JP2005519987A - 炭化水素の熱分解方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、オレフィンを製造する炭化水素の熱分解方法に係り、特に、水蒸気の存在下で、パラフィン系炭化水素を熱分解反応してオレフィンを製造する炭化水素の熱分解方法において、熱分解反応は、気孔直径が1μm〜5mmであり、孔隙率が10〜80%であり、比表面積が最大0.1m2/gである多孔性無機物が挿入又は充填された熱分解反応
管で行われる炭化水素の熱分解方法に関するものである。
本発明によれば、炭化水素の熱分解方法において炭化水素の熱分解反応管に多孔性無機物を挿入又は充填することにより、従来の熱分解方法に比べてオレフィンの収率を向上させることができ、連続操業期間を延長することができ、熱分解反応管の寿命を延長することができる。
管で行われる炭化水素の熱分解方法に関するものである。
本発明によれば、炭化水素の熱分解方法において炭化水素の熱分解反応管に多孔性無機物を挿入又は充填することにより、従来の熱分解方法に比べてオレフィンの収率を向上させることができ、連続操業期間を延長することができ、熱分解反応管の寿命を延長することができる。
Description
本発明は、オレフィン製造用炭化水素の熱分解工程に係り、より詳しくは、炭化水素の熱分解方法において熱分解管に多孔性の無機物を挿入又は充填することにより、既存の熱分解工程に比べてオレフィン収率を高くし、熱分解反応管の壁面に蓄積されるコークスの量を減らしてコークス除去周期を延長する効果があり、また、熱分解反応管の表面温度を既存の熱分解方法より低くして反応管の寿命を延長できる炭化水素熱分解方法に関するものである。
エチレン、プロピレンのようなオレフィン化合物は石油化学製品の重要な基礎原料である。これらオレフィン化合物は、パラフィン系炭化水素を主要成分とする天然ガス、ナフサ、軽油などを熱分解して製造する。
吸熱反応である炭化水素の熱分解反応は、通常バーナーで加熱される高温の分解管内で水蒸気の存在下で行われる。炭化水素熱分解反応では、オレフィンの収率を高めるために、反応温度は上げ、反応物の滞留時間は短く調節する。炭化水素の希釈剤として用いられる水蒸気はコークスを除去し、炭化水素の分圧を下げてオレフィンの選択度を向上させる役割を果たす。
通常の工業的工程での反応温度は、反応器の出口温度を基準にして約830℃であり、反応物の滞留時間は0.1〜0.2秒であり、水蒸気の流量は、重量比で炭化水素の流量の0.4〜0.7倍である。炭化水素の熱分解工程ではコークスが多量発生し、これは熱分解管の壁面に蓄積されて熱伝逹抵抗を増加させる。反応操業中にオレフィン収率を一定に維持するためには、反応器出口の温度を一定に維持しなければならないが、コークスの蓄積によって熱分解管の熱伝逹抵抗が増加すると、これを補償するために熱分解管の表面温度を徐々に上げなければならない。
通常の工業的熱分解の場合、操業初期の熱分解管の表面温度は約1000℃であり、コークスが熱分解管の壁面に蓄積されて分解管の表面温度が約1100℃に到達すれば操業を中断し、コークスを除去する。炭化水素の熱分解工程の連続操業日数は熱分解工程及び操業条件によって変わるが、普通30〜40日間連続して操業を行う。
前記炭化水素熱分解工程において、オレフィンの全生産性を高めるためにはオレフィンの収率を高めたり、熱分解反応工程の連続操業時間を延長しなければならず、そのための様々な方法が提案されてきた。
米国特許第4,342,642号は、熱分解反応管の内部に軸及び反応管内壁に接触又は近接する羽根で構成された挿入物を挿入して熱伝逹を向上させる方法を提案した。フランス特許第2,688,797号は、熱分解反応管の後端に軸方向に長い表面を有する挿入物を入れて熱伝逹を増大させ、乱流を発生させて熱分解反応管内での反応混合物を均一に加熱する方法を報告した。また、日本国特開平9−292191号は、熱分解反応管を通過する流体を混合できるようにピンが固定されたバーを、熱分解管軸に沿って配置する方法を提案した。
前記工程は共通的に、熱分解管内部に挿入物を配置して熱伝逹の効率を良くすることによってエチレン収率を向上する技術を提示しているが、挿入物の表面に生成されたコークスを除去する機能がなく、挿入物の内部体積や内部表面を分解反応に活用できない。
日本国特開平11−199876号は、熱分解反応管の内壁に螺旋状の突起を形成した新たな熱分解管を提案した。熱分解反応管内部の螺旋状の突起は、流体の流れが分解管の内壁近くで停滞することを除去して、分解管の内壁近くでの流体の過度な加熱を防止することによりコークス発生量を減少させる。しかし、前記方法は、熱分解管に蓄積されたコークスの除去周期を延長する効果はあるが、エチレン収率向上の効果はほとんどない。
一方、炭化水素の熱分解反応においてエチレン及びプロピレンの収率を向上させる方法として、触媒を用いた分解工程が提案された。米国特許第3,872,179号は、ジルコニア触媒にアルカリ金属酸化物を添加した触媒を開示し、ロシア特許第1,011,236号は、アルミナ担体にホウ素酸化物で支持されたバナジン酸カリウム触媒を開示した。しかし、前記工程等の触媒はコークスを除去する機能はあるが、触媒の特性上、コークスの除去時に発生するCOxの濃度が高く、触媒層で圧力低下が大きくなる。COxの発生濃度が高かったり反応器に圧力低下が大きくなると工程の操業費用が大きく増加し、工程操業上の多様な問題点を招く。
本発明は前記従来技術の問題点を考慮してなされたものであり、既存の熱分解工程に比べてエチレンとプロピレン、ブタジエンなどのオレフィン収率を高めると同時に、連続操業日数を延長することができる新たな炭化水素熱分解工程を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、熱分解管の寿命を延長することができる炭化水素の熱分解工程を提供することにある。
前記目的を達成するために本発明は、水蒸気の存在下で、パラフィン系炭化水素を熱分解してオレフィンを製造する炭化水素の熱分解方法において、前記熱分解反応は、気孔直径が1μm〜5mmであり、孔隙率が10〜80%であり、比表面積が最大0.1m2/
gである多孔性無機物が挿入又は充填された熱分解反応管で行われる炭化水素の熱分解方法を提供する。
gである多孔性無機物が挿入又は充填された熱分解反応管で行われる炭化水素の熱分解方法を提供する。
本発明によれば、炭化水素の熱分解方法において炭化水素の熱分解反応管に多孔性無機物を挿入又は充填することにより従来の熱分解方法に比べてオレフィンの収率を向上させることができ、連続操業期間を延長することができ、熱分解反応管の寿命を延長することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、炭化水素熱分解反応で通常用いられる、中空の管形態の熱分解反応管の内部に多孔性無機物を挿入したり、又は一列に充填する新規の炭化水素の熱分解方法を提供する。
本発明は、炭化水素熱分解反応で通常用いられる、中空の管形態の熱分解反応管の内部に多孔性無機物を挿入したり、又は一列に充填する新規の炭化水素の熱分解方法を提供する。
前記炭化水素の熱分解反応は、パラフィン系炭化水素を主成分とする天然ガス、ナフサ、軽油などを原料として用いて水蒸気の存在下で熱分解して、エチレン、プロピレン、ブタジエンのようなオレフィン化合物を製造する反応である。
本発明は、熱分解反応管に多孔性無機物を挿入又は充填することにより、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン収率を向上させることができる。つまり、本発明
によれば、挿入物あるいは充填物が熱伝逹媒体として作用して炭化水素の加熱を容易にし、炭化水素を均一に混合することによって炭化水素の熱分解転換率を向上させることができる。また、多孔性の挿入物は巨大気孔を含んでいるが、これら巨大気孔は直径の小さい熱分解反応管として作用し、炭化水素を効率的に熱分解させることによってオレフィン収率を向上させる。
によれば、挿入物あるいは充填物が熱伝逹媒体として作用して炭化水素の加熱を容易にし、炭化水素を均一に混合することによって炭化水素の熱分解転換率を向上させることができる。また、多孔性の挿入物は巨大気孔を含んでいるが、これら巨大気孔は直径の小さい熱分解反応管として作用し、炭化水素を効率的に熱分解させることによってオレフィン収率を向上させる。
また、本発明によれば、熱分解管の表面温度を既存の熱分解管の温度より低い状態に維持しながら操業が可能であるので、熱分解管の内部表面に生成される表面コークス(surface coke)の生成速度を遅延することができる。そして、熱分解管の内部に挿入された
挿入物は、熱分解管内部の壁面に蓄積される気体状の熱分解コークスを集める役割を果たし、熱分解管の壁面のコークス付着を減少して熱分解管の熱伝逹効率を良好に維持する役割を果たす。したがって、本発明によれば、炭化水素の熱分解管内部の壁面に蓄積されたコークスによって発生する熱分解管壁面の温度の上昇を大きく減少させることができるので、連続操業期間を延長できる効果がある。
挿入物は、熱分解管内部の壁面に蓄積される気体状の熱分解コークスを集める役割を果たし、熱分解管の壁面のコークス付着を減少して熱分解管の熱伝逹効率を良好に維持する役割を果たす。したがって、本発明によれば、炭化水素の熱分解管内部の壁面に蓄積されたコークスによって発生する熱分解管壁面の温度の上昇を大きく減少させることができるので、連続操業期間を延長できる効果がある。
前記炭化水素の熱分解反応が進められる間、挿入物に蓄積されたコークスは、挿入物の表面にコーティングされた化合物の作用によりCOあるいはCO2となって除去され、一
部除去されずに蓄積されたコークスは、コークス取出し(decoking)の時に除去される。本発明は、熱分解管の壁面で発生する表面コークスに比べて挿入物に蓄積されたコークスの除去が容易であるという長所もある。
部除去されずに蓄積されたコークスは、コークス取出し(decoking)の時に除去される。本発明は、熱分解管の壁面で発生する表面コークスに比べて挿入物に蓄積されたコークスの除去が容易であるという長所もある。
このような本発明の熱分解管に挿入又は充填される多孔性無機物は、高温に耐えられる気密質又は多孔性材質の耐熱性酸化物を用いるのが好ましい。前記耐熱性酸化物は、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム及びこれらの混合物からなる群より1種以上選択されるものを用いることができる。
前記多孔性無機物は、気孔の直径が1μm〜5mmであり、孔隙率が10〜80%であり、最大比表面積が0.1m2/gであることが好ましい。前記気孔の直径が1μm未満
であると、コーキングによる気孔詰り(pore blocking)が速く進められるために気孔内部での炭化水素分解反応が制限され、5mmを超えると、多孔性無機物の強度が弱くなる。また、前記孔隙率が10%未満であると、炭化水素分解反応が起こる無機物内部の反応体積の減少により、エチレン収率の向上効果が低下し、80%を超えると、多孔性無機物の強度が弱くなる。また、比表面積は、前記範囲を外れるとコークスの生成量が増加し、これはCO、CO2の量が増加する原因となる。
であると、コーキングによる気孔詰り(pore blocking)が速く進められるために気孔内部での炭化水素分解反応が制限され、5mmを超えると、多孔性無機物の強度が弱くなる。また、前記孔隙率が10%未満であると、炭化水素分解反応が起こる無機物内部の反応体積の減少により、エチレン収率の向上効果が低下し、80%を超えると、多孔性無機物の強度が弱くなる。また、比表面積は、前記範囲を外れるとコークスの生成量が増加し、これはCO、CO2の量が増加する原因となる。
また、本発明は、多孔性無機物の表面をアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の化合物でコーティングすれば、コークス蓄積を減らし、コークスの除去をより容易にできる。前記アルカリ金属化合物は、ナトリウム化合物とカリウム化合物を含み、より好ましくは、KVO3、K2CO3、KBO2、KWO3、KNbO3、K2SO4及びこれらの混合物からなる群より1種以上選択される化合物である。
熱分解反応管の挿入物又は充填物の形態は、充填体、内部を長さ方向に分割する配分体、又はこれらの混合体であるのが好ましい。
前記充填体は、中空の管形態(図1a);円柱形態(図1b);ラシッヒ環(Raschig
ring)、又はレッシング環(Lessing ring)、ポール環(Pall ring)などのような環形態(図1c)であるのが好ましい。
前記充填体は、中空の管形態(図1a);円柱形態(図1b);ラシッヒ環(Raschig
ring)、又はレッシング環(Lessing ring)、ポール環(Pall ring)などのような環形態(図1c)であるのが好ましい。
前記配分体は、熱分解管の断面を3等分、4等分、5等分に均等分割する形態(図1d);又は熱分解管の断面を非均等分割する形態(図1e)を含む。
本発明は前記形態を組み合わせた混合形態(図1f)であるのが好ましい。
本発明は前記形態を組み合わせた混合形態(図1f)であるのが好ましい。
この時、前記均等分割の形態は、それらが相互に接触する一側縁から他側縁までの距離が同一である複数のブレードで構成されて、通過する炭化水素と水蒸気との反応混合物を均等分割できるようにするのが好ましい。また、前記非均等分割される形態は、相互接触する一側縁から他側縁までの距離が同一であるか又は一部異なる複数のブレードで構成されて、通過する炭化水素と水蒸気との反応混合物を非均等分割できるようにするのが好ましい。
熱分解管中に充填される挿入物の数は、その長さによって一つあるいはそれ以上の個数であり、場合によっては数十個〜数百個に分割されて熱分解管に一列に充填される。前記エチレン収率を向上させるためには、挿入物が単一物形態であるよりは長さ方向に分割された形態が好ましい。
数十あるいは数百個の固体挿入物を熱分解管内部に充填する場合には、挿入物が提供する表面の方向が熱分解管の半径方向と平行するようにするのが好ましい。この時、挿入物の表面の方向は接平面に対して垂直方向であると定義する。また、管形態の挿入物の場合、管に複数の穴をあけて管形態の挿入物の内側と外側との間で流体が混合されるようにするのが好ましい。また、熱分解管の断面を3等分、4等分、5等分に均等分割したり又は非均等分割する配分体を熱分解管に一列に充填する場合において、分割断面が互いに交差するように充填するのが好ましく、この場合には、反応管内部での反応混合物の流れが混合と分離とを繰り返すことによってより均一に行われる効果がある。
また、半径が“R”である熱分解管に管形態の挿入物を挿入する場合、管形態の挿入物の内半径及び外半径は、下記の数式1及び2のような規格を有する(図2)。
前記数式1及び2において、r1は管形態の挿入物の内半径であり、r2は管形態の挿入物の外半径であり、Rは熱分解管の半径である。
この時、r1=0である場合は円柱形態の挿入物に該当し、ラシッヒ環、レッシング環、ポール環のような環形態の挿入物を充填する場合にも内半径及び外半径は前記数式1及び2の規格に従う。
この時、r1=0である場合は円柱形態の挿入物に該当し、ラシッヒ環、レッシング環、ポール環のような環形態の挿入物を充填する場合にも内半径及び外半径は前記数式1及び2の規格に従う。
本発明において、挿入物は、熱分解管の長さ方向に沿って全体あるいは一部にだけ挿入あるいは充填される。熱分解管が入口管と出口管とに区分されるU字型形態である場合の充填方法としては、入口管にだけ充填する方法、出口管にだけ充填する方法、入口管と出口管の全てに充填する方法、及びその他の方法として入口管あるいは出口管のうちの一部にだけ充填する方法などがある。また、入口管と出口管の直径が異なる場合には、前記数式1及び2に合う規格の挿入物を充填する。この時、挿入物を挿入した後の熱分解管内部の体積の減少は5〜30の体積%の範囲内に制限するのが好ましく、また、挿入物による熱分解管断面積の減少も5〜30体積%以内に制限するのが好ましい。
前記挿入物を熱分解管に充填するにおいて、場合によっては挿入物を支持できる支持台
を熱分解管内部に設置しなければならないが、この時の支持台の開口率は0.5以上に維持するのが好ましい。前記支持台は、熱分解管に直接溶接して固定したり、分解管内部に突起を溶接してその上に支持台を乗せて設置する。また、熱分解管がマニホールドによって連結されるU字型であり、入口管あるいは出口管の一つ以上に対して充填する場合には、支持台なしで挿入物を充填する方法を用いることができ、この場合には支持台の設置によって発生する圧力降下を除去できる。
を熱分解管内部に設置しなければならないが、この時の支持台の開口率は0.5以上に維持するのが好ましい。前記支持台は、熱分解管に直接溶接して固定したり、分解管内部に突起を溶接してその上に支持台を乗せて設置する。また、熱分解管がマニホールドによって連結されるU字型であり、入口管あるいは出口管の一つ以上に対して充填する場合には、支持台なしで挿入物を充填する方法を用いることができ、この場合には支持台の設置によって発生する圧力降下を除去できる。
本発明の炭化水素熱分解方法は通常の水蒸気熱分解方法の条件下で行う。例えば、反応温度は600〜1000℃、水蒸気/炭化水素の比率0.3〜1.0、炭化水素の空間速
度(LHSV:Liquid Hourly Space Velocity)は1〜20hr-1の条件下で水蒸気
熱分解反応を実施してオレフィンを製造することができる。
度(LHSV:Liquid Hourly Space Velocity)は1〜20hr-1の条件下で水蒸気
熱分解反応を実施してオレフィンを製造することができる。
このように、本発明によれば、既存の熱分解工程に比べて高収率のエチレン、プロピレン及びブタジエンが得られ、熱分解管の表面温度を数十度低くすることができ、特に、反応中に熱分解管の内壁に付着するコークスを減らすことによりコークス除去周期を延長することができる。
以下の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。但し、実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明がこれらに限定されるわけではない。
[実施例]
実施例1−1乃至1−6及び比較例1
本発明の実施例で用いられた炭化水素はナフサであり、その組成及び性質は下記表1に示した通りである。
[実施例]
実施例1−1乃至1−6及び比較例1
本発明の実施例で用いられた炭化水素はナフサであり、その組成及び性質は下記表1に示した通りである。
反応物のナフサと水は定量ポンプで反応装置に注入し、この時のナフサと水の注入比率は、重量比で2:1になるようにし、ナフサの流量は、空間速度(LHSV)が10になるように調節した。反応装置に注入されたナフサと水は、各々気化器を経て混合され、550℃に加熱される1次予熱器を通過した後、650℃に加熱される2次予熱器を経て熱分解反応管に注入した。この時、熱分解反応管は、三つの区域で構成された電気炉によって880℃まで加熱し、2次予熱器を経た水蒸気−ナフサ混合物は、熱分解反応管を通過しながら熱分解反応を起こした。熱分解反応管を通過した反応生成物は直列に連結された2つの凝縮器を通過する間、水と重油に凝縮されて液相に分離され、残りの気相混合物は、オンラインに連結されたガスクロマトグラフで分析された後、排出された。
本発明で用いたエチレンの収率は、下記の数式3により計算し、他の生成物の収率も同様な方法で計算した。
下記の表2には、ナフサの熱分解反応において熱分解反応管に固体物質を充填していない純粋な熱分解の結果(比較例1)と、酸化物AとBを熱分解反応管に充填した場合の熱分解の結果(実施例1−1及び1−2)とを比較して示した。酸化物Aは、直径が5mmである気密質のアルミナボール、酸化物Bは、直径が5mmである多孔性のアルミナボールを用いて、熱分解反応管に一列にジグザグな形態に充填した。酸化物AとBの充填高さは各々60cmとした。
ナフサの熱分解を熱分解反応管に挿入物として石英管を用いた場合(実施例1−3)と、石英管を切断して作った石英環を用いた場合(実施例1−4)とについてそれぞれ実施し、その結果を下記の表3に示した。熱分解管に挿入した石英管は、外径が6mm、長さが17cmであり、石英環は外径が6mm、高さが1cmである環形態であって熱分解反応管に一列に充填し、充填した高さは17cmである。
ナフサの熱分解を熱分解反応管に充填物としてα−アルミナを用いた場合(実施例1−5)とKVO5がコーティングされたα−アルミナを用いた場合(実施例1−6)につい
てそれぞれ実施して、各々の場合で充填物に蓄積されたコークスの量を比較して下記の表4に示した。熱分解管に充填物として用いたα−アルミナ及びKVO5がコーティングさ
れたα−アルミナは共に、直径が5mmである球形多孔性のα−アルミナである。この時、熱分解管に一列にジグザグな形態に充填した各充填物の高さは17cmである。
てそれぞれ実施して、各々の場合で充填物に蓄積されたコークスの量を比較して下記の表4に示した。熱分解管に充填物として用いたα−アルミナ及びKVO5がコーティングさ
れたα−アルミナは共に、直径が5mmである球形多孔性のα−アルミナである。この時、熱分解管に一列にジグザグな形態に充填した各充填物の高さは17cmである。
実施例2−1乃至2−3及び比較例2−1乃至2−2
パイロット(Pilot)規模の反応器でナフサの熱分解を行った。反応物であるナフサは
気化して反応装置に供給し、水蒸気は、ユーティリティーに供給される水蒸気を反応装置に注入した。ナフサの流量は50kg/hrに、定量ポンプで調節し、730℃に加熱さ
た気化器を通過する間に300℃まで昇温した。気化したナフサは、210℃の水蒸気(水蒸気流量は25kg/hr)と混合されて予熱器に送られ、ナフサ−水蒸気混合物は9
50℃の予熱器を通過する間に650℃まで昇温して熱分解反応管に注入された。熱分解反応管は、内径が57mm、長さが3mであり、熱分解反応管は5区域で構成された電気炉によって加熱され、電気炉の温度は均一に調節された。
パイロット(Pilot)規模の反応器でナフサの熱分解を行った。反応物であるナフサは
気化して反応装置に供給し、水蒸気は、ユーティリティーに供給される水蒸気を反応装置に注入した。ナフサの流量は50kg/hrに、定量ポンプで調節し、730℃に加熱さ
た気化器を通過する間に300℃まで昇温した。気化したナフサは、210℃の水蒸気(水蒸気流量は25kg/hr)と混合されて予熱器に送られ、ナフサ−水蒸気混合物は9
50℃の予熱器を通過する間に650℃まで昇温して熱分解反応管に注入された。熱分解反応管は、内径が57mm、長さが3mであり、熱分解反応管は5区域で構成された電気炉によって加熱され、電気炉の温度は均一に調節された。
電気炉の温度は1000〜1100℃に調節し、この電気炉によって加熱される熱分解反応管をナフサ−水蒸気混合物が通過しながら熱分解反応が起こった。熱分解反応管を通過した生成物は水蒸気に冷却され、気相と液相の混合物に分離されて処理された。熱分解管から出る反応生成物の一部は試料採取ラインに注入され、冷却器を経て気体と液体混合物に分離された後、このうち気体混合物はオンラインに連結されたGCで分析し、液体混合物中のオイル成分は漏斗の分離器で分離して、オフラインGCで分析した。
熱分解を前記工程と同一な条件(ナフサ及び水蒸気流量、反応器出口の温度が同一な条件)で行い、既存の純粋な熱分解(比較例2−1)と本発明の熱分解の結果(実施例2−1)とを下記の表5に比較して示した。比較例2−1の純粋な熱分解は、反応管に挿入物を入れずにナフサの熱分解を行い、実施例2−1は、熱分解管の内部にKVO5、B2O5
、Fe2O3でコーティングされた多孔性のアルミナラシッヒ環(外径32mm、高さ32mm、厚さ5mm)を一列に3mの高さに充填して、ナフサの熱分解を行った。
、Fe2O3でコーティングされた多孔性のアルミナラシッヒ環(外径32mm、高さ32mm、厚さ5mm)を一列に3mの高さに充填して、ナフサの熱分解を行った。
前記表5から見れば、純粋な熱分解(比較例2−1)と本発明の熱分解(実施例2−1)とでナフサの熱分解を行うにおいて、反応器出口の温度が同一な条件であっても、各々の熱分解管の表面温度は差があった。
下記の表6には、純粋な熱分解(比較例2−2)と本発明の熱分解(実施例2−2)とでナフサを熱分解する際の反応器出口の温度(COT、Coil Outlet Temperature)を8
20〜850℃に調節する場合、熱分解管の表面温度を比較して示した。
20〜850℃に調節する場合、熱分解管の表面温度を比較して示した。
KVO5−B2O5−Fe2O3でコーティングされた32mmアルミナ環を3mの高さに
熱分解管に一列に充填した後、ナフサ熱分解反応を40日間連続して実施した(実施例2−3)。その結果を図3及び図4に示した。炭化水素の熱分解工程は前述と同一であり、連続操業する間にCOT(反応器出口の温度)が850℃に維持されるように電気炉の温度を調節した。図3は、40日間ナフサの熱分解を行う間、メタン、エチレン、プロピレン、ブタジエンの収率の変化を示したものであり、図4は、40日間ナフサの熱分解を行う間、前記アルミナ環が充填された熱分解管にかかる圧力低下(Δp)と熱分解管表面温度の変化とを示したものである。
熱分解管に一列に充填した後、ナフサ熱分解反応を40日間連続して実施した(実施例2−3)。その結果を図3及び図4に示した。炭化水素の熱分解工程は前述と同一であり、連続操業する間にCOT(反応器出口の温度)が850℃に維持されるように電気炉の温度を調節した。図3は、40日間ナフサの熱分解を行う間、メタン、エチレン、プロピレン、ブタジエンの収率の変化を示したものであり、図4は、40日間ナフサの熱分解を行う間、前記アルミナ環が充填された熱分解管にかかる圧力低下(Δp)と熱分解管表面温度の変化とを示したものである。
図3及び図4の結果より分かるように、実施例2−3の場合、多孔性無機物を熱分解反応管に充填することにより、オレフィン収率が向上した。
Claims (9)
- 水蒸気の存在下で、パラフィン系炭化水素を熱分解反応してオレフィンを製造する炭化水素の熱分解方法において、
前記熱分解反応は、気孔の直径が1μm〜5mmであり、孔隙率が10〜80%であり、比表面積が最大0.1m2/gである多孔性無機物が挿入又は充填された熱分解反応管
で行われる炭化水素の熱分解工程。 - 前記多孔性無機物は、5乃至30体積%の量で挿入又は充填される、請求項1に記載の炭化水素の熱分解方法。
- 前記多孔性無機物は、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化鉄、及び酸化ジルコニウムからなる群より1種以上選択される、請求項1に記載の炭化水素の熱分解方法。
- 前記多孔性無機物は、熱分解反応管の一部又は全体に一列状に挿入又は充填される、請求項1に記載の炭化水素の熱分解方法。
- 前記多孔性無機物は、KVO3、K2CO3、KBO2、KWO3、KNbO3、K2SO4及びこれらの混合物らなる群より選択されるアルカリ化合物でコーティングされる、請求項1に記載の炭化水素の熱分解方法。
- 前記挿入物又は充填物は、充填体、反応管の内部を長さ方向に分割する配分体、又はこれらの混合体である、請求項1に記載の炭化水素の熱分解工方法。
- 前記充填体は、中空の管形態、円柱形態又は環形態である、請求項6に記載の炭化水素の熱分解方法。
- 前記配分体は、それらが相互に接触する一側縁から他側縁までの距離が同一である複数のブレードで構成されて、通過する炭化水素と水蒸気との反応混合物を均等分割できるようにする均等配分体である、請求項6に記載の炭化水素の熱分解方法。
- 前記配分体は、それらが相互に接触する一側縁から他側縁までの距離が同一であるか又は一部異なる複数のブレードで構成されて、通過する炭化水素と水蒸気との反応混合物を非均等分割できるようにする非均等配分体である、請求項6に記載の炭化水素の熱分解方法。
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