JP2005516910A - チモシン−α1による神経膠芽腫の治療 - Google Patents

チモシン−α1による神経膠芽腫の治療 Download PDF

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Abstract

悪性神経膠芽腫の有効な治療として、チモシン−α1がカルムスチン(BCNU)と組合せてアジュバントとして用いられる。

Description

[関連出願データ]
本出願は、仮出願第60/337,149号(2001年12月10日出願)の利益を主張する。
[発明の背景]
神経膠芽腫は、成人における最も一般的な原発性CNS悪性新生物であり、その症例のほぼ75%を占める。神経画像処理、顕微手術および放射線照射の改良により、それらの治療は着実に進歩してきたが、しかし神経膠芽腫は依然として不治である(McDonald, 2001; Burton, 2000; Prados, 2000)。平均余命は診断から1年未満であり、全腫瘍切除を含めた積極的療法後の5年生存率は10%未満である(Burton, 2000; Nieder, 2000; Napolitano, 1999; Dazzi, 2000)。神経膠芽腫は、脳における急速な、攻撃的および浸潤性の増殖のために、死を引き起こす。浸潤性増殖パターンは、これらの腫瘍の切除不能な性質に関与する。神経膠芽腫は放射線照射および化学療法に対しても比較的耐性であり、したがって治療後再発率は高い。さらに新生物細胞に対する免疫応答は主として、切除および照射療法後の残留新生物細胞の完全根絶に有効でない(Roth, 1999; Dix, 1999; Sablotzki, 2000)。
悪性神経膠腫細胞は、T細胞増殖およびIL−2の産生を減損する免疫抑制ペプチドを産生することにより、宿主の免疫系による検出を免れる(Dix, 1999)。悪性新生物細胞を検出されずに増殖させるCNSも、多少免疫的特権が与えられる。患者における神経膠芽腫の有効治療に関する探索は、今日、依然として続いている。これらの新生物細胞と闘うための免疫療法または免疫系の動員による治療は、多くのモデルで探索されてきた。チモシンフラクション5(TF5)、チモシンα−1(チマルファシン)、IFN−αおよびIL−2は、悪性新生物と闘うそれらの能力に関して研究されてきた多数の免疫関連構成成分のうちの1つである。
カルムスチン(ビスクロロエチルニトロソウレア、BCNUまたはBiCNU)は、クロロエチルニトロソウレアファミリーの化学療法剤であり、これはその他の化学療法薬、例えばクロロゾトシン(DCNU)(Anderson, 1975)、ロムスチン(CCNU)(Carter, 1968)、ニムスチン(Saijo, 1980)およびラニムスチン(Sekido, 1979)を包含する。クロロエチルニトロソウレアは、原発性脳腫瘍に関して、長年、単一治療化学療法として利用されてきた。しかしながら歴史的統計は、脳腫瘍における単一作用物質としてのこれらの化合物の有効性を必ずしも支持しているとは思えない(例えばAquafedda等)。カルムスチンと放射線療法の組合せは、放射線療法単独と比較した場合、悪性神経膠芽腫に罹患した患者における長期(18ヶ月)生存において適度の利点を生じたが、しかし生存曲線間の差は、0.05レベルで有意でなかった(Walker, 1980)。
チモシンα−1(チマルファシン)は、循環中で見出される天然に存在する化合物の合成形態である28−アミノ酸ペプチドである(Bodey, 2000; Bodey, 2001)。チマルファシンは、胸腺細胞の増殖および分化、IL−2、T細胞IL−2受容体、IFN−γおよびIFN−αの産生を刺激する(Andreone, 2001; Sztein, 1989; Knutsen, 1999; Spangelo, 2000; Tijerina, 1997; Garbin, 1997; Attia, 1993; Cordero, 1992; Baxevamis, 1994 & 1990; Beuth, 2000)。チマルファシンは、B型肝炎ウイルス感染(Chan, L-Y, 2001)、C型肝炎感染(Chan, H.L., 2001; Sherman, 1998; Schinazi)、肺または頭および首の癌、黒色腫(Bodey, 2000 & 2001; Garaci, 2000)およびAIDS(Billich, 2002)を治療するために臨床試験に用いられてきた。神経膠芽腫に対するT細胞応答性低減の証拠と組合せたこれらの研究の前途有望な結果は、悪性神経膠腫を治療するためのチマルファシン免疫療法の潜在的療法的利点を評価し、そしてチマルファシンがその抗腫瘍作用を発揮するメカニズムを確定する本発明の研究を導いた。
[発明の要約]
神経膠芽腫は、ほとんど常に診断の12ヶ月以内に死をもたらす高度悪性中枢神経系(CNS)新生物である。炎症誘発性サイトカイン、例えばIL−2またはIL−12を用いた免疫療法は神経膠芽腫を有する患者の生存を延長し得る、ということを近年の研究は示した。チモシンα−1(チマルファシン)は、免疫モジュレーターとして作用して、IL−2産生およびT細胞増殖を増大する胸腺ペプチドである。本発明の研究は、全ての他の群と比較して、チマルファシン+BCNUで処置された被験者における腫瘍容積の低減およびリンパ−単核球炎症細胞応答の増大を有意に実証した。in vitro実験は、チマルファシン治療が、培養9L細胞における生存度またはミトコンドリア機能に直接的作用を及ぼさない、ということを実証した。しかしながらチマルファシン治療は、FasL、FasRおよびTNFα−IR(それぞれ65.89%、44.08%および22.18%)を含めた前アポトーシス遺伝子発現レベルの有意の増大を生じた。さらにチマルファシン治療は、普通では非致死用量のHがチマルファシンで処置されていた9L細胞の30〜50%を死滅するよう、9L細胞を酸化的ストレスに対してより感受性にさせた。さらなる試験は、チマルファシンが、グランザイム(Granzyme)B−(T細胞)またはBCNU媒介性死滅に対する9L細胞感受性を増強する、ということを明示した。チマルファシンはin vivoで神経膠芽腫のクロロエチルニトロソウレア媒介性根絶を増強し、そしてチマルファシンは前アポトーシスメカニズムを活性化することによりその作用を媒介して、グランザイムB(T細胞)または化学療法による酸化的ストレスおよび死滅に対して新生物細胞をより感受性にさせる、ということを結果は示す。
[詳細な説明]
チマルファシンは神経膠芽腫細胞の免疫媒介性死滅を強めて、クロロエチルニトロソウレア化学療法化合物と組合せたアジュバントとしてのその使用を有効な抗神経膠芽腫療法にし得る、ということがここで判明した。
本発明は、チマルファシン(TA1)ペプチド(例えば天然に存在するTA1、ならびに天然に存在するTA1のアミノ酸配列、それと実質的に同様のアミノ酸配列またはその省略配列形態を有する合成TA1および組換えTA1)に、そしてTA1と実質的に同様の生物活性を保有する置換配列、欠失配列、伸長配列、交換配列または他の方法で修飾された配列を有するそれらの生物学的活性類似体(例えばTA1と実質的に同一の活性を有して実質的に同一方法でそれが機能するよう、TA1と十分なアミノ酸相同性を有するTA1由来ペプチド)に適用可能である。
神経膠芽腫の実験モデルを用いたin vivo試験は、BCNU処置は腫瘍容積を有意に低下する一方、その応答は多くの症例(case)で異質で、検出可能な応答を示さない、ということを実証した。しかしながらチマルファシン+BCNUによる治療は、平均腫瘍容積の低減および約25%の症例における腫瘍治癒の両方に関して有意の療法的利点を提供した。腫瘍容積のチマルファシン+BCNU媒介性低減は、脳における新生物細胞内のおよびそれを取り囲むリンパ−単核球浸潤物の増大に関連した。残留腫瘍が見出されない症例では、神経膠症瘢痕組織および初期腫瘍細胞浸潤物に関連したわずかな炎症のみが検出された。神経膠芽腫治癒は、低用量および高用量チマルファシン+BCNUで処置された群の約25%で観察された。
いくぶん予期せぬ知見は、チマルファシンのみの群は対照と同一になるかまたは悪くなることであった。しばしば、チマルファシンで処置されたラットの脳は、増殖中腫瘍塊と併合された炎症および浮腫のために、より腫脹され、ヘルニアが形成された。この点で、腫瘍細胞死滅は2つの群において同様であるが、しかし浮腫およびヘルニア形成は高濃度のチマルファシンを摂取した群においてより優勢であったため、低濃度のチマルファシン±BCNUで処置されたラットは、高濃度のチマルファシン±BCNUで処置されたマウスより良好な結果を示した、ということは注目に値する。
したがってチマルファシン処置単独は神経膠芽腫を根絶せず、そして付随性腫瘍細胞死滅の非存在下での過剰腫脹のために、おそらくは有害であった。結果はさらに、チマルファシンが悪性新生物細胞に及ぼす直接的細胞傷害性作用をほとんどまたは全く有さず、そしてチマルファシン+BCNU処置で観察された付加的腫瘍細胞死滅はチマルファシンの間接的作用により媒介される、ということを示唆した。チマルファシンで処置されたラットの脳では、主としてT細胞およびマクロファージとして特性化されたリンパ−単核球炎症細胞の密度増大という知見は、エフェクター免疫細胞を悪性新生物に動員するに際して、チマルファシンが重要な役割を有する、ということを示唆する。
一連のin vitro実験を実行して、チマルファシンがその抗神経膠芽腫作用を媒介するメカニズムを確定した。初期試験は、チマルファシンが神経膠芽腫細胞に有意の直接的細胞傷害性作用を及ぼさないことを確定した。他の細胞型、例えば神経芽細胞腫細胞および有糸分裂後皮質ニューロンに関して、同じことが言えた。これらの研究を拡大するために、チマルファシンが細胞機能に悪影響を及ぼさないか、そしておそらくはアポトーシスに対してそれらをより感受性にさせるか否かを、われわれは評価した。これを行なうために、前アポトーシスおよび前生存遺伝子(pro-survival)、ならびに増殖およびハウスキーピング遺伝子の発現レベルをわれわれは調べた。それらの試験は、24または72時間のチマルファシン処置が9L神経膠芽腫細胞における前アポトーシス遺伝子のレベルを有意に増大する、ということを明示した。同様の結果は、Sy5y神経芽細胞腫細胞に関して得られた。293細胞において、同一現象が認められたが、但し、前生存メカニズムは阻害され、前アポトーシス遺伝子は影響を受けなかった。これらの知見は、チマルファシンは直接的細胞傷害性作用を有さないが、しかしそれは前アポトーシス遺伝子の基本的発現を増大するか、または生存遺伝子の基本的発現を低減することにより細胞傷害性作用物質に対して細胞をより感受性にさせ得る、ということを示唆する。この仮説を試験するために、チマルファシンで処置された細胞が酸化的ストレスまたはクロロエチルニトロソウレア媒介性死滅に対してより感受性であるか否かを、われわれは確定した。チマルファシン処置の24または72時間後、亜致死濃度のHまたはBCNUはそれぞれ、25%または40%の9L細胞を死滅する、ということを試験は示した。したがってチマルファシンの作用の少なくともいくつかは、全体的に免疫調整ならびにT細胞およびマクロファージの動員によるものであるというよりむしろ、新生物細胞に及ぼすその作用により媒介された。
チマルファシンおよび関連分子の免疫調整特性は、確立されている。その主な作用は、前炎症性サイトカイン産生およびリンパ球増殖を増大することである。活性化Tリンパ球は、FasL−FasR相互作用を介して、ならびにパーフォリン−グランザイム系を活性化することにより、標的細胞を死滅する。チマルファシンで処置された9L神経膠芽腫細胞におけるFasL/FasR発現増大という知見は、活性化T細胞がFasL/FasR相互作用によりこれらの標的細胞を有効に死滅し得る、ということを示唆する。しかしながら活性化T細胞の代わりにSLO(透過化剤)および組換えグランザイムBを用いて構築された新規のin vitroアッセイを利用すると、SLOおよびグランザイムBへの曝露により、チマルファシンで処置された9L神経膠芽腫細胞が迅速に死滅される、ということをわれわれは実証した。これらの知見は、チマルファシンが、以下のいくつかの方法で神経膠芽腫細胞の免疫媒介性死滅を有効に促進し得る、ということを示唆する:1)前アポトーシス遺伝子発現の基礎レベルを増大して、酸化的ストレスおよび細胞傷害性/化学療法剤に対して細胞をより感受性にさせる、2)活性化T細胞上のFasLと相互作用し、アポトーシス増大をもたらし得るFasRのレベルを増大する、および3)活性化T細胞およびマクロファージを動員し、標的腫瘍細胞のパーフォリン−グランザイム媒介性死滅を増強する。さらに結果は、神経膠芽腫のチマルファシン処置が、クロロエチルニトロソウレアと組合せて、しかしスタンドアローン(stand-alone)剤としてではなく用いられる場合、有効である、ということを強く示す。結果は、単独で投与されるチマルファシンは、最小限の腫瘍細胞根絶に伴う腫脹および炎症増大のために、有害であり得ることを実質的に証明した。したがって神経膠芽腫の治療におけるチマルファシンに関する最も適切な役割は、宿主免疫応答を高め、従来の化学療法では生き残る残留腫瘍細胞を根絶するためのアジュバント剤としてである。
要するに、本明細書中に記載された研究は、チマルファシンが、以下のいくつかのチャンネル、即ち1)酸化的ストレスまたは細胞傷害性/化学療法薬に対する腫瘍細胞感受性増大をもたらす前アポトーシス/生存遺伝子の調整、2)FasR/FasL媒介性免疫細胞死滅カスケードを促進すること、および3)パーフォリン−グランザイム媒介性免疫細胞死滅に対する標的細胞感受性を増大することで媒介される抗神経膠芽腫作用を示す、ということを実証する。しかしながらその抗神経膠芽腫特性に関するチマルファシンの治療効果は、クロロエチルニトロソウレアの同時投与によって異なり、チマルファシンは決定的抗新生物薬というよりむしろ、アジュバント免疫モジュレーターとして最もよく適している、と力説する。他の化学療法化合物と組合せた場合、チマルファシンは、従来の化学療法を用いて一般的に観察されるよりも有意に効率で、腫瘍容積、進行および再発を低減するのを助ける際に、同様の肯定的効果を有するとも考えられる。
本発明は、ネイティブ(すなわち天然に存在する)チマルファシン、ならびにネイティブチモシンのアミノ酸配列、それと実質的に同様のアミノ酸配列またはそれからの省略配列を有する合成チマルファシンおよび組換えチマルファシン、そしてチマルファシンと実質的に同様の生物活性を保有する置換、欠失、伸長、交換またはその他の方式の修飾配列を有するそれらの生物学的活性類似体に適用可能である。
チマルファシンの単離、特徴付けおよび使用は、例えば米国特許第4,079,127号、米国特許第4,353,821号、米国特許第4,148,788号および米国特許第4,116,951号に記載されている。BCNUの化学療法作用の所望程度の強化を引き出すのに必要なチマルファシンの量は、にちじょう用量滴定実験により確定され得る。チマルファシンは、16mg/体重1kg/日という高い用量で投与した場合、ヒトに安全であることが判明している。チマルファシンの好ましい用量は、0.001mg/体重1kg/日〜10mg/体重1kg/日の範囲であり、約0.02mg/体重1kg/日の用量が最も好ましい。
クロロエチルニトロソウレアは、注射により、経口的に、生分解性ウェーハを介して、または当該技術分野で既知の任意のその他の便宜的手段により、約90〜250mg/mの用量で投与され得る。それは、単回投与、または2日連続で75〜100mg/mといったような分割投与され得る。初回投与量からのその後の薬用量は、以前の投与量からの患者の血液学的応答により調整されるべきである。血球数は毎週モニタリングする必要があり、血液学的毒性は遅延性であり、蓄積性であるため、6週間前に反復投与されるべきでない。好ましいクロロエチルニトロソウレアは、150〜200mg/mの用量で、6週間ごとに静脈内投与され得るものである。BCNUは、腫瘍床に直接、生分解性ウェーハ(例えばグリアデル(Gliadel)、Guilford Pharmaceuticals)の移殖によっても投与され得る。投与が生分解性ウェーハによる場合、同時投与されるチマルファシンはウェーハ中で直接BCNUと併合され得るのが便利である。
実施例1:9Lおよび293腫瘍株化細胞のチモシン−α1処置
腫瘍株化細胞:ラット9L神経膠芽腫細胞および293ヒト腎細胞を、5%FCS、2mMのL−グルタミンおよび100μMの非必須アミノ酸を補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(Gibco-BRL, Grand Island, NY)中に保持した。5%COを含む保湿大気中で37℃で、全株化細胞を保持した。株化細胞は、American Type Culture Collection(アメリカの培養細胞バンク)から入手し、病原体なしと証明された。
チモシンα1処置:急性チマルファシン処置に関しては、96ウエルプレート中に20,000細胞/ウエルの細胞密度で植え付けた細胞を、10−5Mのチマルファシンで24時間処置した。チマルファシンで慢性処置した細胞をフラスコ中で増殖させ、処置持続期間中(3日間)、10−5Mのチマルファシン(新鮮培地に添加)で24時間処置した。さらに9L細胞に関するチマルファシンに対する用量応答曲線の確定のために、細胞を連続希釈量のチマルファシンで処置して、50uM〜0.022uMの範囲のチマルファシン濃度を得た。
を細胞とともに用いて、酸化的ストレスを誘導した。チマルファシンまたは賦形剤で24時間処置されていた細胞を、9μM〜1.8mMの濃度範囲のHに曝露し、次に、記載されたようなCVおよびMTTアッセイを用いて生存度およびミトコンドリア機能に関して評価した。連続希釈量のチマルファシンを細胞に投与した実験では、一定量の1.8mMのHを用いて細胞を処置した。9L細胞に関しては、細胞を処置するために用いる正確なH濃度を確定するために、H曲線を示した。
9Lおよび293株化細胞でMTTアッセイを実行して、細胞のミトコンドリア機能に及ぼすチマルファシン処置および/またはH誘導性酸化的ストレスの作用を確定した。処置後、100μlの培地を含む各ウエルに10μlのMTT溶液を添加した。プレートを、MTT染料とともに37℃のインキュベーター中で、細胞型により15分〜1時間インキュベートした。次に培地を除去し、200μlの酸性イソプロパノールを各ウエルに添加した。細胞溶解が起こるまでプレートを室温で振盪し、次に540nmでPackard SpectraCount(商標)機で読み取った。
96ウエルプレート中の細胞を染色するために、クリスタルバイオレット(CV)も用いた。培地を捨てた後、20μlのクリスタルバイオレットを各ウエルに添加し、室温で10分間振盪した。次にプレートを温水で数回洗浄し、乾燥した。100〜200μl(細胞密度により)のPBS w/1%SDS を各ウエルに添加した。細胞が十分に溶解されるまで、振盪器上で室温でプレートをインキュベートした。プレートを540nmで読み取って、試験した種々の群間の細胞生存度の差を検出した。
マイクロタイター免疫細胞化学的ELISA(MICE)アッセイ(de la Monte, 1999)を、9Lおよび293細胞で実行した。細胞を96ウエルプレート中に植え付けて、10−5Mのチマルファシンで24時間処置し、一晩組織固定した後、MICEアッセイを用いて分析した。固定細胞をトリス緩衝生理食塩水(50mMのトリス、pH7.5、0.9%NaCl;TBS)中の0.05%サポニンで透過化し、Superblock−TBS(Pierce, Rockford, IL)でブロックし、次に0.05%Tween−20および0.5%ウシ血清アルブミンを含むTBS(TBST−BSA)中で0.5〜1ug/mlに各々希釈した増殖中細胞核抗原(PCNA)、bcl−2、p21/Wwaf−1、p53、FasL、FasR、TNF−R1またはGAPDHに対する一次抗体を用いて、4℃で一晩インキュベートした。ホースラディッシュペルオキシダーゼ接合二次抗体(Pierce, Rockford, IL)およびTMB可溶性基質(Pierce, Rockford, IL)を用いて、免疫反応性を検出した。1MのHSOの添加により反応を停止させ、スペクトラカウントマイクロプレートリーダ(Packard Instrument Co., Meriden, CT)で450nmで吸光度を測定した。その後、クーマシーブルー染料で接着細胞を染色し、溶離染料の吸光度を測定することにより、細胞密度を測定した(de la Monte, 1999)。MICE指数は、同一培養ウエル中で測定されたTMBおよびクーマシーブルー吸光度の算定比であった。16の同型培養ウエルから得た結果の平均±S.D.を、群間統計学的比較のために用いた。
9L細胞を種々の濃度のチマルファシンで24時間処置した第一実験は、MTTアッセイにより観察されたように、細胞ミトコンドリア機能のわずかな低減を示した(図1)。細胞死は、アポトーシスまたは壊死というよりむしろミトコンドリア機能不全により媒介され得るため、ミトコンドリア機能を測定した。試験は、賦形剤で処置した対照およびチマルファシンで処置した培養において同様のレベルの生存度およびMTT活性を実証した(図1)が、これは、チマルファシンがin vivo結果と一致して、9L神経膠芽腫細胞に及ぼす直接的細胞傷害性作用を有さないことを示す。同様の結果は、他の株化細胞、例えば293腎細胞およびSH−Sy5yニューロン細胞に関して得られた(データは図示せず)。
チマルファシンは直接的細胞傷害性作用を有さなかったため、神経膠芽腫の増殖を抑制するようチマルファシンが機能し得る他の考え得るメカニズムを探究した。この点で、対照としてハウスキーピング遺伝子発現を用いて、アポトーシスまたは細胞生存を促す遺伝子産物の発現を調べた。マイクロタイター免疫細胞化学ELISA(MICE)アッセイを用いて、96ウエルプレート中で試験を実施して、多同型培養からデータを得た。24時間のチマルファシン処置は、賦形剤で処置した対照と比較して、FasR(44.08%)、FasL(65.89%)およびTNF−R1(22.18%)のレベルの有意の増大を生じた(P<0.01;図2)。これに対比して、bcl−2およびGAPDHの発現レベルは、チマルファシン処置により有意に影響されなかった。293細胞を用いた試験も実施し、これはbcl−2(36.67%;P<0.01)における有意の低減を実証したが、しかしFasR、FasLまたはTNF−R1発現のレベルに有意の変化は認められなかった(データは図示せず)。したがってMICEアッセイの結果は、2つの株化細胞に関して、チマルファシンは異なる経路を介して作用して、アポトーシスによる細胞死に対する細胞の感受性を増大することを示す。
アポトーシスに対する9Lおよび293細胞の感受性を増大するチマルファシンの能力の妥当性を、H誘導性酸化的ストレスを試験することにより追求した。MTTアッセイにより確定されたように、チマルファシンで24時間、その後Hで24時間処置した9L細胞は、実際、Hで24時間処置しただけの9L細胞と比較して、生存度の有意の損失を示した(図3)。チマルファシンおよび270μMのHで処置した9L細胞は、270μMのHでのみ処置した9L細胞と比較して、MTTにより観察されたようなミトコンドリア機能の26.6%低減を示した(図3)。アッセイにおける標的として293細胞を用いて、同様の結果を得た(データは図示せず)。
実施例2:グランザイム誘導性アポトーシス試験
上記のMICEアッセイ試験は、9L神経膠芽腫におけるTNF−R1、FasLおよびFasRのチマルファシン誘導性発現を実証した。細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導性アポトーシスに対するチマルファシンで処置した(または処置していない)9L神経膠芽腫細胞の示差的感受性を確定するために、9L細胞をチマルファシンで急性的に24時間、慢性的に72時間処置し、その後それらを集めて、96ウエル黒色プレート中に再植付け(7.5×10細胞/75μl/ウエル)し、20,000単位/mlのストレプトリシンO(SLO)+100ngの組換えグランザイムB(反応容積100μl)に37℃で1または3時間曝露する実験的アッセイを実行した。SLOをパーフォリンの代わりに用いて、細胞を透過化し、組換えグランザイムBを用いてアッセイを標準化した。対照試験は、SLO、グランザイムBまたはその両方を省いた平行反応を含んだ。ATPliteアッセイ(Packard Instrument Company, Meriden, CT)を用いて生菌(viable cell)密度を測定したが、これは10〜10細胞/培養ウエルの細胞密度を有する比較的軽い単位と相関する広範な線状動態範囲を有する。
前炎症性サイトカイン、例えばIL−2およびIL−12により動員される細胞傷害性T細胞およびマクロファージにより、in vivo悪性新生物細胞を死滅する。細胞傷害性T細胞は、標的細胞膜に穴を生じるパーフォリンおよび標的細胞の酵素的破壊および死を引き起こすグランザイムBを放出することにより、死滅する。9L神経膠芽腫細胞のT細胞媒介性死滅を増強するに際してのチマルファシンの考え得る役割を試験するために、チマルファシンまたは賦形剤で処置した9L細胞をグランザイムBとともに、ストレプトリシンO(透過化剤)の存在下または非存在下で、1または3時間インキュベートするin vitroアッセイを用いた。ATP発光アッセイを用いて生存度を測定し、そしてSLO+グランザイムB処置に関連した相対的死滅を確定するために群内比較を行なった。試験は、SLO、グランザイムBまたは賦形剤単独に曝露したチマルファシンで処置した培養と比較して、SLO+グランザイムBに曝露したチマルファシンで処置した培養における細胞生存度の有意の低減を示した(p<0.001;図4Aおよび図4B)。さらにSLO+グランザイムBを用いた1時間インキュベーションと比較して、グランザイムB媒介性死滅は、3時間後に実施したアッセイにおいて観察された実質的に高レベルの細胞損失により立証されるように、長時間に亘って進行した(図4Aおよび図4B)。これに対比して、賦形剤で処置した対照培養は、SLO、グランザイムB、賦形剤またはSLO+グランザイムBに曝露した場合の生存度のレベルと同様のレベルを示した。これらの試験において、急性(24時間)チマルファシン曝露は、アッセイ前に72時間(慢性)チマルファシンとともにインキュベートした培養と比較して、有意に高度のグランザイムB+SLO媒介性細胞死滅に関連した(図4)。
実施例3:一次ニューロン細胞培養の細胞生存度に及ぼすチマルファシンの作用
非新生物性脳細胞に有毒でないチマルファシン用量の選択を可能にするために、一次皮質ニューロン培養を試験した。CVおよびMTT吸光度が1×10〜5×10細胞/ウエルの細胞密度で線状に増大することを前の試験が示したため、クリスタルバイオレット(CV)およびMTTアッセイを用いて、細胞生存度およびミトコンドリア機能を測定した(de la Monte, 2001 & 2000)。
チマルファシンの連続希釈液(最終濃度は3.3×10−5M〜1×10−9Mの範囲)を用いて96ウエルプレート中で処置した一次ニューロン皮質細胞は、用いた実験用量では細胞生存度の低減を示さなかった。用いた最高濃度のチマルファシン(3.3×10−7M)は、MTTアッセイにより観察されたように、生存度の30%減を示した。しかしながらこの用量は、確立された実験的および臨床的薬用量より高い。
実施例4:ラット神経膠芽腫のin vivoアジュバントチマルファシン処置
ラット9L神経膠芽腫細胞は、American Type Culture Collection(Washington, D.C.)から入手し、病原体なしと証明された。細胞を、5%ウシ胎児血清(FCS)および2mMのグルタミンを補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中に保持した。培地に抗生物質は添加しなかった。注射前に、細胞をリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)ですすぎ、培養表面からはがして、0.25%トリプシン/0.05%EDTAを含む単一細胞懸濁液中に解離させた。解離細胞を無血清DMEM中で3回洗浄し、最後に5×10生菌/mlの密度で無血清DMEM中に懸濁させた。トリパンブルー排除(exclusion)および血球計算板を用いて、生菌密度を確定した。
実験を、単独でまたはBCNUと組合せて送達されるチマルファシンがビスクロロエチルニトロソウレア(BCNU)処置と比較して神経膠芽腫容量を有意に低減し得るか否かを確定するために立案した。成体(250〜300グラム)ロングエバンス(Long Evans)ラットで、神経膠芽腫のin vivoモデルを作成した。50%エタノール中の100mg/kgケタミンおよび100mg/kgキシラジンを含むカクテルの単回腹腔内注入で、ラットを麻酔した。麻酔後、頭部を剃毛して、ポビドンヨードで消毒して、ラットを定位ヘッドフレーム中に置いた。正中線切開を行なって、前頭葉上に3mmBurr穴を開けて、3.5mmの深さに配置された26ゲージ針を取り付けたハミルトン注射器を用いて、2μlの9L神経膠腫細胞懸濁液(総計10,000細胞)を脳に直接注入した。針を除去後、創傷を滅菌生理食塩水で洗浄し、動物をフレームから取り外して、皮膚を再吸収可能縫合糸で閉鎖した。ラットをそれらのケージに戻して、体重減少、食物および水摂取低減、半身麻痺、発作または不活動性を含めた悪化の任意の徴候に関して観察した。任意の程度の苦痛が観察された場合、120mg/kgのペントバルビタールナトリウムで動物を安楽死させた。動物を毎日観察し、毎週計量した。経験的に、10,000個の9L細胞の注射が、移殖26日以内に100%の動物を殺害した。
腫瘍を5日間発症させ、その後、抗新生物治療を施した。ラットを6つの処置群:即ち賦形剤対照;低(45μg/kg)チマルファシン;高(200μg/kg)チマルファシン;低チマルファシン+BCNU;高チマルファシン+BCNU;およびBCNU(9.4mg/kg)のみに分けた。脳内腫瘍接種後6日目に単回腹腔内(I.P.)注入し、BCNUを投与した。チマルファシンで処置したラットに、腫瘍細胞接種後6日目に開始して3日間連続して、チマルファシンの単回I.P.注入で投与した。腫瘍接種後20日目に、ラットを屠殺した。120mg/kgのペントバルビタールナトリウムのI.P.注入により、ラットを殺害した。脳を採取して、切片にして、Histochoice(Amresco Co., Solon, Ohio)中に浸漬固定し、パラフィン包埋のために処理した。全組織ブロックから腫瘍容積を査定し、組織切片をヘマトキシリンおよびエオジンで染色した。組織切片は、炎症細胞浸潤をアッセイするための免疫組織化学染色試験にも用いた。
神経膠芽腫モデル:10,000個の9Lラット神経膠芽腫細胞を用いた成体Long Evansラットの脳内接種は、前進的に拡大し、21日以内に死を引き起こす腫瘍を再現可能的に産生した。腫瘍増殖の時間依存性進行および関連臨床徴候を、以下のように特性化した:1)7日目で4〜5mmの腫瘍直径を伴う身体活性増大、2)7〜8mmの腫瘍直径および高頻度関連腫瘍内出血を伴う14日目までの高応答性、ならびに3)21日目までに大脳ヘルニア形成を伴う10〜12mmの腫瘍塊を有する傾眠(図5)。ヘマトキシリンおよびエオジンで染色した組織切片は、浸潤性悪性新生物細胞からなる大型腫瘍塊の存在を確証した。全大脳を通しての冠状切片の組織病理学的試験は、9L細胞接種の5日以内に、新生物細胞が、表在皮質および上にある軟髄膜に局在し、小型腫瘍塊を形成する、ということを実証した。14日以内に、腫瘍塊はより深部構造に、例えば脳底神経節および側脳室に拡張して、中等度の浮腫と関連するが、しかしヘルニア形成(正中線構造の移動)とは関連しない。21日までに、腫瘍塊は右前頭葉のほぼ全体を占め、対側性半球への種々の程度の拡張を示した(図3)。拡張腫瘍塊は、顕著な脳浮腫、出血およびヘルニア形成と関連した。
半定量的組織学的等級スケールを用いて、群間比較のために腫瘍容積を査定した:0−治癒、残留腫瘍なし;1−表在皮質に限定される顕微鏡的腫瘍(<1mm);2−半球横断切片の25%未満を占める腫瘍塊(1〜2mm);3−半球横断切片の50%までを占める腫瘍塊(2〜3mm)で、深部構造に伸びる;4−半球横断切片の50〜90%の関与を伴う塊状腫瘍容積で、ヘルニア形成を伴う。処置群についての知識なしに、2人の別個の個人により同時に切片を暗号化し、等級分けした。等級分けにおける整合性を立証するために、全試料をシャッフルし、暗号下で再検討した。
神経膠芽腫増殖に及ぼすチマルファシンおよびBCNUの作用(図6):自発性腫瘍拒絶は予備試験では観察されなかったため、9L神経膠芽腫細胞移植後20日目に、全実験を終えた。賦形剤で処置したラットは、非処置動物で観察されたのと同一の腫瘍増殖および臨床徴候の時間依存性進行を示した。BCNUで処置したラットは、賦形剤で処置した対照と比較して、腫瘍塊の有意の低減を示した。しかしながら応答は不均一で、ほぼ半数の群が明らかな治療的応答を表示しなかった。残りの動物では、腫瘍容積は50%まで低減した。チマルファシンのみで処置したラットは、対照と同様の腫瘍増殖および臨床的悪化率を示した。さらにチマルファシンで処置したラットは、対照を含めた全ての他の群と比較して、極端な脳内腫脹および実質的により大きい程度のヘルニア形成(Burr穴を通して脳組織が突出)を有した。これに対比して、チマルファシン+BCNU群は、最低全腫瘍容積を示し、腫瘍退縮の全体的証拠を示した。腫瘍容積を査定するための標準化等級分けスキームを用いて、BCNU処置単独は、賦形剤またはチマルファシン(低または高用量)処置と比較して腫瘍容積を有意に低減し(P<0.001)、そして低(45μg/kg)または高(200μg/kg)用量チマルファシン+BCNUで処置したラットは最低平均腫瘍容積を有する、ということをわれわれは実証した(図6)。さらなる試験は、腫瘍容積低減に加えて、チマルファシン+BCNU処置群における25%治癒率を示す付加的臨床および病理学的改善を確証した(P<0.001;図7)。
組織病理学的分析は、腫瘍巣に隣接するそして腫瘍巣内のリンパ−単核球炎症細胞の存在も実証した。賦形剤で処置したまたはBCNUで処置したラットの脳においては、浸潤物はわずかで、主として血管周囲間隙に分布した。チマルファシンで処置したラットでは、BCNUを伴う場合も伴わない場合も、炎症細胞浸潤物は顕著で、腫瘍塊ならびに隣接実質組織および上にある軟髄膜と関連した。免疫組織化学的染色試験は、細胞をTリンパ球およびマクロファージと同定した。高用量チマルファシンで処置したラットは、BCNUを伴う場合も伴わない場合も、低用量チマルファシンで処置したラットより多くの脳腫脹を有した。組織病理学的および免疫組織化学的染色試験は、高チマルファシン群における腫瘍塊と関連したより広範な浮腫および炎症の存在を確証した。
Figure 2005516910
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チマルファシンが9L細胞生存度およびミトコンドリア機能に最小作用を及ぼすことを示す。 72時間チマルファシンに曝露された9L細胞における前アポトーシス遺伝子発現の増大を示す。 チマルファシン(THY)が、酸化的ストレスまたはBCNU化学療法による死滅に対して9L神経膠芽腫細胞をより感受性にさせることを示す。 チマルファシンがグランザイムB媒介性死滅に対して9L神経膠芽腫細胞をより感受性にさせることを示す。パネルAは、賦形剤またはチマルファシンに曝露され(24時間−急性、72時間−慢性)、次に賦形剤によるさらに1時間の処置のために分けられた細胞に及ぼす作用を示し、そしてパネル(B)は、賦形剤またはチマルファシンに曝露され(24時間−急性、72時間−慢性)、次に賦形剤によるさらに3時間の処置のために分けられた細胞に及ぼす作用を示す。 成体ロングエバンスラットの右前頭葉中への10,000個の9L神経膠芽腫細胞の移植後の臨床−神経病理学的異常の時間経過発現を示す。 in vivoでの神経膠芽腫進行に及ぼすBCNUおよびBCNU+チマルファシン(THY)の作用を示す。 BCNU+チマルファシン(THY)で処置されたラットにおける神経膠芽腫腫瘍容積の低減および25%治癒を示す。

Claims (5)

  1. 神経膠芽腫の治療方法であって、クロロエチルニトロソウレアをチモシン−α1(TA1)ペプチドと組合せて投与することを含む方法。
  2. 前記クロロエチルニトロソウレアがBCNUである請求項1記載の方法。
  3. 前記BCNUが150〜200mg/mの用量で投与される請求項2記載の方法。
  4. 前記(TA1)ペプチドがチモシン−α1であり、0.001mg/体重1kg/日〜10mg/体重1kg/日の用量で投与される請求項1記載の方法。
  5. 前記チモシン−α1が0.02mg/体重1kg/日の用量で投与される請求項4記載の方法。
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