JP2005525431A - 弗素含有コポリマー、その製造方法およびその用途 - Google Patents

弗素含有コポリマー、その製造方法およびその用途 Download PDF

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Abstract

【解決手段】 本発明は弗素含有コポリマー、上記コポリマーを含有する水性組成物、および上記コポリマーおよび表面処理のための組成物の用途に関する。

Description

本発明は、弗素含有コポリマー、この種のコポリマーを含有する場合によっては水性の組成物、この種のコポリマーの製造方法並びにかゝるコポリマーおよび組成物を表面処理のために、例えば硬質表面を処理するためにまたは繊維製品を処理するために用いる方法に関する。
弗素含有ポリマーは、それの撥油性および撥水性、それの高い熱安定性および酸化作用に対するそれの耐久性に特徴がある。例えば表面が汚れに関してできるだけ良好な性質を有しそしてこの様に被覆された表面から汚れを除くことをできるだけ容易にする場合に、表面は弗素含有ポリマーでしばしば被覆される。
表面を被覆するために弗素含有ポリマーを使用する場合には、今日では、該弗素含有ポリマーは一般に僅かしか水に溶解せず、それ故にそれの代わりにハロゲン化された易揮発性溶剤または他の有機溶剤に溶解しそしてそれを塗布しなければならない。しかしながらハロゲン化された易揮発性溶剤での処理が経済的におよび衛生上の理由からしばしば望ましくないので、これによる表面へのポリマーの被覆は、多くの状況において困難である。
この種のハロゲン化溶剤を使用することは健康上の理由でしばしば問題となる。溶剤がハロゲン化された易揮発性物質を含有する場合には、それが呼吸によって肺に達しそして肺に損傷を及ぼし得る。更に有機溶剤または該有機溶剤を含有する被覆剤で処理された織物に皮膚が直接的に接触することが皮膚に炎症およびアレルギーを生じさせ得ることは公知である。特に服装品および衣服に使用される織物をこの種の被覆剤で処理する場合には、含浸処理用に有機溶剤を用いることが健康に有害な結果をもたらし得る。
Chemical Abstracts 1997, 739870 (DN:128;14209, 特開平9-296134号公報についての要約書) には、弗素系ポリマーで被覆されたフィラーを含有する粉末組成物が開示されている。弗素系ポリマーとしては弗素化アルコールと無水マレイン酸とのアクリル酸またはメタクリル酸エステルが使用されている。しかしながら上述の方法に従って製造されるポリマーはホモ- およびコポリマーの混合物であり、該コポリマーは小さい分子量、高い多分散性および組成に関しての大きな変動幅を有している。上記ポリマーは、水溶液または水性エマルジョンを製造するのには全体として適しておらず、更に不十分な造膜特性しか示さない。
Chemical Abstracts 1992 、652522(DN:117;252522, 特開平4-120148号公報についての要約書) には、無水マレイン酸とペルフルオロノニルオキシイソプロペニルベンゼンよりなる弗素系ポリマーが開示されている。記載されているポリマーは別の化合物と一緒にメチルイソブチルケトン溶液状態からの表面被覆に使用される。
Chemical Abstracts 1992 、216472(DN:116;216742, 特開平3-287615号公報についての要約書)には、ペルフルオロオクチルエチルメタクリレート、無水マレイン酸、メチルメタクリレートおよび開始剤をキシレン中で反応させることによって得られるポリマーが開示されている。この場合には反応混合物に約10時間後に(3−アミノプロピル)トリメトキシシランが添加されている。記載されたポリマーはトルエンに溶解した溶液状態から表面被覆に使用されている。上記の各溶液法は、無水マレイン酸単位を導入することがなかでも弗素系ポリマーの接着性を改善するのに役立つことで共通している。Chemical Abstracts 1992 、216472の場合には、アミドまたはイミドとしてMSA−基を介して弗素系ポリマーに結合されるトリメトキシシラン類の導入によって化学的固定を行うそうである。
上記のポリマーの場合には、原則として有機溶剤を用いてしか使用することができないという問題がある。
この欠点を回避するために、例えば弗素系ポリマーを水または水性溶剤に乳化したエマルジョンを使用するという解決法が提案された。しかしながらこの解決法の場合には、相応するエマルジョンがしばしば多量の低分子量乳化剤の使用下でしか安定な状態で得ることができないという欠点がある。この様なポリマー溶液は例えばM.Peter およびH.K.Rouette 著の“Grundlage der Textilveredelung, Handbuch der Technolnologie, Verfaheren und Maschinen ”, 第13修改定版; Deutscher Fachverlag, フランクフルト、1989 (第5 章および第7.3.2 章参照) に開示されている。しかしながらこの種のエマルジョンを表面被覆に使用する場合には、得られる塗膜はその高い乳化剤割合のために一般に水に対してあまり耐久性がなく、比較的に高い汚れ易さを有している。
弗素系ポリマーの水性エマルジョンを製造する別の方法は例えば国際特許出願公開第97/11218号明細書に記載されている。この文献は、スチレンと無水マレイン酸とから得られるコポリマーを開環させながら弗素化アルコールと反応させそして無水マレイン酸を部分的にエステル化することによって得ることができる化合物を挙げている。上記のポリマーは確かに水性エマルジョンとして調製されるが、弗素含有量が不十分である。更に、弗素含有置換基とカルボキシル基との比に関して開環性ポリマーの場合に1:1を超える比を達成できないという限界がある。それ故に国際特許出願公開第97/11218号明細書に記載されたポリマーは、高い弗素割合(50mol%より著しく多いRF まで; RF = 弗素含有基) と同様に高いまたはより高い親水性カルボキシル−またはカルボキシレート基数との組合せはそこに記載されるように不可能であるので、優れた被覆物を製造するために一般に適していない。また、弗素化された置換基を次いで初めて(ポリマー類似反応の公知の一般的欠点と共に)ポリマー中に導入することに別の技術的欠点がある。更に、コモノマーとしてスチレンに限定することによって、室温またはそれ以下の範囲にガラス転移温度を有する生成物を製造することが不可能である。加えて、弗素系ポリマーを塗布する(浸漬)浴のために強烈なpH条件が必要とされる。この場合にはpH値は1.5〜9までで変化させることができる。特に4よりも小さいpH値が基体に該ポリマーを適用するのに必要とされる。その際に2〜3のpH値が特に有利である。しかしながら3以下のpH値の場合には溶液を安定化させるために界面活性剤が必要とされる(界面活性剤の量は弗素系ポリマーを基準として10〜100%、好ましくは20〜50%である)。
従来技術から公知の弗素含有ポリマーの別の欠点は、水溶性がその製造後にまたは表面被覆として塗布した後に実質的にもはや制御できないことにある。これは、弗素系ポリマーを含有する層の耐水性が特に高度に要求される場合に問題になる。
弗素系ポリマーが撥水−、撥油−または防汚性であるために、織物はしばしば弗素系ポリマーで化学的後処理され、それによって繊維表面に特定の性質、例えば撥油−および撥水性表面被覆が付与される。
織物を処理する際には更に、難燃性または殺生物特性を有し、特に通気性または滑り防止性を実現するかまたは防しわ性をもたらす被覆物が求められている。
織物表面を化学的に後処理する際には、織物は洗浄の際に、洗浄のため必要とされるよりもしばしば著しく高い温度、高いアルカリ性、高い機械的負荷およびより多量の化学薬品を使用して繰り返される洗濯条件に委ねられるという問題がある。それ故に、被覆物は一般に長い寿命を有しておらず、織物にしばしば再塗布しなければならない。
多くの含浸剤の性質は、作用物質が織物に塗布した後に生地中に吸収されそしてそれ故に防汚−、撥水−および撥油層を生地表面に長期間維持できないということで、特に織物の表面にとって欠点であると見なされている。
この様に処理された生地の撥水および防汚性を再びもたらすためには、かゝる被覆物で得られる性質が望まれる生地の場合には一般に一定の期間間隔で該被覆を再生する。しかしながらこの場合には、総合的には環境を汚染しないと見なされ、かつ被覆物の各再生の際に衛生上の欠陥を伴わない化合物がしばしば使用されてきた。
それ故に、弗素の割合が多くそしてハロゲン化溶剤、ただし極性溶剤、水性極性溶剤または水に溶解するかまたは少なくとも乳化し得る弗素系ポリマーが求められている。更にかゝる弗素系ポリマーを含有する組成物も求められている。加えてその水溶性が表面の被覆後には十分に低減される弗素系ポリマーが求められている。また、この様な弗素系ポリマーが製造される方法も求められている。
更に溶剤による健康に害を及ぼしそして環境を害する影響が実質的に排除されている高弗素化コポリマー含有組成物も求められている。
更に、水または水性極性溶剤または極性有機溶剤に溶解する弗素系コポリマーも要求されている。
また、織物を被覆した後にできるだけ被覆された生地中に吸収されず生地表面に防汚−、撥水−および撥油層をできるだけ長期間保持し続ける、表面、特に織物表面のための被覆剤が求められている。
加えて、表面、特に織物の汚れ除去を容易にしそして優れた防汚性に特徴のある被覆剤が求められている。
更に、この種の被覆剤を製造する方法が求められている。
それ故に本発明の課題は、上記の要求を満足する弗素系ポリマーおよびかゝる弗素系ポリマーを含有する組成物を提供することである。本発明の別の一つの課題はこの種の弗素系ポリマーを製造する方法を提供することである。
それ故に更に本発明は、上述の要求の1つ以上を満足する被覆剤を提供することも課題としている。本発明の別の課題はこの種の被覆剤を製造する方法を提供することである。
本発明者は、今や、以下に明細書に説明する範囲内にあるコポリマーが高い弗素の割合を有することができ、極性溶剤または水性雰囲気において溶解性を正確に制御することを保証しそして表面被覆物として特に良好な撥水性および防汚性を示すことを見出した。更にこの種の弗素系ポリマーの水溶性または水中乳化性が、特定の構造条件を満足する限り、簡単な処理段階、例えば表面被覆物として塗布した後に更に低減されることを見出した。
更に本発明者は、以下に明細書に説明する範囲内にある組成物が弗素含有化合物を簡単にかつ安全に塗布することを保証し、そして特に良好な撥水性および防汚性を示す表面被覆をもたらすことを見出した。加えて、以下に明細書に説明する範囲内にある窒素系化合物を有する弗素系コポリマーが織物の含浸処理に適しそして優れた性質の含浸処理物をもたらすことを見出した。
それ故に本発明の対象は、一般式I
Figure 2005525431
[式中、PBは一連のC−C共有結合を持つポリマー主鎖であり、
残基Z1 およびZ2 は互いに無関係にO- + またはO- + 4 であり、その際に MはLi、NaまたはKでありそしてRはHまたは炭素原子数1〜18の直鎖状アルキ ル基または一般式 −(CH2 −CHR’−O−)m Lで表される残基であり、ただし mは1〜約20の整数でありそしてLはH、CH2 −CHR’−NR’2 またはCH2 −CHR’−N+ R’3 であるか、またはRがアミノ糖、例えばアミノソルビトール、 β−D−グルコピラノシルアミンまたはβ−D−グルコサミンであり、または残基Z1 およびZ2 の一つはO- + またはO- + 4 でありそして残りの残基Z1 またはZ 2 はX−R”であり、その際にXがOまたはNHでありそしてR”はH、場合によって は完全にまたは部分的に弗素で置換された直鎖状または分岐した飽和または不飽和の炭 素原子数1〜18のアルキル基または場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換 された飽和または不飽和の炭素原子数4〜24の単環または多環式シクロアルキル基ま たは場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された炭素原子数6〜24のアリ ールまたはヘテロアリール基であるかまたはRであり、または残基Z1 およびZ2 は一 緒になってNR”であるかまたは少なくともZ1 または少なくともZ2 がX−RN であ り、その際にXはO、SまたはNR’であり、RN は少なくとも1つのアミノ基を持つ 直鎖状のまたは分岐した炭素原子数2〜25のアルキル基または少なくとも1つのアミ ノ基を持つ炭素原子数5〜25のシクロアルキル基でありそして残る残基Z1 またはZ 2 はX’−R”であり、その際にX’はO、SまたはNHでありそしてR”はH、場合 によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された直鎖状または分岐した飽和または不 飽和の炭素原子数1〜18のアルキル基または場合によっては完全にまたは部分的に弗 素で置換された飽和または不飽和の炭素原子数4〜24の単環または多環式シクロアル キル基であるかまたは場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された炭素原子 数6〜24のアリールまたはヘテロアリール基であるかまたはRであり、または残基Z 1 およびZ2 は一緒になってN−Rであるかまたは残基Z1 およびZ2 の両方が一緒に N−RN である。]
で表される少なくとも1つの構造要素または一般式Iの2つ以上の同じかまたは異なる構造要素、
および一般式II
Figure 2005525431
[式中、残基R1 〜R3 はHまたは直鎖状または分岐した炭素原子数1〜4のアルキル基 であり、YはRまたは直鎖状または分岐した、場合によっては完全にまたは部分的に弗 素で置換された炭素原子数1〜24のアルキル基、場合によっては完全にまたは部分的 に弗素で置換された炭素原子数6〜24のシクロアルキル基またはアリール基、一般式 C(O)ORで表される残基、場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された 炭素原子数7〜24のアルカリール基または場合によっては完全にまたは部分的に弗素 で置換されたアルコキシアルカリール基である。]
で表される1つの構造要素または一般式IIの2つ以上の同じかまたは異なる構造要素を含有する弗素含有コポリマーであり、その際にZ1 がO- + でありそしてZ2 がORであり、ただしRが弗素置換基を有しかつ残基Z1 またはZ2 がX−RN でないかまたは残基Z1 およびZ2 が一緒にN−RN である場合には、該コポリマー中の一般式IまたはIIの少なくとも1つの構造要素が弗素で置換された残基を有しそして一般式IIの少なくとも1つの構造要素が弗素置換基を有することを特徴とする、上記弗素含有コポリマーに関する。
本発明の範囲において“コポリマー”とは、少なくとも2種類の異なるモノマーで構成されているポリマーを意味する。この場合、本発明のコポリマーは例えば約10種類までの異なるモノマーで構成されていてもよい。本発明の特に有利な一つの実施態様においては2種類から約5種類、特に2種類、3種類または4種類の異なるモノマーで構成されている。
この明細書において“ポリマー主鎖”(PB)は、鎖末端に一般式Iの構造単位がある場合も意味する。かゝる場合には、変動性のPBの1つは、ラジカル重合の開始および停止に依存して、開始剤または重合停止剤または反応を停止させるその他のものの為に存在する、鎖末端の構造単位である。
本発明の組成物中に存在するコポリマーは本発明の範囲においては約3000〜1,000,000の分子量を有している。原則として、本発明の組成物はこの上限値より大きいかまたは下限値よりも小さい分子量を有するコポリマーを含有していてもよい。しかしながら分子量が約3000を下回る場合には、ある種のコポリマーの増膜性が悪化しそして分子量が1,000,000より多い場合には、コポリマーを溶解するのに必要な時間が特定の用途にとって長過ぎ得る。
本発明の特に有利な一つの実施態様においては、本発明の組成物中に存在するコポリマーは約4000〜約500,000、例えば約5000〜約200,000または約6000〜100,000の分子量を有している。本発明のコポリマーの分子量にとって特に適する範囲は例えば約5000〜約80,000または約10,000〜約25,000である。
本発明において“分子量”とは、他の指摘がない限り、通常には変数Mw と略される如き重量平均分子量の値を意味する。本明細書に記載の値は、他に指摘がない限り、GPC測定によって測定された値に関する。記載された値は、従来技術によれば通例である様に、狭く分配された補正サンプルに対する相対値である。その際に測定は、重合に使用したモノマーに関して可能である限り、コモノマー構造要素Iの代わりに未だ鹸化されていない無水マレイン酸単位を含有する、コポリマーの重合体予備生成物について実施する。この予備生成物は、RF 置換されたコモノマーの割合次第で弗素化溶剤、例えば Freon 113またはTHFに溶解し、ポリマー中の弗素置換された残基の割合の多い(残基中にFを持つ該残基;>50重量%)ポリマーは Freon 113、F3 C−CF2 Cl中で測定し、ポリマー中の弗素置換された残基の割合の少ない(残基中にFを持つ該残基;<43重量%)はTHF中で測定する。その間にある組成を持つコポリマーは例えばTHF中で例えば高温で測定することができる。
比較標準として、リビング−アニオン重合によって得ることができる様な、(フレオン含有溶剤に適する)狭い分布のポリスチレン−または狭い分布のポリイソプレン試料を使用する。
THF中でのGPC測定のためには、プログラム化可能な Waters 590 HPLC- ポンプ、 Waters μ-Styragel カラム(106、104 、103 、500 Å) 装置および Waters 410 屈折率(RI)ディテクターを備えた装置を使用して実施する。流速は1.5mL/分である。基準目安としては狭い分布のポリスチレン標準物(PSS)を使用する。
フレオン中でGPCを測定するためには、プログラム化可能な Waters 510 HPLC- ポンプ、PSS-SDV-XLカラム装置(Polymer Standard Services ,PSS, Mainz, 2 ×8 ×300mm 、1 ×8 ×50mm、粒度 5μm)、ポリマー実験室 PL-ELS-1000ディテクターおよび Waters 486 UV(254nm)-ディテクターを備えた装置を使用して実施する。流速は1.0mL/分である。基準目安としては狭い分布のポリスチレン標準物(PSS)を使用する。
本発明の組成物中に存在するコポリマーの多分散性は例えば約10より小さく、特に好ましくは約7よりも小さい。本発明の特に有利な一つの実施態様においては、この種のコポリマーの多分散性は約5よりも小さく、特に約4よりも小さい。例外的場合には、本発明のコポリマーの多分散性は約2.5よりも小さく、例えば約2よりも小さい。
本発明の範囲において本発明の組成物は例えば上述のコポリマーの1種類だけを含有している。しかしながら本発明の範囲においては、本発明の組成物が2種類以上、例えば3種類、4種類または5種類の上述のコポリマーを含有していている。“異なる種類”という言葉は、異なる化学組成、または同じ化学組成を有する2種類のポリマーの場合に異なる分子量が2つのモードの分子量分布をもたらす限り、異なる分子量にも関する。
本発明のコポリマーは、少なくとも、一般式I
Figure 2005525431
[式中、PBは一連のC−C共有結合を持つポリマー主鎖であり、そして
残基Z1 およびZ2 は互いに無関係にO- + またはO- NR4 + であり、その際に MはLi、NaまたはKでありそしてRはHまたは炭素原子数1〜18の直鎖状アルキ ル基または一般式 −(CH2 −CHR’−O−)m Lで表される残基であり、ただし mは1〜約20の整数でありそしてLはH、CH2 −CHR’−NR’2 またはCH2 −CHR’−N+ R’3 であるか、またはRがアミノ糖、例えばアミノソルビトール、 β−D−グルコピラノシルアミンまたはβ−D−グルコサミンであり、または残基Z1 およびZ2 の一つはO- + またはO- + 4 でありそして残りの残基Z1 またはZ 2 はX−R”であり、その際にXがOまたはNHでありそしてR”はH、場合によって は完全にまたは部分的に弗素で置換された直鎖状または分岐した飽和または不飽和の炭 素原子数1〜18のアルキル基または場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換 された飽和または不飽和の炭素原子数4〜24の単環または多環式シクロアルキル基ま たは場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された炭素原子数6〜24のアリ ールまたはヘテロアリール基であるかまたはRであり、または残基Z1 およびZ2 は一 緒になってNR”であるかまたは少なくともZ1 または少なくともZ2 がX−RN であ り、その際にXはO、SまたはNR’であり、RN は少なくとも1つのアミノ基を持つ 直鎖状のまたは分岐した炭素原子数2〜25のアルキル基または少なくとも1つのアミ ノ基を持つ炭素原子数5〜25のシクロアルキル基でありそして残る残基Z1 またはZ 2 はX’−R”であり、その際にX’はO、SまたはNHでありそしてR”はH、場合 によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された直鎖状または分岐した飽和または不 飽和の炭素原子数1〜18のアルキル基または場合によっては完全にまたは部分的に弗 素で置換された飽和または不飽和の炭素原子数4〜24の単環または多環式シクロアル キル基であるかまたは場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された炭素原子 数6〜24のアリールまたはヘテロアリール基であるかまたはRであり、または残基Z 1 およびZ2 は一緒になってNRであるかまたは残基Z1 またはZ2 の両方が一緒にN −RN である。]
で表される少なくとも1つの構造要素または一般式Iの2つ以上の同じかまたは異なる構造要素を有する。
この明細書の範囲において“ポリマー主鎖”は、鎖末端に一般式Iの構造要素がある場合も意味する。かゝる場合には、変動性のPBの1つは、ラジカル重合の開始および停止に依存して、開始剤または重合停止剤または反応を停止させるその他のものの為に存在する鎖末端の構造単位である。
本発明のコポリマーが一般式Iの一つより多い構造要素を含有している場合には、一般式Iの2つ以上の構造要素は同じ構造要素、即ち同じ化学構造の構造要素または一般式Iの異なる構造要素でもよい。本発明の特に有利な一つの実施態様においては、本発明のコポリマーは一般式Iの1〜約7種の異なる構造要素、好ましくは1、2、3または4種、特に好ましくは1または2種または3種を含有している。
本発明のコポリマーは原則として、重合方法が所望のポリマー構造をもたらす限り、原則として任意の重合方法で製造することができる。本発明の特に有利な一つの実施態様においては、本発明のコポリマーは、以下に詳細に説明する通り、ラジカル重合によって製造される。
一般式Iの構造要素は、好ましくは一般式III
Figure 2005525431
[式中、Z1 およびZ2 が上述の意味を有する。]
で表される化合物を、本発明のコポリマー中に共重合によって組み入れるのが有利である。その際にラジカル重合においては、一般式III の化合物のオレフィン性不飽和二重結合が開環されそしてコポリマー主鎖(PB)中に組み入れられる。
一般式Iに従う構造単位を本発明のコポリマー中に組み入れるためには、例えば残基Z1 またはZ2 の一つまたは両方がO- + またはO- NR4 + である一般式III の化合物が使用される。しかしながら本発明においては、例えば疎水性(非水性)溶剤中で重合することを可能とするために、一般式III の範囲に記載される様な塩の代わりに遊離酸も使用するのが有利であり得る。それ故にこの明細書においては、以下において、重合のために準備されるモノマーを説明する際に相応するアルカリ金属塩またはアンモニウム塩だけでなく、他に言及されていない限り、遊離酸も関係する。
一般式III の適する化合物としては原則として、マレイン酸、マレイン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、無水マレイン酸およびそれの誘導体が適する。適する誘導体には例えばマレイン酸と適する一価アルコールとのモノ- またはジエステルおよびそれの塩、マレイン酸のモノ−またはジアミド、またはマレイン酸とアンモニアまたは置換モノアミンとの環状モノアミドがある。本発明の範囲においては本発明のコポリマーを製造するために、本発明のコポリマーを製造するのに適する共重合挙動を示す一般式IVの化合物を使用するのが有利である。
本発明のコポリマー中に一般式Iに従う構造要素を組み入れるためには、例えばZ1 およびZ2 が互いに無関係にまたは一緒にX−R”であり、その際にXがO、NまたはNHでありそしてR”がH、弗素で置換された直鎖状のまたは分岐した飽和または不飽和のアルキル器または炭素原子数4〜18のオキシアルキル基または弗素で置換された飽和または不飽和の炭素原子数6〜18の単環または多環式シクロアルキル基または弗素で置換された炭素原子数6〜12のアリールまたはヘテロアリール基である一般式IVの化合物が適する。
本発明のコポリマー中に一般式Iの構造要素を導入するためには特に一般式III の化合物、例えば以下の一般的構造式VII 〜XII で表される化合物が適する:
Figure 2005525431
同様に上述の化合物の誘導体も使用できる。この種の適する化合物の例にはマレイン酸、無水マレイン酸、メチル無水マレイン酸、2,3−ジメチル無水マレイン酸、フェニル無水マレイン酸、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、2−メチル−N−フェニルマレイミド、4−フェニルアゾマレイナイル(maleinail)、フマル酸ジエチルエステル、フマル酸ジメチルエステルおよび相応するより高級な脂肪族、脂環式または芳香族フマル酸エステル、例えばフマル酸ジオクチルエステルまたはフマル酸ジイソブチルエステル並びにフマル酸ジニトリルまたはそれらの2種以上の混合物がある。
本発明の特に有利な一つの実施態様においては本発明のコポリマーは一般式Iの1つより多い構造要素を有している。
本発明のコポリマー全体における一般式Iの構造要素の割合は好ましくは約1〜約50mol%、特に約2〜約50または約3〜約50mol%である。本発明の特に有利な一つの実施態様において、一般式Iの構造要素の割合は、少なくとも約5mol%、好ましくは更に多く、例えば少なくとも約7または少なくとも約10mol%の一般式Iの構造単位が本発明のコポリマー中に含まれるように選択される。一般式Iの構造要素の含有量は例えば約15〜約50mol%、好ましくは約20〜約50mol%または約25〜約50mol%であるのが好ましい。原則としてこの範囲内の一般式Iの構造要素の含有量も可能であり、例えば約30〜約42mol%または約35〜約39mol%である。
本発明の有利な一つの実施態様においてコポリマーの組成は、場合によっては酸無水物の相応する開裂およびモノマー構成単位の遊離酸基の中和の後にコポリマーが十分な数の官能基O- + またはO- NR4 + を有する様に選択する。その際に官能基O- + またはO- NR4 + の数は、コポリマーが水または極性溶剤、例えば非プロトン性極性溶剤または水と極性溶剤との混合物に、好ましくは水に、少なくとも多量の低分子量乳化剤を添加することなく乳化できる程度に決めるべきである。本発明のコポリマーは低分子量乳化剤を約5重量%より少なく、約3重量%より少なくまたは約1重量%より少なく添加しながら乳化し得るかまたはそれどころか、自己乳化性であるかまたは上記の溶剤の1種類にまたは溶剤混合物中に実質的に分子状で溶解するのが好ましい。
この場合、少なくとも1つの官能性基O- + またはO- NR4 + を持つ構造単位の割合は、本発明のコポリマー中の構造単位の総数を基準として例えば少なくとも約2%であるが、好ましくはこの数は更に多く、少なくとも約5、10、15または少なくとも約20%である。本発明のコポリマーは、少なくとも1つの官能性基O- + またはO- NR4 + を持つ構造単位の数が約20%より多く、例えば約25、30、40より多くまたは約45%より多い場合に特に有利な溶解性を示す。
本発明のポリマーの水溶性並びに増膜性は例えば残基Rの適切な選択によって制御される。例えば水溶性は例えば適切な残基Rを組み入れることによって制御できる。その際にRは一般式 −(CH2 −CHR’−O−)m Lで表される残基であり、ただしR’はH、直鎖状または分岐した炭素原子数1〜24のアルキル基であり、mは1〜約20、特に約1〜約10または約1〜約5の整数でありそしてLはH、CH2 −CHR’−NR’2 またはCH2 −CHR’−N+ R’3 であるか、またはRがアミノ糖、例えばアミノソルビトール、β−D−グルコピラノシルアミンまたはβ−D−グルコサミンである。一般式 −(CH2 −CHR’−O−)m
[式中、R’はH、直鎖状または分岐した炭素原子数1〜24のアルキル基であり、mは1〜約20、特に約1〜約10または約1〜約5の整数でありそしてLはH、CH2 −CHR’−NR’2 またはCH2 −CHR’−N+ R’3 であるか、またはアミノ糖、例えばアミノソルビトール、β−D−グルコピラノシルアミンまたはβ−D−グルコサミンである。]
で表される残基のRの部分は、少なくとも1つの官能基またはO- + 4 を持つ構造単位当たり0〜4、例えば1、2または3個である。
本発明の別の有利な一つの実施態様においては本発明のコポリマーは少なくとも1つの一般式Iの構造単位を有しており、その際にPBは一連のC−C共有結合を持つポリマー主鎖であり、少なくともZ1 または少なくともZ2 はX−RN であり、ただしXはO、SまたはNR’であり、R’はH、直鎖状のまたは分岐した炭素原子数1〜24のアルキル基であり、RN は少なくとも1つのアミノ基を持つ直鎖状のまたは分岐した炭素原子数2〜25のアルキル基または少なくとも1つのアミノ基を持つ炭素原子数5〜25のシクロアルキル基であり、そして残る残基Z1 またはZ2 はX’−R”であり、その際にX’はO、SまたはNHでありそしてR”はH、場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された直鎖状または分岐した飽和または不飽和の炭素原子数1〜18のアルキル基または場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された飽和または不飽和の炭素原子数4〜24の単環または多環式シクロアルキル基であるかまたは場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された炭素原子数6〜24のアリールまたはヘテロアリール基であるかまたはRであり、または残基Z1 およびZ2 は一緒になってNRであるかまたは残基Z1 およびZ2 の両方が一緒にN−RN である。
本発明のコポリマーは一般式Iのかゝる構造要素を、一般式Iの別の構造要素、例えば一般式1の既に上述の別の構造要素に加えて有していてもよい。しかしながら本発明のコポリマーは一般式Iの最後に挙げて構造要素を一般式Iの唯一の構造要素として有していてもよい。
一般式Iの最後に挙げた構造要素を有するコポリマーは織物、フリースまたは繊維物質の表面処理に特に適している。
本発明のコポリマー中に一般式Iに従う最後に挙げて構造要素を導入するためには、原則として、Z1 およびZ2 が上述の意味に加えて、一緒になったOであってもよい一般式III で表される化合物が適している。この場合には本発明のコポリマーは例えば、少なくともZ1 または少なくともZ2 がX−RN であるかまたは両方の残基Z1 およびZ2 が一緒にX−RN である一般式Iの構造要素および両方の残基Z1 およびZ2 が一緒にOである一般式Iの構造要素を有している。それ故に原則として、一般式III の上述の化合物は無水マレイン酸または無水マレイン酸誘導体の群から選ばれる化合物である。
本発明のコポリマーにおいて残基Z1 またはZ2 の少なくとも一つがX−RN であるかまたは両方の残基Z1 およびZ2 が一緒にX−RN である場合には、本発明のコポリマー中に一般式Iの構造要素を導入するためには例えば一般式VIa およびVIb
Figure 2005525431
[式中、XおよびRN は上述の意味を有する。]
で表される化合物が適する。この場合に、残基RN は少なくとも1つのアミノ基を持つ残基である。
この明細書において、上述の残基RN との関係で“アミノ基”は少なくとも1つのアルキル基に共有結合した窒素原子を意味する。この種の窒素原子は例えばアルキル基への共有結合の他に更に2つの水素原子を有していてもよい。しかしながらこの種の窒素原子はアルキル基との更に1つまたは複数の別の共有結合を有していてもよい。更にかゝる窒素原子は単環または多環式系の一部でありそして相応する環系に相応して2つまたは3つの結合が関与していることも可能である。更にこの明細書において“アミノ基”と称する窒素原子は、例えばプロトンの負荷によってまたはアルキル化(四級化)によって生ずるプラスの電荷を有していてもよい。
適するアミノ基は例えば一般的構造−NH(アルキル)または−N(アルキル)2 で表されるアミノ基であり、その際にアルキルは直鎖状のまたは分岐した炭素原子数1〜4のアルキル基、特にメチルまたはエチルである。
特に有利な一つの実施態様においては本発明のコポリマーは、N,N−ジアルキルアミノ基、特にN,N−ジメチルアミノ基を有する残基RN である。本発明の別の有利な一つの実施態様においては、残基RN が2〜約8、特に2、3、4または5個の炭素原子を持つ直鎖状アルキル基である。
本発明の一つの有利な実施態様においては、本発明の弗素含有コポリマーは、以下の構造要素を有している:
a)一般式Iの構造要素
Figure 2005525431
[式中、PBは一連のC−C共有結合を持つポリマー主鎖であり、
少なくともZ1 または少なくともZ2 はX−RN であり、ただしXはO、SまたはN R’であり、R’はH、直鎖状のまたは分岐した炭素原子数1〜24のアルキル基であ り、RN は少なくとも1つのアミノ基を持つ直鎖状のまたは分岐した炭素原子数2〜2 5のアルキル基または少なくとも1つのアミノ基を持つ炭素原子数5〜25のシクロア ルキル基であり、そして残る残基Z1 またはZ2 はX’−R”であり、その際にX’は O、SまたはNHでありそしてR”はH、場合によっては完全にまたは部分的に弗素で 置換された直鎖状または分岐した飽和または不飽和の炭素原子数1〜18のアルキル基 または場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された飽和または不飽和の炭素 原子数4〜24の単環または多環式シクロアルキル基であるかまたは場合によっては完 全にまたは部分的に弗素で置換された炭素原子数6〜24のアリールまたはヘテロアリ ール基であるかまたはRであり、または残基Z1 およびZ2 は一緒になってNRである かまたは残基Z1 またはZ2 の両方が一緒にN−RN である。]
で表される構造要素;および
b)場合によっては一般式Iの少なくとも1つの以下に規定する構造要素を含有する一般式Iの構造要素 ;残基Z1 およびZ2 は互いに無関係にO- + またはO- NR4 + で あり、その際にMはLi、NaまたはKでありそしてRはHまたは炭素原子数1〜18 の直鎖状アルキル基または一般式 −(CH2 −CHR’−O−)m Lで表される残基 であり、ただしR’はH、炭素原子数1〜24の直鎖状のまたは分岐したアルキル基で あり、mは1〜約20の整数でありそしてLはH、CH2 −CHR’−NR’2 または CH2 −CHR’−N+ R’3 であるか、またはRがアミノ糖であり、または残基Z1 およびZ2 の一つはO- + またはO- NR4 + でありそして残りの残基Z1 またはZ 2 はX’−R”であり、その際にX’がOまたはNHでありそしてR”はH、場合によ っては完全にまたは部分的に弗素で置換された直鎖状または分岐した飽和または不飽和 の炭素原子数1〜18のアルキル基または場合によっては完全にまたは部分的に弗素で 置換された飽和または不飽和の炭素原子数4〜24の単環または多環式シクロアルキル 基または場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された炭素原子数6〜24の アリールまたはヘテロアリール基であるかまたはRであり、またはZ1 またはZ2 は一 緒になってNRである;および
c)一般式II
Figure 2005525431
[式中、残基R1 〜R3 はHまたは直鎖状または分岐した炭素原子数1〜4のアルキル基 であり、YはRまたは直鎖状または分岐した、場合によっては完全にまたは部分的に弗 素で置換された炭素原子数1〜24のアルキル基、場合によっては完全にまたは部分的 に弗素で置換された炭素原子数6〜24のシクロアルキル基またはアリール基、一般式 C(O)ORで表される残基、場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された 炭素原子数7〜24のアルカリール基または場合によっては完全にまたは部分的に弗素 で置換されたアルコキシアルカリール基である。]
で表される構造単位または一般式IIの2つ以上の同じかまたは異なる構造要素を含有し 、その際に一般式Iの構造要素が弗素置換基を有していない場合には一般式IIの少なく とも1 つの構造要素が弗素置換基を有している。
本発明において本発明のコポリマーは例えばa)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素だけを有していてもよく、その際に“種類”とは構造要素の化学的構造に関する。しかしながら本発明のコポリマーは2以上の異なる種類の、a)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素、例えば3、4または5種の構造要素を有していることも可能である。本発明の範囲における本発明のコポリマーは1または2種類だけの、a)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素を有しているのが有利である。
a)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素の割合は、コポリマーに関与するモノマーの数に関して例えば約1〜約50mol%、特に約2〜約50mol%または約3〜約50mol%である。本発明の特に有利な一つの実施態様において、a)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素の割合は、本発明のコポリマー中に少なくとも約5mol%、しかし更に多くが好ましく、例えば少なくとも約7mol%または少なくとも約10mol%のa)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素を含有する様に選択する。a)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素の含有量は例えば約15〜約50mol%、特に約20〜約50mol%または約25〜約50mol%であるのが好ましい。原則としてこの範囲内にある、a)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素の含有量が可能であり、例えば約30〜約42mol%または約35〜約39mol%である。
a)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素の導入は色々な方法で達成される。例えば別の反応なしにまたは場合によってはプロトン化または四級化の後に本発明のポリマーをもたらす化合物の共重合を行うことができる。それ故にこの方法の場合には、かゝる化合物に含まれるオレフィン性不飽和のおよびラジカル重合性の二重結合を実質的に除いて上記の構造要素に一致する化合物を互いに反応させる。
しかしながら本発明のコポリマーを最初に、a)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素の最終構造を有しておらず、重合体様反応において初めてこれらの構造要素に転化しなければならない化合物で構成することも同様に可能である。
この場合には原則として、重合体様反応においてX−RN タイプの化合物と反応してa)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素を形成することのできる、あらゆるラジカル重合性化合物を使用することが可能である。特に無水マレイン酸が適する。
無水マレイン酸単位を持つかゝるコポリマーは、次いで重合体様反応において相応する化合物と反応してa)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素をもたらすことができる。
a)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素を相応する無水マレイン酸単位を持つコポリマー中に導入するには、例えばN,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、N,N−ジエチルアミノエタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロピルアミンまたはN,N−ジエチルエチレンジアミンが適する。
a)の所に記載した種類の一般式Iの別の構造要素を導入するのに適する反応および試薬は当業者に知られており、例えばここに記載した様式と同様にしてコポリマー中に導入することができる。
本発明のコポリマーは本発明の範囲においては例えばa)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素を含有していてもよい。本発明のかゝる一つの実施態様においてはコポリマーの組成は、一般式Iの構造要素の割合が約40〜約100%の割合までa)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素含有し、例えば約60〜約90%、特に好ましくは約80〜90%の割合で含有するように選択する。しかしながら本発明によれば、本発明のコポリマーがa)の所に記載した種類の一般式Iの構造要素を含有していな場合も考えられる。
本発明の有利な一つの実施態様においては、本発明のコポリマーの組成は、該コポリマーが場合によっては酸無水物の相応する開裂およびモノマー構成単位からの遊離酸基の中和の後に十分な数の官能基O- + またはO- NR4 + を有するように選択される。その際に官能基O- + またはO- NR4 + の数は、コポリマーを水または極性溶剤、例えば非プロトン性極性溶剤、または水と極性溶剤との混合物中に、しかし好ましくは水または水と少なくとも1種類の水混和性アルコールとの上記の溶剤混合物中に少なくとも多量の低分子量乳化剤を添加することなしに乳化し得るように決めるべきである。本発明のコポリマーは好ましくは約5重量%より少ないまたは約3重量%より少ないまたは約1重量%より少ない低分子量乳化剤の添加下に乳化し得るまたはそれどころか自己乳化性であるかまたは上述の溶剤または溶剤混合物中に実質的に分子状で分散溶解するのが有利である。
少なくとも1つの官能基O- + またはO- NR4 + を有する構造単位の割合は本発明のコポリマー中の構造単位の総数を基準として少なくとも約2%であるが、好ましくはその割合は更に多く、少なくとも約5%、約10%、約15%または少なくとも約20%である。本発明のコポリマーは、少なくとも1つの官能基O- + またはO- NR4 + を有する構造単位の数が約20%より多く、例えば約25%、30%、40%または約45%より多い場合に特に有利な溶解性を有する。
本発明のコポリマーは、一般式Iの構造単位の他に一般式II
Figure 2005525431
[式中、残基R1 〜R3 はHまたは直鎖状または分岐した炭素原子数1〜4のアルキル基 であり、YはRまたは直鎖状または分岐した、場合によっては完全にまたは部分的に弗 素で置換された炭素原子数1〜24のアルキル基、場合によっては完全にまたは部分的 に弗素で置換された炭素原子数6〜24のシクロアルキル基またはアリール基、一般式 C(O)ORで表される残基、場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された 炭素原子数7〜24のアルカリール基またはアルコキシアリール基または場合によって は完全にまたは部分的に弗素で置換されたアルコキシアルカリール基である。]
で表される少なくとも1種類の構造単位も含有している。
本発明の範囲における残基R1 はHまたはCH3 でありそして残基R2 およびR3 はHであるのが有利である。
本発明の有利な一つの実施態様において、本発明のコポリマーは、一般式IV
Figure 2005525431
[式中、PB、R1 、R2 、R3 は上述の意味を有しそしてR4 はR、特にこの明細書に おいて弗素置換されたと記載された残基R”である]
で表される少なくとも1種類の構造要素を含有する。
本発明の別の有利な一つの実施態様において本発明のコポリマーは1つだけより多く一般式IIの構造要素を含有している。本発明のコポリマー全体における一般式IIの構造要素の割合は約50〜約99mol%、特に約50〜約95mol%または約55〜約85mol%であるのが好ましい。一般式IIの構造要素の含有量が約98〜約52mol%または約95〜約55mol%または約90〜約60mol%であるコポリマーが適している。
一般式Iの構造要素は、既に上で説明した通り、好ましくはラジカル共重合によって本発明のコポリマー中に導入される。例えば一般式IIの構造要素は一般式V
Figure 2005525431
[式中、Y、R1 、R2 およびR3 が上述の意味を有する。]
で表される化合物を共重合することによって本発明のコポリマーに導入される。この場合、ラジカル重合において一般式Vの化合物のオレフィン性不飽和二重結合が開環され、ポリマー主鎖(PB)中に組み入れられる。変動性のPBの意味について上で説明した通りである。
本発明の範囲において本発明のコポリマーを製造するのに適する一般式Vの化合物としては、原則として一般式III またはIVの化合物と共重合し得る相応するあらゆるモノマーが適する。しかしながら本発明のコポリマーを製造するために、コポリマーの極性を高めるのに寄与しない一般式Vの化合物を使用するのが有利である。それ故に特に一般式Vの化合物として実質的に非極性のモノマー、特にオレフィン、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはスチレンが適する。一般式Vの化合物としては例えばシリル−またはフルオロアルキル基を有する化合物、例えばトリメチルシリルメタクリレート、2−(トリメチルシリルオキシ)エチルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフリオロプロピルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−イソプロピルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−イソプロピルアクリレート、2−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、4−フルオロスチレン、3−(トリフルオロメチル)スチレン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)スチレンまたは長い弗素化側鎖を持つビニルエーテルを使用することができる。
本発明のコポリマーが弗素置換基を持つ一般式Iの構造要素を少なくとも1つ有する限り、本発明のコポリマーを製造するために弗素置換基を持たない一般式Vの化合物を使用することができる。しかしながら本発明によれば、本発明のコポリマーが弗素置換基を持つ一般式IIの構造要素を有することも同様に可能でありかつ予想できる。この場合、一般式IIのこの種の構造要素を組み入れるために、弗素置換基を持つ一般式Vの化合物を使用する。その際にかゝる弗素置換基を持つ一般式Vの化合物を専ら使用してもよい。しかしながら2種類以上の一般式Vの化合物よりなる混合物も使用することができ、その場合には一般式Vの化合物の全部は弗素置換基を有していない。このように弗素含有量並びにガラス転移点および溶融遷移挙動の正確な制御およびそれ故の本発明のコポリマーの溶解性および表面活性も正確に制御することが可能である。
本発明の特に有利な一つの実施態様において、一般式Vの化合物としては弗素置換されたアクリル酸エステルまたは弗素置換されたメタクリル酸エステルまたは弗素置換されたスチレンが使用される。一般式XIII〜XVの化合物が特に適する。
Figure 2005525431
[式中、RおよびR5 は上述の意味を有する。]
本発明の範囲において、コポリマー中の一般式IまたはIIの少なくとも1種類の構造要素は弗素で置換された残基を有する。しかしながら本発明の範囲において、本発明のコポリマーは弗素置換基を持たない一般式Iまたは一般式IIの少なくとも1 つの構造要素に加えて弗素置換基を持たない一般式Iまたは一般式IIの構造要素を有していることも可能でありかつ予想できる。この種の構造要素は本発明のコポリマー中に、共重合の際に例えば残基Z1 、Z2 またはYが弗素置換基を有していない一般式IVまたはVの化合物を使用することによって組み入れられる。適するこの種の化合物には、例えば上述の如き一般式VII 〜XVの化合物がある。その際に弗素置換された残基R5 の代わりに弗素置換基のない相応する残基R5 が使用される。適する残基R5 は、例えば上述の式において弗素がいずれもHに交換されている残基R5 である。
本発明の範囲において特に適するコポリマーは、例えば式VII 、VIIIまたはIXの化合物から誘導される一般式Iの構造要素を有している。本発明の特に有利な実施態様においは、本発明のコポリマーが一般式VIIIの化合物から誘導される構造要素を有している。
本発明の別の有利な一つの実施態様においては、本発明のコポリマーは上述の構造要素の一つの他に、一般式XIIIの化合物から誘導されそして弗素で置換された残基R4 を有する一般式IIの構造要素を有している。
本発明の別の有利な実施態様においては、本発明のコポリマーは、一般式VIIIおよびXIの化合物から誘導される一般式Iの構造要素を有している。この場合には残基R5 は弗素置換基を有している。本発明の範囲においては、これらの構造要素と組合せて、一般式XIII、XIV またはXV、特にXIIIまたはXVの化合物から誘導される一般式IIの構造要素が使用される。
本発明のコポリマーの低過ぎる弗素含有量および水溶性への問題のある影響に関する冒頭に記載の欠点を回避するために、本発明のコポリマーはZ1 がOHでありそしてZ2 がORである一般式Iの構造要素を有する場合には、弗素置換基を持つ一般式IIの少なくとも一つの構造要素を有していなければならない。その際にコポリマーがa)の所に記載した種類の構造要素を有していない限り、Rが弗素置換基を有する。
本発明のコポリマーは、この種のコポリマーから製造される表面被覆物に親水性または疎水性化合物、例えば水または油に対してできるだけ最適な耐久性および親水性または疎水性の汚れに対してのできるだけ良好な防汚性を付与する弗素含有量を有している。この場合、本発明のコポリマーの弗素含有量は、弗素置換基が一般式Iおよび一般式IIの化合物によって導入される場合には好ましくは少なくとも約58重量%または少なくとも約52重量%であり、または弗素化された置換基が一般式Iの化合物によってだけ導入される場合には例えば約10〜約40重量%である。
本発明のコポリマーの特別な種類は、残基Z1 またはZ2 の両方の基がO- NH4 + であるかまたは残基Z1 またはZ2 の一方がHN−Rでありそして残りの残基がO- NH4 + である一般式Iの構造要素を含有するコポリマーである。この種のコポリマーはイオン性基のために水または水性溶剤中で良好な乳化性または可溶性を示し、その際に水または水性溶剤に対するコポリマーの敏感度はコポリマーの使用後、例えば表面被覆として使用した後に低減する。かゝるコポリマーが水溶液またはエマルジョンから表面に沈着しそして次に生じる層を乾燥しそして熱処理した場合には、この構造要素はアンモニアおよび水の脱離下に一般式XVI またはXVII
Figure 2005525431
で表される構造要素に転化され、その際にR4 は上述の意味を有しそして一般式XVI はR=4の特別な場合を示している。この場合、一般式XVI またはXVIIが一般式Iの構造要素を形成し、その際に残基Z1 またはZ2 が一緒になってNRである。しかしながらこれらの構造要素は本発明のコポリマーを水、水性溶剤または極性の有機溶剤への溶解性または乳化性にもはや寄与せず、それによってかゝるコポリマーよりなるまたはかゝるコポリマーを含む表面被覆の上記溶剤へに敏感度は劇的に低下する。
本発明のコポリマーは、例えば官能基O- + またはO- NR4 + を持っているならば、水または水性溶剤への良好な乳化性および溶解性を有する。例えば少なくとも約0.1重量%、好ましくは0.1重量%より多い、例えば少なくとも約0.5重量%または少なくとも約1重量%の本発明のコポリマーは、5重量%より少ない、好ましくは3重量%より少ないまたは1重量%より少ない低分子量乳化剤の添加によって、特に有利には低分子量乳化剤を添加せずに水または水性溶媒に、エマルジョンが24時間より多く、好ましくは48時間より多く、更に好ましくは1週間より多く安定したままとなる様に乳化できる。 それ故に本発明のポリマーは例えば低分子量乳化剤を添加せずに水に溶解または乳化し得る。無水マレイン酸と弗素置換されたメタクリレートとの二元コポリマー(>40mol%の無水マレイン酸)では50%の固形分含有量の安定な水性エマルジョンを製造することができる。
低分子量乳化剤は他の助剤として使用することができる。このものは場合によっては造膜性を向上させる(均一な厚さおよび均一な塗膜をもたらす)。なかでもアニオン性、カチオン性および非イオン性界面活性剤が適する。第四アンモニウム化合物をベースとするカチオン性界面活性剤は、最も多くとも、本発明のポリマー中のカルボキシレート基の含有量よりも少ないモル量で使用されるべきである。特に、弗素系置換基またはシロキサン置換基を疎水性成分として有する界面活性剤が造膜性を改善することができる。
造膜および乳化性は本発明によれば、高沸点有機成分を添加することによって更に改善される。例にはペルフルオル化エーテルまたはシクロシロキサン、ケトン、アルコールまたはエステルまたはこれらの2種以上の混合物がある。これらの成分は、エマルジョン中のポリマーの重量割合よりも少ない割合で添加するのが有利であり、特にエマルジョン中のポリマーの重量分を基準として80重量%より少ないのが好ましい。
本発明の特に有利な実施態様の一つにおいては本発明のコポリマーは少なくとも約0.1重量%の水溶性を有し、好ましくは少なくとも約0.5重量%または少なくとも約1重量%の優れた水溶性を有する。この場合、水溶性の上限は約75重量%、例えば約70、65、60または55重量%である。適するポリマーは例えば約5〜約60または約10〜約50または約15〜約45または約20〜約40または約35〜約35重量%の水溶性を有し、そして本発明のポリマーの水溶性は原則としてこの明細書に明示した範囲内で任意に選択される上限および下限の間にあることができる。
一般式Iの1種類以上の構造要素および一般式IIの1種類以上の構造要素の他に本発明のコポリマーは、少なくとも1つのオレフィン性不飽和二重結合を持つ化合物を本発明のコポリマーをもたらす重合反応において本発明のコポリマー中に組み入れることで得られる様な更に別の構造要素を有していてもよい。本発明のコポリマーは例えば、弗素化されていないスチレン、アクリレート、メタクリレート、α−オレフィン等を組み入れることで得られる様な構造要素を含有していてもよい。
本発明の特に有利な一つの実施態様においては、本発明のコポリマー中のこの種の構造要素の割合はコポリマー中の構造要素の総数を基準として約50%まで、例えば約20%までまたは約10%までである。
上記の種類の別の構造要素の組み入れのために特に適する別のコモノマーには、例えばメタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソ−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ペンタメタクリレート、イソ−ペンチルメタクリレート、n−ヘプチルメタクリレート、イソ−ヘプチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソ−オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、カプロラクトン−2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、エチレングリコールメチルエチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、イソ−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、イソ−ヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、イソ- ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソ−オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシルアクリレート、イソ−デシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ビニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(ジプロピルアミノ)プロピルメタクリレート、ジ(エチルグリコール)−2−エチルヘキシルエーテルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、アクリルニトリル、アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、トランス−β−メチルスチレン、2−メチル−1−フェニル−1−プロペン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−2−ジメチルスチレン、4−第三ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−ビニルビフェニル、4−ビニルアニソール、4−エトキシスチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、塩化ビニル、ビニリデンクロライド、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンまたはフッ化ビニルまたはこれらの2種類以上の混合物がある。
本発明のコポリマーは一般式Iおよび一般式IIの構造要素を実質的に任意の順序で、例えばブロック状でまたはランダムに分布しているかまたは交互にポリマー主鎖中に含有していてもよい。しかしながら本発明のコポリマーは、一般式Iおよび一般式IIの構造要素がランダムな分布でまたは交互にポリマー主鎖中に含まれる場合が特に有利である。例えば一般式Iの構造要素は実質的に少なくとも1種類の一般式IIの構造要素または上に挙げた様な他のモノマーによって相互に分離されていてもよい。一般式Iの構造要素が他の構造要素、例えば一般式IIの構造要素または上述のモノマーの1種類から生じる構造要素と交互に配列されているセグメントは任意の順序で、例えばブロック状でまたはランダムに分布して本発明のポリマーのポリマー主鎖中に含まれていてもよい。
本発明の特に有利な一つの実施態様においては、本発明のコポリマーは官能基O- + またはO- NR4 + をポリマー主鎖全体中にできるだけ均一な分布で有している。ポリマー主鎖中の10個の構造要素の配列が、上記の官能基の一つを含有する少なくとも1つの構造要素を有しているのが有利である。最高8個または最高5個の構造要素の配列が少なくとも1つのこの種の官能基を持つ本発明のコポリマーが特に有利である。
本発明のコポリマーは、相応する重合方法が所望のポリマーをもたらす限り、原則として任意に製造される。例えば本発明のコポリマーをポリマー反応に関係するモノマーを反応容器中で、モノマーが既に重合の初めに反応容器中に、コポリマーのために計画された組成に相応する様な組成で存在するようにして簡単に反応させることによって製造することも可能である。
関係するモノマーの共重合パラメータが生じるポリマーが実質的に同じ組成を有する様に相互に合わされている場合に、このやり方で本発明のポリマーがもらたされる。このやり方は、例えば関係するモノマー成分がスチレンでありそして他の関係するモノマー成分が無水マレイン酸である時に成功する。
しかしながらある場合には本発明のポリマーを製造するために、他のやり方を選択するべきである。これは、重合に関係するモノマーがその共重合パラメータのためにむしろホモポリマーを生成する傾向がありそして共重合において実質的にコポリマーが生じない場合には特に必要である。例えばアクリレートまたはメタクリレートエステルと無水マレイン酸またはそれの誘導体とよりなるコポリマーは、反応に関与する各成分が既に反応の初めに存在する“ワンポット反応”による上述の簡単な方法で統一された状態で製造できない。この場合に、本発明のコポリマーを製造するためには異なる反応経路に変更しなければならない。
本発明においては、重合反応の間に無水マレイン酸またはその誘導体を過剰量で存在させそしてアクリレート−またはメタクリレートエステルを重合過程で、重合反応全体の間に互い反応する成分同士の比が実質的に均一な状態で存在するように反応容器に計量供給した場合に、アクリレート−またはメタクリレートエステルと無水マレイン酸またはその誘導体とよりなるコポリマーを得ることができることが判っている。
それ故に本発明の対象は、本発明のコポリマーを製造する方法において、一般式III
Figure 2005525431
[式中、Z1 およびZ2 が上述の意味を有する。]
で表される少なくとも1種類のモノマーおよび一般式V
Figure 2005525431
[式中、R1 、R2 、R3 およびYが上述の意味を有する。]
で表されるモノマーを共重合し、その際に一般式IVの化合物または化合物群が共重合の間
に過剰量で存在させそして一般式Vの化合物または化合物群を共重合の間に反応混合物に供給する、上記方法にも関する。
本発明の方法においては一般式Vの化合物または化合物群を重合の間に、重合反応の全期間の間に相互に実質的に一定の重合性モノマー比で存在するように供給するのが有利である。相応する方法およびその実施はこの明細書の後記において説明する。
既に上で説明した通り、本発明のポリマーを製造するために、官能基O- + ま−たはO- NR4 + を有していない一般式III およびVを使用することができる。多くの場合、これは、本発明の範囲においては特に有利ですらある。これらの場合には、本発明の方法に従って生成されるポリマーは水に溶解または乳化するために適当な官能基O- + またはO- NR4 + を有していなければならばい。本発明の方法で生成されるポリマーが酸無水物基を有する場合には、適当な官能基O- + またはO- NR4 + は、酸無水物基が水によって開環しそしてその際に生じる酸基が塩基性アルカリ金属化合物またはアンモニウム化合物で中和されることによってポリマー中に導入される。従って酸基を持つポリマーは水に溶解または乳化される前または間に塩基性アルカリ金属化合物またはアンモニウム化合物で中和される。
中和するためには原則として任意の塩基性アルカリ金属化合物、しかしながら特に水酸化物が適する。例えば水溶液の状態の水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが適している。しかしながら特に適しそして本発明において特に有利なのうはアンモニウム化合物、特にアンモニアである。塩基性アルカリ金属化合物またはアンモニウム化合物は水溶液の状態での構成化のために使用され、その際さ水溶液の濃度は好ましくは約0.1〜約50重量%、特に好ましくは約0.5〜約10重量%である。
本発明のコポリマーは、組成物を製造するのに、特に水性組成物を製造するのに適する。
それ故に本発明の対象は、少なくとも水および本発明のコポリマーまたは本発明の方法に従って製造されるコポリマーを含有する組成物にも関する。
この種の組成物は好ましくは水を含有している。
かゝる場合、本発明の組成物は、組成物の用途分野および組成物中に含まれるコポリマーの種類次第で例えば約10〜約99.99重量%または約20〜約99重量%の水を含有している。適する組成物は例えば約0.1〜約40重量%、例えば約0.5〜約30重量%または約1〜約20重量%の本発明のコポリマーの含有量を有している。本発明の組成物をクリームまたはペーストとして使用する場合には、本発明のポリマーの含有量は上述の値を超えるてもよく、例えば約80重量%までまたは約70重量%まで、例えば約60重量%までである。
水および上述のコポリマーまたはそれらの2種以上の混合物の他に、本発明の組成物は例えば水と混和し得るアルコールの少なくとも1種類も含有している。かゝる水性アルコール性溶液あるいは分散液の有利さは、例えば処理するべき表面に分散物を単に噴霧することにより表面を被覆する際に容易でかつ使用者にとって安全な取扱を実現することである。更に特に均一な塗膜形成が認められる。
この場合に、特に有利な溶剤混合物は水および少なくとも1種類のアルコールよりなる。原則として水および1種類以上の種々のアルコールよりなる任意の混合物は、コポリマーまたは二種類以上のコポリマーの混合物が溶剤に十分な量で溶解するかあるいは分散できる限り、使用できる。
本発明の組成物における特に有利なアルコールは少なくとも1g/L、好ましくは少なくとも約10gまたは少なくとも約30g/Lの水溶性を有している。適するアルコールは1〜約6個のOH−基、特に約1、2または3個の遊離OH−基を有しており、一価、二価または三価でもよいが、好ましくは一価である。直鎖状または分岐した飽和または不飽和または環状の炭素原子数1〜約10のアルコール、特に直鎖状または分岐した炭素原子数1〜約6のモノ−、ジ−またはトリオールが適している。本発明の特に有利な一つの実施態様において特に適するのはエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、グリセリンまたはトリメチロールプロパンまたは上記のアルコールの二種以上の混合物が特に適する。上記のジオールまたはトリオールの1種類を上記のモノアルコールでエーテル化することによって得られる様なエーテルアルコールも同様に適する。この場合にはエチレングリコールをエタノール、プロパノールまたはブタノールでエーテル化した生成物、特にエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルグリコール)が特に適している。
更に、モノアルコールの少なくとも1種類とエーテルアルコールの少なくとも1種類との混合物を使用することによって特に良好な結果が達成されることがわかった。この場合には特にエタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノールまたはそれらの2種類以上の混合物とエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルまたはブチレングリコールモノエチルエーテルまたはこれらの2種以上の混合物との混合物、特にエタノールとブチルグリコールとの混合物が適している。
本発明の範囲においてモノアルコールとポリオールまたはエーテルアルコールとの混合物を使用した場合には、モノアルコールとポリオールまたはエーテルアルコールとの重量比は約1:100〜約100:1である。かゝる混合物中に一価アルコールが過剰に存在する場合がしばしば有利であることが判っている。モノアルコールとポリオールまたはエーテルアルコールとの重量比は好ましくは約15:1:100〜約1.1:1、特に好ましくは約7:1〜約1.2:1または約4:1〜約2:1であるのが好ましい。エチレングリコールとブチルグリコールとの混合物は約1.2:1〜約5:1、例えば1.2:1〜約2:1または約2:1〜約4:1の比が特に有利である。
全体として、水と水と混和し得るアルコールまたは2種以上の水混和性アルコールの混合物よりなる溶剤混合物は水を約5%から100重量%より少ない量で、例えば約10〜約99.9重量%または約20〜約95重量%または約30〜約90重量%または約35〜85重量%または約40〜約80重量%または約45〜約75重量%の量で含有していてもよい。
本発明の組成物は、組成物の用途分野次第でおよび組成物中に含まれるコポリマーの種類次第で例えば約20〜約99.99重量%の上述の溶剤混合物を含有している。適する組成物は例えば約0.01〜約40重量%、例えば約0.05〜約30重量%または約0.1〜約20重量%または約0.5〜約10重量%のコポリマー含有量を有している。クリームまたはペーストとして本発明の組成物を使用とする場合には、本発明のポリマーの含有量は上記の値を超えてもよく、例えば約80重量%までまたは約70重量%まで、例えば約60重量%まででもよい。
本発明の組成物は、本発明のコポリマーまたはそれの2種類以上の混合物並びに場合によっては水および場合によっては1種類以上の水混和性アルコールの他に、別の添加物を含有していてもよい。適する他の添加物には例えば染料、顔料、充填剤、補助溶剤、安定剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、湿潤剤等がある。
この場合に、硬度または耐引っ掻き強度の改善を実現する添加物(Al2 3 、SiO2 )、表面の艶消しを実現する添加物( SiO2 、CaCO3 )または本発明の組成物で処理された表面の粗さを意図的に調整する添加物(SiO2 )が適している。表面の粗さを意図的に調整する場合の目的は例えば被覆された表面の湿潤挙動を特に撥水性および例えば防汚性状態にすることである。本発明の組成物で処理された表面の耐引っ掻き性を向上させるためには、例えば約125nmより小さい直径のナノ粒子が適する。
更に、例えば調製物を着色するのに役立つ他の添加物も使用することができる。この目的には例えば水溶性でイオン性の染料、有機および無機顔料、セピア、木炭、SiO2 、TiO2 (ルチル型、アナタース型、ブロッキト(Brookit) 型)、鉛白(2PbCO3 ・Pb(OH)2 )、塩基性炭酸亜鉛(2ZnCO3 ・3Zn(OH)3 )、酸化亜鉛ZnO、二酸化ジルコニウムZrO2 、硫化亜鉛ZnS、リトポンZnS/BaSO4 、カーボンブラック、酸化鉄黒(Fe3 4 )、酸化鉄赤(Fe2 3 )、アパタイト3Ca3 (PO4 2 ・CaF2 、硫酸カルシウムCaSO4 ・2H2 O(石膏)、硫酸バリウムBaSO4 (バライト)、炭酸バリウムBaCO3 、珪酸カルシウムまたは他の珪酸塩(例えばカオリン、タルク、マイカ)またはこれらの2種類以上の混合物がある。
本発明において本発明の組成物のかゝる添加物の割合は約50重量%まで、好ましくは0〜約30重量%、更に好ましくは約0.5〜約20重量%である。
表面の湿潤性を向上させるための添加物、特に金属−または合成樹脂表面の湿潤性を向上させるための添加物としては、同様に通例の湿潤剤、例えばシリコーンベースの湿潤剤、例えばTEGO Wet280(Tego Chemie Service, Essen, Deutschland) が適している。この種の湿潤剤は本発明の組成物中に0〜5重量%の量で、例えば約0.001重量%〜約3重量%の量で含まれていてもよい。
本発明の組成物は、水、1種類以上の水混和性アルコールおよび上述のコポリマーの1種類またはかゝるコポリマーの2種類以上の混合物および場合によっては1種類以上の上述の添加物よりなる溶剤混合物の他に、水に溶解しないしまたは自己乳化性でもない弗素含有ポリマーまたは2種類以上の弗素含有ポリマーの混合物を含有していてもよい。かゝる弗素含有ポリマーの割合は例えば約45重量%まで(0〜45重量%)であるが、特に約30重量%までまたは約20重量%までまたは約10重量%までまたは約5重量%までである。
適するこの種の弗素含有ポリマーは例えば弗素化アルコールのポリアクリレート−またはポリメタクリレートエステル、弗素化アミンのポリアクリルアミド、弗素化ポリスチレン、スチレン−(N−フルオロ)−マレイミド−コポリマー、以下の化合物のホモ−およびコポリマー;
Figure 2005525431
並びにペルフルオロアルキル−およびペルフルオロエーテル置換基を持つポリシロキサンがある。
上記のコポリマーの溶液またはエマルジョンは、場合によっては上述の1種類以上の添加物および他の弗素含有ポリマーと一緒に、表面を被覆するために使用される。その際に、上述の弗素含有コポリマーの特別な種類が繊維織物を被覆する際にまたはフリースを被覆する際に特に優れた性質を示すことが判っている。
本発明の組成物は例えば以下の内容物を含有している:
約20〜約99重量%の水;
約0.1〜約80重量%のコポリマー;
約0〜約5重量%の染料および顔料;
約0〜約10重量%の界面活性剤;
約0〜約20重量%の高沸点で疎水性溶剤。
本発明のコポリマーは更にその良好な水への溶解性または乳化性のために、水にそれ自身は溶解も乳化もしない弗素含有ポリマーのための乳化剤としても適している。
本発明のコポリマーの溶液またはエマルジョンは、場合によっては上述の1種類以上の添加物および他の弗素含有ポリマーと一緒に、表面を被覆するために使用される。
原則として本発明の弗素系ポリマーで任意の材料を被覆できる。適するものには例えば紙、厚紙、ガラス、金属、レンガ、セラミック、合成樹脂、天然繊維、合成繊維、織物、絨毯、壁紙等がある。
本発明のコポリマーは更に、通常は水性状態で、例えば溶液または分散液として提供される様な表面被覆剤の成分としても適している。本発明のコポリマーは耐水性塗料および防汚塗料をもたらす分散塗料の成分として特に適している。
この場合、表面の被覆はスプレー塗装、刷毛塗り塗装、ドクターブレード塗装または他の塗装法によって表面に塗装し、次いで乾燥することによって行う。それ故に、本発明のコポリマーを表面に塗布し、次いで乾燥する表面被覆法も本発明の対象である。
コポリマーを本発明の組成物の状態で表面に塗布するのが有利である。
この明細書で既に上述した通り、本発明のコポリマーは特定の構造条件を満足する限り、例えば熱処理によってその水溶性または水中乳化性が殆ど不可逆的に減少する様に影響を受ける。このことは閉環下に行われ、コハク酸イミドまたは酸無水物を形成する。それ故に本発明の有利な一つの実施態様においては、表面被覆物の乾燥は、本発明の方法の場合、表面被覆物中の少なくとも1種類のコポリマーの水溶性または水乳化性が元の水溶性または水乳化性に比べて低減する条件のもとで実施される。
この様に被覆された表面は優れた防汚効果を示す。それ故に本発明の対象は本発明のコポリマーで被覆された表面にも関する。
本発明の組成物はフリース、織物または皮革を被覆するのにも適している。
この場合、特に有利な織物は1種類以上の合成繊維または1種類以上の天然繊維または1種類以上の合成繊維と1種類以上の天然繊維とよりなる。
天然繊維とは、同じ起源を有する繊維、例えば植物に由来する場合には木綿または麻または亜麻または他の植物種から得られた繊維を意味する。天然繊維が動物起源の場合には繊維は例えば羊またはラマまたはうさぎまたは他の動物種から得られる種類の繊維に属する。この関係では、個別のまたは工場のまたは局所の起源ではなく、起源成分の生物種だけである。
合成繊維の種類は、特定の化学的構成、例えばポリエステルまたはポリウレタンに分けられる繊維を意味する。
この明細書において既に上述した通り、本発明のコポリマーは、特定の構造的前提を満足する限り、例えば熱処理によって水溶性または水中乳化性が殆ど不可逆的に低減する様に影響される。これは、好ましくは閉環下にコハク酸イミドまたは酸無水物を形成して生じる。それ故に、本発明の特に有利な一つの実施態様においては、本発明の方法における表面被覆物の乾燥は、表面被覆物中の少なくとも1種類のコポリマーの水溶性または水中乳化性が元の水溶性または水中乳化性に比べて低減する条件のもとで実施される。
撥水性は例えばアニーリング(annealing) によって更に改善され得る。アニーリングは、凍結ひずみを開放するために、被覆剤中に含まれるコポリマーの溶融温度近くであるが溶融温度よりも下にある温度に材料を維持する工程である。
本発明の組成物で織物を処理する場合には、例えば30秒の間の130℃〜160℃の熱処理が、該織物が上記の時間の間にかゝる温度で損傷を受けない限り、有利であると判っている。アニーリングによって、例えば本発明のコポリマーで製造された被覆物に対して、140°までの値の木綿への接触角度を達成することができた。
この様に被覆された表面は優れた防汚効果を示す。それ故に本発明の対象は、本発明のコポリマーで被覆された表面にも関する。
本発明の対象は、本発明のコポリマーの少なくとも1種類で被覆されているフリース、織物および皮革でもある。本発明の対象は、本発明のコポリマーの少なくとも1種類で被覆されている例えば繊維タイプの天然繊維、繊維タイプの合繊繊維または種々の天然繊維の混合物または種々の合成繊維の混合物または少なくとも1種類の天然繊維と少なくとも1種類の合成繊維との混合物でもある。本発明の対象は、本発明のコポリマーの少なくとも1種類で被覆されているあらゆる種類の皮革でもある。
本発明を以下に実施例によって更に詳細に説明する。
実施例:
モノマー合成
材料:
(天然のAl2 3 の充填されたカラムを通した)1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシルメタクリレート(Apollo);(天然のAl2 3 の充填されたカラムを通した)1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシルアクリレート(Apollo);(蒸留された)ペルフルオロオクチル沃化物(製造元:Hoechst);(CaH2 蒸留された)トリエチルアミン(製造元:Fluka) ;(メタノールで再結晶処理した)2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)( 製造元: Aldrich);(エタノールで再結晶処理した)4−ヨードアニリン( 製造元: Aldrich);水素化ナトリウム(鉱油中に懸濁した60%濃度懸濁液、製造元:Fluka) ; 1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシル−1−沃化物( 製造元: Aldrich);ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサノナン酸メチルエステル、ペルフルオロ−2.5.8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカン酸メチルエステル(Lancaster);1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデカン−1−オール(製造元:Fluorochem);3−ブテン−1−オール(製造元: Aldrich);p−ビニルベンジルクロライド(製造元: Aldrich);トリ−n−ブチル水素化錫(製造元:Merk);水素化アルミニウムリチウム(製造元:Merk);臭素酸メチルエステル(製造元: Aldrich);4−ビニルベンジルクロライド(製造元: Aldrich);チオニルクロライド(製造元: Aldrich);アジドナトリウム(製造元:Fluka) ;メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(製造元:Fluka) ;テトラブチルアンモニウム−硫酸水素塩(製造元:Merk) ;銅ブロンズ(製造元: Aldrich);無水酢酸(製造元: Aldrich);(水不含の) 硫酸ナトリウム(製造元:Fluka) ; 炭酸水素ナトリウム(製造元:Merk);(ナトリウム/ベンゾフェノンを用いて蒸留した)トルエン(製造元:Merk);(ナトリウム/ベンゾフェノンを用いて蒸留した)キシレン;(ナトリウム/ベンゾフェノンを用いて蒸留した)エーテル(ジエチルエーテル)(製造元:Fluka) ;(カリウム/ベンゾフェノンを用いて蒸留した)THF(製造元:Fluka) ;(P4 10を用いて蒸留した) ジクロロメタン(製造元:Fluka) ; (P4 10を用いて蒸留した)クロロホルム(製造元:Fluka) ; ( CaH2 を用いて分別蒸留した)DMF;1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン(Freon 113)(製造元:Merk);石油エーテル(製造元:Fluka) ;ジメチルスルホキシド(DMSO)(製造元:Fluka) 。
他に指摘がない限り、全ての試薬は更に精製することなく使用した。
ヘキサフルオロプロペンオキシド−アルコール(HFPO x OH;x=3、4、5)の合成:
還流冷却器、乾燥管、滴加ロートおよびKPG−攪拌機を備えた500mLの三つ首フラスコ中で、8gの水素化アルミニウムリチウム(210.5mmol)を300mLのテトラヒドロフランに懸濁させる。次いで慎重に70gのペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサノナン酸メチルエステル(136.2mmol)を100mLのテトラヒドロフランに滴加する(泡が生じる)。反応混合物を次に夜通し還流下に乾燥する。反応混合物を室温に冷却した後に、過剰の水素化アルミニウムリチウムを希塩酸の滴加によって不活性化する(泡が生じる)。生成物をジクロロメタンとフレオン−113とよりなる混合物で水性相から3度抽出処理しそして有機相を希塩酸で洗浄して、残る痕跡量の水素化アルミニウムリチウムを不活性化する。水性相を一緒にし、再度ジクロロメタン/フレオン−113で抽出処理する。一緒にした有機相を硫酸ナトリウムで乾燥しそして溶剤を回転式蒸発器で除く。生成物を油圧式真空ポンプでの蒸発によって精製する。
以下の化合物がこの様に合成される:
1H,1H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサノナン−1−オール[(HFPO)3 OH]、1H,1H−ペルフルオロ−2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカン−1−オール[(HFPO)4 OH]、1H,1H−ペルフルオロ−2,5,8,11−テトラメチル−3,6,9,12−テトラオキサペンタデカン−1−オール[(HFPO)5 OH]。
1H,1H,2H,2H, 3H,3H,4H,4H−ペルフルオロドデカン−1−オールの合成:
リービッヒ冷却器、ゴム製隔膜およびガラス製栓を備えた250mLの三つ首フラスコに38.2g(70mmol)のペルフルオロオクチル沃化物および8.6mL(100mmol)の3−ブテン−1−オールを装填する。この混合物をアルゴン雰囲気で80℃において均一化しそして45分にわたって175mgのAIBNを僅かな割合ずつ添加する。添加終了後に80℃で更に5時間攪拌する。生成物を昇華してリービッヒ冷却器に送り、冷却器壁を叩いて反応用フラスコに戻してもよい。精製の過程で沃化物が分解するのを避けるために、粗1H,1H,2H,2H, 3H,3H,4H,4H−3−沃化ペルフルオロドデカン−1−オールを、トリ−n−ブチル錫の添加によって1H,1H,2H,2H, 3H,3H,4H,4H−ペルフルオロドデカン−1−オールに直接的に還元する。アルゴン雰囲気で反応混合物に70mLのトルエンおよび1.1gのAIBNを添加する。37mL(140mmol)のトリ−n−ブチル錫を注射器によって添加する。還流冷却器を備えたフラスコを80℃で18時間攪拌する。70℃に冷却した後に600mLの蒸留メタノール中で反応残留物を不活性化する。メタノールの除去後にトルエンから再結晶化させる。
弗素化アルコール類の塩素化:
還流冷却器、ゴム製隔膜およびガラス製栓を備えた250mLの三つ首フラスコ中で40mmolの弗素化アルコールを200mLのトルエンに溶解しそして80℃に加熱する。次いで最初に40mmolのトリエチルアミンを、そしてその後に120mmolのチオニルクロライドをゆっくりと注射器から滴加する。反応混合物を夜通し80℃で攪拌する。この反応混合物を室温に冷ました後に、生じた塩化水素を吸引濾去しそしてトルエン溶液を100mLにまで濃縮する。有機相を10%濃度の炭酸水素ナトリウム水溶液で二度そして水で三度洗浄する。この有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶剤を除去しそして生成物を減圧状態でビグローカラムで二度蒸留する。こうして以下の化合物が合成される:
1H,1H,2H,2H, 3H,3H,4H,4H−ペルフルオロドデシルクロライド、1H,1H,2H,2H, 4H,4H−ペルフルオロ−5,8−ジメチル−3,6,9−トリオキサドデシルクロライド((HFPO)3 OCH2 CH2 Cl)、1H,1H,2H,2H, 4H,4H−ペルフルオロ−5,8,11−トリメチル−3,6,9,12−テトラオキサペンタデシルクロライド((HFPO)4 OCH2 CH2 Cl)。
フルオロアルキルアジド類の合成(相転移触媒での接触反応):
リービッヒ冷却器を備えた100mLのフラスコに相転移触媒(1モルのハロゲン化合物当たり5%のメチルトリイソオクチルアンモニウム−クロライド)を含有するアジドナトリウム(70mmol)の25%濃度水性溶液およびフルオロハロゲン化物(35mmol)を装入する。90〜100℃で攪拌しそして反応の進行をGCによって監視する。全てのハロゲン化物が消費された時に反応を中止しそして水性相をデカンテーションで除く。生成物の精製は必要ない。こうして以下の化合物が合成される:
1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシル−1−アジド、1H,1H,2H,2H, 3H,3H,4H,4H−ペルフルオロドデシル−1−アジド、1H,1H,2H,2H, 4H,4H−ペルフルオロ−5,8−ジメチル−3,6,9−トリオキサドデシル−1−アジド((HFPO)3 OCH2 CH2 3 )、1H,1H,2H,2H, 4H,4H−ペルフルオロ−5,8,11−トリメチル−3,6,9,12−テトラオキサペンタデシル−1−アジド((HFPO)4 OCH2 CH2 3 )。
フルオロアルキルアミン類の合成:
還流冷却器および滴加ロートを備えた500mLのフラスコに乾燥エーテルに15mmolの水素化アルミニウムリチウムを懸濁した懸濁液中に10mmolの弗素化アジドのエーテル性溶液100mLを滴加する。滴加速度は、エーテルが還流下に沸騰する様に選択しそして次いで更に5時間還流下に沸騰させる。湿ったエーテル、次いで水の添加によって過剰の水素化アルミニウムリチウムを不活性化する。不溶性の塩を分離除去し、エーテル相を分離しそして水性相をエーテルと一緒に何度も震盪処理する。硫酸ナトリウムで乾燥しそしてエーテルを除いた後に、生成物を減圧下に蒸留する。こうして以下の生成物が合成される:
1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシル−1−アミン、1H,1H,2H,2H, 3H,3H,4H,4H−ペルフルオロドデシル−1−アミン、1H,1H,2H,2H, 4H,4H−ペルフルオロ−5,8−ジメチル−3,6,9−トリオキサドデシル−1−アミン((HFPO)3 OCH2 CH2 NH2 )、1H,1H,2H,2H, 4H,4H−ペルフルオロ−5,8,11−トリメチル−3,6,9,12−テトラオキサペンタデシル−1−アミン((HFPO)4 OCH2 CH2 NH2 )。
4−ペルフルオロオクチルアニリンの合成:
還流冷却器を備えた100mLの丸底フラスコ中で、50mLのDMSOに5.7g(26mmol)の4−沃化アニリン、15.7g(28.9mmol)のペルフルオロオクチル沃化物および5.5g(86.7mmol)の銅ブロンズを懸濁させた懸濁液を加熱する。この熱い懸濁液を、過剰の銅ブロンズおよび沃化Cu(I)を分離するために濾過する。100mLのエーテルおよび100mLの蒸留水を添加しそして10分間攪拌する。有機相を分離しそして水で三度洗浄する。エーテルを除いた後に生成物を蒸留する。
p−ペルフルオロアルキル−エチレンオキシメチル−スチレンの合成:
ペルフルオロアルコール(80mmol)を160mLのジクロロメタンに溶解する。この溶液に160mLの50重量%濃度NaOH水溶液並びに8mmolのTBAHを加える。激しい攪拌下に88mmolのp−ビニルベンジルクロライドを滴加すると黄色への変色が生じる。40℃で18時間後にオレンジ色の相を分離し、薄いHClで一度そして水で三度洗浄しそして硫酸ナトリウムで乾燥する。濾過および溶剤の除去後に褐色の油状液体が得られる。高減圧状態での蒸留によって(C4−ペルフルオロカーボン−セグメント;無色の油状液体)、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー処理によって(C6−ペルフルオロ−セグメント;無色の油状液体)またはメタノールによる繰り返しの再結晶化処理によって精製する(C8−およびC10−ペルフルオロ−セグメント;無色の固体)。こうして以下の化合物が合成される:
F(CF2 4 CH2 CH2 −OCH2 −C6 4 −CH=CH2 、F(CF2 6 CH2 CH2 −OCH2 −C6 4 −CH=CH2 、F(CF2 8 CH2 CH2 −OCH2 −C6 4 −CH=CH2 、F(CF2 10(CH2 2 −OCH2 −C6 4 −CH=CH2
p−オリゴヘキサフルオロプロペンオキシド−オキシメチル−スチレン(スチレン−HFPO n )の合成:
ペルフルオロアルコール(15mmol)を30mLのジクロロメタンおよび30mLの1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンよりなる混合物に溶解する。この溶液に30mLの50重量%濃度のNaOH水溶液並びに1.5mmolのTBAHを添加する。激しい攪拌下に16.65mmolのp−ビニルベンジルクロライドを添加すると黄色への変色が生じる。40℃で48時間後にオレンジ色の相を分離し、薄いHClで一度洗浄し並びに水で三度洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。濾過および溶剤除去の後に黄色の油状液体が得られる。こうして以下の化合物が合成される:
p−1H,1H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサノナン−オキシメチル−スチレン、p−1H,1H−ペルフルオロ−2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカン−オキシメチル−スチレン、p−1H,1H−ペルフルオロ−2,5,8,11−テトラメチル−3,6,9,12−テトラオキサペンタデカン−オキシメチル−スチレン。
1H,1H,2H,2H−ペルフルオロアルキルメタクリレートの合成:
還流冷却器、窒素ガス導入口およびゴム製隔膜を備えた250mLの三つ首フラスコ中に43mmolの1H,1H,2H,2H−ペルフルオロアルキル−1−オール並びに5mmolの4−ジメチルアミノピリジンを導入しそして窒素ガスでパージ処理する。100mLの蒸留処理済みの新鮮なジクロロメタンおよび20mLの1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンをフラスコ中に導入し、次いで最初に40mmolの無水メタクリル酸をゆっくり滴加し、次いで45mmolのトリエチルアミンを隔膜を通して添加する。この溶液を30℃で18時間攪拌する。次いで水、希塩酸、4%濃度炭酸ナトリウム水溶液および再び水で洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥しそして濾過した後に溶剤を除く。無色の液体が得られる。中性の酸化アルミニウム(ICN)および分子ふるい(4Å)の入ったの短いカラムに通してモノマーを浄化しそして乾燥する。移動相としてTHFを使用する。THFにモノマーを溶解した溶液を−20℃で分子ふるいに保存する。こうして以下の化合物を合成する:
1H,1H,2H,2H−ペルフルオロヘキシルメタクリレート。
ヘキサフルオロプロペンオキシドメタクリレート(HFPO x MA、x=3,4,5)の合成:
還流冷却器、窒素ガス導入口およびゴム製隔膜を備えた250mLの三つ首フラスコ中で31mmolのHFPOx MA(x=3,4,5)および3.6mmolのジメチルアミノピリジンを、75mLのジクロロメタンおよび25mLの1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンよりなる混合物中に溶解する。30mmolのメタクリル酸無水物をゆっくり滴加し、次に30mmolのトリエチルアミンを隔膜を通して滴加する。この溶液を30℃で18時間攪拌する。次いで水、希塩酸、4%濃度炭酸ナトリウム水溶液および再び水で洗浄する。一緒にした水性相をジクロロメタン/1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンで抽出処理し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥しそして溶剤を除く。無色の液体が得られる。中性の酸化アルミニウム(ICN)および分子ふるい(4Å)入った短いカラムに通してモノマーを浄化しそして乾燥する。
以下の化合物がこうして合成される:
1H,1H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサドデシルメタクリレート、1H,1H−ペルフルオロ−2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサペンタデシルメタクリレート、1H,1H−ペルフルオロ−2,5,8,11−テトラメチル−3,6,9,12−テトラオキサペンタデシルメタクリレート。
弗素化されたスチレン誘導体と無水マレイン酸との共重合反応
Figure 2005525431
図1:無水マレイン酸(MSA)とスチレンとの重合のための共重合グラフ(Champman C.B., Valentine L., J.Polym.Sci., 34(1959) 319)
図1からわかる通り、スチレンは広い混合領域でMSAと交互共重合する。この挙動について2つの説明が前提された。交互共重合はラジカル中間段階の共鳴安定化の際の極性効果に基づくかまたはスチレンとMSAとの間の電荷移動錯体の形成に基づく。スチレンの電子リッチ特性とMSAの電子不足特性が両方の場合に極めて重要である。ここで重合されたp−ペルフルオロアルキルスチレンのフッ化炭素置換基が芳香族環系から十分に除かれ、芳香族環の電子的性質に決定的な影響を及ぼさない。要するに無水マレイン酸とペルフルオロアルキル置換されたスチレンとの交互共重合もこの場合に相当する。
ペルフルオロアルキル置換されたスチレン類とMSAとの重合についての実験的処方: 隔膜を有する100mLの丸底フラスコ中で無水マレイン酸(4.6mmol)およびスチレン−をRF (4.6mmol)を30mLのエチルメチルケトンに溶解する。溶剤を脱気し、そして酸素を排除するためにアルゴンでパージ処理する。31mg(4mol%)のAIBNを添加し、次いでアルゴンでパージ処理する。反応溶液を60℃で9時間攪拌する。溶剤を減圧状態で除き、残留物をクロロホルムに取りそしてメタノールに沈殿させる。ポリマーを濾去しそして減圧下に80℃で乾燥する。表1および2に反応混合物および下記のポリマーの性質を記載する。
Figure 2005525431
表1:ペルフルオロアルキル置換されたスチレンとMSAとのラジカル重合のための反 応混合物
Figure 2005525431
この場合、記号F6 〜F8 は上記の式中でx=6、8および10で示される残基に関するが、記号HFPO4 およびHFPO5 は上記式中でx=2、3、4で示される、プロピレンオキシド骨格を持つ残基に関する。
表2:製造されたフルオロアルキルスチレン−MSA共重合体の分子量、収量並びに溶 融温度およびガラス転移温度
Figure 2005525431
a:元素分析、 b:DSC、二次加熱,10°/分。
スチレンコポリマーの薄い塗膜の湿潤挙動:
コポリマーの撥油性および撥水性を比較することができる様にするために、ポリマーの薄い塗膜を、表面を特徴化するために小ガラス板の上に1重量%溶液(HFX、1:1 HFX/THF)で回転塗りする。非極性の有機性溶液からの沈着は表面に対して弗素基を配向させるのに有利である。いずれの場合にも透明な塗膜が得られる。試料を150℃で2時間アニーリングする。一連のn−アルカンによるこれらの塗膜の湿潤性は小滴を置く統計的方法によって測定した。KruessのゴニオメーターG40を温度制御室、ビデオ測定システムG1041およびPDA 10ソフトウエアーと一緒に使用する。臨界表面張力γcの値はZismanの式1 (cosθ=1+m(γL −γc ))によっておよびGirafalco−Good−Fowkes−Young2 ( cosθ=−1+2(γS D )1/2γL -1/2)に従って測定する(図2および3参照)。
Figure 2005525431
1: W.A. Zisman, Contact Angle, Wettability and Adhesion, Adv. in Chemistry
series Vol.43, R.F.Gould(著者) 、American Chemical Society 、ワシントン,D.C. 1964 。
2: F.M.Fowkes, J.Phys.Chem., 66 (1962) 382; F.M.Fowkes, Ind.Eng.Chem, 56(1964) 40; L.A.Girafalco, R.J.Good, J.Phys.Chem., 61(1957) 904。
図2:ポリマー中に色々な割合でMSA(無水マレイン酸)を有するP(SyFx − alt−MSA)ポリマーについてのZisman−グラフ。湿潤用液体:n- ヘキサデカン(γL =27.6mN/m)、n−ドデカン(γL =25.1mN/m)、n−デカン(γL =24.0mN/m)、n−オクタン(γL =21.8mN/m)、1:1 THF/HFX)を用いて適用する。
測定した全てのポリマーは、弗素化された側鎖基が表面に対して配向しており、非常に低い表面張力を有している。その値はペルフルオロアルキル鎖の長さが長い程減少する。
Figure 2005525431
図3:ポリマー中に色々な割合でMSA(無水マレイン酸)を有するP(StyFx − alt−MSA)ポリマーについてのGGFY−グラフ。湿潤用液体:n- ヘキサデカン(γL =27.6mN/m)、n−ドデカン(γL =25.1mN/m)、n−デカン(γL =24.0mN/m)、n−オクタン(γL =21.8mN/m)。
表3: (Zismanの)臨界表面張力γc および(GGFYの)表面エネルギーの分散性相互作用成分γs D 並びにHFX/THF(1:1)溶液で塗布しそして150℃で熱処理した塗膜のヘキサデカンに対する接触角度。
Figure 2005525431
高いガラス転移温度および溶融遷移があるので、一部は最大の撥油および撥水性はアニーリング後に初めて達成される。これは、ペルフルオロアルキル基の代わりにHFPO−オリゴマーがスチレン単位の置換基として導入されたポリマー化合物の場合ではない。
P(Sty−F x −co−MSA)の水性エマルジョンの製造:
高いガラス転移温度および溶融遷移があるので、ポリマーの溶液/エマルジョンにとってしばしば比較的に高い温度が必要とされる。一部はエマルジョンの製造を高圧均一化剤(Avestin、ハイデルベルグ)を用いて加圧下でしか行うことができない。使用される弗素化ポリマーの重量の程度で少量の弗素化剤(HFX、ペルフルオロデカリン)を添加することで乳化性が明らかに改善できる。
処方:
P(StyF6−alt−MSA)(400mg)を4mLの10%濃度アンモニア水溶液と混合しそして60℃で攪拌する。次いで過剰のアンモニアを50℃で追い出しそして約1000barで数分間、Emulsiflex C5を用いて均一化して、ミルク様に濁った泡立ったエマルジョンを得る。乳化していない部分は使用材料重量の5%以下であり、これを濾過によって分離除去する。このエマルジョンは数週間にわたって安定している。
エマルジョンでの基体の被覆および塗膜の湿潤性の測定(接触角測定):
P(StyF6−alt−MSA)の1%濃度水溶液で薄い塗膜を小ガラス板に塗布し、次いで120℃で11時間熱処理する。一連のn−アルカンに対するこの塗膜の湿潤性は小滴を置く方法によって測定した。KruessのゴニオメーターG40を温度制御室、ビデオ測定システムG1041およびPDA 10ソフトウエアーと一緒に使用する。臨界表面張力γcの値はZismanの式(cosθ=1+m(γL −γc ))によっておよびGirifalco−Good−Fowkes−Young (cosθ=−1+2(γS D )1/2γL -1/2)に従って測定する。この値はHFXから析出させた温度処理された試料のそれに相当する。
Figure 2005525431
アクリレート/メタクリレートと無水マレイン酸との共重合:
アクリレートおよびメタクリレートとMSAとの共重合をアクリレートおよびメタクリレートを有利に組み入れながら行う。従って全てのモノマーが重合の開始時に存在している場合には均一な生成物を得ることが不可能である。ポリフルオロアルキル置換基を持つメタクリレートおよびアクリレートはその共重合挙動において弗素化されていないメタクリレート/アクリレートと基本的に相違し得る。
Figure 2005525431
P(MSA−co−F8H2MA)についての共重合パラメータの測定:
二つ首フラスコ中にAIBN(4mol%)、無水マレイン酸および弗素化メタクリレートモノマーをエチルメチルケトンと弗素化補助溶剤との20mLの混合物(1:1)に溶解する。溶剤を複数回の凍結、減圧および解凍の繰り返しによって脱蔵する。窒素ガス流との向流下に、栓をサンプルを取り出すことのできる隔膜に交換する。種々のモノマー割合で無水マレイン酸およびMMA−F8H2を僅かな転化率(<10重量%)で重合しそしてその組成を 1H−NMRによって測定することによって共重合パラメータrMSA およびrF-monomer を測定する(表4)。
表4:供給組成およびポリマー中のMSA含有量(mol%)
Figure 2005525431
共重合パラメータは実験で得られたデータ点を共重合式(1)に当てはめることによって決められる。
Figure 2005525431

グラフ
1:Mayo F.R., Lews F.M.,Walling C.J.Am.Chem.Soc., 70 (1948)1529
2:Raetzsch M, Arnold M., J.Macromol.Sci.-Chem.,(1987) 507
開始時にモノマーを同時に装入した場合のP(MAR F −co−MSA)の製造:
アクリレートおよびメタクリレートを、従来技術との比較のために、モノマーを重合開始前に一緒に単に添加することによって第一の方法によって製造する。
実験処方:
隔膜を備えたねじ込み式蓋付容器中でAIBN(弗素化モノマーを基準として4mol%)、無水マレイン酸および弗素化アクリルレートあるいはメタクリレートモノマーを20mLのエチルメチルケトンまたはエチルメチルケトンとヘキサフルオロキシロールとの混合物に溶解する(表5)。溶剤は脱蔵し、そして酸素を排除するためにアルゴンでパージ処理する。反応溶液を震盪機中で60℃で攪拌しそしてメタノールで沈殿処理する。ポリマーを濾過しそして減圧下に80℃で乾燥する。
表5:アクリレート/メタクリレートと無水マレイン酸との共重合のための反応成分お よび溶剤混合物
Figure 2005525431
F8H2MA: 1H,1H,2H,2H-ペルフルオロデシル- メタクリレート、
F8H2A: 1H,1H,2H,2H-ペルフルオロデシル- アクリレート、
HFPO3MA: 1H,1H- ペルフルオロ-2,5- ジメチル-3,6- ジオキサドデシル- メタクリレー ト、
MSA: 無水マレイン酸。
実験生成物は、メタクルレートとMSAとの共重合パラメータから予想できる様にその組成において一部は非均一である。非常に広い分子量分布(Mw /Mn >>2)が観察され、その際に平均分子量はモノマー混合物中のMASの割合の増加につれて減少する(図5参照)。図5は、意図する分子量が溶剤の組成に左右されることも示している。使用される溶剤混合物が極性であればあるほどおよび従ってMA−RF −モノマーが溶剤混合物に溶解しなければしないほど、添加されるMSAの分子量制限効果が大きい。
Figure 2005525431
図5:MSA−供給量に対するP(F8H2MA−co−MSA)の分子量のグラフ。
MEK:HFK=50:50(Δ)、MEK:HFK=80:20(▽)、ME K=100(◇)、MEK:HFK=50:50(F8H2MAホモポリマー) (□)
分子量の不均一さの他にコモノマー組成物における不均一さも認められる。この場合、MA−RF −リッチのポリマー鎖の割合は使用されるMSAの重量および溶剤の組成に左右される。MSA−割合を増やした場合には、弗素化ホモポリマーあるいは弗素リッチのポリマーの割合が抑制される。MSAリッチのコポリマーの割合を評価するために、アルカリ性アンモニア水中への試料の溶解性/乳化性を測定する。この目的のために個々のポリマー試料をアンモニア水に取りそして溶解残留物を除く。水溶性成分はMSAリッチのコポリマーよりなる。残留物は、IR−分光分析器(エステルのバンド)および元素分析によって確認できる通り、弗素リッチのポリマーよりなる。
Figure 2005525431
図6:MSA−供給量に対するF8H2MA−MASの不溶性残留物の割合のグラフ ;MEK:HFK=50:50(Δ)、MEK:HFK=80:20(▽)、M EK=100(◇)、MEK:HFK=50:50(HFPO3MA)(□)
自己乳化例:
(メタ)アクリレートモノマーの連続供給下での重合:
均一な組成のコポリマーを得るためには、ペルフルオロ炭素置換されたメタアクリレートと無水マレイン酸との共重合を連続的計量供給下に実施する。共重合グラフに相応して、90mol%のMASを最初に導入しそして反応の間に消費される量のメタクリレートおよびMSAを連続的に計量供給するている場合には、比較的に多いMSAの割合を達成することができる。これの前提条件は、共重合パラメータの知見の他に反応速度の知見もあるべきである。
時間−添加率極性を測定するための実験的処方およびP(F8H2MA−co−MSA )のための初期重合速度の測定:
二つ首フラスコ中にAIBN(4mol%)、無水マレイン酸および弗素化メタクリレートモノマーをエチルメチルケトンとHFXとの20mLの混合物(1:1)に溶解する。溶剤を複数回の凍結、減圧および解凍の繰り返しによって脱蔵する。窒素ガス流との向流下に、栓を添加率を測定するためのサンプルを取り出す隔膜に交換する。
Figure 2005525431
図7は、異なる組成でF8H2MAとMSAとの共重合のための2つの時間−転化率曲線を示す。測定点は式(2)に適合している。適合するパラメータは可能な最大転化率Umax 、重合速度定数Vおよび重合時間tである。
転化率=Umax ・[1−e-vt ] (2)
両方のグラフは同じ初期傾斜を持つ。即ち重合体が生じる速度が二つの場合とも類似している。後から計量供給する実験のための重合速度を測定するために、それぞれ4つの測定点の傾斜を直線的回帰によって測定する(図8)。
Figure 2005525431
図7:F8H2MAとMSAとの共重合のための時間−転化率曲線
Figure 2005525431
図8:種々の出発モノマー組成での初期速度
三倍過剰量の弗素化メチルメタクリレート(m=0.38%/分)での傾斜を除いて、少なくとも50mol%の無水マレイン酸を有する他の全ての組成は0.17%/分の傾斜を有している。MSAの添加は重合速度を遅くする。50mol%以上のMSA割合から、無水マレイン酸の反応性が速度的に決まる。
別の実験では開始剤濃度および溶剤量を変更する。開始剤濃度を倍にした場合には、重合速度が0.25%/分に上昇する。モノマー濃度を増加させた場合(開始剤量は同じ)には、0.30%/分の値に増加する。開始剤としてWAKO V−601(R) ( ジメチル−2、2’−アゾビスイソブチラート)を使用した場合には、AIBNに比較して著しい変化はない。この場合も初期重合速度は0.20%/分〜0.24%/分である。
上記の測定した値から、計量供給しなければならない無水マレイン酸および弗素化メチルメタクリレート(MMA)の量は、一定の無水マレイン酸含有量のポリマーを得ることができる様に算出される。
式1
Figure 2005525431
式中、
式2
Figure 2005525431
o =m1 +m2 =使用するモノマーの総量、
V;モノマー溶液の容量、
R pμ: ネット重合速度(%/時)
i :モノマーiのモル量、
i :モノマー混合物中のモノマーiのモル分率。
(5)から単位時間当たりに消費されるモノマーΔ1 の重量は次の通りである:
式3
Figure 2005525431
開始剤の添加量は下記式に従う公知の解離定数kで算出される。
式4
Figure 2005525431
添加される正確な量および重合実験のための添加速度(表6)は式(3〜6)に従って達成され、その際にモノマー2は無水マレイン酸である。
実験用処方:
二つ首フラスコ中にAIBN(4mol%)、無水マレイン酸および弗素化メタクリレートモノマーをエチルメチルケトンと弗素化補助溶剤との15mLの混合物(1:1)に溶解する。溶剤を複数回の凍結、減圧および解凍の繰り返しによって脱蔵する。窒素ガス流との向流下に、栓を隔膜に交換する。隔膜で閉じられたガラス製容器中で、(5)および(6)に従って算出された量のモノマー並びに4mol%のAIBNを5mLのMEK/補助溶剤中に溶解しそして脱蔵する(上記参照)。噴射ポンプによって数時間にわたって一定速度で計量供給する(R pμについては表6参照) 。
共重合体組成物の絶対値は 1H−NMR分析およびCHF−元素分析によって測定する。表6に結果を総括掲載する。元素分析によって得られるデータは予想された値と非常に良好に一致している。
表6:モノマー、開始剤、トランスファー剤の量および実施した共重合の収率
Figure 2005525431
得られたポリマーを、それの分子量に関してGPC[PSS−SDV−XLカラム(製造元:Polymer Standard Services Mainz 、2×8×300mm、1×8×50mm、粒度5μm)、狭い分布のポリイソプレン標準(PSS) に対するポリマー実験室用PL−ELS−1000ディテクター]によってフレオン中で特徴付け、そして溶融温度およびガラス転移温度に関してPerkin−Elmer DSC−7熱溶融熱量計で特徴付ける(表7)。
表7:合成されたフルオロコポリマーの分子量および融点あるいはガラス転移点
Figure 2005525431
a:フレオンに不溶の試料
b:重合の際の溶剤:HFX:CCl4 =1:1
この場合にもP(F8H2MA−co−MAS)ポリマーの分子量は、反応溶液中のおよびそれ故にポリマー中のMSAの割合と共に減少する。最大のMSA含有量のための分子量値を外挿して約90,000g/molのMw が得られる(図9参照)。40%のMSAの含有量を有するポリマーはもはや単独では弗素化溶剤(フレオン113,HFX)に溶解せず、極性溶剤(アセトン、MEK、THF)との混合物中にしか溶解しない。
Figure 2005525431
図9:試料1〜3の重量平均分子量および試料4について外挿された値
図10はP(F8H2MA−co−MAS)ポリマーの溶融遷移が無水マレイン酸(MSA)の割合に依存していることをグラフに示す。MSA含有量の増加に比例して遷移温度が明らかに増加することがわかる。
Figure 2005525431
図10:ポリマー中のMSAの割合に対するP(F8H2MA−co−MAS)ポリマーの溶融温度
P(MSA−co−F8H2MA)の水中への溶解性および乳化性
コポリマーは、NH4 OH水溶液中でMSA基を加水分解することによって吸収される(表8)。
Figure 2005525431
実験処方:
方法A: 弗素化アクリレートおよびメタクリレートを有するコポリマーの水性エマルジョンを製造するために、ポリマー試料を密閉された容器中で10%アンモニア溶液中で60℃で攪拌する。次いでこの混合物を超音波処理器で約20分間均一化する(Bandelin HD 60) 。残りのNH4 を70℃で窒素流で追い出す。あるいは存在する不溶性成分(出発重量の<2重量%)を分離した後に無色透明の溶液が得られる。
方法B: 10%のアンモニア水溶液中の試料7の10重量%混合物を60℃で4〜6時間処理する。次いでアンモニアを追い出しそして約1000barで数分間、Emulsiflex C5(製造元:Avestin)で均一化する。
MSA含有量>40mol%を有するP(F8H2MA−co−MAS)二元コポリマー試料またはアクリレートポリマー(MSA>28mol%)をアンモニア水溶液または水/エタノール混合物中に溶解できる。ポリマー量(1〜10重量%)次第で透明〜濁った粘性のエマルジョンが得られる。濁った試料も数日あるいは数週間にわたって層分離傾向を示さない。低分子量界面活性剤を添加していないこの種の安定な分散液の製法は新規でる(冒頭の記載参照)。
表8:NH4 OH/H2 O中に分散した後のポリ(F8H2MA−co−MSA)コポ リマーの水溶液/水性エマルジョン
Figure 2005525431
接触角測定:
本発明の二元コポリマーの薄い塗膜を1重量%濃度の水溶液または水性エマルジョンでガラス板に回転塗りする。いずれの場合にも透明な塗膜が得られる。一連のn−アルカンによるこれらの塗膜の湿潤性は小滴を置く方法によって測定した。KruessのゴニオメーターG40を温度制御室、ビデオ測定システムG1041およびPDA 10ソフトウエアーと一緒に使用する。臨界表面張力γc の値はZismanの式によっておよびGirafalco−Good−Fowkes−Youngの式に従って測定する(表9)。
全てのポリマーは10mN/M以下と極めて低いγc を有している。水性状態で塗布されアニーリング処理されたポリマーは、有機溶剤を用いて塗布された場合に見られるよりも全く低い値をもたらす。これが、コポリマーを水性状態で塗布する場合には均一な塗膜が生じない理由である。塗膜を温度処理に委ねそして第三のコモノマーを導入することによって改善が達成できる。後者の溶液はポリマーのガラス転移温度および溶融温度を著しく下げることを可能としそして低温でも防汚性および撥水性層を効果的に塗布することを可能とする。 表9:(Zismanの)臨界表面張力γc および(GGFYの)表面エネルギーの分散成分γs D 並びにヘキサデカンおよび水に対する接触角度。
Figure 2005525431
a:100℃で5時間アニーリング処理した。
MSA−単位のエステル、アミドおよびイミドを介しての置換基の導入:
コポリマー中の弗素含有量は、MSA基の一部を弗素化残基を持つアルコールまたはアミンによってエステル化またはアミド化/イミド化することによって更に増加され得る。
Figure 2005525431
驚くべきことにこれは僅かな割合である場合には、親水性カルボン酸/カルボキシレート基の割合が低減されるにもかかわらず、溶解性/乳化性および吸収挙動の改善がもららされる。溶融温度およびガラス転移温度の低下によってこれは説明される。ガラス転移温度のこの低下および改善された水吸収性は弗素化されていないアミン類およびアルコール類でのアミド化/イミド化またはエステル化によっても達成される。
材料:
50mol%より少ない無水マレイン酸含有量のポリ(スチレン−alt−無水マレイン酸)(SMA)は市販の材料である(BASF:Dylark 132、5.8mol%のMSA;Dylark 232、8mol%のMSA;Mw =90,000;Dylark 332、13.9mol%のMSA;Mw 86,500)。
50mol%の無水マレイン酸含有量のポリ(スチレン−alt−無水マレイン酸)(SMA−A)はメチルエチルケトン(MEK)およびトランスファー剤としての3−メルカプトプロピオン酸中でのラジカル重合によって製造できる(Mw =6100、Mw =13500)。
弗素化アミン類でのSMAのアミド化の実験処方:
還流冷却器および隔膜を有する250mLの三つ首フラスコ中で1gのポリ(スチレン−コー無水マレイン酸)(SMA)をキシレンとDMFとの混合物(〜4:1、SMAの無水マレイン酸含有量に依存する)に溶解する。完全に溶解した後に当量のフッ化アミンを(無水マレイン酸含有量あるいは意図する弗素含有量次第で)注射器を通して添加する。この溶液を80℃で12時間攪拌する。スクシンアミド酸が生成する。トリエチルアミン(2倍過剰)および無水酢酸(1.5倍過剰)を注射器を通して添加し、反応溶液を80℃で更に12時間攪拌する。溶剤を減圧下に留去し、残留物をクロロホルムに溶解しそして石油エーテル中で沈殿させる。コポリマーを濾去し、エーテルで洗浄しそして80℃で減圧下に乾燥する。
収率:80〜98%;IR(塗膜、cm-1);1784(υC=O酸無水物);1707(υC=Oイミド);1148〜1242(υC−F)。
Figure 2005525431
表10:MSA基をフルオロアミンで部分的にイミド化することによって得られるグラフトコポリマー
Figure 2005525431
部分的に弗素化されたSMAコポリマーの安定なエマルジョン:
Figure 2005525431
少なくとも12.5mol%までの弗素含有量の部分的に弗素化されたSMAコポリマー(例えばSMI−H2F8−25;Mw =13,500g/mol)を、場合によってはアセトンまたは酢酸プロピルの様な共溶剤および超音波処理によって助成しながら、10重量%アンモニア水中で60℃で乳化する。
表11:合成された弗素化SMAの水溶液の製造
Figure 2005525431
本発明のコポリマーから得られた塗膜の実験:
処理した表面の撥水および防汚特性を調べるために種々のテストを実施する。
ポリマー溶液の製造:
色々な濃度の各溶液(0.1g/L、1g/L、10g/L)を薄層クロマトグラフィー分離器(23×23×10cm)中で製造する。この目的のために相応する量のポリマー粉末を1%濃度アンモニア水溶液に溶解する。
表面の浄化:
硬質表面(鏡またはセラミックス板)(20×20cm)を最初に僅かの洗浄液(Pril)および蒸留水で十分に浄化する。次いで表面をエタノールで濯ぎそして室温で乾燥する。
メチレンブルーの適用:
本発明のポリマーで半分を被覆されたガラス製鏡を0.01%濃度メチレンブルー溶液に浸漬することによって湿らせる。該鏡を溶液から取り出しそしてそれを垂直な状態で置いた後に、二つの鏡半分づつのを直接的に比較して30秒後に流れ挙動を評価する。
焼着いた粥状燕麦:
10gの粥状燕麦は被覆されたセラミック製板の上に刷毛でできるだけ均一に分布させそして乾燥室で80℃で2時間乾燥する。防汚性を評価するために、汚れを機械的に掻き取ることによって除きそして除くために必要な力を評価する。
焼着いたミルク:
いずれの場合にも10gのミルク(1.5%の脂肪、超高温加熱され、均一化されている) を予めに本発明のポリマー層を設けた150mLのガラス製ビーカに装入する。ミルクの汚れを空気循環式乾燥室で2時間にわたって80℃で乾燥する。次いで表面への汚れを評価するために、汚れを温水で処理する。
ガラス製またはセラミック製表面の被覆:
表面を被覆するために、1重量%のアンモニア水に弗素化コポリマーを溶解した1重量%濃度溶液を製造する。この溶液を次いで、評価すべき表面に散布し、その際に水性塗膜を製造する。乾燥によってポリマー塗膜を表面に沈着させる。
結果:
1:
ガラス表面を被覆するために、1%アンモニア水に弗素化コポリマー5を溶解した1%濃度溶液を製造する。この溶液を次いで、ガラス板に噴霧し、水性塗膜を造る。乾燥することによってポリマー塗膜をガラス表面に沈着させる。このポリマー層は噴霧試験において撥水性並びに撥油性を示す。
2:
1重量%アンモニア水に弗素化コポリマー5を溶解した1%濃度溶液を製造しそして乳化するために0.1%の弗素化コポリマー4を使用する。このエマルジョンを次いでガラス板に散布し、その際に水性塗膜を製造する。乾燥することによってガラス表面にポリマー塗膜を沈着させる。このポリマー被覆は噴霧試験において1.に比較して更に改善された撥水性並びに撥油性を示す。
3:
セラミック表面を被覆するために、1%アンモニア水に弗素化コポリマー5を溶解した1%濃度溶液を製造する。この溶液を次いで、セラミック表面に噴霧し、水性塗膜を造る。乾燥することによってポリマー塗膜をセラミック表面に沈着させる。次いで燕麦粥状物を焼付け試験でセラミック上の粥状物の付着性が悪くなる。焼付けられた粥状物燕麦固体は僅かな機械的摩擦並びに温水で完全に表面から除くことができる。
4:
1%アンモニア水に弗素化コポリマー5を溶解した1重量%濃度溶液を製造しそして乳化するために0.1重量%の弗素化ポリマー4を使用する。この溶液を次いで、セラミック表面に噴霧し、水性塗膜を造る。乾燥することによってポリマー塗膜をセラミック表面に沈着させる。燕麦粥状物での続いての焼付け試験ではセラミック上への粥状物の付着が悪くなる。焼付けられた粥状物燕麦固体は僅かな機械的摩擦並びに温水で完全に表面から除くことができる。この効果は3.と比較して更に改善されている。
金属表面または合成樹脂表面の被覆:
表面を被覆するために、1重量%のアンモニア溶液にフルオロポリマー(組成:46mol%のペルフルオロアルキルエチルメタクリレート、6mol%の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、12mol%のエチルヘキシルメタクリレート、36mol%の無水マレイン酸)を分散させた0.5重量%濃度分散物を製造する。表面を良好に湿潤させるために、この分散物に丁度必要な量のシリコーンベースの湿潤助剤、例えばTEGO Wet 280(Tego Chemie Service, Essen, ドイツ国) を添加する。
結果:
1:
鋼鉄製薄板およびアルミニウム製薄板を分散物で濡らしそして乾燥室中で130℃で乾燥し、その際に均一なポリマー塗膜が沈着する。噴霧試験において両方の試料は非常に良好な撥水および撥油挙動(ヘキサデカンおよびヘプタン)を示す。
2:
ポリアミド合成樹脂片を分散物で湿潤させそして乾燥室で110℃で乾燥し、均一なポリマー皮膜を沈着させる。噴霧試験で試料が非常に良好な撥水および撥油挙動(ヘキサデカンおよびヘプタン)を示す。
変性のための例:
A)ターポリマーの製造
二つ首フラスコに905°mgのAIBN、12.6gの無水マレイン酸、187.8mgのエチルヘキシルメタクリレートおよび7.59gのF8H2MAを105mLのエチルメチルケトンに溶解する。溶剤を複数回の減圧処理で追い出しそしてアルゴンでのパージ処理で酸素を除く。アルゴンとの対流状態において二つ首フラスコの栓を隔膜に交換する。隔膜で封じられたガラスビン中において、299.9mgのAIBN、1.83gの無水マレイン酸、360mgのエチルヘキシルメタクリレートおよび14.60gのF8H2MAを溶解しそして脱気する(上記参照)。射出ポンプによって8時間にわたって一定の速度で、ガラス製ビンからの溶液を2つ首フラスコ中の反応溶液に計量供給する。この反応溶液を添加終了後に300mLのメタノールに添加する。沈殿するポリマーを濾別しそして減圧下に乾燥する。
B1) A)のところで製造されたターポリマーの変性:
A)の所で製造された2.5gのポリマーを還流冷却器を備えた50mLの二つ首フラスコ中で25mLのヘキサフルオロキシレンに溶解する。0.125mLのN,N−ジメチルアミノエタノールを添加しそして80℃で約2時間ポリマーと反応させる。
溶剤を次いで回転式蒸発器で除く。25mLのメタノールを添加しそして約2時間攪拌する。数分間放置した後に明らかに凝集するミルク状の懸濁液が得られる。ポリマーを濾紙で濾別し、各5mLのメタノールで4度洗浄しそして濾紙上で空気乾燥する(収量:2.15g)。
B2) 変性2:
B1の場合と同様な処方で、N,N−ジメチルアミノエタノールの代わりにN,N−ジメチルエチレンジアミンを使用する。
C)分解および分散
B1からの2gのポリマーを200mLの5%濃度NH3 溶液に溶解する(60℃で夜通し攪拌する)。開放容器中で60℃で攪拌することによってアンモニアを追い出し、蒸発によるあるいは生じる水の損失を補充する。僅かに濁った状態から水様透明なまでの分散物が得られる。
D)木綿用の被覆用溶液の製造
溶液C)を酢酸で、僅かに酸性のpH値(pH3〜5)に達するまで酸性にする。
F8H2MA、無水マレイン酸(MSA)およびエチルヘキシルメタクリレートよりなる変性された三元ポリマーは室温乾燥した後の木綿において以下の挙動を示す:
− 固着した水滴が織物中にゆっくり完全に吸収される(10分)。
− 鉱油滴が少なくとも20分の間、安定しており、吸い込まれない。
疎油性/親水性のこの組合せは洗濯挙動にプラスに作用する。油状の汚れは付着し難く、簡単に除くことができる。即ちそれの小滴は打ち払うことによって残すことなく除くことができる。
アニーリング(加圧アイロン:130〜160℃、30秒)によって被覆物の撥水性は明らかに改善される。
硬質表面(タイル)上の石灰セッケンでの汚れ
石灰セッケン浄化試験:
1Lの水に215gのCaCl2 を溶解した溶液I、5〜7重量%のオレイン酸ナトリウムを含有する溶液II(最初に水酸化ナトリウムを水に溶解しそして化学量論量のオレイン酸を攪拌下に添加する)よりなる二種類の溶液を製造する。白色タイルまたは類似物での試験のために、汚れが視覚的に容易にわかるをようにするために、スパチュラ先量のカーボンブラックを100mLの溶液IIに添加する。
試験用試料を線によって半分ずつ二つに分ける。一方の半分を対照として使用し、もう一方の半分に本発明の溶液を塗布しまたは処理する。本発明のポリマー溶液で被覆した後に(水平の)全試料に均一に最初に溶液Iを散布し、その直後に溶液IIを散布する。その際に表面上に石灰セッケンの沈着物が生じる。10秒待った後に、試料を短時間だけ垂直にして、過剰の溶液を流し落とす。次いで試料を水平にした状態で(室温で12時間または乾燥室で)乾燥する。
洗浄を流動する水道水を用いて行う。試料を市販の約40cmの高さから分割線上にその中心に打ち当てる噴射水で洗浄する。60秒後に試料を取り除き、半定量スケールによって汚れの除去度を評価する。
−−: 対照(未処理表面)よりも明らかに少ない汚れ除去量。
− : 僅かな汚れ除去量。
0 : 差がない。
+ : 改善された浄化。
++: 明らかに改善された浄化。明らかに汚れが沢山除かれている。
B2の所で変性したポリマーは水溶液から適用されており(1%溶液を柔らかい毛ブラシで適用されている)そして上述の通りに試験する。ポリマーは明らかに容易な浄化を示す(++)。
評価
試料 撥液性* 除去性**
─────────────────────────────────────
未処理 5 5
ターポリマー:コ−MSA /F8H2MA/ 2 3
エチルヘキシル MA
ターポリマー:コ−MSA /F8H2MA/ 2 3
ラウリルMA
* 水性または油性汚れへの反撥性の評価
** 水性または油性汚れの除去性の評価
本発明の弗素化ポリマーで被覆することによって浄化が明らかに容易になる。

Claims (23)

  1. 一般式I
    Figure 2005525431
    [式中、PBは一連のC−C共有結合を持つポリマー主鎖であり、
    残基Z1 およびZ2 は互いに無関係にO- + またはO- + 4 であり、その際に MはLi、NaまたはKでありそしてRはHまたは炭素原子数1〜18の直鎖状アルキ ル基または一般式 −(CH2 −CHR’−O−)m Lで表される残基であり、ただし mは1〜約20の整数でありそしてLはH、CH2 −CHR’−NR’2 またはCH2 −CHR’−N+ R’3 であるか、またはRがアミノ糖、例えばアミノソルビトール、 β−D−グルコピラノシルアミンまたはβ−D−グルコサミンであり、または残基Z1 およびZ2 の一つはO- + またはO- + 4 でありそして残りの残基Z1 またはZ 2 はX−R”であり、その際にXがOまたはNHでありそしてR”はH、場合によって は完全にまたは部分的に弗素で置換された直鎖状または分岐した飽和または不飽和の炭 素原子数1〜18のアルキル基または場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換 された飽和または不飽和の炭素原子数4〜24の単環または多環式シクロアルキル基ま たは場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された炭素原子数6〜24のアリ ールまたはヘテロアリール基であるかまたはRであり、または残基Z1 およびZ2 は一 緒になってNR”であるかまたは少なくともZ1 または少なくともZ2 がX−RN であ り、その際にXはO、SまたはNR’であり、RN は少なくとも1つのアミノ基を持つ 直鎖状のまたは分岐した炭素原子数2〜25のアルキル基または少なくとも1つのアミ ノ基を持つ炭素原子数5〜25のシクロアルキル基でありそして残る残基Z1 またはZ 2 はX’−R”であり、その際にX’はO、SまたはNHでありそしてR”はH、場合 によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された直鎖状または分岐した飽和または不 飽和の炭素原子数1〜18のアルキル基または場合によっては完全にまたは部分的に弗 素で置換された飽和または不飽和の炭素原子数4〜24の単環または多環式シクロアル キル基であるかまたは場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された炭素原子 数6〜24のアリールまたはヘテロアリール基であるかまたはRであり、または残基Z 1 およびZ2 は一緒になってN−Rであるかまたは残基Z1 およびZ2 の両方が一緒に N−RN である。]
    で表される少なくとも1つの構造要素または一般式Iの2つ以上の同じかまたは異なる構造要素、
    および一般式II
    Figure 2005525431
    [式中、残基R1 〜R3 はHまたは直鎖状または分岐した炭素原子数1〜4のアルキル基 であり、YはRまたは直鎖状または分岐した、場合によっては完全にまたは部分的に弗 素で置換された炭素原子数1〜24のアルキル基、場合によっては完全にまたは部分的 に弗素で置換された炭素原子数6〜24のシクロアルキル基またはアリール基、一般式 C(O)ORで表される残基、場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された 炭素原子数7〜24のアルカリール基または場合によっては完全にまたは部分的に弗素 で置換されたアルコキシアルカリール基である。]
    で表される1つの構造要素または一般式IIの2つ以上の同じかまたは異なる構造要素を含有する弗素含有コポリマーであり、その際にZ1 がO- + でありそしてZ2 がORであり、ただしRが弗素置換基を有しかつ残基Z1 またはZ2 がX−RN でないかまたは残基Z1 およびZ2 が一緒にN−RN である場合には、該コポリマー中の一般式IまたはIIの少なくとも1つの構造要素が弗素で置換された残基を有しそして一般式IIの少なくとも1つの構造要素が弗素置換基を有することを特徴とする、上記弗素含有コポリマー。
  2. 残基Z1 またはZ2 の少なくとも1つがO- Na+ またはO- NH4 + またはX−RN である一般式Iの少なくとも1つの構造要素を含有する、請求項1に記載のコポリマー。
  3. 残基Z1 またはZ2 の1つがNH−R4 でありそして残りの残基がO- Na+ またはO- NH4 + である一般式Iの少なくとも1つの構造要素を含有する、請求項1に記載のコポリマー。
  4. 残基Z1 およびZ2 が一緒になってHR4 である一般式Iの少なくとも1つの構造要素を有する、請求項1に記載のコポリマー。
  5. 残基Z1 およびZ2 が互いに無関係にO- + またはO- + 4 を有し、その際にMはLi、NaまたはKでありそしてRはH、炭素原子数1〜18の直鎖状アルキル基または一般式 −(CH2 −CHR’−O−)m Lで表される残基であり、ただしR’はH、炭素原子数1〜24の直鎖状のまたは分岐したアルキル基であり、mは1〜約20の整数でありそしてLはH、CH2 −CHR’−NR’2 またはCH2 −CHR’−N+ R’3 であるか、またはRがアミノ糖であり、または残基Z1 およびZ2 の1つがO- + またはO- + 4 でありそして残りの残基Z1 またはZ2 がX’−R”であり、その際にX’がOまたはNHでありそしてR”がH、場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された直鎖状のまたは分岐した飽和または不飽和の炭素原子数1〜18のアルキル基または場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された飽和または不飽和の炭素原子数4〜24の単環または多環式シクロアルキル基または場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された炭素原子数6〜24のアリールまたはヘテロアリール基またはRであるかまたは残基Z1 およびZ2 は一緒になってNRである一般式Iの構造要素、
    および残基Z1 またはZ2 またはその両方がX−RN であり、その際にXがO,SまたはNR’であり、RN が少なくとも1つのアミノ基を持つ炭素原子数2〜25の直鎖状のまたは分岐したアルキル基または少なくとも1つのアミノ基を持つ炭素原子数5〜25のシクロアルキル基でありそして残りの残基Z1 またはZ2 がX−R”であり、その際にX’がO,S、NHでありそしてR”がH、場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された直鎖状のまたは分岐した飽和または不飽和の炭素原子数1〜18のアルキル基または場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された飽和または不飽和の炭素原子数4〜24の単環または多環式シクロアルキル基または場合によっては完全にまたは部分的に弗素で置換された炭素原子数6〜24のアリールまたはヘテロアリール基またはRである一般式Iの構造要素を有する、請求項1に記載のコポリマー。
  6. 20℃で少なくとも0.1重量%の水溶性を有する、請求項1〜5のいずれか一つに記載のコポリマー。
  7. 少なくとも10mol%の一般式1の構造要素を有する、請求項1〜6のいずれか一つに記載のコポリマー。
  8. 一般式IV
    Figure 2005525431
    [式中、PB、R1 、R2 、R3 およびR4 が上述の意味を有する。]
    で表される少なくとも1種類の構造要素を持つ、請求項1〜7のいずれか一つに記載のコポリマー。
  9. 少なくとも5000g/モルの分子量(Mw )を有する、請求項1〜8のいずれか一つに記載のコポリマー。
  10. 少なくとも5mol%の弗素含有量を有する、請求項1〜9のいずれか一つに記載のコポリマー。
  11. 7より小さい多分散性を有する請求項1〜10のいずれか一つに記載のコポリマー。
  12. 請求項1〜11のいずれか一つに記載のコポリマーを少なくとも含有する組成物。
  13. 少なくとも0.1重量%のコポリマーを含有する、請求項12に記載の組成物。
  14. 水を含有する、請求項12または13に記載の組成物。
  15. 請求項1〜11のいずれか一つに記載のコポリマーを製造する方法において、一般式III
    Figure 2005525431
    [式中、Z1 およびZ2 が上述の意味を有する。]
    で表される少なくとも1種類のモノマーおよび一般式V
    Figure 2005525431
    [式中、R1 、R2 、R3 およびYが上述の意味を有する。]
    で表されるモノマーを共重合し、その際に一般式IVの化合物または化合物群を共重合の間
    に過剰量で存在させそして一般式Vの化合物または化合物群を共重合の間に滴加する、上記方法。
  16. 一般式Vのモノマーとして一般式IV
    Figure 2005525431
    [式中、R1 、R2 、R3 およびR4 が上述の意味を有する。]
    で表される化合物を使用する、請求項15に記載の方法。
  17. 請求項1〜11のいずれか一つに記載のコポリマーまたは請求項12〜14のいずれか一つの組成物または請求項15または16に従って製造されたポリマーを表面処理に用いる方法。
  18. 請求項1〜11のいずれか一つに記載のコポリマーを表面に塗布する、表面被覆方法。
  19. コポリマーを請求項12〜14のいずれか一つに記載の組成物状態で塗布する、請求項18に記載の方法。
  20. 乾燥を、表面被覆物中の少なくとも1種類のコポリマーの水溶性または水中乳化性がそれ本来の水溶性または水中乳化性に比較して低下する条件のもとで実施する、請求項18または19に記載の方法。
  21. 請求項1〜11のいずれか一つに記載の弗素系コポリマーまたは請求項12〜14のいずれか一つに記載の組成物を皮革、織物またはフリースの滑らかな表面を処理するために用いる方法。
  22. 織物またはフリースが少なくとも1種類の合成繊維または少なくとも1種類の天然繊維またはそれら両者を含有する、請求項21に記載の方法。
  23. 請求項1〜11のいずれか一つに記載の少なくとも一種類の弗素系コポリマーまたは請求項12〜14のいずれか一つに記載の組成物で被覆されている、織物、フリースまたは皮革。
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