JP2015506734A - 創傷治療を制御するためのパッチ構造 - Google Patents

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Abstract

本発明は、損傷細胞層の改良された治療のための活性表面要素(2)に関し、少なくとも1つの地形的に構造化された表面を、パターン周期(p)でパターン長(l)に沿って延びる隆起(5)及び溝(6)を交互に備えたパターンを有する基板上に備え、前記パターン周期(p)を10μmより小さく、前記パターン長(l)を1mmより大きくした。【選択図】 図1

Description

本発明は、創傷治療の分野に関し、特に、改良された創傷治療を誘導するパッチに関する。
創傷被覆材は、創傷領域をサポートし、感染から保護し、特定の場合には、細胞増殖のための好ましい環境を作ることによって創傷治療を積極的に促進するように設計されている。
身体組織の破壊として定義される創傷に対する応答は、炎症段階、移動段階、及び再構築段階を伴う。炎症段階は、創傷に対する急性期の応答であり、その目的は、迅速に創傷を封止すること、及び、細胞を創傷内に移動させて創傷治療プロセスを開始させる化学的因子を生成することである。移動段階の間、細胞は急速に創傷内に移動し、治療された組織のベースとなる仮の細胞外マトリックスの敷設を開始する。再構築段階の間、新たに生成された組織がゆっくりとその永続的な形に成長する。
標準の創傷被覆材は、1.細胞の移動を容易にするために創傷の端部を力学的に保持すること、2.病原体による汚染を防止するために創傷を力学的に封止すること、3.いくつかの先進的な被覆材において、通常、水和ゲルに傷付いた組織をさらすことにより、高速な創傷治療を積極的に促進すること、によって創傷治療を促進する。
現在利用可能な創傷被覆材において、創傷治療の速度及び方向を改善するため幾何学的に制御された力学的な手がかりは開発されていない。この発明は、創傷に適用したときに、細胞のコンタクトガイダンス(contact guidance)を通じて創傷治療をスピードアップし、改善することができるマイクロパターンを有する表面を包含する。
本発明は、創傷被覆材として使用されるマイクロスケールのパターンを有するパッチ又は活性表面要素を備える。それは、例えば、火傷などのように大面積の損傷に好適だけでなく、皮膚における従来の大小の傷にも適している。外部的にも内部的にも適用することができ、皮膚だけでなく他の内部組織にも適用することができる。内部的に設けられた基板又は裏当て材/キャリア材、すなわち、活性表面要素そのものをベースにしたものだけでなく、活性表面要素がその上に取り付けられた場合(存在する場合)、例えば、創傷がパッチ上で閉じられた後、パッチの除去のために創傷が再び開くことを回避するため、その機能を満たした後に分解されるように、生分解可能である。外部的な適用の場合、通常、活性表面要素は、本質的に生分解可能である必要はないが、任意のコーティングによって生分解可能にできる。
この活性表面要素は、ある一定の地形的なパターン(topographical patterns)にさらしたときに、高速かつ規則的に整列して移動しやすい移動細胞によるコンタクトガイダンスとして知られる現象を利用する。パターン化されたパッチは、細胞に創傷への高速移動(高速な創傷治療)や、より整列/規則化された様式(瘢痕化の低い可能性)を起こさせる。
このように、コンタクトガイダンスは、接着斑を介する細胞外マトリックスとの細胞の強固であるが、しかし、動的な結合により関連している。後述するイン・ビトロ実験によれば、接着斑の関与がなくてもコンタクトガイダンスが起こり得ることを示している。これは、本発明にとって重要であるが、創傷と被覆材との間の強固な接合や接着が、創傷を再び開くことなく一定時間後にパッチがはがれることを防ぐことができる。この新しく見出された概念は、創傷被覆材の選択のための有用な意味合いを有する。それは、細胞の接着を促進する必要はなく、単に生体に適合させるだけであり、使用可能な材料の範囲が大幅に拡大する。
そのため、他の態様において、活性表面要素と細胞の間の接着斑ができないことにより、活性表面要素を、細胞増殖のための外部ガイドの補助として使用でき、この外部ガイドの補助は、新たな次の細胞層ができた後に、その新しく形成された細胞層を容易にかつ損傷なく除去できるといった完全に予想外のことが見出された。
本発明の本質的な機能は次の通りである。
(a)通常0.5マイクロメートル以上の深さと、通常約2マイクロメートルのデューティサイクル(duty cycle)からなるマイクロスケールのパターンを施すことによる、コンタクトガイダンスを介した強化された創傷治療。
(b)接着斑の関与無しのコンタクトガイダンス。これは、創傷に対する被覆材の接着の問題なく、創傷治療の改良を可能にする新たな生物学的概念である
基板の地形的な改良は、表皮の創傷治療の促進を介して、細胞の極性及び移動をガイドする潜在性を有する。規範となる地形のコンタクトガイダンスは、細胞と、接着斑ができるのを阻害する支持足場との間の相互作用に基づくものであり、これにより、アクチン細胞骨格の組織化に影響を与える。PDMSのソフトリソグラフィ技術を利用して、後述するように、幅1μm、溝深さ0.6μmの溝及び隆起からなる格子を作成した。
これらの格子は、イン・ビトロ創傷治療の間、頂端(apical)、すなわちヒト皮膚線維芽細胞の自由表面に適用した。創傷に対し垂直に方向付けられた格子は、細胞の極性化、移動速度及び方向性の増強を誘導する結果、創傷がより速くカバーされる。頂端に適用されたテクスチャは、均一に分布するフィブロネクチン線維が得られる創傷内における細胞外マトリックスの沈着に影響を与えた。
頂端ガイダンス(apical guidance)は、細胞と地形的に改良したパッチとの間に接着斑が生じないため、完全な治療後にパッチの除去を可能とする。要するに、以下の結果は、頂端に基づく代替可能なガイダンスの仕組みが、移動細胞と異方性のある地形との間の接着のない相互作用が、イン・ビトロ創傷モデルにおける高速治療を導くことを実証している。
実際に、急性の力学的な表皮創傷は、表皮組織の連続的な破壊として定義され、炎症、組織形成、及び組織再構築の3つの基本的な段階で編成された創傷治療反応をたどる。組織形成の間、創傷は、創傷の端からの方向性を有する移動を介し、ほとんどが細胞によって埋め尽くされる。特に、皮膚線維芽細胞は、それらが支配的な細胞集団となる創傷内で急速に移動し、主に新たに沈着したコラーゲン及びフィブロネクチンからなる初期の仮の細胞外マトリックス(ECM)を生成する。
組織や瘢痕における新たな機能的な治療の結果の程度は、すべての創傷治療段階の適切かつ迅速な実行に決定的に依存する。皮膚線維芽細胞は、組織形成の初期段階における中心的役割を果たす。それらの移動は、その後の処理の結果を制御する律速段階を構成する。実際に、皮膚線維芽細胞による遅く非効率的なコロニー形成は瘢痕形成をもたらす。さらに、創傷領域内の皮膚線維芽細胞により沈着されたECMの構造は、表皮細胞のその後の移動を支配する。特に、ECM線維の不均一な分布は、瘢痕化につながる。
移動の間、皮膚線維芽細胞は、可溶性分子の匂配からだけでなく、化学的及び細胞外環境の物理的特性から導かれる重複方向の信号の数に従う。特に、ECMの局所的地形は、コンタクトガイダンスと称されるプロセスにおいて、細胞の極性と移動に影響を及ぼす。
コンタクトガイダンスは、直接認識される膜貫通型のインテグリン受容体を介して信号伝送を要求し、ECM内の特定のエピトープを結合する。インテグリン係合は、信号変換の機能が次々に提供される細胞質結合、接着斑、及び細胞と基板の間の力学的な固着が行われ成熟することを助長する。初期の小さなインテグリンベースの接着は大きくなり、接着部位に対するアダプター、信号、又はアクチン調節タンパク質の数の補充によって大きな接着斑に成熟する。成熟した接着斑は、最終的には、ビンキュリンのようなタンパク質を介してアクチン細胞骨格に接続する。このように、基板への接着により、移動中の細胞の形状や極性を再構築することができる。
溝のような表面の地形的改良は、ニューロン、上皮細胞及び皮膚線維芽細胞を含むいくつかの細胞の極性や移動に深く影響を及ぼす。これらの足場は、細胞とECMの間の相互作用を模倣し、接着斑の生成や成熟に幾何学的な制約を課す。皮膚線維芽細胞は、具体的には、地形に沿った極性や移動により0.1μm〜10μmの間の横方向の特徴的なサイズを有する格子に対し素早く反応する。皮膚線維芽細胞の移動によるECM線維の沈着と再構築は、地形的改良がなされた基板により同様の影響を受ける。
コンタクトガイダンス研究の一つの共通する特徴は、細胞が、構造化された表面との境界において、インテグリンベースの接着を行わせる。このため、創傷治療の際に、人工的な足場が再生組織に統合され、除去することはできない。これは既存の細胞層の自由表面(例えば、頂端細胞の表面)上に、テクスチャ加工された基板と対照的であり、それは創傷表皮上における加工された被覆材の配置により似ている。頂端細胞表面の相互作用を介して細胞移動をガイドする可能性は、これまで研究されていない。
人工的に適用される地形を介した皮膚線維芽細胞の移動及び極性に対してだけでなく、新たに沈着されたECMの構造にも影響を与えることが実際に可能であることを以下に示す。さらに、データは、このガイダンスの効果が、移動細胞とテクスチャ表面との間の接着斑がなくても得られ、このように、創傷が閉じられた後に創傷被覆材のクリーン除去を可能にしていることを示唆している。表皮創傷治療のサポートのための新たなアプローチのための機会となる新しい「トップガイダンス」機構は、このようにして提示された。
より具体的には、本発明は、少なくとも一つの地形的に構造化された表面を備えた細胞層損傷の改良された治療のための活性表面要素に関するものであり、パターン周期pの隆起とパターン長lに沿って延びる溝を交互に備えたパターンを有し、パターン周期pは10μm(マイクロメートル)未満で、パターン長は1mmより大きい。これらのパラメータの参照の概略定義として、矩形状の隆起と溝の構造の例を、図1及び図2aに示す。
パターン長(図2aにおけるイラストに対し垂直方向の長さの寸法)は、1mmより大きくあるべきである。それに代わり、又は加えて、ほとんどの適用において、パターン長lは、特徴部分のサイズの倍数よりも大きくあるべきであり、例えば、それは構造周期pの20倍以上、好ましくは、100倍以上であるべきである。
本発明の好ましい実施形態によれば、隆起及び/又は溝の幅は、1〜9μm(マイクロメートル)の範囲内である。より好ましくは、隆起の幅は、1〜5μmの範囲内であり、溝の幅は、1〜5μmの範囲内であり、好ましくは、両方の幅が、本質的に等しい。このため、通常、隆起や溝の幅は、1〜9μm又は2〜9μmの間にある。
さらに別の好ましい実施形態によれば、隆起は少なくとも0.5μmの高さhを有し、好ましくは、0.5〜5μmの範囲内にあり、より好ましくは、0.5〜2μm又は1〜2μm(マイクロメートル)の範囲内にある。このため、通常、パターンの高さは0.5〜2μmの間にある。その上限値は、生物学的に重要でないが、通常、デバイスが固く、よりふさわしくないことを確かめるためにだけ用いられる。
溝の側壁及び溝の底壁(平底壁の場合)は、85°〜120°の範囲のパターン角αを囲み、好ましくは、パターン角(α)は、約90°である。溝の平底壁は必須ではなく、パターンを、隆起の底部に互いに接触する側壁を有する三角形状の隆起の配列ですることも可能であり、この場合、溝の2つの側壁により囲まれる角度は、一般的には、30°〜90°の範囲にある。このような三角形状の構造のケースにおいて、対応する形状の隆起は、平坦な頂部、丸みを帯びた頂部、又は図2cのイラストのようなエッジ形状を有する。
隆起及び/又は溝は、例えば、パターンの走行方向に対しほぼ平行に配置されたそれぞれの中心面に対してミラー対称である。
さらに別の好ましい実施形態によれば、表面要素は、基礎となる基板を備え、又は、生体適合性ポリマー材料を含み、好ましくは、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ酪酸だけでなく、これらの混合物、誘導体、ヒドロゲル及び共重合体からなるグループから選択される。
基板や基板の表面のコーティングは、さらに特別に、創傷治療補助及び/又は炎症予防のための適量に構成された物質や医薬品を含んでもよい。
パッチは、裏当て材のような強いキャリー構造がある場合を除き、自らを保持するための構造からなる隆起を有し、その固有の剛性が、地形的な構造やそれが細胞移動の影響により損傷を悪化させるような変形がないことを保証すべきである。したがって、これに対応し、生体適合性ポリマー材料は、好ましくは、少なくとも100kPa、好ましくは、100kPa〜10GPaの範囲内のヤング率を有する。
表面は、被覆し、あるいは、被覆せず、及び/又は、プラズマ処理することができる。被覆するときは、単層コーティングのようなコーティングができ、それは創傷治療の補助及び/又は炎症防止の物質及び/又は医薬品を含むことができる。それは、通常、生分解可能で、好ましくは、パッチの基板よりも短いタイムスケールで生分解可能である。
適用する多くの基板は、開かれた(又は有効な)孔を有し、好ましくは、1μm〜1mmの範囲内、好ましくは、1μ〜2μの範囲内の直径の気孔を有する。
液体の流れが効果的に生じている有効な孔(開かれた孔ともいう)は、全体積における僅かな量を参照し、テナリーやデットエンド細孔を含み、閉じられた孔(非接続空洞)を含まない。これは、溶質輸送のために重要である。しかしながら、追加的な閉じられた孔を排除するものではなく、これは損傷から外部への蒸気及び/又は液体及び/又は気体の交換に寄与しない。
表面要素は、地形的に構造化された表面と反対側に接着した(もしくは他の)取り付けられた裏当て材をさらに含むことができ、前記裏当て材は、通常、表面要素を支持するため、及び/又は、患者の皮膚に対し、結合された構造に接着して取り付けることを可能とするために適合される。好ましくは、裏当て材は、例えば、吸収のための層だけでなく、接着の目的のための層を含む多層構造である。
裏当て材は、吸収性のある裏当て材とすることができ、好ましくは、コットン、ビスコース、セルコース、絹、もしくはこれらの組み合わせ、織布、又は、不織布の形態を含むグループの中から選択される。
さらに、本発明は、上記で概説したように、表面要素を生成する方法に関連し、地形的に補完するように構造化された型の要素が、適用される流体や注入される基板材料のためのテンプレートとして使用され、好ましくは、ソフトリソグラフィ工程において、任意的には架橋結合及び/又は重合の段階にその後、さらに任意的には表面処理段階、好ましくは、地形的表面上のプラズマ処理段階に従って使用される。
最後に、本発明は、上記で概説したように、少なくとも一つの表面要素を備えた包帯、好ましくは、接着包帯に関し、好ましくは、接着包帯上の表面要素のパターン長lの方向が、対象の損傷に対し基本的に垂直になるように配置され、好ましくは、皮膚の損傷に対し、好ましくは、表皮及び/又は真皮及び/又は皮下組織の細胞層における傷を含む損傷に対し基本的に垂直になるように配置される。
それに加え、本発明は、細胞層の損傷、好ましくは、皮膚細胞層の損傷、より好ましくは、表皮及び/又は真皮及び/又は皮下組織の細胞層における損傷の創傷治療の方法に関し、損傷について上記概説したような表面要素を適用する工程を有し、好ましくは、パターン長lの方向が、損傷(例えば、傷の方向)の主たる方向に対し鋭角から、好ましくは、基本的に垂直となるような関係を有する方向において、細胞層の再生、及び表面要素の除去又は表面要素の生分解を可能とする。
本発明のさらなる実施形態は、従属請求項に定められている。
以下の結果は、頂端、すなわち傷付いた細胞単層の自由表面に、マイクロ加工されたパッチを適用することを通じて、ヒト皮膚線維芽細胞の移動を誘導する可能性を実証する。細胞極性の拡大と創傷への好ましい方向性のある移動のために、特徴的な異方性のある地形と細胞の移動の間の相互作用が十分に行われ、これにより創傷の被覆が促進される。この「トップガイダンス」プロセスは、さらに細胞外マトリックスの構造に反映され、創傷領域における基底支持体(basal support)上に新たに沈着される。重要なことは、このようなガイダンス効果が、細胞と頂端パッチとの間のインテグリンベースの接着をせずに得られることであり、このように、細胞層を破壊することなく、治療後に、パッチ除去を可能とすることである。
テクスチャが施された基底基板によるコンタクトガイダンスは、細胞とその下の地形との間の生物学的な相互作用により媒介されるボトムアッププロセスとして説明することができる。このシナリオでは、様々なサイズや形状の地形的特徴が、インテグリンベースの接着の生成及び成熟を阻害又は妨げる物理的な障壁として働く。この相互作用は、最終的には、細胞を支持する基板の形状が異方性である場合は、接着斑の大部分ができ、成熟した細胞が基板により規定された方向に沿って成熟するように、接着斑の成熟の幾何学的な制約をもたらす。接着の分布は、次にアクチンストレス線維の組立てにより、及び、細胞媒介の収縮性が生じることにより、全体的な細胞形状の再構築に関連する。同様の機構によって、移動細胞は、基板が提供する地形的な境界によって、それらの経路に制限される。
反対に、「トップガイダンス」は、インテグリンベースの接着を媒介しない。実験条件下では、線維芽細胞が、2つの化学的に同一のインタフェースにさらされており、頂底極性が変化することなく維持された。実際、下層の非構造化された基底支持体上に、接着斑が保持され、フィブロネクチンが沈着される。いかなる理論的説明も束縛されることなく、頂端適用された地形の効果が、頂端細胞表面における異方性せん断応力分布から得られることは明らかである。格子への平行移動は、移動細胞において、力学的抵抗を最小化できる。このように、「トップガイダンス」によって誘導される細胞活性の極性は、創傷形成の際に、細胞間接触の喪失に起因する固有の創傷治療の刺激と相乗的に働くことができる。実際、狭いPDMSチャネル内又はアガロースの平行層内における細胞の閉じ込めは、癌及び免疫細胞における摩擦ベースの運動性を誘導することが示されている。頂端格子が創傷に平行に方向付けられた場合に(治療方向に対し垂直に)、いまだ移動できる細胞が観察されたことは、細胞移動の制約から由来する「トップガイダンス」が創傷内で線維芽細胞を活発にする信号によって、克服できるという仮説を支持する。
重要なことは、頂端の地形と移動する線維芽細胞との間の相互作用が、基底細胞表面に伝達されることである。細胞は、未成熟の接着数の増加により、及び、アクチン細胞骨格の強い方向性により、特徴づけられた全体の強い移動表現型を示す。さらに、「トップガイダンス」は、創傷領域へのフィブロネクチン線維の基底沈着に影響を与える。細胞の形状の広範囲な適用への頂端せん断応力分布の変換及び、力学的な伝達を要求する活動は、皮質アクチン構造により、又は、細胞核の変形を介して提供することができる。
最後に、報告された調査結果は、組織工学及び創傷ケアにおける新たなアプローチへの機会となる。細胞移動及び創傷被覆材を除去可能にし、下層組織の生産を伴う生物学的な相互作用を誘発することなく、マトリックス沈着を制御する可能性に基づいて、創傷治療が改良され、瘢痕組織の形成が削減される。
発明の好ましい実施形態について、以下、図面を参照して説明する。ただし、図面は、本発明の好ましい実施形態を説明するためであり、限定解釈のために用いられるべきものではない。
重要な寸法が示された治療パッチの概略を示し、活性表面が、溝と隆起の交互のラインにより構成されている。 (a)において模式可能に寸法を伴う溝/隆起の走行方向に対し基本的に垂直に切断したところを示し、(b)〜(d)において代替可能な溝/隆起の形状を示す。 実験のセットアップの説明図であり、(A)においてPDMS活性表面又はパッチがソフトリソグラフィによって生成され、(B)においてPDMSパッチがゼラチンコーティング(緑色)を支持する親水性表面を得るためにプラズマ処理され、(C)において一次ヒト皮膚線維芽細胞のコンフルエント層(HDF)がゼラチンコーティングされた基底支持体(ペトリ皿)上に培養細胞により得られ、(D)において単分子層が力学的に傷付けられ、及び、(E)においてパッチの活性表面が創傷の上に適用されたことを示す。 垂直方向の格子の頂端適用を介して強化された創傷カバー率を示す図であり、(A)はPDMS頂端パッチのもとでの線維芽細胞の創傷治療を低速度撮影して抽出された蛍光画像を示し、格子の方向が最後のパネル(t=24)に示されている。(B)はブランクパッチのもとでの創傷治療を制御した低速度撮影により抽出された対応する蛍光画像を示す図であり、創傷領域全体が0h(左パネル)のときに視認でき、0hのときの白の矩形が創傷に関連する領域を示し、12h(中央パネル)及び24h(右パネル)のときの関連する領域の拡大図を示す。(C)は垂直格子(灰色の曲線)又はブランクパッチ(黒色の曲線)のもとでの創傷治療の動態の比較であり、(D)は平行な格子(灰色の曲線)又はブランクパッチ(黒色の曲線)を用いた創傷治療の動態の比較であり、測定のそれぞれの時間における統計的重要性(p−value)をグラフにはめ込んで示す。 線維芽細胞の移動の頂端ガイダンスを示し、(A)において垂直格子、又は(B)ブランクパッチのもとで創傷に移動する個別細胞の特徴的な軌道を示す。(C)は垂直格子(灰色)又はブランクパッチ(黒色;p<0.001)のもとでの創傷治療における個別細胞の変位、平均速度、及び移動方向の比較を示す。(D)は垂直方向の格子のもとで創傷に移動する個別細胞の軌道方向(ブランク制御に関連する)の分布を示し、90°の方向が、創傷に対し垂直な整列を示す。 格子に沿った細胞極性を示し、(A)において垂直格子(灰色)又はブランクパッチ(黒色)のもと創傷内に移動する細胞の方向を示し、サブコンフルエントな培養物(ライトグレー)中の不規則な方向の移動細胞が制御されることが示されている(格子対ブランク:p<0.001,格子対コントロールp<0.001)。垂直方向の格子(B)又はブランクパッチ(C)のもとでのアクチンマイクロフィラメント及び細胞移動における接着斑の方向が示され、LifeAct−GFP(上パネル)及びビンキュリンFRP(中央パネル)のそれぞれの発現によって明らかにされた反転蛍光信号が示されている。下パネルは、緑色(LifeAct−GFP)の上書き及び赤(ビンキュリンFRP)の蛍光チャネルを示す。 細胞沈着したフィブロネクチンの構造を示し、垂直格子を伴う頂端の相互作用が、線維芽細胞の移動によるフィブロネクチンの沈着に影響を及ぼすことを示す。(A)において垂直格子又は(B)ブランクパッチのもとで創傷領域における細胞移動によって基底支持体に沈着するフィブロネクチン細胞の反転蛍光画像を示す。(C)において不規則な方向のフィブロネクチンが非創傷領域における細胞により沈着されたことを示す。(D)において垂直格子(灰色)、ブランクパッチ(黒色)のもとで創傷領域又は非創傷領域(ライトグレー)において沈着されたフィブロネクチン細胞の方向を示し、90°の方向が、創傷(格子対ブランク:p=0.02,格子対コントロールp=0.02)に対し垂直な整列を示す。(E)においてフィブロネクチンマトリックス(格子対ブランク:p=0.005,格子対コントロールp=0.004)の均一性を示す。(D)において色彩を付した。 線維芽細胞の移動による接着斑の生成及び成熟を示す。(A)において細胞と基底支持体の間の境界において生成した接着斑が示される。(B)において基底支持体又は頂端パッチを有する境界において生成した接着斑の数の比較を示し、(C)においてパターン及びブランクパッチのもとでの細胞の接着斑サイズの比較を示す。 異なるプラズマ処理時の活性PDMSパッチ表面において測定された水の静的接触角を示し、未処理のPDMSパッチの接触角が、低電力(10W)のプラズマで30,60,90,120秒ごとに処理したパッチの接触角、及びゼラチンコーティングされたPDMSの接触角との比較を示す。 画像処理及び解析を示す図であり、(A)において生の蛍光画像が示される。(B)は対応する改良した蛍光画像、(C)は閾値画像である。(D)において自動創傷境界検出を示し、(E)において創傷治療実験中の創傷領域の細胞カバー率の演算結果を示し、(F)において個別細胞の検出と整列演算結果を示す。 完全な創傷治療後のパッチ除去を示し、(A)においてパッチ適用前の傷ついた単分子層が示され、(B)においてパッチ適用後の傷付いた単分子層が示されている。(C)においてパッチ除去前の治療された単分子層が示され、(D)においてパッチ除去後の治療された単分子層が示されている。(E)はパッチ除去前の治療領域のDIC画像であり、(F)はパッチ除去後の治療領域のDIC画像である。
図1は、活性表面要素2を有する接着包帯又は治療用パッチ1の概略的に示す。治療用パッチは、大きく、従来のように包帯材の一片である裏当て材を含み、裏当て材は、通常、少なくとも部分的に空気、湿度、及び/又は液体を透過するが、透過性質を有さないシール材としてもよい。少なくとも、特定の領域において、それは通常、感圧接着剤層により提供され、使用前は、接着包帯の使用前に除去される被覆層によって覆われている。
活性表面要素2の後側、すなわち、活性表面要素2と裏当て材の間には、追加的な吸収層、例えばガーゼ層を備える。
活性表面要素2は、活性表面要素2のマイクロパターンの走行方向9が接着包帯により被覆されるようにして、代表的な瘢痕の方向に対して垂直に配置される。このケースにおいて、瘢痕の方向は、典型的には、幅bより大きい長さaを有する接着包帯の長軸と基本的に平行に配置される。一般的には、パターン化された活性表面要素2の長さcは、接着包帯の裏当て材の長さより小さく、パターン化された活性表面要素2の幅dも、接着包帯の裏当て材片の幅bよりも小さい。
活性表面要素2は、幅fの溝と幅eの隆起を有する。これは、図2、特に図2aとの関係において、より詳細に図示されており、活性表面要素2上のパターンの走行方向に基本的に垂直に切断したところが示され、それは図1における矢印9と垂直であることが示されている。このケースでは、両幅eとfが等しく、パターン角αが90°の規則的な長方形のパターンとなっている。実際のパターンの長さlは上記で概説したように最小の長さを有する必要があり、通常、この長さlは、図1に図示されるように、活性表面要素2の全幅dと等しい。隆起は、高さhを有し(もしくは、溝が深さを有する)、上記で概説したような境界内にあることができる。
パターンの形状は、図2aに図示されるような規則的な長方形状である必要はない。隆起は、図2bに図示されるように少なくとも部分的に台形状とすることもでき、図2cに図示されるような三角形状とすることもでき(三角形がジグザグ形状を導く隆起の底部に合うようにすることもできる)、図2dに図示されるような丸みを帯びたエッジをもつ矩形であることもできる(図2dに図示されるように丸みを帯びたエッジを隆起の上曲部に設けることができるが、代替的に溝の下端にあってもよい)。
図1及び2のみにおいて、基本的に延びているパターンが単一直線方向に沿った状況が示されている。細胞の増殖が曲線に沿って誘導される場合、方向9として曲線の構造を有するようにすることもできる。上記に概説したような制限を有する長さlは、この場合、そのような曲線形状に沿った長さとして理解される。
パッチの製造:
創傷治療を補助するパッチは、混合比1:10のポリジメチルシロキサン(PDMS,Dow Corning社製、米国)を用いて製造される。混合したPDMSは、閉じ込められた空気を除去するため、真空チャンバにおいて10分間脱気され、2μmの周期、1μmの溝幅及び0.6μmの溝深さの平行な溝からなるマイクロパターンが施された環状オレフィン・コポリマー(COC)の型に、500μmの厚さで注ぐ。次に、PDMSは、簡単に二回脱気され、60°Cで4時間硬化させた。硬化させたPDMSを、ピンセットで型から分離し、メスで1cm2の正方形に切断した。比較目的のため、ブランクパッチを、同様に、平坦なCOC基板に注がれたPDMSを用いて作成した。続いて、全てのパッチを、いかなる非架橋材料をも溶解するエタノール中に一晩放置した。その後、表面の親水性を増加させるため、パッチを、酸素プラズマで処理した。30〜150秒の間隔の範囲をテストした後、10Wで120秒の処理時間が最も低い接触角(20.2±0.5°)を生じるものとして選択された。図9は、異なるプラズマ処理時の活性PDMSパッチ表面において水の静的接触角を測定し、未処理のPDMSパッチの接触角を、低電力(10W)のプラズマで30,60,90,120秒ごとに処理したパッチの接触角、及びゼラチンコーティングされたPDMSの接触角と比較したテストを示す。その結果、パッチの剛性を、一軸試験により測定したところ、それらのヤング率は、1.53±0.057MPaと算出された。個々の線維芽細胞が10〜100nNの範囲内においてけん引力を生成することができるので、創傷治療中の表面上の地形の変形は無視できるとする仮定は妥当である。
構築及びトランスフェクション:
接着斑及びアクチンフィラメントの可視化を必要とする実験において、細胞を、ネオン(登録商標)トランスフェクションシステム(Invitrogen社製,米国)を用いてトランスフェクトした。このとき、LifeAct−EGFP(緑色蛍光タンパク質)及びビンキュリン−FP635(遠赤色蛍光タンパク質)構築物を使用した。
抗体:
マウスモノクローナル[A17]抗フィブロネクチン抗体(ab26245)はAbcam社(米国)から購入し、二次ヤギ抗マウスIgG−FITC抗体はSigma Aldrich社(米国)から購入した。
細胞培養:
ヒト皮膚包皮線維芽細胞(HDF)は、ヘルシンキ宣言の原則に従って得られた組織生物学研究ユニット(チューリッヒ大学小児病院外科、スイス)から提供された。ヒト若年包皮サンプルは、ディスパーゼ(0.5mg/ml,Roche社製,スイス)を含み、5μg/mlのゲンタマイシンを含有するハンクス緩衝塩溶液(Ca2+及びMg2+を除いたHBSS,Invitrogen社製)において4°Cで一晩消化させた。これにより、その後ピンセットを用いて、表皮と真皮の分離を可能とした。一次皮膚線維芽細胞の培養を行うため、真皮は、37°Cにて1時間、コラゲナーゼIII(1mg/ml,Worthington Biochem社製,米国)を含むHBSS及びディスパーゼ(0.5mg/ml,Roche社製)用いて単細胞懸濁液において解離させた。最後に、容積比10%のウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、100U/mlのペニシリン及び100μgのストレプトマイシン(全てSigma Aldrich社から)を補充したRPMI−1640培地にて培養し、37°C及び5%のCO2を維持した。すべての実験において、5未満の継代による細胞がイン・ビトロ実験に使用された。
PDMSパッチと組織培養プレートの両方が、次のようなゼラチンを用いてコーティングされた。1.5%のゼラチン水溶液(Merck社製,米国)を試料に添加し、室温(RT)で1時間吸着させた。次に、ゼラチンはRTで15分間、2%のグルタルアルデヒド水溶液(Sigma Aldrich社製)とともに培養することによって架橋された。PBS(Sigma Aldrich社製)中70%のエタノールを用いた除菌工程の後、基板をPBSで5回洗浄し、グルタルアルデヒドを中和するため、20mMのグリシン(Sigma Aldrich社製)を含むPBSにRTで一晩放置した。最後に、PDMSパッチを、PBSで5回洗浄し、使用するまで4°Cで保存した。
コンフルエント(confluent)な単分子層を生成するため、構造化されていない基底支持体(例えば、6−ウェルプレート又は6ガラス皿底を有するカスタム構築されたフレームにおける10cm2の組織培養ウェル)上に、細胞を5×104の密度で播種し、2日間培養した。顕微鏡による自動創傷被覆セグメンテーションを容易にするため、コンフルエントな単分子層は、1.5μg/mlの5−クロルメチルフルオレセインジアセテート(CellTracker(登録商標) Green CMFDA,Invitrogen社製)で30分間処理した。濃度は、いまだ全体の創傷治療の実験に沿って良好な画像品質を保証する最低値として計測した。染色の後、単分子層を、PBSで洗浄し、直線状の創傷がピペットの先端を用いて力学的に誘導された。実験において報告された初期創傷の平均サイズは、539±10μmだった。次に、細胞破片を除去するため、培養物を完全培地で2回洗浄し、ゼラチンコーティングされたPDMSパッチを、培養物の上部に適用し、透明ガラスの重みで安定させた。すべての実験において、3つのパターン化されたパッチと3つのブランクパッチが、並行して画像化された。
脱細胞と免疫染色:
完全に創傷が被覆された後に基底支持体上に細胞により沈着されたフィブロネクチン線維を撮像するため、パッチは、除去され、培養物はその後のフィブロネクチン染色のために脱細胞化された。このため、培養物は、PBSで洗浄され、細胞膜は、体積率0.5%のトリトンX−100(Sigma Aldrich社製)の溶液と20mMのNH4OHをPBSに加えることで溶解した。完全に細胞の破片を溶解するため、試料は、その後、4°CのPBS中に一晩放置した。翌日、PBSを、吸引して、沈着したフィブロネクチンが次のように染色された。試料を、最初に1時間ブロッキング緩衝液(PBS中5%のBSA)内で処理し、その後一晩(4°Cで)一次抗体とともにインキュベートし、ブロッキング緩衝液で3回洗浄した後、試料を二次抗体とともにRTで1時間インキュベートした。最後に、サンプルを、PBSで5回洗浄して、直ちに撮像した。
広視野顕微鏡:
細胞の撮像は、オルカR−2CCDカメラ(浜松ホトニクス社製,日本)を備えた倒立型のニコン−Ti広視野顕微鏡(ニコン社製,日本)を用いて行った。パッチ装着後、プレートはインキュベーションチャンバ内の顕微鏡下に置いた。インキュベーションチャンバは、温度、CO2濃度、及び湿度が、それぞれ、37°C、5%、及び95%に維持されていた。画像は、20倍、開口数0.45の長作動距離対物レンズ(Plan Fluor,ニコン社製)を用いて撮影した。9つの隣接する非重複フィールドが、それぞれサンプルとして平行に記録された。これは、1290×983μmの有効視野における創傷治療の並列タイムラプス撮像を可能とした。並列映像は、1時間の時間分解能と31時間以上の全継続時間で取得した。測定の各時間において、透過率及び蛍光画像は、それぞれ微分干渉コントラスト法(DIC)及びFITCフィルターセットを使用して取得した。実験中の焦点ドリフトは、顕微鏡のPFSオートフォーカスシステムを使用して回避した。
新たに沈着したフィブロネクチンの蛍光画像は、FITCフィルターを使用し、40倍、開口数1.30の油侵対物レンズを用いて得た。各ウェルのため、元の創傷の正確な位置は、電動ステージを用いて自動的に再配置された。Z−スタック(300nmのサンプリング距離)は、創傷内の3つの異なる場所及び創傷から離れた一つの調整した場所で撮影した。
LifeAct−EGFP及びビンキュリン−FP635により発現されたHDFの蛍光画像は、それぞれFITC及びTRITCフィルターを使用し、60倍、開口数1.2の水侵対物レンズを用いて収集した。
画像解析:
創傷治療の映像は、イメージJ(国立衛生研究所,米国)を使用して、次の手順で解析した。蛍光チャネルは、コントラストが増強され、白黒画像を提供するために閾値処理された。閾値処理された画像は、その後、ノイズ低減のため反転除去された。創傷境界は、イメージJの「トレーシング」ツールを使用して第一画像から自動的に抽出され、創傷治療動態を定量化するため保存された。タイムラプスのフレームごとに、元の創傷領域における細胞カバー率が測定され、このようにして各測定時における創傷カバー率(μm2)が提供された。
個別細胞の移動及び方向を定量化するため、閾値処理された画像をさらに調整して、必要に応じ、重複する細胞のプロファイルをイメージJ内で手動により分離した。個別細胞は、イメージJの「粒子解析」ツールを使用して抽出した。細胞方向は「fit ellipse」ツールを使用して測定し、その結果の値を、初期の創傷方向に標準化した。0°の角度は、創傷に平行の方向を示し、90°は、創傷に垂直の方向を示す。細胞移動の軌道は、ソフトウェアImaris(Bitplane,スイス)にプラグインした「particle tracker」を使用して抽出した。特に、最小15時間連続的に検出された移動軌道だけが抽出され、対応する長さ、平均速度、全体的な変位、及び移動経路は自動的に計算された。
フィブロネクチン繊維の方向を測定するため、対応するZ−スタックを、イメージJにロードして、平均的な突起を得た。次に、高速フーリエ変換を、強度変動の最大空間周波数の方向(得られた楕円の長軸)を識別するために適用し、線維の主方向に垂直方向であることを確認した。これにより、創傷に対する線維の主方向は、得られた楕円の短軸に平行なFFT画像から抽出された。
フィブロネクチンマトリックスの均一性を測定するため、ピクセル強度の標準偏差は、イメージJの「Measure」ツールを使用して、それぞれ平均的な突起画像において測定した。ECMの均一性は、標準偏差の逆数として定義した。図7は、例えば、細胞沈着したフィブロネクチンの構造を示し、垂直格子に対する頂端の相互作用が、線維芽細胞の移動によりフィブロネクチンの沈着に影響を与えることが示されている。(A)において垂直格子又は(B)ブランクパッチのもとで創傷領域内の細胞移動によって基底支持体に沈着されたフィブロネクチン細胞の反転蛍光画像が示され、(C)において非創傷領域内の細胞により沈着された不規則な方向のフィブロネクチンが示され、(D)において垂直格子(灰色)、ブランクパッチ(黒色)のもとで創傷領域、又は非創傷領域(ライトグレー)において沈着されたフィブロネクチン細胞の方向が示され、90°の方向が創傷(格子対ブランク:p=0.02,格子対コントロールp=0.02)に対し垂直に整列していることが示され、(E)においてフィブロネクチンマトリックス(格子対ブランク:p=0.005,格子対コントロールp=0.004)の均一性が示されている。(D)において色彩が付されている。
接着斑の数及びサイズの測定のため、蛍光画像をイメージJにロードし、プラグインされた「cell counter」を使用して、個別接着斑を手動で計数した。個別接着斑のプロファイルは、「Freehand selection」ツールを使用して手動で描いた。接着斑のサイズ値(μm2)は、「Measurement」ツールを使用して得た。
統計解析:
統計解析は、MATLAB(MathWorks社,米国)を用いて行った。パターン化されたパッチとブランクパッチの間における創傷治療、細胞移動、フィブロネクチン方向及び接着斑の数とサイズの違いは、マン・ホイットニー・ウィルコクソン順位和検定(α=0.05)を使用して調べた。細胞方向と細胞移動方向の比較は、カイ二乗独立性検定、α=0.05により行った。全ての定量的な測定は、平均値±標準誤差で表される。計数されたイベントの総数は、グラフの右上隅に表示される。明示的に表示されない場合、統計的検定の信頼区間は、p<0.05、p<0.01、及びp<0.001のように、それぞれ1つ、2つ及び3つのアスタリスクを用いてレポートされる。
結果
線維芽細胞の創傷治療:
イン・ビトロでの細胞移動に対するPDMSパッチの効果をテストするため、新たに単離されたヒト皮膚線維芽細胞(HDF)を、ゼラチンコーティングされた基底支持体上でコンフルエントになるまで増殖させた。その後、ピペットの先端を用いて、創傷を単分子層に力学的に誘導し、図3に示すように、PDMSの活性ゼラチンコーティングされた表面を、培養物の頂端に適用した。図3は、実験のセットアップの説明図であり、(A)においてソフトリソグラフィによって生成されたPDMS活性表面又はパッチ、(B)においてゼラチンコーティング(緑色)を支持する親水性表面を得るためにプラズマ処理されたPDMSパッチ、(C)においてゼラチンコーティングされた基底支持体(ペトリ皿)上の培養細胞により得られた一次ヒト皮膚線維芽細胞のコンフルエント層(HDF)、(D)において力学的に傷付けられた単分子層、及び、(E)において創傷の上に適用されたパッチの活性表面を示す。
図4は、垂直格子(図4A)のもとで、又は、ブランクパッチ(図4B)のもとで創傷治療されたHDFの動態を示す。創傷後すぐに細胞は端部領域から創傷内に移動を開始した(図4A及び図4B)。創傷に対する細胞のカバー率は、垂直格子の場合既に12時間後に明らかであり、細胞は24時間後にコンフルエントな単分子層を再生成することができる(図4A)。重要なことは、同様の実験条件で、ブランクパッチの場合における創傷治療は、12時間ではカバーされていない領域が大きい効果的に進行せず、創傷後24時間においてコンフルエントが未だなされていないことが明らかである(図4B)。垂直格子とブランクパッチの場合、創傷治療の動態の違いを定量化するため、創傷領域における細胞カバー率を、全体の創傷治療工程に亘って測定された。時間上に創傷カバー率を描いた図4Cにおけるグラフは、垂直格子とブランクパッチの条件により二相の挙動を示している。創傷後、0時間〜10時間の間、創傷カバー率は急速に上昇し、しばらく後の段階で(創傷後10時間〜30時間の間,図4C)カバー率は頭打ちになる傾向だった。重要なことは、カバー率は、初期段階の終わりに垂直格子の場合著しく高く、この違いは、後の遅い段階の間維持された(図4C)。これらの結果は、創傷治療をサポートする細胞プロセスが、地形的に改良されたパッチのもとでは早くより効率的であることを示唆している。格子が創傷に対し平行に方向付けられると、創傷治療の動態はブランクパッチの場合に得られるものと同様であり(図4D)、治療効果が、格子と創傷の間の相対的な方向に依存することが示されている。
創傷治療中の頂端ガイダンス:
垂直格子(図4)の測定された効果が、ガイダンス機構に基づくものかどうかを評価するため、移動細胞の個別トラックを創傷治療映像から抽出した。垂直格子(図5A)又はブランクパッチ(図5B)のもとで得られた軌道の解析によって、地形が改良された表面に接触した細胞は、直線的な経路で長距離に亘って移動し、これにより、創傷領域に深く浸透することが明らかとなった。創傷治療の際における元の位置から最後の位置への平均細胞変位は、ブランクパッチのもとで移動する細胞と比べ、垂直格子のもとで移動する細胞は、21%高かった(図5C)。長い移動軌道は、速い移動(垂直パッチのもとでは平均移動速度が13%速かった)と改良された方向(垂直パッチのもとでは総変位に対する総移動距離の割合は、平均10%低かった)に起因する。創傷に対し60°〜90°の範囲内において、整列した軌道の割合が極めて増加する(13%)ことが示されているように、重要なことは、より良い軌道の方向によって、より早い創傷カバー率が得られたことである。
個別の細胞の極性(図6)は、移動軌道研究の結果をサポートする。垂直格子の場合、細胞は、より良い格子の方向に整列され、創傷に対し垂直になる。特に18%以上の細胞が、創傷の方向に対し60°〜90°の範囲内に整列した。垂直格子(図6B)又はブランクパッチ(図6C)のもとで移動する細胞の広範な分布と、接着斑とマイクロフィラメントの方向は、接着整列に相互に関連する細胞の改良された方向が、主な細胞の軸に沿ってアクチンストレス細胞の生成をサポートすることをさらに明らかにする。要するに、これらの結果は、垂直格子が、地形に沿って細胞極性を強化することにより、下層の線維芽細胞の移動の方向付けに寄与することを示唆している。
整列されたECM繊維の沈着における頂端ガイダンスの結果:
創傷領域内の線維芽細胞の移動により新たに沈着されたフィブロネクチン細胞の構造は、生体における創傷の解消や瘢痕に強く影響を及ぼす。垂直格子により誘導したガイダンスの効果が、HDFの移動によるECMの沈着に影響を与えた(図4−6)かどうかをテストするため、創傷領域内に沈着した繊維状のフィブロネクチンの広範な構造を、完全な治療後に可視化した(図7)。フィブロネクチン線維は、均一に分布して、格子の方向に優先的に整列したバスケットウィーブ組織を見せる垂直格子のもとで創傷内に浸透した線維芽細胞によって基底支持体(図3)上に沈着(又は再構築)する。著しく対照的に、ブランクパッチのもとで移動した細胞により沈着したマトリックスは、あまり組織化されておらず、単分子層の非創傷領域で見られるもの(図7C)と同様の様々なフィブロネクチン密度の領域を示した(図7B)。広範なマトリックス配列のフーリエ解析により、ブランクパッチのもとで沈着した線維の整列が著しく悪化(59.8°±6.1°)している間に、線維芽細胞が、創傷に対しフィブロネクチン細胞が整列した垂直格子のもとで移動することが確認された(図7D)。次に、創傷治療において沈着するフィブロネクチンの均一性を定量化した。垂直パッチのもとでの創傷治療におけるピクセル強度の極めて低い標準偏差により、マトリックスが、ブランクパッチの場合又はコントロールされた非創傷領域の場合よりも、均一であることが明らかになった(図7E)。
要約すると、これらの結果は、頂端に適用された地形が、創傷領域に沈着したマトリックスの広範な構造や、線維のより全体的な分布と方向に影響を与えることを実証している。
頂端ガイダンスは新たな接着斑の生成を必要としない:
垂直格子(図4〜6)の頂端適用により誘導されるガイダンスの効果は、地形的特徴と接着斑の間の相互作用を必要とすることを検証した。線維芽細胞により生成する接着斑のサイズと位置は、ビンキュリン−FP635の一時的な発現により明らかになった(図8A)。実験条件下で、ビンキュリンの過剰発現は、HDFの移動と極性に影響を与えなかった。点状蛍光信号からわかるように(図8A)、線維芽細胞により基底支持体を有する境界において接着斑が生じた。重要なことは、両方の実験条件下で、最小数の細胞のみしか、光学的に分析可能な接着斑が頂端パッチを有する境界において生じなかったことである(図8B)。実際、基底支持体を有するHDFにより生じた接着斑の平均数は、垂直格子のもとで移動する細胞の場合101±12、ブランクパッチのもとで移動する細胞の場合56±12であり、両ケースにおいて、頂端パッチを用いて生じた接着斑の平均数は、2倍少なかった。この結果は、基底支持体を伴う場合の生物学的相互作用が、頂端パッチを伴う場合よりも極めて強かったことを示している。この仮説を確認するため、パッチは、完全な創傷治療の後に除去した。図11は、完全な創傷治療後のパッチ除去を示し、(A)においてパッチ適用前の傷ついた単分子層が示され、(B)においてパッチ適用後の傷付いた単分子層が示されている。(C)においてパッチ除去前の治療された単分子層が示され、(D)においてパッチ除去後の治療された単分子層が示されている。(E)はパッチ除去前の治療領域のDIC画像であり、(F)はパッチ除去後の治療領域のDIC画像である。すべてのケースにおいて、パッチの除去は、治療された単分子層(図11E及び図11F)を損傷することなく又は細胞をはぎ取ることなく達成することができる。図10は、完全な創傷治療後のパッチの除去を示す。(A)においてパッチ適用前の傷付いた単分子層が示され、(B)においてパッチ適用後の傷付いた単分子層が示されている。(C)においてパッチ除去前の治療された単分子層が示され、(D)においてパッチ除去後の治療された単分子層が示されている。(E)はパッチ除去前の治療領域のDIC画像であり、(F)はパッチ除去後の治療領域のDIC画像である。
興味深いことに、垂直格子のもとでの線維芽細胞の移動により生じた接着斑の平均サイズ(例えば、成熟段階)は、ブランクパッチのもとで細胞により生じた接着斑のサイズよりも極めて小さかった(0.95±0.04対1.14±1.14±0.07μm2;図8C)。この結果は、垂直格子のもとで細胞によって表される増加移動表現型と一致している(図5)。要するに、これらのデータは、HDFで垂直格子を頂端適用することにより誘導されるガイダンスが、細胞により生成された接着斑と表面上の地形的特徴との間の相互作用によって媒介されないことを実証している。しかし、見出された効果が、新しい、接着斑の独立した機構に属するとみなされるべきである。
1 治療用のパッチ
2 パターン化された活性表面要素
3 2の後側
4 2の前側、地形的表面
5 隆起
6 溝
7 隆起のミラー面の中心
8 溝のミラー面の中心
9 パターンの走行方向
10 型要素
11 10の補完構造
a 治療用パッチの長さ
b 治療用パッチの幅
c 活性表面要素の長さ
d 活性表面要素の幅
e 隆起の幅
f 溝の幅
α パターン角
p パターン周期
h パターンの高さ
l 溝/隆起の走行方向に沿ったパターンの長さ

Claims (14)

  1. 損傷細胞層の改良された治療のための活性表面要素(2)であって、
    少なくとも1つの地形的に構造化された表面を、パターン周期(p)でパターン長(l)に沿って延びる隆起(5)及び溝(6)を交互に備えたパターンを有する基板上に備え、
    前記パターン周期(p)は10μmより小さく、
    前記パターン長(l)は1mmより大きく、及び/又は、前記パターン長(l)は前記構造の前記周期(p)の20倍分より大きい
    ことを特徴とする表面要素。
  2. 前記隆起(5)の幅及び/又は前記溝(6)が、1〜9μの範囲内にあり、好ましくは、前記隆起(5)の幅が1〜5μの範囲内にあり、前記溝(6)の幅が1〜5μの範囲内にあり、好ましくは、両方の幅が基本的に等しい
    ことを特徴とする請求項1記載の表面要素。
  3. 前記隆起(5)が、少なくとも0.4μmの高さ(h)、好ましくは、0.5〜5μmの範囲内又は0.5〜2μmの範囲内、より好ましくは、1〜2μmの範囲内の高さ(h)を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表面要素。
  4. 前記溝(6)の側壁及び前記溝(6)の底壁が、85〜120°の範囲内のパターン角を囲み、好ましくは、前記パターン角(α)が約90°である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表面要素。
  5. 前記隆起(5)及び/又は前記溝(6)は、走行方向(9)に平行な対応する中心面(7,8のそれぞれ)に対しミラー対称である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表面要素。
  6. 基礎となる基板を備え、又は、生体適合性ポリマー材料を含み、好ましくは、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ酪酸だけでなく、これらの混合物、誘導体、ヒドロゲル及び共重合体からなるグループから選択される
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の表面要素。
  7. 前記生体適合性ポリマー材料は、少なくとも100kPa、好ましくは、100kPa〜10GPaの範囲内のヤング率である
    ことを特徴とする請求項6に記載の表面要素。
  8. 前記表面は被覆し、あるいは被覆せず、及び/又は、プラズマ処理された
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載の表面要素。
  9. 前記基板は、1μ〜1mmの範囲内、好ましくは、1μ〜2μの範囲内の直径を有する細孔を備えた開かれた孔を有する
    ことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の表面要素。
  10. 地形的に構造化された表面の反対側に接着して取り付けられた裏当て材をさらに備え、前記裏当て材が、前記表面要素を支持するため、及び/又は、患者の皮膚に対し、結合された構造に接着して取り付けることを可能とするために適合され、好ましくは、前記裏当て材は、吸収のための層だけでなく、接着の目的のための層を含む多層構造である
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の表面要素。
  11. 前記裏当て材は、吸収性のある裏当て材、好ましくは、コットン、ビスコース、セルコース、絹、もしくはこれらの組み合わせ、織布、又は、不織布の形態を含むグループの中から選択される
    ことを特徴とする請求項10に記載の表面要素。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の表面要素を生成する方法であって、
    地形的に補完するように構造化された型の要素が、適用される流体や注入される基板材料のためのテンプレートとして使用され、好ましくは、ソフトリソグラフィ工程において、その後任意的には架橋結合及び/又は重合の段階を行い、さらに任意的には表面処理段階、好ましくは、地形的表面(4)上のプラズマ処理段階に従って使用される
    ことを特徴とする方法。
  13. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の表面要素を少なくとも1つ備えた包帯、好ましくは、接着包帯であって、
    好ましくは、前記接着包帯上の前記表面要素の前記パターン長(l)の方向が、損傷に対し基本的に垂直になるように配置され、好ましくは、皮膚損傷、又は、好ましくは、表皮及び/又は真皮及び/又は皮下組織細胞層の傷を含む
    ことを特徴とする包帯。
  14. 細胞層の損傷、好ましくは皮膚細胞層の損傷、より好ましくは表皮及び/又は真皮及び/又は皮下組織細胞層における損傷の創傷治療の方法であって、
    前記損傷について請求項1〜11のいずれか一項に記載の表面要素を適用する工程を有し、好ましくは、パターン長lの方向が、損傷の主たる方向に対し鋭角から、好ましくは垂直となるような関係を有する方向において、細胞層の再生、及び表面要素の除去又は表面要素の生分解を可能とする
    ことを特徴とする方法。
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