JP2005519035A - 免疫促進性オリゴデオキシヌクレオチド - Google Patents
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Abstract
本発明は、免疫促進性デオキシイノシン/デオキシウリジン含有オリゴデオキシヌクレオチドの、慢性感染性疾患、空気流の急性低減、寄生虫感染などの治療および予防などの医薬適用への使用に関する。
Description
本発明は、デオキシイノシンおよび/またはデオキシウリジン残基を含むオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)の新規用途に関する。
デオキシイノシンおよび/またはデオキシウリジン残基を含むODNは、オーストリア特許出願A1973/2000およびA805/2001(参照のため本明細書に引用する)に開示されている。
ODN、とりわけパリンドロームODNまたはCpG含有ODNの医薬用途は、EP0468520A2、WO96/02555、WO98/18810、WO98/37919、WO98/40100、WO99/51259およびWO99/56755(すべて参照のため本明細書に引用する)に開示されている。
本発明の目的は、上記ODNのさらなる(医学的)用途および方法を提供することである。
この目的は、式(I):
(式中、R1はヒポキサンチンおよびウラシルから選ばれる、
XはいずれもOまたはS、
NMPはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシイノシン−、デオキシシトシン−、デオキシウリジン−、デオキシチミジン−、2−メチル−デオキシイノシン−、5−メチル−デオキシシトシン−、デオキシプソイドウリジン−、デオキシリボースプリン−、2−アミノ−デオキシリボースプリン−、6−S−デオキシグアニン−、2−ジメチル−デオキシグアノシン−またはN−イソペンテニル−デオキシアデノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
NUCは、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシイノシン−、デオキシシトシン−、デオキシイノシン−、デオキシチミジン−、2−メチル−デオキシウリジン−、5−メチル−デオキシシトシン−、デオキシプソイドウリジン−、デオキシリボースプリン−、2−アミノ−デオキシリボースプリン−、6−S−デオキシグアニン−、2−ジメチル−デオキシグアノシン−またはN−イソペンテニル−デオキシアデノシンよりなる群から選ばれた2'デオキシヌクレオシド、
aおよびbは0〜100の整数であり、ただしa+bは4〜150である、
BおよびEは核酸分子の5'末端または3'末端の一般的な基)
の構造を有する免疫促進性のオリゴデオキシ核酸分子(ODN)の医薬製剤(ただし、好ましくは該製剤はワクチンではない)の調製への使用によって解決される。
XはいずれもOまたはS、
NMPはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシイノシン−、デオキシシトシン−、デオキシウリジン−、デオキシチミジン−、2−メチル−デオキシイノシン−、5−メチル−デオキシシトシン−、デオキシプソイドウリジン−、デオキシリボースプリン−、2−アミノ−デオキシリボースプリン−、6−S−デオキシグアニン−、2−ジメチル−デオキシグアノシン−またはN−イソペンテニル−デオキシアデノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
NUCは、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシイノシン−、デオキシシトシン−、デオキシイノシン−、デオキシチミジン−、2−メチル−デオキシウリジン−、5−メチル−デオキシシトシン−、デオキシプソイドウリジン−、デオキシリボースプリン−、2−アミノ−デオキシリボースプリン−、6−S−デオキシグアニン−、2−ジメチル−デオキシグアノシン−またはN−イソペンテニル−デオキシアデノシンよりなる群から選ばれた2'デオキシヌクレオシド、
aおよびbは0〜100の整数であり、ただしa+bは4〜150である、
BおよびEは核酸分子の5'末端または3'末端の一般的な基)
の構造を有する免疫促進性のオリゴデオキシ核酸分子(ODN)の医薬製剤(ただし、好ましくは該製剤はワクチンではない)の調製への使用によって解決される。
そのようなODNおよびワクチン接種へのその使用は、オーストリア特許出願A1973/2000およびA805/2001に記載されている。今や驚くべきことに、これらdIおよび/またはdU含有ODNが、パリンドロームODNまたはCpG含有ODN(パリンドロームであるかまたはパリンドロームでない)が使用されまたは提唱されている全ての場合に使用できることがわかった。本発明に使用するODNは、しばしば副作用が一層低く、「古典的な」ODN(A、T、CおよびGのみを含む)に比べて優れた特性を示す。
たとえば、本発明によるODNは、TNF−αやIL−6などの前炎症性(pro-inflammatory)サイトカインの全身性の産生を誘発せず、それゆえ潜在的な有害な副作用反応の誘発が低減される。
ポリ−ICすなわちWO98/16247において言及された分子などのようなイノシン含有RNA分子についてある種の免疫促進作用が記載されてはいるが、驚くべきことにデオキシウリジンおよび/またはデオキシイノシン残基を含む短いデオキシ核酸分子が良好な免疫促進性のODNであることがわかった。
さらに、本発明によるdU/dI含有ODNは、特定のCpGモチーフに基づくODNとは対照的に、CpGオリゴヌクレオチドについて記載されているような特定のモチーフまたはパリンドローム配列には依存しない。
それゆえ、本発明によるdU/dI−ODNの一つの群はC(dI/dU)モチーフを含んでいるのが好ましい(それゆえ、これら引用した文献に記載されたODNのうちでも1またはそれ以上のグアノシン残基がデオキシ(ウリジン/イノシン)残基で置換されているものは本発明のODNの好ましい態様である)。しかしながら、そのようなモチーフはその主たる免疫促進特性には必要ではない、というのはC(dI/dU)または(dI/dU)Cの文脈中に(ウリジン/イノシン)が位置していないdU/dI−ODNもまた免疫促進特性を示すからである。
それゆえ、本発明によるdU/dI−ODNはデオキシ(ウリジン/イノシン)残基を含むDNA分子であり、一本鎖の形態で提供されるのが好ましい。
本発明によるdU/dI−ODNは、組換え法により単離するかまたは化学的に合成することができる。後者の場合、本発明によるdU/dI−ODNはまた修飾したオリゴヌクレオチドを含んでいてよく、そのような修飾したオリゴヌクレオチドは、メチルホスホネートや他のリンベースの修飾オリゴヌクレオチド、たとえば、ホスホトリエステル、ホスホアミデートおよびホスホロジチオレートなどの標準的な化学変換を用いて合成することができる。しかしながら、他の非リンベースの修飾オリゴヌクレオチドを用いることができ、モノホスフェートまたはモノチオホスフェートが本発明に使用するのに好ましい2'デオキシヌクレオシドモノホスフェートである。
本発明によるdU/dI−ODNのNMPは、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシイノシン−、デオキシシトシン−、デオキシウリジン−、デオキシチミジン−、2−メチル−デオキシウリジン−、5−メチル−デオキシシトシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート(通常通り、ホスフェート基またはチオホスフェート基はデオキシリボースの5'である)よりなる群から選ばれるのが好ましい。CpGモチーフに基づくODNでは該モチーフがメチル化されていないことが必須であるが、驚くべきことに、このことは本発明によるODNの場合には当てはまらない。というのも、たとえば2−メチル−デオキシイノシンや5−メチル−デオキシシトシン残基は本発明によるODNの免疫促進特性に対していかなる一般的な悪影響をも及ぼさないからである。代わりに、NMPの2−デオキシ形に代えて、他のとりわけ不活性な基、たとえば、−F、−NH2、−CH3など、特に−CH3がリボース基の2位に位置していてよい。もちろん、−OHおよびSH基は、リボース、とりわけ(ウリジン/イノシン)NMPについてのリボース残基の2'位に存在することは本発明によるdU/dI−ODNでは排除される。
本発明によるODNの長さは、従来技術に従って使用される標準ODNの範囲内である。それゆえ、4未満および150を超える全長の分子は徐々に低下した免疫促進能を示す。好ましいODNは10〜60、とりわけ15〜40の塩基(ヌクレオシド)を含み、これはこれら好ましい態様において式I中のa+bが10〜60、好ましくは15〜40であることを意味する。
これに対して、従来技術で免疫促進性であるとして記載されているイノシンおよびシチジン含有リボ核酸分子は、分子量が200,000を遥かに超える大きくて比較的定められていないポリ核酸であった(Sigma Chemicalsより市販されているポリイノシン−ポリシチジン酸の分子量は220,000〜460,000(少なくとも500〜1000のC+I残基)の範囲である)。本発明による分子は遥かに長さが短く、長さおよび組成がよく定められたDNA分子であり、生成物における再現性の高いものである。
さらに、式Iで示されるdU/dI−ODNのデオキシ(ウリジン/イノシン)含有NMPが1〜4の硫黄原子を有するモノチオホスフェートであり、他のNMP、とりわけ他の全てのNMPがヌクレオシドモノチオホスフェートとして存在するのが好ましい。なぜなら、そのようなODNは一層高いヌクレアーゼ耐性を示すからである(本発明において「モノチオホスフェート」中の「モノ」はホスフェートに関するものであること、すなわち各NMP中に1つのホスフェート基(1つのリン原子)が存在することは明らかである)。好ましくは、本発明によるNMPにおいて、X1およびX2の少なくとも一方はSであり、X3およびX4の少なくとも一方はOである。好ましくは、X3およびX4はOである(X3は、(NMPの合成のために)、たとえばホスフェート基からまたはNMP−リボースの3'基から由来するものであってよい)。
好ましくは、本発明によるODNは下記配列を含む:
tcc atg acu ttc ctg ctg atg ct
nhh hhh wdu dhh hhh hhh wn
hhh wdu dhh h
(式中、nはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシシトシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
hはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシシトシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
uは、デオキシウリジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
wはいずれも、デオキシアデノシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、および
dはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート)。
tcc atg acu ttc ctg ctg atg ct
nhh hhh wdu dhh hhh hhh wn
hhh wdu dhh h
(式中、nはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシシトシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
hはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシシトシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
uは、デオキシウリジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
wはいずれも、デオキシアデノシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、および
dはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート)。
本発明によるさらに好ましいODNは下記配列を含む:
wdu、wdud、wdudnまたはwdudud
(式中、w、d、uおよびnは前記と同じ)。
wdu、wdud、wdudnまたはwdudud
(式中、w、d、uおよびnは前記と同じ)。
本発明によるODNは下記配列を含むのが好ましい:
hhh wdi dhh h
nhh hhh wdi nhh hhh hhh wn
nhh wdi din hhh hdi ndi nh
nhh hhh wdi dhh hhh hhh wnまたは
nhh wdi did hhh hdi ddi dh
(式中、nはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシシトシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
hはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシシトシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
iは、デオキシイノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
wはいずれも、デオキシアデノシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、および
dはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート)。
hhh wdi dhh h
nhh hhh wdi nhh hhh hhh wn
nhh wdi din hhh hdi ndi nh
nhh hhh wdi dhh hhh hhh wnまたは
nhh wdi did hhh hdi ddi dh
(式中、nはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシシトシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
hはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシシトシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
iは、デオキシイノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
wはいずれも、デオキシアデノシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、および
dはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート)。
本発明による好ましいODNは下記配列の1またはそれ以上を含む:
gacitt、
iacitt、
gaictt、
iaictt
(式中、aは、デオキシアデノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
gは、デオキシグアノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
iは、デオキシイノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
cは、デオキシシトシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、および
tは、デオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート)。
gacitt、
iacitt、
gaictt、
iaictt
(式中、aは、デオキシアデノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
gは、デオキシグアノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
iは、デオキシイノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
cは、デオキシシトシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、および
tは、デオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート)。
上記に記載したように、本発明によるdU/dI−ODNには特別のモチーフ(CpGやパリンドロームなど)は必要ない。
しかしながら、好ましい態様において式IによるODNが2'−デオキシウリジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートに3'側にて隣接した少なくとも1つの2'−デオキシシトシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートおよび/または
2'−デオキシイノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートに3'側にて隣接した少なくとも1つの2'−デオキシシトシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートを含むように、C(dI/dU)モチーフを含むODNが好ましい。
2'−デオキシイノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートに3'側にて隣接した少なくとも1つの2'−デオキシシトシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートを含むように、C(dI/dU)モチーフを含むODNが好ましい。
本発明による好ましいODNは、下記配列の1またはそれ以上を含む:
gacutt、
uacutt、
gauctt、
uauctt
(式中、aはデオキシアデノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
gはデオキシグアノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
uはデオキシウリジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
cはデオキシシトシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、および
tはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート)。
gacutt、
uacutt、
gauctt、
uauctt
(式中、aはデオキシアデノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
gはデオキシグアノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
uはデオキシウリジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
cはデオキシシトシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、および
tはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート)。
本発明によるdU/dI−ODNは、医薬の分野への応用、たとえば動物またはヒトに医薬として投与するのに特に適している。
本発明のODNは免疫薬理学的活性を有し、合成RNAで報告されているように悪性腫瘍に対して有効である。これら合成DNAは、合成RNAとは異なり、その副作用(発熱など)が最小であることと合成RNAに付随する下記問題が解決されることのためにおそらく有用な治療薬である。
(1)満足のいく薬理活性を確実にするために分子量は高くなければならず(たとえば、30000Daまたはそれ以上)、このことは酵素的合成を必要とする。かくして得られた生成物は、医薬として使用するに際して除去されずに残った酵素を含んでいることがあり、安全性の観点から非常に不十分である。
(2)酵素合成によっては生成物の分子量の分布を正確に制御することは困難であり、それゆえ分子量分布が生成物のロット間で一般に異なる。このことは医薬の仕様の設定の観点から好ましくない。
(1)満足のいく薬理活性を確実にするために分子量は高くなければならず(たとえば、30000Daまたはそれ以上)、このことは酵素的合成を必要とする。かくして得られた生成物は、医薬として使用するに際して除去されずに残った酵素を含んでいることがあり、安全性の観点から非常に不十分である。
(2)酵素合成によっては生成物の分子量の分布を正確に制御することは困難であり、それゆえ分子量分布が生成物のロット間で一般に異なる。このことは医薬の仕様の設定の観点から好ましくない。
二本鎖の直線状DNAは、上記一本鎖で直線状のDNA[DNA(A)]と、DNA(A)の塩基配列と部分的または完全に相補的な塩基配列を有する第二の一本鎖で直線状のDNA[DNA(B)]とからなる二本鎖らせん複合体である。DNA(A)、DNA(B)またはその両者のいずれかが一般式(I)で示される配列を少なくとも一つ含んでいなければならない。そのような二本鎖で直線状のDNAだけで、一本鎖で直線状のDNAが有するのと同じ免疫促進活性を有する。
一本鎖で直線状のDNAと二本鎖で直線状のDNAとの混合物も本発明に含まれる。
これらDNAはまた、医薬として許容された塩の形態で使用することもできる。たとえば、ナトリウム塩は、本発明のDNAの水溶液に水酸化ナトリウムを加えてpHを7に調節し、ついで凍結乾燥することにより得ることができる。これらDNAはまた、ポリ−L−リシン(本明細書ではPLLと略す)などのポリカチオン化合物との複合体として用いることもできる。そのような複合体は、たとえば、本発明のDNAの水溶液をPLLの水溶液とDNA−PLLの重量比が約4:3となるように混合することにより調製することができる。
本発明の医薬調製物は、免疫系の機能によってその発症を抑制することができ、またはその進行を抑制または遅らせることのできるような疾患に対し単独または他の治療手段と組み合わせて用いることができる。そのような疾患の例としては、とりわけ悪性腫瘍、自己免疫疾患、免疫不全疾患および感染性疾患が言及できる。悪性腫瘍は、胃癌、結腸直腸癌、乳癌、皮膚癌、肝臓癌、子宮癌、細網肉腫(reticulosarcomas)、リンパ肉腫、白血病、リンパ腫などの疾患である。自己免疫疾患は、慢性関節リウマチ、SLE、若年発症糖尿病、多発性硬化症、自己免疫性溶血性貧血および重症筋無力症(これらは、免疫薬理学的活性を有する医薬によって有効に治癒されると考えられる)などの、免疫系の自己認識機能の障害の結果生じると考えられる疾患である。感染性疾患は、細菌、ウイルスまたは原生動物の感染によって引き起こされる疾患であり、免疫薬理学的活性を有する医薬(インターフェロンなど)によって有効に治癒されると考えられている。以下に記載するように、本発明のDNAは感染性疾患、とりわけウイルス疾患を有効に治癒することができる。免疫不全疾患は、無ガンマグロブリン血症や後天性免疫不全症候群などの、免疫系の機能が抑制あるいは失われた疾患である。これら疾患の患者のうち、感染性疾患および悪性腫瘍の罹患率は高く、それゆえ回復に悪影響を及ぼす。本発明のDNAは、悪性腫瘍に対して有効でインターフェロンを誘発することもできるため、免疫不全疾患を患う患者に起こりやすい悪性腫瘍や感染性疾患を治癒させることによってこれら患者の回復を促進することが期待される。
本発明の一本鎖および二本鎖で直線状のDNAは、動物およびヒトの体内に皮下、静脈内、筋肉内、腫瘍内、経口または直腸内に投与することができ、適当な投与経路は疾患の種類および患者の状態に依存してケースバイケースで選択しなければならない。たとえば、悪性腫瘍の場合は腫瘍内または皮下投与が好ましい。ヒトへの適当な投与量は、直腸内または経口投与の場合は、たとえば1〜1000mg/日であり、皮下、静脈内、腫瘍内または筋肉内投与の場合は0.01〜100mg/日である。投与は1〜7日に1回、好ましくは1または2日に1回繰り返すべきであり、投与の頻度は変えることができ、投与の期間は必要に応じてさらに延ばすことができる。
本発明の一本鎖または二本鎖で直線状のDNAを動物およびヒトの体内に皮下、静脈内、筋肉内または腫瘍内投与する際には、該DNAを生理浸透圧でほぼ中性(pH5〜8)の水溶液に溶解させて調製した注射液の形態で投与するのが好ましい。そのような水溶液の例として、日本薬局方に特定された等張塩化ナトリウム溶液、および製剤学的に許容された塩、化合物、添加物および希釈剤を含む水溶液が言及できる。本発明の一本鎖および二本鎖で直線状のDNAは、上記水溶液の形態かまたはこれを凍結乾燥して得た固体の形態のいずれかで注射剤として用いることができる。
本発明の一本鎖および二本鎖で直線状のDNAは、動物およびヒトの体内に経口投与する場合には、通常の薬剤の場合と同様、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、細顆粒剤、錠剤またはシロップ剤の形態で用いることができる。
本発明のさらなる側面によれば、リンパ球を主体から得てイクスビボで適当なオリゴヌクレオチドと接触させて刺激することもできるし、あるいは(非メチル化)dI/dU含有オリゴヌクレオチドを主体に投与して主体のリンパ球のインビボでの活性化を容易にすることもできる。活性化リンパ球は、本明細書に記載の方法(たとえば、イクスビボまたはインビボのいずれかで)によって刺激されて、主体の免疫応答を増大させることができる。それゆえ、本発明の免疫促進性オリゴヌクレオチドは、主体の免疫系の不全(たとえば、腫瘍または癌またはウイルス性、真菌性、細菌性または寄生虫性の感染症)を治療、予防または改善するのに用いることができる。さらに、免疫促進性オリゴヌクレオチドはまたワクチンアジュバントとして投与してワクチンに対する主体の応答を刺激することもできる。さらに、免疫促進性細胞が白血病細胞を細胞周期に入るのを誘発する能力は、慢性白血病細胞の感受性を増大させ、ついで通常の剥奪性(ablative)化学療法剤を投与することによって白血病を治療するうえでの有用性を示唆している。
さらに、本発明によるODNのインビボ投与は、全身性エリテマトーデス、敗血症および自己免疫疾患を治療するのに有用であることが判明するに違いない。さらに、メチル化dI/dU含有アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドプローブはインビボで主体に投与したときに免疫反応を開始することはなく、それゆえ対応の非メチル化オリゴヌクレオチドに比べて一層安全である。
好ましくは、本発明によるODNはインビボ分解(たとえば、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼによるもの)に対して比較的耐性のオリゴヌクレオチドである。本発明の好ましい安定化されたオリゴヌクレオチドは修飾したリン酸骨格を有する。特に好ましいオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート修飾したリン酸骨格(すなわち、リン酸の酸素原子の少なくとも一つが硫黄原子で置換されている)を有する。他の安定化したオリゴヌクレオチドとしては、非イオン性のDNAアナログ、たとえば、アルキル−およびアリール−ホスホネート(リン酸の電荷のある酸素原子がアルキル基またはアリール基で置換されている)、ホスホジエステルおよびアルキルホスホトリエステル(電荷のある酸素残基がアルキル化されている)が挙げられる。いずれかの末端または両末端にテトラエチレングリコールやヘキサエチレングリコールなどのジオールを含むオリゴヌクレオチドもまた、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に耐性であることが示されている。
オリゴヌクレオチド送達複合体の例としては、ステロール(たとえば、コレステロール)、脂質(たとえば、カチオン性脂質、ビロソームまたはリポソーム)、または標的細胞特異的結合剤(たとえば、標的細胞特異的なレセプターによって認識されるリガンド)に結合したオリゴヌクレオチドが挙げられる。好ましい複合体は、標的細胞によるインターナリゼーションに先立つ有意の脱複合(uncoupling)を防ぐためにインビボで十分に安定でなければならない。しかしながら、複合体はまた、オリゴヌクレオチドが機能性の形態で放出されるように適当な条件下で開裂できなければならない。
「免疫系の不全」(これに対して本発明のODNが適用される)とは、主体の免疫系が通常の能力で機能しない疾患または異常、あるいは主体の免疫応答を増大させて、たとえば主体における腫瘍または癌(たとえば、脳、肺(たとえば、小細胞および非小細胞)、卵巣、乳房、前立腺、結腸の腫瘍並びに他の癌腫および肉腫)、またはウイルス性(たとえば、HIV、ヘルペス)、真菌性(たとえば、カンジダ種)、細菌性または寄生虫性(たとえば、レイシュマニア、トキソプラズマ)の感染症を除去するのが有用な疾患または異常を意味する。
「免疫系の活性化に付随する疾患」とは、主体の免疫系の活性化によって引き起こされあるいは悪化する疾患または状態を意味する。例としては、全身性エリテマトーデス、敗血症および自己免疫疾患、たとえば慢性関節リウマチおよび多発性硬化症が挙げられる。
「主体」とは、ヒト、またはイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、サル、ラット、マウスなどを含む脊椎動物を意味する。
本発明によるODNは、B細胞活性化およびIgM分泌を媒体する。同様の刺激はC3H/HeJマウスからのB細胞を用いても認められ、リポ多糖(LPS)の混入がその結果の原因であるとの可能性が排除される。
CpdI/dUモチーフは、B細胞を活性化するODNに存在する重要な要素である。
所定のCpdI/dUジヌクレオチドにフランキングしている塩基は、ODNによって誘発されるB細胞活性化を決定するうえで重要な役割を果たす。最適の促進性モチーフは、2つの5'プリン(好ましくはGpAジヌクレオチド)および2つの3'ピリミジン(好ましくはTpTまたはTpCジヌクレオチド)によってフランキングされたCpdI/dUからなると決定された。CpdI/dUモチーフをこの理想に近づけるODNの変異は促進を改善したが、一方、このモチーフを妨害する変異は促進を低減させた。一方、CpdI/dUモチーフの外部の変異は促進を低減させなかった。
8塩基よりも短いODNは非促進性である。両端にGを含むODNは、とりわけ該ODNが末端のインターヌクレオチド結合のホスホロチオエート修飾によってヌクレアーゼ耐性とされている場合に、増大した促進を示す。
6塩基パリンドロームを含み、5'末端にTpCジヌクレオチドを有する他の八量体ODNもまた、該ODNが最適モチーフに近い場合に活性である。
CpdI/dU ODNとともに培養した脾臓細胞でNK活性の顕著な誘発を観察することができる。対照的に、非CpdI/dU対照ODNで処理したエフェクターでは相対的に誘発は認められない。
目的論的にみて、CpdI/dUモチーフによるリンパ球の活性化は、それによって細菌DNAを宿主DNAから識別することのできる免疫防御機構を表していると考えられそうである。宿主DNAは、そのCpdI/dU抑制およびメチル化のためにリンパ球活性化をほとんどまたは全く引き起こすことはない。細菌DNAは、感染組織において選択的なリンパ球活性を引き起こす。CpdI/dU経路は抗原レセプターを介してB細胞活性化との相乗作用を示すので、細菌抗原に特異的な抗原レセプターを有するB細胞は、細胞膜Igを介した一つの活性化シグナルおよび細菌DNAからの第二のシグナルを受け取り、それゆえ優先的に活性化される傾向があるであろう。この経路とB細胞活性化の他の経路との相互関係は、ポリクローナルな抗原を用いて特異的な応答を誘発させる生理機構を提供する。
本発明に使用するため、オリゴヌクレオチドは、当該技術分野でよく知られた多くの方法のいずれを用いてもデノボで合成することができる。たとえば、ss−シアノエチルホスホルアミダイト法。これらの化学的方法は、市販されている様々な自動オリゴヌクレオチド合成機により行うことができる。別法として、オリゴヌクレオチドは、公知の技術、たとえば制限酵素、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼを使用するものなどを用い、既存の核酸配列(たとえば、ゲノム配列またはcDNA配列)から調製することができる。
インビボで使用するには、オリゴヌクレオチドは分解(たとえば、エンドヌクレアーゼやエキソヌクレアーゼによる)に対して比較的耐性であるのが好ましい。オリゴヌクレオチドの安定化は、リン酸骨格の修飾により達成することができる。好ましい安定化されたオリゴヌクレオチドはホスホロチオエート修飾した骨格を有する。ホスホロチオエートODNの薬動力学は、該ODNが齧歯類で48時間の全身半減期を有することを示し、インビボでの適用に有用であることを示唆している。ホスホロチオエートの合成は、ホスホルアミデートまたはHホスホネート化学を用いた自動法で行うことができる。アリール−およびアルキル−ホスホネートを製造でき、アルキルホスホトリエステル(荷電の酸素部分はアルキル化されている)を市販の試薬を用いた自動固相合成により製造することができる。他のDNA骨格修飾および置換を行う方法は記載されている。
インビボで投与するため、オリゴヌクレオチドは標的細胞(たとえば、B細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞)表面への高親和性結合という結果となるおよび/または標的細胞による細胞取り込みの増大という結果となる分子に結合させて「オリゴヌクレオチド送達複合体」を生成させることができる。オリゴヌクレオチドは、当該技術分野でよく知られた方法を用いて適当な分子とイオン的にまたは共有結合的に結合させることができる。種々のカップリング剤または架橋剤、たとえば、プロテインA、カルボジイミド、およびNスクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)を用いることができる。別法として、オリゴヌクレオチドはよく知られた方法を用いてリポソームまたはビロソームに封じ込めることができる。
dI/dU含有ODN、とりわけ少なくとも1つの非メチル化CpdI/dUジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、その免疫促進特性に基づき、免疫系不全を治療するためにインビボで主体に投与することができる。あるいは、そのようなオリゴヌクレオチドを免疫系不全の主体から得たリンパ球(たとえば、B細胞またはNK細胞)とイクスビボで接触させ、ついで活性化されたリンパ球を主体に再移植することができる。
免疫促進性のオリゴヌクレオチドはまた、ワクチンとともにアジュバントとして主体に投与し、主体の免疫系を亢進させてワクチンからの一層良好な応答を引き出すこともできる。dI/dU ODNの投与は、ワクチンの少し前かまたは同時に行うのが好ましい。
免疫促進性オリゴヌクレオチドで前もって化学療法を行うことは、その後の化学療法に対する悪性細胞の応答性を増大させるのに有用であるに違いない。dI/dU−ODN、とりわけCpdI/dU ODNはまた、ヒト細胞およびマウス細胞の両者でナチュラルキラー細胞の活性を増大させた。
ある種の標的細胞に相補的である本発明によるODN(dIおよび/またはdU残基を含む)は、合成し、主体にインビボで投与することができる。たとえば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは相補的なmRNAにハイブリダイズし、それによって特定の標的遺伝子の発現を妨害する。
アンチセンスオリゴヌクレオチドの配列特異的な作用は、アンチセンスオリゴヌクレオチドをタンパク質機能の解明のための有用な研究手段とした。
さらに、オリゴヌクレオチドプローブ(すなわち、検出しうる標識を有するオリゴヌクレオチド)は、結合した標識の検出に基づいて相補的な配列の存在を検出するために主体に投与することができる。オリゴヌクレオチドプローブのインビボ投与および検出は、ある種のDNA配列によって引き起こされまたは悪化するある種の疾患(たとえば、全身性エリテマトーデス、敗血症および自己免疫疾患)を診断するのに有用である。
dI/dUジヌクレオチドのいずれかまたはすべてがメチル化されているアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドプローブは、主体にインビボで投与したときに免疫反応を生成せず、それゆえ対応の非メチル化dI/dU含有オリゴヌクレオチドよりも安全である。
治療に使用するには、適当なオリゴヌクレオチドの有効量を単独でまたはオリゴヌクレオチド送達複合体として調合して、該オリゴヌクレオチドが適当な標的細胞(たとえば、B細胞またはNK細胞)によって取り込まれるのを可能にするいかなる態様によっても主体に投与することができる。好ましい投与経路としては、経口投与および経皮投与(たとえば、パッチにより)が挙げられる。他の投与経路の例としては、注射(皮下、静脈内、非経口、腹腔内、髄腔内など)が挙げられる。注射はボーラスまたは連続注入であってよい。
オリゴヌクレオチドは、単独またはオリゴヌクレオチド送達複合体として、薬理学的に許容しうる担体とともに投与することができる。本明細書において「薬理学的に許容しうる担体」とは、オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド送達複合体とともに投与することができ、オリゴヌクレオチドの所用の機能を発揮させることのできる物質を包含することを意図している。そのような担体の例としては、溶液、溶媒、分散媒体、遅延剤、エマルジョンなどが挙げられる。薬理学的に活性な物質のためのそのような媒体の使用は当該技術分野でよく知られている。該オリゴヌクレオチドとともに使用するのに適した他のあらゆる通常の担体も本発明の範囲に含まれる。
オリゴヌクレオチドの「有効量」なる語は、所望の生物学的作用を実現するのに必要または充分な量をいう。たとえば、免疫不全を治療するためのdI/dU−ODN、とりわけ少なくとも1つのメチル化CpdI/dUを含むオリゴヌクレオチドの有効量は、腫瘍、癌、または細菌性、ウイルス性もしくは真菌性の感染症を排除するのに必要な量であってよい。ワクチンアジュバントとして使用する場合の有効量は、ワクチンに対する主体の免疫応答を増大させるのに必要な量であってよい。免疫系活性化と関連する疾患の治療に使用する場合の非メチル化dI/dUを欠くオリゴヌクレオチドの「有効量」は、非メチル化dI/dU含有ヌクレオチド配列を競合排除(outcompete)するのに必要な量であってよい。特定の投与についての有効量は、治療すべき疾患または状態、投与すべき特定のオリゴヌクレオチド、主体のサイズ、または疾患または状態の重篤度などの因子に依存して変わってよい。当業者であれば不当な実験を必要とせずとも特定のオリゴヌクレオチドの有効量を経験的に決定できるに違いない。
本発明によるODN、とりわけ非メチル化CpdI/dU含有オリゴヌクレオチドは、リンパ球(たとえば、B細胞およびNK細胞)に対して直接的にマイトジェン性である。しかしながら、B細胞の活性化は完全に非特異的でもないようである。細菌の産物に特異的な抗原レセプターを有するB細胞は、1の活性化シグナルを細胞膜Igを介して受け取り、第二のシグナルを細菌DNAから受け取り、それによって抗原特異的な免疫応答が一層激しく誘起される。
他の免疫防御機構の場合のように、細菌DNAへの応答は幾つかの状況では所望でない結果となり得る。たとえば、自己抗原に対する自己免疫応答はまた細菌感染により優先的に誘起される傾向がある、というのは自己抗原はまた細菌DNAによって誘起された自己反応性B細胞に第二の活性化シグナルを提供し得るからである。実際、細菌感染による自己免疫の誘発は臨床場面で通常観察されることである。たとえば、自己免疫疾患である全身性エリテマトーデスは、(i)抗DNA抗体の産生を特徴とし、(ii)DNAメチルトランスフェラーゼを阻害する薬剤によって誘発され、(iii)DNAメチル化の低減と関連するが、DNA特異的B細胞の活性化によって少なくとも部分的に誘起されるようである。
さらに、敗血症は免疫系の大量かつ非特異的な活性化のために高い罹患率および致死率を特徴とするが、細菌DNAおよび死につつある細菌から放出される他の産物が多くのリンパ球を直接活性化するのに充分な濃度に達することによって開始される。
狼瘡、敗血症および他の「免疫系活性化と関連する疾患」は、本発明によるODN、とりわけ非メチル化CpdI/dUジヌクレオチドを欠くオリゴヌクレオチド(たとえば、CpdI/dUモチーフを含まないオリゴヌクレオチドまたはCpdI/dUモチーフがメチル化されているオリゴヌクレオチド)を主体に投与して非メチル化CpdI/dU含有核酸配列の結合を抑制することにより、治療し、予防し、または改善することができる。非メチル化CpdI/dUモチーフを欠くオリゴヌクレオチドは、単独または他のマイトジェン性細菌産物(たとえば、LPS)への免疫細胞の応答を抑制する組成物とともに投与することができる。
狼瘡は一般に細菌感染またはウイルス感染により誘起されると考えられている。そのような感染症は、一本鎖DNAに対して非病原性の抗体の産生を刺激すると報告されている。これら抗体は、主として細菌の配列を認識するようである。狼瘡において疾患が進展するにつれ、抗DNA抗体は二本鎖DNAに特異的な病原性の抗体にシフトする。これら抗体は核酸配列への結合性が増大しており、狼瘡における耐性の崩壊の結果として産生される。あるいは、狼瘡は、患者のDNAが低メチル化され(hypomethylated)、それゆえ非メチル化ODNに特異的な抗DNA抗体が自己のDNAに結合し「エピトープ拡張(epitope spreading)」と呼ばれるプロセスにより一層広範囲の自己免疫を誘発させるときに起こりうる。
いずれの場合も、抗原性のオリゴヌクレオチドをガンマグロブリン(IgG)などのタンパク質担体に結合させることにより狼瘡における耐性を回復することが可能である。ガンマグロブリンと複合体を形成させたウシ胸腺DNAは抗DNA抗体の生成を低減させることが報告されている。
さらに、本明細書に記載した本発明の核酸配列が白血病細胞を細胞周期に入るのを誘発する能力は、慢性白血病細胞の感受性を増大させついで通常の剥奪性化学療法を行うことによって、または該核酸配列を他の免疫療法と組み合わせることによって、白血病を治療するうえでの本発明の核酸配列の有用性を支持している。
本発明の核酸配列はまた、ヒトなどの主体においてナチュラルキラー細胞(NK)溶解活性を刺激するのにも有用である。本発明の核酸配列はまた、ヒトなどの主体においてB細胞増殖を刺激するのにも有用である。他の側面において、本発明の核酸配列は、哺乳動物における抗体産生に際してアジュバントとして用いるのに有用である。さらに、本発明の核酸配列は、主体の免疫応答をTh2からTh1に向けなおすことによって喘息疾患の兆候を治療または予防するために投与することができる。
本発明はさらに、少なくとも1つのdI/dU残基を含む、とりわけ非メチル化シトシン−デオキシイノシン/デオキシウリジン(CpdI/dU)ジヌクレオチドを含む核酸が、ナチュラルキラー細胞(NK)を活性化することによって、または単球および他の細胞を誘発してTh1サイトカインを産生することにより主体の免疫応答をTh2応答からTh1応答に向けなおすことによって、主体における免疫応答に影響を及ぼすという知見に基づいている。本発明によるこれらODN、とりわけ少なくとも1つの非メチル化CpdI/dUを含む核酸は、喘息や環境により誘発された気道疾患などの免疫学的な構成要素を有する肺疾患を治療するのに用いることができる。それゆえ、空気流の急性低減を患うまたは患うおそれのある主体の治療方法であって、本発明による少なくとも1つのODN、とりわけ非メチル化CpdI/dUを含む核酸の治療学的有効量を投与することを含む方法も提供される。
他の態様において、本発明によるODN、とりわけ少なくとも1つの非メチル化CpdI/dUを含む核酸の治療学的有効量を投与することによる、リポ多糖への炎症応答を患うまたは患うおそれのある主体の治療方法もまた提供される。本発明はまた、治療学的に有効なdI/dU含有ODN、とりわけ少なくとも1つの非メチル化CpdI/dUを含む核酸を投与することによる、リポ多糖を吸入したまたは吸入するおそれのある主体におけるサイトカインレベルを修飾する方法をも提供する。
「急性」とは、短く比較的重篤な経過を辿る状態をいう。「空気流の低減」とは低減をいい、「肺機能(lung function)」および「肺機能(pulmonary function)」は互いに同じ意味で用いられ、吸気の流速、呼気の流速、および肺活量(lung volume)を含む(これらに限られるものではない)物理的に測定可能な肺の働きを意味すべく解釈されるであろう。肺機能を定量的に決定する方法を用いて肺機能を測定する。
臨床現場で一般に用いられる肺機能の測定法は、吸気および呼気の操作を定期的に測定して特定のパラメータを測定することを含む。たとえば、努力肺活量(FVC)は、最初に深く息を吸ってから患者によって強制的に吐き出された全容量をリットルで測定する。このパラメータは、1秒間の努力呼気量(FEV,)とともに評価したときに気管支収縮を定量的に評価することを可能とする。努力肺活量測定に付随する問題は、努力肺活量の操作(すなわち、最大の吸気から最大の呼気までの強制的な吐き出し)が大部分技術に依存していることである。換言すると、所定の患者は一連の連続したFVC操作の際に異なるFVC値を得ることがある。FEF25−75、すなわち強制吐き出し操作の中間部分で決定した努力呼気流はFVCよりも技術に依存しにくい傾向がある。同様に、FEV1もFVCよりも技術に依存しにくい傾向がある。肺機能の指標として吐き出した空気の容量を測定することに加え、呼気サイクルの異なる部分で測定した1分間当たりの流量(リットル)が患者の肺機能の状態を決定するうえで有用であり得る。とりわけ、強制した最大吐き出しの間の最高の空気流速(リットル/分)として採用したピークの呼気流量が、喘息その他の呼吸器疾患を患う患者で全体的な肺機能と良い相関関係を示す。
「治療学的有効量」とは、主体において兆候を予防、治療または少なくとも抑制するのに必要な本発明による化合物の量を意味する。主体はいかなる動物であってもよく、好ましくはヒトである。治療用の使用に有効な量は、もちろん疾患の重篤度および主体の体重および一般的状態に依存するであろう。典型的には、インビトロで使用する投与量は医薬組成物のインシトゥ投与に有用な量の有用なガイダンスを提供し、動物モデルを用いて特定の疾患の治療に有効な投与量を決定することができる。
他の態様において、本発明はさらに、治療学的有効量のdI/dU含有ODN、とりわけ少なくとも1つの非メチル化CpdI/dUを含む核酸配列を主体に投与することによる、LPSへの炎症応答を患うまたは患うおそれのある主体の治療方法を提供する。
グラム陰性細菌感染症または内毒素血症に関連する疾患の例としては、細菌性髄膜炎、新生児敗血症、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患および肝硬変、グラム陰性菌肺炎、グラム陰性菌腹部膿瘍、出血性ショックおよび播種性血管内凝固症候群が挙げられる。化学療法の治療を受けている主体または免疫無防備状態の主体(たとえば、AIDSにより)を含む、白血球の減少したまたは好中球の減少した主体は、とりわけ細菌感染およびその後の内毒素作用に感受性である。
「リポ多糖」または「LPS」とは、リン脂質残基(リピドa)に共有結合したへテロ多糖(体細胞O抗原を含む)からなる化合物を意味する。LPSはグラム陰性菌の細胞壁の主要な成分である。「内毒素」とは、エンテロバクテリア、ブルセラ、ナイセリア、およびビブリオを含むある種のグラム陰性菌の外膜に付随する熱安定毒素を意味する。内毒素は通常、細菌菌体を破砕したときに放出されるが、リポ多糖分子(LPS)および付随するタンパク質からなる。LPSのリン脂質残基、リピドaはLPSの毒性を伴う。
内毒素は、大量に注射したときには出血性ショックおよび重篤な下痢を起こさせ、少量では発熱、細菌感染への耐性の変化、白血球減少症とそれに引き続く白血球増加症、および多数の他の生物学的作用を引き起こす。内毒素は、発熱を生じさせる細菌産物である「細菌性発熱物質」の一種である。「内毒素」、「LPS」および「リポ多糖」の語は、本明細書では本質的に同じ意味で使用する。
本発明はさらに、LPSへの炎症応答を患うまたは患うおそれのある主体の治療方法を提供する。LPSは通常の患者および喘息の患者において炎症応答を生じることが知られている。「炎症応答」とは、全身的かまたは炎症部位で局所的な白血球の蓄積を意味する。炎症応答は、当該技術分野でよく知られた多くの方法、たとえば、白血球(WBC)の数、多形核好中球(PMN)の数、PMN活性化の程度の測定、管腔促進化学発光(luminal enhanced-chemiluminescence)、または存在するサイトカインの量の測定により測定することができる。「サイトカイン」の語は、ナノモルないしピコモルの濃度で体液性レギュレーターとして作用し、正常または病的条件下で個々の細胞および組織の機能的活性を変調させる可溶性タンパク質およびペプチドの多様な群の総称として用いる。これらタンパク質はまた、細胞間の相互作用を直接媒体し、細胞外環境で起こるプロセスを制御する。
本発明は、空気流の急性低減を進展する「おそれのある」個体またはLPS暴露のおそれのある個体を治療するのに用いることができる。これら個体は、診断的手段により、または暴露データなどの疫学的証拠により同定することができる。これら個体は、臨床場面の実際の開始の前、開始のとき、または開始後に本発明の方法により治療することができる。「臨床場面」とは、疾患の前兆または兆候であってよい。
本発明はさらに、LPSの吸入に対する炎症応答を患うまたは患うおそれのある主体に、本発明の化合物および薬理学的に許容しうる担体を含む医薬組成物の治療学的有効量を投与することを提供する。本発明の医薬組成物の「投与」は、当業者に知られたいかなる手段によっても達成することができる。
本発明の医薬組成物は、一般に局所投与、静脈内投与、経口投与、非経口投与またはインプラントとして投与され、直腸使用さえも原則として可能である。適当な固体または液体の医薬製剤の剤型は、たとえば、顆粒剤、散剤、錠剤、コーチング錠、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ、エマルジョン、懸濁剤、クリーム剤、エアゾル剤、アンプルに収容した滴剤または注射用液剤、および活性化合物の放出遅延製剤であり、これら剤型の製剤において賦形剤および添加剤、たとえば崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨潤剤、滑沢剤、香味剤、甘味剤または可溶化剤を上記のように常法により用いる。本発明の医薬組成物は種々のドラッグデリバリーシステムに使用するのに適している。
本発明の医薬組成物は投与単位で調製および投与するのが好ましい。固体の投与単位は、錠剤、カプセルおよび坐剤である。患者の治療に際しては、化合物の活性、投与経路、疾患の性質および重篤度、患者の年齢および体重に応じて異なる1日当たりの投与量が必要である。しかしながら、ある状況下では、より高いまたはより低い1日当たりの投与量が適している。1日当たりの投与量の投与は、個々の投与単位あるいは幾つかのより小さな投与単位の形態での1回の投与、および特定の間隔での分割投与量の複数の投与のいずれによっても行うことができる。本発明による医薬組成物は、局所投与または全身投与することができる。「治療学的有効量」とは、疾患およびその合併症の兆候を予防、治療または少なくとも部分的に抑制するのに必要な本発明による化合物の量を意味する。この使用のために有効な量は、もちろん、疾患の重篤度および患者の体重および一般的な状態に依存するであろう。典型的には、インビトロで使用する投与量は医薬組成物のインシトゥ投与に有用な量の有用なガイダンスを提供し、動物モデルを用いて特定の疾患の治療に有効な投与量を決定することができる。
以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、いかなる仕方、形状、または形態においても明示的もしくは暗黙のいずれにても本発明を限定することを意図するものではない。これら実施例は使用できるものの典型例であるが、当業者に知られた他の手順、方法、または技術を代わりに用いることができる。
これら核酸は、アジュバントとして、とりわけ抗原性タンパク質に対する免疫応答を誘発するために用いることができる。
一つの態様において、本発明は、抗原性タンパク質をコードするそのような核酸の治療学的有効量および本発明による少なくとも1つのODNを含むオリゴヌクレオチドの治療学的有効量を主体に投与することによる、主体において免疫応答を誘発する方法を提供する。
他の態様において、本発明は、抗原性タンパク質をコードする核酸の治療学的有効量および本発明によるODN、とりわけ少なくとも1つの非メチル化CpdI/dUジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの治療学的有効量を、ウイルスにより媒体された疾患を患うまたは患うおそれのある主体に投与することによる、そのような主体の治療方法を提供する。
さらなる態様において、本発明は、抗原性ポリペプチドの有効量および本発明によるODN(dI/dU残基を含む)、とりわけ少なくとも1つの非メチル化CpdI/dUジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの有効量を、慢性ウイルス感染症を患うまたは患うおそれのある主体に投与することによる、そのような主体の治療方法を提供する。
他の態様において、薬理学的に許容しうる担体中に本発明によるODNおよび抗原性タンパク質をコードする核酸を含む医薬組成物が提供される。
本発明は、抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを利用する。これらポリヌクレオチドとしては、抗原性ポリペプチドをコードするDNA、cDNAおよびRNA配列が挙げられる。そのようなポリヌクレオチドとしては、天然に存在するポリヌクレオチド、合成ポリヌクレオチド、および意図的に操作したポリヌクレオチドが挙げられる。たとえば、抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、該ポリペプチドが抗原性を保持する限り、部位特異的突然変異誘発に供することができる。
「ポリヌクレオチド」または「核酸配列」なる語は、長さが少なくとも10塩基のヌクレオチドのポリマー形をいう。「単離ポリヌクレオチド」とは、そのポリヌクレオチドが由来する生物の天然のゲノム中では直ちに隣接しているコード配列(5'側のコード配列および3'側のコード配列)のいずれとも直ちに隣接していないポリヌクレオチドを意味する。それゆえ、これら語は、たとえば、ベクター中に組み込まれた、自己複製プラスミドまたはウイルス中に組み込まれた、または原核生物または真核生物のゲノムDNA中に組み込まれた、または他の配列とは独立に別個の分子(たとえば、cDNA)として存在する、組換えDNAを包含する。本発明のヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはいずれかのヌクレオチドの修飾形であってよい。これら語は、DNAの一本鎖形および二本鎖形を包含する。
本発明において、抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は発現ベクターに挿入することができる。「発現ベクター」とは、抗原性ポリペプチドをコードする遺伝子配列の挿入または導入により操作したプラスミド、ウイルスまたは当業者に知られた他のビヒクルをいう。
抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、発現制御配列に作動可能に連結することができる。「作動可能に連結」とは、記載した配列が意図した仕方で機能することを可能にする関係にあるような並列をいう。発現制御配列は、該遺伝子の正しい読取り枠を維持してmRNAの適切な翻訳およびコドンの停止を可能にする。「制御配列」は、最小限、その存在が発現に影響を及ぼし得る配列を包含することを意図するものであり、その存在が有利である付加的な配列、たとえば、リーダー配列および融合パートナー配列をも包含する。発現制御配列はプロモーターを包含する。
「プロモーター」とは、転写を指令するのに充分な最小の配列を意味する。本発明はまた、プロモーターに依存した遺伝子発現を細胞型特異的、組織特異的、または外部シグナルまたは薬剤により誘導性とするに充分なプロモーター配列をも包含する;そのような配列は、該遺伝子の5'側または3'側の領域に位置していてよい。構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターはともに本発明に包含される。哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(たとえば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(たとえば、レトロウイルスロングターミナルリピート;アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を用いることができる。組換えDNAまたは合成法により製造したプロモーターはまた、本発明の核酸配列の転写のために用いることもできる。
本発明はさらに、本発明によるODN(dI/dU残基を含む)とりわけCpdI/dUオリゴヌクレオチドとサイトカインとの組み合わせを用いた、相乗免疫応答を誘発する方法および生成物に関する。一つの側面において、本発明は主体における免疫応答を促進する方法である。この方法は、抗原に暴露された主体に、相乗的な抗原特異的免疫応答を誘発するのに充分な量の免疫増強性(immunopotentiating)サイトカインおよび本発明によるODN、とりわけ少なくとも下記式:5'X1C(dI/dU)X2 3'(ここで、該オリゴヌクレオチドは少なくとも8つのヌクレオチドを含み、CおよびdI/dUは非メチル化されており、X1およびX2はヌクレオチドである)を含む配列を有するODNを投与する工程を含む。
サイトカインは、たとえば、GM−CSF、IL−3、IL−5、IL−12、またはインターフェロンγであってよい。免疫増強性サイトカインはまた、抗原−サイトカイン融合タンパク質であってもよい。好ましい態様において、抗原−サイトカイン融合タンパク質は抗原−GM−CSF融合タンパク質である。
抗原は当該技術分野で知られたいかなる種類の抗原であってもよい。一つの態様において、抗原は、腫瘍抗原、微生物抗原、およびアレルゲンよりなる群から選ばれる。好ましくは抗原は腫瘍抗原である。この態様では、主体は新生物疾患を有していてよい。他の態様において、抗原はウイルス性抗原であり、主体はウイルス感染症を患うかまたは患うおそれがある。
幾つかの態様において、抗原はODNおよび免疫増強性サイトカインとともに主体に投与する。他の態様において、主体は抗原に受動的に暴露される。
他の側面において、本発明は、樹状細胞を相乗的に活性化するのに有効な量の本発明による免疫促進性ODN、とりわけ少なくとも下記式:5'X1C(dI/dU)X2 3'(ここで、該オリゴヌクレオチドは少なくとも8つのヌクレオチドを含み、CおよびdI/dUは非メチル化されており、X1およびX2はヌクレオチドである)を含む配列を有するODN;およびGM−CSF、IL−4、TNFa、Flt3リガンド、およびIL−3よりなる群から選ばれたサイトカインの組成物である。
該組成物はまた抗原を含んでいてよい。幾つかの態様において、抗原は腫瘍抗原、微生物抗原、およびアレルゲンよりなる群から選ばれる。
樹状細胞を活性化する方法が、本発明の他の側面により提供される。この方法は、抗原に暴露した樹状細胞を、樹状細胞を相乗的に活性化するのに有効な量の免疫増強性サイトカインおよびdI/dU含有ODN、とりわけ少なくとも下記式:5'X1C(dI/dU)X2 3'(ここで、該オリゴヌクレオチドは少なくとも8つのヌクレオチドを含み、CおよびdI/dUは非メチル化されており、X1およびX2はヌクレオチドである)を含む配列を有する免疫促進性CpdI/dUオリゴヌクレオチドと接触させる工程を含む。
サイトカインは、たとえば、GM−CSF、IL−3、IL−5、IL−12、またはインターフェロンγであってよい。免疫増強性サイトカインはまた、抗原−サイトカイン融合タンパク質であってもよい。好ましい態様において、抗原−サイトカイン融合タンパク質は抗原−GM−CSF融合タンパク質である。
抗原は当該技術分野で知られたいかなる種類の抗原であってもよい。一つの態様において、抗原は、腫瘍抗原、微生物抗原、およびアレルゲンよりなる群から選ばれる。好ましくは抗原は腫瘍抗原である。この態様では、主体は新生物疾患を有していてよい。他の態様において、抗原はウイルス性抗原であり、主体はウイルス感染症を患うかまたは患うおそれがある。
他の側面によれば、本発明は、新生物疾患を患う主体を治療する方法である。この方法は、新生物疾患を患う主体の腫瘍に、本発明によるODN、とりわけ少なくとも下記式:5'X1C(dI/dU)X2 3'(ここで、該オリゴヌクレオチドは少なくとも8つのヌクレオチドを含み、CおよびdI/dUは非メチル化されており、X1およびX2はヌクレオチドである)を含む配列を有する免疫促進性CpdI/dUオリゴヌクレオチド、および免疫増強性サイトカインを、ODN、とりわけ免疫促進性CpdI/dUオリゴヌクレオチド、または免疫増強性サイトカイン単独を投与した主体に関して主体の生存時間を相乗的に長引かせるのに有効な量にて投与する工程を含む。
好ましくは、腫瘍は、脳、肺、卵巣、乳房、前立腺、結腸、皮膚、および血液の腫瘍よりなる群から選ばれる。一つの態様において、ODN、とりわけ免疫促進性CpdI/dUオリゴヌクレオチド、および免疫増強性サイトカインを腫瘍に直接注入する。
避妊法が本発明の他の側面において提供される。この方法は、主体に、抗原、免疫増強性サイトカインおよび本発明によるODN(dI/dUを含む)、とりわけ少なくとも下記式:5'X1C(dI/dU)X2 3'(ここで、該オリゴヌクレオチドは少なくとも8つのヌクレオチドを含み、CおよびdI/dUは非メチル化されており、X1およびX2はヌクレオチドである)を含む配列を有する免疫促進性CpdI/dUオリゴヌクレオチドを投与する工程を含み、その際、該抗原は、生殖腺細胞抗原およびサイトカインまたは生殖腺細胞の維持に必要なホルモンからの抗原よりなる群から選ばれた抗原であることを特徴とする。
本明細書において「抗原」とは、免疫応答を誘起することのできる分子である。抗原としては、これらに限られるものではないが、細胞、細胞抽出物、多糖、多糖コンジュゲート、脂質、糖脂質、炭水化物、ペプチド、タンパク質、ウイルス、およびウイルス抽出物が挙げられる。
抗原の語は、広く宿主免疫系によって異物と認識されるあらゆる種類の分子を包含する。抗原としては、これらに限られるものではないが、癌抗原、微生物抗原、およびアレルゲンが挙げられる。
本発明の方法は、癌抗原に対して抗原特異的な免疫応答を刺激することによって癌を治療するのに有用である。本明細書において「癌抗原」とは、腫瘍または癌細胞の表面に結合しており、抗原提示細胞の表面に発現されたときにMHC分子との関連で免疫応答を誘起することのできるペプチドなどの化合物である。癌抗原の調製は、抗原を部分的に精製することによって癌細胞の粗抽出物を調製することにより、組換え法により、または既知抗原のデノボ合成のいずれかにより行うことができる。癌抗原としては、腫瘍または癌全体の免疫原性の部分であるか、または腫瘍または癌全体である抗原が挙げられる。そのような抗原は、単離し、または組換えまたは当該技術分野で知られた他の手段により調製することができる。癌または腫瘍としては、これらに限られるものではないが、胆汁管癌;脳腫瘍;乳癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸癌;子宮内膜癌;食道癌;胃癌;上皮内新生物;リンパ腫;肝癌;肺癌(たとえば、小細胞および非小細胞);黒色腫;神経芽細胞腫;口内癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;肉腫;皮膚癌;精巣癌;甲状腺癌;および腎臓癌、並びに他の癌腫および肉腫が挙げられる。
腫瘍は抗原性であり、免疫破壊に対して感受性であり得る。「腫瘍」なる語は、通常、新生物(文言としては「新たな増殖」を意味する)と同義であり、「癌」と互換的に用いられる。「新生物疾患」とは、細胞増殖、とりわけ新生物と関連する疾患である。「新生物」とは、その出現を開始させた発癌因子の消失後も継続および増殖する組織の異常な塊である。新生物には2つの種類、すなわち良性と悪性とがある。殆ど全ての良性腫瘍は封じ込められており、非侵襲性である。対照的に、悪性腫瘍は殆ど封じ込められていることはなく、浸潤性の破壊的な増殖によって近接する組織に侵入する。この浸潤性の増殖の後に、最初の腫瘍とは非連続な部位に移植された腫瘍細胞となることがある。本発明の方法は、ヒトにおける肉腫、癌腫、繊維腫、リンパ腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫、および神経膠芽細胞腫、並びに本明細書に記載の他の各腫瘍を含む(これらに限られるものではない)新生物疾患を治療するのに有用である。
本発明はまた、非ヒトの主体において癌および腫瘍を治療するのにも有用である。癌は、ペット動物(すなわち、ネコおよびイヌ)の死の主たる原因の一つである。
癌は通常、家庭のペットの場合、家族の一員として扱われるに至った高齢の動物を襲う。年齢が10歳以上のイヌの45%がこの疾患に屈服するようである。最も一般的な治療の選択肢としては、手術、化学療法および放射線療法が挙げられる。ある程度の成功を収めて使用されている他の治療様式は、レーザー療法、寒冷療法、高体温および免疫療法である。治療の選択は、癌の種類および転移の程度に依存する。悪性の増殖が体内の明確な領域に限定されていない限り、正常な細胞に影響を及ぼすことなしに悪性組織のみを除去することは困難である。
イヌおよびネコで一般に診断される悪性疾患としては、これらに限られるものではないが、リンパ肉腫、骨肉腫、乳癌、肥満細胞腫、脳腫瘍、黒色腫、腺扁平上皮癌、カルチノイド肺腫瘍、気管支腺腫瘍、細気管支腺癌、繊維腫、粘液軟骨腫、肺肉腫、神経肉腫、骨腫、パピローマ、網膜芽腫、ユーイング肉腫、ウィルムス腫、バーキットリンパ腫、小神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、骨芽細胞腫、口内腫瘍(oral neoplasia)、繊維肉腫、骨肉腫および横紋筋肉腫が挙げられる。イヌの他の新形成としては、生殖器扁平上皮細胞癌腫、伝達性性病腫瘍(transmissable veneral tumor)、精巣腫瘍、セミノーマ、セルトーリ細胞腫瘍、血管周囲細胞腫、組織球腫、緑色腫(顆粒球性肉腫)、角膜乳頭腫、角膜扁平上皮細胞癌腫、血管肉腫、胸膜中皮腫、基底細胞腫瘍、胸腺腫、胃腫瘍、副腎癌腫、口内乳頭腫症、血管内皮腫および嚢胞腺腫が挙げられる。ネコで診断されるさらなる悪性疾患としては、濾胞性リンパ腫、腸リンパ肉腫、繊維肉腫および肺扁平上皮細胞癌腫が挙げられる。ケナガイタチは家庭のペットとしてますます人気があるが、インスリノーマ、リンパ腫、肉腫、神経腫、膵臓島細胞腫瘍、胃MALTリンパ腫および胃腺癌を患うことが知られている。
農耕家畜に罹患する新形成としては、白血病、血管周囲細胞腫およびウシ眼性腫(bovine ocular neoplasia)(ウシ);包皮繊維肉腫、潰瘍性扁平上皮細胞癌腫、包皮癌腫、結合組織腫および肥満細胞腫(ウマ);肝細胞癌(ブタ);リンパ腫および肺腺腫症(ヒツジ);肺肉腫、リンパ腫、ラウス肉腫、細網内皮腫(reticuloendotheliosis)、繊維肉腫、腎芽細胞腫、B細胞リンパ腫およびリンパ性鶏白血病(鳥類の種);網膜芽腫、肝臓癌、リンパ肉腫(リンパ芽球性リンパ腫)、形質細胞性白血病および浮き袋肉腫(魚)、乾酪性リンパ節炎(CLA):細菌のコリニバクテリウム・シュードチューバキュローシス(Corynebacterium pseudotuberculosis)によって引き起こされるヒツジおよびヤギの慢性、感染性および伝染性疾患、およびjaagsiekteによって引き起こされるヒツジの伝染性肺腫瘍が挙げられる。
本発明の方法において、dI/dU含有オリゴヌクレオチドは免疫増強性サイトカインとともに用いる。「免疫増強性サイトカイン」とは、体液性および/または細胞性の免疫応答を刺激する分子および化合物である。「サイトカイン」なる語は、ナノモルないしピコモルの濃度にて体液性レギュレーターとして作用し、正常または病的のいずれかの状態で個々の細胞および組織の機能的活性を変調する可溶性タンパク質およびペプチドの多様な群の一般名として用いる。これらタンパク質はまた、細胞間の相互作用を直接媒介し、細胞外環境で起こるプロセスを制御している。サイトカインの例としては、これらに限られるものではないが、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−15、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(G−MCSF)、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、インターフェロンγ(γ−INF)、腫瘍壊死因子(TNF)、TGF−、FLT−3リガンド、およびCD40リガンドが挙げられる。
FLT3リガンドは、EP0627487A2およびWO94/28391に記載されている化合物のクラスである。ヒトのFLT3リガンドcDNAは、アメリカン・ティッシュー・タイプ・カルチャー・コレクション、ロックビル、メリーランドに寄託されており、受託番号ATCC69382が付与されている。インターロイキン(Il)は当該技術分野において詳細に記載されてきている。GM−CSFは、サーグラモスチン(sargramostine)、ロイキン(leukine)(Immunex)として市販されている。
サイトカインは、T細胞応答を指令するうえで役割を果たしている。ヘルパー(CD4+)T細胞は、他の免疫系(他のT細胞を含む)に作用する可溶性因子の産生を介して哺乳動物の免疫応答を調整している。殆どの成熟CD4+T細胞は、2つのサイトカインプロフィル:Th1またはTh2の一方を発現している。Th1細胞は、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−9、IL−10、IL−13、GM−CSFおよび低レベルのTNF−aを発現する。Th1群は、遅延型過敏症、細胞媒体免疫、およびIgG2aへの免疫グロブリンのクラススィッチを促進する。
Th2群は、B細胞を活性化し、抗体産生を促進し、IgGおよびIgEへのクラススィッチを誘発することにより体液性免疫を誘発させる。
腫瘍は、明らかに腫瘍特異的な免疫応答を潜在的に刺激できる「腫瘍特異的抗原」を発現することができる。これら抗原は正常な遺伝子によってコードされることができ、幾つかの範疇に分けることができる:(1)正常ではサイレントな遺伝子、(2)分化遺伝子、(3)胚性および胎児性の抗原、および(4)クローン性の抗原(その腫瘍が由来する細胞などの若干の正常細胞にのみ発現される)。腫瘍特異的な抗原は、変異細胞遺伝子、たとえば、癌遺伝子(たとえば、活性化されたras癌遺伝子)、サプレッサー遺伝子(たとえば、変異p53)、内部欠失または染色体転座の結果生じる融合タンパク質によってコードされることができる。腫瘍特異的な抗原はまた、ウイルス遺伝子、たとえばRNAまたはDNA腫瘍ウイルスによってコードされることができる。
リンパ腫の治療に際して、分泌された免疫グロブリンのイディオタイプは極めて特異的な腫瘍関連抗原として働く。「イディオタイプ」とは、特定の抗体または限られた集合の抗体に特異的なV領域抗原決定基の集合を意味する。一つの態様において、免疫増強性サイトカインは、リンパ腫によって分泌される特定の抗原イディオタイプが免疫増強性サイトカインに融合してなるタンパク質(融合タンパク質)である。抗原−サイトカイン融合タンパク質を製造する方法は当該技術分野でよく知られている。一つの態様において、融合タンパク質は抗原−GM−CSF融合タンパク質である。
本発明の方法はまた、感染性の疾患を治療するのにも有用である。本明細書において感染性の疾患とは、外来の微生物が生体内に存在することによって生じる疾患である。dI/dU含有ODNおよび免疫増強性サイトカインは、微生物の抗原に対するT細胞またはB細胞応答を活性化することのできる抗原特異的な免疫応答を刺激するのに用いる。これら方法は、微生物の抗原を用い、抗原が微生物に特異的な抗原である他は上記で腫瘍について記載したのと同様の仕方で行うことができる。本明細書において「微生物抗原」とは、微生物の抗原であり、感染性ウイルス、感染性細菌、および感染性真菌を含むがこれらに限られるものではない。そのような抗原は、完全な微生物並びに天然の単離物およびその断片または誘導体、および天然の微生物抗原と同一または類似で該微生物に特異的な免疫応答を誘発する合成の化合物をも包含する。化合物は、それが天然の微生物抗原に対して免疫応答(体液性および/または細胞性)を誘発するなら天然の微生物抗原に類似している。そのような抗原は当該技術分野で日常的に用いられており、当業者によく知られている。
ヒトで認められている感染性ウイルスの例としては、これらに限られるものではないが、レトロウイルス科(たとえば、ヒト免疫不全ウイルス、たとえば、HIV−1(HTLV−III、LAVまたはHTLV−III/LAVとも称する)、またはHIV−III;および他の単離物、たとえばHIV−LP);ピコルナウイルス科(たとえば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カリシウイルス科(たとえば、胃腸炎を起こす株);トガウイルス科(たとえば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラビウイルス科(たとえば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱ウイルス);コロナウイルス科(たとえば、コロナウイルス);ラブドウイルス科(水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);コロナウイルス科(たとえば、コロナウイルス);ラブドウイルス科(水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(Filoviridae)(たとえば、エボラウイルス);パラミクソウイルス科(たとえば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルス);オルトミクソウイルス科(たとえば、インフルエンザウイルス);ブニヤウイルス科(たとえば、ハンタンウイルス、ブンガウイルス(bunga viruses)、フレボウイルスおよびナイロウイルス);アレナウイルス科(出血熱ウイルス);レオウイルス科(たとえば、レオウイルス、オルビウイルスおよびロタウイルス);ビルナウイルス科;ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(パルボウイルス);パポーバウイルス科(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(たいていのアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(単純ヘルペスウイルス(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ポックスウイルス科(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);およびイリドウイルス科(たとえば、アフリカブタ熱ウイルス);および分類されていないウイルス(たとえば、海綿状脳症の病原因子、デルタ型肝炎の病原因子(B型肝炎ウイルスの欠損サテライトウイルスであると考えられている)、非A非B肝炎の病原因子(クラス1=内部伝播;クラス2=腸管外伝播(すなわち、C型肝炎);ノーウォーク(Norwalk)および関連ウイルス、およびアストロウイルス))が挙げられる。
グラム陰性菌およびグラム陽性菌はともに脊椎動物での抗原となる。そのようなグラム陽性菌としては、これらに限られるものではないが、パスツレラ(Pasteurella)種、スタフィロコッカス(Staphylococcus)種、およびストレプトコッカス(Streptococcus)種が挙げられる。グラム陰性菌としては、これらに限られるものではないが、大腸菌、シュードモナス(Pseudomonas)種、およびサルモネラ(Salmonella)種が挙げられる。感染性細菌の特定の例としては、これらに限られるものではないが、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pyloris)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borelia burgdorferi)、レジオネラ・ニューモフィリア(Legionella pneumophilia)、マイコバクテリア(Mycobacteria)種(たとえば、マイコバクテリア・チューバーキュローシス(M. tuberculosis)、マイコバクテリア・アビウム(M. avium)、マイコバクテリア・イントラセルラーレ(M. intracellulare)、マイコバクテリア・カンサイイ(M. kansaii)、マイコバクテリア・ゴルドナエ(M. gordonae))、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ナイセリア・ゴノロエ(Neisseria gonorrhoeae)、ナイセリア・メニンジチジス(Neisseria meningitidis)、リステリア・モノサイトジェネス(Listeria monocytogenes)、ストレプトコッカス・ピオジェネス(Streptococcus pyogenes)(グループAストレプトコッカス)、ストレプトコッカス・アガラクチエ(Streptococcus agalactiae)(グループBストレプトコッカス)、ストレプトコッカス(ビリダンスグループ)、ストレプトコッカス・ファエカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)、ストレプトコッカス(嫌気種)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、病原カンピロバクター(Campylobacter)種、エンテロコッカス(Enterococcus)種、ヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)、バシラス・アントラシス(Bacillus antracis)、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、エリシペロトリックス・ルシオパチエ(Erysipelothrix rhusiopathiae)、クロストリジウム・ペルフリンゲルス(Clostridium perfringers)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、エンテロバクター・アエロジェネス(Enterobacter aerogenes)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、パスツレラ・マルトシダ(Pasturella multocida)、バクテリオイデス(Bacteroides)種、フソバクテリウム・ニュークレアツム(Fusobacterium nucleatum)、ストレプトバシラス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、トレポネマ・パリジウム(Treponema pallidium)、トレポネマ・ペルテニュ(Treponema pertenue)、レプトスピラ(Leptospira)、リケッチア(Rickettsia)、およびアクチノミセス・イスラエリ(Actinomyces israelli)が挙げられる。
感染性真菌の例としては、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラツム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、ブラストミセス・ダーマチチジス(Blastomyces dermatitidis)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)が挙げられる。他の感染性生物体(すなわち、原生生物)としては、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・マラリア(Plasmodium malariae)、プラスモジウム・オバレ(Plasmodium ovale)、およびプラスモジウム・ビバックス(Plasmodium vivax)などのプラスモジウム、およびトキソプラズマ・ゴンジ(Toxoplasma gondii)が挙げられる。
本発明の方法はまた、アレルギー疾患の治療に有用である。これら方法は、抗原がアレルギーに特異的なものである他は腫瘍免疫療法および感染性疾患の治療に関して上記で記載したのと同様にして行うことができる。
現在のところアレルギー疾患の治療は、一般に、少量の抗原を注射した後に抗原の投与量を増大させることにより行われている。この方法は、記憶免疫応答を生成させてさらなるアレルギー反応を防ぐと考えられている。しかしながら、これら方法は、アレルギー応答などの副作用のリスクを伴う。本発明の方法はこれら問題を回避している。
「喘息」とは、炎症、気道の狭窄および吸入した因子に対する気道の反応性の増大を特徴とする呼吸器系の疾患をいう。喘息は、しばしば、アトピーまたはアレルギー兆候(これらのみではないが)を伴う。
「アレルゲン」とは、感受性の主体においてアレルギー性または喘息性の応答を誘起しうる物質(抗原)をいう。アレルギーのリストは膨大であり、花粉、昆虫毒、動物の羽毛粉、真菌の胞子および薬剤(たとえば、ペニシリン)が挙げられる。天然、動物および植物アレルゲンの例としては、これらに限られるものではないが、以下の属に特異的なタンパク質が挙げられる:カニン(Canine)(カニス・ファミリアリス(Canis familiaris));ダーマトファゴイデス(Dermatophagoides)(たとえば、ダーマトファゴイデス・ファリネ(Dermatophagoides farinae));フェリス(Felis)(フェリス・ドメスチクス(Felis domesticus));アンブロシア(Ambrosia)(アンブロシア・アーテミイスフォリア(Ambrosia artemiisfolia));ロリウム(Lolium)(たとえば、ロリウム・ペレネ(Lolium perenne)またはロリウム・ムルチフロルム(Lolium multiflorum));クリプトメリア(Cryptomeria)(クリプトメリア・ヤポニカ(Cryptomeria japonica));アルターナリア(Alternaria)(アルターナリア・アルターナタ(Alternaria alternata));アルダー(Alder);アルヌス(Alnus)(アルヌス・グルチノアサ(Alnus glutinoasa));ベツラ(Betula)(ベツラ・ベルコサ(Betula verrucosa));ケルクス(Quercus)(ケルクス・アルバ(Quercus alba));オレア(Olea)(オレア・エウロパ(Olea europa));アーテミシア(Artemisia)(アーテミシア・ブルガリス(Artemisia vulgaris));プランタゴ(Plantago)(たとえば、プランタゴ・ランセオラタ(Plantago lanceolata));パリエタリア(Parietaria)(たとえば、パリエタリア・オフィシナリス(Parietaria officinalis)またはパリエタリア・ユダイカ(Parietaria judaica));ブラテラ(Blattella)(たとえば、ブラテラ・ゲルマニカ(Blattella germanica));アピス(Apis)(たとえば、アピス・ムルチフロルム(Apis multiflorum));クプレッスス(Cupressus)(たとえば、クプレッスス・センペルビレンス(Cupressus semperviren)、クプレッスス・アリゾニカ(Cupressus arizonica)およびクプレッスス・マクロカルパ(Cupressus macrocarpa));ユニペルス(Juniperus)(たとえば、ユニペルス・サビノイデス(Juniperus sabinoides)、ユニペルス・ビルジニアナ(Juniperus virginiana)、ユニペルス・コムニス(Juniperus communis)およびユニペルス・アシェイ(Juniperus ashei));ツヤ(Thuya)(たとえば、ツヤ・オリエンタリス(Thuya orientalis));カマエシパリス(Chamaecyparis)(たとえば、カマエシパリス・オブツサ(Chamaecyparis obtusa));ペリプラネタ(Periplaneta)(たとえば、ペリプラネタ・アメリカナ(Periplaneta americana));アグロピロン(Agropyron)(たとえば、アグロピロン・レペンス(Agropyron repens));セカレ(Secale)(たとえば、セカレ・セレアレ(Secale cereale));トリチクム(Triticum)(たとえば、トリチクム・アエスチブム(Triticum aestivum));ダクチリス(Dactylis)(たとえば、ダクチリス・グロメラタ(Dactylis glomerata));フェスツカ(Festuca)(たとえば、フェスツカ・エラチオル(Festuca elatior));ポア(Poa)(たとえば、ポア・プラテンシス(Poa pratensis)およびポア・コンプレッサ(Poa compressa));アベナ(Avena)(たとえば、アベナ・サチバ(Avena sativa));ホルクス(Holcus)(たとえば、ホルクス・ラナツス(Holcus lanatus));アンソキサンスム(Anthoxanthum)(たとえば、アンソキサンスム・オドラツム(Anthoxanthum odoratum));アレナセルム(Arrhenatherum)(たとえば、アレナセルム・エラチウス(Arrhenatherum elatius));アグロスチス(Agrostis)(たとえば、アグロスチス・アルバ(Agrostis alba));フレウム(Phleum)(たとえば、フレウム・プラテンセ(Phleum pratense));ファラリス(Phalaris)(たとえば、ファラリス・アルンジナセア(Phalaris arundinacea));パスパルム(Paspalum)(たとえば、パスパルム・ノタツム(Paspalum notatum));ソルグム(Sorghum)(たとえば、ソルグム・ハレペンシス(Sorghum halepensis));およびブロムス(Bromus)(たとえば、ブロムス・イネルミス(Bromus inermis))。
「アレルギー」とは、ある物質(アレルゲン)に対して獲得された過敏症をいう。アレルギー状態としては、これらに限られるものではないが、湿疹、アレルギー性鼻炎またはコリーザ、花粉症、気管支喘息、蕁麻疹および食物アレルギー、および他のアトピー状態が挙げられる。アレルギー反応を有する主体は、アレルギーを有するかまたはアレルギーを発症するリスクを有する主体である。アレルギーは、一般に、無害なアレルゲンに対するIgE抗体の生成によって引き起こされる。
dI/dUオリゴヌクレオチドによって誘発されるサイトカインは、主として「Th1」と呼ばれるクラスのものであって、これは細胞性免疫応答に最も特徴的であり、IL−12およびIFN−ガンマおよびIgG2a抗体産生を伴う。他の主たるタイプの免疫応答はTh2免疫応答と呼ばれるものであり、これは一層のIgGI抗体免疫応答およびIL−4、IL−5およびIL−10の産生と関連している。一般に、アレルギー疾患はTh2型の免疫応答により媒介され、自己免疫疾患はTh1免疫応答によって媒介されると思われる。dI/dUオリゴヌクレオチド、とりわけCpdI/dUオリゴヌクレオチドと免疫増強性サイトカインとの組み合わせが主体における免疫応答をTh2応答(IgE抗体産生およびアレルギーと関連しており、GM−CSF単独に応答して産生される)からTh1応答(アレルギー反応に対して防御的である)にシフトさせる得ることに基づき、アレルギーを治療または予防するために有効投与量のdI/dUオリゴヌクレオチドおよび免疫増強性サイトカインを主体に投与することができる。
免疫増強性サイトカインと組み合わせたdI/dUオリゴヌクレオチド、とりわけCpdI/dUオリゴヌクレオチドはまた、喘息の治療において有意の治療的有用性を有する。Th2サイトカイン、とりわけIL−4およびIL−5のレベルは、喘息を患う主体の気道で上昇している。これらサイトカインは、IgEアイソタイプのスイッチング、好塩基球の化学走性および活性化および肥満細胞の増殖を含む喘息性の免疫応答の重要な側面を促進する。Th1サイトカイン、とりわけIFN−γおよびIL−12は、Th2クローンの生成およびTh2サイトカインの産生を抑制することができる。「喘息」とは、炎症、気道の狭窄および吸入した因子に対する気道の反応性の増大を特徴とする呼吸器系の疾患をいう。喘息は、しばしば、アトピーまたはアレルギー兆候(これらのみではないが)を伴う。
本発明は、ヒトおよび非ヒト動物において抗原特異的な免疫応答を誘発させるためにdI/dU含有オリゴヌクレオチドおよび免疫増強性サイトカインを使用することを包含する。上記に記載したように、抗原は、ウイルス、細菌および真菌などの感染性微生物およびその断片(天然源に由来するかまたは合成したもの)を包含する。
ヒトおよび非ヒト脊椎動物の両者の感染性ウイルスは、レトロウイルス、RNAウイルスおよびDNAウイルスを含む。このグループのレトロウイルスは、単純レトロウイルスおよび複合(complex)レトロウイルスの両者を含む。単純レトロウイルスは、B型レトロウイルス、C型レトロウイルスおよびD型レトロウイルスのサブグループを含む。B型レトロウイルスの例は、マウス乳癌ウイルス(MMTV)である。C型レトロウイルスは、C型グループA(ラウス肉腫ウイルス(RSV)、トリ白血病ウイルス(ALV)、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)を含む)およびC型グループB(マウス白血病ウイルス(MLV)、マウス肉腫ウイルス(MSV)、テナガザル白血病ウイルス(GALV)、脾臓壊死ウイルス(SNV)、細網内皮腫(reticuloendotheliosis)ウイルス(RV)およびシミアン肉腫ウイルス(SSV)を含む)のサブグループを含む。D型レトロウイルスは、マソン−ファイザーサルウイルス(MPMV)およびシミアンレトロウイルス1型(SRV−1)を含む。複合レトロウイルスは、レンチウイルス、T細胞白血病ウイルスおよび泡沫状ウイルスのサブグループを含む。レンチウイルスは、HIV−1を含み、HIV−2、SIV、ビスナウイルス、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、およびウマ感染性貧血ウイルス(EIAV)を含む。T細胞白血病ウイルスは、HTLV−1、HTLV−II、シミアンT細胞白血病ウイルス(STLV)、およびウシ白血病ウイルス(BLV)を含む。泡沫状ウイルスは、ヒト泡沫状ウイルス(HFV)、シミアン泡沫状ウイルス(SFV)およびウシ泡沫状ウイルス(BFV)を含む。
脊椎動物において抗原である他のRNAウイルスの例としては、これらに限られるものではないが、以下のものが挙げられる:オルトレオウイルス属(哺乳類および鳥類の両レトロウイルスの複数の血清型)、オルビウイルス属(ブルータングウイルス、ユージナンギー(Eugenangee)ウイルス、ケメロボ(Kemerovo)ウイルス、アフリカウマ病(African horse sickness)ウイルス、およびコロラドチック熱(Colorado Tick Fever)ウイルス)、ロタウイルス属(ヒトロタウイルス、ネブラスカウシ下痢ウイルス、マウスロタウイルス、シミアンロタウイルス、ウシまたはヒツジロタウイルス、トリロタウイルス)を含むレオウイルス科;エンテロウイルス属(ポリオウイルス、A型およびB型コクサッキーウイルス、ヒトECHO(enteric cytopathic human orphan)ウイルス、A型肝炎ウイルス、シミアンエンテロウイルス、マウス脳脊髄炎(ME)ウイルス、ポリオウイルスムリス(muris)、ウシエンテロウイルス、ブタエンテロウイルス)、カルジオウイルス属(脳心筋炎(EMC)ウイルス、メンゴウイルス(Mengovirus))、ライノウイルス属(少なくとも113のサブタイプを含むヒトライノウイルス;他のライノウイルス)、アフトウイルス属(手足口病(FMDV))を含むピコルナウイルス科;ブタ口内発疹ウイルス、サンミグエルアザラシウイルス、ネコピコルナウイルスおよびノーウォークウイルスを含むカリシウイルス科;アルファウイルス属(東部ウマ脳炎ウイルス、セムリキ森林病(Semliki forest)ウイルス、シンドビスウイルス、チクングニヤウイルス、O'Nyong-Nyongウイルス、ロス川ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス)、フラビウイルス属(蚊由来(Mosquito borne)黄熱病ウイルス、デングウイルス、日本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マリーバレー脳炎ウイルス、西ナイルウイルス、クンジン(Kunjin)ウイルス、中央ヨーロッパマダニ由来(tick borne)ウイルス、極東部ダニ由来(tick borne)ウイルス、キャサヌール森林病ウイルス、跳躍病ウイルス、ポーワッサンウイルス、オムスク出血性熱ウイルス)、ルビウイルス属(風疹ウイルス)、ペスチウイルス属(粘膜病ウイルス、ブタコレラウイルス、ボーダー病(Border disease)ウイルス)を含むトガウイルス科;ブニヤウイルス属(ブニヤンベラウイルスおよび関連ウイルス、カリフォルニア脳炎群ウイルス)、フレボウイルス属(シシリアサシチョウバエウイルス、リフトバレー熱ウイルス)、ナイロウイルス属(クリミア−コンゴ出血性熱ウイルス、ナイロビヒツジ病ウイルス)、およびウークウイルス(Uukuvirus)属(ウークニエミ(Uukuniemi)および関連ウイルス)を含むブニヤウイルス科;インフルエンザウイルス属(A型インフルエンザウイルス、多くのヒトサブタイプ、ブタインフルエンザウイルス、およびトリおよびウマインフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス(多くのヒトサブタイプ)、およびC型インフルエンザウイルス(別の属である可能性あり))を含むオルトミクソウイルス科;パラミクソウイルス属(1型パラインフルエンザウイルス、センダイウイルス、赤血球吸着(Hemadsorption)ウイルス、2型〜5型パラインフルエンザウイルス、ニューカッスル病ウイルス、流行耳下腺炎ウイルス)、モルビリウイルス属(麻疹ウイルス、亜急性硬化性汎脳炎ウイルス、ジステンパーウイルス、リンダーペスト(Rinderpest)ウイルス)、ニューモウイルス属(RSウイルス(RSV)、ウシRSウイルスおよびマウスのニューモウイルス、森林病ウイルス、シンドビスウイルス、チクングニヤウイルス、O'Nyong-Nyongウイルス、ロス川ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス)、フラビウイルス属(蚊由来(Mosquito borne)黄熱病ウイルス、デングウイルス、日本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マリーバレー脳炎ウイルス、西ナイルウイルス、クンジン(Kunjin)ウイルス、中央ヨーロッパマダニ由来(tick borne)ウイルス、極東部ダニ由来(tick borne)ウイルス、キャサヌール森林病ウイルス、跳躍病ウイルス、ポーワッサンウイルス、オムスク出血性熱ウイルス)、ペスチウイルス属(粘膜病ウイルス、ブタコレラウイルス、ボーダー病(Border disease)ウイルス)を含むパラミクソウイルス科;ブニヤウイルス属(ブニヤンベラウイルスおよび関連ウイルス、カリフォルニア脳炎群ウイルス)、フレボウイルス属(シシリアサシチョウバエウイルス、リフトバレー熱ウイルス)、ナイロウイルス属(クリミア−コンゴ出血性熱ウイルス、ナイロビヒツジ病ウイルス)、およびウークウイルス(Uukuvirus)属(ウークニエミ(Uukuniemi)および関連ウイルス)を含むブニヤウイルス科;インフルエンザウイルス属(A型インフルエンザウイルス、多くのヒトサブタイプ、ブタインフルエンザウイルス、およびトリおよびウマインフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス(多くのヒトサブタイプ)、およびC型インフルエンザウイルス(別の属である可能性あり))を含むオルトミクソウイルス科;パラミクソウイルス属(1型パラインフルエンザウイルス、センダイウイルス、赤血球吸着(Hemadsorption)ウイルス、2型〜5型パラインフルエンザウイルス、ニューカッスル病ウイルス、流行耳下腺炎ウイルス)、モルビリウイルス属(麻疹ウイルス、亜急性硬化性汎脳炎ウイルス、ジステンパーウイルス、リンダーペスト(Rinderpest)ウイルス)、ニューモウイルス属(RSウイルス(RSV)、ウシRSウイルスおよびマウスのニューモウイルス)を含むパラミクソウイルス科;ベシクロウイルス(VSV)属(チャンジプラ(Chandipura)ウイルス、フランダース−ハート(Flanders-Hart)ウイルス)、リッサウイルス属(狂犬病ウイルス、魚ラブドウイルス、および2つの蓋然的ラブドウイルス(マルブルクウイルスおよびエボラウイルス));リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCM)、タカリベウイルス複合体、およびラッサウイルスを含むアレナウイルス科;感染性気管支炎ウイルス(IBV)、マウス肝炎ウイルス、ヒト腸コロナウイルス、およびネコ感染性腹膜炎(ネココロナウイルス)を含むコロナウイルス科の成員。
脊椎動物において抗原である代表的なDNAウイルスとしては、これらに限られるものではないが、オルトポックスウイルス属(痘瘡メージャーウイルス、痘瘡マイナーウイルス、サル痘ウイルス、牛痘ウイルス、バッファロー痘瘡ウイルス、家兎痘ウイルス、エクトロメリアウイルス)、レポリポックスウイルス属(粘液腫症ウイルス、繊維腫ウイルス)、アビポックスウイルス属(鶏痘ウイルス、他のトリポックスウイルス)、カプリポックスウイルス属(羊痘ウイルス、ヤギ痘ウイルス)、スイポックスウイルス属(豚痘ウイルス)、パラポックスウイルス属(伝染性膿疱性皮膚炎ウイルス、偽牛痘ウイルス、ウシ丘疹性口内炎ウイルス)を含むポックスウイルス;イリドウイルス科(アフリカ豚熱ウイルス、2型および3型カエルウイルス、魚のリンパ球増加症(lymphocystis)ウイルス);アルファヘルペスウイルス(1型および2型単純ヘルペスウイルス、水痘−帯状疱疹ウイルス、ウマ堕胎(abortion)ウイルス、ウマ2型および3型ヘルペスウイルス、仮性狂犬病ウイルス、感染性ウシ角結膜炎ウイルス、感染性ウシ鼻気管炎ウイルス、ネコ鼻気管炎ウイルス、感染性喉頭気管炎ウイルス)、ベータヘルペスウイルス(ヒトサイトメガロウイルスおよびブタ、サルおよび齧歯類のサイトメガロウイルス)、ガンマヘルペスウイルス(エプスタインバーウイルス(EBV)、マレック病ウイルス、ヘルペスサイミリ、ヘルペスウイルスアテレス(ateles)、ヘルペスウイルスシルビラグス(sylvilagus)、モルモットヘルペスウイルス、リュッケ腫瘍ウイルス)を含むヘルペスウイルス科;マストアデノウイルス属(ヒトのA、B、C、D、Eサブグループ、およびグループに分けられていないもの、シミアンアデノウイルス(少なくとも23の血清型)、感染性イヌ肝炎ウイルス、およびウシ、ブタ、ヒツジ、カエルおよび他の多くの種のアデノウイルス)、アビアデノウイルス属(トリアデノウイルス)、および培養できないアデノウイルスを含むアデノウイルス科;パピローマウイルス属(ヒトパピローマウイルス、ウシパピローマウイルス、シュープウサギパピローマウイルス、および他の種の種々の病原性パピローマウイルス)、ポリオーマウイルス属(ポリオーマウイルス、シミアン空胞化因子(vacuolating agent)(SV40)、ウサギ空胞化因子(RKV)、Kウイルス、BKウイルス、JCウイルス、および他の霊長類ポリオーマウイルス、たとえばリンパ栄養性パピローマウイルス)を含むパポーバウイルス科;アデノ関連ウイルス属、パルボウイルス属(ネコ汎白血球減少症ウイルス、ウシパルボウイルス、イヌパルボウイルス、アリューシャンミンク病ウイルスなど)を含むパルボウイルス科が挙げられる。最後に、DNAウイルスは、クールーおよびクロイツフェルト・ヤコブ病ウイルスや慢性感染性神経障害因子(CHINAウイルス)などのような上記科に適合されないウイルスを包含する。
ヒトにおいて抗原特異的な免疫応答を誘発させるためのdI/dUオリゴヌクレオチドと免疫増強性サイトカインとの組み合わせの使用に加えて、好ましい態様の方法は、雌鶏、ニワトリ、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ウズラ、およびキジなどの鳥類の治療に特によく適している。鳥類は、多くのタイプの感染症に対する主たる標的である。
卵からかえる鳥類は、誕生後まもなく病原性微生物に暴露される。これら鳥類は最初は母体由来の抗体により病原菌に対して保護されているが、この保護は一時的なものであり、鳥自身の未発達な免疫系が病原菌に対する保護を開始しなければならない。若い鳥が最も病気にかかりやすいときに感染症から保護してやるのがしばしば望ましい。高齢の鳥においても、とりわけ密閉した小屋に閉じこめられて病気の速やかな進行を許しているような場合には、感染症から保護してやるのが望ましい。
それゆえ、抗原が存在するときに抗原特異的な免疫応答を促進すべく、本発明のdI/dUオリゴヌクレオチドおよび免疫増強性サイトカインを鳥に投与するのが望ましい。
ニワトリにおける一般的な感染症の例は、ニワトリ感染性貧血ウイルス(CIAV)である。CIAVは、マレック病ワクチン接種突破(break)のための探求の際に1979年に日本で最初に単離された。このとき以来、CIAVは全ての主要な家禽生産国で市販の家禽において検出されている。CIAV感染症は、若い病気にかかりやすいニワトリでは、貧血、出血および免疫抑制を特徴とする臨床疾患という結果となる。CIAV感染したニワトリの胸腺および骨髄の萎縮および一貫した障害もまた、CIAV感染症の特徴である。胸腺、および場合によりファブリキウス嚢におけるリンパ球の涸渇は、免疫抑制および二次的なウイルス、細菌または真菌感染への罹病性の増大という結果となり、このことが疾患の経過を複雑なものにする。免疫抑制は、マレック病ウイルス(MDV)、感染性嚢疾患ウイルス(infectious bursal disease virus)、細網内皮腫(reticuloendotheliosis)ウイルス、アデノウイルス、またはレオウイルスの1またはそれ以上の感染後に加重疾患を引き起こし得る。MDVの病因はCIAVによって促進されることが報告されている。さらに、CIAVが感染性嚢疾患の兆候を悪化させることが報告されている。ニワトリは、CAAにより実験的に誘発させた疾患に対して年齢耐性(age resistance)を進展させる。これは本質的に2週間の年齢までに完了するが、もっと高齢の鳥も依然として感染症にかかりやすい。しかしながら、ニワトリがCAAと免疫抑制因子(IBDV、MDVなど)とで二重に感染した場合には、疾患に対する年齢耐性は遅れる。疾患の伝播を強化するCIAVの特徴としては、環境による不活化および幾つかの一般的な殺菌剤に対する高度の耐性が挙げられる。CIAV感染の経済的な影響は、疾患を発症した感染鳥の10%〜30%が死亡するという事実から明らかである。
鳥のワクチン接種は、他の脊椎動物と同様にどの年齢でも行うことができる。通常、ワクチン接種は、12週までの年齢では生きた微生物を、14〜18週の年齢では不活化した微生物または他のタイプのワクチンにて行う。インオボワクチン接種のためには、ワクチン接種は胚発生の最後の四半期に行うことができる。組成物の投与は、皮下、噴霧、経口、眼内、気管内、鼻内、インオボまたは本明細書に記載する他の方法により行う。それゆえ、本発明のCpdI/dUオリゴヌクレオチドおよび免疫増強性サイトカインを通常のワクチン接種スケジュールを用いて鳥および他の非ヒト脊椎動物に投与することができ、抗原を本明細書に記載するように適当な期間の後に投与する。
ウシは、ウシウイルスによって感染され得る。ウシのウイルス性下痢ウイルス(BVDV)は、エンベロープを有する小さな(+)鎖のRNAウイルスであり、ブタコレラウイルス(HOCV)およびヒツジボーダー病ウイルス(BDV)とともにペスチウイルス属に分類されている。これまではペスチウイルスはトガウイルス科に分類されていたが、幾つかの研究によってフラビウイルスおよびC型肝炎ウイルス(HCV)群とともにフラビウイルス科に再分類することが示唆されている。
癌を発症するおそれのある主体もまた、抗原への受動的または能動的な暴露の後にdI/dUおよび免疫増強性サイトカインを投与することにより、本発明の方法に従って治療することができる。癌を発症するおそれのある主体とは、癌を発症する高い確率を有する者である。これら主体としては、たとえば、その存在が癌を一層発症しやすいことと相関関係を有する遺伝子の異常を有する主体、およびタバコ、アスベスト、または他の化学的毒素などのような癌を引き起こす剤に暴露されている主体が挙げられる。癌を発症するおそれのある主体を、dI/dUおよび免疫増強性サイトカインで定期的に、たとえば1ヶ月毎に治療すれば、その主体は抗原を認識し、抗原特異的な免疫応答を生成することができるであろう。その主体で腫瘍が形成され始めたら、その主体は1またはそれ以上の腫瘍抗原に対して特異的な免疫応答を生成させるであろう。本発明のこの側面は、主体が暴露されるであろう抗原が未知の場合にとりわけ有利である。たとえば、細菌戦に立ち会うおそれのある兵士の場合、兵士が立ち会うことになる生物兵器が何であるかは一般に知られていない。
抗原は、主体の免疫系に単独でまたは担体とともに送達することができる。
たとえば、コロイド状の分散系を用いて抗原を主体に送達することができる。本明細書において「コロイド状の分散系」とは、主体において抗原を送達し放出することのできる、細菌またはウイルス源のもの以外の天然または合成の分子をいう。コロイド状の分散系としては、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、および脂質ベースの系(水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む)が挙げられる。本発明の好ましいコロイド系はリポソームである。リポソームは、インビボまたはインビトロでの送達に有用な人工的な膜容器(membrane vessels)である。大きな単ラメラ小胞(LUV)(サイズはμからの範囲)は、水性の内部に大きな高分子を胞嚢することができ、これら高分子を生物学的に活性な形態にて細胞に送達できることが示されている。
トランスフェクションのための脂質調合物は、QIAGENからたとえばEFFECTENETM(特別のDNA濃縮促進剤を用いた非リポソーム脂質)およびSUPER-EFCTTM(新規な作用性の(acting)樹状細胞測定(dendrimeric)法)として、並びにGibco BRLからたとえばLIPOFECTINTMおよびLIPOFECTACETM(N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)およびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロマイド(DDAB)などのカチオン性脂質から作られている)として市販されている。リポソームの製造方法は当該技術分野でよく知られており、多くの刊行物に記載されている。
抗原がインビボで発現できるように該抗原をコードする核酸分子にて該抗原を主体に送達することも考えられる。本発明のこれら態様では、核酸分子はdI/dU(とりわけCpdI/dU)ジヌクレオチドを該核酸分子内に含んでいてよい。しかしながら、この場合、該核酸分子がdI/dUオリゴヌクレオチドに取って代わることはない。抗原は、該核酸分子とは別にdI/dUオリゴヌクレオチドとともに投与しなければならない。抗原をコードする核酸は、抗原核酸の真核細胞内での発現を指令する遺伝子発現配列に作動可能に連結している。「遺伝子発現配列」とは、それが作動可能に連結した抗原核酸の効率的な転写および翻訳を容易にする、プロモーター配列やプロモーター−エンハンサーの組み合わせなどの制御ヌクレオチド配列をいう。遺伝子発現配列は、たとえば、構成的または誘導性プロモーターなどの哺乳動物またはウイルスのプロモーターであってよい。構成的な哺乳動物のプロモーターとしては、これらに限られるものではないが、以下の遺伝子のプロモーターが挙げられる:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPTR)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、p−アクチンプロモーターおよび他の構成的プロモーター。真核細胞内で構成的に機能するウイルスプロモーターの例としては、たとえば、シミアンウイルス、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルスおよび他のレトロウイルスのロングターミナルリピート(LTR)からのプロモーター、および単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーターが挙げられる。他の構成的プロモーターも当業者に知られている。本発明の遺伝子発現配列として有用なプロモーターはまた、誘導性のプロモーターを含む。誘導性のプロモーターは誘導物質の存在下で発現される。たとえば、メタロチオネインプロモーターは、ある種の金属イオンの存在下で誘導されて転写および翻訳を促進する。他の誘導性プロモーターは当業者に知られている。
一般に、遺伝子発現配列は、必要に応じて、TATAボックス、キャップ配列、CAAT配列などの転写開始および翻訳にそれぞれ関与する5'非転写配列および5'非翻訳配列を含んでいるであろう。とりわけ、そのような5'非転写配列は、作動可能に連結した抗原核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含んでいるであろう。遺伝子発現配列は、所望によりエンハンサー配列または上流アクチベーター配列を任意に含んでいる。
抗原核酸は遺伝子発現配列に作動可能に連結している。本明細書において、抗原核酸配列と遺伝子発現配列とは、抗原コード配列の発現または転写および/または翻訳が遺伝子発現配列の影響下または制御下にあるような仕方で両配列が共有結合により連結しているときに「作動可能に連結している」とされる。2つのDNA配列は、5'遺伝子発現配列中のプロモーターの誘導が抗原配列の転写という結果となるならば、およびこれら2つのDNA配列の結合の性質が、(1)フレームシフト変異の導入という結果とならず、(2)抗原配列の転写を指令するプロモーター領域の能力を妨害することなく、または(3)対応するRNA転写物がタンパク質に翻訳される能力を妨害することがないならば、作動可能に連結しているとされる。それゆえ、遺伝子発現配列が抗原核酸配列の転写を行うことができ、その結果得られる転写物が所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳されるならば、遺伝子発現配列は抗原核酸配列に作動可能に連結されている。
本発明の抗原核酸は、単独でまたはベクターとともに免疫系に送達してよい。最も広い意味において、「ベクター」とは、免疫系の細胞、好ましくはAPC(抗原がAPCの表面に発現および提示することができるように)に抗原核酸の輸送を容易にできるあらゆるビヒクルをいう。
好ましくは、ベクターは、ベクターの不在下で得られる分解の程度よりも低い分解にて核酸を免疫細胞に輸送する。ベクターは、APC中での抗原核酸の発現を促進させる上記遺伝子発現配列を任意に含んでいる。一般に、本発明において有用なベクターとしては、これらに限られるものではないが、抗原核酸配列の挿入または導入により操作した、プラスミド、ファージミド、ウイルス、ウイルスもしくは細菌由来の他のビヒクルが挙げられる。ウイルスベクターは好ましいタイプのベクターであり、これらに限られるものではないが以下のウイルスからの核酸配列を含む:レトロウイルス、たとえばモロニーマウス白血病ウイルス、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルス、およびラウス肉腫ウイルス;アデノウイルス、アデノ関連ウイルス;SV40型ウイルス;ポリオーマウイルス;エプスタインバーウイルス;パピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;およびRNAウイルス、たとえばレトロウイルス。当業者は、当該技術分野で名前は付けられていないが知られている他のベクターを容易に用いることができる。
好ましいウイルスベクターは、非必須の遺伝子を目的遺伝子と置換した非細胞障害性の真核ウイルスに基づくものである。非細胞障害性のウイルスとしてはレトロウイルスが挙げられ、そのライフサイクルは、ゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写およびその後の宿主細胞DNA中へのプロウイルス組み込みを含む。レトロウイルスは、ヒトの遺伝子療法の治験において承認されている。最も有用なのは複製能の欠損したもの(すなわち、所望のタンパク質の合成を指令することはできるが、感染性の粒子を製造することはできないもの)である。そのような遺伝的に変化させたレトロウイルス発現ベクターは、インビボでの遺伝子の高効率形質導入のための一般的な有用性を有する。複製欠損レトロウイルスを製造する標準プロトコール(外来遺伝子物質のプラスミド中への導入、プラスミドによるパッケージング細胞株のトランスフェクション、パッケージング細胞株による組換えレトロウイルスの産生、組織培養液からのウイルス粒子の回収、およびウイルス粒子による標的細胞の感染の各工程を含む)は、当該技術分野で提供されている。
ある種の応用に好ましいウイルスは、アデノ関連ウイルス、二本鎖DNAウイルスである。アデノ関連ウイルスは、複製欠損となるように操作することができ、広範囲の細胞型および種を感染することができる。アデノ関連ウイルスはさらに、熱および脂質溶媒安定性;造血細胞を含む様々な系統の細胞での高い形質導入頻度;および複数系列の形質導入を可能にする重感染抑制の欠如などの利点を有する。報告されているところによると、アデノ関連ウイルスはヒト細胞DNAに部位特異的な仕方で組み込むことができ、それによってレトロウイルス感染に特徴的な挿入突然変異誘発の可能性および挿入遺伝子発現の変動性を最小にすることができる。さらに、野生型アデノ関連ウイルスの感染は選択圧の不在下にて組織培養で100継代以上も続けることができ、アデノ関連ウイルスのゲノム組み込みが比較的安定な事象であることを示唆していた。アデノ関連ウイルスはまた、染色体外の仕方で機能することもできる。
他のベクターとしてはプラスミドベクターが挙げられる。プラスミドベクターは、当該技術分野で詳細に記載されており、当業者によく知られている。この何年かまでは、プラスミドベクターは、宿主ゲノム内で複製できず宿主ゲノムに組み込むことができないことから、インビボで遺伝子を細胞に送達するのに特に有利であると認められてきた。しかしながら、これらプラスミドは、宿主細胞と適合するプロモーターを有すると、プラスミド内の作動可能にコードされた遺伝子からペプチドを発現することができる。幾つかの一般的に用いられているプラスミドとしては、pBR322、pUC18、pUC19、pRC/CMV、SV40、およびpBlueScriptが挙げられる。他のプラスミドは、当業者によく知られている。さらに、プラスミドは、制限酵素およびライゲーション反応を用いてDNAの特定の断片を除去および付加して常法によりデザインすることができる。
最近、遺伝子を有するプラスミドを細菌を用いて免疫系に送達できることが見出された。サルモネラなどの細菌の修飾形をプラスミドでトランスフェクションし、送達ビヒクルとして用いることができる。細菌送達ビヒクルは、経口または他の投与手段により宿主主体に投与することができる。細菌は、おそらく腸障壁(gut barrier)を通過することにより、プラスミドを免疫細胞、たとえば樹状細胞に送達する。この方法を用いて高レベルの免疫防御が確立されている。
それゆえ、本発明は、dI/dUオリゴヌクレオチドおよび免疫増強性サイトカインの計画的な投与(scheduled administration)を包含する。オリゴヌクレオチドは、主体に1週間毎または1ヶ月毎に投与してよい。主体が単一または複数の抗原に暴露されるおそれがある場合には、dI/dUおよび免疫増強性サイトカインを定期的に投与して、暴露されたら直ちに抗原を認識して抗原特異的な免疫応答を産生できるようにしてよい。ある抗原に暴露されるおそれのある主体とは、ある抗原に暴露され該抗原に対する免疫応答を生成する確率の高い主体をいう。その抗原がアレルゲンであり、主体がその特定の抗原に対してアレルギー応答を生成し、主体が該抗原に暴露されているときは(すなわち、花粉の季節の際に)、その主体は抗原に暴露されるおそれがある。
本発明のCpdI/dUオリゴヌクレオチドは、非メチル化シトシン−デオキシイノシン/デオキシウリジンジヌクレオチド配列(すなわち、「CpdI/dU DNA」または5'シトシンについで3'グアノシンが続きリン酸結合により連結されているDNA)を含み、免疫系を活性化する核酸分子である。CpdI/dUオリゴヌクレオチドは、二本鎖または一本鎖であってよい。一般に、二本鎖分子はインビボで一層安定であるが、一本鎖分子は免疫活性が一層高い。
免疫増強性サイトカインと組み合わせた本発明によるODNの他の使用は、主体において使用するための避妊法の生成である。この特別の態様では、主体は好ましくは哺乳動物であり、好ましくは非ヒトである。精巣および卵巣は、「免疫が特別免除されている(immune privileged)」、すなわち免疫系から解剖学的に分離されている。加えて、精巣および卵巣中の細胞はfasリガンドを発現することができ、このfasリガンドは活性化T細胞においてアポトーシスを誘発する。生理的な分離およびfasリガンドの発現は、ともに精巣および卵巣中の細胞に対する免疫応答を防ぐ。免疫増強性サイトカインとともに用いるdI/dUオリゴヌクレオチドは、精巣および卵巣中の細胞の免疫特別免除を破壊することによってこれら細胞を排除または実質的に低減させ、それによって避妊手段をもたらすのに用いることができる。dI/dUオリゴヌクレオチドは、免疫増強性サイトカインとともに用いて、精巣および卵巣の細胞の免疫特別免除を破壊することができる。
この方法は、抗原、免疫増強性サイトカインおよび免疫促進性CpdI/dUオリゴヌクレオチドを主体に投与することにより行い、その際、該抗原は、生殖腺細胞の抗原および生殖腺細胞の維持に必要なサイトカインまたはホルモンからの抗原よりなる群から選ばれた抗原である。本明細書において「生殖腺細胞の抗原」とは、生殖腺細胞、たとえば精巣または卵巣細胞の表面にある抗原をいう。そのような抗原は当業者によく知られている。生殖腺細胞の維持に必要なサイトカインまたはホルモンからの抗原もまた当業者によく知られている。これら抗原は、該サイトカインやホルモンに対して免疫応答を引き起こし、かくして生殖腺細胞の喪失をもたらすであろう。
dI/dUオリゴヌクレオチドは、本発明の一つの態様において、免疫細胞および好ましくはAPCの活性化を誘発させるのに用いる。APCは当該技術分野における通常の意味を有し、たとえば、未熟樹状細胞および前駆細胞および先祖細胞の樹状細胞、並びに抗原を取り込み発現することのできる成熟樹状細胞などの樹状細胞を含む。APCまたは樹状細胞のそのような集団は、APCまたは樹状細胞の初回抗原刺激を受けた集団と称される。
樹状細胞は、抗原を提示することによって、並びにLPSのような微生物分子を局所環境で検出するパターン認識レセプターの発現によって、先天免疫系と獲得免疫系とのリンクを形成する。免疫増強性サイトカインとdI/dUオリゴヌクレオチドとの組み合わせは、免疫増強性サイトカイン単独ではTh2特異的抗体を産生したときに、Th1特異的抗体の誘導を示した。
樹状細胞は先天免疫系と獲得免疫系とのリンクを形成するので、樹状細胞をdI/dUおよび免疫増強性サイトカイン単独で活性化できることは、癌およびアレルギー性または感染性疾患などの疾患に対する免疫療法に組み合わせdI/dU−免疫増強性サイトカインベース戦略の使用を支持している。dI/dUと免疫増強性サイトカインとの組み合わせは、樹状細胞の相乗的な活性化を示す。
本発明は、一つの側面において、インビトロ、イクスビボおよびインビボの目的で樹状細胞を活性化する方法および生成物に関する。免疫増強性サイトカインとdI/dUオリゴヌクレオチドとの組み合わせは樹状細胞の強力なアクチベーターであることが本発明により示された。樹状細胞は、インビボにおける免疫細胞での一次免疫応答の開始にとって必須であると考えられている。本発明によれば、dI/dUオリゴヌクレオチドおよび免疫増強性サイトカインは、アジュバントと同様、樹状細胞を活性化してT細胞において一次免疫応答を開始させ得ることが見出された。また、dI/dUオリゴヌクレオチドと免疫増強性サイトカインとの組み合わせを用いて樹状細胞を活性化したときには、IgG2aの優先的な産生およびIgG1のより少ない産生が誘発されることも見出され、インビボではTh1免疫応答の生成を強める傾向のあることが示された。これら知見はdI/dUの強力なアジュバント活性を証明しており、癌、感染性疾患、およびアレルギーなどの疾患の治療の際の免疫療法剤としてのdI/dUオリゴヌクレオチドの使用の基礎を提供するものである。一つの側面において、本発明は、抗原に暴露された樹状細胞を、該樹状細胞を相乗的に活性化するのに有効な量の免疫増強性サイトカインおよび免疫促進性CpdI/dUオリゴヌクレオチドと接触させることによる、樹状細胞の活性化方法である。
樹状細胞は、それが暴露された可溶性の特定の抗原を効率的にインターナリゼーションし、プロセシングし、提示する。抗原のインターナリゼーションおよび提示のプロセスは、主要組織適合複合体(MHC)およびコスティミュラトリー分子の発現の迅速なアップレギュレーション、サイトカインの産生、およびT細胞の活性化に関与すると考えられているリンパ器官への移動を引き起こす。
本発明のdI/dUオリゴヌクレオチドと免疫増強性サイトカインとの組み合わせの一つの特定の使用は、癌抗原への特異的免疫応答を促進する目的で樹状細胞を活性化することである。免疫応答は、イクスビボまたはインビボ法を用いて促進することができる。本明細書において「イクスビボ」法とは、主体からの樹状細胞の単離、生体外での該細胞の操作、および操作した該細胞の主体中への再移植を含む方法である。イクスビボ法は自己由来細胞または異種細胞で用いることができるが、自己由来細胞で用いるのが好ましい。好ましい態様において、樹状細胞は末梢血または骨髄から単離するが、樹状細胞のいかなる採取源からも単離することができる。特定の癌または他のタイプの抗原に対して活性な樹状細胞を特異的に産生すべくイクスビボ法を行う場合には、樹状細胞をdI/dUおよび免疫増強性サイトカインに加えて該抗原に暴露させる。他の場合には、樹状細胞は抗原に既に暴露されているが、その表面に該抗原を有効に発現していない。
あるいは、樹状細胞を免疫増強性サイトカインに暴露および抗原に暴露し(直接接触または体内での暴露により)、ついで該樹状細胞を生体に戻し、ついで全身または局所的にdI/dUを主体に直接投与してよい。活性化は抗原プロセシングを劇的に増大させるであろう。ついで、活性化された樹状細胞は、その表面上に癌抗原を提示する。癌抗原を提示し活性化された樹状細胞は、主体に戻したときに該癌抗原に特異的なT細胞をインビボで活性化させる。癌免疫療法の目的のための樹状細胞のイクスビボ操作は、当該技術分野で幾つかの文献に記載されている。本発明の樹状細胞のイクスビボ活性化は、アクチベーターとしてdI/dUおよび免疫増強性サイトカインを用いるが、当該技術分野で知られた通常のイクスビボ操作工程により行うことができる。
樹状細胞はまた、インビボ法を用いてdI/dUおよび免疫増強性サイトカインと接触させることができる。このことを行うため、免疫療法を必要とする主体にdI/dUおよび免疫増強性サイトカインを直接投与する。dI/dUおよび免疫増強性サイトカインは、抗原とともに投与することができるし、単独で投与することもできる。幾つかの態様において、dI/dUおよび免疫増強性サイトカインを腫瘍の局所領域に投与するのが好ましく、このことは当該技術分野で知られたいかなる方法によっても行うことができ、たとえば、薬剤の組み合わせを放出するインプラントなどを用いて行うことができる。
本発明に従って有用な樹状細胞は、該細胞がdI/dUおよびサイトカインにより活性化されて活性な抗原発現細胞を産生できる限り、いかなる採取源からも単離することができる。未熟な樹状細胞の幾つかのインビボ源を本発明の方法に従って用いることができる。たとえば、骨髄樹状細胞および末梢血樹状細胞はともに、dI/dUおよびサイトカインによって活性化される未熟な樹状細胞の優れた採取源である。他の採取源も、たとえば、樹状細胞の一次採取源を単離し、ついでdI/dUによる活性化をインビトロで試験することにより、不当な実験を必要とすることなく当業者によって容易に決定することができる。本発明はまた、dI/dUおよびサイトカインによって活性化することができる限り、培養で維持されたいかなる未熟な樹状細胞をも細胞株として使用することを包含する。そのような細胞型は、当該技術分野で知られた標準アッセイを用いて常法により同定することができる。
イムノマグネチック(immunomagnetic)セルソーティングにより単離した末梢血樹状細胞(dI/dUおよびサイトカインにより活性化したもの)は、単球由来の樹状細胞よりも樹状細胞の一層生理学的な細胞集団を表している。未熟な樹状細胞は、骨髄中の細胞の約1〜3%を占め、末梢血中では約10〜100倍少ない。末梢血球は、当該技術分野でよく知られたデバイス、たとえば、ヘモネクチック(haemonectics)モデルv.50アフェレシス(apheresis)デバイス(Haemonectics、ブレインツリー、マサチューセッツ州)を用いて回収することができる。赤血球および好中球は遠心分離により血液から除去する。界面に位置する単球を単離する。末梢血からCD4+樹状細胞を単離する方法は記載されている。GM−CSF単独の存在下、これら細胞は特徴的な細胞プロセスを伴って2日以内に樹状細胞に分化する。分化は、細胞容積、顆粒度およびMHCII発現の増大を伴い、これらはフローサイトメトリーを用いて容易に追跡することができる。新たに単離され、GM−CSFの不在下で培養した樹状細胞は、速やかにアポトーシスを起こす。驚くべきことに、CpdI/dUオリゴヌクレオチドの存在下では、GM−CSFを添加せずとも細胞の生存および分化はともにGM−CSFに比べて顕著に改善される。CpdI/dUの存在下では、細胞塊からの樹状細胞は、電子顕微鏡などの超微細構造技術により調べたときに、GM−CSFとともにインキュベートした樹状細胞では存在しない特徴的な密な多ラメラ細胞質内体および多胞体構造が明らかとなった。
本発明の組成物は、薬理学的に許容しうる担体と任意に組み合わせることができる。本明細書において「薬理学的に許容しうる担体」とは、ヒトまたは他の動物に投与するのに適した1またはそれ以上の適合性の固体または液体の充填剤、希釈剤またはカプセル化物質を意味する。「担体」とは、それを組み合わせて活性成分の適用を容易にする、天然または合成の有機または無機成分をいう。医薬組成物の成分はまた、所望の医薬効能を実質的に損なわないような仕方で本発明の分子と、および成分相互で一緒に混合することができる。
医薬組成物は、塩の形態の酢酸;塩の形態のクエン酸;塩の形態のホウ酸;および塩の形態のリン酸を含む適当な緩衝剤を含んでいてよい。
医薬組成物はまた、塩化ベンザルコニウム;クロロブタノール;パラベンおよびチメロサールなどの適当な保存剤を任意に含んでいてよい。
非経口投与に適した組成物は、本発明の組成物の滅菌水性調製液を含むのが都合よく、これは好ましくはレシピエントの血液と等張である。この水性調製液は、適当な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用い、公知の方法に従って調合することができる。滅菌注射用調製液はまた、非毒性の非経口投与に適した希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液であってよく、たとえば、1,3−ブタンジオール中の溶液として調製できる。
使用できる許容可能なビヒクルおよび溶媒としては、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌固定油が溶媒または懸濁媒体として都合よく用いられる。この目的のため、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含むいかなるブランドの固定油をも用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を注射剤の調製に用いることができる。経口、皮下、静脈内、筋肉内などの投与に適した担体調合物は、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、イーストン、ペンシルベニアに見出すことができる。
種々の投与経路が利用可能である。選択すべき特定の投与法は、もちろん、選択した特定の組成物、治療すべき状態の重篤度および治療効能に必要な投与量に依存するであろう。本発明の方法は、一般に、医学的に許容しうる投与法(臨床的に許容できない副作用を引き起こすことなく活性化合物の有効レベルを生成する方法を意味する)を用いて行うことができる。そのような投与法としては、経口、直腸経由、局所、鼻内、皮内、または非経口経路が挙げられる。「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、または注入を含む。静脈内または筋肉内経路は、長期の治療および予防には特に適しているわけではない。しかしながら、これら経路は急患の場合に好ましい。ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、およびポリ無水物。医薬を含有する上記ポリマーのマイクロカプセルは、たとえば、米国特許第5,075,109号に記載されている。デリバリーシステムはまた非ポリマーシステムをも含み、これは、コレステロール、コレステロールエステルなどのステロールおよび脂肪酸またはモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドなどの中性脂肪酸を含む脂質;ヒドロゲル放出システム;シラスティックシステム;ペプチドベースのシステム;ワックスコーティング;通常の結合剤および賦形剤を用いた圧縮錠剤;部分的に融合したインプラントなどである。特別の例としては、これらに限られるものではないが、(a)本発明の組成物がマトリックス内に所定の形態で含まれる侵食システム、および(b)活性な成分がポリマーから制御された速度で浸透する拡散システムが挙げられる。さらに、ポンプベースのハードウエアデリバリーシステムを用いることができ、その幾つかは体内埋め込みに適合している。
長期の徐放インプラントの使用は、慢性状態の治療に特に適している。長期の放出は、本明細書で用いる場合、治療レベルの活性成分を少なくとも30日、好ましくは60日放出すべくインプラントが構築および調整されていることを意味する。長期の徐放インプラントは当該技術分野の当業者によく知られており、上記の放出システムの幾つかを含む。
他の側面によれば、本発明は、寄生虫感染および疾患の予防および治療における免疫促進性CpdI/dUオリゴヌクレオチドの使用に関する。
寄生虫とは、生存するために他の生物に依存し、それゆえそのライフサイクルを維持するには他の生物に侵入または感染しなければならない生物である。感染された生物、すなわち宿主は、寄生虫に栄養および生息環境の両者を提供する。寄生虫なる語は、その最も広い意味ではあらゆる感染性の因子(すなわち、細菌、ウイルス、真菌、原生動物および蠕虫)を含みうるが、一般に本明細書で使用する場合は、原生動物、蠕虫、外部寄生性節足動物(たとえば、マダニ、ダニなど)のみをいう。原生動物は、とりわけ血液中、腸管または組織の細胞外マトリックス中にて、細胞内および細胞外の両者で複製できる単細胞生物である。蠕虫は、殆ど常に細胞外である(例外はトリキネラ(Trichinella)種)多細胞生物である。
蠕虫は、通常、複製するために第一の宿主からの退去および第二の宿主中への移動を必要とする。これら上記クラスとは対照的に、外部寄生性節足動物は宿主の体の外部表面と寄生的な関係を形成する。
寄生虫−宿主関係が共生的であり、寄生虫と宿主の両者が相互関係により利益を得ることは稀である。そうではなく、寄生虫感染、特に蠕虫感染、およびそれから生じる疾患は、幾つかの寄生虫の初期の無兆候的存在ゆえに慢性状態である。極端な例では、感染および関連疾患は急性であり、治療せずに放置すると致死的となりうる。これらの後者の例は全寄生虫感染の小さな比率を占めるにすぎない、というのは、おそらく寄生虫が増殖するには最終的に生きた宿主に依存しなければならないからである。
寄生虫は殆どいかなる組織または細胞タイプにも感染することができるが、特定の寄生虫に依存して、ヒト、赤血球、繊維芽細胞、筋肉細胞、マクロファージおよび肝細胞を含む細胞の亜集団を優先的に標的とする傾向がある。たとえば、原生生物のエントアメーバ・ヒストリティカ(Entamoeba histolytica)は腸管に認められ、宿主の糞便との接触により増殖するが、腸の粘膜内層を通って移動して肝臓などの他の体組織に感染し、最終的にアメーバ状の膿瘍を形成することができる。他の寄生虫は、蚊などの中間宿主を介して伝染することができる。外部寄生性節足動物は家庭のペット(たとえば、イヌ、ネコ)にとって有害物であり、より重要なことには消耗症候群に帰与し、農業家畜において他の感染症(バベシア病およびタイレリア病など)の伝染のビヒクルとして作用している可能性がある。
マラリアはヒトにおいて最も蔓延している寄生虫疾患である。マラリアを引き起こす寄生虫、たとえば、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・ビバックス(Plasmodium vivax)、プラスモジウム・マラリア(Plasmodium malariae)、プラスモジウム・クノウレシ(Plasmodium knowlesi)およびプラスモジウム・オバレ(Plasmodium ovale)は、世界の開発後進領域において、年間、推定3〜5億人の新たな感染および150万人〜270万人の死亡をもたらすと推定されている(WHO、1995)。さらに、マラリアが流行していない国からの旅行者の100万人に10人がマラリアが流行している国を訪れ、これら旅行者の多くが旅行中または母国に戻ってから病気に屈服している。後者の場合、地方の医師による疾患の経験が欠如していることから、速やかに診断および治療を開始することに失敗する特別のリスクが存在する。
ヒトにおける他の寄生虫感染症としては、住血吸虫症、糸状虫症、鈎虫症、回虫症、リーシュマニア症、旋毛虫症、アメリカトリパノソーマ症およびアフリカトリパノソーマ症が挙げられる。
ヒトの健康におけるリスクに加え、寄生虫はまた、農業家畜および家庭および野生の動物に対して相当のリスクを与える。農業家畜およびある場合には動物園の動物は、2つの主要な理由から寄生虫疾患の広範囲の伝染の成熟した標的である。第一に、家畜は通常、近接した宿舎に生活しているため、寄生虫が家畜の群れ全体に伝染するのが容易である。第二に、多くの腸内寄生虫は最終的に糞便中にて体外に出てくるが、糞便は常に動物の牧草地に散らかされ、伝染および広範囲の感染の蓋然性は高い。それゆえ、寄生虫感染の予防により寄生虫のいない環境を維持することは、これら状況では極めて望ましい。
免疫系による寄生虫の排除は、一部、寄生虫の複雑かつ変化したライフサイクル(抗原的に別個の発生段階からなる)のために、通常不完全である。寄生虫の侵入に対する免疫応答は一般に体液性(すなわち、抗体に基づく)ではなく、それゆえ感染後に免疫記憶が生成することは通常ない。その結果、感染した個体は寄生虫に対して免疫を生じることはなく、将来の感染に対して感受性のままである。
寄生虫感染症の治療および予防は、伝統的に、特定の寄生虫または寄生虫のキャリヤ、たとえば蚊を標的とした医薬(たとえば、殺虫剤)の発見に依存してきた。歴史的には実益があったが、寄生虫の多く、とりわけマラリアを引き起こす寄生虫は、今やそのような医薬に対して耐性を備えるに至っており、新たな医薬候補として明らかになりつつあるものは殆どない。それゆえ、この広範に広がった重篤な疾患を予防および治療するための新規かつ一層有効な方法が望まれている。特異的な抗寄生虫免疫応答を誘発すべくデザインしたワクチンの開発に相当の努力が費やされてきている。この努力において実質的な進歩はなされているが、抗マラリアワクチンで承認されているものはまだない。
それゆえ、本発明はまた、寄生虫感染症および関連疾患の予防および治療におけるdI/dU(とりわけCpdI/dU)オリゴヌクレオチドの使用に関する。
一つの側面において、本発明は、主体における寄生虫感染を予防する方法であって、寄生虫に暴露される前に寄生虫感染を予防するのに有効な量のdI7Du含有ODN、とりわけ少なくとも下記式:5'X1C(dI/dU)X2 3'(ここで、該オリゴヌクレオチドは少なくとも6つのヌクレオチドを含み、CおよびdI/dUは非メチル化されており、X1およびX2はヌクレオチドである)を含む配列を有するオリゴヌクレオチドを、寄生虫に感染するおそれのある主体に投与することを含む方法に関する。
本発明の幾つかの態様において、寄生虫により感染されるおそれのある主体はヒトである。さらに他の態様において、主体は非ヒトである。さらに別の態様において、本発明は、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、魚、ヤギ、マウス、ラット、アレチネズミ、ウサギおよび動物園の動物よりなる群から選ばれた主体を対象とする。
本発明の一つの態様において、主体は細胞内寄生虫による感染のおそれがある。別の態様において、寄生虫は絶対細胞内寄生虫である。
さらに他の態様において、本発明の方法は、以下の寄生虫による感染の予防に向けられる:プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・オバレ(Plasmodium ovale)、プラスモジウム・マラリア(Plasmodium malariae)、プラスモジウム・ビバックス(Plasmodium vivax)、プラスモジウム・クノウレシ(Plasmodium knowlesi)、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)、バベシア・ディベルジェンス(Babesia divergens)、トリパノソーマ・クルジ(Trypanosoma cruzi)、トキソプラズマ・ゴンジ(Toxoplasma gondii)、トリキネラ・スピラリス(Trichinella spiralis)、リーシュマニア・マヨール(Leishmania major)、リーシュマニア・ドノバニ(Leishmania donovani)、リーシュマニア・ブラジリエンシス(Leishmania braziliensis)およびリーシュマニア・トロピカ(Leishmania tropica)。他の態様において、本発明の方法は、以下の寄生虫による感染の予防に向けられる:トリパノソーマ・ガンビエンセ(Trypanosoma gambiense)、トリパノソーマ・ロデシエンセ(Trypanosoma rhodesiense)およびシストソーマ・マンソニ(Schistosoma mansoni)。
好ましい態様において、本発明の方法はマラリアを引き起こす寄生虫による感染の予防に向けられる。
本発明の一つの態様において、主体はまた有効量の1またはそれ以上のpdI/dUオリゴヌクレオチド治療剤も投与される。好ましい態様において、dI/dUオリゴヌクレオチド治療剤は殺寄生虫剤である。他の好ましい態様において、dI/dUオリゴヌクレオチド治療剤は、IL−1、IL−6、IL−12、IL−15、IL−18、IFN−γ、TNF−a、GM−CSF、CD40リガンドおよびFlt3リガンドよりなる群から選ばれる。IL−12およびIFN−γを投与する幾つかの態様において、IL−12をIFN投与の前に投与する。
本発明の一つの態様において、オリゴヌクレオチドを1回以上投与する。他の態様において、オリゴヌクレオチドを寄生虫感染の少なくとも7日前に投与する。さらに他の態様において、オリゴヌクレオチドを寄生虫感染の少なくとも2日前に投与する。さらに別の態様において、オリゴヌクレオチドを寄生虫感染の少なくとも24時間前に投与する。
一つの側面において、本発明は、主体における寄生虫感染を予防する方法を含む。寄生虫感染は寄生虫への暴露により生じるが、この暴露は多くの仕方で起こり得る。伝染は、感染個体からの体液、組織または老廃産物との接触、または昆虫などの媒介宿主との接触(たとえば、昆虫に噛まれる)によって可能である。寄生虫に感染した個体の同定は、身体的な兆候および/または体液、組織または老廃物の試料中の寄生虫またはその断片の観察を含む臨床所見に基づいて行うことができる。
一つの態様において、本発明の方法は、寄生虫により感染するおそれのある主体に、dI/dU含有オリゴヌクレオチドを該主体における寄生虫感染を予防するのに有効な量にて投与することを含む。本明細書において「寄生虫による感染のおそれのある」個体とは、感染個体との接触を含む、寄生虫感染が一般的である条件または環境などの感染性寄生虫への暴露のおそれのある者をいう。主体が、寄生虫感染を患うことが知られているかまたは後に診断された他の個体に暴露または接触に至るであろう蓋然性がある場合は、主体は寄生虫感染のおそれがある。たとえば、寄生虫感染の流行している領域に旅行することを予期している個体は、該寄生虫に感染するおそれのある者と考えられる。ある国における寄生虫および該寄生虫により引き起こされる疾患の罹病率は、これら領域の旅行者、労働者および軍事役人が寄生虫暴露のおそれがあり、その後に寄生虫感染症を患うであろう蓋然性を増大させる。
予防的治療のためのdI/dUオリゴヌクレオチドの使用に加えて、本発明はまた、寄生虫感染を有する主体の治療のためのdI/dUオリゴヌクレオチドの使用をも包含する。「寄生虫感染を有する主体」とは、感染性寄生虫に暴露され、体内に急性または慢性の検出レベルの病原体を有する主体をいう。dI/dUオリゴヌクレオチドは、感染性の病原体(すなわち、寄生虫)のレベルを低減させまたは駆逐しうる先天免疫応答を展開すべく用いることができる。先天免疫応答には抗原が関与せず、それゆえいかなる種類の抗原に対しても有用である。先天免疫応答に加え、dI/dUオリゴヌクレオチドはまた、抗原をdI/dUオリゴヌクレオチドとともに投与する場合には抗原特異的な免疫応答をも促進することができる。しかしながら、抗原特異的な免疫応答は、本発明による予防または治療目的には必要とされない。本明細書において感染性の寄生虫疾患は、寄生虫の体内での存在により起こる疾患である。
好ましい態様において、主体はマラリアを引き起こすプラスモジウム種に暴露されている。他の態様において、主体は、トリパノソーマ・クルジ、トリキネラ・スピラリス、バベシア種またはトキソプラズマ・ゴンジに感染している。治療法として用いる場合には、本発明のdI/dUオリゴヌクレオチドは、寄生虫に暴露されていることが疑われまたは確認された後に投与することができる。本明細書において検討するように、寄生虫に感染した主体は、しばしば一連の兆候を示し、これら兆候を用いて寄生虫感染の存在およびある場合には関与する特定の寄生虫を同定することができる。
本発明の化合物および方法が予防および治療しようとする寄生虫感染は、ヒトおよび非ヒトで起こるものを含む。幾つかの態様によれば、本発明の方法はヒト主体に向けられる。さらに他の態様では、本発明の方法は、農業家畜および家庭および野生の動物、たとえば、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギおよびヒツジ、家禽および他の翼のある脊椎動物、ウサギ、イヌ、ネコ、ケナガイタチおよび魚を含む非ヒト脊椎動物に向けられる。動物園の動物や研究用の動物のように近接した宿舎に生活し互いに混じり合う非ヒト脊椎動物もまた、本発明の方法の主体に包含される。たとえば、ライオン、トラ、ヒョウ、チータおよびピューマを含むネコ科の種;ゾウ、シマウマ、クマ、シカ、オオカミ、ヤク、非ヒト霊長類、アザラシ、イルカおよびクジラなどの動物園の動物;およびマウス、ラット、ハムスターおよびアレチネズミなどの実験用動物はすべて、本発明の方法の主体となりうる。
本発明の方法は、予防のために用いる場合には、脊椎動物主体が攻撃を受ける寄生虫種の感染からの予防を包含する。たいていの寄生虫は宿主特異的あるいは限られた宿主の範囲しか有しない、すなわち単一あるいは多くても幾つかの種に感染できるにすぎない。たとえば、プラスモジウム・ヨエリ(P. yoelii)は齧歯類にしか感染できず、一方、プラスモジウム・ファルシパルムおよびプラスモジウム・マラリアはヒトにしか感染できない。本発明の方法および化合物により標的とされる寄生虫感染は、予防的な治療を受ける宿主の種および宿主が置かれるであろう条件に依存するであろう。
寄生虫は、細胞内であるか細胞外であるかに基づいて分類することができる。本明細書において用いる「細胞内寄生虫」とは、その全ライフサイクルが細胞内である寄生虫である。
ヒトの細胞内寄生虫の例としては、リーシュマニア種、プラスモジウム種、トリパノソーマ・クルジ、トキソプラズマ・ゴンジ、バベシア種、およびトリキネラ・スピラリスが挙げられる。本明細書において用いる「細胞外寄生虫」とは、その全ライフサイクルが細胞外である寄生虫である。
ヒトに感染することのできる細胞外寄生虫としては、エントアメーバ・ヒストリティカ(Entamoeba histolytica)、ジアルジア・ランブリア(Giardia lamblia)、エンテロサイトゾーン・ビエネウシ(Enterocytozoon bieneusi)、ネグレリア(Naegleria)およびアカントアメーバ(Acantamoeba)並びにたいていの蠕虫が挙げられる。
寄生虫のさらに他のクラスは、主として細胞外として定められるが、ライフサイクルの臨界場面では絶対細胞内として存在するものである。そのような寄生虫は、本明細書では「絶対細胞内寄生虫」と称する。これら寄生虫は、その生活のほとんどまたはわずかな部分のみを細胞外環境で過ごすが、すべてライフサイクルの少なくとも一度、絶対細胞内で過ごす段階を有している。この後者のカテゴリーの寄生虫としては、トリパノソーマ・ロデシエンセおよびトリパノソーマ・ガンビエンセ、イソスポラ(Isospora)種、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)種、エイメリア(Eimeria)種、ネオスポラ(Neospora)種、サルコシスティス(Sarcocystis)種、およびシストソーマ種が挙げられる。一つの態様において、本発明は、細胞内寄生虫およびライフサイクルの少なくとも一つの段階において細胞内である絶対細胞内寄生虫により起こる感染の予防および治療に関する。幾つかの態様において、本発明は、優先的に細胞内である絶対細胞内寄生虫の感染の予防に向けられる。本発明の方法は、細胞外寄生虫、すなわち蠕虫による感染の予防において機能することは期待されていない。本発明の幾つかの側面のための寄生虫の例示的かつ限定されないリストを本明細書に提供してある。
血液由来および/または組織寄生虫としては、プラスモジウム種、バベシア・ミクロチ、バベシア・ディベルジェンス、リーシュマニア・トロピカ、リーシュマニア種、リーシュマニア・ブラジリエンシス、リーシュマニア・ドノバニ、トリパノソーマ・ガンビエンセおよびトリパノソーマ・ロデシエンセ(アフリカ眠り病)、トリパノソーマ・クルジ(アメリカトリパノソーマ症)、およびトキソプラズマ・ゴンジが挙げられる。
ウマに感染する典型的な寄生虫は、ガステロフィルス(Gasterophilus)種;エイメリア・ロイカルチ(Eimeria leuckarti)、ジアルジア種;トリトリコモナス・エクイ(Tritrichomonas equi);バベシア種(RBC)、タイレリア・エクイ(Theileria equi);トリパノソーマ種;クロシエラ・エクイ(Klossiella equi);サルコシスティス種が挙げられる。
ブタに感染する典型的な寄生虫としては、エイメリア・ベブリエッキ(Eimeria bebliecki)、エイメリア・スカブラ(Eimeria scabra)、イソスポラ・スイス(Isospora suis)、ジアルジア種;バランチジウム・コリ(Balantidium coli)、エントアメーバ・ヒストリティカ;トキソプラズマ・ゴンジおよびサルコシスティス種、およびトリキネラ・スピラリスが挙げられる。
乳牛および肉牛の主要な寄生虫としては、エイメリア種、クリプトスポリジウム種、ジアルジア種;トキソプラズマ・ゴンジ;バベシア・ボビス(Babesia bovis)、バベシア・ビゲミナ(Babesia bigemina)(RBC)、トリパノソーマ種(細胞質)、タイレリア種(RBC);タイレリア・パルバ(Theileria parva)(リンパ球);トリトリコモナス・フェツス(Tritrichomonas foetus);およびサルコシスティス種が挙げられる。
猛禽の主要な寄生虫としては、トリコモナス・ガリネ(Trichomonas gallinae);コクシジア(Coccidia)(エイメリア種);プラスモジウム・レリクツム(Plasmodium relictum)、ロイコサイトゾーン・ダニルースキー(Leucocytozoon danilewskyi)(フクロウ)、ヘモプロテウス(Haemoproteus)種、トリパノソーマ種;ヒストモナス(Histomonas);クリプトスポリジウム・メリーグリディス(Cryptosporidium meleagridis)、クリプトスポリジウム・バイレイイ(Cryptosporidium baileyi)、ジアルジア、エイメリア;トキソプラズマが挙げられる。
ヒツジおよびヤギに感染する典型的な寄生虫としては、エイメリア種、クリプトスポリジウム種、ジアルジア種;トキソプラズマ・ゴンジ;バベシア種(RBC)、トリパノソーマ種(細胞質)、タイレリア種(RBC);およびサルコシスティス種が挙げられる。
家禽類における典型的な寄生虫感染症としては、エイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、エイメリア・ネカトリックス(E. necatrix)、エイメリア・テネラ(E. tenella)、イソスポラ種およびエイメリア・トルンカタ(Eimeria truncata)によって引き起こされるコクシジウム症;ヒストモナス・メリーグリディス(Histomonas meleagridis)およびヒストモナス・ガラナルム(Histomonas gallinarum)によって引き起こされるヒストモナス症(histomoniasis);トリコモナス・ガリネ(Trichomonas gallinae)によって引き起こされるトリコモナス症;およびヘキサミタ・メリーグリディス(Hexamita meleagridis)によって引き起こされるヘキサミタ症(hexamitiasis)が挙げられる。家禽類にはまた、エイメリア・マクシマ(Eimeria maxima)、エイメリア・メリーグリディス(Eimeria meleagridis)、エイメリア・アデノエイデス(Eimeria adenoeides)、エイメリア・メリーグリミチス(Eimeria meleagrimitis)、クリプトスポリジウム、エイメリア・ブルネッティ(Eimeria brunetti)、エイメリア・アデノエイデス、ロイコサイトゾーン種、プラスモジウム種、ヘモプロテウス・メリーグリディス(Hemoproteus meleagridis)、トキソプラズマ・ゴンジおよびサルコシスティスも感染する。
寄生虫感染はまた、動物コロニーを含む研究室の研究環境にも深刻な問題を提起する。本発明の方法により治療することが意図される、または本発明の方法により寄生虫感染を予防することが求められる研究室動物の幾つかの例としては、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、非ヒト霊長類、並びに上記ブタおよびヒツジが挙げられる。
マウスの典型的な寄生虫としては、リーシュマニア種、プラスモジウム・ベルゲイ(Plasmodium berghei)、プラスモジウム・ヨエリ、ジアルジア・ムリス(Giardia muris)、ヘキサミタ・ムリス(Hexamita muris);トキソプラズマ・ゴンジ;トリパノソーマ・デュットーニ(Trypanosoma duttoni)(細胞質);クロシエラ・ムリス(Klossiella muris);サルコシスティス種が挙げられる。ラットの典型的な寄生虫としては、ジアルジア・ムリス、ヘキサミタ・ムリス;トキソプラズマ・ゴンジ;トリパノソーマ・ルーイシ(Trypanosoma lewisi)(細胞質);トリキネラ・スピラリス;サルコシスティス種が挙げられる。ウサギの典型的な寄生虫としては、エイメリア種;トキソプラズマ・ゴンジ;ノセマ・クニクリ(Nosema cuniculi);エイメリア・スチエダ(Eimeria stiedae)、サルコシスティス種が挙げられる。ハムスターの典型的な寄生虫としては、トリコモナス種;トキソプラズマ・ゴンジ;トリキネラ・スピラリス;サルコシスティス種が挙げられる。モルモットの典型的な寄生虫としては、バランチジウム・カビエ(Balantidium caviae);トキソプラズマ・ゴンジ;クロシエラ・カビエ(Klossiella caviae);サルコシスティス種が挙げられる。
本発明の方法はまた、イヌ、ネコ、鳥、魚およびケナガイタチの寄生虫感染の治療および/または予防にも応用することができる。鳥の典型的な寄生虫としては、トリコモナス・ガリネ;エイメリア種、イソスポラ種、ジアルジア;クリプトスポリジウム;サルコシスティス種、トキソプラズマ・ゴンジ、ヘモプロテウス/パラヘモプロテウス(Parahaemoproteus)、プラスモジウム種、ロイコサイトゾーン・ラキバ(Leucocytozoon lAkiba)、アトキソプラズマ(Atoxoplasma)、トリパノソーマ種が挙げられる。イヌに感染する典型的な寄生虫としては、トリキネラ・スピラリス;イソスポラ種、サルコシスティス種、クリプトスポリジウム種、ハモンジア(Hammondia)種、ジアルジア・デュオデナリス(Giardia duodenalis)(canis);バランチジウム・コリ、エントアメーバ・ヒストリティカ;ヘパトゾーン・カニス(Hepatozoon canis);トキソプラズマ・ゴンジ、トリパノソーマ・クルジ;バベシア・カニス(Babesia canis);リーシュマニア・アマスチゴテス(Leishmania amastigotes);ネオスポラ・カニヌム(Neospora caninum)が挙げられる。
ネコ種に感染する典型的な寄生虫としては、イソスポラ種、トキソプラズマ・ゴンジ、サルコシスティス種、ハモンジア・ハモンジ(Hammondia hammondi)、ベスノイチア(Besnoitia)種、ジアルジア種;エントアメーバ・ヒストリティカ;ヘパトゾーン・カニス、サイトーゾーン(Cytauxzoon)種、サイトーゾーン種、サイトーゾーン種(赤血球、RE細胞)が挙げられる。
魚に感染する典型的な寄生虫としては、ヘキサミタ種、エイメリア種;クリプトビア(Cryptobia)種、ノセマ種、ミクソソーマ(Myxosoma)種、キロドネラ(Chilodonella)種、トリコジナ(Trichodina)種;プリストフォラ(Plistophora)種、ミクソソーマ・ヘネグヤ(Myxosoma Henneguya);コスチア(Costia)種、イクチオフィチリウス(Ichthyophithirius)種、およびオージニウム(Oodinium)種が挙げられる。
野生の哺乳動物の典型的な寄生虫としては、ジアルジア種(carnivores, herbivores)、イソスポラ種(carnivores)、エイメリア種(carnivores, herbivores);タイレリア種(herbivores)、バベシア種(carnivores, herbivores)、トリパノソーマ種(carnivores, herbivores);シストソーマ種(herbivores);ファシオーラ・ヘパチカ(Fasciola hepatica)(herbivores)、ファシオロイデス・マグナ(Fascioloides magna)(herbivores)、ファシオーラ・ギガンチカ(Fasciola gigantica)(herbivores)、トリキネラ・スピラリス(carnivores, herbivores)が挙げられる。
動物園の寄生虫感染もまた深刻な問題を提起する。ウシ(bovidae)科(ブレスボック、アンテロープ、バンテン、エランド、グアール、インパラ、クリップスプリンガー、クーズー、ガゼル)の典型的な寄生虫としては、エイメリア種が挙げられる。ひれ足動物(pinnipedae)科(アザラシ、アシカ)の典型的な寄生虫としては、エイメリア・フォカエ(Eimeria phocae)が挙げられる。ラクダ(camelidae)科(ラクダ、ラマ)の典型的な寄生虫としては、エイメリア種が挙げられる。キリン(giraffidae)科(キリン)の典型的な寄生虫としては、エイメリア種が挙げられる。ゾウ(elephantidae)科(アフリカゾウおよびアジアゾウ)の典型的な寄生虫としては、ファシオーラ種が挙げられる。下等霊長類(チンパンジー、オランウータン、サル(apes)、ヒヒ、マカークザル、サル(monkeys))の典型的な寄生虫としては、ジアルジア種;バランチジウム・コリ、エントアメーバ・ヒストリティカ、サルコシスティス種、トキソプラズマ・ゴンジ;プラスモジウム種(RBC)、バベシア種(RBC)、トリパノソーマ種(細胞質)、リーシュマニア種(マクロファージ)が挙げられる。
寄生虫により引き起こされる疾患は、ヒトにおいて、マラリア(プラスモジウム・ファルシパルム、プラスモジウム・ビバックス、プラスモジウム・オバレ、プラスモジウム・マラリア)やAIDS関連日和見病原感染(トキソプラズマおよびクリプトスポリジウム)の場合のように急性であることもあるし、あるいは南アメリカの心臓疾患(トリパノソーマ・クルジ)、吸虫様疾患(シストソーマ症)や失明(オンコセルカ・ボルブルス(Onchocerca volvulus))の場合のように慢性であることもある。寄生虫関連疾患はまた、ウシでは、オスタータジア(Ostertagia)感染によって引き起こされ、下痢、食欲不振または食欲喪失および体重減を示すオスタータジア症(ostertagiasis);ヒツジでは、ヘモンクス・コントーツス(H. contortus)感染によって引き起こされ、突然死、衰弱、貧血、低タンパク質血症、皮下浮腫、体重減、または貧弱な体重増または体重増の不能を示すヘモンクス症(haemonchosis)を含む。
本発明の幾つかの側面によれば、主体は寄生虫感染および疾患に関連する兆候を示さない。幾つかの場合において、主体は、不定愁訴、嗜眠、疲労、頭痛、発熱、悪寒、衰弱、速い鼓動、心痛、ぼやけたまたは不鮮明な視力、貧血、食欲喪失、体重減または体重増の不能、広汎性の痛みから激痛にわたる下腹部または背中の痛み、下痢、手の麻痺、性的不能(男性の主体における)、月経不順、黄疸様の皮膚の色、および耳、鼻および肛門を含む開口部の痒みを患う。重篤なマラリアは、覚醒することのない(unarousable)昏睡(脳性マラリア)、腎不全、重篤な貧血、肺浮腫、低血糖症、低血圧またはショック、出血または播種性血管内凝固症候群、痙攣、酸血症またはアシドーシス、血色素血症、黄疸および超高熱においてその兆候を示す。胃腸内の寄生虫感染に特に関連する兆候はまた、血液の喪失の結果としての青白い粘膜、水分の喪失および電解質の障害を伴う下痢、貧弱な体重増あるいは重篤な感染では体重減、タンパク質の喪失、低タンパク質血症および関連する浮腫、食欲不振および食物摂取の低減、貧血、消化および吸収の低減を含む。
非ヒト動物における寄生虫感染の診断は、特定の感染に付随する兆候の初期観察を含む。たとえば、以下の状態が観察される場合はヒツジのヘモンクス症が疑われる:突然死、衰弱、貧血、低タンパク質血症、皮下浮腫、貧弱な体重増または体重減。
これら状態は明らかであり、獣医にはよく知られている。
個体における寄生虫感染の診断は、感染個体の治療と同様、本発明の方法を用いて罹患した個体と以前に接触したかまたは接触した可能性のある他の主体において予防的治療の必要性を決定するのに用いることができる。当該技術分野でよく知られた寄生虫感染診断のための多くの研究室試験が記載されている。
寄生虫感染の診断法は、一般にヒトの寄生虫感染および非ヒトの寄生虫感染で同様である。寄生虫症を診断する手順は、検出すべき寄生虫の種類に依存して様々である。これら手順は臨床医または獣医によく知られており、殆どいかなる臨床実務または獣医実務において容易に行うことができる。卵寄生虫および成体寄生虫の存在を検出するため、身体試料の巨視的検査および顕微鏡的検査を通常最初に行う。組織寄生虫は、しばしば生検および吸引物(aspirates)の検査により検出することができる。身体試料は、尿、唾液、脳脊髄液、血液、血清、気管支肺胞洗浄液、痰、胆汁などの液体;組織、糞便などの固体または半固体;または組織学的診断に用いられるもののような固体組織であってよい。
農業家畜の寄生虫試験としては、血液などの体液または糞便などの身体老廃物の直接塗抹;糞便浮遊液(fecal flotation fluids)、浮遊液を用いた遠心分離法(硫酸マグネシウム)、浮遊法による卵計数のための改変ウイスコンシン法(Wisconsin Procedure)(ウシ、ウマ、イヌ、ネコおよびブタ)、ミクロフィラリアの濃縮のための改変ノット法(Knott's Method)、皮膚擦過標本および旋毛虫症の診断のための粉砕(squash)標本が挙げられる。一般に、液体試料は、寄生虫体を見やすくするために染色しなければならない。ギームザ染料およびライト染料が、血液、尿または脊髄液中のプラスモジウム種、リーシュマニア種、アフリカトリパノソーマ類、トリパノソーマ・クルジ、トキソプラズマ・ゴンジおよびネグレリア・フォウレリ(Naegleria fowleri)を含む多くの寄生虫の分析に適している。
家禽類におけるコクシジウム症の診断は、感染した鳥の腸から擦過した粘膜の湿った塊を調製し、それを光学顕微鏡で調べることによって確立することができる。
コクシジウムの卵母細胞およびシゾントは、100×の拡大で容易に同定することができる。糞便の浮遊もまた、コクシジウムの卵母細胞を示すのに非常に有効である。ヒストモナス症は、特徴的な肉眼病変および/または組織病変に基づいて診断することができ、ヒストモナス・ガラナルムは新たに屠殺した感染した鳥の組織から特別のブロス培地に単離することができる。
一つの側面において、本発明の方法は、寄生虫に暴露する前に主体に、dI/dU含有オリゴヌクレオチドを該主体において寄生虫感染を予防するのに有効な量にて投与することを含む。dI/dUオリゴヌクレオチドの前もっての投与は、寄生虫に暴露される前、暴露される間または暴露された後に少なくとも活性化された先天免疫系応答からなる応答を主体内に誘発することにより主体にとって大きな利益を付与する。「前もっての投与」とは、投与を寄生虫への暴露の前に行うことを意味する。幾つかの態様において、投与と寄生虫暴露との間に60日以上の期間をあけて本発明の化合物を投与してよい。他の態様において、dI/dUオリゴヌクレオチドの投与は、寄生虫暴露の少なくとも50日、または40日、または30日、または14日、または7日前に行ってよい。さらに他の態様において、dI/dUオリゴヌクレオチドの投与は感染の7日、6日、5日、4日、3日または2日までに行ってよい。
さらに他の態様において、本発明のdI/dUオリゴヌクレオチドは、寄生虫暴露の疑われる少なくとも24時間前に投与してよい。さらに別の態様において、dI/dUオリゴヌクレオチドは、寄生虫感染の24時間、12時間または4時間までに投与してよい。
時間的調節は、治療および/または予防すべき特定の寄生虫感染並びに送達法(すなわち、急性の放出が必要とされるか慢性の放出が必要とされるか)に依存するであろう。慢性の送達または治療が必要とされるなら、幾つかの態様において、dI/dUオリゴヌクレオチドはdI/dUオリゴヌクレオチド投与と寄生虫暴露との間に7日以上の期間をあけて投与してよい。そのような場合、より高投与量を用いてよいが、常にその必要があるわけではない。好ましい態様において、dI/dUオリゴヌクレオチドは寄生虫暴露の2日までに投与する。保護の期間は投与したdI/dUオリゴヌクレオチドの投与量に依存するであろうから、高投与量は一層長期間持続する保護を提供することができる。保護の長さはまた、投与法および予防すべき特定の感染にも依存するであろう。投与はまた、dI/dUオリゴヌクレオチドによる複数の処置後または制御放出ベシクルでの(たとえば、マイクロカプセル化した)またはインビボ分解を遅らせる仕方で調合した(たとえば、リポソーム)dI/dUオリゴヌクレオチドの送達後に抗寄生虫作用が一層長期間持続できるように、繰り返してよい。
他の側面において、本発明は、寄生虫に感染した主体の治療に関する。好ましい態様において、主体はこれまでに以下の寄生虫に暴露しており、現在、該寄生虫に感染している:プラスモジウム種、バベシア種、トリパノソーマ・クルジ、トキソプラズマ・ゴンジおよびトリキネラ・スピラリス。これら態様において、dI/dUオリゴヌクレオチドは、たとえ寄生虫の暴露後に投与されたとしても感染の治療に有効である。本発明の化合物は、寄生虫暴露の直後または暴露後一定期間の後に投与することができる。たとえば、dI/dUオリゴヌクレオチドは、一旦、寄生虫感染が診断されたら投与することができ、これは寄生虫暴露または接触から数日後または数週間後の範囲であってよい。幾つかの態様において、dI/dUオリゴヌクレオチドは、寄生虫感染(すなわち、寄生虫暴露)後の24時間または48時間までに投与してよい。診断または治療が遅れるなら、該オリゴヌクレオチドを感染の7日以内に投与することも考えられる。寄生虫暴露とオリゴヌクレオチドの投与との間にさらに長期間(すなわち、7日、14日または30日以上)経過していてよい他の状況が存在する。
同時に投与する化合物は、特定の寄生虫疾患に対して活性であることが知られているものである。ヒト投与に有用な殺寄生虫剤の例としては、これらに限られるものではないが、アルベンダゾール、アムホテリシンB、ベンズニダゾール、ビチオノール、クロロキンHCl、リン酸クロロキン、クリンダマイシン、デヒドロエメチン、ジエチルカルバマジン、ジロキサニドフロエート(furoate)、エフロールニチン、フラゾリダオン、グルココルチコイド、ハロファントリン、インドキノール、イベルメクチン、メベンダゾール、メフロキン、メグルミンアンチモニエート、メラルソプロール、メトリフォネート、メトロニダゾール、ニクロサミド、ニフルチモックス、オキサムニキン、パロモマイシン、ペントアミジンイセチオネート、ピペラジン、プラジカンテル、リン酸プリマキン、プログアニル、ピランテルパモエート、ピリメタンミンスルホンアミド、ピリメタンミンスルファドキシン、キナクリンHCl、硫酸キニン、キニジングルコネート、スピラマイシン、スチボグルコネートナトリウム(アンチモニーグルコネートナトリウム)、スラミン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、チアベンダゾール、チニダゾール、トリメトロプリンスルファメトキサゾール、およびトリパルサミド(これらの幾つかは単独または他のものと併用される)が挙げられる。
非ヒト主体に用いる殺寄生虫剤としては、ピペラジン、ジエチルカルバマジン、チアベンダゾール、フェンベンダゾール、アルベンダゾール、オキシフェンダゾール、オキシベンダゾール、フェバンテル、レバミソール、酒石酸ピランテル、ピランテルパモエート、ジクロルボス、イベルメクチン、ドラメクチン、ミルベマイシンオキシム、イプリノメクチン、モキシデクチン、N−ブチルクロライド、トルエン、ハイグロマイシンBチアセタールセミドナトリウム、メラルソミン、プラジカンテル、エプシプランテル、ベンズイミダゾール、たとえば、フェンベンダゾール、アルベンダゾール、オキシベンダゾール、クロルスロン、アルベンダゾール、アンプロリウム;デコキネート、ラサロシド、モネンシンスルファジメトキシン、スルファメタジン、スルファキノキサリン、メトロニダゾールが挙げられる。
ウマに用いる殺寄生虫剤としては、メベンダゾール、オキシフェンダゾール、フェバンテル、ピランテル、ジクロルボス、トリクロルフォン、イベルメクチン、ピペラジン;S. westeriについては、イベルメクチン、ベンズイミダゾール、たとえば、チアベンズイミダゾール、カンベンダゾール、オキシベンダゾールおよびフェンベンダゾールが挙げられる。イヌに有用な殺寄生虫剤としては、ミルベマイシンオキシム、イベルメクチン、ピランテルパモエートおよびイベルメクチンとピランテルとの組み合わせが挙げられる。ブタの寄生虫の治療としては、レバミソール、ピペラジン、ピランテル、チアベンダゾール、ジクロルボスおよびフェンベンダゾールの使用が挙げられる。ヒツジおよびヤギの駆虫剤としては、レバミソールまたはイベルメクチンが挙げられる。カパルソレートは、ネコのD. immitis(心糸状虫)の治療において有効性が示されている。
家禽類における原生動物疾患、とりわけトリコモナス症の予防および治療に用いる薬剤は、飼料または飲水中にて投与することができ、アミノニトロチアゾール、ジメトリダゾール(エントリル)、ニチアジド(ヘプジド)およびエンヘプチンなどの殺原生動物薬を含む。しかしながら、これら薬剤の幾つかは米国ではすでに農業家畜に使用するために利用できない。食品生産に用いられない裏庭のヒツジやハトは、獣医の処方に従ってジメトリダゾールで有効に処置することができる(飲水中に1000mg/Lを5〜7日間)。
本発明はさらに、ヒトPBMC、ヒト骨髄性樹状細胞およびヒト形質細胞(plasmacytoid cells)の活性化のための本発明によるdI/dUオリゴヌクレオチドの使用に関する。これら細胞は、本発明による分子によって特異的かつ強力に誘発させることができる。この誘発は、ある種の免疫応答が必要な場合、たとえば、ナイーブT細胞を誘発する必要がある場合に特に好ましい。
本発明のdI/dUオリゴヌクレオチドは、少なくとも下記式:5' X1C(dI/dU)X2 3'を含む配列を有するのが好ましい。一つの好ましい態様において、本発明は、少なくとも下記式:5'N,X1C(dI/dU)X2N2 3'(ここで、少なくとも1のヌクレオチドが連続したCpdI/dUを隔てている;X,はアデニン、デオキシイノシン/デオキシウリジン、またはチミン;Xはシトシン、アデニン、またはチミン;Nはあらゆるヌクレオチドであり、N,およびN,はそれぞれ約0〜25のN’からなる核酸配列である)により示されるCpdI/dUオリゴヌクレオチドを提供する。
他の態様において、本発明は、少なくとも式:5' N1X1X2C(dI/dU)X3X4N2 3'(ここで、少なくとも1のヌクレオチドが連続したCpdI/dUを隔てている;X1X2は、GpT、GpG、GpA、ApA、ApT、ApG、CpT、CpA、CpdI/dU、TpA、TpT、およびTpGよりなる群から選ばれる;X3X4は、TpT、CpT、ApT、TpG、ApG、CpdI/dU、TpC、ApC、CpC、TpA、ApA、およびCpAよりなる群から選ばれる;Nはあらゆるヌクレオチドであり、N1およびN2はそれぞれ約0〜25のN’からなる核酸配列である)によって示される単離したCpdI/dUオリゴヌクレオチドを提供する。好ましい態様において、該核酸のN1およびN2は、とりわけ該オリゴヌクレオチドが修飾したリン酸骨格を有する場合に、CC(dI/dU)GまたはC(dI/dU)C(dI/dU)四量体または1を超えるCC(dI/dU)またはC(dI/dU)G三量体を含まない。
好ましくは、本発明のODNは、下記一般式:
5'−NMPn...NMP3NMP2NMP1NMP1’NMP2’NMP3’...NMPn’−3’(II)
(式中、nは、3〜50の整数;NMP1、NMP2、NMP3、...、NMPnおよびNMP1’、NMP2’、NMP3’、...NMPn’は、それぞれモノデオキシリボヌクレオチド;NMP1、NMP2、NMP3、...およびXnは同じかまたは異なるヌクレオチド、その際、該モノデオキシリボヌクレオチドのうち少なくとも一つはdIまたはdU;NMP1とNMP1’、NMP2とNMP2’、NMP3とNMP3’、...、NMPnとNMPn’中の塩基は、dIまたはdU残基を除き、ワトソンおよびクリックにより定められる意味で互いに相補的である)により示される少なくとも1つの構造またはその塩を含む。
5'−NMPn...NMP3NMP2NMP1NMP1’NMP2’NMP3’...NMPn’−3’(II)
(式中、nは、3〜50の整数;NMP1、NMP2、NMP3、...、NMPnおよびNMP1’、NMP2’、NMP3’、...NMPn’は、それぞれモノデオキシリボヌクレオチド;NMP1、NMP2、NMP3、...およびXnは同じかまたは異なるヌクレオチド、その際、該モノデオキシリボヌクレオチドのうち少なくとも一つはdIまたはdU;NMP1とNMP1’、NMP2とNMP2’、NMP3とNMP3’、...、NMPnとNMPn’中の塩基は、dIまたはdU残基を除き、ワトソンおよびクリックにより定められる意味で互いに相補的である)により示される少なくとも1つの構造またはその塩を含む。
本発明のさらなる側面によれば、本発明はまた、主体の抗原提示細胞を活性化する医薬を調製するための本発明によるODNの使用にも関する。
好ましくは、本発明による医薬組成物は、さらにポリカチオン性ポリマー、好ましくはポリカチオン性ペプチド、とりわけポリアルギニン、ポリリシンまたは抗菌ペプチドを含む。
本発明に従って用いるポリカチオン性化合物は、WO97/30721による特徴的な作用を示すあらゆるポリカチオン性化合物であってよい。好ましいポリカチオン性化合物は、塩基性ポリペプチド、有機ポリカチオン、塩基性ポリアミノ酸またはその混合物から選ばれる。これらポリアミノ酸は、少なくとも4アミノ酸残基の鎖長を有していなければならない。特に好ましいのは、ポリリシン、ポリアルギニン、および8を超える、とりわけ20を超えるアミノ酸残基の範囲に20%を超える、とりわけ50%を超える塩基性アミノ酸を含むポリペプチドまたはその混合物のようなペプチド結合を含む物質である。他の好ましいポリカチオンおよびその医薬組成物は、WO97/30721(たとえば、ポリエチレンイミン)およびWO99/38528に記載されている。好ましくは、これらポリペプチドは20〜500アミノ酸残基、とりわけ30〜200残基を含む。
これらポリカチオン性化合物は化学的にまたは組換えにより製造してよく、あるいは天然の採取源に由来してもよい。
カチオン性(ポリ)ペプチドはまた、ポリカチオン性で抗菌性の微生物ペプチドであってもよい。これら(ポリ)ペプチドは、原核生物または動物または植物起源のものであってよく、化学的にまたは組換えにより製造されてよい。ペプチドはまたデフェンシンのクラスに属していてもよい。そのような宿主防御ペプチドまたはデフェンシン(defensives)もまた、本発明によるポリカチオン性ポリマーの好ましい形態である。一般に、好ましくはAPC(樹状細胞を含む)によって媒介される獲得免疫系を最終生成物として活性化(またはダウンレギュレーション)することを可能にする化合物はポリカチオン性ポリマーとして用いる。
本発明においてポリカチオン性物質として使用するのに特に好ましいのは、カテリシジン(cathelicidin)由来の抗菌ペプチドまたはその誘導体(A1416/2000、参照のため本明細書中に引用する)、とりわけ哺乳動物、好ましくはヒト、ウシまたはマウスのカテリシジンに由来する抗菌ペプチド、または(ヒト)成長ホルモンなどの神経刺激性の化合物である(たとえば、WO01/24822に記載)。
天然の採取源に由来するポリカチオン性化合物としては、HIV−REVまたはHIV−TAT(由来のカチオン性ペプチド、アンテナペディア(antennapedia)ペプチド、キトサンまたはキトサンの他の誘導体)または生化学的な製造または組換え製造によりこれらペプチドまたはタンパク質に由来する他のペプチドが挙げられる。他の好ましいポリカチオン性化合物は、カテリン(cathelin)またはカテリンの関連物質またはカテリンに由来する物質、とりわけマウス、ウシまたは特にヒトのカテリンおよび/またはカテリシジンである。カテリンの関連物質またはカテリンに由来する物質はカテリン配列の全部または一部を含み、少なくとも15〜20アミノ酸残基を有する。誘導体化は、20の標準アミノ酸以外のアミノ酸による天然アミノ酸の置換または修飾を含む。さらに、さらなるカチオン性残基がそのようなカテリン分子中に導入されてよい。これらカテリン分子は、抗原/本発明によるワクチン組成物と組み合わせるのが好ましい。しかしながら、これらカテリン分子は驚くべきことに、さらなるアジュバントを加えなくとも抗原に対するアジュバントとして有効なことがわかった。それゆえ、そのようなカテリン分子は、さらなる免疫刺激性物質を用いまたは用いることなく、本発明の医薬において有効なアジュバントとして用いることが可能である。
本発明に従って用いることのできる他の好ましいポリカチオン性物質は、3〜7の疎水性アミノ酸、とりわけLのリンカーによって隔てられた少なくとも2つのKLKモチーフを含む合成ペプチドである(A1789/2000、参照のため本明細書中に引用する)。
一つの特別の態様において、本発明によるODNに好ましいビヒクルは、脊椎動物レシピエントへの移植に適した生体適合性の微細粒子またはインプラントである。本発明によれば、本明細書に記載のdI/dU含有オリゴヌクレオチドを、生体適合性の、好ましくは生分解性のポリマー性マトリックスにカプセル化または分散させる。ポリマー性マトリックスは、ミクロスフェア(dI/dUオリゴヌクレオチドが固体ポリマー性マトリックス内に分散される)やマイクロカプセル(dI/dUオリゴヌクレオチドがポリマー性シェルのコア中に貯蔵される)などの微細粒子の形態であるのが好ましい。dI/dUオリゴヌクレオチドを含むポリマー性マトリックスの他の形態としては、フィルム、コーティング、ゲル、インプラント、およびステントが挙げられる。ポリマー性マトリックスデバイスのサイズおよび組成は、該マトリックスデバイスを埋め込んだ組織で良好な放出動力学が得られるべく選択することができる。あるいは、インプラントは、充分なレベルのdI/dUオリゴヌクレオチドを放出して全身的な暴露を与えるようにデザインしてもよい。
ポリマー性マトリックスデバイスのサイズはさらに、使用すべき放出方法、とりわけ組織中への注射または鼻内および/または肺部位へのエアゾルによる懸濁液の投与に従って選択することができる。ポリマー性マトリックスの選択は、良好な分解速度を有するとともに生吸着性(bioadhesive)である材料から構成され、さらに該デバイスが特定の表面または組織に投与されたときに輸送の有効性を増大させるべく、行うことができる。マトリックス組成物はまた、分解しないが長期間の間に拡散によって放出すべく選択することもできる。
本発明のdI/dUオリゴヌクレオチドを主体に送達するため、非生分解性および生分解性の両ポリマー性マトリックスを用いることができる。そのようなポリマーは、天然のポリマーまたは合成ポリマーであってよい。合成ポリマーが好ましい。ポリマーの選択は、放出を望む期間(一般には数時間か1年またはそれ以上のオーダー)に基づいて行う。徐放の期間は、主体および環境に依存するであろう。
典型的には、数時間から3ないし12ヶ月の範囲の期間にわたる放出が最も望ましい。ポリマーは、任意に、ポリマーの重量の約90%までの水を吸収することのできるヒドロゲルであり、さらに任意に、多価イオンまたは他のポリマーと架橋している。
一般に、本発明のdI/dUオリゴヌクレオチドは、拡散による生侵食性の(bioerodible)インプラントを用いて、またはより好ましくはポリマー性マトリックスの分解により、送達することができる。生分解性のデリバリーシステムを生成するのに用いることのできる合成ポリマーの例としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ハロゲン化ポリビニル、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタンおよびその共重合体、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル酸およびメタクリル酸のポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシエチルセルロース、トリ酢酸セルロース、硫酸セルロースナトリウム塩、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロライド、ポリスチレンおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。
非生分解性ポリマーの例としては、エチレンビニルアセテート、ポリ(メタクリル酸)アクリル酸、ポリアミド、コポリマーおよびこれらの混合物が挙げられる。
生分解性ポリマーの例としては、乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、およびポリ(ラクチド−コカプロラクトン)などの合成ポリマー、およびアルギン酸塩およびデキストランおよびセルロースを含む他の多糖、コラーゲン、その化学誘導体(置換、化学基、たとえばアルキル、アルキレンの付加、水酸化、酸化、および当業者によって常法により行われる他の修飾)、アルブミンおよび他の親水性タンパク質、ゼインおよび他のプロラミンおよび疎水性タンパク質、そのコポリマーおよび混合物などの天然ポリマーが挙げられる。一般に、これら物質は、酵素的加水分解またはインビボで水に曝されることにより、表面または塊の侵食のいずれかにより分解する。
本発明において有用な生吸着性ポリマーとしては、生侵食性のヒドロゲル、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルテン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、およびポリ(アクリル酸オクタデシル)が挙げられる。それゆえ、本発明は、上記dI/dUオリゴヌクレオチドの組成物の医薬としての使用、該医薬の製造方法および該医薬をインビボで徐放する方法を提供する。
本発明の化合物の投与かまたはこれら化合物ないしこれら化合物により誘発される因子の身体レベルの測定のいずれかにおいて本発明に用いる材料は、キットを調製するのに理想的に適している。そのようなキットは、バイアル、チューブなどの1またはそれ以上の容器手段を密に詰め込んで収容すべく区画化されたキャリヤー手段を含んでおり、各容器手段は本方法に使用する別個の要素の一つを含んでいる。たとえば、容器手段の一つは本発明のdI/dUオリゴヌクレオチドを含んでいてよい。キットはまた、上記に掲げた本発明に有用なdI/dUオリゴヌクレオチド以外の治療剤を含む容器を有していてよい。
さらに、キットは、アッセイに有用な緩衝液の容器を含んでいてよい。投与方法が注射による場合は、キットはまた、組み立てた針および注射器などの注射デリバリーデバイス、または軍部によって現在使用されているようなオートインジェクターデリバリーデバイスをも含んでいてよい。あるいは、キットは、皮下注射および長期徐放カプセルまたはインプラントの設置用にデザインすることができ、それゆえ、たとえば、カプセルまたはインプラントの皮下部位への輸送のための広口径針などの適当な注射デバイスを含む。
本発明に有用な他のキットは、個体で起こっている免疫応答の程度を測定し、それゆえ該個体が寄生虫感染を防ぐべく充分に初期抗原刺激を受けているか否かを示す手段を含んでいてよい。たとえば、キットは、サイトカインレベルを測定する手段を含んでいてよい。これらキットは、個体が、または一層好ましくは医師、看護士または獣医が使用することができる。これらキットは、長期放出デバイスが本発明の化合物を放出し続けているか否かを決定するうえで、または投与量の変更が必要か否かを評価するうえで有用である。キットが個体におけるサイトカインまたはペプチドレベルを測定することを目的としているなら、そのようなキットはそのようなペプチドを測定するための読み取りシステムを含んでいるであろう。この読み取りシステムは、ポリスチレンなどの固相表面に調製した抗体または他の結合ペプチドを含んでいてよく、または個体の試験のときに表面に適用してよい。ついで、個体からの身体試料、好ましくは血液などの液体試料を直接または希釈形態にて、結合ペプチドをコーティングした表面に加えることができる。キットの結合ペプチドへの試料内の成分の結合は、標識に結合させた第二の結合ペプチドを用いて測定することができる。有用であるためには、標識は直接または間接的に検出または可視化しなければならない。比色アッセイを用いて可視化できる標識は、とりわけ検出に別の装置を必要としない場合は本発明において最も有用である。
本発明の詳細を以下の実施例および図面により記載するが、本発明はもちろんこれらに限られるものではない。これら実施例において、本発明によるODNが、たとえばCGモチーフ含有ODNに匹敵するか、しばしば一層優れた作用を有することが特に示されている。
CG含有ODNの作用は、EP0468520A2、WO96/02555、WO98/18810、WO98/37919、WO98/40100、WO99/51259およびWO99/56755の実施例に示されている。これら従来技術の実施例は下記実施例と相俟って、上記使用に関して本発明のODNがCG含有ODNに比べて匹敵ないしより優れていることを証明している。
すべての実験においてチオホスフェート置換ODN(ホスフェートの代わりにチオホスフェート残基で置換した場合、本明細書では「チオホスフェート置換オリゴデオキシヌクレオチド」と称する)を用いた。というのは、そのようなODNは高いヌクレアーゼ耐性を示すからである(Ballasら、1996; Kriegら、1995; Parronchiら、1999)。
実施例1
種々のI−ODNとポリ−L−アルギニン(pR60)とを組み合わせて注射すると、卵アルブミン由来ペプチドに対する免疫応答が相乗的に促進される
種々のI−ODNとポリ−L−アルギニン(pR60)とを組み合わせて注射すると、卵アルブミン由来ペプチドに対する免疫応答が相乗的に促進される
マウス:C57B1/6(Harlan/Olac)
ペプチド:ニワトリ卵アルブミンのMHCクラスI(H−2Kb)拘束エピトープであるOVA257-264−ペプチド(SIINFEKL)(Rotzschkeら、1991)を標準固相F−moc合成法を用いて合成し、HPLC精製し、ついで純度を質量分光法により分析した。投与量:300mg/マウス。
ポリ−L−アルギニン60(pR60):平均重合度が60アルギニン残基のポリ−L−アルギニン;SIGMA chemicals。投与量:100mg/マウス。
CpG1668:CpGモチーフを含むチオホスフェート置換ODN:tcc atg acg ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
I−ODN1:デオキシイノシンを含むチオホスフェート置換ODN:tcc ati aci ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
I−ODN2:デオキシイノシンを含むチオホスフェート置換ODN:tcc atg aci ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
I−ODN3:デオキシイノシンを含むチオホスフェート置換ODN:tcc ati aci ttc cti ati ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
実験群(1群5匹のマウス)
1.OVA257-264
2.OVA257-264 + pR60
3.OVA257-264 + CpG1668
4.OVA257-264 + I−ODN1
5.OVA257-264 + I−ODN2
6.OVA257-264 + I−ODN3
7.OVA257-264 + CpG1668 + pR60
8.OVA257-264 + I−ODN1 + pR60
9.OVA257-264 + I−ODN2 + pR60
10.OVA257-264 + I−ODN3 + pR60
1.OVA257-264
2.OVA257-264 + pR60
3.OVA257-264 + CpG1668
4.OVA257-264 + I−ODN1
5.OVA257-264 + I−ODN2
6.OVA257-264 + I−ODN3
7.OVA257-264 + CpG1668 + pR60
8.OVA257-264 + I−ODN1 + pR60
9.OVA257-264 + I−ODN2 + pR60
10.OVA257-264 + I−ODN3 + pR60
第0日目にマウスの後肢に上記化合物を含む全量100ml(各足当たり50ml)を注射した。注射4日後に動物を屠殺し、膝窩リンパ節を回収した。リンパ節を70mm細胞濾過器に通し、5%ウシ胎仔血清(FCS、SIGMA Chemicals)を含むDMEM培地(GIBCO BRL)で2回洗浄した。細胞をDMEM/5%/FCS中に3×106細胞/mlに調節した。IFN−g ELISPOTアッセイを記載に従って(Miyahiraら、1995)3回行った。この方法は、抗原特異的なT細胞の定量を可能にする方法として広く用いられているものである。リンパ球を培地バックグラウンド−対照、OVA257-264−ペプチドまたはコンカナバリンA(ConA)でイクスビボにて刺激した。単一のIFN−g産生T細胞を表しているスポットをカウントし、全ての試料からバックグラウンドスポットの数を差し引いた。ConAで刺激した後に検出されるスポットの数が多いことは(データは示していない)、使用したリンパ球が良好な条件にあることを示している。マウスの各実験群に対してスポット数/1×106細胞を図1に示してある。
1時間後に尾静脈から採血し、血清を調製して全身的なTNF−aの誘発をELISAを用いて決定した(図2)。
実施例2
グアノシンをデオキシイノシンと交換すると、とりわけポリ−L−アルギニン(pR60)と組み合わせたときに、非免疫原性GpC−配列が高度に免疫原性の配列に変わる
グアノシンをデオキシイノシンと交換すると、とりわけポリ−L−アルギニン(pR60)と組み合わせたときに、非免疫原性GpC−配列が高度に免疫原性の配列に変わる
マウス:C57B1/6(Harlan/Olac)
ペプチド:ニワトリ卵アルブミンのMHCクラスI(H−2Kb)拘束エピトープであるOVA257-264−ペプチド(SIINFEKL)(Rotzschkeら、1991)を標準固相F−moc合成法を用いて合成し、HPLC精製し、ついで純度を質量分光法により分析した。投与量:300μg/マウス。
ポリ−L−アルギニン60(pR60):平均重合度が60アルギニン残基のポリ−L−アルギニン;SIGMA chemicals。投与量:100μg/マウス。
CpG1668:CpGモチーフを含むチオホスフェート置換ODN:tcc atg acg ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
GpC−ODN:非免疫原性のGpCモチーフを含むチオホスフェート置換ODN:tcc atg agc ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
I−ODN9:デオキシイノシンを含むチオホスフェート置換ODN:tcc atg aic ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
I−ODN10:デオキシイノシンを含むチオホスフェート置換ODN:tcc ati aic ttc cti ati ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
実験群(1群5匹のマウス)
OVA257-264
OVA257-264 + pR60
OVA257-264 + CpG1668
OVA257-264 + GpC
OVA257-264 + I−ODN9
OVA257-264 + I−ODN10
OVA257-264 + CpG1668 + pR60
OVA257-264 + GpC + pR60
OVA257-264 + I−ODN9 + pR60
OVA257-264 + I−ODN10 + pR60
OVA257-264
OVA257-264 + pR60
OVA257-264 + CpG1668
OVA257-264 + GpC
OVA257-264 + I−ODN9
OVA257-264 + I−ODN10
OVA257-264 + CpG1668 + pR60
OVA257-264 + GpC + pR60
OVA257-264 + I−ODN9 + pR60
OVA257-264 + I−ODN10 + pR60
第0日目にマウスの後肢に上記化合物を含む全量100μl(各足当たり50μl)を注射した。注射4日後に動物を屠殺し、膝窩リンパ節を回収した。リンパ節を70μm細胞濾過器に通し、5%ウシ胎仔血清(FCS、SIGMA Chemicals)を含むDMEM培地(GIBCO BRL)で2回洗浄した。細胞をDMEM/5%/FCS中に3×106細胞/mlに調節した。IFN−g ELISPOTアッセイを記載に従って(Miyahiraら、1995)3回行った。この方法は、抗原特異的なT細胞の定量を可能にする方法として広く用いられているものである。リンパ球を培地(バックグラウンド)、OVA257-264−ペプチド、無関係のペプチドmTRP−2181-188(マウスチロシナーゼ関連タンパク質−2、VYDFFVWL)、pR60およびコンカナバリンA(ConA)とともに3つずつイクスビボにて刺激した。単一のIFN−g産生T細胞を表しているスポットをカウントし、全ての試料からバックグラウンドスポットの数を差し引いた。ConAで刺激した後に検出されるスポットの数が多いことは(データは示していない)、使用したリンパ球が良好な条件にあることを示している。マウスの各実験群に対してスポット数/1×106細胞を図3に示してあり、イクスビボ刺激した3つの実験の標準偏差を示してある。注射1時間後に尾静脈から採血し、血清を調製して全身的なTNF−aおよびIL−6の誘発をサイトカイン特異的ELISAを用いて決定した(図4)。
実施例3
デオキシイノシンを含むランダム20−mer配列をメラノーマ由来ペプチドと組み合わせて注射すると該ペプチドに対して強い免疫応答が誘発され、この免疫応答はポリ−L−アルギニン(pR60)を同時投与したときにさらに促進される
デオキシイノシンを含むランダム20−mer配列をメラノーマ由来ペプチドと組み合わせて注射すると該ペプチドに対して強い免疫応答が誘発され、この免疫応答はポリ−L−アルギニン(pR60)を同時投与したときにさらに促進される
マウス:C57B1/6(Harlan/Olac)
ペプチド:マウスチロシナーゼ関連タンパク質−2のMHCクラスI(H−2Kb)拘束エピトープであるTRP−2−ペプチド(VYDFFVWL)(Bllom, M. B.ら、1997)を標準固相F−moc合成法により合成し、HPLC精製し、ついで純度を質量分光法により分析した。投与量:300μg/マウス。
ポリ−L−アルギニン60(pR60):平均重合度が60アルギニン残基のポリ−L−アルギニン;SIGMA chemicals。投与量:100μg/マウス。
CpG−ODN1668:CpGモチーフを含むチオホスフェート置換ODN:tcc atg acg ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
wdi:チオホスフェート置換ODN:nhh hhh wdi nhh hhh hhh wnをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
wdidin:チオホスフェート置換ODN:nhh hhh wdi nhh hhh hhh wnをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
wdid:チオホスフェート置換ODN:nhh hhh wdi dhh hhh hhh wnをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
wdidid:チオホスフェート置換ODN:nhh wdi did hhh hdi ddi dhをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
実験群(1群5匹のマウス)
1.TRP−2
2.TRP−2 + pR60
3.TRP−2 + CpG1668
4.TRP−2 + wdi
5.TRP−2 + wdidin
6.TRP−2 + wdid
7.TRP−2 + wdidid
8.TRP−2 + CpG1668 + pR60
9.TRP−2 + wdi + pR60
10.TRP−2 + wdidin + pR60
11.TRP−2 + wdid + pR60
12.TRP−2 + wdidid + pR60
1.TRP−2
2.TRP−2 + pR60
3.TRP−2 + CpG1668
4.TRP−2 + wdi
5.TRP−2 + wdidin
6.TRP−2 + wdid
7.TRP−2 + wdidid
8.TRP−2 + CpG1668 + pR60
9.TRP−2 + wdi + pR60
10.TRP−2 + wdidin + pR60
11.TRP−2 + wdid + pR60
12.TRP−2 + wdidid + pR60
第0日目にマウスの後肢に上記化合物を含む全量100μl(各足当たり50μl)を注射した。注射4日後に動物を屠殺し、膝窩リンパ節を回収した。リンパ節を70μm細胞濾過器に通し、5%ウシ胎仔血清(FCS、SIGMA Chemicals)を含むDMEM培地(GIBCO BRL)で2回洗浄した。細胞をDMEM/5%/FCS中に3×106細胞/mlに調節した。IFN−g ELISPOTアッセイを記載に従って(Miyahiraら、1995)3回行った。この方法は、抗原特異的なT細胞の定量を可能にする方法として広く用いられているものである。リンパ球を培地(バックグラウンド)、TRP−2−ペプチド、無関係のOVA257-264ペプチド、pR60およびコンカナバリンA(ConA)とともに3つずつイクスビボにて刺激した。単一のIFN−g産生T細胞を表しているスポットをカウントし、全ての試料からバックグラウンドスポットの数を差し引いた。ConAで刺激した後に検出されるスポットの数が多いことは(データは示していない)、使用したリンパ球が良好な条件にあることを示している。マウスの各実験群に対してスポット数/1×106細胞を図5に示してあり、イクスビボ刺激した3つの実験の標準偏差を示してある。
実施例4
I−ODNとポリ−L−アルギニン(pR60)とを組み合わせて注射すると、メラノーマ由来ペプチドに対する免疫応答が相乗的に促進される
I−ODNとポリ−L−アルギニン(pR60)とを組み合わせて注射すると、メラノーマ由来ペプチドに対する免疫応答が相乗的に促進される
実験群(1群5匹のマウス)
1.TRP−2181-188
2.TRP−2181-188 + pR60
3.TRP−2181-188 + CpG1668
4.TRP−2181-188 + I−ODN2
5.TRP−2181-188 + CpG1668 + pR60
6.TRP−2181-188 + I−ODN2 + pR60
1.TRP−2181-188
2.TRP−2181-188 + pR60
3.TRP−2181-188 + CpG1668
4.TRP−2181-188 + I−ODN2
5.TRP−2181-188 + CpG1668 + pR60
6.TRP−2181-188 + I−ODN2 + pR60
第0日目にマウスの後肢に上記化合物を含む全量100μl(各足当たり50μl)を注射した。注射4日後に動物を屠殺し、膝窩リンパ節を回収した。リンパ節を70μm細胞濾過器に通し、5%ウシ胎仔血清(FCS、SIGMA Chemicals)を含むDMEM培地(GIBCO BRL)で2回洗浄した。細胞をDMEM/5%/FCS中に3×106細胞/mlに調節した。IFN−γ ELISPOTアッセイを記載に従って(Miyahiraら、1995)3回行った。この方法は、抗原特異的なT細胞の定量を可能にする方法として広く用いられているものである。リンパ球を培地バックグラウンド−対照、TRP−2181-188ペプチド、無関係のOVA257-264ペプチドおよびコンカナバリンA(ConA)とともに3つずつイクスビボにて刺激した。単一のIFN−γ産生T細胞を表しているスポットをカウントし、全ての試料からバックグラウンドスポットの数を差し引いた。ConAで刺激した後に検出されるスポットの数が多いことは(データは示していない)、使用したリンパ球が良好な条件にあることを示している。マウスの各実験群に対してスポット数/1×106細胞を図6に示してあり、イクスビボ刺激した3つの実験の標準偏差を示してある。
注射1時間後に尾静脈から採血し、血清を調製して全身的なTNF−αおよびIL−6の誘発を特異的ELISAを用いて決定した(図7)。
実施例5
ランダム10−mer I−ODNおよびポリ−L−アルギニン(pR60)を組み合わせて注射するとメラノーマ由来ペプチドに対する免疫応答が相乗的に促進される
ランダム10−mer I−ODNおよびポリ−L−アルギニン(pR60)を組み合わせて注射するとメラノーマ由来ペプチドに対する免疫応答が相乗的に促進される
実験群(1群5匹のマウス)
1.TRP−2181-188
2.TRP−2181-188 + pR60
3.TRP−2181-188 + CpG1668
4.TRP−2181-188 + ODN17
5.TRP−2181-188 + CpG1668 + pR60
6.TRP−2181-188 + ODN17 + pR60
1.TRP−2181-188
2.TRP−2181-188 + pR60
3.TRP−2181-188 + CpG1668
4.TRP−2181-188 + ODN17
5.TRP−2181-188 + CpG1668 + pR60
6.TRP−2181-188 + ODN17 + pR60
第0日目にマウスの後肢に上記化合物を含む全量100μl(各足当たり50μl)を注射した。注射4日後に動物を屠殺し、膝窩リンパ節を回収した。リンパ節を70μm細胞濾過器に通し、5%ウシ胎仔血清(FCS、SIGMA Chemicals)を含むDMEM培地(GIBCO BRL)で2回洗浄した。細胞をDMEM/5%/FCS中に3×106細胞/mlに調節した。IFN−γ ELISPOTアッセイを記載に従って(Miyahiraら、1995)3回行った。この方法は、抗原特異的なT細胞の定量を可能にする方法として広く用いられているものである。リンパ球を培地バックグラウンド−対照、TRP−2181-188ペプチド、無関係のOVA257-264ペプチドおよびコンカナバリンA(ConA)とともに3つずつイクスビボにて刺激した。単一のIFN−γ産生T細胞を表しているスポットをカウントし、全ての試料からバックグラウンドスポットの数を差し引いた。ConAで刺激した後に検出されるスポットの数が多いことは(データは示していない)、使用したリンパ球が良好な条件にあることを示している。マウスの各実験群に対してスポット数/1×106細胞を図8に示してあり、イクスビボ刺激した3つの実験の標準偏差を示してある。
マウス:C57B1/6(Harlan/Olac)
ペプチド:マウスチロシナーゼ関連タンパク質−2のMHCクラスI(H−2Kb)拘束エピトープであるTRP−2−ペプチド(VYDFFVWL)(Bllom, M. B.ら、1997)を標準固相F−moc合成法により合成し、HPLC精製し、ついで純度を質量分光法により分析した。投与量:100μg/マウス。
ポリ−L−アルギニン60(pR60):平均重合度が60アルギニン残基のポリ−L−アルギニン;SIGMA chemicals。投与量:100μg/マウス。
CpG−ODN1668:CpGモチーフを含むチオホスフェート置換ODN:tcc atg acg ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
ODN17:デオキシイノシンを含むチオホスフェート置換ODN:hhh wdi dhh hをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成(h=CAT、w=AT、d=GAT)。投与量:10ナノモル/マウス。
マウス:C57B1/6(Harlan/Olac)
ペプチド:マウスチロシナーゼ関連タンパク質−2のMHCクラスI(H−2Kb)拘束エピトープであるTRP−2−ペプチド(VYDFFVWL)(Bllom, M. B.ら、1997)を標準固相F−moc合成法により合成し、HPLC精製し、ついで純度を質量分光法により分析した。投与量:100μg/マウス。
ポリ−L−アルギニン60(pR60):平均重合度が60アルギニン残基のポリ−L−アルギニン;SIGMA chemicals。投与量:100μg/マウス。
CpG−ODN1668:CpGモチーフを含むチオホスフェート置換ODN:tcc atg acg ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
I−ODN2:デオキシイノシンを含むチオホスフェート置換ODN:tcc atg aci ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
実施例6
オリゴ−デオキシIC26-merとポリ−L−アルギニン(pR)とを組み合わせて投与すると、卵アルブミン(OVA)特異的な体液性応答が促進される
オリゴ−デオキシIC26-merとポリ−L−アルギニン(pR)とを組み合わせて投与すると、卵アルブミン(OVA)特異的な体液性応答が促進される
マウス:C57B1/6(Harlan/Olac)
卵アルブミン(OVA):鶏卵からの卵アルブミン、グレードV、SIGMA Chemicals、A−5503、ロット54H7070。投与量:50μg/マウス。
ポリ−L−アルギニン(pR):平均重合度が60アルギニン残基のポリ−L−アルギニン;SIGMA Chemicals、P−4463、ロット68H5903。投与量:100μg/マウス。
オリゴ−デオキシIC、26−mer(オリゴ−dIC26-mer):オリゴ−dIC26-merを標準ホスホルアミダイト化学により4μモルスケールで合成し、HPLCにより精製した(NAPS GmbH、ゲッチンゲン)。投与量:5ナノモル/マウス。
実験群(1群4匹のマウス)
1.OVA + オリゴ−dIC26-mer + pR
2.OVA + オリゴ−dIC26-mer
3.OVA + pR
4.OVA
1.OVA + オリゴ−dIC26-mer + pR
2.OVA + オリゴ−dIC26-mer
3.OVA + pR
4.OVA
第0日目にマウスの後肢に上記化合物を含む全量100μl(各足当たり50μl)を注射した。注射後24日目に血清を回収し、OVA特異的抗体の存在についてELISAによりスクリーニングした。これらの結果は、OVAをオリゴ−dICおよびpRと組み合わせて注射すると、OVAを各物質単独と組み合わせて注射した場合と比べてOVA特異的IgG抗体の産生が促進されることを示している(図13A、B)。興味深いことに、OVAとオリゴ−dIC/pRとを組み合わせた1回の単独注射でIgG2aおよびIgG1の両者の力価が増加し、Th1細胞およびTh2細胞の両者が関与していることが示唆された。しかしながら、第115日目以後にはOVAとオリゴ−dIC/pRとを注射したマウスの血清でIgG2aの増大レベルしか検出することができなかった。
これらデータは、オリゴ−dICおよびpRと組み合わせたOVAの注射がOVA特異的な体液性応答を促進することを示している。この応答は、初期相ではTh1誘発抗体アイソタイプおよびTh2誘発抗体アイソタイプの両者が産生されるが、後に主としてTh1誘発抗体が産生されることを特徴とする。
実施例7
デオキシウリジンモノホスフェート修飾したオリゴヌクレオチドU−ODN13によるメラノーマ由来ペプチド(TRP−2 181-188 )に対する特異的免疫応答の生成
デオキシウリジンモノホスフェート修飾したオリゴヌクレオチドU−ODN13によるメラノーマ由来ペプチド(TRP−2 181-188 )に対する特異的免疫応答の生成
マウス:C57B1/6(Harlan/Olac)
ペプチド:マウスチロシナーゼ関連タンパク質−2のMHCクラスI(H−2Kb)拘束エピトープであるTRP−2−ペプチド(VYDFFVWL)(B16メラノーマ、Bloom, M. B.ら、J. Exp. Med. 1997, 185, 453-459)を標準固相F−moc合成法により合成し、HPLC精製し、ついで純度を質量分光法により分析した。投与量:100μg/マウス。
ポリ−L−アルギニン60(pR60):平均重合度が60アルギニン残基のポリ−L−アルギニン;SIGMA chemicals。投与量:100μg/マウス。
CpG1668:CpGモチーフを含むチオホスフェート置換ODN:tcc atg acg ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
U−ODN13:デオキシウリジンモノホスフェートを含むチオホスフェート置換ODN:tcc atg acu ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
U−ODN13b:デオキシウリジンモノホスフェートを含むODN(チオホスフェートで置換されていない):tcc atg acu ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
実験群(1群4匹のマウス)
1.TRP−2181-188
2.TRP−2181-188 + pR60
3.TRP−2181-188 + CpG−ODN
4.TRP−2181-188 + U−ODN13
5.TRP−2181-188 + U−ODN13b
6.TRP−2181-188 + CpG−ODN + pR60
7.TRP−2181-188 + U−ODN13 + pR60
8.TRP−2181-188 + U−ODN13b + pR60
1.TRP−2181-188
2.TRP−2181-188 + pR60
3.TRP−2181-188 + CpG−ODN
4.TRP−2181-188 + U−ODN13
5.TRP−2181-188 + U−ODN13b
6.TRP−2181-188 + CpG−ODN + pR60
7.TRP−2181-188 + U−ODN13 + pR60
8.TRP−2181-188 + U−ODN13b + pR60
第0日目にマウスの後肢に上記化合物を含む全量100μl(各足当たり50μl)を注射した。注射4日後に動物を屠殺し、膝窩リンパ節を回収した。リンパ節を70μm細胞濾過器に通し、5%ウシ胎仔血清(FCS、SIGMA Chemicals)を含むDMEM培地(GIBCO BRL)で2回洗浄した。細胞をDMEM/5%/FCS中に適当な細胞数に調節した。IFN−γ ELISPOTアッセイを記載に従って(Miyahiraら、1995)3回行った。この方法は、抗原特異的なT細胞の定量を可能にする方法として広く用いられているものである。リンパ球を培地(バックグラウンド−対照)、TRP−2181-188ペプチド、無関係のペプチドOVA257-264、pR60、U−ODN13およびコンカナバリンA(ConA)とともに3つずつイクスビボにて刺激した。単一のIFN−γ産生T細胞を表しているスポットをカウントし、全ての試料からバックグラウンドスポットの数を差し引いた。ConAで刺激した後に検出されるスポットの数が多いことは(データは示していない)、使用したリンパ球が良好な条件にあることを示している。マウスの各実験群に対してIFN−γ産生細胞数/1×106細胞を図10に示してあり、イクスビボ刺激した3つの実験の標準偏差を示してある。
この実験は、チオホスフェート置換U−ODNとともにTRP−2181-188(疎水性ペプチド)を注射すると、TRP−2181-188単独の注射と比べてTRP−2181-188特異的な免疫応答が強く促進されることを示している。興味深いことに、TRP−2181-188/CpG−ODNの注射と比べて、TRP−2181-188/U−ODN13の注射によって一層多数のTRP−2181-188特異的T細胞が誘発される。ポリ−L−アルギニンの同時注射はこの強い応答に影響を及ぼさない。対照的に、チオホスフェートで置換していないU−ODN13bを用いた場合には、ポリ−L−アルギニンを同時注射した場合にのみ高い免疫応答が誘発された。
実施例8
デオキシウリジンモノホスフェート修飾したオリゴデオキシヌクレオチドの投与は前炎症性サイトカインの産生を誘発しない
デオキシウリジンモノホスフェート修飾したオリゴデオキシヌクレオチドの投与は前炎症性サイトカインの産生を誘発しない
マウス:C57B1/6(Harlan/Olac)
ペプチド:マウスチロシナーゼ関連タンパク質−2のMHCクラスI(H−2Kb)拘束エピトープであるTRP−2−ペプチド(VYDFFVWL)(B16メラノーマ、Bloom, M. B.ら、J. Exp. Med. 1997, 185, 453-459)を標準固相F−moc合成法により合成し、HPLC精製し、ついで純度を質量分光法により分析した。投与量:100μg/マウス。
ポリ−L−アルギニン60(pR60):平均重合度が60アルギニン残基のポリ−L−アルギニン;SIGMA chemicals。投与量:100μg/マウス。
CpG1668:CpGモチーフを含むチオホスフェート置換ODN:tcc atg acg ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
U−ODN13:デオキシウリジンモノホスフェートを含むチオホスフェート置換ODN:tcc atg acu ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
実験群(1群4匹のマウス)
1.TRP−2181-188
2.TRP−2181-188 + pR60
3.TRP−2181-188 + CpG1668
4.TRP−2181-188 + U−ODN13
5.TRP−2181-188 + U−ODN13 + pR60
1.TRP−2181-188
2.TRP−2181-188 + pR60
3.TRP−2181-188 + CpG1668
4.TRP−2181-188 + U−ODN13
5.TRP−2181-188 + U−ODN13 + pR60
第0日目にマウスの後肢に上記化合物を含む全量100μl(各足当たり50μl)を注射した。注射1時間後に尾静脈から採血し、血清を調製した。血清中のTNF−αおよびIL−6の量を特異的ELISAにより決定した。
図11は、CpG−ODN1668の投与とは対照的に、ペプチドと組み合わせたU−ODN13の投与が前炎症性サイトカインの全身性の産生を誘発しないことを示す。
実施例9
デオキシウリジンモノホスフェート修飾したオリゴヌクレオチドU−ODN13を用いたアレルゲン由来ペプチドに対する特異的免疫応答の生成
デオキシウリジンモノホスフェート修飾したオリゴヌクレオチドU−ODN13を用いたアレルゲン由来ペプチドに対する特異的免疫応答の生成
マウス:C57B1/6(Harlan/Olac)
ペプチド:ニワトリ卵アルブミンのMHCクラスI(H−2Kb)拘束エピトープであるOVA257-264−ペプチド(SIINFEKL)(Rotzschkeら、1991)を標準固相F−moc合成法を用いて合成し、HPLC精製し、ついで純度を質量分光法により分析した。投与量:300μg/マウス。
ポリ−L−アルギニン60(pR60):平均重合度が60アルギニン残基のポリ−L−アルギニン;SIGMA chemicals。投与量:100μg/マウス。
U−ODN13:デオキシウリジンモノホスフェートを含むチオホスフェート置換ODN:tcc atg acu ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
実験群(1群4匹のマウス)
1.OVA257-264
2.OVA257-264 + pR60
3.OVA257-264 + U−ODN13
4.OVA257-264 + U−ODN13 + pR60
1.OVA257-264
2.OVA257-264 + pR60
3.OVA257-264 + U−ODN13
4.OVA257-264 + U−ODN13 + pR60
第0日目にマウスの後肢に上記化合物を含む全量100μl(各足当たり50μl)を注射した。注射4日後に動物を屠殺し、膝窩リンパ節を回収した。リンパ節を70μm細胞濾過器に通し、5%ウシ胎仔血清(FCS、SIGMA Chemicals)を含むDMEM培地(GIBCO BRL)で2回洗浄した。細胞をDMEM/5%/FCS中に適当な細胞数に調節した。IFN−γ ELISPOTアッセイを記載に従って(Miyahiraら、1995)3回行った。この方法は、抗原特異的なT細胞の定量を可能にする方法として広く用いられているものである。リンパ球を培地(バックグラウンド−対照)、OVA257-264ペプチド、無関係のペプチドTRP−2181-188、pR60、U−ODN13およびコンカナバリンA(ConA)とともに2つずつイクスビボにて刺激した。単一のIFN−γ産生T細胞を表しているスポットをカウントし、全ての試料からバックグラウンドスポットの数を差し引いた。ConAで刺激した後に検出されるスポットの数が多いことは(データは示していない)、使用したリンパ球が良好な条件にあることを示している。マウスの各実験群に対してIFN−γ産生細胞数/1×106細胞を図12に示してあり、イクスビボ刺激した3つの実験の標準偏差を示してある。
この実験は、デオキシウリジンモノホスフェート修飾したODNもまた、疎水性のペプチド(OVA257-264)に対する免疫応答を誘発することを示している。ポリ−L−アルギニンの同時注射はこの免疫応答に影響を及ぼさない。
実施例10
デオキシウリジンモノホスフェート修飾したオリゴヌクレオチドU−ODN13を用いた肥満細胞腫由来ペプチドに対する特異的免疫応答の生成
デオキシウリジンモノホスフェート修飾したオリゴヌクレオチドU−ODN13を用いた肥満細胞腫由来ペプチドに対する特異的免疫応答の生成
マウス:C57B1/6(Harlan/Olac)
ペプチド:マウス肥満細胞腫P815由来でMHCクラスI(H2−Ld)拘束のペプチドP1A(LPYLGWLVF)(Letheら、1992)。投与量:100μg/マウス。
ポリ−L−アルギニン60(pR60):平均重合度が60アルギニン残基のポリ−L−アルギニン;SIGMA chemicals。投与量:100μg/マウス。
U−ODN13:デオキシウリジンモノホスフェートを含むチオホスフェート置換ODN:tcc atg acu ttc ctg atg ctをNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成。投与量:5ナノモル/マウス。
実験群(1群4匹のマウス)
1.P1A35-43
2.P1A35-43 + pR60
3.P1A35-43 + U−ODN13
4.P1A35-43 + U−ODN13 + pR60
1.P1A35-43
2.P1A35-43 + pR60
3.P1A35-43 + U−ODN13
4.P1A35-43 + U−ODN13 + pR60
第0日目にマウスの後肢に上記化合物を含む全量100μl(各足当たり50μl)を注射した。注射4日後に動物を屠殺し、膝窩リンパ節を回収した。リンパ節を70μm細胞濾過器に通し、5%ウシ胎仔血清(FCS、SIGMA Chemicals)を含むDMEM培地(GIBCO BRL)で2回洗浄した。細胞をDMEM/5%/FCS中に適当な細胞数に調節した。IFN−γ ELISPOTアッセイを記載に従って(Miyahiraら、1995)3回行った。この方法は、抗原特異的なT細胞の定量を可能にする方法として広く用いられているものである。リンパ球を培地(バックグラウンド−対照)、P1A35-43ペプチド、無関係のペプチドCSP(SYVPSAEQI)、pR60、U−ODN13およびコンカナバリンA(ConA)とともに3つずつイクスビボにて刺激した。単一のIFN−γ産生T細胞を表しているスポットをカウントし、全ての試料からバックグラウンドスポットの数を差し引いた。ConAで刺激した後に検出されるスポットの数が多いことは(データは示していない)、使用したリンパ球が良好な条件にあることを示している。マウスの各実験群に対してIFN−γ産生細胞数/1×106細胞を図13に示してあり、イクスビボ刺激した3つの実験の標準偏差を示してある。
この実験は、デオキシウリジンモノホスフェート修飾したODNが、肥満細胞腫由来ペプチドP1A35-43に対する強い免疫応答を誘発することを示している。この応答はポリ−L−アルギニンを同時に投与することによってさらに促進することができる。
実施例11
デオキシウリジンモノホスフェート修飾したオリゴヌクレオチド(U−ODN15、20mer)のカクテルによるメラノーマ由来ペプチド(TRP−2 181-188 )に対する特異的免疫応答の誘発
デオキシウリジンモノホスフェート修飾したオリゴヌクレオチド(U−ODN15、20mer)のカクテルによるメラノーマ由来ペプチド(TRP−2 181-188 )に対する特異的免疫応答の誘発
マウス:C57B1/6(Harlan/Olac)
ペプチド:マウスチロシナーゼ関連タンパク質−2のMHCクラスI(H−2Kb)拘束エピトープであるTRP−2−ペプチド(VYDFFVWL)(B16メラノーマ、Bloom, M. B.ら、J. Exp. Med. 1997, 185, 453-459)を標準固相F−moc合成法により合成し、HPLC精製し、ついで純度を質量分光法により分析した。投与量:100μg/マウス。
ポリ−L−アルギニン60(pR60):平均重合度が60アルギニン残基のポリ−L−アルギニン;SIGMA chemicals。投与量:100μg〜0.1μg/マウス。
U−ODN15:デオキシウリジンモノホスフェートを含むチオホスフェート置換ODNのカクテル:nhh hhh wdu dhh hhh hhh wn(n=GCAT、h=CAT、w=AT、d=GAT)をNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成した。投与量:5ナノモル〜0.005ナノモル/マウス。
実験群(1群4匹のマウス)
1.TRP−2181-188
2.TRP−2181-188 + pR60(100μg)
3.TRP−2181-188 + U−ODN15(5ナノモル)
4.TRP−2181-188 + U−ODN15(0.5ナノモル)
5.TRP−2181-188 + U−ODN15(0.05ナノモル)
6.TRP−2181-188 + U−ODN15(0.005ナノモル)
7.TRP−2181-188 + pR60(100μg) + U−ODN15(5ナノモル)
8.TRP−2181-188 + pR60(10μg) + U−ODN15(0.5ナノモル)
9.TRP−2181-188 + pR60(1μg) + U−ODN15(0.05ナノモル)
10.TRP−2181-188 + pR60(0.1μg) + U−ODN15(0.005ナノモル)
1.TRP−2181-188
2.TRP−2181-188 + pR60(100μg)
3.TRP−2181-188 + U−ODN15(5ナノモル)
4.TRP−2181-188 + U−ODN15(0.5ナノモル)
5.TRP−2181-188 + U−ODN15(0.05ナノモル)
6.TRP−2181-188 + U−ODN15(0.005ナノモル)
7.TRP−2181-188 + pR60(100μg) + U−ODN15(5ナノモル)
8.TRP−2181-188 + pR60(10μg) + U−ODN15(0.5ナノモル)
9.TRP−2181-188 + pR60(1μg) + U−ODN15(0.05ナノモル)
10.TRP−2181-188 + pR60(0.1μg) + U−ODN15(0.005ナノモル)
第0日目にマウスの後肢に上記化合物を含む全量100μl(各足当たり50μl)を注射した。注射4日後に動物を屠殺し、膝窩リンパ節を回収した。リンパ節を70μm細胞濾過器に通し、5%ウシ胎仔血清(FCS、SIGMA Chemicals)を含むDMEM培地(GIBCO BRL)で2回洗浄した。細胞をDMEM/5%/FCS中に適当な細胞数に調節した。IFN−γ ELISPOTアッセイを記載に従って(Miyahiraら、1995)3回行った。この方法は、抗原特異的なT細胞の定量を可能にする方法として広く用いられているものである。リンパ球を培地(バックグラウンド−対照)、TRP−2181-188−ペプチド、無関係のペプチドOVA257-264、pR60、U−ODN15およびコンカナバリンA(ConA)とともに3つずつイクスビボにて刺激した。単一のIFN−γ産生T細胞を表しているスポットをカウントし、全ての試料からバックグラウンドスポットの数を差し引いた。ConAで刺激した後に検出されるスポットの数が多いことは(データは示していない)、使用したリンパ球が良好な条件にあることを示している。マウスの各実験群に対してIFN−γ産生細胞数/1×106細胞を図14に示してあり、イクスビボ刺激した3つの実験の標準偏差を示してある。
この実験は、デオキシウリジンモノホスフェート修飾したODN(20mer、5ナノモル)のカクテルとともにTRP−2181-188(疎水性ペプチド)を注射すると、TRP−2181-188単独の注射と比べてTRP−2181-188特異的な免疫応答が強く促進されることを示している。10倍少ない量のU−ODN15(0.5ナノモル)を用いたときでさえも、強い免疫応答を誘発することができた。ペプチドおよびU−ODN15(5ナノモル)とともにポリ−L−アルギニンを同時に注射してもこの強い応答には影響を及ぼさない。
実施例12
デオキシウリジンモノホスフェート修飾したオリゴヌクレオチド(U−ODN16、10mer)のカクテルによるメラノーマ由来ペプチド(TRP−2 181-188 )に対する特異的免疫応答の誘発
デオキシウリジンモノホスフェート修飾したオリゴヌクレオチド(U−ODN16、10mer)のカクテルによるメラノーマ由来ペプチド(TRP−2 181-188 )に対する特異的免疫応答の誘発
マウス:C57B1/6(Harlan/Olac)
ペプチド:マウスチロシナーゼ関連タンパク質−2のMHCクラスI(H−2Kb)拘束エピトープであるTRP−2−ペプチド(VYDFFVWL)(B16メラノーマ、Bloom, M. B.ら、J. Exp. Med. 1997, 185, 453-459)を標準固相F−moc合成法により合成し、HPLC精製し、ついで純度を質量分光法により分析した。投与量:100μg/マウス。
U−ODN16:デオキシウリジンモノホスフェートを含むチオホスフェート置換ODNのカクテル:hhh wdu dhh h(n=GCAT、h=CAT、w=AT、d=GAT)をNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成した。投与量:10ナノモル/マウス。
ODN20:チオホスフェート置換ODNのカクテル:hhh wdd dhh h(n=GCAT、h=CAT、w=AT、d=GAT)をNAPS GmbH、ゲッチンゲンにより合成した。投与量:10ナノモル/マウス。
実験群(1群4匹のマウス)
1.TRP−2181-188
2.TRP−2181-188 + U−ODN16(10ナノモル)
3.TRP−2181-188 + ODN20(10ナノモル)
1.TRP−2181-188
2.TRP−2181-188 + U−ODN16(10ナノモル)
3.TRP−2181-188 + ODN20(10ナノモル)
第0日目にマウスの後肢に上記化合物を含む全量100μl(各足当たり50μl)を注射した。注射4日後に動物を屠殺し、膝窩リンパ節を回収した。リンパ節を70μm細胞濾過器に通し、5%ウシ胎仔血清(FCS、SIGMA Chemicals)を含むDMEM培地(GIBCO BRL)で2回洗浄した。細胞をDMEM/5%/FCS中に適当な細胞数に調節した。IFN−γ ELISPOTアッセイを記載に従って(Miyahiraら、1995)3回行った。この方法は、抗原特異的なT細胞の定量を可能にする方法として広く用いられているものである。リンパ球を培地(バックグラウンド−対照)、TRP−2181-188−ペプチド、無関係のペプチドOVA257-264、U−ODN16、ODN20およびコンカナバリンA(ConA)とともに3つずつイクスビボにて刺激した。単一のIFN−γ産生T細胞を表しているスポットをカウントし、全ての試料からバックグラウンドスポットの数を差し引いた。ConAで刺激した後に検出されるスポットの数が多いことは(データは示していない)、使用したリンパ球が良好な条件にあることを示している。マウスの各実験群に対してIFN−γ産生細胞数/1×106細胞を図15に示してあり、イクスビボ刺激した3つの実験の標準偏差を示してある。
この実験は、デオキシウリジンモノホスフェート修飾したODN(10mer)のカクテルとともにTRP−2181-188(疎水性ペプチド)を注射すると、TRP−2181-188単独またはODN20と組み合わせた注射と比べてTRP−2181-188特異的な免疫応答が強く促進されることを示している。
実施例13
ヒトPBMCの活性化
ヒトPBMCの活性化
細胞:バフィーコートから単離したヒトPBMC
CpG−ODN2006:CpGモチーフを含むチオホスフェート置換ODN:5'-tcg tcg ttt tgt cgt ttt gtc gtt-3'をPurimex Nucleic Acids Technology、ゲッチンゲンにより合成。濃度:1μM。
I−ODN2b:デオキシイノシンを含むODN:5'-tcc atg aci ttc ctg atg ct-3'をPurimex Nucleic Acids Technology、ゲッチンゲンにより合成。濃度:1μM。
o−d(IC)13:オリゴ−d(IC)13(5'-ICI CIC ICI CIC ICI CIC ICI CIC IC-3'、DNA)をPurimex Nucleic Acids Technology、ゲッチンゲンにより合成。濃度:1μM。
KLK:KLKLLLLLKLK-COOHをMPS(Multiple Peptide System、米国)により合成。濃度:16.8μg/ml。
ポリ−L−アルギニン60(pR60):平均重合度が60アルギニン残基(粘度による)のポリ−L−アルギニン;Sigma。濃度:10μg/ml。
ヒトPBMCをFicoll(PAA、オーストリア)によりバフィーコートから単離し、以下のようにして刺激した(2×106/ml/ウエル、24ウエルプレート):
1.培地
2.CpG−ODN2006 1μM
3.I−ODN2b 1μM
4.o−d(IC)13 1μM
5.pR60 10μg/ml
6.KLK 16.8μg/ml
7.I−ODN2b + pR60 1μM + 10μg/ml
8.o−d(IC)13 + pR60 1μM + 10μg/ml
9.I−ODN2b + KLK 1μM + 16.8μg/ml
10.o−d(IC)13 + KLK 1μM + 16.8μg/ml
1.培地
2.CpG−ODN2006 1μM
3.I−ODN2b 1μM
4.o−d(IC)13 1μM
5.pR60 10μg/ml
6.KLK 16.8μg/ml
7.I−ODN2b + pR60 1μM + 10μg/ml
8.o−d(IC)13 + pR60 1μM + 10μg/ml
9.I−ODN2b + KLK 1μM + 16.8μg/ml
10.o−d(IC)13 + KLK 1μM + 16.8μg/ml
18時間インキュベートした後、細胞をFACSによりHLA−DRおよびコスティミュラトリー分子CD40、CD80、CD86の発現について分析した。図13は、単一染色PBMCのヒストグラムオーバーレイを示す(FSC:SSCドットプロットにおいて生きた細胞でゲーティング(gated))。単独のグラフは、それぞれ、比較のため培地(負の対照)およびCpG−ODN2006とともにインキュベートして得られた結果を含む。ポリ−L−アルギニンおよびKLKはCD40、CD80およびCD86の発現をアップレギュレーションし、ポリ−L−アルギニンはHLA−DR発現に対しては何ら作用を及ぼさないのに対し、KLKはその発現を低下させる。I−ODN2bおよびo−d(IC)13はCD40およびCD86の発現を強く増大させるが、CD86およびHLA−DRの発現に対しては何ら作用を及ぼさない。しかしながら、全ての組み合わせ(I−ODN2b/pR,I−ODN2b/KLK,o−d(IC)13/pRおよびo−d(IC)13/KLK)は分析した全ての表面分子(HLAおよびコスティミュラトリー分子)の発現を強く増大させ、PBMCの中でも抗原提示細胞の活性化を示していた。
実施例14
ヒト骨髄性樹状細胞の活性化
ヒト骨髄性樹状細胞の活性化
細胞:白血球搬出液(leucopheresates)により生成したヒト骨髄性樹状細胞
CpG−ODN2006:CpGモチーフを含むチオホスフェート置換ODN:5'-tcg tcg ttt tgt cgt ttt gtc gtt-3'をPurimex Nucleic Acids Technology、ゲッチンゲンにより合成。濃度:1μM。
I−ODN2b:デオキシイノシンを含むODN:5'-tcc atg aci ttc ctg atg ct-3'をPurimex Nucleic Acids Technology、ゲッチンゲンにより合成。濃度:1μM。
o−d(IC)13:オリゴ−d(IC)13(5'-ICI CIC ICI CIC ICI CIC ICI CIC IC-3'、DNA)をPurimex Nucleic Acids Technology、ゲッチンゲンにより合成。濃度:1μM。
KLK:KLKLLLLLKLK-COOHをMPS(Multiple Peptide System、米国)により合成。濃度:16.8μg/ml。
ポリ(I:C):ポリイノシン酸−ポリシチジル酸は、Amershamから購入した合成二本鎖RNA分子である。濃度:10μg/ml。
第0日目に2つの異なるドナー(HHEおよびPHO)からの凍結ヒト白血球搬出液を解凍し、細胞をHBSS−緩衝液(Bio Whittaker Europe)に移し、遠心した(411×g、4℃、7分)。各ドナーから得られた細胞ペレットを、1.5%自己血漿を追加したRPMI1640(Bio Whittaker Europe)に再浮遊させ、細胞浮遊液を6−ウエルプレート(COSTAR)中に播種した(2×107/2ml/ウエル)。37℃/5%CO2での50〜60分間のインキュベーションの後、付着しない細胞を濯いで除去し、付着した細胞を1×PBS(PAA)で洗浄し、1.5%自己血漿、800U/mlのGM−CSF(Novartis、LEUKOMAX)および100U/mlのIL−4(Strathmann Biotech GmbH)を追加した3ml/ウエルのX−VIVO(Bio Whittaker Europe)とともに37℃/5%CO2にてさらにインキュベートした。第2日目に1mlの上澄み液を1mlのX−VIVO + 1.5%自己血漿 + 100U/mlのIL−4 + 1600U/mlのGM−CSFと置換した。第5日目に各ドナーの非付着細胞を回収し、カウントし、約1.2〜1.5×106細胞/3ml X−VIVO/1.5%自己血漿を6−ウエルプレート(COSTAR)のウエル毎に播種した。得られた骨髄性樹状細胞を以下のようにして刺激した:
1.培地
2.ポリ(I:C) 10μg/ml
3.CpG−ODN2006 1μM
4.I−ODN2b 1μM
5.o−d(IC)13 1μM
6.KLK 16.8μg/ml
7.KLK + CpG−ODN2006 16.8μg/ml + 1μM
8.KLK + I−ODN2b 16.8μg/ml + 1μM
9.KLK + o−d(IC)13 16.8μg/ml + 1μM
2.ポリ(I:C) 10μg/ml
3.CpG−ODN2006 1μM
4.I−ODN2b 1μM
5.o−d(IC)13 1μM
6.KLK 16.8μg/ml
7.KLK + CpG−ODN2006 16.8μg/ml + 1μM
8.KLK + I−ODN2b 16.8μg/ml + 1μM
9.KLK + o−d(IC)13 16.8μg/ml + 1μM
24時間のインキュベーション(37℃/5%CO2)の後、細胞を回収し、コスティミュラトリー分子CD80、CD86、CD40、および成熟マーカーCD83と対比したHLA−DR、並びにCD80と対比したCD1aに対する二重染色を行い、FACSにより分析した。表1は、指示した異なる細胞表面分子について染色した二重陽性細胞(FSC:SSCドットプロットにおいて生きた細胞でゲーティング)のパーセントを示す。
この実験における負の対照である培地による刺激と比べると、正の対照としてのポリ(IC)は、HLA−DR/CD80、HLA−DR/CD83、HLA−DR/CD40およびCD1a/CD80陽性細胞の数を増大させる。I−ODN2bまたはo−d(IC)13とともに骨髄性樹状細胞をインキュベートしても分析した細胞表面分子の発現に顕著な増加は認められないが、KLKとともに刺激すると低レベルでの活性化を観察することができる。しかしながら、ヒト骨髄性樹状細胞をKLK/I−ODN2bまたはKLK/o−d(IC)13の組み合わせで刺激すると、HLA−DR/CD80、HLA−DR/CD86、HLA−DR/CD83、HLA−DR/CD40およびCD1a/CD80陽性細胞の数が強く増大する。分析した分子の高発現はこれら抗原提示細胞の成熟および活性化の状態を示しており、このことはこれら抗原提示細胞がT細胞を有効に刺激する可能性を示唆している。
本発明による他の好ましい配列:
ヒトなどの主体においてナチュラルキラー細胞(NK)の溶解活性を刺激するのに有用な配列。そのような配列の特定の例(これらに限られるものではない)としては以下のものが挙げられる:
ヒトなどの主体においてナチュラルキラー細胞(NK)の溶解活性を刺激するのに有用な配列。そのような配列の特定の例(これらに限られるものではない)としては以下のものが挙げられる:
Claims (48)
- 式(I):
XはいずれもOまたはS、
NMPはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシイノシン−、デオキシシトシン−、デオキシウリジン−、デオキシチミジン−、2−メチル−デオキシイノシン−、5−メチル−デオキシシトシン−、デオキシプソイドウリジン−、デオキシリボースプリン−、2−アミノ−デオキシリボースプリン−、6−S−デオキシグアニン−、2−ジメチル−デオキシグアノシン−またはN−イソペンテニル−デオキシアデノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
NUCは、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシイノシン−、デオキシシトシン−、デオキシイノシン−、デオキシチミジン−、2−メチル−デオキシウリジン−、5−メチル−デオキシシトシン−、デオキシプソイドウリジン−、デオキシリボースプリン−、2−アミノ−デオキシリボースプリン−、6−S−デオキシグアニン−、2−ジメチル−デオキシグアノシン−またはN−イソペンテニル−デオキシアデノシンよりなる群から選ばれた2'デオキシヌクレオシド、
aおよびbは0〜100の整数であり、ただしa+bは4〜150である、
BおよびEは核酸分子の5'末端または3'末端の一般的な基)
の構造を有する免疫促進性のオリゴデオキシ核酸分子(ODN)の医薬製剤(ただし、好ましくは該製剤はワクチンではない)の調製への使用。 - NMPが、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシイノシン−、デオキシシトシン−、デオキシウリジン−、デオキシチミジン−、2−メチル−デオキシウリジン−、5−メチル−デオキシシトシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれる、請求項1に記載の使用。
- a+bが10〜60、好ましくは15〜40である、請求項1または2に記載の使用。
- X1およびX2の少なくとも一方がSであり、X3およびX4の少なくとも一方がOであり、好ましくはNMPがいずれもヌクレオシド−モノチオホスフェートである、請求項1ないし3のいずれかに記載の使用。
- 該ODNが、下記配列:
tcc atg acu ttc ctg ctg atg ct
nhh hhh wdu dhh hhh hhh wn
hhh wdu dhh h
(式中、nはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシシトシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
hはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシシトシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
uは、デオキシウリジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
wはいずれも、デオキシアデノシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、および
dはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート)
を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の使用。 - 該ODNが、2'−デオキシウリジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートに3'側にて隣接した2'−デオキシシトシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートを少なくとも一つ含む、請求項1ないし5のいずれかに記載の使用。
- 該ODNが、下記配列:
gacutt、
uacutt、
gauctt、
uauctt
(式中、aはデオキシアデノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
gはデオキシグアノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
uはデオキシウリジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
cはデオキシシトシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、および
tはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート)
を含む、請求項1ないし6のいずれかに記載の使用。 - 該ODNが、下記配列:
wdu、
wdud、
wdudnまたは
wdudud
(式中、w、d、uおよびnは前記と同じ)
を含む、請求項1ないし7のいずれかに記載の使用。 - BおよびEが、−H、−CH3、−COH、−COCH3、−OH、−CHO、−PO4、−PSO3、−PS2O2、−PS3O、−PS4、−SO3、−PO4−(CH2)1-6−NH2または−PO4−(CH2)1-6−NH−標識よりなる群から独立に選ばれる、請求項1ないし8のいずれかに記載の使用。
- 該ODNが、下記配列:
hhh wdi dhh h
nhh hhh wdi nhh hhh hhh wn
nhh wdi din hhh hdi ndi nh
nhh hhh wdi dhh hhh hhh wnまたは
nhh wdi did hhh hdi ddi dh
(式中、nはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシシトシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
hはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシシトシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
iは、デオキシイノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
wはいずれも、デオキシアデノシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、および
dはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−またはデオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'−デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート)
を含む、請求項1ないし9のいずれかに記載の使用。 - 該ODNが、2'−デオキシイノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートに3'側にて隣接した2'−デオキシシトシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートを少なくとも一つ含む、請求項1ないし10のいずれかに記載の使用。
- 該ODNが、下記配列:
gacitt、
iacitt、
gaictt、
iaictt
(式中、aは、デオキシアデノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
gは、デオキシグアノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
iは、デオキシイノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、
cは、デオキシシトシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート、および
tは、デオキシチミジン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェート)
を含む、請求項1ないし11のいずれかに記載の使用。 - 該ODNが、下記配列:
wdi、
wdid、
wdidinまたは
wdidid
(式中、w、d、iおよびnは前記と同じ)
を含む、請求項1ないし12のいずれかに記載の使用。 - 該ODNが、下記一般式:
5'−NMPn...NMP3NMP2NMP1NMP1’NMP2’NMP3’...NMPn’−3’(II)
(式中、nは、3〜50の整数;NMP1、NMP2、NMP3、...、NMPnおよびNMP1’、NMP2’、NMP3’、...NMPn’は、それぞれモノデオキシリボヌクレオチド;NMP1、NMP2、NMP3、...およびXnは同じかまたは異なるヌクレオチド、その際、該モノデオキシリボヌクレオチドのうち少なくとも一つはdIまたはdU;NMP1とNMP1’、NMP2とNMP2’、NMP3とNMP3’、...、NMPnとNMPn’中の塩基は、dIまたはdU残基を除き、ワトソンおよびクリックにより定められる意味で互いに相補的である)により示される少なくとも1つの構造またはその塩を含む、請求項1ないし13のいずれかに記載の使用。 - 請求項1に記載のオリゴヌクレオチドの有効量を主体のB細胞と接触させることを含む、主体のB細胞を活性化する医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 主体のナチュラルキラー細胞を活性化する医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 免疫系の不全を治療、予防または改善する医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 活性化リンパ球のイクスビボ産生用医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 免疫系活性化に関連する疾患を治療する医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 全身性エリテマトーデス用医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 敗血症用医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- ウイルス感染症を治療または予防する医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 空気流の急性低減を患うまたは患うおそれのある主体の治療用医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 免疫応答を誘発する医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- ウイルス媒介疾患を患うまたは患うおそれのある主体の治療用医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 慢性ウイルス感染症を患うまたは患うおそれのある主体の治療用医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 免疫促進医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用であって、該組成物がさらに抗原タンパク質をコードする核酸を含む、使用。
- 免疫応答を誘発する医薬の調製のための請求項27に記載の使用。
- 慢性であるかまたは慢性になりやすい感染性疾患を患うまたは患うおそれのある主体の治療用医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 慢性であるかまたは慢性になりやすい感染性疾患を患う主体の治療用医薬の調製のための請求項27に記載の使用。
- 主体において免疫応答を刺激する医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用であって、抗原に暴露された主体に相乗的な抗原特異的免疫応答を誘発するのに有効な量の免疫増強性サイトカインおよび該ODNを投与することを含み、該ODNは、好ましくは少なくとも下記式:5'X1,C(dI/dU)X2 3'(ここで、該オリゴヌクレオチドは少なくとも8つのヌクレオチドを含み、X1およびX2はヌクレオチドである)を含む、使用。
- 樹状細胞を相乗的に活性化する医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用であって、該製剤がGM−CSF、IL−4、TNFa、Flt3リガンド、およびIL−3よりなる群から選ばれたサイトカインをさらに含む、使用。
- 新生物疾患を患う主体の治療用医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 該製剤がさらに免疫増強性サイトカインを含む、請求項33に記載の使用。
- 避妊用医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 該製剤が、抗原、好ましくは生殖腺細胞抗原およびサイトカインまたは生殖腺細胞の維持に必要なホルモンからの抗原よりなる群から選ばれた抗原をさらに含む、請求項35に記載の使用。
- 寄生虫感染の予防用医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 真核生物寄生虫が感染した主体の治療用医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 主体の抗原提示細胞を活性化する医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
- 該医薬が、請求項1ないし14のいずれかに記載のODN、少なくとも1の治療剤および治療学的に許容しうる担体を含む、請求項1ないし39のいずれかに記載の使用。
- 該医薬がキットの形態で提供され、該ODNが少なくとも1の容器中にて提供され、治療剤が別の容器中にて提供される、請求項1ないし40のいずれかに記載の使用。
- 請求項1ないし14のいずれかに記載のODNおよび少なくとも7日間放出しうるポリマーを含む徐放デバイス。
- 該医薬が請求項42に記載の徐放デバイスを含む、請求項1ないし41のいずれかに記載の使用。
- 該医薬が、ポリカチオン性ポリマー、好ましくはポリカチオン性ペプチド、とりわけポリアルギニン、ポリリシンまたは抗菌ペプチド、とりわけカテリシジン由来抗菌ペプチド、または成長ホルモン、とりわけヒト成長ホルモンをさらに含む、請求項1ないし41および43のいずれかに記載の使用。
- 該医薬が、さらなる活性成分、とりわけサイトカイン、抗炎症物質、抗菌物質またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1ないし41および43ないし44のいずれかに記載の使用。
- 該医薬が、賦形剤物質、とりわけ薬理学的に許容しうる担体、緩衝液物質、安定化剤またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1ないし41および43ないし45のいずれかに記載の使用。
- 該医薬が、1ng〜1g、好ましくは100ng〜10mg、とりわけ10μg〜1mgの、請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの1またはそれ以上を含む、請求項1ないし41および43ないし46のいずれかに記載の使用。
- ヒトPBMC、ヒト骨髄性樹状細胞またはヒト形質細胞を特異的に誘発する医薬の調製のための請求項1ないし14のいずれかに記載のODNの使用。
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