5でラベルされる。
ある好ましい実施形態では、プローブと標的シーケンスの特異的結合を検出する手段を提供するために、標的シーケンスは蛍光、化学発光、化学的、又は放射性信号でラベルされる。ラベルは、また、アルカリ性ホスファターゼ、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼなどの酵素であってもよく、これらは適当な基質が与えられれば検出できる生成物を生ずる。あるいはまた、ラベルは、結合するが酵素によっては触媒又は変性されない酵素阻害物質などの標識された化合物または小さな分子であってもよい。ラベルはまた、エピトープ・タグ又はストレプタビジンと特異的に結合するビオチンなど、半量の化合物であってもよい。ビオチンの例では、ストレプタビジンが上述のようにラベルされて、結合した標的シーケンスを検出できる信号を提供する。当業者には公知のように、分析の前に結合しないラベルされたストレプタビジンが除去される。
当業者には理解されるように、この分析は、直接のハイブリダイゼーション分析であっても、複数のプローブを用いる“サンドウイッチ分析”であっても良く、後者については、米国特許第5,681,702, 5,597,909, 5,545,730, 5,594,117, 5,591,584, 5,571,670, 5,580,731, 5,571,670, 5,591,584, 5,624,802, 5,635,352, 5,594,118, 5,359,100, 5,124,246,及び5,681,697号に一般的に記載されており、これらは全てここで参照することによって本明細書に取り込まれる。この実施形態では、一般に、核酸が上述のように調製され、ハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にする条件の下で、複数の核酸プローブを含むバイオチップに加えられる。
本発明では、上述のように高、中及び低ストリンジェンシー条件を含むいろいろなハイブリダイゼーション条件が用いられる。分析は一般に、標的の存在下でのみラベル・プローブ・ハイブリダイゼーション複合体の形成が可能になるようなストリンジェンシー条件の下で行われる。ストリンジェンシーは、温度、フォルムアミド濃度、塩濃度、カオトロピック塩濃度 pH、有機溶剤濃度、等、これだけに限定されないが、熱力学的変数であるステップ・パラメータを変えることによって制御される。
これらのパラメータは、また、非特異的な結合を制御するのにも利用される。これは、米国特許第5,681,697号に一般的に述べられている。したがって、非特異的な結合を減少させるためにいくつかのステップを高いストリンジェンシー条件の下で行うことが望ましいかもしれない。
当業者には理解されるように、本明細書で述べる反応はいろいろな仕方で遂行することができる。反応の成分は、同時に加えても、任意の順序で順次加えてもよいが、好ましい実施形態は以下で述べる。さらに、分析では、他のいろいろな試薬も反応に含まれる。それらは、塩、緩衝剤、中性タンパク質、例えばアルブミン、洗浄剤、等の試薬であり、最適なハイブリダイゼーション及び検出を助け、及び/又は、非特異的な又はバックグラウンド相互作用を減らすために用いられることがある。その他に分析の効率を高める試薬、例えばプロテアーゼ阻害因子、ヌクレアーゼ阻害因子、抗菌剤、等も、サンプル調製方法や標的の純度によっては用いられることがある。
分析を行ったら、データを解析して、発現レベル、状態間の発現レベルの差を個々の遺伝子について決定して、遺伝子発現プロフィールが作成される。
スクリーニングを行って、乳癌表現型を変調する薬剤又は生物活性物質を同定する。具体的には、いくつかのタイプのスクリーニングを行うことができる。好ましい実施形態は、ある特定発現プロフィールを誘発又は抑制することができ、好ましくは関連表現型を生成する候補物質のスクリーニングである。すなわち、正常乳組織の発現プロフィールと同様な発現プロフィールを乳癌において模倣又は生成できる候補物質は、乳癌表現型の抑制につながると期待される。このように、この実施形態では、ある発現プロフィールを模倣すること、又はあるプロフィールを別のプロフィールに変えることが目標である。
ある好ましい実施形態では、診断及び予後判定への応用の場合のように、何らかの状態で重要な差動的に発現する遺伝子を同定したら、スクリーニングは遺伝子の発現を個別に変化させるように行うことができる。すなわち、ある単一遺伝子の発現の調節の変調に関してスクリーニングすることができる;すなわち、ある発現プロフィールの全部又は一部を模倣しようとするのではなく、個別遺伝子の調節に関するスクリーニングを行うことができる。例えば、特に標的遺伝子が存在するかどうかが二つの状態の間でユニークである標的遺伝子の場合、標的遺伝子の発現の変調因子に関するスクリーニングが行われる。
ある好ましい実施形態では、スクリーニングは、差動的に発現される遺伝子の発現産物の生物学的機能を変化させるように行われる。やはり、ある特定状態におけるある遺伝子の重要性が同定されたら、その遺伝子産物に結合する及び/又はその生物的活性を変調する物質に関するスクリーニングを以下で詳しく述べるように行うことができる。
すなわち、遺伝子発現レベル又はタンパク質レベルで乳癌表現型を変調する候補物質のスクリーニングを行うことができる。
さらに、候補物質に応答して誘導される新しい遺伝子に関するスクリーニングも行うことができる。乳癌発現パタンを抑制して正常発現パタンにする能力、又は単一乳癌遺伝子の発現プロフィールを変調して正常組織からの遺伝子の発現を模倣させる能力に基づいてある候補物質を同定した後、その物質に応答して特異的に変調される遺伝子を同定するために上述のようなスクリーニングを行うことができる。正常組織とその物質で処理された乳癌組織の発現プロフィールを比較することによって、正常組織又は乳癌組織では発現されないが、その物質で処理された組織で発現される遺伝子が明らかにされる。乳癌遺伝子又はタンパク質について本明細書で述べた方法によって、これらの物質特異的シーケンスを同定し利用することができる。特に、これらのシーケンス及びそれがコード化しているタンパク質はその物質で処理された細胞をマークしたり同定したりするのに利用できる。さらに、その物質で誘導されたタンパク質に対する抗体を見つけて、新しい治療法の標的を処理された乳癌組織サンプルに絞るのに用いることができる。
このように、ある実施形態では候補物質がある乳癌細胞集団に投与され、それは関連乳癌発現プロフィールをもつことになる。本明細書で用いる“投与”又は“接触”という用語は、候補物質が、細胞に対して、取り込まれて細胞内部で作用する形であれ、細胞表面で作用する形であれ、作用を及ぼすことができるような仕方で細胞に加えられることを意味する。いくつかの実施形態では、タンパク質様の候補物質(すなわち、ペプチド)をコードする核酸は、レトロウイルス構造などのウイルス構造にして細胞に加えてペプチド物質の発現が遂行されるようにする;PCT US97/01019を参照,これは、ここで参照することにより本明細書にはっきりと取り込まれる。
候補物質が細胞に投与されたら、細胞は、所望するなら洗浄して、好ましくは生理的条件下である期間培養させる。その後、細胞を収穫して、新しい遺伝子発現プロフィールをここで述べているように生成する。
このようにして、例えば、乳癌組織をスクリーニングして乳癌表現型を減少又は抑制する物質を探すことができる。少なくとも一つの遺伝子における発現プロフィールの変化は、その物質が乳癌に影響を及ぼすことを示す。乳癌表現型に関するこのようなシグナチャーを定めることによって、表現型を変化させる新しい薬剤のためのスクリーニングを考案することができる。このアプローチでは、薬剤のターゲットを知る必要はなく、最初の発現スクリーニング・プラットフォームに表す必要もなく、ターゲット・タンパク質の転写レベルが変化する必要もない。
上述のように、ある好ましい実施形態では、スクリーニングは個々の遺伝子および遺伝子産物(タンパク質)について行うことができる。すなわち、ある特定の差動的に発現される遺伝子がある特定状態で重要であると同定したら、その遺伝子の発現又は遺伝子産物自身の変調因子のスクリーニングを行うことができる。差動的に発現される遺伝子の遺伝子産物は、本明細書において、“乳癌タンパク質”、“乳癌変調タンパク質”、“BCP”、又は“BCMP”と呼ばれることがある。ある実施形態では、BCMPはBCH1と呼ばれる。ある実施形態では、BCH1は、ここで乳癌タンパク質の同定について述べたように同定することができる。ある好ましい実施形態では、BCH1は図34に示されている。BCMPは、断片であっても、あるいはここに示された断片に対する全長タンパク質であってもよい。好ましくは、BCMPはほぼ14乃至24アミノ酸という長さの断片である。さらに好ましくは、BCMPは可溶性の断片である。
本明細書における別の好ましい実施形態では、乳癌タンパク質又は乳癌タンパク質をコードする核酸は、図に示されているシーケンスから、アクセス番号が示されているものも含めて、選択される。好ましいシーケンスは図10にあり、さらに好ましくは図11にあり、最も好ましくは図12にある。好ましいシーケンスは、また、BCH1,BCA2,BCJ7,BCN1,BCN5,BCO2,BCQ5,BCR2、BCR3、BCO8,BCN2,BCX3,BCX2及びBCY3から成る群から選択される。最も好ましくは、シーケンスはBCH1,BCA2,BCJ7,BCN1,BCN5,BCO2,BCQ5,BCR2、BCX2及びBCY3から成る群から選択される。タンパク質は、このタンパク質の群の任意の部分集合から選択することもできる、例えばBCH1は群全体から選択することも、BCH1とBCN1という部分集合から選択することもできる、ということは言うまでもない。
ある実施形態では、乳癌タンパク質はここで述べられる免疫原物質と結合している。ある実施形態では、乳癌タンパク質はBSAと結合している。
すなわち、ある好ましい実施形態では、複数の特定遺伝子の発現変調因子のスクリーニングを行うことができる。これは上述のように行われるが、しかし一般には唯一つ又は少数の遺伝子の発現だけが評価される。
ある好ましい実施形態では、スクリーニングが、まず差動的に発現されるタンパク質に結合できる候補物質を見つけるように設計され、次にそれらの物質を用いて、候補物質が差動的に発現される活性を変調する能力を評価する分析を行う。したがって、当業者には理解できるように、いくつかの異なる分析が、すなわち、結合分析と活性分析が、行われる。
ある好ましい実施形態では、結合分析が行われる。一般に、精製又は単離された遺伝子産物が用いられる;すなわち、一つ以上の差動的に発現される核酸の遺伝子産物が作られる。一般に、これは当業者には公知の方法で行われる。例えば、そのタンパク質遺伝子産物に対する抗体を生成し、標準的な免疫分析を行ってタンパク質の存在量を決定する。あるいはまた、乳癌タンパク質を含む細胞を分析に用いることもできる。
すなわち、ある好ましい実施形態では、方法は、乳癌タンパク質と候補生物活性物質を結合するステップと、乳癌タンパク質への候補物質の結合を決定するステップとを含む。好ましい実施形態はヒトの乳癌タンパク質が用いるが、他の哺乳類タンパク質も、例えばヒトの疾病の動物モデルを開発するために、用いることができる。本明細書で述べるいくつかの実施形態では、乳癌タンパク質の変異体又は誘導体が用いられる。
一般に、本明細書におけるこの方法の好ましい実施形態では、乳癌タンパク質又は候補物質は、隔離されたサンプル受容区域を有する不溶性サポートに(例えば、マイクロタイタ・プレート、アレー、等)拡散しないように結合される。不溶サポートは、組成物が結合できるどんな組成でもよく、可溶物質から容易に分離され、その他の点でもスクリーニングの方法全体と共用できるものである。このようなサポートの表面は、固体又は多孔質であり、好適な形を有する。適当な不溶性のサポートの例としては、マイクロタイタ・プレート、アレー、膜、ビーズ、などがある。これらは普通、ガラス、プラスチック(例えば、ポリスチレン)、多糖類、ナイロン、ニトロセルローズ、テフロン(商標)、等から作られる。マイクロタイタ・プレート、及びアレーは少量の試薬とサンプルを用いて多数の分析を同時に行うことができるので特に好都合である。試薬及び本発明の方法全体と両立でき、組成物の活性が保たれ、拡散しないものであれば組成物の具体的な結合の仕方は重要でない。好ましい結合方法には、抗体の利用(これはタンパク質がサポートに結合したときに、リガンド結合部位も活性シーケンスも立体的にブロックしない)、“粘着性の”又はイオン性のサポートへの直接結合、化学的架橋、表面でのタンパク質又は作用物質の合成、などがある。タンパク質又は物質の結合の後、過剰な結合していない物質は洗浄によって除去される。サンプル受容部はその後ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、又は他の無害なタンパク質又は他の半量体と共にインキュベーションすることでブロックされる。
ある好ましい実施形態では、乳癌タンパク質がサポートに結合され、候補生物活性物質が分析に加えられる。あるいはまた、候補物質がサポートに結合され、乳癌タンパク質がそれに加えられる。新しい結合物質としては、特異的抗体、化学ライブラリーのスクリーニングで同定された非天然結合物質、ペプチド類似体、などがある。特に興味深いのは、ヒトの細胞に対する毒性が低い物質に関するスクリーニング分析である。この目的にいろいろな分析を用いることができる、例えば、標識インビトロ・タンパク質−タンパク質結合分析、電気泳動移動度シフト分析、タンパク質結合に関する免疫分析、機能的分析(リン酸化分析、等)、などがある。
乳癌タンパク質との候補生物活性物質の結合はいくつかの仕方で行うことができる。ある好ましい実施形態では、候補生物活性物質をラベルで標識して結合を直接測定する。例えば、これは乳癌タンパク質の全部又は一部を固体サポートに付着させ、ラベル標識(例えば、蛍光ラベル)された候補物質を加え、固体サポートにラベルが存在するかどうかを決定することで行うことができる。当業者には周知のいろいろなブロック及び洗浄ステップが用いられる。
本明細書では“標識された”という用語は、化合物が直接又は間接に、検出可能な信号を与えるラベル、例えば、放射性同位元素、蛍光物質、酵素、抗体、磁性粒子などの粒子、化学発光物質、又は特異的結合分子、などで標識されることを意味する。特異的結合分子には、対、例えばビオチンとストレプタビジン、ダイオキシンとアンチダイオキシン、などの対が含まれる。特異的結合メンバーでは、通常、相補的メンバーが上述のように既知の手順に従って検出できるような分子で標識される。ラベルは直接又は間接に検出できる信号を与える。
いくつかの実施形態では、一方の成分だけがラベル標識される。例えば、タンパク質(又はタンパク質様候補物質)は、チロシンの位置で125Iを用いて、又は蛍光体によって標識できる。あるいはまた、二つ以上の成分を異なるラベルで標識することもできる:例えばタンパク質を125Iを用いて標識し、候補物質を蛍光体で標識することができる。
ある好ましい実施形態では、候補生物活性物質の結合は競合結合分析を用いて決定される。この実施形態では、競合物質は標的分子(すなわち、乳癌)に結合することが知られている結合半片、例えば、抗体、ペプチド、結合パートナー、リガンド、等、である。場合によっては、生物活性物質と結合半片との間に競合的な結合が行われて結合半片が生物活性物質を追い出してしまう。
ある実施形態では、候補生物活性物質がラベル標識される。まず、候補生物活性物質、又は競合物質、又はその両方、がタンパク質に、結合があるならそれを可能にするに十分な時間加えられる。インキュベーションは、活性を最適にする任意の温度、普通4から40℃の間、で行われる。インキュベーション時間は活性を最適にするように選ばれるが、迅速で高効率のスクリーニングができるようにも最適化される。普通、0.1から1時間までの間で十分である。過剰な試薬は、一般に、除去又は洗い流される。次に第二の成分を加え、ラベル標識された成分が存在するかどうかを追跡して結合を示す。
ある好ましい実施形態では、競合物質が最初に加えられ、その後で候補生物活性物質が加えられる。競合物質が追い出されることが、候補生物活性物質が乳癌タンパク質に結合しており、したがって、乳癌タンパク質に結合することができ、その活性を変調できるということを示す証左である。この実施形態では、どちらの成分をラベル標識することもできる。すなわち、例えば、競合物質をラベル標識した場合、洗浄溶液中にラベルが存在することが生物活性物質による追い出しを示す。あるいは、生物活性物質をラベル標識した場合、サポートにラベルが存在することが追い出しを示す。
別の実施形態では、候補生物活性物質が最初に加えられ、インキュベーションと洗浄が行われ、その後競合物質が加えられる。競合物質による結合が存在しないことは、生物活性物質が乳癌タンパク質に高い親和度で結合していることを示すであろう。したがって、もしも候補生物活性物質をラベル標識した場合、サポートにラベルが存在することは、競合物質の結合が見られないことと合わせて、候補生物活性物質が乳癌タンパク質と結合できるということを示す。
ある好ましい実施形態では、この方法は乳癌タンパク質の活性を変調できる生物活性物質を同定する差動的なスクリーニングを含む。この実施形態では、方法は、第一のサンプルで乳癌タンパク質と競合物質を結合させるステップを含む。第二のサンプルは、候補生物活性物質、乳癌タンパク質、及び競合物質を含む。両方のサンプルについて競合物質の結合を測定すると、二つのサンプルの間の結合の変化又は差が、乳癌タンパク質に結合でき、その活性を変調する可能性がある物質の存在を示す。すなわち、競合物質の結合が第一のサンプルに比べて第二のサンプルで異なる場合、その生物活性物質は乳癌タンパク質に結合できる。
あるいはまた、ある好ましい実施形態は差動的スクリーニングを用いて、自生乳癌タンパク質には結合するが、変性した乳癌タンパク質には結合しない薬剤候補を同定する。乳癌タンパク質の構造をモデル化し、合理的な薬剤デザインでそれを用いてその部位と相互作用する物質を合成することができる。乳癌の活性に影響を及ぼす薬剤候補も、そのタンパク質の活性を強化又は減少させる能力に関して薬剤をスクリーニングして同定される。
分析ではポジティブ対照とネガティブ対照が用いられる。統計的に有意な結果を得るために、全ての対照及びテスト・サンプルは、少なくとも三重にして調べることが好ましい。全てのサンプルのインキュベーションは、タンパク質への物質の結合に十分な時間にわたって行う。インキュベーションの後、全てのサンプルを洗浄して非特異的に結合した物質を除去して結合した、一般にラベル標識された、生物活性物質の量を決定する。例えば、放射性標識を用いる場合、サンプルをシンチレーション・カウンターで計測したがって結合した化合物の量を決定する。
スクリーニング分析には他のいろいろな試薬が含まれる。それは例えば、最適なタンパク質−タンパク質結合を助けるために及び/又は非特異的なバックグラウンド相互作用を減らすために用いられる塩、中性タンパク質、例えば、アルブミン、洗浄剤、などの試薬である。また、別の仕方で分析の効率を高める試薬、例えばプロテアーゼ阻害物質、ヌクレアーゼゼ阻害物質、抗菌剤、等も用いられることがある。成分の混合物は必要な結合を可能にするようなどんな順序で加えてもよい。
乳癌タンパク質の活性を変調する作用物質のスクリーニングも行うことができる。ある好ましい実施形態では、乳癌タンパク質の活性を変調できる生物活性物質をスクリーニングする方法は、上記のように乳癌タンパク質のサンプルに候補生物活性物質を加えるステップと、乳癌タンパク質の生物活性の変化を決定するステップとを含む。“乳癌の活性を変調すること”には、活性の増加、活性の減少、又は存在している活性のタイプや種類の変化も含まれる。したがって、この実施形態では、候補作用物質は乳癌タンパク質に結合し(これは必要でないかもしれない)、かつ、ここで定義したようにその生物活性又は生化学活性を変化させなければならない。方法は、上で一般的に述べたようなインビトロ(in vitro)・スクリーニング方法と、乳癌タンパク質の存在、分布、活性、又は量の変化を細胞で調べるインビボ(in vivo)・スクリーニングとを含む。
すなわち、この実施形態では、方法は、乳癌サンプルと候補生物活性物質を結合させるステップと、乳癌活性への影響を評価するステップとを含む。本明細書における“乳癌活性”という用語、又は文法的にそれと同等なもの、は、細胞分裂、好ましくは乳組織におけるもの、細胞増殖、腫瘍増殖、細胞の形質転換、など、ただしそれだけに限定されない乳癌の生物的活動の一つを意味する。ある実施形態では、乳癌活性は、乳癌タンパク質、例えばBCH1,の活性化又は乳癌タンパク質によるその基質の活性化、を含む。乳癌活性の阻害因子とは一つ以上の乳癌活性の阻害である。
ある好ましい実施形態では、乳癌タンパク質の活性は増加し、別の好ましい実施形態では、乳癌タンパク質の活性は減少する。すなわち、ある実施形態では拮抗物質である生物活性物質が好ましく、別の実施形熊では作用物質である生物活性物質が好ましい。
ある好ましい実施形態では、本発明は乳癌タンパク質の活性を変調できる生物活性物質をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、上で定義されたような候補生物活性物質を乳癌タンパク質を含む細胞に加えるステップを含む。好ましい細胞のタイプは、ほとんどすべての細胞を含む。細胞は、乳癌タンパク質をコードする組み換え核酸を含む。ある好ましい実施形態では、候補作用物質のライブラリーが複数の細胞でテストされる。
ある態様では、分析は、生理的信号、例えばホルモン、抗体、抗原、サイトカイン、成長因子、作用電位、化学療法を含む薬理物質、放射線、発癌物質、又は他の細胞(すなわち、細胞−細胞接触)、などの存在、又は不在、又は事前又は事後の曝露、という条件下で評価される。別の例では、細胞サイクルの過程の異なる段階で決定が行われる。
このようにして生物活性物質が同定される。薬理活性を有する化合物は乳癌タンパク質の活性を強化したり、又は妨害したりできる。ある実施形態では、この中で用いられる“乳癌タンパク質活性”という語は、以下の少なくとも一つを含む:乳癌活性、乳癌タンパク質との結合、乳癌タンパク質の活性化、又は乳癌タンパク質による乳癌タンパク質の基質の活性化。
ある実施形態では、乳癌の細胞分裂を阻害する方法が提供される。この方法は乳癌阻害物質の投与を含む。
中和とは、あるタンパク質の活性を阻害又はそれに対抗して実質的に細胞に何も影響しないようにすることを意味する。
別の実施形態では、腫瘍の成長を阻害する方法が提供される。この方法は乳癌阻害物質の投与を含む。
さらに別の実施形態では、癌を有する細胞又は人を治療する方法が提供される。この方法は乳癌阻害物質の投与を含む。
ある実施形態では、乳癌阻害物質は上述のような抗体である。別の実施形態では、乳癌阻害物質はアンチセンス分子である。本明細書で用いるアンチセンス分子という用語は、標的の乳癌分子のmRNA(センス)又はDNA(アンチセンス)と結合できる単一鎖核酸シーケンス(RNA又はDNA)から成るアンチセンス又はセンス・オリゴヌクレオチドを含む。好ましいアンチセンス分子はBCH1又はそのリガンド又は活性化剤に関するものである。本発明によると、アンチセンス又はセンス・オリゴヌクレオチドは一般に少なくとも約14ヌクレオチド、好ましくは約14乃至30ヌクレオチドの断片を含む。与えられたタンパク質をコードするcDNAシーケンスに基づいてアンチセンス又はセンス・オリゴヌクレオチドを誘導できる方法は、例えば、Stein and Cohen(Cancer Res.48:2659,1988)及びvan der Krol et al(BioTechniques 6.958,1988)に記述されている。
アンチセンス分子は、WO91/04753に記載されているように、リガンド結合分子との接合体を形成することによって標的ヌクレオチド・シーケンスを含む細胞に導入することができる。適当なリガンド結合分子は、細胞表面受容体、成長因子、他のサイトカイン、又は細胞表面受容体に結合する他のリガンド、などであるが、それだけに限定されない。リガンド結合分子との接合は、リガンド結合分子がその対応する分子又は受容体と結合する能力を実質的に妨げたり、センス又はアンチセンス・オリゴヌクレオチド又はその複合体が細胞に入るのをブロックしたりしないことが好ましい。あるいはまた、センス又はアンチセンス・オリゴヌクレオチドを、WO90/10448に記載されているように、オリゴヌクレオチド脂質複合体を形成することによって標的ヌクレオチド・シーケンスを含む細胞に導入することもできる。上述のようなスクリーニング分析において、処理の方法の他に、アンチセンス分子又はノックアウト又はノックイン・モデルも利用できることは言うまでもない。
所望の薬理活性を有する化合物は、前述のように、生理的に受容できるキャリアによってホストに投与することができる。作用物質はいろいろな仕方で、経口的に、非経口的に、例えば皮下注射で、腹腔内投与で、血管内注入、等により、投与できる。導入の仕方によって、化合物はいろいろな仕方で調合される。調合物の中の治療的に効力ある化合物の濃度は、約0.1−100重量%にわたっている。作用物質は単独で、又は他の治療、例えば放射線と組み合わせて、投与される。
医薬組成物は、顆粒、錠剤、ピル、座薬、カプセル、懸濁剤、軟膏、ローション、などいろいろな形で調製できる。経口及び局所施用に適した医薬等級の有機又は無機のキャリア及び/又は希釈剤を用いて治療的に活性な化合物を含む組成物を構成することができる。当業者に公知の希釈剤は、水性媒質、植物及び動物の油脂、などである。安定化剤、加湿剤及び乳化剤、浸透圧を変えるための塩、又は十分なpH値を確保するための緩衝剤、及び皮膚浸透強化剤などを補助剤として用いることができる。
理論には拘束されないが、乳癌ではいろいろな乳癌シーケンスが重要であるように思われる。それにより、乳癌遺伝子の突然変異体又は変異体に基づく疾患を決定することができる。ある実施形態では、本発明は乳癌遺伝子変異体を含む細胞を同定する方法を提供し、その方法は細胞における少なくとも一つの乳癌遺伝子のシーケンスの全部又は一部を決定するステップを含む。当業者には理解されるように、これはいくつかのシーケンス決定方法を用いて行うことができる。ある好ましい実施形態では、本発明はある個人の乳癌遺伝子型を同定する方法を提供し、その方法は少なくとも一つのその人の乳癌遺伝子のシーケンスの全部又は一部を決定するステップを含む。これは一般に、少なくとも一つのその人の組織で行われ、いくつかの組織の評価又は同じ組織のいろいろなサンプルの評価も含む。この方法は、シーケンス決定された乳癌遺伝子のシーケンスを既知の乳癌遺伝子、すなわち野生型の遺伝子、と比較するステップを含むことがある。
その場合、その乳癌遺伝子の全部又は一部のシーケンスを既知の乳癌遺伝子のシーケンスと比較して差があるかどうかを決定することができる。これはいくつかの既知の相同(ホモロジー)プログラム、例えばBestfit,等、を用いて行うことができる。ある好ましい実施形態では、患者の乳癌遺伝子と既知の乳癌遺伝子のシーケンスの差が、ここで述べているように、疾病状態又は疾病状態の傾向を示す。
ある好ましい実施形態では、乳癌遺伝子をプローブとして用いてゲノムにおける乳癌遺伝子のコピーの数を決定する。
別の好ましい実施形態では、乳癌遺伝子をプローブとして用いて乳癌遺伝子の染色体上の位置を決定する。染色体上の位置などの情報は、特にトランスロケーションなどの染色体異常が乳癌遺伝子の座に同定されたとき、診断又は予後判定に利用できる。
ある実施形態では、細胞又は生物における乳癌を変調する方法が提供される。ある実施形態では、この方法は、自生的な乳癌タンパク質の生物活性を低下又は消失させる抗乳癌抗体を細胞に投与するステップを含む。あるいは、この方法は、乳癌タンパク質をコードする組み換え核酸を細胞又は生物に投与するステップを含む。当業者には理解されるように、これはいくつかの仕方で行うことができる。ある好ましい実施形態では、例えば乳癌シーケンスが乳癌でダウンレギュレートされる場合、細胞内の乳癌の量を増加させることによって、例えば自生的な乳癌を過剰発現させること又は乳癌シーケンスをコードする遺伝子を、例えば公知の遺伝子治療法を用いて、投与することによって、乳癌遺伝子の活性が高められる。ある好ましい実施形態では、この遺伝子治療法は、例えばPCT/US93/03868(これは参照によって全体がここに取り入れられる)に記載されているような強化相同組み換え法(EHR)による外来遺伝子の組み込みを含む。あるいはまた、乳癌シーケンスが乳癌においてアップレギュレートされる場合、自生乳癌遺伝子の活性は、例えば乳癌アンチセンス核酸を投与することによって、減少する。
ある実施形態では、本発明の乳癌タンパク質を用いて、ここで述べたように有用な、乳癌タンパク質に対するポリクローナル及びモノクローナル抗体を生成することができる。同様に、乳癌タンパク質は、標準的な方法でアフィニティー・クロマトグラフィー・カラムに結合させることができる。このカラムは乳癌抗体を精製するのに利用できる。ある好ましい実施形態では、抗体は乳癌タンパク質にユニークなエピトープに生成される:すなわち、抗体は他のタンパク質に対する交差感受性をほとんど全く示さない。これらの抗体はいくつかの用途に利用できる。例えば、乳癌抗体は標準的なアフィニティー・クロマトグラフィー・カラムと結合させて、乳癌タンパク質を精製するのに利用できる。これらの抗体は乳癌タンパク質に特異的に結合するので、上述のように、ブロッキング・ポリペプチドとして用いることができる。
ある実施形態では、治療的に有効な量の乳癌又はそのモジュレーターが患者に投与される。本明細書で用いる“治療的に有効な量”とは、そのために投与される効果を生ずる用量を意味する。正確な用量は、治療の目的に依存し、当業者ならば公知の方法で確定することができる。当業者には周知であるが、タンパク質の分解、全身投与vs.局所投与、新しいタンパク質分解酵素の合成の速度、ならびに年齢、体重、全般的健康、性別、食事、投与時間、薬物相互作用、及び疾患の重症度、に関する調整が必要であり、当業者は日常的な試験によって確かめることができる。
本発明の目的では“患者”という用語にはヒト及び他の動物、特に哺乳類、及び生物が含まれる。すなわち、この方法は人間の治療及び獣医学の用途に適用できる。好ましい実施形態では、患者は哺乳類である。最も好ましい実施形態では、患者はヒトである。
本発明の乳癌タンパク質及びモジュレーターの投与は、上述のように、経口的に、皮下に、静脈内に、鼻腔内に、皮内注射で、腹腔内に、筋肉注射で、肺内に、子宮内に、直腸に、又は眼内に、などそれだけに限定されないいろいろな仕方で行うことができる。場合によっては、例えば、傷及び炎症の治療で乳癌タンパク質及びモジュレーターは溶液又はスプレーとして直接塗布することができる。
本発明の医薬組成物は、患者に投与するのに適当な形の乳癌タンパク質を含む。好ましい実施形態では、この医薬組成物は、酸及び塩基添加塩の両方を含め、医薬として許容できる塩として存在するような水溶性の形をしている。“医薬として許容できる酸添加塩”とは、自由な塩基の生物学的な効力を保ち、生物的その他で望ましくないものではなく、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、などの無機酸、及び酢酸、プロピオン酸グリコール酸、ピルビン酸、蓚酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマール酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、などの有機酸によって形成される塩を指す。“医薬として許容できる塩基添加塩”とは、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩、などの無機塩基から誘導されるものを指す。特に好ましいのは、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、及びマグネシウム塩である。医薬として許容できる有機無毒性塩基から誘導される塩としては、一次、二次、及び三次アミン、天然に見られる置換アミンを含めた置換アミン、環状アミン、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、及びエタノルアミンなどの塩基性イオン交換樹脂、の塩がある。
医薬組成物はまた、次のものを一つ以上含むことがある:血清アルブミンなどのキャリア・タンパク質;緩衝剤;微結晶セルローズ、ラクトース、コーンその他の澱粉、などの充填剤;結合剤;甘味料及び他の芳香剤、着色剤;及びポリエチレングリコール。添加剤は当業者には周知であり、いろいろな調合で用いられる。
ある好ましい実施形態では、乳癌タンパク質とモジュレーターは治療用物質として投与され、上述のように調合することができる。同様に、乳癌遺伝子(全長シーケンス、部分シーケンスの両方、又は乳癌をコードする領域の調節シーケンス、を含む)は、当業者には周知のように、遺伝子治療用途に投与することができる。これらの乳癌遺伝子には、遺伝子治療としての(すなわち、ゲノムに組み込むための)、あるいはアンチセンス組成物としてのアンチセンス応用も含まれる。
ある好ましい実施形態では、乳癌遺伝子はDNAワクチンとして、単一遺伝子又は乳癌遺伝子の組み合わせで、投与される。裸のDNAワクチンは当業者に一般に公知である、Brower,Nature Biotechnology,16.1304−1305(1998)。
ある実施形態では、本発明の乳癌遺伝子はDNAワクチンとして用いられる。遺伝子をDNAワクチンとして利用する方法は当業者には周知であり、乳癌遺伝子又は乳癌遺伝子の一部をプロモータの制御下におき乳癌患者で発現させる、などの方法がある。DNAワクチンとして用いられる乳癌遺伝子は、全長の乳癌タンパク質をコードすることもあるが、乳癌タンパク質から誘導されるペプチドを含む乳癌タンパク質の部分をコードするものがさらに好ましい。ある好ましい実施形態では、患者は、乳癌遺伝子から誘導された複数のヌクレオチド・シーケンスを含むDNAワクチンによって免疫される。同様に、患者を個々で定義されたような複数の乳癌遺伝子又はその部分によって免疫することが可能である。理論によっては拘束されないが、DNAワクチンによってコードされるポリペプチド、細胞毒性T−細胞、ヘルパーT−細胞及び抗体の発現が誘発されて乳癌タンパク質を発現する細胞を認識し破壊又は除去する。
ある好ましい実施形態では、DNAワクチンは、DNAワクチンとアジュバントな分子をコードする遺伝子を含む。このようなアジュバントな分子としては、DNAワクチンがコードする乳癌ポリペプチドに対する免疫応答を増加させるサイトカインなどがある。その他の又は代わりのアジュバントは当業者に公知であり、本発明で利用できる。
別の好ましい実施形態では、乳癌遺伝子は乳癌の動物モデルを生成するのに利用される。当業者には理解されるように、同定された乳癌遺伝子が乳癌組織で抑圧されている又は減少しているとき、アンチセンスRNAがその乳癌遺伝子に向けられた遺伝子治療技術もその遺伝子の発現を減少又は抑圧する。このように生成された動物は乳癌の動物モデルとして役に立ち、生物活性薬剤候補のスクリーニングに利用できる。同様に、例えば適当な遺伝子標的ベクターによる相同組み換えの結果として、遺伝子ノックアウト技術によってその乳癌タンパク質は不在になる。望まれる場合、乳癌タンパク質の組織特異的な発現又はノックアウトが必要かもしれない。
乳癌で乳癌タンパク質を過剰発現させることも可能である。そのようなものとして、乳癌タンパク質を過剰発現するトランスジェニック動物を生成することができる。所望の発現レベルに応じて、いろいろな強度のプロモータを用いて導入遺伝子を発現させることができる。また、組み込まれた導入遺伝子のコピーの数を決定し比較して導入遺伝子の発現レベルを決定することができる。この方法で生成された動物は、乳癌の動物モデルとして利用でき、さらに乳癌を治療する生物活性分子をスクリーニングするのにも役立つ。
ここに記述される実施例は、いかなる意味でもこの発明の真の範囲を限定するものではなく、例示的な目的で提示されるに過ぎない。全ての参照文献及び引用されたアクセス番号のあるシーケンスはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
実施例
ここで、発現研究はタンパク質及び核酸レベルの両方で行われた。結果は図に示されている。
BCH1タンパク質とエストロゲン受容体(ER)の発現及び局在位置の間の相関(もしあれば)を調べる実験が行われた。BCH1タンパク質に対する抗体は、ウサギで、BCH1の領域に対応する15−mer合成ペプチドによる免疫化によって得られた。抗ER抗体は商業的に購入した。約50の乳癌腫組織検体(5ミクロン連続切片;パラフィン包埋、フォルマリン固定)が免疫組織化学的に分析された。このうち、〜40%がBCH1発現ポジティブであり、〜35%がERポジティブであった。タンパク質レベルは免疫組織化学的に1から5までのスコアで採点され、5が最高の発現を表していた。BCH1とERの共発現は図37に示されている。
ER+腫瘍(n=108)のうち、約半数はERが主に核に局在し、半数は主に細胞質に局在する。興味深いことは、BCH1+/ER+腫瘍は偶然よりも多くなかったが、BCH1のレベルが高い腫瘍(1HCスコア=4又は5)は例外なく細胞質へのERの局在、及び核からの排除を示した(図38及び39を見よ)(n=16,p<5×10−7)。他方、BCH1の低い発現はERの局在位置と相関がなく、しばしば核内のERと関連していた(図40及び41を見よ)。
現在、ER発現は乳癌の重要な臨床予診マーカーである。多くのエストロゲン応答遺伝子を活性化させるERを通しての信号伝達には活性化されたERを核に転座させることが必要であると考えられるので、BCH1の高い発現がER+腫瘍における機能的にネガティブなERと相関すると予測される。ER−は予後の悪さと相関しているので、BCH1も重要な予診マーカーになる。それも予後の悪さに、又は、抗エストロゲン治療(例えば、タモキシフェン)に対する不応答と相関するからである(約50%のER+患者はタモキシフェンに応答しない)。タモキシフェンはこれらの細胞へのエストロゲンの作用に対抗して働く。しばしばそれは“抗エストロゲン”と呼ばれる。乳癌の治療として、この薬は、体内に既にある癌細胞の増殖を遅らせ、又は停止させる。補助治療として、タモキシフェンは元の乳癌が戻ってくるのを防ぎ、また反対の胸に新しい癌が発生するのを防ぐのに役立つことが示されている。
最近の研究は、ERがRas/Raf/MAPキナーゼによって信号を伝達できると報告している。この信号伝達カスケードにおけるタンパク質の多くは細胞質にあるので、大きなBCH1発現は、ERと相関し、ERを細胞質にとどまらせる原因にさえなっており、MAPキナーゼ経路によるERの信号伝達を変化させる。これがER+患者の一部にタモキシフェンに応答しない人たちがいる理由かもしれない。
さらに、BCH1はERの核への転座において、ある因果的な役割を演じ、直接又は間接に核への移動を妨げ、その結果エストロゲン又は類似物に対する細胞の応答を消失させたり変化させたりする可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】発現遺伝子配列断片を含んだ(ここでそれらの全体及び登録番号が提供されている応用面の全体を組み入れた)、正常乳房組織に比較して腫瘍組織では下降制御を受けている遺伝子の登録番号を提供する。
【図2】発現遺伝子配列断片を含んだ正常乳房組織に比べ腫瘍組織では下降制御を受けている遺伝子の登録番号を提供する。
【図3】発現遺伝子配列断片を含んだ正常乳房組織に比べ腫瘍組織では下降制御を受けている遺伝子の登録番号を提供する。
【図4】発現遺伝子配列断片を含んだ正常乳房組織に比べ腫瘍組織では上昇制御を受けている遺伝子の登録番号を提供する。
【図5】発現遺伝子配列断片を含んだ正常乳房組織に比べ腫瘍組織では上昇制御を受けている遺伝子の登録番号を提供する。
【図6】発現遺伝子配列断片を含んだ正常乳房組織に比べ腫瘍組織では上昇制御を受けている遺伝子の登録番号を提供する。
【図7】発現遺伝子配列断片を含んだ正常乳房組織に比べ腫瘍組織では上昇制御を受けている遺伝子の登録番号を提供する。配列中の読み取り枠はシグナル配列(SS)、膜貫通ドメイン(TM)又その他を有することで特徴がある。
【図8】発現遺伝子配列断片を含んだ正常乳房組織に比べ腫瘍組織では上昇制御を受けている遺伝子の登録番号を提供する。特に、一つの欄では遺伝子の乳房腫瘍組織と他の体組織を比較したときの発現比率、他の欄では遺伝子の腫瘍乳房組織と正常乳房組織での発現比率を示す。
【図9】発現遺伝子配列断片を含んだ正常乳房組織より腫瘍乳房組織で上昇制御を受けている遺伝子の登録番号を示す。
【図10】発現遺伝子配列断片を含んだ正常乳房組織より腫瘍乳房組織で上昇制御を受けている遺伝子1007個の登録番号の好ましい群を示す。
【図11】発現遺伝子配列断片を含んだ正常乳房組織より腫瘍乳房組織で上昇制御を受けている遺伝子123個の登録番号の好ましい群を示す。
【図12】発現遺伝子配列断片を含んだ正常乳房組織より腫瘍乳房組織で上昇制御を受けている遺伝子10個の登録番号の好ましい群を示す。
【図13】本明細書で提供した乳癌タンパク質BCR3をコードしている配列を含む核酸(mRNA)の具体例を示した。開始及び終結コドンには下線を付ける。
【図14】BCR3をコードしている核酸の読み取り枠を具体的に示し、開始及び終結コドンには下線を付す。
【図15】BCR3のアミノ酸配列の具体例を示す。シグナルペプチドには下線を引き、膜貫通ドメインには陰影を付けた。好ましい態様では、BCR3の可溶形を提供するが、そこではシグナルペプチドは除かれているか好ましくは自然に開裂しており、そして膜貫通ドメインは削除されるか、非活性化されているかもしくはBCR3が切り詰められ膜貫通ドメインは除かれている。
【図16】BCR3p1及びBCR3p2のアミノ酸配列を示す。
【図17】乳癌組織の(黒の棒)及び多くの正常組織タイプ(白の棒)の種々な試料におけるBCR3の発現の対比量を示す。
【図18】本明細書で提示した乳癌タンパク質BCQ8をコードした配列を含んだ核酸(mRNA)の具体例を示す。開始及び終結コドンには下線をする。
【図19】BCQ8をコードしている核酸の読み取り枠の具体例を示し、開始及び終結コドンに下線をする。
【図20】BCQ8のアミノ酸配列の具体例を示す。シグナルペプチドには二重下線を、膜貫通ドメインには一重下線を引く。好ましい態様ではBCQ8の可溶形ではシグナルペプチドは除かれ、膜貫通ドメインは除去され不活性化されるか、BCQ8は望ましい片方の末端が切断され膜貫通ドメインが除かれている。
【図21】BCQ8p1及びBCQ8p2のアミノ酸配列を示す。
【図22】乳癌組織(黒の棒)及び多くの正常組織タイプ(白の棒)の種々な試料におけるBCQ8の発現の対比量を示す。
【図23】本明細書に提示した、異なる発現のタンパク質ヒトBCQ5をコードした配列を含む核酸(mRNA)の具体例を示す。
【図24】ヒトBCQ5をコードした核酸の読み取り枠の具体例を示した。
【図25】BCQ5のアミノ酸配列の具体例を並べて示すが、列ではラットの上にマウス、その上がヒトである。
【図26】BCQ5p1,BCQ5p2及びBCQ5p3のアミノ酸配列を示す。
【図27】乳癌組織、結腸直腸癌、上皮細胞から作成した管での血管形成モデル及び正常組織タイプなどの種々な試料におけるBCQ5の発現対比量を示す。
【図28】本明細書で提供した異なる発現をしたタンパク質であるマウスBCQ5の配列を含む核酸(mRNA)の具体例を示す。
【図29】マウスBCQ5をコードした核酸の読み取り枠の具体例を示す。
【図30】本明細書で提供した、異なる発現をしたタンパク質ラットBCQ5をコードしている配列を含む核酸(部分mRNA)の具体例を示す。
【図31】ラットBCQ5をコードしている核酸の部分読み取り枠の具体例を示す。
【図32】本明細書で提供した乳癌タンパク質BCH1の配列を含む核酸(mRNA)の具体例を示す。開始及び終結コドンには下線を付す。
【図33】BCH1をコードした核酸の読み取り枠の具体例を示すが、開始及び終結コドンには下線を引く。
【図34】BCH1のアミノ酸配列の具体例を示す。好ましい具体例では、単離したBCH1はシグナル配列であるアミノ酸1〜19を除いてある。
【図35】BCH1p1及びBCH1p2(下)のアミノ酸配列を示す。
【図36】乳癌組織(黒の棒)及び多くの正常組織タイプ(白の棒)の種々な試料におけるBCH1の発現の対比量を示す。
【図37】核(ひし形)又は細胞質(四角)に局在化したエストロゲン受容体(ER)(垂直の棒)及びBCH1(水平の棒)の発現の相互関係を表すグラフを示す。
【図38】抗BCH1抗体で測定したとき高レベルのBCH1を発現した乳癌発現検体を示す。
【図39】それぞれ図38A及び図38Bで示した組織から採取した試料を示すが、抗エストロゲン受容体抗体はエストロゲン受容体が全て細胞質に局在していることを示す。
【図40】抗BCH1抗体によれば乳癌組織検体ではBCH1発現は低レベルであることを示す。
【図41】それぞれ図40Aと図40Bに示した組織から得た試料を示すが、抗エストロゲン受容体抗体によれば低BCH1発現組織でのエストロゲン受容体はエストロゲン受容体局在性とは関係ないことを示す。
【図42】本明細書で提供した乳癌タンパク質BCN1をコードした配列を含む核酸(mRNA)の具体例を示す。開始及び終結コドンは陰影を付け、登録番号AA19622配列には下線を付した。
【図43】BCN1のアミノ酸配列の具体例を示す。推定貫通膜ドメインは少なくともほぼ位置201〜217及び67〜83にあると予測される。当該タンパク質はIIIa型膜タンパク質で、付加的膜貫通ドメインを有するようである。
【図44】BCN1p1及びBCN1p2のアミノ酸配列を示す。
【図45】乳癌組織(黒の棒)、結腸癌組織(白の棒)及び多くの正常組織タイプ(中間白の点印の棒)の種々な試料におけるBCN1の発現の対比量を示す。
【図46】本明細書で提供した乳癌タンパク質BCN2をコードした配列を含む核酸(mRNA)につき具体例を示す。開始及び終結コドンには陰影、登録番号AA428090配列には下線を付した。
【図47】BCN2のアミノ酸配列の具体例を示す。
【図48】乳癌組織(黒の棒)、結腸癌組織(白の棒)及び多数の正常組織タイプ(中間白の点印の棒)など種々な試料におけるBCN2の発現の対比量を示す。
【図49】本明細書で提供した乳癌タンパク質BCN5をコードした配列を含む核酸(mRNA)の具体例を示す。開始及び終結コドンには陰影を付け、登録番号R51309配列には下線を付した。
【図50】BCN5のアミノ酸配列の具体例を示す。推定シグナル配列には陰影を付け、好ましい配列には下線を付す。
【図51】乳癌組織(黒の棒)、結腸癌組織(白の棒)及び多数の正常組織タイプ(中間白の点印の棒)など種々な試料におけるBCN5の発現の対比量を示す。
【図52】本明細書で提供した乳癌タンパク質BCN2をコードした配列を含む核酸(mRNA)の具体例を示す。開始及び終結コドンには下線を付した。
【図53】BCO2をコードした核酸の読み取り枠の具体例を示す。
【図54】BCO2のアミノ酸配列の具体例を示す。
【図55】マウスBCO2の上部にヒトBCO2のアミノ酸の列を示す。
【図56】乳癌組織(黒の棒)及び多くの正常組織タイプ(白の棒)など種々な試料におけるBCO2の発現の対比量を示す。
【図57】本明細書で提供した乳癌タンパク質BCX2をコードした配列を含む核酸(mRNA)の具体例を示す。開始及び終結コドンには下線を付した。
【図58】BCX2をコードした核酸の読み取り枠の具体例を示す。
【図59】BCX2のアミノ酸配列の具体例を示す。
【図60】乳癌組織(黒の棒)及び多くの正常組織タイプ(白の棒)など種々な試料におけるBCX2の発現の対比量を示す。
【図61】結腸癌組織(白の棒)、非癌細胞系(黒の棒)及び多数の細胞系(中間白の棒)など種々な試料におけるBCX2の発現の対比量を示す。
【図62】本明細書で提供した乳癌タンパク質BCX3をコードした配列を含む核酸(mRNA)の具体例を示す。開始及び終結コドンには下線を付した。
【図63】BCX3をコードした核酸の読み取り枠の具体例を示す。
【図64】BCX2のアミノ酸配列の具体例を示す。
【図65】乳癌組織(黒の棒)及び多くの正常組織タイプ(白の棒)など種々な試料におけるBCX2の発現の対比量を示す。
【図66】本明細書で提供した乳癌タンパク質BCA2をコードした配列を含む核酸(mRNA)の具体例を示す。開始及び終結コドンには陰影を付し,登録番号D12485配列には下線を付した。
【図67】BCA2のアミノ酸配列の具体例を示す。
【図68】本明細書で提供した乳癌タンパク質BCR2をコードした配列を含む核酸(mRNA)の具体例を示す。開始及び終結コドンには陰影を付し,登録番号AA609773配列には下線を付した。
【図69】BCR2のアミノ酸配列の具体例を示す。
【図70】乳癌組織の種々な試料中にあるBCR2の発現の対比量を示す。
【図71】正常組織タイプ(白の棒)の種々な試料中にあるBCR2の発現の対比量を示す。
【図72】本明細書で提供した乳癌タンパク質BCJ7をコードした配列を含む核酸の具体例を示す。
【図73】本明細書で提供した乳癌タンパク質BCY3をコードした配列を含む核酸の具体例を示す。

Claims (37)

  1. 薬剤候補をスクリーニングする方法であって:
    a)BCH1,BCA2,BCJ7,BCN1,BCN5,BCO2,BCQ5,BCR2,BCX2及びBCY3又はその断片から成る群から選択されるタンパク質をコードする発現プロフィール遺伝子を発現する細胞を供するステップ;
    b)前記細胞に薬剤候補を加えるステップ;及び
    c)前記薬剤候補が前記発現プロフィール遺伝子の発現に及ぼす効果を決定するステップとを含む方法。
  2. 前記決定するステップは前記薬剤候補が存在しないときの発現レベルと前記薬剤候補が存在するときの発現レベルとを比較するステップを含み、前記薬剤候補が存在するときにその濃度を変えることができ、前記比較は薬剤候補の添加又は除去の後に行うことができることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記プロフィール遺伝子の発現が該薬剤候補の導入の結果減少することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 乳癌モジュレーター・タンパク質(BCMP)に結合できる生物活性物質をスクリーニングする方法であって、前記BCMPがBCH1又はその断片であり、前記方法は:前記BCMPと候補生物活性物質とを組み合わせるステップと;前記候補作用物質の前記BCMPとの結合を決定するステップとを含むことを特徴とする方法。
  5. 乳癌モジュレーター・タンパク質(BCMP)の活性を変調できる生物活性物質をスクリーニングする方法であって、前記BCMPがBCH1又はその断片であり、前記方法は:前記BCMPと候補生物活性物質とを組み合わせるステップと;前記候補作用物質が前記BCMPの生物活性に及ぼす影響を決定するステップとを含むことを特徴とする方法。
  6. 乳癌薬剤候補の効果を評価する方法であって:
    a)前記薬剤を患者に投与するステップ;
    b)前記患者から細胞サンプルを取り出すステップ;及び
    c)前記細胞の発現プロフィールを決定するステップ;
    を含む方法。
  7. さらに、前記発現プロフィールを健康な人の発現プロフィールと比較するステップを含む請求項6に記載の方法。
  8. BCH1又はその断片をコードする核酸セグメントを含むバイオチップであって、前記バイオチップが1000未満の核酸プローブを含むことを特徴とするバイオチップ。
  9. 乳癌を診断する方法であって:
    a)第一の個体の第一の組織タイプにおいてBCH1又はその断片をコードする遺伝子の発現を決定するステップ;及び
    b)前記第一の個体からの第二の正常組織タイプ又は第二の影響されない個体からの前記遺伝子からの前記発現を比較するステップ;
    を含み、前記発現の差が第一の個体が乳癌であることを示すことを特徴とする方法。
  10. BCH1、又はその断片、に特異的に結合する抗体。
  11. 前記断片がBCH1p1又はBCH1p2であることを特徴とする請求項10に記載の抗体。
  12. 前記抗体がモノクローナル抗体であることを特徴とする請求項10に記載の抗体。
  13. 前記抗体がヒト化抗体であることを特徴とする請求項10に記載の抗体。
  14. 前記抗体が抗体フラグメントであることを特徴とする請求項10に記載の抗体。
  15. 乳癌モジュレーター・タンパク質(BCMP)又はその断片と前記BCMP又はその断片と結合する抗体の結合を妨害できる生物活性物質をスクリーニングする方法であって、前記方法が:
    a)BCMP又はその断片、候補生物活性物質、及び前記BCMP又はその断片と結合する抗体を組み合わせるステップ;及び
    b)前記BCMP又はその断片と前記抗体の結合を決定するステップ;
    を含む方法。
  16. 乳癌を阻害する方法であって、前記方法がBCH1又はその断片に対する抗体を含む組成物を細胞に投与するステップを含む方法。
  17. 前記細胞がある個体の細胞である請求項16に記載の方法。
  18. 前記個体が癌に罹患していることを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. 前記断片がBCH1p1又はBCH1p2から成る群から選択されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  20. 前記抗体がヒト化抗体であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  21. 前記抗体が抗体断片であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  22. 細胞における乳癌を阻害する方法であって、前記方法がBCH1に対するアンチセンス分子を含む組成物を細胞に投与するステップを含むことを特徴とする方法。
  23. 本質的にBCH1p1から成るペプチド。
  24. 請求項23のペプチドを含む組成物。
  25. 本質的にBCH1p2から成るペプチド。
  26. 請求項25のペプチドを含む組成物。
  27. ある個体に免疫応答を誘発する方法であって、前記方法がBCH1又はその断片を含む組成物を前記個体に投与するステップを含む方法。
  28. ある個体に免疫応答を誘発する方法であって、前記方法がBCH1又はその断片をコードする配列を含む核酸を含む組成物を前記個体に投与するステップを含む方法。
  29. ある個体に免疫応答を誘発することができる組成物であって、前記組成物がBCH1又はその断片及び医薬として許容されるキャリアを含む組成物。
  30. ある個体に免疫応答を誘発することができる組成物であって、前記組成物がBCH1又はその断片をコードする配列を含む核酸及び医薬として許容されるキャリアを含む組成物。
  31. ある個体の乳癌を治療する方法であって、前記個体にBCH1の阻害物質を投与するステップを含む方法。
  32. 前記阻害物質が抗体であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
  33. 前記個体が抗エストロゲンに不応答であり、エストロゲン受容体にポジティブであることを特徴とする請求項31に記載の方法。
  34. 前記方法がさらに抗エストロゲンを投与するステップを含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
  35. 乳癌に罹患した個体の予後を判定する方法であって、あるサンプルにおけるBCH1のレベルを決定するステップを含み、高いレベルのBCH1が予後の悪さを示すことを特徴とする方法。
  36. 乳癌に罹患した個体が抗エストロゲン治療に不応答であるかどうかを決定する方法であって、BCH1のレベルを決定するステップを含み、高いレベルのBCH1がある個体が不応答であることを示すことを特徴とする方法。
  37. BCH1、又はその断片、の効果を中和する方法であって、前記タンパク質に特異的な作用物質を前記タンパク質に中和を達成するに十分な量で接触させるステップを含む方法。
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