以下、本発明による光コネクタ用フェルール検査機及びその方法の好ましい実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
まず、図1及び図2に示すように、本発明によるフェルール検査機は、X軸、Y軸及びZ軸方向に3軸運動を行う直交座標型ロボット10を有する。ロボット10は、フェルール1の検査位置を提供するテーブル12と、X軸リニアモーションアクチュエータ14と、Y軸リニアモーションアクチュエータ16と、Z軸リニアモーションアクチュエータ18とを備える。テーブル12の左右側面には一対のコラム20a、20bが両立している。
X軸リニアモーションアクチュエータ14は、コラム20a、20bの上端にX軸方向に装着された第1ガイドレール14aと、第1サーボモータ14bの駆動力を第1ベルト伝動機構14cを介して受けて回転するように、第1ガイドレール14aに内蔵されている第1ボールスクリュー14dと、第1ボールスクリュー14dの回転により螺旋運動しながら第1ガイドレール14aに沿ってスライド運動する第1スライド14eとを備える。Y軸リニアモーションアクチュエータ16は、テーブル12のX軸方向に装着された第2ガイドレール16aと、第2サーボモータ16bの駆動力を第2ベルト伝動機構16cを介して受けて回転するように、第2ガイドレール16aに内蔵されている第2ボールスクリュー16dと、第2ボールスクリュー16dの回転により螺旋運動しながら第2ガイドレール16aに沿ってスライド運動する第2スライド16eとを備える。Z軸リニアモーションアクチュエータ18は、X軸リニアモーションアクチュエータ14の第1スライド14eに垂直下方に装着された第3ガイドレール18aと、第3サーボモータ18bの駆動力を第3ベルト伝動機構18cを介して受けて回転するように、第3ガイドレール18aに内蔵されている第3ボールスクリュー18dと、第3ボールスクリュー18dの回転により螺旋運動しながら第3ガイドレール18aに沿ってスライド運動する第3スライド18eとを備える。そして、Y軸リニアモーションアクチュエータ16の第2スライド16eには、複数のフェルール1が搭載されるステージ22が設けられる。
本実施例において、直交座標型ロボット10のX軸、Y軸及びZ軸リニアモーションアクチュエータ14、16、18のそれぞれは、第1、第2及び第3ベルト伝動機構14c、16c、18cを省略し、第1、第2及び第3サーボモータ14b、16b、18bを第1、第2及び第3ボールスクリュー14d、16d、18dと直結して構成する事も出来る。直交座標型ロボット10のX軸、Y軸及びZ軸リニアモーションアクチュエータ14、16、18のそれぞれは、ガイドレールと、該ガイドレールに沿ってスライド運動するスライドと、該スライドに内蔵され、ガイドレールに沿ってスライドをスライド運動させるリニアモータとからなるリニアモータガイドで代わりをする事が出来る。また、X軸、Y軸及びZ軸リニアモーションアクチュエータ14、16、18のそれぞれは、第1、第2及び第3スライド14e、16e、18eの直線運動を、ラックとピニオン、又はベルトとプーリによりなし得るように構成する事も出来る。
図1、図3ないし図5に示すように、本発明のフェルール検査機は、複数のフェルール1を直交座標系に配列させ得る固定装置30を備える。この固定装置30は、ロボット10のステージ22に分離可能に搭載され、フェルール1を収容する複数の孔32aが直交座標系をなすように形成されたトレイ32と、該トレイ32の上面に着脱可能に装着され、トレイ32の孔32aに収容されたフェルール1の上端をプレスして整列させる上側プレス手段34と、トレイ32の孔32a内に収容されたフェルール1の下端をプレスして整列させる下側プレス手段36とを備える。図5においては、固定装置30の孔32aは10行×10列の100個が形成されたものを示したが、これは例示的なもので、孔32aの箇所は適宜変更可能である。
図3及び図4に示すように、上側プレス手段34は、トレイ32の上面に着脱可能に装着されるウィンドウフレーム34aと、フェルール1の上端をプレスするように、ウィンドウフレーム34aに装着された透光性ガラスパネル34bとを備える。下側プレス手段36は、フェルール1の下端をプレスするように、トレイ32の孔32aにそれぞれ収容された透光性ガラス片36aと、ガラス片36aを上方に付勢するスプリング36bと、トレイ32の下面、孔32aからガラス片36a及びスプリング36bの離脱を防止するように取り付けられ、孔32aと連通する孔36cが形成されたボトムプレート36dとを備える。上側プレス手段34のガラスパネル34bと下側プレス手段36のガラス片36aは透明合成樹脂から製作する事が出来る。
図1及び図7に示すように、本発明によるフェルール検査機は、フェルール1の内径及び外径のイメージを撮影し、外径イメージデータと内径イメージデータを同時に獲得する光学系40を備える。光学系40はZ軸リニアモーションアクチュエータ18の第3スライド18eに固着されている。従って、光学系40は、ロボット10のX軸リニアモーションアクチュエータ14とZ軸リニアモーションアクチュエータ18により、X軸とZ軸方向に直線運動させる事が出来る。光学系40は、フェルール1の内径イメージを撮影し、内径イメージを出力する小視野の第1カメラ50と、フェルール1の外径イメージを撮影し、外径イメージデータを出力する大視野の第2カメラ60とを備える。
また、第1カメラ50は、光学系40の第1光軸42と一直線上に順次整列される対物レンズ52、ビームスプリッタ54、拡張レンズ56、及び第1イメージセンサ58を備える。第1カメラ50のビームスプリッタ54は、対物レンズ52から入射する入射光を、拡張レンズ56に入射する第1出射光と、光学系40の第1光軸42に対して直角をなす第2出射光とに分けて出射する。第2カメラ60は、第1カメラ50のビームスプリッタ54から出射する第2出射光を、光学系40の第2光軸44に反射させるミラー62と、該ミラー62から反射される反射光を受光するように、光学系40の第2光軸44と一直線上に整列されている第2イメージセンサ64とを備える。本実施例において、第1カメラ50の第1イメージセンサ58と第2カメラ60の第2イメージセンサ64のそれぞれは768×494ピクセルのCCDイメージセンサからなり、第1カメラ50は、拡張レンズ56による光角の拡張により、第2カメラ60に比べて5倍くらいの高倍率を有する。図2に示すように、光学系40の第1及び第2カメラ50、60はカバー66により保護されキャリッジ68の前面に装着され、キャリッジ68はZ軸リニアモーションアクチュエータ18の第3スライダ18eに固定されている。
図1、図3ないし図5に示すように、本発明のフェルール検査機は、フェルール1のイメージを投影させるため、固定装置30の下部に配置されるようにステージ22の上面に取り付けられた第1照射装置70と、第1カメラ50の対物レンズ52と同心上に装着される第2照射装置90とを含む。第1照射装置70は、直交座標型ロボット10のステージ22に取り付けられ、上部が開放された暗室72aが形成され、前面に第1及び第2入口72b、72cが形成されたハウジング72と、トレイ32の孔32aと一直線上に整列されるように、ハウジング72の暗室72aに設けられた複数の発光ダイオード74と、発光ダイオード74のそれぞれから発光する光を集光する複数の集光レンズ76と、集光レンズ76から出射する出射光を拡散させるディフューザ78とを備える。第1照射装置70の発光ダイオード74は赤色又は白色発光ダイオードから構成されて良い。
図3及び図4に示すように、発光ダイオード74は、ハウジング72の第1入口72bを介して引き出せるように取り付けられたベース80の上面に配列されており、ベース80の前面には取っ手80aが装着されている。ベース80は、ハウジング72を貫通して締結される第1セットスクリュー82aによりプレスされる第1ボール82bにより支持されて固定される。そして、第1セットスクリュー82aと第1ボール82b間には第1スプリング82cが介在されている。集光レンズ76はハウジング72の第2入口72cを介して引き出せるように取り付けられているレンズホルダ76aの孔76bに装着され、レンズホルダ76bの前面には取っ手76cが装着されている。レンズホルダ76aは、ハウジング72を貫通して締結される第2セットスクリュー84aによりプレスされる第2ボール84bにより支持されて固定される。第2セットスクリュー84aと第2ボール84b間には第2スプリング84cが介在されている。ディフューザ78は、ディフューザホルダ78aによりハウジング72の上面に装着されたカバー86の入口86aを介して引き出せるように装着され、ディフューザ78のディフューザホルダ78aには取っ手78bが装着されている。
図6は本発明による固定装置30と第1照射装置70の変形例を示す。同図に示すように、固定装置30のボトムプレート36dは第1照射装置70のハウジング72に装着される。ハウジング72の暗室72aには、トレイ32の孔32aと一直線上に整列されるように複数の発光ダイオード74が設けられ、発光ダイオード74の上部には、発光ダイオード74から発光される光を拡散させるディフューザ78がディフューザホルダ78aにより装着されている。ディフューザホルダ78aは複数のポスト78cによりベース80に支持される。ディフューザ78の上部には、ディフューザ78から出射する出射光を集光して出射するように、集光レンズ76が装着される。集光レンズ76は、トレイ32の孔32a及び発光ダイオード74と一直線上に整列されるように、レンズホルダ76aの孔76bに装着されている。
図7に示すように、第2照射装置90は、第1カメラ50の対物レンズ52の周囲に同心の環状に配列される複数の発光ダイオード92からなる。第2照射装置90の発光ダイオード92は、第1照射装置70の発光ダイオード74と同様に、赤色又は白色の発光ダイオードから構成できる。
図4に詳細に示すように、第1照射装置70のカバー86には、固定装置30がポジショナー38により着脱可能に整列されている。ポジショナー38は、第1照射装置70のカバー86の上面から突出している複数のボール38aと、該ボール38aと整合されるように、固定装置30のボトムプレート36dの下面に形成された凹部38bとを備える。このボール38aと凹部38bの整合により、第1照射装置70の上部に固定装置30を正確に整列して装着する事が出来る。
図3ないし図5に示すように、固定装置30のトレイ32と上側プレス手段34のウィンドウフレーム34aは付着手段39により着脱可能に付着されている。付着手段39は、トレイ32の上面に埋込型で装着された複数の第1磁石39aと、トレイ32の第1磁石39aと、トレイ32の第1磁石39aと対応するように、ウィンドウフレーム34aに装着された第2磁石39bとを備える。図4には二つの第1及び第2磁石39a、39bを示しているが、これは例示的なもので、第1及び第2磁石39a、39bの箇所は適宜変更可能なものである。トレイ32の上面に、上側プレス手段34のウィンドウフレーム34aを第1及び第2磁石39a、39bの磁力により装着させることにより、上側プレス手段34のガラスパネル34bによりフェルール1の上端を正確にプレスする事が出来る。
図1に示すように、光学系40の第1及び第2カメラ50、60から出力されるフェルール1のイメージデータはコンピュータ100に実時間で入力される。コンピュータ100は、マイクロプロセッサ、モニタ、プリンだなどの出力装置、キーボードなどの入力装置を備えている。コンピュータ100は、光学系40の第1及び第2カメラ50、60から入力されるフェルール1のイメージデータをプログラムにより処理してモニタ102にディスプレイし、フェルール1を良品と不良品とに選別する。コンピュータ100は、フェルール検査機の制御のため、ロボット10と第1及び第2照射装置70、90の作動を制御するコントローラ110と接続される。検査者は、コントローラ110の操作により、第1及び第2照射装置70、90の光量を制御する事が出来る。
図8a及び図8bないし図11a及び図11bは本発明のフェルール検査機により検査できる多様な構成のフェルールを示す。図8a及び図8bに示すフェルール1は、その中心(C)に一つの孔2が形成されたシングルフェルールである。シングルフェルールの場合、外径(D)、内径(D1)、及び外径(D)の中心(C)に対する内径(D1)の中心(C1)の偏心度を検査する。図9a及び図9bに示すフェルール1は、その中心(C)に対して二つの孔2−1、2−2が等間隔で形成されたデュアルフェルールである。デュアルフェルールの場合、外径(D)、孔2−1、2−2のそれぞれの内径(D1、D2)、及び二つの内径(D1、D2)の中心(C1、C2)間の中心間距離(D3)を検査する。また、図12b及び図12cに示すように、デュアルフェルールは、外径(D)の中心(C)と孔2−1、2−2の中心(C1、C2)を連結する線分(S)の中点(C3)に対する偏心度を検査する。
図10a及び図10bのフェルール1は、二つの孔2−1、2−2が連結されたドッグボーン(dog−bone)フェルールであり、図11a及び図11bのフェルール1は、その中心(C)に二つの中心(C1、C2)を有する楕円形孔2−3が形成されたトラックフェルールである。ドッグボーンフェルールとトラックフェルールに対しては、デュアルフェルールと同様に、外径(D)、内径(D1、D2)、偏心度、二つの内径(D1、D2)の中心間距離(D3)を検査する。
次に、このような構成を有する本発明による光コネクタ用フェルール検査機によるフェルールの検査方法を図14a及び図14bに基づいて説明し、その例としてデュアルフェルールの検査方法を主として説明する。
図3及び図4に示すように、検査者がトレイ32の孔32aにフェルール1を収容させると、トレイ32の孔32aを貫通するフェルール1の下端は下側プレス手段36のガラス片36aに接触して整列され、スプリング36bはガラス片36aを上方に付勢して、フェルール1の下端とガラス片36aの接触を安定に維持させる。トレイ32の上面に、上側プレス手段34のウィンドウフレーム34aを、第1及び第2磁石39a、39bの磁力により装着すると、上側プレス手段34のガラスパネル34bが、トレイ32の孔32aに挿入されたフェルール1の上端を正確にプレスして整列させる。従って、トレイ32の孔32aに収容されるフェルール1の上端を水平面上に正確に整列させることができ、フェルール1の高さ誤差を最小化する事が出来る。このように、検査者は、固定装置30によりフェルール1を直交座標系に整列させた後、第1照射装置70のカバー86から突出しているポジショナー38のボール38aに、固定装置30のボトムプレート36dに形成された凹部38bを整合させると、第1照射装置70の上部に固定装置30を正確に整列して装着することができ、ロボット10の検査位置に直交座標をなす複数のフェルール1を準備する(S200)。
図1及び図2に示すように、コントローラ110の制御によりロボット10のX軸及びY軸リニアモーションアクチュエータ14、16を作動させることで、一つのフェルール1と光学系40を検査開始位置に整列させる(S202)。本実施例において、フェルール1の検査開始位置はトレイ32の1行×1列に形成された孔32aを基準に設定され、検査完了位置はトレイ32の10行×10列に形成された孔32aを基準に設定されている。図5には、検査開始位置をトレイ32の前部左側に矢印“A”で示したが、これは例示的なもので、トレイ32の前部右側又は後部左右側に設定する事も出来る。また、トレイ32の1行に配列されているフェルール1の検査を完了した後には、光学系40とフェルール1の中心は2行×1列の孔32aを基準に整列する。
一方、X軸リニアモーションアクチュエータ14の第1サーボモータ14bが駆動して第1ボールスクリュー14dが回転すると、第1ボールスクリュー14dにより螺旋運動する第1スライド14eが第1ガイドレール14aに沿ってスライド運動しながらZ軸リニアモーションアクチュエータ18をX軸方向に運動させる。Y軸リニアモーションアクチュエータ16の第2サーボモータ16bが駆動して第2ボールスクリュー16dが回転すると、第2ボールスクリュー16dの回転により螺旋運動する第2スライド16eが第2ガイドレール16aに沿ってスライド運動しながらステージ22をY軸方向に運動させる。このようなX軸及びY軸リニアモーションアクチュエータ14、16の直交座標運動により、トレイ32の孔32aに挿入されたフェルール1と光学系40の第1光軸42を正確に一直線上に整列させる事が出来る。
図3及び図7に示すように、一つのフェルール1と光学系40を検査開始位置に整列した後、第1及び第2照射装置70、90の照射によりフェルール1の内径及び外径のイメージを投影させ、投影されるフェルール1の内径及び外径のイメージを光学系40の第1及び第2カメラ50、60で撮影して、フェルール1の内径及び外径のイメージデータをそれぞれ獲得する(S204)。コントローラ110の制御により第1照射装置70の発光ダイオード74をオンさせると、第1照射装置70の発光ダイオード74から発光される光は集光レンズ76に集光され、集光レンズ76から出射する出射光はディフューザ78により拡散された後、ボトムプレート36dの孔36c、ガラス片36a、フェルール1の内径を介してフェルール1の内径イメージを明らかに投影させる。
図6に示すように、第1照射装置70の発光ダイオード74から発光される光はディフューザ78により拡散され、ディフューザ78から出射する出射光は集光レンズ76に集光され、ボトムプレート36dの孔36c、ガラス片36a、フェルール1の内径を介してフェルール1の内径イメージを明らかに投影させる。このように、発光ダイオード74の光をディフューザ78により均一に拡散させた後、集光レンズ76により集光させることにより、第1照射装置70の照射効率を向上させる事が出来る。
一方、コントローラ110の制御により第2照射装置90の発光ダイオード92をオンさせると、第2照射装置90の発光ダイオード92から発光される光はフェルール1の表面から散乱されながらフェルール1の外径イメージを明らかに投影させる。従って、光学系40の第1及び第2カメラ50、60により獲得される内径及び外径イメージデータの鮮明度を大幅に向上させる事が出来る。フェルール1の内径及び外径イメージは第1カメラ50の対物レンズ52、ビームスプリッタ54、拡張レンズ56を介して第1イメージセンサ58に投影されて撮影されるとともに、第1カメラ50の対物レンズ52とビームスプリッタ54、第2カメラ60のミラー62を介して第2イメージセンサ64に投影されて撮影される。この際、小視野の第1カメラ50はフェルール1の内径を高倍率で撮影した内径イメージデータを出力し、大視野の第2カメラ60はフェルール1の内径を低倍率で撮影した外径イメージデータを出力する。
図1に示すように、光学系40の第1及び第2カメラ50から出力されるフェルール1の内径及び外径イメージデータはコンピュータ100に実時間で入力され、コンピュータ100は、プログラムにより光学系40の第2カメラ60から入力されるフェルール1の外径イメージデータを処理して、フェルール1の中心と光学系40の第1光軸42を一致させるセンタリングを行う(S206)。この際、コンピュータ100は、プログラムにより、第2カメラ60から入力されるフェルール1の外径に対するグレーレベルイメージを閾値により二進化し、フェルール1の二進イメージから外径輪郭線を検出した後、この外径輪郭線の中心と光学系40の第1光軸42が一致するように、ロボット10のX軸及びY軸リニアモーションアクチュエータ14、16を作動させて、フェルール1と光学系40を直交座標運動させる。従って、フェルール1と光学系40のセンタリングが正確にかつ迅速に行える。
また、光学系40の第1光軸42と一つのフェルール1の中心を整列させた後は、ロボット10のZ軸リニアモーションアクチュエータ18を作動させることにより、フェルール1と光学系40のフォーカシングを行う(S208)。フェルール1と光学系40のフォーカシングは、フェルール1から光学系40の焦点距離を遠距離に位置させた後、Z軸リニアモーションアクチュエータ18の作動により光学系40の焦点距離をフェルール1に近接させながら、光学系40の第1及び2カメラ50、60から入力されるフェルール1の内径及び外径イメージデータのいずれか一つ、例えば内径イメージデータに対するラプラシアン評価(Laplacian Evaluation)を繰り返し実施して、最も明らかに検出されるフェルール1の内径イメージを基準とする。このようなフェルール1と光学系40の正確なフォーカシングにより、フェルール1の内径及び外径イメージデータを最適に獲得する事が出来る。
フェルール1と光学系40のフォーカシングが完了した後には、コンピュータ100の制御によりロボット10のX軸及びY軸リニアモーションアクチュエータ14、16を作動させることで、それぞれのフェルール1と光学系40を相応する位置に直交座標運動させながら光学系40の第1カメラ50によりそれぞれのフェルール1の内径イメージを撮影し、第2カメラ60によりそれぞれのフェルール1の外径イメージを撮影して、内径及び外径イメージデータを順次獲得する(S210)。
図12aないし図12cに示すように、コンピュータ100は、プログラムにより、光学系40の第1及び第2カメラ50、60から入力されるそれぞれのフェルール1の内径及び外径イメージデータを処理して内径エッジライン2′、2″と外径エッジライン1′を検出し、この内径エッジライン2′、2″と外径エッジライン1′を内径イメージアレイ座標系120と外径イメージアレイ座標系122にそれぞれ位置させてモニタ102にディスプレイする(S212)。この際、コンピュータ100は、それぞれのフェルール1の内径及び外径に対するグレーレベルイメージを閾値により二進化して、それぞれのフェルール1の二進イメージから内径及び外径輪郭線を検出し、ガウス−ラプラシアンフィルタ(Laplacian of Gaussian filter)により精密な内径及び外径輪郭線を検出した後、最小自乗誤差法によりノイズを除去して内径エッジライン2′、2″と外径エッジライン1′をそれぞれ検出する。
また、コンピュータ100は、内径エッジライン2′、2″と外径エッジライン1′を内径及び外径イメージアレイ座標系120、122にそれぞれ位置させた後、それぞれのフェルール1の内径(D1、D2)、外径(D)、偏心度、中心間距離(D3)をそれぞれ算出する(S214)。それぞれのフェルール1の内径(D1、D2)と中心間距離(D3)は、小視野の第1カメラ50の撮影により高倍率で入力される内径イメージデータにより算出するので、算出される内径(D1、D2)と中心間距離(D3)の信頼性を向上させる事が出来る。それぞれのフェルール1の外径(D)は、大視野の第2カメラ60の撮影により低倍率で入力される外径イメージデータにより算出しても検査の信頼性を満足させる事が出来る。図12cは図12bの“B”領域を拡大して示すものである。同図に示すように、フェルール1の偏心度は、外径(D)の中心(C)と内径(D1、D2)の中心(C1、C2)を連結する線分(S)の中点(C3)間の距離(D4)により算出する。図8a及び図8bに示すシングルフェルールの場合、内径(D1)、外径(D)、内径(D1)の中心(C1)と外径(D)の中心(C)間の距離から偏心度を算出する。図10a及び図10bに示すドッグボーンフェルールと図11a及び図11bに示すトラックフェルールの内径(D1、D2)、外径(D)、偏心度、及び中心間距離(D3)は前述したデュアルフェルールと同一であるので、ドッグボーンフェルールとトラックフェルールの検査方法についてはデュアルフェルールを参照し、その詳細な説明は省略する。一方、小視野の第1カメラ50から入力されるフェルール1の内径イメージデータと大視野の第2カメラ60から入力されるフェルール1の外径イメージデータをコンピュータのプログラムにより処理して一つのイメージアレイ座標系にマッチさせ、フェルール1の内径(D1、D2)の内径(D1、D2)、外径(D)、偏心度、及び中心間距離(D3)を検出する事も出来る。
コンピュータ100は、全体フェルール1の検査数が設定検査数と一致するかを確認してそれぞれのフェルール1の検査が完了したかを判断し(S216)、それぞれのフェルール1の検査が完了していないと判断されると、前記段階(S206)と同様、コンピュータ100は、プログラムにより、光学系40の第2カメラ60から入力されるフェルール1の外径イメージデータを処理して、フェルール1の中心と光学系40の第1光軸42を一致させるセンタリングを行った後(S218)、前記段階(S210)に進む。それぞれのフェルール1の検査が完了したと判断されると、コンピュータ100は、それぞれのフェルール1の内径、外径、偏心度、及び二つの内径の中心間距離が設定誤差を満足させているかを判断した後(S220)、誤差を満足させるフェルール1は良品と選別し(S222)、誤差を満足させていないフェルール1は不良品と選別する(S224)。最終に、図13に示すように、コンピュータ100は、検査済みのそれぞれのフェルール1を、検査者が良品と不良品とに識別し得るように、直交座標系に配列してモニタ102にディスプレイする(S226)。例えば、良品と選別されたフェルール1に対しては緑色でディスプレイし、不良品と選別されたフェルール1に対しては赤色でディスプレイする。図13は、不良品と選別されたフェルール1を斜線で示した。従って、検査者はそれぞれのフェルール1に対して良品と不良品を簡便に識別する事が出来る。
以上説明した実施例は本発明の好ましい実施例を説明したものに過ぎず、本発明の権利範囲は前記実施例に限られるものではなく、本発明の技術的思想と特許請求の範囲内で当該分野の当業者により多様に変更、変形、又は置換可能なものであり、このようなものは本発明の範囲に属するものと理解すべきである。