JP7421183B2 - 抗原固相化デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、ペプチド抗原が一定の配向性で基材表面上に固定された抗原固相化デバイス
、その製造方法、及びそれを用いた抗体検出方法に関する。
被験体内における抗体の測定には、通常、ELISA法(Enzyme-Linked Immuno Sorbent As
say)、又はCBA法(Cell Based Assay)が用いられる。
ELISA法は、マイクロプレート上に固相化した抗原に抗体を結合させた後、その抗体に
対する酵素標識された抗ヒトIgG抗体等を反応させて標識酵素量から抗体量を求める方法
である。ELISA法は、簡便、かつ容易に実施することができ、測定結果を客観的な数値で
得ることが可能という利点がある(非特許文献1)。
ELISA法においてマイクロプレートと抗原の結合は、一般に分子間力や疎水的相互作用
に基づく。分子間力は結合力が弱いため反応中に抗原がマイクロプレートから剥離すると
いう問題があった。また、疎水的相互作用は、プレート素材や抗原の固相化に使用するバ
ッファ等のpH等の影響を受けやすいという問題があった。さらに、分子間力や疎水的相互
作用等の物理的吸着には選択性がないことから、未精製抗原を固相化に使用した場合、夾
雑物もマイクロプレートに結合してしまうという問題もあった。それ故に、固相化に使用
する抗原は精製されていることが必須条件であった。また、抗原の固相化後は、抗原未結
合領域の非特異的結合を抑制するためブロッキング処理を行う必要もあり、ELISAプレー
トの作製には多大な手間と時間を要するという問題もあった。加えて、図3に示すように
、従来の物理的吸着による抗原の固相化方法ではマイクロプレート上で抗原(0301)の固
相方向を調整できず、抗原が抗原決定基(0202)でマイクロプレート上に固相化された場
合、目的の抗体(0201)と結合することができないという問題もあった。さらに、マイク
ロプレートとの結合により抗原の3次構造が変化して、抗体に対する反応性が低下すると
いう問題もあった。
上記問題を解決するため、例えば、マイクロプレート表面に固相化したストレプトアビ
ジンとビオチン化抗原との間で、ビオチン-ストレプトアビジン結合によって抗原を固相
化する方法が開発されている。しかし、抗原決定基を避けてビオチン分子を抗原分子に導
入するのは容易ではない。また抗原によってビオチンの結合数も異なるため、ビオチンに
よる抗原の3次構造への影響は抗原間で一様ではない。それ故に、同一検体の測定結果が
ビオチン化抗原のロットによって異なる問題も発生し得る。さらに、抗原の固相方向を調
整する問題は解決できていない。
他の問題解決策として、抗原をマイクロプレートに間接的に固相化するサンドイッチEL
ISA方法がある。この方法では、マイクロプレート上に抗原に対する抗体を固相化させた
後、抗原を別の抗体と反応させて結合させる。この方法は、抗原の3次構造への影響を軽
減できるという利点があるが、抗原上の抗原決定基が少なくとも2つなければならないと
いう欠点がある。また、目的の抗体がその抗原決定基の近傍に存在する他の抗原決定基を
認識する場合、目的の抗体と他の抗原決定基との結合が阻害される可能性がある。さらに
、測定時に使用する標識抗ヒトIgG抗体が固相に使用した抗体と交差反応するリスクもあ
る。
上記のように、ELISA法はnative状態の高次構造を維持した抗原をマイクロプレート上
に適切に固相することが難しく、その場合は正確な抗体測定が困難となることが多い。
一方、CBA法では、ヒト由来の細胞株に導入し、発現させた細胞表面抗原を用いる。CBA
法における抗原は、ヒト細胞株内で生合成されるためnative様の高次構造を有し、また細
胞表面に発現した抗原の方向性も一定と考えられる。しかし、CBA法は、判定者が細胞表
面に発現した蛍光体標識抗体の蛍光強度を肉眼で判定するため、測定結果の客観性に欠け
るという問題があった。また、抗原検出のために細胞をホルマリン等で固定する際に細胞
表面上の抗原も変性してしまう問題もあった。そのため、測定の度に抗原を発現させなけ
ればならず、非常に煩雑な操作が要求されていた。さらに、抗体による非特異的反応が多
く、その抑制が困難な上、定量測定ができないという問題もあった。
広田次郎、清水眞也, 2014, 動物衛生研究所報告, 120, 19-30.
抗体の測定における既存の方法の問題点を解決するために、簡便に、定量的に、かつ客
観的数値で抗体を検出できる新たな抗原固相化方法を開発し、その方法を具現化するデバ
イスを提供する。
本発明者らは、上記課題を解決するために研究及び開発を重ねた結果、プロメガ社が開
発し、市販するHaloTag(登録商標)システムを用いることで、native様の3次構造を維持
したペプチド抗原を所望の方向に配向すること、かつ基材表面に強固に固相化させること
に成功した。本発明は、前記研究開発結果に基づくものであり、以下を提供する。
(1)ペプチド抗原が一定の配向性で固定された抗原固相化デバイスであって、固定領
域及び式Iで示されるリガンド領域を含むアンカー部、及び前記ペプチド抗原の全部及び
/又は一部のアミノ酸配列からなる抗原領域及び配列番号1で示すアミノ酸配列からなる
タグ領域を含む融合ポリペプチドからなる抗原部を含み、前記アンカー部は固定領域で基
材表面に固定され、前記アンカー部と前記抗原部は、前記アンカー部のリガンド領域と前
記抗原部のタグ領域で結合している前記抗原固相化デバイス。
Figure 0007421183000001
(2)前記アンカー部が連結部を介して基材表面に固定されている、(1)に記載の抗
原固相化デバイス。
(3)前記連結部が基材表面に直接固定された第1リンカー手段、及び前記アンカー部
の固定領域に結合した又は固定領域を構成する第2リンカー手段からなり、前記第1リン
カー手段と前記第2リンカー手段が特異的に結合する、(2)に記載の抗原固相化デバイ
ス。
(4)二以上の前記抗原部が同一の及び/又は異なるアミノ酸配列からなる抗原領域を
含む、(1)~(3)のいずれかに記載の抗原固相化デバイス。
(5)試料中に存在する目的抗体の検出用である、(1)~(4)のいずれかに記載の
抗原固相化デバイス。
(6)前記目的抗体がバイオマーカーである、(5)に記載の抗原固相化デバイス。
(7)前記バイオマーカーが疾患の罹患検出バイオマーカーである、(6)に記載の抗
原固相化デバイス。
(8)前記疾患が重症筋無力症であり、前記ペプチド抗原が低密度リポタンパク質受容
体関連タンパク質4(LRP4)である、(7)に記載の抗原固相化デバイス。
(9)前記疾患が自己免疫性自律神経節障害であり、前記ペプチド抗原がガングリオニ
ックアセチルコリン受容体(gAChR)である、(7)に記載の抗原固相化デバイス。
(10)ペプチド抗原が一定の配向性で基材表面に固定された抗原固相化デバイスを製
造する方法であって、固定領域及び式Iで示されるリガンド領域を含むアンカー部を前記
固定領域で基材表面に固定する固定工程、及び前記ペプチド抗原の全部及び/又は一部の
アミノ酸配列からなる抗原領域及び配列番号1で示すアミノ酸配列からなるタグ領域を含
む融合ポリペプチドからなる抗原部を前記アンカー部と接触させて、前記アンカー部のリ
ガンド領域と前記抗原部のタグ領域とを結合させる結合工程を含む前記方法。
Figure 0007421183000002
(11)ペプチド抗原を一定の配向性で基材表面に固定する方法であって、固定領域及
び式Iで示されるリガンド領域を含むアンカー部を前記固定領域で基材表面に固定する固
定工程、及び前記ペプチド抗原の全部及び/又は一部のアミノ酸配列からなる抗原領域及
び配列番号1で示すアミノ酸配列からなるタグ領域を含む融合ポリペプチドからなる抗原
部を前記アンカー部と接触させて、前記アンカー部のリガンド領域と前記抗原部のタグ領
域とを結合させる結合工程を含む前記方法。
Figure 0007421183000003
(12)前記抗原部が動物細胞内で発現されたポリペプチドである、(10)又は(1
1)に記載の方法。
(13)(5)~(7)のいずれかに記載の抗原固相化デバイスを用いた、試料中に存
在する目的抗体を検出する方法であって、前記試料を前記抗原固相化デバイスにおける抗
原領域と接触させる接触工程、及び前記接触工程で生成される抗原抗体複合体を検出する
検出工程を含む前記方法。
(14)(7)に記載の抗原固相化デバイスを用いた、被験体における特定の疾患の罹
患を検出する方法であって、被験体由来の試料を前記抗原固相化デバイスにおける抗原領
域と接触させる接触工程、前記接触工程で生成される抗原抗体複合体を検出する検出工程
、及び前記検出工程で検出された抗原抗体複合体の有無、又はその量の多寡に基づいて、
前記被験体が前記特定の疾患に罹患していると判定する判定工程を含む前記方法。
(15)前記特定の疾患が重症筋無力症であり、前記ペプチド抗原が低密度リポタンパ
ク質受容体関連タンパク質4(LRP4)である、(14)に記載の方法。
(16)前記特定の疾患が自己免疫性自律神経節障害であり、前記ペプチド抗原がガン
グリオニックアセチルコリン受容体(gAChR)である、(14)に記載の方法。
本発明の抗原固相化方法によれば、native様の3次構造を維持したペプチド抗原を一定
の配向性で基材表面に強固に固相化させることができる。
本発明の抗原固相化デバイスによれば、native様の3次構造を維持したペプチド抗原を
一定の配向性で基材表面に強固に固相化した抗体測定デバイスを提供することができる。
本発明の抗原固相化デバイスの単一の構成を示す概念図である。 本発明の抗原固相化デバイス(0100)で試料中の抗体(0201)を捕捉した時の概念図を示す。基材(0110)表面上に複数の本発明の抗原固相化デバイス(0100)が固相化されているが、N末端付近に抗原決定基(0202)を有する抗原部は、いずれもN末端が曝露した配向性を有している。それ故に、全ての抗原部(0130)が試料中の抗体と結合することができる。 従来のELISA法で、固相化した複数の抗原により試料中の抗体(0201)を捕捉した時の概念図を示す。基板表面上で抗原は、分子間力によって様々な方向で結合している。抗原決定基(0202)を有するN末端が抗体と結合可能な状態で曝露している抗原は一部であり、目的の抗体を捕捉できない抗原が複数存在している。 本発明の抗原固相化デバイスの製造フローを示す図である。 HaloTag-ELISAプレートでの抗LRP4抗体の検出感度を示す図である。陽性対照用の精製抗原を破線で示す。表中、×1/25、×1/50、×1/100、及び×1/200は抗原固相化時に用いた培養上清の希釈率を示す。 従来型ELISA(PBSで抗原固定)プレートでの抗LRP4抗体の検出感度を示す図である。陽性対照用の精製抗原を破線で示す。表中、×1/25、×1/50、×1/100、及び×1/200は抗原固相化時に用いた培養上清の希釈率を示す。 従来型ELISA(PBSTで抗原固定)プレートでの抗LRP4抗体の検出感度を示す図である。陽性対照用の精製抗原を破線で示す。表中、×1/25、×1/50、×1/100、及び×1/200は抗原固相化時に用いた培養上清の希釈率を示す。
1.抗原固相化デバイス及びその製造方法
1-1.概要
本発明の第1の態様は、抗原固相化デバイス及びその製造方法である。本発明の抗原固
相化デバイスは、プロメガ社のHaloTag(登録商標)システムを利用して、ペプチド抗原
を一定の配向性で基材上に固定していることを特徴とする。
本発明の抗原固相化デバイスによれば、基材表面に固定された全てのペプチド抗原のエ
ピトープの配向を試料中の目的抗体と結合可能な状態で提示することができる。また、動
物細胞内で発現した融合タンパク質を使用した場合、その融合タンパク質に含まれるペプ
チド抗原の三次元立体構造を自然状態のまま保持されるため、生体内の抗原抗体反応をin
vitroで再現することができる。
1-2.構成
本明細書において「抗原固相化デバイス」とは、複数のペプチド抗原が一定の配向性で
基材表面に固定されていることを特徴とする機器(デバイス)をいう。
本発明の抗原固相化デバイスの単一構成を図1に示す。この図で示すように、本発明の
抗原固相化デバイス(0100)は、基材(0110)、アンカー部(0120)、及び抗原部(0130
)を必須構成要素として、また連結部(0140)を選択的構成要素として含む。各構成要素
の具体的な構成について、以下で説明をする。
1-2-1.基材
本明細書において「基材」(0110)とは、本発明の抗原固相化デバイスにおける必須構
成要素であって、他の構成要素であるアンカー部、抗原部、及び連結部(本明細書では、
これらをまとめて、しばしば「アンカー部等」と表記する)を、その表面に直接的に、及
び/又は間接的に固定するための固相担体をいう。基材は、原則として固体であるが、表
面にアンカー部又は連結部を固定することができれば、ゲルのような半固体状態であって
もよい。
基材の材質は、少なくともその表面にアンカー部を直接的又は間接的に固相化できる材
質であればよく、限定はしないが、水や水溶液に溶解しない不溶性素材が好ましい。例え
ば、プラスチック、ガラス、金属、セラミックス、磁石、天然樹脂(例えば、天然ゴム又
は漆)、天然繊維若しくは化学繊維又はそれらの集合体(例えば、紙、不織布、フィルタ
ー)、あるいはそれらの混合物が挙げられる。ただし、水溶性素材であっても寒天のよう
な多糖類高分子(例えば、寒天)、ゲル化タンパク質(例えば、ゼラチン、コラーゲン)
等は、包含する水分量を調整することで基材として使用することができる。いずれの材質
を選択するかは、抗原固相化デバイスの使用用途や使用状況に応じて適宜定めればよい。
例えば、ELISA法、蛍光法、又は比色法等の酵素免疫測定法で測定する場合、コスト面、
加工面及び操作等の理由から、プラスチックやガラスが好適である。それらの透明素材は
特に好ましい。プラスチックは、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリス
チレン、ポリウレタン、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミ
ド、ポリビニルアルコール等を利用することができる。抗原固相化デバイスがSPR測定セ
ンサやQCM測定センサ等のセンサチップとして使用される場合、基材の材質は、金(Au)
、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)等の金属が好ましい。
基材は複数の材質で構成されていてもよい。例えば、二以上の材質からなる多層構造体
が挙げられる。一具体例として、ガラス表面に金薄膜が積層されている基材が該当する。
基材が多層構造を有する場合、少なくとも基材表面を構成する層は、アンカー部等を固定
できる材質でなければならない。
基材の形状は、抗原固相化デバイスの使用用途や使用状況に応じて適宜定めることがで
きる。形状例として、プレート状(96穴マイクロタイタープレート等の方形を含む)、デ
ィッシュ状、チューブ状、スティック状、繊維状、ビーズ状、キューブ状、又はシート状
等が挙げられる。ビーズ表面にペプチド抗原を固定する場合には、基材は、限定はしない
が直径約1μm~約1cmの大きさの球体とすることができる。さらに、例えば、本発明の
抗原固相化デバイスがSPR測定センサのセンサチップとして使用されるのであれば、基材
は使用するSPR測定センサに適合する形状にすればよい。
本明細書において「基材表面」とは、基材において外界に露出している部分をいう。そ
れ故、基材表面は基材の形状によって変化する。例えば、基材がプレート状の形状の場合
、基材表面は、プレートの表裏及び側面が該当する。また、基材がチューブ形状の場合、
基材表面は、チューブ外面、内面及び断面が該当する。さらに、基材が球体形状の場合、
基材表面は一般に球体外表面が該当するが、基材が内部空間を有し、当該内部空間が外界
に一部開いている場合には、内部表面も含まれる。例えば、基材が中空ビーズの場合や多
孔状素材の場合が該当する。
1-2-2.アンカー部
「アンカー部」(0120)とは、本発明の抗原固相化デバイスにおける必須構成要素であ
って、基材表面に直接的に又は間接的に固定される部である。アンカー部は、低分子化合
物で構成され、後述する抗原部と特異的に結合することで、抗原部を間接的に基材表面に
固定化すると共に、抗原部に含まれるペプチド抗原の配向性を一定にする機能を担う。
(1)アンカー部の構成領域
アンカー部は、リガンド領域(0121)と固定領域(0122)を必須領域として、またスペ
ーサー領域(0123)を選択領域として含む。以下、各領域について説明する。
(a)リガンド領域
「リガンド領域」(0121)とは、プロメガ社HaloTag(登録商標)システムにおけるHal
oTag(登録商標)Ligandの活性リンカー(Reactive Linker)に相当する領域であって、
式Iで示す構造を有する。
Figure 0007421183000004
リガンド領域は、後述する抗原部のタグ領域と特異的に結合する性質を有し、この領域
を介して抗原部を捕捉し、抗原部を基材表面に固定化する。
(b)固定領域
「固定領域」(0122)とは、アンカー部(0120)において、基材への固定に寄与する領
域をいう。固定領域は、基材に直接的に又は間接的に固定可能な構造を有していればよく
、具体的な構造については特に限定はしない。固定領域の例として、直接的な固定であれ
ば官能基が挙げられる。また、後述する連結部(0140)を介した間接的な固定であれば、
官能基、塩基若しくは核酸、アミノ酸若しくはペプチド、及び連結部の一部(後述する第
2リンカー手段:0142)等が挙げられる。
本明細書において抗原固相化デバイスの各構成要素間の固定や結合に寄与する「官能基
」については、その種類は限定しない。例えば、ヒドロキシル基(-OH)、アルデヒド基
(-CHO)、カルボキシ基(-COOH)、メトキシ基(-OCH3)、スルホ基(-SO3H)、アミノ基
(-NH3)、チオール基(-SH)、シアノ基(-C≡H)、又はニトロ基(-NO2)等、反応性の高
い活性官能基は好適である。固定領域が官能基で、基材表面に直接固定される場合、官能
基は基材の材質に応じて適宜選択することができる。例えば、基材が金属の場合、金属に
対して高い吸着性と高配向性を示す硫黄(S)を包含したチオール基又はジスルフィド基
が好適である。アンカー部において、これらの官能基は、例えば、活性リンカー(Reacti
ve Linker)のアミノ基間との間の求核的付加反応、求核置換反応若しくは求電子置換反
応等の化学反応による共有結合を介して結合することができる。
なお、本明細書において物質どうしは、化学的吸着、物理的吸着、又は親和力によって
結合する。化学的吸着には、前述の共有結合又はイオン結合のような化学結合が含まれ、
物理的吸着には、クーロン力、ファンデルワールス力、疎水性相互作用、CH-π相互作用
が含まれる。
固定領域が塩基又は核酸の場合、それと相補的な塩基、又は塩基配列を有する核酸で構
成された連結部と水素結合を介して結合することができる。
固定領域がアミノ酸又はペプチドの場合、そのアミノ酸又はペプチドと結合し得る物質
で構成された連結部との間で化学反応による共有結合、タンパク質間相互作用(例えば、
抗原抗体反応)、新和力(例えば、核酸アプタマー及びペプチド間結合、糖鎖及びレクチ
ン間結合)を介して結合することができる。固定領域がアミノ酸又はペプチドの場合、例
えば、活性リンカー(Reactive Linker)のアミノ基とアミノ酸のカルボキシ基との間で
脱水縮重によるアミド結合を形成させることで結合することができる。
固定領域が連結部(0140)の一部で構成される場合、連結部は2つの手段、すなわち第
1リンカー手段(0141)と第2リンカー手段(0142)で構成されることを前提とする。連
結部の構成については後述する。第2リンカー手段を固定領域として含むアンカー部の具
体例を式IIで示す。
Figure 0007421183000005
上記式IIで示すアンカー部は、第2リンカー手段としてビオチンを含んでいる。当該構
造のアンカー部は、プロメガ社よりHaloTag(登録商標)Biotin Ligandとして市販されて
おり、それを利用することもできる。HaloTag(登録商標)Biotin Ligandにおける機能性
受容体(Functional Recepter)がビオチンに相当する領域であり、ビオチンがアミド結合
によって前記式Iで示すリガンド領域と連結された構造を有する。
(c)スペーサー領域
アンカー部(0120)は、リガンド領域(0121)や固定領域(0122)の他にもスペーサー
領域(0123)を含んでいてもよい。
「スペーサー領域」(0123)とは、前記固定領域及びリガンド領域間に位置し、両者を
連結する領域をいう。アンカー部がスペーサー領域を含むことで、リガンド領域の自由度
が高くなり、可動性が増す。スペーサー領域の構造は、限定はしない。例えば、式IIIで
示すポリエチレングリコール(PEG)構造が挙げられる。
Figure 0007421183000006
(式中、n=2,3,4,5,6,7,8,又は9である。)
スペーサー領域を有するアンカー部の具体例を式IVに示す。
Figure 0007421183000007
上記式IVで示すアンカー部は、上記式IIで示すアンカー部と同様に、固定領域としてビ
オチンを、またリガンド領域として式Iで示す活性リンカーを含み、その間にスペーサー
領域として式IIIで示すPEG構造(n=4)(本明細書では、「PEG(4)」と表記する)を有する
。当該構造のアンカー部は、プロメガ社よりHaloTag(登録商標)PEG-Biotin Ligandとし
て市販されており、それを利用することもできる。HaloTag(登録商標)PEG-Biotin Liga
ndにおける「スペーサー」がアンカー部のスペーサー領域に相当する。上記式IVで示すア
ンカー部は、N末端側にアミノ基、及びC末端側にカルボキシ基を有するPEG(4)が、N末端
側でビオチンと、及びC末端側でリガンド領域と、それぞれアミド結合によって連結され
た構造を有する。
(2)アンカー部の構成
アンカー部は、基材上に1個又は複数個が固定されているが、通常は複数個である。複
数個が固定されている場合、各アンカー部の構成は同一であってもよいし、異なっていて
もよい。コスト面や操作面を勘案すれば、特段の理由がない限り各アンカー部は同一の構
成でよい。
アンカー部の分子量は限定しないが、100g/mol~500g/molの範囲にあればよい。
1-2-3.抗原部
「抗原部」(0130)とは、本発明の抗原固相化デバイスにおいて、検出素子であるペプ
チド抗原の全部又は一部を含む部であって、ポリペプチドで構成される。抗原部は、前記
アンカー部(0120)と特異的に結合することで、アンカー部を介して基材(0110)に間接
的に固定されている。
(1)抗原部の構成領域
抗原部は、必須領域として抗原領域(0131)とC末端側に位置するタグ領域(0132)を
含み、選択領域として中間領域(0133)を含む。つまり、抗原部は、少なくとも異なる2
種のポリペプチド領域が連結されてなる融合ポリペプチドである。以下、各領域について
説明する。
(a)抗原領域
「抗原領域」(0131)とは、抗原部のN末端側に位置し、ペプチド抗原の全部又はその
一部のアミノ酸配列からなる領域である。
本明細書において「ペプチド抗原」とは、ペプチドで構成された抗原で、本発明の抗原
固相化デバイスにおいて基材表面に配向性を一定にして提示されることを特徴とする。ペ
プチド抗原は、抗原固相化デバイスにおける検出素子であって、抗原固相化デバイスによ
り検出すべき目的の分子(主として抗体)の標的と成り得る分子である。
ペプチド抗原の種類は問わない。検出すべき目的に合わせて適宜選択すればよい。通常
は、目的の分子を検出する上で配向性が重要となるペプチド抗原が好適である。例えば、
膜タンパク質が挙げられる。膜タンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細
胞内ドメインを含む。それぞれのドメインは、細胞膜上での位置、方向性、及び機能が定
まっており、配向性は重要である。したがって、例えば、細胞外ドメインに含まれるエピ
トープを標的とする抗体を検出する場合には、基材上の全ての膜タンパク質の細胞外ドメ
インが抗体と結合可能なように基材上に配向されていることが好ましい。また、検出すべ
き目的の分子が試料中に存在する抗体の場合には、ペプチド抗原の種類は、その抗体の標
的抗原とすればよい。
ペプチド抗原の大きさは、特に制限はなく、標的として選択したペプチド抗原の全長又
はその一部のアミノ酸の長さとすることができる。例えば、限定はしないが、5aa~2000a
aの範囲であれば、抗原部として適当である。
前記「その一部」とは、ペプチド抗原の一部、すなわちペプチド抗原の部分断片をいう
。ペプチド抗原のいずれの部位を選択してもよく、またアミノ酸の長さも全長のペプチド
抗原よりも短ければ限定はしない。配向性を一定にして基材上にペプチド抗原の一部を提
示し、目的の分子を捕捉し、検出する本発明の抗原固相化デバイスの目的を鑑みれば、前
記その一部は少なくとも1つの結合領域を含むことが好ましい。例えば、目的の分子が抗
体であれば、前記その一部は、一部は少なくとも1つのエピトープを含むことが好ましい
1つの抗原部に含まれる抗原領域は、原則として1種のペプチド抗原の全部又はその一部
のアミノ酸配列を含むが、複数種を含んでいてもよい。
(b)タグ領域
「タグ領域」(0132)とは、抗原部のC末端側に位置し、配列番号1で示すアミノ酸配
列からなる領域である。この配列番号1で示すアミノ酸配列は、プロメガ社のHaloTag(
登録商標)システムにおけるHaloTag(登録商標)タンパク質に相当する。HaloTag(登録
商標)タンパク質は、前述のアンカー部におけるリガンド領域、すなわちHaloTag(登録
商標)リガンドの活性リンカーにおけるアルキル基を介して、共有結合により一定の配向
性で強固に結合する。結果としてタグ領域と融合した抗原領域もアンカー部と一定の配向
性で結合されることになる。
(c)中間領域
「中間領域」(0133)とは、抗原部において、抗原領域とタグ領域との間に位置する領
域である。抗原領域とタグ領域を連結する領域としての機能を有する。本領域を構成する
アミノ酸数は限定しないが、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、1
0個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、又は20個ほどで良い。
中間領域を構成するアミノ酸の種類は問わないが、抗原領域やタグ領域の機能に影響を及
ぼさないアミノ酸であることが好ましい。
(2)抗原部の構成
抗原部を構成するアミノ酸の長さは、包含するペプチド抗原又はその断片及びスペーサ
ー領域のアミノ酸の長さによって左右されるため限定しないが、通常は、5aa~2000aaの
範囲内であることが好ましい。
抗原固相化デバイスにおいて、基材(0110)上にアンカー部(0120)が複数個固定され
ている場合、各アンカー部に結合する抗原部の構成は、同一であってもよいし、異なって
いてもよい。例えば、異なる抗原領域を有する抗原部を同一の基材上に固定することもで
きる。このような構成は、試料中の検出すべき目的の抗体が複数種存在する場合、それら
を一度に検出することができる。
1-2-4.連結部
「連結部」(0140)とは、基材及びアンカー部と直接的に結合し、基材(0110)及びア
ンカー部(0120)間の連結を仲介する選択的な部である。抗原固相化デバイスが連結部を
含む場合、アンカー部は、連結部を介して間接的に基材に固定されることとなる。
連結部を構成する物質は問わない。例えば、核酸、ペプチド、低分子化合物、高分子化
合物(合成樹脂、天然樹脂を含む)、磁性体、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
連結部は、基材及びアンカー部の連結を介在することができれば、単一手段で構成され
ていてもよいし、複数の手段で構成されていてもよい。
連結部が単一手段で構成される場合、連結部は単一手段内に基材及びアンカー部のそれ
ぞれと結合する部位を有する。連結部と基材との結合は、限定はしない。例えば、化学的
吸着、物理的吸着及び/又は親和力によって固定化することができる。
連結部が複数手段で構成される場合、その例として、2つの手段、すなわち第1リンカ
ー手段(0141)及び第2リンカー手段(0142)で構成される場合が挙げられる。第1リン
カー手段及び第2リンカー手段は、それぞれが分離した状態で存在し得るが、互いが強い
親和性を有することから、両手段を接触させることで、特異的、かつ強固に結合し、1つ
の連結部として機能する。以下、第1リンカー手段と第2リンカー手段の構成について、
具体的に説明をする。
(i)第1リンカー手段
「第1リンカー手段」(0141)とは、連結部の一部であって、基材表面に直接固定され
る手段である。第1リンカー手段は、その内部に基材表面に直接固定される領域と第2リ
ンカー手段と結合する領域とを有する。基材との固定方法は限定されず、例えば、化学的
吸着、物理的吸着及び/又は親和力によって固定化すればよい。
第1リンカー手段を構成する物質は限定しない。官能基、低分子化合物、核酸、ペプチ
ド、高分子化合物(天然樹脂、合成樹脂を含む)、磁性体、又はそれらの組み合わせが挙
げられる。
基材表面の全部又は一部が連結部、又は第1リンカー手段で被覆されていてもよい。
(ii)第2リンカー手段
「第2リンカー手段」(0142)とは、連結部の一部であって、前記アンカー部と直接的
に結合することで、アンカー部を基材に固定する手段である。第2リンカー手段は、その
内部に第1リンカー手段と結合する領域とアンカー部の固定領域とを結合する領域を含む
第2リンカー手段とアンカー部の固定領域との結合方法は限定されない。例えば、化学
的吸着、物理的吸着及び/又は親和力によって結合すればよい。また、第2リンカー手段
自体を固定領域とすることもできる。この場合、第2リンカー手段は、連結部の一部であ
ると共に前記アンカー部の一部として機能する。第2リンカー手段の例としては、ビタミ
ン類(ビオチンを含む)、テルペノイド(カロテノイド、及びステロール等)、ポリフェ
ノール(例えば、アントシアン、フラボノイド、カテキン、及びタンニン等)、核酸(DN
A、RNA、及び人工核酸類似体を含む)等が該当する。
第1リンカー手段及び第2リンカー手段の組み合わせは、互いが特異的、かつ強固に結
合できる物質であれば、特に限定はしない。例えば、ビオチン及びアビジン、ストレプト
アビジン、又はニュートラアビジンの組み合わせ、抗原と抗体の組み合わせ、糖鎖とレク
チンの組み合わせ、アプタマーとその標的分子(ペプチド、核酸、低分子化合物を含む)
の組み合わせ、及び互いに相補的な配列を有する核酸分子等が挙げられる。
第2リンカー部が前記アンカー部の固定領域を構成する具体例として、前述の式IIで示
すアンカー部が挙げられる。このアンカー部は、固定領域としてビオチンを含むが、同時
に、連結部の第2リンカー手段を構成する。アビジン、ストレプトアビジン、又はニュー
トラアビジンを第1リンカー手段とすることで、第1リンカー手段と第2リンカー手段が
接触したときに両者は特異的に、かつ強固に結合することができる。この構成を有するア
ンカー部は、前述のようにプロメガ社のHaloTag(登録商標)Biotin Ligand又はHaloTag
(登録商標)PEG-Biotin Ligand等として市販されており、それらを利用してもよい。
1-3.用途
本発明の抗原固相化デバイスは、抗原部の抗原領域に結合する目的の分子の検出や単離
に使用することができる。目的の分子は、限定はしないが、好ましくは抗原領域に存在す
るエピトープを認識し、抗原抗体反応によって結合する抗体である。したがって、抗原部
の抗原領域を検出すべき目的の抗体(目的抗体)の標的抗原とすることで、本発明の抗原
固相化デバイスを抗体検出用、又は抗体単離用デバイスとして使用することができる。こ
のとき、目的抗体の種類は限定しない。
また、試料中に存在する抗体がバイオマーカーとして有用な場合、本発明の抗原固相化
デバイスをバイオマーカー検出用デバイスとして使用することもできる。特に、試料中の
目的抗体の存在量が特定の疾患に罹患した患者と健常者と間で有意に異なる場合、その目
的抗体は疾患の罹患検出バイオマーカーとなり得る。その場合、ペプチド抗原をそのよう
な目的抗体の標的抗原とすることで、本発明の抗原固相化デバイスをその疾患罹患検出用
デバイスとして使用することもできる。疾患の具体的な例として、重症筋無力症(Myasth
enia Gravis:本明細書では「MG」と略称する)、及び自己免疫性自律神経節障害(Autoi
mmune Autonomic Ganglionopathy:本明細書では「AAG」と略称する)が挙げられる。
MGは、神経筋接合部において、神経終末から放出されるアセチルコリンと筋肉側のアセ
チルコリン受容体の結合が自己抗体により阻害される結果、全身の筋力低下や易疲労性を
生じる自己免疫疾患である。MGの原因となる病原性自己抗体には、抗AChR(Acetylcholin
e receptor)抗体、抗MuSK(muscle-specific receptor tyrosine kinase)抗体、及び抗LR
P4(LDL [low-density lipoprotein]-receptor related protein 4)抗体が知られている(
木村政勝 & 樋口理, 2012, 臨床神経学, 52(11):51-53;中根俊成ら, 2018, 臨床神経生
理学, 46(2):95-100)。MG患者コホートにおいて、抗AChR抗体陽性/抗MuSK抗体陰性患者
は約80%、及び抗AChR抗体陰性/抗MuSK抗体陽性患者は5~10%(約6%)である。また、
ダブルセロネガティブと呼ばれる抗AChR抗体陰性/抗MuSK抗体陰性患者の中で抗LRP4抗体
陽性患者が全コホートの0.2~0.3%(約0.3%)とされている(木村政勝 & 樋口理, 2012
, 臨床神経学, 52(11):51-53;中根俊成ら, 2018, 臨床神経生理学, 46(2):95-100)。
つまり、MG患者の血清中には抗AChR抗体、抗MuSK抗体、及び抗LRP4抗体のいずれかがバイ
オマーカーとして存在している。したがって、抗原部の抗原領域をAChR、MuSK又はLRP4の
細胞外ドメインとすることで、本発明の抗原固相化デバイスをMG罹患検出用デバイスとし
て使用することができる。
AAGは、ガングリオニックアセチルコリン受容体(gAChR)の機能阻害によって発症する
と考えられている。gAChRは、細胞内にNaイオンを流入させて脱分極を生じさせることで
、活動電位の発生に寄与している。AAGでは、体内で抗gAChR抗体が生成され、それがgACh
Rに結合し、アセチルコリン介在性の神経伝達を障害する結果、発症するとされている。
つまり、AAG患者の血清中には、抗gAChR抗体がバイオマーカーとして存在している。した
がって、抗原部の抗原領域をgAChRの細胞外ドメインとすることで、本発明の抗原固相化
デバイスをAAG罹患検出用デバイスとして使用することができる。
1-4.製造方法
本発明の抗原固相化デバイスを製造する方法のフロー図を図4に示す。本発明の製造方
法は、固定工程(S0402)、及び結合工程(S0403)を必須の工程として、また、選択工程
として連結部固定工程(S0401)、及び/又は洗浄工程(S0404)を含む。以下、各工程に
ついて具体的に説明をする。
1-4-1.連結部固定工程
「連結部固定工程」(S0401)は、連結部(0140)を基材表面(0110)に固定する工程
である。本工程は、アンカー部(0120)が連結部を介して基材表面に固定される場合に、
次述の固定工程に先立ち実行される選択工程である。したがって、アンカー部が直接基材
表面に固定される場合、本工程は不要となる。
連結部が複数手段で構成される場合、本工程では連結部の第1リンカー手段(0141)の
みが固定される。
連結部の基材表面への固定は、連結部の構成に基づき、当該分野で公知の方法で固定す
ればよい。例えば、化学的吸着、物理的吸着、又は親和力のいずれの方法であってもよい
。より具体的な例として、基材表面に第1リンカー手段であるストレプトアビジンを固定
する場合、基材表面にTosyl基やエポキシ基を付加しておけば、ストレプトアビジンと混
合するだけで、ストレプトアビジンの1級アミノ基と共有結合により吸着させることがで
きる。また、基材表面にカルボキシ基を付加しておけば、カルボジイミドによる活性化に
よってストレプトアビジンの1級アミノ基と共有結合により吸着させることができる。こ
れらはいずれも当該分野で周知の方法である。
1-4-2.固定工程
「固定工程」(S0402)は、アンカー部(0120)を基材表面(0110)に固定する工程で
ある。固定はアンカー部の固定領域(0122)と基材表面との間で直接的に、又は前記連結
部(0140)を介して間接的に行われる。本工程はアンカー部(0120)と基材(0110)を混
合し、アンカー部(0120)を特定の反応条件で基材表面に接触させることによって達成さ
れる。本工程は限定しないが、液体中で行うことが好ましい。
前記特定の反応条件は、固定領域の種類、基材の材質、連結部の構成や種類によって異
なる。それぞれの条件に応じて適宜定めればよい。例えば、基材表面に官能基が存在する
場合には、その官能基と共有結合可能な活性官能基を含む固定領域を用いて、両官能基間
の求核的付加反応、求核置換反応若しくは求電子置換反応等の化学反応を促進する条件に
すればよい。アンカー部が連結部を介して基材表面に固定される場合も同様である。一具
体例として、アンカー部の固定領域が連結部の第2リンカー部(0142)を構成する場合で
、その第2リンカー部がビオチンであり、基材に予め固定された第1リンカー部(0141)
がアビジン、ストレプトアビジン、又はニュートラアビジンの場合には、基材(0110)と
アンカー部(0120)を混合し、ビオチン及びアビジン等を接触させるだけでアフィニティ
結合により、アンカー部を基材に吸着固定することができる。
1-4-3.結合工程
「結合工程」(S0403)は、抗原部(0130)を前記アンカー部(0120)と接触させて、
アンカー部のリガンド領域(0121)と前記抗原部のタグ領域(0132)とを結合させる工程
である。
リガンド領域は、プロメガ社HaloTag(登録商標)システムにおけるHaloTag(登録商標
)リガンドの活性リンカー(Reactive Linker)に相当する領域である。また、タグ領域
は、配列番号1で示すアミノ酸配列からなり、プロメガ社のHaloTagシステムにおけるHal
oTag(登録商標)タンパク質に相当する。したがって、リガンド領域(HaloTagリガンド
の活性リンカー)とタグ領域(HaloTagタンパク質)との結合は、抗原部とアンカー部を
接触させることで、HaloTagリガンドの活性リンカーにおけるアルキル基を介した共有結
合により達成される。この時、リガンド領域とタグ領域は、一定の配向性を持って強固に
結合し、タグ領域と融合した抗原領域(0131)も基板上で一定の配向性を有することとな
る。よって、同一の構成を有する全ての抗原部を基板上で一定の方向で配置させることが
できる。
1-4-4.洗浄工程
「洗浄工程」(S0404)は、本製造方法において、基材表面に残る未結合の連結部、ア
ンカー部、及び抗原部を洗浄により除去する工程である。洗浄工程は、前述の各工程のい
ずれか一以上が実行された後、次の工程が実行される前に必要に応じて行われる。洗浄条
件は、既に基材表面に固定された各部に影響しない条件であれば限定はしない。通常は、
常温(20℃~25℃)及び常圧下で行えばよい。洗浄に使用する洗浄液は、基材表面に固定
された各部に影響しない溶液であれば限定はしない。例えば、純水、緩衝液(リン酸緩衝
液、トリス緩衝液、HEPES緩衝液等)が挙げられる。1回の洗浄工程で、基材表面を複数回
洗浄してもよい。本工程後、必要に応じて基材表面を乾燥させてもよい。
2.ペプチド抗原固相化方法
2-1.概要
本発明の第2の態様は、ペプチド抗原固相化方法である。本発明の方法によれば、プロ
メガ社のHaloTag(登録商標)システムを利用して、複数のペプチド抗原を一定の配向性
で基材表面に固相化することができる。
2-2.方法
本発明の抗原固相化方法は、固定工程、及び結合工程を必須の工程として含む。以下、
各工程について具体的に説明をする。
2-2-1.固定工程
「固定工程」は、第1態様に記載の固定領域及びリガンド領域を含むアンカー部を前記
固定領域で基材表面に固定する工程である。基材及びアンカー部の構成、及び本工程の具
体的な方法については、第1態様に記載の固定工程に準ずるので、ここでの詳細な説明は
省略する。
2-2-2.結合工程
「結合工程」は、第1態様に記載の抗原領域及びタグ領域を含む抗原部を前記固定工程
で基材表面に固定したアンカー部のリガンド領域と前記抗原部のタグ領域を結合させる工
程である。抗原部の構成、及び本工程の具体的な方法については、固定工程と同様、第1
態様に記載の結合工程に準ずるので、ここでは、それらの詳細な説明を省略し、本工程に
特徴的な点についてのみを説明する。
本態様の方法で用いる抗原部は、第1態様に記載のように、ペプチド抗原の全部及び/
又は一部のアミノ酸配列からなる抗原領域及び配列番号1で示すアミノ酸配列からなるタ
グ領域を含む融合ポリペプチドからなる。この抗原部は動物細胞内で発現させたポリペプ
チドであってもよい。
動物細胞の種類は、限定しない。Expi293細胞、HEK293細胞、HeLa細胞、CHO-K1細胞等
、当該分野で公知の株化細胞を用いてもよいし、適当な組織から樹立したプライマリー細
胞を用いてもよい。
抗原部を動物細胞内で発現させる方法は、当該分野で公知の方法を用いればよい。最も
一般的な方法として、抗原部をコードする核酸分子を動物細胞に導入して、その細胞内で
発現させる方法である。前記核酸分子は発現可能な状態で発現ベクターに包含されている
ことが好ましい。
「発現ベクター」とは、内部に含まれる目的の遺伝子や核酸分子(これらをまとめて「
遺伝子等」と表記する)の発現を制御できる発現単位をいう。「発現可能な状態」とは、
所定条件下で目的の遺伝子等が宿主細胞内で転写され得る状態をいう。具体的には、プロ
モーターの制御下に目的の遺伝子等を配置した状態が該当する。プロモーターが活性化す
ると、その制御下に配置された目的の遺伝子等の発現が誘導される。本態様の方法におい
て、発現ベクターは、宿主細胞、好ましくは動物細胞内で複製かつ発現が可能な様々な発
現ベクターを利用することができる。例として、ウイルスベクター、プラスミドベクター
、コスミド、及び人工染色体等が挙げられる。ウイルスベクターには、例として、レトロ
ウイルス(レンチウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV;Adeno
-Associated Virus)、センダイウイルス等に由来する種々のベクターが利用できる。プ
ラスミドベクターには、例えば、pBI系、pPZP系、pSMA系、pUC系、pBR系、pBluescript系
(stratagene社)等のプラスミドが利用できる。また、人工染色体には、ヒト人工染色体
(HAC; Human Artificial Chromosome)、酵母人工染色体(YAC; Yeast Artificial Chro
mosome)、菌人工染色体(BAC; Bacterial Artificial Chromosome)、及びP1由来人工染
色体(PAC; P1-derived Artificial Chromosome)が利用できる。発現用ベクターの種類
は、導入する宿主に応じて適宜選択すればよい。発現ベクターは、各メーカーからの用途
に応じた様々な種類が市販されており、それらを利用することもできる。発現用ベクター
は、プロモーター、エンハンサー、若しくはターミネーターのような調節領域、又は選抜
マーカー遺伝子のような標識領域を包含していてもよい。それぞれの種類は、特に限定さ
れない。発現ベクターを導入する宿主に応じて当該分野で公知のものを適宜選択すればよ
い。
以上のように、本態様の抗原固相化方法は、その必須工程が、前記第1態様の抗原固相
化デバイス製造方法に準ずる。つまり、第1態様の抗原固相化デバイス製造方法を実施す
ることで、同時に複数のペプチド抗原を一定の配向性で基材表面に強固に固相化すること
ができる。
3.抗体検出方法
3-1.概要
本発明の第3の態様は抗体検出方法である。この方法によれば、第1態様の抗原固相化
デバイスを用いて試料中に存在する目的抗体を効率的に、かつ高感度で検出することがで
きる。
3-2.方法
本発明の抗体検出方法は、接触工程、及び検出工程を必須の工程として含む。以下、そ
の工程について具体的に説明をする。
3-2-1.接触工程
「接触工程」は、試料を前記抗原固相化デバイスにおけるペプチド抗原と接触させる工
程である。
本明細書において「試料」とは、目的とする抗体を含み得る生物学的試料をいう。例え
ば、細胞、組織、又は体液が挙げられる。好ましくは液状生体試料である。液状試料には
、例えば、体液、又は細胞抽出液が含まれる。「体液」とは、被験者から直接採取される
液体状の生体試料をいう。例えば、血液(血清、血漿及び間質液を含む)、脳脊髄液、リ
ンパ液、尿、汗、涙、鼻汁、精液、膣液、膿、胸水、腹水等が該当する。
試料は、被験体から採取すればよい。試料の採取方法は、既知の方法に準ずればよく、
特に限定はしない。例えば、試料が体液の場合、採取は、当該分野の公知の方法に基づい
て行えばよい。例えば、血液やリンパ液であれば、公知の採血方法に従えばよい。具体的
には、末梢血であれば末梢部の静脈等に注射をして採取すればよい。また、試料が脳脊髄
液の場合、腰椎穿刺により採取すればよい。試料は、採取後、速やかに本発明の抗体検出
方法で使用することもできるが、採取後、直ちに氷冷し、遠心により得られた上清を超低
温槽で保存したものを解凍し使用してもよい。また、必要に応じて希釈若しくは濃縮、又
はヘパリンのような凝固阻止剤を添加することもできる。
本明細書において「被験体」とは、本発明の抗体検出方法の対象となる生物個体をいう
。例えば、ヒト、愛玩動物(イヌ、ネコ、ウサギ等)、競走馬、実験動物(マウス、ラッ
ト、モルモット、サル等)、家畜(ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ニワトリ、ダチョ
ウ等)等が該当する。好ましくはヒトであり、この場合、特に「被験者」と表記する。
本工程で使用する抗原固相化デバイスは、第1態様に記載の抗原固相化デバイスの構成
を有しており、抗原部の抗原領域には、目的とする抗体と特異的に結合可能なペプチド抗
原が配置されている。接触方法は、抗原部と目的の抗体が互いに接触し合う機会を付与で
きる状態にすればよく、特に限定はしない。例えば、抗原固相化デバイスの基材表面上に
試料を積載又は流通させるか、抗原固相化デバイスを試料中に浸漬すればよい。
接触時間は特に限定はしない。試料中に含まれる目的の抗体の種類、予想されるその濃
度、接触方法等に応じて適宜定めればよい。
3-2-2.検出工程
「検出工程」は、前記接触工程で生成される抗原抗体複合体を検出する工程である。抗
原抗体複合体の検出方法は限定しない。公知の検出方法を用いればよい。好ましい方法と
して免疫学的検出法である。免疫学的検出法には、例えば、酵素免疫測定法(ELISA法、E
IA法を含む)、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法(RIA法)、発光免疫測定法、表面プラ
ズモン共鳴法(SPR法)、水晶振動子マイクロバランス(QCM)法、免疫比濁法、ラテック
ス凝集免疫測定法、ラテックス比濁法、赤血球凝集反応法、粒子凝集反応法、金コロイド
法、キャピラリー電気泳動法、ウエスタンブロット法又は免疫組織化学法(免疫染色法)
が挙げられる。基板上に固相化された抗原固相化デバイスで目的の抗体(IgG抗体)を検
出する場合、発色物質、蛍光又は発行物質を付加した標識化抗IgG抗体等を用いる酵素免
疫測定法、蛍光免疫測定法、又は発光免疫測定法が簡便で便利である。これらはいずれも
公知の方法を用いればよい。
4.疾患罹患検出方法
4-1.概要
本発明の第4の態様は、疾患罹患検出方法である。本発明の方法によれば、第1態様の
抗原固相化デバイスを用いて特定の疾患に起因する目的抗体を検出することで、被験体が
その疾患に罹患しているか否かを検出することができる。
4-2.方法
本発明の検出方法は、接触工程、検出工程、及び判定工程を必須の工程として含む。以
下、それぞれの工程について説明をする。
4-2-1.接触工程
「接触工程」は、試料を前記抗原固相化デバイスにおけるペプチド抗原と接触させる工
程である。本工程は、前記第3態様に記載の接触工程に準ずることから、本態様の検出方
法で特徴的な点を除き、ここでの説明は省略する。
本工程で使用する試料は、特定の疾患に起因する抗体を包含し得る試料である。
本明細書において「特定の疾患」とは、その罹患の原因が抗体である疾患、又は罹患に
起因して生体内に抗体が産生される疾患をいう。例えば、重症筋無力症(MG)、又は自己
免疫性自律神経節障害(AAG)が挙げられる。これらの疾患については、前述の通りであ
る。
本発明の検出方法で使用する抗原固相化デバイスの基本構成は、第1態様に記載の抗原
固相化デバイスと同一であるが、抗原部の抗原領域については、検出する特定の疾患に起
因する抗体と特異的に結合可能な抗原を使用する。例えば、前記AAG患者であれば、血清
中にガングリオニックアセチルコリン受容体(ganglionic acetylcholine receptor:本
明細書では「gAChR」と略記する)を標的とする自己抗体(抗gAChR抗体)が存在すること
が明らかとなっている(Lennon VA., et al., 2003, J Clin Invest, 111:907-913)。
したがって、検出すべきAAGに起因する抗体は、抗gAChR抗体であり、AAG検出用の抗原固
相化デバイスにおける抗原部抗原領域にはgAChR又はその一部が含まれる。
4-2-2.検出工程
「検出工程」は、前記接触工程で生成される抗原抗体複合体を検出する工程である。本
工程は、第3態様の検出工程に準ずることから、ここでの説明を省略する。
4-2-3.判定工程
「判定工程」は、前記検出工程で検出された抗原抗体複合体の有無、又はその量の多寡
に基づいて、試料提供した被験体が特定の疾患に罹患していると判定する工程である。
疾患罹患の判定基準として、目的の抗体が特定の疾患の罹患患者にのみ現れる場合には
、前記検出工程で抗原抗体複合体が検出された場合に、試料を提供した被験体は、その特
定の疾患に罹患していると判定できる。
また、目的の抗体は健常体(群)中にも現れるものの、特定の疾患の罹患患者と比較し
た時にその量が健常体(群)よりも多い場合又は少ない場合に、統計学的な有意差に基づ
いて、又はカットオフ値に基づいて、被験体が特定の罹患疾患に罹患していると判定する
本明細書において「統計学的に有意」とは、得られた値の危険率(有意水準)が小さい
場合、具体的には、p<0.05(5%未満)、p<0.01(1%未満)又はp<0.001(0.1%未満
)の場合が挙げられる。ここで、「p(値)」とは、統計学的検定において、統計量が仮
定した分布の中で、仮定が偶然正しくなる確率を示す。したがって、p値が小さいほど、
仮定が真に近いことを意味する。「統計学的に有意に差がある」とは、被験体の抗原抗体
複合体量と個体群の抗原抗体複合体量の差異を統計学的に処理したときに両者間に有意に
差があることをいう。つまり、本工程では被験体の抗原抗体複合体量が、健常体(群)の
それとの比較において統計学的に有意に差がある場合、その被験体は、その特定の疾患に
罹患していると判定する。統計学的処理の検定方法は、有意性の有無を判断可能な公知の
検定方法を適宜使用すればよく、特に限定しない。例えば、スチューデントt検定法、多
重比較検定法を用いることができる。
カットオフ値に基づく判定方法は、被験体の抗原抗体複合体量が健常体(群)における
抗原抗体複合体量における所定のカットオフ値による判定方法である。
≪実施例1:HaloTag(登録商標)-ELISAプレートの製造≫
(目的)
本発明の抗原固相化デバイスの製造方法に基づいて、HaloTag(登録商標)-抗原が固相
化されたELISA用プレート(HaloTag-ELISAプレート)を作製する。
本発明の抗原固相化デバイスの製造方法では、抗原の精製を必要とせず、夾雑物を多く
含む細胞培養液でも抗原固定用溶液として使用することができる。本実施例では、細胞培
養上清液を抗原固定用溶液として用い、従来法、及び本発明の抗原固相化デバイスの製造
方法に基づいて、各種ELISAプレートを作製する。
(方法)
目的抗体は重症筋無力症(MG)の病原性自己抗体である抗LRP4抗体とし、その標的抗原
であるLRP4タンパク質をHaloTag-抗原の抗原として用いた。
1.HaloTag-ELISAプレートの調製
(1)HaloTag-LRP4融合タンパク質の調製
HaloTag-LRP4融合タンパク質をコードする融合遺伝子の構築は、かずさゲノムテクノロ
ジーズ社に委託製造をした。具体的にはLRP4配列を含むクローンpFN21AA0816を鋳型とし
てプライマー1(配列番号2)、及びプライマー2(配列番号3)を使用したPCRを通常の
増幅条件で行い、LRP4アミノ酸配列の1~1721位をコードする塩基配列を有するPCR産物を
得た。次に、pFC14K HaloTag(登録商標) CMV Flexi(登録商標) Vector(プロメガ社)
を鋳型とし、プライマー3(配列番号4)、及びプライマー4(配列番号5)を使用してHa
lo-Tag配列を有するPCR産物を得た。プライマー4は3’末端側に6xHis tagを含む。前記2
種のPCR産物をpEBMulti-Neo(富士フィルム和光純薬)に挿入して融合遺伝子を構築した。
HaloTag-LRP4融合タンパク質の発現はThermo Fisher Scientific社のExpi293 発現サー
ビスを利用した。Expi293F細胞(Thermo Fisher Scientific社)への発現ベクタートラン
スフェクションは、150μgのpEBMulti_Neo_LRP4_11-1721aa_Halo-6xHis、50μgのpEBMult
i_Neo_MESD2、及び50μgのpEBMulti_Neo_LRPAPをExpiFectamin 293 Reagentと混合して、
Expi293F細胞に添加して行った。その後37℃、8%CO2インキュベーター内で振盪しながら
7日間培養を行った。培養後の細胞培養液全量を遠心分離して上清を回収し、上清を0.22
μmのフィルター(Thermo Fisher Scientific社)を用いて滅菌ろ過したものを培養上清液
とした。培養上清液は、PBS/0.05% Tween20(PBST)を用いて、25倍、50倍、100倍、及び20
0倍の希釈液を抗原固定用溶液として調製した。また培養上清からのHaloTag-LRP4抗原の
精製は、HisTALONTM Gravity Column Purification Kit(クロンテック社)を用いて行っ
た。
(2)HaloTag-LRP4抗原の固相化
HaloTag(登録商標) PEG-Biotin Ligand(プロメガ社)をPBS/0.05% Tween20(PBST)で
×1/500希釈して10μMの溶液を調製した。前記10μM HaloTag PEG-Biotin Ligand溶液を
(1)で調製した精製HaloTag-LRP4抗原、及びその抗原を含む各希釈率の培養上清とそれ
ぞれ混合して、37℃で15分間のインキュベートによりHaloTag PEG-Biotin LigandとHaloT
ag-LRP4複合タンパク質が結合した固相化用のLRP4溶液を調製した。続いてストレプトア
ビジンコートプレート(グライナー社)に前記LRP4溶液を100μL/wellで添加し、室温で1
時間振盪撹拌した。上清を廃棄後、300μLの洗浄液(20mM Tris pH7.0, 300mM NaCl)で3
回洗浄した後、プレートを乾燥させてHaloTag-ELISAプレートを作製した。得られたHaloT
ag-ELISAプレートの種類は、精製HaloTag-LRP4抗原を固相化した「精製抗原HaloTag-ELIS
Aプレート」、及び各希釈率の培養上清液でHaloTag-LRP4抗原を固相化した「1/25 培養上
清HaloTag-ELISAプレート」、「1/50 培養上清HaloTag-ELISAプレート」、「1/100 培養
上清HaloTag-ELISAプレート」、及び「1/200 培養上清HaloTag-ELISAプレート」である。
2.従来型ELISAプレートの調製
HaloTag-ELISAプレートの対照用として従来方法によるELISAプレートを調製した。前記
「1.HaloTag-ELISAプレートの調製」で調製した精製HaloTag-LRP4抗原をPBS、及びPBST
で×1/38.4希釈して、それぞれ2μg/mLの精製LRP4溶液(精製LRP4/PBS溶液;精製LRP4/PB
ST溶液)を調製した。培養上清液は、前記「1.HaloTag-ELISAプレートの調製」で使用し
た各種希釈液を用いた。
続いてStripwell 1x8well,Flat bottom, High bindigプレート(コースター社)に前記
精製LRP4/PBS溶液、精製LRP4/PBST溶液、及び前記各種希釈率の培養上清液をそれぞれ100
μL/wellで添加し、室温で1時間振盪撹拌した。上清を廃棄後、300μLの洗浄液(20mM Tr
is pH7.0, 300mM NaCl)で3回洗浄した後、300μLの2% BSA/PBSブロッキングバッファを
添加し、室温で1時間インキュベートした。ブロッキングバッファを廃棄後、300μLの洗
浄液(20mM Tris pH7.0, 300mM NaCl, 0.05%Tween20)で3回洗浄した後、プレートを乾
燥させて従来型ELISAプレートを作製した。従来型ELISAプレートには、固定バッファにPB
Sを用いたELISA(PBS)プレート、及びPBSTを用いたELISA(PBST)プレート、及び各希釈率
の培養上清液でHaloTag-LRP4抗原を固相化した「1/25 培養上清従来型ELISAプレート」、
「1/50 培養上清従来型ELISAプレート」、「1/100 培養上清従来型ELISAプレート」、及
び「1/200 培養上清従来型ELISAプレート」である。
≪実施例2:各ELISAプレートによる培養上清中の目的抗体の検出≫
(目的)
実施例1で作製した本発明の抗原固相化デバイスであるHaloTag-ELISAプレートと従来
型ELISAプレートを用いて、実検体における目的抗体の検出感度について比較検証する。
(方法)
1.抗体溶液の調製
標準抗体として抗LRP4抗体(SIGMA)をPBSTで希釈して、15.6ng/mL、31.25ng/mL、62.5
ng/mL、125ng/mL、250ng/mL、及び500ng/mLの標準抗体溶液(STD溶液)を調製した。
2.ELISAによる抗LRP4抗体の測定
実施例1で調製した各ELISAプレートを300μLの洗浄液(20mM Tris, 300mM NaCl, 0.05%
Tween20)で洗浄した。100μLの前記それぞれの濃度のSTD溶液を各ウェルに添加した後
、室温で振盪撹拌しながら30分間反応させた。STD溶液を廃棄後、ウェルを前記洗浄液で
洗浄した後、STD抗体検出用及び抗LRP抗体検出用2次抗体溶液を100μL/wellで添加した。
STD抗体検出用2次抗体には、ヒツジ抗ウサギIgG-HRP共役抗体(Cytiva社)を用いた。抗
体は、PBS/0.02% Tween20で100倍希釈した後、さらに終濃度x1/15000に調製した。2次抗
体反応を室温で1時間行った後、2次抗体溶液を廃棄し、300μLのPBSTで5回洗浄した。ELI
SA-StarTM(富士フィルム和光純薬社)を用いて、添付のプロトコルに従い、抗体の検出を
行った。
(結果)
図5~7に各ELISAプレートでの抗LRP4抗体の検出感度の結果を示す。図5は本発明のH
aloTag-ELISAプレート、図6は従来型ELISA(PBSで抗原固定)プレート、及び図7は従来
型ELISA(PBSTで抗原固定)プレートの結果である。陽性対照用の精製抗原(破線)と比較
して、従来型ELISAプレートでは、いずれの希釈率にもかかわらず培養上清からは抗LRP4
抗体をほとんど検出することができなかった。一方、本発明のHaloTag-ELISAプレートで
は、全ての希釈率で培養上清から抗体濃度依存的に抗LRP4抗体を検出することができた。
特に、100倍希釈の培養上清を使用して抗原を固相化した場合には、精製抗原を固相化し
た場合と同程度の抗体検出率を示し、200倍希釈の培養上清を使用し場合には、精製抗原
よりも高い抗体検出率を示した。
この結果から、本発明のHaloTag-ELISAプレートであれば、培養上清のような夾雑物を
多く含む試料から抗原を精製することなく固相化が可能なことが立証された。また、得ら
れたHaloTag-ELISAプレートは、従来型のELISAプレートと同等以上の抗体検出感度を得ら
れることが明らかとなった。
≪実施例3:各ELISAプレートによる検体中の目的抗体の検出≫
(目的)
本発明のHaloTag-ELISAプレートと市販のELISAプレートを用いて、検体試料中に含まれ
る対象抗体の検出感度について比較検証する。
(方法)
検体は、インフォームドコンセントを得た39人の重症筋無力症(MG)患者より採取され
た血清を用いた。
MGは、病原性自己抗体の種類によって、免疫学的に抗アセチルコリン受容体(acetylch
oline receptor;AChR)抗体陽性/抗筋特異的受容体型チロシンリン酸化酵素(muscle-s
pecific receptor tyrosinekinase;MuSK)抗体陰性MG(AChR+/MuSK-型)、抗AChR抗体陰
性/抗MuSK抗体陽性MG(AChR-/MuSK+型)、及び抗AChR抗体陰性/抗MuSK抗体陰性/抗LRP
4抗体陽性MG(AChR-/MuSK-/LRP4+型)に分類される(木村政勝 & 樋口理, 2012, 臨床神
経学, 52(11):51-53;中根俊成ら, 2018, 臨床神経生理学, 46(2):95-100)。
そこで、39検体について、検体中の抗AChR抗体及び抗MuSK抗体を検出する免疫学的分類
を行った。具体的には、ユーロイミューン社のMyasthenia gravis Mosaic2を使用して抗A
chR抗体及び抗MuSK抗体の検出を行った。血清をサンプルバッファーで10倍希釈して検体
を調製した。検体30μLをバイオチップ上で30分間反応させた後、洗浄液で5分間の洗浄を
行って未反応物の除去をした。洗浄後のチップ上に25μLのビオチン-抗体コンジュゲート
を添加して室温で30分間の反応を行った。再び、洗浄液で5分間洗浄した後、25μLの FIT
Cラベリングアビジンをチップ上で室温にて30分間反応を行った。再度5分間の洗浄により
未反応物を除去した後、蛍光顕微鏡を使用して画像による陰陽判定を行った。
同様に、39検体中の抗LRP4抗体についても、ELISAプレートを用いて検出した。ELISAプ
レートには、市販のLRP4-ELISAキット(Human low-density lipoprotein-receptor-relat
ed protein 4(LRP-4)antibody(IgG)ELISA Kit:CUSABIO)、及び実施例1で調製したLRP4
を抗原とするHaloTag-ELISAプレート(LRP4-HaloTag-ELISAプレート)を使用した。LRP4-
ELISAキット及びLRP4-HaloTag-ELISAプレートによる試料中の抗LRP4抗体の検出は、基本
的に実施例2に記載の方法に準じて行った。抗LRP4抗体検出用の2次抗体には、ヤギ抗ヒ
トIgG(Fc)-HRP共役ポリクロ―ナル抗体(プロメガ社)を用いた。抗体は、PBSで10000倍
希釈した後、さらに2次抗体希釈液(20mM Tris pH7.0, 300mM NaCl, 300μg/mLマウスIgG
)で150倍希釈した。2次抗体反応を室温で30分間行った後、2次抗体溶液を廃棄し、洗浄
液(20mM Tris pH7.0, 300mM NaCl, 0.05%Tween20)で5回洗浄した。ELISA-StarTM(富士
イルム和光純薬社)を用いて、添付のプロトコルに従い、抗体の検出を行った。
(結果)
結果を表1に示す。
Figure 0007421183000008
表中、画像判定「+」は、抗AChR抗体又は抗MuSK抗体のいずれかが陽性であること、す
なわち検体提供者がAChR-/MuSK+型MG患者又はAChR+/MuSK-型MG患者のいずれかに該当する
ことを示す。一方、画像判定「-」は、抗AChR抗体又は抗MuSK抗体の両方が陰性であるダ
ブルセロネガティブを示す。疾患名「AChR-MG」はRIA法で抗AChR抗体陽性となったMG患者
検体を、また「MG」はRIA法で抗AChR抗体陰性となった患者検体を示す。COIは「Cut Off
Index」の略称である。
表1から、ダブルセロネガティブ(AChR-/MuSK-)である「-」患者は19名であった。こ
こで、日本国内における2018年の全国疫学調査によれば、全MG罹患患者において、AChR+/
MuSK-型が約80%、AChR-/MuSK+型が約6%、及びAChR-/MuSK-/LRP4+型が0.3%を占めるこ
とが知られている(木村政勝 & 樋口理, 2012, 臨床神経学, 52(11):51-53、中根俊成ら
, 2018, 臨床神経生理学, 46(2):95-100)。つまり、約14%(=100-[80+6])のダブル
セロネガティブ(AChR-/MuSK-)において、その約2.2%がAChR-/MuSK-/LRP4+型であるこ
とを示唆している。したがって、表ではCOIの数値が2.1以上の場合に、LRP4陽性として太
字下線で示した。
その結果、市販LRP4-ELISAプレートでは、ダブルセロネガティブ19検体中の5検体がLRP
4陽性となり、AChR-/MuSK-/LRP4+型の陽性率は26.3%(=5/19)であった。これは期待値
である2.2%の10倍以上に相当する。この結果から、市販のLRP4-ELISAプレートは検出感
度が甘く、多数の擬陽性を検出していることを示している。
一方、LRP4-HaloTag-ELISAプレートでは、ダブルセロネガティブ18検体中、1検体もLRP
4陽性にはならなかった。AChR-/MuSK-/LRP4+型の陽性率の期待値が2.2%であることから
、確率的には100検体中2検体がLRP4陽性となる。これは本実施例の検体数が39検体である
ことを鑑みれば、確率的には合致し得る。少なくとも、市販LRP4-ELISAプレートと比較す
れば、擬陽性率は低いことが示された。

Claims (9)

  1. 試料中に存在する目的抗体からなるバイオマーカーを検出するための、ペプチド抗原が一定の配向性で固定された疾患の罹患検出デバイスであって、
    固定領域及び式Iで示されるリガンド領域を含むアンカー部、及び
    前記ペプチド抗原の全部及び/又は一部のアミノ酸配列からなる抗原領域及び配列番号1で示すアミノ酸配列からなるタグ領域を含む融合ポリペプチドからなる抗原部を含み、
    前記アンカー部は固定領域で基材表面に固定され、
    前記アンカー部と前記抗原部は、前記アンカー部のリガンド領域と前記抗原部のタグ領域で結合しており、
    前記バイオマーカーが疾患の罹患検出用バイオマーカーである
    前記疾患の罹患検出デバイス。
    Figure 0007421183000009
  2. 前記アンカー部が連結部を介して基材表面に固定されている、請求項1に記載の疾患の罹患検出デバイス。
  3. 前記連結部が基材表面に直接固定された第1リンカー手段、及び
    前記アンカー部の固定領域に結合した又は固定領域を構成する第2リンカー手段からなり、
    前記第1リンカー手段と前記第2リンカー手段が特異的に結合する、請求項2に記載の疾患の罹患検出デバイス。
  4. 二以上の前記抗原部が同一の及び/又は異なるアミノ酸配列からなる抗原領域を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の疾患の罹患検出デバイス。
  5. 前記疾患が重症筋無力症であり、前記ペプチド抗原が低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質4(LRP4)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の疾患の罹患検出デバイス。
  6. 前記疾患が自己免疫性自律神経節障害であり、前記ペプチド抗原がガングリオニックアセチルコリン受容体(gAChR)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の疾患の罹患検出デバイス。
  7. 請求項1~3のいずれか一項に記載の疾患の罹患検出デバイスを用いた、被験体における特定の疾患の罹患を検出する方法であって、
    被験体由来の試料を前記疾患の罹患検出デバイスにおける抗原領域と接触させる接触工程、
    前記接触工程で生成される抗原抗体複合体を検出する検出工程、及び
    前記検出工程で検出された抗原抗体複合体の有無、又はその量の多寡に基づいて、前記被験体が前記特定の疾患に罹患していることを指標とする工程
    を含む前記方法。
  8. 前記特定の疾患が重症筋無力症であり、前記ペプチド抗原が低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質4(LRP4)である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記特定の疾患が自己免疫性自律神経節障害であり、前記ペプチド抗原がガングリオニックアセチルコリン受容体(gAChR)である、請求項7に記載の方法。
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