JP2001019700A - 蛍光標識ペプチド - Google Patents
蛍光標識ペプチドInfo
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- JP2001019700A JP2001019700A JP11192559A JP19255999A JP2001019700A JP 2001019700 A JP2001019700 A JP 2001019700A JP 11192559 A JP11192559 A JP 11192559A JP 19255999 A JP19255999 A JP 19255999A JP 2001019700 A JP2001019700 A JP 2001019700A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 細胞内のcAMP依存性タンパク質キナーゼ
活性あるいは、タンパク質脱リン酸化酵素であるカルシ
ニューリンの活性を可視化解析するための蛍光基質とし
て有用な蛍光標識ペプチドの提供。 【解決手段】 ドーパミンおよびcAMP−制御ホスホプロ
テインの配列中の特異的なリン酸化部位であるThrを
ふくむ17個のアミノ酸からなる、配列番号1あるいは
配列番号2で表される合成部分配列のペプチドのC末端
を蛍光物質であるN−(4,4−ジフルオロ−5,7−
ジメチル−4−ボラ−3a,4a、−ジアザ−S−イン
ドアセン−3−イル)メチル)ヨードアセトアミドで標
識化した蛍光標識ペプチドは、容易に細胞内に導入さ
れ、かつプロテアーゼに対する抵抗性が大きいので長時
間にわたる蛍光観察が可能であり、かつThrのリン酸
化による蛍光強度の増加が大きいので、PKA活性をよ
り鋭敏に検出できる。
活性あるいは、タンパク質脱リン酸化酵素であるカルシ
ニューリンの活性を可視化解析するための蛍光基質とし
て有用な蛍光標識ペプチドの提供。 【解決手段】 ドーパミンおよびcAMP−制御ホスホプロ
テインの配列中の特異的なリン酸化部位であるThrを
ふくむ17個のアミノ酸からなる、配列番号1あるいは
配列番号2で表される合成部分配列のペプチドのC末端
を蛍光物質であるN−(4,4−ジフルオロ−5,7−
ジメチル−4−ボラ−3a,4a、−ジアザ−S−イン
ドアセン−3−イル)メチル)ヨードアセトアミドで標
識化した蛍光標識ペプチドは、容易に細胞内に導入さ
れ、かつプロテアーゼに対する抵抗性が大きいので長時
間にわたる蛍光観察が可能であり、かつThrのリン酸
化による蛍光強度の増加が大きいので、PKA活性をよ
り鋭敏に検出できる。
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、蛍光標識ペプチド
に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、細胞
内のcAMP依存性蛋白質キナーゼ(プロテイン・キナーゼ
A、PKA )活性あるいは、タンパク質脱リン酸化酵素で
あるカルシニューリンの活性を可視化解析するための新
しい蛍光基質として有用な蛍光標識ペプチドに関する。
に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、細胞
内のcAMP依存性蛋白質キナーゼ(プロテイン・キナーゼ
A、PKA )活性あるいは、タンパク質脱リン酸化酵素で
あるカルシニューリンの活性を可視化解析するための新
しい蛍光基質として有用な蛍光標識ペプチドに関する。
【0002】
【従来の技術】細胞内情報伝達物質依存性プロテイン・
キナーゼであるcAMP依存性蛋白質キナーゼは、細胞内情
報伝達物質の調節を受け、細胞内の多様な反応を引き起
こす。Aキナーゼ、プロテインキナーゼA,環状AMP
依存性タンパク質リン酸化酵素ともいわれる、cAMP依存
性蛋白質キナーゼは、ホスホトランスフェラーゼの一つ
であり、ATPのγ―リン酸基をタンパク質の特定のセ
リンまたはトレオニンのヒドロキシル基へ転移させる。
ホルモンなどの細胞外の刺激によって活性化されるcAMP
依存性蛋白質キナーゼは、さまざまなタンパク質をリン
酸化して、その活性に変化を与える。cAMP依存性蛋白質
キナーゼによって活性化される酵素は、ホスホリラーゼ
キナーゼ、チロシン3−ヒドロキシラーゼ等であり、逆
に不活性化される酵素は、グリコーゲンシンターゼ、ピ
ルビン酸キナーゼ等である。cAMP依存性蛋白質キナーゼ
は、cAMPが結合する調節ユニットと触媒ユニットか
ら構成される。
キナーゼであるcAMP依存性蛋白質キナーゼは、細胞内情
報伝達物質の調節を受け、細胞内の多様な反応を引き起
こす。Aキナーゼ、プロテインキナーゼA,環状AMP
依存性タンパク質リン酸化酵素ともいわれる、cAMP依存
性蛋白質キナーゼは、ホスホトランスフェラーゼの一つ
であり、ATPのγ―リン酸基をタンパク質の特定のセ
リンまたはトレオニンのヒドロキシル基へ転移させる。
ホルモンなどの細胞外の刺激によって活性化されるcAMP
依存性蛋白質キナーゼは、さまざまなタンパク質をリン
酸化して、その活性に変化を与える。cAMP依存性蛋白質
キナーゼによって活性化される酵素は、ホスホリラーゼ
キナーゼ、チロシン3−ヒドロキシラーゼ等であり、逆
に不活性化される酵素は、グリコーゲンシンターゼ、ピ
ルビン酸キナーゼ等である。cAMP依存性蛋白質キナーゼ
は、cAMPが結合する調節ユニットと触媒ユニットか
ら構成される。
【0003】生体内(細胞内)のcAMP依存性蛋白質キナ
ーゼの局在化を蛍光顕微鏡で観察するのに有用な蛍光基
質となる蛍光標識試薬は、試薬の分光特性や反応性に基
づいて選択される。蛍光標識試薬は, 放射能標識試薬に
比し、多くの利点を有するが、蛍光プローブとして大き
な芳香属基を有すると、非共有結合的にタンパク質に結
合し, 共有結合により結合したかのような挙動を示した
り、イオン交換樹脂に結合したり、あるいは熱に対して
不安定である等の問題点のあることが知られている。
ーゼの局在化を蛍光顕微鏡で観察するのに有用な蛍光基
質となる蛍光標識試薬は、試薬の分光特性や反応性に基
づいて選択される。蛍光標識試薬は, 放射能標識試薬に
比し、多くの利点を有するが、蛍光プローブとして大き
な芳香属基を有すると、非共有結合的にタンパク質に結
合し, 共有結合により結合したかのような挙動を示した
り、イオン交換樹脂に結合したり、あるいは熱に対して
不安定である等の問題点のあることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上昇
した蛍光強度を示し、高感度でPKA 活性の測定が可能
で、細胞内に取り込まれた後もプロテアーゼによる分解
を受けにくい、cAMP依存性蛋白質キナーゼ活性あるい
は、タンパク質脱リン酸化酵素であるカルシニューリン
の活性を可視化解析するための新しい蛍光基質を提供す
ることにある。
した蛍光強度を示し、高感度でPKA 活性の測定が可能
で、細胞内に取り込まれた後もプロテアーゼによる分解
を受けにくい、cAMP依存性蛋白質キナーゼ活性あるい
は、タンパク質脱リン酸化酵素であるカルシニューリン
の活性を可視化解析するための新しい蛍光基質を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】細胞内のcAMP依存性蛋白
質キナーゼ活性の可視化解析に使用される、本発明の蛍
光基質は、ProXaaXaaXaaGluXaaIl
eArgArgArgArgProThrProAla
XaaCys (上記式中で、Xaaは,独立して任意のアミノ酸を表
す。)で表されるペプチドのN末端またはC末端が蛍光
標識されたペプチドである。上記アミノ酸配列におい
て、N末端から2番目のXaaがArgを表し、N末端
から3番目のXaaがGlnを表し、N末端から4番目
のXaaがValを表し、N末端から6番目のXaaが
Metを表し、N末端から16番目のXaaがMetを
表すペプチドが好ましい。
質キナーゼ活性の可視化解析に使用される、本発明の蛍
光基質は、ProXaaXaaXaaGluXaaIl
eArgArgArgArgProThrProAla
XaaCys (上記式中で、Xaaは,独立して任意のアミノ酸を表
す。)で表されるペプチドのN末端またはC末端が蛍光
標識されたペプチドである。上記アミノ酸配列におい
て、N末端から2番目のXaaがArgを表し、N末端
から3番目のXaaがGlnを表し、N末端から4番目
のXaaがValを表し、N末端から6番目のXaaが
Metを表し、N末端から16番目のXaaがMetを
表すペプチドが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の蛍光標識基質は、DARPP-
32 (ドーパミンおよびcAMP−制御ホスホプロテイン(do
pamine- and cAMP-regulated phosphoprotein ), Mr=3
2,000)の配列中 (Hemmings, H. J., Nairn, A., Elliot
t, J., and Greengard, P. (1990) 、分子量32,00
0のドーパミンーおよびcAMPで制御されたリン酸
化、プロテインホスファターゼー1のインヒビター、リ
ン酸化、脱リン酸化、および阻害活性; J Biol Chem 2
65, 20369-76) のPKA において特異的にリン酸化される
Thr を含む17個のアミノ酸から成る、下記アミノ酸配
列: ProXaaXaaXaaGluXaaIleArgA
rgArgArgProThrProAlaXaaCy
s(配列番号1) (上記式中で、Xaaは,独立して任意のアミノ酸を表
す。)で表される。上記配列中で, 下記配列 ProArgGlnValGluMetIleArgA
rgArgArgProThrProAlaMetCy
s(配列番号2) で表されるペプチドのC末端またはN末端、特にC末端
が蛍光標識されたペプチドが好ましい。
32 (ドーパミンおよびcAMP−制御ホスホプロテイン(do
pamine- and cAMP-regulated phosphoprotein ), Mr=3
2,000)の配列中 (Hemmings, H. J., Nairn, A., Elliot
t, J., and Greengard, P. (1990) 、分子量32,00
0のドーパミンーおよびcAMPで制御されたリン酸
化、プロテインホスファターゼー1のインヒビター、リ
ン酸化、脱リン酸化、および阻害活性; J Biol Chem 2
65, 20369-76) のPKA において特異的にリン酸化される
Thr を含む17個のアミノ酸から成る、下記アミノ酸配
列: ProXaaXaaXaaGluXaaIleArgA
rgArgArgProThrProAlaXaaCy
s(配列番号1) (上記式中で、Xaaは,独立して任意のアミノ酸を表
す。)で表される。上記配列中で, 下記配列 ProArgGlnValGluMetIleArgA
rgArgArgProThrProAlaMetCy
s(配列番号2) で表されるペプチドのC末端またはN末端、特にC末端
が蛍光標識されたペプチドが好ましい。
【0007】上記したペプチドは, 定法に従って合成で
きる。たとえば、上記ペプチドは、従来公知の固相ペプ
チド合成法(メリフィールド法)により合成できる。こ
の方法によれば、合成しようとするペプチドのカルボキ
シル末端アミノ酸のt−ブトキシカルボニル(Boc)
誘導体を、クロロメチル化した架橋ポリスチレンに導入
し、次いでBoc基を除去して得られる樹脂上のアミノ
酸の遊離アミノ基に第二のBoc―アミノ酸を結合させ
る。この操作を繰り返すことにより、目的とするペプチ
ド鎖を構築する。さらに、全ての保護基を除去するとと
もに、目的とするペプチドを樹脂から取り出す。
きる。たとえば、上記ペプチドは、従来公知の固相ペプ
チド合成法(メリフィールド法)により合成できる。こ
の方法によれば、合成しようとするペプチドのカルボキ
シル末端アミノ酸のt−ブトキシカルボニル(Boc)
誘導体を、クロロメチル化した架橋ポリスチレンに導入
し、次いでBoc基を除去して得られる樹脂上のアミノ
酸の遊離アミノ基に第二のBoc―アミノ酸を結合させ
る。この操作を繰り返すことにより、目的とするペプチ
ド鎖を構築する。さらに、全ての保護基を除去するとと
もに、目的とするペプチドを樹脂から取り出す。
【0008】上記ペプチドのN−末端アミノ酸であるプ
ロリンのアミノ基の蛍光標識試薬としては、フルオレセ
インイソチオシアネート、ローダミンBイソチオシアネ
ート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、ダ
ンシルクロリド、ダンシルフルオリド、フルオレスカミ
ン、o―フタルアルデヒド、TRITC,TAMRA−
X SE,ROX−SE,BODIPY−SE,BOD
IPY FL BR2−SE等が挙げられる。また、シ
ステインのチオール基の蛍光標識試薬としては、テキサ
ス・レッド(Texas Red)・マレイミド、N−
(7−ジメチルアミノー4−メチルクマニル)マレイミ
ド、N−(1−ピレン)マレイミド等のマレイミド誘導
体、テトラメチルローダミンヨードアセトアミド、テキ
サス・レッド・ブロモアセトアミド、N−(4,4−ジ
フルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a、
−ジアザ−S−インドアセン−3−イル)メチル)ヨー
ドアセトアミド、5−ヨードアセトアミドフルオレセイ
ン、N−(1−ピレン)ヨードアセトアミド等のヨード
アセトアミド誘導体、アジリジン誘導体、フルオレセイ
ンメルクリ酢酸等の水銀誘導体、ジダンシルーL―シス
チン等のジスルフィド誘導体、4−フルオロー7−ニト
ロベンゾフラザン等のハロゲノベンゾフラザン誘導体が
挙げられる。これらの蛍光標識試薬は、水に対する溶解
度、安定性、反応特異性、蛍光極大波長等に特徴を有す
る。チオール基の蛍光標識試薬であるヨードアセトアミ
ド誘導体は、溶液状態で光に不安定であり、反応条件に
よっては、ヒスチジンやメチオニンとも反応する。
ロリンのアミノ基の蛍光標識試薬としては、フルオレセ
インイソチオシアネート、ローダミンBイソチオシアネ
ート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、ダ
ンシルクロリド、ダンシルフルオリド、フルオレスカミ
ン、o―フタルアルデヒド、TRITC,TAMRA−
X SE,ROX−SE,BODIPY−SE,BOD
IPY FL BR2−SE等が挙げられる。また、シ
ステインのチオール基の蛍光標識試薬としては、テキサ
ス・レッド(Texas Red)・マレイミド、N−
(7−ジメチルアミノー4−メチルクマニル)マレイミ
ド、N−(1−ピレン)マレイミド等のマレイミド誘導
体、テトラメチルローダミンヨードアセトアミド、テキ
サス・レッド・ブロモアセトアミド、N−(4,4−ジ
フルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a、
−ジアザ−S−インドアセン−3−イル)メチル)ヨー
ドアセトアミド、5−ヨードアセトアミドフルオレセイ
ン、N−(1−ピレン)ヨードアセトアミド等のヨード
アセトアミド誘導体、アジリジン誘導体、フルオレセイ
ンメルクリ酢酸等の水銀誘導体、ジダンシルーL―シス
チン等のジスルフィド誘導体、4−フルオロー7−ニト
ロベンゾフラザン等のハロゲノベンゾフラザン誘導体が
挙げられる。これらの蛍光標識試薬は、水に対する溶解
度、安定性、反応特異性、蛍光極大波長等に特徴を有す
る。チオール基の蛍光標識試薬であるヨードアセトアミ
ド誘導体は、溶液状態で光に不安定であり、反応条件に
よっては、ヒスチジンやメチオニンとも反応する。
【0009】本発明の好ましい蛍光標識ペプチドは、上
記配列番号2で表されるペプチドのC末端アミノ酸であ
るシステインのチオール基に蛍光物質のN−(4,4−
ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4
a、−ジアザ−S−インドアセン−3−イル)メチル)
ヨードアセトアミド(N-(4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4
-bora-3a,4a-diaza-s-indoacene-3-yl)methyl)iodoacet
amide 、図1にその化学構造式を示す。) [BODIPY FL
C1-IA,モレキュラー・プローブ( Molecular Probe)社
製] を結合させたものであり、P32-B と名付けた。別の
蛋白質であるインヒビター−1の相同配列も同様のリン
酸化部位を含む (Kwon, Y., Huang, H., Desdouits,
F., Girault, J., Greengard, P., and Nairn, A. (199
7)、DARPP−32とタンパク質ホスファターゼ1
(PP−1)との間の相互作用の特徴づけ:DARPP
−32ペプチドはPP−1の結合タンパク質との相互作
用を拮抗させる; Proc Natl Acad Sci U S A 94, 3536
-41)ので、上記配列番号1のペプチドのアミノ酸配列
中、Xaaで示すアミノ酸は任意のアミノ酸に変更でき
る。
記配列番号2で表されるペプチドのC末端アミノ酸であ
るシステインのチオール基に蛍光物質のN−(4,4−
ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4
a、−ジアザ−S−インドアセン−3−イル)メチル)
ヨードアセトアミド(N-(4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4
-bora-3a,4a-diaza-s-indoacene-3-yl)methyl)iodoacet
amide 、図1にその化学構造式を示す。) [BODIPY FL
C1-IA,モレキュラー・プローブ( Molecular Probe)社
製] を結合させたものであり、P32-B と名付けた。別の
蛋白質であるインヒビター−1の相同配列も同様のリン
酸化部位を含む (Kwon, Y., Huang, H., Desdouits,
F., Girault, J., Greengard, P., and Nairn, A. (199
7)、DARPP−32とタンパク質ホスファターゼ1
(PP−1)との間の相互作用の特徴づけ:DARPP
−32ペプチドはPP−1の結合タンパク質との相互作
用を拮抗させる; Proc Natl Acad Sci U S A 94, 3536
-41)ので、上記配列番号1のペプチドのアミノ酸配列
中、Xaaで示すアミノ酸は任意のアミノ酸に変更でき
る。
【0010】PKA の触媒サブユニットの添加によりP32-
B のThr がリン酸化されると蛍光強度が約50%増加し、
リン酸化により蛍光が3〜4%減少する公知のARII
(DLDVPIPGRFDRRVSVAAC−Acry
loden), DRII(DLDVPLPAKADRR
VSVAAC―DACM(N−(ジメチルアミノ−4−
メチルクマニル)マレイミド)) (Higashi, H., Sato,
K., Ohtake, A., Omori, A., Yoshida, S., and Kudo,
Y. (1997)、新規な蛍光基質を使用する生きた神経系細
胞中でのcAMP依存性蛋白質キナーゼのイメージング; F
EBS Lett. 414, 55-603)に比べ、PKA 活性をより鋭敏に
検出できる。また、HPLCでP32-B のリン酸化を確認した
ところ、P32-B は、細胞外液に加えるだけで、約10%の
割合で細胞に導入された。また、細胞内のプロテアーゼ
に対する抵抗性も従来のものより格段に高く、長時間の
観察も可能となった。P32-B を細胞に導入し、細胞内の
cAMPを増加させる刺激を行うと、PKA の活性化によるP3
2-B のリン酸化により細胞の蛍光が上昇した。一方、上
記配列番号2で表されるペプチドのC末端アミノ酸であ
るシステインのチオール基に蛍光物質BODIPY FL C1-IA
を結合させたP32-B のリン酸化物P32P-Bは、蛋白質脱リ
ン酸化酵素B2(カルシニューリン)の特異的な基質とな
る。すなわち、上記の逆反応で、脱リン酸化により蛍光
強度が2/3 以下にに減少する。PKA とカルシニューリン
は、細胞機能、特に神経においては記憶の形成の鍵とな
る酵素で、作成した基質によりこれらの活性の動態が容
易に観察可能になった。
B のThr がリン酸化されると蛍光強度が約50%増加し、
リン酸化により蛍光が3〜4%減少する公知のARII
(DLDVPIPGRFDRRVSVAAC−Acry
loden), DRII(DLDVPLPAKADRR
VSVAAC―DACM(N−(ジメチルアミノ−4−
メチルクマニル)マレイミド)) (Higashi, H., Sato,
K., Ohtake, A., Omori, A., Yoshida, S., and Kudo,
Y. (1997)、新規な蛍光基質を使用する生きた神経系細
胞中でのcAMP依存性蛋白質キナーゼのイメージング; F
EBS Lett. 414, 55-603)に比べ、PKA 活性をより鋭敏に
検出できる。また、HPLCでP32-B のリン酸化を確認した
ところ、P32-B は、細胞外液に加えるだけで、約10%の
割合で細胞に導入された。また、細胞内のプロテアーゼ
に対する抵抗性も従来のものより格段に高く、長時間の
観察も可能となった。P32-B を細胞に導入し、細胞内の
cAMPを増加させる刺激を行うと、PKA の活性化によるP3
2-B のリン酸化により細胞の蛍光が上昇した。一方、上
記配列番号2で表されるペプチドのC末端アミノ酸であ
るシステインのチオール基に蛍光物質BODIPY FL C1-IA
を結合させたP32-B のリン酸化物P32P-Bは、蛋白質脱リ
ン酸化酵素B2(カルシニューリン)の特異的な基質とな
る。すなわち、上記の逆反応で、脱リン酸化により蛍光
強度が2/3 以下にに減少する。PKA とカルシニューリン
は、細胞機能、特に神経においては記憶の形成の鍵とな
る酵素で、作成した基質によりこれらの活性の動態が容
易に観察可能になった。
【0011】
【実施例】以下に記載する実施例により、本発明をさら
に具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は、以下の
実施例によって何ら制限されるものではない。 [実施例1]1.材料と方法 イ) PKA の活性をリアルタイムで計測できる蛍光基質、
P32-B 、および、カルシニューリンの活性をリアルタイ
ムで計測できる蛍光基質、P32P-Bの作成 H-PRQVEMIRRRRPTPAMC-NH2 、および、H-PRQVEMIRRRRPph
oshoTPAMC-NH2 (式中、PはPro,Rは、Arg,Q
は、Gln,VはVal,EはGlu,MはMet,I
はIle,TはThr,AはAla,CはCys、ph
osphoTは、リン酸化されたThrを表す)は、既
報に従い、固相法で合成した (Higashi,H., Sato, K.,
Ohtake, A., Omori, A., Yoshida, S., and Kudo, Y.
(1997)FEBS Lett. 414, 55-60)。このペプチド誘導体
は、 DARPP-32 ( ドーパミンおよびcAMP−制御ホスホプ
ロテイン, Mr=32,000)の配列中 (Hemmings, H. J., Nai
rn, A., Elliott, J., and Greengard, P. (1990) 、 J
Biol Chem 265, 20369-76) のPKA において特異的にリ
ン酸化されるThr を含む16個のアミノ酸配列(ウシのDA
RPP-32配列の22位から34位のアミノ酸残基)のC 末端に
付加したシステイン残基に蛍光物質のN−(4,4−ジ
フルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a、
−ジアザ−S−インドアセン−3−イル)メチル)ヨー
ドアセトアミド [BODIPY FL C1-IA, Molecular Probe社
製] を導入したものであり、P32−Bと呼ばれる。
に具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は、以下の
実施例によって何ら制限されるものではない。 [実施例1]1.材料と方法 イ) PKA の活性をリアルタイムで計測できる蛍光基質、
P32-B 、および、カルシニューリンの活性をリアルタイ
ムで計測できる蛍光基質、P32P-Bの作成 H-PRQVEMIRRRRPTPAMC-NH2 、および、H-PRQVEMIRRRRPph
oshoTPAMC-NH2 (式中、PはPro,Rは、Arg,Q
は、Gln,VはVal,EはGlu,MはMet,I
はIle,TはThr,AはAla,CはCys、ph
osphoTは、リン酸化されたThrを表す)は、既
報に従い、固相法で合成した (Higashi,H., Sato, K.,
Ohtake, A., Omori, A., Yoshida, S., and Kudo, Y.
(1997)FEBS Lett. 414, 55-60)。このペプチド誘導体
は、 DARPP-32 ( ドーパミンおよびcAMP−制御ホスホプ
ロテイン, Mr=32,000)の配列中 (Hemmings, H. J., Nai
rn, A., Elliott, J., and Greengard, P. (1990) 、 J
Biol Chem 265, 20369-76) のPKA において特異的にリ
ン酸化されるThr を含む16個のアミノ酸配列(ウシのDA
RPP-32配列の22位から34位のアミノ酸残基)のC 末端に
付加したシステイン残基に蛍光物質のN−(4,4−ジ
フルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a、
−ジアザ−S−インドアセン−3−イル)メチル)ヨー
ドアセトアミド [BODIPY FL C1-IA, Molecular Probe社
製] を導入したものであり、P32−Bと呼ばれる。
【0012】5 mMの上記ペプチドの水溶液0.1 mlに20 m
M の BODIPY FL C1-IAのアセトニトリル溶液25μl 、0.
1 mlの 0.1 M Hepes緩衝液 pH7.0, および 0.1 ml のア
セトニトリルを加え暗所、室温で18時間反応した。生成
物は、下記のHPLCで分離し、分取した溶液を凍結乾燥し
た。5 mg/ml の濃度でDMSOに溶解して原液とし、使用時
に水溶液に混合して使用した。原液の保存は、-20 ℃で
行った。なお、上記したとおり、BODIPY FL C1-IA 以外
にもチオール基反応性の蛍光プローブが使用可能であ
り、また、N−末端にアミノ基反応性の蛍光プローブの
導入も可能である。
M の BODIPY FL C1-IAのアセトニトリル溶液25μl 、0.
1 mlの 0.1 M Hepes緩衝液 pH7.0, および 0.1 ml のア
セトニトリルを加え暗所、室温で18時間反応した。生成
物は、下記のHPLCで分離し、分取した溶液を凍結乾燥し
た。5 mg/ml の濃度でDMSOに溶解して原液とし、使用時
に水溶液に混合して使用した。原液の保存は、-20 ℃で
行った。なお、上記したとおり、BODIPY FL C1-IA 以外
にもチオール基反応性の蛍光プローブが使用可能であ
り、また、N−末端にアミノ基反応性の蛍光プローブの
導入も可能である。
【0013】ロ) HPLC2よる分取と分析 C8逆相カラム (30 mm x 10 mm φ Aquapore Octyl (H
PLCカラム), 20μM, Applied Biosystems Inc., Fo
ster City, CA)を用いHPLCで0.1 %TFAを含むアセトニト
リルと水の混液を溶媒とし、2ml/min の流速で20分間で
10% から50 %までのアセトニトリルの直線グラジエント
をかけた。カラム温度は、40℃に保った。溶出液の蛍光
を励起波長366 nm, 蛍光波長570 nmで測定し、生成物を
分取した。分析用のHPLCは、C18(30 mm x 4.6 mmφ, Aq
uapore Rp-300 (HPLCカラム), 7 μM 、 Applied
Biosystems Inc.) を用い、流速を1ml/min として励起
波長490nm,蛍光波長510nm で行った。分取した主産物
は、MALDI-TOFMS で質量を測定し、ペプチド1分子に B
ODIPY FL C1-IA1分子が入っていることを確認した。
PLCカラム), 20μM, Applied Biosystems Inc., Fo
ster City, CA)を用いHPLCで0.1 %TFAを含むアセトニト
リルと水の混液を溶媒とし、2ml/min の流速で20分間で
10% から50 %までのアセトニトリルの直線グラジエント
をかけた。カラム温度は、40℃に保った。溶出液の蛍光
を励起波長366 nm, 蛍光波長570 nmで測定し、生成物を
分取した。分析用のHPLCは、C18(30 mm x 4.6 mmφ, Aq
uapore Rp-300 (HPLCカラム), 7 μM 、 Applied
Biosystems Inc.) を用い、流速を1ml/min として励起
波長490nm,蛍光波長510nm で行った。分取した主産物
は、MALDI-TOFMS で質量を測定し、ペプチド1分子に B
ODIPY FL C1-IA1分子が入っていることを確認した。
【0014】ハ) 蛍光基質の評価 a) PKAの基質P-32B 50 mM Hepes, pH 7.5 、10 mM MgAc2 、1 mM EGTA 、P3
2-B 0.2 μg/mlの混合物を30℃で15分間保持後、Sigma
社製PKA 触媒サブユニット( catalytic subunit)(P-2
645)を酵素源として 2μg/ml加えて反応を開始した。酵
素を加えると蛍光強度が急激に上昇した。すなわち、予
測したようにPKA の基質P-32B のリン酸化によりBODIPY
FL C1-IA に特異的な蛍光(510 nm にピーク) が増加
し、酵素活性を測定できた。また、HPLCによる分析で、
P-32B のリン酸化を確認した。 b)カルシニューリンの基質P-32P-B 50 mM Hepes, pH 7.5 、1 mM EGTA 、5 μg/mlカルモジ
ュリンの混合物を30℃で15分間保持後、UBI 社製カルシ
ニューリン 3μg/mlと1mM CaCl2 を加えて反応を開
始した。酵素を加えると蛍光強度が急激に減少した。す
なわち、予測したようにカルシニューリンの基質P-32P-
B (P-32P のリン酸化物)の脱リン酸化によりBODIPY F
L C1-IA に特異的な蛍光(510 nm にpeak) が減少し、酵
素活性を測定できた。また、HPLCによる分析でP-32P-B
の脱リン酸化を確認した。
2-B 0.2 μg/mlの混合物を30℃で15分間保持後、Sigma
社製PKA 触媒サブユニット( catalytic subunit)(P-2
645)を酵素源として 2μg/ml加えて反応を開始した。酵
素を加えると蛍光強度が急激に上昇した。すなわち、予
測したようにPKA の基質P-32B のリン酸化によりBODIPY
FL C1-IA に特異的な蛍光(510 nm にピーク) が増加
し、酵素活性を測定できた。また、HPLCによる分析で、
P-32B のリン酸化を確認した。 b)カルシニューリンの基質P-32P-B 50 mM Hepes, pH 7.5 、1 mM EGTA 、5 μg/mlカルモジ
ュリンの混合物を30℃で15分間保持後、UBI 社製カルシ
ニューリン 3μg/mlと1mM CaCl2 を加えて反応を開
始した。酵素を加えると蛍光強度が急激に減少した。す
なわち、予測したようにカルシニューリンの基質P-32P-
B (P-32P のリン酸化物)の脱リン酸化によりBODIPY F
L C1-IA に特異的な蛍光(510 nm にpeak) が減少し、酵
素活性を測定できた。また、HPLCによる分析でP-32P-B
の脱リン酸化を確認した。
【0015】ニ) 細胞培養 NG108-15細胞を、5%ウシ胎児血清、10μM ヒポキサンチ
ン、16μM チミジンを含むDMEM 2 ml 中35 mm のポリー
D−リジンで被覆されたグラスボトムマイクロウェルデ
ィッシュ(MatTek, MA, USA) を用いて培養した。10 %C
O2 存在下、37℃で培養し、半融合性(semi-confluen
t)になった後、培地の血清を除去し、その後1〜2日
後の細胞をイメージングに使用した。
ン、16μM チミジンを含むDMEM 2 ml 中35 mm のポリー
D−リジンで被覆されたグラスボトムマイクロウェルデ
ィッシュ(MatTek, MA, USA) を用いて培養した。10 %C
O2 存在下、37℃で培養し、半融合性(semi-confluen
t)になった後、培地の血清を除去し、その後1〜2日
後の細胞をイメージングに使用した。
【0016】ホ) 細胞内PKA 活性のイメージング 細胞外液として、130 mM NaCl, 5.4 mM グルコース, 1.
8 mMCaCl2, 0.8 mM MgSO4, 20 mM Hepes緩衝液
pH 7.3 から成るBSS を使用した。1 mg/ml のP32-B を
3 μg 加えたBSS 500 μl を上記のようにしてグラスボ
トムマイクロウェルディッシュに培養したNG108-15細胞
に加えて暗所に放置し、室温で30分間細胞にP32-B を取
り込ませた。1 ml BSSで細胞を5 回洗浄した後、ARGUS5
0 を用いて細胞の蛍光を測定した。1.5 ml/minの流速で
30℃に保ったBSS 溶液を還流しながら、480 nmで励起し
たときの蛍光(>515 nm) を測定した。10秒または20秒ご
とに1 回イメージを取り込んで画像処理した。測定を開
始してから4 分後に、1 mMのジブチル cAMP または、50
μM forskolin (細胞のアデニル酸シクラーゼを活性化
して細胞内のcAMP濃度を上昇させる薬物)を2 分間
添加した。
8 mMCaCl2, 0.8 mM MgSO4, 20 mM Hepes緩衝液
pH 7.3 から成るBSS を使用した。1 mg/ml のP32-B を
3 μg 加えたBSS 500 μl を上記のようにしてグラスボ
トムマイクロウェルディッシュに培養したNG108-15細胞
に加えて暗所に放置し、室温で30分間細胞にP32-B を取
り込ませた。1 ml BSSで細胞を5 回洗浄した後、ARGUS5
0 を用いて細胞の蛍光を測定した。1.5 ml/minの流速で
30℃に保ったBSS 溶液を還流しながら、480 nmで励起し
たときの蛍光(>515 nm) を測定した。10秒または20秒ご
とに1 回イメージを取り込んで画像処理した。測定を開
始してから4 分後に、1 mMのジブチル cAMP または、50
μM forskolin (細胞のアデニル酸シクラーゼを活性化
して細胞内のcAMP濃度を上昇させる薬物)を2 分間
添加した。
【0017】2.新規基質の評価と実験例 P32-B は、励起波長495 nm、蛍光波長510 nmで最大蛍光
を与えた。P32-B にATP とPKA の触媒部位を加えると、
リン酸化され蛍光強度が上昇した。P32-B が完全にリン
酸化されると蛍光強度は約50 %上昇した。3 〜4 %の蛍
光の減少を示す従来の蛍光基質、ARII, DRII (Higashi,
H., Sato, K., Ohtake, A., Omori, A., Yoshida, S.,
and Kudo, Y. (1997) FEBS Lett. 414, 55-60) よりも
鋭敏にPKA 活性を測定することが可能になった。P32-B
とそのリン酸化物は、HPLCで区別された。さらに、P32-
B は、細胞外液に加えることにより細胞膜を通過して約
10%の割合で細胞内に取り込まれ核を除く細胞質に分布
した。また、細胞内に取り込まれた後もプロテアーゼに
よる分解を受けにくいことがわかった。
を与えた。P32-B にATP とPKA の触媒部位を加えると、
リン酸化され蛍光強度が上昇した。P32-B が完全にリン
酸化されると蛍光強度は約50 %上昇した。3 〜4 %の蛍
光の減少を示す従来の蛍光基質、ARII, DRII (Higashi,
H., Sato, K., Ohtake, A., Omori, A., Yoshida, S.,
and Kudo, Y. (1997) FEBS Lett. 414, 55-60) よりも
鋭敏にPKA 活性を測定することが可能になった。P32-B
とそのリン酸化物は、HPLCで区別された。さらに、P32-
B は、細胞外液に加えることにより細胞膜を通過して約
10%の割合で細胞内に取り込まれ核を除く細胞質に分布
した。また、細胞内に取り込まれた後もプロテアーゼに
よる分解を受けにくいことがわかった。
【0018】P32-B を取り込ませた細胞にforskolin (5
0 μM)、または、細胞膜を通過できるcAMPである、ジブ
チリルサイクリックAMP( dbcAMP) (1 mM) を与えると蛍
光強度が上昇した。この反応は、試薬投与とほぼ同時に
起こった。これらの上昇は、PKA の阻害剤であるH89(1
μM)で阻止された。このことは、PKA の活性化によるP3
2-B のリン酸化の結果であることを示している。また、
P32-B を取り込ませた細胞を破砕してHPLCで分析したと
ころ、刺激により基質がリン酸化されていることが確認
された。取り込まれたP32-B の一部分がforskolin やdb
cAMPの刺激なしでもリン酸化されていることが分かっ
た。このことは、これらの細胞では、PKAが基質取り込
み時にある程度活性化されていることを示している。P3
2-B は、P32P-Bよりも容易に細胞に取り込まれることか
ら、P32P-Bを細胞に取り込ませるよりも、P32-B を取り
込ませることにより、無刺激で細胞内でリン酸化される
P32-B を基質としてカルシニューリンの活性も測定でき
る。
0 μM)、または、細胞膜を通過できるcAMPである、ジブ
チリルサイクリックAMP( dbcAMP) (1 mM) を与えると蛍
光強度が上昇した。この反応は、試薬投与とほぼ同時に
起こった。これらの上昇は、PKA の阻害剤であるH89(1
μM)で阻止された。このことは、PKA の活性化によるP3
2-B のリン酸化の結果であることを示している。また、
P32-B を取り込ませた細胞を破砕してHPLCで分析したと
ころ、刺激により基質がリン酸化されていることが確認
された。取り込まれたP32-B の一部分がforskolin やdb
cAMPの刺激なしでもリン酸化されていることが分かっ
た。このことは、これらの細胞では、PKAが基質取り込
み時にある程度活性化されていることを示している。P3
2-B は、P32P-Bよりも容易に細胞に取り込まれることか
ら、P32P-Bを細胞に取り込ませるよりも、P32-B を取り
込ませることにより、無刺激で細胞内でリン酸化される
P32-B を基質としてカルシニューリンの活性も測定でき
る。
【0019】
【発明の効果】本発明のドーパミンおよびcAMP−制御ホ
スホプロテインの配列中の特異的なリン酸化部位である
Thrをふくむ17個のアミノ酸からなる、配列番号1
あるいは配列番号2で表される合成部分配列のペプチド
のC末端を蛍光物質であるN−(4,4−ジフルオロ−
5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a、−ジアザ−
S−インドアセン−3−イル)メチル)ヨードアセトア
ミドで標識化した蛍光標識ペプチドは、細胞内のcAM
P依存性タンパク質キナーゼ活性あるいは、タンパク質
脱リン酸化酵素であるカルシニューリンの活性を可視化
解析するための蛍光基質として有用である。本発明の蛍
光基質は、細胞外液に加えるだけで、約10%細胞内に
導入され、かつプロテアーゼに対する抵抗性が大きいの
で長時間にわたる観察も可能になるという特徴を有す
る。さらに、本発明の蛍光基質は、Thrのリン酸化に
よる蛍光強度の増加が大きいので、PKA活性がより鋭
敏に検出される。
スホプロテインの配列中の特異的なリン酸化部位である
Thrをふくむ17個のアミノ酸からなる、配列番号1
あるいは配列番号2で表される合成部分配列のペプチド
のC末端を蛍光物質であるN−(4,4−ジフルオロ−
5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a、−ジアザ−
S−インドアセン−3−イル)メチル)ヨードアセトア
ミドで標識化した蛍光標識ペプチドは、細胞内のcAM
P依存性タンパク質キナーゼ活性あるいは、タンパク質
脱リン酸化酵素であるカルシニューリンの活性を可視化
解析するための蛍光基質として有用である。本発明の蛍
光基質は、細胞外液に加えるだけで、約10%細胞内に
導入され、かつプロテアーゼに対する抵抗性が大きいの
で長時間にわたる観察も可能になるという特徴を有す
る。さらに、本発明の蛍光基質は、Thrのリン酸化に
よる蛍光強度の増加が大きいので、PKA活性がより鋭
敏に検出される。
【0020】 〔配列表〕 SEQUENCE LISTING <110> Mitsubishi Chemical Corporation <120> Fluorescent labeled peptide <130> J03807 <140> <141> <160> 2 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 17 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic <400> 1 Pro Xaa Xaa Xaa Glu Xaa Ile Arg Arg Arg Arg Pro Thr Pro Ala Xaa 1 5 10 15 Cys <210> 2 <211> 17 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic <400> 2 Pro Arg Gln Val Glu Met Ile Arg Arg Arg Arg Pro Thr Pro Ala Met 1 5 10 15 Cys
【配列表フリーテキスト】配列番号1−2:合成ペプチ
ド
ド
【図1】図1は、N−(4,4−ジフルオロ−5,7−
ジメチル−4−ボラ−3a,4a、−ジアザ−S−イン
ドアセン−3−イル)メチル)ヨードアセトアミドの化
学構造式を表す。
ジメチル−4−ボラ−3a,4a、−ジアザ−S−イン
ドアセン−3−イル)メチル)ヨードアセトアミドの化
学構造式を表す。
Claims (7)
- 【請求項1】 下記アミノ酸配列 ProXaaXaaXaaGluXaaIleArgA
rgArgArgProThrProAlaXaaCy
s (上記式中で、Xaaは,独立して任意のアミノ酸を表
す。)で表されるペプチドのN末端またはC末端が蛍光
標識されたペプチド。 - 【請求項2】 請求項1記載のアミノ酸配列において、
N末端から2番目のXaaがArgを表し、N末端から
3番目のXaaがGlnを表し、N末端から4番目のX
aaがValを表し、N末端から6番目のXaaがMe
tを表し、N末端から16番目のXaaがMetを表
す、請求項1に記載のペプチド。 - 【請求項3】 下記アミノ酸配列 ProArgGlnValGluMetIleArgA
rgArgArgProThrProAlaMetCy
s で表されるペプチドのN末端またはC末端が蛍光標識さ
れた、請求項1に記載のペプチド。 - 【請求項4】 C末端が蛍光標識された、請求項1に記
載のペプチド。 - 【請求項5】 C末端のシステインのチオール基が蛍光
標識された請求項4に記載のペプチド。 - 【請求項6】 N−(4,4−ジフルオロ−5,7−ジ
メチル−4−ボラ−3a,4a、−ジアザ−S−インド
アセン−3−イル)メチル)ヨードアセトアミドをその
C−末端のシステインのチオール基と反応させて得られ
る、C−末端が蛍光標識された請求項1〜4のいずれか
に記載のペプチド。 - 【請求項7】細胞内のcAMP依存性蛋白質キナーゼ活性ま
たはカルシニューリン活性を可視化解析するための蛍光
基質としての請求項1〜6のいずれかに記載の蛍光標識
ペプチドの使用。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11192559A JP2001019700A (ja) | 1999-07-07 | 1999-07-07 | 蛍光標識ペプチド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11192559A JP2001019700A (ja) | 1999-07-07 | 1999-07-07 | 蛍光標識ペプチド |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001019700A true JP2001019700A (ja) | 2001-01-23 |
Family
ID=16293302
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11192559A Pending JP2001019700A (ja) | 1999-07-07 | 1999-07-07 | 蛍光標識ペプチド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001019700A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2387905A (en) * | 2002-04-19 | 2003-10-29 | Amersham Biosciences Uk Ltd | Fluorescence-based assay for determining the phosphorylating activity of an enzyme |
KR20030084133A (ko) * | 2002-04-25 | 2003-11-01 | 주식회사 아트만 바이오 사이언스 | 피디케이1 단백질 인산화효소 활성측정용 형광표지 펩티드및 이를 이용한 비방사성 피디케이1 단백질 인산화효소활성측정법 |
KR20040009726A (ko) * | 2002-07-25 | 2004-01-31 | 주식회사 아트만 바이오 사이언스 | 아이엘케이1 단백질 인산화효소 활성측정용 형광표지펩티드 및 이를 이용한 비방사성 아이엘1 단백질인산화효소 활성측정법 |
US7195884B2 (en) | 2002-07-19 | 2007-03-27 | Promega Corp. | Methods and kits for transferases |
-
1999
- 1999-07-07 JP JP11192559A patent/JP2001019700A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2387905A (en) * | 2002-04-19 | 2003-10-29 | Amersham Biosciences Uk Ltd | Fluorescence-based assay for determining the phosphorylating activity of an enzyme |
US7125682B2 (en) | 2002-04-19 | 2006-10-24 | Ge Healthcare Uk Limited | Methods for measuring protein kinase and phosphatase activity |
KR20030084133A (ko) * | 2002-04-25 | 2003-11-01 | 주식회사 아트만 바이오 사이언스 | 피디케이1 단백질 인산화효소 활성측정용 형광표지 펩티드및 이를 이용한 비방사성 피디케이1 단백질 인산화효소활성측정법 |
US7195884B2 (en) | 2002-07-19 | 2007-03-27 | Promega Corp. | Methods and kits for transferases |
US7314729B2 (en) | 2002-07-19 | 2008-01-01 | Promega Corp. | Methods and kits for transferases |
KR20040009726A (ko) * | 2002-07-25 | 2004-01-31 | 주식회사 아트만 바이오 사이언스 | 아이엘케이1 단백질 인산화효소 활성측정용 형광표지펩티드 및 이를 이용한 비방사성 아이엘1 단백질인산화효소 활성측정법 |
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