燃料電池スタックは一般に、1つずつ積み重ねられお互いに圧縮されて保持された複数の燃料電池を含む。この積み重ねられた複数の燃料電池は、圧縮されて複数の燃料電池を圧縮関係で保持する燃料電池アセンブリを形成している。一般に、各燃料電池はアノード層、カソード層、およびこのアノード層とカソード層の間に置かれた電解質を含んでいる。燃料電池アセンブリは、スタックの各燃料電池を詰め込んで1つにするためにかなりの圧縮力を必要とする。圧縮力の必要性は、燃料電池内部の反応物の内部ガス圧力と、これに加えて電池の内部構成部品間で良好な電気的接触を保持する必要性から生じている。一般に、単位面積当たりの力は合計で約13.7〜14.4kg/cm2(195〜205psi)であり、これは電池の活性部分全体(自動車用サイズスタックの場合、一般に497〜1000cm2(77〜155平方インチ))にわたって均一に分布している。それゆえ、面積が約516cm2(80平方インチ)の燃料電池については、このサイズのスタックの代表的な合計圧縮力は約7031〜7484kg(15,500〜16,500ポンド)になる。
典型的な従来技術の燃料電池スタック構造体は、燃料電池アセンブリに対して圧縮力をかけ、保持するのに剛性のエンドプレートを使用することに焦点を合わせていた。この圧縮される燃料電池アセンブリは、一対の剛性エンドプレートの間に置かれる。圧縮力を保持するためにこのエンドプレートはさらに一緒に圧縮され、間隔をあけて保持される。エンドプレートはいろいろな手段によって間隔をあけて保持することができる。たとえば、各エンドプレートを通して延びる棒材を使用して、エンドプレートに対して圧縮力を伝えかつエンドプレートを間隔をあけて保持することができる。この結合棒材は一般に燃料電池アセンブリの外部にあり、エンドプレートの外周に沿った位置にある。エンドプレートを間隔をあけて保持し燃料電池アセンブリに対して圧縮力を維持するために、燃料電池アセンブリの全長にわたって伸張し、エンドプレートに取り付けられるサイドプレートも使用されてきた。
燃料電池アセンブリに伝えるべき大きな圧縮力およびこの圧縮力を伝えなければならない燃料電池アセンブリの活性部分の大きさのために、剛性のエンドプレートの周辺に沿った手段により間隔をあけて保持される剛性のエンドプレートは、たわみを生じ、燃料電池アセンブリの活性部分全体にわたって全体的に均一な圧縮力を伝えない傾向がある。すなわち、剛性エンドプレートの中心部分がたわみ、剛性エンドプレートの中心部分の下の活性部分に加えられる力は、剛性エンドプレートの周辺に沿った活性部分に加えられる力ほど大きくない。
活性部分上に全体に均一な圧縮分布を与える従来技術の試みとして、外部結合棒材を備えた非常に薄い剛性エンドプレート、燃料電池アセンブリを突き抜ける内部結合棒材を備えた剛性エンドプレート、ガスブラダ用のくぼみを備えた半剛性エンドプレート、およびエンドプレートの中心部分の上に位置し、エンドプレートに対して選択的に移動してエンドプレートの中心部分に沿って圧縮力を伝えるねじ等の控えめな力を及ぼす部材を使用する方法があった。
外部結合棒材を備えた剛性エンドプレートにおいては、全体の圧縮力がこの結合棒材で支えられるように、ねじ山をつけた複数の結合棒材が上部エンドプレートの周辺から燃料電池アセンブリの外側に沿って下部エンドプレートまで延びる。このエンドプレートは、全体の小さな(セルあたりほぼ0.025mm(1ミル)未満)たわみを達成するように十分に厚いものでなければならない。このシステムの不利な点は、エンドプレートの全長が最も大きく、活性部分全体にわたって均一な力を発生するためになんら他の方法を採用していないため他のすべての選択肢と比較してエンドプレートを非常に厚くしなければならないということにある。
燃料電池アセンブリを突き抜ける内部結合棒材を備えた剛性エンドプレートにおいては、エンドプレートの中心部分近くに結合棒材を配置することができるように結合棒材が燃料電池の中心を通って延びる。それで曲げ力の全範囲は上部エンドプレートの幅全体には伸びておらず、どちらかというと狭い範囲が得られている。この構成にはエンドプレートの範囲の長さを低減し、より薄いエンドプレートを用いる機能をもたらす利点があるが、棒材が燃料電池アセンブリを突き抜けられるように複雑な双極プレート密封機構を必要とする欠点がある。
ガスブラダ用のくぼみを備えた半剛性エンドプレートにおいては、上部エンドプレートの下面がくりぬかれ、ブラダがエンドプレートのくぼみ内に配置され、このブラダが加圧されてスタックの望ましい圧縮負荷を与える。上部エンドプレート自体はその際多少曲がることができ、一方、ブラダは活性部分全体に均一な力の分布を保持する。この構成は、かなり曲げることができるので上部エンドプレートの構造部品をより薄くできるという利点があるが、エンドプレートにくぼみを必要とし、エンドプレートの全体的な厚さが著しく増加するという結果を伴う欠点がある。
控えめな力を及ぼす部材を使用する方法においては、控えめな力を及ぼす部材がエンドプレートの中心部分の上に位置し、エンドプレートに対して選択的に移動してエンドプレートの中心部分に沿って圧縮力を伝える。この構成は、控えめな力を及ぼす部材が上に位置しているエンドプレートの種々の位置に加えられる圧縮力を細かく調整する利点があるが、控えめな力を及ぼす部材を保持する余分な機構を必要とし、燃料電池アセンブリの活性部分上で全体に均一な力の分布を得るために様々な控えめな力を及ぼす部材を繰り返ししっかり締めるプロセスを必要とする欠点がある。
したがって、必要とされるのは、過度に厚いエンドプレートを必要とせず、エンドプレート中心部分に圧縮力を加える余分な手段を使用せずに燃料電池アセンブリの活性部分に沿って全体的に均一な圧縮力を加えるエンドプレートを有する燃料電池スタック構造である。
以下の好ましい実施形態についての説明は、例示的な性格のものに過ぎず、決して本発明、その応用先または用途を限定しようとするものではない。
図1および2について説明すると、本発明の好ましい実施形態による電気化学燃料電池スタック20が示されている。この燃料電池スタック20は、積層構造に配置されて反対側の上部および下部の端部26、28を有し、その間の、図10Aに示す圧縮長さが30であり圧縮してない長さが31である燃料電池アセンブリ24を形成する複数の燃料電池22を含んでいる。燃料電池アセンブリ24は、上部および下部のエンドアセンブリ32、34間に置かれる。上部および下部エンドアセンブリ32、34は、側壁によって一定の間隔をあけて保持される。現段階で好ましい実施形態において、この側壁は少なくとも1つのサイドプレート36を含む。サイドプレート36は、上記の上部および下部エンドアセンブリ32、34が燃料電池アセンブリ24に対して圧縮力を伝えるようにこのエンドアセンブリ32、34を一定の間隔をあけて保持する。知られている燃料電池スタック技術によれば、燃料電池スタック20は、燃料電池アセンブリ24に出入りする反応物および冷却流体を供給、排出する入口37、出口38および通路(図示せず)を備えている。
図4で分かるように、燃料電池アセンブリ24は、膜電極アセンブリ(MEA)40およびMEA40の反対側の配置された一対の双極プレートアセンブリ42を有する多段の繰り返し単位すなわち燃料電池22を備えている。各双極プレートアセンブリ42は、2つのガス分配層42g間に介在させた冷却材分配層42cから成っている。冷却材分配層42cとガス分配層42g間には、冷却材を含みアノードおよびカソードの各ガス流を分離する透過性の分離板44が配置されている。MEA40があるセルのアノードガス分配層42gaと隣接するセルのカソードガス分配層42g間に配置されて、燃料電池22が形成される。MEA40は、従来技術で知られているように、様々な形を取ることができる。たとえば、MEA40としては高分子電解質膜が可能である。この高分子電解質膜は、概略0.018ミクロン程度の厚さを有する薄い強化膜であることが好ましい。この薄い強化された高分子電解質膜は、概略0.18mm(0.007インチ)の厚さを有する従来技術の燃料電池で使用される高分子電解質膜よりずっと薄いものである。本発明で使用される薄くて強化された高分子電解質膜は、燃料電池アセンブリ24の長さ30のより小さなパーセンテージに相当し、従来技術の燃料電池スタックで使用されるより厚い高分子電解質膜よりずれまたは応力緩和が著しく少ない。
各燃料電池22は積層構造に配置されて燃料電池アセンブリ24を形成する。お互いに隣接して積み重ねられて燃料電池アセンブリ24を形成する燃料電池22の数は変えることができる。燃料電池アセンブリ24を形成するのに用いられる燃料電池22の数は、燃料電池スタック20の要求によって変わってくる。すなわち、より大きなすなわちより強力な燃料電池スタック20が要求される場合は、燃料電池アセンブリ24の燃料電池22の数は増加することになる。従来技術で知られているように、燃料電池22は、より効率的にしより多くの出力を発生するように圧縮する必要がある。したがって、燃料電池アセンブリ24は上部および下部のエンドアセンブリ32、34の間で圧縮される。燃料電池アセンブリ24の活性部分(図示せず)は、燃料電池アセンブリ24の効率を最大化し、各燃料電池22を燃料電池アセンブリ24内部に納めるために均一に圧縮されることが好ましい。
再び図2および3について説明すると、上部エンドアセンブリ32は、燃料電池アセンブリ24の上端部26に隣接した位置にある。上部エンドアセンブリ32は、対向する内面および外面46、48を有する上部エンドプレート45を備えている。上部エンドプレート45の内面46は、燃料電池アセンブリ24の上端部26に面している。上部エンドプレート45は、流体通路と連結した種々の入口37および出口38が燃料電池アセンブリ24から燃料電池スタック20の外部まで延びることができるように多数の開口部50を有している。流体通路に連結した入口37および出口38を有する燃料電池スタック20の端部は「湿った端部」とも呼ばれる。
下部エンドアセンブリ34は、燃料電池アセンブリ24の下端部28に隣接した位置にある。下部エンドアセンブリ34は、対向する内面および外面60、62を有する下部エンドプレート58を備えている。下部エンドプレート58は、下部エンドプレート58の内面60が燃料電池アセンブリ24の下端部28に面するように向けられている。流体通路に連結している下部エンドアセンブリ34を通り抜ける入口および出口がまったく無い場合、燃料電池スタック20の下端部28は「乾いた端部」としても知られる。
場合によっては、好ましいことであるが、燃料電池アセンブリ24と上部および/または下部エンドプレート45、58の間に1つまたは複数のスペーサプレート52を配置してもよい。このスペーサプレート52は、その内面54を燃料電池アセンブリ24の端部26、28に向け、かつその外面55をエンドプレート45、58の内面54、60に向けて、エンドプレート45、58と燃料電池アセンブリ24の端部26、28の間に配置されている。ターミナルプレート56が燃料電池アセンブリ24の端部26、28上に配置される場合は、スペーサプレート52がその内面54をターミナルプレート56に向けてターミナルプレート56とエンドプレート45、58の間に配置されている。スペーサプレート52はエンドプレート45、58をターミナルプレート56と分離している。スペーサプレート52は、スペーサプレート52の厚さ57が燃料電池アセンブリ24の長さ30と位置合わせされるようにエンドアセンブリ32、34内で適応させる。この好ましい実施形態は、上部および下部のエンドアセンブリ32、34に付随するスペーサプレート52を示しているが、当業者はスペーサプレート52の数および位置は燃料電池スタック20の設計および用途に応じて変えられることを理解するであろう。
上部および下部エンドプレート45、58はそれぞれ、内面46、60を外面48、62と分離する周辺の側壁64を有している。上部および下部エンドプレート45、58上の周辺側壁64は、燃料電池アセンブリ24の長さ30と位置を合わせている。図に示されるように、燃料電池スタック20は一般に形が矩形であり、上部および下部エンドプレート45、58もまた形が矩形であることが好ましい。矩形の上部および下部エンドプレート45、58の周辺側壁64は、一般的にお互いに直行する第1および第2の対の対向する側壁66、68で構成されている。第1および第2の対の対向する側壁66、68はそれぞれ、サイドプレート36を上部および下部エンドプレート45、58に固定するためのねじ山付き留め具80を受け入れる1つまたは複数のねじを切った孔70を有している。
上記したように、上部および下部エンドアセンブリ32、34は燃料電池アセンブリ24に対して圧縮力を伝える。燃料電池アセンブリ24に伝えられた圧縮力は、一定の間隔をあけて保持される上部および下部エンドプレート45、58によって発生される。上部および下部エンドプレート45、58は、サイドプレート36により一定の間隔をあけて保持されることが好ましい。各サイドプレート36は反対側の第1および第2の端部72、74およびそれらの間に長さ76を有する。各サイドプレート36は、サイドプレート36の長さ76を燃料電池アセンブリ24の長さと位置を合わせて、第1の端部72が上部エンドプレート45に隣接し、第2の端部74が下部エンドプレート58に隣接するように燃料電池スタック20上で適応させる。場合によっては、好ましいことであるが、サイドプレート36はエンドプレート45、58の周辺側壁64全体に沿って延びる。各サイドプレート36の第1および第2の端部72、74は、燃料電池アセンブリ24を圧縮した際に上部および下部エンドプレート45、58の周辺側壁64のねじを切った孔70と位置が揃うもう1つの開口部78を有する。各サイドプレート36の第1および/または第2の端部72、74どちらかの開口部78は、上部および下部エンドプレート45、58を一定の間隔をあけて保持できるように溝の形であることが好ましい。この溝は、燃料電池スタック20の種々の部品の大きさの違いを考慮したものであり、上部および下部エンドプレート45、58を今までどおり一定の間隔をあけて保持することができる。ねじ山付き留め具80は、サイドプレート36を上部および下部エンドプレート45、58に取り付けるのに使用することが好ましいが、当業者は、請求項によって規定されるような本発明の範囲から逸脱することなく、サイドプレート36を上部および下部エンドプレート45、58に取り付ける他の手段を用いることができることを理解するであろう。この点に関しては、サイドプレート36とエンドプレート45、58が形成する結合は、それらの間の境界面における相対的回転が十分に難しいものでなければならない。たとえば、サイドプレート36の第1および/または第2の端部72、74は、リベットまたはピン等の他の機械的固定手段によって、または溶接、ろう付けまたは接着剤接合等の様々な接合手段によって上部および/または下部エンドプレート45、58にそれぞれ固定することができ、これらもやはり本発明の精神の範囲内である。さらにまた、サイドプレート36の対向する端部72、74を対向するエンドプレート45、48に取り付け、各エンドプレートを一定の間隔をあけて保持しつつ、サイドプレート36の端部72、74の1つを曲げて、エンドプレート45、48の1つの上に配置されてエンドプレート45、48を保持することができる保持部品(図示せず)を形成することができることを理解されたい。
必要に応じて、各サイドプレート36は、ターミナルプレート56上のターミナルブロック83が燃料電池スタック20の外部まで延びることを可能にする1つまたは複数の開口部82を有することができる。各サイドプレート36は電気的に接地され、電磁気的外乱から燃料電池アセンブリ24を保護することが好ましい。各サイドプレート36は金属製であることが同じく好ましい。上部および下部エンドプレート45、58を一定の間隔をあけて保持するのに使用されるサイドプレート36は、上部および下部エンドプレート45、58を一定の間隔をあけて保持するために必要な大きさにされ、一方、上部および下部エンドプレート45、58が燃料電池アセンブリ24に対して圧縮力を伝え、保持する。サイドプレート36の幅は相対的に広いので、圧縮負荷を支えるのに必要な引張強さを与えるために比較的小さな厚さが要求される。本発明のこの態様は、燃料電池アセンブリの周辺および/または燃料電池アセンブリを通して軸ロッドを使用する従来の方法に勝る重量低減を意味する。
1つまたは複数のサイドプレート36が燃料電池アセンブリ24の少なくとも一部を囲って燃料電池アセンブリ24を偶然の損傷から保護することが好ましい。サイドプレート36が燃料電池アセンブリ24全体を囲って、燃料電池アセンブリ24および燃料電池スタック20の保護カバーを提供することがより好ましい。したがって、サイドプレート36は、燃料電池アセンブリ24および燃料電池スタック20を、衝撃、吹き出しまたはその他の攻撃の結果としての損傷から保護しつつサイドプレート36が衝撃、吹き出しおよびその他いろいろな性質の攻撃に耐えることができるように必要な大きさにされる。こういうふうに、サイドプレート36は、燃料電池アセンブリ24に対して圧縮負荷を伝え、保持する上部および下部エンドプレート45、58を一定の間隔をあけて保持する機能を果たすだけでなく、燃料電池アセンブリ24および燃料電池スタック20の保護筐体も提供する。保護機能を果たすためにサイドプレート36を使用することにより、従来の燃料電池スタックで行われていたように、燃料電池スタック20に対する偶発的な吹き出し、衝撃、またはその他の攻撃からの保護のために燃料電池スタック20のまわりに構造物を追加する必要が無くなる。
場合によって、上部エンドアセンブリ32および/または下部エンドアセンブリ34に含まれるスペーサプレート52はいろいろな目的に役立つ。すなわち、スペーサプレート52は1つまたは複数の理由で燃料電池スタック20に含めることができる。たとえば、スペーサプレート52は、上部および/または下部エンドプレート45、58をターミナルプレート56と分離するのに使用することができる。上記したように、ターミナルプレート56は、電導性であり、燃料電池スタック20からターミナルブロック83を経由して電流を取り出すのに使用される。上部および/または下部エンドプレート45、58が電導性の場合、上部および/または下部エンドプレート45、58とターミナルプレート56間に位置するスペーサプレート52が、上部および/または下部エンドプレート45、58とターミナルプレート56を電気的に絶縁することができる。スペーサプレート52は燃料電池スタック20の全体の寸法を調節するのに使用することもできる。すなわち、以下においてもっと詳細に説明するように、1つまたは複数のスペーサプレート52を燃料電池アセンブリ24と上部および/または下部エンドプレート45、58の間に配置して、エンドアセンブリ32、34が今まで通り燃料電池アセンブリ24に対して圧縮力を伝えるようにしながら、所定長さの燃料電池スタック20を提供することができる。現段階で好ましいものとして、(各)スペーサプレート52は、十分な電気絶縁性を与え、燃料電池スタック20の寸法を均一にするために約8〜18mmの範囲の厚さ57を有している。しかしながら、当業者は、特定の用途や設計仕様が(各)スペーサプレート52の厚さ57の範囲を要求することを理解するであろう。以下でさらに詳細に説明するように、スペーサプレート52は、燃料電池アセンブリ24に対して全体に均一な圧縮力を伝えるために上部および/または下部エンドプレート45、58と組み合わせて使用することもできる。
スペーサプレート52は非導電性であり、これによって燃料電池スタック20の種々の部品を電気的に絶縁することができることが好ましい。したがって、スペーサプレート52はプラスチックなどの非導電性材料で作ることが好ましい。スペーサプレート52はエンジニアリング等級の高機能プラスチックで作ることがよりいっそう好ましい。1つまたは複数のスペーサプレート52を作るのに使用されるエンジニアリング等級の高機能プラスチックは、上部および/または下部エンドプレート45、58から燃料電池アセンブリ24の各上部および下部の端部26、28に圧縮負荷を移すように燃料電池アセンブリ24にかけられる圧縮負荷の大きさのもとでは相対的に非圧縮性(すなわち、応力緩和が小さい)である。特に、ポリエチレンサルファイドが、スペーサプレート52を作る特に有効な材料であることが分かっている。ポリエチレンサルファイドとしては、Chevron Phillips Chemical Company,L.P.がRYTON PPSブランドで販売しているものおよび独国フランクフルトのCelanese AGがFORTRONブランドで販売しているものが入手できる。図7で分かるように、スペーサプレート52は、スペーサプレート52の重量を低減させる1つまたは複数の開口部84を有することが好ましい。
上で述べたように、上部および下部エンドプレート45、58は、サイドプレート36により一定の間隔をあけて保持され、燃料電池アセンブリ24に対して圧縮負荷を伝える。前に説明したように、上部および下部エンドプレート45、58は、サイドプレート36により一定の間隔をあけて保持される。燃料電池アセンブリ24の上部および下部端部26、28で発生された圧縮負荷は、周辺側壁64からの距離によって変化し、周辺側壁64に沿って圧縮負荷が最大になり、上部および下部エンドプレート45、58の中心において最小になる。すなわち、上部および下部エンドプレート45、58は周辺側壁64に沿って保持されているに過ぎないので、上部および下部エンドプレート45、58は燃料電池アセンブリ24に対する圧縮負荷および上部および下部エンドプレート45、58の周辺側壁64がさらに遠方へ移動することができないことに対応して変形または一方にたわむことになる。燃料電池スタック20の効率は、燃料電池アセンブリ24の活性部分を通してかけられている均一な圧縮負荷に部分的に依存しているので、燃料電池アセンブリ24の活性部分全体にわたって全体的に均一な圧縮負荷を保持することが望ましい。
全体的に均一な圧縮負荷を得る1つの手段は、上部および下部エンドプレート45、58で生じるたわみが燃料電池アセンブリ24の効率に最小限の影響を及ぼすように上部および下部エンドプレート45、58の厚さを増加させることによってこのエンドプレートを剛性にすることである。しかしながら、この厚さを与えると過度に厚い上部および下部エンドプレート45、58の方向に進み、燃料電池スタック20に過度の重量が加わる可能性があり、これによって燃料電池スタックの重量効率および体積効率が減少する。相対的に剛性のエンドプレート45、58を設ける必要性を避けるため、スペーサプレート52の剛性およびターミナルプレート56の剛性がエンドアセンブリ32、34の全体的な剛性に貢献するように、エンドプレート45、58は場合によってスペーサプレート52およびターミナルプレート56に取り付けることができ、これによって燃料電池アセンブリ24の活性部分を通して全体的に均一な圧縮負荷をかけるのに必要なエンドプレート45、58の厚さを低減する。すなわち、図7A〜Bで分かるように、ターミナルプレート56、スペーサプレート52およびエンドプレート45、58を1つに結びつけてそれらの剛性を結合し、燃料電池アセンブリ24の活性部分に全体的に均一な圧縮負荷を伝えることができるエンドアセンブリ32、34を形成することができる。図7Aで分かるように、ターミナルプレート56を、ねじ山をつけたボルトまたはねじ等の機械的留め具86によってスペーサプレート52に連結することができ、その後結合されたターミナルプレート56とスペーサプレート52を機械的留め具87を介してエンドプレート45、58の1つに結合することができる。別法として、ターミナルプレート56、スペーサプレート52およびエンドプレート45、58の1つのすべてを、各構成部品間に介在させた接着層88により取り付けることができる。これによって、ターミナルプレート56の剛性とスペーサプレート52の剛性がエンドプレート45、58の剛性と結びついて、燃料電池アセンブリ24の活性部分に全体的に均一な圧縮負荷をかけることができるエンドアセンブリ32、34を形成し、ターミナルプレート56またはスペーサプレート52をエンドプレート45、58へ取り付けることなく必要になるのは薄いエンドプレート45、58である。
別法、および/または追加の方法として、エンドプレート45、58および/またはスペーサプレート52は、エンドプレート45、58のたわみを補償し、過度に厚いエンドプレート45、58の使用を要することなく燃料電池アセンブリ24の活性部分に全体的に均一な圧縮負荷を伝える、形作られた面を有することができる。すなわち、上部エンドプレート45および単一のスペーサプレート52を示しただけの図5A〜Gで分かるように、上部エンドプレート45が周辺側壁64に沿って最小になり、上部エンドプレート45の中心で最大になる寸法を有するように、上部エンドプレート45の内面46は、上部エンドプレート45から燃料電池アセンブリ24の上端部26に向かって曲がるように寸法を定めることができる。上部エンドプレート45の内面46の形は、燃料電池アセンブリ24の活性部分に望ましい大きさの圧縮負荷を伝えながら、上部エンドプレート45が下部エンドプレート58から一定の間隔をあけて周辺側壁64に沿って保持される結果として上部エンドプレート45で生じるたわみを補償するように起伏付けられる。図6A〜Cは上部エンドプレート45の内面46の例示的な起伏を示している。図から分かるように、上部エンドプレート45はそのほぼ中心で厚さが最大になる。
別法、および/または追加の方法として、スペーサプレート52は、上部エンドプレート45で生じるたわみを補償するように起伏付けられる内面および/または外面54、55を有することができる。すなわち、スペーサプレート52は、厚さがスペーサプレート52の周辺に沿って最小になり、スペーサプレート52の中心で最大になるように構成することができる。たとえば、図5Gに示すように、エンドプレート45により燃料電池アセンブリ24の活性部分に対して全体的に均一な圧縮負荷が伝えられるように、スペーサプレート52の内面54は、スペーサプレート52から燃料電池アセンブリ24の上端部26に向かって延びるように起伏付けることができ、あるいは図5Eで分かるように、スペーサプレート52の外面55は、スペーサプレート52から上部エンドプレート45に向かって延びるように起伏付けることができる。別法として、図5Fで分かるように、燃料電池アセンブリ24の活性部分に対して全体的に均一な圧縮負荷が伝えられるように、スペーサプレート52の内面および外面54、55の両方がスペーサプレート52からそれぞれ燃料電池アセンブリ24の上端部26および上部エンドプレート45の内面46に向かって延びるように起伏付けることができる。
スペーサプレート52の内面および外面54、55およびエンドプレート45の内面46の形に関する様々な組み合わせが図5A〜Gに示されている。この上部エンドプレート45および/またはスペーサプレート52の表面の起伏形状は、燃料電池アセンブリ24の上部および下部端部26、28の両方が全体的に均一な圧縮負荷を受けるように、上部エンドプレート45のたわみだけでなく下部エンドプレート58のたわみも補償するように寸法決めすることができる。同様に、下部エンドアセンブリ34内の、下部エンドプレート58の内面60とスペーサプレート52の内面および外面54、55もまた、下部エンドアセンブリ34の各部品が燃料電池アセンブリ24の活性部分に対して全体的に均一な圧縮負荷が伝えるように、同じようにして起伏付ける、または形作ることができることを理解されたい。当業者は、燃料電池アセンブリ24の活性部分全体でより均一な圧縮負荷を得るために、内面46がその中に様々な局部的特徴を形成することができることを理解するであろう。したがって、上部エンドアセンブリ32の各部品および/または下部エンドアセンブリ34の各部品は、燃料電池アセンブリ24の活性部分に対して全体的に均一な圧縮負荷をかけるために、単独でまたは同時にその表面を起伏付けし、形作ることができることを理解されたい。さらに、各種の図に示された大きさは、例示のために誇張されていることを理解すべきであり、燃料電池スタック20の各部品を基準にした寸法になっていると解釈すべきではない。すなわち、エンドプレート45、58のたわみおよびエンドプレート45、58および/またはスペーサプレート52の各表面に形作ることによる補正は、本発明の原理をよりよく例示するために誇張されていることを理解されたい。燃料電池スタック20の種々の部品を説明するために使用されている上部および下部という用語は、絶対的な基準として解釈すべきではなく、むしろ燃料電池スタック20の各部品の相対的関係を与えるものと解釈すべきであることも理解されたい。
全体に矩形の構成であるとして燃料電池スタック20を説明、例示したが、燃料電池スタック20の形は多様な形状を取ることができるが、これらもやはり請求項によって規定したように本発明の範囲内であることを理解されたい。たとえば、燃料電池スタック20は円筒形にすることができ、上部および下部のエンドアセンブリ32、34に加えて燃料電池アセンブリ24もまた円筒形になるであろう。燃料電池スタック20が円筒形の場合、サイドプレート36は単一の円筒形スリーブにし、その中に上部および下部エンドアセンブリ32、34および燃料電池アセンブリ24を挿入することができる。サイドプレート36を円筒形スリーブの一部にし、これで燃料電池スタック20の各部品を囲うことも可能である。したがって、サイドプレートという用語は平らな板に限定されるべきではなく、ちらかと言えば、燃料電池スタック20の特定の形によって決まるように平らであるまたは湾曲しているまたは様々な形をとる可能性があるプレートと解釈すべきである。
前に述べたように、燃料電池スタック20は、燃料電池アセンブリ24をより効率的にするように圧縮負荷をかけて保持されている燃料電池アセンブリ24を有する。本発明は、圧縮負荷のもとで燃料電池アセンブリ24を有する燃料電池スタック20を作る様々な方法をさらに含んでいる。第1の方法、所定圧縮負荷法(Predetermined Compressive Load Method)においては、図9A、9Bおよび図11に示されるように、燃料電池アセンブリ24および/または燃料電池スタック20は、燃料電池アセンブリ24に対して所定の大きさFの内部圧縮負荷を生じる外部圧縮負荷で圧縮される。その後、サイドプレート36が上部および下部エンドプレート45、58に固定されて、外部圧縮負荷が燃料電池アセンブリ24および/または燃料電池スタック20から取り除かれた際に上部および下部エンドプレート45、58を一定の間隔をあけて保持する。以下においてより詳細に説明するように、外部圧縮負荷が取り除かれた後に上部および下部エンドプレート45、58が一定の間隔をあけて保持されるので、上部および下部エンドプレート45、58によって内部圧縮負荷が燃料電池アセンブリ24に付与されたまま残る。
第2の方法、所定圧縮距離法(Predetermined Compressive Distance Method)においては、図10A、10Bおよび図12に示されるように、燃料電池アセンブリ24および/または燃料電池スタック20は、外部圧縮負荷Cによって所定の距離Dだけ圧縮される。言い換えると、外部圧縮負荷は燃料電池アセンブリ24を所定の距離D圧縮するのに十分な大きさである。(以下においてより詳細に説明するように)その後、サイドプレート36が上部および下部エンドプレート45、58に取り付けられる。それから外部圧縮負荷が取り除かれる。上部および下部エンドプレート45、58は一定の間隔をあけたままである。燃料電池アセンブリ24は、一般に所定の距離D圧縮されたまま維持され燃料電池アセンブリ24に対して内部圧縮負荷を付与する。
上で述べたように、所定の大きさFの圧縮負荷のもとで燃料電池アセンブリ24を有する燃料電池スタック20を作る所定圧縮負荷法(Predetermined Compressive Load Method)は、燃料電池スタック20に外部圧縮負荷をかけることを含んでいる。この所定圧縮負荷法は、1)燃料電池アセンブリ24を、燃料電池アセンブリ24の上端部26が上部エンドプレート45に隣接し、燃料電池アセンブリ24の下端部28が下部エンドプレート58に隣接する状態で、上部および下部エンドプレート45、58の間に配置する工程と、2)燃料電池アセンブリ24が圧縮され、所定の大きさFの内部圧縮力を受けるようにエンドプレート45、58の少なくとも1つに外部圧縮力をかける工程と、3)サイドプレート36の第1および第2の端部72、74を上部および下部エンドプレート45、58にそれぞれ取り付けてサイドプレート36をエンドプレート45、58に取り付ける工程と、4)エンドプレート45、58の少なくとも1つにかけられた外部圧縮力を取り除き、これによって上部および下部エンドプレート45、58が一定の間隔をあけたまま残って燃料電池アセンブリ24に対して一般に所定の大きさFに等しい圧縮力を保持する工程とを含む。これにより所定圧縮負荷法は、燃料電池アセンブリ24に付与された、一般に所定の大きさFに等しい圧縮力を有する燃料電池スタック20を提供する。
対照的に、燃料電池スタック20を組み立てるのに所定圧縮距離法(Predetermined Compressive Distance Method)が用いられる場合は、燃料電池スタック20および/または燃料電池アセンブリ24は、所定の大きさFの圧縮力で圧縮されるのと反対に所定距離Dだけ圧縮される。所定距離Dの基準点は、燃料電池アセンブリ24自体の全長にすることができる。したがって、燃料電池アセンブリ24を所定距離D圧縮することだけさらに言及し、燃料電池スタック20の圧縮には言及しない。しかしながら、燃料電池アセンブリ24を所定距離D圧縮することは、燃料電池スタック20を所定距離D圧縮することによって行うこともできることを理解されたい。所定距離Dは、燃料電池スタック20の効率的な運転をもたらす燃料電池アセンブリ24への圧縮力の付加に対応することが好ましい。燃料電池アセンブリ24を圧縮する所定距離Dは種々様々なやり方で決定することができる。たとえば、所定距離Dは、以下においてより詳細に説明するように、燃料電池アセンブリ24を構成する各燃料電池22について一定距離圧縮するとして計算で求めることができ、あるいは数が知られた燃料電池22を有する燃料電池アセンブリ24を圧縮する場合について過去の経験の経験的データに基づいて求めることができる。所定距離Dがいったん決められると、燃料電池スタック20および/または燃料電池アセンブリ24が所定距離D圧縮されるように燃料電池スタック20に外部圧縮負荷がかけられる。その後、サイドプレート36が上部および下部エンドプレート45、58に固定され、外部圧縮負荷が取り除かれる。得られた燃料電池スタック20は、所定距離D圧縮され、燃料電池スタック20の効率的な運転に対応する内部圧縮負荷を有する燃料電池アセンブリ24を有する。
所定距離Dが計算に基づく場合(すなわち、各燃料電池について一定距離圧縮するとした場合)、各燃料電池22はある距離だけ圧縮される。燃料電池アセンブリ24を圧縮する所定距離Dは、燃料電池アセンブリ24内にある燃料電池22の数nに、各燃料電池22が圧縮される予定の一定距離dを掛けることによって計算することができる。式によって言い換えると、D=n×dである。各燃料電池22を圧縮する一定距離は、燃料電池アセンブリ24の効率的な運転をもたらすことに一般的に対応する大きさの、燃料電池22に対する圧縮力を与えるように選ばれる。すなわち、各燃料電池22が圧縮される予定の一定距離dは、燃料電池22の物性および燃料電池22が効率的に動作するのに必要な圧縮量に基礎をおいている。得られた燃料電池スタック20は、所定距離D圧縮され、燃料電池アセンブリ24の効率的な運転に対応する圧縮負荷を有する燃料電池アセンブリ24を有する。
経験的データに基づく場合、燃料電池アセンブリ24を圧縮する所定距離Dは、各燃料電池22を一定距離圧縮するのと反対に知られた圧縮負荷によって燃料電池アセンブリ24を圧縮する場合について過去の経験から決定することができる。得られた所定距離Dは両方の方法で同じになるかもしれない。燃料電池アセンブリ24を構成する燃料電池22の組成が全体に均一なので、各種の燃料電池22について、燃料電池22の数と、大きさが知られた圧縮力を燃料電池アセンブリ24が受ける場合に生じる燃料電池アセンブリ24および/または燃料電池スタック20の圧縮された距離との間で一般的な関係を設定することができる。燃料電池アセンブリ24に対して望ましい大きさの圧縮力を伝えるために燃料電池アセンブリ24を圧縮する所定距離Dを、燃料電池アセンブリ24を構成する燃料電池22の数に基づいて求めるのにこの関係を用いることができる。たとえば、経験的データによれは、50個の燃料電池および200個の燃料電池を有する各燃料電池アセンブリはそれぞれXおよび4Xの距離だけ圧縮され所望の大きさの圧縮力を伝えることが示される。100個の同様な燃料電池22で構成される燃料電池アセンブリ24を有する燃料電池スタック20は2Xの距離圧縮され、この関係に基づき燃料電池アセンブリ24に対して一般に同一の所望の大きさの圧縮力を伝えるはずである。
あるタイプの燃料電池22はどれもその組成においていくらかの違いがあるので、燃料電池アセンブリ24に対して伝えられた結果としての圧縮力は異なる可能性がある。得られた圧縮力の違いの量は相関関係の精度および燃料電池22のばらつきによって変わる。得られた圧縮力は、望ましい大きさぐらいの許容範囲内で変動する結果、その違いが燃料電池スタック20の効率に及ぼす影響は無視できるものであることが好ましい。これによって経験的データの方法は、燃料電池アセンブリ24が所定距離D圧縮された場合、燃料電池アセンブリ24の効率的運転に対応する所望の大きさに一般的に等しい圧縮力を受ける燃料電池アセンブリ24を有する燃料電池スタック20を提供する。
上で述べたように、スペーサプレート52は所定のまたは均一な長さLの燃料電池スタック20を形成するのに使用することもできる。すなわち、スペーサプレート52は、燃料電池スタック20が所定のまたは均一な長さLになるように空間を占めるために燃料電池スタック20で使用することができる。均一な長さLは多くの利点をもたらす。たとえば、均一な長さLによって、燃料電池スタックが簡単に入れ替えでき、燃料電池スタック20が用いられる装置が、燃料電池スタック20用の標準化された間隔を有すことが可能になる。
本発明は図13aおよび13bに示すように、均一な長さLを有する燃料電池スタック20に対して様々な組み立て順序を提供する。燃料電池スタック20の望ましい所定のまたは均一な長さLは、工業規格などの知られた長さか、または選ばれた長さのどちらも可能である。どちらの場合も、全体的な長さLは知られた量である。上部および下部エンドプレート45、58、燃料電池スタック20で使用される任意のターミナルプレート56、およびエンドアセンブリ32、34のその他任意の部品の厚さは測定することができ、それゆえ知られた量でもある。これらの知られた量/寸法に基づけば、燃料電池アセンブリ24が設置される燃料電池スタック20内の空間は計算することができ、したがって知られた量でもある。すなわち、燃料電池アセンブリ24が設置される燃料電池スタック20内の空間の長さは、燃料電池スタック20の所定のまたは均一な長さLから、エンドプレート45、58、任意のターミナルプレート56およびエンドアセンブリ32、34を構成するその他任意の部品の寸法を差し引いたものに等しい。唯一の知られていない寸法は、燃料電池アセンブリ24の圧縮された長さ30である。この燃料電池アセンブリ24の圧縮された長さ30は、上記したように、燃料電池スタック20を作るのに使用した方法および燃料電池アセンブリ24を構成する燃料電池22の数によって変わる可能性がある。
上で述べたように、スペーサプレート52は、一般に所定の大きさFに等しい圧縮負荷が燃料電池アセンブリ24に伝えられた状態で所定のまたは均一な長さLの燃料電池スタック20を作る所定圧縮負荷法の場合に使用することができる。これを行うために、1つまたは複数のスペーサプレート52を結合したときの必要な厚さを確認できるように燃料電池アセンブリ24の圧縮された長さ30または燃料電池スタック20の圧縮された長さ30を求める必要がある。
燃料電池アセンブリ24の圧縮された長さ30は、(1)図9Aで分かるように、所定の大きさFの内部圧縮負荷が得られるような外部圧縮負荷で燃料電池アセンブリ24を圧縮し、圧縮された長さ30を測定すること、または(2)図9Bで分かるように、燃料電池アセンブリ24に対して所定の大きさFの内部圧縮負荷が伝えられるように外部負荷で燃料電池スタック20を圧縮し、(A)燃料電池アセンブリ24の圧縮された長さ30を測定するか、または(B)燃料電池スタック20の圧縮された長さ30を測定し、エンドプレート45、58、ターミナルプレート56およびエンドアセンブリ32、34のその他任意の部品の知られた各寸法を差し引くことによって燃料電池アセンブリ24の圧縮された長さ30を計算することのどちらかによって求めることができる。燃料電池アセンブリ24の圧縮された長さ30がいったん決められると、燃料電池アセンブリ24または燃料電池スタック20から外部圧縮負荷を取り除くことができる。燃料電池アセンブリ24の圧縮された長さ30は、所定のまたは均一な長さLの燃料電池スタック20を作るためにスペーサプレート52を結合したときの必要な厚さを計算するのに用いられる。このスペーサプレート52を結合したときの必要な厚さは、(前に説明したように)燃料電池アセンブリ24が配置される予定の空間の長さと燃料電池アセンブリ24の圧縮された長さ30の差に等しい。したがって、スペーサプレート52を結合したときの必要な厚さが計算できる。
別法として、所定の大きさFの燃料電池アセンブリ24に対する内部圧縮負荷を有する燃料電池スタック20の圧縮された長さを用いることができる。燃料電池スタック20の圧縮された長さは、燃料電池アセンブリ24に対して所定の大きさFの内部圧縮負荷が伝えられるように外部圧縮負荷で燃料電池スタック20を圧縮し、その後、燃料電池スタック20の圧縮された長さを測定することによって求めることができる。次に、燃料電池スタックに対する外部圧縮負荷が取り除かれる。燃料電池スタック20の所定のまたは均一な長さLと燃料電池スタック20の測定された圧縮長さの差を計算する。この計算された差がスペーサプレート52を結合したときの必要な厚さになる。
スペーサプレート52を結合したときの必要な厚さがいったん求められると、必要な結合厚さを有する1つまたは複数のスペーサプレート52が選択される。選択されたスペーサプレート52が上部および/または下部エンドプレート45、58と燃料電池アセンブリ24の上部および/または下部端部26、28の間にそれぞれ配置される。スペーサプレート52を結合したときの必要な厚さが燃料電池アセンブリ24の長さ30と位置合わせされるようにスペーサプレート52を適応させる。燃料電池スタック20はその後、燃料電池スタック20が全体に所定のまたは均一な長さLになるように、燃料電池スタック20に外部圧縮負荷をかけて圧縮される。所定のまたは均一な長さLを有する燃料電池スタック20の得られた内部圧縮負荷は一般に所定の大きさFに等しくなるべきである。次にサイドプレート36が、上部および下部エンドプレート45、58が燃料電池スタック20を全体に所定のまたは均一な長さLに保持するように、上部および下部エンドプレート45、58に固定される。最後に、外部圧縮負荷が燃料電池スタック20から取り除かれる。燃料電池アセンブリ24が全体に所定の大きさFの圧縮力で圧縮されて、得られた燃料電池スタック20は一般に所定のまたは均一な長さLに等しい長さを有する。
燃料電池スタック20を作成する所定圧縮距離法(Predetermined Compressive Distance Method)もまた、所定のまたは均一な長さLの燃料電池スタック20を作るためにスペーサプレート52を用いることができる。スペーサプレート52の必要な結合厚さは、燃料電池スタック20にとって望ましい所定のまたは均一な長さL、燃料電池アセンブリ24の圧縮された長さ30、およびエンドアセンブリ32、34を構成する各部品の厚さに基づいている。燃料電池アセンブリ24の圧縮された長さ30は、燃料電池アセンブリ24の圧縮されてない長さ31から所定距離Dを差し引くことによって計算される。燃料電池スタック20の所定のまたは均一な長さLから、燃料電池アセンブリ24の圧縮された長さ30、エンドプレート45、58、ターミナルプレート56およびエンドアセンブリ32、34を構成するその他任意部品の各寸法を差し引いてスペーサプレート52の必要な結合厚さを得る。次に、スペーサプレート52の結合厚さが一般に必要な全体的厚さに等しくなるようにスペーサプレート52が選択される。その後、上で説明したように、選択されたスペーサプレート52が燃料電池スタック20に追加される。得られた燃料電池スタック20は一般に望ましい所定のまたは均一な長さL、全体に所定距離Dだけ圧縮された燃料電池アセンブリ24および燃料電池アセンブリ24の効率運転に対応する内部圧縮負荷を有する。
本明細書で「全体に、一般に(generally)」という副詞について用語が量を表現する場合は、説明される要因の大きさが望ましい大きさに対して許容範囲内にあることを意味していると理解されたい。
本発明の説明は例示的な性格のものに過ぎず、それゆえ、本発明の要旨から逸脱しない変形形態は本発明の範囲内に入るものである。このような変形形態は本発明の精神と範囲から逸脱するものとはみなされない。