JP2005523024A - プロテインキナーゼ及びホスファターゼ活性の測定法 - Google Patents

プロテインキナーゼ及びホスファターゼ活性の測定法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は基質分子に作用する酵素のリン酸化又は脱リン酸化活性を測定するための蛍光に基づくアッセイ法を提供する。
【解決手段】 基質は酵素によるリン酸化又は脱リン酸化を受けて産物を生じ得る1以上の部分を含んでなり、蛍光色素で標識されていて、色素標識基質のリン酸化により、又は色素標識リン酸化基質の脱リン酸化により、蛍光強度及び蛍光寿命の変化を示し得るものである。好ましい実施形態において、基質はアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される蛍光色素で標識されている。本発明はまた測定すべき酵素のリン酸化又は脱リン酸化活性に影響を与える試験作用物質のスクリーニング法を提供する。

Description

本発明はプロテインキナーゼ及びホスファターゼ活性を測定するための蛍光に基づくアッセイ法に関する。
プロテインキナーゼ及びプロテインホスファターゼがそれぞれ触媒するタンパク質のリン酸化及び脱リン酸化は、真核細胞における細胞機能を調節する重要な細胞内プロセスである。タンパク質中のセリン、スレオニン及びチロシン残基の可逆的リン酸化は、タンパク質の生物学的性質を調節する非常に有効な手段であり、代謝、細胞分裂、遺伝子の転写と翻訳、及び細胞におけるシグナル伝達メカニズムなど多様なプロセスを変調する。総説については、Hunter, T., Cell, (1995), 80, 225−236; Karin, M., Curr. Opin. Cell Biol., (1991), 3, 467−473 参照。従って、タンパク質のリン酸化及び脱リン酸化は生体の維持、適応、及び病気に対する感受性において重要な事象である。タンパク質のリン酸化及び脱リン酸化プロセスにおける機能不全は、細胞の調節メカニズムにとって深刻な結果を招き、その理由で、プロテインキナーゼとホスファターゼは新規治療薬処置の発展において重要な大量処理スクリーニングアッセイ法開発のための好ましい標的である。
従来のキナーゼ活性の検出測定アッセイ法は、リン酸を標的に取込ませるリン酸源として[32P]−又は[33P]−標識ATPを用いる放射活性検出法に基づく方法である。放射活性同位体を用いる方法は、一般にシンチレーションカウンターでの計測に先立ち、標識産物を単離する分離工程を必要とする(Songyang, Z. et al., Nature, (1995), 373, 536−539)。
あるいは、非放射活性検出によるアッセイ法が、例えば、リン酸化されたタンパク質及びペプチドを検出するための抗体を使用して、採用されている。検出様式は蛍光偏光及び時間分解蛍光共鳴エネルギー転移などである。
国際公開第99/29894号パンフレット(Eppsら)は、蛍光検出によるタンパク質キナーゼとホスファターゼの大量処理スクリーニングアッセイ法に関する。この方法では競合イムノアッセイ手法を利用し、酵素によりリン酸化(又は脱リン酸化)される基質量を定量する。酵素活性の定量は標識抗体−生成物接合体の蛍光偏光を測定することにより実施する。あるいは、蛍光消光又は蛍光相関スペクトル法を用いることも可能である。
国際公開第00/75167号パンフレット(Sportsmanら)は、リン酸化されたペプチドに特異的に結合する結合パートナーと発光ペプチドとを接触させることにより基質へのリン酸基付加又は基質からの除去を検出する方法に関する。
マックロイら(Mcllroy et al., Analytical Biochemistry, (1991), 195, 148−152)は抗体選択をしないプロテインキナーゼC(PKC)の代替蛍光アッセイ法を報告している。このアッセイ法では、PKCリン酸化部位を取込むアクリロダン−標識25アミノ酸の合成ペプチドがリン酸化により20%の蛍光低下を受けると報告している。このアッセイは0.2nMレベルまでのPKC検出を可能とするが、同様濃度のサイクリックAMP依存性又はII型カルモジュリン依存性プロテインキナーゼはペプチド蛍光に変化を生じなかった。特開2001−19700号公報は蛍光強度の変化を測定することにより、cAMP依存性プロテインキナーゼA活性又はタンパク質脱リン酸化活性を検出するために、発蛍光基質の使用について記載している。
時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)を採用するこれらの方法においては、1種を超える検出試薬を必要とする。かかる試薬の調製及び添加は、しばしば相当の時間と、努力、費用を要する。アッセイ法の多くが真に均一ではなく、反応が始まった後で試薬の添加が必要である。TR−FRETは検出試薬間の距離に依存するが、このことは基質をその要求に叶うように調製しなければならないことを意味する。さらに、多くのアッセイが複数の標識を必要とする。殆どの場合、例え望ましくとも、天然の基質を使用することは不可能であり、その理由はタンパク質をビオチニル化し、抗体を加える必要性がそれらの使用を不可能とするからである。
国際公開第99/29894号パンフレット 国際公開第00/75167号パンフレット 特開2001−19700号公報 Hunter, T., Cell, (1995), 80, 225−236; Karin, M., Curr. Opin. Cell Biol., (1991), 3, 467−473 Songyang, Z. et al., Nature, (1995), 373, 536−539) Mcllroy et al., Analytical Biochemistry, (1991), 195, 148−152
従って、技術上簡単に実施し得る新規簡便迅速かつ高感度のキナーゼとホスファターゼ活性測定法にあっては、技術的に余り手を加えずに実施可能であり、ロボット自動化の余地が十分にあることが要件となる。
第一の態様においては、基質分子に作用する酵素のリン酸化活性を測定する方法であって、基質が酵素によりリン酸化されてリン酸化産物を生じ得る1以上の部分を含んでなり、かつ基質が蛍光色素で標識されているものであり、当該方法が、
i)蛍光標識基質の蛍光強度と蛍光寿命を測定する工程;
ii)酵素と基質分子とをリン酸供与体の存在下に結合させる工程;及び
iii)工程ii)の結合に続いて、蛍光標識の蛍光強度と蛍光寿命における変化を測定する工程;
からなり、蛍光標識の蛍光強度と蛍光寿命における変化を酵素のリン酸化活性測定に使用する、方法が提供される。
好ましくは、基質はアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される蛍光色素で標識する。
本発明の第二の態様においては、基質分子に作用する酵素のリン酸化活性を測定する方法であって、基質が酵素によりリン酸化されてリン酸化産物を生じ得る1以上の部分を含んでなり、かつ基質がアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される蛍光色素で標識されているものであり、当該方法が、
i)蛍光標識基質の蛍光強度を測定する工程;
ii)酵素と基質分子とをリン酸供与体の存在下に結合させる工程;及び
iii)工程ii)の結合に続いて、蛍光標識の蛍光強度の増加を測定する工程;
からなり、蛍光標識の蛍光強度の増加を酵素のリン酸化活性測定に使用する、方法が提供される。
第一及び第二の態様によると、適切には、基質分子は天然のタンパク質(糖タンパク質及びリポタンパク質などの翻訳後修飾タンパク質を含む)及び合成ペプチドから選択する。これらの実施形態において、基質分子はリン酸化を受け得る1以上のアミノ酸を含んでなる。
あるいは、基質はモノ−もしくはビス−燐酸ホスファチジルを包含するイノシトール脂質などの脂質から選択するか、又はモノ−もしくはポリ−多糖類であってもよく、基質分子はリン酸化を受け得る1以上のヒドロキシル基を含んでなる。
好ましい実施形態において、基質はタンパク質又はペプチドであり、リン酸化を受け得るアミノ酸はチロシン、セリン、スレオニン及びヒスチジンから選択する。これらの実施形態において、基質はプロテインキナーゼにより、例えば、チロシンキナーゼ、セリン/スレオニンキナーゼ及びヒスチジンキナーゼから選択される1種以上の酵素によりリン酸化を受け得るものである。
基質がチロシン残基でチロシンキナーゼによりリン酸化される場合の第二の態様による実施形態において、リン酸化産物は1以上のホスホ−チロシン残基を含んでなる。この実施形態において、測定工程i)及びiii)はさらに蛍光標識の蛍光寿命を測定することを含んでなり、その場合、蛍光寿命の延長が非リン酸化基質の濃度に相関するリン酸化産物の濃度測定に使用される。従って、この方法は実時間での酵素反応の進行とともに変化する基質の量とそれによって生じた相当するリン酸化産物の量の増加についての連続的記録のために使用し得る。
別の実施形態において、基質はセリン、スレオニン及びヒスチジンから選択される残基でリン酸化を受ける。
第一又は第二態様による好ましい実施形態においては、試験作用物質が酵素のリン酸化活性に及ぼす作用を測定する試験作用物質のスクリーニング方法が提供される。当該方法は、(a)作用物質の存在下及び不存在下に第一又は第二態様による方法を実施する工程;及び(b)作用物質の存在下及び不存在下に酵素のリン酸化活性を測定する工程;からなり、その場合に、作用物質の存在下及び不存在下の酵素のリン酸化活性間の差を酵素のリン酸化活性に対する試験作用物質の作用を示すものであるとする、スクリーニング方法である。あるいは、スクリーニングは試験作用物質の存在下に当該方法を実施し、次いで、試験作用物質の不存在下に酵素のリン酸化活性値と酵素活性の対照値とを比較することによって実施することができる。対照値は便宜的には電子的にデータベースに、又は他の電子的フォーマットに保存するとよい。
“リン酸供与体”という用語は、ATP又はGTPなどの高エネルギーリン酸供与体を意味するものとする。
第三の態様においては、基質分子に作用する酵素の脱リン酸化活性を測定する方法であって、基質が酵素により脱リン酸化されて産物を生じ得る1以上のリン酸化部分を含んでなり、かつ基質が蛍光色素で標識されているものであり、当該方法が、
i)蛍光標識基質の蛍光強度と蛍光寿命を測定する工程;
ii)酵素と基質分子とを結合させて産物を生じさせる工程;及び
iii)工程ii)の結合に続いて、蛍光強度と蛍光寿命における変化を測定する工程;
からなり、蛍光標識の蛍光強度と蛍光寿命における変化を酵素の脱リン酸化活性測定に使用する、方法が提供される。
好ましくは、基質はアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される蛍光色素で標識されている。
本発明の第四の態様においては、基質分子に作用する酵素の脱リン酸化活性を測定する方法であって、基質が酵素により脱リン酸化されて産物を生じ得る1以上のリン酸化部分を含んでなり、かつ基質がアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される蛍光色素で標識されているものであり、当該方法が、
i)蛍光標識基質の蛍光強度を測定する工程;
ii)酵素と基質分子とを結合させて産物を生じさせる工程;及び
iii)工程ii)の結合に続いて、蛍光強度の低下を測定する工程;
からなり、蛍光標識の蛍光強度の低下を酵素の脱リン酸化活性測定に使用する、方法が提供される。
適切には、第三及び第四の態様による酵素はホスファターゼである。
適切には、第三及び第四の態様によると、基質分子は天然のタンパク質(糖タンパク質及びリポタンパク質などの翻訳後修飾タンパク質を含む)及び合成ペプチドから選択される。これらの実施形態において、基質分子は脱リン酸化を受け得る1以上のリン酸化アミノ酸を含んでなる。
あるいは、基質はリン脂質(ホスホイノシチドなど)から選択するか、又は単糖もしくは多糖類のリン酸化誘導体であってもよい。この実施形態において、基質分子は脱リン酸化可能な1以上のリン酸化ヒドロキシル基を含んでなる。
好ましい実施形態において、基質はリン酸化タンパク質又はリン酸化ペプチドであり、脱リン酸化されるリン酸化アミノ酸はホスホ−チロシン、ホスホ−セリン、ホスホ−スレオニン及びホスホ−ヒスチジンから選択し得る。また、ホスファターゼはリン酸化アミノ酸から酵素的にリン酸基を除去する。
第四の態様の特定の実施形態において、基質はリン酸化されたチロシン残基を含んでなり、酵素は基質中のホスホ−チロシン残基からリン酸基を除去する。この実施形態において、測定工程i)及びiii)はさらに蛍光標識の蛍光寿命を測定することを含んでなり、その場合、蛍光寿命の短縮が生成物の濃度に相関するリン酸化された基質の濃度測定に使用される。従って、この方法は実時間での酵素反応の進行とともに変化するリン酸化された基質の量とそれによって生じた相当する産物の量の増加についての連続的記録のために使用し得る。
好ましい実施形態においては、試験作用物質が酵素の脱リン酸化活性に及ぼす作用を測定する試験作用物質のスクリーニング方法が提供される。当該方法は、(a)作用物質の存在下及び不存在下に第三又は第四の態様による方法を実施する工程;及び(b)作用物質の存在下及び不存在下に酵素の脱リン酸化活性を測定する工程;からなり、その場合に、作用物質の存在下及び不存在下の酵素の脱リン酸化活性間の差を酵素の脱リン酸化活性に対する試験作用物質の作用を示すものである。あるいは、スクリーニングは試験作用物質の存在下に当該方法を実施し、次いで、試験作用物質の不存在下に酵素の脱リン酸化活性値と酵素活性の対照値とを比較することにより実施し得る。対照値は便宜的には電子的にデータベースに、又は他の電子的フォーマットに保存するとよい。
本発明による実施形態において、キナーゼ又はホスファターゼ基質はリンカー基により固体支持体に結合させることができる。これらの実施形態において、酵素のリン酸化又は脱リン酸化活性を測定するアッセイは固相において実施することができる。
他の実施形態において、キナーゼ又はホスファターゼ基質は、米国特許第5807746号、国際公開第99/64455号、同第97/12912号、同第99/05302号に記載されている担体もしくは輸送ペプチドなどの第二ペプチド又はタンパク質に接合(又は融合)させることができる。Rojas et al., Nature Biotechnology, (1998), 16, 370−375; Hawiger et al., Curr. Opinion Chem. Biol., (1999), 89−94も参照されたい。かかる実施形態において、担体ペプチドはキナーゼ又はホスファターゼ基質を細胞膜を通過させ、細胞内に輸送するために採用可能であり、結果として、細胞環境内での基質のリン酸化状況の研究が可能となる。
キナーゼ活性を測定しようとする場合、天然のプロテインキナーゼ基質の選択はアッセイすべき特定のキナーゼに左右される。プロテインキナーゼの基質特異性は多様に変化し、リン酸化部位に隣接する狭い配列がプロテインキナーゼによる基質の認識に重要な役割を演じることが知られている。従って、キナーゼアッセイのための特定の基質の選択は、その配列に存在するリン酸化部位モチーフに左右される。表1は一部既知プロテインキナーゼ基質と本発明によるアッセイでの使用に適した相当するキナーゼを示す。
Figure 2005523024
キナーゼ基質特異性に関係する知識の進歩は、新たに配列決定されたタンパク質の潜在的酵素認識部位を同定すること、また合成ペプチドのモデル基質を構築することをも可能にした。この分野の総説については、以下の文献参照:Kennelly, P.J. and Krebs, E.G., J. Biol. Chem., (1991), 266, 15555−58; Kemp, B.E. and Pearson, R.B., Trends in Biochemical Sciences, (1990), 343。適切な合成ペプチド基質は当業者周知の方法により調製し得る;例えば、固相支持体に(要すればリンカー基を介して)連結した保護アミノ酸の逐次付加による固相ペプチド合成法により調製し得る(”Solid Phase Peptide Synthesis”, Atherton, E. and Sheppard, R.C., IRL Press (1989))。
ホスファターゼはインビトロで一般に広い基質特異性を示す(キナーゼと異なる点);参照:Helps, N.R. et al., Biochem. J., (2000), 349, 509−518; Majeti, R. and Weiss, A., Chem. Rev. (2001), 101, 2441−2448; Cohen, P., J. Cell Science, (2002), 115, 241−256。インビボにおけるホスファターゼの触媒ドメインは調節サブユニットと会合しそれによって標的となる。この組合せはインビボでのホスファターゼ基質特異性が非常に特異的であり得ることを意味する。しかし、インビトロのアッセイでは、触媒ドメインのみがアッセイされる。その結果として、インビトロでのホスファターゼはペプチドとタンパク質基質両方の幅広い範囲に作用し得る。
本発明によりキナーゼとホスファターゼアッセイに使用する基質は、色素標識基質のリン酸化、又は色素標識リン酸化基質の脱リン酸化により、蛍光強度及び蛍光寿命の変化を示し得る蛍光色素で標識する。従って、色素標識基質のリン酸化による蛍光強度及び蛍光寿命の上昇があり得る。あるいは、色素標識リン酸化基質の脱リン酸化による蛍光強度及び蛍光寿命の低下があり得る。本発明での使用に適した色素は蛍光寿命色素である。本発明との関連で、“寿命色素”という用語は測定可能な蛍光寿命をもつ色素を意味するものとし、色素が励起を受け、その励起状態のままで存在する平均時間量と定義する(Lackowicz, J.R., Principles of Fluorescence Spectroscopy (蛍光スペクトル法の原理), Kluwer Academic/Plenum Publishers, New York, (1999))。適切には、蛍光色素はアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される。標的物質の蛍光検出用の標識として使用するアクリドン及びキナクリドン誘導体については、国際公開第02/099424号及び同第02/099432号に記載されている。
本発明方法での使用に適したアクリドン色素は一般式(I):
Figure 2005523024
(式中、
基R2及びR3はZ1環構造に結合しており、基R4及びR5はZ2環構造に結合している;
1及びZ2は独立して1又は2つの縮合環芳香族又はへテロ芳香族系を完結するために必要な原子を表し、各環は複数の炭素原子から選択される5又は6個の原子と選択肢として酸素、窒素及びイオウから選択される2個を超えない原子を有する;
1、R2、R3、R4及びR5は独立して水素、ハロゲン、アミド、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4アルキル置換アミノ、スルフィドリル、カルボニル、C1〜C6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C1〜C20アルキル、アラルキル;基−E−F(ただし、Eは炭素、窒素、酸素、イオウ及びリン原子からなる基から選択される1〜60個の原子鎖をもつスペーサーであり、Fは標的結合基である);及び基−(CH2nY(ただし、Yはスルホン酸、硫酸、ホスホン酸、リン酸、四級アンモニウム及びカルボキシルから選択され、nはゼロ又は1〜6の整数である)から選択される)
で示される色素である。
本発明方法での使用に適したキナクリドン色素は一般式(II):
Figure 2005523024
(式中、
基R3及びR4はZ1環構造に結合しており、基R5及びR6はZ2環構造に結合している;
1及びZ2は独立して1又は2つの縮合環芳香族又はへテロ芳香族系を完結するために必要な原子を表し、各環は複数の炭素原子から選択される5又は6個の原子と選択肢として酸素、窒素及びイオウから選択される2個を超えない原子を有する;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は独立して水素、ハロゲン、アミド、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4アルキル置換アミノ、スルフィドリル、カルボニル、カルボキシル、C1〜C6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C1〜C20アルキル、アラルキル;基−E−F(ただし、Eは炭素、窒素、酸素、イオウ及びリン原子からなる基から選択される1〜60個の原子鎖をもつスペーサーであり、Fは標的結合基である);及び基−(CH2nY(ただし、Yはスルホン酸、硫酸、ホスホン酸、リン酸、四級アンモニウム及びカルボキシルから選択され、nはゼロ又は1ないし6の整数である)から選択される)
で示される色素である。
適切には、標的結合基Fは反応性基又は官能性基である。式(I)又は式(II)による蛍光色素の反応性基は、適切な条件下で基質の官能性基と反応し得る;式(I)及び式(II)による化合物の官能性基は、適切な条件下で基質の反応性基と反応し得る。これらの反応性基及び官能性基により、式(I)及び式(II)で示される蛍光色素は基質と反応し、共有結合により結合する;その結果、基質は蛍光色素で標識される。
好適には、Fが反応性基である場合、この基はスクシニミジルエステル、スルホ−スクシニミジルエステル、イソチオシアネート、マレイミド、ハロアセトアミド、酸ハライド、ビニルスルホン、ジクロロトリアジン、カルボジイミド、ヒドラジド及びホスホルアミダイトから選択する。好適には、Fが官能性基である場合、この基はヒドロキシ、アミノ、スルフィドリル、イミダゾール、アルデヒドとケトンを含むカルボニル、リン酸エステル及びチオリン酸エステルから選択する。
アクリドンとキナクリドン色素の好ましい例(及びその相当する寿命(nsec;ナノ秒))を化合物(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)として表2に示す。
Figure 2005523024
色素標識タンパク質及びペプチドの基質は、当業者周知の技法により、反応性蛍光色素誘導体をタンパク質又はペプチドに直接化学的にカップリング結合させることによって調製し得る。別の標識法は、基質を蛍光ポリペプチドなどのポリペプチド標識体にカップリング結合(又は連結)することである。本発明にて使用するペプチド及びタンパク質の基質は、末端のアミノ酸位置で、あるいは1個以上の内部のアミノ酸位置で標識することができる。
タンパク質及びペプチドを蛍光色素で標識する化学については多くの文献があり、また様々なペプチド化学修飾のための化学が利用可能である。一般に、標識試薬の選択は標識すべきタンパク質又はペプチドのアミノ酸組成により決定する。特に好ましいのは、アミン反応性及びチオール反応性蛍光標識色素である。最初の例としては、標識用官能基が一級アミノ基であり、この基はリジンのε−アミノ基由来のものでもよい;あるいはペプチド又はタンパク質のアミノ末端でもよい。ε−アミノリジン残基を標識するための反応性基の特別の例は、蛍光色素のイソチオシアネート−及びN−ヒドロキシスクシニミジル(NHS)エステル誘導体である。遊離のチオール基を有するタンパク質及びペプチドは比較的少ないが(それらは一般にジスルフィド基として存在する)、チオール標識手法はタンパク質及びペプチドの標識に非常に有用であることが証明されており、この手法ではチオール反応性試薬、例えば、蛍光色素のヨードアセチル及びマレイミジル誘導体を使用する。蛍光色素標識試薬を使用するタンパク質標識の総説と例については、以下の文献を参照されたい:”Non−Radioactive Labelling, a Practical Introduction” (非放射活性標識、実用入門), Garman, A.J., Academic Press, 1997; “Bioconjugation − Protein Coupling Techniques for the Biomedical Sciences” (生物接合−生物医科学のためのタンパク質カップリング技法), Aslam, M. and Dent, A., Macmillan Reference Ltd., (1998)。合成ペプチドの部位特異的標識を得るためのプロトコールは入手可能である;例えば、Hermanson, G.T., Bioconjugate Techniques (生物接合技法), Academic Press (1996)参照。代表的な例では、アクリドン色素のN−ヒドロキシスクシニミジル(NHS)エステルをpH9の弱い炭酸塩バッファー中でポリペプチドに連結し得る。反応は、適切な時間、一般には30〜60分の範囲で進行させることができる。未反応又は遊離の色素はゲル排除クロマトグラフィーにより、又は透析により除去し得る。基質の部位特異的蛍光色素標識は、ペプチドの合成の間に、合成工程中で標識したアミノ酸を使用するか、又は合成の完了時点で他の潜在的に反応性の残基を脱保護する前に、対象の残基の特異的な脱保護と標識を行うことにより、得られる。
本発明によるアッセイ法は、適切には、マルチウエルプレートのウエル中で、例えば、24穴、96穴、384穴又はそれ以上の数のウエル、例えば、1536穴のマイクロタイタープレートにて実施する。別法として、アッセイはアッセイチューブ中又は微量液ディバイスのミクロチャンネル中にても実施し得る。第一の態様による代表的なキナーゼアッセイにおいては、ATP又はGTPなどの高エネルギーリン酸供与体の存在下にキナーゼと基質分子とを接触させる。反応は、水性アッセイバッファー中、適切には5mM−MgCl2含有の、10mM−MOPS、50mM−トリス又は50mM−HEPES中に当初存在する基質及びリン酸供与体とで実施する。アッセイは試験作用物質サンプルの存在下又は不存在下に実施し得る。適切には、反応混合物から開始剤を引いた成分をマイクロタイタープレートのウエルに予め配分する。次いで、酵素を加えて反応を開始する。あるいは、適切なバッファー溶液に酵素と基質を含む反応混合物を調製する。この場合、反応はリン酸供与体を添加することにより開始させる。
一般に、キナーゼアッセイは“ストップト”条件下に実施する。従って、反応は予め定めた時間進行させ、次いで、反応を停止試薬(通常は多くの場合非特異的な酵素活性のインヒビター)により停止させる。停止試薬の例はEDTAであるが、この試薬は酵素活性にとって通常必要な金属イオンを取込むために使用する。
蛍光強度と蛍光寿命の測定は検出器としての光電子倍増管を備える装置により実施し得る。一般に、蛍光寿命の測定法は、i)時間相関単一光子計測、又はii)周波数領域(ラコウイッツが「蛍光スペクトル法の原理」に記載;J R Lakowicz, Principles of Fluorescence Spectroscopy, 2nd Ed., 1999, Chapters 4 and 5, Kluwer/Academic Press, New York)に基づくか、又は時間ゲート(参照例:Sanders, et al., Analytical Biochemistry, (1995), 227(2), 302−308)に基づくものである。蛍光強度の変化は電荷結合素子(CCD)撮像装置(走査撮像装置又は領域撮像装置など)などにより測定し、マイクロタイタープレートすべてのウエルを画像化することができる。LEADシーカー(LEADseeker)(商標)システムは1回の通過で高密度マイクロタイタープレートの蛍光画像化を可能とするCCDカメラが特徴である。画像化は定量的かつ迅速であり、画像化に適した器具の使用によりマルチウエルプレートの全体を画像化することが、現在可能である。
キナーゼ活性について試験作用物質の活性を測定するためにアッセイを定型化する場合、アッセイは基質蛍光の連続的測定下に実施するとよい。このフォーマットにおいて、蛍光標識した基質の強度は連続的に変化する。標識した基質は酵素反応の生成物から分離する必要はなく、従って、反応の時間経過を得ることが可能で、速度論的研究を実時間で実施することが可能となる。
第一又は第二の態様の特定実施形態においては、酵素がチロシンキナーゼであり、基質がAblペプチドなど、酵素に特異的なペプチド基質である。アッセイはマイクロタイタープレート中で、水性条件下、pH7〜8のHEPES、トリス又はMOPSバッファーを用いて実施し得る。一般に、バッファー濃度は約50mMである。活性を測定すべき酵素によっては、塩化ナトリウム又は塩化カリウムなどの塩を加えてもよい。好ましいリン酸供与体はATPであり、このものは一般に2×Kmの濃度、すなわち、30〜200μMの範囲で存在する。酵素基質はKm以下の最適濃度で存在すべきであり、一般には1〜100μMの範囲である。さらなる補助因子、例えば、Mg2+イオンは所定の酵素に適当な濃度で存在し、一般には1〜10mMの範囲である。
基質はアクリドン群色素から選択した色素、好ましくは、O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエートで標識する。非リン酸化ペプチド基質は、非リン酸化基質に結合した色素の寿命とリン酸化基質に結合した色素の寿命との間の差を検出測定することにより、リン酸化形状の基質と識別し得る。従って、強度と寿命、両方の変化を同時にモニターすることが可能であり、それによってアッセイの二重パラメータの測定が可能となる。これには多くの利点がある。第一に、アッセイの生物学を酵素反応生成物に特徴的な寿命の出現により確認することが可能であり、生成物の強度を同時にモニターし得る。第二に、基質の除去は、その特徴的な蛍光寿命によりモニター可能であり、色素標識基質の蛍光強度が低下するのを観察し得る。第三に、各種の強度間の定量的関連性を測定することが可能である;これは反応をオンライン実時間でモニターするための濃度単位に直接変換することができる。
ホスファターゼの活性を測定しようとする場合には、先ずリン酸化基質を調製する。ペプチド基質を合成し、次いでリン酸化するか、又は1個以上のリン酸化アミノ酸を合成に際してペプチド鎖に取込むことができる。化学的に合成したペプチドへの取込みに適したリン酸化アミノ酸は市販品として、例えば、バッケム(Bachem)A.G.から入手し得る。リン酸化ペプチドの蛍光色素標識は、上記のように、ペプチドの合成に際して、合成過程で標識したアミノ酸を使用するか、又は合成の完了時点で他の潜在的に反応性の残基を脱保護する前に、対象の残基の特異的な脱保護と標識を行うことにより得られる。タンパク質ホスファターゼ基質は本発明によるアッセイに使用するために、先ず、適当なリン酸化の形状にあるか、又はその形状に変換しなければならない。例えば、ホスホリラーゼb(脱リン酸化形状)はホスホリラーゼaを得るためにホスホリラーゼキナーゼを用いて1個のセリン残基にリン酸化し得る。次いで、リン酸化基質を蛍光色素標識試薬、好ましくは、アクリドン又はキナクリドンなどで標識する。
ホスファターゼのアッセイ法は水性バッファー媒体中で実施し得るが、この場合のバッファーは一般にpH7〜8で10〜200mMの範囲にあり、例えば、50mMトリスpH7.2(又は代替として、HEPES又はMOPS)である。さらに、塩化ナトリウムなどの塩を10〜100mMの範囲で添加してもよい。他のファクター、例えば、1〜5mM−DTT、100μM〜2mM−EDTA及び0.05〜0.1%Brij(商標)などもアッセイ混合物に含有させ得る。色素標識リン酸化基質は10〜200μMの範囲で存在する。反応はホスファターゼの添加により開始する。一般的に、反応は30℃で30〜60分間インキュベートし、次いで以前同様、停止試薬の添加により停止させる。
本発明による方法は細胞に基づくアッセイにより、細胞性環境に存在するキナーゼとホスファターゼ基質のリン酸化状態を測定するためにも採用し得る。
従って、本発明の第五の態様においては、細胞環境における基質のリン酸化状態を測定する方法であって、基質が細胞性酵素によりリン酸化又は脱リン酸化されて産物を生じ得る1以上のの部分を含んでなり、かつ基質が蛍光色素で標識されているものであり、当該方法が、
i)無細胞環境における蛍光標識基質の蛍光強度と蛍光寿命を測定する工程;
ii)液体培地中1個以上の細胞に基質を加える工程;及び
iii)工程ii)に続いて、蛍光標識の蛍光強度と蛍光寿命を測定する工程;
からなり、蛍光強度と蛍光寿命の変化を基質のリン酸化状態を示すために使用する、方法が提供される。
適切には、第五の態様による基質はキナーゼ基質又はホスファターゼ基質である。
好ましくは、蛍光色素は本明細書にすでに記載したように、アクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される。
適切には、基質は担体もしくは輸送ペプチドなどの第二ペプチド又はタンパク質に接合(又は融合)させることで、基質の細胞膜通過、細胞内輸送を容易にする。
一般に、培養細胞は、適切な細胞培地中0.1〜100μM濃度で、細胞増殖に適切な条件下に、0.5〜24時間の範囲の時間、接合体とインキュベートする。細胞は標準的な細胞培養技法により培養する、例えば、細胞は無菌環境下の適切な容器中で、37℃、加湿した95%空気/5%CO2ガスからなるインキュベーター中で培養する。容器には撹拌又は静置培地を容れる。種々の細胞培養培地を使用することが可能であり、例えば、ウシ胎仔血清などの未限定の生体液を含む培地、又は293SFMII無血清培地(ライフ・テクノロジー(株)、パルスレイ(Paisley)、英国)などの確定した培地などである。多様な細胞型の培養については確立された利用可能なプロトコールがある(参照例:Freshney, R.I., Culture of Animal Cells(動物細胞の培養); A Manual of Basic Technique, 2nd Edition, Alan R. Liss Inc. 1987)。
本発明方法は標準的組織培養プラスティックウエアで培養し得る接着細胞又は非接着細胞のいずれについても使用し得る。かかる細胞型は、種(例えば、ヒト、げっ歯類、サル)、組織起源(例えば、脳、肝臓、肺、心臓、腎臓、皮膚、筋肉)及び細胞型(例えば、上皮、内皮)に関して認知された起源、例えば、哺乳動物、植物、細菌、ウイルス又は真菌など由来の正常又は形質転換細胞すべてを含む。細胞培養又は組織培養において増殖した細胞に基質を送達する必要のある場合は、単に接合体を培地に加える。
第五の態様の特定実施形態において、細胞は、基質のリン酸化状態に及ぼす影響を判定しようとする基質の存在下に接合体と接触させ得る。この実施形態において、検出段階ではリン酸化状態に及ぼす試験物質の影響を測定することができ、特定の細胞型に対する代謝と毒性学について研究段階にある化合物、例えば、薬物、酵素インヒビターなどに適用し得る。
アクリドン及びキナクリドン群色素それぞれについて、蛍光色素はその異なる寿命により互いに識別することが可能である。従って、2種以上の異なる基質は、それぞれをアクリドン色素セットの異なる1つで(又はキナクリドン色素セットの異なる1つで)標識して多重アッセイに使用可能であり、この場合、異なる酵素のキナーゼ活性測定を同時に実施し得る。
本発明の第六の態様においては、各酵素が異なる基質に特異的であり、その2種以上の異なる酵素のキナーゼ活性を同時に測定する方法であって、各基質が酵素によりリン酸化されて産物を生じ得る1以上の部分を含んでなり、かつ各基質が蛍光色素セットの異なる1つにより標識されているものであり、当該方法が、
i)蛍光標識基質それぞれの蛍光強度と蛍光寿命を測定する工程;
ii)リン酸源の存在下に酵素の混合物と各基質分子とを結合する工程;及び
iii)工程ii)に続いて、各蛍光標識の蛍光強度と蛍光寿命の増加を測定する工程;
からなり、各蛍光標識の蛍光強度と蛍光寿命の増加を各酵素のリン酸化活性の定量に使用する、方法が提供される。
好ましくは、セットの蛍光色素は本明細書にすでに記載したように、アクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される。
第六の態様による一実施形態において、本方法は単離酵素を用いてインビトロで実施し得るし、又は代わりに1種以上の酵素が細胞溶解液の成分であってもよい。
第六態様の別の実施形態において、本方法は細胞環境内で実施し得る。この実施形態においては、異なる基質のそれぞれを担体もしくは輸送ペプチドなどの第二ペプチド又はタンパク質に接合(又は融合)させることで、記載のように、基質の細胞膜通過、細胞内輸送を容易にする。
好ましくは、測定するキナーゼ活性はチロシンキナーゼの測定による。
第七の態様においては、以下の成分:
i)キナーゼ酵素に対する基質であって、基質が酵素によりリン酸化されてリン酸化産物を生じ得る1以上の部分を含んでなり、かつ基質がアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される蛍光色素で標識されている基質;及び
ii)リン酸供与体及びキナーゼから選択される成分;
を含んでなる組成物が提供される。
第八の態様においては、1種以上のの酵素のキナーゼ活性を測定する試験キットであって、
i)各基質がリン酸化されて産物を生じ得る部分を含んでなり、かつ各基質がアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される蛍光色素セットの異なる1つにより標識されている1種以上の異なる基質;及び選択肢として、
ii)各酵素が異なる基質に特異的な1種以上の異なる酵素;
を含んでなる試験キットが提供される。
第九の態様においては、1種以上のの酵素のホスファターゼ活性を測定する試験キットであって、
i)各基質が脱リン酸化されて産物を生じ得るリン酸化部分を含んでなり、かつ各基質がアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される蛍光色素セットの異なる1つにより標識されている1種以上の異なる基質;及び選択肢として、
ii)各酵素が異なる基質に特異的な1種以上の異なる酵素;
を含んでなる試験キットが提供される。
発明の効果
本発明は必要とされる工程数を減らすことにより通常のアッセイ方式を簡略化するものである。通常の(放射活性に基づく)キナーゼアッセイにおいて、リン酸供与体の濃度は最適な濃度で利用することができない。例えば、放射活性アッセイにおいて、ATP濃度は多くの場合Kmの1/10であり得る(一般的には1〜10μM)が、一方、キナーゼアッセイは通常ATPのKmの2倍以上で実施することが推奨されている。本発明では、ATP濃度は読み出しに影響することがなく、従って、蛍光読取り方法に関わりなく、アッセイの最適レベルで利用することができる。
本発明方法によると、必須の成分を除き、いずれの試薬もどのような順序ででも混合物に添加することができる。従って、反応混合物は、ATPを除き、他のすべての反応成分を含めて調製することができる。ATP(開始剤)を添加する前に、非特異的影響について反応をモニターすることができる。また、さらなるコントロールのための酵素なしに、混合物を構築することが可能である。反応の性質によっては、最終成分を添加し、反応開始した後に実時間で、又は反応を停止することにより、変化をモニターすることが可能である。
さらに、本発明にて利用し得る蛍光寿命の測定値は、蛍光強度を定量することのみに基づく従来の蛍光法によるよりも有意な特徴を提供し得る。蛍光寿命は同じスペクトルの分解強度シグナルから決め得るが、さらに時間的ドメインに分解する。蛍光寿命法はシグナルが‘バックグラウンド・ノイズ’に殆ど影響されないため、非常に高い感度を与える。この技法によるさらなる特徴は、識別可能な寿命をもつラベルを選択することにより、数種の異なる事象を同時に測定することができ、従って複合化できることである。さらに、蛍光寿命の測定値は濃度効果及び光脱色の影響を受けない。
本発明について、後記の図面及び実施例を参照し、さらに説明する。
実施例1:O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエートによるH−Glu−Ala−Ile−Tyr−Ala−Ala−Pro−Phe−Ala−Lys−Lys−Lys−NH 2 の標識
1.1 H−Glu−Ala−Ile−Tyr−Ala−Ala−Pro−Phe−Ala−Lys−Lys−Lys−リンク・アミド樹脂;H−Glu−Ala−Ile−Tyr(PO 3 2 )−Ala−Ala−Pro−Phe−Ala−Lys−Lys−Lys−リンク・アミド樹脂
H−Glu−Ala−Ile−Tyr−Ala−Ala−Pro−Phe−Ala−Lys−Lys−Lys−リンク・アミド樹脂及びH−Glu−Ala−Ile−Tyr(PO32)−Ala−Ala−Pro−Phe−Ala−Lys−Lys−Lys−リンク・アミド樹脂は、市販入手可能なアプライド・バイオシステムズ・モデル433A自動ペプチド合成機とファストモック(FastMoc)(商標)化学を用いて、全工程、機器製造業者の推奨手法に従い合成した。合成は両方とも、0.25ミリモルスケールで実施した。
1.2 H−Glu−Ala−Ile−Tyr−Ala−Ala−Pro−Phe−Ala−Lys−Lys−Lys−NH 2 (Ablキナーゼ基質)の合成
粗製のペプチドは、95%トリフルオロ酢酸:2.5%水:2.5%トリイソプロピルシランの混合物を用いて脱保護し、固相から切断した。切断反応から得られた粗製のペプチドは常套のC−18逆相HPLCにより、直線勾配の水/アセトニトリル(双方0.1%トリフルオロ酢酸含有)を用いて精製した。精製後、ペプチドを凍結し、マルディ(Maldi)TOFマススペクトル法及びHPLCにより特性化した。
1.3 H−Glu−Ala−Ile−Tyr(PO 3 2 )−Ala−Ala−Pro−Phe−Ala−Lys−Lys−Lys−NH 2 の合成
本品はH−Glu−Ala−Ile−Tyr(PO32)−Ala−Ala−Pro−Phe−Ala−Lys−Lys−Lys−リンク・アミド樹脂を用い、上記の1.2と同様に調製した。
1.4 O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエート(Ace−14)によるH−Glu−Ala−Ile−Tyr−Ala−Ala−Pro−Phe−Ala−Lys−Lys−Lys−NH 2 の標識
H−Glu−Ala−Ile−Tyr−Ala−Ala−Pro−Phe−Ala−Lys−Lys−Lys−リンク・アミド樹脂は、N−末端において、固相上、O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエート(1.5当量)(アマーシャム・バイオサイエンス)により、ジメチルスルホキシド及びジイソプロピルエチルアミン(4%容量)中、室温で一夜、標識した。樹脂はDMSOと、次いでメタノール、最後にジクロロメタンで洗浄し、次いで、減圧下乾燥した。標識したペプチドは、95%トリフルオロ酢酸:2.5%水:2.5%トリイソプロピルシランの混合物を用いて脱保護し、固相から切断した。粗製物質を冷ジエチルエーテルからの沈殿により単離し、C−18逆相HPLCにより、直線勾配の水/アセトニトリル(双方0.1%トリフルオロ酢酸含有)を用いて精製した。精製後、モノ標識ペプチドを凍結し、マルディTOFマススペクトル法、UV及びHPLCにより特性化した。
1.5 O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエート(Ace−14)によるH−Glu−Ala−Ile−Tyr(PO 3 2 )−Ala−Ala−Pro−Phe−Ala−Lys−Lys−Lys−NH 2 の標識
本品は上記1.4同様に調製したが、ただし、H−Glu−Ala−Ile−Tyr(PO32)−Ala−Ala−Pro−Phe−Ala−Lys−Lys−Lys−リンク・アミド樹脂を使用した。
実施例2:O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエートによるミエリン塩基性タンパク質(MBP)の標識
i)方法1
MBP100mg(100mg;7mg/ml)を0.1mのNaHCO3溶液中、+4℃で一夜、透析した。O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエート(10mg)をDMSO(アルドリッチ)1mlに溶かし、透析したMBPサンプルに加えた。得られた混合物を45分間撹拌した。10本のPD10カラム(アマーシャム・バイオサイエンス)を10mlの10mM−MOPS(pH7.2)で平衡化した。標識したMBP(1.3ml分割部)を各カラムに加え、カラムを10mM−MOPS(1ml)で洗浄した。各カラムを3mlの10mM−MOPSで溶出し、溶出液をプールした。最終のタンパク質濃度はBSAを基準(0.1mg/ml)として、バイオラッド・プロテイン・アッセイ(500−006)により決定した。MBPの最終濃度は全容量30mlにおいて1.44mg/mlであった。標識したMBPはアミコン・セントリプレップス(Amicon Centripreps)YM−10(10,000NMWL)(15分間回転)により濃縮した。引続くタンパク質定量では濃度4.5mg/ml(7.1ml)であった。アクリドン標識MBPは、500mM−MOPS(pH7.2)、50mM−MgCl2、1mM−ATP及びPF−H2Oにより、濃度16.6μMに希釈した。
ii)方法2
MBP(100mg;7mg/ml)をPBS溶液(0.01Mリン酸バッファー、0.0027M塩化カリウム及び0.137M塩化ナトリウム;pH7.4)(シグマP−4417)中、+4℃で一夜、透析した。O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエート(10mg)をDMSO(アルドリッチ)1mlに溶かし、透析したMBPに加えた。この混合物を+4℃で一夜ローラー混合した。10本のPD10カラム(アマーシャム・バイオサイエンス)を10mlの10mM−MOPS(pH7.2)で平衡化した。標識したMBP1.3ml分割部分を各カラムに加え、各カラムをさらに1mlの10mM−MOPSで洗浄した。各カラムを3mlの10mM−MOPSで溶出し、溶出液をプールした。タンパク質濃度はBSAを基準(0.1mg/ml)として、バイオラッド・プロテイン・アッセイ(500−006)により決定した。標識したMBPの濃度は全容量28mlにおいて1.4mg/mlであることが分かった。標識したMBPはアミコン・セントリプレップスYM−10(10,000NMWL)(10分間回転)により濃縮した。引続くタンパク質定量では総容量9.7ml中、3.25mg/mlの濃度を示した。色素標識MBPは、500mM−MOPS(pH7.2)、50mM−MgCl2、1mM−ATP及びPF−H2Oにより、濃度16.6μMに希釈した。
実施例3:O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエートによるH−Glu−Pro−Glu−Gly−Ile−Tyr−Gly−Val−Leu−Phe−NH 2 の標識
3.1 H−Glu−Pro−Glu−Gly−Ile−Tyr−Gly−Val−Leu−Phe−リンク・アミド樹脂(Lckキナーゼ基質);H−Glu−Pro−Glu−Gly−Ile−Tyr(PO 3 2 )−Gly−Val−Leu−Phe−リンク・アミド樹脂
H−Glu−Pro−Glu−Gly−Ile−Tyr−Gly−Val−Leu−Phe−リンク・アミド樹脂及びH−Glu−Pro−Glu−Gly−Ile−Tyr(PO32)−Gly−Val−Leu−Phe−リンク・アミド樹脂は、市販入手可能なアプライド・バイオシステムズ・モデル433A自動ペプチド合成機とファストモック (商標)化学を用いて、全工程、機器製造業者の推奨手法に従い合成した。合成は0.25ミリモルスケールで実施した。
3.2 O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエート(Ace−14)によるH−Glu−Pro−Glu−Gly−Ile−Tyr−Gly−Val−Leu−Phe−NH 2 の標識
H−Glu−Pro−Glu−Gly−Ile−Tyr−Gly−Val−Leu−Phe−リンク・アミド樹脂は、N−末端において、固相上、O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエート(1.5当量)(アマーシャム・バイオサイエンス)により、ジメチルスルホキシド及びジイソプロピルエチルアミン(4容量%)中、室温で一夜、標識した。樹脂はDMSOと、次いでメタノール、最後にジクロロメタンで洗浄し、次いで、減圧下乾燥した。標識したペプチドは、95%トリフルオロ酢酸:2.5%水:2.5%トリイソプロピルシランの混合物を用いて脱保護し、固相から切断した。粗製物質を冷ジエチルエーテルからの沈殿により単離し、C−18逆相HPLCにより、直線勾配の水/アセトニトリル(双方0.1%トリフルオロ酢酸含有)を用いて精製した。精製後、モノ標識ペプチドを凍結し、マルディTOFマススペクトル法、UV及びHPLCにより特性化した。
3.3 O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエート(Ace−14)によるH−Glu−Pro−Glu−Gly−Ile−Tyr(PO 3 2 )−Gly−Val−Leu−Phe−NH 2 の標識
本品は上記3.2同様に調製したが、ただし、H−Glu−Pro−Glu−Gly−Ile−Tyr(PO32)−Gly−Val−Leu−Phe−リンク・アミド樹脂を使用した。
3.4 O−(N−スクシニミジル)−6−(2−アセトアミド−9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエート(Ace−17)によるH−Glu−Pro−Glu−Gly−Ile−Tyr−Gly−Val−Leu−Phe−NH 2 の標識
これらの合成は実施例3.2に記載した通りに実施したが、ただし、O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエート(Ace−14)の代わりにO−(N−スクシニミジル)−6−(2−アセトアミド−9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエート(Ace−17)を使用した。
実施例4:O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエートによるH−Thr−Arg−Asp−Ile−Tyr(PO 3 2 )−Glu−Thr−Asp−NH 2 の標識
これらの合成は実施例3.2に記載した通りに実施したが、ただし、H−Thr−Arg−Asp−Ile−Tyr(PO32)−Glu−Thr−Asp−リンク・アミド樹脂を使用した。非リン酸化ペプチドは同様の方法で合成した。
実施例5:Ablペプチドによるリン酸化及び非リン酸化ペプチドの検出
リン酸化及び非リン酸化形状のAblペプチドの1μM溶液を10mM−MOPSバッファー(pH7.2)中で調製した。溶液の蛍光強度と寿命を比較した。
結果
2つのペプチド間に明確な差が認められる。非リン酸化ペプチドの強度が約7×104rfuであるのに対し、リン酸化ペプチドの強度は約9×104rfuであった。また、非リン酸化ペプチドの寿命が約10ナノ秒であるのに対し、リン酸化ペプチドの寿命は15ナノ秒であった。図1参照。
実施例6:チロシンキナーゼAblのアッセイ
Ablの反応混合物は、1mlの反応バッファー(50mMトリス−HCl、10mM−MgCl2、1mM−EGTA、2mMジチオスレイトール(pH7.5、25℃))、10μlの10mM−ATP、2μlの6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエート標識Ablペプチド基質(非リン酸化)(DMSO中500μM)を混合し、調製した。この混合物100μlをブラック平底マイクロタイタープレートのウエルに入れた。予め反応バッファー(50mMトリス−HCl、10mM−MgCl2、1mM−EGTA、2mMジチオスレイトール、0.01%Brij35(pH7.5、25℃))に10μlあたり100単位の濃度に希釈したAblキナーゼ(ニューイングランド・バイオラボ、コードP6050Lロット5)(100,000単位/ml又は100単位/μl)10μlを添加することにより反応を開始した。
反応は、生成物と基質の特性である寿命と強度の変化両方につき、30秒間隔でモニターした。
結果
図2に示すように、反応の進行は実時間でモニターし得る。特に、生成物の強度変化は、単離ペプチドの検討から予測したように、基質の強度変化よりも大きい。さらに、この反応は分離工程がなくとも実施可能であり、またそれぞれの蛍光寿命に基づいて、基質と生成物を識別することが可能である。
実施例7:Erkキナーゼによるミエリン塩基性タンパク質の時間依存性リン酸化
O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエートにより標識したミエリン塩基性タンパク質(MBP)(実施例2、方法1により調製)(1ml)を水で10mlに希釈し、50mM−MOPS(pH7.2)、5nM−MgCl2、100μM−ATP及び1.66μM−MBP含有溶液を得た。7部分に分割した反応混合物200μlをそれぞれErk1キナーゼ(1.8mg/ml)5μlと混合した。反応物を室温で様々な時間インキュベートし、100μlの分割部分を引き出し、各分割部分の蛍光を測定した。
結果
この結果を図3に示す。結果は蛍光が時間依存的に増大していることを示す。
実施例8:スタウロスポリンによるErkキナーゼの阻害
O−(N−スクシニミジル)−6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10イル)ヘキサノエートにより標識したミエリン塩基性タンパク質(MBP)(実施例2、方法1により調製)(1ml)を水で10mlに希釈し、50mM−MOPS(pH7.2)、5nM−MgCl2、100μM−ATP及び1.66μM−MBP含有溶液を得た。7部分に分割した100μlを、スタウロスポリンに関して0〜100μMの濃度とした。最後に、Erk1キナーゼ(1.8mg/ml)2μlを各反応混合物に加えた。反応混合物を室温で3時間インキュベートし、その後、100mM−EDTA100μl加え、反応を停止させた。次いで、反応の蛍光強度を測定した。
結果
酵素反応は、図4に示すように、スタウロスポリンにより容量依存的に阻害される。
実施例9:チロシンキナーゼLckによるリン酸化の時間経過
50mM−トリス/10mM−MgCl2/2.5mM−MnCl2(pH7.2)中、50μM−ATPの存在下、N−(6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10−イル)−ヘキサノイル)−Glu−Pro−Glu−Gly−Ile−Tyr−Gly−Val−Leu−Phe−アミドの複製(500nM)を100μl容量ずつ、ピペットでブラック96穴マイクロプレート(コースター(Costar)コード3650)のウエルに入れた。12.7ミリ単位のLck酵素(アップステート・バイオテクノロジー(Upstate Biotechnology)コード14−379)を10μl容量ずつ添加し、反応経過を追跡した。反応は1分間隔、外界温で、基質と生成物両方の特性である寿命と強度変化両方についてモニターした。
結果
図5に示すように、結果は生成物の形成が時間依存性であることを示している。
実施例10:チロシンキナーゼLckによるリン酸化のATP依存性
50mM−トリス/10mM−MgCl2/2.5mM−MnCl2(pH7.2)中、種々濃度のATPの存在下、N−(6−(2−アセトアミド−9−オキソ−9H−アクリジン−10−イル)−ヘキサノイル)−Glu−Pro−Glu−Gly−Ile−Tyr−Gly−Val−Leu−Phe−アミドの複製(500nM)を100μl容量ずつ、ピペットでブラック96穴マイクロプレート(コースター、コード3650)のウエルに入れた。12.7ミリ単位のLck酵素(アップステート・バイオテクノロジー、コード14−379)を10μl容量ずつ添加し、反応を開始した。室温で60分間インキュベートした後、各ウエルに0.1Mクエン酸バッファー(pH3.0)(20μl)を加えて反応を停止した。反応は、基質と生成物両方の特性である寿命と強度変化両方につき、モニターした。
結果
結果は図6に示す。図6は生成物の形成がATP濃度に依存することを示している。
実施例11:チロシンキナーゼLckによるリン酸化の酵素依存性
50mM−トリス/10mM−MgCl2/2.5mM−MnCl2(pH7.2)中、50μM−ATPの存在下、N−(6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10−イル)−ヘキサノイル)−Glu−Pro−Glu−Gly−Ile−Tyr−Gly−Val−Leu−Phe−アミドの複製(500nM)を100μl容量ずつ、ピペットでブラック96穴マイクロプレート(コースター、コード3650)のウエルに入れた。Lck酵素(アップステート・バイオテクノロジー、コード14−379)を10μl容量ずつ添加し、反応を開始した。室温で90分間インキュベートした後、各ウエルに0.1Mクエン酸バッファー(pH3.0)(20μl)を加えて反応を停止した。反応は、基質と生成物両方の特性である寿命と強度変化両方につき、モニターした。
結果
結果は図7に示す。図7は生成物の形成が酵素濃度に依存することを示している。
実施例12:チロシンキナーゼLckによるスタウロスポリン阻害曲線
スタウロスポリン(シグマ、コードS4400、DMSO中1mM)をアッセイバッファー(50mM−トリス/10mM−MgCl2/2.5mM−MnCl2(pH7.2))中に10%(v/v)DMSOで希釈し、以下のスタウロスポリン濃度を調製する:100μM、10μM、1μM、100nM、10nM及び1nM。反応混合物を以下のように調製した:10mlアッセイバッファー+2.5μlのN−(6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10−イル)−ヘキサノイル)−Glu−Pro−Glu−Gly−Ile−Tyr−Gly−Val−Leu−Phe−アミド(1mM)+20μlのATP(10mM)。各阻害剤濃度の5つの複製(10μl)をピペットでブラック96穴マイクロプレート(コースター、コード3650)のウエルに入れた。反応混合物(100μl)を各ウエルに添加した。12.7ミリ単位のLck酵素(アップステート・バイオテクノロジー、コード14−379)を10μl容量ずつ添加し、反応を開始した。室温で60分間インキュベートした後、各ウエルに0.1Mクエン酸バッファー(pH3.0)(20μl)を加えて反応を停止した。反応は、基質と生成物両方の特性である寿命と強度変化両方につき、モニターした。
結果
図8の結果はスタウロスポリンによるLckキナーゼ活性の阻害を示す;IC50値は16nMである。パークら(Park et al., Anal. Biochem., (1999), 269, 94−104)は、最終濃度2μMのATPと類似のペプチド配列を用いて、時間分解蛍光フォーマットアッセイにより、IC50値は約10nMであると報告している。
実施例13:タンパク質チロシンホスファターゼによる脱リン酸化反応の時間経過
トリスバッファー塩溶液(pH7.6)中、N−(6−(9−オキソ−9H−アクリジン−10−イル)−ヘキサノイル)−Thr−Arg−Asp−Ile−Tyr(PO32)−Glu−Thr−Asp−NH2(1μM)100μlずつの複製をピペットでブラック96穴マイクロプレート(コースター、コード3650)のウエルに入れた。88単位のタンパク質−チロシンホスファターゼ酵素(シグマ、コードP9864)を10μl容量ずつ添加して、時間経過を開始した。反応は1分間隔、外界温度で、基質と生成物両方の特性である寿命と強度変化両方につき、モニターした。
結果
図9はこのホスファターゼによる基質の脱リン酸化を示すプロットである。脱リン酸化産物の出現もモニターする。
実施例5によるAblペプチドのリン酸化により観察される寿命と強度の差を示す。 実施例6のタンパク質チロシンキナーゼAblによるペプチドのリン酸化を示す。 実施例7のErkキナーゼによるミエリン塩基性タンパク質の時間依存性リン酸化を示すプロットである。 実施例8のスタウロスポリンによるErkキナーゼの阻害を示すプロットである。 実施例9のチロシンキナーゼLckによるリン酸化の時間経過である。 実施例10のチロシンキナーゼLckによるリン酸化のATP依存性を説明するプロットである。 実施例11のチロシンキナーゼLckによるリン酸化の酵素依存性を示すプロットである。 実施例12のスタウロスポリンによるLckキナーゼ活性の阻害を示すプロットである。 実施例13のタンパク質−チロシンホスファターゼによる脱リン酸化反応の時間経過である。

Claims (45)

  1. 基質分子に作用する酵素のリン酸化活性を測定する方法であって、基質が酵素によりリン酸化されてリン酸化産物を生じ得る1以上の部分を含んでなり、かつ基質が蛍光色素で標識されているものであり、当該方法が、
    i)蛍光標識基質の蛍光強度と蛍光寿命を測定する工程;
    ii)酵素と基質分子とをリン酸供与体の存在下に結合させる工程;及び
    iii)工程ii)の結合に続いて、蛍光標識の蛍光強度と蛍光寿命における変化を測定する工程;
    からなり、蛍光標識の蛍光強度と蛍光寿命における変化を酵素のリン酸化活性測定に使用する、方法。
  2. 基質がアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される蛍光色素で標識したものである、請求項1記載の方法。
  3. 基質分子に作用する酵素のリン酸化活性を測定する方法であって、基質が酵素によりリン酸化されてリン酸化産物を生じ得る1以上の部分を含んでなり、かつ基質がアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される蛍光色素で標識されているものであり、当該方法が、
    i)蛍光標識基質の蛍光強度を測定する工程;
    ii)酵素と基質分子とをリン酸供与体の存在下に結合させる工程;及び
    iii)工程ii)の結合に続いて、蛍光標識の蛍光強度の増加を測定する工程;
    からなり、蛍光標識の蛍光強度の増加を酵素のリン酸化活性測定に使用する、方法。
  4. 基質分子が天然のタンパク質(糖タンパク質及びリポタンパク質などの翻訳後修飾タンパク質を含む)及び合成ペプチドから選択される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
  5. 基質分子がリン酸化を受け得る1以上のアミノ酸を含んでなる、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。
  6. リン酸化を受け得るアミノ酸がチロシン、セリン、スレオニン及びヒスチジンから選択される、請求項5記載の方法。
  7. 基質がチロシンキナーゼ、セリン/スレオニンキナーゼ及びヒスチジンキナーゼから選択される1種以上の酵素によりリン酸化を受け得るものである、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の方法。
  8. リン酸化産物が1以上のホスホ−チロシン残基を含んでなる、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の方法。
  9. 基質のチロシン残基がチロシンキナーゼによりリン酸化されており、測定工程i)及びiii)がさらに蛍光標識の蛍光寿命測定を含んでなり、その場合に蛍光寿命の延長を使用して非リン酸化基質濃度に相関するリン酸化産物の濃度を測定する、請求項3乃至請求項8のいずれか1項記載の方法。
  10. 基質がセリン、スレオニン及びヒスチジンから選択される残基でリン酸化される、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
  11. 基質が式:
    Figure 2005523024
    (式中、
    基R2及びR3はZ1環構造に結合しており、基R4及びR5はZ2環構造に結合している;
    1及びZ2は独立して1又は2つの縮合環芳香族又はへテロ芳香族系を完結するために必要な原子を表し、各環は複数の炭素原子から選択される5又は6個の原子と選択肢として酸素、窒素及びイオウから選択される2個を超えない原子を有する;
    1、R2、R3、R4及びR5は独立して水素、ハロゲン、アミド、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4アルキル置換アミノ、スルフィドリル、カルボニル、C1〜C6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C1〜C20アルキル、アラルキル;基−E−F(ただし、Eは炭素、窒素、酸素、イオウ及びリン原子からなる基から選択される1〜60個の原子鎖をもつスペーサーであり、Fは標的結合基である);及び基−(CH2nY(ただし、Yはスルホン酸、硫酸、ホスホン酸、リン酸、四級アンモニウム及びカルボキシルから選択され、nはゼロ又は1〜6の整数である)から選択される)
    で示される蛍光色素で標識されている、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の方法。
  12. 基質が式:
    Figure 2005523024
    (式中、
    基R3及びR4はZ1環構造に結合しており、基R5及びR6はZ2環構造に結合している;
    1及びZ2は独立して1又は2つの縮合環芳香族又はへテロ芳香族系を完結するために必要な原子を表し、各環は複数の炭素原子から選択される5又は6個の原子と選択肢として酸素、窒素及びイオウから選択される2個を超えない原子を有する;
    1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は独立して水素、ハロゲン、アミド、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4アルキル置換アミノ、スルフィドリル、カルボニル、カルボキシル、C1〜C6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C1〜C20アルキル、アラルキル;基−E−F(ただし、Eは炭素、窒素、酸素、イオウ及びリン原子からなる基から選択される1〜60個の原子鎖をもつスペーサーであり、Fは標的結合基である);及び基−(CH2nY(ただし、Yはスルホン酸、硫酸、ホスホン酸、リン酸、四級アンモニウム及びカルボキシルから選択され、nはゼロ又は1〜6の整数である)から選択される)
    で示される蛍光色素で標識されている、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の方法。
  13. 基質がリンカー基により固体支持体に結合している、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の方法。
  14. 基質が第二ペプチド又はタンパク質に接合している、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の方法。
  15. 試験作用物質が酵素のリン酸化活性に及ぼす作用を測定する試験作用物質のスクリーニング方法であって、
    (a)作用物質の存在下及び不存在下に、請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載の方法を実施する工程;及び
    (b)作用物質の存在下及び不存在下に酵素のリン酸化活性を測定する工程;
    からなり、その場合に、作用物質の存在下及び不存在下の酵素のリン酸化活性間の差を酵素のリン酸化活性に対する試験作用物質の作用を示すものであるとする、スクリーニング方法。
  16. 試験作用物質が酵素のリン酸化活性に及ぼす作用を測定する試験作用物質のスクリーニング方法であって、
    (a)試験作用物質の存在下に、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の方法を実施する工程;及び
    (b)試験作用物質の不存在下に酵素のリン酸化活性値と酵素活性の対照値とを比較する工程;
    からなるスクリーニング方法。
  17. 酵素がチロシンキナーゼ、セリン/スレオニンキナーゼ及びヒスチジンキナーゼから選択される、請求項15又は請求項16記載の方法。
  18. 基質分子に作用する酵素の脱リン酸化活性を測定する方法であって、基質が酵素により脱リン酸化されて産物を生じ得る1以上のリン酸化部分を含んでなり、かつ基質が蛍光色素で標識されているものであり、当該方法が、
    i)蛍光標識基質の蛍光強度と蛍光寿命を測定する工程;
    ii)酵素と基質分子とを結合させて産物を生じさせる工程;及び
    iii)工程ii)の結合に続いて、蛍光強度と蛍光寿命における変化を測定する工程;
    からなり、蛍光標識の蛍光強度と蛍光寿命における変化を酵素の脱リン酸化活性測定に使用する、方法。
  19. 基質がアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される蛍光色素で標識したものである、請求項18記載の方法。
  20. 基質分子に作用する酵素の脱リン酸化活性を測定する方法であって、基質が酵素により脱リン酸化されて産物を生じ得る1以上のリン酸化部分を含んでなり、かつ基質がアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される蛍光色素で標識されているものであり、当該方法が、
    i)蛍光標識基質の蛍光強度を測定する工程;
    ii)酵素と基質分子とを結合させて産物を生じさせる工程;及び
    iii)工程ii)の結合に続いて、蛍光強度の低下を測定する工程;
    からなり、蛍光標識の蛍光強度の低下を酵素の脱リン酸化活性測定に使用する、方法。
  21. 基質分子が天然のタンパク質(糖タンパク質及びリポタンパク質などの翻訳後修飾タンパク質を含む)及び合成ペプチドから選択される、請求項18乃至請求項20のいずれか1項記載の方法。
  22. 基質分子が脱リン酸化を受け得る1以上のリン酸化アミノ酸を含んでなる、請求項18乃至請求項21のいずれか1項記載の方法。
  23. リン酸化アミノ酸がチロシン、セリン、スレオニン及びヒスチジンのリン酸化誘導体から選択されるものである、請求項22記載の方法。
  24. 酵素が基質におけるホスホ−チロシン残基からリン酸基を除去し、測定工程i)及びiii)がさらに蛍光標識の蛍光寿命測定を含んでなり、その場合に蛍光寿命の短縮を使用して産物の濃度に相関するリン酸化基質の濃度を測定する、請求項20乃至請求項23のいずれか1項記載の方法。
  25. 基質が式:
    Figure 2005523024
    (式中、
    基R2及びR3はZ1環構造に結合しており、基R4及びR5はZ2環構造に結合している;
    1及びZ2は独立して1又は2つの縮合環芳香族又はへテロ芳香族系を完結するために必要な原子を表し、各環は複数の炭素原子から選択される5又は6個の原子と選択肢として酸素、窒素及びイオウから選択される2個を超えない原子を有する;
    1、R2、R3、R4及びR5は独立して水素、ハロゲン、アミド、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4アルキル置換アミノ、スルフィドリル、カルボニル、C1〜C6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C1〜C20アルキル、アラルキル;基−E−F(ただし、Eは炭素、窒素、酸素、イオウ及びリン原子からなる基から選択される1〜60個の原子鎖をもつスペーサーであり、Fは標的結合基である);及び基−(CH2nY(ただし、Yはスルホン酸、硫酸、ホスホン酸、リン酸、四級アンモニウム及びカルボキシルから選択され、nはゼロ又は1〜6の整数である)から選択される)
    で示される蛍光色素で標識されている、請求項18乃至請求項24のいずれか1項記載の方法。
  26. 基質が式:
    Figure 2005523024
    (式中、
    基R3及びR4はZ1環構造に結合しており、基R5及びR6はZ2環構造に結合している;
    1及びZ2は独立して1又は2つの縮合環芳香族又はへテロ芳香族系を完結するために必要な原子を表し、各環は複数の炭素原子から選択される5又は6個の原子と選択肢として酸素、窒素及びイオウから選択される2個を超えない原子を有する;
    1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は独立して水素、ハロゲン、アミド、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4アルキル置換アミノ、スルフィドリル、カルボニル、カルボキシル、C1〜C6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C1〜C20アルキル、アラルキル;基−E−F(ただし、Eは炭素、窒素、酸素、イオウ及びリン原子からなる基から選択される1〜60個の原子鎖をもつスペーサーであり、Fは標的結合基である);及び基−(CH2nY(ただし、Yはスルホン酸、硫酸、ホスホン酸、リン酸、四級アンモニウム及びカルボキシルから選択され、nはゼロ又は1〜6の整数である)から選択される)
    で示される蛍光色素で標識されている、請求項18乃至請求項24のいずれか1項記載の方法。
  27. 基質がリンカー基により固体支持体に結合している、請求項18乃至請求項24のいずれか1項記載の方法。
  28. 基質が第二のペプチド又はタンパク質に融合している、請求項18乃至請求項24のいずれか1項記載の方法。
  29. 試験作用物質が酵素の脱リン酸化活性に及ぼす作用を測定する試験作用物質のスクリーニング方法であって、
    (a)作用物質の存在下及び不存在下に、請求項18乃至請求項28のいずれか1項記載の方法を実施する工程;及び
    (b)作用物質の存在下及び不存在下に酵素の脱リン酸化活性を測定する工程;
    からなり、その場合に、作用物質の存在下及び不存在下の酵素の脱リン酸化活性間の差を酵素の脱リン酸化活性に対する試験作用物質の作用を示すものであるとする、スクリーニング方法。
  30. 試験作用物質が酵素の脱リン酸化活性に及ぼす作用を測定する試験作用物質のスクリーニング方法であって、
    (a)試験作用物質の存在下に、請求項18乃至請求項28のいずれか1項記載の方法を実施する工程;及び
    (b)試験作用物質の不存在下に酵素の脱リン酸化活性値と酵素活性の対照値とを比較する工程;
    からなるスクリーニング方法。
  31. 酵素がホスファターゼである、請求項18乃至請求項30のいずれか1項記載の方法。
  32. 細胞環境における基質のリン酸化状態を測定する方法であって、基質が細胞性酵素によりリン酸化又は脱リン酸化されて産物を生じ得る1以上のの部分を含んでなり、かつ基質が蛍光色素で標識されているものであり、当該方法が、
    i)無細胞環境における蛍光標識基質の蛍光強度と蛍光寿命を測定する工程;
    ii)液体培地中1個以上の細胞に基質を加える工程;及び
    iii)工程ii)に続いて、蛍光標識の蛍光強度と蛍光寿命を測定する工程;
    からなり、蛍光強度と蛍光寿命の変化を基質のリン酸化状態を示すために使用する、方法。
  33. 基質がキナーゼ基質又はホスファターゼ基質である、請求項32記載の方法。
  34. 蛍光色素がアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択されるものである、請求項31又は請求項32記載の方法。
  35. 基質が第二のペプチド又はタンパク質に接合している、請求項32乃至請求項34のいずれか1項記載の方法。
  36. 基質が担体又は輸送ペプチドに接合している、請求項32記載の方法。
  37. 各酵素が異なる基質に特異的であり、その2種以上の異なる酵素のキナーゼ活性を同時に測定する方法であって、各基質が酵素によりリン酸化されて産物を生じ得る1以上の部分を含んでなり、かつ各基質が蛍光色素セットの異なる1つにより標識されているものであり、当該方法が、
    i)蛍光標識基質それぞれの蛍光強度と蛍光寿命を測定する工程;
    ii)リン酸源の存在下に酵素の混合物と各基質分子とを結合する工程;及び
    iii)工程ii)の結合に続いて、各蛍光標識の蛍光強度と蛍光寿命の増加を測定する工程;
    からなり、各蛍光標識の蛍光強度と蛍光寿命の増加を各酵素のリン酸化活性の定量に使用する、方法。
  38. セット中の蛍光色素がアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される、請求項37記載の方法。
  39. 酵素が単離酵素である、請求項37又は請求項38記載の方法。
  40. 1種以上の酵素が細胞溶解液の成分である、請求項38記載の方法。
  41. 工程ii)の結合を細胞環境中で実施し、異なる基質のそれぞれが担体又は輸送ペプチドに接合している、請求項37記載の方法。
  42. 測定するキナーゼ活性がチロシンキナーゼである、請求項37乃至請求項41のいずれか1項記載の方法。
  43. 以下の成分:
    i)キナーゼ酵素に対する基質であって、基質が酵素によりリン酸化されてリン酸化産物を生じ得る1以上の部分を含んでなり、かつ基質がアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される蛍光色素で標識されている基質;及び
    ii)リン酸供与体及びキナーゼから選択される成分;
    を含んでなる組成物。
  44. 1種以上のの酵素のキナーゼ活性を測定する試験キットであって、
    i)各基質がリン酸化されて産物を生じ得る部分を含んでなり、かつ各基質がアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される蛍光色素セットの異なる1つにより標識されている基質;及び選択肢として、
    ii)各酵素が異なる基質に特異的な1種以上の異なる酵素;
    を含んでなる試験キット。
  45. 1種以上のの酵素のホスファターゼ活性を測定する試験キットであって、
    i)各基質が脱リン酸化されて産物を生じ得るリン酸化部分を含んでなり、かつ各基質がアクリドン及びキナクリドン群の色素から選択される蛍光色素セットの異なる1つにより標識されている基質;及び選択肢として、
    ii)各酵素が異なる基質に特異的な1種以上の異なる酵素;
    を含んでなる試験キット。
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