JP4172332B2 - 核内受容体リガンド検出剤、組換えタンパク質、発現用遺伝子、組換えベクター、形質転換体、核内受容体リガンド検出方法、及び、核内受容体リガンド検出キット - Google Patents

核内受容体リガンド検出剤、組換えタンパク質、発現用遺伝子、組換えベクター、形質転換体、核内受容体リガンド検出方法、及び、核内受容体リガンド検出キット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核内受容体に結合し、生理作用を発揮する物質の迅速なスクリーニング即ち、内分泌攪乱物質の検出、化学物質の安全性試験のプレスクリーニング、オーファン核内受容体リガンドのスクリーニング又は血液中の低分子脂溶性ホルモンの測定等に好適に利用することができる、固相上での無細胞、ハイスループット型の核内受容体リガンドの検出に関する。
【0002】
【従来の技術】
内分泌攪乱物質の受容体は、核内受容体スーパーファミリーに属することが知られており、最近のゲノムプロジェクトの成果により、ヒトの核内受容体スーパーファミリーの遺伝子の総数は48であることが明かとなった。内分泌攪乱物質とは、いわゆる環境ホルモンであり、生体の恒常性、生殖、発生、あるいは行動に関する種々の内分泌系に影響を与える人工的に作られた化学物質の総称である。
【0003】
現在のところ、内分泌攪乱物質は核内受容体スーパーファミリーのうち女性ホルモン受容体や男性ホルモン受容体、甲状腺ホルモン受容体に結合し、そのホルモン作用を模倣したり阻害することにより働くと考えられている。
核内受容体スーパーファミリーに属する受容体群は、低分子脂溶性生理活性物質の受容体群と考えられており、受容体欠損マウス等の解析から、これらの受容体群が生体の発生・分化に深く関っていると推定されている。工業的に作りだされた化学物質がこれらの受容体群のいずれかあるいは複数の受容体に結合し、毒性を発揮する可能性は高い。したがって、内分泌攪乱物質をサーチするためには、女性ホルモン受容体、男性ホルモン受容体及び甲状腺ホルモン受容体に結合する物質のスクリーニングは勿論のこと、内分泌攪乱物質の潜在的な標的として、女性ホルモン受容体、男性ホルモン受容体、甲状腺ホルモン受容体以外の受容体群についても考慮する必要がある。
【0004】
これまで、人類が作りだしてきた化学物質は10万種類を超え、これらの化学物質の、多種の受容体への結合を測定するためには、簡便で迅速な検出系の創出が要求される。
【0005】
また、48種類の核内受容体群のうち、24種類はリガンド未同定のいわゆるオーファン受容体である。これらの機能については、現在のところあまりよくわかっていないが、オーファン受容体に結合する化合物は新規薬剤のリード化合物になる可能性が高く、製薬企業等でオーファン受容体に結合する化合物のスクリーニングが行なわれており、簡便で迅速な検出系の創出が求められている。
【0006】
さらに、現在、病院等において、患者の病態判断のため、血液中の甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモン等のホルモンレベルの測定が行なわれている。
【0007】
これらの場合に用いられる従来の、核内受容体への化学物質の結合を調べる方法としては、放射線同位元素や蛍光物質で標識したホルモンを用いた試験官内競合試験法及び培養細胞への遺伝子導入を用いたレポーター遺伝子試験法等がある。しかし、培養細胞を用いる場合には細胞膜の透過性の問題があり、また、いずれの方法も研究施設や熟練を要する技術の制約を受ける上に、同時に多種類の受容体への結合を調べることができず、ハイスループット型の大規模スクリーニングに適さない。
【0008】
女性ホルモンであるエストラジオールに対する抗体を用いた試験管内競合試験法(特開2000−283984、東洋紡績株式会社)は、ハイスループット型の同時多検体処理可能な方法であるが、多種類のホルモンに対し、一つ一つ抗体を準備しなくてはならず、多くの労力を要する。また、リガンド未知のオーファン受容体に対しては、抗体を作るための抗原を特定することが出来ず、原理的にアッセイ系を構築することが不可能であるという問題を有する。
【0009】
これに対し、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を用いた核内受容体リガンドの測定法(Zhou, G. et al. Toxicol. Mol.ecular Endocrinology., vol.12, p1594-1604, 2000)は、多種類の核内受容体に同時に対応でき、多検体同時処理可能な優れた方法である。しかし、この方法は蛍光試薬間のエネルギー移動を測定する必要があり、非常に高価な測定機器である時間分解蛍光測定装置等を必要とし、一般の研究所、環境関係の試験所、病院等ではこれらの機器がないため測定できないという問題を有する。
したがって、多種類の核内受容体に同時に対応でき、多検体同時処理可能な核内受容体リガンド測定法を広く普及させるためには、特別な機器を必要としない、より簡便な方法論が求められる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、化学物質、河川水や海水等の環境試料及び血液等の生体試料等についての、核内受容体への結合性の簡便かつ迅速な検出に利用することができ、内分泌攪乱物質の検出、化学物質の安全性試験のプレスクリーニング、オーファン核内受容体リガンドのスクリーニング又は血液中の低分子脂溶性ホルモンの測定等に好適に利用することができる核内受容体リガンド検出剤、該核内受容体リガンド検出剤として利用することができる組換えタンパク質、該組換えタンパク質の製造に利用することができる発現用遺伝子、組換えベクター及び形質転換体、並びに、該核内受容体リガンド検出剤を用いて核内受容体への結合性を簡便かつ迅速に検出できる核内受容体リガンド検出方法、該核内受容体リガンド検出剤と共に用いて核内受容体リガンドを検出することができる核内受容体担持体及び利便性に優れた核内受容体リガンド検出キットを提供することを目的とする。
【0011】
【問題を解決するための手段】
本発明者は、マイクロウェル等の固相上に核内受容体を固定化し、リガンド結合による受容体の変化を何らかの方法で検出できれば、多種類の受容体や化学物質に対応できると考えた。
【0012】
核内受容体は、リガンド依存性の転写調節因子であり、生体内においては、それぞれの受容体に特異的な生理活性物質が結合することにより、標的遺伝子の転写量を増大させる。この転写活性化過程の分子機構としては、(1)受容体のリガンド結合による構造変化、(2)構造変化した受容体への転写コアクチベーターの特異的な結合、(3)転写コアクチベーターと転写装置の相互作用、と考えられている。すなわち、転写コアクチベーターはリガンドが結合していない状態の受容体と、結合した状態の受容体とを識別することができる生体内のタンパク質であり、本発明者らは、転写コアクチベーターのこの性質を利用すれば、リガンドによる受容体の構造変化を検知できると考え、本発明に至った。
【0013】
すなわち本発明の前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 検出用タグ領域、及び、転写コアクチベーターの少なくとも一部のアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるリガンド依存性結合領域を有し、少なくとも一種の核内受容体とリガンド依存的に結合する活性を有する融合タンパク質を含み、核内受容体リガンドの検出に用いられる核内受容体リガンド検出剤であって、
該リガンド依存性結合領域が、少なくとも配列番号1のアミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって配列番号1のアミノ酸配列からなるリガンド依存性結合領域と同等の結合活性を有するものであることを特徴とする核内受容体リガンド検出剤である。
(配列番号1)
Pro Leu Ser Lys Met Gly Ser Leu Asp Ser Lys Asp Cys Phe Gly
1 5 10 15

Leu Tyr Gly Glu Pro Ser Glu Gly Thr Thr Gly Gln Ala Glu Ser
16 20 25 30

Ser Cys His Pro Gly Glu Gln Lys Glu Thr Asn Asp Pro Asn Leu
31 35 40 45

Pro Pro Ala Val Ser Ser Glu Arg Ala Asp Gly Gln Ser Arg Leu
46 50 55 60

His Asp Ser Lys Gly Gln Thr Lys Leu Leu Gln Leu Leu Thr Thr
61 65 70 75

Lys Ser Asp Gln Met Glu Pro Ser Pro Leu Ala Ser Ser Leu Ser
76 80 85 90

Asp Thr Asn Lys Asp Ser Thr Gly Ser Leu Pro Gly Ser Gly Ser
91 95 100 105

Thr His Gly Thr Ser Leu Lys Glu Lys His Lys Ile Leu His Arg
106 110 115 120

Leu Leu Gln Asp Ser Ser Ser Pro Val Asp Leu Ala Lys Leu Thr
121 125 130 135

Ala Glu Ala Thr Gly Lys Asp Leu Ser Gln Glu Ser Ser Ser Thr
136 140 145 150

Ala Pro Gly Ser Glu Val Thr Ile Lys Gln Glu Pro Val Ser Pro
151 155 160 165

Lys Lys Lys Glu Asn Ala Leu Leu Arg Tyr Leu Leu Asp Lys Asp
166 170 175 180

Asp Thr Lys Asp Ile Gly Leu Pro Glu Ile Thr Pro Lys Leu Glu
181 185 190 195

Arg Leu Asp Ser Lys Thr Asp Pro Ala Ser Asn Thr Lys Leu Ile
196 200 205 210

Ala Met Lys Thr Glu Lys Glu Glu Met Ser Phe Glu Pro Gly Asp
211 215 220 225

Gln Pro Gly Ser Glu Leu Asp Asn Leu Glu Glu Ile Leu Asp Asp
226 230 235 240

Leu Gln Asn Ser Gln Leu Pro Gln
241 245

<2> 検出用タグ領域が、大腸菌由来アルカリホスファターゼの少なくとも一部のアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、アルカリホスファターゼ活性を有する前記<1>に記載の核内受容体リガンド検出剤である。
<3> 精製に用いられる精製用タグ領域を含む前記<1>及び<2>のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出剤である。
<4> 精製用タグ領域が、ヒスチジンタグである前記<3>に記載の核内受容体リガンド検出剤である。
<5> 精製用タグ領域、リガンド依存性結合領域、及び、検出用タグ領域をN末端からこの順で含む前記<3>及び<4>のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出剤である。
<6> 検出用タグ領域、及び、転写コアクチベーターの少なくとも一部のアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるリガンド依存性結合領域を有し、少なくとも一種の核内受容体とリガンド依存的に結合する活性を有する融合タンパク質を含み、核内受容体リガンドの検出に用いられることを特徴とする核内受容体リガンド検出剤であって、該少なくとも一種の核内受容体が、レチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β及びレチノイドX受容体γのいずれかであり、かつ、有機スズ化合物の検出に用いられることを特徴とする核内受容体リガンド検出剤である。
<7> 配列番号1のアミノ酸配列からなるリガンド依存性結合領域又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって配列番号1のアミノ酸配列からなるリガンド依存性結合領域と同等の結合活性を有するリガンド依存性結合領域を有し、少なくとも一種の核内受容体とリガンド依存的に結合する活性を有するタンパク質を含み、核内受容体リガンドの検出に用いられることを特徴とする核内受容体リガンド検出剤である。
<8> リガンド依存性結合領域、及び、大腸菌由来アルカリホスファターゼの少なくとも一部のアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなる検出用タグ領域を含み、かつ少なくとも1種の核内受容体とリガンド依存的に結合する活性及びアルカリホスファターゼ活性を有し、該リガンド依存性結合領域が、配列番号1のアミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって配列番号1のアミノ酸配列からなるリガンド依存性結合領域と同等の結合活性を有するものであることを特徴とする組換えタンパク質である。
<9> 前記<8>に記載の組換えタンパク質をコードすることを特徴とする発現用遺伝子である。
<10> 前記<8>に記載の組換えタンパク質をコードする遺伝子を含有することを特徴とする組換えベクターである。
<11> 大腸菌において発現する前記<10>に記載の組換えベクターである。
<12> 前記<8>に記載の組換えタンパク質をコードする遺伝子を含有する組換えベクターを含むことを特徴とする形質転換体である。
<13> 被験試料中の核内受容体リガンドを検出する核内受容体リガンド検出方法であって、
少なくとも1種の核内受容体の少なくともリガンドとの結合領域を含む一部又は全部が固定化された固相に、少なくとも前記<1>から<5>及び<7>のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出剤及び被験試料を作用させる反応工程と、
該核内受容体リガンド検出剤の該核内受容体への結合を検出する検出工程とを含むことを特徴とする核内受容体リガンド検出方法である。
<14> 反応工程が、異なる複数の核内受容体の少なくともリガンドとの結合領域を含む一部又は全部が固定化された固相に、少なくとも前記<1>から<5>及び<7>のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出剤及び被験試料を作用させる工程である前記<13>に記載の核内受容体リガンド検出方法である。
<15> 核内受容体が、エストロゲン受容体α、エストロゲン受容体β、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体、グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、レチノイン酸受容体α、レチノイン酸受容体β、レチノイン酸受容体γ、甲状腺ホルモン受容体α、甲状腺ホルモン受容体β、ビタミンD受容体、レチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β、レチノイドX受容体γ、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体δ、肝臓X受容体α、肝臓X受容体β、ファーネソールX受容体、ステロイド及び外来異物受容体、恒常的アンドロスタン受容体、逆アーブA受容体α、逆アーブA受容体β、RAR関連オーファン受容体α、RAR関連オーファン受容体β、RAR関連オーファン受容体γ、肝細胞核内因子4α、肝細胞核内因子4β、精巣オーファン受容体2、精巣オーファン受容体4、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子α、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子β、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子γ、エストロゲン関連受容体α、エストロゲン関連受容体β、エストロゲン関連受容体γ、神経成長因子誘導遺伝子Bα、神経成長因子誘導遺伝子Bβ、神経成長因子誘導遺伝子Bγ、胚細胞核内因子、ステロイドジェニック因子1、肝受容体相同蛋白、光受容体細胞特異的核内受容体、ショウジョウバエテイルレス遺伝子受容体ヒトホモローグ、小ヘテロダイマーパートナー蛋白、及び、量感受性性転換AHCに非常に重要なX染色体上の領域の遺伝子1から選択される少なくとも1種の核内受容体である前記<13>及び<14>のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出方法である。
<16> 被験試料中の核内受容体リガンドを検出する核内受容体リガンド検出方法であって、
少なくとも1種の核内受容体の少なくともリガンドとの結合領域を含む一部又は全部が固定化された固相に、少なくとも前記<6>に記載の核内受容体リガンド検出剤及び被験試料を作用させる反応工程と、
該核内受容体リガンド検出剤の該核内受容体への結合を検出する検出工程とを含み、
核内受容体の少なくとも1種が、レチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β及びレチノイドX受容体γのいずれかであり、かつ、
検出を目的とするリガンドの少なくとも1種が有機スズ化合物であることを特徴とする核内受容体リガンド検出方法である。
<17> 核内受容体リガンド検出用に用いられ、少なくとも1種の核内受容体の少なくともリガンドとの結合領域を含む一部又は全部が固定化された固相を有し、該核内受容体の少なくとも1種がレチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β、レチノイドX受容体γのいずれかであり、かつ、検出を目的とするリガンドの少なくとも1種が有機スズ化合物であることを特徴とする核内受容体担持体である。
<18> 固相が、マイクロウェルプレートである前記<17>に記載の核内受容体担持体である。
<19> 少なくとも1種の核内受容体の少なくともリガンド結合領域を含む一部又は全部が固定化された固相を含む核内受容体担持体、及び前記<1>から<5>及び<7>のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出剤を含むことを特徴とする核内受容体リガンド検出キットである。
<20> 核内受容体担持体が、複数の異なる核内受容体の少なくともリガンド結合領域を含む一部又は全部が固定化されたマイクロウェルプレートである前記<19>に記載の核内受容体リガンド検出用キットである。
<21> 核内受容体が、エストロゲン受容体α、エストロゲン受容体β、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体、グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、レチノイン酸受容体α、レチノイン酸受容体β、レチノイン酸受容体γ、甲状腺ホルモン受容体α、甲状腺ホルモン受容体β、ビタミンD受容体、レチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β、レチノイドX受容体γ、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体δ、肝臓X受容体α、肝臓X受容体β、ファーネソールX受容体、ステロイド及び外来異物受容体、恒常的アンドロスタン受容体、逆アーブA受容体α、逆アーブA受容体β、RAR関連オーファン受容体α、RAR関連オーファン受容体β、RAR関連オーファン受容体γ、肝細胞核内因子4α、肝細胞核内因子4β、精巣オーファン受容体2、精巣オーファン受容体4、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子α、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子β、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子γ、エストロゲン関連受容体α、エストロゲン関連受容体β、エストロゲン関連受容体γ、神経成長因子誘導遺伝子Bα、神経成長因子誘導遺伝子Bβ、神経成長因子誘導遺伝子Bγ、胚細胞核内因子、ステロイドジェニック因子1、肝受容体相同蛋白、光受容体細胞特異的核内受容体、ショウジョウバエテイルレス遺伝子受容体ヒトホモローグ、小ヘテロダイマーパートナー蛋白、及び、量感受性性転換AHCに非常に重要なX染色体上の領域の遺伝子1から選択される少なくとも1種の核内受容体である前記<19>及び<20>のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出用キットである。
<22> 少なくとも1種の核内受容体の少なくともリガンド結合領域を含む一部又は全部が固定化された固相を含む核内受容体担持体、及び前記<6>に記載の核内受容体リガンド検出剤を含み、該核内受容体の少なくとも1種がレチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β及びレチノイドX受容体γのいずれかであり、検出を目的とするリガンドの少なくとも1種が有機スズ化合物であることを特徴とする核内受容体リガンド検出キットである。
<23> 前記<1>から<5>及び<7>のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出剤、及び、固相に結合させる固定化用の核内受容体タンパク質を含むことを特徴とする核内受容体リガンド検出キットである。
<24> 固定化用の核内受容体タンパク質がGST−核内受容体融合タンパク質であり、さらに、該固定化用の核内受容体タンパク質の固相への固定に用いられる抗GST抗体を含む前記<23>に記載の核内受容体リガンド検出キットである。
【0014】
【発明の実施形態】
本発明に用いられる、核内受容体リガンドの測定原理を以下に説明する。図1は、該測定原理を説明するために、本発明の核内受容体リガンドの検出方法の一例を模式的に示したものである。すなわち、核内受容体(ここではエストロゲン受容体:ER)を、マイクロウェルプレート等の固相上に固定化し、核内受容体リガンド(ここではエストラジオール)存在下、転写コアクチベーター(ここではTIF2)を加えると、固相上には核内受容体−核内受容体リガンド−転写コアクチベーターの複合体ができることがわかった。
転写コアクチベーターは、前述のように、リガンドが結合していない状態の受容体と、結合した状態の受容体とを識別することができる生体内のタンパク質として知られており、核内受容体と転写コアクチベーターとの複合体は核内受容体リガンド依存的に形成されるため、核内受容体リガンドが存在しなければければ複合体は形成されない。
即ち、コアクチベーターが複合体を形成して固相上に残るか否かで核内受容体リガンドの有無を検出できることがわかった。コアクチベーターの検出は、コアクチベーターをアルカリホスファターゼで標識しておいて酵素反応の活性を測定する等の方法により行うことができる。
【0015】
(核内受容体リガンド検出剤)
本発明の核内受容体リガンド検出剤は、検出用タグ領域、及び、転写コアクチベーターの少なくとも一部のアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるリガンド依存性結合領域を有する融合タンパク質であって、少なくとも一種の核内受容体とリガンド依存的に結合する活性を有するタンパク質を少なくとも含むこと以外は特に制限はない。
【0016】
前記転写コアクチベーターとしては、TIF2、SRC1、ACTR、RIP140、TRAP220及びCBP等の公知の転写コアクチベーターが挙げられるが、その中でもTIF2(Vogel, J. J. et al. EMBO J., vol.15, p3667-3675, 1996)が、核内受容体との結合活性が強い観点、及び、調査されている限りすべての核内受容体に対する結合活性を有することが知られている観点から好ましい。TIF2は、ヒトをはじめとする哺乳類、両生類、魚類、鳥類等の脊椎動物に存在することが知られているが、本発明の転写コアクチベーターとしては、前記いずれのものも含まれる。ヒトに対する内分泌攪乱物質等を調査する目的に使用する場合には、ヒト由来の転写コアクチベーターを用いることが好ましいが、例えば魚類等のヒト以外の動物に対する内分泌攪乱物質を調査する目的に使用する場合には、核内受容体とともに調査動物に近い種のものを用いることが好ましい。
ヒトTIF2のアミノ酸配列と塩基配列を配列番号2及び3に記載する。
Figure 0004172332
Figure 0004172332
Figure 0004172332
リガンド依存性結合領域は、前記転写コアクチベーターの全アミノ酸配列からなるものであってもよいが、核内受容体とリガンド依存的に結合する活性を有する限り、その一部のアミノ酸配列からなるものであってもよく、又は、それらのアミノ酸配列において1若しくは複数(好ましくは1若しくは数個)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるものであってもよい。核内受容体とリガンド依存的に結合する活性を有するためには、転写コアクチベーターのアミノ酸配列のうち、核内受容体とリガンド依存的に相互作用するドメインを含むことが必要である。
【0017】
該核内受容体リガンド検出剤は、核内受容体リガンド検出方法に用いられるためには、大量に必要とされるため、大腸菌により大量に調製できることが好ましい。一般的に大腸菌で組み換えタンパク質を大量発現させる場合、分子量の大きいタンパク質は発現量が少なく、発現したとしても不溶性になることが多い。
発明者らは、種々の核内受容体及びその一部配列につき、大腸菌で大量発現させることを試みたが、リガンド依存的な核内受容体との高い結合活性を維持しつつ、大量発現可能なタンパク質をデザインすることは難しかった。
発明者は、これらの研究のなかから、ヒトTIF2(hTIF2)の一部配列であり、核内受容体リガンド検出の目的での使用に耐えるような強い親和性で核内受容体とリガンド依存的に相互作用し、かつ大腸菌により大量発現することができる最適領域を特定した。ヒトTIF2(hTIF2)は160kDaの巨大タンパク質であり、このままでは大腸菌で大量に発現させることが難しい。該最適領域のアミノ酸配列を前記配列番号1として、塩基配列を配列番号4として記載した。
Figure 0004172332
核内受容体とリガンド依存的に結合する活性を有する限り、配列番号1のアミノ酸配列において1若しくは複数(好ましくは1若しくは数個)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列も本発明に含まれる。核内受容体とコアクチベーターとの相互作用には、LXXLLモチーフ(Lはロイシン、Xは任意のアミノ酸を表す)が重要であることが知られており、TIF2はこの配列を3つ有している。即ち、アミノ酸配列の69から73のLeu−Leu−Gln−Leu−Leu、118から122のLeu−His−Arg−Leu−Leu、173から177のLeu−Arg−Tyr−Leu−Leuであるが、この配列が該最適領域の中で結合活性に特に重要な部分である。本発明者らの実験により、このLXXLLがあれば、核内受容体とリガンド依存的に結合するが、それだけでは結合性が弱く、このアッセイ系に最適の配列ではないことが分かった。また、LXXLLに似た配列である、234から238のLeu−Glu−Glu−Ile−leuも非常に重要で、この部分を削ると劇的に結合活性が落ちることが分かった。したがって、配列番号1のアミノ酸配列において前記置換等の変更を行う場合は、前記3箇所のLXXLLの配列及び234から238のLeu−Glu−Glu−Ile−leuの配列以外の部分で、タンパク質の全体的なコンフォメーションを壊して活性を著しく低下させない範囲で行うことが好ましい。
【0018】
必要な遺伝子は、目的とする塩基配列を増幅することができるプライマーを用いて、ヒト由来RNAを鋳型としたRT−PCRを行う方法や、目的塩基配列をDNA合成する等の公知の方法により得ることができる。
【0019】
本発明の核内受容体リガンド検出剤は、検出に用いられる領域であり、遺伝子レベルでリガンド依存性結合領域の遺伝子と融合されたタグ領域(「検出用タグ領域」という)を有する融合タンパク質である。核内受容体リガンド検出剤は、核内受容体リガンドの検出に用いられる際に、該核内受容体リガンド検出剤の存在が検出され得ることが必要であるが、検出用タグが無くても、例えばリガンド依存性結合領域に対する抗体等を用いて検出することができるし、産生する際にラジオアイソトープにより標識しておけば、これにより検出することもできる。しかし、一段階の反応による検出を可能にし、検出を容易にする観点からは、検出用タグを有することが好ましい。
【0020】
ただし、リガンド依存性結合領域に加えて、検出用タグ領域も有するタンパク質は、分子量がさらに大きくなるため、大腸菌において大量発現可能にするためには、核内受容体の選択等のデザインには工夫を要する。
遺伝子レベルで融合させるタグ領域としては、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、βガラクトシダーゼなどの酵素が挙げられる。特に、アルカリホスファターゼの少なくとも一部を含み、アルカリホスファターゼ活性を有するアミノ酸配列を検出用タグ領域として含む核内受容体リガンド検出剤は、大腸菌で発現させる場合に可溶性が高く、容易に大量発現させることができる観点から好ましい。この場合、アルカリホスファターゼは、大腸菌(Escherichia coli)K12株由来のものを用いることが好ましい。また、アルカリホスファターゼ活性を有する限り、アルカリホスファターゼの一部又は該アミノ酸配列において1若しくは複数(好ましくは1若しくは数個)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるものであってもよい。必要な遺伝子は、目的とする塩基配列を増幅することができるプライマーを用いて、大腸菌由来DNAを鋳型としてPCRを行うこと等により単離することができる。
また、このアルカリホスファターゼと前記TIF2とを組合せた融合タンパク質を含む核内受容体リガンド検出剤は、大腸菌で大量生産できる観点、検出に耐える強いリガンド依存性の結合活性を有する観点、検出が高感度で容易である観点から、特に好ましい。
【0021】
前記検出用タグ領域と、リガンド依存性結合領域とは、いずれがN末端側であってもよく、任意のアミノ酸配列を介して配置されていてもよい。また、核内受容体リガンド検出剤が、精製用タグ領域も有している場合には、この3領域は任意の順番で、任意のアミノ酸配列を介して配置されることができる。例えば、N末端にヒスチジンタグからなる精製用タグ領域を有し、そのあとに前記リガンド依存性結合領域が連結され、さらにアルカリホスファターゼ等からなる検出用タグ領域が連結されている構成が好ましい態様として挙げられる。
【0022】
本発明の核内受容体リガンド検出剤は、精製に用いられる精製用タグ領域を有していることが好ましい。大腸菌等で発現された該タンパク質は、精製用タグ領域がなくても、生化学的な手法を用いて精製することができる。しかし、大量かつ容易に調製する観点からは、精製用タグ領域を有することが好ましい。精製用タグ領域としては、核内受容体とリガンド依存的に結合する活性を害しない限り特に制限はないが、ニッケルアガロースゲルを用いて精製できるヒスチジンタグ、グルタチオン標識ビーズを用いて精製できるグルタチオンSトランスフェラーゼ等が挙げられ、この中でも、ヒスチジンタグは、通常6個程度の連続したヒスチジンからなり、分子量があまり大きくならず、ニッケルアガロースゲルにより安易に精製できる観点から特に好ましい。
【0023】
精製用タグ領域は、遺伝子レベルでリガンド依存性結合領域の遺伝子と融合されることができ、精製用タグ領域と、リガンド依存性結合領域とは、いずれがN末端側であってもよく、任意のアミノ酸配列を介して配置されていてもよいが、例えば、N末端にヒスチジンタグからなる精製用タグ領域を有し、そのあとに前記リガンド依存性結合領域が連結される構成が好ましい態様として挙げられる。
【0024】
前記核内受容体リガンド検出剤は、該検出剤を構成するタンパク質をコードする遺伝子をベクターに導入し、宿主細胞において発現させ、これを精製することにより産生することができる。前記遺伝子レベルでリガンド依存性結合領域の遺伝子と融合された検出用タグ領域を有する融合タンパク質は、予めこれらのタグ領域を融合したタンパク質をコードする遺伝子を導入したベクターを作成し、発現させることにより、産生することができる。
例えば、N末端にヒスチジンタグからなる精製用タグ領域を有し、そのあとに前記TIF2のリガンド依存性結合領域が連結され、さらにアルカリホスファターゼからなる検出用タグ領域が連結されている核内受容体リガンド検出剤his−TIF2−BAPは、これをコードする遺伝子含む発現ベクターを作成し、発現ベクターを大腸菌に導入し、大量発現後、ニッケルアガロースにより精製して得ることができる。
本発明の核内受容体リガンド検出剤は、核内受容体に結合活性のある毒性物質や生理活性物質等、核内受容体のリガンドになるものであれば、その検出対象には特に制限が無い。検出の対象となるリガンドにより、共に用いる核内受容体を適宜選択することができる。核内受容体としては、表1から3に記載のものが挙げられる。
【0025】
【表1】
Figure 0004172332
【0026】
【表2】
Figure 0004172332
【0027】
【表3】
Figure 0004172332
【0028】
前記核内受容体リガンド検出剤は、該核内受容体のうちの少なくとも1種とリガンド依存的に結合するものであれば本発明に含まれるが、多くの種類の核内受容体とリガンド依存的に結合することができるものが、多くの核内受容体に対するリガンドを一度に検出することができる観点から好ましく、この観点からもTIF2が好ましい。
【0029】
本発明の核内受容体リガンド検出剤は、検出対象の一態様として有機スズ化合物の検出に用いられることができる。本発明者らは、核内受容体としてレチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β及びレチノイドX受容体γのいずれかを用い、本発明の核内受容体リガンド検出剤を作用させることにより、有機スズ化合物をその生物学的活性に基づきリガンドとして検出できることを明らかにした。これまで有機スズ化合物が、特定の核内受容体に結合するという知見は得られておらず、本発明により、核内受容体としてレチノイドX受容体(RXR)を用いることにより、これまで高速液体クロマトグラフィーのような物理的方法でしか検出ができなかった有機スズ化合物を、生物学的活性により感度よく検出できるようになった。この方法によれば、これまでの物理的検出法とは異なり、核内受容体に対して活性ある有機スズ化合物を選択して検出することができることから、環境調査等の目的には極めて有効である。
【0030】
本発明の他の態様の核内受容体リガンド検出剤は、少なくとも配列番号1のアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるリガンド依存性結合領域を有し、少なくとも一種の核内受容体とリガンド依存的に結合する活性を有するタンパク質を含み、核内受容体リガンドの検出に用いられるものであれば特に制限はない。
本態様の核内受容体リガンド検出剤は、配列番号1のアミノ酸配列又はその改変配列を含むため、核内受容体リガンド検出の目的での使用に耐えるような強い親和性で核内受容体とリガンド依存的に相互作用し、かつ大腸菌により大量発現することができる観点で優れていることは前述のとおりである。
【0031】
本態様の核内受容体リガンド検出剤は、検出用タグを含んでいてもよいし、含まなくてもよい。また、検出用タグは、前述のような、遺伝子レベルでリガンド依存性結合領域の遺伝子と融合された、融合タンパク質における「検出用タグ領域」であってもよいし、リガンド依存性結合領域を含むタンパク質の精製後に結合されたタグ(前記「検出用タグ領域」と区別して「付加タグ」という)であってもよい。精製後に結合されるタグ(付加タグ)としては、蛍光物質、酵素、重金属などが挙げられる。また、ヒスチジンタグに対する抗体で検出する場合のように、精製に用いられるタグを検出に用いてもよい。
検出用タグ領域を有する場合については、前述した方法で産生することができ、前記精製後に標識される検出用タグを有する場合には、リガンド依存性結合領域を含むタンパク質精製後に公知の方法によりタグを結合させることにより、産生することができる。
また、ラジオアイソトープによる標識を有する核内受容体リガンド検出剤は、産生する際に公知の方法により標識することにより産生することができる。
【0032】
(組換えタンパク質)
本発明の組換えタンパク質は、TIF2の少なくとも一部のアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるリガンド依存性結合領域、及び、大腸菌由来アルカリホスファターゼの少なくとも一部のアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなる検出用タグ領域を含み、かつ少なくとも一種の核内受容体とリガンド依存的に結合する活性及びアルカリホスファターゼ活性を有すること以外は特に制限はない。
前記組換えタンパク質は、そのまま前記核内受容体リガンド検出剤として用いられることができ、前記リガンド依存性結合領域及び大腸菌由来アルカリホスファターゼ活性を利用する検出用タグ領域については、前記核内受容体リガンド検出剤に関して記載のとおりである。
【0033】
(発現用遺伝子)
本発明の発現用遺伝子は、本発明の組換えタンパク質をコードすること以外は特に制限はない。該遺伝子の塩基配列は、組換えタンパク質を構成する前記転写コアクチベーター等の遺伝子の塩基配列を有するものであってもよいが、縮退したコドンを有するものであってもよい。
該発現用遺伝子は、本発明の組換えタンパク質を産生するために、好適に用いられる。
【0034】
(組換えベクター)
本発明の組換えベクターは、本発明の組換えタンパク質をコードする遺伝子を含有すること以外は特に制限はないが、取り扱いが容易である観点から大腸菌において発現するものが好ましい。例えば、pET28a、pBAD/His等に挿入したものが好ましい。
前記組換えベクターは、例えば、開始ATGコドンのあとに連続した6個のヒスチジンをコードするコドンを有し、そのあとに、TIF2等のリガンド依存性結合領域をコードするコドンを有するものが挙げられる。
【0035】
(形質転換体)
本発明の形質転換体は、組換えタンパク質をコードする遺伝子を含有する組換えベクターを含むこと以外は特に制限はない。該形質転換体は、前記組換えタンパク質をコードする遺伝子が挿入されており、かつ、該遺伝子が発現しているものである。
【0036】
(核内受容体リガンド検出方法)
本発明の核内受容体リガンド検出方法は、少なくとも一種の核内受容体の少なくともリガンドとの結合領域を含む一部又は全部が固定化された固相上に、少なくとも前記本発明の核内受容体リガンド検出剤及び被験試料を作用させる反応工程と、
核内受容体リガンド検出剤の核内受容体への結合を検出する検出工程とを含むこと以外は特に制限はない。
【0037】
前記反応工程において、「作用させる」とは、固相上に固定化されている前記核内受容体の少なくとも一部を、前記核内受容体リガンド検出剤及び被験試料に曝露することであり、これにより、被験試料中に核内受容体に対するリガンド(核内受容体リガンド)が存在すれば、リガンド依存性の結合活性を有する核内受容体リガンド検出剤が、核内受容体及び核内受容体リガンドと結合し、核内受容体−核内受容体リガンド−核内受容体リガンド検出剤複合体が形成される。一方、被験試料中に核内受容体リガンドが存在しなければ、核内受容体リガンド検出剤と核内受容体との複合体は形成されない。
【0038】
また、前記「核内受容体リガンド検出剤及び被験試料を作用させる」とは、核内受容体リガンド検出剤と被験試料とを、固相上に同時に存在させて作用させる場合のみならず、被験試料を先に作用させ、これを洗浄後に核内受容体リガンド検出剤を作用させる場合も含む。また、核内受容体リガンド検出剤と被験試料とを同時に存在させる場合には、いずれを先に添加してもよく、また、核内受容体リガンド検出剤が予め固相上に存在している態様においては、これを添加する必要はない。反応時間、反応条件についても、適宜選択することができる。
【0039】
固相上に固定化される前記核内受容体としては、48種の公知の核内受容体の少なくともいずれかが挙げられ、ヒト由来のものに限られず、脊椎動物等に由来するすべての核内受容体が含まれる。また、単一の核内受容体が固定化されていてもよいし、複数の核内受容体に対するリガンドを検出する目的のためには、検出の効率化の観点から、複数の核内受容体が固定化されていることが好ましい。また、一つの核内受容体に関しても、核内受容体の全部が固定化されていてもよいが、少なくともリガンド及び転写コアクチベーターと結合する活性を有しているリガンドとの結合領域を含む一部が固定化されていればよい。なお、核内受容体の転写コアクチベーターとの結合に重要な部位は、へリックス12と呼ばれている領域で、リガンドとの結合に必要な領域に含まれる。
例えば、ラットエストロゲン受容体においては、アミノ酸252番目から600番目の領域がリガンドとの結合領域として好適に用いることができる。
48種の核内受容体は、前記表1から3に記載される。表中のGenBankのアクセッション番号から、配列情報を得ることができるが、これは、ヒトの受容体に関するものであり、これに限るものではない。
【0040】
前記被験試料としては、化学物質、水や土壌などの環境試料、血液、乳汁、卵胞液、尿等の生体試料、あるいは培養細胞や生体組織等が挙げられ、適宜緩衝液等で希釈することができる。細胞、組織、あるいは土壌等の固形物に適用するためには、粉砕し適当な溶媒で抽出する必要がある。
【0041】
前記検出工程は、核内受容体リガンド検出剤の核内受容体への結合を検出する工程であるが、必要に応じて固相を適当な条件で洗浄して、フリーの核内受容体リガンド検出剤を除去すれば、固相上の核内受容体にトラップされた核内受容体リガンド検出剤のみ残るため、この核内受容体リガンド検出剤を検出すれば、被験試料中のリガンドを検出することができる。検出は、目的に合わせて、定量的に行うこともできる。
検出方法には、特に制限はなく、公知の方法から目的に合わせて適宜選択することができるが、核内受容体リガンド検出剤に対する抗体を用いる方法や、核内受容体リガンド検出剤がラジオアイソトープにより標識されている場合には、これを検出する方法、核内受容体リガンド検出剤が酵素を含むタグを有している場合には、酵素活性により検出する方法、蛍光物質を含むタグを有している場合には蛍光顕微鏡で検出する方法等が挙げられる。中でも、酵素活性により検出する方法は、感度が高く操作が容易である観点から特に好ましい。
【0042】
核内受容体リガンド検出方法の具体例としては、核内受容体が固定化されたプレートに、前記his−TIF2−BAPを加え、被験試料を添加すると、被験試料中に核内受容体リガンドが含まれていた場合には、his−TIF2−BAPがプレート上に固定化されている核内受容体に吸着する。リガンド依存的にプレート上にトラップされた、his−TIF2−BAPの量を、アルカリホスファターゼの活性を指標に測定することができる。
【0043】
本発明の核内受容体リガンド検出方法は、核内受容体に結合し、生理作用を発揮する物質の迅速なスクリーニング又は該リガンドの測定に好適に利用できる。エストロゲン受容体のようにリガンドの分かっている核内受容体に対して相互作用する内分泌攪乱物質の検出や、血液中の低分子脂溶性ホルモンの測定は勿論のこと、本発明の核内受容体リガンド検出方法は、標識されたリガンドやリガンドに対する抗体を必要としないため、創薬上重要である、リガンドが不明なオーファン核内受容体のリガンドのスクリーニングや、広範な核内受容体に対する化学物質の安全性試験のプレスクリーニングにも用いることができる。本発明者らは、前述したように、実際にこの方法を用いて、レチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β及びレチノイドX受容体γのリガンドとして、有機スズ化合物を得ており、本発明の検出方法が有効であることが実証されている。
本発明の核内受容体リガンド検出方法は、細胞を用いる必要が無く固相上で行えること、及び、TIF2のように転写コアクチベーターとして多くの核内受容体に結合能を有するタンパク質を含む核内受容体リガンド検出剤を用いることにより、複数の核内受容体に対するリガンドを同時に検出することができる。したがって、従来、非常に煩雑で多くの時間がかかっていた複数の核内受容体に対するリガンドのスクリーニングを極めて効率的に行うことができる。
さらに、マイクロウェルプレート用自動分注装置やマイクロウェルプレート用自動洗浄装置を用いることにより、容易に自動化が可能であり、多検体に対応できるハイスループット型の検出系として有用である。
【0044】
(核内受容体担持体)
本発明の核内受容体担持体は、核内受容体リガンド検出用に用いられ、少なくとも1種の核内受容体の少なくともリガンドとの結合領域を含む一部又は全部が固定化された固相を有し、該核内受容体の少なくとも1種がレチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β、レチノイドX受容体γのいずれかであること以外は特に制限はない。前記核内受容体担持体は、該固定化された核内受容体に、リガンド依存的に結合する核内受容体リガンド検出剤と共に用いることにより、核内受容体リガンドの検出に利用できるものであり、該核内受容体リガンド検出剤はどのようなものでもよいが、本発明の核内受容体リガンド検出剤と共に用いることが特に好ましい。該核内受容体担持体を用いることにより、有機スズ化合物をその生物学的活性に基づき、リガンドとして検出することができる。
前記固相としては、マイクロウェルプレートやビーズなど、特に制限なく、公知の材料の中から選択することができる。複数の異なる核内受容体の少なくともリガンド結合領域を含む一部又は全部がそれぞれのウェルに固定化されているマイクロウェルプレートが好ましい。
【0045】
(核内受容体リガンド検出キット)
本発明の核内受容体リガンド検出キットは、少なくとも1種の核内受容体の少なくともリガンド結合領域を含む一部又は全部が固定化された固相を含む核内受容体担持体、及び本発明の核内受容体リガンド検出剤を含むこと以外は特に制限は無く、適宜他のものを含んでいてもよい。前記核内受容体の少なくともリガンド結合領域を含む一部又は全部を固相に固定化する方法としては、目的に合わせて公知の方法から適宜選択することができる。
例えば、適当なコーティング処理がなされているマイクロウェルプレート(例えば、Nunc社製、MaxiSorp)に、抗glutathione S-transferase(GST)抗体を加え、一晩、4℃に置き、アルカリ性条件下でプレート上に抗体を固定化する。抗体溶液を除去後、中性緩衝液で希釈した公知のGSTと核内受容体の融合タンパク質(Nishikawa, J. et al. Toxicol. Appl. Pharmacol., vol.154, p76-83, 1999)を加えることにより、抗GST抗体を介して、核内受容体をプレート上に固定することができる。
【0046】
前記固相はマイクロウェルプレートであることが好ましく、複数の異なる核内受容体の少なくともリガンド結合領域を含む一部又は全部がそれぞれのウェルに固定化されていることが好ましい。
前記核内受容体リガンド検出キットの一態様としては、該核内受容体の少なくとも1種がレチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β及びレチノイドX受容体γのいずれかであるものが挙げられる。このような核内受容体リガンド検出キットは、有機スズ化合物をその生物学的活性に基づき、リガンドとして検出することができる。
【0047】
本発明の他の態様の核内受容体リガンド検出キットは、本発明の核内受容体リガンド検出剤、及び、固相に結合させる固定化用の核内受容体タンパク質を含むこと以外は特に制限はなく、反応に用いられる緩衝液、一定量の既知の核内受容体リガンドを含む標準試料、反応容器、アルカリホスファターゼ基質等の検出に用いる物質、並びに指示書等を適宜組み合わせることができる。固定化用の核内受容体タンパク質としては、GST-核内受容体融合タンパク質等が好適に挙げられるが、核内受容体の少なくともリガンドとの結合領域を含む一部又は全部を含み、固定化に使用できるものであれば、GST融合タンパクには限られない。また、抗GST抗体等、固定化に必要な物質を、固定化用の受容体タンパク質の態様に応じて含むこともできる。
【0048】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
抗GST抗体の調整
大腸菌により発現させた後、精製したGSTをウサギに免疫し、抗体価が上昇したところで、全採血し、抗血清を得た。更に、抗血清を抗原であるGSTを用いてアフィニティー精製し、抗GST抗体とした。
【0049】
(実施例2)
GSTエストロゲン受容体融合タンパク質の調整
GSTエストロゲン受容体融合タンパク質(GST−ER)は、公知の発現ベクターpGEX−rERα、及び公知の方法を用いて精製した(Nishikawa, J. et al. Toxicol. Appl. Pharmacol., vol.154, p76-83, 1999)が、簡単に説明すると、以下のような方法である。
ラットエストロゲン受容体アルファ(rERα)のリガンド結合領域をコードする遺伝子部分(アミノ酸番号252から600)は、rERαの全長cDNAを含むプラスミド(Koike, S. et al. Nucleic Acid Res., vol.15. p2499-2513, 1987, GenBank Accession No.: Y00102)を鋳型として、PCRにより合成した。得られたPCR産物は、pBluescriptにサブクローニング後、塩基配列を解析し、既報の塩基配列と一致していることを確認した。
大腸菌内でグルタチオン S−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させるためのベクターpGEX−4Tは、Pharmacia(Uppsala, Sweden)より購入した。PGEX−4Tの制限酵素切断部位、EcoRIとBamHIの間にPCRにより得られたrERαのリガンド結合領域をコードする遺伝子を挿入し、pGEX−rERαとした。
組換えベクターpGEX−rERαを大腸菌BL21に導入し、595nmにおける濁度が0.4になるまで、LB培地中、30℃で培養した。IPTG(Isopropyl thio-β-galactoside)を終濃度1mMとなるよう培養液に加え、さらに3時間培養を続けた。培養液を遠心分離することにより、大腸菌を集め、B.1緩衝液(20mM Tris−HCl、pH7.5、 10% Glycerol、100mM KCl、5mM MgCl)に懸濁した。大腸菌を超音波処理により破砕後、終濃度500mMになるようKClを加え、30分間、氷上でおだやかに攪拌した。この大腸菌破砕液を遠心分離し、上澄みにグルタチオンセファロース(Pharmacia, Uppsala, Swedenより購入)を加え、氷上で30分間、おだやかに攪拌した。樹脂をカラムにつめ、樹脂容積の10倍量のB.1緩衝液で洗浄後、20mMグルタチオンで溶出した。得られたGST−rERα融合タンパク質は−80℃で保存した。
【0050】
(実施例3)
組換えベクターpET−hTIF2−BAPの構築
大腸菌用の発現ベクターpET28aは、Novagen(Madison, WI, USA)より購入した。pET28aの制限酵素切断部位、SalIとHindIIIの間にリンカーDNAを挿入し、KpnIとPstIの切断部位を新たに創出した。
リガンド依存性結合領域として、ヒトTIF2(hTIF2)遺伝子内の核内受容体とリガンド依存的に相互作用する領域(アミノ酸番号573から820)を特定し(配列番号1)、その遺伝子をヒト肝臓由来RNAを鋳型として、RT−PCRにより増幅して得た。本発明の核内受容体リガンドの検出方法に用いるためには、核内受容体とリガンド依存的に結合する活性のある組換えタンパク質を大量に必要とするため、該組換えタンパク質が大腸菌により大量に調製できることが好ましいが、転写コアクチベーターであるhTIF2は160kDaの巨大タンパク質であり、このままでは大腸菌で大量に発現させることが難しい。そこで、本目的での使用にたえるような強い親和性で、核内受容体とリガンド依存的に相互作用するために必要なhTIF2の領域を特定したものである。
検出用タグ領域として、大腸菌由来アルカリホスファターゼ遺伝子(BAP)を、大腸菌K−12株由来DNAを鋳型として、PCRにより増幅して得た。増幅した遺伝子は、クローニングベクターpBluescriptにいったん挿入し、塩基配列が正しいことを確認した。pBluescript−hTIF2を制限酵素XhoIとKpnIで切断し、hTIF2の直後にBAPを挿入した。pBluescript−hTIF2−BAPを制限酵素BamHIとKpnIで切断して得たhTIF2−BAP断片を、pET28aのBamHI部位と新たに創出したKpnI部位に挿入し、pET−hTIF2−BAPプラスミドを得た(図2)。
【0051】
(実施例4)
融合タンパク質his−TIF2−BAPの調整
組換えベクターpET−hTIF2−BAPを大腸菌BL21に導入し、595nmにおける濁度が0.4になるまで、LB培地中、37℃で培養した。IPTG(Isopropyl thio-β-galactoside)を終濃度1mMとなるよう培養液に加え、さらに3時間培養を続けた。培養液を遠心分離することにより、大腸菌を集め、B.1緩衝液(20 mM Tris-HCl, pH7.5, 10% Glycerol, 100 mM KCl, 5 mM MgCl2)に懸濁した。大腸菌を超音波処理により破砕後、終濃度500mMになるようKClを加え、30分間、氷上でおだやかに攪拌した。この大腸菌破砕液を遠心分離し、上澄みにニッケルアガロース(Qiagen, CA, USAより購入)を加え、氷上で30分間、おだやかに攪拌した。樹脂をカラムにつめ、樹脂容積の10倍量のB.1緩衝液で洗浄後、200mMイミダゾルで溶出した。得られたhis−TIF2−BAP融合タンパク質は−80℃で保存した。
【0052】
組換えベクターpET−hTIF2−BAPで形質転換した大腸菌BL21における、IPTGによる組み換えタンパク質の発現誘導、タンパク質の精製を図3に示した。リガンド依存性結合領域の分子量を低く抑えたことで、大量発現が容易になり、融合させる酵素として大腸菌由来のアルカリホスファターゼを選択することにより、可溶性も向上した。以上の組合せを選別した結果、his−hTIF2−BAP融合タンパク質は分子量約75kDaの比較的大きなタンパク質にもかかわらず、図3、lane 3に示したようにIPTG誘導により主要なタンパク質として発現し、図3、lane 4に示したように可溶性画分に大部分のタンパク質を回収することができた。
ここで、his−TIF2−BAPの塩基配列(配列番号5)及びアミノ酸配列(配列番号6)を示す。
【0053】
Figure 0004172332
Figure 0004172332
【0054】
Figure 0004172332
Figure 0004172332
【0055】
(実施例5)
抗GST抗体のマイクロウェルプレートへの固定
アフィニティー精製した抗GST抗体を終濃度4μg/mlとなるよう、50mM炭酸緩衝液(pH 9.6)に希釈し、1ウェルあたり100μlの抗体液を加え、一晩、4℃で静置した。尚、マイクロウェルプレートはNunc社製、MaxiSorp、F96を用いた。固定化後、抗体液を除き、洗浄液A(50 mM Tris-HCl, pH 7.2, 100 mM KCl, 5 mM MgCl2)で3回洗浄した。
【0056】
(実施例6)
GST−ERのマイクロウェルプレートへの固定
GST−ERを終濃度15μg/mlとなるよう洗浄液Aで希釈し、1ウェルあたり100μlのGST−ER希釈液を加え、室温で1時間、おだやかに震盪した。その後、GST−ER溶液を除き、洗浄液B(50 mM Tris-HCl, pH 7.2, 100 mM KCl, 5 mM MgCl2, 0.1% NP40)で3回洗浄した。
【0057】
(実施例7)
ERとコアクチベーターのリガンド依存的な結合反応
核内受容体リガンド検出剤his−TIH2−BAPを終濃度60μg/mlとなるよう洗浄液Bで希釈し、1ウェルあたり100μlのhis−TIF2−BAP希釈液を加えた。そこに、DMSOに溶解した被験化合物を被験試料として1μl加え、室温で1時間、おだやかに震盪した。その後、his−TIF2−BAP溶液を除き、洗浄液Bで3回洗浄した。
被験化合物としては、エストロゲン受容体に関する本来のリガンドである17β−エストラジオール(17β-Estradiol)、内分泌攪乱物質としてエストロゲン受容体に弱く結合することが知られているノニルフェノール(Nonylphenol)及びビスフェノールA(Bis-phenol A)を用いた。
濃度依存的な応答が見られることを確認した。
【0058】
(実施例8)
アルカリホスファターゼ活性の検出
アルカリホスファターゼの酵素反応は、基質としてo−ニトロフェニルホスフェート(o-Nitrophenyl phosphate)を用いた。100mM Tris−HCl, pH8.0に溶解した10mMのo−ニトロフェニルホスフェートを1ウェルあたり100μl加え、室温で1時間反応させた。0.5N NaOHを25μl加えることにより反応を停止させ、マイクロプレートリーダー(Bio-rad社製)にて415nmの吸光度を測定した。
測定結果を表4に記載した。
【0059】
【表4】
Figure 0004172332
【0060】
この結果から、核内受容体の一種であるエストロゲン受容体を用いた場合、本来のリガンドである17β−エストラジオールについて10−10Mから応答が認められることがわかった。これは、現在のところ主要なエストロゲン検出系である哺乳動物細胞を用いたレポーター遺伝子アッセイに匹敵する検出感度であり、酵母を用いた方法や、蛍光偏光法を用いたin vitroの方法に比べると、10倍以上の感度が得られた。また、実施例ではアルカリホスファターゼの基質として、古典的なo−ニトロフェニルホスフェートを用いているが、鋭敏な基質である蛍光基質等を用いることにより、より高感度化がはかれる。さらに、内分泌攪乱化学物質として疑われているノニルフェノールやビスフェノールAに対しても応答が認められ、内分泌攪乱物質検出系としても有効なことが確認された(表4及び図4)。
【0061】
(実施例9)
各種核内受容体のマイクロウェルプレートへの固定とリガンド検出
GSTとの融合タンパク質として大量発現させた各種核内受容体を、グルタチオンを固定化したプレート(Glutathione ImmobilizerTM microplate、EXIQON A/S, Vedbaek, Denmark)に加えることにより、核内受容体タンパク質をプレート上に固定化した。
また、変法として、表面がポリスチレン加工されたプレートを用いて、GST−核内受容体融合タンパク質を直接、物理的な吸着で核内受容体をプレート表面に固定化したプレートも作成した。その後、融合タンパク質の溶液を除き、洗浄液で3回洗浄した。
【0062】
核内受容体としては、エストロゲン受容体アルファ(ERα)、エストロゲン受容体ベータ(ERβ)、ビタミンA受容体アルファ(RARα)、ビタミンA受容体ガンマ(RARγ)、レチノイドX受容体アルファ(RXRα)、甲状腺ホルモン受容体アルファ(TRα)及びビタミンD受容体(VDR)を用い、すべて、ヒトの核内受容体を用いた。
受容体のリガンド結合領域は、市販のRNAを鋳型にして、RT−PCRで得た。RNAは、すべてOriGene Technologies, Inc.(MD, USA)から購入した。
【0063】
核内受容体の領域(アミノ酸番号)と、使用したRNAの由来臓器は以下の通りである。ERα(247−596、卵巣)、ERβ(213−531、卵巣)、RARα(170−463、脳)、RARγ(172−455、肝臓)、TRα(121−410、腎臓)、VDR(90−427、腎臓)、RXRα(201−693、腎臓)、RXRβ(275−534、腎臓)、RXRγ(172−455、腎臓)
【0064】
前記プレートについて、核内受容体検出剤として、his−TIF2−BAPを用いて、核内受容体とコアクチベーターのリガンド依存的な結合反応及びアルカリホスファターゼ活性の検出を実施例7及び実施例8に記載の方法と同様に行った。リガンドとしては、エストロゲン受容体アルファ(ERα)及びエストロゲン受容体ベータ(ERβ)に対しては17α−エストラジオール(17α−estradiol:E2)、ビタミンA受容体アルファ(RARα)及びビタミンA受容体ガンマ(RARγ)に対してはオール−トランス−レチノイン酸(all−trans−retinoic acid:ATRA)、レチノイドX受容体アルファ(RXRα)に対しては9−シス−レチノイン酸(9−cis−retinoic acid:9cisRA)、甲状腺ホルモン受容体アルファ(TRα)に対しては3,3’,5−トリオド−L−チロニン(3,3’,5−triiodo−L−thyronine:T3)、ビタミンD受容体(VDR)に対しては1α,25−ジヒドロオキシビタミンD3(1α,25−dihydroxyvitamin D3:VD3)を用いた。対照実験としては、溶媒であるDMSO(dimethyl sulfoxide)を単独で用いた。
測定結果を図5から11に記載した。横軸はモル濃度、縦軸はアルカリホスファターゼ活性を吸光度で表す。
いずれの受容体においても、核内受容体検出剤his−TIF2−BAPを用いることにより、それぞれのリガンドに対し、良好な用量-応答曲線が得られた。
【0065】
本発明による核内受容体のリガンド検出方法は、核内受容体と転写コアクチベーターとのリガンド依存的な相互作用に基づいているが、本発明のTIF2をコアクチベーターとして用いる核内受容体検出剤では、エストロゲン受容体アルファだけではなく、エストロゲン受容体ベータ(ERβ)、ビタミンA受容体アルファ(RARα)、ビタミンA受容体ガンマ(RARγ)、レチノイドX受容体アルファ(RXRα)、甲状腺ホルモン受容体アルファ(TRα)及びビタミンD受容体(VDR)などの核内受容体とも同様に相互作用することが確認され、GST−ERのエストロゲン受容体アルファの部分を他の受容体に置き換えることにより、他のホルモン活性を検出するシステムを構築することが出来ることが確認された。
【0066】
(実施例10)
発明者は、本発明の核内受容体リガンド検出方法を用いて、内分泌攪乱物質と疑われている化学物質について、様々な核内受容体への影響を調べた。その結果、海産性巻貝類に対しインポセックスと呼ばれる雌の雄性化を引き起こす物質、有機スズ化合物がRXRに対し、強いアゴニスト活性を持つことを見つけた。その結果を、図12から14に記載する。
溶媒として用いたDMSO単独の活性と比較することにより、RXRを用いたアッセイ系の検出感度は本来のリガンドである9cis−レチノイン酸(9cisRA)について、約10nMであった。また、有機スズ化合物であるトリブチルスズ(TBT)については9cisRAと同等もしくはそれ以上の感度で検出された。トリフェニルスズ(TPT)についても、TBTに較べ活性はかなり弱いものの、やはりRXRに対する影響が認められた。なお、RXRにはα、β、γの3種のサブタイプがあるが、いずれの受容体に対しても同様であった。これらの結果は、本法が環境中の有機スズ化合物の検出に有効であることの証拠となる。
このことから、核内受容体としてRXRを用いた本発明の核内受容体担持体を用いることにより、これまで高速液体クロマトグラフィーのような物理的方法でしか検出ができなかった有機スズ化合物を、生物学的活性により感度よく検出できるようになった。これは、これまでの物理的検出法とは異なり、核内受容体に対して活性ある有機スズ化合物を選択して検出することができることから、環境調査等の目的には極めて有効である。この検出には、本発明の核内受容体検出剤が極めて好ましく用いられる。
【0067】
【発明の効果】
本発明によると、化学物質、河川水や海水等の環境試料及び血液等の生体試料等についての、核内受容体への結合性の検出に利用することができ、内分泌攪乱物質の検出、化学物質の安全性試験のプレスクリーニング、オーファン核内受容体リガンドのスクリーニング又は血液中の低分子脂溶性ホルモンの測定等に好適に利用することができる核内受容体リガンド検出剤、組換えタンパク質、組換えタンパク質の製造に利用することができる発現用遺伝子、組換えベクター及び形質転換体、並びに、該核内受容体リガンド検出剤を用いて核内受容体への結合性を簡便かつ迅速に検出できる核内受容体リガンド検出方法、該核内受容体リガンド検出剤と共に用いて核内受容体リガンドを検出することができる核内受容体担持体及び利便性に優れた核内受容体リガンド検出キットを提供する。
【0068】
【配列表】
Figure 0004172332
Figure 0004172332
Figure 0004172332
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【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の核内受容体リガンドの検出方法の一例を模式的に示したものである。
【図2】pET−hTIF2−BAPプラスミドを表す図である。
【図3】his−hTIF2−BAPの過剰発現及び精製を表す写真である。
【図4】17β−エストラジオール、ノニルフェノール及びビスフェノールAを被験試料としたときの検出結果を表す図である。
【図5】核内受容体としてERαを用いた場合のリガンド検出を表す図である。
【図6】核内受容体としてERβを用いた場合のリガンド検出を表す図である。
【図7】核内受容体としてRARαを用いた場合のリガンド検出を表す図である。
【図8】核内受容体としてRARγを用いた場合のリガンド検出を表す図である。
【図9】核内受容体としてRXRαを用いた場合のリガンド検出を表す図である。
【図10】核内受容体としてTRαを用いた場合のリガンド検出を表す図である。
【図11】核内受容体としてVDRを用いた場合のリガンド検出を表す図である。
【図12】有機スズ化合物のRXRαに対する影響を表す図である。
【図13】有機スズ化合物のRXRβに対する影響を表す図である。
【図14】有機スズ化合物のRXRγに対する影響を表す図である。

Claims (24)

  1. 検出用タグ領域、及び、転写コアクチベーターの少なくとも一部のアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるリガンド依存性結合領域を有し、少なくとも一種の核内受容体とリガンド依存的に結合する活性を有する融合タンパク質を含み、核内受容体リガンドの検出に用いられる核内受容体リガンド検出剤であって、
    該リガンド依存性結合領域が、少なくとも配列番号1のアミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって配列番号1のアミノ酸配列からなるリガンド依存性結合領域と同等の結合活性を有するものであることを特徴とする核内受容体リガンド検出剤。
    (配列番号1)
    Pro Leu Ser Lys Met Gly Ser Leu Asp Ser Lys Asp Cys Phe Gly
    1 5 10 15

    Leu Tyr Gly Glu Pro Ser Glu Gly Thr Thr Gly Gln Ala Glu Ser
    16 20 25 30

    Ser Cys His Pro Gly Glu Gln Lys Glu Thr Asn Asp Pro Asn Leu
    31 35 40 45

    Pro Pro Ala Val Ser Ser Glu Arg Ala Asp Gly Gln Ser Arg Leu
    46 50 55 60

    His Asp Ser Lys Gly Gln Thr Lys Leu Leu Gln Leu Leu Thr Thr
    61 65 70 75

    Lys Ser Asp Gln Met Glu Pro Ser Pro Leu Ala Ser Ser Leu Ser
    76 80 85 90


    Asp Thr Asn Lys Asp Ser Thr Gly Ser Leu Pro Gly Ser Gly Ser
    91 95 100 105

    Thr His Gly Thr Ser Leu Lys Glu Lys His Lys Ile Leu His Arg
    106 110 115 120

    Leu Leu Gln Asp Ser Ser Ser Pro Val Asp Leu Ala Lys Leu Thr
    121 125 130 135

    Ala Glu Ala Thr Gly Lys Asp Leu Ser Gln Glu Ser Ser Ser Thr
    136 140 145 150

    Ala Pro Gly Ser Glu Val Thr Ile Lys Gln Glu Pro Val Ser Pro
    151 155 160 165

    Lys Lys Lys Glu Asn Ala Leu Leu Arg Tyr Leu Leu Asp Lys Asp
    166 170 175 180

    Asp Thr Lys Asp Ile Gly Leu Pro Glu Ile Thr Pro Lys Leu Glu
    181 185 190 195

    Arg Leu Asp Ser Lys Thr Asp Pro Ala Ser Asn Thr Lys Leu Ile
    196 200 205 210

    Ala Met Lys Thr Glu Lys Glu Glu Met Ser Phe Glu Pro Gly Asp
    211 215 220 225

    Gln Pro Gly Ser Glu Leu Asp Asn Leu Glu Glu Ile Leu Asp Asp
    226 230 235 240

    Leu Gln Asn Ser Gln Leu Pro Gln
    241 245
  2. 検出用タグ領域が、大腸菌由来アルカリホスファターゼの少なくとも一部のアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、アルカリホスファターゼ活性を有する請求項1に記載の核内受容体リガンド検出剤。
  3. 精製に用いられる精製用タグ領域を含む請求項1及び2のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出剤。
  4. 精製用タグ領域が、ヒスチジンタグである請求項3に記載の核内受容体リガンド検出剤。
  5. 精製用タグ領域、リガンド依存性結合領域、及び、検出用タグ領域をN末端からこの順で含む請求項3及び4のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出剤。
  6. 検出用タグ領域、及び、転写コアクチベーターの少なくとも一部のアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるリガンド依存性結合領域を有し、少なくとも一種の核内受容体とリガンド依存的に結合する活性を有する融合タンパク質を含み、核内受容体リガンドの検出に用いられることを特徴とする核内受容体リガンド検出剤であって、該少なくとも一種の核内受容体が、レチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β及びレチノイドX受容体γのいずれかであり、かつ、有機スズ化合物の検出に用いられることを特徴とする核内受容体リガンド検出剤。
  7. 配列番号1のアミノ酸配列からなるリガンド依存性結合領域又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって配列番号1のアミノ酸配列からなるリガンド依存性結合領域と同等の結合活性を有するリガンド依存性結合領域を有し、少なくとも一種の核内受容体とリガンド依存的に結合する活性を有するタンパク質を含み、核内受容体リガンドの検出に用いられることを特徴とする核内受容体リガンド検出剤。
  8. リガンド依存性結合領域、及び、大腸菌由来アルカリホスファターゼの少なくとも一部のアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなる検出用タグ領域を含み、かつ少なくとも1種の核内受容体とリガンド依存的に結合する活性及びアルカリホスファターゼ活性を有し、該リガンド依存性結合領域が、配列番号1のアミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって配列番号1のアミノ酸配列からなるリガンド依存性結合領域と同等の結合活性を有するものであることを特徴とする組換えタンパク質。
  9. 請求項8に記載の組換えタンパク質をコードすることを特徴とする発現用遺伝子。
  10. 請求項8に記載の組換えタンパク質をコードする遺伝子を含有することを特徴とする組換えベクター。
  11. 大腸菌において発現する請求項10に記載の組換えベクター。
  12. 請求項8に記載の組換えタンパク質をコードする遺伝子を含有する組換えベクターを含むことを特徴とする形質転換体。
  13. 被験試料中の核内受容体リガンドを検出する核内受容体リガンド検出方法であって、
    少なくとも1種の核内受容体の少なくともリガンドとの結合領域を含む一部又は全部が固定化された固相に、少なくとも請求項1から5及び7のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出剤及び被験試料を作用させる反応工程と、
    該核内受容体リガンド検出剤の該核内受容体への結合を検出する検出工程とを含むことを特徴とする核内受容体リガンド検出方法。
  14. 反応工程が、異なる複数の核内受容体の少なくともリガンドとの結合領域を含む一部又は全部が固定化された固相に、少なくとも請求項1から5及び7のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出剤及び被験試料を作用させる工程である請求項13に記載の核内受容体リガンド検出方法。
  15. 核内受容体が、エストロゲン受容体α、エストロゲン受容体β、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体、グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、レチノイン酸受容体α、レチノイン酸受容体β、レチノイン酸受容体γ、甲状腺ホルモン受容体α、甲状腺ホルモン受容体β、ビタミンD受容体、レチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β、レチノイドX受容体γ、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体δ、肝臓X受容体α、肝臓X受容体β、ファーネソールX受容体、ステロイド及び外来異物受容体、恒常的アンドロスタン受容体、逆アーブA受容体α、逆アーブA受容体β、RAR関連オーファン受容体α、RAR関連オーファン受容体β、RAR関連オーファン受容体γ、肝細胞核内因子4α、肝細胞核内因子4β、精巣オーファン受容体2、精巣オーファン受容体4、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子α、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子β、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子γ、エストロゲン関連受容体α、エストロゲン関連受容体β、エストロゲン関連受容体γ、神経成長因子誘導遺伝子Bα、神経成長因子誘導遺伝子Bβ、神経成長因子誘導遺伝子Bγ、胚細胞核内因子、ステロイドジェニック因子1、肝受容体相同蛋白、光受容体細胞特異的核内受容体、ショウジョウバエテイルレス遺伝子受容体ヒトホモローグ、小ヘテロダイマーパートナー蛋白、及び、量感受性性転換AHCに非常に重要なX染色体上の領域の遺伝子1から選択される少なくとも1種の核内受容体である請求項13及び14のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出方法。
  16. 被験試料中の核内受容体リガンドを検出する核内受容体リガンド検出方法であって、
    少なくとも1種の核内受容体の少なくともリガンドとの結合領域を含む一部又は全部が固定化された固相に、少なくとも請求項6に記載の核内受容体リガンド検出剤及び被験試料を作用させる反応工程と、
    該核内受容体リガンド検出剤の該核内受容体への結合を検出する検出工程とを含み、
    核内受容体の少なくとも1種が、レチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β及びレチノイドX受容体γのいずれかであり、かつ、
    検出を目的とするリガンドの少なくとも1種が有機スズ化合物であることを特徴とする核内受容体リガンド検出方法。
  17. 核内受容体リガンド検出用に用いられ、少なくとも1種の核内受容体の少なくともリガンドとの結合領域を含む一部又は全部が固定化された固相を有し、該核内受容体の少なくとも1種がレチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β、レチノイドX受容体γのいずれかであり、かつ、検出を目的とするリガンドの少なくとも1種が有機スズ化合物であることを特徴とする核内受容体担持体。
  18. 固相が、マイクロウェルプレートである請求項17に記載の核内受容体担持体。
  19. 少なくとも1種の核内受容体の少なくともリガンド結合領域を含む一部又は全部が固定化された固相を含む核内受容体担持体、及び請求項1から5及び7のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出剤を含むことを特徴とする核内受容体リガンド検出キット。
  20. 核内受容体担持体が、複数の異なる核内受容体の少なくともリガンド結合領域を含む一部又は全部が固定化されたマイクロウェルプレートである請求項19に記載の核内受容体リガンド検出用キット。
  21. 核内受容体が、エストロゲン受容体α、エストロゲン受容体β、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体、グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、レチノイン酸受容体α、レチノイン酸受容体β、レチノイン酸受容体γ、甲状腺ホルモン受容体α、甲状腺ホルモン受容体β、ビタミンD受容体、レチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β、レチノイドX受容体γ、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体δ、肝臓X受容体α、肝臓X受容体β、ファーネソールX受容体、ステロイド及び外来異物受容体、恒常的アンドロスタン受容体、逆アーブA受容体α、逆アーブA受容体β、RAR関連オーファン受容体α、RAR関連オーファン受容体β、RAR関連オーファン受容体γ、肝細胞核内因子4α、肝細胞核内因子4β、精巣オーファン受容体2、精巣オーファン受容体4、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子α、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子β、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子γ、エストロゲン関連受容体α、エストロゲン関連受容体β、エストロゲン関連受容体γ、神経成長因子誘導遺伝子Bα、神経成長因子誘導遺伝子Bβ、神経成長因子誘導遺伝子Bγ、胚細胞核内因子、ステロイドジェニック因子1、肝受容体相同蛋白、光受容体細胞特異的核内受容体、ショウジョウバエテイルレス遺伝子受容体ヒトホモローグ、小ヘテロダイマーパートナー蛋白、及び、量感受性性転換AHCに非常に重要なX染色体上の領域の遺伝子1から選択される少なくとも1種の核内受容体である請求項19及び20のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出用キット。
  22. 少なくとも1種の核内受容体の少なくともリガンド結合領域を含む一部又は全部が固定化された固相を含む核内受容体担持体、及び請求項6に記載の核内受容体リガンド検出剤を含み、該核内受容体の少なくとも1種がレチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β及びレチノイドX受容体γのいずれかであり、検出を目的とするリガンドの少なくとも1種が有機スズ化合物であることを特徴とする核内受容体リガンド検出キット。
  23. 請求項1から5及び7のいずれかに記載の核内受容体リガンド検出剤、及び、固相に結合させる固定化用の核内受容体タンパク質を含むことを特徴とする核内受容体リガンド検出キット。
  24. 固定化用の核内受容体タンパク質がGST−核内受容体融合タンパク質であり、さらに、該固定化用の核内受容体タンパク質の固相への固定に用いられる抗GST抗体を含む請求項23に記載の核内受容体リガンド検出キット。
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