JP2005516091A - 生分解性ポリマー - Google Patents

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JP2005516091A JP2003564110A JP2003564110A JP2005516091A JP 2005516091 A JP2005516091 A JP 2005516091A JP 2003564110 A JP2003564110 A JP 2003564110A JP 2003564110 A JP2003564110 A JP 2003564110A JP 2005516091 A JP2005516091 A JP 2005516091A
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グイラーモ アマー,
ランガー, ロバート エス.
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Abstract

グリセロールおよび二酸の縮合ポリマーを含む生分解性ポリマー。ポリマーは、組織工学構築物としての使用に適合され得る。例えば、ポリマーは、細胞を播種され得るか、または分子がポリマーに結合されて、細胞の代謝および増殖を改変し得るか、もしくは、ポリマーの分解速度および/または分解機構を改変し得る。ポリマーはまた、種々の医学的適用および非医学的適用において、利用され得る。このポリマーは、5MPa以下の引張り弾性係数を有する。このポリマーは、生体適合性であり得るか、弾性であり得るか、またはその両方であり得る。

Description

(政府の資金援助)
本明細書中に記載される研究は、部分的に、National Institutes of Health(#5−R01−HL60435−02)からの助成金によって支持された。従って、政府は、本発明において一定の権利を有し得る。
(発明の背景)
生分解性ポリマーは、医薬の種々の分野(例えば、組織工学、薬物送達、およびインビボ感知)において、かなりの可能性を有する。多くの生物医学的デバイスは、身体の機械的な動的環境に移植され、これは、周囲の組織の機械的刺激なしで、種々の変形から移植物を維持し、そして回復させることを必要とする。多くの場合において、これらの移植物のマトリックスおよび足場は、理想的には、細胞外マトリックス(ECM)(組織および器官に機械的安定性および構造的一体性を提供する、柔軟な、強靱な、かつ弾性のタンパク様ネットワーク)の機能を模倣する、生分解性ポリマーから作製される。従って、比較的大きい変形から容易に回復する弾性生分解性ポリマーは、この移植物の適切な機能を維持するために有利である(Peppas,N.A.ら、New Challenges In Biomaterials.Science 263:1715−20,1994;Langer,R.,Biomaterials:Status,Challenges and Perspectives.AIChE J.46:1286−1289、2000)。しかし、現在で最も利用可能な生分解性ポリマーは、弾性ではなく、そしてこれらのポリマーからの収益の95%より多くは、生体吸収性縫合糸によって生じる。例えば、PLGAは、2GPaの弾性係数および約2〜10%の最大伸び率を有する。対照的に、コラーゲンの弾性係数は1.2GPaであり、そしてエラスチンの弾性係数は、410kPaである。通常の生分解性ポリマーは、しばしば、湿潤性および細胞付着のための表面修飾を必要とし(Gao,J.,Niklasonら、Surface Hydrolysis of Poly(glycolic acid)Meshes Increases the Seeding Density of Vascular Smooth Muscle Cells.J.Biomed.Mater.Res.42:417−424,1998)、そして線維性のカプセル化に供される(Anderson,J.M.ら、Biodegradation and Biocompatibility of PLA and PLGA Microspheres.Adv.Drug Deliv.Rev.28:5−24,1997;Anderson,J.M.,In vivo Biocompatibility of Implantable Delivery Systems and Biomaterials.Eur.J.Pharm.Biopharm.40:1−8 1994)。
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、グリセロールおよび二酸の生分解性縮合ポリマーを含む、ポリマーである。このポリマーは、5MPa以下の引張り弾性係数を有する。このポリマーは、生体適合性であり得るか、弾性であり得るか、またはその両方であり得る。グリセロール対二酸の比は、1と1.5との間であり得る。この二酸は、セバシン酸であり得る。あるいは、この二酸は、より少ない炭素(例えば、3個と9個との間の炭素原子)を有し得る。より長い二酸(10個、15個、20個、または25個の炭素原子より長い鎖を有する)もまた、使用され得る。この二酸は、1つ以上の二重結合、芳香族基、アミン、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、脂肪族側鎖、または上記のものの任意の組み合わせを含み得る。このポリマーは、架橋し得る。このポリマーは、40%以下、30%未満、20%未満、20%未満、5%未満、1%未満、0.5%未満、または0.05%未満の架橋密度を有し得る。このポリマーのヤング率は、3MPa未満、1MPa未満、0.5MPa未満、または0.1MPa未満または0.01MPaであり得る。このポリマーの最大引張強度は、0.5MPaより大きくあり得る。このポリマーは、250%より大きい最大伸び率を有し得る。このポリマーが水性環境に曝露される場合、このポリマーは、表面侵食によって特徴付けられ得る。
このポリマーは、生体分子、親水性基、疎水性基、非タンパク質有機基、酸、低分子、生体活性薬剤、または上記のものの任意の組み合わせをさらに含み得る。例えば、この生体分子は、増殖因子、細胞接着配列、ポリヌクレオチド、ポリサッカリド、ポリペプチド、細胞外マトリックス成分、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。これらの分子群は、共有結合または非共有結合(例えば、水素結合、静電相互作用、疎水性相互作用、またはファンデアワールス相互作用)を介してポリマーに連結され得る。
このポリマーは、細胞(例えば、結合組織細胞、器官細胞、筋細胞、神経細胞、またはこれらのいずれかの組み合わせ)を播種され得る。別の実施形態において、このポリマーは、混合物または付加体として、第2のポリマーをさらに含みうる。第2のポリマーは、生分解性であっても、非生分解性であってもよく、そして生体適合性であり得る。
発色団が、ポリマーに共有結合され得る。レセプターは、発色団に共有結合しても、発色団とポリマーとの間に挿入されてもよい。ポリマーは、多孔性であり得、そしてポロジェン(porogen)を含み得る。ポリマーの形状は、粒子、チューブ、球、撚り線、コイル状撚り線、毛細管ネットワーク、フィルム、繊維、メッシュ、およびシートであり得る。別の局面において、本発明は、グリセロールおよび二酸の、生分解性の弾性の縮合ポリマーを含むポリマーである。別の実施形態において、本発明は、グリセロールおよび二酸の、生分解性の縮合ポリマーを含むポリマーであり、このポリマーは、接着剤として使用するために適合および構築されている。
別の局面において、本発明は、グリセロール−二酸コポリマーおよび低分子、生体活性分子、またはその両方を含む、薬物送達デバイスである。この低分子または生体活性分子は、ポリマーに共有結合しても非共有結合してもよい。この薬物送達デバイスは、患者の腹部領域に移植されるように適合され得、そしてこの低分子または生体活性分子は、抗炎症剤であり得る。
別の局面において、本発明は、心臓ステントであり、この心臓ステントは、拡張可能な金属メッシュ、ならびにグリセロール−二酸コポリマーまたはこのコポリマーの混合物もしくは付加体、および第2の生体適合性ポリマーを含む。コーティングされたステントとポリマーステントとの両方が、ポリマー内に配置された低分子または生体活性薬剤を含有し得、例えば、ポリマーに共有結合するかまたは非共有結合する。第2の生体適合性ポリマーは、生分解性であっても非生分解性であってもよい。
別の局面において、本発明は、液体浸透性上面シート、グリセロール−二酸コポリマーを含有する裏面シート、およびこれらの上面シートと裏面シートとの間に配置された、液体吸収性コードを備える、吸収性被覆である。このポリマーは、埋め立てにおいて生分解性であり得、そしてこの被覆は、オムツ、失禁保護具、生理用ナプキン、パンティライナー、または外科包帯であり得る。
別の局面において、本発明は、グリセロール−二酸コポリマーおよび香味剤、着色剤、またはその両方を含有する、チューインガムである。このチューインガムは、低分子、栄養素、またはその両方をさらに含み得、これらは、ポリマーに共有結合しても非共有結合してもよい。
別の実施形態において、本発明は、グリセロール−二酸コポリマーを含み、そして屋外環境において分解性である、膨張可能なバルーンである。別の実施形態において、本発明は、グリセロール−二酸コポリマーおよびフックを含む、フィッシングルアーまたはフィッシングフライである;このポリマーは、水性環境への曝露後に分解する。別の実施形態において、本発明は、グリセロール−二酸コポリマーを含む、使い捨てバッグである。この使い捨てバッグは、埋め立ての際に分解する。
別の局面において、本発明は、グリセロールおよび二酸の、弾性生分解性縮合ポリマーを含む、組織工学構築物である。グリセロール対二酸の比は、1と1.5との間であり得る。この二酸は、セバシン酸であり得る。あるいは、この二酸は、より少ない炭素原子またはより多い炭素鎖を有し得る(例えば、3炭素と9炭素との間、10炭素より多く、15炭素より多く、20炭素より多く、または25炭素より多く)。
このポリマーは、40%以下、30%未満、20%未満、20%未満、または5%未満の架橋密度を有し得る。このポリマーのヤング率は、5MPa未満、3MPa、1MPa未満、0.5MPa未満、0.1MPa未満、または0.01MPa未満であり得る。このポリマーの最大引張り強度は、0.5MPaより大きいものであり得る。このポリマーは、250%より大きい最大伸び率を有し得る。このポリマーが生理学的環境に曝露される場合、このポリマーは、表面侵食によって特徴付けられ得る。
この組織は、筋組織、結合組織、神経組織、器官組織、上皮組織またはこれらの任意の組み合わせから選択され得る。例えば、この組織は、皮膚、肺、心筋、骨格筋、平滑筋、心臓弁、骨、神経、腎臓、膀胱、肝臓、腱、靭帯、または膵臓組織であり得る。
この構築物は、結合組織細胞、器官細胞、筋細胞、神経細胞、またはこれらのいずれかの組み合わせを播種され得る。例えば、これらの細胞は、腱細胞、線維芽細胞、靭帯細胞、内皮細胞、肺細胞、上皮細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、膵島細胞、神経細胞、肝細胞、腎細胞、膀胱細胞、尿路上皮細胞、軟骨細胞、または骨形成細胞であり得る。
このポリマーの形状は、粒子、チューブ、球、撚り線、コイル状撚り線、毛細管ネットワーク、フィルム、繊維、メッシュ、またはシートであり得る。このポリマーは、多孔性であり得、そしてこの組織工学構築物は、ポロジェンを含み得る。
この構築物は、生体分子、親水性基、疎水性基、非タンパク質有機基、酸、低分子、生体活性分子、または上記のものの任意の組み合わせをさらに含み得る。この構築物は、生体適合性の縮合ポリマーと混合物または付加体を形成し得る、第2の生体適合性ポリマーをさらに含み得る。第2の生体適合性ポリマーは、生分解性であっても、非生分解性であってもよい。
別の局面において、本発明は、ポリマーを生成する方法である。本発明は、以下の工程を包含する:等モル量のグリセロールおよび二酸を混合して、混合物を形成する工程、この混合物を、120℃の温度で、不活性な雰囲気下に、1Torrの圧力で24時間、保持する工程、ならびにこの混合物が所定の架橋密度を有するポリマーを形成するまで、この混合物を、120℃の温度および40mTorrの圧力で保持する工程。この混合物は、40mTorrで、24時間または48時間保持され得る。混合する工程は、ポロジェン(例えば、アゾジカルボイミド、アルカリハロゲン化物塩、または水溶性塩)を混合物に添加する工程をさらに包含し得る。重合した混合物は、水中に浸漬されて、前記ポロジェンを浸出され得る。この方法は、生体分子、親水性基、疎水性基、非タンパク質有機基、酸、低分子、または生体活性薬剤のうちの1つ以上で、ポリマー上のヒドロキシル基を改変する工程をさらに包含し得る。
この方法は、さらに、以下の工程を包含し得る:所定のパターンの溝およびチャネル、ならびに水溶性物質の犠牲コーティングを有する基板を提供する工程、混合する工程の後に、基板上に混合物をキャストする工程、ならびにこの混合物が所定の架橋密度を有した後、犠牲層を溶解して、基板からポリマーを遊離させる工程。このポリマーは、所定のパターンに対応する剥離パターンを有する。このポリマーにおける剥離パターンは、カバーされて、カバーされたチャネルを形成し得る。例えば、このカバーは、グリセロールと二酸との弾性コポリマーを含み得る。カバーする工程は、カバーを提供する工程、グリセロールと二酸との部分的に重合した等モル混合物を、カバーとポリマーとの間に配置する工程、および等モル混合物を架橋する工程を包含し得る。このカバーはまた、等モル量のグリセロールと二酸とを合わせて、混合物を形成する工程、この混合物を、120℃の温度で、不活性雰囲気下で、1Torrの圧力で24時間保持する工程、この混合物を、シートに形成する工程、このシートを、ポリマーにおけるレリーフパターンの上に配置する工程、およびこの混合物を、このシートが所定の架橋密度を有するまで、120℃の温度で、不活性雰囲気下で、1Torrの圧力で保持する工程によってもまた、提供され得る。この混合物は、最初の保持する工程の前にシートに形成されても、後にシートに形成されてもよい。
(定義)
「生体分子」:用語「生体分子」とは、本明細書中において使用される場合、細胞および組織において通常見出される、天然に存在するかまたは(例えば、合成または組換え方法によって)人工的に作製される、分子(例えば、タンパク質、アミノ酸、ペプチド、ポリヌクレオチド、ヌクレオチド、炭水化物、糖、脂質、核タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ステロイドなど)をいう。特定のクラスの生体分子としては、酵素、レセプター、神経伝達物質、ホルモン、サイトカイン、細胞応答改変因子(例えば、増殖因子および走化成因子)、抗体、ワクチン、ハプテン、毒素、インターフェロン、リボザイム、アンチセンス因子、プラスミド、DNAおよびRNAが挙げられるが、これらに限定されない。
「生体適合性」:用語「生体適合性」は、本明細書中で用いられる場合、インビボで実質的に有害な応答を引き起こさない材料を記載することが意図される。
「生分解性」:本明細書中に用いられる場合、「生分解性」ポリマーとは、生理学的条件またはエンドソーム条件下で、完全に(すなわち、モノマー種まで)分解するポリマーである。好ましい実施形態において、このポリマーおよびポリマーの生分解副生成物は、生体適合性である。生分解性ポリマーは、必ずしも加水分解的に分解可能でなくてもよく、そして完全に分解するために、酵素作用を必要とし得る。
「エラストマー」:本明細書中において使用される場合、エラストマーとは、弱い応力によって実質的にゆがめられる前のおよその形状に迅速に戻り得る、高分子材料である。ゴムは、最も一般的なエラストマーである。
「エンドソーム条件」:語句「エンドソーム条件」とは、本明細書中において使用される場合、小胞内で遭遇しやすい、ある種の化学的条件(例えば、pH、イオン強度)および生化学的条件(例えば、酵素濃度)に関する。大部分の小胞について、エンドソームpHは、約5.0〜6.5の範囲である。
「生理学的条件」:語句「生理学的条件」とは、本明細書中において使用される場合、組織の細胞内流体および細胞外流体において遭遇しやすい、ある種の化学的条件(例えば、pH、イオン強度)および生化学的条件(例えば、酵素濃度)に関する。大部分の組織について、生理学的pHは、約7.0〜7.4の範囲である。
「ポリヌクレオチド」、「核酸」、または「オリゴヌクレオチド」:用語「ポリヌクレオチド」、「核酸」、または「オリゴヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのポリマーをいう。用語「ポリヌクレオチド」、「核酸」、および「オリゴヌクレオチド」は、交換可能に使用され得る。代表的には、ポリヌクレオチドは、少なくとも3つのヌクレオチドを含む。DNAおよびRNAは、ポリヌクレオチドである。そのポリマーとしては、天然のヌクレオシド(すなわち、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン)、ヌクレオシドアナログ(例えば、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、イノシン、ピロロピリミジン、3−メチルアデノシン、C5−プロピニルシチジン、C5−プロピニルウリジン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−メチルシチジン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン、および2−チオシチジン)、化学的に改変された塩基、生物学的に改変された塩基(例えば、メチル化された塩基)、介在塩基(intercalated base)、改変された糖(例えば、2’−フルオロリボース、リボース、2’−デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース)、または改変されたホスフェート基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’−N−ホスホロアミダイト連鎖)が挙げられ得る。
「ポリペプチド」、「ペプチド」または「タンパク質」:本発明に従い、「ポリペプチド」、「ペプチド」または「タンパク質」は、ペプチド結合によって一緒に連結された、少なくとも3アミノ酸の鎖を含む。用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、交換可能に用いられ得る。ペプチドは、個々のペプチドまたはペプチドの集合物を示し得る。本発明のペプチドは、好ましくは、天然のアミノ酸のみを含むが、非天然のアミノ酸(すなわち天然には存在しないがポリペプチド鎖に組み込まれ得る化合物;例えば、http://www.cco.caltech.edu/〜dadgrp/Unnatstruct.gifを参照のこと(これは、非天然のアミノ酸の構造を表示し、そのアミノ酸は、機能的イオンチャネルに好首尾に組み込まれている))および/または当該分野において公知であるようなアミノ酸アナログが、代替的に使用され得る。また、本発明のペプチドにおける1分子以上のアミノ酸は、例えば、化学的実体(例えば、炭水化物基、ホスフェート基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、結合体化、官能基化、または他の修飾のためのリンカーなど)の付加によって修飾され得る。好ましい実施形態において、このペプチドの修飾は、より安定なペプチド(例えば、インビボでのより長い半減期)をもたらす。それらの修飾としては、ペプチドの環化、D−アミノ酸の組み込みなどが挙げられ得る。いずれの修飾も、ペプチドの所望の生物学的活性を実質的に妨害するべきではない。
「ポリサッカリド」、「炭水化物」、または「オリゴサッカリド」:用語「ポリサッカリド」、「炭水化物」、または「オリゴサッカリド」とは、糖のポリマーをいう。用語「ポリサッカリド」、「炭水化物」、および「オリゴサッカリド」は、交換可能に使用され得る。代表的に、ポリサッカリドは、少なくとも3つの糖を含む。このポリマーは、天然の糖(例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、アラビノース、リボース、およびキシロース)、ならびに/または修飾された糖(例えば、2’−フルオロリボース、2’−デオキシリボース、およびヘキソース)を含み得る。
「低分子」:本明細書中で使用される場合、用語「低分子」とは、天然に存在するかまたは(例えば、化学合成を介して)人工的に作製された、分子をいうために使用され、これは、比較的低い分子量を有する。代表的には、低分子は、モノマーであり、そして約1500g/mol未満の分子量を有する。好ましい低分子は、生物学的に活性であり、その活性において、動物(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)において局所的効果または全身的効果を生じる。特定の好ましい実施形態において、低分子は、薬物である。好ましくは、必ずではないが、薬物は、適切な政府機関または政府組織によって、使用について既に安全かつ有効であると考えられている薬物である。例えば、ヒトに対する薬物の使用は、FDAによる21C.F.R§§330.5,331〜361および440〜460に列挙され、獣医に対する薬物の使用は、FDAによる21C.F.R§§500〜589に列挙され、これらは、本明細書中に参考として援用され、全て本発明に従う使用について適切であると考えられる。
「生体活性薬剤」:本明細書中で使用される場合、「生体活性薬剤」は、生物学的事象または化学的事象を変更するか、阻害するか、活性化するか、またはそうでなければ影響する化合物または実体をいうために使用される。例えば、生体活性薬剤としては、抗AIDS物質、抗癌物質、抗生物質、免疫抑制剤、抗ウイルス物質、酵素インヒビター、神経毒、オピオイド、催眠薬、抗ヒスタミン剤、滑沢剤、トランキライザ、抗痙攣薬、筋弛緩薬、および抗パーキンソン病物質、抗痙性剤、および筋収縮薬(チャネルブロッカー、有糸分裂および抗コリン作動性剤、抗緑内障化合物、抗寄生虫化合物および/または抗原生動物化合物が挙げられる)、細胞−細胞外マトリックス相互作用の調節因子(細胞増殖インヒビターおよび抗接着分子が挙げられる)、血管拡張剤、DNA合成のインヒビター、RNA合成のインヒビターまたはタンパク質合成のインヒビター、抗高血圧剤、鎮痛薬、抗発熱薬、ステロイド性抗炎症剤および非ステロイド性抗炎症剤、抗脈管形成因子、抗分泌性因子、抗凝固薬および/または抗血栓症剤、局所麻酔薬、点眼薬、プロスタグランジン、抗鬱薬、抗精神病物質、制吐薬、および画像化剤が挙げられ得るがこれらに限定されない。特定の実施形態において、生体活性薬剤は、薬物である。
本発明における使用のために適切な生体活性薬剤および特定の薬物のより完全な列挙は、Axel KleemannおよびJurgen Engelによる「Pharmaceutical Substances:Syntheses,Patents,Applications」Thieme Medical Publishing,1999;Susan Budavariらによって編集された、「Merck Index:An Encyclopedia of Chemicals,Drugs,and Biologicals」CRC Press,1996ならびにthe United States Pharmcopeial Convention,Inc.,Rockville MD,2001によって刊行された、the United States Pharmacopeia−25/National Formulary−20において見出され得、これらの全ては、参考として本明細書中に援用される。
「組織」;本明細書中で使用される場合、用語「組織」は、特定の機能を行うように結合された類似の細胞、およびそれらの、細胞を取り囲む任意の細胞外マトリックスの集合をいう。
(詳細な説明)
コラーゲンおよびエラスチンは、ECMの主要な繊維状タンパク質成分である。コラーゲンは、ECMに対して機械的強度を提供する、その一方、エラスチンは、肺、靱帯、および動脈におけるような、特定のECMに対してゴム様の弾性を付与する(Matthews,C.K.ら、Biochemistry.The Benjamin/Cummings Publishing Company,Redwood City,1990;Voet,D.ら、Biochemistry.John Wiley & Sons,Inc.,New York,1995)。コラーゲンおよびエラスチンは両方とも、共有結合で架橋される異常なタンパク質である(図1A、図1B)。コラーゲンはまた、その高含量のヒドロキシプロリン(他のタンパク質においてまれにしか見られないアミノ酸である)が特有である。共有結合架橋に加えて、ヒドロキシプロリンのヒドロキシル基を介する水素結合はまた、コラーゲンの機械的強度に寄与する(Voet,1995;Stryer,L.Biochemistry.W.H.Freeman and Company,New York,1995)。これは、架橋密度が有意に減少する場合、またはヒドロキシプロリンの産生が妨害される場合、コラーゲン繊維の強度が顕著に減少するような、種々の疾患において明白である。コラーゲン繊維の高度に組織された三重螺旋構造はまた、その大きな引張り強さに寄与する。他方、エラスチンは、それを弾性にするランダムコイルの三次元ネットワークを形成する(Matthews,1990;Voet,1995;Erman,B.ら、Science and Technology of Rubber.Mark,J.E.,Burak,E.,およびEirich,F.R.編、Academic Press,San Diego,1994,pp.189−210)。同様に、加硫ゴムの弾性は、ランダムコイルのその三次元ネットワークに起因する。
コラーゲン繊維は、約20%の変形に耐え(Fratzl,P.ら、Fibrillar Structure and Mechanical Properties of Collagen.J.Struct.Biol.122:119−22(1998);Wang,J.L.ら、Failure Criterion of Collagen Fiber:Viscoelastic Behavior Stimulated by Using Load Control Data.Theor.Appl.Fract.Mech.27:1−12,1997)、それは、最も普及している生体分解性ポリマーであるポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)およびこれらのコポリマー(PLGA)よりはるかに大きい(Storey,R.F.ら、Methacrylate−endcapped Poly(D,L−lactide−co−trimethylene carbonate)Oligomers.Network Formation by Thermal Free−radical curing.Polymer 38:6295−6301,1997;Helminen,A.ら、Biodegradable Cross−linked Polymers Based on Triethoxysilane Terminated Polylactide Oligomers. Polymer 42:3345−3353,2001)。回復可能な変形はまた、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)より大きく、それは、約10%である。
コラーゲンおよびエラスチンの構造エレメントに基づいて、本発明者らは、以下を仮定した:(1)良好な機械的特性は、ポリマーの共有結合架橋を介して得られ得(Lee,K.Y.ら、Controlling Mechanical and Swelling Properties of Alginate Hydrogels Independently by Cross−Linker Type and Cross−Linking Density.Macromolecules 33:4291−4294,2000;Anseth,K.S.ら、Photopolymerizable Degradable Polyanhydrides with Osteocompatibility.Nat.Biotechnol.17:156−9,1999;Nagataら、Biodegradability of Poly(Ethylene Terephthalate)Copolymers with Poly(Ethylene Glycol)s and Poly(Tetramethylene Glycol).Polym.Int.39:83−9,1996)、そしてヒドロキシル基の水素結合を介して得られ得る;ならびに(2)ゴム様弾性は、少なくとも1つのモノマーが三機能性である共重合によってランダムコイルの三次元ネットワークを構築することによって得られ得る(Erman,1994)。
この設計を実現するために、本発明者らは、以下の基準を考慮した:(1)分解機構−本発明者らは、酵素分解より加水分解を選ぶ。なぜなら、酵素レベルは、個々の間で変化し、酵素活性は、同じヒトについてさえも経時的に変化するからである(Langer,2000);(2)加水分解可能な化学結合−本発明者らは、その確立されかつ融通の聞く合成方法のためにエステルを選択する(March,J.Advanced Organic Chemistry.John Wiley & Sons,Inc.,New York,1992);(3)架橋密度−低密度が好ましい。なぜなら、高度の架橋は、通常、剛性かつ脆性のポリマーを生じるからである;および(4)特定のモノマー−これらは、非毒性であるべきであり、少なくとも1つが三機能性であるべきであり、少なくとも1つが水素結合にヒドロキシル基を提供するべきである。
グリセロール[CH(OH)CH(OH)CHOH](脂質についての基本的な構築ブロック)は、3つ全ての要件を満たし、アルコールモノマーとして選択された(図1C)。同じ毒物学的見地およびポリマー化学的見地から、本発明者らは、酸モノマーとしてセバシン酸[HOOC(CHCOOH]を最初に選択する。セバシン酸は、中間鎖脂肪酸〜長鎖脂肪酸のω酸化における天然の代謝中間体である(Liu,G.ら、Mechanisms for the transport of Alpha,Omega−dicarboxylates Through The Mitochondrial Inner Membrane.J.Biol.Chem.271:25338−44,1996;Grego,A.V.,Dicarboxylic Acids,an Alternate Fuel Substrate in Parenteral Nutrition:An update.Clin.Nutr.14:143−8,1995;Mortensen,P.B.,The Biological Origin of Ketotic Dicarboxylic Aciduria.In vivo and in vitro Investigations of the Omega−Oxidation of C6−C16−monocarboxylic Acids in Unstarved,Starved and Diabetic Rats.Biochim.Biophys.Acta 666:394−404,1981;Mortensen,P.B.,C6−−C10−dicarboxylic Aciduria in Starved,Fat−fed and Diabetic Rats Receiving Decanoic Acid or Medium−chain Triacylglycerol.An in vivo Measure of the Rate of Beta−oxidation of Fatty Acids.Biochim.Biophys.Acta 664:349−55,1981)。これは、インビボで安全であることが示され(Tamada,J.ら、The Development of Polyanhydrides for Drug Delivery Applications.J.Biomater.Sci.Polym.編、3:315−53,1992)、米国食品薬品局は、医療適用についてグリセロールおよびセバシン酸の両方を認可した。得られたポリマー(ポリ(グリセロール−セバケート)(すなわちPGS))は、コラーゲンおよびエラスチンの構造エレメントの本質を部分的に模倣する(図1D)。
他の異なる長さの二酸(マロン酸[HOOC(CH)COOH]およびコハク酸[HOOC(CHCOOH]から、長鎖脂肪酸ダイマーまでが挙げられる)はまた、本発明に従う弾性バイオマテリアルを形成するために使用される。例示的な二酸としては、グルタル酸(5炭素)、アジピン酸(6炭素)、ピメリン酸(7炭素)、スベリン酸(8炭素)、およびアゼライン酸(9炭素)が挙げられる。例示的な長鎖二酸としては、10を超える炭素原子を有する二酸、15を超える炭素原子を有する二酸、20を超える炭素原子を有する二酸、および25を超える炭素原子を有する二酸が挙げられる。非脂肪族二酸が、使用されても良い。例えば、1つ以上の二重結合を有する上記二酸のバージョンは、グリセロール−二酸コポリマーを生成するために使用され得る。アミンおよび芳香族はまた、炭素鎖に組込まれ得る。例示的な芳香族二酸としては、テレフタル酸およびカルボキシフェノキシプロパンが挙げられる。二酸はまた、同様に置換基を含み得る。反応性基(アミンおよびヒドロキシルなど)は、架橋に利用可能な部位の数を増加する。アミノ酸および他の生体分子は、ポリマーの生物学的特性を改変する。芳香族基、脂肪族基、およびハロゲン原子は、ポリマー内部の鎖内相互作用を改変する。
本発明の弾性グリセロール−二酸コポリマーはまた、これらの生体分解性および弾性に起因して、生体ゴムといわれる。コラーゲン中のほとんどのヒドロキシル基は、ヒドロキシプロリン由来であり、一方で、生体ゴム中のヒドロキシル基は、非架橋性グリセロールに由来する。生体ゴム中の架橋は、同様にオリゴマー性であり得る。本発明者らは、この生体模倣性アプローチが、改善された機械的特性および生体適合性を有する生体分解性ポリマーを生じることを予想する。
好ましい実施形態において、本発明のグリセロール−二酸コポリマーは、5MPa以下の引っ張り弾性係数を有する。当業者は、ポリマーの弾性係数が、適用に依存して調整され得ることを理解する。例えば、ポリマーは、3MPa未満の弾性係数、1MPa未満の弾性係数、0.5MPa未満の弾性係数、0.3MPa未満の弾性係数、0.1MPa未満の弾性係数を有し得る。
ポリマーの弾性係数および分解速度は、架橋密度を改変することによって容易に調整される。特定の実施形態において、本発明に従って生成される弾性ポリマーの架橋密度は、40%以下であり得、30%未満であり得、20%未満であり得、10%未満であり得、または5%未満であり得る。
(合成および分析)
PGSを、各々0.1モルのグリセロール(Aldrich,Milwaukee,WI)およびセバシン酸(Aldrich)のアルゴン下120℃で24時間の重縮合の後、圧力を、5時間にわたって1Torrから40mTorrまで減少することによって合成した。反応混合物を、40mTorr120℃で48時間維持した。グリセロールとセバシン酸との重縮合は、透明で、ほとんど無色のエラストマーを生じ、これは、水中で膨潤も溶解もしない。代替的方法を、2:3のグリセロール 対 セバシン酸のモル比を有する、グリセロールとセバシン酸との剛性の完全に架橋されたポリマーを合成するために使用した(Nagata,1999)。
本発明に従って生成されたグリセロール−二酸コポリマーについての好ましいモル比は、1:1〜1:1.5にある。触媒は、反応温度を下げ、反応時間を短くし、そして個々の鎖長を増加するために使用され得る。しかし、触媒は、生体適合性であり、容易に除去されるべきである。例示的なFDA−認可触媒は、FlukaおよびStremから入手可能な、オクタン酸スズ(ビス(2−エチルヘキサノエート)錫(II))である。
新規に調製されたPGSのKBrペレットを、Nicolet Magna−IR 550 Spectrometer上でのFTIR分析のために使用した。Perkin−Elmer DSC示差走査熱量計を、DSC測定のために使用した。真空乾燥サンプルに対する元素分析を、QTI Inc.(Whitehouse,NJ)によって実施した。空気中水の接触角を、液滴法およびスライドガラス上に固定されたポリマーのスラブに対してVCAビデオ2000接触角システムを用いてプロファイルされた液滴の画像分析を使用して、室温で測定した。
化学的分析は、重合反応が、100%に近い収率を有することを示す。例えば、FTIRスペクトルは、遊離カルボン酸基についてカルボニル伸縮を示さなかった(図2A)。ポリマーは、ヒドロキシル基および骨格に直接結合された少量の架橋の両方を特徴とする。フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルにおける1740cm−1での強度C=O伸縮は、エステル結合の形成を確認する。FTIRはまた、3448cm−1に広く強いOH伸縮を示し、このことは、ヒドロキシル基が、水素結合していることを示す(図2)。
元素分析は、約1グリセロール:1セバシン酸(C1322に対して計算された C:計算値60.47%,実測値60.46%;H:計算値8.53%、実測値8.36%)のようなPGSの組成物を確認する。ポリマーは、水に不溶性であり、24時間の水中での浸漬後、2.1+/−0.33%を膨潤する。ポリマー表面は、その骨格に結合されたヒドロキシル基に起因して、非常に親水性である。その空気中水接触角は、32.0°であり、平坦な2.7nm厚I型コラーゲンフィルム(31.9°)とほぼ同一である(Dupont−Gillainら、Collagen adsorption on poly(methyl methacrylate):net−like structure formation upon drying.Polym.Int.48:271−276,1999を参照のこと)。
架橋密度が、n(単位容量あたりの活性なネットワーク鎖のモル数)およびM(架橋間の相対分子量)により表され、nは、38.3±3.40mol/mであり、そしてMは、18,300±1,620であり、これは、以下の式:
n=E/3RT=ρ/M
から計算され(Sperling,L.H.、Introduction to Physical Polymer Science、John Wiley & Sons、New York;1992を参照のこと)、
ここで、Eは、ヤング率であり、Rは、一般気体定数であり、Tは、温度であり、そしてρは密度である。
示差走査熱分析(DSC)は、−52.14℃および−18.50℃で2つの結晶化温度を示し、そして5.23℃および37.62℃で2つの融解温度を示す。ガラス転移温度は、この装置の低温の検出下限である−80℃より高くでは観察されなかった。DSCの結果は、このポリマーが、37℃で全体としてアモルフォスであることを示す。
加硫化ゴムと同様に、このエラストマーは、熱硬化性ポリマーである。しかし、架橋されていないプレポリマーは、種々の形状に加工され得る。なぜなら、それは、液体へと融解され得、そして一般的な有機溶媒(例えば、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、およびN,N−ジメチルホルムアミド)に溶解するからである。本発明者らは、これらの方法を用いてPGSシートをおよびPGSフォームを調製した。簡単には、適切なサイズのNaCl粒子とプレポリマーの無水1,3−ジオキソラン溶液との混合物を、PTFEの型に注いだ。当業者は、NaCl以外の塩もまた用いられ得ることを認識する。このポリマーを、真空オーブン中の型の中で、120℃および100mTorrで硬化させた。脱イオン化水中への塩の浸出の後、多孔性の足場を得た。代替的なポロジェン(porogen)としては、アゾジカルボイミドおよび当業者に公知のポロジェンが挙げられ、アゾジカルボイミドは、加熱の際に、窒素、二酸化炭素、およびアンモニアへと分解する。イオン性ポロジェンについての第一の要件は、水溶性であることおよび重合を妨害しないことである。
(機械的試験)
PGSの薄片に対する引張り試験は、弾性かつ靱性な材料の特徴的な応力−ひずみ曲線を明らかにする(図3A、図3B)。ポリマーシートから切断した6つの25×5×0.7mmの細片に対する引張り試験を、50N負荷セルを装備したInstron 5542でASTM規格D 412−98aに従い実施した。加硫化ゴムおよびP4HB(Metabolix、Cambridge、MA)細片(25×5×0.5mm)を、ポリマーシートから切りとった。たわみ速度を、50mm/分に維持した。サンプルを破壊するまで伸長した。5×5×2mmの正方形のディスクを、5000N負荷セルを装備したInstron8501上でASTM標準D575−91に従い、比較試験のために用いた。たわみ速度を、2mm/分に維持した。サンプルを、70%まで圧縮し、そして3回繰り返した。
非線形形状の伸長性応力歪み曲線は、エラストマーに対して典型的であり、そして靭帯(Yamaguchi,S.Analysis of Stress−Strain Curves at Fast and Slow Velocities of Loading in vitro in the Transverse Section of the Rat Incisor Periodontal Ligament Following the Administration of Beta−aminopropionitrile.Arch.Oral Biol.37:439−44、1992;Komatsu,K.ら、The Effect of Velocity of Loading on the Biomechanical Responses of the Periodontal Ligament in Transverse Sections of the Rat Molar in vitro.Arch.Oral.Biol.38:369−75、1993;Chiba,M.ら、Mechanical Responses of the Peridontal Ligament in the Transverse Section of the Rat Mandibular Incisor at Various Velocities of Loading in vitro.J.Biomech.26:561−70、1993)および加硫化ゴム(Nagdi,K.Rubber as an Engineering Material:Guideline for Users.Hansesr、Munich、1993)の伸長性応力−歪み曲線に類似する(図3A)。高い弾性係数(応力歪み曲線の最初の傾き)および低い歪み(相対的変形)を有する堅くもろい物質と比較して、PGSは、破壊されることなく、その元の長さに少なくとも3回まで繰り返し伸長され得る。伸長の合計は、未知である。なぜなら、グリップの破壊が267±59.4%の歪みで生じるからである。このポリマーの引張りヤング率は、0.282±0.0250MPaであり、これは、柔軟な物質であることを示す。極限伸長強度は、>0.5MPaであり、この点で、PGS細片は、機械的検査器のグリップから外れてしまう。エラストマー分解性PHAと報告されるP4HB(Poirier,Yら、Production of polyhydroxyalkanoates,a family of biodegradable plastics and elastomers,in bacteria and plants、Biol.Technology、13:142−150、1995;Sodian,R.ら、Fabrication of a trileaflet heart valve scaffold from a polyhydroxyalkanoate biopolyester for use in tissue engineering、Tissue Eng.、6:183−187、2000)は、11.1±0.491%の破壊歪み値(strain to failure value)および253±5.29MPaのヤング率を有し、これらは、低密度ポリエチレンの値と類似する。極限伸長強度は、10.4±0.554MPaである。
概して、P4HBは、PGSまたは加硫化ゴムと比較して、はるかに高い弾性係数(剛性)および非常に低い破壊歪み値を有する。PGSのヤング率の値は、コラーゲンに加えて大量のエラスチンを含む靭帯の値(kPaスケール)(Yamaguchi、1992;Komatsu、1993;Chiba、1993)と、主にコラーゲンから形成される腱の値(GPaスケール)(Fratzl、1998、Wang、1997;Misof K.ら、A new molecular model for collagen elasticity based on synchrotron X−ray scattering evidence.Biophys.J.72:1376−1381,1997)との間である。PGSの破壊歪み値は、動脈および静脈の値(260%まで)と類似し(Lee,M.C.ら、Strain rate effects on tensile failure properties of the common carotid artery and jugular veins of ferrets.J.Biomech.25:925−927、1992)、そして腱の値(18%まで)よりはるかに大きい(Haut,R.C.The effect of a lathyritic diet on the sensitivity of tendon to strain rate.J.Biomech.Eng.107:166−174,1985)。24時間、水に浸した後、PGSの重量は、ほとんど変化せず、そして機械的特性は、乾燥ポリマーと実質的に同一である.圧縮試験は、PGSが、破壊されることなく70%まで繰り返し圧縮され得ることを示す(図3B)。
(インビトロでの生体適合性)
このポリマーは、インビトロおよびインビボの両方で生体適合性であるようである。その弾性性質に起因して、生体ゴム(bio−rubber)は、柔組織(詳細には、筋組織、動脈、および心臓弁)の組織操作における適用を見出す。1つの研究において、本発明者らは、このポリマーのインビトロでの生体適合性を試験するために第一のヒト動脈平滑筋細胞(HASMC)および第一のヒト動脈内皮細胞(HAEC)を選択する。PGSサンプルを、約10×10×0.2mmの薄片へと切断し、120℃で20分間オートクレーブ処理し、そして12ウェルプレートのうちの6ウェル中に固定した(このポリマーは、スパチュラにより適用されるわずかな圧力を用いて、その表面に容易に付着する)。各々のウェルを、2mlのPBSで満たし、そしてこの溶液を、12時間後に交換した。PBSを、12時間後に2mlの増殖培地(Clonetics)により置換した。さらに12時間後、この培地を除去し、そして各ウェルを1.75mlの新しい培地で充填した。これらのプレートを、上記のプロセスの間、37℃のインキュベーター中の振盪器上に保持した。各々のウェルを、0.25mlの単一細胞懸濁液(HASMCまたはHAEC、Clonetics)で充填し、そしてこのプレートを、5%COを有する37℃インキュベーター中の40rpmでの振盪器に置いた。24時間後、培地を交換した。その後、培地の交換を、48時間毎に実施した。7日目に、ポリマーウェルおよびコントロールウェルの両方について、Nikon 6000カメラを装備したNikon Diaphot顕微鏡上で位相差画像を撮った。トリプシン処理した細胞を、血球計算板上でTripan−blue排除により計数した。
ポリマーウェル中の細胞は、正常な形態を有し、7日間の間にコンフルーエンスに達した(図4A)。対照的に、コントロールウェル中のほとんどの細胞が、球を形成し、そして数個の付着した細胞が、長く薄い糸状の形態に適合する(図4B)。ポリマーウェル中の細胞は、正常の形態を有するのみでなく、コントロールウェル中の細胞と比較してより早く増殖した。播種の7日後、ポリマーウェル中の生存可能な細胞の数は、コントロールウェル中の生存可能な細胞の数より約4倍(HASMC)および約2倍(HAEC)多かった。これらの細胞の>96%が、ポリマーウェル中で生存可能であるが、コントロールウェル中の細胞のうち、HASMCおよびHAECについて、それぞれ、52%および80%のみが生存可能であった。
第二の実験において、9つのガラスペトリ皿(直径60mm)を、PGSプレポリマーの1,3−ジオキソラン溶液(1%)を用いてコーティングした。溶媒の大気中へのエバポレーションの後に、このコーティングした皿を真空オーブンへと移した。120℃および120mTorrで24時間後、このプレポリマーが、エラストマーへと架橋された。9つのコントロールの皿を、PLGAの1%のCHCl溶液でコーティングし(50:50、カルボキシル末端を有する、相対分子量15,000(M 15K)、Boehringer Ingelheim、Ingelheim、Germany)、そして溶媒を、24時間、大気中にエバポレートした。コーティングされた皿を、UV照射により15分間、滅菌した。各々の皿を、4時間、増殖培地中に浸け、新しい培地で置換し、そして4時間浸け、細胞播種の前に、任意の未反応のモノマーまたは残りの溶媒を除去した。各々の皿を、100,000のNIH 3T3繊維芽細胞および8mlの増殖培地を用いて播種した。
これらの細胞を、5%COと共に37℃でインキュベートした。細胞密度を、MTTアッセイにより測定した(Hansen,M.B.ら、Re−examination and further development of a precise and rapid dye method for measuring cell growth/cell kill.J.Immunol.Methods 119:203−210,1989)。培地置換を、48時間毎に実施した。6日目に、位相差画像を、Dage 240デジタルカメラを装備したZeiss Axiovert 200顕微鏡上でポリマーウェルおよびコントロールウェルの両方について撮った。PGSサンプルウェル中の細胞は、生存可能および付着性であり、そして正常な形態を示し、MTIアッセイ(Northup,S.J.ら、In Handbook of Biomaterials Evaluation、von Recum,A.F.編、Taylor & Francis、Philadelphia、325−339、1999)により試験される際にコントロールより高い増殖速度を有した(図5A、図6)。PLGAウェル中の細胞は、クラスターを形成する傾向にあり、そしてより多い数の浮遊細胞が存在した;さらに、付着した細胞のほとんどが、長く、薄い、糸状の形態に適合した(図5B)。これらの実験は、PGSが、インビトロで少なくともPLGA程度に生体適合性であることを示。
(インビボでの生体適合性)
Sprague−Dawleyラット中へのこのポリマーの皮下移植を、インビボでのその生体適合性を試験するために用いた。約5×5×2mmのポリマースラブを、オートクレーブ処理し、その後、平滑切開により15匹の7週齢の雌のSprague−Dawleyラット(Charles River Laboratories)中に皮下移植した。これらの動物を、MITの規制および国立衛生研究所により発行されたLaboratory Animal Care(National Institutes of Health、Principles of Laboratory Animal Care,NIH pub.no.85−23,rev.1985)に適合するように管理した。各々の動物に、腹部に2つの移植片を配置した。全ての移植部位を、移植の中心から2cm離した2つの刺青により印をした。これらの動物を、無作為に、5つの群に分割した。これらの動物の体重を、通常どおりモニタリングした。各々の予め規定した時点(5日目、12日目、19日目、31日目、60日目)で、1つの群のラットを屠殺し、そして移植片の周囲の組織サンプル(約15×15mm)をインタクトな移植片と共に収集した。これらのサンプルを、10%ホルマリン中で24時間にわたり固定した、そしてエタノールおよびキシレン中での一連の無水化工程の後に、パラフィン中に包理した。スライドを、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)およびMasson’sトリクロム染色(MTS)を用いて染色した。
移植の5日後に、皮膚の切片標本は、皮下脂肪組織内に単一の十分に境界を画定されたポケットを含んでおり、このポケットは、皮膚の直下にある別個の筋肉層を分離していた(図7A)。その上に重なる上皮および皮膚は、影響されていなかった。このポケットは、細胞上(hypercellular)20〜40μmの領域により中程度にライニングされており、この領域は、増殖毛細管の緻密なネストを規定する太い活性な核(plump active nuclei)を有する多数の紡錘状の内皮細胞を含む。少数〜中程度の数の血管周囲血漿細胞およびリンパ球が存在し、随時、好酸球および肥満細胞が毛細管に結合していた。
12日目に、毛細管増殖および炎症の領域は、いくつかの領域において約50μmまで適度に拡張し、一方で、他の領域において、細くなった(thinning)。この移植片に直ぐに隣接してライニングするポケットは、幾分かの炎症性細胞の変性を伴う好酸性ヒアリン化の軽度の多病巣性パターンを示した(図7B、図8A)。
19日目に、管腔周辺の領域が、少数の残りの毛細管および炎症成分の有意な消散に関連して10〜20μmのサイズまで有意に減少した(図8B)。残りの炎症性細胞は、変性しており、そして管腔へと細分化する少量の変性ヒアリン化コラーゲン原線維により囲まれていた。コラーゲンについてMasson’sトリクロム染色(MTS)により実施される際に隣接する正常な組織と繊維サイズおよび染色密度が類似する最小限の量の管腔周辺のコラーゲンが存在した。
31日目に、管腔周辺の領域が、隣接する正常な組織と一致する毛細管およびコラーゲン密度(MTS)を有するヒアリン化侵食性細片5〜10μmまで減少した(図8C)。置換した毛のフラグメントにしばしば関連する管腔由来の約10μmの軽度の多病巣性のリンパプラズマ細胞性浸潤が存在した。
60日目に、複合的レベルの検体の反復した切開にも関らず、移植部位は検出不可能であった(図7C)。コラーゲン、血管密度、および炎症性細胞浸潤を含む全体的な構造および個々の組織成分の特徴は、移植していないコントロール動物と比較して著しく優れていた。
概して、同じ動物由来の健康な組織と比較して穏やかな病巣の炎症応答が、手術後、最初の12日の間観察された(図7A、図7B)。炎症は、迅速に静まり、そして30日を過ぎた後は、ほとんど観察可能でなかった。60日後、移植片は、完全に吸収され、そして反復した検体の切開にも関らず、移植部位を検出できなかった(図7C)。60日目での慎重な試験によっても、顆粒化も瘢痕組織も明らかにならず、そして移植部位は、完全に、正常な組織学的構造に復帰した。線維性被膜が、いずれの時点にサンプリングしたいずれの移植片の周辺でも形成されなかった(図8A〜図8C)。移植片近傍のコラーゲン繊維の密度および染色は、連接する正常な組織の密度および染色に類似した(図8B、図8C)。線維性被膜は細片とそれらの周辺組織との間のマストランスファーを阻害するので、このことは、好首尾な医学的移植にとって重要である。これらのラットの成長速度は、正常なラットと同じであった(図9)。
Sprague−Dawleyラットにおける皮下移植はまた、PGSおよびPLGAのインビボでの生体適合性を比較するために用いられた。約6×6×3mmのオートクレーブ処理したPGSスラブおよびエチレンオキシド滅菌したPLGA(50:50、カルボキシル末端を有する、M 15K、Boehringer Ingelheim)ディスク(厚さ2mm、直径12.5mm)を、深いイソフルラン−Oの全身麻酔下で平滑切開することにより、15匹の7週齢の雌のSprague−Dawleyラット(Charles River Laboratories、Wilmington、MA)中に皮下に移植した。表面積/容量の比率(1.33±0.04)を、PGS移植片およびPLGA移植片の両方について同じに維持した。PGSおよびPLGAの各々2つの移植片を、同じ動物の上部背面および下部背面上に対称的に移植した。これらの動物を無作為に5つの群に分けた。予め規定した時点(7日間、14日間、21日間、28日間、および35日間)で、1つの群のラットを殺傷し、そして移植片の周囲を囲む組織サンプル(約15×15mm)をインタクトな移植片と共に収集した。これらの移植部位に印をつけ、そしてこれらのサンプルを上記のように処理した。各々の時点で、各々のポリマーについての12枚のスライドを得た。全ての組織学的調製物が、病理学者により評価された。病理学者は、各々のスライドにおけるポリマー移植片の同一性を知らされていなかった。各々のポリマー移植片についての炎症領域の厚さ(H&E)およびコラーゲン沈着(MTS)を、各々の時点での6枚のスライドのスライド毎の3つの読み値の平均値として表す。
炎症性応答は、両方のポリマー移植片について時間と共に静まった(図10、図11)。移植後(p.i.)7日目に、検出可能なコラーゲン沈着を伴わない緻密血管増殖および軽度炎症の領域により、管腔壁が著しく厚くなった(図10A、図10B)。p.i.21日後に、管腔壁は、このポリマーに直ぐに隣接する中程度の変性炎症性浸潤を伴い有意に厚くなった(図10C、図10D)。PLGA移植部位が、PGSの非存在下で、有意なコラーゲン線維性被膜により示された。p.i.35日目に、管腔壁が、血管増殖を伴わずに細胞細片の薄い領域まで減少した(図10E、10F)。PGS移植部位におけるコラーゲン沈着は、フラグメント化PLGA移植片の周囲のコラーゲン沈着よりも非常に薄かった。
最初の3週間において、PLGA移植部位の炎症性応答は、PGS部位の炎症性応答より約16%薄かった(図11)。両方の移植部位における炎症性領域の厚さは、4週目および5週目でほぼ同じであった。PLGA移植片の周囲を囲む線維性被膜(厚い無血管コラーゲン層)は、14日間内に発生し、そしてそれらの厚さは約140μmのままであった(図10)。コラーゲン沈着は、移植35日後までPGS移植片の周囲に現れなかった。このコラーゲン層は、高度に血管化し、そしてたった約45μmの厚さであった。
PLGAで観察される炎症反応および線維性被膜形成は、文献(Cadee,J.A.ら、A comparative biocompatibility study of microspheres based on crosslinked dextran or poly(lactic−co−glycolic)acid after subcutaneous injection in rats.J.Biomed.Mater.Res.,56:600−609,2001;van der Elst,ら,Bone Tissue response to biodegradable polymers used for intramedullary fracture fixation:a long−term in vivo study in sheep femora.Biomaterials.,20:121−128,1999)で報告されるものと類似している。厚い線維性被膜は、移植片と周辺組織との間の質量移動をブロックし、このことは、移植機能を損なう。概して、PGSの炎症反応は、PLGAと類似している。しかし、PLGAとは異なり、PGSは、存在するとしても、線維性被膜形成をほとんど誘導しない。
(ポリマーの分解)
PGSの分解特性を、インビトロおよびインビボの両方で試験した。乾燥ポリマーのスラブ(5×5×2mm)を計量し、そしてPBS(pH7.4、Gibco,Carlsbad,CA)を満たした15mlの遠心分離管(Falcon)に移した。60日後、これらのサンプルをとりだし、そして脱イオン水で洗浄した。この表面の水をキムワイプで除去し、そしてこれらのサンプルを、40℃のオーブンで7日間乾燥した後に計量した。分解の程度を、乾燥重量の変化によって決定した。
37℃で、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中、60日間の撹拌により、乾燥サンプル重量の変化による測定によると、このポリマーは17±6%分解した。対照的に、その後のラット中の皮下移植片は、60日で完全に吸収された。インビボ実験において、酵素、そしておそらくマクロファージも同様に、分解速度の差違を生じ得た。インビボの分解は、このポリマー移植片を薄くし、外移植片は、少なくとも35日目まで、その四角い形状および比較的尖った縁部を維持した。先行のデータは、機械的強度は、質量損失と共に直線的に減少する(例えば、約70%の質量と共に、約60%の強度が減少する)可能性があることを示す。機械的強度を、微小なサンプルの機械的特性を試験するナノ硬度計で測定した。両方の結果は、このポリマーが、表面侵食によって優勢に分解することを示唆する。対照的に、このポリマーが、大量の分解を示した場合、機械的強度は、質量損失より前に十分に減少する。分解プロセスの間の完全性の保存は、特定のタイプのマトリックス移植片、薬物送達デバイスおよびインビボセンサに重要であり得る。
PGSおよびPLGAのインビボ分解速度もまた、比較した。PGSの平坦なシートを、6×6×3mmの正方形のブロックに切った。カルボン酸末端PLGA(50:50、カルボキシル末端、MW 15,000,Boehringer Ingelheim Inc.,Germany)の粉末を、82℃、2000psiで6分間圧縮成形することによって、円形のディスク(直径:12.5mm、厚さ:2mm)にプレスした。この表面積/容量比は、PGSサンプルおよびPLGAサンプルについて同一であった。PGSサンプルを、オートクレーブで滅菌し(120℃、20分)、一方、PLGAサンプルを、移植の前に、エチレンオキシドで滅菌した(4時間の滅菌、12時間の通気)。
全てのサンプルを、15匹の7週齢の雌性Sprague−Dawleyラットに皮下移植した。各動物に、4個の移植片を、1個のPGSおよび1個のPLGAの各々が上背および下背に対称的になるように移植した。これらの動物を、深部のイソフルオラン(isofluorane)/O全身麻酔下におき、その後、手術部位を剃毛し、そしてベタジエン(betadiene)および70%エタノールで消毒した。これらの移植片を、ブラントジセクションにより作製した皮下ポケットに挿入した。この創傷を、創傷クリップで閉じ、そして手術部位を、70% エタノールで再び消毒した。これらの動物を、無作為に、5グループに分けた。全ての創傷クリップを、移植の7日後に取り外した。
7日目、14日目、21日目、28日目および35日目において、移植片を、深部のイソフルオラン/O全身麻酔下で、1つの群の動物から取り出した(explant)。この移植片の周りの組織サンプル(20×20mm)を、移植片がインタクトな状態で取り出した。これらの移植片を、慎重に取り出し、そしてリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)溶液およびD.I.水で連続的にリンスした。
巨視的には、このPGS外植片は、試験期間全体にわたって、その形状を維持していた(図12A〜F)。対照的に、PLGA外植片の形状は、おそらく多量の分解および膨潤に起因して、14日以内に崩壊した。これらは、透明なディスクから白色の不透明な不規則な塊にかなり変形した(図12G〜J)。PLGA移植片は、過剰な浸潤およびこの移植片の脆い性質に起因して、3週間を超えて首尾良く回収されなかった。
SEM観察は、PGS外植片表面がその完全性を維持することを示した。清潔な滅菌されたサンプルおよび清浄化されて乾燥された外植片の両方を、アルミニウムスタブに取付け、そしてその表面形態を、気相二次電子検出器を用いて、2Torr、10kVビーム、2.0スポットサイズの下で、Philips FEI XL−30 FEG環境走査電子顕微鏡で観察した。オートクレービング後に、等高線の特徴が表面上に現れた。このような特徴は、この実験の経過にわたって維持されたが、亀裂の形成は観察されなかった(図13A〜F)。PLGA移植片の場合(図13G〜J)、20μmの穴が、移植の7日後に、表面上に現れ;約20μm幅の亀裂が、14日以内に形成され;そして21日目までに、40μmより広いより大きな亀裂およびより小さな亀裂の両方が、このPLGA表面全体にわたって観察され得る。
インビボにおける分解性ポリマーの膨潤の程度は、適切な移植片材料について重要なパラメーターである。過剰な膨潤は、通常、移植片に望まれない。なぜなら、過剰な膨潤は、移植片の形状を崩壊し、そしてポリマーを軟化するからである(Yoon,JJら、Degradation behaviours of biodegradable macroporous scaffolds prepared by gas foaming of effervescent Salts.J.Biomed.Mat.Res.55:401−408,2001;Kranz.,H.ら,Physicomechanical properties of biodegradable poly(D,L−lactide) and poly(D,L−lactide−co−glycolide)films in the dry and wet states,J.Pharm.Sci.89:1558−1566,2000)。膨潤比を、乾燥前および乾燥後の外植片の重量差から計算した:(W−W)/W(ここで、Wは、湿潤サンプルの重量であり、Wは、乾燥サンプルの重量である。これらの外植片を、洗浄し、そして計量の前に表面水をキムワイプで除去した。各外植片を、40℃で、真空下(85mTorr)、48時間徹底的に乾燥させた。各外植片を、任意のその後の試験の前に、再び計量した。
PGS移植片の含水量は、直線的に上昇し、そして35日目に15%に達し、このとき、ポリマーは、70%より多くが分解した(図14A)。対照的に、PLGA移植片の水取込みは、タイムラグ、その後の含水量の変化(その質量損失と類似のパターン)を示した(図14B)。PLGA移植片の含水量は、14日以内に、11%まで徐々に増加し、次いで、次の7日以内に、急激に増加して、49%に達した。
質量損失の速度はまた、生分解性ポリマーの分解特性の指標である。PGS移植片は、35日間の試験期間にわたって、確実にかつ直線的にその重量を損失し、35日目において、このPGS移植片は、その質量の70%より多くを損失した(図14A)。PLGAの質量損失は、14日以内では無視でき(<1%)、次いで、次の7日目まで急激に変化して、61%に達した(図14B)。分解時のPLGAの初期の遅れの後の、急激な質量損失は、文献に報告されるものと類似している(Lu,L.ら,In Vitro and in vivo degradation of porous poly(dl−lactic−co−glycolic acid)foams.Biomat.21:1837−1845,2000;Vert,M.ら,More about the degradation of LA/GA−derived matrixes in aqueous media.J.Controlled Release.16:15−26,1991)。
移植片における分解性ポリマーの重要な機能の1つは、機械的支持を提供することである。故に、機械的強度が分解と共にどのように変化するかを知ることが重要である。外植片を、ASTM規格D575−91に従って、50Nまたは500Nのロードセルを備えたInstron 5542フレームで試験した。簡単に述べると、これらの外植片を、2mm/分の一定のランプ速度で、圧縮した。PGS外植片を、50%のひずみまで圧縮し、一方、PLGA外植片を、破壊するまで圧縮した。元のサンプルおよびPGS外植片は、規則的な形状を有し、そしてデジタルカリパス(Mitutoyo,500−196CD−6’’CS)で測定した。PLGA外植片は、分解の際に変形し、そしてその寸法を測定して、最良の近似であることを確認した。この研究において、機械的強度を、約1/3のひずみから破壊されるまでの外植片の圧縮弾性係数により表す(PLGA、1%;PGS、25%)。PGS移植片は、移植後に、徐々にかつゆっくりと、機械的強度を一週間に約8%損失する。35日目において、PGS移植片の質量の30%未満が残っていた場合、弾性係数は、50%より大きかった(図14A)。対照的に、PLGA移植片が、移植後短時間で、その機械的強度を損失する(7日以内で98%より多く)。14日目において、PLG移植片の弾性係数は、0.25%まで減少した。21日目において、質量の42%が残っていた場合、その弾性係数は、0.023%まで減少した(図14B)。このことは、PGS移植片が、その機械的強度を、PLGAよりはるかによく維持することを示す。
同一条件下におけるPGSとPLGAとの間の分解特性の差異は、これらがおそらく異なる機構によって分解されることを示す。大量の分解によってほとんど分解するPLGAとは異なり、PGSのインビボ分解は、時間と共に直線的に質量が損失すること、移植片形状の保存、機械的強度の優れた保持、表面亀裂が存在しないことおよび最小の水取込みによって示されるように、表面侵食によって支配される。分解されると、PGS移植片は、その完全性を、PLGAよりよく保ち、そしてこのようなポリマーが不成功である生体医用適用において有用であることを証明し得る。
(複合体および混合物)
生体ゴムは、ブレンドおよび付加体中の他のポリマーと組み合わされて、材料の分解特性および機械的特性が操作され得る。実際に、任意の生体適合性ポリマーが、生体ゴムと組み合わされ得る。好ましい実施形態において、この付加ポリマーは、生分解性である。例示的な生分解性ポリマーとしては、天然のポリマーおよびその合成アナログ(ポリサッカリド、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、コラーゲン−GAG、コラーゲン、フィブリン、および他の細胞外マトリックス成分(例えば、エラスチン、フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびラミニン)を含む)が挙げられる。当該分野で公知の加水分解的に分解可能なポリマーとしては、例えば、特定のポリエステル、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼンおよびポリホスホエステルが挙げられる。当該分野で公知の生分解性ポリマーとしては、例えば、特定のポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフマレート(polypropylfumerate)、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ(アミド−エナミン)、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリアセタール、ポリエーテル、生分解性ポリシアノアクリレート、生分解性ポリウレタンおよびポリサッカリドが挙げられる。例えば、本発明で使用され得る特定の生分解性ポリマーとしては、ポリリジン、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、PLAとPGAとのコポリマーおよび混合物(例えば、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLG)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)(PLC)、ならびにポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)(PGC))が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、これが例示的であり、非包括的な生分解性ポリマーの列挙であることを認識する。これらおよび他のポリマーの特徴、ならびにこのポリマーを調製するための方法は、当該分野でさらに記載される。例えば、米国特許第6,123,727号;同第5,804,178号;同第5,770,417号;同第5,736,372号;同第5,716,404号(Vacanti);同第6,095,148号;同第5,837,752号(Shastri);同第5,902,599号(Anseth);同第5,696,175号;同第5,514,378号;同第5,512,600号(Mikos);同第5,399,665号(Barrera);同第5,019,379号(Domb);同第5,010,167号(Ron);同第4,806,621号;同第4,638,045号(Kohn);および同第4,946,929号(d’Amore)を参照のこと;Wangら,J.Am.Chem.Soc.123:9480,2001;Limら、J.Am.Chem.Soc.123:2460,2001;Langer,Acc.Chem.Res.33:94,2000;Langer,J.Control Release 62:7,1999;およびUhrichら、Chem.Rev.99:3191,1999もまた参照のこと。
生体ゴムはまた、非生分解性ポリマーと組み合わされ得る。例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンおよびそれらの誘導体は、シード細胞または隣接組織に対するさらなる刺激を提供し得る有用な導電性ポリマーである。例示的な非生分解性ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリエステル、非生分解性ポリウレタン、ポリウレア、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリカーボネート、およびポリ(エチレンオキシド)が挙げられるが、これらに限定されない。
あるいはまたはさらに、繊維および粒子が、その機械的特性を改変するために、生体ゴムと組み合わせられ得る。例えば、コラーゲンまたはPLGAの繊維が、生体ゴム中に埋めこまれて、この生体ゴムを堅くし得る。BioglassTMの粒子またはリン酸カルシウムセラミックもまた、ポリマーと組み合わされ得る。
(ポリマーの特性の改変)
生体ゴム上のヒドロキシル基は、分子が結合されて、その材料のかさまたは表面特性を改変し得る部位を提供する(Jayachandran,K.N.ら、Synthesis of Dense Brush Polymers with Cleavable Grafts.Eur.Polym.J.36:743−749,2000;Laschewsky,A.ら、Tailoring of Stimuli−responsive Water Soluble Acrylamide and Methacrylamide Polymers.Macromol.Chem.Plys.202:276−286,2001)。例えば、tert−ブチル、ベンジルまたは他の疎水性基が、分解速度を減少させるためにこの材料に添加され得る。極性有機基(例えば、メトキシ)もまた、分解速度および親水性の両方の調節を容易にし得る。対照的に、これらの部位における親水性基(例えば、糖)の付加は、分解速度を上げる。酸もまた、この材料の特性を改変するために、ポリマーに添加され得る。例えば、カルボキシル基またはリン酸基を有する分子、あるいは酸性糖が添加され得る。荷電した基(例えば、スルフェートおよびアミン)もまた、このポリマーに結合され得る。このポリマーに付加される基は、ヒドロキシル基への結合を介して(水素を置換する)付加され、ヒドロキシル基の置換によってポリマー骨格に直接結合され得るか、またはポリマーに結合した有機基に組み込まれ得る。例えば、荷電したアミノ酸(例えば、アルギニンまたはヒスチジン)は、分解速度を改変するために、ポリマーに結合され得る。
このような非タンパク質有機基または無機基のポリマーへの結合は、このポリマーの親水性および分解速度、ならびに機構を改変する。保護基化学物質もまた、材料の親水性を改変するために使用され得る。当業者は、広範な非タンパク質有機基および無機基が、その特性を改変するために、このポリマーに付加され得るか、またはこのポリマー中のヒドロキシル基について置換され得ることを認識する。例示的な官能基はまた、March,Advanced Organic Chemistry.第5版、John Wiley & Sons,Inc.,New York,1995(この内容全体は、本明細書中に参考として援用される)に記載される。
細胞とのポリマーの相互作用をさらに制御または調節するために、生体分子、低分子または生体活性薬剤が、ヒドロキシル基に結合され得るか、またはポリマー骨格に組み込まれる(Barrera,D.,ら、Synthesis and RGD Peptide Modification of a New Biodegradable Copolymer:Poly(lactic acid−co−lysine).J.Am.Chem.Soc.115:11010−11,1993;West,J.L.,ら、Polymeric Biomaterials with Degradation Sites for Proteases Involved in Cell Migration.Macromolecules 32:241−244,1999;Mann,B.K.,Smooth Muscle Cell Growth in Photopolymerized Hydrogels with Cell Adhesive and Proteolytically Degradable Domains:Synthetic ECM Analogs for Tissue Engineering.Biomaterials 22,3045−3051;2001)。あるいは、生体分子、低分子または生体活性薬剤は、生体ゴム内にカプセル化され得、そしておそらく、この生体ゴムに非共有結合的相互作用を使用して連結され得る。この部分の生体ゴムへの結合は、より遅い放出速度を生じる。なぜなら、これは、このポリマーが分解した場合に、この材料から放出されるからである。対照的に、この部分が、生体ゴム内にカプセル化される場合、この部分は、このポリマーが分解する前に、この材料から拡散し得る。
例えば、生体分子(例えば、増殖因子)は、細胞を創傷部位に補充するか、またはこの部位にある細胞もしくはマトリックス内に播種された細胞における特定の代謝挙動もしくは増殖挙動を促進するために、利用され得る。例示的な増殖因子としては、TGF−β、酸性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、上皮増殖因子、IGF−IおよびIGF−II、血管内皮由来増殖因子、骨形態形成タンパク質、血小板由来増殖因子、ヘパリン結合増殖因子、造血性増殖因子およびペプチド増殖因子が挙げられるが、これらに限定されない。インテグリンおよび細胞接着配列(例えば、RGD配列)が、細胞接着を促進するために、生体ゴムに結合され得る。インテグリンは、細胞−細胞外マトリックス相互作用および細胞−細胞相互作用に関与する細胞接着レセプターの大きなファミリーの一部である。フィブロネクチンのようなタンパク質に存在するRGD配列は、細胞の接着および増殖の促進において活性であることが示されている(Massiaら、J.Cell.Biol.114:1089,1991)。細胞外マトリックス成分(例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチンなど)が、生体ゴムと組み合わされて、細胞の補充、移動および代謝、ならびにこの材料の分解特性および機械的特性が操作され得る。プロテオグリカンおよびグリコサミノグリカンはまた、生体ゴムに共有結合的または非共有結合的に結合され得る。
(マトリックス適用)
生体ゴムの弾性は、種々の細胞の再生における使用を推奨する。この材料は、組織工学(例えば、上皮組織、結合組織、神経組織、筋肉組織、器官および他の組織)に使用され得る。本発明の材料から恩恵を受け得る例示的な組織としては、動脈、靱帯、皮膚、腱、腎臓、神経、肝臓、膵臓、膀胱および他の組織が挙げられる。生体ゴムはまた、骨の石灰化および形成のためのテンプレートとして使用され得る。生体ゴムは、反復性の張力的、流体静力学的または他の応力に供される組織(例えば、肺、血管、心臓弁、膀胱、軟骨および筋肉)を再生するために、特に推奨される。
日々の使用における組織の経験機械的応力(tissues experience mechanical forces)および変形、ならびに組織リモデリングは、しばしば機械的応力によって影響される。例えば、それらが高い頻度で使用される場合、心臓および他の筋肉は、密度およびサイズを増大し、そして不使用の際には萎縮する。機械的応力は、細胞外マトリックスエレメントを生成する細胞を刺激して、ECMの生成または分解のいずれかを促進する増殖因子を生成する。機械的応力に対する正常な生理学的反応を模倣する生体ゴム(bio−rubber)のような物質の使用は、正常組織の再生を促進する。なぜなら、機械的刺激は、組織工学構築物の培養において容易に適用され得るからである。
例えば、生体ゴムを使用して、患者の膀胱の一部を組織操作または再生し得る。1つの実施形態において、平滑筋細胞および尿路上皮は、生体ゴム上に播種される。インプラントを患者内に入れる前に、これらの細胞を増殖させ得る。カートリッジを取り替えるか、または再生するために、軟骨細胞を生体ゴム上に播種し、これは周期的せん断(cyclic shear)に耐え得そして圧縮力カートリッジは、関節屈曲(joint bend)に供される。
生体ゴムはまた、人工装具の心臓弁を生成するために使用され得る。心臓弁は、非常に可撓性であり、そして心拍のような周期的変形(cyclic deformation)に供される。身体は、正常な生理学的機構による心臓弁の分裂を修復し、従って生分解性物質から作られた心臓弁を再生し得る。平滑筋細胞および内皮細胞を播種した生体ゴム心臓弁は、新規の非人工心臓弁を生成するために、身体内でリモデリングされる。いくつかの実施形態において、同様に線維芽細胞を添加することも所望され得る。好ましい実施形態において、再生は、3ヶ月の期間にわたって生じる。このポリマーの分解速度は、架橋密度を改変することによって、そして/または疎水性基でヒドロキシル基を修飾することによって容易に制御される。
生体ゴムの形状はまた、特異的組織工学適用について操作され得る。例示的な形状としては、粒子、チューブ、球、撚り線、コイル状撚り線、フィルム、シート、繊維、メッシュなどが挙げられる。1つの例示的な実施形態において、微細加工を使用して、生体ゴムから毛細管ネットワーク(capillary network)を形成し得る。シリコンウエハは、標準的な微細加工技術を使用して処理され、所望のパターンを有する毛細管ネットワークを生成する。このネットワークは、犠牲層(sacrificial layer)(例えば、ショ糖)を用いてコートされる。このプレポリマーは、上記の所望の方法に従って、この犠牲層上にキャストされ、そして硬化される。水を使用して犠牲層を溶解し、そして重合した生体ゴムを放出させた。これは、シリコンウエハ中に形成された毛細管ネットワークのレリーフパターン(relief pattern)を有する。1つの実施形態において、生体ゴム中のチャネルは、7μmの直径で、5μmの深さである。当業者は、チャネルを限定するサイズは、微細加工技術の分解能によって影響されるが、生物学的適用は、5〜10’ミクロンまたは100’ミクロンまたはそれ以上の程度のチャネルサイズが有益であり得ることを理解する。毛細管ネットワークは、生体ゴムの平坦なシートでそれらをカバーし、そしてそれを硬化することによって閉じられ得る。例えば、未架橋ポリマーの層は、パターン化された層とこの平坦な層との間の接着剤(glue)として使用され得る。「接着剤」を重合することにより、2つの断片を一緒に結合させる。あるいは、以下に記載される接着剤(adhesive)を使用して、互いに2つの断片を接着させ得る。アセンブリのさらなる硬化は、接着剤の架橋密度を増大させ、そして接着剤と平坦でパターン化した生体ゴム層との間に共有結合を形成する。代替的な実施形態において、未架橋の平坦な生体ゴムフィルムを、パターン化したフィルム上に硬化してチャネルをカバーし得る。
これらの形状を、広範な組織を操作するために利用し得る。例えば、このポリマーを、チューブ内に製造して神経再生を促進し得る。損傷した神経を、チューブの末端に供給し、これは、創傷部位を横切る軸策の移動を導く。あるいは、生体ゴムを使用して、肝臓の組織構築を促進し得る。例えば、これは、血管および毛細管ネットワークを模倣するチューブのネットワーク内に形成され得、組織を発達させるための栄養素を運搬する栄養素供給に関連し得る。細胞をインビボでチューブのネットワークに補充し得るか、または血管細胞と播種され得る。チューブのこのネットワークの周りに、肝組織における細胞外マトリックスの配置を模倣するネットワーク内に生体ゴムを形成し、そして肝細胞を播種し得る。同様に、この生体ゴムを、繊維性ネットワーク内に構築し、膵島細胞を播種し、そして膵臓を組織操作するために使用し得る。この生体ゴムにまた、以下の種々の他の細胞を播種し得る:例えば、腱細胞、線維芽細胞、靱帯細胞、内皮細胞、上皮細胞、筋細胞、神経細胞、腎細胞、膀胱細胞、腸細胞、軟骨細胞、骨形成細胞、幹細胞(例えば、ヒト胚性幹細胞もしくは間葉細胞)など。
(医学的適用)
他の医学的適用はまた、本発明のポリマーの弾性から利益を受ける。例えば、開腹手術後、腸および他の腹部の器官は、互いにおよび腹壁に癒着する傾向がある。これは、この癒着が手術後の炎症から生じるが、腹部領域に直接送達された抗炎症性薬物は迅速に分散することが考慮される。生体ゴムを使用して、抗炎症性薬物を腹部領域に送達し得る。なぜなら、生体ゴムは柔軟かつ可撓性であるので、例えば、腹壁に生体ゴムを接触させることによって内部器官を切断すること(これは、感染を引き起こす)なく、腹壁と内部器官との間に生体ゴムを移植し得る。抗炎症性薬物は、数ヶ月の期間にわたって、生体ゴムから放出され得る。以前の研究者らは、ヒドロゲル、ヒアルロン酸ベースの膜、およびこれらの問題を解決するための他の物質を使用することを試みたが、このような物質は、体内で迅速に分解される傾向がある;より長い持続期間が、癒着を予防するために必要とされる。
別の実施形態において、生体ゴムを使用して金属ステントをコーティングし得る。なぜなら、生体ゴムは可撓性であるので、破れることなくステントと共に展開するが、金属ステントの剛性は、生体ゴムが以前の形状を弾性的に呈するのを防ぐ。生体ゴムは、ヘパリンまたは他の抗凝固剤または抗炎症剤を放出し得、血栓または瘢痕組織の形成(これは、血管を閉塞するか、または循環の問題(体内の他の場所での卒中を含む)を引き起こす血栓を放出する)を防ぐ。あるいは、または、さらに、脈管形成因子を使用して、ステントの周りの血管のリモデリングを促進させ得る。実際に、任意の生体分子、低分子、または生体活性薬剤は、ポリマーと組み合わされ得る。このような分子は、ポリマーと共有結合または非共有結合し得る。
生体ゴムをまた使用して、「長期間」の医療デバイスを調製し得る。代表的な永続的医療デバイスとは違って、生体ゴムは長期間にわたって分解する。例えば、この物質を、生分解性心臓ステント内に構築し得る。好ましくは、生体ゴムを、ステントの生成について可塑的に形成するより硬質のポリマーと組み合わせる。例示的なポリマーとしては、上に列挙した全てのポリマー、好ましくは、生分解性ポリマーが挙げられる。生体ゴムは、ステントが、移植後に所望の形状に展開することを可能にする可塑剤として作用する。ステントは、血管の直径を増大させ、循環をより容易にする。しかし、ステントは生分解であるので、血管の周囲は、血栓症または瘢痕組織でステントを覆うこと(これは、血管を再び閉塞させる)なく、直径を増大させる。分解の前にステントが局所に残留し、その形状を保持すべき時間は、患者ごとに変動し、患者のブロック量および年齢に部分的に依存する(例えば、老齢の患者はより多くの治癒時間を必要とする)。当業者は、分解速度を調節するために、ステント内の分子量およびポリマーの架橋密度を、容易に調節し得る。コーティングされたステントについて、分解性ステントは、生体分子、低分子、生体活性薬剤、またはインサイチュでのこれらのいくつかの組み合わせを放出し得る。
グリセロール−二酸コポリマーをまた、外科用接着剤として使用し得る。生体適合性で生分解性の外科用接着剤を使用して、手術の間の出血を止め得るが、この接着剤は外科医が創傷を縫合して閉じる前に取り外す必要はなく、そして長期間にわたって分解される。現在の外科用接着剤は、しばしばウシ組織由来のフィブリンを使用し、そして合成外科用接着剤は、クロイツフェルトヤコブ病(Creuzfeld−Jakob syndrome)(「狂牛病」)の危険性が減少させる。接着剤を生成するために、このポリマーを、48時間保持する代わりに24時間だけ減圧下で保持すればよく、これは、架橋密度を減少させ、ヒドロキシル基の数を増加させ、そして著しい粘着性の生成を提供する。例えば、減圧下で24時間後、ポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなおそらく非粘性の物質に粘着する。この粘性は、ポリマーと隣接した物質との水素結合を生じ得る。組織工学適用のための生体ゴムは、代表的に、10%未満の架橋密度、1%未満の架橋密度を有するが、外科用接着剤として使用するためのグリセロール−二酸コポリマーは、好ましくは0.5%未満、そしてより好ましくは、0.05%未満の架橋密度を有する。
生体ゴムをまた使用して、インビボでのセンサーおよびカテーテルを支持し得る。このポリマーを、光ファイバーベースのセンサーのためのチャンバ内または目的の領域に挿入されるカテーテルのためのコーティング内に構築する。センサーにおいて、このチャンバは、目的の分子に対する特異的発色団結合レセプターを含む。分析物がレセプターに結合する場合、発色団は、特異的波長で光を放出するかまたは吸収するかのいずれかである。吸収または放出は、光ファイバーに接続される装置によって検出され得る。このセンサーを、短期間(例えば、10〜15日間)、連続したモニタリングのために使用し得る。同様に、カテーテルを使用して、薬物または他の低分子または生体活性薬剤を特異的部位または静脈内に定期的に送達し得る。生体ゴムの使用は、瘢痕組織(2週間以上にわたって使用されるシャントまたは他のインプラントを回りに通常形成される)の形成を減少させる。生体ゴムの分解速度は、患者に配置されている間、物質の有意な分解が存在しないように、最適化されるべきである。
(薬物放出適用)
生体ゴムをまた、薬物放出適用、特に、マトリックスが順応性を必要とする薬物を保持する適用のために使用する。生体ゴムは、弾性であるので、生体ゴムは、患者と共に(彼/彼女が、歩く、走る、座るなどのように)動く。生体ゴムは、それが分解しながらその機械的完全性を維持するので、このデバイスは、その寿命の終わりに向かって破壊的に失敗する可能性は低く、所望の薬物のボーラス放出の危険性を減少させる。生体分子、低分子、および生体活性薬剤は全て、共有結合的または非共有結合的な相互作用を使用して生体ゴムと共に組み合され得る。例示的な非共有結合的相互作用としては、水素結合、静電的相互作用、疎水性相互作用、およびファンデルワールス相互作用が挙げられる。
生体ゴムをまた、閉じるのが難しいか、または正常な生理学的機構によって適切に治癒することができない他の創傷について使用し得る。例えば、糖尿病は、しばしば、特に下肢において、皮膚の損傷(「糖尿病性の潰瘍」)を生じ、これは、乏しい循環に起因して、治癒に時間がかかるか、または適切な治癒ができない。これらの創傷に対して抗生物質または抗炎症性剤を送達するための生体ゴムの使用は、創傷の治癒を補助し、そして創傷のカバーを提供する。
(非医学的適用)
生体ゴムはまた、非医学的適用のために使用され得る。例えば、使い捨てオムツは、強靭なエラストマーおよび吸収性物質を包んだ液体浸透性上面シートから形成される。現在、ポリプロピレンが、弾性「包材」に使用される。ポリプロピレンは、分解可能ではなく、そして埋め立てにおいて分解するのに10年以上を必要とする。対照的に、生体ゴムは、乾燥環境では安定であるが、埋め立てにおいて湿潤後2〜4週間の内に分解する。生体ゴムの生分解性を利用し得る類似の製品としては、失禁保護具、生理用ナプキン、パンティライナー、および創傷包帯が挙げられる。同様に、プラスチック袋(例えば、ゴミ袋)は、本発明のポリマーから部分的にまたは全体的に作製され得る。生体ゴムが単独で使用される場合、架橋密度を増加させるか、またはヒドロキシル基を改変して、分解時間を増加させ、そして袋が埋め立てに到達する前のかなりの分解を防止することが望ましい。
生体ゴムを利用して、天然の資源を保護するだけでなく、そういった天然資源に依存する動物までも保護し得る。例えば、種々の公衆イベントにおいてヘリウム充填バルーンを放出することは、非常に一般的なことである。バルーンは、ついには、割れて、地表へと吹き流され、ここで、動物は、それらを食しようと試みて、窒息する。対照的に、生体ゴム製のバルーンは、自然への曝露の際に分解する。このようなバルーンは、ついには、それらを食する動物によって消化され、そして一旦それらが分解されると、動物への持続的な窒息の危険性が存在しなくなる。別の実施形態において、生体ゴムを使用して、フィッシングルアーまたはフィッシングフライを製造し得る。釣り人がルアーを失った場合、このルアーは、流れまたは湖の底に簡単に沈み、そしてついには、分解する。
別の非医学的適用において、未架橋グリセロール−二酸コポリマーは、チューインガムの基材として使用され得る。例えば、未架橋物質は、着色剤、香味料、または他の添加物と合わせられ、ガムを生成し得る。噛む間の楽しい口当たりを生成する適切な微小構造は、異なる分子量および架橋密度までポリマーを重合し、そして得られる物質を数分間噛むことによって容易に決定され得る。
ガムはまた、栄養素(例えば、ビタミン)または薬物を噛む人に送達するように適合され得る。栄養素としては、FDA推奨の栄養素(例えば、ビタミンおよびミネラル、アミノ酸)、または健康食品店で入手可能な種々の栄養補助食品が挙げられ得る。このような添加物は、グリセロール−二酸コポリマーと簡単に混合され、ガムを生成し得る。あるいは、それらは、好ましくは、口の中で見出される酵素によって溶解される加水分解可能な結合を介して、ポリマーに共有結合し得る。このガムを噛むにつれて、栄養素または薬物が、放出および嚥下される。このガムを嚥下した場合、消化器系において完全に代謝される。
本発明の他の実施形態は、本明細書中の考察または本明細書中に開示される本発明の実施から当業者に対して明らかである。本明細書および実施例は、例示的のみとして考慮され、本発明の真の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
本発明は、いくつかの図面を参照して記載される。
図1Aは、エラスチン中の架橋の概略図である。 図1Bは、コラーゲン中の架橋の化学構造を示す。図1Cは、生体ゴム中の架橋の化学構造を示す。 図1Dは、生体ゴム中の架橋の概略図である。 図2は、生体ゴムに対するフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを示す。 図3Aは、PGS、加硫ゴム、およびP4HB(UTS−最終引張り強さ)に対する応力−歪み曲線を示す。 図3Bは、PGSの圧縮試験の結果を示す。 図4は、播種の7日後の、HASMC細胞形態ならびにポリマーウェル(A)およびコントロールウェル(B)中の数を示す顕微鏡写真である(スケールバー=100μm)。 図5は、播種の6日後の、PGSサンプルウェル中のNIH3T3繊維芽細胞形態およびその数(A)ならびにPLGAコントロールウェルNIH3T3繊維芽細胞形態およびその数(B)を比較する顕微鏡写真である(スケールバー=200μm)。 図6は、PGS(白丸)ウェル中のNIH3T3繊維芽細胞の増殖速度とPLGA(白四角)ウェル中のNIH3T3繊維芽細胞の増殖速度とを比較するグラフである(570nmで測定されたMTT吸収、正規化された値を示す)。 図7は、ラット皮膚(顕微鏡写真の上が皮膚)の一連の顕微鏡写真(スケールバー=500μm)であり、H&E染色によって提供されるコントラストを有するPGS移植部位(*によって示される)での皮下組織を有する全皮膚厚さを示す:(A)移植後(pi)5日;(B)pi12日;(C)pi60日。 図8は、ラット皮膚(顕微鏡写真の下が皮膚)を示す一連の顕微鏡写真であり、H&E染色によって提供されるコントラストを有するPGS移植後の管腔壁の特徴および厚さを示す:(A)pi12日(スケールバー=100μm);(B)pi19日(スケールバー=50μm)挿入図、MTS染色;(C)pi31日(スケールバー=50μm)挿入図、MTS。 図9は、PGS移植片の移植後のラットの成長速度を示すグラフである。 図10は、移植部位での経時的な、管腔壁特性(H&E,10×)と繊維性被膜厚さ(挿入図、MTS、5×)とを比較するラット皮膚の一連の顕微鏡写真である:(A、C、E)PGS、それぞれ、移植後、7日、21日、および35日;(B、D、F)PLGA、それぞれ、移植後、7日、21日、および35日(上、皮膚;空白領域、移植部位;スケールバー=200μm)。 図11は、PGSおよびPLGAに対する経時的な免疫応答の厚さの変化を示すグラフである(炎症域:PGS(白丸);PLGA(白四角)。繊維性被膜:PGS(黒丸);PLGA(黒四角))。 図12は、分解の種々の時間点でのPGS外稙片(A〜F)およびPLGA(G〜J)外稙片の一連の写真である(PGS、A:0日;B:7日;C:14日;D:21日;E:28日;F:35日。PLG、G:0日;H:7日;I:14日;J:21日)。 図13は、分解の種々の時間点でのPGS外稙片(A〜F)およびPLGA(G〜J)外稙片の一連の走査型電子顕微鏡写真である(PGS、A:0日;B:7日;C:14日;D:21日;E:28日;F:35日。PLGA、G:0日;H:7日;I:14日;J:21日)。 図14は、分解の際の、質量変化(白四角)、機械的強度(×)、および水含量を(A)PGS移植物(実線)と(B)PLG移植物(点線)とで比較するグラフである(エゴム:標準偏差、n=6)。

Claims (105)

  1. グリセロールおよび二酸の生分解性縮合ポリマーを含むポリマーであって、該ポリマーは、5MPa以下の引張り弾性係数を有する、ポリマー。
  2. 前記ポリマーが、生体適合性である、請求項1に記載のポリマー。
  3. 前記ポリマーが、エラストマーである、請求項1に記載のポリマー。
  4. 前記二酸に対する前記グリセロールの比が、1〜1.5の間である、請求項1に記載のポリマー。
  5. 前記二酸が、セバシン酸である、請求項1に記載のポリマー。
  6. 前記二酸が、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、およびアゼライン酸から選択される、請求項1に記載のポリマー。
  7. 前記二酸が、10より多い炭素原子を有する炭素鎖を含む、請求項1に記載のポリマー。
  8. 前記二酸が、15より多い炭素原子を有する炭素鎖を含む、請求項7に記載のポリマー。
  9. 前記二酸が、20より多い炭素原子を有する炭素鎖を含む、請求項8に記載のポリマー。
  10. 前記二酸が、25より多い炭素原子を有する炭素鎖を含む、請求項9に記載のポリマー。
  11. 前記二酸が、1つ以上の二重結合、芳香族基、アミン、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、脂肪族側鎖、または上記の任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のポリマー。
  12. 前記ポリマーが、架橋している、請求項1に記載のポリマー。
  13. 前記ポリマーが、40%未満の架橋密度を有する、請求項12に記載のポリマー。
  14. 前記ポリマーが、30%未満の架橋密度を有する、請求項13に記載のポリマー。
  15. 前記ポリマーが、20%未満の架橋密度を有する、請求項14に記載のポリマー。
  16. 前記ポリマーが、10%未満の架橋密度を有する、請求項15に記載のポリマー。
  17. 前記ポリマーが、5%の架橋密度を有する、請求項16に記載のポリマー。
  18. 前記ポリマーが、1%未満の架橋密度を有する、請求項17に記載の生分解性ポリマー。
  19. 前記ポリマーが、0.5%未満の架橋密度を有する、請求項18に記載のポリマー。
  20. 前記ポリマーが、0.05%未満の架橋密度を有する、請求項19に記載のポリマー。
  21. 前記ポリマーのヤング率が、3MPa未満である、請求項1に記載のポリマー。
  22. 前記ポリマーのヤング率が、1MPa未満である、請求項21に記載のポリマー。
  23. 前記ポリマーのヤング率が、0.5MPa未満である、請求項22に記載のポリマー。
  24. 前記ポリマーが、100kPa未満の弾性係数を有する、請求項23に記載のポリマー。
  25. 前記ポリマーが、10kPa未満の弾性係数を有する、請求項24に記載のポリマー。
  26. 前記ポリマーの最大引張強度が、0.5MPaより大きい、請求項1に記載のポリマー。
  27. 前記ポリマーが、250%より大きい最大伸び率を有する、請求項1に記載のポリマー。
  28. 前記ポリマーが水性環境に曝露される場合、該ポリマーが、表面侵食によって特徴付けられる、請求項1に記載のポリマー。
  29. 生体分子、親水性基、疎水性基、非タンパク質有機基、酸、低分子、生体活性分子のメンバー、および上記の任意の組み合わせをさらに含む、請求項1に記載のポリマー。
  30. 前記生体分子が、増殖因子、細胞接着配列、ポリヌクレオチド、ポリサッカリド、ポリペプチド、細胞外マトリックス成分、および上記の任意の組み合わせから選択される、請求項29に記載のポリマー。
  31. 前記膜が、共有結合、水素結合、静電相互作用、疎水性相互作用、およびファンデアワールス相互作用のメンバーを介して前記ポリマーに連結される、請求項29に記載のポリマー。
  32. 前記ポリマーが、結合組織細胞、器官細胞、筋細胞、神経細胞、および上記の任意の組み合わせからなる群より選択される細胞を播種される、請求項1に記載のポリマー。
  33. 前記細胞が、腱細胞、線維芽細胞、靭帯細胞、内皮細胞、肺細胞、上皮細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、膵島細胞、神経細胞、肝細胞、腎細胞、膀胱細胞、尿路上皮細胞、軟骨細胞、および骨形成細胞からなる群より選択される、請求項32に記載のポリマー。
  34. 前記ポリマーが、混合物かまたは付加体としての第2のポリマーをさらに含む、請求項1に記載のポリマー。
  35. 前記第2のポリマーが、生体適合性である、請求項34に記載のポリマー。
  36. 前記第2のポリマーが、生分解性であるか、または非生分解性である、請求項34に記載のポリマー。
  37. 発色団が、前記ポリマーに共有結合する、請求項1に記載のポリマー。
  38. レセプターが、前記発色団に共有結合するか、または該発色団と前記ポリマーとの間に挿入される、請求項37に記載のポリマー。
  39. 前記ポリマーが、多孔性であるように適合および構築される、請求項1に記載のポリマー。
  40. 前記ポリマーが、該ポリマーに混合されたポロジェンをさらに含む、請求項1に記載のポリマー。
  41. 前記ポリマーが、粒子、チューブ、球、撚り線、コイル状撚り線、毛細管ネットワーク、フィルム、繊維、メッシュ、およびシートから選択される形状を有するように適合および構成される、請求項1に記載のポリマー。
  42. グリセロールおよび二酸の生分解性縮合ポリマーを含むポリマーであって、該ポリマーは、エラストマーである、ポリマー。
  43. グリセロールおよび二酸の弾性生分解性縮合ポリマーを含む、組織工学構築物。
  44. 前記二酸に対する前記グリセロールの比が、1〜1.5の間である、請求項43に記載の組織工学構築物。
  45. 前記二酸が、セバシン酸である、請求項43に記載の組織工学構築物。
  46. 前記二酸が、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、およびアゼライン酸から選択される、請求項43に組織工学構築物。
  47. 前記二酸が、10より多い炭素原子を有する炭素鎖を含む、請求項43に記載の組織工学構築物。
  48. 前記二酸が、15より多い炭素原子を有する炭素鎖を含む、請求項47に記載の組織工学構築物。
  49. 前記二酸が、20より多い炭素原子を有する炭素鎖を含む、請求項48に記載の組織工学構築物。
  50. 前記二酸が、25より多い炭素原子を有する炭素鎖を含む、請求項49に記載の組織工学構築物。
  51. 前記二酸が、1つ以上の二重結合、芳香族基、アミン、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、脂肪族側鎖、または上記の任意の組み合わせを含む、請求項43に記載の組織工学構築物。
  52. 前記ポリマーのヤング率が、5MPa未満である、請求項43に記載の組織工学構築物。
  53. 前記ポリマーのヤング率が、3MPa未満である、請求項52に記載の組織工学構築物。
  54. 前記ポリマーのヤング率が、1MPa未満である、請求項53に記載の組織工学構築物。
  55. 前記ポリマーのヤング率が、0.5MPa未満である、請求項54に記載の組織工学構築物。
  56. 前記ポリマーが、100kPa未満の弾性係数を有する、請求項55に記載のポリマー。
  57. 前記ポリマーが、10kPa未満の弾性係数を有する、請求項56に記載のポリマー。
  58. 前記ポリマーの最大引張強度が、0.5MPaより大きい、請求項43に記載の組織工学構築物。
  59. 前記ポリマーが、インビボでの表面侵食によって特徴付けられる、請求項43に記載の組織工学構築物。
  60. 前記ポリマーが、多孔性である、請求項43に記載の組織工学構築物。
  61. ポロジェンをさらに含む、請求項60に記載の組織工学構築物。
  62. 前記組織が、筋組織、結合組織、神経組織、器官組織、上皮組織および上記の任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項43に記載の組織工学構築物。
  63. 前記組織が、皮膚、肺、心筋、骨格筋、平滑筋、心臓弁、骨、神経、腎臓、膀胱、肝臓、腱、靭帯、および膵臓組織からなる群のメンバーである、請求項62に記載の組織工学構築物。
  64. 前記ポリマーが、粒子、チューブ、球、撚り線、コイル状撚り線、毛細管ネットワーク、フィルム、繊維、メッシュ、およびシートからなる群のメンバーに形成される、請求項43に記載の組織工学構築物。
  65. 生体分子、親水性基、疎水性基、非タンパク質有機基、酸、低分子、生体活性分子のメンバー、および上記の任意の組み合わせをさらに含む、請求項43に記載の組織工学構築物。
  66. 結合組織細胞、器官細胞、筋細胞、神経細胞、および上記の任意の組み合わせからなる群より選択される細胞を含む、請求項43に記載の組織工学構築物。
  67. 前記細胞が、腱細胞、線維芽細胞、靭帯細胞、内皮細胞、肺細胞、上皮細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、膵島細胞、神経細胞、肝細胞、腎細胞、膀胱細胞、尿路上皮細胞、軟骨細胞、および骨形成細胞からなる群より選択される、請求項66に記載の組織工学構築物。
  68. 第2の生体適合性ポリマーをさらに含む、請求項43に記載の組織工学構築物。
  69. 前記第2の生体適合性ポリマーが、前記生体適合性ポリマーとともに混合物または付加体を形成する、請求項68に記載の組織工学構築物。
  70. 前記第2の生体適合性ポリマーが、生分解性または非生分解性である、請求項68に記載の組織工学構築物。
  71. 請求項1に記載のポリマーならびに低分子および生体活性薬剤から選択される少なくとも1つの部分を含む、薬物送達デバイス。
  72. 前記部分が、前記ポリマーに共有結合で結合しているか、または非共有結合で結合している、請求項71に記載の薬物送達デバイス。
  73. 前記デバイスが、患者の腹部領域において移植されるように適合および構築され、前記部分が、抗炎症剤である、請求項71に記載の薬物送達デバイス。
  74. 心臓ステントであって、以下:
    拡張可能な金属メッシュ;および
    請求項1に記載のポリマーを含むコーティング、
    を含む、心臓ステント。
  75. コーティング内に配置された低分子および生体活性薬剤のメンバーをさらに含む、請求項74に記載の心臓ステント。
  76. 前記メンバーが、前記ポリマーに共有結合で結合しているか、または非共有結合で結合している、請求項75に記載の心臓ステント。
  77. 心臓ステントであって、以下:
    請求項1に記載のポリマー、および
    第2のポリマー
    を含み、
    ここで、該2つのポリマーは、混合物または付加体中で混合される、心臓ステント。
  78. 前記第2のポリマーが、生分解性であるか、または非生分解性である、請求項77に記載の心臓ステント。
  79. 低分子および生体活性薬剤のメンバーをさらに含む、請求項77に記載の心臓ステント。
  80. 前記メンバーが、前記ポリマー、前記第2のポリマー、またはその両方に共有結合で結合しているか、または非共有結合で結合している、請求項79に記載の心臓ステント。
  81. 液体浸透性上面シート、請求項1に記載のポリマーを含む裏面シート、および該上面シートと裏面シートとの間に配置された液体吸収性コアを含む、吸収性被覆。
  82. 前記ポリマーが、埋め立てにおいて生分解性である、請求項81に記載の吸収性被覆。
  83. 前記被覆が、オムツ、失禁保護具、生理用ナプキン、パンティライナー、および外科包帯からなる群のメンバーである、請求項81に記載の吸収性被覆。
  84. 前記縮合ポリマーの架橋密度が、1%未満である、請求項1に記載のポリマーを含む、生分解性接着剤。
  85. 前記ポリマーの架橋密度が、0.5%未満である、請求項84に記載の接着剤。
  86. 前記ポリマーの架橋密度が、0.05%未満である、請求項85に記載の接着剤。
  87. 請求項1に記載のポリマーならびに香味材、着色剤、および上記の両方のメンバーを含む、チューインガム。
  88. 低分子、少なくとも1つの栄養素、および上記の両方のメンバーをさらに含む、請求項87に記載のチューインガム。
  89. 前記メンバーが、前記ポリマーに共有結合で結合しているか、または非共有結合で結合している、請求項88に記載のチューインガム。
  90. 請求項1に記載のポリマーを含む膨張可能なバルーンであって、該バルーンは、屋外環境において分解性である、膨張可能なバルーン。
  91. 請求項1に記載のポリマーおよびフックを含むフィッシングルアーであって、該ポリマーは、水性環境への曝露後に分解する、フィッシングルアー。
  92. 請求項1に記載のポリマーおよびフックを含むフィッシングフライであって、該ポリマーは、水性環境への曝露後に分解する、フィッシングフライ。
  93. 前記ポリマーが、埋め立てにおいて分解する、請求項1に記載のポリマーを含む使い捨て袋。
  94. ポリマーを生成するための方法であって、以下:
    等モル量のグリセロールおよび二酸を混合して、混合物を形成する工程;
    不活性な雰囲気下、1Torrの圧力にて120℃の温度で24時間該混合物を保持する工程;
    該混合物が、所定の架橋密度を有するポリマーを形成するまで、120℃の温度および40mTorrの圧力で該混合物を保持する工程、
    を包含する、方法。
  95. 前記混合物が、40mTorrの圧力で24時間保持される、請求項94に記載の方法。
  96. 前記混合物が、40mTorrの圧力で48時間保持される、請求項94に記載の方法。
  97. 前記混合の工程が、ポロジェンを前記混合物に添加する工程をさらに包含する、請求項94に記載の方法。
  98. 前記ポロジェンが、アゾジカルボイミド、アルカリハロゲン化物塩、および水溶性塩から選択される、請求項97に記載の方法。
  99. 前記重合した混合物を水中に浸漬して、前記ポロジェンを浸出させる工程をさらに包含する、請求項98に記載の方法。
  100. 生体分子、親水性基、疎水性基、非タンパク質有機基、酸、低分子、生体活性薬剤、および上記の任意の組み合わせのメンバーにより、前記ポリマー上のヒドロキシル基を改変する工程をさらに包含する、請求項94に記載の方法。
  101. 請求項94に記載の方法であって、以下:
    所定のパターンの溝およびチャネル基板ならびに水溶性物質の犠牲コーティングを有する基板を提供する工程;
    混合工程の後に、該基板上に該混合物をキャストする工程;および
    前記混合物が、所定の架橋密度を有した後、前記犠牲層を溶解して、該基板から該ポリマーを遊離させる工程、
    をさらに包含し、ここで、該ポリマーは、該所定のパターンに対応するレリーフパターンを有する、方法。
  102. 前記ポリマーにおける前記レリーフパターンをカバーして、カバーチャネルを形成する工程をさらに包含する、請求項101に記載の方法。
  103. 前記カバーが、グリセロールと二酸との弾性コポリマーを含む、請求項102に記載の方法。
  104. 前記カバーする工程が、カバーを提供する工程、該カバーと前記ポリマーとの間でグリセロールおよび二酸の部分的に重合した等モル混合物を配置する工程、および該等モル混合物を架橋する工程、を包含する、請求項101に記載の方法。
  105. 請求項101に記載の方法であって、以下の工程:
    等モル量のグリセロールおよび二酸を混合して、混合物を形成する工程;
    不活性な雰囲気下、1Torrの圧力にて120℃の温度で24時間該混合物を保持する工程;
    該混合物をシートに形成する工程;
    該ポリマーにおけるレリーフパターン上に該シートを配置する工程;ならびに
    該シートが、所定の架橋密度を有するまで、不活性な雰囲気下、1Torrの圧力で120℃の温度で該混合物を保持する工程、
    を包含し、ここで、該形成する工程は、該1Torrの圧力で保持する工程の前または後に実施され得る、工程、
    によって該レリーフを有するポリマーのためのカバーを調製する工程をさらに包含する、方法。
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