JP2005518282A - 固体プランジャ潤滑剤のホットメルト塗布 - Google Patents

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Abstract

本発明は、プランジャ潤滑剤に相変化を生じさせるディスペンサを含む、ダイカスト装置に関する。ディスペンサは、また、プランジャ潤滑剤を供給する。本発明は、プランジャ潤滑剤を供給する以前にプランジャ潤滑剤に相変化を引き起こす、ダイカスト装置の潤滑方法に関する。本発明は、ディスペンサ内で相変化を起こす、プランジャ潤滑剤素材に関する。

Description

本発明は、プランジャ潤滑剤およびそのダイカスト工程(die casting process)における使用に関する。
ダイカスト工程は長年にわたり知られているが、いまだに問題がある。継続する問題の1つは、プランジャ潤滑剤、およびダイカスト金属部品の効率的でコスト効率の良い製造に必要なその他の潤滑剤の分野に関係する。既知の潤滑剤には、様々な環境、安全および管理の問題がある。
ダイカスト装置(die casting apparatus)は、一般に、金型(die)およびショットスリーブ(shot sleeve)を備える。鋳造しようとする溶融金属が、ショットスリーブに導入される。プランジャは軸方向にショットスリーブ中に延びて、溶融金属を金型中に押し込む。ショットスリーブおよびプランジャは、溶融金属がショットスリーブおよび/またはプランジャに溶着するために、またプランジャは、それがショットスリーブに対してこすり合わされるときに摩擦による大量の追加の熱を生成するために、潤滑を必要とする。さらに、潤滑剤はプランジャが、ショットスリーブの内壁に対して不均一にこすりつけられることを防止する。不均一なこすり合せは、円滑なプランジャ運動を妨げ、これは標準以下の鋳造(sub par cast)となる可能性があり、これは廃棄しなくてはならない。不均一なこすり合わせは、また、プランジャおよびショットスリーブの損耗の大幅な増大につながり、これによって、停止時間、修理コストが増大し、最終的にはプランジャの交換が必要となる。
様々な種類の潤滑剤が過去に使用されてきたが、結果は満足できるものではなかった。油を基材とする潤滑剤は、溶融金属または繰り返し使用で高温になるショットスリーブと接触すると、煙を出して劣化する傾向あるために、好ましくない。油を基材とする潤滑剤は、それらがかさばるために、大容量の貯蔵場所を必要とした。さらに、油を基材とする潤滑剤は、床に飛散すると、すべり転倒の危険がある。
水を基材とする潤滑剤は、油を基材とする潤滑剤の発煙と劣化の問題を回避するが、それ自体の欠点がある。主な欠点は、溶融金属は水と接触すると激しい反応を起こすため、溶融金属を導入する前に、水担体を完全に蒸発させなくてはならないことである。水を基材とする潤滑剤は、一般に圧縮空気を使用してショットスリーブ中に噴霧される。圧縮空気と圧縮空気を生成するのに使用する機械の騒音によって、相応の追加のコストを伴う騒音対策構造を使用することが必要となる。さらに、液体潤滑剤は、ポンプおよびチューブを必要とするが、これらは長期の使用による機械的故障を起こしやすい。水を基材とする潤滑剤は、グラファイトまたはその他の無機質粒子などの粒子状材料を含むことが多く、これらは、潤滑剤を塗布するノズルに、あるいはその中に凝集しやすい。このことは、ノズルは定期的に清浄化しなくてはならないために、潤滑剤を塗布するのに使用する機械の信頼性を低下させる。さらに、部分的に阻止されたノズルからショットスリーブの部分的な潤滑が起こり、ショットスリーブ中でのプランジャの不均一なこすれ合いおよびそれに伴う問題につながる可能性がある。また、水を基材とする潤滑剤は、それらがかさばるために、大容量の貯蔵場所を必要とした。
ペレット、粉末および薄片(flake)の形態の固体を含む、その他の種類の潤滑剤が使用されてきた。これらには、水を基材とする潤滑剤と同様の、いくつかの欠陥があった。既知のペレット化潤滑剤は、塗布時に床の上で弾み、すべり転倒事故(slip-and-fall hazard)を起こしやすい。粉末およびフレーク潤滑剤は、それらの使用を有効にするために複雑な追加の機械を必要とし、したがってその使用はより高価で、多くの労働を必要とする。さらに、この潤滑剤材料は、その入手が制約されているために、水を基材とする潤滑剤よりも、より高価になることがある。
さらに、すべての既知の潤滑剤には、重大な清潔性の問題がある。既知の液体潤滑剤は、塗布したときに、過剰に飛散しやすい。既知の粉末潤滑剤は、埃っぽい作業状態を形成しやすい。いずれの場合にも、飛散した潤滑剤は、空の潤滑剤容器を転換する妨げとなり、不快な作業条件を生じ、かつ火災の危険を伴うので、作業領域を清潔で安全に保つために、大量の時間、エネルギーおよび費用を使わなくてはならない。
したがって、前記欠点の1つまたは複数を克服する、プランジャ潤滑剤、および関連するそれらの潤滑剤の塗布方法を改良することにある。
本発明は、プランジャ潤滑剤に相変化を起こさせるディスペンサを含む、ダイカスト装置に関する。このディスペンサは、プランジャ潤滑剤も供給する。本発明は、プランジャ潤滑剤を供給するのに先立って、プランジャ潤滑剤内に相変化を起こさせる、ダイカスト装置の潤滑方法にも関する。本発明は、また、ディスペンサ内で相変化を生じるプランジャ潤滑剤素材(blank)に関する。
図1を参照すると、ダイカスト装置10は、水平円筒形ショットスリーブ(shot sleeve)12を含む。プランジャ14は、ショットスリーブ12内で、図1に示す後退位置から金型16に近い前進位置(図示せず)まで可動である。金型16は、金型半型18、20を備え、これらが金型空洞22を画定している。ショットスリーブ12は、金型空洞(die cavity)22と流体連通している。
動作に際して、本発明による潤滑剤を、ディスペンサ(dispenser)24に装入する。潤滑剤はディスペンサ24から、注入穴26を介してショットスリーブ12中に導入される。これを、各動作サイクルの最初に実施し、この間プランジャ14は図1に示すようにその後退位置にある。次いで、所望量の溶融金属を、注入穴26を介してショットスリーブ12に導入する。次いで、プランジャ14が、注入穴26をふさぐまで、金型16の方向に前進する。プランジャ14は、さらに所定の距離だけ前進し、溶融金属を金型空洞22中に注入する。溶融金属の凝固を可能にする、予め設定した滞留時間後に、金型16を開放して、プランジャ14をさらに前進させて全ストロークを完了し、そこで鋳造物(casting)が金型の静止半型20から開放される。これによって、残った凝固プラグ(solidified plug)をショットスリーブ12から取り除く。次いで、プランジャ14を開始位置に後退させて、鋳造物が金型の移動半型18から放出される。次いで、装置は次のサイクルの準備を完了する。
ディスペンサにはホッパーを含めて、ここにプランジャ潤滑剤を受け入れ、供給前にまとめて貯蔵してもよい。ホッパーの1つの可能な実施形態を、図1に参照番号28で示してある。任意好適なディスペンサを使用することができるが、その選択には、安価な方法で、計量された量のプランジャ潤滑剤を供給することのできるものを重視する。有用な一実施形態においては、ディスペンサはホットメルト・ディスペンサ(hot-melt dispenser)である。このディスペンサは、注入穴においてショットスリーブに連結することができる。代替方法として、ディスペンサは、図1に示すように、ショットスリーブから分離してもよい。
ディスペンサにノズルを含めて、プランジャ潤滑剤を供給するのを支援することもできる。任意の種類のノズルを、ディスペンサと組み合わせて使用することができる。しかしながら、好ましいノズルは、飛沫の生成が最少であり、計量された量の潤滑剤を供給し、また、ショットスリーブ内で所望のパターンの潤滑剤到達範囲を達成するものである。例えば、ノズルは、潤滑剤を滴下方式(drop-wise manner)、小流(stream)方式、噴霧式、または空気霧化噴霧(air atomized spray)などの霧(mist)として、提供することができる。多種多様な追加の構成要素および方法を使用して、プランジャ潤滑剤の供給を容易にすることができる。
プランジャ潤滑剤は、潤滑剤を使用すべき応用のための任意好適な潤滑剤でよい。ショットスリーブを潤滑することのできる一般的な材料を、本発明の組成物に使用することが考えられる。好ましいプランジャ潤滑剤は、比較的発煙が少なく、製造が比較的安価であり、かつディスペンサへの装入が容易であるものを選択する。好ましいプランジャ潤滑剤の1つとして、潤滑剤を使用しようとするショットスリーブの動作温度の範囲にある溶融温度を有する、固体潤滑剤がある。
潤滑剤としては、例としてのみであるが、金属セッケン、脂肪酸、グラファイト、セラミックス、高融点ポリマー樹脂、天然および合成ワックス、ギルソナイト、ガラス類、およびこれらの材料の混合物が挙げられる。
有用な金属セッケンとしては、多種類のスルホン酸塩、ナフテン酸塩、およびカルボン酸塩が挙げられる。これらの中で、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸ナトリウムなどの脂肪酸セッケンは、それらの既知の特性、その入手の容易さ、および低価格の理由から好ましい。しかしながら、潤滑特性において知られている他の金属セッケン、例えば、例としてのみであるが、スズ、銅、チタン、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ならびにアルカリおよびアルカリ土類金属の脂肪酸のセッケンも、有利に含まれる。
脂肪酸類も含めてもよく、これらは、その比較的低いコスト、入手の容易さ、組成物の全体的な潤滑性に対する貢献のために、このような使用に対して魅力的である。一例としてはステアリン酸があり、これは、潤滑特性に優れ、無毒性であり、安価で、入手が容易であるので、有利に使用される。
グラファイト、および窒化ボロン、窒化ケイ素、または炭化クロムなどのセラミック材料は、二硫化モリブデンと同様に、プランジャ潤滑剤への添加剤として有用である。
有用な高融点ポリマー樹脂としては、例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルセルロース、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、および前記の任意の共重合体樹脂が挙げられる。実際に、ほとんどすべての熱可塑性材料を使用することができる。
有利に使用することのできる天然および合成ワックスの内で、比較的高分子量のポリエチレン・ワックスが、それらが付与する潤滑性のために、一般的に好ましい。しかしながら、ポリプロピレンワックス、ビスアミド(bisamide)ワックス、エステルワックス、マイクロクリスタリンワックス、蜜蝋、パラフィンワックス、酸化ワックス、コポリマーワックス、カルナウバワックスも好ましい。
本発明において有用なガラス材料には、好ましくは、アルミナ、アルミナ/シリカ、シリカ、またはホウ砂がある。任意選択で、これらのガラス材料は、細断した繊維形態で使用することができる。珪藻土、タルク、マイカ、その他の金属酸化物、ホウ酸、木材粉、およびリン酸エステルを含むリン化合物も有用である。
プランジャ潤滑剤は、ディスペンサ内での使用および/またはホッパーへの装入に便利な、任意の形態、形状および大きさとすることができる。例えば、好ましい潤滑剤は、粉末、微粒、薄片、またはチューブ、棒、ディスク、またはレンガの形状の固体素材(solid blank)とすることができる。さらに、潤滑剤は、スプール上に巻いた固体素材とすることができる。選択した潤滑剤の形態、形状および大きさに応じて、様々な手動および自動装置を使用して、潤滑剤をホッパーに装入することができる。好ましくは、プランジャ潤滑剤は、固体素材である。
動作に際して、ディスペンサは、潤滑剤の1つの相状態から別の相状態への相変化を推進するのに必要な動作条件をもたらすことによって、プランジャ潤滑剤の相変化を引き起こす。プランジャ潤滑剤は、ディスペンサに装入された後に、少なくとも部分的に、少なくとも1回の相変化を起こす。相変化は、プランジャ潤滑剤が供給される以前またはそれと同時に起こる。便宜のために、両方の状況とも、供給される以前に起こる相変化と呼ぶことにする。固体から液体への相変化をする潤滑剤が好ましいが、液体から固体への相変化をする潤滑剤も考えられる。
潤滑剤に対する1回の相変化が好ましいが、潤滑剤は、複数回の相変化を起こして、ディスペンサ内にある間に、複数の相の間で循環してもよい。さらに、潤滑剤が、部分的相変化を起こすことによって、ディスペンサ内で2つの相状態で同時に存在することもできる。好ましくは、供給に先立って、供給の準備ができたプランジャ潤滑剤、すなわちノズル近くの潤滑剤は、完全な相変化は必要ではないが、1つの相状態から他の相状態への相変化を実質的に完了している。言い換えると、プランジャ潤滑剤は、供給されるときには、単一相状態にあるのが好ましいが、2つの相状態を有するプランジャ潤滑剤も供給することができる。そのような潤滑剤は、ダイカスト装置の通常の動作条件において、溶融する材料と、溶融しない材料との組み合わせとしてもよい。
潤滑剤の適当な相状態、または相状態の組み合わせが、ディスペンサ内で達成された後に、ディスペンサは、好ましくはノズルを介して、潤滑剤をショットスリーブ中に供給する。この潤滑剤は、ショットスリーブに受け入れられるときには、供給されたときと、同一または異なる相状態であってもよい。さらに、潤滑剤は、ショットスリーブ中に受け入れられるときに、相状態を組み合わせることもできる。一実施形態においては、潤滑剤は、液体として供給されて、ショットスリーブに受容されたときに液体である。別の実施形態においては、潤滑剤は液体として供給されて、ショットスリーブに受容されたときには固体である。第3の実施形態においては、潤滑剤は液体として供給され、ショットスリーブに受け入れられるときには、液体中心を有する固体シェルを有する。第4の実施形態においては、固体と液体の組み合わせとして供給され、ショットスリーブに受け入れられるときには液体である。第5の実施形態においては、潤滑剤は、固体と液体の組み合わせとして供給され、ショットスリーブに受け入れられるときには、固体と液体の組み合わせである。この実施形態は、ダイカスト装置に対する通常の動作条件において、溶融する材料と溶融しない材料との組み合わせである潤滑剤をその範囲に含む。
本発明を、その特定の実施形態に関係して記述したが、これは説明のためであり、限定のためのものではないことを理解すべきであり、添付の請求項の範囲は、従来技術が許す限り広い範囲で解釈すべきである。
本発明を利用することのできる、ダイカスト装置を示す図である。

Claims (24)

  1. 第1の相状態にあるプランジャ潤滑剤を、少なくとも部分的に、第2の相状態に相変化をさせるように適合され、かつ前記プランジャ潤滑剤をショットスリーブに供給するように適合されたディスペンサを備える、ダイカスト装置。
  2. プランジャ潤滑剤を前記ディスペンサから受け入れるように適合されたショットスリーブをさらに備える、請求項1に記載のダイカスト装置。
  3. 第1の相状態が固体で、第2の相状態が液体である、請求項1に記載のダイカスト装置。
  4. 前記ディスペンサが、前記プランジャ潤滑剤を実質的に第2の相状態で供給するように適合されている、請求項1に記載のダイカスト装置。
  5. 前記ディスペンサが、前記プランジャ潤滑剤を2つの相状態で供給するように適合されている、請求項1に記載のダイカスト装置。
  6. 前記プランジャ潤滑剤が固体素材である、請求項1に記載のダイカスト装置。
  7. 前記ディスペンサが、計量された量のプランジャ潤滑剤を提供するように適合されたノズルを含む、請求項1に記載のダイカスト装置。
  8. 前記ノズルが、滴下式ノズル、流れ式ノズル、または噴霧ノズルからなる群から選択される、請求項7に記載のダイカスト装置。
  9. 前記ディスペンサ内に、ホッパーをさらに含む、請求項1に記載のダイカスト装置。
  10. 前記プランジャ潤滑剤が、少なくとも部分的に、第2の相変化を起こすように適合されている、請求項1に記載のダイカスト装置。
  11. 前記ディスペンサおよび前記ショットスリーブが、プランジャ潤滑剤における第2の相変化を防止するように適合されている、請求項1に記載のダイカスト装置。
  12. 第1の相状態にあるプランジャ潤滑剤を、少なくとも部分的に、第2の相状態に相変化を起こさせるように適合され、かつ前記プランジャ潤滑剤を供給するように適合されたディスペンサと、
    前記ディスペンサから前記プランジャ潤滑剤を受け入れるように適合されたショットスリーブとを備える、ダイカスト装置。
  13. プランジャ潤滑剤において相変化を引き起こすステップと、
    前記プランジャ潤滑剤を供給するステップとを含む、ダイカスト装置の潤滑方法。
  14. 前記プランジャ潤滑剤を、ショットスリーブ中に供給する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記の引き起こすステップを、前記供給するステップに先立って行う、請求項13に記載の方法。
  16. 前記の引き起こすステップを、前記供給するステップと同時に行う、請求項13に記載の方法。
  17. 前記相変化が、固体から液体である、請求項13に記載の方法。
  18. 前記プランジャ潤滑剤内で、第2の相変化を引き起こすステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  19. 前記供給するステップが、前記プランジャ潤滑剤を、滴下方式、流れ方式、または噴霧からなる群から選択される方法で、供給するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  20. 前記引き起こすステップが、前記プランジャ潤滑剤を溶融させるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  21. ディスペンサ内で、少なくとも部分的に、少なくとも1つの相変化を起こすプランジャ潤滑剤素材を備える、製造製品。
  22. 前記素材が、固体から液体への相変化を起こす、請求項21に記載の製品。
  23. 前記素材が、天然ワックスまたは合成ワックスを含む、請求項21に記載の製品。
  24. 前記素材が、ダイカスト装置の通常の動作条件において溶融しない少なくとも1種の材料を含む、請求項21に記載の製品。
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