JP2005519640A - レセプター捕捉アッセイ - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、分析物や転写因子活性を測定するための迅速かつ高感度な、そして信頼性があり、経済的にも優れた方法並びにアッセイ法を提供すること。
【解決手段】 本発明の分析物や転写因子活性を測定する方法並びにアッセイ法は、核酸−トレーサーを増幅せしめ、次に増幅せしめた生成物を測定に付することに基礎を置いたものであって、該増幅せしめられた生成物が究極的に分析音転写因子活性の存在と関連を有するということに基礎を置いたものである。

Description

本発明は、分析物と病原性生体物質を測定するための迅速かつ高感度な方法に関する。
一般的に、毒物学の原理として、同類の毒性作用物質の症状は、生物学的に関連のある経路を経て効果を及ぼすということが良く知られている。そして、毒性物質を検出するために効果のある機構を利用し、バイオマーカーを識別できる生物分析法の開発が数多く試みられてきた。バイオマーカーは、多様な病状や障害を暗示するのと同様に、環境中で非意図的又は意図的に毒性物質に被爆されていることを暗示する。
世界中で化学工業がこの一世紀あるいはそれ以上にわたっての急速な発展の後、工業的に多種類の毒性物質が製造され、環境中に放出されている。たとえば、塩素化炭化水素化合物や類似構造のハロゲン化有機化合物は人に有害な毒性汚染物質である。また、それらは環境中に残留し、食物連鎖により蓄積する。これらには、ダイオキシン類、フラン類、ポリクロロビフェニル類(PCB)、DDT、これらの類似化合物や誘導体が含まれる。これらのタイプの毒性物質は、人類と動物にとって、ガンの発病、発育の遅れ、免疫抑制、様々な外胚葉性形成異常などの医学的な問題の主な原因であることが知られている。たとえば、一般的な人は食物摂取により低濃度のダイオキシン類に慢性的に被爆していることが報告されている。
ダイオキシン類とPCBは、分解しにくく、植物や人類を含む動物の脂肪や油中に蓄積し、工業や環境に重大な危害をもたらす。食品中に存在するダイオキシン類とPCBについてアルコックらがケモスフェア,1998 37:1457-1472に報告しており、動物飼料についてバーナードらがネイチャー,1999 401:231-232に報告している。ダイオキシン類とPCBの被爆は動物や人に種々の毒物学的及び生物学的な影響をもたらしている。これらとしては、免疫抑制、好ましくない酵素活性の誘発、腫瘍の発生、肝臓毒性、生殖毒性や発達毒性があげられる。最近では、1gのダイオキシン類と50kgのPCBが食物連鎖を引き起こした1999年のベルギーでの事件など、いくつかの事故によるPCBとダイオキシン類の食物中毒が発生している。
環境汚染に対応するためには、このような毒性物質を検出し定量するための効果的な方法が必要である。現在利用できる技術は一般に費用と時間がかかる。たとえば、従来の高分解能ガスクロマトグラフィー質量分析計(GC/MS)を用いる方法では、血清の測定で1200〜2000ドル、土壌の測定で800〜1500ドルかかり、結果がでるまでにかかる時間は分析の複雑さによる。個々のダイオキシン異性体の濃度はGC/MSで測定しなければならず、さらに指定されたTEF値を用いてTEQが算出される(クレメント、アナリティカル ケミストリー 1991 63:1130A-1139A 参照)。これらは、人や食物、環境サンプルを日常管理するためのコストとしては、極めて高いものである。
ダイオキシン類、PCB、DDT、多くの環境中の毒性物質を迅速かつ安価に分析するために開発されている方法は、特異性を持つ抗体が選択的な結合性をもつことを基礎にしている。あるタイプの免疫測定法は、抗体を用いて特定の毒性物質と選択的に結合する原理に基づいている。たとえば、アルブロらによる米国特許第4,238,472号明細書では、(TCDDを含む)ダイオキシン類の放射線免疫測定法について示されており、米国特許第5,429,925号明細書と同第5,674,697号明細書にはダイオキシン類のELISAが示されている。すべての免疫測定法は、定性や定量の誤差を減少させるために対象分子に対して高い抗原特異性を持つことを基礎にしている。この技術の限界は、多くの物質の中から少数の同類物質を認識しかつ認識される同類物質の相対的な毒性の強さを識別できる抗体を作製することが極めて困難なことである。
ダイオキシン類の毒性強度は様々な化学的性質や分子構造に関連しており、これは化合物が細胞内にあるアリールハイドロカーボン(Ah)レセプター(またはAhR)との結合性に依存していると報告されている。Ahレセプターのリガンドとなる化合物はダイオキシン類の毒性を持つことが必要であり、これらの化合物の毒性強度は、リガンドと結合した後に化合物がレセプターをDNA結合型へ形質転換させる促進力によって決まる。Ahレセプターの形質転換では、1つ以上のシャペロニンHSP90分子を含有しているタンパク質複合体から不活性化レセプターが解離すること、次にHSP90解離Ahレセプター+結合したダイオキシンと細胞核内タンパク質であるアリールハイドロカーボンレセプター細胞核内トランスロケーター(低酸素症誘導ファクター1ベータとして知られているARNT)とを含有する新たな複合体が形成すること、そして特異的なDNA配列とAhレセプター/ARNT複合体が結合することを包含している一連の現象が生じる。ダイオキシン型の化合物にとって、これらの特異的DNA配列又は分子は、ダイオキシン応答性因子(DREs)であり、最も多く研究されているP4501AI遺伝子上端のプロモーター領域に位置している。形質転換したAhレセプターとDREsに結合したタンパク質が結合すると、結合した遺伝子の転写を増強する。
その他に、迅速かつ高感度な検出方法は、アメリカ合衆国や同盟国に対する化学物質や感染性物質を用いるテロ行為の脅威と関連して利用される。テロ行為は予想ができず、対抗手段として、迅速に検出でき、正確に診断でき、かつ被爆した人々をすばやく処置できる新しい方法の開発を具現化しなければならない(クラウディオ,エンバイロメンタル ヘルス パースペクティブ 2001 109:A529-A536)。
化学兵器用の化合物や生物兵器用の生物、生物兵器から産生される毒性物質は、検出されないように改良されていく危険性があるため、高感度で迅速な検出方法を準備することはより困難となっている。このように毒性物質や感染物質は、抗体やDNAを用いる従来の原理の試験法では検出をできないように改良されるだろう。さらに、生物兵器用生物の感染活性は、現在利用可能な検出システムでは検出できないような濃度でも毒性が発揮されるように性能を増強されるかもしれない。いずれにしても、毒性物質や毒薬を同定するための現在の方法は、面倒なサンプル前処理と高機能の装置が必要である。そのため、脅威への対応が遅れて悲惨な結果をもたらしたり、不十分な情報のため適切な対応ができなかったりする。一方で、毒性物質により活性化される共通の発病経路に照準を合わせて検出可能な新規の分析法を開発することが課題とされている。化学的及び生物的性質を変化させても、これらの毒性物質が病原性を引き起こす経路が変わらない場合がしばしばある。
細胞レベルで毒性が発現される生化学的な原理を活用して、これら毒性物質が有害な機能を発現することが知られているバイオマーカーをモニタリングに使うことが可能である。
生物的テロや化学的テロが起きる状況で、人類に脅威となる多くの毒性物質が存在する。たとえば、炭疽菌(バチルス アンスラシス)は強い毒性物質であり、とても丈夫で非常に長い間生存できる胞子を形成する。炭疽菌の胞子を吸入した後、病気はすぐに悪化し、対処する間もなくせいぜい数日で死にいたる。したがって、早期に検出と判別ができるよう診断することが重要である。しかし、これまで、病状の早期に炭疽菌の吸入を診断することができる信頼性のあるスクリーニング検査薬はなかった(レインら、ネイチャー メディスン 2001 7:1271-1273)。
特に、インフルエンザに似た症状を示す他の病気と炭疽菌吸入の兆候を区別することは困難である。何百万ものインフルエンザやインフルエンザに似たケースが毎年報告される。個々の患者のインフルエンザを診断するために迅速なインフルエンザテストを臨床使用することには限界がある。なぜなら、インフルエンザの迅速テストの感度は比較的低く、したがって、インフルエンザにかかった多くの人は検出されていない(レインとファウチ、ジャマ 2001 286:2595-2597)のである。
迅速で高感度な検出方法は、他に、内分泌撹乱物質として知られている化合物群に対して応用できる。これらの化合物は、人類や野生生物に有害な影響を及ぼすためしばらくの間関心がもたれていた。環境化学物質である内分泌撹乱物質は、自然ホルモンの擬似物質であり、ホルモンの作用を阻害するか、免疫、神経、内分泌系の正常な調節機能を変化させると考えられていた。研究者は、25年以上前から、環境化学物質のエストロゲン作用についての懸念を表明している。
最近の大きな科学的関心事は、ホルモンに感受性が高いレセプター部位で起きる病気や機能障害が、乳房や子宮、精巣などの様々な異常に共通していることを示す報告が増加していることである。極微量(アメリカ癌学会が安全と考える量の50分の一)のエストロゲン投与でも著しいホルモンの変化をもたらすことが知られている。環境中の内分泌撹乱物質に関連していると考えられている影響は、女性の乳癌や子宮内膜症、男性の睾丸癌や前立腺癌、子供の異常性発達、オスの減少、下垂体と甲状腺機能の変性、免疫抑制、神経行動学的な作用である(コルボーンら、1993 エンバイロン ヘルス パースペクト 101:378-384)。最近の報告では、環境中に放出されたDDT、ダイオキシン、農薬などの多くの化学物質がいろいろな水生生物と野生生物の正常な内分泌機能を混乱させていることが示されている。これらは、魚類や鳥類の甲状腺の異常機能と発育、貝類、魚類、鳥類、爬虫類、哺乳類の受精率の減少、鳥類と哺乳類の免疫と行動機能の変性に影響している。
体内の自然ホルモンは恒常性、再生産、発生、作用の維持を担っているが、環境中の内分泌またはホルモン撹乱物質は体内の自然ホルモンの合成、分泌、変化、結合、活性、排泄を妨害する外因性の物質と定義される。重要なことは、内分泌撹乱物質が環境中のエストロゲンより多く含まれていることに注目されることである。内分泌模倣化合物はいろいろなレセプターを標的にしており、性ステロイド、副腎ステロイド、甲状腺ホルモン、ビタミンD、レチノイン酸を模倣できる化学物質があげられる。
環境中の内分泌撹乱物質は、ホルモンの生成、蓄積と放出、移動と排泄、レセプターの認識と結合、レセプターに対する活性等を変えてしまうことによってホルモンに影響する能力を持っている。更に、生物にとって重要な年代において、その被爆する量、体への負荷、タイミング、持続期間といったものは、内分泌撹乱の潜在的な悪影響を評価するために考慮すべき重要事項である。
ホルモンは、細胞内レセプターや膜結合レセプターに直接作用することで代表的な標的組織からの応答を引き出す。性ステロイド、副腎ステロイド、甲状腺ホルモン、ビタミンD、レチノイン酸などの細胞内レセプターは、特定のDNA配列に作用してリガンドに依存する遺伝子の転写を制御する。
多くの環境中の物質は、自然のリガンドを模倣し、アゴニストあるいはアンタゴニストとして作用することにより相互作用を変えることが示されている。メトキシクロール、クロルデコン、DDT、PCB、アルキルフェノールなどの化合物は、エストロゲンレセプターの結合を妨害することが示されている(ホワイトら、1994 エンドクリノロジー 135:175-182)。ジカルボキシイミド系防カビ剤ビンクロゾリンの抗アンドロゲン作用は、アンドロゲンレセプターとこの化合物が親和性を持つためである(ケルスら、1994 ネイチャー 375:581-585)。ヘキサクロロシクロヘキサンの異性体、ジクロロジフェニル−トリクロロエタン(DDT; p,p-DDT; p,p-DDE; o,p-DDT)の同属体、デルドリン、アトラジン、ペンタクロロフェノールからなる群の環境中化学物質は、統計上、100%から25%の範囲でDHTのアンドロゲンレセプターへの特異的な結合を阻害する原因となった。既に環境エストロゲンとして分類された多くの化合物が、ほぼ同等の親和力で多くのレセプターと結合する。たとえば、o,p-DDTとクロルデコンは、ほぼ等しい親和力でエストロゲンとプロゲステロンレセプターの両方を阻害する(ローら、1994 トキシコロジー 92:127-142)。ノニルフェノールやHPTEのような化合物は、同様の親和力でエストロゲン、プロゲステロン、アンドロゲンレセプターとの結合を阻害する(ローら、1995 トキシコロジスト 15:294)。
前述の課題、すなわち、環境や食品連鎖の工業的汚染物質の検出、内分泌化合物や内分泌撹乱物質の検出、化学的或いは生物的兵器の検出には、ある条件のもとで感度良く、正確に、安価に、迅速に完了するという共通の機能と技術が必要である。多くの毒性物質が共有している発病経路が類似していることは重要であり、バイオマーカーに基づく分析法を開発するための新たな機会を与えている。
興味深いことに、多くの化学物質と生物物質の作用は、同一または類似の転写因子に仲介されており、共通した機序で作用する。PASファミリータンパク質(PAS)が例としてあげられる。PASはペア、ARNT、シムと呼ばれるタンパク質群の名前である(グー ワイ.ゼット.ら、2000 アニュ レブ ファーマコール トキシコロジー、40:519-61)。PASドメインは、環境に応じて発達したり適応したりする中で役割を果たすといったいろいろなタンパク質においてみつけられる(ジェインら、メカニズム オブ ディベロプメント 1998 73:117-123)。また、PASドメインは、ベイシック−ヘリックス−ループ(bHLH-PAS)ドメインをもつタンパク質にも見出されており、このタンパク質は、ヘテロドメイン転写因子として対で役割を果たす。PASタンパク質は、環境シグナルに対するセンサーとしての役割を果たすアルファ分類タンパク質(たとえば、AhR、HIF-1α、CLOCK、SIM)か、ゲノムターゲットに対応しているヘテロダイマーに常に随伴するパートナーとして通常は幅広い役割を果たすベータ分類タンパク質(たとえば、MOP3とARNT)かのどちらかに分類することができる(グーら、アニュ レブ.ファルマコ. トキシコール.2000 40:519-561)。低酸素症誘発ファクター−1アルファー(HIF-1α)は、参考文献の米国特許第6,222,018号明細書に詳しく記載されているように、PASファミリータンパク質のメンバーの転写因子である。
糖質コルチコイド、エストロゲン、電解質コルチコイド、プロゲステロン、アンドロゲン、ビタミンD、甲状腺、レチノイン酸、エクジステロイドレセプター、ウイルスエルプA癌遺伝子などのレセプターを含むステロイドと甲状腺のスーパーファミリーレセプターはリガンドがないと不活性である。主リガンドと結合すると、レセプターは、二量化し、PASファミリーの転写因子に構造変化が起きて活性化される。同様に、エングレビーン イムン アンド レセプター アッセイ イン セオリー アンド プラクティス、シーアールシー プレス、ニューヨーク、2000に記載されているように、転換したレセプターは組み込まれた遺伝子のトランス作用でDNAと結合できる。
新規の分析法を創製するため前述の観察を活用する試みが数多くなされた。たとえば、エーエル−フォウリーらは、ヒトPAPベクターに対するAhレセプターの認識部位を接合し、マウス肝癌細胞にベクターを入れることによりダイオキシン類のバイオアッセイを実施したことが記載されている(エンバイロメント トキシコロジー アンド ケミストリー、1994 13(10):1581-1588〔非特許文献1〕)。しかし、多くの細胞、特にヒト上皮細胞はバイオアッセイによる分析を妨害する熱安定的なPAP活性を内生的なレベルで含むという報告に基づいて、PAP酵素ベースレポーター遺伝子は信頼できないと考えられている。
デニソンらの米国特許第5,854,010号明細書〔特許文献6〕には、ルシフェラーゼ レポーター遺伝子の前にダイオキシン応答因子を挿入し、次いでマウスの肝癌細胞にその合成した組換え発現プラスミドを入れることにより、バイオアッセイ法を開発したことが記載されている。ブラッドフィールドらの米国特許第5,378,822号明細書〔特許文献2〕には、サンプル中のダイオキシンを検出するためのバイオアッセイにマウスまたはヒトのAhレセプターに対するcDNAから発現するタンパク質の使用が記載されている。ブラッドフィールドらの米国特許第5,650,283号明細書〔特許文献4〕には、ハロゲン化炭化水素化合物を検出するためのDRE誘導lacZレポーターを持つAhレセプタータンパク質を発現する哺乳類または酵母の転換ホスト細胞が記載されている。すべてのバイオアッセイは、対象の毒性物質に被爆させられる細胞の維持培養が必要である。
ポランドらの米国特許第5,128,244号明細書〔特許文献1〕には、ダイオキシンをマウスの細胞質ゾルから調製したAhレセプターおよび125I標識ダイオキシン誘導体と反応させ、サンプル中のダイオキシンを限られた数のAhレセプター結合部位へ競合反応させる原理の競合結合法について記載されている。放射線量のカウントの前に、未結合の放射線物質標識ダイオキシン類似物が結合している放射線物質と分離せしめられる。125Iの半減期は短く、また被爆の危険性と放射線活性を持つ物質の廃棄に危険性があるため、日常検査にこの分析法を利用することには限界がある。
ウィーロックとバビシュの米国特許第5,529,899号明細書〔特許文献3〕及びウィーロックの米国特許第6,127,136号明細書〔特許文献7〕には、AhレセプターまたはARNTタンパク質の結合体または複合体に特異的な抗体を用いてAhレセプター/ARNT複合体の形成を検出する分析法が記載されている。Ahレセプターに対して特異性と親和力が高い抗体を調製することが難しいため、低濃度のダイオキシンを測定するためにこの分析法の利用には限界がある。同様に、ARNTに特異的な抗体を用いて、Ahレセプター/ARNT複合体を検出するために、かなり大量のAhレセプター細胞質ゾルが必要である。
参照することにより本明細書に含められる米国特許第6,316,197号明細書〔特許文献8〕には、例えばHIF-α遺伝子など多くの遺伝子の制御と発現をモニタリングするなど、遺伝子の発現パターンをモニタリングすることによって感染性物質の被爆を早期に検出する方法が記載されている。この特許には、HIF-1αmRNAが炭疽菌胞子に被爆した後数時間以内に血液中リンパ球の循環を制御することが示唆されている。この所見では、HIF-1αの制御の原理が、mRNAレベルでの制御ではなく、まず最初にタンパク質レベルの制御であることが意義深い(ゼルザーら、イーエムビーオー ジェイ.1998 17:5085-5094)。しかし、この特許の方法は、哺乳類からサンプルを採取することが必要であり、そして、“当該サンプル中で遺伝子の発現またはタンパク質の発現パターンを検出すること:既知のライブラリーを用いて、毒性物質に対する遺伝子発現またはタンパク質発現のパターンを当該サンプルに対する遺伝子発現またはタンパク質発現のパターンと比較すること”が必要である。しかし、遺伝子発現は幅広い範囲のパターンがモニタリングされるため、特異的な感染性物質の早期検出のための迅速、高感度、低価格の分析法を提供するという課題を解決できない。
ゲル電気泳動移動性変動分析法(EMSA)がタンパク質と核の相互反応を検出するために普及している(レブジン、バイオテクニックス、1987 7:346-355〔非特許文献2〕)。EMSAは、32P標識DNAとタンパク質を混合し、その溶液をポリアクリルアミドゲル電気泳動し、そのゲルを通常オートラジオグラフィーでDNA解析するという手順で実施する。DNAとタンパク質が結合すると複合体となるため、遊離DNAと異なる電気泳動移動性を示す。EMSAを用いてHIF-1αの誘発を検出するには、スループットが限られているため数日かかっている(ゼルザーら、1998 スプラ)。EMSAを日常的に使用するには、費用と時間がかかりすぎる。
ナルゲッシーの米国特許第5,770,176号明細書〔特許文献5〕には、レセプターに対するDNA応答因子の特異的結合と特異的な抗体に対する結合とを関連付けることにより細胞や組織サンプル中の機能性核レセプターを検出し定量するための免疫測定法について記載されている。これらの分析法は、サンプル中の核レセプターのスクリーニング用、たとえば腫瘍生検サンプル中のこのようなレセプター確認などのために考案された。
米国特許第5,128,244号明細書 米国特許第5,378,822号明細書 米国特許第5,529,899号明細書 米国特許第5,650,283号明細書 米国特許第5,770,176号明細書 米国特許第5,854,010号明細書 米国特許第6,127,136号明細書 米国特許第6,316,197号明細書 エンバイロメント トキシコロジー アンド ケミストリー、1994 13(10):1581-1588 レブジン、バイオテクニックス、1987 7:346-355
このように、あるバイオマーカーの活性を測定でき、生物がいくつかの毒性物質に被爆していることを実証できるアッセイ(分析)方法と同様に、難分解性のハロゲン化炭化水素、感染性物質、毒素などの環境中毒性物質を迅速に、信頼性があり、経済的に検出でき定量できるアッセイ(分析)技術は、長い間ずっと必要とされている。
本発明は、核酸トレーサーを増幅し、その結果生じる被測定物質と転写因子活性に相関する増幅生成物を測定することにより被測定物質と転写因子の活性を測定するための迅速、高感度、高精度かつ経済的な新規方法を提供し、他の技術的な短所を解決するものである。
実施態様の1つとして、本発明は、活性化した転写因子がDNA応答因子と結合するのに適した条件下で、対象となる被測定物質と転写因子を接触せしめることにより実施される。DNA応答因子は、標準的な核酸増幅操作法であらかじめ設定されたプライマー認識配列を含む核酸トレーサー試薬の中に含有されている。より詳しくは、本方法は、被測定物質と特異的に結合することができる転写因子試薬と処理された被測定物質を含有するサンプルとを接触させることが必要である。転写因子は、被測定物質と接触して転換され、対応するDNA応答因子と結合するような機能を持つ活性化転写因子を生成する。核酸トレーサー試薬の中のDNAと活性化転写因子の間でタンパク質−核酸複合体の形成が促進される条件下で、少なくとも1つの核酸プライマー認識配列及び少なくとも1つの活性化転写因子が結合するDNA応答因子を含む核酸トレーサー試薬は、転写因子アッセイ試薬及びサンプルと同時に又は順次に接触せしめられる。タンパク質−核酸複合体は複合していない核酸トレーサーから分離され、複合体トレーサーは核酸増幅により検出され、増幅された核酸トレーサー試薬の量はサンプル中の被測定物質の量を示す。
もう一つの実施態様として、本発明は、障害を与える物質、毒性物質、毒素、感染性物質に被爆した生物の転写因子の活性化の変化を検出するための迅速、高感度、経済的な方法及びアッセイ(分析)法を提供する。本分析法は、生物から分離された転写因子が、例えばある障害を与える物質、毒性物質、毒素、感染性物質に被爆しているため、既に活性化されてしまったかどうかを判定するために、動物や人の持つ転写因子の活性化の変化を検出でき、他とは異なる有用性を示す。
本発明の方法の実施態様では、本アッセイ法は、転写因子を活性化できる毒性物質に被爆してしまったと考えられる組織中の転写因子の活性を検出又は測定するために用いられる。本方法は、少なくとも1つの核酸プライマー認識配列及び少なくとも1つの活性化転写因子が結合するDNA応答因子を含む核酸トレーサー試薬とサンプルを接触させることを包含する。この接触は、トレーサー試薬と転写因子の間でタンパク質−核酸複合体の形成を促進する条件の下で実施される。この複合体は、複合していない核酸トレーサー試薬から分離され、核酸増幅により検出される。増幅された核酸トレーサー試薬の量は該転写因子の活性と相関性がある。
本発明は、また、本発明の方法で様々なアッセイ方法の開発のための新規の核酸トレーサー試薬を提供する。
本発明は、核酸トレーサーを増幅し、その結果生じる被測定物質と転写因子活性に相関する増幅生成物を測定することにより被測定物質と転写因子の活性を測定するための迅速、高感度、高精度かつ経済的な方法並びにアッセイを提供する。実施態様の1つとして、本発明は、活性化した転写因子がDNA応答因子と結合するのに適した条件下で、対象となる被測定物質と転写因子を接触させることにより実施される。DNA応答因子は、標準的な核酸増幅操作法であらかじめ設定されたプライマー認識配列を含む核酸トレーサー試薬の中に含有されている。
もう一つの実施態様として、本発明は、障害を与える物質、毒性物質、毒素、感染性物質に被爆した生物の転写因子の活性化の変化を検出するための迅速、高感度、経済的な方法及びアッセイ法を提供する。このようなアッセイ法は、望まれている目的のため、動物や人の持つ転写因子の活性化の変化を検出できる有用性を持つ。これらの活性化現象を検出することにより診断を行うことができ、同じことから、これらのアッセイ方法は、生物から分離された転写因子が、たとえばダイオキシンや炭疽菌に被爆することにより既に活性化されているかどうかを測定することができる。
このように、本発明は、サンプル中の被測定物質を検出し、障害を与える物質、毒性物質、毒素、感染性物質の被爆を診断するためのアッセイ方法を提供する。
本発明の方法で被測定物質の検出や分析を行う場合、適切な転写因子は、必要な作用物質または細胞因子と共に濃度が既知の被測定物質と接触せしめられるか、または、被測定物質を含んでいることが疑われる未知のサンプルと接触せしめられる。濃度を既知の被測定物質並びに未知の被測定物質と相関せしめるため、及び、サンプル(たとえば、土壌、食品、血液、組織など)に含まれる被測定物質を測定するために、その得られた被測定物質のセット(群)は、本発明の幾つかの方法で検出される。
本発明の方法を転写因子の活性化の検出または測定に用いる場合、転写因子を含むと考えられる生物組織は、活性化された状態を測定することが可能となるように十分に精製された形態で本発明の方法で転写因子を得るように処理される。この測定は、疾患・障害を検出したり、あるいは対象の毒性物質、毒素、感染性物質に生物(たとえば、植物、野生動物、ペット、家庭の家畜、人)が被爆したことを検出するのに容易に使用し得る。
転写因子が活性化され、次にそれがDNA応答因子とプライマー認識配列を含む特異的で他と異なる核酸トレーサー試薬に選択的に結合することができるためには、高い特異性が必要である。この選択された方法でDNA応答因子が転写因子に一旦結合されると、次にDNA応答因子はPCRなどのDNA増幅方法で選択的かつ正確、容易に検出される。
前述したように、本発明のもう一つの実施態様は、対象の生物で生じる転写因子の活性化を検出できることである。この本発明の実施態様では、転写因子の活性化状態への特異的な影響を検出することによって、毒性物質、毒素、感染性物質を分離して直接検出する必要がない。
対象の被測定物質と接触しそして活性化DNA結合タンパク質に転換せしめられた転写因子は、タンパク質−核酸(DNA)複合体の形成を促進する条件下で適合する核酸−トレーサー試薬と結合する。タンパク質−核酸複合体は、たとえばゲルろ過クロマトグラフィー、遠心分離ろ過、疎水性分離、荷電膜分離、ハイドロキシアパタイト分離、抗体沈降法、塩析、有機溶媒沈殿、ポリエチレングリコール沈殿、シリカ沈殿などの良く知られた幾つかの標準的な方法で、未結合のDNA及び未結合のタンパク質と分離せしめられる。
望ましくは、固相担体(たとえば、試験管、マイクロタイターウェル、マイクロタイターストリップ、マイクロタイタープレート、ビーズ、微粒子、磁性粒子、及びその組合せ)にその複合体を捕捉せしめ、次いで未結合物質を除去するために1回以上洗浄するという標準的な技術方法で、タンパク質−核酸複合体を未結合のDNAから分離することができる。その後、複合体中のDNAの検出及び/または定量は、PCR及び/または適合する核酸増幅法で実施される。さらに、コントロールとの相関性や検量線により、被測定物質の正確な濃度が測定できる。
このように、本発明の方法は、化合物(たとえば、工業的化合物及び自然に生成する化合物、医薬品、その類似品)が特定のレセプターまたは転写因子系に今まで知られていないような好ましい影響を持つのかあるいは好ましくない影響を持つのかどうかということに関して、この化合物をスクリーニングするために用いられる。たとえば、不適切にAhレセプターを活性化することにより化合物がダイオキシンやPCBsの活性を持つのかどうかを測定してそれをスクリーニングする(選別する)ことができる。殺虫剤は、鳥類のエストロゲンレセプターを不適切に活性することによりたとえばDDTの活性を持つのかどうかを測定しそれをスクリーニング(選別)できる。本発明の方法は、臨床診断、予防、病気の治療のためや、新薬の開発や計画のための基盤として活性化された転写因子の選別や検出を容易に行うことができる。
当業者がより容易に本発明の目的を理解できるように、以下に定義について述べる。
本発明の“転写因子”は、制御されている遺伝子と結びついている応答因子(たとえばDNA応答因子など)と相互作用するタンパク質を指しており、特異的な状況でDNA結合性タンパク質であるかあるいはDNA結合性タンパク質となる。本発明の“レセプター”は、リガンドで活性化される転写因子であり、細胞質(たとえば、Ahレセプター)または細胞の核(たとえば、糖質コルチコイドレセプター)の中に存在している。広義には、核のレセプターとして、ステロイドホルモン、甲状腺ホルモン、レンチノイド、ビタミンA及びDのホルモン型、ペルオキシソーム活性化物質、エクジソンがあげられる。多くの転写因子はリガンドが媒介しない生化学的な経路でDNAと結合して活性化される(たとえば、HIF-1α)。
本発明で使用される用語“活性化”は、レセプターまたは転写因子という用語と共に用いられ、そのタンパク質がそれぞれのDNA応答因子と結合することができる状態に形態が変化することを意味する。活性化応答とは異なるが、いろいろな転写因子の信号伝達経路の間には著しい類似性がある。たとえば、ステロイドと甲状腺ホルモンレセプタースーパーファミリーとPASα−クラスタンパク質Ahレセプター、HIF-1α、CLOCKはβ−クラスPASタンパク質と結合し、生じたホモダイマーまたはヘテロダイマーはそれぞれDNA応答因子を認識する。
本発明の“DNA応答因子”は、転写因子に対応する独特のDNA配列を意味する。生理的状態で、DNA応答因子は、転写因子が結合し、遺伝子の転写を制御する遺伝子または遺伝子領域と結びつくかまたは互換性があるDNA配列である。DNA応答因子は、制御された遺伝子のプロモーターに対して通常は5'側であるが、下流であっても良い。活性化作用物質は、転写因子を直接的または間接的に活性化し、それぞれの細胞核内のDNA応答因子と結合し、この方法によって、対応する遺伝子の転写と次に起きるタンパク質の合成を促進または抑制する。
“核酸トレーサー試薬”は、プライマー認識配列が結合する1つ以上のDNA応答因子を含む核酸である。
説明が便利なように、幾つかの用語を次のように定義する。“被測定物質”とは、広い意味であってよく、アッセイで識別され測定され得る物質である。発明の実施態様の一つとして、被測定物質は、土壌、岩、またはあらゆる種類の生物物質の上にあるいはその中に存在すると考えられている毒性物質、同様に原材料物質を魅力のあるものにすることによってあるいは生産工程を通じて汚染するようになる人工的な加工品や建設用材料(たとえば、家具、建物の内装と外装あるいは構造物、乗り物、衣服など)などの広範な様々な物質から抽出されたりあるいは含有されている難分解性の環境毒性物質であるものを意図するものである。
本明細書で使用される用語“生物物質”は、広義には、人や動物のために、天然あるいは人が育てた動物や植物などの生息している生物から得られる食材、医療用や身だしなみ用の生産物を含む物質や材料である。
当業者は、生物物質が医療や診断の目的で検査される場合、サンプルの種類は、生きている動物や検査が必要な人から得られる細胞組織や血液であることを良く理解している。
“ダイオキシン様”とは、広義には、ジベンゾダイオキシン、ジベンゾフラン、アゾベンゼン、ある種のポリクロロビフェニル、ある種の多環式芳香族炭化水素、毒性を持ち難分解性の多くのその誘導物質であり、より詳しく次に示す。
“ダイオキシン”は、広義には、2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシンまたはTCDD、及び/またはダイオキシン類の75種の異性体のいずれかである。
“フラン”は、広義には、2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-フラン(TCDF)、及び/またはフラン類の135種の異性体のいずれかである。
“PCB化合物”は、広義には、PCB異性体とPCBで汚染されている材料に存在する分解可能な生成物を示す。これらは、市販品であるアルクロールTMや商業目的以外の生産、またはたとえば土壌中微生物による生物転換などの生物代謝の結果として生じたものに見出される209種のPCB異性体が含まれる。
さらに、説明がしやすい様に単数用語を用いているがそれは何らそれに制限されることを意図するものではない。たとえば、“抗体”が意味する用語は、他に記述がないかぎり、1以上の抗体(たとえば、意図した目的のための十分な抗体を含む調製物)を示す。遺伝子組換え構築体(コンストラクト)は下記で示されている例(実施例)で利用されている。その構築体は、レセプター、レセプター結合パートナー物質、あるいは2量体のいずれかのタンパク質融合体を発現するための配列が挿入されたプラスミドやウイルスベクターなどのベクターを包含している。非常に多くの適合するベクターとプロモーターが、当業者に知られており、商業的に入手できる。
遺伝子組換え構築体を含むホスト細胞は、哺乳類細胞のような高度に分化した真核細胞や、酵母のような低分化程度の真核細胞であることができる。あるいは、そのホスト細胞は、バクテリア細胞のような原核細胞でも良い。リン酸カルシウムによるトランスフェクション、脂質またはDEAEデキストランによるトランスフェクション、エレクトロポーレーションにより、ホスト細胞にその構築体を導入することができる。
転写因子と結合パートナーは、適当なプロモーターにより制御され、哺乳類細胞、酵母、バクテリア、あるいは他の細胞で発現される。あるいは、昆虫のバキュロ細胞発現系を用いることもできる。cDNAから誘導されたRNAを用いてこのようなタンパク質を産生するために、細胞を用いない転換系を利用することもできる。上述の方法で産生されたレセプターは商業的に入手することができる。原核細胞ホストと真核細胞ホストを使用するための適当なクローニングおよび発現ベクターは、サムブルークら、モラキュラー クローニング ア ラボラトリー マニュアル(第2版)1-3巻、1989に記載されており、その内容のすべてはそれを参照することにより本明細書に含められる。
I.転写因子
最初のメッセンジャーとして機能する転写因子は、リガンドにより直接活性化される。幾つかの直接活性化されるレセプターファミリーは、共通の作用機構で機能する。レセプタータンパク質は不活性であり、通常シャペロンタンパク質と複合体を形成する。リガンドが導入された時、レセプターはリガンドと結合し、形態の変化(トランスフォーメーション)を受け、活性化された状態になる。そしてさらに、そのレセプターは、同タイプの別のレセプターと結合して、ホモダイマーを形成するか、あるいは同じクラスのタンパク質のメンバーの一つであり通常ホモロジーを持つ別のタンパク質/レセプターと結合して、ヘテロダイマーを形成する。そして、その活性化されたレセプターは、転写に影響する特異的なDNAターゲットと結合する。
単純な例として、ステロイド、レチノイド、甲状腺ホルモンは真核生物の成長と恒常性を制御する。しかし、これらのレセプターの一次構造がクローニングとシークエンスにより解明された時、それらが高度なホモロジーを持っていることがすぐに判明した。さらに、すべてが、リガンドと結合して遺伝子転写を引き起こす制御タンパク質として同定されている。これらの共通の特徴は、多くのレセプタータンパク質スーパーファミリーを分類するのに役立つ。このスーパーファミリーとしては、糖質コルチコイドレセプター、エストロゲンレセプター、鉱質コルチコイドレセプター、プロゲステロンレセプター、アンドロゲンレセプター、ビタミンDレセプター、甲状腺ホルモンレセプター、哺乳類のレチノイン酸レセプター、昆虫のエクジステロイドレセプターがあげられる。さらに、この共通構成物質は、プロト癌遺伝子の生産物が甲状腺ホルモンレセプターのアンタゴニストとして同定されたウイルスerbA癌遺伝子に拡大されている。いくつかのオーファンレセプター(たとえば、対応するリガンドが明らかになっていないレセプター)がシークエンスの後にこのスーパーファミリーに分類されている。
このスーパーファミリーの細胞質レセプターはリガンドがなしでは不活性である。一般に、アゴニストリガンドと結合すると、リガンドは二量化と構造変化を起こして活性化される。ステロイドホルモンレセプターは、二量化過程で単量体レセプターと結びついている熱ショックプロテインが失われる。これは形態の変化(トランスフォーメーション)と称され、それはDNAとの結合のためにそして転写促進のために必要とされる。一般に、リガンドがアンタゴニストの場合、二量化は起きるが、レセプターは転写促進することができない。それにもかかわらず、甲状腺ホルモン、レチノイン酸及びビタミンDレセプターは、リガンドがなくとも二量化しDNAに結合することができる。このケースでは、レセプターが細胞核内のDNAと結合した時にリガンドの結合が生じる。ステロイドレセプターのように、それらはリガンドと結合して形態の変化(トランスフォーメーション)を受ける。エンジビニー、イムン アンド レセプター アッセイ イン セオリー アンド プラクチス、シーアールシー プレス、ニューヨーク、2000。
さらに、グー ワイ.ゼット.ら、2000 アニュ レブ ファーマコール トキシコール、40:519-61に記載(その内容はそれを参照することにより本明細書に含められる)のように、最初の伝達物質として働く転写因子は、Per, ARNT、Simという名前のPASファミリータンパク質の一員であるタンパク質を含んでいる。PAS領域は、発育したり環境に適応するような役割を果たすいろいろなタンパク質に見出される。また、PAS領域は、ベイシック−ヘリックス−ループ−ヘリックス(bHLH-PAS)領域に場所を提供しているタンパク質に、そしてヘテロダイマー転写因子として対で機能するタンパク質に共通して見出される。転写因子が複数のパートナーと二量化する能力は、多くのタンパク質ファミリーに渡って存在している。あるベイシック−ヘリックス−ループ−ヘリックス−PASファミリーのメンバーのタンパク質は、生体外ではホモダイマー、生体内ではヘテロダイマーを形成し、複数のパートナーと相互作用することができる。適合するリガンドと結合する際、活性化されたAhレセプターはARNT、アリール・ハイドロカーボン・ヌクレアー・トランスロケーター、と結合する。このAhレセプター/ARNT複合体は、ダイオキシン応答因子と呼ばれる特異的なDNA応答因子と結合することができるヘテロマーを形成する。
最近、多くの“オーファン”bHLH-PASタンパク質(MOP3,MOP4、MOP5)が、発現された配列のタグデータベース検索と低ストリンジェンシーハイブリダイゼイションスクリーニングから明らかになっている。それらのヘテロダイマーパートナーの確認とDNA応答因子の決定が、まさに、なされているところである(Hogenesch et.al., Pro.Natl.Acad.Sci. USA 1998 95:5474-5479)。
PASファミリーの転写因子の一つは、間接的に活性化される。HIF-1αは、次のように作用する。正常な条件で、細胞のHIF-1αは、ユビキチン−プロテアソーム経路ですばやく分解せしめられる。細胞が活性化物質に曝されると、HIF-1αタンパク質は安定化せしめられる。そして、HIF-1αは、細胞質から核へ転位し、そこでARNTと複合体を形成してHIF-1複合体を造る。HIF-1複合体は、低酸素症応答因子("HRE")として知られている特異的なDNA応答因子と結合する。CLOCKタンパク質は、HIF-1αに同じように作用する他のレセプターまたは転写因子である。光に応答してCLOCKタンパク質が誘導され、MOP3と複合体を形成する。そのヘテロダイマーは、核へ転位し、MOP3及びMOP4応答性要素("M34RE")と呼ばれる特異的DNA応答因子と結合する。
また、他の転写因子は、ある種の残基をリン酸化することによってまたはその因子と結合する阻害タンパク質の修飾によって間接的に活性化される。多くの場合、外部の作用物質は、修飾酵素、主としてキナーゼ類、の一つあるいは該酵素のカスケードを刺激するように膜に結合しているレセプターと相互作用する。一つの例として、Statメンバー、AP-1、CREBなどの転写因子は、成長因子、サイトカインまたは他の刺激により活性化されるキナーゼ類によりリン酸化されて活性化される。NFkBファミリーのメンバーは細胞質のIkBメンバーと結合し、転写不活性となる。IkBの分解は、細胞がいろいろな作用物質やサイトカインで処理されたときに生じる。NFkBダイマーは核へ転位でき、制御されている遺伝子の特異的なDNA要素と結合する。
このように、本発明の方法は、核酸レポーター分子として本発明のアッセイに使用するのに適している特異的なDNA因子に、活性化された時に、結合する転写因子のような一番目の伝達物質または二番目の伝達物質と共に随意に実施される。
本発明の一つの実施様態では、PASリガンド活性化転写因子は、アリール・ハイドロカーボン・レセプターである。AhレセプターのPAS領域は、90kDaの熱ショックプロテイン(hsp90)との会合、ARNTとの二量化、リガンドとの結合において作用する。
もう一つの実施態様では、本発明に従うホルモン依存性核レセプターは、エストロゲン特異的DNA応答因子に結合するエストロゲンレセプター("ERs")と遺伝子の転写を制御する糖質コルチコイド応答因子(GREs)と直接結合する糖質コルチコイドレセプター("GR")である。
本発明のさらなる特定の実施態様では、二番目の伝達物質を経て活性化するHIF1-α、PASタンパク質転写因子を利用する方法である。
A.アリール ハイドロカーボン レセプター
アリール ハイドロカーボン レセプターは、塩基性ヘリックス−ループ−ヘリックス−PASファミリーのメンバーのタンパク質であるリガンド活性化転写因子である。AhRとその結合相手であるARNTは、前述したように、PASファミリーのメンバーのタンパク質であり、この領域に相同性(ホモロジー)を持っている。AhRのPAS領域は、90kDaの熱ショックプロテインとの会合、ARNTとの二量化、及びリガンドとの結合において機能する。また、AhRとARNTは、一緒に機能し、DNAの結合とタンパク質の2量化を仲介するアミノ末端塩基性領域とヘリックス−ループ−ヘリックス領域を持つ。
不活性でリガンドと結合していないAhRは、細胞質中で熱ショックプロテイン90及び、名称がXAP2、AIM又はAra9の3つ用語のいずれかで当該分野で引用されるイムノフィリン様タンパク質と複合体を形成する。リガンドに結合すると、活性化したAhRは、複合体から解離しARNTと結合する。形質転換せしめられたAhR/ARNT複合体は、次にダイオキシンに特異的なDNA応答因子、すなわちダイオキシン応答性成分と結合できるヘテロマーである。ダイオキシン様化合物の毒性効果は制御された遺伝子の不適切な誘導または抑制のためのようであり、AhR結合性化学物質は現在明らかになっていない内分泌性ホルモンを擬似していると考えられている。
構造が異なる化合物は観測される毒性強度に強く相関して異なる親和力でAhRと結合する。大部分の個体群は食物または環境に含まれるこのような化合物の混合物にさらされており、サンプル中に含まれるこれらの一部分の同一性と濃度はAhRが仲介する応答全体に影響を与える。国際会議では、AhR結合性化学物質に対する毒性等価係数("TEF")の値を定義している。この群の中で最も強力な化学物質であるTCDDの値は1であり、他のすべての値は<1である(Van den Berg, M., et al., 1998 Environ Health Perspect 106:775-789)。毒性当量("TEQ")の総計とは、混合物中のそれぞれの異性体に対する毒性度(異性体の濃度にTEFを乗じる)の合計であり、承認された工業標準値である。
Ahレセプターを含むヘテロマーは、いくつかの原料から得ることができる。たとえば、ヘテロマーは、齧歯類の肝臓、胸腺、肺、腎臓、脳、精巣及び骨格筋細胞に存在する。特に好ましいヘテロマー原料は、哺乳類の肝細胞の細胞質ゾル画分である。好ましくは、ヘテロマーは、雄のハートレーモルモットの肝臓細胞質ゾルから分離され(E.C.Henry,et.al.,"Ahレセプターの複合形態の特性:種と組織の比較" Biochem, 28:6430-40, 1989を参照でき、これらの内容の全部はそれを参照することにより本明細書に含められる)て得られ、ガラス又はプラスチックの試験管にその水溶液を5ml入れて凍結するか凍結乾燥される。AhRが肝臓細胞質ゾルから得られる場合、一般に、AhRの形質転換に必要なすべてのタンパク質と酵素が存在している。また、肝細胞株は、AhRヘテロマーにうってつけの原料である。なぜなら、これらは、肝臓組織を摘出してバラバラにする必要がない均一で再製可能な細胞質ゾル原料である。ヘテロマーの形質転換/活性化は細胞作用の本来の役割であるため、必要とされるタンパク質と酵素は、AhRが応答する作用物質が存在するとAhレセプターの完全な形質転換と活性化のために適切な比率で存在する。
ブラッドフィールドらの米国特許第5,650,283号明細書(これらの内容の全部はそれを参照することにより本明細書に含められる)は、遺伝子組換えAhRの大量生産方法について示している。その特許には、完全長AhR、そしてアミノ基末端又はカルボキシル基末端が欠損したAhR及び機能を持つキメラレセプターのAhR(それらのすべては、リガンドによって活性化された時に関連したDNA応答因子を結合する)が記載されている。これらのキメラAhレセプターは、AhRのDNA結合及び初期二量化領域をLexAとGal4タンパク質からの類似した領域でもって交換することにより調製される。生じたキメラタンパク質は、AhR/ARNT/DREシステムと良く似た薬理学特性を与える(Carver et.al., JBC 1994 269(48):30109-30112)。
AhRに結合するリガンドとしては、PCBなどのハロゲン化化合物、ダイオキシン類 及び当該分野で知られているダイオキシン様化合物があげられる。ダイオキシン様化合物としては、たとえば、ポリクロロジベンゾダイオキシン、ポリクロロジベンゾフラン、ポリクロロビフェニル、及びポリクロロジベンゾダイオキシン、ポリクロロジベンゾフラン及び/又はポリクロロビフェニルの特徴である生物活性を示す構造類似物があげられる。
一般に使われるダイオキシンという用語は、2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシンの省略表現である。TCDDは、塩素分子の数と位置により構造が異なる75種の異性体を持つポリクロロジベンゾ-p-ダイオキシンファミリー("PCDD")の異性体の一つである。生物学的に、TCDDは最も毒性が強いPCDDであり、他のPCDDはそれより活性が低く、それは十分の一から数千分の一の範囲である。TCDDはすべてのPCDDの中で最も広く研究されている。
いくつかの芳香族炭化水素は、TCDDの持つ生物学的な特性を持ち、特に横の位置に塩素が置換されている時にそれを持っている。これらの中で最も重要な物質は、ポリクロロジベンゾフラン("PCDF")とポリクロロビフェニルファミリーのある種の異性体である。非常に多くの異性体を持つPCDD, PCDF及びPCBの環境分析は大変複雑であり、それ故、分析を行う前に複合体をクリーンアップする操作が必要である。ここで使用されている“ダイオキシン様化合物”としては、前述した化合物ファミリーのすべてのメンバーと、アゾベンゼン及びベンゾピレンのような細胞に類似の影響を与える他の化合物を含む。
B.エストロゲンレセプター
エストロゲンレセプター("ER")は、エストロゲン応答因子("EREs")に直接結合し、遺伝子の転写を制御する。ERは、核レセプターの多くのファミリーの一員であり、ホルモン依存性に機能する。ERは、内生的に体内に存在するか、あるいは薬物、汚染物質又は食品成分として外因的に体内に存在する構造的に種々な多くの化合物を認識する。エストロゲンは、成長、分化、再生系機能に強く影響し、特に哺乳類の分泌腺と子宮に強く影響する。タモキシフェンなどのERのアンタゴニストは、ER陽性の乳癌の治療に成功裡に使用されている。
ERは、リガンド結合領域、DNA結合領域、二量化作用領域、及びN末端とC末端転写促進領域を持っている。大部分の研究室で、リガンドがない時ERE上にERのホモダイマーが形成され、リガンドが転写機能を変えることが観察されている。
近年、cDNA HE0は、リガンドが活性化された後だけレセプターがそのDNA応答因子と結合することを許容するような一つのアミノ酸が置換されている野生型のエストロゲンレセプターから誘導されたものである(Aumais et. al., JBC 272(18):12229-12235)。
C.糖質コルチコイドレセプター
糖質コルチコイドは、エネルギー代謝と免疫/炎症反応の制御に影響するステロイドである。糖質コルチコイドレセプター("GR")は、糖質コルチコイド応答因子(GREs)と直接結合し、遺伝子の転写を制御する。GRは、核レセプターファミリーの一員であり、ホルモン依存性に機能する。GRは、内生的体内に存在するか、あるいは薬物、汚染物質又は食品成分として外因的に体内に存在する構造的に種々な多くの化合物を認識する。GRは、リガンド結合領域、DNA結合領域、二量化作用領域、及びN末端とC末端転写促進領域を持っており、リガンドが解離並びにホモダイマー形成を誘導するまでhsp90タンパク質と複合体を形成する。
D.HIF-1α転写因子
HIF-1αは、低酸素症(酸素要求が供給を上回る状態)に対する恒常的な応答を活性化する場合に重要な役割を果たし、そして感染性疾患の早期検出のバイオマーカーとしてHIF-1αの活性化を利用できる。哺乳類は必須代謝プロセス(ATPを形成するための電子受容体としてO2を利用する酸化的リン酸化反応を含む)のため分子状酸素を必要としていることが良く理解されている。低酸素症で引き起こされる全身性、局部性、及び細胞内の恒常性のための応答としては、貧血性の人や高地にいる人における赤血球産生(Jelkmann, Physiol. Rev. 1992 72:449-489)、虚血性心筋症での新血管形成(White et al., Circ. Res. 1992 71: 1490-1500)、及びO2圧減少状況での培養細胞の解糖反応(Wolfle et al., Eur. J. Biochem. 1983 135:405-412)などがあげられる。これらの順応応答は、O2供給を増加させるか、又はO2を必要としない代替の代謝経路を活性化させることである。これらの応答が関与する低酸素症誘導遺伝子産物としては、エリスロポエチン(EPO)(reviewed in Semenza, Hematol. Oncol. Clinics N. Amer. 1994 8:863-884)、血管内皮成長ホルモン(Shweiki et al., Nature 1992 359:843-845; Banai et al., Cardiovasc. Res. 1994 28:1176-1179; Goldberg & Schneider, J. Biol. Chem. 1994 269:4355-4359)、及び解糖酵素(Firth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1994 91:6496-6500; Semenza et al., J. Biol. Chem. 1994 269:23757-23763)があげられる。
低酸素症に対する遺伝子的な応答を媒介する分子機構は、赤血球産生を制御する成長因子をエンコードするEPO遺伝子に関し広範囲に研究されている(Jelkmann, 1992 supra; Semenza, 1994, supra)。低酸素症への応答で転写活性化のために必要なシス作用するDNA配列はEPO 3'フランキング部位で同定され、エンハンサー、すなわち低酸素症誘導因子1アルファ(HIF-1α)に結合するトランス作用因子は、EPO転写の生理的な制御因子のための基準を満たすことが示されている:EPO発現の誘導物質(1%O2、塩化コバルト[CoCl2]、及びデスフェリオキサミン(“DFX”))は、また類似した反応でHIF-1 DNA結合活性を誘導する。;EPO発現の阻害物質(アクチノマイシンD、シクロヘキシミド、及び2-アミノプリン)は、HIF-1α活性の誘導をブロックする。;そしてHIF-1結合性を除いたEPO 3'フランキング部位の突然変異はエンハンサー機能を無くしてしまう(Semenza, 1994, supra)。また、これらの結果は、O2圧がヘモタンパク質で感知され(Goldberg et al., Science 1988 242: 1412-1415)、そして進行中の転写、翻訳及びタンパク質のリン酸化を必要としているシグナル伝達経路が低酸素状態の細胞のHIF-1αDNA結合活性とEPO転写の誘導に関与するという仮説を立証している(Semenza, 1994, supra)。EPOの発現は細胞のタイプに特異的であるが、1%O2、CoCl2、又はDFXによるHIF-1α活性の誘導は多くの哺乳類細胞株で検出されている(Wang & Semenza, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1993 90: 4304-4308)。
更に、いくつかの解糖酵素をエンコードするRNA分子が、1%O2、CoCl2、又はDFXによりEPO産生Hep3B又はEPO非産生HeLa細胞中で誘導され、シクロヘキサミド処理が同じRNA分子の誘導をブロックすることが報告されている。また、HIF-1α結合部位を含む解糖系遺伝子配列は、トランスフェクションアッセイで低酸素症誘導の転写を媒介することが示されている(Firth, et al., 1994, supra; Semenza, et al, 1994, supra)。これらの報告は、低酸素症に対しての恒常性のための応答を活性化する場合のHIF-1αの役割を立証している。
II.アッセイ(分析)方法
A.被測定物質検出アッセイ
本発明の一つの実施態様では、アッセイ方法は、被測定物質による特異的転写因子の活性化、それに続いてプライマー認識配列及び対応するDNA応答因子を含む核酸トレーサーと該活性化された転写因子とを選択的に結合せしめて複合体を形成せしめ、次に選択的に結合した核酸トレーサーの存在を当該分野で知られているいくつかの増幅方法のいずれかを用いて検出することを利用した一連の操作を含んでいるものである。これらの操作は以下に示す。
a)正常な細胞成分の存在下でかつ活性化される転写因子に適した条件下で、転写因子アッセイ試薬と被測定物質とを接触させ;
b)活性化された転写因子が核酸増幅プライマー認識配列とDNA応答因子からなる核酸トレーサー試薬に結合することを可能にして、タンパク質−核酸複合体を形成せしめ;
c)複合体を形成していない核酸トレーサーからタンパク質−核酸複合体を分離し;
d)増幅により複合体の核酸トレーサーを検出及び/または定量する。
転写因子アッセイ試薬は、対象の転写因子にふさわしい細胞または組織から得るかまたは遺伝子組換え法により生産される。転写因子アッセイ試薬としては、たとえばステロイドホルモンスーパーファミリーレセプター、PASスーパーファミリータンパク質、Statファミリー転写因子、RelまたはNFkBファミリータンパク質、CREBファミリータンパク質、及びAP-1ファミリータンパク質などがあげられる。たとえば、下記で具体的に示されるように、AhRは、一般的に齧歯類から得ることができる哺乳類の肝細胞(たとえば、マウス、ラット、またはモルモットの肝臓あるいは肝癌細胞株)の細胞質分画を破砕して分離することにより得られる。
被測定物質のキャリブレーション標準は、検出または定量したい各々化合物の濃度範囲で調製される。ダイオキシンの場合、メタノールまたはDMSOなどの溶媒中で10から1000fmolの濃度範囲の2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシン(“TCDD”)のキャリブレータが容易に用いられる。
当業者はTCDDと他のダイオキシン類が一般にプラスチックに吸着することを理解している。したがって、AhR/TCDDアッセイでは、TCDDまたは他のダイオキシン類の接触はガラス容器中で実施される。活性化された複合体が安定になるように被測定物質とAhRを十分に接触させた時、それは市販されているマイクロタイターストリップのようなプラスチック素材(たとえば、なんらかの適した高分子素材の器材)に吸着される。
標準的なマイクロタイターストリップが便利である、なぜならそれらは8または12ウェルのシングルストリップまたは標準的な96ウェル型で使用できるためである。類似の高密度マイクロタイタープレートが大量スクリーニング方法に利用できる。
活性化転写因子を含んでいるアッセイ溶液がマイクロタイタープレートに移されたら、そのガラス試験管を廃棄することができる。マイクロタイタープレートを利用することで、ELISA測定のために開発されたすべての器材(たとえば、洗浄機、ピペッターなど)を使用することができる。好ましくは、下記で具体的に示されるように、マイクロタイターストリップまたはプレートはPCRに適した特徴を持つものである。たいていのサーモサイクラーは96ウェル用に設定されている。
活性化された転写因子との結合(たとえば、DNA−タンパク質複合体形成)に関係した核酸トレーサーの存在だけを測定するために、その複合体はアッセイ媒体中の複合体を形成していないタンパク質及び核酸トレーサーから分離される。上述されているような、当該分野で標準的な分離方法のいずれかを用いることができ、好ましくは、他のタンパク質や核酸を洗浄で除去できるように固相担体にその複合体を捕捉または固定することにより容易に分離される。その捕捉はこのアッセイに適した方法のいずれかで行うことができ、好ましくは、その複合体にある一つあるいはそれ以上の抗原決定部位に特異的であるように選択された抗体を用いる方法である。
捕捉抗体は、当該分野で知られているいずれかの方法(たとえば、プロテインA及び/または一つあるいはそれ以上のポリマーリンカー)により固相担体に直接固定できる。あるいは、捕捉抗体は、該複合体に接触せしめられ、次にそれ自身を別のリガンド(たとえば、捕捉抗体に対して選択的である結合抗体)に結合せしめられ、そこにおいて該結合抗体は固相担体に結合せしめられているか、あるいはその後に固相担体に結合せしめられることができる。
レセプターがAhRであり被測定物質がTCDD及びその関連化合物であるアッセイにとって、好ましい捕捉抗体はARNTと選択的に結合する。抗ARNT抗体は、当該分野で良く知られている標準的な免疫方法で明らかなものとすることができ、及び/またはコロラド州リトルトンのノバス・バイオロジカルスから市販されている抗HIF-1ベータ抗体として得られることができる。
任意に、市販されているプロテインAプレート(湿潤または乾燥)を利用でき、また当業者は標準的な方法でそれらを容易に調製できる。さらに、抗ARNT抗体は、共有結合、プラスチック表面への抗ARNT抗体の吸着、ビオチン−アビジン系などの良く知られた方法でマイクロタイターストリップまたはプレートに容易にコートまたは結合せしめられる。これらの方法及び当該分野で標準的な他の方法は、デビッド ワイルド著、ネイチャーパブリシンググループ2001、ISBN 1-56159-270-6、IMMUNOASSAY HANDBOOKに記載されており、その内容のすべてはそれを参照することにより本明細書に含められる。
このようにして、マイクロタイターストリップまたはプレートに結合した抗体を利用したTCDD/AhRアッセイは、次の操作を含むものである:
a)ガラス容器中でAhRと核酸トレーサー試薬を、TCDDを含むサンプルに接触させる;
b)タンパク質―核酸複合体をストリップまたはプレートのウェルに移し、標準的なELISA技術の手法で、たとえばプロテインAでマイクロタイターウェルに結合せしめられているARNTに対する抗体を用いて、活性化されたTCDD-Ahレセプター/ARNT複合体を捕捉し;
c)ストリップなどを洗浄し、捕捉されていない試薬を除去する;
d)PCR試薬がストリップまたはプレートの各ウェルに加えられ、複合体を変性させて、増幅の最初の加温操作でトレーサーを遊離させるように働くことにより、核酸トレーサーを介して、捕捉されたDNA応答因子を検出する。もし検出のために代わりの増幅技術が用いられるのなら、応用可能な場合、熱的処理、化学的処理(たとえば、塩や界面活性剤などでの処理)または酵素法による非加熱による変性を行ってよいことが当該分野の技術者により認められるであろう。
本発明のアッセイ方法のもう一つの実施態様では、活性化された転写因子の捕捉は、遺伝子組換えタンパク質でもって該活性化転写因子の天然に生じた構成成分を置き換えることにより容易に実施することができる。このような融合タンパク質は、そのタンパク質を捕捉したりあるいは同定することを容易にするために付加されたポリペプチド配列を与えるように修飾されている。たとえば、そうした付加されるポリペプチド配列としては、抗体に結合するための抗原決定部位、固相表面のプロテインAに結合するための抗体のFc部分、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、マルトース結合タンパク質、His(n)、FLAG、及び/又はStrep-tagなど多くのものがあげられる。これらのスクリーニング(選別)できるタグは当該分野で良く知られており、当業者に十分に入手可能である(THE RECOMBINANT PROTEIN HANDBOOK、Edition AA, Amersham Pharmacia Biotech, catalog number 18-1142-75を参照でき、その内容のすべてはそれを参照することにより本明細書に含められる)。
このようなタグの一つとして、アマシャムファルマシアバイオテック(ニュージャージー州ピスカタウェイ)から販売されているエンコードベクターのグルタチオン-S-トランスフェラーゼ("GST")があげられる。これらのベクターは、対象のDNA結合タンパク質を伴ったタグをつけられた融合物を調製するために用いられる。GST融合タンパク質の発現と精製の手法は、広く一般に利用可能であり、原料はアマシャムファルマシアバイオテックやシグマケミカルなどで製造されている。たとえば、アマシャムファルマシアは、カタログ番号27-4570-01のGST Purification Moduleを発売している。その手法では、付随して生じるものも含めて当初の培養をmlからリットルにスケールアップできる。このようなタグをつけられた融合タンパク質は、グルタチオンが共有結合されているか又は抗GST抗体で被覆されているアガロース又はポリスチレンなどの標準的な固相担体を用いて容易に分離される。下記に例示されるように、ARNT-GST融合体を発現するベクターは、Escherichia coli.の少量培養で選択され発現せしめられた。ARNT-GST融合体タンパク質は、抽出され、GSTアガロース(シグマケミカルシーオー)で採取された。
固相担体としては、適した素材又は表面素材があげられる。操作を楽にするため、たとえばPCRアッセイ用のウェルストリップのように、市販されている反応表面素材があげられる。また、操作が容易なように磁性を持つものを含めたビーズを自由に選択して用いることができる。
複合体DNA(すなわち、核酸トレーサーの複合体)は、最も簡単にはPCRなどの核酸の増幅により検出することができる。他の核酸増幅法としては、リガーゼチェインリアクション("LCR")、活性化転写連結("LAT")、回転循環増幅技術("RCAT")、核酸配列べース増幅("NASBA")、転写媒介増幅("TMA")、ストランド置換増幅("SDA")及びブーメランDNA増幅("BDA")が良く知られた技術であり、使用できる。
PCRで増幅されたDNAは、技術的に良く知られた幾つかの方法で容易に検出され、その方法に必要な構成成分は、キットで市販されている。PCRでの使用例として本明細書で具体的に示すように、マリスの米国特許第4,683,195号明細書と同第4,683,202号明細書及びワングらの米国特許第5,219,727号明細書(これら文献のすべての内容はそれを参照することにより本明細書に含められる)に記載されており良く知られているPCRの方法を用いて、当業者は、核酸トレーサー中に含まれているプライマー認識配列とハイブリッド形成するためのプライマーを調製することができる。代わりに、条件を満たすプライマーを当業者に良く知られているいろいろな関係筋から購入することもできる。たとえば、増幅されるDNAがアビジン被覆ウェルに捕捉されるようにビオチン化されかつフルオレッセインで標識されたプライマーを、定量データを迅速に得ることを可能にするペルオキシダーゼ結合抗フルオレッセイン抗体といっしょに購入することができる。
たとえば、レセプターがAhRである場合、核酸トレーサーの中のDNA応答因子はダイオキシン応答因子であることを、当業者はよく理解できるであろう。核酸トレーサーは、少なくとも一つのDRE配列を含むべきであり、そのDRE配列は当業者に良く知られている応用可能なプライマー認識配列の横に位置するものである。たとえば、Swanson,H.I., et al., 1995 J Biol. Chem 270(44):26292-302を含む一連の文献は、DREコンセンサスがTNGCGTGであることを示している。Bグロブリン配列と基本的なPCR操作は、Vahey,M.T.,et al., PCR Primer: A Laboratory Manual, 17-21, 1995に記載されており、その内容のすべてはそれを参照することにより本明細書に含められる。
B.被測定物質を検出するためのアッセイキット
本発明のアッセイ方法のいろいろな実施態様は、好ましくは従来のテストキットの形態で実施される。たとえば、アッセイキットは、磁性ビーズ、捕捉プレート又は捕捉ストリップ(例えば、プロテインAのような捕捉物質で被覆されたもの)などの担体を含む。その担体は、そこに固定化される捕捉抗体(たとえば抗ARNT抗体)で随意に調製される。そのキットは、転写因子の活性化又は形質転換に必要な他の細胞構成成分、及び核酸トレーサー試薬と共に、好ましくは凍結又は凍結乾燥された状態のある量の転写因子を含んで随意に調製される。その転写因子及び/又は活性化された複合体に必要な構成成分はキット中に随意に調達される。そのレセプター(たとえばAhRヘテロマー)は核酸トレーサー試薬の中で被測定物質を随意に接触せしめられ、その混合物はタンパク質/核酸複合体が結合するような固相担体と接触せしめられる。好ましくは、担体への結合は前述した抗ARNT抗体によるものである。未結合の成分を除去したあと、核酸トレーサーは、本特許記載の核酸増幅法で捕捉された核酸トレーサーを直接測定することにより検出及び/又は定量される。
C.活性化転写因子を検出するアッセイ
もう一つの実施態様では、本発明の方法は、プライマー認識配列及び相当するDNA応答因子を含んでいる核酸トレーサーと活性化されたレセプターを選択的に結合せしめてタンパク質―核酸複合体を形成せしめ、次いで核酸増幅のいずれかの方法により選択的に結合した核酸トレーサーの存在を定量的又は定性的に測定する一連の操作から構成される。本実施態様では、そのアッセイは、転写因子の活性化を起こすことが判明している特定の障害性物質、毒性物質、毒度又は感染性物質による被爆を診断するために生体内で活性化された転写因子を特定する。
これらの操作は次のように要約される:
a)検査を受ける動物又はヒトの細胞又は組織から活性化された転写因子を抽出又は採取し;
b)核酸増幅プライマー認識配列及びDNA応答因子から構成される核酸トレーサー試薬に活性化された転写因子が結合するのを可能としてタンパク質―核酸複合体を形成せしめ;
c)複合体を形成していない核酸トレーサーからタンパク質―核酸複合体を分離し;そして
d)増幅により複合体形成した核酸トレーサーを検出又は定量し、対象の状態と相互関連づける。
活性化転写因子は、対象の転写因子にふさわしい細胞又は組織から得られる。したがって、発病させるバイオマーカーを検出するために、免疫細胞が標準的な方法(たとえば遠心分離)で血液から分離精製され、活性化転写因子を含む分画が免疫細胞から抽出される。好ましくは、活性化転写因子を内因性のDNA応答因子と複合体を形成させないようにして抽出する。
いろいろな捕捉方法により未結合のトレーサーとタンパク質から結合した核酸トレーサーを分離する方法を含めて、結合した核酸トレーサーの存在を測定するための操作が、上述された。転写因子が、AhR、HIF-1α及び類似PASファミリータンパク質である場合、好ましい捕捉抗体はARNTと選択的に結合することも、上述されている。
したがって、マイクロタイターストリップ又はプレートに被覆した捕捉抗体を用いるアッセイは、次の操作を含むものである:
a)細胞又は組織(たとえば、細胞培養又は検査を行いたい動物やヒトの患者からのもの)のサンプルを得る。ここで用いる“細胞”又は“組織”は、他に示さない限り、血液とその構成成分を包含している;
b)細胞又は組織から活性化転写因子を含む分画を抽出し;
c)活性化転写因子を含むと考えられる抽出物をストリップ又はプレートのウェルに移しそしてプロテインAによりマイクロタイターウェルに結合したARNTに対する抗体を用いて(ELISA技術で)活性化複合体を捕捉し;
d)ストリップを洗浄し、捕捉されない物質を除去し;
e)上述のようにPCR試薬をストリップ又はプレートの各ウェルに加え、核酸トレーサーにより捕捉されたDNA応答因子を検出する。
もう一つの好ましい実施態様では、活性化された転写因子の補捉は、該活性化転写因子複合体の自然に発生した構成成分を遺伝子組換えタンパク質でもって置換することにより促進できる。このような融合タンパク質は、網羅的な詳細が上述されているように、そのタンパク質を簡単に捕捉し又は特定するための付加ポリペプチド配列を与えるように修飾されたものであることができる。
固相担体としては、上述されているようにタンパク質―核酸複合体を測定するための検出方法に適した素材又は素材表面があげられる。
D.活性化転写因子を検出するための分析のためのアッセイキット
本検出方法は、好ましくは従来の検査キット形式で実施される。たとえば、アッセイキットは、磁性ビーズ、捕捉プレート又は捕捉ストリップ(例えば、プロテインAなどの捕捉物質で被覆されたもの)などの担体を含んでいる。その担体は、それに固定化される捕捉抗体(たとえば、抗ARNT,ER又はGR抗体)と共に随意に調製される。そのキットは、対象の転写因子に特異的なある量の核酸トレーサーをバッファーと洗浄液を組み合わせて包含させて調製される。
E.核酸トレーサー試薬
本発明の核酸トレーサー試薬は、核酸増幅を組み込んだ検出アッセイに用いるために独自に設計された。この新規なアッセイ試薬は、少なくとも1つの核酸プライマー認識配列と活性化転写因子が結合する少なくとも1つのDNA応答因子で構成され、当業者が一般に良く知られた方法で構築することができる。特に、最適な増幅のために重要なパラメーターはその配列の正確な設計と位置であるということに留意してプライマー認識配列は増幅のために最適化されるべきであり、それにより、非特異的な生成物の生成を減らし、バックグラウンドを減らし、その反応の対数期で蓄積する生成物の理論値に近い生成物総量を生成することになる。指数的な増幅においては、各アニーリング(再形成)のステップでのほんの小さな効率の悪さが拡大されて、増幅された生成物の著しい減少をもたらす(PCR Primer, A Laboratory Manual, Edited by Dieffenbach and Dvdksler, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995)。
選択した増幅方法に対する最適な溶解温度を保証する最短の認識配列を使用すると、最も良い特異性と効率性を維持することができる。PCRにとって、もしPCRのアニーリング(再形成)温度がプライマーのTm(プライマー/テムプレートの解離温度として定義される)の数度以内に設定されるなら、18から24塩基のプライマーはかなり配列特異的となる傾向がある。プライマー認識配列とプライマーの間の完全な塩基対合は、良い結果を得るために最適である。さらに、GC含量とTmは、プライマー対の中で良く適合すべきである。Tmの値が低くなるほど特異性が失われるので、プライマー対が適合しない場合、効率と特異性が悪くなる。より高いTm値にプライマーを設定すると、この条件下で誤作用の可能性が大きくなる。プライマー認識配列の設計は重要であり、プライマー−ダイマー現象を排除できよう。
技術的に使用できるプライマーを構築し、プライマー認識部位を設計するために利用できる多くのソフトウェアープログラムがある。
前述したように、DNA応答因子は、転写因子が結合し遺伝子の転写を制御する遺伝子又は遺伝子領域と結合する又はそれと「コンパチブルな」(互換する)DNA配列である。今日まで特定されたDNA応答因子は、最初には文献で公開され、その後、それは、DDBJ、EMBL、Genebank、及びTRANSFACなどの配列データベース(それらの内容のすべてはそれを参照することにより本明細書に含められる)に登録するためにそこに提出されているものである。
本来なら、プライマーは、前から存在する核酸テンプレートが対象のDNA又はRNA分子内部の特異配列に相当するように設計される。この環境下で、プライマーは増幅の特異性と増幅の効率のバランスが取れるように設計される。本発明では、プライマー認識配列は、増幅工程で最適化される重要な要因を考慮して、完全なプライマーセットがアッセイで使用できるように設計される。
〔実施例〕
当業者にとっては明らかであるように、本発明の精神並びに範囲から逸脱することなしに本発明を改変したり変形したりすることを行うことができる。以下に記載される具体的な態様は実施例として提示されるものであって、本発明は添付の請求項並びに当該請求項として権利付与されたものと均等なものについてのすべての範囲によってだけ制限されるものである。
試薬の調製
A.Ahレセプターの調製
AhRを含むヘテロマーは哺乳類の肝細胞から標準の方法で得られる。肝細胞としては、Hepa 1c1c7マウス肝癌細胞、及びラット肝臓があげられる。Hepa 1c1c7は、アメリカンタイプカルチャーコレクションATCC No.CRL2026を利用できる。齧歯類としては、ジャクソンラボラトリーズ又はチャールズリバーラボラトリーズから入手されるC57BS/6Jマウス、ロング−エバンスラット、及びハートレーモルモットがあげられる。
Hepa 1c1c7細胞は次のように処理された。
25mM MOPS、1mM EDTA、0.02%NaN3(wt/vol)、1mM DTT、10%グリセロール(vol/vol)、1Xプロテアーセーインヒビター(シグマP2714)、pH7.5のMENDG緩衝液を調製した。
要約すると、ディシュ中でHepa 1c1c7細胞を密集状態に増殖し、冷したPBSで洗浄した。細胞をPBS中でこすり取り、1000×gで5分間遠心分離しペレットとした。細胞ペレットを8mlのMENDGで再浮遊させ、約50×150mmのプレートに入れた。次いで、細胞を氷の中で2回20秒間パルス超音波破砕し、溶解した。別の方法としては、製造者の手引書(ピアス、ロックフォード、IL61105)に従って哺乳類タンパク質抽出試薬M-PERを用いて細胞を溶解するものである。溶解物を4℃で、105,000g、1時間超遠心分離した。AhRヘテロマーを含む細胞質ゾルなどの上清液は、使用するまで小分けし、-70℃で凍結した。
次のように齧歯類の肝臓を入手し、処理した。CO2による窒息又は頚椎脱臼により動物を死に至らしめた。その肝臓を摘出し、直ちにPBSに浸漬、又はHEDG緩衝液(25mM HEPES(N-2[2-Hydroxyethyl]piperazine-N'-[2-ethansulfonic acid] Sodium salt)、1.0mM EDTA(Ethylenediamine-tetraacetic acid Tetrasodium salt)、1mM DTT(DL-Dithiothreitol)、10%グリセリン(vol/vol)、pH7.6)を用いて分散した。その肝臓を微細なミンチ状にし、テフロン(登録商標)−ガラス ポッターエルベジェム型組織ホモジナイザーを用いて氷温冷却HEDG中でホモジナイズした。ホモジナイズされた試料を4℃10,000×gで20分間遠心分離した。その上清液を4℃100,000×gで60分間遠心分離した。各遠心分離の後、表面の脂質を除去した。AhRヘテロマーを含む細胞質ゾルを-70℃で保存した。
B.Ahレセプターに対する核酸転写因子の調製
核酸トレーサーの相補的なストランド(DRE1とDRE2で示される)は、商業ベースで合成された。ダイオキシン応答因子ヌクレオチド配列は、当該分野で知られており、後で示す参考文献で公開されている。プライマー認識配列は後で示す参考文献で公開されているプライマー配列から選択されるか、又は市販されている核酸ソフトウェアーを用いて設計された。
DRE1(SEQ ID NO:1)
CAACTTCATCCACGTTCACCTCGAGCTGGGGGCATTGCGTGACAAGCCGTACCTGTCCTTGGCTCTTC
DRE2(SEQ ID NO:2)
GAAGAGCCAAGGACAGGTACGGCTTGTCACGCAATGCCCCCAGCTCGAGGTGAACGTGGATGAAGTTG
下線の配列はダイオキシン応答因子であり、オリゴヌクレオチドの末端20ヌクレオチドはプライマー認識配列を含んでいる。ゲルとジゴキシゲニン検出操作のためのプライマー(PRIAとPRIB)は、修飾することなく商業的に合成された。
PRIA,GAAGAGCCAAGGACAGGTAC(SEQ ID NO:3)
PRIB,CAACTTCATCCACGTTCACC(SEQ ID NO:4)
核酸トレーサー分子は、相補的なオリゴヌクレオチドストランド(たとえば、DRE1とDRE2)をアニーリング(再形成)することにより調製された。1μMの相補的オリゴヌクレオチド溶液は1分間95℃、1分間80℃、1分間65℃に加熱され、次いで室温に冷やされる。100nMに10倍希釈した再形成テンプレート溶液は、小分けされ-20℃で保存された。
C.緩衝液、プロテインAストリップ及び捕捉ストリップの調製
洗浄緩衝液Aは、10mM トリス、150mM NaCl、及び0.1% NaN3(wt/vol)を構成成分としpH7.6に調製された。
マイクロタイターストリップを被覆するプロテインAは、TopYieldTMマイクロタイターストリップ(“ストリップ”)(ヌンク、デンマーク)を炭酸緩衝液中で50μlのプロテインAで被覆し、次いで37℃で1〜1.5時間ストリップをインキュベートして調製された。各ストリップは、自動ストリップ洗浄機と互換性のある96ウェルプレート用サーモサイクラーで使えるような型式で、薄い壁の8ウェルからなる。
プロテインA被覆ストリップを、洗浄緩衝液Aで3回洗浄し、各ウェルに100μlのブロッキング緩衝液(5%脱脂乾燥ミルク(wt/vol)含有洗浄液A)を加えた。プロテインAストリップを、使用する時までブロッキング緩衝液中に4℃で保存した。
捕捉ストリップは、上述のプロテインAストリップを用いて次のように調製した。アリールハイドロカーボンレセプターヌクリアートランスロケーター(“ARNT”)に対する抗体をノバスバイオロジカルス(リトルトン、CO)から抗HIF-1βとして入手し、ハイブリザイム アッセイ緩衝液(ハイブリザイム、ローリー、NCから市販)で1/1000に希釈した。プロテインAストリップを洗浄緩衝液B(洗浄緩衝液A+0.05%ツイーン20(wt/vol))で3回洗浄した。50μlの希釈抗体溶液をプロテインAストリップの各ウェルに加え、1〜1.5時間振盪攪拌しながらインキュベートした。プロテインAに結合していない抗体を除去するために、抗体被覆ストリップを洗浄緩衝液Bで3回洗浄し、直ちに使用した。
他の抗体も捕捉するために利用できた。これらとしては、マウスAhRの1〜402アミノ酸残基と結合できるウサギ抗AhRポリクローナル抗体があげられた。このポリクローナル抗体に関しては、Pollenz, RS, Sattler, CA, Poland, A Mol. Pharm., 45, 428-438(1994)でより詳細に記載されており、その内容のすべてはそれを参照することにより本明細書に含められる。ウサギ抗AhR抗体捕捉ストリップは、抗ARNT抗体に対する上述した方法で調製された。
D.ARNT-GST融合タンパク質の調製
マウスARNTの1〜474アミノ酸をエンコードするcDNA断片(Reyes, H., et al., 1992 Science 256: 1193-1195)を、Reisz-Porszasz et al., 1994, Molecular and Cellular Biology 14(9): 6075-6086; Pongratz et al., 1998, Molecular and Cellular Biology 18(7): 4079-4088(これらの内容のすべてはそれを参照することにより本明細書に含められる)の手順に従って、PCR増幅cDNAを使用してpGEX-4Tベクター1,2及び3(カタログ番号 27-4580-01, 27-4581-01, 27-4582-01;アマシャムファルマシアバイオテック)中でクローン化した。
GST融合タンパク質は、以下に示す手順で、遺伝子組換え構成物を導入されたバクテリア(E.Coli BL21)の1L培養で定期的に調製された。ルリア培養液中で一晩培養された10mlの培養液を、アンピシリン(100μg/ml)を加えた1Lのルリア培養液で希釈し、37℃ウォーターバス中で振盪攪拌して2.5時間インキュベートした。遺伝子発現はtacプロモーターで制御され、イソプロピルベータチオガラクトシド("IPTG")を加えてさらに2.5時間培養すると最終的に0.1mMの濃度に誘導された。培養したバクテリアを採取し、7700g、4℃で10分間遠心分離して沈殿させ、上清液を捨てた。バクテリアをPBSで洗浄し2mlの試験管に再沈殿させた。上清液を吸引し廃棄した。次に使用するまで、得られたバクテリアの沈殿を液体窒素中に凍結保存した。
溶解緩衝液(20mMトリス、pH8.0、0.1M NaCl、10%グリセリン(vol/vol))をそのバクテリアの沈殿に加え、沈殿を再浮遊させた。次に、リゾチームを150μg/mlのバクテリア浮遊液に加え、浮遊液を30分間氷中でインキュベートした。5mMの濃度になるようにDL-ジチオスレイトール("DTT")を加えた。N-ラウリルサルコシン(サルコシル)を0.8%(wt/vol)の濃度になるように加え、細胞を氷中で15分間インキュベートした。バクテリアを氷中で30秒間2回超音波破砕した。プロテアーゼ阻害剤(シグマP2714)を最終1Xの濃度になるように加え、分解溶液を4℃、40,000gで45分間超遠心分離した。トリトンX100を1%(vol/vol)その上清液に加えた。PBSで洗浄したグルタチオンーアガロース(シグマG4510)を2mlその抽出液に加え、緩やかに1時間振盪攪拌した。アガロースを500gで遠心分離して3回洗浄した。pH8.0の50mMトリスで10mMに希釈したグルタチオンを用いて30分間バッチ混合してGST-タンパク質を溶出した。精製したタンパク質を小分けし-20℃で凍結した。10μlの小分け溶液を、クマーシータンパク質染色法を含むSDS-PAGE法で解析した。
E.ビオチン標識ARNTの調製
ARNTとGSTの融合体の精製は、前述したように実施された。約1mlの200μg/mlのARNT溶液をSlide-A-Lyzer透析カセット(ピアス、製品番号66415、66425)の中でpH8.0のPBSを用いて4℃一晩透析した。18ゲージの注射針を用いて各3、5、20μlの2mg/200μlサルフォ-NHS-LC-ビオチン(ピアス、製品番号21430)水溶液をカセットに注入した。そのカセットを振盪機で30分間室温において振盪した。そのカセットを4℃、pH8.0の20mMのトリスで一晩透析した。
各3、5、20μlの2mg/200μlサルフォ-NHS-LC-ビオチンと混合されたビオチン化ARNTサンプルを、ゲル電気泳動とウエスタンブロット分析により分析した。調製したARNTの泳動は、ビオチンの結合によりわずかに遅れる。それぞれの濃度のサルフォ-NHS-LC-ビオチンでビオチン化されたARNTはGSTに対する抗体に認識され、ストレプトアビジン標識HRPと反応した。
F.ニュートアビジンストリップの調製
マイクロタイターストリップ(ヌンク TopYield)を炭酸緩衝液に溶解した50μlの5μg/mlニュートアビジンで被覆し、37℃で1時間インキュベートする。ストリップを洗浄液Aで3回洗浄し、150μlのブロッキング緩衝液(5%脱脂乾燥ミルク(wt/vol)含有洗浄液A)を加えて室温で30分間インキュベートし、4℃で2週間以上保存した。使用前に、マイクロタイターストリップを洗浄液Bで3回洗浄した。
G.抗体被覆磁性微粒子の調製
抗低酸素症誘発因子1ベータ(a/k/a ARNT)ポリクローナル抗血清は、ノバスバイオロジカルス、リトルトン、Co(製品番号NB100-110)から購入した。イムノピュアIgG(プロテインA)精製キット(ピアス、製品番号44667)を用いて製品の手引きに従って抗血清のIgG分画を調製した。約1mgのIgGは200μlの抗血清から調製された。Ser-Mag磁性カルボキシル基導入微粒子をセラジン、インデアナポリス、IN(製品番号294290050250)から購入した。抗体をビーズに結合させるため、製品の手引き書に従い、共有結合のための前調製を実施した。
活性化操作では、次の試薬を1.5mlのマイクロチューブ内で混合した:100μlの500mM MES緩衝液pH6.1、100μlの10%(wt/vol)微粒子浮遊液、230μlのNHS(50mg/ml水溶液)、110μlのEDAC(10mg/ml水溶液)及び360μlの水。そのチューブをミキシングホイールを用いて室温で30分間混合した。その微粒子を遠心分離し、上清液を廃棄した。その微粒子を1mlの50mM MES緩衝液pH6.1で再浮遊させ、遠心分離して上清液を廃棄した。沈殿を100μlの500mM MES pH6.1、650μlの水及び250μlの抗体(1mg/ml)に再浮遊させ、ピペットを使ってすばやく混合した。そのチューブをミキシングホイールを用いて室温で1時間混合した。その微粒子を50mM MES緩衝液pH6.1で3回洗浄した。最後に沈殿をカゼインブロッキング緩衝液(25mMトリスpH8.3、1%(wt/vol)カゼイン、100mM NaCl、0,1%(wt/vol)NaN3)または脱脂乾燥ミルク(NFDM)ブロッキング緩衝液(25mMトリスpH8.3、5%(wt/vol)NFDM、100mM NaCl、0,1%(wt/vol)NaN3)のいずれかの中で再浮遊した。
H.HIF-1β転写因子の調製
1.ヒトHeLaS3細胞
ヒトHeLa S3細胞を維持し、125mM CoCl2で処理した(Wang & Semenza, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1993 90:4304-4308)。処理した細胞及び処理していない細胞から細胞質ゾルの抽出液を調製した。報告されているように、処理していない細胞から核抽出液を調製した(Wang & Semenza, Mol. Cell. Biol. 1992 12: 5447-5454; Dignam et al., Nucleic Acids Res. 1983 11: 1474-1489)。アメリカンタイプカルチャーコレクションから入手したHeLa S3細胞を5%(v/v)牛胎児血清を加えたF12K培地を用い150mmの組織培養ディシュ中で増殖させた。
2.細胞質ゾル抽出液の調製
HIF-1 DNA結合活性は次のように誘導される。活発に分裂するHeLa S3細胞を37℃4時間125 mM CoCl2で処理した。採取前に、細胞を氷で冷却したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて組織培養ディシュ中で2回洗浄した。細胞を420×gで5分間遠心分離して沈殿させ、PBSで2回洗浄し、細胞の5倍容量のシグマのプロテアーゼ阻害剤カクテル(P8340,シグマケミカル株式会社、セントルイス、MO)を添加した緩衝液A(10mMトリス−塩酸(pH7.6)、1.5mM MgCl2、10mM KCl,1mM DTT)に再浮遊させた。15分間氷中でインキュベーションした後、細胞を450×gで5分間遠心分離して沈殿させ、細胞の2倍容量のシグマのプロテアーゼ阻害剤カクテルを添加した緩衝液C(0.42M KCl、20mMトリス−塩酸(pH7.6)、20%グリセリン、1.5mM MgCl2、1mM DTT、及び0.2mM EDTA)に再浮遊させた。その細胞を、マイクロチップを取り付けたブランソン・ソニフィア450(ブランソンウルトラソニックコープ、ダンバリー、CT)を用いて45%の負荷サイクルの20秒パルスで2回破砕した。20,000×gで5分間遠心分離した後、上清液を細胞質ゾル抽出液とした。処理した細胞と処理していない細胞から調製したその細胞質ゾル抽出液を小分けして-80℃で保存した。
3.核抽出物の調製
核抽出物を以下のようにして調製した。上述した未処理の細胞を420×gで5分間遠心分離して沈殿し、氷冷したリン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄し、細胞の5倍容量のシグマのプロテアーゼ阻害剤カクテルを添加した緩衝液A(10mMトリス−塩酸(pH7.6)、1.5mM MgCl2、10mM KCl,1mM DTT)に再浮遊させた。氷中に15分間インキュベートした後、細胞を450×gで5分間遠心分離して沈殿させ、細胞の2倍容量の緩衝液Aで浮遊させ、タイプBのペセルを備えたガラス製のドンスホモジナイザー中で20ストロークして溶解した。核を10,000×gで10分間遠心分離して沈殿し、沈殿細胞の2/3をシグマのプロテアーゼ阻害剤カクテルを添加した緩衝液C(0.42M KCl、20mMトリス−塩酸(pH7.6)、20%グリセリン、1.5mM MgCl2、1mM DTT、及び0.2mM EDTA)で再浮遊させた。核タンパク質を4℃で30分間振盪して抽出した。20,000×gで5分間遠心分離した後、上清液を核抽出物とした。核抽出物を小分けし-80℃で保存した。
I.HIF-1αに特異的な核酸トレーサーの調製
核酸トレーサーの相補的なストランド(HRE1とHRE2で示される)は、商業ベースで合成された。低酸素症応答因子(HRE)核酸配列は、当該分野で知られている(Semenza et al., JBC 1996 271:32529-32537)。プライマー認識配列は後で示す参考文献で公開されているプライマー配列から選択されたか、又は市販されている核酸ソフトウェアーを用いて設計された。
HRE1(SEQ ID NO:5)
CAACTTCATCCAGTCTCACCGATCGCCCTACGTGCTGTCTCGACTCTGTCCTTGGCTCTAC
HRE2(SEQ ID NO:6)
GTAGAGCCAAGGACAGAGTCGAGACAGCACGTAGGGCGATCGGTGAGACTGGATGAAGTTG
オリゴヌクレオチドの末端20ヌクレオチドはプライマー認識配列を含んでいる。プライマーは商業的に合成され、PRIHaとPRIHbとした。
PRIHa(SEQ ID NO:7)
CAACTTCATCCAGTCTCACC
PRIHb(SEQ ID NO:8)
GTAGAGCCAAGGACAGAGTC
HREの検出のためのオリゴマー(HRECo1とHRECo2で示される)は、競合アッセイのためのプライマー認識配列を除き商業的に合成されていた。
HRECo1(SEQ ID NO:9)
GATCGCCCTACGTGCTGTCTC
HRECo2(SEQ ID NO:10)
GAGACAGCACGTAGGGCGATC
核酸トレーサー又はDNA−拮抗剤分子は、相補的なオリゴヌクレオチドストランド(たとえば、HRE1とHRE2、またはHRECo1とHRECo2)を再形成することにより調製された。1μMの相補的オリゴヌクレオチド溶液は1分間95℃、1分間80℃、1分間65℃に加熱され、次いで室温に冷やされる。100nMに10倍希釈した再形成テンプレート溶液は、小分けされ-20℃で保存された。
J.エストロゲンレセプター試薬の調製
遺伝子組換えヒトER−αを発現するバキュロウイルスをパンベラ、マジソンWIから購入した(カタログ番号P2187)。ヒトERに特異的なマウスモノクローナル抗体をストレスジーン・インク、ビクトリア、ブリティシュコロンビア、カナダから購入し(カタログ番号SRA-100)、抗マウスIgGストリップ/プレート(ワラック、フィンランド)に被覆した。
その核酸トレーサーは、実施例1Bで記載したプライマー認識配列の横に位置しているビテロゲニンプロモーターからのただ一つのEREを包含していた。したがって、PRIAとPRIBをプライマーとして利用した。すべての配列は5'側から3'側へである。
VER1(SEQ ID NO:11)
CAACTTCATCCACGTTCACCGTCCAAAGTCAGGTCACAGTGACCTGATCAAAGTTGTACCTGTCCTTGGCTCTTC
VER2(SEQ ID NO:12)
GAAGAGCCAAGGACAGGTACAACTTTGATCAGGTCACTGTGACCTGACTTTGGACGGTGAACGTGGATGAAGTTG
EREストランド拮抗剤
DX1 CTAGAAAGTCAGGTCACAGTGACCTG (SEQ ID NO:13)
DX2 CAGGTCACTGTGACCTGACTTTCTAG (SEQ ID NO:14)
K.糖質コルチコイドレセプター試薬の調製
活性化糖質コルチコイドレセプター(GR)の検出は、上述のERと類似した方法で実施された。遺伝子組換えヒトGRを発現するバキュロウイルスをパンベラ、マジソンWIから購入した(カタログ番号P2187)。GRに特異的なウサギ抗GRポリクローナル抗体をアフィニティー・バイオレアージェント、ゴールドイン、COから購入し(カタログ番号PA1-510A)、抗マウスIgGストリップ/プレート(ワラック、フィンランド)に被覆した。
その核酸トレーサーは、実施例1Bで記載したプライマー認識配列の横に位置しているチロシンアミノトランスフェラーゼからのただ一つのGREを包含していた。したがって、PRIAとPRIBをプライマーとして利用した。すべての配列は5'側から3'側へである。
BGGR1(SEQ ID NO:15)
CAACTTCATCCACGTTCACCGCTGTACAGGATGTTCTGCCGTACCTGTCCTTGGCTCTTC
BGGR2(SEQ ID NO:16)
GAAGAGCCAAGGACAGGTACGGCAGAACATCCTGTACAGCGGTGAACGTGGATGAAGTTG
GREストランド拮抗剤
TGR1 GCTGTACAGGATGTTCTGCC (SEQ ID NO:17)
TGR2 GGCAGAACATCCTGTACAGC (SEQ ID NO:18)
ダイオキシン類の検出
A.リアルタイムPCRによるダイオキシン類の測定
メタノールに溶解した5000、2500、1250、626、313,156、及び78ppt(又はpg/ml)の2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシン標準品を調製した。TCDD標準品に加え、AhRのアゴニストとして、ベータナフトフラボン(BNF)を調製し、アッセイで測定した。別途、保存していた10μMの核酸トレーサーを1:50,000に希釈し、その25μlをAhRの原料である齧歯類の細胞質ゾルの1mlに加え、ガラス試験管に小分けした。標準品を50〜100μlの齧歯類細胞質ゾルの中に1:20で希釈し、室温から37℃で1〜2時間インキュベートした。インキュベーション後、40〜100μlの反応液を、抗体を被覆した捕捉ストリップの各ウェルに移し、室温で30分〜1時間振盪してインキュベートした。随意に各洗浄サイクルの間洗浄緩衝液を30秒〜5分間浸漬しながら、その捕捉ストリップを洗浄緩衝液Bで5回洗浄し、吸引した。タックマンユニバーサルPCRマスターミックス、プライマー、及びタックマンプローブ(アプライドバイオシステムズ、CA)を加え、粘着性のカバーを貼り付けた。50℃2分、95℃10分、95℃15秒と60℃60秒を40サイクルの条件でABI PRISM7700を用いてPCRを行い、解析した。各反応のしきい値サイクル(Ct)を測定した。Ctは、ベースライン以上の蛍光の増加を最初に検出できるPCRサイクル値である。
モルモットから得られたAhRを使用したとき、その用量応答曲線(検量線)はアッセイにおけるTCDDのEC50が2.6pg、傾きは-1.042であり、そして相関係数の2乗は0.9975である特性を持っていた。ラットから得られたAhRを使用した場合の用量応答曲線(検量線)はアッセイにおけるTCDDのEC50が2.8pg、傾きは-1.208、そして相関係数の2乗は0.9989である特性を持っており、同様な結果を得た。代表的な検量線データを下の表にまとめた。
Figure 2005519640
AhRの薬理作用は、上述したアッセイでBNFの反応性を試験することにより証明された。BNFはTCDDよりも非常に小さいAhR親和力を持つアゴニストである(Carver et al., 1994 JBC 269:30109-30112)。TCDDと同じように検量線データを取ると、BNFでは、それぞれEC50が4pM、傾き-1.195、相関係数の2乗0.9990であるのと、EC50が40pM、傾き-0.7637、相関係数の2乗0.9993であり、このデータはAhRの薬理特性がそのアッセイにおいて保持されていることを示した。
リアルタイムPCRには、96サンプルを5時間以内で分析できるという特有の長所がある。さらに、リアルタイムPCRは、増幅過程の直線部分でデータを取ることで、最適なアッセイの感度と精度を保証する。
B.エンドポイントPCRによるダイオキシン類の測定
エンドポイントPCRもダイオキシン類の測定に使われる。10,100,1000fmolの2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシン(TCDD)を調製し、1μlの各標準品をガラス試験管に分注した。
アッセイのためのAhRを得るために、実施例1の記載に従って、Hepa 1c1c7細胞からの抽出液を調製した。各試験管にアッセイ緩衝液で希釈したHepa 1c1c7細胞からの抽出液0.5μlに対して100μlのNEATを加え、次いで混合し、キャップまたはパラフィルムでカバーをした。次にサンプルを室温から37℃で30分から2時間インキュベートした。次に塩と鮭の精液DNAをそれぞれ50mMから200mM、5から100μg/mlの濃度でAhR反応溶液に加えた。次いでサンプルを0〜20分間室温でインキュベートした。核酸トレーサー(1nM)を加え、TCDDが存在するときに活性化されたAhRと核酸トレーサーの間で複合体が形成するように緩やかに混合した。反応試験管を10分から1時間室温でインキュベートした。
抗ARNT抗体で被覆された捕捉ストリップを実施例1記載のように調製した。次いで、各ガラス試験管から捕捉ストリップの対応するウェルにAhR反応溶液を小分けして移動した。その捕捉ストリップをさらに30分から1時間室温で振盪しながらインキュベートした。随意に各洗浄サイクルの間洗浄緩衝液に30秒〜5分間浸漬し、未結合の核酸トレーサーを洗浄緩衝液Bで5回洗浄し厳密に除去した。必要なら、浸漬操作の間にストリップを振盪しても良い。そのストリップを水で2回洗浄し、最後にすべての溶液を吸引した。
捕捉ストリップに残る核酸トレーサーを次の方法によりPCR増幅した:次のような終濃度になるようにPCRマスターミックスを調製した:1.5mM MgCl2含有1×PCR緩衝液、0.2mM dATP, dCTP, dGTP, 0.15mM dTTP、0.05mM DIG-dUTP(ロシュ、インディアナポリス、IN)、0.5μMの各プライマー(PRI1A及びPRI1B)、0.22〜0.25μl/リアクション・タグ・ポリメラーゼ。そのマスターミックスを1ウェル当たり30〜50μl小分け分注し、次いでウェルを封印するためにテープを貼った。サーモサイクラーの条件は、94℃20秒、[94℃30秒、52℃30秒、72℃30秒]を15サイクル、次いで72℃30秒、4℃に冷却するものであった。
次に示すように、10μlのPCRサンプルを抗DIGを検出できるELISA-PCRでアッセイした。
そのPCRサンプルを0.2mlのチューブ内で水で30μlに希釈した。そのサンプルを3〜5分間95℃で加熱した。固定化(捕捉)プローブは
BDpro=TGTCACGCAATGCCCCCAGC-ビオチン(SEQ ID NO:19)
であった。
そのプローブをハイブリダイゼーション緩衝液(0.5X アッセイ緩衝液、0.5M NaCl)で10nMに希釈した。次いでそのプローブ(100μl=1pmol)をできたてのサンプルに加え、混合し、37℃で45分間インキュベートした。
そのサンプルを、デルフィアカタログ番号4009-0010(ワラック、フィンランド)から入手したマイクロタイターストリップ又はプレートの形態の、予備洗浄されており且つストレプトアビジンで被覆されているウェルに移し、室温で45分間振盪攪拌した。このストリップ又はプレートをワラック洗浄緩衝液(デルフィア濃縮洗浄液、カタログ番号13800865、ワラック、フィンランド)で3回洗浄した。自動プレート洗浄機用のワラック洗浄緩衝液(1X)をトリス、NaCl,及びツイーン20を含む25X濃縮洗浄液(ワラック)から調製した。
抗DIG抗体(シグマ・ケミカル、セントルイス、MO)をアッセイ緩衝液で1/1000に希釈し、各ウェルに100μl加え、30分間振盪攪拌した。次いでストリップをワラック洗浄緩衝液で3回洗浄した。Euで標識された抗マウスIgG(抗マウスIgG-Eu、カタログ番号1244-130、ワラック、フィンランド)をアッセイ緩衝液で1/50に希釈し、各ウェルに100μl加えた。そのストリップを30分間振盪攪拌し、次いでワラック洗浄緩衝液で3回洗浄した。エンハンサー溶液(デルフィアエンハンサー、カタログ番号C500-100,ワラック、フィンランド)を150μl加え、ストリップを1分間振盪攪拌した。時間分解蛍光が測定できるビクター2マルチカウンター/プレートリーダーでサンプルをカウントした。蛍光検出量をサンプル中のTCDD量に直接比例させた。検量線の代表的なデータを下の表にまとめた。
Figure 2005519640
TCDDの濃度を増加させると、ジゴキシゲニン修飾dUTPが組み込まれたPCR増幅DNA生成物が増加するというデータが得られることが示された。検量線はシグモイドな曲線であった。このアッセイの検出限界は、1〜10fmol TCDDである。
実施例1に記載のように、複合体をウサギ抗AhRポリクローナル抗体でもって固定化した時、類似の結果が得られた。
さらに試験を行い、AhRのアゴニストであるDMSO溶解BNFをHepa 1c1c7細胞に加えるとDMSO単独のコントロールの結果よりDNAシグナルが著しくかつ再現性良く増加した。
C.ARNT-GST融合タンパク質を利用したダイオキシン類の測定
グルタチオン-S-トランスフェラーゼを含む遺伝子組換えARNT融合タンパク質(ARNT/GST)が調製され、その結果抗GST抗体はGST抗原決定部位を特異的に標的としており、活性化Ahレセプター複合体と結合する。これは、GST抗原決定部位が免疫原性を持つため優位性があり、ピアス、シグマケミカル、パーキンエルマーライフサイエンスなどの製造業者から市販されている抗GSTマイクロタイタープレートを使用できる。
該レセプターは、ARNT/GST結合パートナーと試験サンプルとが存在すると活性化される。十分な量のARNT/GSTを加えて、Ahレセプター調製物内にある内因性ARNTと置換した。98μlのHepa 1c1c7(0.8mg)抽出物を1μlのGST-ARNT(50ng)及び1μlのサンプル(たとえば、BNF又は媒体のみ)と30℃で1時間チューブ中でインキュベートした。核酸トレーサーの非特異的結合は、反応混合物を60mMのNaClと2μgの鮭の精液DNAと共に室温で15分間前もってインキュベーションすることにより減少せしめられた。核酸トレーサーを50fmol加え、その反応物を室温で20分間インキュベートした。その複合体を市販されている96ウェル抗GSTプレート(パーキンエルマーライフサイエンス、ボストン、MA)で捕捉した。50μlのレセプター−DNA反応物を加える前に、その抗GST被覆マイクロタイタープレートをワラック洗浄緩衝液で1回洗浄した。そのプレートを室温で50分間振盪撹拌した。未結合の構成物を一連の洗浄で除去した。プレートをワラック洗浄緩衝液で3回洗浄し、次いで0.1mlのハイブリザイムアッセイ緩衝液を各ウェルに加えた。5分間振盪撹拌した後、その過程をもう2回繰り返した。アッセイ緩衝液と最終のインキュベーションした後、その緩衝液を吸引し、振盪しないで10秒間0.1mlの水を加えた。水を吸引した。市販されている抗GSTプレートはPCR増幅に使用する形態に設定されていない。したがって、過剰量の水を99℃に加熱し、適当なPCR容器(チューブ、ストリップ、プレート)に移して、25μlの熱水を各ウェルに加え、結合している核酸トレーサーを遊離させた。そのサンプルは、PCRで増幅されるまでの短時間、4℃で保存した。
実施例2、Bの記載にしたがってPCRを行った。購入した凍結乾燥プライマーを100μM、pH7.5のTEに懸濁し、最終容量を50μlとした。このうち25μlは上記の水溶解サンプルである。したがって、以下のように調製したマスターミックスは2倍濃度であるが、50μlの最終容量では1倍となる。最終的なPCRは、1倍のPCR緩衝液(10mM トリス、pH8.3、50mM KCl、0.001%ゼラチン)、1.5mM MgCl2、200μM dNTP,1μM 各プライマー、0.25〜0.3μlのTaqポリメラーゼ、及び反応ごとに25μlの水から構成された。
陰性コントロールサンプルとしては、25μlのPCRマスターミックスを加えた25μlの水を用いた。陽性コントロールサンプルとしては24.5μlの水、0.5μlの再形成テンプレート、及び25μlのPCRマスターミックスを用いた。
使用したサーマルサイクラーの条件は、95℃30秒間、[95℃30秒、52℃30秒、72℃30秒]を25〜30サイクル、次いで72℃30秒である。サンプルを、分析前に室温まで冷やし4℃で保存してもよい。
サンプルを、エチジウム−ブロマイドでDNAバンドを染色しUV照射で可視としたアガロースゲル電気泳動で分析した。陽性コントロールが明るい蛍光バンドを生じるように、各サンプルの20μlを4%ゲルで分析した。ゲルは、ポラロイド665フィルムを用いて45秒感光させて写真に撮られ、写真と陰画を処理した。陰画をエイチピースキャンジェット2200cでスキャンし、DNAバンドをサイオンイメージ(サイオンコーポレーション)ソフトウェアーで数値化した。
上述した操作方法でB-ナフトフラボン(10μM)又は媒体(DMSO)サンプルを30サイクルPCR条件で2重分析した。DMSOコントロールサンプルの平均値は、363であり、BNFを含むサンプルの平均値は3013であった。
D.ビオチン標識ARNTを用いたダイオキシン類の測定
アビジン/ストレプトアビジン−ビオチンの間で生じる結合現象は、知られている最も強い非共有結合の生物学的相互作用である。ビオチンとアビジン間の結合の形成は、非常に早く安定であり、活性が強く高感度なアッセイ系に適している。本実施例では、Ahレセプターを、過剰量のビオチン化ARNT、試験サンプル、及び核酸トレーサーの存在下にインキュベートした。活性化されたレセプター/核酸トレーサー複合体をストレプトアビジン被覆プレートで捕捉した。
標準品によるAhレセプターの活性化を、50μlのAhレセプター調製物、1μlの200μg/mlビオチン化ARNT、及び1μlの1nMベータナフトフラボンを含むマイクロファージチューブ内で行い、30℃で1時間インキュベートした。非特異的な反応を最小にするために、活性化複合体に1〜2μgの鮭の精液DNAと最終濃度が60mMとなるようにNaClを加えた。室温で10分間反応後、いろいろな濃度の核酸トレーサー(50〜500fmol)を加え、反応物を室温で更に10分間インキュベートした。反応混合物(40μl)をニュートアビジン被覆プレートに移し、ワラックプレートシェーカーで振盪して室温で30分間インキュベートした。そのウェルを、洗浄緩衝液Bで、洗浄の各サイクルの間に3分間洗浄液に浸漬しながら、5回洗浄し、次いで高精製水で2回洗浄した。
PCR分析のために、50μlのPCR試薬を加え、ウェルの含有物をジーンアンプPCRシステム2700(アプライドバイオシステムス、フォスターシティー、CA)を用いて28サイクルのPCR増幅を行った。PCRは、ヌクレアーゼ非含有水で適当な濃度に希釈した50μlのPCRマスターミックス(Promega, Madison, WI)及びPCR反応ごとに1μMのプライマーを用いて実施された。PCRミックスを加えた後、マイクロタイターストリップを粘着性シールで密封し、サーモサイクラーの中に入れた。サンプルは、Ahレセプター/ARNT複合体を変性するために最初95℃5分間、ついで遊離した核酸をPCRで分析するために94℃30秒、52℃30秒、72℃45秒を28サイクル行い、さらに72℃5分加熱後4℃に冷却された。
20μlのPCR生成物を4%アガロースゲル電気泳動で分析し、エチジウムブロマイド染色によりUV照射下でPCR生成物を目に見えるようにした。UV照射ゲルをポラロイドMP-4ランドカメラとポラロイドタイプ55フィルムを用いて写真撮影した。陰画フィルムの透過濃度を測定し、ピーク領域を任意の単位で算出した。
下の表に示すように、ビオチン化ARNTを効果的な捕捉システムとして使用し、それにより抗体を用いなくともよかった。核酸トレーサー濃度が過剰濃度のレセプターに加えられた時、核酸トレーサーは、アッセイのバックグラウンドが高くなり、感知できなかった。
Figure 2005519640
E.磁性微粒子を用いたダイオキシン類の測定
多くの小さな球状微粒子は、結合する抗体を捕捉するための広い表面積を持っている。またこれらの微粒子は各反応操作の間でも懸濁状態を維持しているので、分子分散距離が短くなり、インキュベーション時間を最小にできる。磁性微粒子は、未結合の物質を分離するために安価な小さい磁石を用いて洗浄操作を行うことができる。本実施例では、磁性微粒子をマイクロタイターストリップの代わりに使用している。
標準品を用いたAhレセプターの活性化を、50μlのAhレセプター調製品、1μlの200μg/mlビオチン化ARNT、及び1μlの1nM ベータ−ナフトフラボンを含むマイクロタイターストリップ中で行い、30℃で1時間インキュベートした。非特異的な反応を最小にするために、活性化複合体に1〜2μgの鮭の精液DNAと最終濃度が60mMとなるようにNaClを加えた。室温で10分間反応後、核酸トレーサー(50fmol)を加え、反応物を室温で更に10分間インキュベートした。抗ARNT抗体で被覆した微粒子の10%溶液の5μlをそれぞれのウェルに加え、ワラックマイクロタイタープレートシェーカーで振盪撹拌して室温で30分間インキュベートした。そのウェルを、マイクロタイタープレート中の磁性微粒子を分離するために設計されたライフセップ96P(デキスター、エルクグローブビレッジ、IL)磁石を用いて洗浄した。ストリップを3分間磁石分離機場に置いた。この時までにビーズはウェルの側面に移動しており、上清液を吸引除去した。そのビーズを洗浄緩衝液B 150μlでさらに4回洗浄した。ビーズを捕捉し、上清液を除去し、PCR反応混合物中で再懸濁し、実施例2Bにしたがって増幅処理した。増幅された生成物をゲル電気泳動で分析した。DMSO媒体コントロールよりBNFサンプルのDNAの著しい増加が観察された。
活性化Ahレセプターの測定
既にダイオキシン様化合物に被爆してしまった細胞(又は組織)において活性化Ahレセプターを検出できることを証明するために、次の実験が行われた。Hepa 1c1c7細胞をダルベッコウモデファイイーグルス培地と8%牛胎児血清中で密集するまで増殖させた。細胞をDMSOに溶解した10μMベータナフトフラボン(BNF)で1時間処理した。次いで、その細胞を1000xgの遠心分離により氷冷PBSで2回洗浄した後、採取した。次いで、その細胞を細胞ペレットの5倍容量の10mM Hepesに浮遊し、10分間放置した。
浮遊した細胞を再度遠心分離して採取し、細胞ペレットの2倍容量の3mM MgCl2と1mM DTTを含む25mM Hepes、pH7.5に再浮遊し、次いでコンテスのガラス製ドンスホモジナイザー(Bタイプペセル)で10ストロークして溶解した。ホモジネートによる細胞溶解を顕微鏡でチェックして確認し、次いで核を沈殿させるために1000xgで10分間遠心分離した。
核抽出物を次のように調製した。3mM MgCl2、1mM DTT、及び0.4M KClを含む25mM Hepes、pH7.5で核を再浮遊させ、30分間インキュベートした。30分間のインキュベートの間にときどきその浮遊液をボルテックで撹拌した。次いで、マイクロフューゲに入れハイスピードで遠心分離した。グリセリンを10%濃度になるようにその上清液に加えた。核抽出物を試験の前に塩濃度が低くなるように希釈した。希釈液は、タンパク質因子を不活性化するために煮沸され、ついで室温まで冷やされたHepa 1c1c7細胞抽出液である。BNF存在下で、核酸トレーサー(50fmol)を加え、活性化AhRと核酸トレーサーの間で複合体が形成するように緩やかに混合した。その反応試験管を室温で10分から1時間の時間範囲でインキュベートした。
抗ARNT抗体を被覆した捕捉ストリップを実施例1の記載に従って調製した。AhR反応媒体(25から100μl)の小分け品を対応する捕捉ストリップに移した。捕捉ストリップを室温でさらに30分から1時間振盪撹拌しながらインキュベートした。そのウェルを、洗浄の各サイクルの間に2〜5分間洗浄液に浸漬しながら洗浄緩衝液Bで5回洗浄し、未結合の核酸トレーサーを厳密に除去した。そのストリップを水で2回洗浄し、最後に液体を吸引除去した。捕捉ストリップに残存する核酸トレーサーを上述の方法に従ってPCR増幅した。
BNFに被爆した細胞からの核抽出物をアッセイに用いる時、媒体のDMSOで処理した細胞の核抽出物よりも、PCR増幅DNAの著しい再現可能な増加が観察された。この例では、サンプルからダイオキシンを抽出し試験する必要がない、ダイオキシン被爆に対する定量用マーカーを提供している。
活性化エストロゲンレセプターの測定
この実施例では、エストラジオール又は競合核酸ERE試薬が存在する時又は存在しない時の活性化ERを、抗体を被覆したウェルが捕捉するものであった。そのプライマー認識配列は、増幅を抑制する競合EREの核酸配列から除かれている。
ER(3.5pmol)を、100nM 17Bエストラジオールを含む又は含まない0.1mlの結合緩衝液(25mMトリス、pH8.0、50mM KCl、5%(vol/vol)グリセリン、0.5mM DTT,40μg/ml鮭精液DNA)と共に4℃で15分間インキュベートした。再形成した(アニール化された)競合物質デュプレックス(2重DNA)を、サンプルのモル濃度が100倍過剰になるように加えた。核酸トレーサーを(3.5pmol)加え、反応物を4℃で15分間インキュベートした。
50μlの反応溶液媒体を抗ERであらかじめ被覆したストリップのマイクロウェル中でインキュベートした。これらのストリップは、抗IgGストリップにアッセイ緩衝液で1/200に希釈した抗ER抗体を30〜45分間振盪撹拌しながらインキュベートし、次に洗浄緩衝液Bで3回洗浄することで調製された。
レセプター−DNA複合体を捕捉した後、未結合の物質を正確に実施例2Bの記載にしたがって洗浄した。PCRの26サイクルの実施を除き実施例2Bに記載と同様に、溶出したDNAの増幅を行った。増幅した生成物を上述したゲル電気泳動で分析した。本実施例で使用したバキュロウイルスの発現する遺伝子組換えヒトER-αは、DNA結合のためのリガンドによる活性化に依存しているものでなかった。DMSOで処理されたERとエストラジオールの両方が下の表に示すようにバックグラウンド以上のレセプター活性を持っていることが証明された。
Figure 2005519640
核酸試薬と競合する物質が存在すると、ERの活性化の状態を検出するアッセイ方法のアッセイ特異性とアッセイ性能を示しているシグナルを著しく減少せしめた。
糖質コルチコイドレセプターの検出
この実施例では、デキサメタゾン又は競合GREが存在する時又は存在しない時に活性化GRを抗体を被覆したウェルが捕捉するものであった。競合GREは、加えられたプライマーに相補的な配列を含んでおらず、したがって、PCRで増幅されない。GR(1pmol)を、100nMデキサメタゾンを含む又は含まない0.1mlの結合緩衝液(25mMトリス、pH7.9、60mM KCl、10%(vol/vol)グリセリン、2mM DTT,40μg/ml鮭精液DNA)と共に4℃で15分間インキュベートした。
再形成した競合物質2重DNAを、サンプルのモル濃度が100倍過剰になるように加えた。核酸トレーサーを(0.5pmol)加え、反応物を4℃で15分間インキュベートした。50μlの反応溶液媒体を抗GRであらかじめ被覆したストリップのマイクロウェル中でインキュベートした。これらのストリップは、抗IgGストリップにアッセイ緩衝液で1/200に希釈した抗GR抗体を30〜45分間振盪撹拌しながらインキュベートし、次に洗浄緩衝液Bで3回洗浄することで調製された。レセプター−DNA複合体を捕捉した後、未結合の物質を実施例2Bの記載に正確にしたがって洗浄した。PCRの25サイクルの実施を除き実施例2Bに記載したように、溶出したDNAの増幅を行った。
増幅した生成物を上述したゲル電気泳動で分析した。測定値は、陰性コントロール値(33)を差し引いて補正され、補正された陽性コントロール値は142であった。DMSOで処理されたGRとデキサメタゾンで処理されたGRの両方が下の表に示すようにバックグラウンド以上のレセプター活性を持っていることが証明された。
Figure 2005519640
本実施例で使用したバキュロウイルス発現遺伝子組換え体は、DNA結合のためのリガンドによる活性化が前提とならなかった。過剰の核酸競合物質は、増幅により獲得するシグナルを著しく減少させた。この競合物質は、レセプター−DNAの反応が特異的であることを証明している。バキュロウイルス発現ER又はGRは既に活性化されているが、生体内源及び他の生体外の発現系から得たERとGRは、DNA結合を生じるためにリガンドによる活性化が必要である。しかし、上記の特殊な実施例において、ERとGRはそれぞれ各レセプターに特異的に相互作用する被測定物質を検出するために使用されているが、それらは活性化されたレセプターの検出を証明するために使用される。
ファクター1α誘導低酸素症活性の検出
HIF-1αの誘導の検出は、未処理の細胞と125mM塩化コバルトに被爆させた細胞のHIF-1αの濃度を比較することにより実施された。上述したように、刺激物の中でコバルトがHIF-1αを誘導することが知られている。アッセイの根本的操作は次のように実施される。
コントロール及び誘導Hela細胞からの細胞質ゾル抽出物を上述のように調製した。その抽出物は、HEDG(25mM HEPES pH7.6、1mM EDTA、1mM DTT、及び10%グリセリン)で希釈され、50μlの反応媒体がそれぞれマイクロファージチューブに加えられた。核酸トレーサー(50fmol)を加え、HIF-1α/ARNTとトレーサーの間に複合体が形成するように緩やかに混合した。ある実験では、100xDNA−競合物質を加えた。反応チューブを室温で10分間インキュベートした。抗ARNT抗体で被覆した捕捉ストリップを上述したように調製した。それぞれのマイクロファージチューブから小分けした40μlの反応媒体を捕捉ストリップの対応するウェルに移した。捕捉ストリップを振盪撹拌しながら室温でさらに30分間インキュベートした。洗浄緩衝液Bで、洗浄の各サイクルの間に2〜5分間洗浄液に浸漬しながら5回洗浄し、未結合の核酸トレーサーを厳密に除去した。
捕捉ストリップに残っている核酸トレーサーを次の方法でPCR増幅した。
プライマーPRIHaとPRIHb(最終0.9μM)を2XPCRサイバーグリーンマスターミックス(アプライドバイオシステムス カタログ番号4309155)と1X水で作製されるマスターミックスに加えた。ウェル当たり60μlのマスターミックスを加え、ウェルを密封するためにテープを貼り、アプライドバイオシステム・ジンアンプ2700で9分間95℃でストリップを加熱することによりウェルの表面からそのDNAを溶離した。各ウェルから50μlのマスターミックスをPCRプレートへ移し、キャップをし、オプチコンサーモサイクラー(エムジェイリサーチインク、ワサム、Ma)を用いてリアルタイムPCRで分析した。サーモサイクラーの条件は、95℃1分、[95℃15秒、60℃1分]を40サイクルである。融解曲線を、サイバーグリーンの結果を実証するために得た。
要約すると、未処理の細胞又はCoCl2処理細胞から調製された細胞質ゾル抽出物を希釈し、核酸トレーサーに曝した。その複合体を抗ARNTポリクローナル抗体で被覆したマイクロタイタープレートに移し、結合させた。未結合の核酸トレーサーを洗浄して除去し、PCR反応混合物を加えた。DNAの増幅はリアルタイムPCRを用いてモニターされた。この操作が完了し、定性又は定量結果が出るためには数時間かかるだけである。
PCRのデータは、一般に一次成長曲線でプロットされる。定量及び比較目的で、しきい値サイクル(Ct)が各サンプルで測定される。そのしきい値はバックグラウンド以上の任意のシグナル値、またはバックグラウンド以上の特定な数の標準偏差である。Ct値は、一般にPCR生成物が最も早い速度で増幅し(試薬に制限されない)、増幅された生成物がバックグラウンド以上で検出できる最初のサイクルの近くで計算される。検出はサイバーグリーンプローブを用いて実施された。結果を下の表1にまとめた。
Figure 2005519640
処理及び未処理の細胞質ゾル調製物のCt値は、2.60単位以上異なっていた。経験則で、Ctの1ユニットの違いは、DNA濃度では約3倍の違いに相当する。競合DNAを添加すると、未結合の核酸トレーサーがHIF-1/ARNT複合体に結合することを完全に妨げる、したがって、DNA結合の特異性を実証することを可能にする。
HIF-1が未処理の細胞で検出できるかどうか判断するために、より高濃度のHIF-1を含む核抽出物を調製し、競合DNAの添加がある核抽出物と添加がない核抽出物に対するCt値を測定した。下の表2は、核抽出物への競合DNAの添加がDNAの結合を阻害することを示し、未処理のHIF-1がRCPCRアッセイを用いて検出できることが確認できる。
Figure 2005519640
多くの文献、特許、申請特許及び書類が本申請に引用されており、これらのすべては本特許の参考文献に盛り込まれている。
発明の好ましい実施態様であると現在考えられるものが記載されており、当業者は変更並びに修飾を発明の精神から逸脱することなくなされるであろうことを理解するであろう。このような変更並びに修飾がすべて本発明の真の適用範囲に含まれることを意図するものである。

Claims (27)

  1. サンプル中の被測定物質を迅速に測定するアッセイ方法において、
    (a)1) 該被測定物質と特異的に結合することができる転写因子アッセイ試薬であってかつ該被測定物質と接触して形質転換せしめられて一致するDNA応答因子と結合する機能を持つ活性化転写因子を生成する転写因子アッセイ試薬;及び
    2) 少なくとも1つの核酸プライマー認識配列及び活性化転写因子と結合する少なくとも1つのDNA応答因子からなる核酸トレーサー試薬;
    と該サンプルを接触させるものであって、そこでは該サンプルは該転写因子アッセイ試薬及び該核酸トレーサー試薬に同時に又は順次に、そしてそれらの間でタンパク質と核酸の複合体の形成が促進される条件下で、接触せしめられ;
    (b)複合体を形成していない核酸トレーサー試薬から該複合体を分離し;及び
    (c)核酸増幅により複合体を形成した核酸トレーサー試薬の存在を検出する;
    操作からなり、そこでは増幅された核酸トレーサー試薬の存在がサンプル中の被測定物質の存在を示すものであることを特徴とする該アッセイ方法。
  2. 該核酸増幅が原則としてPCR, LCR, RCAT, LAT, TMA, NASBA, BDA及びSDAからなる群から選択される請求項1記載のアッセイ方法。
  3. 核酸増幅がリアルタイムPCRである請求項2記載のアッセイ方法。
  4. 該転写因子アッセイ試薬が原則としてステロイドホルモンスーパーファミリーレセプター、PASスーパーファミリータンパク質、Statファミリー転写因子、Rel又はNFkBファミリータンパク質、CREBファミリータンパク質及びAP-1ファミリータンパク質からなる群から選択される請求項1記載のアッセイ方法。
  5. 該転写因子アッセイ試薬が原則としてステロイドホルモンスーパーファミリーレセプター及びPASスーパーファミリータンパク質からなる群から選択される請求項4記載のアッセイ方法。
  6. 該転写因子アッセイ試薬が原則としてアリールハイドロカーボンレセプター、エストロゲンレセプター及び糖質コルチコイドレセプターからなる群から選択される請求項5記載のアッセイ方法。
  7. 原則としてゲルろ過クロマトグラフィー、遠心分離ろ過、疎水性分離、荷電膜分離、ハイドロキシアパタイト分離、抗体沈降法、塩析、有機溶媒沈殿、ポリエチレングリコール沈殿及びシリカ沈殿からなる群から選択される技術を用いる複合体を形成していない核酸トレーサー試薬から該複合体を分離する請求項1記載のアッセイ方法。
  8. 該複合体または複合体を形成していない核酸トレーサー試薬と選択的に結合する試薬に該複合体または複合体を形成していない核酸トレーサー試薬を接触させることにより複合体を形成していない核酸トレーサー試薬から該複合体を分離する請求項1記載のアッセイ方法。
  9. 該複合体の抗原決定基と選択的に結合する抗体に該複合体を接触させることにより複合体を形成していない核酸トレーサー試薬から該複合体を分離する請求項8記載のアッセイ方法。
  10. 該試薬が固体担体に固定化された請求項8記載のアッセイ方法。
  11. 担体が原則として試験管、マイクロタイターウェル、マイクロタイターストリップ、マイクロタイタープレート、ビーズ、微粒子、磁性粒子及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項10記載のアッセイ方法。
  12. 該複合体がビオチン化されかつ固相に結合されたアビジンに該複合体を接触させることにより複合体を形成していない核酸トレーサー試薬から該複合体を分離する請求項8記載のアッセイ方法。
  13. サンプル中の特定の転写因子の活性を迅速に測定するアッセイ方法において、
    (a)少なくとも1つの核酸プライマー認識配列及び該特定の転写因子の活性化形態が結合する少なくとも1つのDNA応答因子からなる核酸トレーサー試薬と、該トレーサー試薬と該転写因子の間でタンパク質−核酸複合体の形成が促進する条件下で、サンプルを接触し;
    (b)複合体を形成していない核酸トレーサー試薬から該複合体を分離し;
    (c)核酸を増幅することにより複合体を形成した核酸トレーサー試薬の存在を検出し;及び
    (d)該転写因子の活性と増幅された核酸トレーサー試薬の存在を相関せしめる;
    操作からなることを特徴とする該アッセイ方法。
  14. 該転写因子が原則としてステロイドホルモンスーパーファミリーレセプター、PASスーパーファミリータンパク質、Statファミリー転写因子、Rel又はNFkBファミリータンパク質、CREBファミリータンパク質及びAP-1ファミリータンパク質からなる群から選択される請求項13記載のアッセイ方法。
  15. 該転写因子が原則としてステロイドホルモンスーパーファミリーレセプター及びPASスーパーファミリータンパク質からなる群から選択される請求項14記載のアッセイ方法。
  16. 該転写因子が原則としてアリールハイドロカーボンレセプター、エストロゲンレセプター、糖質コルチコイドレセプター及びHIF-1α転写因子からなる群から選択される請求項15記載のアッセイ方法。
  17. サンプルが動物組織、培養細胞及び動物からなる群から選択され、さらに該サンプルから活性化転写因子を抽出することを包含する請求項13記載のアッセイ方法。
  18. 該サンプルが、異常であること、被爆していることまたは毒性または感染性物質が原因であると考えられる症状があることが疑われる動物から得られる請求項17記載のアッセイ方法。
  19. 該サンプルがヒトから得られる請求項18記載のアッセイ方法。
  20. 該疾病が炭疽病である請求項18記載のアッセイ方法。
  21. 少なくとも1つの核酸プライマー認識配列及び活性化された転写因子が結合する少なくとも1つのDNA応答因子からなり、核酸増幅を行う検出アッセイに使用するための核酸トレーサー試薬。
  22. 被測定物質の存在を検出するためのアッセイに使用される請求項21記載の核酸トレーサー試薬。
  23. 転写因子活性を検出するためのアッセイに使用される請求項21記載の核酸トレーサー試薬。
  24. 核酸増幅プライマー認識配列がPCR, LCR, RCAT, LAT, TMA, NASBA, BDA及びSDAからなる群から選択される技術を用いた増幅で最適となる請求項21記載の核酸トレーサー試薬。
  25. 該核酸増幅プライマー認識配列がPCRを用いた増幅で最適となる請求項24記載の核酸トレーサー試薬。
  26. 該DNA応答因子が原則としてDDBJ、EMBL、Genebank及びTRANSFACからなる群から選択されるヌクレオチド配列データベースに収容されているDNA応答因子である請求項21記載の核酸トレーサー試薬。
  27. 該DNA応答因子が原則としてダイオキシン応答因子、エストロゲン応答因子、糖質コルチコイド応答因子及びHIF-1α応答因子からなる群から選択される請求項26記載の核酸トレーサー試薬。
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