JP2005525408A - アンフェナクまたはネパフェナクを用いる血管内皮増殖因子媒介性血管障害の処置方法 - Google Patents

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Abstract

血管内皮増殖因子媒介性血管障害を処置するための、アンフェナクおよび誘導体(ネパフェナク(nepafenac)を含む)の使用。本発明はまた、血管内皮増殖因子媒介性血管障害を処置するための方法を提供する。該方法は、薬学的に有効な量のアンフェナクを投与する工程を包含する。本発明はまた、血管内皮増殖因子媒介性血管障害を処置するための方法を提供する。該方法は、薬学的に有効な量のネパフェナクを投与する工程を包含する。

Description

本出願は、2002年5月3日出願のU.S.S.N.60/377,429からの優先権を主張する。
本発明は、血管内皮増殖因子(VEGF)媒介性血管障害を処置または予防するための、2−アミノ−3−ベンゾイルベンゼン酢酸(アンフェナク)の使用に関する。
(発明の背景)
特定の非ステロイド性抗炎症薬物(NSAID)が、病理学的状態における新血管(血管形成)の形成、ならびに特定の炎症モデルにおける血管滲出を阻害し得ることが以前に示されている。ほとんどのNSAIDが血管透過性および血管形成に影響を及ぼす能力は、それらのシクロ−オキシゲナーゼ酵素(COX−1およびCOX−2)をブロックする能力と関連があるようである。COX−1およびCOX−2の遮断は、炎症性媒介因子(例えば、PGE)の減少と関連する。さらに、PGE阻害により、血管内皮増殖因子(VEGF)の発現および産生が減少するようである。VEGFは、前臨床モデルの眼において血管滲出および血管形成を生成することが知られている。また、VEGFの増加したレベルは、糖尿病性網膜症および加齢関連黄斑変性に罹患する患者の眼からの新血管組織および細胞外流体において見出されている。従って、NSAIDは、PGEレベルならびにVEGF発現および活性に対するその効果を調節することによって血管滲出および血管形成を阻害し得る。この理論は、動物腫瘍モデルに関与する研究によって支持されており、このモデルは、COX−2インヒビターの全身投与がPGEおよびVEGFの組織レベルを減少し、それにより、腫瘍誘導性血管形成を防止することを実証する。これらのモデルにおいて、VEGF活性および血管形成は、継続したCOX−2遮断の間に、外因性PGEを加えることによって回復される。しかし、NSAIDは、眼の新生血管形成(NV)の動物モデルにおいて多様な活性を有するようであり、そこでは、選択的なCOXインヒビターは、脈絡膜新生血管形成を阻害することはないようである。事実、これらの研究は、CNVの発生におけるCOX−1および/またはCOX−2の役割という質問を投げかけている。
3−ベンゾイルフェニル酢酸およびその特定の誘導体は、抗炎症性活性を有することが知られている。米国特許第4,254,146号、同第4,045,576号、同第4,126,635号および同第4,503,073号、ならびに英国特許出願番号2,071,086Aおよび同番号2,093,027Aは、抗炎症性活性を有する、種々の3−ベンゾイルフェニル酢酸、その塩およびエステルおよび水和物を開示する。米国特許第4,568,695号は、抗炎症性活性を有する2−アミノ−3−ベンゾイルフェニルエチルアルコールを開示する。米国特許第4,313,949は、抗炎症性活性を有する2−アミノ−3−ベンゾイルアセトアミドを開示する。
2−アミノ−3−ベンゾイルベンゼン酢酸(アンフェナク)および2−アミノ−3−(4−クロロ−ベンゾイル)ベンゼン酢酸はまた、Walshら(J.Med Chem.,33:2296−2304(1990))によって評価され、ここでは、経口投与の際に胃腸管への副作用が最小限かまたは全くない非ステロイド性抗炎症性プロドラッグを発見することを試みている。
米国特許第4,683,242号は、炎症を制御しそして疼痛を軽減するための2−アミノ−3−ベンゾイルフェニル酢酸、その塩およびエステルおよび水和物およびアルコール和物の経皮的投与を教示する。
米国特許第4,910,225号は、眼、鼻腔、または耳の炎症を制御するための局所投与のための特定のベンゾイルフェニル酢酸を教示する。‘225特許においては、酢酸のみが開示されており;エステルおよびアミドについては、眼、鼻および耳への局所投与のための抗炎症性薬剤としての記載も教示もされていない。
米国特許第5,475,034号は、3−ベンゾイルフェニル酢酸の特定のアミドおよびエステル誘導体(ネパフェナクを含む)を含む局所的に投与可能な組成物を開示しており、これは、眼の炎症性障害および眼球の疼痛の処置に有用である。‘034特許、第15欄、第35〜39行によると、「このような障害としては、ブドウ膜炎、強膜炎、上強膜炎、角膜炎、外科的に引き起こされた炎症および眼内炎が挙げられるが、これらに限定されない」とある。
米国特許第6,066,671号は、GLC1A緑内障を処置するための、3−ベンゾイルフェニル酢酸(ネパフェナクを含む)の特定のアミドおよびエステル誘導体の局所的使用を開示する。
共有に係る米国出願番号09/929,381において、特定の3−ベンゾイルフェニル酢酸および誘導体が、血管形成関連障害の処置に有用であることが見出された。
(発明の詳細な説明)
後区新生血管形成(NV)は、視力を脅かす病理であり、先進国における後天性の失明の2つの最も一般的な原因となっている:滲出性加齢関連黄斑変性(AMD)および増殖性糖尿病性網膜症。現在、滲出性AMDにおいて生じる後区NVのための承認された処置は、レーザー光凝固またはVisudyneを用いる光力学治療のみであり;両方の処置は、網膜に対する局所的なレーザー誘導性損傷を生じる罹患した血管の閉塞を含む。硝子体切除および膜除去を伴う外科的介入は、増殖性糖尿病網膜症に罹患する患者に対して利用可能な唯一の選択肢である。厳密に、薬理学的な処置は、後区NVに対する使用については承認されていない。
黄斑浮腫に至る、糖尿病患者における高血糖によって誘導される網膜微小血管の変化に加えて、新生血管膜の増殖はまた、血管滲出および網膜の浮腫に関連する。浮腫が黄斑に影響を及ぼす場合、視力は悪化する。糖尿病性網膜症において、黄斑浮腫は、視力喪失の主な原因である。同様の血管形成障害レーザー光凝固を使用して、浮腫性状態を安定化または打開する。不運にも、レーザー光凝固は、細胞破壊的手順であり、この間、浮腫のさらなる発生を防止しながら、罹患した眼の視野を変更する。
後区NVおよび浮腫に対する有効な薬理学的治療は、患者にかなりの効能を提供する可能性があり、それにより、侵襲性の外科的手順または損傷を引き起こすレーザー手順を回避する。NVの有効な処置は、社会における患者の生活の質および生産性を向上させる。また、盲目者に対する補助およびヘルスケアを提供することに付随する社会のコストが、劇的に減少され得る。
アンフェナクは、COX−1酵素およびCOX−2酵素の活性を潜在的に阻害することが知られるNSAIDである。意外なことに、アンフェナクは、ウシ網膜微小血管内皮細胞アッセイを使用して、VEGF誘導性細胞増殖および微細管形成の両方を、用量−応答様式で阻害することが見出された。本発明者の知識の通りに、VEGFに対するこの遮断は、COX阻害とは独立して生じるNSAIDによって作用する。すなわち、VEGFによって通常惹起される血管形成促進(proangiogenic)信号をブロックする能力は、アンフェナク 対 他のNSAIDに対して特有のものである。この特有の活性は、局所的なネパフェナク(アンフェナクのプロドラッグ)がマウスモデルにおいて脈絡膜NVを阻害し、局所的なVOLTAREN(登録商標)およびACULAR(登録商標)は効果を有さなかったという本発明者らの知見を部分的に説明し得る。この新規な抗血管形成活性がヒトにおいて生じる場合、アンフェナク(および局所的なネパフェナク)を使用して、VEGFシグナル伝達が関与する疾患および他のNSAIDがより効果的でない可能性のある疾患状態を、より有効に処置し得る。アンフェナク(局所的ネパフェナク)の潜在的な指標であるVEGFのアップレギュレーションに関連する眼の障害としては、滲出性加齢関連黄斑変性、増殖性糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞、増殖性硝子体網膜症、新生血管緑内障、角膜血管形成、網膜性微小血管症および網膜性(黄斑)浮腫が挙げられる。再び、アンフェナクは、ネパフェナクの活性な代謝産物(これは、前臨床モデルにおいて局所的角膜適用後に後区に到達する能力を有する)であるので、ネパフェナクの局所的な眼への投与を使用して、これらのVEGF媒介性眼性障害を処置することが可能である。
本発明に従って、治療有効量のネパフェナクが眼に局所的に投与され、一方、アンフェナクの局所投与または全身投与を使用して、VEGF媒介性血管障害を処置および/または予防する。
VEGF媒介性血管異常の処置または予防に使用されるアンフェナクまたはネパフェナクの用量は、予防または処置されるべき異常の型、患者の年齢および体重、ならびに調製形態/投与経路に依存する。局所的な眼への投与について意図される組成物は、代表的に、約0.001〜約4.0%(w/v)、好ましくは、約0.01〜約0.5%(w/v)の量のネパフェナクを含み、一日に一回から数回、1〜2滴投与する。同様に、他の形態の調製物についての代表的な用量は、注射または局所投与については約1〜100mgのアンフェナク/日/成人であり、そして経口調製物については約10〜1000mgのアンフェナク/日/成人であり、各々は、一日に1回〜数回投与される。
さらなる治療剤が、ネパフェナクまたはアンフェナクの使用を補充するために加えられ得る。
以下の実施例は、本発明の種々の局面を例示するために提供されるが、いずれの局面においても、本発明の範囲を限定することは意図されない。パーセントは、重量/容量ベースで表される。
(実施例1:以下の処方物は、本発明において有用な代表的な局所組成物である。
(処方物1)
ネパフェナク(Nepafenac) 0.01〜0.5%
ポリソルベート80 0.01%
塩化ベンザルコニウム 0.01%+10%過剰
EDTA二ナトリウム 0.1%
第一リン酸ナトリウム 0.03%
第二リン酸ナトリウム 0.1%
塩化ナトリウム 適量290〜300mOsm/Kg
NaOHおよび/またはHClを用いたpH調節 pH4.2〜7.4
水 適量100%
(処方物2)
ネパフェナク 0.01〜0.5%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.5%
ポリソルベート80 0.01%
塩化ベンズアルコニウム 0.01%+5%過剰
EDTA二ナトリウム 0.01%
第二リン酸ナトリウム 0.2%
塩化ナトリウム 適量290〜300mOsm/Kg
NaOHおよび/またはHClを用いたpH調節 pH4.2〜7.4
水 適量100%

(処方物3)
ネパフェナク 0.1+6%過剰
カルボポール(Carbopol)974P 0.08%
チロキサポール(Tyloxapol) 0.01%
グリセリン 2.4%
EDTA二ナトリウム 0.01%
塩化ベンズアルコニウム 0.01%
NaOHおよび/またはHClを用いたpH調節 pH7.5±0.2
水 適量100%

(実施例2)
(BRMEC(ウシ網膜微小血管内皮細胞)増殖に対するAL06295A(アンフェナク)の効果)
VEGF誘導性BRMEC増殖を、改変されたMTTアッセイを用いて測定し、BRMECを、96ウェルプレート(Corning)中のフィブロネクチン/ヒアルロン酸マトリクス上に3×10個でプレートした。増殖培地を2日間にわたって添加し、その後無血清培地(SFM)を一晩添加し、次いでSFM(100μl)中、0ng/mlまたは25ng/mlのVEGFを含有する試験培地を添加した。24時間後に、37℃/5%CO、25μlのMTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)を各ウェルに添加し、4時間インキュベートした。次いで、100μlの溶解緩衝液(50:50 DMF:HO+2.0%酢酸中20% SDSおよび0.05% HCl)を各ウェルに添加し、プレートを37℃で一晩インキュベートし、570nmで読み取った(SPECTRAmax 190,Molecular Devices;Sunnyvale,CA)。AL06295を使用した実験では、25ng/ml VEGFをこの化合物と組み合わせた(0.1、0.3、1.0または3μM)。
これらの結果は、1μM用量および3μM用量のアンフェナクが、VEGF誘導性BRMEC増殖を有意に減少させることを示す(図1を参照のこと)。
(実施例3)
(BRMEC管形成に対するAL06295A(アンフェナク)の効果)
8容量のVitrogen 100(Cohesion;Palo Alto,CA)、1容量の0.2N NaOH、および1容量の10×RPMI−1640培地(5μg/mlフィブロネクチンおよび5μg/mlラミニンを含有する)の混合物を調製し、400μlを24ウェルプレートの各ウェルに添加した。3時間、37℃にて、ゲルが固まるまでインキュベートした後、10個のBRMECを各ウェルに添加し、3日間、増殖培地においてインキュベートした。次いで、培地を注意深く吸引し、200μlのゲル溶液を細胞の最上層に重ね、37℃にて1時間インキュベートした。24時間にわたる増殖培地の添加後、2mlの試験培地(無血清(SF)培地+VEGFまたはSF培地+VEGFおよびAL06295Aを含む)を各ウェルに添加した。これらのゲルを24時間後に評価した。
定量分析について、1処理群あたり6視野を管を含む領域から選択し;7つのウェルを各処理について使用した。管の長さをデジタル画像として測定し、これらのデータを、1視野あたりの全長(μm)として図2に示す。これらの結果は、全ての用量のアンフェナクが、BRMECにおけるVEGF誘導性毛管形成を、有意にかつ強力に阻害することを示す。
本発明は、特定の好ましい実施形態を参照して記載されている;しかし、本発明は、他の特定の形態またはそれらの改変において、本発明の特別な特徴または本質的な特徴から逸脱することなく実施され得ることが理解されるべきである。それゆえ、上記の実施形態は、あらゆる点で例示であり、制限ではないとみなされる。本発明の範囲は、上の説明よりむしろ添付の特許請求の範囲によって示される。
図1は、1μM用量および3μM用量のアンフェナクが、VEGF誘導性BRMEC増殖を有意に減少させることを示す。 図2は、管の長さをデジタル画像として測定し、これらのデータを、1視野あたりの全長(μm)として示す。

Claims (10)

  1. 血管内皮増殖因子媒介性血管障害を処置するための方法であって、該方法は、薬学的に有効な量のアンフェナクを投与する工程を包含する、方法。
  2. 前記障害が、滲出性加齢関連黄斑変性、増殖性糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞、増殖性硝子体網膜症、新生血管緑内障、角膜血管形成、網膜性微小血管症、および網膜性(黄斑)浮腫からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 血管内皮増殖因子媒介性血管障害を処置するための方法であって、該方法は、薬学的に有効な量のネパフェナクを投与する工程を包含する、方法。
  4. 前記障害が、滲出性加齢関連黄斑変性、増殖性糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞、増殖性硝子体網膜症、新生血管緑内障、角膜血管形成、網膜性微小血管症、および網膜性(黄斑)浮腫からなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記障害が、眼科障害である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記障害が、眼科障害である、請求項3に記載の方法。
  7. 前記障害が、網膜性(黄斑)浮腫である、請求項2に記載の方法。
  8. 前記障害が、網膜性(黄斑)浮腫である、請求項4に記載の方法。
  9. 前記障害が、増殖性糖尿病性網膜症である、請求項2に記載の方法。
  10. 前記障害が、増殖性糖尿病性網膜症である、請求項4に記載の方法。
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