JP2005514313A - ブラインの精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 グルコン酸塩を含有するブラインの精製方法の提供。
【解決手段】 本発明の方法では、まず、ブラインを第一のイオン交換樹脂に流して遷移金属カチオン及びその他の不純物を除去する。次に、ブラインを第二のイオン交換樹脂に流してアルカリ土類金属カチオンを除去する。第三の工程でブラインを炭素質吸着材で処理して、イオン交換樹脂によって導入された不純物を除去するとともに塩化クロロメチルトリエチルアンモニウムのような第四アンモニウム塩も除去する。炭素質吸着材の再生方法についても開示する。

Description

本発明は、膜型電解槽で電圧ペナルティーを引き起こす不純物を実質的に含まないブラインの製造方法に関する。具体的には、当該方法では、ブライン溶液から金属イオンを除去するのにイオン交換樹脂を使用するとともに、イオン交換樹脂によりブライン溶液中に導入された電圧ペナルティーを起こす不純物を除去するための1以上の仕上げ処理工程を使用する。当該方法はさらに、ブライン仕上げ処理工程に用いた吸着材の再生及び再使用に関する。
縮合ポリマーの製造ではブライン溶液が副生物として生じることが多々ある。例えば、ブライン溶液は、水性水酸化ナトリウムの共存下、有機溶剤中でのホスゲンと1種以上のビスフェノール化合物との反応によるポリカーボネート樹脂の製造の際に生じる。一般的な例は、水性水酸化ナトリウムの共存下ジクロロメタン中でのビスフェノルーAとホスゲンとの反応によるビスフェノールAポリカーボネートと塩化ナトリウム溶液を生じる反応である。生産コストを下げるとともに環境汚染を防ぐため、かかるブライン溶液は、塩素ガスと水酸化ナトリウム溶液と水素ガスを生じる電解用クロルアルカリプラントに再循環することが多い。かかるクロルアルカリプラントにおける電解槽は大抵は陽極室と陰極室とを備えていて、その間に適当なセパレータが設けられる。セパレータの目的は、電解槽内で陽極液と陰極液とを分離することにある。セパレータは水に対して少なくとも部分的に多孔質とし得る。電解槽に用いられるセパレータの種類には隔膜(ダイヤフラム)と膜(メンブラン)がある。
電解槽の膜と電極はブライン中の不純物、特に多価金属イオンに対して鋭敏である。槽電圧と電流効率はいずれもカルシウムやマグネシウムのようなアルカリ土類金属に鋭敏である。一般に、多価金属カチオンは膜の供給側の比較的低いpHレベルで溶解性であり、膜の内部に入り込むことができる。かかるカチオンは水及びナトリウムイオンと共に陽極室から膜内に入って陰極に向かって流れる。しかし、膜内部で優勢な高いpHレベルでの溶解性が限られているため、多価金属カチオンは膜内部で析出し、その結果膜に不可逆的な損傷を与える。
縮合ポリマーの製造で副生物として生ずるブライン溶液は、有機夾雑物及び無機夾雑物を共に含んでいることが多い。有機夾雑物には、残留溶剤、触媒、並びにモノマーや低分子量オリゴマーのような水溶性有機種などがある。無機夾雑物には、多価アルカリ土類金属及び遷移金属カチオン、特に鉄が挙げられる。かかる1種類以上の夾雑物を含むブライン溶液を電気分解すると、電解槽のセパレータの表面及び内部に有機種及び多価金属カチオン種が析出して目詰まりを起こしかねない。電解槽のセパレータの寿命を最大限に延ばすには、供給ブライン溶液中の夾雑有機種及び多価金属カチオンの濃度を経済的に可能な限りできるだけ低い水準に抑えなければならない。
ある種の縮合ポリマー重合プロセスでは、ブライン生成工程で水溶性キレート剤を使用する。例えば、ビスフェノールAとホスゲンの界面重合ではグルコン酸ナトリウムが存在することが多い。かかるプロセスで副生物として生成するブラインはかなりの量のグルコン酸ナトリウムを含んでいることがあり、そのためクロルアルカリプラントでのブラインのリサイクルの際に問題を起こしかねない。
クロルアルカリ産業では、グルコン酸ナトリウムのようなキレート剤を含まないブラインが一般に利用されている。かかる有機キレート剤を含まないブラインについては、膜型電気分解の前に比較的簡単なブライン精製プロセスが用いられる。ブライン「硬度」を低下させるため、つまり、ブライン中に存在するカルシウム及びマグネシウムイオンのレベルを1〜2ppmのレベルに下げるため、一次ブライン処理が用いられる。「硬度」をさらに約20ppb未満に低下させるために二次ブライン処理が用いられるが、この20ppb未満という値は、クロルアルカリプラントの供給原料として用いられるブライン中のアルカリ土類金属カチオンの規格上限として常用されている。二次ブライン処理工程では、通例、アルカリ土類金属イオンに高い親和性を有するキレート性イオン交換樹脂が用いられる。グルコン酸ナトリウムのような有機キレート剤が存在しなければ、膜規格硬度レベルは簡単に達成できる。さらに、ケイ素及びアルミニウム夾雑物も、キレート剤を含まないブラインをキレート性イオン交換樹脂で処理することによってブラインから除去できる。
グルコン酸塩及び第二鉄イオンやカルシウムイオンのような多価金属イオンを含むブラインにおいても一次ブライン処理が行われるが、複雑な金属−グルコン酸塩平衡のため、金属夾雑物のレベルをさらに低下させるにはもっと複雑な精製プロセスが必要とされる。例えば、第二鉄イオン−グルコン酸塩相互作用はアルカリ性条件下では非常に強いが、pH2.5ではかなり弱い。キレート剤を含有する水性流から多価金属イオンを除去できるように、こうしたpH効果が利用されている。例えば、メッキ産業では、銅やニッケルカチオンのような遷移金属カチオンを含有する水性流を、キレート性イオン交換樹脂を用いて精製している。米国特許第4303704号には、金属イオンとキレート剤を共に含む水性混合物から低いpHで銅及びニッケルイオンを除去する方法が記載されている。
グルコン酸塩を含まないブライン流からカルシウム及びマグネシウムを除去するためにアミノメチルホスホン酸(AMP)キレート性イオン交換樹脂を使用することが記載されている。例えば、Journal of Applied Polymer Science,45(1992)173には、カルシウム及びマグネシウムに対する平衡樹脂結合容量はブライン強度とは無関係であるが、充填カラム条件下での見掛けの容量に対してブライン強度がわずかな悪影響を示すことが記載されている。樹脂へのカルシウムの吸着キネティクスはブライン強度の増加と共に減少すると記載されている。
本出願人に譲渡された係属中の米国特許出願第09/378957号には、グルコン酸塩を含有するブラインについて膜規格硬度レベルを達成する方法が記載されている。また、米国特許第6103092号には、グルコン酸塩を含有するブライン中の多価金属カチオン濃度を低下させる方法が記載されている。最後に、米国特許第6214235号には、部分的に熱分解したスルホン化ポリスチレンジビニルベンゼン又は炭素を始めとする吸着材にブラインを流してブラインからハロアルキルトリアルキルアンモニウム塩(本明細書中ではQSという。)を除去する方法が記載されている。米国特許出願第09/378957号に開示されているように、ブラインの膜規格レベルの硬度を達成するには、「硬度」除去の前に鉄のような遷移金属イオンを除去することが重要である。硬度除去の前に遷移金属を除去すると、樹脂への遷移金属の不可逆的なイオン交換による汚損から硬度除去樹脂が保護される。
米国特許第4303704号 米国特許出願第09/378957号 米国特許第6103092号 米国特許第6214235号 Journal of Applied Polymer Science,45(1992)173
これまでに発見された各種のブライン精製法では、クロルアルカリプラントの電解槽への供給原料として使用する前に、カルシウムやマグネシウムのようなブライン硬度イオン、鉄やニッケルカチオンのような遷移金属多価イオン及びアルミニウムカチオンのような他の多価金属カチオンの濃度を許容レベルに低減するためにイオン交換樹脂が用いられる。イオン交換樹脂を使用する公知のブライン精製法では、界面重合反応で生成したブラインのリサイクルが可能であるが、かかるリサイクルブラインの電解は新鮮な(非リサイクル)ブライン溶液に比べてかなり効率に劣る。そのため、イオン交換樹脂を用いる公知の精製法で精製したリサイクルブラインを使用するのは、電解の際の厄介な「電圧ペナルティー」と考えることができ、この電圧ペナルティーの大きさはリサイクルブライン溶液の電解と非リサイクルブライン溶液の電解との電圧の差である。従って、リサイクルブラインの電解、特に膜型電解槽での電解における電圧ペナルティーを低減する必要性が依然として存在している。
一次及び二次ブライン処理後においても処理リサイクルブラインがやはり膜型電解槽での電解時に重大な電圧ペナルティーを示すことが判明した。理論に束縛されるものではないが、これらの樹脂は、特にリサイクルブラインの存在下で低レベル夾雑物を放出すると考えられ、かかる夾雑物を本明細書中では「樹脂抽出物」と呼ぶ。また、リサイクルブラインには、一次ブライン処理でもイオン交換樹脂でも除去されない有機夾雑物が存在するとも考えられる。本発明者らは、これらのイオン交換樹脂の下流に仕上げ処理工程を追加することによって電圧ペナルティーを実質的になくすことができることも見出した。トリエチルアミンのようなトリアルキルアミン触媒と塩化メチレン溶剤とを使用する界面ポリカーボネート製造プロセスの副生物であるブラインは、クロルアルカリプラントの供給原料として使用する前にブラインから除去するひつようのあるクロロメチル第四アンモニウム塩(QS)を含んでいることが多い。本発明者らは、イオン交換後に仕上げ処理工程としてQS吸着を行うことによって、イオン交換樹脂から放出された夾雑物であるQSと存在し得る他の未知夾雑物を除去することができ、膜型電解槽における電圧ペナルティーを大幅に低減できることを発見した。この方法は、100〜350ppmのグルコン酸ナトリウムを含有するリサイクルブラインでも、グルコン酸塩を含有しない塩からなるブラインでもうまくいくことが実証された。
一つの態様では、本発明は、水溶性キレート剤を含むブライン溶液から不純物を除去する方法であって、
ブライン溶液のpHをpH約2〜約4に調節し、ブライン溶液から遷移金属カチオンを除去することができる官能基を有する第一の官能化樹脂にブライン溶液を流す工程、
ブライン溶液のpHをpH約9〜約11.5に調節し、ブライン溶液からアルカリ土類金属カチオンを除去することができる官能基を有する第二の官能化樹脂にブライン溶液を流す工程、及び
工程b)の後にブライン溶液を仕上げ処理工程に付す工程
を含んでなる方法に関する。
別の態様では、本発明は仕上げ処理工程で用いた吸着材の再生に関する。
本発明の好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明及び後述の実施例を参照すると本発明がより容易に理解できるであろう。本明細書及び特許請求の範囲では多くの用語を使用するがこれらの用語は以下の意味をもつものとして定義される。
単数形で記載したものであっても、前後関係から明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。
「適宜」とは、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起きなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象が起きた場合と起こらない場合を包含する。
本明細書で用いるブライン仕上げ処理という用語は、イオン交換樹脂以外の炭素質吸着媒体にブラインを流すことをいう。
「BPA」は本明細書中ではビスフェノールAと定義され、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4′−イソプロピリデンジフェノール及びp,p−BPAともいわれる。
本明細書で用いる「ビスフェノールAポリカーボネート」という用語は、実質的にすべての繰返し単位がビスフェノールA残基からなるポリカーボネートをいう。
本発明で考えられるリサイクルブライン溶液は、縮合ポリマー製造プロセスのような製造プロセスの副生物として得られる。ブラインを副生物として生じ得る縮合製造プロセスとしては、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリーレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドスルホンなどの製造のための縮合プロセスがある。
例えば、ポリカーボネートの製造プロセスでは、米国特許第4737573号などに記載されているように、有機溶剤中で、水酸化ナトリウム水溶液のようなアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下、1種類以上のビスフェノールをホスゲン又はオリゴマー状カーボネートクロロホルメートのようなカーボネート前駆体と反応させてポリカーボネートを合成する際に、副生物として塩化ナトリウム水溶液が生ずる。かかるプロセスで製造できる代表的なポリカーボネート及びポリカーボネート共重合体としては、特に限定されないが、ビスフェノールAポリカーボネート、3,3′5,5′−テトラメチルビスフェノールAポリカーボネート、3,3′5,5′−テトラブロモビスフェノールAポリカーボネート及びこれらの混合物がある。
電解槽に再循環する前に、槽の最も効率的な運転を行うため、ブライン溶液中のアルカリ金属ハロゲン化物(例えば塩化ナトリウム)の濃度を調節してもよい。塩化ナトリウム濃度は、補給塩の添加によって高めることができる。補給塩は、例えば天然の地表堆積物から、又は海水を蒸発して得られる塩化ナトリウムである。
精製に付されるブライン溶液中の塩化ナトリウム量は、溶液1リットル当たり約50gの濃度から所与の温度における塩化ナトリウムの飽和濃度までである。好ましくは、塩化ナトリウム濃度は、溶液1リットル当たり約180〜約320g、さらに好ましくは溶液1リットル当たり約280〜約310gである。
典型的には、ブライン溶液副生物は縮合ポリマー生成物から分離され、塩化ナトリウムの濃度を高めて夾雑物を除去する各種処理工程に付される。かかる「リサイクルブライン」はクロルアルカリプラントの電解槽への供給原料となる。適当な電解槽は陽極室と陰極室とを備えており、その間に適当なセパレータを設けて電解槽内の陽極液及び陽極で発生した塩素ガスと陰極液及び陰極で発生した水素ガスとを分離する。セパレータは、適宜、水に対して少なくとも部分的に多孔質であってもよい。一般に、陽極室と陰極室との分離には膜セパレーターが用いられる。
膜型クロルアルカリ電解槽は膜で分離された2つの室(陽極室と陰極室)を備えている。ブライン溶液を陽極室に導入し、脱イオン水を陰極室に導入した後、膜型電解槽に電流を流す。このプロセスで、ブライン溶液中の塩化ナトリウムが電解され、苛性溶液が陰極室から流出する液体生成物として得られる。このプロセスの詳細は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,第4版,第1巻,938〜1025頁(1991)のCurlin,L.C.,Bommaraju,T.V.及びHansson,C.B.著“Alkali and Chlorine Products: Chlorine and Sodium Hydroxide”に記載されている。
膜型セパレータは、陽極液から陰極液へアルカリ金属カチオンを選択的に通すがアニオンは通さず、陰極液から陽極液への水酸アニオンの逆行を実質的に遅らせるイオン交換樹脂からなるものであればよい。
電解槽の運転時には、固形化学種が膜の表面及び内部に徐々に析出しかねない。そのため全体的性能低下を起こし、電流効率が低下し、槽電圧が高くなり、塩素単位生産量当たりの電力消費量が増す。膜型電解槽に対する不純物の影響は、DuPont社から公表されたレポート“Effect of Impurities on Membrane for Chloralkali Production”, James T. Keating, E.I. DuPont de Nemours and Company(米国デラウェア州ウィルミントン)に記載されている。
膜の寿命を最大限に延ばすとともに電解槽の運転効率を最大限に高めるため、電解前のリサイクルブライン溶液を精製工程に付して夾雑物を除去する。夾雑物には、ポリマー製造プロセス由来のものと、ポリマー製造プロセスから再循環したブラインに添加されることが多い補給塩由来のものとがある。典型的な夾雑物には、フェノール種、有機触媒及び溶剤残留物、並びにアルカリ土類金属カチオンや遷移金属カチオンなどの金属種がある。夾雑物除去のための精製工程には、一次及び二次ブライン処理といわれる1以上の工程がある。一次ブライン処理は、金属を沈澱させるための炭酸イオン及び水酸イオンの添加、清澄化、濾過、揮発物ストリッピング、及び有機不純物を除去するための吸着材との接触がある。二次ブライン処理は、膜型電解槽にブラインを供給する前に行われ、多価金属カチオンの濃度を低下させるためのイオン交換のような処理がある。リサイクルブライン中に夾雑物として存在するフェノール種の例としては、BPAのようなビスフェノール、フェノールやp−クミルフェノールのようなモノフェノール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)のようなトリスフェノールが挙げられる。リサイクルブライン中に夾雑物として存在する有機触媒及び溶剤残留物の例としては、トリエチルアミンのような遊離の第三アミン、ポリカーボネートの製造に際して用いられることがある第四アンモニウム塩のような相間移動触媒、ジクロロメタンやクロロベンゼンのような遊離の溶剤、及び遊離のアミン触媒と溶剤の反応で生じた第四アンモニウム塩生成物が挙げられる。遊離の第三アミン触媒と溶剤との反応で生じた第四アンモニウム塩生成物の例としては、塩化クロロメチルトリエチルアンモニウムが挙げられる。重合反応に用いた第三アミン触媒と溶剤との反応で生じる第四アンモニウム塩は、通例、次の式の構造Iを有する。
Figure 2005514313
式中、各R1は各々独立にC1〜C10脂肪族基、C3〜C10環式脂肪族基又はC4〜C10芳香族基である。
第四アンモニウム塩(QS)Iの例としては、塩化クロロメチルトリエチルアンモニウム、塩化クロロメチルトリプロピルアンモニウム、塩化クロロメチルジブチルメチルアンモニウムなどが挙げられる。
原料ブライン溶液中に多々存在するアルカリ土類金属カチオンには、カルシウムとマグネシウムがある。これらの化学種はしばしば「硬度」といわれる。原料ブライン溶液中のカルシウム及びマグネシウムの濃度は各々独立に、約0.005〜約2000ppm(百万分率)の範囲内にあり、好ましくは約0.005〜約400ppmの範囲内、さらに好ましくは約0.005〜約10ppmの範囲内である。膜の寿命及び電解槽の運転効率を最大にするため、電解槽供給用の精製ブライン溶液中のカルシウムとマグネシウムの合計濃度は最も好ましくは約20ppb(十億分率)未満である。
原料ブライン溶液中に多々存在する遷移金属カチオンなどの多価カチオンには、鉄、クロム及びニッケルがある。本発明の精製プロセス前のブライン溶液中の鉄、クロム及びニッケルの濃度は通例約0.001〜100ppmの範囲内、又は約0.001〜約10ppmの範囲内、又は約0.001〜約2ppmの範囲である。
膜の寿命及び電解槽の運転効率を最大にするとともに後段での硬度去除処理時の膜規格硬度レベルを達成するため、精製ブライン溶液中の鉄及びクロム濃度は各々独立に約0.1ppm未満でなければならず、精製ブライン溶液のニッケル濃度は約10ppb未満でなければならない。特に、供給ブライン中に鉄が存在すると、精製ブライン中の膜規格硬度レベルの達成が妨げられ、硬度除去用イオン交換樹脂の汚損を起こすことが判明した。
本発明で想定されるブライン溶液は、多価金属カチオン(特に遷移金属カチオン)と水溶性錯体を形成し得る水溶性金属キレート剤を含んでいることがある。典型的な水溶性金属キレート剤には、N,N,N′,N′−エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グルコン酸及びこれらのナトリウム塩がある。グルコン酸ナトリウムは、本発明の方法で精製し得るブライン溶液中でその存在が多々認められる水溶性キレート剤である。一般に、本発明の精製プロセス前のブライン溶液中の水溶性金属キレート剤の濃度は約2000ppm未満、好ましくは約500ppm未満、さらに好ましくは約200ppm未満である。通例、ブライン溶液中のグルコン酸ナトリウムの濃度は約50〜約500ppmの範囲である。
一般に、膜型セパレーターは隔膜型セパレーターよりも夾雑物に対する感受性が強い。膜型電解槽の性能に影響を与える不純物で、縮重合プロセス由来のブライン中に存在し得る不純物としては、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、水銀、アルミニウム、鉄及びシリカが挙げられるが、これらに限定されない。
不純物が膜に与える影響は様々であり、系の汚損を引き起こすまでに存在し得る各種不純物の量は種々異なる。例えば、カルシウム及びマグネシウムは約20ppbで水酸化物として膜に沈殿し始める。ストロンチウムは約500ppbで膜に沈殿し始める。バリウムは約1ppmで膜に沈殿し始める。硫酸ナトリウムは約10g/lの濃度で電解槽の効率低下をもたらす。
本発明では、ブライン精製プロセスに先だって、例えば縮重合反応から得られる原料ブライン溶液を好ましくは「一次ブライン処理」に付す。一次ブライン処理は、本発明の諸工程からなる「二次ブライン処理」前のブライン溶液中の不純物を最小限にするのに役立つ。
一次ブライン処理では、モル過剰の炭酸イオンの存在下でブラインのpHを約10超まで上げてアルカリ土類金属及び遷移金属を炭酸塩及び/又は水酸化物として沈澱させ、次いで濾過又は清澄化などの沈降プロセスを行う。さらに続けて、ブラインの酸性化及びストリッピングを行って、炭酸イオン及び有機溶剤や溶解触媒などの揮発性有機夾雑物を除去する。必要に応じて吸着などの追加処理を利用して、ブラインからモノマー及び低分子量オリゴマーなどの有機種を除去してもよい。かかる一次ブライン処理を実施するための実験の詳細は米国特許第6103092号に記載されている。
二次ブライン処理において、処理すべきブラインから最初に遷移金属を除去しておくと、アルカリ土類金属除去のためのイオン交換プロセスの効率が高まることが観察され、ブライン中のアルカリ金属イオンの膜規格レベル(20ppb未満)が達成できることは以前に発見されていた。今回、この二次ブライン処理におけるイオン交換によるアルカリ土類金属カチオンの除去後にブライン「仕上げ処理」工程を組み込むと、リサイクルブラインを膜型電解槽に使用したときに電圧ペナルティーが大幅に低減することを見出した。
本発明の方法は、通例、一次ブライン処理の後に行われ、(a)低pHでのイオン交換樹脂による遷移金属カチオンの除去、(b)高pHでのアルカリ土類金属カチオンの除去、及び(c)ブライン仕上げ処理の各工程を含む。工程(a)では、遷移金属カチオン、主に鉄及びニッケルカチオンを除去するため、ブラインを低いpH(2.5〜3.5)において第一のキレート性イオン交換樹脂、通例イミノ二酢酸(IDA)官能化ポリスチレンイオン交換樹脂で処理する。また、アルミニウムカチオンのような三価カチオンも工程(a)で除去し得る。工程(a)は、工程(b)で用いられる第二のイオン交換樹脂(通例、AMP官能化樹脂)が鉄のような遷移金属カチオンで汚染されるのを防ぐため、遷移金属カチオンを除去するという重要な役割を果たす。工程(b)では、ブラインのpHを約9〜11に上げた後、ブラインを第二のイオン交換樹脂に流してブラインから硬度を除去する。工程(c)は工程(a)及び(b)の後で行われ、「ブライン仕上げ処理工程」といわれる。工程(c)では、ブラインを合成又は天然炭素吸着材ベッドで処理して、QS、イオン交換樹脂から抽出された有機夾雑物、その他ブラインに含まれる有機化合物を除去する。なお、工程(c)はブラインからのグルコン酸ナトリウムの除去には有効ではないことが知られている。工程(a)、(b)及び(c)は本発明のブライン精製プロセスの第一、第二及び第三「段階」ともいわれる。
本発明の方法の第一段階(工程(a))では、グルコン酸塩含有ブライン溶液のpHをその初期pHから約2〜約4、さらに好ましくは約2.5〜約3.5、さらに一段と好ましくは約2.5に調節する。初期pHは通例弱アルカリ性のpH8〜10であり、一次ブライン処理後のブラインでは一般的である。pHを所望の範囲に調節する典型的手段として、ブライン溶液に1種以上の鉱酸を十分量添加することがある。本発明では、塩酸が特に好ましい。
pH調節後、ブライン溶液を第一の官能化樹脂を含む1種以上の樹脂ベッドと密に接触させる。第一の官能化樹脂は、鉄及びニッケルカチオン並びにアルミニウムカチオンのような他の多価カチオンを始めとする遷移金属カチオンを除去できる樹脂であればどんなものでもよい。
第一の官能化樹脂として適当なイオン交換樹脂には、キレート性イオン交換樹脂があるが、これに限定されない。鉄の除去に有効なキレート性イオン交換樹脂としては、イミノ二酢酸官能化樹脂(IDA)及びアミノメチルホスホン酸(AMP)官能化樹脂がある。AMP官能化樹脂はIDAよりも鉄結合容量が約20%高いが、再生時に回収される鉄はAMP樹脂にかけた鉄の約13〜約25%にすぎない。このため、IDA官能化樹脂が好ましい。
Rohm & Haas社製のAMBERLITE IRC−718又はBayer社製のLEWATIT TP207のような市販IDA樹脂を第一の官能化イオン交換樹脂ベッドに使用し得る。
第一の官能化樹脂は好ましくは、樹脂1ml当たり約0.1〜約3ミリ当量金属イオン、好ましくは樹脂1ml当たり約0.5〜約1.5ミリ当量金属イオンのイオン交換容量を有する。
第一の官能化イオン交換樹脂ベッドでのブライン溶液の接触は回分法、連続法又は半連続法などの当技術分野で公知の方法で実施し得る。好ましい方法では、第一の官能化イオン交換樹脂のベッドを収容したカラムなどの容器にブライン溶液を流す。樹脂ベッドの金属イオン錯化容量が実質的に消耗するまで樹脂ベッドにブラインを流し続けることができ、錯化容量の消耗は樹脂ベッドを収容した容器から流出するブライン溶液中の夾雑金属イオン濃度の増大で知ることができる。樹脂ベッドの金属イオン錯化容量が消耗したら、新たな樹脂ベッドを用いてさらにブライン溶液の処理を行う。消耗したイオン交換樹脂ベッドは、当技術分野で公知の方法で再生できる。かかる方法には、樹脂ベッドからカチオンを除くための酸処理、次いで再使用前に樹脂をナトリウム型に戻すための塩基処理がある。イオン交換法は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,第4版,第14巻,760〜770頁(1995)のC.Dickert著“Ion Exchange”に記載されている。
第一段階では、ブラインを連続法又は半連続法で第一の官能化イオン交換樹脂ベッドと密に接触させる。通例、樹脂ベッドに流すブラインの流量は毎時約1〜約30樹脂ベッド体積の範囲内にある。好ましくは、連続法での流量は毎時約8〜約25樹脂ベッド体積の範囲内である。本発明でいう流量、例えば、毎時10樹脂ベッド体積と表わす流量は、例えば毎時5ガロンのブライン溶液を0.5ガロンのキレート性イオン交換樹脂と接触させることを意味する。ブライン溶液をイオン交換樹脂ベッドと接触させる温度は約20〜90℃の範囲内であり、好ましくは約40〜約70℃、さらに好ましくは好ましくは約55〜約65℃である。
第一の官能化イオン交換樹脂での処理から回収したブライン溶液に含まれる夾雑多価金属カチオン濃度は大幅に低下している。遷移金属その他の多価カチオン(例えばAl+3)の除去量は、数ある要因の中でも、特に夾雑金属カチオンの初期濃度、調節したブライン溶液pH、イオン交換樹脂ベッドを通過時のブラインの温度、及びブラインが第一の官能化イオン交換樹脂と接触する空間速度(すなわちブラインの樹脂ベッド体積/時)に依存する。
通例、第一の官能化イオン交換樹脂と接触させた後のブライン溶液中の鉄、クロム及びニッケルカチオン濃度は各々その検出限界未満に低下する。これは、金属カチオンとグルコン酸との強い相互作用からすると驚くべきことである。この強い相互作用のため、処理ブラインから除去される多価金属カチオン夾雑物の一部は、金属キレート剤と水溶性錯体の形態で存在していたのである。特に、上記の通り処理したブライン溶液から夾雑物として除去された鉄の相当部分は当初水溶性グルコン酸錯体として存在していたものである。
第一の官能化樹脂にブラインを流した後、ブライン溶液のpHをpH9〜約11.5に再調節する。pHをこの範囲に調節する典型的な手段としては、十分量のアルカリ金属化合物(例えばアルカリ金属水酸化物)をブライン溶液に添加する1以上の工程がある。
ブライン溶液のpH調節に使用し得る適当なアルカリ金属化合物には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム又はこれらの混合物があるが、これらに限定されない。水酸化ナトリウムが好ましい。
ブライン溶液をpH約9〜約11.5、好ましくはpH約10に調節した後、ブラインを回分法、連続法又は半連続法で第二の官能化イオン交換樹脂ベッドと密に接触させるが、樹脂ベッドに流すブラインの流量は毎時約1〜約30樹脂ベッド体積(すなわち、約1〜約30ベッド体積/時の空間速度)、さらに好ましくは毎時約5〜約15樹脂ベッド体積の範囲内である。ブライン溶液は約20〜90℃、好ましくは約40〜約70℃、さらに好ましくは約55〜約65℃の温度で、第二の官能化イオン交換樹脂ベッドに流す。
第二の官能化イオン交換樹脂はブライン溶液から「硬度」を除去する機能を果たす。本明細書中で用いる「硬度」とは、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム又はこれらの混合カチオンを始めとするアルカリ土類金属カチオンをいう。第二の官能化樹脂は硬度を除去できる樹脂であればどんなものでもよい。アミノメチルホスホン酸官能化(AMP)イオン交換樹脂が好ましい。適当なAMP樹脂には、Rohm & Haas社製のDUOLITE467及びBayer社製のLEWATIT OC1060がある。
硬度は主に第二のイオン交換樹脂処理段階で除去されるが、pHを約2〜約4に調節してブライン溶液を第一の官能化樹脂に流すことからなる第一段階は、鉄の汚染(鉄は基本的に不可逆的にAMP樹脂に結合する。)からAMP樹脂を保護するのに役立つ。
ブライン溶液と第二の官能化イオン交換樹脂との接触は回分法、連続法又は半連続法などの当技術分野で公知の方法で実施し得る。好ましい方法では、第二の官能化イオン交換樹脂のベッドを収容した容器にブライン溶液を流す。樹脂ベッドの容量が実質的に消耗するまで容器にブラインを流し続けることができ、その消耗は容器から流出するブライン溶液中の夾雑アルカリ土類金属カチオン濃度の増大で知ることができる。樹脂ベッドの金属イオン錯化容量が消耗したら、新たな樹脂ベッドを用いてさらにブライン溶液の処理を行う。消耗したイオン交換樹脂ベッドは、当技術分野で公知の方法で再生できる。
第三段階では、本方法の第一段階及び第二段階で処理したブラインを炭素質吸着材と密に接触させる。一般に、ブラインを炭素質吸着材の固定ベッドに流してブラインを炭素質吸着材と接触させるのが好ましい。接触は連続法又は半連続法で実施できる。通例、樹脂ベッドを流れるブラインの流量が毎時約1〜約30樹脂ベッド体積(すなわち、約1〜約30ベッド体積/時の空間速度)となるように、ブラインを炭素質吸着材の固定ベッドに流す。好ましくは、連続法での流量は約8〜約25樹脂ベッド体積/時の範囲である。ブライン溶液を炭素質吸着材と接触させる温度は、約20〜約90℃、好ましくは約40〜約70℃、さらに好ましくは約55〜約65℃の範囲である。
熱分解したスルホン化ポリスチレンジビニルベンゼン、例えばAMBERSORB572(Rohm and Haas社)がブライン仕上げ処理に最も有効であることが判明したが、広範囲の炭素質物質を使用できる。これらの炭素質物質の例としては、活性炭のような活性化炭素及び非官能化ポリスチレン樹脂が挙げられる。活性炭の例としては、CALGON CPG及びCALGON FILTRASORB吸着材、並びにココナッツ殻由来の炭素吸着材が挙げられる。非官能化ポリスチレン樹脂の例としては、XAD−4(Rohm and Haas社)が挙げられる。
ポリマー製造プロセスからのブライン溶液(リサイクルブライン)を本発明の方法で処理し、膜型電解槽で電気分解すると、電解槽は、最終ブライン仕上げ処理工程を行わずに精製したリサイクルブラインの電解で観察される電圧に比べて格段に低い電圧を示す。このブライン仕上げ処理工程で得られる電圧降下は、本方法のイオン交換工程、すなわち工程(a)及び工程(b)でブラインに導入された電圧ペナルティーの原因となる夾雑物の濃度低下、並びにQSのような他のブライン夾雑物の低下の結果であると考えられる。加えて、本方法のイオン交換工程は、かかる工程を行わなければブライン溶液中に存在してしまう夾雑多価金属カチオンに由来する固体化学種が膜型セパレーターの表面及び内部での堆積を低減するのに役立つ。特に、電解槽内の膜型セパレータは、本発明の方法で処理したブラインを用いると、特にグルコン酸塩含有リサイクルブラインを用いて運転する際に、寿命が大幅に延びる。
本発明方法の工程(c)の重要な機能は、精製前のリサイクルブライン中に存在するおそれのある第四アンモニウム塩(QS)を除去することである。QSを含むブラインを工程(c)で処理すると、炭素質吸着材が次第にQSで飽和する。その結果、QS「ブレイクスルー」が起き、処理ブライン中に許容レベルを超えるQSが存在するようになる。この時点で新たな炭素質吸着材を使用しなければならない。既に述べたように、本発明の方法で使用する第一及び第二のイオン交換樹脂は公知の技術を用いて再生し再使用することができる。ブライン仕上げ処理工程で使用した炭素質物質を再生して再使用することができれば極めて望ましい。ブライン仕上げ処理工程で用いる炭素質吸着材はイオン交換樹脂として機能しないので、その再生には、第一及び第二のイオン交換樹脂の再生に使用した手段とは異なる手段が必要とされる。そこで、本発明の一つの態様では、ブライン仕上げ処理工程を含むブライン精製法に加えて、ブライン仕上げ処理工程に用いた炭素質吸着材の再生・再使用方法を提供する。
一実施形態では、本発明は吸着した1種以上の第四アンモニウム塩を含む炭素質吸着材を再生する方法を提供するが、当該方法は、炭素質吸着材を再生液と接触させる工程を含む。再生液は、第四アンモニウム塩が認め得るほど溶解し得る液体と定義される。認め得るほどの溶解性とは、第四アンモニウム塩が平衡時に0.1%以上、好ましくは1%以上、さらに好ましくは10重量%以上溶解することを意味する。炭素質吸着材と再生液との接触は、炭素質吸着材中に存在する第四アンモニウム塩の少なくとも一部が再生液に溶解するように十分な時間実施する。本方法はさらに、溶解した第四アンモニウム塩を含む再生液を炭素質吸着材から分離する工程を含む。第四アンモニウム塩が認知可能な程度の溶解性を有する液体と炭素質吸着材との接触工程は連続法でも回分法でもよい。連続再生プロセスでは、再生液を炭素質吸着材のベッドに連続的に流ればよい。別法として、再生は、液体をデカント又は濾過によって炭素質吸着材から分離する回分法又は半回分法で実施してもよい。さらに、連続再生を、再生すべき炭素質吸着材のベッドに新鮮な再生液だけを流して実施することもできる。新鮮な再生液とは、QSを含まない再生液と定義される。また、再生は、一回分の再生液を再生すべき炭素質吸着材のベッドに循環させて流して行ってもよい。この再循環法は、再生液中のQSの濃度が所望のレベルに到達するまで新鮮な再生液を用いて繰り返すことができる。
再生液として使用できる適当な物質の例としては、水、アセトン及びメタノールのような溶媒、並びにアセトン及びメタノールと水のような混合溶媒が挙げられる。例えば、水性メタノール及び水性アセトンにおける「水性」という用語は、約1〜約99重量%の水を含んでいることを意味している。
一実施形態では、再生される炭素質吸着材は活性炭であり、吸着した第四アンモニウム塩は塩化クロロメチルトリエチルアンモニウムであり、液体は水である。
本発明の別の実施形態では、QS(塩化クロロメチルトリエチルアンモニウム)で飽和した熱分解スルホン化ポリスチレンジビニルベンゼン樹脂を水その他の水性混合物で、温度約20〜約100℃、pH約1〜約10において処理することによって再生する。別法として、樹脂は、アセトン及びメタノールのような極性溶媒並びに水とかかる極性溶媒との混合物を用いて再生することもできる。
再生は「ワンススルー」法又は「回分法再循環」モードで実施し得る。「ワンススルー」再生法の例としては、新鮮な再生液をブライン仕上げ処理用吸着材のベッドに流すことが挙げられる。カラムに充填した樹脂で再生を行う場合、再生液の流量は約0.1〜約40ベッド体積/時とすればよい。「回分法再循環」による再生の例としては、再生液を炭素質吸着材に流して単純に再循環させることが挙げられる。こうして再生される炭素質物質に流す再生液の再循環は、所望のレベルの再生が達成されるまで、任意の時間間隔(例えば1〜24時間)及び約1〜約40ベッド体積/時の流量で続ければよい。
一実施形態では、本発明は1種以上の第四アンモニウム塩が吸着した炭素質吸着材を再生する方法であり、この方法は、炭素質吸着材を第四アンモニウムが認め得るほど溶解し得る液体に接触させ、吸着した第四アンモニウム塩の少なくとも一部を液体に溶解させ、溶解した第四アンモニウム塩を含む前記液体を前記炭素質吸着材から分離する工程を含む。
さらに、ビスフェノールA(BPA)のようなフェノール系物質に暴露された炭素質吸着材はQS吸着容量が大幅に低下していることが判明した。本発明のさらに別の態様では、熱水、温和な酸又はメタノールのような極性溶媒での処理によって炭素質吸着材のQS吸着容量のかなりの部分を回復することができることが判明した。
以下の実施例は、本願特許請求の範囲に記載した方法をいかに実施し評価するかを当業者に十分に開示し説明するためのものであって、本発明者らが発明として把握している範囲を限定するものではない。特記しない限り、部は重量部であり、温度は℃単位である。
ブライン試料を本発明の方法で精製した後実験室用膜型電解槽に供給し、陽極−陰極間の電圧を測定した。この実験室用膜型電解槽はEC300陽極(Eltech社製)とニッケル陰極を備えていた。この槽はDuPont社製NAFION膜を備えていた。槽電流は3.5KA/m2であった。ブライン供給原料は300gpl(グラム/リットル)の塩化ナトリウム溶液であった。陽極室へのブライン供給速度は200gplのNaCl陽極液生成物が得られるように調節した。陰極室への脱イオン水流量は33wt%のNaOH苛性生成物が得られるように調節した。槽は90℃で運転した。
陽極室と陰極室にそれぞれの溶液を導入し、膜型電解槽に電流を流した後、膜型電解槽の槽電圧を測定した。各実験工程(A)では、遷移金属カチオン除去用にイミノ二酢酸(IDA)官能化イオン交換樹脂IRC748(Rohm and Haas社)を用いた。工程(b)では、「硬度除去」用にアミノメチルホスホン酸(AMP)官能化ポリスチレン樹脂イオン交換樹脂DUOLITE C467(Rohm and Haas社)を用いた。工程(c)では、部分的に熱分解したポリスチレン樹脂AMBERSORB572(Rohm and Haas社)を、QS、「樹脂抽出物」その他の有機夾雑物の除去からなるブライン仕上げ処理に用いた。「樹脂抽出物」は、イオン交換樹脂との接触によってブライン中に導入された夾雑物からなると考えられる。こうした夾雑物(樹脂抽出物その他の有機ブライン夾雑物)の影響は現実のものであり、仕上げ処理工程がない場合に観察される電圧ペナルティーとして表れるが、これら夾雑物の正確な化学的性状も濃度も正確には分かっていない。結果をまとめて表1に示す。各試験の詳細については後述する。
すべてのリサイクルブラインは本発明の方法で使用する前に「一次ブライン処理」工程で処理した。一次ブライン処理工程では、モル過剰の炭酸イオンの存在下でブラインのpHを約10以上のpH単位に上げて、アルカリ土類金属及び遷移金属イオンをその炭酸塩及び/又は水酸化物として沈澱させた後、濾過又は清澄化した。しかる後、ブラインを酸性化及びストリッピングして、炭酸イオン及び有機溶媒と溶解触媒のような有機夾雑物を除去した。ブラインストリッピング工程はリサイクルブライン由来の溶媒のような揮発性有機物を除去するために行い、ブラインを充填塔に供給し、その塔の下から上に空気を流した。一般に、一次ブライン処理の温度は重要ではない。好ましい温度範囲は約40〜約120°Fである。
「超高純度」ブラインは、一回以上再生したイオン交換樹脂を用いてpH9〜11、2ベッド体積/時で「硬度除去イオン交換」によって精製したMorton CULINOX999食用塩から調製した。
すべての試験槽は、安定な電圧読取値が得られるまで超高純度ブラインを用いた連続運転でコンディショニングした。コンディショニング後、槽への供給を中断することなく、ブライン源を超高純度ブラインから試験ブラインに切り替えた。各試験ブラインについて、試験ブラインを用いた運転後に得られた電圧から超高純度ブラインで得られた電圧を差し引いて、試験の継続時間(時間)で除すことによって「槽電圧上昇率」を求めた。
3通りのブライン精製法を用いた。各方法の条件を以下に示す。
方法1
AMBERSORB 572(pH3.5、2ベッド体積/時)
遷移金属カチオン除去(pH3.5、2ベッド体積/時)
硬度除去(pH10.4、2ベッド体積/時)
方法2
AMBERSORB 572(pH3.5、2ベッド体積/時)
遷移金属カチオン除去(pH3.5、2ベッド体積/時)
硬度除去(pH10.4、2ベッド体積/時)
AMBERSORB 572(pH10.4、2ベッド体積/時)
方法3
遷移金属カチオン除去(pH3.5、2ベッド体積/時)
硬度除去(pH10.4、2ベッド体積/時)
AMBERSORB 572(pH3.5、2ベッド体積/時)
実施例1〜4の結果をまとめて次の表1に示す。
Figure 2005514313
実施例1
グルコン酸塩を含まない「クリーン」ブラインをMorton CULINOX999食用塩及び脱イオン水から調製した。食用塩と脱イオン水から製造され、グルコン酸イオンを含まないブラインを「クリーン」ブラインと称する。このブラインを、新鮮なイオン交換樹脂を用いたブライン精製方法1に付して精製ブラインを得た。次にこの精製ブラインを、超高純度ブラインを用いた運転で予めコンディショニングしておいた実験室用膜型電解槽に供給した。超高純度ブラインから精製ブラインに切り替える直前の槽電圧は3.400ボルトであった。精製ブラインを用いた運転23時間後、電圧は83mV増大した(4mV/時)。ここで、実験室用膜型電解槽を、「仕上げ処理」ブラインが得られるようにAMBERSORB572樹脂のベッドにpH10.4、流速2ベッド体積/時で流してさらに処理しておいた精製ブラインの供給に切り替えた。ここで用いた精製及び仕上げ処理工程は、「仕上げ処理」ブラインを与えるとされているブライン精製方法2をなす。方法2を用いて処理したブラインの場合の槽電圧は24時間後3.400ボルトから3.428ボルトに上昇した(1mV/時)。
実施例1は、ブライン精製方法1を使用すると、グルコン酸塩を含有しない非リサイクルブラインの処理であっても、終始新鮮なイオン交換樹脂を使用しても多大な電圧上昇が起こったことを示している。この電圧上昇は、ブライン精製方法にAMBERSORB572樹脂を用いたブライン仕上げ処理工程(方法2の工程D)を含めると、大幅に低下した。電圧上昇は新鮮なイオン交換樹脂から抽出される物質に起因し、その物質の殆どがブライン仕上げ処理工程で除去されると考えられる。
実施例2
350ppmのグルコン酸ナトリウムを含有する「リサイクルブライン」を、ブライン精製方法1を用いて処理し、実験室用膜型電解槽に供給した。11日間の槽運転後の電圧上昇は200mVであった。電圧上昇率は約20mV/日であった。次に、このリサイクルブラインをAMBERSORB572樹脂に流すことによって「仕上げ処理」して「仕上げ処理リサイクルブライン」を得た。この仕上げ処理リサイクルブラインを、予め超高純度ブラインにしか暴露してない実験室用膜型電解槽に供給した。仕上げ処理リサイクルブラインを用いた槽運転11日経過後の電圧上昇はわずか51mVにすぎなかった。
実施例3
(a)方法1を用いた槽性能
250ppmのグルコン酸ナトリウムを含有するリサイクルブラインを、ブライン精製方法1を用いて処理して、精製リサイクルブラインを得た。各イオン交換工程で新鮮な樹脂を使用した。使用したイオン交換樹脂はいずれも、この試験に供する前に一度再生したものである。方法1で精製したリサイクルブラインを実験室用膜型電解槽に導入した。槽電圧は最初3.311ボルトであった。精製リサイクルブラインを用いて1.55時間運転した後、電圧は急激に上昇して3.410ボルトになった(64mV/時)。次のこの槽を超高純度ブラインによる運転に2.7時間戻したところ、槽電圧は低下して3.380ボルトで安定した。供給を再度切り替え、精製リサイクルブラインを槽に供給した。19.5時間の運転後電圧は298mV上昇して3.678ボルトになった(15mV/時)。その後、槽を超高純度ブラインによる運転に51.7時間戻したところ、この間に槽電圧が低下し3.449ボルトで安定した。槽への供給を再度、精製リサイクルブラインに切り替えた。1.2時間後、電圧は3.494ボルトであった(38mV/時)。これらの結果は、ブライン精製方法1を用いて精製したリサイクルブラインを槽に供給すると常に槽電圧が上昇したこと、及びこれらの電圧上昇が大きかったことを示している。
(b)方法2を用いた槽性能
次いで、上記実施例3(a)で使用した槽を超高純度ブラインでの運転に66時間戻したところ、槽電圧が低下して3.358ボルトで安定した。実施例3(a)の精製リサイクルブラインをさらに、AMBERSORB572樹脂(Rohm and Haas Company)のベッドに供給pH10、流速2ベッド体積/時流すことによって処理して、仕上げ処理リサイクルブラインを得た。ブライン精製方法1の工程とその後のAMBERSORB572に流す追加工程との組合せはブライン精製方法2を構成する。この仕上げ処理リサイクルブラインを槽に供給した。電圧は21時間運転後にわずか1mV上昇して3.359ボルトになった。このことから、精製リサイクルブラインをAMBERSORB572で処理して「仕上げ処理」すると、リサイクルブラインを方法1で精製したときに観察される電圧上昇が解消することが実証された。
実施例4
方法3を用いた槽性能
試験1:100ppmのグルコン酸ナトリウムを含有するリサイクルブラインを「一次ブライン処理」で精製した後、ブライン精製方法3を用いて処理して、仕上げ処理リサイクルブラインを得た。この一次ブライン処理は米国特許第6103092号に記載の通り行った。最初の試験では、超高純度ブラインを実験室用膜型電解槽に、電圧読取値が最小で安定するまで供給した。次に、仕上げ処理リサイクルブラインを槽に導入した。電圧は2日間で3.600から3.615ボルトに上昇した(0.3mV/時)(槽I)。また、仕上げ処理リサイクルブラインを、同じ構成であるが別の実験室用膜型電解槽(槽II)にも導入した。この槽は予め超高純度ブラインで安定化しておいた。ここで、槽IIの電圧読取値は2日間で3.551から3.559ボルトに上昇した(0.2mV/時)。対照実験では、2日間の間に、超高純度ブラインを供給した槽Iでは電圧の低下を示し(−6mV)、超高純度ブラインを供給した槽IIでは電圧の変化がみられなかった。
試験2:最初槽I及びIIに超高純度ブラインを供給し、その後上記で調製した仕上げ処理リサイクルブラインを供給した。槽Iでは、仕上げ処理リサイクルブラインを用いた4日の運転の間に電圧が3.344から3.361ボルトに上昇した(0.17mV/時)。槽IIでは、仕上げ処理リサイクルブラインを用いた同じ期間の運転の間に3.287から3.316ボルトに電圧が上昇した(0.30mV/時)。超高純度ブラインを用いた対照実験では、槽I及びIIは、4日間の間にそれぞれ9mV及び21mVの電圧上昇を示した(それぞれ0.093及び0.22mV/時)。
第四アンモニウム塩(QS)吸着樹脂の再生
実施例5〜7
以下のようにして仕上げ処理用カラムを作成した。内径1インチのガラスカラムに、50gmのRohm and Haas社製AMBERSORB572樹脂を充填した。ベッド体積は116mLであった。QSを含有するブライン(23wt%NaCl)を一定流量でカラムに供給した。仕上げ処理用カラムをQSで飽和させた後、ブライン流を中断し、再生剤流をカラムに供給した。次に、再生の間に樹脂から回収されたQSの量を測定した。
再生後、仕上げ処理用カラムの樹脂を別のサイクルのQS吸着に供した。表2に、幾つかのサイクルの詳細な運転条件を示す。重量%は乾燥樹脂の重量に対するQSの重量を示す。
Figure 2005514313
表2の実施例5〜7のこれらのカラム試験は、水と0.1N HClが共にAMBERSORB572のような熱分解したポリスチレン樹脂からQSを除去するのに有効であることを示している。
実施例8:回分法再循環試験
一回分の樹脂を60℃で多数回吸着と脱着のサイクルに付した。すなわち、260gmのブライン(23wt%のNaCl及び44ppmのQS)及び260mgのAMBERSORB572を500mLの三角フラスコに入れ、オービタルシェーカーで24時間振盪した。次に樹脂からブラインを濾過したところ、14.5ppmの残留QSを含有していることが判明した。すなわち、樹脂は3.1wt%のQSを吸着した。次いで、樹脂と250gmの水を三角フラスコに入れ、24時間振盪した。この水を分析したところ、31.1ppmのQS(樹脂に対して3.0wt%)を含有していることが判明した。このサイクルを17回繰り返した。17回目の吸着サイクルのとき、ブラインのQSレベルは44ppmから18.1ppmに低下していた。これは、樹脂への2.6wt%のQS吸着に相当する。脱着サイクルで、269gmの脱イオン水を樹脂に加えた。脱イオン水は24時間後に29.7ppmのQSを含んでいたが、これは3.0wt%のQSに相当する。従って、この樹脂は、再生媒体として水を使用するQS吸着・脱着の多数サイクルに有効である。
実施例9〜14:代替再生法
AMBERSORB572のベッドを、20〜30ppmのQSに加えて5〜15ppmのBPAを含有するブラインに暴露した後、実施例6と同様にして再生した。BPAはAMBERSORB572樹脂に強く結合して、AMBERSORB572のQS結合容量を阻害すると考えられる。再生液として水を用いて再生した後、この樹脂を再度、5〜15ppmのBPAと20〜30ppmのQSを含有するブラインに、樹脂がQSで飽和するまで暴露した。樹脂を再度実施例6と同様にして再生した。かかる吸着・脱着の4回のサイクル後、樹脂はブラインからQSを吸着することができなかった。次に、この樹脂を、QS吸着活性を回復するために幾つかの種類の処理に付した。特記しない限り、すべての処理及び容量試験の温度は60℃であった。各試験で、250mgの汚染樹脂及び100gmの再生液を250mLの三角フラスコに入れた。このフラスコをオービタルシェーカーで4時間振盪した後、樹脂を処理液から濾過し、実施例8の方法でQS吸着容量を試験した。下記表3は、熱水、温和な酸及びメタノールによる処理が元の樹脂のQS吸着容量の実質的な部分を回復するのに有効であることを示している。なお、温和な苛性処理はQS吸着容量の回復にはほんのわずかしか有効でなかった。
Figure 2005514313
表3のデータは、QS除去及びブライン仕上げ処理工程に使用した樹脂が、本明細書に示した「樹脂処理」のいずれかを用いることによって回復できることを示している。特に熱水による処理が樹脂を回復するのに最も有効な手段である。
本発明の好ましい実施形態を特に参照して本発明を詳細に説明してきたが、当業者には、本発明の思想と範囲内で変更や修正をなすことができるは明らかであろう。

Claims (29)

  1. 水溶性キレート剤を含むブライン溶液から不純物を除去する方法であって、
    a)ブライン溶液のpHをpH約2〜約4に調節し、ブライン溶液から遷移金属カチオンを除去することができる官能基を有する第一の官能化樹脂にブライン溶液を流し、
    b)ブライン溶液のpHをpH約9〜約11.5に調節し、ブライン溶液からアルカリ土類金属カチオンを除去することができる官能基を有する第二の官能化樹脂にブライン溶液を流し、
    c)工程b)の後にブライン溶液を仕上げ処理工程に付す
    工程を含んでなる方法。
  2. さらに、工程a)の前にブライン溶液を一次ブライン処理工程に付す工程を含む、請求項1記載の方法。
  3. 第一の官能化樹脂が鉄、ニッケル、クロム、アルミニウムイオン又はこれらの混合物を除去する、請求項1記載の方法。
  4. 第二の官能化樹脂がカルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウムイオン又はこれらの混合物を除去する、請求項1記載の方法。
  5. 工程b)の後の仕上げ処理工程が、部分的に熱分解したスルホン化ポリスチレンジビニルベンゼン樹脂でブライン溶液を処理することからなる、請求項1記載の方法。
  6. 工程c)の後の仕上げ処理工程が、ブライン溶液を炭素ベッドで処理することからなる、請求項1記載の方法。
  7. さらに、ブライン溶液を回収する工程を含む、請求項1記載の方法。
  8. 第一の官能化樹脂がイミノ二酢酸官能化イオン交換樹脂である、請求項1記載の方法。
  9. 第二の官能化樹脂がアミノメチルホスホン酸官能化イオン交換樹脂である、請求項1記載の方法。
  10. 工程c)でブライン溶液を、約1〜約30ベッド体積/時の空間速度で第二の官能化樹脂に流す、請求項1記載の方法。
  11. ブライン溶液の温度が約20〜約90℃である、請求項10記載の方法。
  12. 工程b)でブライン溶液を、約1〜約30ベッド体積/時の空間速度で第二の官能化樹脂に流す、請求項1記載の方法。
  13. ブライン溶液の温度が約20〜約90℃である、請求項12記載の方法。
  14. グルコン酸ナトリウム及び塩化クロロメチルトリエチルアンモニウムを含むブライン溶液から不純物を除去する方法であって、
    a)ブライン溶液のpHをpH約2〜約4に調節し、ブライン溶液から遷移金属カチオンを除去することができる官能基を有する第一の官能化樹脂にブライン溶液を流し、
    b)ブライン溶液のpHをpH約9〜約11.5に調節し、ブライン溶液からアルカリ土類金属カチオンを除去することができる官能基を有する第二の官能化樹脂にブライン溶液を流し、
    c)工程b)の後にブライン溶液を仕上げ処理工程に付す
    工程を含んでなる方法。
  15. さらに、工程a)の前にブライン溶液を一次ブライン処理工程に付す工程を含む、請求項14記載の方法。
  16. 第一の官能化樹脂が鉄、ニッケル、クロム、アルミニウムイオン又はこれらの混合物を除去する、請求項15記載の方法。
  17. 第二の官能化樹脂がカルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウムイオン又はこれらの混合物を除去する、請求項16記載の方法。
  18. 工程b)の後の仕上げ処理工程c)が、部分的に熱分解したスルホン化ポリスチレン樹脂でブライン溶液を処理することからなる、請求項17記載の方法。
  19. 工程b)の後の仕上げ処理工程c)が炭素ベッドでブライン溶液を処理することからなる、請求項17記載の方法。
  20. さらに、ブライン溶液を回収する工程を含む、請求項14記載の方法。
  21. 第一の官能化樹脂がイミノ二酢酸官能化イオン交換樹脂である、請求項14記載の方法。
  22. 第二の官能化樹脂がアミノメチルホスホン酸官能化イオン交換樹脂である、請求項14記載の方法。
  23. 工程b)でブライン溶液を、約1〜約30ベッド体積/時の空間速度で第二の官能化樹脂に流す、請求項14記載の方法。
  24. ブライン溶液の温度が約20〜約90℃である、請求項23記載の方法。
  25. 工程a)でブライン溶液を、約1〜約30ベッド体積/時の空間速度で第一の官能化樹脂に流す、請求項14記載の方法。
  26. ブライン溶液の温度が約20〜約90℃の範囲である、請求項25記載の方法。
  27. 1種以上の第四アンモニウム塩が吸着した炭素質吸着剤を再生する方法であって、第四アンモニウムが認め得るほど溶解し得る液体に炭素質吸着材を接触させ、少なくとも一部の第四アンモニウム塩を液体に溶解させ、溶解した第四アンモニウム塩を含む液体を炭素質吸着材から分離する工程を含んでなる方法。
  28. 前記液体が、水、水性メタノール、水性アセトン、アセトン及びメタノールからなる群から選択される、請求項27記載の方法。
  29. 前記第四アンモニウム塩が塩化クロロメチルトリエチルアンモニウムである、請求項27記載の方法。
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