JP2005525100A - アラニン2,3−アミノムターゼ - Google Patents

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Abstract

アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する細胞およびそのような細胞を選別方法と同様に、アラニン2,3-アミノムターゼ配列について開示する。β-アラニン、パントテン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、ならびにその他の有機化合物を生産する方法を開示する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2002年1月18日付で出願された米国特許出願第60/350,727号および2002年4月25日付で出願された米国特許出願第60/375,785号に対する優先権を主張するものである。
分野
本開示は、アラニン2,3-アミノムターゼの核酸およびアミノ酸配列、α-アラニンをβ-アラニンに変換できるアラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する細胞、ならびにβ-アラニン、パントテン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、およびその他の有機化合物を生産するためにこれらの細胞を使用する方法に関する。
背景
有機酸、エステル、および多価アルコールのような有機化合物は、プラスチック材料およびその他の製品を合成するために使用される。有機化合物に対して高まる要求に応じるため、炭化水素よりも炭水化物に基づく原材料を利用する、いっそう効率的かつ費用効率が高い製造方法の開発が進んでいる。例えば、ポリ乳酸の製造に使用される乳酸を大量に製造するのに、ある種の細菌が利用されている。
3-ヒドロキシプロピオン酸(3-HP)は、有機酸である。3-HPを産出するための幾つかの化学合成経路が報告されており、生体触媒経路もまた開示されている(Suthersらの国際公開公報第01/16346号)。3-HPには、特殊合成のための用途があり、これは、化学工業における周知技術によって工業的に重要な中間体に、例えば、脱水によってアクリル酸に、酸化によってマロン酸に、アルコールとのエステル化反応によってエステルに、および還元によって1,3-プロパンジオールに変換される。
概要
3-ヒドロキシプロピオン酸(3-HP)化合物は、鍵となるβ-アラニン中間体を介して、PEPまたはピルビン酸から生体触媒的に生産することができる(図1)。β-アラニンは、カルノシンより、β-アラニルアルギニンより、β-アラニルリジンより、5,6-ジヒドロウラシルおよびN-カルバモイル-β-アラニンを経由してウラシルより、N-アセチル-β-アラニンより、アンセリンより、またはアスパラギン酸より、細胞中で合成することができる(図1および2)。しかし、これらの経路では、3-HPよりもさらに高価である、希少な前駆物質または開始化合物が必要とされるため、相対的に効率が悪い。
従って、α-アラニンをβ-アラニンに直接変換することができれば、生体触媒経路を利用した3-HPの生産は、いっそう効率的であると思われる(図1)。あいにく、α-アラニンをβ-アラニンに相互変換する酵素は、未だ同定されていない。アラニン2,3-アミノムターゼのような、α-アラニンのβ-アラニンへの変換を行う酵素活性が同定されれば、好都合であると思われる。
アラニン2,3-アミノムターゼの核酸配列(例えば、配列番号:20および29)、アミノ酸配列(例えば、配列番号:21および30)のほか、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を保持するその変異体、断片、融合体、および多型性が本明細書に開示される。一つの例として、ポリペプチドは、配列番号:21もしくは30、またはアラニン2,3-アミノムターゼ活性を保持するその変異体、断片、もしくは融合体を含む、配列である。一つの例として、ポリペプチドは、変異型リジン2,3-アミノムターゼおよび/またはリジン5,6-アミノムターゼのアミノ酸配列である。開示される配列は、形質転換細胞が、α-アラニンからβ-アラニンを生産することを可能とする、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するように、細胞を形質転換するのに使用することができる。アラニン2,3-アミノムターゼに特異的に結合する結合物質は、本開示により包含される。
細胞がα-アラニンをβ-アラニンに変換することを可能とする、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する細胞が開示される。そのような細胞は、酵母細胞、植物細胞、ラクトバチルス(Lactobacillus)、乳酸球菌ラクトコッカス(Lactococcus)、バチルス(Bacillus)、または大腸菌(Escherichia)細胞のような、真核細胞または原核細胞とすることができる。一つの例として、形質転換細胞にアラニン2,3-アミノムターゼ活性を与える、変異型リジン2,3-アミノムターゼおよび/または変異型リジン5,6-アミノムターゼを細胞に形質転換する。別の例として、形質転換細胞は、配列番号:21または30のような、アラニン2,3-アミノムターゼを含む。開示される細胞は、核酸分子、ポリペプチド、および有機化合物を生産するのに使用することができる。ポリペプチドは、有機化合物の形成を触媒するのに使用することができる、または特異的結合物質を作製するための抗原として使用することができる。
少なくとも一つの外因性核酸、例えばアラニン2,3-アミノムターゼをコードする核酸を有する生産細胞が開示される。一つの例として、核酸配列は、配列番号:20または29(またはアラニン2,3-アミノムターゼ活性を保持するその断片、変異体、もしくは融合体)を含む。別の例として、核酸配列は、配列番号:21または30に示されるアミノ酸配列(またはアラニン2,3-アミノムターゼ活性を保持する配列からなる断片、変異体または融合タンパク質)をコードする。生産細胞は、CoAトランスフェラーゼ活性、β-アラニン・アンモニアリアーゼ活性、3-ヒドロキシプロピオニル-CoA(3-HP-CoA)デヒドラターゼ活性、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼ、アラニン・デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸-グルタミン酸トランスアミナーゼ、および/または3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性のような酵素活性を持つポリペプチドを発現するのに使用することができる。別の例として、生産細胞は、β-アラニン-2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼならびに3-HPデヒドロゲナーゼおよび/または3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼのような酵素活性を持つポリペプチドを発現するのに使用することができる。前記の核酸配列によりコードされるポリペプチドの生産方法が開示される。
アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する細胞の同定方法が開示される。この方法には、panD遺伝子が機能的に欠失された細胞を、β-アラニンもパントテン酸も含まれていない培地中で培養する段階が含まれる。例えば、細胞は、炭素、酸素、水素、および窒素の培地源からα-アラニンを生産することができるが、これにはβ-アラニンが含まれていない。培地中で増殖できる細胞が同定され、ここで細胞が増殖するのは、細胞がα-アラニンからβ-アラニンを生産している(これは、細胞がアラニン2,3-アミノムターゼ活性を有することを示す)ことを示す。対照的に、細胞が増殖しないのは、細胞がα-アラニンからβ-アラニンを生産していない(これは、細胞がアラニン2,3-アミノムターゼ活性を有していないことを示す)ことを示す。一つの例として、細胞を選別のために培養する前に、細胞に一つまたは複数の変異型リジン2,3-アミノムターゼおよび/またはリジン5,6-アミノムターゼを形質転換する。
アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するポリペプチドの生産方法が開示される。一つの例として、この方法には、α-アラニンからβ-アラニンを生産できるアラニン2,3-アミノムターゼをコードする、少なくとも一つの外因性核酸分子(例えば、配列番号:20および29)を有する細胞を培養する段階が含まれる。
アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する開示の細胞を用いた、β-アラニンからの3-HPの生産方法が幾つか開示される。一つの例として、細胞に、β-アラニンから3-HPに変換を行うのに必要とされる酵素の一つまたは複数をトランスフェクトする。別の例として、この方法には、細胞からβ-アラニンを精製する段階、次いでβ-アラニンを、β-アラニンから3-HPに変換を行うのに必要とされるポリペプチドと接触させる段階が含まれる。
本明細書に開示される、細胞、アラニン2,3-アミノムターゼの核酸およびアミノ酸配列(例えば、配列番号:20、21、29、および30)、ならびに方法は、パントテン酸、3-HP、ならびにコエンザイムA(CoA)、およびその他の有機化合物、例えば1,3-プロパンジオール、アクリル酸、アクリル酸重合体、アクリル酸エステル、3-HP重合体、3-HPとその他の化合物(例えば酪酸、吉草酸およびその他の化合物)の共重合体、3-HPエステル、ならびにマロン酸およびそのエステルのようなその誘導体を生産するのに使用することができる。3-HPは、生物学的にも工業的にも重要である。例えば、栄養業界では、3-HPを食料、飼料添加剤または保存剤として使用することができる一方で、上述の誘導体を、3-HPから生産することができる。
アラニン2,3-アミノムターゼをコードする核酸分子(例えば、配列番号:20および29)は、3-HPならびに上に記載されているもののようなその他の有機化合物を生産する能力を有する宿主細胞を遺伝子工学で作り変えるのに使用することができる。アラニン2,3-アミノムターゼのペプチド(例えば、配列番号:21および30)は、3-HPならびに上に記載されているもののようなその他の有機化合物を生産するための無細胞系で使用することができる。本明細書に記載の細胞は、3-HPならびに上に記載されているもののようなその他の有機化合物を大量に生産するための培養系で使用することができる。
本開示の一つの局面により、アラニン2,3-アミノムターゼ活性に加えて、CoAトランスフェラーゼ活性、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性、および3-ヒドロキシプロピオニル-CoAデヒドラターゼ活性のような、その他の酵素活性を含む細胞が提供される。さらに、これらの細胞からの産物の作製方法が開示される。幾つかの例として、細胞は同様に、以下の活性を有するポリペプチドの一つまたは複数をコードする、外因性核酸分子の一つまたは複数を含む:グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性、CoAトランスフェラーゼ活性、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼおよび/または3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性、ならびにアラニン・デヒドロゲナーゼまたはピルビン酸-グルタミン酸トランスアミナーゼ活性。別の例として、細胞は同様に、4-アミノ酪酸および/またはβ-アラニン-2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ活性ならびに3-HPデヒドロゲナーゼ活性および/または3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ活性を含む。さらに、細胞は、CoAヒドロラーゼ活性、ポリヒドロキシ酸シンターゼ活性、および/またはリパーゼもしくはエステラーゼ活性を含むことができる。
別の例として、アラニン2,3-アミノムターゼ活性;CoAトランスフェラーゼ活性; β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性;アラニン・デヒドロゲナーゼまたはピルビン酸-グルタミン酸トランスアミナーゼ活性、ならびに3-HP-CoAデヒドラターゼ活性を含む細胞は、ある産物、例えば、3-HP、ならびに/または3-ヒドロキシプロピオン酸メチル、3-ヒドロキシプロピオン酸エチル、3-ヒドロキシプロピオン酸プロピル、および/または3-ヒドロキシプロピオン酸ブチルのような、3-HPエステルを生産する。幾つかの例として、細胞は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性、CoAトランスフェラーゼ活性、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼおよび/または3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性をさらに含む。従って、本開示により同様に、これらの産物のうちの一つまたは複数の生産方法が提供される。これらの方法には、産物の生産を可能とする条件の下で、CoAトランスフェラーゼ活性;β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性;3-HP-CoAデヒドラターゼ活性、ならびに幾つかの例においては、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性、CoAトランスフェラーゼ活性、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼ、3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性、および/またはアラニン・デヒドロゲナーゼもしくはピルビン酸-グルタミン酸トランスアミナーゼ活性を含む、細胞を培養する段階が含まれる。これらの細胞は同様に、リパーゼまたはエステラーゼ活性を含むことができる。
本開示の別の局面により、アラニン2,3-アミノムターゼ活性に加えて、CoAトランスフェラーゼ活性;β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性;3-ヒドロキシプロピオニル-CoAデヒドラターゼ活性;およびポリヒドロキシ酸シンターゼ活性を有する細胞が提供される。幾つかの例として、これらの細胞は、以下の活性を有するポリペプチドの一つまたは複数をコードする、外因性核酸分子を含むことができる:CoAトランスフェラーゼ活性;β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性;3-ヒドロキシプロピオニル-CoAデヒドラターゼ活性;アラニン・デヒドロゲナーゼまたはピルビン酸-グルタミン酸トランスアミナーゼ活性、ならびにポリヒドロキシ酸シンターゼ活性。この細胞は、例えば、3-HP重合体および3-HPとその他の化合物(例えば酪酸、吉草酸およびその他の化合物)の共重合体のような産物を生産するのに使用することができる。
別の例として、細胞は、アラニン2,3-アミノムターゼ活性に加えて、CoAトランスフェラーゼ活性;β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性;アラニン・デヒドロゲナーゼまたはピルビン酸-グルタミン酸トランスアミナーゼ活性、およびポリヒドロキシ酸シンターゼ活性を有しており、この細胞は、ある産物、例えば、3-HP重合体を生産することができる。幾つかの例として、これらの細胞は、CoAトランスフェラーゼ活性;β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性; および/またはポリヒドロキシ酸シンターゼ活性を有するポリペプチドのうちの一つまたは複数をコードする、外因性核酸分子の一つまたは複数を含むことができる。
本開示の別の局面により、アラニン2,3-アミノムターゼ活性、CoAトランスフェラーゼ活性、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性、アラニン・デヒドロゲナーゼまたはピルビン酸-グルタミン酸トランスアミナーゼ活性、およびリパーゼまたはエステラーゼ活性を含む細胞が提供される。一つの例として、細胞は同様に、CoAヒドロラーゼ活性を含む。幾つかの例として、細胞は、CoAトランスフェラーゼ活性;β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性;リパーゼもしくはエステラーゼ活性および/またはCoAヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドの一つまたは複数をコードする、外因性核酸分子を含む。この細胞は、とりわけ、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、およびアクリル酸ブチル)のような産物を生産するのに使用することができる。
1,3-プロパンジオールを生産できる細胞、およびそれらの使用方法が開示される。1,3-プロパンジオールは、酵素活性を持つポリペプチドを使用して、3-HP-CoAまたは3-HPから生産することができる。3-HP-CoAを1,3-プロパンジオールに変換する場合、アセチル化アルデヒド:NAD(+)オキシドリダクターゼおよびアルコール:NAD(+)オキシドリダクターゼ活性(例えば、酵素分類1.1.1.1および/または1.2.1.10由来の酵素)を有するポリペプチドのような、オキシドリダクターゼ活性またはリダクターゼ活性を有するポリペプチドを使用することができる。3-HPから1,3-プロパンジオールを生産する場合、アルデヒド・デヒドロゲナーゼ(NAD(P)+)(酵素番号1.2.1-)およびアルコール・デヒドロゲナーゼ(酵素番号1.1.1.1)のような、アルデヒド・デヒドロゲナーゼ活性(例えば、1.2.1-分類由来の酵素)を有するポリペプチドおよびアルコール・デヒドロゲナーゼ活性(例えば、1.1.1-分類由来の酵素)を有するポリペプチドを組み合わせて使用することができる。
幾つかの例として、産物は、インビトロ(細胞外)で生産される。その他の例では、産物は、インビトロおよびインビボ(細胞内)法を組み合わせて用いることにより生産される。その他の例では、産物は、インビボで生産される。インビボ段階を含む方法の場合、細胞は、単離された培養細胞または生物全体、例えば、形質転換植物、ヒト以外の哺乳動物、もしくは酵母および細菌(例えば、ラクトバチルス(Lactobacillus)、乳酸球菌ラクトコッカス(Lactococcus)、バチルス(Bacillus)、および大腸菌(Escherichia)細胞)のような単細胞生物とすることができる。以下、そのような細胞を生産細胞という。これらの生産細胞により生産される産物は、有機産物、例えばβ-アラニン、3-HP、パントテン酸、および有機酸、多価アルコール(即ち、1,3-プロパンジオール)、コエンザイムA(CoA)のようなその誘導体のほか、本明細書に記載のアラニン2,3-アミノムターゼとすることができる。
多くの動物にとって成長および健康に不可欠なビタミンである、パントテン酸は、脂肪酸の合成および分解に関与している。ビタミンの欠乏により、臨床的には全身倦怠感が引き起こされる。従って、本明細書に開示される方法を用いて生産されるパントテン酸を、治療的に有効な用量で、パントテン酸欠乏症を患う患者に投与することができる。パントテン酸を生産する細胞、および本開示の細胞を用いたβ-アラニンからのパントテン酸の生産方法が開示される。パントテン酸および/またはCoAを生産するのに使用される生産細胞は、パントテン酸を生産するため、α-ケトパントイン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(酵素番号2.1.2.11)、α-ケトパントイン酸リダクターゼ(酵素番号1.1.1.169)、およびパントテン酸シンターゼ(酵素番号6.3.2.1)を発現するのに、またはそのほかにコエンザイムAを生産するため、パントテン酸キナーゼ(酵素番号2.7.1.33)、4'-ホスホパンテテノイル-1-システイン・シンテターゼ(酵素番号6.3.2.5)、4'-ホスホパントテノイルシステイン・デカルボキシラーゼ(酵素番号4.1.1.36)、ATP:4'-ホスホパンテテイン・アデニルトランスフェラーゼ(酵素番号2.7.7.3)、およびデホスホ-CoAキナーゼ(酵素番号2.7.1.24)を発現するのに使用することができる。
幾つかの態様の詳細な説明
略語および用語
用語および方法の以下の説明は、本開示をよりよく説明するために、および本開示を実践するうえで当業者を教え導くために提供される。本明細書では、「含む(comprising)」は「含む(including)」を意味し、そして単数形「一つの(a)」または「一つの(an)」または「その(the)」には、文脈により他に明記されていなければ複数対象が含まれる。例えば、「タンパク質を含む (comprising a protein)」に対する言及には、そのようなタンパク質の一つまたは複数が含まれ、そして「細胞を含む(comprising the cell)」に対する言及には、一つまたは複数の細胞および当業者に周知のその等価物などに対する言及が含まれる。
他に説明がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示に関係する当業者によって共通して理解されるのと同じ意味を有する。本開示を実践および試験するうえで、本明細書に記載されるものと類似であるかまたは等価である方法および材料を使用することができるが、適当な方法および材料を以下に記載する。材料、方法、および例は、単なる例示に過ぎず限定を意図するものではない。本開示のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかである。
アラニン2,3-アミノムターゼ: 例えば、細胞中でα-アラニンをβ-アラニンに変換できる酵素。原核生物のような、任意の生物由来の任意のアラニン2,3-アミノムターゼ遺伝子、cDNA、RNA、またはタンパク質が含まれる。一つの例として、アラニン2,3-アミノムターゼは、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する、変異型リジン2,3-アミノムターゼまたは変異型リジン5,6-アミノムターゼである:リジン2,3-アミノムターゼ(または遺伝子データベース中でリジン2,3-アミノムターゼとして注釈が付けられている遺伝子)は、原核生物、例えば、枯草菌(Bacillus subtilis)、デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)、クロストリジウム・サブテルミナレ(Clostridium subterminale)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)または大腸菌のような、任意の生物から得られ、そして当技術分野において周知のいずれかの方法により突然変異させられる。
特殊な例として、アラニン2,3-アミノムターゼの核酸配列には、配列番号:20もしくは29に示される配列、またはアラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するペプチドもしくはタンパク質をコードする能力を保持するその断片、変異体、もしくは融合体が含まれる。別の例として、アラニン2,3-アミノムターゼタンパク質には、配列番号:21もしくは30に示されるアミノ酸配列、またはアラニン2,3-アミノムターゼ活性を保持するその断片、融合体、もしくは変異体が含まれる。
別の例として、アラニン2,3-アミノムターゼの配列には、配列番号:21または30のような、完全長の野生型配列のほか、配列番号:21のアミノ酸50〜390、配列番号:21のアミノ酸101〜339、配列番号:30のアミノ酸15〜390、および配列番号:30のアミノ酸15〜340のような、α-アラニンをβ-アラニンに変換する能力を保持するさらに短い配列が含まれる。本記述には、アラニン2,3-アミノムターゼの対立遺伝子多型のほか、α-アラニンをβ-アラニンに変換する能力を保持する任意の変異体、断片、または融合体の配列が含まれる。
アラニン2,3-アミノムターゼ活性:α-アラニンをβ-アラニンに変換するアラニン2,3-アミノムターゼの能力。一つの例として、そのような活性は細胞中で起こる。別の例として、そのような活性はインビトロで起こる。そのような活性は、当技術分野において周知の任意の試験法、例えば、実施例6および実施例9〜11に記載のスクリーニング試験法および酵素試験法により測定することができる。さらに、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する酵素は、酵素をα-アラニンまたはβ-アラニンのいずれかとインキュベートし、そして高速液体クロマトグラフィーにより(例えば、Abeら、J. Chromatography B, 712: 43〜9,1998の方法により)反応産物を決定することによって同定することができる。一つの例として、panD遺伝子が機能的に欠失された大腸菌変異体中でα-アラニンをβ-アラニンに変換することは、アラニン2,3-アミノムターゼの能力である。
抗体: 特異的に抗原を結合する(抗原と免疫反応する)、抗原結合部位を含む分子。例としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、または免疫学的に有効なその部分が含まれる。
免疫グロブリン分子および免疫学的に活性なその部分が含まれる。天然に存在する抗体(例えば、IgG)には、四本のポリペプチド鎖、つまりジスルフィド結合により相互に連結した二本の重(H)鎖と二本の軽(L)鎖が含まれる。しかし、抗体の抗原結合機能は、天然に存在する抗体の断片により行うことができる。モノクローナル抗体の免疫学的に有効な部分には、以下に限定されることはないが: Fab、Fab'、F(ab')2、FabcおよびFv部分(総説としては、BetterおよびHorowitz、Methods. Enzymol. 1989, 178 : 476〜96を参照されたい)が含まれる。抗原結合断片のその他の例には、以下に限定されることはないが: (i) VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなるFab断片; (ii) VHおよびCH1ドメインからなるFd断片; (iii) 抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片; (iv) VHドメインからなるdAb断片; (v) 単離された相補性決定領域(CDR); および(vi) F(ab')2断片、つまりヒンジ(蝶つがい)部でジスルフィド架橋により連結された二個のFab断片を含む二価断片、が含まれる。さらに、Fv断片の二つのドメインは別々の遺伝子によりコードされるが、組換え法により、二つのドメインが一本のタンパク質鎖(一本鎖Fv(scFv)として知られる)として構成されるのを可能とする、合成リンカーを作製することができる。そのような一本鎖抗体も含まれる。
「特異的に結合する」とは、特定の物質(「特異的結合物質」)が、特定の被分析物質と特異的に反応する、例えば、抗体と特異的に免疫反応する、または特定のペプチド配列に特異的に結合する能力を指す。この結合は、例えば、抗体分子と抗原決定基との間の偶発的ではない結合反応である。抗体の結合特異性は通常、抗体が特異抗原と、関連性のない抗原とを区別して結合する能力、故に、特に二つの抗原が特異なエピトープを有する場合、二つの異なる抗原を区別する能力の基準点から決定される。特定のエピトープに特異的に結合する抗体は、「特異抗体」と呼ばれる。
モノクローナルまたはポリクローナル抗体は、アラニン2,3-アミノムターゼのポリペプチド(配列番号:21および/または30のような)、アラニン2,3-アミノムターゼのポリペプチド断片(配列番号:21のアミノ酸50〜390のような、例えば、配列番号:21のアミノ酸101〜339、または配列番号:30のアミノ酸15〜390のような、例えば、配列番号:30のアミノ酸15〜331)、またはその変異体、融合体、もしくは断片に対して作製することができる。好ましくは、ポリペプチド抗原上の一つまたは複数のエピトープに対する抗体は、そのポリペプチドを特異的に検出するものと思われる。即ち、ある特定のポリペプチドに対する抗体は、その特定のポリペプチドを認識して結合するものと思われ、そして実質的にその他のポリペプチドを認識して結合することがないと思われる。抗体が特定のポリペプチドに特異的に結合することは、多くの標準的な免疫測定法のいずれか一つの方法;例えば、ウエスタン・ブロッティング法(例えば、Sambrookら(編)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., vol. 1〜3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y., 1989を参照されたい)により決定することができる。
抗体調製物(アラニン2,3-アミノムターゼのポリペプチド、例えば、配列番号:21または30に対してマウスで生産された調製物のような)が、適当なポリペプチド(例えば、アラニン2,3-アミノムターゼのポリペプチド)を特異的に検出することをウエスタン・ブロッティング法により決定するため、細胞全タンパク質を、細胞から抽出し、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分離する。分離された細胞全タンパク質を次に、膜(例えば、ニトロセルロース)に転写し、そして抗体調製物をその膜とインキュベートする。非特異的に結合した抗体を取り除くために膜を洗浄した後、特異的に結合した抗体の存在を、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸/ニトロブルーテトラゾリウムを投入すると、免疫局在化したアルカリホスファターゼが濃青色の化合物を生成させることから、アルカリホスファターゼのような酵素を結合させた、適当な二次抗体(例えば、抗マウス抗体)を用いて検出する。
免疫原として使用するのに適した実質的に純粋なポリペプチドは、形質導入細胞、形質転換細胞、または野生型細胞から得られる。最終調製物中のペプチド濃度は、例えば、Amicon濾過装置での濃縮により、1 ml当たり数μg程度まで調整することができる。さらに、大きさが、完全長のポリペプチドから僅か9アミノ酸残基のポリペプチドまでに及ぶポリペプチドを、免疫原として利用することができる。そのようなポリペプチドは、細胞培養で生産することができる、標準的な方法を用いて化学合成することができる、または大きいポリペプチドを、精製可能なさらに小さいポリペプチドに切断することにより得ることができる。長さが僅か9アミノ酸残基しかないポリペプチドは、MHCクラスIまたはMHCクラスII分子のような主要組織適合複合体(MHC)分子とともに免疫系に提示される場合、免疫原となり得る。従って、アラニン2,3-アミノムターゼのポリペプチドのうちの少なくとも9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、900、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、またはそれ以上の連続したアミノ酸残基を有するポリペプチドを、抗体を生産させるための免疫原として使用することができる。
本明細書に開示されるポリペプチドのいずれかに対するモノクローナル抗体は、Kohler & Milsteinの典型的な方法(Nature 256: 495, 1975)またはその派生的な方法に従って、マウスハイブリドーマから調製することができる。
本明細書に開示されるいずれかのポリペプチドの不均質的なエピトープに対する抗体を含有するポリクローナル抗血清は、未改変型のまたは免疫原を増強させるための改変型のポリペプチド(またはその断片、融合体、もしくは変異体)で適当な動物を免疫することにより調製することができる。ウサギに対する効果的な免疫手順は、Vaitukaitisら(J. Clin. Endocrinol. Metab. 33: 988〜91, 1971)に記載されている。
抗体断片は、完全抗体の代わりとして使用することができ、そして原核宿主細胞中で容易に発現させることができる。モノクローナル抗体の免疫学的に有効な部分(「抗体断片」とも呼ばれる)の作製および使用方法は、よく知られており、そしてBetter & Horowitz (Methods Enzymol. 178:476〜96, 1989)、Glockshuberら(Biochemistry 29:1362〜7, 1990)、米国特許第5,648,237号(「Expression of Functional Antibody Fragments」)、米国特許第4,946,778号(「Single Polypeptide Chain Binding Molecules」)、米国特許第5,455,030号(「Immunotherapy Using Single Chain Polypeptide Binding Molecules」)、およびその中で引用されている文献に記載されていた方法を含む。
抗原: 動物の抗体生産またはT細胞応答を刺激できる化合物、組成物、または物質であって、動物に注入されるかまたは吸収されるような、投与される組成物を含む。抗原は、異種免疫原によって誘導されるものを含め、特異的な体液性または細胞性免疫の産物と反応する。「抗原」という用語には、関連する抗原エピトープの全てが含まれる。
cDNA(相補的DNA): 内部の、非コード部分(イントロン)がないDNAおよび転写を決定する調節配列の断片。cDNAは、細胞から抽出した伝令RNAから逆転写により、実験室で合成することができる。
保存的置換: 類似の生化学的特性を有するアミノ酸残基への一個または複数個のアミノ酸置換(例えば、1、2、5または10残基)。通常、保存的置換は、結果的に得られるポリペプチドの活性にほとんど乃至全く影響を及ぼさない。例えば、保存的置換は、アラニン2,3-アミノムターゼのペプチドのアミノ酸置換であって、置換によりこのペプチドがα-アラニンをβ-アラニンに変換する能力に実質的に影響が及ぶことがない。一つの特殊な例として、保存的置換は、配列番号:21または30中の保存的置換のような、アラニン2,3-アミノムターゼのペプチドのアミノ酸置換であって、置換によりこのタンパク質がα-アラニンをβ-アラニンに変換する能力を実質的に変化させることがない。アラニン2,3-アミノムターゼ活性を測定するのに使用できる方法が、本明細書に開示される(実施例6および実施例9〜11)。アラニン2,3-アミノムターゼのペプチド中のどのアミノ酸残基がアミノ酸置換を許容できるかを同定するのに、アラニンスキャン法を使用することができる。一つの例として、一個または複数個の固有アミノ酸がアラニン、またはその他の同類アミノ酸(以下に記載されているもののような)に置換される場合、アラニン2,3-アミノムターゼ活性は、25%を超えて、例えば20%を超えて、例えば10%を超えて、変化することがない。
一つの例として、配列番号:21または30中の一個の保存的置換のように、ペプチド中に一個の保存的置換が含まれる。別の例として、ペプチド中に十個またはそれ以下の、例えば五個またはそれ以下の保存的置換が含まれる。ポリペプチドは、例えば、部位特異的突然変異誘発法またはPCR法のような標準的な方法を用いて、そのポリペプチドをコードする核酸配列を操作することにより、一個または複数個の保存的置換を含むように生産され得る。または、ポリペプチドは、標準的なペプチド合成法を用いることにより、一個または複数個の保存的置換を含むように生産され得る。
置換変異体は、アミノ酸配列中の少なくとも一つの残基が取り除かれ且つその場所に異なる残基が挿入されているものである。タンパク質中の本来のアミノ酸と置換される可能性があり且つ保存的置換とされるアミノ酸の例には、以下が含まれる: アラニン(Ala)に対してセリン(Ser); アルギニン(Arg)に対してリジン(Lys); アスパラギン(Asn)に対してグルタミン(Gln)またはヒスチジン(His); アスパラギン酸(Asp)に対してグルタミン酸(Glu); システイン(Cys)に対してセリン(Ser); グルタミン(Gln)に対してアスパラギン(Asn); グルタミン酸(Glu)に対してアスパラギン酸(Asp); グリシン(Gly)に対してプロリン(Pro); ヒスチジン(His)に対してアスパラギン(Asn)またはグルタミン(Gln); イソロイシン(Ile)に対してロイシン(Leu)またはバリン(Val); ロイシン(Leu)に対してイソロイシン(Ile)またはバリン(Val); リジン(Lys)に対してアルギニン(Arg)またはグルタミン(Gln); メチオニン(Met)に対してロイシン(Leu)またはイソロイシン(Ile); フェニルアラニン(Phe)に対してメチオニン(Met)、ロイシン(Leu)またはチロシン(Tyr); セリン(Ser)に対してスレオニン(Thr); スレオニン(Thr)に対してセリン(Ser); トリプトファン(Trp)に対してチロシン(Tyr); チロシン(Tyr)に対してトリプトファン(Trp)またはフェニルアラニン(Phe); およびバリン(Val)に対してイソロイシン(Ile)またはロイシン(Leu)。
保存的置換に関するさらなる情報は、とりわけ、Ben-Bassatら(J. Bacteriol. 169: 751〜7, 1987)、O'Reganら(Gene 77: 237〜51, 1989)、Sahin-Tothら(Protein Sci. 3: 240〜7, 1994)、Hochuliら(Bio/Technology 6: 1321〜5, 1988)、国際公開公報第00/67796号(Curdら)で、ならびに遺伝および分子生物学の標準的な教科書で見つけられる。
欠失: 核酸、例えばDNAの配列が除去される結果、その両側の部位が相互に連結される。
検出可能な: 存在(existence)または存在(presence)が確定され得ること。例えば、β-アラニンから生成される信号が測定できるくらい十分に強い場合、α-アラニンからのβ-アラニンの生成は検出可能である。
DNA: デオキシリボ核酸。DNAは、大部分の生物(ウイルスのなかには、リボ核酸(RNA)からなる遺伝子を有するものもある)の遺伝物質を含む長鎖高分子化合物である。DNA高分子化合物の繰り返し単位は、四種の異なるヌクレオチドであり、各ヌクレオチドは、四種の塩基(アデニン、グアニン、シトシンおよびチミン)のうちの一つにリン酸基の付いたデオキシリボース糖が結合されるようにして含む。DNA分子のヌクレオチドのトリプレット(コドンと呼ばれる)が、ポリペプチドのアミノ酸をコードする。コドンという用語は、DNA配列が転写される、mRNAの三つのヌクレオチドの対応(および相補的)配列に対しても使用される。
外因性: 核酸および特定の細胞に関連して本明細書で使用される「外因性の」という用語は、自然界で見られるその特定の細胞を起源としない、任意の核酸を指す。従って、天然に存在しない核酸は、いったん細胞に導入されてしまえば、細胞にとって外因性であると考えられる。天然に存在する核酸もまた、特定の細胞にとっては外因性となり得る。例えば、個体Xの細胞から単離された全染色体は、いったんその染色体が個体Yの細胞に導入されてしまえば、Yの細胞に対しては外因性核酸となる。
機能的欠失: 遺伝子配列に対してなされ、遺伝子産物の生産を阻害するおよび/または遺伝子産物を非機能的とする、突然変異、部分的もしくは完全な欠失、挿入、またはその他の変異。例えば、大腸菌のPanD遺伝子の機能的欠失によって、PanD遺伝子がコードするアスパラギン酸デカルボキシラーゼによる、アスパラギン酸からのβ-アラニンの生産が抑制される。大腸菌のPanD遺伝子のこの機能的欠失によって、アスパラギン酸デカルボキシラーゼが不活化され、増殖培地中にβ-アラニンまたはパントテン酸がない場合には大腸菌の増殖阻害が引き起こされる。
機能的に等価: 等価な機能を持っていること。アラニン2,3-アミノムターゼ分子との関連では、機能的に等価な分子には、アラニン2,3-アミノムターゼの機能を保持する異なる分子が含まれる。例えば、機能的等価体は、アラニン2,3-アミノムターゼの配列の改変により得られるが、この場合、一つまたは複数の配列の改変を有するそのペプチドは、α-アラニンをβ-アラニンに変換するその能力を保持するように、未改変のペプチドの機能を保持する。
配列の改変の例には、以下に限定されることはないが、保存的置換、欠失、突然変異、フレームシフト、および挿入が含まれる。一つの例として、あるポリペプチドが抗体と結合するとすれば、機能的等価体は、その同じ抗体と結合するポリペプチドである。従って、機能的等価体には、ポリペプチドと同じ結合特異性を有し、且つそのポリペプチドに代わる試薬として(例えば、パントテン酸および3-HPを生産させる場合に)使用できる、ペプチドが含まれる。一つの例として、機能的等価体には、結合配列が不連続性であって、抗体が直鎖状エピトープと結合する、ポリペプチドが含まれる。従って、ペプチド配列がMKNKWYKPKR(配列番号:21のアミノ酸1〜10)ならば、機能的等価体には、以下のように表される不連続性のエピトープが含まれる(**=任意数の介在アミノ酸): NH2-**-M**K**N**K**W**Y**K**P**K**R-COOH。この例では、ポリペプチドの三次元構造が、配列番号:21のアミノ酸1〜10と結合するモノクローナル抗体と結合できるような構造である場合に、ポリペプチドは、配列番号:21のアミノ酸1〜10に機能的に等価である。
ハイブリダイゼーション: 相補的な一本鎖DNAおよび/またはRNAが二本鎖分子を形成する能力に基づいて、二つの核酸分子のヌクレオチド配列の相補性を試験する方法。核酸ハイブリダイゼーション技術は、本開示の範囲内で単離された核酸を得るのに使用することができる。簡単に言えば、アラニン2,3-アミノムターゼに対していくらかの相同性(配列番号:20および29またはその変異体もしくは断片に対する相同性のような)がある任意の核酸を、適度乃至高いストリンジェンシーの条件の下で、ハイブリダイゼーションによって類似の核酸を同定するためのプローブとして使用することができる。いったん同定してしまえば、後はその核酸がアラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するアラニン2,3-アミノムターゼであるかどうか決定するため、精製し、配列決定し、そして解析することができる。
ハイブリダイゼーションは、サザン法またはノザン法で、プローブにハイブリダイズする、それぞれ、DNAまたはRNA配列を同定するために行うことができる。プローブは、例えば、ビオチン、蛍光物質、ジゴキシゲニン、酵素、または32Pのような放射性同位体で標識することができる。解析されるDNAまたはRNAを、アガロースゲルまたはポリアクリルアミドゲル上で電気泳動分離し、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、またはその他の適当な膜に転写し、そして、Sambrookら(1989)、Molecular Cloning, 第二版, Cold Spring Harbor Laboratory, Plainview, NYの第7.39項〜第7.52項に記載されている技術のような、当技術分野においてよく知られた標準的な技術を用い、プローブとハイブリダイズさせることができる。通常、プローブは、長さが少なくとも約20ヌクレオチドである。例えば、アラニン2,3-アミノムターゼの20個の連続ヌクレオチド(配列番号:20または29の20個の連続ヌクレオチドのような)を含むプローブを、同一のまたは類似の核酸を同定するのに使用することができる。さらに、20個よりも長いまたは短いヌクレオチドを使用することができる。
本開示により同様に、長さが少なくとも約12塩基(例えば、長さが少なくとも約13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、100、250、500、750、1000、1400、2000、3000、4000または5000塩基)であり且つハイブリダイゼーション条件の下で、アラニン2,3-アミノムターゼの核酸配列(例えば、配列番号:20または29)のセンス鎖またはアンチセンス鎖にハイブリダイズする、単離された核酸配列が提供される。ハイブリダイゼーション条件は、適度なまたは高いストリンジェントのハイブリダイゼーション条件とすることができる。
適度なストリンジェントのハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーションが、25 mM KPO4 (pH 7.4)、5×SSC、5×デンハルト(Denhart's)溶液、50μg/mL 変性、超音波処理済サケ精子DNA、50% ホルムアミド、10% 硫酸デキストラン、および1〜15 ng/mL プローブ(約5×107 cpm/μg)を含有するハイブリダイゼーション溶液中、約42℃で行われ、その上、洗浄が、2×SSCおよび0.1% ドデシル硫酸ナトリウムを含有する洗浄液により約50℃で行われる場合である。
高ストリンジェントのハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーションが、25 mM KPO4 (pH 7.4)、5×SSC、5×デンハルト(Denhart's)溶液、50μg/mL 変性、超音波処理済サケ精子DNA、50% ホルムアミド、10% 硫酸デキストラン、および1〜15 ng/mL プローブ(約5×107 cpm/μg)を含有するハイブリダイゼーション溶液中、約42℃で行われ、その上、洗浄が、0.2×SSCおよび0.1% ドデシル硫酸ナトリウムを含有する洗浄液により約65℃で行われる場合である。
単離された: 「単離された」生物学的成分(核酸分子またはタンパク質のような)は実質的に、その成分がもともと存在している生物細胞中のその他の生物学的成分、即ち、その他の染色体のおよび染色体外のDNAおよびRNA、ならびにタンパク質から離すようにして分離されているかまたは精製されている。「単離された」核酸およびタンパク質には、標準的な精製方法により精製された核酸およびタンパク質が含まれる。この用語にはまた、宿主細胞中で組換え発現により調製された核酸およびタンパク質のほか、化学合成された核酸、タンパク質およびペプチドも包含される。
一つの例として、単離されたとは、天然に存在する核酸であって、その起源生物の天然に存在するゲノム中では直接接している両配列(一方は5'末端でそして一方は3'末端で)と直接には接していない、天然に存在する核酸を指す。例えば、単離された核酸は、以下に限定されることはないが、任意の長さの組換えDNA分子とすることができる、ただし天然に存在するゲノム中で通常、その組換えDNA分子に直接隣接して見られる核酸配列のうちの一つが除去されているか欠失されていなければならない。従って、単離された核酸には、以下に限定されることはないが、その他の配列から独立した別個の分子(例えば、PCRまたは制限エンドヌクレアーゼ処理により生産されたcDNAまたはゲノムDNA断片)として存在する組換えDNAのほか、ベクター、自己複製プラスミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、またはヘルペスウイルス)中に、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNA中に組み込まれた組換えDNAが含まれる。さらに、単離された核酸には、雑種または融合核酸配列の一部である組換えDNA分子が含まれてもよい。
一つの例として、「単離された」という用語が核酸に関して使用される場合には同様に、任意の天然に存在しない核酸が含まれるが、これは天然に存在しない核酸の配列が、自然界で見られることはなく、天然に存在するゲノム中において直接隣接する配列を有していないためである。例えば、遺伝子工学で作り変えられた核酸のような天然に存在しない核酸は、単離された核酸であると考えられる。遺伝子工学で作り変えられている核酸は、一般的な分子クローニング技術または核酸の化学合成技術を用いて生産することができる。単離された天然に存在しない核酸は、その他の配列から独立させておいてもよく、またはベクター、自己複製プラスミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、またはヘルペスウイルス)、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNA中に組み込まれていてもよい。さらに、天然に存在しない核酸には、雑種または融合核酸配列の一部である核酸分子が含まれてもよい。
ロイシン2,3-アミノムターゼ: α-ロイシンをβ-ロイシンに変換できる酵素。原核生物または真核生物のような任意の生物由来の、例えば、ラット、ヒト、ニワトリ、またはクロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes) (Poston, J. Biol. Chem. 251: 1859〜63, 1976)由来の、任意のロイシン2,3-アミノムターゼの遺伝子、cDNA、RNAまたはタンパク質が含まれる。本記述により、ロイシン2,3-アミノムターゼの対立遺伝子多型のほか、α-ロイシンをβ-ロイシンに変換する能力を保持する任意の変異体、断片、または融合タンパク質の配列が含まれる。
リジン2,3-アミノムターゼ: α-リジンをβ-リジンに変換できる酵素。原核生物、例えば、枯草菌(Bacillus subtilis)、デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)、クロストリジウム・サブテルミナレ(Clostridium subterminale)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、アクイフェックス・アエロリカス(Aquifex aeolicus)、ヘモフィラス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)、または大腸菌 のような、任意の生物由来の任意のリジン2,3-アミノムターゼの遺伝子、cDNA、RNAまたはタンパク質が含まれる。本記述により、リジン2,3-アミノムターゼの対立遺伝子多型のほか、α-リジンをβ-リジンに変換する能力を保持する任意の変異体、断片、または融合体の配列が含まれる。一つの例として、GenBankのような、公共のDNA配列データベース中でリジン2,3-アミノムターゼとして注釈が付けられている遺伝子によりコードされるポリペプチドが含まれる。
核酸: cDNA、ゲノムDNA、および合成(例えば、化学合成された)DNAを含むがこれらに限定されない、RNAおよびDNAの双方が包含される。核酸は、二本鎖でも一本鎖でもよい。一本鎖の場合、核酸は、センス鎖でもアンチセンス鎖でもよい。さらに、核酸は、環状でも直鎖状でもよい。
オリゴヌクレオチド: 少なくとも9ヌクレオチド、例えば少なくとも15、18、24、25、27、30、50、100またはさらに200ヌクレオチド長の直鎖状ポリヌクレオチド(例えば、DNAまたはRNA)の配列。
操作可能に連結される: 第一核酸配列が第二核酸配列と機能的に関連するように配置される場合、第一核酸配列は第二核酸配列と操作可能に連結されている。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を及ぼすならば、プロモーターはコード配列と操作可能に連結されている。一般に、操作可能に連結されたDNA配列は、連続的でありそして、二つのタンパク質のコード領域を連結する必要がある場合、読み枠は同一である。
ORF(読み取り枠): 終止コドンのない、アミノ酸をコードするヌクレオチド・トリプレット(コドン)の連続。これらの配列は通常、ペプチドに翻訳可能である。
パントテン酸塩またはパントテン酸: 化粧品、医薬品、および栄養物に使用される、商業的に重要なビタミン。パントテン酸(pantothenic acid)およびパントテン酸(pantothenate)という用語は、本明細書では同じ意味で使用され、そして遊離酸を指すだけではなく、カルシウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩またはカリウム塩のような、D-パントテン酸(D-pantothenic acid)の塩も指す。パントテン酸は、化学合成または本明細書に開示される細胞および方法を用いて、β-アラニンから生物工学的に生産することができる。
パントテン酸の量を測定するための方法が知られている(例えば、Riepingらの米国特許第6,184,006号およびEggelingらの米国特許第6,177,264号を参照されたい)。例えば、D-パントテン酸の定量は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)パントテン酸定量法(試験菌株: ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum) ATCC 8014, Cat. No. 3211-30-3; 培地: バクト(Bacto)パントテン酸定量用培地(DIFCO Laboratories, Michigan, USA), cat. No. 0604-15-3)を用いて行うことができる。この指示菌株は、指定培地中にパントテン酸が存在する場合にだけ増殖することが可能であり、そして光学的に測定可能な、培地中のパントテン酸濃度に対する増殖の直線的な相関関係を示す。キャリブレーションには、パントテン酸のヘミカルシウム塩を使用することができる(Sigma Catalog Number P 2250)。光学濃度は、波長580 nmで決定することができる。
ペプチド修飾: 本開示には、アラニン2,3-アミノムターゼのペプチドのほか、合成の態様が含まれる。さらに、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する、類似体(非ペプチド性有機分子)、誘導体(開示のペプチド配列から得られた化学的に機能化されたペプチド分子)および変異体(相同体)は、本明細書に記載の方法のなかで使用することができる。本明細書に開示されるペプチドには、天然に存在するおよび天然に存在しない、アミノ酸の配列(L-および/またはD-アミノ酸とすることができる)が含まれる。
未修飾ペプチドと本質的に同じ活性を有する、および選択的にその他の望ましい特性を有する誘導体を生産するために、ペプチドを種々の化学的な技術により修飾することができる。例えば、タンパク質のカルボン酸基は、カルボキシル末端であろうと側鎖であろうと、薬学的に許容される陽イオンの塩の形で与えられてもC1〜C16エステルを形成するようにエステル化されてもよく、または式NR1R2(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して、HまたはC1〜C16アルキルである)のアミドに変換されてもよく、または五員環もしくは六員環のような、複素環を形成するように連結されてもよい。ペプチドのアミノ基は、アミノ末端であろうと側鎖であろうと、HCl、HBr、酢酸、安息香酸、トルエンスルホン酸、マレイン酸、酒石酸およびその他の有機塩のような、薬学的に許容される酸付加塩の形としてもよく、またはC1〜C16アルキルもしくはジアルキルアミノに修飾されても、さらにアミドに変換されてもよい。
ペプチド側鎖の水酸基は、よく知られた技術を用いて、C1〜C16アルコキシにまたはC1〜C16エステルに変換されてもよい。ペプチド側鎖のフェニルおよびフェノール環は、F、Cl、BrもしくはIのような、一個もしくは複数個のハロゲン原子で、またはC1〜C16アルキル、C1〜C16アルコキシ、カルボン酸およびそのエステル、もしくはそのようなカルボン酸のアミドで置換されてもよい。ペプチド側鎖のメチレン基は、相同のC2〜C4アルキレンにまで伸長することができる。チオールは、多くのよく知られた保護基のうちのいずれか一つ、例えばアセトアミド基で保護することができる。当業者であればまた、結果的に安定性の向上をもたらす、立体構造的な制約を選択かつ構造に与えるように、本開示のペプチド中に環状構造を導入する方法を認識するものと思われる。例えば、酸化される時に、ペプチドが、環状ペプチドを生成するジスルフィド結合を含むように、ペプチドにC末端のまたはN末端のシステインを付加することができる。その他のペプチド環化法には、チオエステルならびにカルボキシ末端およびアミノ末端のアミドおよびエステルの形成が含まれる。
ペプチド模倣体および有機模倣体の実施態様は同様に、本開示の範囲内であって、これによりそのペプチドおよび有機模倣体の化学成分の三次元配置が、検出可能なアラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する本発明のタンパク質のそのペプチド模倣体および有機模倣体をもたらす、ペプチド骨格および構成成分のアミノ酸側鎖の三次元配置を模倣することが可能となる。コンピュータ・モデリング・アプリケーションの場合、薬理作用団が、生物活性に対する構造要件の理想的な、三次元定義である。ペプチド模倣体および有機模倣体は、現在のコンピュータ・モデリング・ソフトウェアを用いて(コンピュータ支援による薬物設計またはCADDを用いて)各薬理作用団に適合するように設計することができる。CADDで使用される技術の詳細については、Walters、「Computer-Assisted Modeling of Drugs」, in Klegerman & Groves, eds., 1993, Pharmaceutical Biotechnology, Interpharm Press: Buffalo Grove, IL, pp. 165〜174および Principles of Pharmacology Munson(編) 1995, Ch. 102を参照されたい。そのような技術を用いて調製される模倣体も同様に、本開示の範囲内に含まれる。一つの例として、模倣体は、アラニン2,3-アミノムターゼまたはその変異体、断片もしくは融合体が生み出すアラニン2,3-アミノムターゼ活性を模倣する。
ポリヌクレオチド: 任意の長さの直鎖状の核酸配列。従って、ポリヌクレオチドには、少なくとも約15、25、50、75、100、200または400(オリゴヌクレオチド)の分子および同様に完全長cDNAと同じくらい長いヌクレオチドが含まれる。
プローブおよびプライマー: 「プローブ」には、検出可能な、標識またはレポーター分子を含有する単離核酸が含まれる。典型的な標識には、放射性同位体、リガンド、化学発光物質、蛍光物質、および酵素が含まれる。標識化の方法および種々の目的に適した標識を選択する際の手引きは、例えば、Sambrookら(編)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd ed., vol. 1〜3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989、およびAusubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York (定期的に更新されている), 1987に論じられている。
「プライマー」は通常、十個またはそれ以上のヌクレオチドを有する核酸分子(例えば、約10ヌクレオチド〜約100ヌクレオチドを有する核酸分子)である。プライマーを、プライマーと標的核酸鎖との間でハイブリッドを形成させる核酸ハイブリダイゼーションにより、相補的な標的核酸鎖にアニールさせた後に、例えば、DNAポリメラーゼ酵素により、標的核酸鎖に沿って伸長させることができる。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法またはその他の核酸増幅法により、核酸配列を増幅する場合には、プライマー対が使用される。
プローブおよびプライマーを調製するおよび使用するための方法は、例えば、Sambrookら(編)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., vol. 1〜3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989; Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York (定期的に更新されている), 1987; およびInnisら、PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Press: San Diego, 1990のような文献に報告されている。PCRプライマー対は、例えば、Primer(Version 0.5,(著作権) 1991, Whitehead Institute for Biomedical Research, Cambridge, Mass.)のようなその目的に向けられたコンピュータ・プログラムを用いることにより、周知の配列から得られる。当業者であれば、特定のプローブまたはプライマーの特異性は、その長さとともに増加するものの、プローブまたはプライマーの長さは、完全長配列から5個の連続ヌクレオチドほどの短い配列にまで及び得ることを理解するものと思われる。従って、例えば、20個の連続ヌクレオチドからなるプライマーは、僅か15個のヌクレオチドからなる対応プライマーよりも、高い特異性で標的にアニールすることができると思われる。このように、高い特異性を得るため、例えば、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500個、またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含むプローブおよびプライマーを選択することができる。
プロモーター: 核酸を転写させる、一連の核酸制御配列。プロモーターには、転写開始部位近傍の必須の核酸配列、例えば、ポリメラーゼII型プロモーターの場合には、TATA配列(TATA element)が含まれる。プロモーターには同様に、転写開始部位から数千塩基対も離れて位置する可能性がある、遠位のエンハンサー配列(enhancer element)またはリプレッサー配列(repressor element)が含まれる。
精製された: 精製されたという用語は、絶対的な純度を必要とするのではなく;むしろ、相対的な用語として意図される。従って、例えば、精製されたペプチド調製物は、ペプチドまたはタンパク質が、これに付随する可能性のある細胞成分(核酸、脂質、糖質、およびその他のポリペプチド)から実質的に分離されるようにして、ペプチドまたはタンパク質が細胞内のその環境にあるよりも濃縮されているような調製物である。別の例として、精製されたペプチド調製物は、ペプチドの化学合成後に存在している可能性があるもののような、汚染物から実質的に遊離されているような調製物である。
一つの例として、アラニン2,3-アミノムターゼのペプチドは、重量で試料の少なくとも50%がペプチドからなる場合、例えば、試料の少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、98%、もしくは99%またはそれ以上がペプチドからなる場合、精製されている。抗原を精製するのに使用できる方法の例としては、Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York, 1989, Ch.17)に開示されている方法が含まれるが、これに限定されることはない。タンパク質純度は、例えば、タンパク質試料のポリアクリルアミドゲル電気泳動法に続いて、このポリアクリルアミドゲルを染色してポリペプチドの単一バンドを視覚化すること; 高速液体クロマトグラフィー法; 配列決定法; またはその他の従来法により決定することができる。
組換え(型): 組換え核酸は、天然には存在しない配列を有するおよび/または
二つの異なる分離配列断片を人工的に組合せて作り出される配列を有するものである。この人工的な組合せは、化学合成によりまたは、より一般的には、単離された核酸断片の人為的操作により、例えば遺伝子工学技術により達成されることが多い。組換え型は同様に、人為的に操作されているが、その核酸が単離された生物に見られるのと同じ調節配列およびコード領域を含む、核酸分子を記述するのに使用される。
配列同一性/類似性: 二つもしくはそれ以上の核酸配列間の、または二つもしくはそれ以上のアミノ酸配列間の同一性/類似性は、配列間の同一性または類似性として表される。配列同一性は、同一性の割合として測定することができる: その割合が高くなれば、それだけ配列の同一性も高くなる。配列類似性は、類似性の割合(保存的アミノ酸置換も入れる)として測定することができる; その割合が高くなれば、それだけ配列の類似性も高くなる。核酸またはアミノ酸配列のホモログ(相同体)またはオーソログは、標準的な方法を用いて一列に並べた場合、比較的高い配列の同一性/類似性を有する。この相同性は、オーソロガスなタンパク質またはcDNAが、より近縁の種(例えば、ヒトおよびマウス配列)を起源とする場合には、より遠縁の種(例えば、ヒトおよび線虫(C. elegans)配列)と比較して、さらに顕著である。
比較のための配列アライメントの方法は、当技術分野においてよく知られている。種々のプログラムおよびアライメント・アルゴリズムが: Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2: 482, 1981 ; Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443, 1970 ; Pearson & Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444, 1988 ; Higgins & Sharp, Gene, 73: 237〜44, 1988 ; Higgins & Sharp, CABIOS 5: 151〜3, 1989; Corpetら、Nuc. Acids Res. 16: 10881〜90, 1988 ; Huangら、Computer Appls. in the Biosciences 8, 155〜65, 1992;およびPearsonら、Meth. Mol. Bio. 24: 307〜31, 1994に記載されている。Altschulら、J. Mol. Biol. 215: 403〜10, 1990には、配列アライメント法および相同性の計算の詳細な考察が提示されている。
NCBI Basic Local Alignment Search Tool (BLAST)(Altschulら、J. Mol. Biol. 215: 403〜10, 1990)は、配列解析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxとの関連で使用する場合、米国立生物工学情報センター(National Center for Biological Information)(NCBI、米国立医学図書館(National Library of Medicine), Building 38A, Room 8N805, Bethesda, MD 20894)を含む、いくつかの情報源からそしてインターネット上で利用可能である。さらなる情報は、NCBIのウェブサイトで見つけることができる。
BLASTNは核酸配列を比較するために使用され、その一方でBLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用される。二つの核酸配列を比較するため、オプションを以下のように設定することができる: -iを比較される第一核酸配列を含むファイル(例えば、C:\seq1. txt)に設定する; -jを比較される第二核酸配列を含むファイル(例えば、C:\seq2. txt)に設定する; -pをblastnに設定する; -oを任意の所望のファイル名(例えば、C:\output. txt)に設定する; -qを-1に設定する; -rを2に設定する; およびその他全てのオプションは、デフォルトのままとする。例えば、二つの配列間の比較を含む出力ファイルを生成するのに、以下のコマンドを使用することができる: C:\B12seq -i c:\seq1.txt -j c:\seq2.txt -p blastn -o c:\output.txt -q -1 -r 2。
二つのアミノ酸配列を比較するため、B12seqのオプションを以下のように設定することができる: -iを比較される第一アミノ酸配列を含むファイル(例えば、C:\seq1. txt)に設定する; -jを比較される第二アミノ酸配列を含むファイル(例えば、C:\seq2. txt)に設定する; -pをblastpに設定する; -oを任意の所望のファイル名(例えば、C:\output. txt)に設定する; およびその他全てのオプションは、デフォルトのままとする。例えば、二つのアミノ酸配列間の比較を含む出力ファイルを生成するのに、以下のコマンドを使用することができる: C:\B12seq -i c:\seq1.txt -j c:\seq2.txt -p blastp -o c:\output.txt。二つの比較配列が相同性を共有する場合、指定の出力ファイルにより、位置合わせされた配列としてその相同性領域が示される。二つの比較配列が相同性を共有しない場合、指定の出力ファイルにより、位置合わせされた配列が示されることはない。
位置合わせされたら、両配列で同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基が示されている位置の数を合計することにより、適合数が決定される。配列同一性の割合は、その適合数を、同定された配列に記載の配列の長さで、または連接の長さ(例えば、同定された配列に記載の配列由来の100個の連続的なヌクレオチドまたはアミノ酸残基)で割り、続いて得られた値に100を乗じることにより決定される。例えば、1154ヌクレオチドを有する試験配列と位置合わせした際に1166が適合する核酸配列は、試験配列と75.0パーセント同一である(即ち、1166÷1154*100=75.0)。配列同一性の割合は、小数点以下第一位に四捨五入される。例えば、75.11、75.12、75.13、および75.14は、75.1に切り下げられる、一方で75.15、75.16、75.17、75.18、および75.19は、75.2に切り上げられる。長さの値は、常に整数になると思われる。別の例として、同定された配列由来の20個の連続ヌクレオチドと以下のように並んだ20ヌクレオチド領域を含有する標的配列は、その同定された配列に75パーセントの配列同一性を共有する領域を含む(即ち、15÷20*100=75)。
Figure 2005525100
約30アミノ酸よりも大きなアミノ酸配列を比較する場合、デフォルトパラメータ(ギャップ開始コストが11、および残基当たりのギャップコストが1)に設定された、デフォルトのBLOSUM62マトリクス(行列)を用いた、Blast 2配列機能を使用する。相同体は通常、nrまたはswissprotデータベースのようなデータベースとのgapped blastpであるNCBI Basic Blast 2.0を用いて、アミノ酸配列での完全長のアライメントで計算される配列同一性が少なくとも70%有ることを特徴とする。Blastnプログラムで検索されるクエリー(問い合わせ配列)は、DUSTでフィルタリングされる(HancockおよびArmstrong, 1994, Comput. Appl. Biosci. 10: 67〜70)。その他のプログラムでは、SEGが使用される。さらに、手作業によるアライメントを行うことができる。さらに高い類似性を有するタンパク質では、この方法により評価した場合、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性のような、いっそう高い割合の同一性が示されるものと思われる。
短いペプチド(約30アミノ酸よりも少ない)を並べる場合には、アライメントは、デフォルトパラメータ(開始ギャップ 9、伸張ギャップ 1ペナルティー)に設定されたPAM30マトリクス(行列)を使い、Blast 2配列機能を用いて行われるべきである。参照配列に対してさらに高い類似性を有するタンパク質では、この方法により評価した場合、少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%の配列同一性のような、いっそう高い割合の同一性が示されるものと思われる。配列同一性について比較されるのが、配列全体に満たないものである場合には、相同体は通常、10〜20アミノ酸の短いウィンドウ(領域)で少なくとも75%の配列同一性を有するものと思われ、そして参照配列に対するその同一性に応じて、少なくとも85%、90%、95%または98%の配列同一性を有することができる。そのような短いウィンドウ(領域)での配列同一性を決定する方法は、NCBIのウェブサイトで説明されている。
二つの核酸分子が密接に関連しているという一つの目安は、その二つの分子がストリンジェントな条件の下で、相互にハイブリダイズすることである。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、そして環境的な要素が違えば異なるものでる。ストリンジェントな条件の下でアラニン2,3-アミノムターゼの遺伝子配列にハイブリダイズする核酸分子は通常、アラニン2,3-アミノムターゼの遺伝子全体またはその遺伝子の選択部分に基づいたプローブ、それぞれに、その条件の下でハイブリダイズする。
高い同一性を示さない核酸配列であっても、遺伝暗号の縮重により、同一のまたは類似(同類)のアミノ酸配列をコードする可能性がある。全てが実質的に同一のタンパク質をコードする複数の核酸分子を生産するため、この縮重を用いて核酸配列を変化させることができる。そのような相同核酸配列は、例えば、本方法により決定される、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有することができる。
当業者であれば、これらの配列同一性の範囲は、指針としてのみ与えられていること; 与えられている範囲には入らない非常に有効なホモログ(相同体)が得られる可能性があることを理解するものと思われる。
二つの核酸配列が実質的に同一であるという別の(そして必ずしも累積的である必要はない)目安は、第一核酸がコードするポリペプチドが、第二核酸によりコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応性であるということである。
特異的結合物質: ペプチド標的のような、明確な標的にのみ実質的に結合する物質。例えば、アラニン2,3-アミノムターゼ結合物質には、抗アラニン2,3-アミノムターゼ抗体およびアラニン2,3-アミノムターゼのみに実質的に結合するその他の物質(ペプチドまたは薬物のような)が含まれる。アラニン2,3-アミノムターゼタンパク質(またはその断片)に対する抗体は、このタンパク質を精製または同定するのに使用することができる。
形質転換された: 核酸分子が、例えば、分子生物学技術により導入された細胞。本明細書では、形質転換という用語には、以下に限定されることはないが、ウイルス・ベクターによる形質導入、接合、プラスミド・ベクターによる形質転換、ならびにエレクトロポレーション、リポフェクション、およびパーティクルガン加速による裸のDNAの導入を含む、核酸分子をそのような細胞に導入できると思われる全技術が包含される。
変異体、断片または融合タンパク質: 本開示のアラニン2,3-アミノムターゼタンパク質には、その変異体、断片および融合体が含まれる。タンパク質をコードするDNA配列(例えば、配列番号:20または29)、アラニン2,3-アミノムターゼ融合タンパク質またはアラニン2,3-アミノムターゼタンパク質の断片もしくは変異体をコードするDNA配列は、そのタンパク質が真核細胞、細菌細胞、昆虫細胞、および/または植物細胞中で発現可能となるように遺伝子工学で作り変えることができる。発現を得るため、DNA配列を、改変することおよびその他の調節配列に操作可能に連結することができる。調節配列およびタンパク質を含む最終産物を、ベクターという。このベクターを真核細胞、細菌細胞、昆虫細胞、および/または植物細胞中に導入することができる。いったん細胞中に入れば、ベクターにより、タンパク質の生産が可能となる。
融合タンパク質には、アラニン2,3-アミノムターゼの所望の活性、例えば、α-アラニンをβ-アラニンに変換する能力を阻害しないその他のアミノ酸配列に連結された、アラニン2,3-アミノムターゼ(またはその変異体、多型、突然変異体、もしくは断片)のようなタンパク質、例えば、配列番号:21または30が含まれる。
一つの例として、その他のアミノ酸配列は、長さが僅か約10、12、15、20、25、30、または50残基しかないアミノ酸である。
当業者であれば、DNA配列は、コードされるタンパク質の生物活性に影響を及ぼすことなく、多数の方法で改変され得ることを認識するものと思われる。例えば、アラニン2,3-アミノムターゼをコードするDNA配列に変異を引き起こすために、PCR法を使用することができる。そのような変異は、タンパク質を発現させるために使用される宿主細胞の優先コドンに対して最適化された変異、または発現を促進させるその他の配列変化とすることができる。
ベクター: 細胞中に導入されるような核酸分子であり、これにより形質転換された細胞を生産する。ベクターには、複製起点のような、細胞中でベクターが複製することを可能とする核酸配列が含まれてもよい。ベクターには同様に、一つまたは複数の選択マーカー遺伝子および当技術分野において周知の他の遺伝要素が含まれてもよい。
アラニン2,3-アミノムターゼの核酸およびポリペプチド
アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するポリペプチドが、本明細書に開示される。一つの例として、ポリペプチドは、リジン2,3-アミノムターゼ、ロイシン2,3-アミノムターゼ、またはリジン5,6-アミノムターゼの配列のような、変異型アミノムターゼのアミノ酸配列である。アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するポリペプチドの例は、配列番号:21および30に示されている。しかし、本開示には同様に、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を保持する、配列番号:21および30の変異体、融合体、および断片が包含される。使用できる断片の例には、以下に限定されることはないが: 配列番号:21のアミノ酸50〜390、50〜350、60〜350、75〜340、または100〜339および配列番号:30のアミノ酸1〜390、15〜390、15〜340または19〜331が含まれる。置換可能であり、その上、依然としてアラニン2,3-アミノムターゼ活性を保持している置換の例には、以下に限定されることはないが: 配列番号:21のV21IもしくはV21L; Y71P; L17I; K361R; A410V; および/またはY430FもしくはY430W置換、ならびに配列番号:30のT40S; V96IもしくはV96L; D102E; A252V; および/またはL393V置換のほか、その組み合わせが含まれる。
本開示により、アラニン2,3-アミノムターゼのような、酵素ポリペプチドが提供される(例えば、配列番号:21および/または30、ならびにアラニン2,3-アミノムターゼ活性を保持する、その変異体、断片および融合体)。当業者であれば、変異酵素の配列は、その酵素がアラニン2,3-アミノムターゼ活性のような、所望の酵素活性を保持している限り、使用できることを理解するものと思われる。例えば、本開示により、アラニン2,3-アミノムターゼ配列のような、酵素配列に同一の、少なくとも15個の連続アミノ酸を含むポリペプチドが提供される。当然のことながら、本開示により同様に、少なくとも15アミノ酸残基よりも大きなアミノ酸配列(例えば、少なくとも16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、50、75、100、150、200、250、300またはその以上のアミノ酸残基)を含み且つ本明細書に開示されるまたはその他一般に利用可能な任意の酵素に同一の、ポリペプチドが提供される。
さらに、本開示により、酵素のアミノ酸配列に変異があるアミノ酸配列を含む、アラニン2,3-アミノムターゼのペプチド(例えば、配列番号:21および/または30)のような、酵素ポリペプチドが提供される。変異配列には、単一の挿入、単一の欠失、単一の置換、複数の挿入、複数の欠失、複数の置換、またはその任意の組み合わせ(例えば、複数の挿入に加えて単一の欠失)が含まれてもよい。そのようなポリペプチドは、そのアミノ酸配列により記号化されたペプチドが所望の酵素活性を保持する限りにおいては、アラニン2,3-アミノムターゼの配列のような、酵素の配列と少なくとも60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、または99%の配列同一性を共有する。
変異アミノ酸配列を有するポリペプチドは、アラニン2,3-アミノムターゼ活性のような、酵素活性を保持することができる。そのようなポリペプチドを、部位特異的突然変異誘発法またはPCR法のような標準的な方法を用いて、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を操作することにより生産することができる。ある種の改変には、一個または複数個のアミノ酸残基(アミノ酸十個未満のような)の、類似の生化学的特性を有するアミノ酸残基への置換、即ち、保存的置換が含まれる。
さらに実質的な改変は、保存性の低い置換を選択することにより、例えば、以下の維持に対する置換の効果がより顕著に異なる残基を選択することにより行うことができる: (a) 例えば、シート構造もしくはらせん構造のような、置換領域にあるポリペプチド骨格の構造; (b) ポリペプチドの標的部位の電荷もしくは疎水性; または(c) 側鎖のかさ高さ。一般に、ポリペプチド機能に最も大きな変化をもたらすと予測される置換は、以下のものである: (a) 親水性残基、例えば、セリンもしくはスレオニンが疎水性残基、例えば、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、バリンもしくはアラニンと置き換わる(に置換される); (b) システインもしくはプロリンがその他の残基と置き換わる(に置換される); (c) 電気的に陽性の側鎖を有する残基、例えば、リジン、アルギニン、もしくはヒスチジンが電気的に陰性の側鎖、例えば、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸と置き換わる(に置換される); または(d) かさ高い側鎖を有する残基、例えば、フェニルアラニンが側鎖を有していない残基、例えば、グリシンと置き換わる(に置換される)。これらのアミノ酸置換(またはその他の欠失もしくは付加)の効果は、酵素活性を持つポリペプチドに対して、関連する野生型ポリペプチドと同じ基質の、関連する野生型ポリペプチドと同じ産物への変換を触媒するポリペプチドの能力を分析することにより評価することができる。従って、5、10、20、30、40、または50個未満の保存的置換を有するポリペプチドが、本明細書に提供される。
アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するポリペプチドをコードする単離された核酸、例えば、配列番号:20または29を含む配列もまた開示される。しかし、本開示には同様に、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するタンパク質またはペプチドをコードする能力を保持する、配列番号:20および29の変異体、融合体、および断片が包含される。一つの例として、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するポリペプチドをコードする単離された核酸を、プロモーター配列に操作可能に連結して、ベクターの一部とすることができる。核酸は、細胞を形質転換してそして形質転換細胞および/またはヒト以外の形質転換哺乳動物を生産するために使用できる、組換え核酸とすることができる。
アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するポリペプチドをコードする、少なくとも一つの外因性核酸分子(配列番号:20および/もしくは29またはアラニン2,3-アミノムターゼ活性を保持するその断片、融合体、もしくは変異体のような)を含む形質転換細胞が、開示される。一つの例として、そのような形質転換細胞により、α-アラニンからβ-アラニンが生産される。別の例として、この細胞により、3-HP、パントテン酸、CoA、および/または1,3-プロパンジオールのような有機化合物が生産される。
アラニン2,3-アミノムターゼ(配列番号:20および29)、リジン2,3-アミノムターゼ(配列番号:3および28)、およびβ-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ(配列番号:22)(ならびに本明細書に開示されるその他の酵素)のような、本明細書に開示される酵素をコードする核酸配列には、酵素をコードする全核酸配列のほか、所望の酵素活性を保持するその一部分が含まれる。例えば、酵素の核酸には、酵素の核酸配列の少なくとも15個の連続ヌクレオチドが含まれる。当然のことながら、本開示により同様に、長さが15ヌクレオチド(例えば、少なくとも16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、75、10、200、500またはそれ以上のヌクレオチド)を超え且つ配列番号:20および/または29に示されるアラニン2,3-アミノムターゼ配列のような、酵素配列の任意の部分に同一のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸が提供される。
さらに、本開示により、変異型アラニン2,3-アミノムターゼの核酸配列のような、酵素配列の変異を含む単離された酵素の核酸配列が提供される。変異体には、これによりコードされるペプチドがアラニン2,3-アミノムターゼ活性を保持している限り、単一の挿入、単一の欠失、単一の置換、複数の挿入、複数の欠失、複数の置換、またはその任意の組み合わせ(例えば、複数の挿入に加えて単一の欠失)が含まれてもよい。そのような単離された核酸分子は、その核酸によりコードされるペプチドが、アラニン2,3-アミノムターゼ活性のような、所望の酵素活性を保持する限りにおいては、アラニン2,3-アミノムターゼの配列のような、酵素の配列と少なくとも60、70、75、80、85、90、92、95、97、98、または99%の配列同一性を共有し得る。例えば、アラニン2,3-アミノムターゼの核酸配列に以下の変異をもたらすことができる: 配列番号:20に対しては、位置12の「a」を「g」と置換することができる; 位置1050の「g」を「a」と置換することができる; 位置255の「a」を「g」、「t」または「c」と置換することができる; 配列番号:29に対しては、位置6の「a」を「g」、「t」または「c」と置換することができる;位置66の「t」を「c」と置換することができる; および位置315の「g」を「a」、「t」または「c」と置換することができる。
特定の種に対する優先コドンおよびコドン使用頻度表は、その特定の種のコドン使用頻度の優先傾向をうまく利用した、単離核酸分子を遺伝子工学で生産するのに使用することができる。例えば、本明細書に開示される酵素は、関心のある特定生物により優先的に使用されるコドンを有するように設計することができる。
本開示により同様に、アラニン2,3-アミノムターゼのような、酵素をコードする単離された核酸配列であって、この配列は、長さが少なくとも約12塩基(例えば、長さが少なくとも約13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、100、250、500、750、1000、1500、2000、3000、4000または5000塩基)であり且つハイブリダイゼーション条件の下で、この酵素をコードする核酸のセンス鎖またはアンチセンス鎖にハイブリダイズする、単離された核酸配列が提供される。ハイブリダイゼーション条件は、適度なまたは高いストリンジェントのハイブリダイゼーション条件とすることができる。
ポリペプチドおよびポリペプチドをコードする核酸は、標準的なDNA突然変異誘発技術、例えば、M13プライマー変異誘発法により生産することができる。これらの技術の詳細は、Sambrookら(編)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd ed., vol. 1〜3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring, Harbor, N.Y., 1989, Ch. 15に記述されている。核酸分子には、その分子を導入しようとする特定生物のコドン使用頻度の偏向に適合するようなコード領域の改変が含まれていてもよい。
または、コード領域は、その核酸配列は実質的に改変されても、それでもなお野生型アミノ酸の配列に同一のまたは実質的に類似のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするようにコード配列を改変させるため、遺伝暗号の縮重をうまく利用して改変されてもよい。例えば、遺伝暗号の縮重により、アラニンは、以下の四種のヌクレオチド・トリプレット・コドンによりコードされる: GCT、GCA、GCC、およびGCG。従って、読み取り枠の核酸配列は、アラニンの位置で、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列またはポリペプチドの特性に影響を及ぼすことなく、これらのコドンのういのいずれかに変化させることができる。遺伝暗号の縮重に基づいて、核酸変異体を、本明細書に記載されているような標準的なDNA突然変異誘発技術による、または核酸配列の合成による核酸配列から得ることができる。従って、本開示には同様に、同一のポリペプチドをコードするが遺伝暗号の縮重に基づいて核酸配列が異なっている核酸分子が包含される。
アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する細胞
アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する細胞が開示される。そのような細胞は、α-アラニンからβ-アラニンを生産することができる。一つの例として、そのような細胞は、天然に存在する突然変異、および/または例えば、細胞を化学的もしくはUV突然変異誘発因子にさらすことで細胞の染色体(その複数)中に誘発される突然変異が原因となって、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する。アラニン2,3-アミノムターゼ活性を含む細胞は、真核細胞また原核細胞とすることができる。そのような細胞の例には、以下に限定されることはないが、ラクトバチルス(Lactobacillus)、乳酸球菌ラクトコッカス(Lactococcus)、バチルス(Bacillus)、大腸菌(Escherichia)、ジェオバシラス(Geobacillus)、コリネバクテリア(Corynebacterium)、クロストリジウム(Clostridium)、真菌、植物、および酵母細胞が含まれる。一つの例として、植物細胞は、形質転換植物のような、植物の一部分である。
一つの例として、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する細胞は、形質転換細胞である。そのような細胞には、アラニン2,3-アミノムターゼをコードする、少なくとも一つの外因性核酸分子、例えば、配列番号:20もしくは29を含む配列、またはアラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するタンパク質をコードする能力を保持するその変異体、断片、もしくは融合体が含まれる。一つの例として、外因性核酸分子は、原核生物の変異型リジン2,3-アミノムターゼのような、変異型リジン2,3-アミノムターゼである。具体的な例として、原核生物の変異型リジン2,3-アミノムターゼは、枯草菌(Bacillus subtilis)、デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)、クロストリジウム・サブテルミナレ(Clostridium subterminale)、アクイフェックス・アエロリカス(Aquifex aeolicus)、ヘモフィラス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)、大腸菌、またはポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の変異型リジン2,3-アミノムターゼである。その他のリジン2,3-アミノムターゼは、当技術分野において周知の方法を用いることにより、例えば、BLASTで類似配列を検索することによりおよび/またはハイブリダイゼーション法を用いることにより同定することができる。具体的な例として、変異型リジン2,3-アミノムターゼは、枯草菌(B. subtilis)の変異型リジン2,3-アミノムターゼまたはポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)の変異型リジン2,3-アミノムターゼである。別の例として、外因性核酸分子は、原核生物の変異型リジン5,6-アミノムターゼのような、変異型リジン5,6-アミノムターゼである。または、外因性核酸分子は、変異型ロイシン2,3-アミノムターゼ、またはクロストリジウム・スティクランジィ(C. sticklandii)の変異型リジン5,6-アミノムターゼのような、変異型リジン5,6-アミノムターゼである。
一つの特殊な例として、変異型リジン2,3-アミノムターゼは、L103、D339および/またはM136の位置が置換されている、枯草菌(B. subtilis)の変異型リジン2,3-アミノムターゼである。例えば、置換には、L103M、L103K、L103R、L103E、またはL103S置換を含むことができる。別のまたはさらなる例として、置換には、D339H、D339Q、D339T、またはD339N置換が含まれる。さらに別の例として、置換には、L103M、M136V置換、D339H置換、またはその任意の組み合わせを含むことができる。
アラニン2,3-アミノムターゼ活性のほかにその他の酵素活性も有する細胞が開示される。そのような細胞は、β-アラニン、3-HP、パントテン酸、CoA、および有機酸、1,3-プロパンジオールのような多価アルコール、アクリル酸、アクリル酸重合体、アクリル酸エステル、3-HP重合体、3-HPとその他の化合物(例えば酪酸、吉草酸およびその他の化合物)の共重合体、ならびに3-HPエステルを生産するのに使用することができる。
一つの例として、そのような細胞には同様に、アラニン・デヒドロゲナーゼまたはピルビン酸/グルタミン酸トランスアミナーゼ活性、CoAトランスフェラーゼまたはCoAシンテターゼ活性、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性、3-HP-CoAデヒドラターゼ活性、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼまたは3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性が含まれる。別の例として、そのような細胞には同様に、アラニン・デヒドロゲナーゼまたはピルビン酸-グルタミン酸トランスアミナーゼ活性、4-アミノ酪酸および/またはβ-アラニン-2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ活性、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性、ならびに3-HPまたは3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ活性が含まれる。これらの例では、3-HPを生産するのに細胞を使用することができる。
別の例として、細胞には同様に、アラニン・デヒドロゲナーゼまたはピルビン酸/グルタミン酸トランスアミナーゼ活性、CoAトランスフェラーゼまたはCoAシンテターゼ活性、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性、3-HP-CoAデヒドラターゼ活性、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性、ならびに3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼまたは3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性が含まれる。別の例として、そのような細胞には同様に、アラニン・デヒドロゲナーゼまたはピルビン酸-グルタミン酸トランスアミナーゼ活性、4-アミノ酪酸および/またはβ-アラニン-2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ活性、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性、ならびに3-HPまたは3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ活性; ならびにリパーゼまたはエステラーゼ活性が含まれる。そのような細胞は、3-ヒドロキシプロピオン酸メチル、3-ヒドロキシプロピオン酸エチル、3-ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3-ヒドロキシプロピオン酸ブチル、または3-ヒドロキシプロピオン酸2-エチルヘキシルのような、3-HPエステルを生産するのに使用することができる。
別の例として、細胞には同様に、アラニン・デヒドロゲナーゼまたはピルビン酸/グルタミン酸トランスアミナーゼ活性、CoAシンテターゼ活性、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性、3-HP-CoAデヒドラターゼ活性、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性; およびポリヒドロキシ酸シンターゼ活性が含まれる。そのような細胞は、3-HP重合体を生産するのに使用することができる。
さらに別の例として、細胞には同様に、アラニン・デヒドロゲナーゼまたはピルビン酸/グルタミン酸トランスアミナーゼ活性、CoAシンテターゼ活性、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性およびポリヒドロキシ酸シンターゼ活性が含まれる。そのような細胞は、アクリル酸重合体を生産するのに使用することができる。
別の例として、細胞には同様に、アラニン・デヒドロゲナーゼまたはピルビン酸/グルタミン酸トランスアミナーゼ活性、CoAトランスフェラーゼまたはCoAシンテターゼ活性、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性、およびリパーゼまたはエステラーゼ活性が含まれ、この場合、細胞は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、またはアクリル酸ブチルのような、アクリル酸エステルを生産するのに使用することができる。
或いは、そのような細胞には同様に、アラニン・デヒドロゲナーゼまたはピルビン酸/グルタミン酸トランスアミナーゼ活性、CoAトランスフェラーゼまたはCoAシンテターゼ活性、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性、3-HP-CoAデヒドラターゼ活性、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼまたは3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性、ならびにアルデヒドまたはアルコール・デヒドロゲナーゼ活性が含まれる。そのような細胞は、1,3-プロパンジオールを生産するのに使用することができる。
一つの例として、細胞は同様に、α-ケトパントイン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(酵素番号2.1.2.11)、α-ケトパントイン酸リダクターゼ(酵素番号1.1.1.169)、およびパントテン酸シンターゼ(酵素番号6.3.2.1)活性を有する。そのような細胞は、パントテン酸を生産するのに使用することができる。或いはまたはさらに、細胞は同様に、パントテン酸キナーゼ(酵素番号2.7.1.33)、4'-ホスホパンテテノイル-1-システイン・シンテターゼ(酵素番号6.3.2.5)、4'-ホスホパントテノイルシステイン・デカルボキシラーゼ(酵素番号4.1.1.36)、ATP:4'-ホスホパンテテイン・アデニルトランスフェラーゼ(酵素番号2.7.7.3)、およびデホスホ-CoAキナーゼ(酵素番号2.7.1.24)活性を有する。そのような細胞は、コエンザイムA(CoA)を生産するのに使用することができる。
アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する細胞を同定する方法
アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する細胞の同定方法が開示される。この方法には、panD遺伝子が機能的に欠失された、原核細胞のような細胞を、α-アラニンは含むがβ-アラニンもパントテン酸も含まれていない培地中で、または細胞が炭素、酸素、水素、および窒素の培地源からα-アラニンを生産できるが、β-アラニンもパントテン酸も含まれていない培地中で培養する段階、およびβ-アラニンまたはパントテン酸欠損培地中で増殖できる細胞を同定する段階が含まれる。特殊な例として、細胞は同様に、panF遺伝子も機能的に欠失される。細胞の増殖により、細胞がα-アラニンからβ-アラニンを生産していることが示唆され、このことから、細胞がアラニン2,3-アミノムターゼ活性を有することが示唆される。対照的に、細胞がβ-アラニンまたはパントテン酸欠損培地で増殖しないおよび/または生存しない場合には、細胞がα-アラニンからβ-アラニンを生産していないことが示唆され、このことから、細胞がアラニン2,3-アミノムターゼ活性を有していないことが示唆される。
一つの例として、panD遺伝子が機能的に欠失された細胞に、変異型リジン2,3-アミノムターゼ、変異型ロイシン2,3-アミノムターゼ、および/または変異型リジン5,6-アミノムターゼを含むライブラリーのような、一つまたは複数の変異型アミノムターゼを形質転換する。特殊な例として、細胞を培養およびスクリーニングする前に、細胞に変異型リジン2,3-アミノムターゼのライブラリーを形質転換する。リジン2,3-アミノムターゼ酵素は、以前に、クロストリジウム・サブテルミナレSB4(Clostridium subterminale SB4) (Chirpichら、J. Biol. Chem. 245: 1778〜89, 1970)および枯草菌(Bacillus subtilis) (Chenら、Biochem. J. 348: 539〜49, 2000)からクローニングされており、そしてリジンとβ-リジンの相互変換を触媒することが明らかにされている。変異型リジン2,3-アミノムターゼのような、変異型アミノムターゼを、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を与えるその能力についてスクリーニングすることができる。さらに、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するポリペプチドは、これまでに報告されていないが、そのような酵素が天然に存在しているかもしれない。従って、panD遺伝子が機能的に欠失された細胞に、アラニン2,3-アミノムターゼをコードする遺伝子を含むライブラリーを形質転換し、そしてα-アラニン、または細胞がα-アラニンを生成できるように、炭素、酸素、水素、および窒素源を含有するが、β-アラニンもパントテン酸も含有していない培地中で、この細胞を増殖させるその能力により、その遺伝子を単離することができる。
別の例として、この方法には、培地中で増殖する細胞を同定する段階に続いて、細胞にアラニン2,3-アミノムターゼ活性を与える、変異型アミノムターゼ(その複数)の変異を同定する段階がさらに含まれる。突然変異を同定するため、アミノムターゼの核酸またはアミノ酸を、配列決定することができる、そして細胞にアラニン2,3-アミノムターゼ活性を与える突然変異を同定するため、非変異型アミノムターゼの配列と比較することができる。
アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するペプチドの生産方法
アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するアラニン2,3-アミノムターゼ・ペプチドを生産する方法が開示される。この方法には、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する開示の細胞を、この細胞がアラニン2,3-アミノムターゼ・ペプチドを生産することを可能とする条件の下で、培養する段階が含まれる。一つの例として、この方法には、アラニン2,3-アミノムターゼが生産されるように、アラニン2,3-アミノムターゼをコードする、一つまたは複数の外因性核酸分子(例えば、配列番号:20および/もしくは29またはアラニン2,3-アミノムターゼ活性を保持するその変異体、融合体、もしくは断片を含む配列)を有する細胞を培養する段階が含まれる。
α-アラニンからβ-アラニンを作製する方法が同様に開示される。一つの例として、この方法には、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する開示の細胞を、この細胞がα-アラニンからβ-アラニンを生産することを可能とする条件の下で、培養する段階が含まれる。一つの例として、この方法には、アラニン2,3-アミノムターゼがα-アラニンからβ-アラニンを生産できるように、アラニン2,3-アミノムターゼをコードする、一つまたは複数の外因性核酸分子を有する細胞を培養する段階が含まれる。一つの例として、外因性核酸は、配列番号:20および/もしくは29またはアラニン2,3-アミノムターゼ活性を保持するその変異体、融合体、もしくは断片を含む配列である。
特殊な例として、細胞は、panD遺伝子が、またはpanD遺伝子とpanF遺伝子が機能的に欠失されている。
3-HP、パントテン酸、およびその誘導体を生産するための経路
開示のアラニン2,3-アミノムターゼ配列およびアラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する開示の細胞の使用のような、アラニン2,3-アミノムターゼによる、α-アラニンからのβ-アラニンの生産に関する方法および材料が開示される。さらに、β-アラニンからのパントテン酸および3-HPの生産のほか、CoAならびに有機化合物、例えば1,3-プロパンジオール、アクリル酸、アクリル酸重合体、アクリル酸エステル、3-HP重合体、3-HPとその他の化合物(例えば酪酸、吉草酸およびその他の化合物)の共重合体、および3-HPエステルの生産に関する方法および材料が開示される。具体的には、本開示により、β-アラニン、パントテン酸および3-HPのほかに、CoAならびに有機化合物、例えば1,3-プロパンジオール、アクリル酸、アクリル酸重合体、アクリル酸エステル、3-HP重合体、および3-HPエステルのようなその誘導体をいっそう効率的に作製するために使用することが可能となる、アラニン2,3-アミノムターゼの核酸(例えば、配列番号:20および29)、ポリペプチド(例えば、配列番号:21および30)、宿主細胞、ならびにα-アラニンからβ-アラニンを生産するための方法および材料が提供される。
幾つかの代謝経路を、α-アラニンから生産されたβ-アラニンから有機化合物を生産するために利用することができる(図1および3)。
3-HDおよびその誘導体の経路
図1に示されるように、β-アラニンは、CoAトランスフェラーゼ活性(酵素番号2.8.3.1)またはCoAシンターゼ活性(酵素番号6.2.1.-)を有するポリペプチドを使用して、β-アラニル-CoAに変換可能である。β-アラニンは、α-アラニンをβ-アラニンに変換する宿主細胞中の内在性ポリペプチドにより、ならびに/または配列番号:20および/もしくは29、またはアラニン2,3-アミノムターゼ活性を保持するその断片、変異体、もしくは融合体を含む配列のような、組換え型アラニン2,3-アミノムターゼで形質転換された細胞を用いることにより、α-アラニンから生産可能である。β-アラニル-CoAは次に、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性(酵素番号4.3.1.6)を有するポリペプチドを使用して、アクリリル-CoAに変換可能である。アクリリル-CoAは次に、3-HP-CoAデヒドラターゼ活性(酵素番号4.2.1.-) を有するポリペプチドを使用して、3-ヒドロキシプロピオニル-CoA(3-HP-CoA)に変換可能である。3-HP-CoAは次に、以下: CoAトランスフェラーゼ活性(酵素番号2.8.3.1)を有するポリペプチド、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼ活性(酵素番号3.1.2.-)を有するポリペプチド、および3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性(酵素番号3.1.2.4)を有するポリペプチドを含むがこれらに限定されることはない、3-HP-CoAを3-HPに変換するために使用できる、幾つかの酵素により3-HPに変換可能である。
図1に示されるように、3-HPは、β-アラニンからマロン酸セミアルデヒドを生成する、4-アミノ酪酸および/またはβ-アラニン-2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドを使用して、β-アラニンから生産することができる。マロン酸セミアルデヒドは、3-HPデヒドロゲナーゼ活性(酵素番号1.1.1.59)を有するポリペプチドまたは3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ活性(酵素番号1.1.1.31)を有するポリペプチドにより、3-HPに変換可能である。
3-HPの誘導体は、図1に示されるように、β-アラニンから生産することができる。結果的に得られる3-HP-CoAは、ポリヒドロキシ酸シンターゼ活性(酵素番号2.3.1.-) を有するポリペプチドにより、3-HP重合体に変換可能である。或いはまたはさらに、3-HP-CoAは、オキシドリダクターゼ活性またはリダクターゼ活性を有するポリペプチドにより、1,3-プロパンジオールに変換可能である。
結果的に得られるアクリリル-CoAは、ポリヒドロキシ酸シンターゼ活性(酵素番号2.3.1.-) を有するポリペプチドにより、アクリル酸重合体に変換可能である。或いはまたはさらに、アクリリル-CoAは、CoAトランスフェラーゼ活性および/またはCoAヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドにより、アクリル酸に変換可能であり;そして結果的に得られるアクリル酸は、リパーゼまたはエステラーゼ活性を有するポリペプチドにより、アクリル酸エステルに変換可能である。
結果的に得られる3-HPは、リパーゼまたはエステラーゼ活性(酵素番号3.1.1.-)を有するポリペプチドにより、3-HPエステルに変換可能である。或いはまたはさらに、1,3-プロパンジオールは、アルデヒド・デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドとアルコール・デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドとの組み合わせにより、3-HPから生産することができる。
パントテン酸およびその誘導体の経路
図3に示されているように、パントテン酸は、β-アラニンをパントテン酸に変換する、α-ケトパントイン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(酵素番号2.1.2.11)、α-ケトパントイン酸リダクターゼ(酵素番号1.1.1.169)、およびパントテン酸シンターゼ(酵素番号6.3.2.1)活性を有するペプチドにより、β-アラニンから生産することができる。
パントテン酸の誘導体は、以下のように、β-アラニンから生産することができる。結果的に得られるパントテン酸は、パントテン酸キナーゼ(酵素番号2.7.1.33)、4'-ホスホパンテテノイル-1-システイン・シンテターゼ(酵素番号6.3.2.5)、4'-ホスホパントテノイルシステイン・デカルボキシラーゼ(酵素番号4.1.1.36)、ATP:4'-ホスホパンテテイン・アデニルトランスフェラーゼ(酵素番号2.7.7.3)、およびデホスホ-CoAキナーゼ(酵素番号2.7.1.24)活性を有するポリペプチドにより、CoAに変換可能である。
酵素
リジン2,3-アミノムターゼ活性を有するポリペプチドならびにそのようなポリペプチドをコードする核酸は、以下: クロストリジウム・サブテルミナレ(Clostridium subterminale)、大腸菌、枯草菌(B. subtilis)、デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、アクイフェックス・アエロリカス(Aquifex aeolicus)、またはヘモフィラス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)を含むがこれらに限定されることはない、さまざまな種から得られる。例えば、リジン2,3-アミノムターゼ活性を有するアミノ酸配列は、枯草菌(B. subtilis)については配列番号:31に、そしてポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)については配列番号:28に示されている。
別の例として、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸は、枯草菌(B. subtilis)については配列番号:20に示されている(その対応するアミノ酸配列は、配列番号:21に示されている)、そしてポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)については配列番号:29に示されている(その対応するアミノ酸配列は、配列番号:30に示されている)。さらに、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するその他のポリペプチドならびにそのようなポリペプチドをコードする核酸は、本明細書に記載の方法を用いて得ることができる。例えば、アラニン2,3-アミノムターゼ変異体は、上述のアラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するポリペプチドをコードするように使用可能である。
CoAトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドならびにそのようなポリペプチドをコードする核酸は、メガスフェラ・エルスデニイ(Megasphaera elsdenii)、クロストリジウム・プロピオニカム(Clostridium propionicum)、クロストリジウム・クルイベリ(Clostridium kluyveri)、および大腸菌を含むがこれらに限定されることはない、さまざまな種から得られる。例えば、CoAトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸は、メガスフェラ・エルスデニイ(M. elsdenii)については配列番号:24に示されている。さらに、CoAトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド(配列番号:25)ならびにそのようなポリペプチドをコードする核酸(配列番号:24)は、本明細書に記載されているように得ることができる。例えば、CoAトランスフェラーゼ変異体は、CoAトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするように使用可能である。例えば、CoAトランスフェラーゼの核酸配列(配列番号:24)に以下の変異をもたらすことができる: 位置49の「a」を「c」と置換することができる; 位置590の「a」を「atgg」と置換することができる; 位置393の「g」の前に「aaac」を挿入することができる; または位置736の「gaa」を欠失させることができる。当然のことながら、配列表に記載の配列には、そのペプチドがCoAトランスフェラーゼ活性を保持する限り、任意の数の変異ならびに任意の組み合わせの変異の種類が含まれてもよい。さらに、配列番号:25に示されるCoAトランスフェラーゼのアミノ酸配列に、以下の変異をもたらすことができる:位置17の「k」を「p」または「h」と置換することができる; および位置125の「v」を「i」または「f」と置換することができる。
β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性を有するポリペプチドならびにそのポリペプチドをコードする核酸は、クロストリジウム・プロピオニカム(C. propionicum)を含むがこれに限定されることはない、さまざまな種から得られる。例えば、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性を有するポリペプチド複合体をコードする核酸は、実施例10に記載されているように、クロストリジウム・プロピオニカム(C. propionicum)から得られる。β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼをコードする核酸には、配列番号:22に記載の配列が含まれてもよい。さらに、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性を有するポリペプチド(配列番号:23)ならびにそのポリペプチドをコードする核酸(配列番号:22)は、本明細書に記載されているように得ることができる。例えば、配列番号:22に示されるβ-アラニル-CoAアンモニアリアーゼの配列に対する変異を利用して、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするようにできる。
3-ヒドロキシプロピオニル-CoAデヒドラターゼ活性(アクリリル-CoAヒドラターゼ活性とも呼ばれる)を有するポリペプチドならびにそのポリペプチドをコードする核酸は、クロロフレクサス・アウランティアクス(Chloroflexus aurantiacus)、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)、ロドスピリラム ルブルム(Rhodosprillium rubrum)、およびロドバクター カプスラタス(Rhodobacter capsulates)を含むがこれらに限定されることはない、さまざまな種から得られる。例えば、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAデヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸は、国際公開公報第02/42418号に開示されている。
グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドならびにそのポリペプチドをコードする核酸は、さまざまな種から得られる。
3-ヒドロキシプロピオニル-CoAまたは3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性を有するポリペプチド、ならびにそのポリペプチドをコードする核酸は、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、ラッタス・ラッタス(Rattus rattus)、およびホモ・サピエンス(Homo sapins)を含むがこれらに限定されることはない、さまざまな種から得られる。例えば、3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸は、ホモ・サピエンス(H. sapins)から得られる、そしてGenBankアクセッション番号U66669に規定の配列を有する。
4-アミノ酪酸および/またはβ-アラニン-2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ、3-HPデヒドロゲナーゼ、ならびに3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドもそのポリペプチドをコードする核酸も、さまざまな種から得られる。
ポリヒドロキシ酸シンターゼ活性を有するポリペプチドならびにそのポリペプチドをコードする核酸は、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、コマモナス・アシドボランス(Comamonas acidororans)、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)、およびシュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)を含むがこれらに限定されることはない、さまざまな種から得られる。例えば、ポリヒドロキシ酸シンターゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸は、ロドバクター・スフェロイデス(R. sphaeroides)から得られ、そしてGenBankアクセッション番号X97200に規定の配列を有する。ポリヒドロキシ酸シンターゼに関するさらなる情報は、Songら(Biomacromolecules 1 : 433〜9, 2000)に記載されている。
アセチル化アルデヒド:NAD(+)オキシドリダクターゼ活性(酵素番号1.2.1.10)を有するポリペプチドならびにそのポリペプチドをコードする核酸は、大腸菌を含むがこれに限定されることはない、さまざまな種から得られる。例えば、アシル化アルデヒド・デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸は、大腸菌から得られ、そしてGenBankアクセッション番号Y09555に規定の配列を有する。
アルデヒド:NAD(+)オキシドリダクターゼ活性およびアルコール:NAD(+)オキシドリダクターゼ活性は、上述の二つの異なるポリペプチドにより達成される、または大腸菌由来の多機能アルデヒド-アルコール・デヒドロゲナーゼ(酵素番号1.2.1.10)(Goodloveら、Gene 85: 209〜14, 1989 ; GenBankアクセッション番号M33504)のような、単一のポリペプチドにより達成される。
アルデヒド・デヒドロゲナーゼ(NAD(P)+)(酵素番号1.2.1.-)活性を有するポリペプチドならびにそのポリペプチドをコードする核酸は、サッカロマイセス・セレヴィシエ(S. cerevisiae)を含むがこれに限定されることはない、さまざまな種から得られる。例えば、アルデヒド・デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸は、サッカロマイセス・セレヴィシエ(S. cerevisiae)から得られ、そしてGenBankアクセッション番号Z75282(Tessierら、FEMS Microbiol. Lett. 164: 29〜34,1998)に規定の配列を有する。
アルコール・デヒドロゲナーゼ活性(酵素番号1.1.1.1)を有するポリペプチドならびにそのポリペプチドをコードする核酸は、ザイモモナス・モビリス(Z. mobilis)を含むがこれに限定されることはない、さまざまな種から得られる。例えば、アルコール・デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸は、ザイモモナス・モビリス(Z. mobilis)から得られ、そしてGenBankアクセッション番号M32100に規定の配列を有する。
リパーゼ活性を有するポリペプチドならびにそのポリペプチドをコードする核酸は、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を含むがこれらに限定されることはない、さまざまな種から得られる。例えば、リパーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸は、カンジダ・ルゴサ(C.rugosa)から得られ、そしてGenBankアクセッション番号A81171に規定の配列を有する。
α-ケトパントイン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼおよびパントテン酸シンターゼ活性を有するポリペプチドならびにそのポリペプチドをコードする核酸は、大腸菌を含むがこれらに限定されることはない、さまざまな種から得られる。例えば、α-ケトパントイン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼおよびパントテン酸シンターゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸は、大腸菌から得られ、そしてGenBankアクセッション番号L17086に規定の配列を有する。
α-ケトパントイン酸リダクターゼ、パントテン酸キナーゼ、4'-ホスホパンテテノイル-1-システイン・シンテターゼ、4'-ホスホパントテノイルシステイン・デカルボキシラーゼ、ATP:4'-ホスホパンテテイン・アデニルトランスフェラーゼ、およびデホスホ-CoAキナーゼ活性を有するポリペプチド、ならびにそのポリペプチドをコードする核酸は、大腸菌を含むがこれらに限定されることはない、さまざまな種から得られる。例えば、α-ケトパントイン酸リダクターゼ、パントテン酸キナーゼ、4'-ホスホパンテテノイル-1-システイン・シンテターゼ、4'-ホスホパントテノイルシステイン・デカルボキシラーゼ、ATP:4'-ホスホパンテテイン・アデニルトランスフェラーゼ、およびデホスホ-CoAキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸は、大腸菌から得られ、そしてGenBankアクセッション番号NC000913に規定の配列を有する。
「酵素活性を持つポリペプチド」という用語は、それ自体は反応の完了と同時に破壊または改変されることなく、他の物質の化学反応を触媒する、任意のポリペプチドを指す。通常、酵素活性を持つポリペプチドは、一つまたは複数の基質からの一つまたは複数の産物の形成を触媒する。そのようなポリペプチドは、アラニン2,3-アミノムターゼ、デヒドラターゼ/ヒドラターゼ、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAデヒドラターゼ/ヒドラターゼ、アラニン・デヒドロゲナーゼ、CoAトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼ、3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ、CoAヒドロラーゼ、ポリヒドロキシ酸シンターゼ、β-アラニン・アンモニアリアーゼ、4-アミノ酪酸またはβ-アラニン-2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ、3-HPデヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、アセチル化アルデヒド:NAD(+)オキシドリダクターゼ、アルコール:NAD(+)オキシドリダクターゼ、アルデヒド・デヒドロゲナーゼ、アルコール・デヒドロゲナーゼ、ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、リダクターゼ、シンターゼ、キナーゼ、シンテターゼ、デカルボキシラーゼ、α-ケトパントイン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、α-ケトパントイン酸リダクターゼ、パントテン酸シンターゼ、パントテン酸キナーゼ、4'-ホスホパンテテノイル-1-システイン・シンテターゼ、4'-ホスホパントテノイルシステイン・デカルボキシラーゼ、ATP:4'-ホスホパンテテイン・アデニルトランスフェラーゼ、デホスホ-CoAキナーゼ、アセチル化アルデヒド:NAD(+)オキシドリダクターゼ、アルコール:NAD(+)オキシドリダクターゼ、アルデヒド・デヒドロゲナーゼ(NAD(P)+)、アルコール・デヒドロゲナーゼおよびアデニルトランスフェラーゼのような酵素と関連した、酵素活性または酵素活性(複数)を含むがこれらに限定されることはない、いかなる種類の酵素活性も有することができる。
3-HP、パントテン酸、およびその誘導体の作製方法
図1および3に描かれた経路に規定されている各段階は、細胞内で(インビボで)または細胞外で(インビトロで、例えば、容器中またはカラム中で)行うことができる。さらに、有機化合物は、インビボ合成およびインビトロ合成を組み合わせることにより、生成させることができる。さらに、インビトロ合成の段階または段階(複数)は、化学反応または酵素反応を介してもよい。
例えば、図1および3に規定されている段階を実行するために、本明細書で提供される細胞または微生物を使用することができる、または図1および3に規定されている段階を実行するために、指定の酵素活性を持つポリペプチドを含有する抽出物を使用することができる。さらに、図1および3に規定されている変換を実行するために、化学処理を利用することができる。例えば、アクリリル-CoAは、加水分解処理によりアクリル酸に変換することができる。その他の化学処理には、アクリル酸をアクリル酸エステルに変換するトランスエステル化処理が含まれるが、これに限定されることはない。
ポリペプチドの発現
図1に挙げられている酵素のような、本明細書に記載のポリペプチドは、宿主細胞中で個別に、または宿主細胞中で一緒に生産させることができる。さらに、特定の酵素活性を持つポリペプチドは、天然に存在するまたは天然に存在しないポリペプチドとすることができる。天然に存在するポリペプチドは、野生型および多型ポリペプチドを含む、天然に見られるようなアミノ酸配列を有する任意のポリペプチドである。天然に存在するポリペプチドは、動物(例えば、哺乳動物)、植物、真菌、および細菌種を含むがこれらに限定されない、任意の種から得られる。天然に存在しないポリペプチドは、天然には見られないアミノ酸配列を有する任意のポリペプチドである。従って、天然に存在しないポリペプチドは、天然に存在するポリペプチドの変異型、または遺伝子工学で作り変えられたポリペプチドとすることができる。例えば、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を持つ天然に存在しないポリペプチドは、リジン2,3-アミノムターゼ活性を持つ天然に存在するポリペプチドの改変型とすることができ、これは少なくともいくらかのアラニン2,3-アミノムターゼ活性(配列番号:21および/または30のような)を有する。ポリペプチドは、例えば、配列の付加、欠失、置換、またはその組み合わせにより変異させることができる。
開示の遺伝子組換え細胞を、本明細書に記載の経路中の段階の一つまたは複数の段階を実行するのに使用することができる、またはその遺伝子組換え細胞を、後にインビトロで使用することを目的とした開示のポリペプチドを生産するのに使用することができる。例えば、個々の微生物は、図1および3に描かれた段階を実行するのに必要な各ポリペプチドをコードする外因性核酸/核酸(複数)を含むことができる。そのような細胞は、任意の数の外因性核酸分子を含むことができる。例えば、特定の細胞は、一つ、二つ、三つ、または四つの異なる外因性核酸分子を、それぞれが、図1に示されるようにピルビン酸を3-HPに変換するのに必要なポリペプチド/ポリペプチド(複数)をコードするように含むことができる、または特定の細胞は内在的に、ピルビン酸をアクリリル-CoAに変換するのに必要なポリペプチドを生産することができる一方で、アクリリル-CoAを3-HPに変換するのに必要なポリペプチドをコードする外因性核酸を含むことができる。
さらに、単一の外因性核酸分子は、一つの、または二つ以上の、ポリペプチドをコードすることができる。例えば、単一の外因性核酸分子は、二つ、三つ、またはさらに四つの異なるポリペプチドをコードする配列を含むことができる。さらに、本明細書に記載の細胞は、特定の酵素のような、特定の外因性核酸分子の、単一コピー、または複数コピー(例えば、約5、10、20、35、50、75、100または150コピー)を含むことができる。本明細書に記載の細胞は、二つ以上の特定の外因性核酸を含むことができる。例えば、特定の細胞は、外因性核酸分子Xの約50コピーのほかに外因性核酸分子Yの約75コピーを含むことができる。
別の例として、細胞は、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するポリペプチド、例えば、配列番号:20および/または29(またはアラニン2,3-アミノムターゼ活性を保持するその変異体、断片、もしくは融合体)をコードする外因性核酸分子を含むことができる。そのような細胞は、パントテン酸のような、β-アラニンの代謝産物の生産により検出される活性を含む、いくらかの検出可能なレベルのアラニン2,3-アミノムターゼ活性を有することができる。例えば、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するポリペプチドをコードする外因性核酸分子を含有する細胞は、細胞の乾燥重量1 gにつき1時間当たりに形成されるβ-アラニンが約1μgを超える(例えば、細胞の乾燥重量1 gにつき1時間当たりに形成されるβ-アラニンが約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、200、250、300、350、400、500μg、またはそれ以上を超える)特異活性で、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有することができる。または、細胞は、総タンパク質1 mgにつき1分間当たりに形成されるβ-アラニンが約1 ngを超える(例えば、総タンパク質1 mgにつき1分間当たりに形成されるβ-アラニンが約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、200、250、300、350、400、500 ng、またはそれ以上を超える)特異活性を細胞1×106個からの細胞抽出物が有するように、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有することができる。
酵素活性を持つポリペプチドをコードする核酸分子は、本明細書に記載されている方法のような任意の方法を用いて同定することおよび得ることができる。例えば、酵素活性を持つポリペプチドをコードする核酸分子は、PCR法を含む、一般的な分子クローニングまたは核酸化学合成の手順および技術を用いて同定することおよび得ることができる。さらに、標準的な核酸塩基配列決定技術および遺伝コードに基づいて核酸配列をアミノ酸配列に翻訳するソフトウェア・プログラムは、特定の核酸が周知の酵素ポリペプチドと配列相同性を有するか否かを決定するのに使用することができる。種々の配列を比較するために、MEGALIGN (DNASTAR, Madison, WI, 1997)のような配列アライメント・ソフトウェアを使用することができる。
さらに、周知の酵素ポリペプチドをコードする核酸分子を、一般的な分子クローニング技術(例えば、部位特異的突然変異誘発法)により突然変異させることができる。起こり得る突然変異には、欠失、挿入、および塩基置換、ならびに欠失、挿入、および塩基置換の組み合わせが含まれるが、これらに限定されることはない。さらに、酵素活性を持つポリペプチドをコードする核酸配列を同定するために、核酸およびアミノ酸のデータベース(例えば、GenBank)を使用することができる。簡単に言えば、酵素活性を持つポリペプチドにいくらかの相同性がある任意のアミノ酸配列、または酵素活性を持つポリペプチドをコードする配列にいくらかの相同性がある任意の核酸配列を、GenBankを検索するためのクエリー(問い合わせ配列)として使用することができる。同定されたポリペプチドを次に、これらが酵素活性を示すか否かを決定するために解析することができる。
さらに、核酸ハイブリダイゼーション技術を、酵素活性を持つポリペプチドをコードする核酸分子を同定するおよび得るために使用することができる。簡単に言えば、周知の酵素ポリペプチド、またはその断片をコードする任意の核酸分子を、適度乃至高いストリンジェンシーの条件の下で、ハイブリダイゼーションによって類似の核酸分子を同定するためのプローブとして使用することができる。そのような類似の核酸分子を次に、これによりコードされるポリペプチドが酵素活性を持つかどうか決定するため、単離し、配列決定し、そして解析することができる。
発現クローニング技術を同様に、酵素活性を持つポリペプチドをコードする核酸分子を同定するおよび得るために使用することができる。例えば、特定の酵素ポリペプチドと相互作用することが知られている基質を、その酵素ポリペプチドを含有するファージ・ディスプレイ・ライブラリーをスクリーニングするために使用することができる。ファージ・ディスプレイ・ライブラリーは、報告されている(Burrittら、Anal. Biochem. 238: 1〜13, 1990)ように作製することができる、またはNovagen社(Madison, WI)のような商業的供給業者から入手することができる。
さらに、ポリペプチド配列決定技術を、酵素活性を持つポリペプチドをコードする核酸分子を同定するおよび得るために使用することができる。例えば、精製されたポリペプチドをゲル電気泳動法により分離することが可能であり、そしてそのアミノ酸配列を例えば、アミノ酸の微量配列決定技術により決定することが可能である。いったん決定してしまえば、そのアミノ酸配列は、縮重オリゴヌクレオチドプライマーを設計するために使用可能である。縮重オリゴヌクレオチドプライマーは、PCR法により、ポリペプチドをコードする核酸を得るために使用することができる。いったん得てしまえば、その核酸を配列決定し、適当な発現ベクターにクローニングし、そして微生物に導入することができる。
外因性核酸分子を細胞に導入するための任意の方法を使用することができる。例えば、熱ショック、リポフェクション、エレクトロポレーション、接合、原形質融合、およびバイオリスティックによる輸送は、核酸を細菌および酵母細胞に導入するための一般的な方法である(例えば、Itoら、J. Bacterol. 153: 163〜8, 1983 ; Durrensら、Curr. Genet. 18: 7〜12, 1990 ; Sambrookら、Molecular cloning : A laboratory manual, Cold Spring Harbour Laboratory Press, New York, USA, 第二版, 1989;ならびにBeckerおよびGuarente、Methods in Enzynology 194: 182〜7, 1991を参照されたい)。外因性核酸分子からアミノ酸配列を発現させるその他の方法には、調節要素により、ポリペプチドをコードする核酸配列の発現が促進されるように核酸を構築することが含まれるが、これに限定されることはない。通常、調節要素は、他のDNA配列の発現を転写レベルで調節するDNA配列である。このように、調節要素には、プロモーター、エンハンサーなどが含まれるが、これらに限定されることはばい。任意の種類のプロモーターを、外因性核酸分子からアミノ酸配列を発現させるのに使用することができる。プロモーターの例には、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、および特定の刺激(例えば、光、酸素、化学物質の濃度)に応答するまたは応答しないプロモーターが含まれるが、これらに限定されることはない。核酸を哺乳動物細胞に移入する方法(ウイルス・ベクターを用いるような)も同様に知られている。
本開示の特定の細胞内に含まれる外因性核酸分子は、あらゆる形態で、その細胞内に維持される。例えば、外因性核酸分子は、細胞のゲノムに組み込まれるかまたはエピソームの状態で維持される。即ち、細胞は、安定的なまたは一過性の形質転換細胞とすることができる。微生物は、酵素をコードする核酸のような、特定の外因性核酸分子を、単一または複数コピー(例えば、約5、10、20、35、50、75、100または150コピー)含むことができる。
宿主細胞による有機酸および関連産物の生産
本明細書に提供される核酸およびアミノ酸配列は、β-アラニン、パントテン酸および3-HPのほか、CoA、ならびに有機化合物、例えば1,3-プロパンジオール、アクリル酸、アクリル酸重合体、アクリル酸エステル、3-HPエステル、および3-HP重合体のようなその誘導体を生産するために、細胞とともに使用することができる。そのような細胞は、米国立衛生研究所の分類学のウェブページ内に掲載されているもののような、任意の種由来とすることができる。細胞は、真核細胞または原核細胞とすることができる。例えば、遺伝子組換え細胞は、哺乳動物細胞(例えば、ヒト、マウス、およびウシ細胞)、植物細胞(例えば、トウモロコシ、小麦、米、および大豆細胞)、真菌細胞(例えば、アスペルギルス(Aspergillus)およびリゾープス(Rhizopus)細胞)、酵母細胞、または細菌細胞(例えば、ラクトバチルス(Lactobacillus)、乳酸球菌ラクトコッカス(Lactococcus)、バチルス(Bacillus)、大腸菌(Escherichia)、およびクロストリジウム(Clostridium)細胞)とることができる。一つの例として、細胞は、微生物である。「微生物」という用語は、細菌、藻類、真菌、および原虫を含むがこれらに限定されることはない、任意のミクロ生物を指す。従って、大腸菌、枯草菌(B. subtilis)、バチルス・リケニフェルミス(B. licheniformis)、サッカロマイセス・セレヴィシエ(S. cerevisiae)、クルベロマイセス・ラクティス(Kluveromyces lactis)、カンジダ・ブランキイ(Candida blankii)、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)、およびピチア・パストリス(Pichia pastoris)は、微生物であり、本明細書の記載に従って使用することができる。別の例として、細胞は、より大きな生物、例えば植物の一部分、例えば形質転換植物である。β-アラニンから3-HP、パントテン酸、またはその他の有機化合物を生産するのに使用できる植物の例には、トウモロコシ、米、小麦、および大豆のような遺伝子組み換え作物が含まれるが、これらに限定されることはない。
一つの例として、細胞は、特定の有機化合物が生産されるように遺伝子組換えされる。一つの態様として、細胞は、図1および3に示される経路のように、β-アラニンから3-HPおよび/またはパントテン酸を生産する。別の態様として、細胞は、CoA、ならびに有機化合物、例えば1,3-プロパンジオール、アクリル酸、アクリル酸重合体、アクリル酸エステル、3-HPエステル、および3-HP重合体のような、3-HPおよび/またはパントテン酸の誘導体を生産する。
一つの例として、特定の有機化合物を合成するように遺伝子組換えされた細胞は、特異的酵素活性を持つポリペプチドをコードする、一つまたは複数の外因性核酸分子を含む。例えば、微生物は、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAデヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードする外因性核酸を含むことができる。この場合、アクリリル-CoAは、3-ヒドロキシプロピオン酸-CoA(これにより、3-HPの生産がもたらされる)に変換される。細胞には、その細胞により通常生産されない化合物の生産を触媒する酵素活性を持つポリペプチドをコードする、外因性核酸分子を投与することができる。または、細胞には、その細胞により通常生産される化合物の生産を触媒する酵素活性を持つポリペプチドをコードする、外因性核酸分子を投与することができる。この場合、遺伝子組換えされた細胞は、遺伝子組換えされていない類似細胞よりも、化合物をいっそう多く生産することができる、または化合物をいっそう効果的に生産することができる。
別の例として、3-HP、パントテン酸、および/またはその誘導体を形成させる酵素活性を持つポリペプチドをコードする、外因性核酸分子を含有する細胞が、開示される。生産された産物/産物(複数)は、細胞から分泌されるので、有機化合物を回収するために細胞膜を破壊する必要がない。一つの例として、細胞は、3-HP、パントテン酸、および/またはその誘導体を、産物/産物(複数)の濃度が少なくとも約100 mg/L(例えば、少なくとも約1 g/L、 5 g/L、10 g/L、25 g/L、50 g/L、75 g/L、80 g/L、90 g/L、100 g/L、または120 g/L)で生産する。特定の細胞に対する、3-HP、パントテン酸、および/またはその誘導体の収率を決定する場合、いずれかの方法を使用することができる。例えば、Applied Environmental Microbiology 59 (12): 4261〜5 (1993)を参照されたい。本開示の範囲内の細胞は、種々の炭素源を利用することができる。
細胞は、3-HP、パントテン酸、ならびに/またはCoA、1,3-プロパンジオール、アクリル酸、アクリル酸重合体、アクリル酸エステル、3-HPエステル、および3-HPを含有する重合体や共重合体のような、その誘導体を形成させる酵素活性を持つポリペプチド/ポリペプチド(複数)をコードする、一つまたは複数の外因性核酸分子を含むことができる。外因性核酸/外因性核酸(複数)を含む細胞の同定方法は、よく知られている。そのような方法には、PCR法ならびにノザンおよびサザン解析のような核酸ハイブリダイゼーション法(本明細書に記載のハイブリダイゼーション法を参照されたい)が含まれるが、これらに限定されることはない。ある場合には、細胞が、特定の核酸/核酸(複数)を含むかどうか、その特定の核酸分子/核酸分子(複数)によりコードされるポリペプチド/ポリペプチド(複数)の発現を検出することにより決定するのに、免疫組織化学的および生化学的な方法を使用することができる。例えば、ポリペプチドに対する特異性を有する抗体を、特定の細胞がそのポリペプチドをコードする核酸を含むか否かを決定するのに使用することができる。さらに、細胞が、酵素活性を持つポリペプチドをコードする特定の核酸分子を含むかどうか、酵素活性を持つポリペプチドの発現の結果として生産される有機化合物を検出することにより決定するのに、生化学的な方法を使用することができる。例えば、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAデヒドラターゼ活性を持つポリペプチドをコードする外因性核酸を、そのようなポリペプチドを通常発現しない細胞に導入した後に3-HPが検出されれば、細胞が、導入された外因性核酸分子を含むだけでなく、その導入された外因性核酸分子から、コードされるポリペプチドを発現することが示唆される。特異的な酵素活性または特定の有機生成物の存在を検出する方法は、よく知られており、例えば、3-HPのような有機化合物の存在を、SullivanおよびClarke (J. Assoc. Offic. Agr. Chemists, 38: 514〜8, 1955)に記載されているように決定することができる。
ポリペプチド活性が低下した細胞
ポリペプチド活性が低下した、遺伝子組換え細胞が開示される。細胞および特定のポリペプチド活性に関して「低下した」または「減少した」という用語を本明細書で使用する場合、同一種の対応細胞で測定される活性よりも低いレベルの活性を指す。例えば、酵素活性Xを欠く特定の微生物は、対応する微生物が少なくともある程度の酵素活性Xを有する場合、酵素活性Xが低下している。
細胞は、酵素、転写因子、輸送体、受容体、シグナル分子などを含むがこれに限定されることはない、任意の種類のポリペプチドの活性が低下され得る。例えば、細胞は、panD(遺伝子由来)活性を有するポリペプチドの調節配列および/またはコード配列を破壊する外因性核酸分子を含むことができる。panD遺伝子を破壊することで、細胞のβ-アラニン生産が阻害される。
ポリペプチド活性の低下は、低いポリペプチド濃度、ポリペプチドの低い特異活性、またはその組み合わせの結果であり得る。ポリペプチド活性が低下した細胞を生産するのに、多くの異なる方法を使用することができる。例えば、突然変異誘発法またはノックアウト法を用いて、調節配列またはポリペプチド・コード配列が破壊されるように、細胞を遺伝子工学で作り変えることができる(Methods in Yeast Genetics (1997 edition), Adams、Gottschling、Kaiser、およびSterns、Cold Spring Harbor Press, 1998; Datsenkoおよび Wanner、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97: 6640〜5, 2000)。または、特性のポリペプチドの活性を低下させるのに、アンチセンス技術を使用することができる。例えば、ポリペプチドの翻訳の翻訳を阻害するアンチセンス分子をコードするcDNAを含むように、細胞を遺伝子工学で作り変えることができる。「アンチセンス分子」という用語には、内在性ポリペプチドのコード鎖に相当する配列を含む、任意の核酸または核酸類似体(例えば、ペプチド核酸)が包含される。アンチセンス分子は同様に、フランキング配列(例えば、調節配列)を有してもよい。このように、アンチセンス分子は、リボザイムまたはアンチセンス・オリゴヌクレオチドとすることができる。リボザイムは、RNAを切断するするなら、ヘアピン、ハンマーヘッド、またはアクスヘッド構造を含むがこれらに限定されることはない、任意の一般構造を有することができる。さらに、特定のポリペプチドの活性を低下させるのに、遺伝子抑制を使用することができる。
ポリペプチドの活性が低下した細胞は、いずれかの方法を用いて同定することができる。例えば、本明細書に記載されているもののような酵素活性測定法を、酵素活性が低下した細胞を同定するのに使用することができる。
インビトロ法による有機酸および関連産物の生産
酵素活性を持つ精製ポリペプチドを、パントテン酸、3-HP、ならびに/またはCoA、および有機化合物、例えば1,3-プロパンジオール、アクリル酸、アクリル酸重合体、アクリル酸エステル、3-HPエステル、および3-HP重合体のようなその誘導体を生産するために単独でまたは細胞と組み合わせて使用することができる。例えば、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAデヒドラターゼ活性を有する実質的に純粋なポリペプチドを含む調製物を、3-HPの前駆物質である、3-HP-CoAの形成を触媒するように使用することができる。
さらに、パントテン酸、3-HP、および/またはその誘導体を生産するために、酵素活性を持つポリペプチドを含有する無細胞抽出物を単独でまたは精製ポリペプチドと組み合わせて使用することができる。例えば、β-アラニンからβ-アラニル-CoAを形成させるのに、CoAトランスフェラーゼ活性を持つポリペプチドを含む無細胞抽出物を使用することができる一方、3-HPを生産するのに、β-アラニル-CoAから3-HPを形成させるのに必要な反応を触媒するのに必須の酵素活性を持つポリペプチドを含有する微生物を使用することができる。別の例として、β-アラニンからパントテン酸を形成させるのに、α-ケトパントイン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(酵素番号2.1.2.11)、α-ケトパントイン酸リダクターゼ(酵素番号1.1.1.169)、およびパントテン酸シンターゼ(酵素番号6.3.2.1)を含む無細胞抽出物を使用することができる。無細胞抽出物を生産するための任意の方法を使用することができる。例えば、無傷細胞から無細胞抽出物を生産するのに、浸透圧衝撃、超音波、および/または繰返し凍結融解サイクルに続いてろ過および/または遠心処理を使用することができる。
別の化合物を生産するために、その後、化学的に処理される3-HPを生産するのに、細胞、精製ポリペプチド、および/または無細胞抽出物を使用することができる。例えば、3-HPを生産するために、微生物を使用できる一方、3-HPを3-HP重合体または3-HPエステルのような誘導体に変化させるのに、化学的な工程を使用することができる。同様に、本明細書に記載の細胞、実質的に純粋なポリペプチド、および/または無細胞抽出物を用いて、その後、3-HPまたはその他の有機化合物(例えば、1,3-プロパンジオール、アクリル酸、アクリル酸重合体、アクリル酸エステル、3-HPエステル、および3-HP重合体)に変換される特定の化合物を生産するために、化学的な工程を使用することができる。例えば、アクリリル-CoAを生産するために化学的な工程を使用することができる一方、アクリリル-CoAを3-HPに変換するのに微生物を使用することができる。
同様に、別の化合物を生産するためにその後、化学的に処理されるパントテン酸を生産するのに、細胞、精製ポリペプチド、および/または無細胞抽出物を使用することができる。例えば、パントテン酸を生産するために、微生物を使用できる一方、パントテン酸をCoAのような誘導体に変化させるのに、化学的な工程を使用することができる。同様に、本明細書に記載の細胞、実質的に純粋なポリペプチド、および/または無細胞抽出物を用いて、その後、パントテン酸またはその他の化合物(例えば、CoA)に変換される特定の化合物を生産するために、化学的な工程を使用することができる。例えば、パントテン酸を生産するために、化学的な工程を使用できる一方、パントテン酸をCoAに変換するために、微生物を使用することができる。
有機酸を生産する細胞の発酵
パントテン酸、3-HP、および/またはその誘導体が生産されるような培地中で、微生物のような生産細胞を培養することにより、パントテン酸、3-HP、および/またはその誘導体を生産する方法が開示される。一般に、培地および/または培養条件は、微生物が十分な密度にまで増殖して、産物を効果的に生産するようなものとすることができる。大規模な生産工程の場合、本明細書のほかに記載されている方法のような任意の方法を使用することができる(Manual of Industrial Microbiology and Biotechnology, 第二版, 編者: DemainおよびDavies, ASM Press;ならびにPrinciples of Fermentation Technology, StanburyおよびWhitaker, Pergamon)。
簡単に言えば、適当な培地と、例えば、グルコースの炭素源とを含有する大きなタンク(例えば、100ガロン、200ガロン、500ガロン、またはそれより大きなタンク)に、特定の微生物を植菌する。植菌後、微生物を、バイオマスの産出が可能となるようにインキュベートする。所望のバイオマスに達したら、微生物を含有する培養液は、第二タンクに移し変えられる。第二タンクは、任意のサイズとすることができる。例えば、第二タンクは、大きなサイズ、小さなサイズ、または第一タンクと同じサイズとすることができる。通常、第二タンクは、第一タンクからの培地にさらに培地を添加できるように、第一タンクよりも大きい。さらに、この第二タンク内の培地は、第一タンクで使用される培地と同じもの、または異なるものとすることができる。例えば、第一タンクは、キシロースを加えた培地を含むことができる一方で、第二タンクは、グルコースを加えた培地を含む。
移し変えたら、微生物を、パントテン酸、3-HP、および/またはその誘導体の生産を可能とするようにインキュベートすることができる。いったん生産されれば、形成された産物を単離するための任意の方法を使用することができる。例えば、培養液からバイオマスを取り除くために、一般的な分離技術を使用することができ、そして微生物が含まれていない培地からパントテン酸、3-HP、および/またはその誘導体を得るために、一般的な単離方法(例えば、抽出、蒸留、およびイオン交換方法)を使用することができる。或いは、産物を、生産と同時に単離することもできるし、または産物の生産段階が終了した後に、培養液から単離することもできる。
開示の生合成経路から作製される産物
図1および3に規定されている段階のいずれかより生産された化合物を、他の有機化合物に化学的に変換することができる。例えば、3-HPを水素化して、有用なポリエステル単量体である1,3-プロパンジオールを形成させることができる。3-HPのような有機酸の水素化は、コハク酸および/または乳酸を水素化するために使用される方法のような、いずれかの方法を用いて行うことができる。例えば、金属触媒を用いて3-HPを水素化することができる。別の例として、3-HPを脱水化して、アクリル酸を形成させることができる。脱水化反応を行うための任意の方法を使用することができる。例えば、3-HPを、触媒(例えば、金属または無機酸の触媒)の存在下で加熱して、アクリル酸を形成させることができる。1,3-プロパンジオールを同様に、オキシドリダクターゼ活性(例えば、酵素分類1.1.1.-の酵素)を持つポリペプチドを用いて、インビトロでまたはインビボで作製することができる。
別の例として、コエンザイムAを形成させるために、パントテン酸を使用することができる。コエンザイムAを生産するために、パントテン酸キナーゼ(酵素番号2.7.1.33)、4'-ホスホパンテテノイル-1-システイン・シンテターゼ(酵素番号6.3.2.5)、4'-ホスホパントテノイルシステイン・デカルボキシラーゼ(酵素番号4.1.1.36)、ATP:4'-ホスホパンテテイン・アデニルトランスフェラーゼ(酵素番号2.7.7.3)、およびデホスホ-CoAキナーゼ(酵素番号2.7.1.24)活性を有するポリペプチドを使用することができる。
1,3-プロパンジオールの生産
1,3-プロパンジオールの生産方法、およびその生産のための細胞が開示される。1,3-プロパンジオールは、3-HP-CoAまたは3-HPから生成することができる。オキシドリダクターゼ/デヒドロゲナーゼタイプの活性を持つ酵素をコードする遺伝子をクローニングすることにより、3-HP-CoAまたは3-HPを生産する細胞または微生物を遺伝子工学で作り変えて、1,3-プロパンジオールを生成させることができる。
例えば、アセチル化アルデヒド:NAD(+)オキシドリダクターゼおよびアルコール:NAD(+)オキシドリダクターゼ活性を有する酵素の存在下で、3-HP-CoAを1,3-プロパンジオールに変換させることができる。その変換は、インビボで、インビトロで、またはその組み合わせにより行うことができる。これらの活性は、単一のポリペプチドによりまたは二つの異なるポリペプチドにより達成することができる。単一酵素には、大腸菌由来の多機能アルデヒド-アルコール・デヒドロゲナーゼ(酵素番号1.2.1.10)(Goodloveら、Gene 85: 209〜14, 1989 ; GenBankアクセッション番号M33504)が含まれる。アセチル化アルデヒド:NAD(+)オキシドリダクターゼ(酵素番号1.2.1.10)またはアルコール:NAD(+)オキシドリダクターゼ(酵素番号1.1.1.1)の単一活性を有する酵素が報告されている。アセチル化アルデヒド・デヒドロゲナーゼをコードする大腸菌由来遺伝子(GenBankアクセッション番号Y09555)およびアルコール・デヒドロゲナーゼをコードするザイモモナス・モビリス(Z. mobilis)由来遺伝子(GenBankアクセッション番号M32100)が単離され、そして塩基配列決定されている。これらの酵素をコードする遺伝子は、周知の分子生物学技術により、3-HP-CoAを生産する生物または細胞にクローニングすることができる。これらの酵素を、3-HP-CoAを生産する生物または細胞で発現させることにより、3-HP-CoAを1,3-プロパンジオールに変換する能力が与えられるものと思われる。3-HP-CoAに対するこれらの酵素の基質特異性は、変異性(error prone)PCR法または大腸菌の突然変異誘発株のような周知の技術を用いて、変化させるまたは改善することができる。
3-HPの1,3-プロパンジオールへの変換は、3-HPを、アルデヒド・デヒドロゲナーゼ(NAD(P)+)(酵素番号1.2.1-)およびアルコール・デヒドロゲナーゼ(酵素番号1.1.1.1)活性を有する酵素と接触させることにより達成することができる。その変換は、インビボで、インビトロで、またはその組み合わせにより行うことができる。例えば、これらの遺伝子を、3-HPを生産する微生物または細胞にクローニングして、発現させることにより、細胞または生物が3-HPを1,3-プロパンジオールに変換する能力が与えられるものと思われる。3-HP-CoAに対するこれらの酵素の基質特異性は、上述の周知の技術を用いて、変化させるまたは改善することができる。
発酵の間のまたはインビトロ測定中の1,3-プロパンジオールの形成は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析することができる。クロマトグラフ分離は、Bio-Rad 87Hイオン交換カラムを用いることにより達成することができる。移動相0.01 N硫酸を流速0.6 ml/分で通過させ且つカラムを温度45〜65℃に保持する。試料中に1,3-プロパンジオールが存在することを、屈折率検出器を用いて検出することができる(Skralyら、Appl. Environ. Microbiol. 64: 98〜105, 1998)。
実施例1 枯草菌リジン2,3-アミノムターゼ(KAM遺伝子)のクローニング
アラニンについてβ-アラニンを生産するアラニン2,3-アミノムターゼを同定するため、類似の反応を行うが、アラニンまたはβ-アラニンを基質として許容しない酵素を、無作為に突然変異させ、次いでアラニン2,3-アミノムターゼ活性を持つ変異酵素を同定するためにスクリーニングした。本実施例により、枯草菌(Bacillus subtilis)由来リジン2,3-アミノムターゼ(酵素番号5.4.3.2)(配列番号:3および31)のクローニングが記述される。当業者であれば、任意の所望の生物からリジン2,3-アミノムターゼをクローニングするために、類似の方法を使用できることを理解するものと思われる。
空気に対して安定であることが報告されていたために、枯草菌(B. subtilis)リジン2,3-アミノムターゼを選択したことで、嫌気的条件下でも好気的条件下でも活性の選別が可能となった。さらに、この酵素は、クロストリジウム・サブテルミナレ(C. subterminale)のリジン2,3-アミノムターゼよりも特異活性が低いために、活性なリジン2,3-アミノムターゼまたはアラニン2,3-アミノムターゼの過剰発現による宿主大腸菌への悪影響が軽減された。
リジン2,3-アミノムターゼをコードする、枯草菌(B. subtilis)KAM遺伝子をクローニングするため、以下の方法を用いた。枯草菌(B. subtilis)ATCC 6051をATCC (American Type Culture Collection (ATCC), Manassas, VA)から入手し、そしてGenomic Tip 20/G(Qiagen, Valencia, CA)を用い、製造元推奨の手順に従って染色体DNAを調製した。PCR法によりKAM遺伝子を増幅するために設計したプライマーは、枯草菌(B. subtilis)の完全ゲノム配列(GenBankアクセッション番号:NC000964)を基礎とした。この配列は、Chenら(Biochem. J. 348: 539〜49, 2000)および米国特許第6,248,874号に開示されている。PCRプライマー:
Figure 2005525100
、および
Figure 2005525100
を使用した(下線のヌクレオチドは、PCR産物をプラスミドにクローニングするために使用したNdeIおよびNotI部位である)。
PCR反応液(全量100μl)には、枯草菌(B. subtilis)染色体DNA 0.5μg、各0.2μMプライマー(配列番号:1および2)、10×PfuTurbo反応用緩衝液(Stratagene社, La Jolla, CA) 10μl、各0.2 mMヌクレオチド三リン酸、およびPfuTurbo DNAポリメラーゼ(Stratagene)5単位が含まれた。PCR反応液を95℃で2分間加熱し、次に95℃で30秒間、58℃で30秒間、72℃で2分間の30サイクルにかけ、その後さらに10分間72℃に保持した。
得られたPCR産物を、Pellet Paint Co-Precipitant(Novagen社, Madison, WI) 3μl、5 M酢酸アンモニウム 100μl、およびエタノール400μlを添加して沈殿させた。再懸濁した反応物を、NdeIおよびNotI(New England Biolabs社, Beverly, MA)で消化し、QIAquick PCR Purificationキット(Qiagen)により精製し、そしてプラスミドpET-KAM1およびpPRO-KAM1を生産するため、それぞれ同一酵素で消化したpET-22b(+)(Novagen)またはpPRONdeに、Rapid DNA Ligationキット(Roche Molecular Biochemicals, Indianapolis, IN)を用いて連結した。プラスミドpPRONdeは、Stratagene社が提供しているQuikChange Site-Directed Mutagenesisキットを用いて、オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発により、NdeI部位が開始コドンATGの場所に構築された、pPROLar. A122 (Clontech Laboratories社, Palo Alto, CA)派生体である。これらのベクターにおけるリジン2,3-アミノムターゼの発現は、pET22(b)のT7プロモーターまたはpPRO-Ndeのlac/araハイブリッド・プロモーターにより駆動される。連結体を大腸菌DH5α(Life Technologies, Gaithersburg, MD)に形質転換し、そしてクローンを塩基配列決定法により検証した。枯草菌(B. subtilis)KAM遺伝子は、配列番号:3に示されており(そのアミノ酸配列は、配列番号:31に示されており)、そしてアラニン2,3-アミノムターゼ活性を持つ変異体を同定するために、以下のように、これに突然変異を誘発させた。
実施例2 枯草菌KAM遺伝子のインビトロ突然変異誘発
枯草菌(B. subtilis)KAM遺伝子(配列番号:3)にインビトロで突然変異を導入するため、幾つかの変異性(error prone)PCR法を使用した。デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)(GenBankアクセッション番号:RDR02336)(これは、枯草菌(B. subtilis)KAMタンパク質の配列と52%同一である)、クロストリジウム・サブテルミナレ(Clostridium subterminale)(GenBankアクセッション番号:AF159146)、またはポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)(不完全ゲノム、The Institute for Genomic Research、実施例5を参照されたい)由来のKAM遺伝子のような、リジン2,3-アミノムターゼをコードする任意のKAM遺伝子に突然変異を導入するのに、類似の方法を使用することができる。
一つの方法として、GeneMorph PCR Mutagenesisキット(Stratagene)を以下のように使用した。製造元により推奨されるように、鋳型pET-KAM1 DNA 10、1、0.1、または0.01 ngならびにT7プロモーター・プライマーおよびT7ターミネーター・プライマー(Novagen社製品カタログに掲載の配列)それぞれ125 ngを加えた反応液50μLを用意し、94℃で30秒間加熱し、94℃で30秒間、50℃で30秒間、72℃で2分間の30サイクルにかけ、その後さらに10分間72℃に保持した。
得られたPCR産物を、Pellet Paint Co-Precipitant (Novagen) 3μl、5 M酢酸アンモニウム 50μl、エタノール200μlを加えて沈殿させ、再懸濁し、NdeIおよびNotIで消化し、そして各突然変異誘発PCR産物120 ngを、同じエンドヌクレアーゼで消化したpPRONdeに、Rapid DNA Ligationキット(Roche Molecular Biochemicals)を用いて連結した。インサートのない残りのベクターDNAを直鎖化するために、連結混合物を、制限エンドヌクレアーゼBamHI(New England Biolabs)で消化し、記載のようにエタノールで沈殿させ、そしてエレクトロコンピテントElectroMax DH10B大腸菌細胞(Invitrogen, Carlsbad, CA)に形質転換した。15,000〜20,000クローンを含有する、各ライブラリーからカナマイシン耐性形質転換体を、選択プレートよりかき取り、そしてPlasmid Midiキット(Qiagen)を用いて突然変異誘発プラスミド・ライブラリーを調製した。
第二の方法として、Xuら(BioTechniques 27:1102〜8, 1999)のMn-dITP PCR法に基づき、鋳型としてpET-KAM1 DNAならびにT7プロモーターおよびT7ターミネーター領域に相同的なプライマーを用いて、初回ラウンドのマンガン誘導変異性(error-prone)PCR法を行った。PCR混合液(50μl)には、2 mM MgCl2が添加された1×Taq PCR用緩衝液、DNA 100 ng、40μM MnCl2、各0.2μMプライマー、各200μM dNTP、およびTaqポリメラーゼ(Roche Molecular Biochemicals) 5単位が含まれた。PCRプログラムには、最初に94℃で2分間の変性; 94℃で30秒間、54℃で1分間、および72℃で2.25分間の20サイクル; ならびに最後に72℃で7分間の伸長が含まれた。
増幅の間にヌクレオチドの誤対合を促進するdITPを用いた、PCRの第二ラウンドの鋳型としてPCR産物3μLを使用した。第二ラウンドのPCR混合液(100μl)には、2 mM MgCl2が添加された1×TaqポリメラーゼPCR用緩衝液、40μM dITP、各0.2μMプライマー、各200μM dNTP、およびTaq DNAポリメラーゼ10単位が含まれた。PCRプログラムは、第一ラウンドに対するプログラムと同一としたが30サイクルで構成された。PCR産物を1% TAE-アガロースゲルで分離し、そしてQIAquick Gel Purification手順(Qiagen)を用いて精製した。精製PCR産物を、制限酵素NdeIおよびNotIで消化し、そして同一酵素で消化し、ゲル精製し、そしてエビのアルカリホスファターゼ(Roche)で脱リン酸化しておいたpPRO-Ndeベクターに連結した。連結反応は、T4 DNAリガーゼ(New England BioLabs)を用いて、16℃で16時間行い、その後、別容量の1×ライゲーション用緩衝液およびリガーゼを添加して、さらに反応を室温で2時間継続させた。
連結反応物をQIAquick PCR Purificationカラムを用いて精製し、そして水30μL中に溶出させた。反応液2μLを大腸菌Electromax(商標)DH10B(商標)(Life Technologies社)細胞に形質転換し、そして25μg/mL カナマイシンを含有するLB培地にプレーティングした。対照の連結反応液では、バックグラウンドレベル(インサートのないベクター)が3%未満であった。およそ40,000コロニーを得るため、形質転換を繰り返し行った。プレートからコロニーをかき取り、そしてQiagen MiniSpin Plasmidによる手順を用いてプラスミドDNAを調製した。プラスミドDNAを、選択用宿主に形質転換する前にその濃度を増加させるため、酢酸アンモニウムおよびエタノールで沈殿させた。変異率の推定値を得るため、プラスミドDNAを同じく単一コロニーから単離し且つ塩基配列決定した。この方法による平均変異率は、1 Kb当たり変異ヌクレオチド1.3個であった。
第三の方法として、突然変異誘発PCRを、CadwellおよびJoyceの手順に基づいて行った(PCR Methods Appl. 2: 28〜33, 1992)。この方法では、21.2 mM MgCl2、2.0 mM MnCl2、3.2 mM dTTP、および3.2 mM dCTPを含有する突然変異誘発用緩衝液を種々希釈して使用した。以下の容量の突然変異誘発用緩衝液を別のPCR反応液に添加した(各最終容量100μl): 0、1.56、3.13、6.25、12.5、および25μLを、1.5 mM MgCl2が添加された1×Taq PCR用緩衝液、各0.25μMプライマー、各200μM dNTP、pET-KAM1鋳型DNA 50 ng、およびTaq DNAポリメラーゼ(Roche)10単位に加えた。PCRプログラムには、最初に94℃で2分間の変性; 94℃で30秒間、54℃で1分間、および72℃で2.25分間の30サイクル; ならびに最後に72℃で7分間の伸長が含まれた。
PCRの後、Taqポリメラーゼを除去するため、反応液に最終濃度が、5 mMになるまでEDTAを、0.5%になるまでSDSを、および50μg/mLになるまでプロテイナーゼKを加えて処理した(MatsumuraおよびEllington, Mutagenic PCR of Protein-Coding Genes for In Vitro Evolution. Methods in Molecular Biology. Vol 182: In Vitro Mutagenesis, 第二版, Ed. J. Braman Hamana. Press社 Totowa, NJ, 2001)。反応液を65℃まで15分間加熱し、そして上述のようにゲル精製した。最初の四回処理で、クローニングするのに十分なPCR産物が得られた。PCR産物を消化し、pPRO-Ndeに連結し、そして大腸菌Electromax(商標) DH10B(商標)細胞に形質転換した。変異率の推定値を得るため、プラスミドDNAを単一コロニーから単離し且つ塩基配列決定した。処理1〜4回目に対する平均変異率は、0から0.47%まで変化した(1 Kb当たり変異ヌクレオチド0〜4.7個)。各選択処理に対して、およそ50,000コロニーを得るため、形質転換を繰り返し行った。プレートからコロニーをかき取り、そしてQiagen MiniSpin Plasmidによる手順を用いてプラスミドDNAを調製した。プラスミドDNAを、選択用宿主に形質転換する前にその濃度を増加させるため、酢酸アンモニウムおよびエタノールで沈殿させた。
実施例3 枯草菌KAM遺伝子のインビボ突然変異誘発
枯草菌(B. subtilis)KAM遺伝子(配列番号:3)にインビボで突然変異を導入するため、pPRO-KAM1を、大腸菌XL1Red(Stratagene)突然変異誘発株により継代した。プラスミドpPRO-KAM1およそ50 ngを、製造元の指示に従い、コンピテント細胞XL1-Redに形質転換し、そして25μg/ml カナマイシンを含有するLB培地に形質転換体をプレーティングした。無作為に選択したおよそ200個の形質転換体を形質転換用プレートからかき取り、そして25μg/ml カナマイシンを含有するLBブロス 5 ml 二部に植菌した。一部は30℃で、もう一部は37℃で一晩増殖させた。
二部それぞれから少量分割して、25μg/ml カナマイシンを含有する新たなLBブロスに植菌する一方で、QiaSpin Miniキット(Qiagen)を用いて、各培養液1.5 mlから突然変異誘発プラスミドDNAを抽出した。一晩増殖およびプラスミドDNA抽出をもう二回繰り返し、異なる二温度と突然変異誘発菌株への暴露を三サイクル増加させて、突然変異誘発プラスミド・ライブラリーを作製した。選択用菌株に形質転換する前に、プラスミドDNAをエタノール沈殿により濃縮した。
実施例4 大腸菌ΔpanD::CAT菌株の構築
アラニン2,3-アミノムターゼ反応を遂行できるポリペプチドをコードする遺伝子を同定するため、所望の活性に対する効率的なスクリーニングまたは選別が必要とされる。それ故、大腸菌が、後にコエンザイムA(CoA)のおよびアシルキャリアー蛋白質(ACP)の構成成分となる、パントテン酸の合成のためにβ-アラニンを利用することを認識することによる、選別方法を開発した。CoAおよびACPは、生物における有力なアシル基運搬体であり、そして増殖に不可欠である。
大腸菌では、β-アラニンへの主要な経路は、panD遺伝子によりコードされる、アスパラギン酸デカルボキシラーゼ(酵素番号4.1.1.11)により触媒される反応におけるアスパラギン酸からの経路である(図3)。panD遺伝子の機能欠失変異により、β-アラニン栄養要求性および増殖阻害が引き起こされるが、パントテン酸もしくはβ-アラニンの外的付加により、または別の供給源からのβ-アラニンの生産により、これは緩和される。
二つの大腸菌菌株(どちらもβ-アラニン合成に欠陥がある)をスクリーニングに使用した。菌株DV1(#6865, E. coli Genetic Stock Center, New Haven CT;VallariおよびRock、J. Bacteriol. 164: 136〜42, 1985)は、化学的突然変異誘発により作製された大腸菌変異株であり、この菌株は、panFとpanD遺伝子の両方を非機能的とする、両遺伝子の宿主(染色体)変異を有する。panF遺伝子には、培地からのパントテン酸の摂取がコード化されており、従ってpanDおよびpanF遺伝子を組み合わせることにより、増殖するうえで、β-アラニンに対するさらに厳しい要求性がもたらされる。故に、菌株DV1は知られていたが、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を持つ細胞の選択を目的としたその用途は、以前には知られていなかった。
もう一つの選択用菌株のBW25113ΔpanD::CATには、外因性β-アラニンがなくても増殖することができるような、panD遺伝子変異の復帰突然変異株を抑制するために、panD遺伝子座の欠失が含まれる。panD遺伝子座に、CAT遺伝子により与えられるクロラムフェニコール耐性マーカーが挿入されているこの菌株は、E. Coli Genetic Stock Centerの大腸菌菌株BW25113/pKD46およびBW25141/pKD3を用い、DatsenkoおよびWannerの遺伝子不活化法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97: 6640〜5, 2000)により構築された。
pKD3のCAT遺伝子は、プライマー
Figure 2005525100
を用いて増幅した、なお下線が引かれている配列は、それぞれ、panD遺伝子座のすぐ上流および下流の大腸菌染色体の領域に相当し、そして下線が引かれていない領域は、CAT遺伝子を含む断片の増幅を可能とするpKD3の領域に相同である。PCR反応液には、最終容量300μl中、10×濃縮PCR用緩衝液(Roche Molecular Biochemicals) 30μl、プラスミドpKD3、各0.2 mM dNTP、各0.2μMプライマー、およびTaqポリメラーゼ(Roche Molecular Biochemicals)15単位が含まれた。PCR反応液を95℃で30秒間、その後95℃で30秒間、45℃で30秒間、72℃で1分間の30サイクル、さらに72℃で10分間インキュベートした。PCR産物をエタノールで沈殿させ、DpnIで消化し、QIAquick PCR Purificationキット(Qiagen)により精製し、そして組換え機能を発現しているBW25113/pKD46に形質転換した。形質転換体を25μg/ml クロラムフェニコールおよび5μMβ-アラニンを含有するLBプレートにプレーティングした。
クロラムフェニコール耐性形質転換体を、5μMβ-アラニンを添加した非選択LB培地で43℃にて単一コロニーに精製し、そして単一コロニーを、クロラムフェニコール耐性の保持、アンピシリン耐性の喪失(pKD46の修復を意味する)、およびM9グルコース最小培地で増殖するうえでのβ-アラニンに対する要求性について試験した。panD遺伝子座にCAT遺伝子が正しく挿入されていることの確認は、得られたΔpanD::CAT菌株のコロニーPCR法により、挿入位置に隣接するプライマー
Figure 2005525100
を用いて行った。野生型のpanD遺伝子座からは、713塩基対のPCR産物が得られると予想されるが、ΔpanD::CAT構築物からは、1215塩基対の産物が得られた。挿入されたCAT遺伝子がプラスミドpCP20によりコードされるFLPリコンビナーゼの活性により取り除かれている、ΔpanD::CAT派生株は、以前に報告されているように(DatsenkoおよびWanner, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97: 6640〜5, 2000)構築した。この菌株をΔpanDと呼ぶ。
大腸菌には、ウラシル異化の還元経路に基づく、β-アラニンへの第二経路が存在している(West, Can. J. Microbiol. 44: 1106〜9, 1998, 図2)。この経路では、ウラシルは、酵素ジヒドロピリミジン・デヒドロゲナーゼ(酵素番号1.3.1.2)によりジヒドロウラシルに還元される。ジヒドロウラシルは次に、ジヒドロピリミジナーゼ(酵素番号3.5.2.2)によりN-カルバモイル-β-アラニンに変換され、これが次にN-カルバモイル-β-アラニン・アミノヒドロラーゼ(酵素番号3.5.1.6)によりβ-アラニン、CO2、およびNH3に加水分解される。この経路によるβ-アラニンの形成を抑制するため、ジヒドロピリミジン・デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子yeiA(GenBankアクセッション番号AAC75208)を、上述のDatsenkoおよびWannerの方法により挿入的に欠失させた。pKD3のCAT遺伝子は、プライマー
Figure 2005525100
を用いて増幅した、なお下線が引かれている配列は、それぞれ、yeiA遺伝子座のすぐ上流および下流の大腸菌染色体の領域に相当し、そして下線が引かれていない領域は、CAT遺伝子を含む断片の増幅を可能とするpKD3の領域に相同である。クロラムフェニコール耐性(マーカー)挿入変異株を上述のように単離し、そして二重変異株ΔpanD/ΔyeiA::CATを生産するために、ΔpanD菌株に耐性マーカーを導入した。
大腸菌BW 25115のΔpanD::CAT、ΔpanD、またはΔpanD/ΔyeiA::CAT株のエレクトロコンピテント細胞を作り、そして実施例6に記載されているように、変異型リジン2,3-アミノムターゼDNAのライブラリーを形質転換するための宿主として使用した。
実施例5 ポルフィロモナス・ジンジバリスKAM遺伝子のクローニングおよびインビトロ突然変異誘発
ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)由来のリジン2,3-アミノムターゼ遺伝子は、ゲノムDNAからPCRにより増幅し、そしてベクターpET22B(Novagen)のNdeIおよびNotI部位にクローニングした。突然変異誘発PCRは、増幅のためのT7プロモーターおよびT7ターミネーター・プライマーならびに反応液100μL当たり突然変異誘発用緩衝液6.25μLまたは9.38μLを用い、CadwellおよびJoyceの方法(PCR Methods Appl. 2: 28〜33, 1992)により行った。PCR産物をゲル精製(Qiagen)し、そしてNdeIおよびNotIで順に消化した。消化されたPCR産物を、実施例2に記載されているように、pPRONdeベクターに連結し、そして大腸菌Electromax(商標)DH10B(商標)に形質転換した。変異処理につき少なくとも60,000クローンを得るため、形質転換を繰り返し行った。コロニーをプレートからかき取り、そしてプラスミドDNAを調製し、その濃度を増加させるために沈殿させた。得られたライブラリーは、変異率が0.3%および0.35%であった。
実施例6 アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するクローンの同定
実施例2で上述のように作製した、リジン2,3-アミノムターゼ突然変異誘発プラスミド・ライブラリーを、大腸菌DV1株のエレクトロコンピテント細胞に形質転換した。形質転換体を、全形質転換体の推定値を得るため適当に希釈して、25μg/ml カナマイシンを含有するLB培地に、ならびに0.4%グルコース、0.2% Vitamin Assay Casamino Acids (DIFCO/Becton Dickinson, Sparks, MD)、および25μg/ml カナマイシン(Sigma, St. Louis, MO)を添加したM9最小培地にプレーティングした。選択の場合、IPTGを0.25 mMになるまで添加した。
形質転換体を、0.4%グルコース、および25μg/ml カナマイシン(Sigma, St. Louis, MO)を添加したM9最小培地にプレーティングしたことを除いて、実施例2、3、および5で作製したライブラリーを、実施例4に記載の大腸菌ΔpanD::CAT株に同様の方法で形質転換した。枯草菌(B. subtilis)ライブラリーの選択の場合、IPTGを0.25 mMになるまで添加し、Fe2(NH4)2SO4を50μMになるまで添加し、そしてクロラムフェニコールを25μg/mLになるまで添加した。ポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)ライブラリーの選択の場合、IPTGを50μMになるまで添加し、Fe2(NH4)2SO4を50μMになるまで添加し、クロラムフェニコールを25μg/mLになるまで添加し、L-アラニンを1 mg/mLになるまで添加し、そしてL-リジンを2 mg/mLになるまで添加した。
最小培地プレートで増殖した形質転換体は、25μg/ml カナマイシンを加えたLB培地で増殖したコロニー数により測定した全形質転換体の数に対して、約1×10-4の頻度で生じた。Qiagen Miniprepキットを用いて、最小培地で増殖したコロニーからプラスミドDNAを調製し、そしてβ-アラニンが添加されていなくても増殖する能力が、プラスミドによって媒介される機能により与えられていることを確認するために、大腸菌ΔpanD::CAT株に再形質転換した。再形質転換コロニーからプラスミドDNAを調製し、そして枯草菌(B. subtilis)またはポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)の野生型kam遺伝子の配列に対する何らかの変化を決定するために、そのkam遺伝子を塩基配列決定した。
アラニン2,3-アミノムターゼをコードする、枯草菌(B. subtilis)の変異型kam遺伝子配列は、配列番号:20に示されており、そして対応するアミノ酸配列は、配列番号:21に示されている。この配列を持つプラスミドをpLC4-7LC1と名付けた。枯草菌(B. subtilis)の野生型kam遺伝子配列と比較すると、変異型配列には、三個のアミノ酸変化が認められた(図4)。アラニン2,3-アミノムターゼタンパク質には、L103M置換、M136V置換、およびD339H置換が存在していた(ここで一番目のアミノ酸は野生型配列であり、数字はアミノ酸の位置であり、そして二番目のアミノ酸はアラニン2,3-アミノムターゼの配列に認められた配列である)。FeSクラスター - 結合モチーフ(配列番号:21のアミノ酸134〜146)および推定上のPLP - 結合モチーフ(配列番号:21のアミノ酸288〜293)は同様に、図4に示されている。これが、アラニン2,3-アミノムターゼの核酸およびアミノ酸配列の最初の実証である。
アラニン2,3-アミノムターゼをコードする、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)の変異型kam遺伝子配列は、配列番号:29に示されており、そして対応するアミノ酸配列は、配列番号:30に示されている。ポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)の野生型配列と比較すると、変異型配列には、五個のアミノ酸変化が認められた(図5)。アラニン2,3-アミノムターゼタンパク質には、N19Y置換、L53P置換、H85Q置換、D331G置換、およびM342T置換が存在していた。しかし、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を持つのにこれらの置換の全てが必要とされるわけではない可能性がある。枯草菌(B. subtilis)およびポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)の変異型タンパク質を並べた時に、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)のD331G置換は、枯草菌(B. subtilis)のD339H置換として、タンパク質内の対応位置に位置する(図6)ことから、これが特に重要である可能性が示唆される。FeSクラスター - 結合モチーフ(配列番号:30のアミノ酸126〜138)および推定上のPLP - 結合モチーフ(配列番号:30のアミノ酸280〜285)は同様に、図5に示されている。これが、アラニン2,3-アミノムターゼの核酸およびアミノ酸配列のもう一つの実証である。
α-アラニンをβ-アラニンに変換し、これによりパントテン酸の生産を可能とする変異型kam遺伝子の能力を、パントテン酸を含有する最小培地中でのΔpanD形質転換体の増殖とパントテン酸を欠く培地中での増殖とを比較する、液体増殖試験により決定した。開始時の接触菌には、増殖培養液からの洗浄細胞、またはプレートからかき取った細胞が含まれた。
接触菌として洗浄細胞を用いる例として、単一コロニー由来の培養液3〜5 mLから開始し、そして40μg/ml カナマイシンを加えたLBブロス中、30℃で一晩増殖させた。培養液のOD600を測定し、各培養液から等量数の細胞を遠心により集菌した(OD×μLの全体が約600、例えば、OD 4.0×150μL)。細胞を0.85% NaClで二回洗浄し、0.85% NaCl 200μLに再懸濁させ、そして30μLを、直径13 mmのガラス管中のM9ベースの最小培地(6 g/L Na2HP04、3 g/L KH2PO4、0.5 g/L NaCl、1 g/L NH4Cl、2 mM MgS04、4 g/L グルコース、1 mM CaCl2、250μM IPTG、40μg/mL カナマイシン、50μM Fe(NH4)2(SO4)2)3 mLに植菌して、開始時のOD600を約0.05にするのに使用した。対照培養液には、20μMパントテン酸を添加した最小培地、または40μg/mL カナマイシンを加えたLBブロスのいずれかが含まれた。培養物を37℃にて振盪なしで約18時間増殖させ、そしてOD600を測定した。
表1に示されるように、対照ベクターを持つ細胞は、パントテン酸またはβ-アラニンが添加されていない最小培地中で、パントテン酸またはβ-アラニンの残存保有分を使って、OD600平均値0.21まで増殖した(OD600値の約30%は、パントテン酸の存在下で達成された)一方で、アラニン2,3-アミノムターゼのクローンを持つ細胞は、OD600平均値0.50まで増殖し、そのうちの約90%がパントテン酸の存在下で達成された。Fe2+の添加により、ベクター対照細胞の増殖が増加することはなかったが、アラニン2,3-アミノムターゼ保持細胞が、パントテン酸が存在する場合にまたは栄養豊富なLBブロス培地で得られるのに等しい増殖密度を達成することを可能とした。このことから、アラニン2,3-アミノムターゼ遺伝子により、panD遺伝子の変異を補完する、β-アラニンの供給源が提供されることが示唆される。

(表1) 増殖試験
Figure 2005525100
接触菌としてプレート培養物を用いる例として、プレートからコロニーをかき取り、そしてパントテン酸を欠いた最小培地50μL中に再懸濁させた。再懸濁液(20μL)を1.5 mLマイクロチューブ中の最小培地1 mLに植菌するのに使用し、そして20μLを、パントテン酸を添加した最小培地1 mLに植菌するのに使用した。後者の培養液は、添加する接触菌の量を変化させるための対照として役立った。パントテン酸なしでの増殖に対する培養物の応答性を、パントテン酸を含む培地での増殖に対するパントテン酸を欠く培地での増殖の比率として表した。培養物を25〜37℃にて振盪なしで1〜3日間増殖させ、そしてOD600を測定した。さらに嫌気的な増殖試験は、チューブをさらに多くの量まで充填して行った。これは、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)変異体を試験する際に役立った。

(表2) かき取ったコロニー/半嫌気性での試験
Figure 2005525100
Pg aam = アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有するポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)変異型kam遺伝子を持つプラスミドを有する細胞
Bs aam = アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する枯草菌(B. subtilis)変異型kam遺伝子を持つプラスミドを有する細胞
Pg kam = ポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)野生型kam遺伝子を持つプラスミドを有する細胞
実施例7 枯草菌リジン2,3-アミノムターゼのそれぞれの変異の作製
実施例5の上述の、枯草菌(B. subtilis)野生型リジン2,3-アミノムターゼ遺伝子で同定された変異を、Stratagene QuikChange(商標)Site-Directed Mutagenesisキットを用いて、枯草菌(B. subtilis)野生型リジン2,3-アミノムターゼ遺伝子(配列番号:3)にそれぞれ構築した。L103M変異を創出するのに使用したオリゴヌクレオチドは:
Figure 2005525100
とした。
M136V変異を創出するのに使用したオリゴヌクレオチドは:
Figure 2005525100
とした。
D339H変異を創出するためのオリゴヌクレオチドは:
Figure 2005525100
とした。
実施例6に記載の液体増殖試験を用いた場合、L103M変異だけを持つプラスミドを有する細胞は、プラスミドpLC4-7LC1を有する細胞と同じ程ではなかったが、パントテン酸またはβ-アラニンが添加されていない最小培地中で増殖できたのに対し、M136VまたはD339H変異だけを持つ細胞は、宿主ΔpanDの表現形を有していた。他の枯草菌(B. subtilis)野生型kam配列のなかでL103M変異をM136VおよびD339H変異と組み合わせることで、β-アラニンまたはパントテン酸がなくても増殖するようなpLC4-7LC1がするのと同じ能力を与える遺伝子が得られたことから、これらの三つの変異、またはこれらのサブセットで、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を与えるのに十分であることが確認された。
当業者であれば、これらの位置に別の置換を創出できることを理解するものと思われる。このように、L103に相当するコドンの無作為化による、配列番号:10および11に類似のオリゴヌクレオチドを用いて、ΔpanD株にβ-アラニンまたはパントテン酸がなくても増殖するような能力を与える、L103K、L103R、L103E、およびL103S置換を有する変異体が得られた。さらに、D339に相当するコドンの無作為化による、配列番号:14および15に類似のオリゴヌクレオチドを用いて、ΔpanD株にβ-アラニンまたはパントテン酸がなくても増殖するような能力を与える、D339Q、D339T、D339N置換を有する変異体が得られた。
実施例8 突然変異誘発リジン2,3-アミノムターゼを使わないアラニン2,3-アミノムターゼ活性の選択
アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する細胞を同定するための別の方法は、上述のDVIまたはΔpanD::CAT細胞のような細胞を、突然変異誘発リジン2,3-アミノムターゼライブラリーで形質転換せずに、上述の培地にプレーティングすることである。そのような細胞を上述のように選択し、そして実施例6および9に記載されているようにアラニン2,3-アミノムターゼ活性が存在するか検証する。
プレーティングする前に、例えば、細胞をUV照射または化学物質(MESのような)に曝すことにより、細胞を突然変異誘発することができる。これにより、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を持つ細胞をもたらす、一つまたは複数のその他の遺伝子の変異を有する変異体の単離が可能となる。
または、プレーティングする前に、細胞を未改変(例えば、形質転換せず、突然変異誘発せず)とすることができる。この方法により、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を有する、天然に存在する菌株の単離が可能となる。
実施例9 アラニン2,3-アミノムターゼ活性の実証
上述のスクリーニング法を用いて得られた細胞を、そのアラニン2,3-アミノムターゼ活性について検証した。突然変異誘発ライブラリーで形質転換された細胞(実施例2、3、および5)の場合、標準的な分子生物学法を用いて、プラスミドを選択用宿主から単離した。得られたプラスミドを選択用宿主に再形質転換し、プラスミドを再単離し、そして得られたクローンを実施例6に記載されているように塩基配列決定した。非形質転換細胞(実施例8)の場合、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を与える遺伝子を例えば、ショットガン・クローニングを用いて、クローニングすることができる。
アラニン2,3-アミノムターゼ活性を測定するために、α-アラニンのβ-アラニンへの変換を測定する酵素アッセイ法、またはアラニン2,3-アミノムターゼを持つ、細胞もしくは細胞抽出物中のβ-アラニンの存在を測定するアッセイ法を用いて、[3-13C]アラニンからの[3-13C]β-アラニン経由の[13C]コエンザイムAの生合成を測定するような、幾つかのアッセイ法を使用することができる。
[3-13C]α-アラニンからの[3-13C]β-アラニン経由の[13C]コエンザイムAの生合成
panD遺伝子(その遺伝子産物(アスパラギン酸 1-デカルボキシラーゼ)は、アスパラギン酸からのβ-アラニンの生産を触媒する)の挿入欠失により、パントテン酸欠乏およびそれ故にコエンザイムAの生産不能が引き起こされる。しかし、α-アラニンからβ-アラニンを生産できるアラニン2,3-アミノムターゼを保持するΔpanD細胞は、この欠乏を回避できると思われる;特に、これらの細胞は、[3-13C]α-アラニンの存在下で増殖した場合、[13C]標識をコエンザイムAに取り込むと思われる。実施例6で単離された枯草菌(B. subtilis)のアラニン2,3-アミノムターゼ配列(配列番号:20および21)が、α-アラニンのβ-アラニンへの変換を触媒できることを確認するために、この試験を使用した。
pPRONde、pPRO-KAM1、またはpLC4-7LC1で形質転換された大腸菌ΔpanD/ΔyeiA::CAT細胞を、25μg/ml カナマイシンと10μM Fe(NH4)2SO2とを除き、1 mM アラニン(未標識)と、10μM β-アラニンとを加えた最小培地(実施例6)中、37℃で一晩増殖させた。培養物を、未標識のα-アラニンまたはβ-アラニンを加えていないが25μg/ml カナマイシン、10μM Fe(NH4)2SO2、および11 mM [3-13C]α-アラニン(99%, Cambridge Isotope Laboratories, Andover, MA)を加えた最小培地中に100倍希釈した。30℃で約20時間増殖させた後、遠心により細胞を回収し、そしてコエンザイムAのチオエステルを遊離スルフヒドリル型に変換するために、10 mMジチオスレイトールの存在下で、JaskowskiおよびRockの方法(J. Bacteriol. 148: 926〜32, 1981)により抽出物を得た。
Waters 996 Photo-Diode Array(PDA)吸光検出器がクロマトグラフと三連四重極質量分析計との間に連続配置されたWaters 2690液体クロマトグラフを含む、Micromass Ultima LC/MSシステムを用いて、抽出物を分析した。LC分離は、4.6×150 mm YMC ODS-AQ(3μm 粒子、120 Å 孔径)逆相クロマトグラフィーカラムを室温で用いて行った。被分析物質の勾配溶出は、体積比(v/v)0.5% 酢酸を含有する25 mM 酢酸アンモニウム水溶液(緩衝液A)、および体積比(v/v)0.5% 酢酸を含有するアセトニトリル(緩衝液B)を用いて行った。溶出は、0〜10分を10% B液の一定組成とし、その後の10〜12分を10% B液から100% B液までの直線(勾配)とした。流速は0.250 mL/分とし、そしてフォトダイオードアレイによるUV吸収は200 nmから400 nmまで監視した。エレクトロスプレイMSシステムの全パラメータは、関心のある被分析物質のプロトン化分子イオン([M + H]+)の発生、および特徴的なフラグメントイオンの生成に基づいて最適化し且つ選択した。コエンザイムAのESI-MS検出を陽イオンモードで行う場合、以下の機器パラメータを使用した: キャピラリ(電圧): 4.0 V; コーン電圧: 80 V; hex 1: 25 V; アパーチュア: 0 V; hex 2: 0 V; イオン源温度: 100℃; 脱溶媒温度: 350℃; 脱溶媒ガス: 500 L/時; コーンガス: 40 L/時 ; 低質量分解能: 15.0 ; 高低質量分解能: 15.0 ; イオン化エネルギー: 0; マルチプライヤ: 650。報告されている質量/電荷比(m/z)および分子量に対する不確かさは、0.01%である。m/z 768(未標識コエンザイムA)のピーク面積に対するm/z 769([13C]コエンザイムA)のピーク面積の比率は、表3に示されている。
(表3) [13C]コエンザイムAの生合成
Figure 2005525100
表3に示された結果から、アラニン2,3-アミノムターゼ活性(配列番号:20および21)がある変異体を持つプラスミドを有する細胞は、[13C]α-アラニンの存在下で増殖した場合、通常の[13C]コエンザイムA存在量と比較して、またはベクターもしくは枯草菌(B. subtilis)の野生型リジン2,3-アミノムターゼ遺伝子を有する細胞と比較して、[12C]コエンザイムAに対する[13C]コエンザイムAの比率が高くなる。このことから、アラニン2,3-アミノムターゼの配列により、コエンザイムAの生合成における不可欠な中間体である、β-アラニンが生産されることが実証される。
酵素アッセイ法
細胞がアラニン2,3-アミノムターゼ活性を持つかどうか決定するために、α-アラニンのβ-アラニンへの変換を測定する、またはβ-アラニンの存在を測定する酵素アッセイ法を行うことができる。例えば、Chenら(Biochem. J. 348: 539〜49, 2000)により報告されている、リジン2,3-アミノムターゼ活性を決定するための方法は、還元的にプレインキュベートされた酵素または細胞抽出物とのインキュベーションでL-[U-14C]リジンの代わりにL-[U-14C]アラニンを使い、そして濾紙電気泳動により放射性のα-アラニンおよびβ-アラニンを分離後、α-アラニンおよびβ-アラニンに相当するスポットをそれぞれシンチレーション計測することにより、アラニン2,3-アミノムターゼ活性の決定に適用することができる。または、精製され且つ還元的にプレインキュベートされたアラニン2,3-アミノムターゼを、α-アラニンとインキュベートし、そして産物のβ-アラニンをα-アラニンから分離し且つその産物を定量化するため、高速液体クロマトグラフィーにより反応混合液を分離することができる(Abeら、J. Chromatography B, 712: 43〜9, 1998)。
α-アラニンからのβ-アラニンの形成は同様に、重量/体積比(w/v)0.4%グルコース、25μg/ml カナマイシン(カナマイシンに対する耐性を与えるプラスミドに対して)、0.25 mM IPTG、および1 mg/ml [13C]標識α-アラニンを含有するM9最小培地(Sambrookら、Molecular Cloning : A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York, 1989)中で細胞をインキュベーションし、細胞を抽出し、そして高速液体クロマトグラフィー/質量分析法により当業者に周知の方法を用いて[13C]β-アラニンを検出することにより、アラニン2,3-アミノムターゼを発現するプラスミドで形質転換された大腸菌ΔpanD::CAT株の細胞全体で監視することができる。
実施例10 β-アラニンからの3-HP生産のための合成オペロン
β-アラニン経由で3-HPの生産を可能とする生合成経路を創出した(図1)。β-アラニンからの3-HPへの一つの経路には、CoAトランスフェラーゼ活性を持つポリペプチド、すなわち、CoA基を一方の代謝産物からもう一方に転移させる酵素類由来の酵素の使用が含まれる。図1に示されるように、CoAトランスフェラーゼ活性を持つポリペプチドおよびアセチル-CoAまたはプロピオニル-CoAのようなCoA供与体を用いて、β-アラニンをβ-アラニル-CoAに変換することができる。または、CoAシンターゼ活性を持つポリペプチドの作用により、β-アラニル-CoAを生産することができる。β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性を持つポリペプチドにより、β-アラニル-CoAを脱アミノ化して、アクリリル-CoAを形成させることができる。アクリリル-CoAをβ位で水酸化して3-HP-CoAを産出する反応は、3-HP-CoAデヒドラターゼ活性を持つポリペプチドにより行うことができる。3-HP-CoAはβ-アラニンに対するCoA供与体として機能することが可能であり、CoAトランスフェラーゼ活性を持つポリペプチドが触媒可能な反応により、産物として3-HPが生産される。または、特異的CoAヒドロラーゼ活性を持つポリペプチドにより、3-HP-CoAを加水分解して3-HPを産出することができる。
これらの経路は、国際公開公報第02/42418号(参照として本明細書に組み入れられる)または以下に記載されているようにクローニングされ且つ発現された、幾つかの酵素を利用している。DNAの供給源として、メガスフェラ・エルスデニイ(Megasphaera elsdenii)細胞(ATCC 17753)、クロロフレクサス・アウランティアクス(Chloroflexus aurantiacus)細胞(ATCC 29365)、クロストリジウム・プロピオニカム(Clostridium propionicum)(ATCC 25522)、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)(ATCC 824)、シュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)(ATCC 17933)、枯草菌(Bacillus subtilis)(ATCC 23857)、アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)(ATCC 25094)、およびラットcDNA(Clontech, Palo Alto, CA)を使用した。当業者であれば、任意の生物からこれらの酵素の配列を得るために、類似の方法を使用できることを理解するものと思われる。
オペロンの構築の前に、それぞれの遺伝をクローニングして、発現させそして測定した。大腸菌で3-HPを生産させるための合成オペロンは、T7プロモーターの制御下にあるpET-11a(5.7 kb)発現ベクター(Novagen)、lac/ara-1プロモーターを有するpPROLar.A(2.6 kb)ベクター(Clontech, Palo Alto, CA)、およびtrcプロモーターを有するpTrc99A(4.2 kb)ベクター(Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)にクローニングした。関連遺伝子の組み合わせが異なる幾つかのオペロンは、下記のように作製した。プロピオニル-CoAトランスフェラーゼおよびアクリリル-CoAヒドラターゼ(または3-HPデヒドラターゼ)に対するアッセイ法は、国際公開公報第02/42418号(参照として本明細書に組み入れられる)に記載されている。
アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)M3Aからの3-HPデヒドラターゼ遺伝子の単離
アルカリゲネス・フェカリス(A. faecalis)(ATCC#700596)は、3-HP経由でアクリル酸を代謝する塩性湿地性の細菌である。アクリル酸から生産される3-HPは、3-HPデヒドロゲナーゼによりマロン酸セミアルデヒドに変換される可能性が高い。このデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子を単離するため、アルカリゲネス・フェカリス(A. faecalis)のゲノムDNAを以下のように単離した。アルカリゲネス・フェカリス(A. faecalis)の培養物5 mlをトリプトソイブロス培地中、37℃で増殖させ、そして細胞を集菌後、TE緩衝液400 mLに再懸濁させた。その後、10% SDS 20 mL、10 mg/ml プロテイナーゼK 100μl、および100 mg/ml リソゾーム 10mLを細胞懸濁液に添加し、この混合溶液を時々混合させながら42℃で2時間インキュベートした。この混合液に、フェノール 150 mLを添加して、この混合液を37℃で少なくとも2時間振盪した後、クロロホルム約800 mLを添加した。この混合液をボルテックスにより混合し、そして15000 rpmで30分間遠心した。上部の水層をきれいな遠心チューブに移し替えてから、3M 酢酸ナトリウム(NaOAc)60 mLおよびエタノール約1 mLによりDNAを沈殿させ、そしてスプーリングにより回収した。TE緩衝液400 mLを用いてDNAを再懸濁させてから200 mg/ml RNase 20 mLを添加し、そしてこの混合液を37℃で1時間インキュベートした。酢酸ナトリウム(NaOAc)およびエタノールによりDNAを再沈殿させ、70%エタノールで数回洗浄しそしてTE緩衝液に再懸濁させた。
以下の縮重プライマーは、所望の3-HPデヒドロゲナーゼに相同的であることが予想される、3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の公知のアミノ酸配列の保存領域に基づいて設計した。
Figure 2005525100
鋳型としてアルカリゲネス・フェカリス(A. faecalis)のゲノムDNAを使ったPCR反応は、配列番号:16および18(反応A)または配列番号:17および18(反応B)のいずれかを使用し、製造元の指示に従い、Taq DNAポリメラーゼ(Roche)を用いて行われた。PCRプログラムは、94℃で2分間の開始インキュベーション、94℃で30秒間、56℃で45秒間、72℃で3分間の4サイクル; 94℃で30秒間、54℃で45秒間、72℃で3分間の4サイクル; 94℃で30秒間、52℃で45秒間、72℃で3分間の4サイクル; 94℃で30秒間、50℃で45秒間、72℃で3分間の4サイクル; および94℃で30秒間、47℃で45秒間、72℃で3分間の16サイクル後、72℃で7分間の最終インキュベーションで構成された。どちらの反応でも約500 bpの産物が得られた。反応Aで得られたPCR産物をゲルで単離し、pCR11にクローニングしそしてTOP10化学的コンピテント細胞に形質転換し、50 mg/ml カナマイシンを含有するLB培地で選択した。正しいサイズのインサートを持つクローンを選択し、そしてそれらのプラスミドを単離し且つ塩基配列決定した。これらの配列に基づいて、以下の遺伝子特異的な内側プライマー(nested primers):
Figure 2005525100
を設計し、そして3-HPデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子のORF全体を単離するためにGenome Walk法を使用した。
このORFの配列は配列番号:33に示されており、そして対応するタンパク質の配列は配列番号:34に示されている。3-HPデヒドロゲナーゼの開始コドンは、配列番号:33の位置408でありそして配列番号:33の位置397〜403のリボソーム結合部位がその前方に位置する。停止コドンは、配列番号:33の位置1304である。
β-アラニン-CoAアンモニアリアーゼ(ACL)のクローニング、発現、およびアッセイ
二つのacl遺伝子がクロストリジウム・プロピオニカム(C. propionicum)からクローニングされた。acl-1(配列番号:22)は、145アミノ酸のタンパク質(配列番号:23)をコードしそしてacl-2(配列番号:53)は、144アミノ酸のタンパク質(配列番号:54)をコードする。これらの二つのタンパク質は相同性が高く、C末端の8アミノ酸だけが異なる。以下のプライマーを用いてacl-1およびacl-2遺伝子をクローニングした: acl-1に対しては
Figure 2005525100
および
Figure 2005525100
、ならびにacl-2に対しては配列番号:35および
Figure 2005525100
を使用した。得られた配列をNdeIおよびBamHIで消化したpET11aベクターにクローニングした。得られたプラスミドpACL-1およびpACL-2をBL21(DE3)細胞に形質転換した。pET11a(対照)、pACL-1およびpACL-2を持つBL21(DE3)を、OD600が約0.5になるまで50μg/ml カルベニシリンを添加したLB培地10 ml中で増殖させ、そして100μM IPTGを加えて4時間誘導した。誘導細胞を、Avanti J20遠心機(Beckman, Fullerton, CA)中、3500 rpmの遠心により回収し、そして製造元の指示に従いBug Buster(Novagen, Madison, WI)で処理した。得られた細胞抽出物は、アクリリル-CoAのβ-アラニン-CoAへの変換(図1の経路に対する逆反応)を追跡する酵素アッセイ法で使用した。
アッセイ混合物には、1M TAE 10μl、1M NH4Cl 20μl、100μM アクリリル-CoA 2μl、細胞抽出物10μl、およびH2O 158μlが含まれた。酵素反応は、37℃で5分間インキュベートして行い、10% TFA 200μlを添加して停止させた。混合液をC18 Sep-Pak Vac 1ccカラム(Waters, Milford, MA)にロードし、200μlの40%アセトニトリル、0.1% TFAで溶出させ、そしてSpeedVac(Savant Instruments, Holbrook, NY)に入れて遠心することで容量を100μlにまで減少させた。β-アラニル-CoAの形成は、標準的な方法を用いLC-MSにより検出した。ACL-1およびACL-2酵素はどちらも活性があった、そしてこれらをβ-アラニンのオペロン構築に使用した。
大腸菌由来CoAトランスフェラーゼのクローニング、発現、およびアッセイ
yfdE遺伝子(PubMedデータベースでは仮想タンパク質と特定される)の読み取り枠をPCR法により増幅した。読み取り枠には、可能性のある開始部位が二箇所あったので、両遺伝子をクローニングし且つ発現させるため、以下のプライマーを使用した: yfdE-1遺伝子に対しては、yfdE gtg nde sen
Figure 2005525100
およびyfdE atg nde sen
Figure 2005525100
、ならびにyfdE-2遺伝子に対しては、yfdE gtg nde sen(配列番号:38)およびyfdE bam anti
Figure 2005525100
を使用した。
大腸菌MG1655由来の染色体DNAを、以下のPCR条件を用いて、Pfu Turbo(Stratagene)で行ったPCRに対する鋳型として使用した: 94℃で5分間; 94℃で30秒間、55℃で30秒間、および72℃で2分20秒間を25サイクル、その後72℃で7分間のインキュベーション。PCR反応物を、QIAquick PCR精製キット(Qiagen)を用いて精製し、NdeIおよびBamHIで消化し、同じ制限酵素で消化されたpET28b(Novagen)にクローニングし、そしてTOP10化学的コンピテント細胞(Invitrogen)に形質転換した。陽性クローンからプラスミドを単離し、そしてBL21(DE3)発現細胞(Novagen)に形質転換した。OD600が0.6になるまでLB培地中、37℃で細胞を増殖させ、100μM IPTGで誘導をかけ、そして誘導後さらに3時間インキュベートした。細胞を遠心により集菌し、0.85% NaClで一回洗浄した。細胞沈殿物は、さらに使用するまで-80℃で保存した。
細胞沈殿物を氷上で融解し、そして結合用緩衝液(Novagen HisBind精製キット)4 mlに再懸濁させた。French Pressure Cell(SLM Aminco)(10000 psi)を三度通過させて、細胞を溶解させた。細胞残渣を遠心により除去した(30,000×g、30分間)。製造元の指示(Novagen)に従い、抽出物をQuick 900カートリッジにロードする前に0.45μmシリンジフィルターに通した。精製タンパク質は、製造元の指示(Novagen)に従い、PD-10カラム(Pharmacia)を用いて脱塩した。使用した緩衝液は、5 mMホウ酸、5 mM Tris、5 mMクエン酸、5 mM NaH2PO4 pH 7.0であった。
精製タンパク質は、全アッセイ量200μl中に100 mM リン酸カリウム pH 7.0、100 mMβ-アラニン、1 mMアセチル-CoA、および精製CoAトランスフェラーゼ 20μlを含有する反応混合液を用いて測定した。反応液を室温で20分間インキュベートし、その後10%トリフルオロ酢酸(TFA)100μlにより反応停止した。メタノール1 mlでコンディショニングした、1 cc SepPak Vacカートリッジ(Waters Milford, MA)を用いて反応液を精製し、そして0.1% TFA 1 mlで二回洗浄した。試料を加えそしてカートリッジを0.1% TFA 1 mlで二回洗浄した。0.1% TFAを含有する40%アセトニトリル200μlで試料を溶出させ、ロータリー・エバポレータ中で半分の容量まで乾燥させてから液体クロマトグラフィー/質量分析法により分析した。yfdE-1またはyfdE-2タンパク質を加えた測定では、β-アラニル-CoAに対して予測される質量に相当するピークが存在していたが、精製タンパク質を除いた対照にはこのピークが存在していなかったことから、CoAトランスフェラーゼは、β-アラニル-CoAの合成に関与していることが示唆された。
オペロン1および2: ACL - プロピオニル-CoAトランスフェラーゼ - アクリリル-CoAヒドラターゼ
以下の変換: β-アラニン〜β-アラニル-CoA〜アクリリル-CoA〜3-HPのためのオペロンを構築した。CoAトランスフェラーゼをコードする遺伝子は、PCRにより、
Figure 2005525100
プライマーを用いてメガスフェラ・エルスデニイ(M. elsdenii)のゲノムDNAから増幅した。
CoAヒドラターゼ遺伝子は、PCRにより、
Figure 2005525100
プライマーを用いてクロロフレクサス・アウランティアクス(C. aurantiacus)のゲノムDNAから増幅した。
ACL-1およびACL-2(β-アラニン-CoAアンモニアリアーゼ)遺伝子は、acl-1遺伝子に対しては、プライマー対OsacIXbaF
Figure 2005525100
およびOSaclNdeR
Figure 2005525100
; ならびにacl-2遺伝子に対しては、プライマー対OSacl2XbaF
Figure 2005525100
およびOSacl2-2NdeR
Figure 2005525100
を用いてクロストリジウム・プロピオニカム(C. propionicum)のゲノムDNAから増幅した。
PCRは、Pfu Turboポリメラーゼ(Stratagene)を用い、Perkin Elmer 2400 Thermocyclerにて製造元の指示に従って行った。PCRは、以下の条件の下で行った: 最初の変性ステップを94℃で2分間; 94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で2分間を25サイクル; 最後の伸長を72℃で7分間。得られたPCR産物を、Qiagen Gel Extractionキット(Qiagen社)を用いてゲル精製した。
CoAトランスフェラーゼのおよびCoAヒドラターゼのPCR産物を、アセンブリPCRでともに統合させた。OSTHFおよびOSHTRプライマー(配列番号:42および43)は、相互に相補的であって、これにより、PCRの間に相補DNA末端が相互にアニールし且つ両方向にDNAを伸長することが可能となる。統合(アセンブリ)およびその後の増幅の効率性を確実とするため、精製されたCoAトランスフェラーゼのおよびCoAヒドラターゼのPCR産物100 ngならびにrTthポリメラーゼ(Applied Biosystems, Foster City, CA)およびPfu Turboポリメラーゼ(Stratagene)が比率8 対 1の混合物を含有するアセンブリPCRの混合液に、二種の末端プライマーOSNBpctFおよびOSHBR(配列番号:41および44)を加えた。ポリメラーゼ混合物により、PCR反応の高い忠実性が確実となった。アセンブリPCRは、以下の条件の下で行った: 最初の変性ステップを94℃で1分間; 94℃で30秒間、54℃で30秒間、68℃で2.5分間を20サイクル; 最後の伸長を68℃で7分間。統合されたPCR産物を、上述のようにゲル精製しそしてNdeIおよびBamHIで消化した。これらの制限酵素に対する部位は、OSNBpctF(NdeI)およびOSHBR(BamHI)プライマー(配列番号:41および44)を用いてPCR統合産物に導入された。消化されたPCR産物を、80℃で30分間インキュベートし(制限酵素を不活化するために)そしてpET11aベクターに連結するために直接使用した。
ベクターpET11aを、NdeIおよびBamHIで消化し、Qiagen Gel Extractionキットを用いてゲル精製し、製造元(Roche Molecular Biochemicals)の指示に従ってエビのアルカリホスファターゼで処理しそしてPCR統合産物と連結するために使用した。連結反応を、T4リガーゼ(Roche Molecular Biochemicals)により16℃で一晩行った。連結混合物を、化学的コンピテントNovaBlue細胞(Novagen)に形質転換し、そして50μg/ml カルベニシリンを添加したLBプレートにプレーティングした。プラスミドDNAを精製するために個別のコロニーを選択した; プラスミドDNAは、Qiagen Spin Miniprepキットを用いて得られた。プラスミドをNdeIおよびBamHIで消化しそしてゲル電気泳動により分析した。
得られたプラスミドを、pTHと名付け、XbaIおよびNdeIで消化し、上述のようにゲル電気泳動およびQiagen Gel Extractionキットを利用して精製し、そして同じ酵素で消化したACL-1およびACL-2のPCR産物を結果的にクローニングするためのベクターとして使用した。連結反応を上述のように行い、そして連結混合物を上述のように化学的コンピテントNovaBlue細胞に形質転換した。プラスミドDNAを精製するために個別のコロニーを選択した; プラスミドDNAは、Qiagen Spin Miniprepキットを用いて得られた。プラスミドをXbaIおよびNdeIで消化しそしてゲル電気泳動により分析した。クローニングされた遺伝子の発現を決定するために、オペロン構築物を持つ、得られたpATHプラスミドを大腸菌 BL21(DE3)細胞に形質転換した。
遺伝子発現および3-HP生産を測定するため、pATH-1およびpATH-2プラスミドを持つBL21(DE3)細胞を、OD600が約0.5になるまで10 g/l グルコース、5 g/l β-アラニンおよび50μg/ml カルベニシリンを添加したM9CA培地(Difco Laboratories, Sparks, MA)中で増殖させ、そして100μM IPTGを加えて好気的条件の下で誘導させた。pET11aベクターを持つBL21(DE3)細胞を対照とした。ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析のために、細胞試料を、IPTGによる誘導から2時間および4時間後に採取した。三つの酵素全てが、ゲル上で適当な大きさのバンドとして現れていた。β-アラニンからの3-HPの生産が、LC-MS分析により、両方のオペロン構築物(pATH-1およびpATH-2)で検出されたが、対照細胞では検出されなかった。
オペロン3: 4-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ - 3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ
別のまたは付加的な経路で、β-アラニンを、β-アラニン-2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ活性を持つポリペプチドにより脱アミノ化してマロン酸セミアルデヒドを産出させることができ、そしてこれを、3-HPデヒドロゲナーゼ活性を持つポリペプチドまたは3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ活性を持つポリペプチドにより3-HPにさらに還元することができる。
そのようなポリペプチドを単離する、配列決定する、発現させる、およびその活性を試験するための方法は、国際公開公報第02/42418号(参照として本明細書に組み入れられる)に記載されている。当業者であれば、任意の生物から任意のそのようなポリペプチドの配列を得るために、類似の方法を使用できることを理解するものと思われる。
4-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼをコードする遺伝子は、PCRにより、
Figure 2005525100
プライマーを用いてクロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)のゲノムDNAから増幅した。
3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子は、PCRにより、
Figure 2005525100
プライマーを用いてシュードモナス・アエルギノーザ(P. aeruginosa) のゲノムDNAから増幅した。
PCRは、Pfu Turboポリメラーゼを用い、Perkin Elmer 2400 Thermocyclerにて製造元の指示に従い、以下の条件の下で行った: 最初の変性ステップを94℃で2分間; 94℃で30秒間、56℃で30秒間、72℃で1.5分間を25サイクル; 最後の伸長を72℃で10分間。得られたPCR産物を、Qiagen Gel Extractionキットを用いてゲル精製した。
4-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼおよび3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼのPCR産物を、アセンブリPCRでともに統合させた。配列番号:50および51に示されるプライマーは、相互に相補的であって、それ故、PCRの間に相補DNA末端が相互にアニールし且つ両方向にDNAを伸長することが可能になると思われる。統合(アセンブリ)およびその後の増幅の効率性を確実とするため、精製された4-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼおよび3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼのPCR産物100 ngならびにrTthポリメラーゼおよびPfu Turboポリメラーゼが比率で8 対 1の混合物を含有するアセンブリPCRの混合液に、二種の末端プライマーOsabatFおよびOSibdR(配列番号:49および52)を加えた。アセンブリPCRは、以下の条件の下で行った: 最初の変性ステップを94℃で1分間; 94℃で30秒間、55℃で30秒間、68℃で3分間を25サイクル; 最後の伸長を68℃で7分間。統合されたPCR産物を、上述のようにゲル精製しそしてEcoRIおよびBamHIで消化した。これらの制限酵素に対する部位は、OSabatF(EcoRI)(配列番号:49)およびOSibdR(BamHI)(配列番号:52)プライマーを用いてPCR統合産物に導入された。消化されたPCR産物を、80℃で30分間加熱し、Qiagen Gel Extractionキットを用いてゲル精製し、そしてpPROLar.Aベクターに連結するために使用した。
pPROLar.Aを、EcoRIおよびBamHIで消化し、Qiagen Gel Extractionキットを用いてゲル精製し、製造元の指示に従ってエビのアルカリホスファターゼで処理しそしてPCR統合産物と連結するために使用した。連結反応を、上述のように行い、化学的コンピテントTOP10細胞(Novagen)に形質転換しそして25μg/ml カナマイシンを添加したLBプレートにプレーティングした。プラスミドDNAを精製するために個別のコロニーを選択した; プラスミドDNAは、Qiagen Spin Miniprepキットを用いて得られた。プラスミドをEcoRIおよびBamHIで消化しそしてゲル電気泳動により分析した。4-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼおよび3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を持つ、得られたプラスミドを、pATDと名付けた。
遺伝子発現および3-HP生産を観測するため、pATDプラスミドを持つまたはプラスミドを持たない(対照)TOP 10細胞を、OD600が約0.5になるまで5 g/l グルコース、5 g/l β-アラニンおよび25μg/ml カナマイシンを添加したLB培地中で増殖させ、そして100μM IPTGおよび0.5%アラビノースを加えて好気的条件の下で誘導させた。β-アラニンからの3-HPの生産が、LC-MS分析により、pATDを持つ細胞で検出されたが、対照細胞では検出されなかった。3-HPは、IPTG誘導から6時間および24時間後、細胞上清中に観測された。
実施例11 α-アラニンからの3-HP生産のための合成オペロン
幾つかの代替経路を介して、β-アラニン経由で3-HPの生産を可能とする、幾つかのオペロンを実施例10で作り出した。本実施例に開示される方法は、開示のアラニン2,3-アミノムターゼの本明細書に開示される配列をオペロンのなかに含めることにより、それを拡張するものである。これにより、α-アラニン経由で3-HPの生産が可能になる。
オペロン4: α-アラニン・アミノムターゼ - ACL -プロピオニル-CoAトランスフェラーゼ - アクリリル-CoAヒドラターゼ
α-アラニン〜β-アラニン〜β-アラニル-CoA〜アクリリルCoA〜3-HPの変換のためのオペロンを以下のように構築した。pLCATH2-1の構築のために、アラニン2,3-アミノムターゼ(実施例6; 配列番号:20および21)を持つプラスミドpLC4-7LC1を使用した。ATH-2オペロンをpATH-2(実施例10)から、以下のプライマーを用いて増幅した。
Figure 2005525100
PCRを、上述のようにrTthポリメラーゼおよびPfu Turboポリメラーゼが比率8 対 1の混合物を用いて、以下の条件の下で行った: 最初の変性ステップを94℃で2分間; 94℃で30秒間、56℃で30秒間、68℃で2分間を25サイクル; 最後の伸長を68℃で7分間。
得られたPCR産物を、Qiagen PCR Purificationキットを用いて精製しそしてNotIおよびXbaIで消化した。酵素を不活化するために、消化されたDNAを、65℃で30分間加熱し、Qiagen Gel Extractionキットを用いてゲル精製し、そして同じ酵素で消化されたpLC4-7LC-1プラスミドにクローニングした。連結反応を、T4リガーゼにより16℃で一晩行った。連結混合物を、化学的コンピテントTuner細胞(Novagen)に形質転換し、そして25μg/ml カナマイシンを添加したLBプレートにプレーティングした。プラスミドDNAを精製するために個別のコロニーを選択した; プラスミドDNAは、Qiagen Spin Miniprepキットを用いて得られた。プラスミドをNotIおよびXbaIで消化しそしてゲル電気泳動により分析した。得られたTuner(pLCATH2-1)細胞は、クローニングされた遺伝子の発現ならびにα-アラニンおよびβ-アラニンからの3-HPの生産を観測するために使用した。
オペロン5: α-アラニン・アミノムターゼ - 4-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ -3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ
α-アラニン〜β-アラニン〜マロン酸セミアルデヒド〜3-HPの変換のためのオペロンを以下のように構築した。pLCATD1の構築のために、アラニン2,3-アミノムターゼ(実施例6; 配列番号:20および21)を持つプラスミドpLC4-7LC1(実施例6)を使用した。ATDオペロンは、以下を用いてpATDプラスミド(実施例10)から増幅した:
Figure 2005525100
オペロン4に対して上に記載されているように、PCRを行い、そして得られたPCR産物を精製し、NotIおよびXbaIで消化し、プラスミドpLC4-7LC-1にクローニングし、化学的コンピテントTuner細胞に形質転換し、そしてオペロン4に対して記載されているように、個別のコロニーを選択した。
オペロンおよび3-HP生産の誘導
遺伝子発現および3-HP生産を観測するため、pLCATH2-1、pLCATD1プラスミドまたはpPROLarベクター(対照)を持つTuner細胞を、OD600が約0.5になるまで5 g/l グルコース、5 g/l α-アラニンまたは5 g/l β-アラニンおよび25μg/ml カナマイシンを添加したLB培地中で増殖させ、そして100μM IPTGおよび0.5%アラビノースを加えて好気的条件の下で誘導させた。β-アラニンからの3-HPの生産が、LC-MS分析により、pLCATH2-1およびpLCATD1を持つ細胞で検出されたが、対照細胞では検出されなかった。3-HPは、誘導から22時間後、細胞上清中に観測された。
オペロン6: アラニン・アミノムターゼ -β-アラニン・アミノトランスフェラーゼ -3-HPデヒドロゲナーゼ -α-アラニン・アミノトランスフェラーゼ
ピルビン酸〜α-アラニン〜β-アラニン〜マロン酸セミアルデヒド〜3-HPの変換のためのオペロンを以下のように構築した。アラニン2,3-アミノムターゼをコードする遺伝子を、PCRにより、プライマー
Figure 2005525100
を用いてpLC4-7LC1から増幅した。
β-アラニン・アミノトランスフェラーゼ遺伝子を、PCRにより、プライマー
Figure 2005525100
を用いてラットcDNAから増幅した。
3-HPデヒドロゲナーゼを、PCRにより、プライマー
Figure 2005525100
を用いてアルカリゲネス・フェカリス(A. faecalis)のゲノムDNAから増幅した。
α-アラニン・アミノトランスフェラーゼ遺伝子を、プライマー
Figure 2005525100
を用いてラットcDNAから増幅した。
PCRを、以下の条件の下で上述のように行った: 最初の変性ステップを94℃で2分間; 94℃で30秒間、48℃で30秒間、72℃で2分間を10サイクル; 94℃で30秒間、52℃で30秒間、72℃で2分間を5サイクル; 94℃で30秒間、60℃で30秒間、72℃で2分間を10サイクル; 最後の伸長を72℃で7分間。PCR産物を、Qiagen Gel Extractionキットを用いてゲル精製した。
アラニン2,3-アミノムターゼおよびβ-アラニン・アミノトランスフェラーゼのPCR産物、ならびに3-HPデヒドロゲナーゼおよびα-アラニン・アミノトランスフェラーゼのPCR産物を、二種のアセンブリPCRで対として統合した。プライマー対の、配列番号:60および61ならびに配列番号:64および65は、相互に相補的であって、それ故、PCR反応の間に相補DNA末端が相互にアニールし且つ両方向にDNAを伸長することが可能になると思われる。統合(アセンブリ)およびその後の増幅の効率性を確実とするため、二種の精製された、アラニン・アミノムターゼおよびβ-アラニン・アミノトランスフェラーゼのPCR産物100 ngならびにrTthポリメラーゼおよびPfu Turboポリメラーゼが比率8 対 1の混合物を含有するアセンブリPCRの混合液に、二種の末端プライマー(配列番号:59および62)を加えた。精製された、3-HPデヒドロゲナーゼおよびα-アラニン・アミノトランスフェラーゼ100 ng、ならびにrTthポリメラーゼおよびPfu Turboポリメラーゼが比率8 対 1の混合物を含有するアセンブリPCRの混合液に、他の二種の末端プライマーの配列番号:63および66を加えた。アセンブリPCRは、以下の条件の下で行った: 最初の変性ステップを94℃で2分間; 94℃で30秒間、48℃で30秒間、68℃で4分間を5サイクル; 94℃で30秒間、52℃で30秒間、68℃で4分間を5サイクル; 94℃で30秒間、55℃で30秒間、68℃で4分間を5サイクル; 94℃で30秒間、50℃で30秒間、68℃で4分間を10サイクル; 最後の伸長を68℃で7分間。
四種の遺伝子全てを含むオペロン6を作製するため、統合された対を結合させるようにして第二のアセンブリPCRを行った。精製されたアラニン・アミノムターゼ/β-アラニン・アミノトランスフェラーゼの対100 ng; 精製された3-HPデヒドロゲナーゼ/α-アラニン・アミノトランスフェラーゼの対100 ng、ならびにrTthポリメラーゼおよびPfu Turboポリメラーゼが比率8 対 1の混合物を含有するPCRの混合液に、二種の末端プライマー(配列番号:59および66)を加えた。アセンブリPCRは、以下の条件の下で行った: 最初の変性ステップを94℃で2分間; 94℃で30秒間、50℃で30秒間、70℃で5分間を15サイクル; 94℃で30秒間、55℃で30秒間、70℃で5分間を10サイクル; 最後の伸長を70℃で7分間。
統合されたPCR産物を、上述のようにゲル精製しそしてEcoRIおよびEcoRVで消化した。これらの制限酵素に対する部位は、配列番号:59(EcoRI)および配列番号:66(EcoRV)のプライマーを用いてPCR統合産物に導入された。消化されたPCR産物を、65℃で30分間加熱し、Qiagen Gel Extractionキットを用いてゲル精製しそしてEcoRIおよびSmaIで消化されたpTrc99Aベクターに連結するために使用した。連結反応を、T4リガーゼを用いて16℃で一晩行い、そしてその混合物を、化学的コンピテントTuner細胞に形質転換して、50μg/ml カルベニシリンを添加したLBプレートにプレーティングした。プラスミドDNAを精製するために個別のコロニーを選択した; プラスミドDNAは、Qiagen Spin Miniprepキットを用いて得られた。プラスミドを、配列番号:59および66のプライマーを用いたPCRによりスクリーニングし且つゲル電気泳動により分析した。得られたプラスミドをpTrcβ-alaと名付けた。
クローニングされた遺伝子の発現ならびにグルコース、α-アラニンおよびβ-アラニンからの3-HPの生産を決定するため、Tuner(pTrcβ-ala)細胞を使用した。Tuner(pTrc99A)を対照として使用した。細胞をOD600が約0.5になるまで、5 g/l グルコースおよび50μg/ml カルベニシリン; または5 g/l グルコース、5 g/l α-アラニンおよび50μg/ml カルベニシリン; または5 g/l グルコース、5 g/l β-アラニンおよび50μg/ml カルベニシリンを添加したM9CA培地(Difco Laboratories)中で増殖させ、そして100μM IPTGおよび0.5%アラビノースを加えて好気的条件の下で誘導させた。β-アラニンからの3-HPの生産が、LC-MS分析により、pTrcβ-alaを持つ細胞で検出されたが、対照細胞では検出されなかった。3-HPは、誘導から22時間後、細胞上清中に観測された。
実施例12 β-アラニンからのパントテン酸の生産
パントテン酸は、α-ケトパントイン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(酵素番号2.1.2.11)、α-ケトパントイン酸リダクターゼ(酵素番号1.1.1.169)、およびパントテン酸シンターゼ(酵素番号6.3.2.1)活性を持つポリペプチドにより、β-アラニンから生産することができる(図3)。
実施例10および11に記載のクローニング方法を用いて、α-ケトパントイン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(酵素番号2.1.2.11)、α-ケトパントイン酸リダクターゼ(酵素番号1.1.1.169)、およびパントテン酸シンターゼ(酵素番号6.3.2.1)のポリペプチドを単離し、配列決定し、発現させ、そして試験することができる。当業者であれば、任意の生物から任意のそのようなポリペプチドの配列を得るために類似の方法を使用できることを理解するものと思われる。
実施例13 組換え発現
公に利用可能な酵素のcDNAおよびアミノ酸配列、ならびにアラニン2,3-アミノムターゼ、CoAトランスフェラーゼ、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ、3-HP-CoAデヒドラターゼ、4-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、β-アラニン-2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシプロピオン酸デヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、3-HP-CoAヒドロラーゼ、3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ、ポリヒドロキシ酸シンターゼ、リパーゼ、エステラーゼ、CoAヒドロラーゼ、α-ケトパントイン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、α-ケトパントイン酸リダクターゼ、パントテン酸シンターゼ、パントテン酸キナーゼ、4'-ホスホパンテテノイル-1-システイン・シンテターゼ、4'-ホスホパントテノイルシステイン・デカルボキシラーゼ、ATP:4'-ホスホパンテテイン・アデニルトランスフェラーゼ、デホスホ-CoAキナーゼ、アセチル化アルデヒド:NAD(+)オキシドリダクターゼ、アルコール:NAD(+)オキシドリダクターゼ、アルデヒド・デヒドロゲナーゼ(NAD(P)+)およびアルコール・デヒドロゲナーゼのほか、その変異体、多型、突然変異体、断片および融合体のような、本明細書に開示される酵素および配列を用いて、標準的な実験手技により、酵素のような任意のタンパク質の発現および精製が可能とされる。当業者であれば、酵素およびその断片を、関心のある任意の細胞または生物で遺伝子組換え的に生産することが可能であり、そして使用前に、例えば3-HP、パントテン酸およびその誘導体の生産前に精製することが可能であることを理解するものと思われる。
組換えタンパク質を生産するための方法は、当技術分野においてよく知られている。従って、本開示の範囲には、酵素のような、任意のタンパク質またはその断片の組換え発現が含まれる。例えば、Johnsonらの米国特許第5,342,764号; Pauschらの米国特許第5,846,819号; Fleerらの米国特許第5,876,969号およびSambrookら(Molecular Cloning : A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York, 1989, Ch. 17)を参照されたい。
簡単に言えば、タンパク質またはペプチドをコードする、一部の、完全長の、または変異のcDNA配列を、細菌性発現ベクターのような、発現ベクターに連結することができる。タンパク質および/またはペプチドは、そのcDNA配列の上流にプロモーターを配置することにより生産される。プロモーターの例には、lac、trp、tac、trc、ラムダファージの主なオペレーターおよびプロモーター領域、fd外被タンパク質の制御領域、SV40の初期および後期プロモーター、ポリオーマ、アデノウイルス、レトロウイルス、バキュロウイルスおよびシミアンウイルス由来のプロモーター、3-ホスホグリセリン酸キナーゼに対するプロモーター、酵母酸性ホスファターゼのプロモーター、酵母α-接合因子のプロモーターならびにその組み合わせが含まれるが、これらに限定されることはない。
無傷の天然タンパク質の生産に適したベクターには、pKC30(ShimatakeおよびRosenberg, 1981, Nature 292: 128)、pKK177-3(AmannおよびBrosius, 1985, Gene 40: 183)およびpET-3(StudierおよびMoffatt, 1986, J. Mol. Biol. 189: 113)が含まれる。DNA配列を、他のプラスミド、バクテリオファージ、コスミド、動物性ウイルスおよび酵母人工染色体(YAC)(Burkeら、1987, Science 236: 806〜12)のような、他のクローニング媒体に移し換えることができる。これらのベクターを、体細胞、および単純生物または複合生物、例えば、細菌、真菌(TimberlakeおよびMarshall, 1989, Science 244:1313〜7)、無脊椎動物、植物(GasserおよびFraley, 1989, Science 244: 1293)、および哺乳動物(Purselら、1989, Science 244: 1281〜8)を含むさまざまな宿主(これらは、異種cDNAの導入により形質転換される)に導入することができる。
哺乳動物細胞での発現の場合、一過性のまたは持続性の発現を達成するため、cDNA配列を、シミアンウイルスSV40のような異種プロモーター、pSV2ベクター(MulliganおよびBerg, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78: 2072〜6)のプロモーターに連結することができ、そしてサルCOS-1細胞(Gluzman, 1981, Cell 23 : 175〜82)のような細胞に導入することができる。哺乳動物細胞におけるキメラ遺伝子構築物の安定的な組込みを、ネオマイシン(SouthernおよびBerg, 1982, J . Mol. Appl. Genet. 1 : 327〜41)およびマイコフェノール酸(MulliganおよびBerg, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78 :2072〜6)のような生化学的選択により維持してもよい。
ヒトまたはその他の哺乳動物細胞のような、真核細胞へのDNA導入は、従来技術である。ベクターは、例えば、リン酸カルシウム(Grahamおよびvander Eb, 1973, Virology 52:466)、リン酸ストロンチウム(Brashら、1987, Mol. Cell Biol. 7:2013)を用いた沈殿法、エレクトロポレーション法(Neumannら、1982, EMBO J. 1:841)、リポフェクション法(Felgnerら、1987, Proc. Natl. Acad. Sci USA 84:7413)、DEAEデキストラン法(McCuthanら、1968, J. Natl. Cancer Inst. 41:351)、マイクロインジェクション法(Muellerら、1978, Cell 15:579)、プロトプラスト融合法(Schafner, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:2163〜7)、または空気銃法(Kleinら、1987, Nature 327:70)により、純粋なDNAとして受容細胞に導入(形質導入)される。または、cDNAを、例えば、レトロウイルス(Bernsteinら、1985, Gen. Engrg. 7:235)、アデノウイルス(Ahmadら、1986, J. Virol. 57:267)またはヘルペスウイルス(Spaeteら、1982, Cell 30:295)のようなウイルス・ベクターを用いた感染により導入することができる。
実施例14 ペプチド合成および精製
アラニン2,3-アミノムターゼ、CoAトランスフェラーゼ、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ、3-HP-CoAデヒドラターゼ、4-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、β-アラニン-2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシプロピオン酸デヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、3-HP-CoAヒドロラーゼ、3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ、ポリヒドロキシ酸シンターゼ、リパーゼ、エステラーゼ、CoAヒドロラーゼ、α-ケトパントイン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、α-ケトパントイン酸リダクターゼ、パントテン酸シンターゼ、パントテン酸キナーゼ、4'-ホスホパンテテノイル-1-システイン・シンテターゼ、4'-ホスホパントテノイルシステイン・デカルボキシラーゼ、ATP:4'-ホスホパンテテイン・アデニルトランスフェラーゼ、デホスホ-CoAキナーゼ、アセチル化アルデヒド:NAD(+)オキシドリダクターゼ、アルコール:NAD(+)オキシドリダクターゼ、アルデヒド・デヒドロゲナーゼ(NAD(P)+)およびアルコール・デヒドロゲナーゼ(ならびにその変種、融合体、多型、断片、および突然変異体)のような、本明細書に開示される酵素は、当技術分野において周知である、多くの、手動のまたは自動の合成方法のうちのいずれかにより化学的に合成することができる。例えば、固相ペプチド合成(SPPS)は、Applied Biosystems Model 431A Peptide Synthesizer(ペプチド合成機)を使用し、そして9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)アミノ末端保護を、ジシクロヘキシルカルボジイミド/ヒドロキシベンゾトリアゾールまたは2-(1H-ベンゾ-トリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート/ヒドロキシベンゾトリアゾール(HBTU/HOBT)と組み合わせて使用し、そしてカルボキシル末端が酸の場合にはp-ヒドロキシメチルフェノキシメチルポリスチレン(HMP)もしくはSasrin樹脂またはカルボキシル末端がアミドの場合にはRinkアミド樹脂を使用して、0.25ミリモル(mmole)スケールで行われる。
Fmoc-誘導アミノ酸は、Athertonら(Solid Phase Peptide Synthesis, IRL Press: Oxford, 1989)により報告されているように、適当な前駆アミノ酸から、トリチル化およびトリフルオロ酢酸に溶解させたトリフェニルメタノール処理、続いてFmoc誘導体化により調製される。
Sasrin樹脂に結合したペプチドは、保護ペプチドを得るため、1% TFAのジクロロメタン溶液により切断される。必要に応じて、保護ペプチド前駆体は、アミノ酸側鎖が保護された新生ペプチドにおけるジフェニルホスホリルアジドを用いたアミノ末端遊離アミンとカルボキシル末端遊離酸との反応により、アミノ末端とカルボキシル末端との間で環化される。
HMPまたはRinkアミド樹脂に結合した生成物は、室温で0.5〜3時間、トリフルオロ酢酸(TFA)からなる溶液、選択的にまた水、チオアニソール、およびエタンジチオールを100 対 5 対 5 対 2.5の比率で含む溶液を用いて通常切断され、そして保護側鎖を含む環化ペプチドは脱保護される。
粗ペプチドは、例えば、Waters Delta-Pak C18カラムおよびアセトニトリルを変化させた0.1% TFA水溶液による勾配溶出を利用して、分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製される。カラム溶出後、アセトニトリルを、溶出された分画から蒸発させ、次にその分画を凍結乾燥する。そのように生産され且つ精製された各生成物の同定は、高速原子衝撃質量分析法(FABMS)またはエレクトロスプレイ質量分析法(ESMS)により確認することができる。
本発明者らの開示の原理を適用できると考えられる多くの態様を考慮して、説明されている態様は、本開示の特殊な例に過ぎないと見なされるべきであり、本開示の範囲に関する限定と見なされるべきではない。むしろ、本開示の範囲は、特許請求の範囲と一致する。従って、本発明者らは、これらの特許請求の範囲および精神に入るものは全て本発明者らの発明として権利を主張するものである。
β-アラニン中間体を経由して3-HPおよびその誘導体を生産するための、およびα-アラニンからβ-アラニンを作製するための経路図である。 β-アラニンを生産するための経路図である。 β-アラニンからコエンザイムAおよびパントテン酸を生産するための経路図である。 枯草菌(B. subtilis)の野生型リジン2,3-アミノムターゼ(KAM、配列番号:31)、およびアラニン2,3-アミノムターゼをコードするその変異型(配列番号:21)のアライメントである。置換は太字体で示されている。Fe-Sクラスター−結合モチーフは下線で示されており、そして推定上のPLP−結合モチーフは斜体で示されている。 ポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)の野生型リジン2,3-アミノムターゼ(kam、配列番号:28)およびアラニン2,3-アミノムターゼをコードするその変異型(aam、配列番号:30)のアライメントである。置換は太字体で示されている。Fe-Sクラスター−結合モチーフは下線で示されており、そして推定上のPLP−結合モチーフは斜体で示されている。 枯草菌(B. subtilis)およびポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)の野生型リジン2,3-アミノムターゼ(kam、配列番号:31および28)、およびアラニン2,3-アミノムターゼをコードするその変異型(aam、配列番号:21および29)のアライメントである。共通位置での置換は、太字体で示されている。
添付の配列表に記載の核酸およびアミノ酸配列は、標準的な、ヌクレオチド塩基に対する文字記号、およびアミノ酸に対する三文字コードにより示されている。各核酸配列の片側鎖しか示されていないが、その相補鎖は、表示鎖を参照することにより包含されるものとして理解される。
(配列番号:1および2)枯草菌(B. subtilis)リジン2,3-アミノムターゼ(KAM)遺伝子をクローニングするために使用したPCRプライマーである。
(配列番号:3)枯草菌(B. subtilis)KAM遺伝子の核酸配列である。
(配列番号:4および5)pKD3のCAT遺伝子を増幅するために使用したPCRプライマーである。
(配列番号:6および7)CAT遺伝子がpanD遺伝子座に正しく挿入されていることを確認するために使用したPCRプライマーである。
(配列番号:8および9)pKD3のCAT遺伝子を増幅するために使用したプライマーの核酸配列である。
(配列番号:10および11)枯草菌(B. subtilis)の野生型リジン2,3-アミノムターゼ遺伝子に突然変異L103Mを発生させるために使用したプライマーの核酸配列である。
(配列番号:12および13)枯草菌(B. subtilis)の野生型リジン2,3-アミノムターゼ遺伝子に突然変異M136Vを発生させるために使用したプライマーの核酸配列である。
(配列番号:14および15)枯草菌(B. subtilis)の野生型リジン2,3-アミノムターゼ遺伝子に突然変異D339Hを発生させるために使用したプライマーの核酸配列である。
(配列番号:16〜19、26、27および32)アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)M3Aから3-HPデヒドロゲナーゼ遺伝子をクローニングするために使用したプライマーの核酸配列である。
(配列番号:20)アラニン2,3-アミノムターゼDNAの核酸配列である。
(配列番号:21)アラニン2,3-アミノムターゼタンパク質のアミノ酸配列である。
(配列番号:22)β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ(ACL-1)cDNAの核酸配列である。
(配列番号:23)β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ(ACL-1)タンパク質のアミノ酸配列である。
(配列番号:24)CoAトランスフェラーゼcDNAの核酸配列である。
(配列番号:25)CoAトランスフェラーゼタンパク質のアミノ酸配列である。
(配列番号:28)ポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)KAMのアミノ酸配列である。
(配列番号:29)アラニン2,3-アミノムターゼの核酸配列である。
(配列番号:30)アラニン2,3-アミノムターゼタンパク質のアミノ酸配列である。
(配列番号:31)枯草菌(B. subtilis)KAMのアミノ酸配列である。
(配列番号:33)アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)M3A由来の3-HPデヒドロゲナーゼ遺伝子の核酸配列である。
(配列番号:34)アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)M3A由来の3-HPデヒドロゲナーゼ遺伝子のアミノ酸配列である。
(配列番号:35〜37)β-アラニン-CoAアンモニアリアーゼ(ACL-1およびACL-2)をクローニングするために使用したプライマーの核酸配列である。
(配列番号:38〜40)大腸菌(E.coli.)からCoAトランスフェラーゼをクローニングするために使用したプライマーの核酸配列である。
(配列番号:41〜48)ACL-1またはACL-2、CoAトランスフェラーゼおよびCoAヒドラターゼ遺伝子を含む、オペロン1および2を生産するために使用したプライマーの核酸配列である。
(配列番号:49〜52)4-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼおよび3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含む、オペロン3を生産するために使用したプライマーの核酸配列である。
(配列番号:53)β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ(ACL-2)cDNAの核酸配列である。
(配列番号:54)β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ(ACL-2)タンパク質のアミノ酸配列である。
(配列番号:55〜56)pATH-2-2-1プラスミドからATH-2オペロンを増幅するために使用したプライマーの核酸配列である。
(配列番号:57〜58)pATDプラスミドからATDオペロンを増幅するために使用したプライマーの核酸配列である。
(配列番号:59〜60)枯草菌(B. subtilis)アラニン2,3 アミノムターゼを増幅するために使用したプライマーの核酸配列である。
(配列番号:61〜62)ラットβ-アラニン・アミノトランスフェラーゼ遺伝子を増幅するために使用したプライマーの核酸配列である。
(配列番号:63〜64)アルカリゲネス・フェカリス(A. faecalis)から3-HPデヒドロゲナーゼを増幅するために使用したプライマーの核酸配列である。
(配列番号:65〜66)ラットからα-アラニン・アミノトランスフェラーゼ遺伝子を増幅するために使用したプライマーの核酸配列である。

Claims (107)

  1. α-アラニンからβ-アラニンを生産する、アラニン2,3-アミノムターゼを含む細胞。
  2. 形質転換細胞である、請求項1記載の細胞。
  3. アラニン2,3-アミノムターゼをコードする核酸配列を含有する、少なくとも一つの外因性核酸分子を含む、請求項2記載の細胞。
  4. 外因性核酸分子が変異型リジン2,3-アミノムターゼである、請求項3記載の細胞。
  5. 外因性核酸分子が変異型ロイシン2,3-アミノムターゼである、請求項3記載の細胞。
  6. 外因性核酸分子が変異型リジン5,6-アミノムターゼである、請求項3記載の細胞。
  7. アラニン2,3-アミノムターゼをコードする核酸配列が、配列番号:20に示される配列のヌクレオチド307〜1017位または配列番号:29に示される配列のヌクレオチド55〜1026位を含む、請求項3記載の細胞。
  8. 配列番号:20のヌクレオチド307〜1017位または配列番号:29のヌクレオチド55〜1026位を含有する核酸が、一つまたは複数の保存的アミノ酸置換をもたらす一つまたは複数の置換を含む、請求項7記載の細胞。
  9. 配列番号:20のヌクレオチド307〜1017位または配列番号:29に示される配列のヌクレオチド55〜1026位を含有する核酸が、10個以内の保存的アミノ酸置換をもたらす一つまたは複数の置換を含む、請求項7記載の細胞。
  10. アラニン2,3-アミノムターゼをコードする核酸配列が、配列番号:20または配列番号:29と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項3記載の細胞。
  11. アラニン2,3-アミノムターゼをコードする核酸配列が、配列番号:20または配列番号:29と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項10記載の細胞。
  12. アラニン2,3-アミノムターゼをコードする核酸配列が、配列番号:20または配列番号:29を含む、請求項10記載の細胞。
  13. 変異型リジン2,3-アミノムターゼが、原核生物の変異型リジン2,3-アミノムターゼである、請求項4記載の細胞。
  14. 原核生物の変異型リジン2,3-アミノムターゼが、枯草菌、デイノコッカス・ラディオデュランス、クロストリジウム・サブテルミナレ、ポルフィロモナス・ジンジバリス、または大腸菌の変異型リジン2,3-アミノムターゼである、請求項13記載の細胞。
  15. 変異型リジン2,3-アミノムターゼが、枯草菌の変異型リジン2,3-アミノムターゼである、請求項14記載の細胞。
  16. 枯草菌の変異型リジン2,3-アミノムターゼが、L103M、L103K、L103R、L103E、またはL103S置換を含む、請求項15記載の細胞。
  17. 枯草菌の変異型リジン2,3-アミノムターゼが、L103M、M136V置換、D339H置換、またはその任意の組み合わせを含む、請求項15記載の細胞。
  18. 枯草菌の変異型リジン2,3-アミノムターゼが、D339H、D339Q、D339T、またはD339N置換を含む、請求項15記載の細胞。
  19. 変異型リジン2,3-アミノムターゼが、ポルフィロモナス・ジンジバリスの変異型リジン2,3-アミノムターゼである、請求項14記載の細胞。
  20. ポルフィロモナス・ジンジバリスの変異型リジン2,3-アミノムターゼが、N19Y置換、L53P置換、H85Q置換、D331G置換、M342T置換、またはその任意の組み合わせを含む、請求項19記載の細胞。
  21. 変異型リジン5,6-アミノムターゼが、クロストリジウム・スティクランジィの変異型リジン5,6-アミノムターゼである、請求項6記載の細胞。
  22. 原核細胞である、請求項1記載の細胞。
  23. 原核細胞が、ラクトバチルス、ラクトコッカス、バチルス、または大腸菌細胞である、請求項22記載の細胞。
  24. 原核細胞が、大腸菌またはバチルス・リケニフォルミス細胞である、請求項22記載の細胞。
  25. 酵母細胞である、請求項1記載の細胞。
  26. 3-ヒドロプロピオン酸(3-HP)を生産する、請求項1記載の細胞。
  27. 以下の活性をさらに含む、請求項26記載の細胞:
    CoAトランスフェラーゼまたはCoAシンテターゼ活性;
    β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性;および
    3HP-CoAデヒドラターゼ活性。
  28. 3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼおよび/または3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性をさらに含む、請求項27記載の細胞。
  29. 4-アミノ酪酸および/またはβ-アラニン-2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ活性;ならびに3-HPデヒドロゲナーゼ活性または3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ活性をさらに含む、請求項26記載の細胞。
  30. 細胞は以下の活性をさらに含む、請求項1記載の細胞:
    CoAトランスフェラーゼまたはCoAシンテターゼ活性;
    β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性;
    3-ヒドロキシプロピオニル-CoAデヒドラターゼ活性;
    3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼおよび/または3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性;ならびに
    リパーゼおよび/またはエステラーゼ活性。
  31. 3-HPのエステルを生産する、請求項30記載の細胞。
  32. 3-HPのエステルが、3-ヒドロキシプロピオン酸メチル、3-ヒドロキシプロピオン酸エチル、3-ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3-ヒドロキシプロピオン酸ブチル、または3-ヒドロキシプロピオン酸2-エチルヘキシルである、請求項31記載の細胞。
  33. 以下の活性をさらに含む、請求項1記載の細胞:
    CoAトランスフェラーゼ活性;
    β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性;
    3-ヒドロキシプロピオニル-CoAデヒドラターゼ活性;および
    ポリヒドロキシ酸シンターゼ活性。
  34. 3-HP重合体を生産する、請求項33記載の細胞。
  35. 以下の活性をさらに含む、請求項1記載の細胞:
    CoAトランスフェラーゼ活性;
    β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性;および
    ポリヒドロキシ酸シンターゼ活性。
  36. アクリル酸重合体を生産する、請求項35記載の細胞。
  37. 以下の活性をさらに含む、請求項1記載の細胞:
    CoAトランスフェラーゼ活性;
    β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性;ならびに
    リパーゼおよび/またはエステラーゼ活性。
  38. アクリル酸エステルを生産する、請求項37記載の細胞。
  39. アクリル酸エステルが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、またはアクリル酸ブチルである、請求項38記載の細胞。
  40. 1,3-プロパンジオールを生産する、請求項1記載の細胞。
  41. 以下の活性をさらに含む、請求項40記載の細胞:
    CoAトランスフェラーゼまたはCoAシンテターゼ活性;
    β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性;
    3-ヒドロキシプロピオニル-CoAデヒドラターゼ活性;
    アセチル化アルデヒド:NAD(+)オキシドリダクターゼ活性;および
    アルコール:NAD(+)オキシドリダクターゼ活性。
  42. 以下の活性をさらに含む、請求項40記載の細胞:
    CoAトランスフェラーゼ活性;
    β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性;
    3-ヒドロキシプロピオニン-CoAデヒドラターゼ活性;
    3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼおよび/または3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性;
    アルデヒド・デヒドロゲナーゼ(NAD(P)+)活性;ならびに
    アルコール・デヒドロゲナーゼ活性。
  43. パントテン酸を生産する、請求項1記載の細胞。
  44. α-ケトパントイン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、α-ケトパントイン酸リダクターゼ、およびパントテン酸シンターゼ活性をさらに含む、請求項43記載の細胞。
  45. コエンザイムA(CoA)を生産する、請求項43記載の細胞。
  46. パントテン酸キナーゼ、4'-ホスホパンテテノイル-1-システイン・シンテターゼ、4'-ホスホパントテノイルシステイン・デカルボキシラーゼ、ATP:4'-ホスホパンテテイン・アデニルトランスフェラーゼ、およびデホスホ-CoAキナーゼ活性をさらに含む、請求項45記載の細胞。
  47. アラニン2,3-アミノムターゼ活性を含むポリペプチド。
  48. 変異型リジン2,3-アミノムターゼのアミノ酸配列を含む、請求項47記載のポリペプチド。
  49. 変異型リジン2,3-アミノムターゼのアミノ酸配列が、枯草菌、デイノコッカス・ラディオデュランス、クロストリジウム・サブテルミナレ、ポルフィロモナス・ジンジバリス、または大腸菌の変異型リジン2,3-アミノムターゼのアミノ酸配列である、請求項48記載のポリペプチド。
  50. 変異型リジン2,3-アミノムターゼのアミノ酸配列が、枯草菌の変異型またはポルフィロモナス・ジンジバリスの変異型リジン2,3-アミノムターゼのアミノ酸配列である、請求項49記載のポリペプチド。
  51. 配列番号:21に示される配列のアミノ酸50〜390位または配列番号:30に示される配列のアミノ酸15〜390位を含む、請求項47記載のポリペプチド。
  52. 配列番号:21または30と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、請求項47記載のポリペプチド。
  53. 配列番号:21または30と少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項52記載のポリペプチド。
  54. 配列番号:21または30を含む、請求項52記載のポリペプチド。
  55. 一つまたは複数の保存的アミノ酸置換を含む、請求項52記載のポリペプチド。
  56. わずか10個の保存的アミノ酸置換を含む、請求項52記載のポリペプチド。
  57. 請求項47記載のポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離された核酸。
  58. プロモーター配列に操作可能に連結された、請求項57記載の単離核酸。
  59. 配列番号:20のヌクレオチド307〜1017位または配列番号:29のヌクレオチド55〜1026位を含む、請求項57記載の単離核酸。
  60. 配列番号:20または配列番号:29と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項57記載の単離核酸。
  61. 配列番号:20または配列番号:29と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項57記載の単離核酸。
  62. 核酸配列が、一つまたは複数の保存的アミノ酸置換をもたらす一つまたは複数の置換を含む、請求項60記載の単離核酸。
  63. 核酸配列が、わずか10個の保存的アミノ酸置換をもたらす一つまたは複数の置換を含む、請求項60記載の単離核酸。
  64. 配列番号:20または29を含む、請求項61記載の単離核酸。
  65. 請求項57記載の単離核酸を含むベクター。
  66. 請求項57記載の単離核酸を含む組換え核酸。
  67. 請求項66記載の組換え核酸で形質転換された細胞。
  68. 請求項57の組換え核酸を含む、ヒト以外のトランスジェニック哺乳動物。
  69. 請求項47記載のポリペプチドをコードする核酸配列を含む少なくとも一つの外因性核酸分子を含有する形質転換細胞。
  70. α-アラニンからβ-アラニンを生産する、請求項69記載の形質転換細胞。
  71. 3-HPを生産する、請求項70記載の細胞。
  72. 1,3-プロパンジオールを生産する、請求項71記載の細胞。
  73. パントテン酸を生産する、請求項70記載の細胞。
  74. CoAを生産する、請求項73記載の細胞。
  75. 請求項47記載のポリペプチドに特異的に結合する、特異的結合物質。
  76. 細胞がアラニン2,3-アミノムターゼ活性を含むポリペプチドを生産することを可能とする条件の下で、請求項67記載の細胞を培養する段階を含む、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を含むポリペプチドの生産方法。
  77. 細胞がα-アラニンからβ-アラニンを生産することを可能とする条件の下で、請求項1記載の細胞を培養する段階を含む、α-アラニンからβ-アラニンを生産するための方法。
  78. 細胞が、α-アラニンからβ-アラニンを生産できるアラニン2,3-アミノムターゼをコードする少なくとも一つの外因性核酸分子を含む、請求項77記載の方法。
  79. 細胞が原核細胞である、請求項78記載の方法。
  80. 細胞が酵母、ラクトバチルス、ラクトコッカス、バチルス、または大腸菌細胞である、請求項78記載の方法。
  81. 細胞がpanD遺伝子の機能的欠失を含む、請求項78記載の方法。
  82. 以下の段階を含む、アラニン2,3-アミノムターゼ活性を含む細胞の同定方法:
    panD遺伝子が機能的に欠失された細胞を、β-アラニンおよびパントテン酸を含んでいない培地中で培養する段階;ならびに
    培地中で増殖できる細胞を同定する段階であって、細胞の増殖は、該細胞がα-アラニンからβ-アラニンを生産している(これは、細胞がアラニン2,3-アミノムターゼ活性を含有することを示す)ことを示し、細胞が増殖しないのは、該細胞がα-アラニンからβ-アラニンを生産していない(これは、細胞がアラニン2,3-アミノムターゼ活性を含有しないことを示す)ことを示す、段階。
  83. 細胞を培養する段階の前に、一つまたは複数の変異型リジン2,3-アミノムターゼを細胞にトランスフェクトする段階をさらに含む、請求項82記載の方法。
  84. 一つまたは複数の変異型原核生物リジン2,3-アミノムターゼが、枯草菌、デイノコッカス・ラディオデュランス、クロストリジウム・サブテルミナレ、 アクイフェックス・エオリカス、ヘモフィラス・インフルエンザ、大腸菌、および/またはポルフィロモナス・ジンジバリスの変異型リジン2,3-アミノムターゼである、請求項83記載の方法。
  85. 一つまたは複数の変異型リジン2,3-アミノムターゼが、枯草菌の変異型リジン2,3-アミノムターゼである、請求項83記載の方法。
  86. 培地中で増殖する細胞を同定する段階の後に、細胞にアラニン2,3-アミノムターゼ活性を付与する、一つまたは複数の変異型リジン2,3-アミノムターゼの突然変異を同定する段階をさらに含む、請求項83記載の方法。
  87. 一つまたは複数の変異型リジン2,3-アミノムターゼの突然変異を同定する段階に、一つまたは複数の変異型リジン2,3-アミノムターゼを配列決定する段階が含まれる、請求項86記載の方法。
  88. 細胞が原核細胞である、請求項82記載の方法。
  89. 細胞が3-HPを生産する条件の下で、請求項1記載の細胞を培養する段階を含む、3-HPを生産するための方法。
  90. 細胞が、α-アラニンからβ-アラニンを生産するアラニン2,3-アミノムターゼをコードする少なくとも一つの外因性核酸を含み、その結果、3-HPがβ-アラニンから生産される、請求項89記載の方法。
  91. 細胞が以下の活性をさらに含む、請求項89記載の方法:
    CoAトランスフェラーゼまたはCoAシンテターゼ活性;
    β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性;
    3-HP-CoAデヒドラターゼ活性;ならびに
    3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼおよび/または3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性。
  92. 細胞が以下の活性をさらに含む、請求項89記載の方法:
    4-アミノ酪酸および/またはβ-アラニン-2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ活性;ならびに
    3-HPデヒドロゲナーゼおよび/または3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ活性。
  93. 細胞が1,3-プロパンジオールを生産する条件の下で、請求項40記載の細胞を培養する段階を含む、1,3-プロパンジオールを生産するための方法。
  94. 細胞がパントテン酸を生産する条件の下で、請求項43記載の細胞を培養する段階を含む、パントテン酸を生産するための方法。
  95. 細胞がCoAを生産する条件の下で、請求項45記載の細胞を培養する段階を含む、CoAを生産するための方法。
  96. 以下の段階を含む、3-HPを生産するための方法:
    請求項1記載の細胞からβ-アラニンを精製する段階;
    β-アラニル-CoAを形成させるため、β-アラニンを、CoAトランスフェラーゼ活性を含むポリペプチドと接触させる段階;
    アクリリル-CoAを形成させるため、β-アラニル-CoAを、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性を含むポリペプチドと接触させる段階;
    3-HP-CoAを形成させるため、アクリリル-CoAを、3HP-CoAデヒドラターゼ活性を含むポリペプチドと接触させる段階;ならびに
    3-HPを生産するため、3-HP-CoAを、CoAトランスフェラーゼ活性、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼ、および/または3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性を含むポリペプチドと接触させる段階。
  97. 以下の段階を含む、3-HPを生産するための方法:
    請求項1記載の細胞からβ-アラニンを精製する段階;
    マロン酸セミアルデヒドを形成させるため、β-アラニンを、4-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼおよび/またはβ-アラニン-2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ活性を含むポリペプチドと接触させる段階;ならびに
    3-HPを生産するため、マロン酸セミアルデヒドを、3-HPデヒドロゲナーゼおよび/または3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ活性を含むポリペプチドと接触させる段階。
  98. 以下の段階を含む、3-HPを生産するための方法:
    請求項1記載の細胞に、CoAトランスフェラーゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸を、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸を、ならびにCoAトランスフェラーゼ活性、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼ、および/または3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸を、トランスフェクトする段階;ならびに
    トランスフェクトされた細胞が3-HPを生産できるようにトランスフェクト細胞を培養する段階。
  99. 以下の段階を含む、3-HPを生産するための方法:
    請求項1記載の細胞に、4-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼおよび/またはβ-アラニン-2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸を、ならびに3-HPデヒドロゲナーゼおよび/または3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸を、トランスフェクトする段階;ならびに
    トランスフェクトされた細胞が3-HPを生産できるようにトランスフェクト細胞を培養する段階。
  100. 以下の段階を含む、3-HPから1,3-プロパンジオールを生産するための方法:
    請求項97記載の方法を用いて3-HPを生産する段階;
    3-HPを、アセチル化アルデヒド:NAD(+)オキシドリダクターゼ活性を含むポリペプチドおよびアルコール:NAD(+)オキシドリダクターゼ活性を含むポリペプチドと接触させる段階。
  101. 以下の段階を含む、1,3-プロパンジオールを生産するための方法:
    請求項1記載の細胞に、CoAトランスフェラーゼまたはCoAシンテターゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸;β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸;3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼおよび/または3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸;アセチル化アルデヒド:NAD(+)オキシドリダクターゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸;ならびにアルコール:NAD(+)オキシドリダクターゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸を、トランスフェクトする段階;ならびに
    トランスフェクトされた細胞が1,3-プロパンジオールを生産できるようにトランスフェクト細胞を培養する段階。
  102. 以下の段階を含む、1,3-プロパンジオールを生産するための方法:
    請求項1記載の細胞に、CoAトランスフェラーゼまたはCoAシンテターゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸; β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸;3-ヒドロキシプロピオニル-CoAデヒドラターゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸;3-ヒドロキシプロピオニル-CoAヒドロラーゼおよび/または3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸;アルデヒド・デヒドロゲナーゼ(NAD(P)+)活性を含むポリペプチドをコードする核酸;アルコール・デヒドロゲナーゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸を、トランスフェクトする段階、ならびに
    トランスフェクトされた細胞が1,3-プロパンジオールを生産できるようにトランスフェクト細胞を培養する段階。
  103. 以下の段階を含む、パントテン酸を生産するための方法:
    請求項1記載の細胞からβ-アラニンを精製する段階;および
    パントテン酸を生産するため、β-アラニンを、α-ケトパントイン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、α-ケトパントイン酸リダクターゼ、およびパントテン酸シンターゼと接触させる段階。
  104. 以下の段階を含む、パントテン酸を生産するための方法:
    請求項1記載の細胞に、α-ケトパントイン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸を、α-ケトパントイン酸リダクターゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸を、およびパントテン酸シンターゼ活性を含むポリペプチドをコードする核酸を、トランスフェクトする段階;ならびに
    トランスフェクトされた細胞がパントテン酸を生産できるようにトランスフェクト細胞を培養する段階。
  105. 植物細胞である、請求項1記載の細胞。
  106. 請求項104記載の細胞を含む植物。
  107. 請求項57記載の組換え核酸を含むトランスジェニック植物。
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